JP2012173368A - 感光性樹脂印刷原版およびそれを用いた印刷版 - Google Patents

感光性樹脂印刷原版およびそれを用いた印刷版 Download PDF

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Abstract

【課題】親水性ポリマーを含有する感光性樹脂層と弾性体層の接着性を改善し、印刷版の平面性および印刷適性に優れる感光性樹脂印刷原版ならびにそれを用いた印刷版を提供すること。
【解決手段】少なくとも感光性樹脂層(A)、接着層(B)および弾性体層(C)をこの順に有し、前記感光性樹脂層(A)が親水性ポリマーを含有し、かつ、前記接着層(B)が親水性ポリマーを含有する接着層(B1)を有することを特徴とする感光性樹脂印刷原版。
【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂層、接着層および弾性体層をこの順に有する感光性樹脂印刷原版およびそれを用いた印刷版に関する。
凸版印刷分野は、印刷機の方式によりレタープレス印刷とフレキソ印刷に大別され、それぞれ異なる特性を有する感光性樹脂印刷原版が使用されている。レタープレス印刷は、主にシール・ラベル等の高精細印刷に使用され、ナイロンあるいはポリビニルアルコールとエチレン性不飽和化合物などからなる感光性樹脂層からレリーフを形成する水現像版が使用されている。一方、フレキソ印刷は、レタープレス印刷に比べ柔軟性の高い印刷版を用いることが特徴であり、従来、主にダンボール、紙、フィルム等の包装用途の印刷に使用されていた。しかし近年、フレキソ印刷版の性能向上や高線数のアニロックスロールの登場により高精細印刷が可能となったことから、フレキソ印刷によりシール・ラベル等の高精細印刷も行われるようになっている。
フレキソ印刷のもう一つの特徴として、使用される印刷版の版厚が厚いことが挙げられる。レタープレス印刷では1mm以下の版厚が一般的であるのに対し、フレキソ印刷では1mm以上、特にダンボール印刷においては通常4mm以上、さらには7mm程度の版厚が必要とされる場合もある。このため、例えば1.7mm厚の感光性樹脂層、接着層およびベースフィルムを積層した水溶性感光性フレキソ印刷原版が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、感光性樹脂層を厚くすると厚みムラが増大しやすく、また、感光性樹脂層の収縮による印刷版のカールも発生しやすくなるため、印刷版の平面性が低下する課題があった。印刷版の平面性が低下すると、インキの追従性が低下する他、印刷機の圧胴に両面テープ等を使用して印刷版を固定する際に印刷版の反りにより作業性が低下する場合があり、平面性の向上が求められていた。
フレキソ印刷版の版厚を厚くする他の方法として、例えば、生ゴム、加硫ゴムまたは合成ゴム等のゴムシート材、軟質塩ビシート材、ウレタンフォーム、スポンジ等の弾性体層を感光性樹脂層に積層する方法が行われている。一般に、印刷版の反発弾性が不足すると高速印刷時にギアマークが発生しやすくなるため、この点からも弾性体層を積層することが印刷適性の改善に有効とされる。感光性樹脂層と弾性体層の接着方法としては、例えば、弾性体層に有機溶剤を接触させることにより弾性体層表面に溶解または膨潤した層を形成し、該表面層に感光性樹脂層を密着または接着する方法(例えば、特許文献2参照)、感光性樹脂層を弾性体層と溶剤で貼り合わせた後、露光する方法(例えば、特許文献3参照)、感光性樹脂層および接着層を有する積層体を弾性体層と接着させる方法(例えば、特許文献4〜5参照)などが提案されている。
フレキソ印刷版により高精細印刷を行うためには、従来レタープレス印刷版に用いられていたナイロンあるいはポリビニルアルコールとエチレン性不飽和化合物などからなる感光性樹脂層をさらに柔軟化することが有効であると考えられる。しかしながら、上記従来公知の接着方法を、これら親水性ポリマーを含有する感光性樹脂層と弾性体層の接着に適用した場合、接着性が不十分である課題があった。このため、感光性樹脂層と弾性体層を貼り合わせることが困難となったり、長時間にわたる印刷の過程で感光性樹脂層が弾性体層から剥離して印刷品位を損ねたりする場合があった。
特開2007−79494号公報 特開平11−95441号公報 特開2001−183813号公報 特開平8−297369号公報 特開平11−24276号公報
本発明は、上記課題に鑑み、親水性ポリマーを含有する感光性樹脂層と弾性体層の接着性を改善し、印刷版の平面性および印刷適性に優れる感光性樹脂印刷原版ならびにそれを用いた印刷版を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は主として次の構成を有する。すなわち「少なくとも感光性樹脂層(A)、接着層(B)および弾性体層(C)をこの順に有し、前記感光性樹脂層(A)が親水性ポリマーを含有し、かつ、前記接着層(B)が親水性ポリマーを含有する接着層(B1)を有することを特徴とする感光性樹脂印刷原版」である。
本発明により、感光性樹脂層と弾性体層の接着性が良好で、印刷版の平面性および印刷適性に優れる感光性樹脂印刷原版ならびにそれを用いた印刷版を得ることができる。
本発明の感光性樹脂印刷原版は、少なくとも感光性樹脂層(A)、接着層(B)および弾性体層(C)をこの順に有する。感光性樹脂層(A)は、露光および現像することにより印刷版のレリーフを形成する層である。弾性体層(C)は、特にフレキソ印刷に適した柔軟性を担う層である。接着層(B)は、感光性樹脂層(A)と弾性体層(C)を接着する層である。
本発明における感光性樹脂層(A)は、親水性ポリマーを含有し、さらにエチレン性不飽和化合物および光重合開始剤を含有することが好ましい。また、種々の特性向上を目的として、可塑剤、重合禁止剤、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸素捕捉剤、増感剤、着色剤(染料、顔料、光発色剤、発色助剤)、香料などを含有してもよい。
本発明の感光性樹脂印刷原版は、感光性樹脂層(A)に親水性ポリマーを含有することにより、水や、界面活性剤、アルカリ性化合物、アルコールなどを含有する水溶液などにより容易に現像することができる。
ここで、本発明における親水性ポリマーとは、25℃の水に24時間浸漬することで、水に溶解または分散するポリマーを指す。親水性ポリマーの具体例としては、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、水分散性ラテックスなどが挙げられ、その他の公知の水溶性または水膨潤性ポリマーも使用することができる。これらを2種以上含有してもよい。中でも、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、水分散性ラテックスが好ましく、水現像性、画像再現性に優れ、版面粘着が少ないことから、部分鹸化ポリ酢酸ビニルがより好ましい。
部分鹸化ポリ酢酸ビニルの鹸化度は、後述するエチレン性不飽和化合物との相溶性を向上させる観点から、60モル%以上が好ましく、65モル%以上が好ましい。一方、部分鹸化ポリ酢酸ビニルの吸水性と結晶性を低減し、感光性樹脂層の柔軟性を向上させる観点から、85モル%以下が好ましく、75モル%以下がより好ましい。
部分鹸化ポリ酢酸ビニルの鹸化度(モル%)は、JIS K6726(1994)3.5 鹸化度に従い、水酸化ナトリウムで部分鹸化ポリ酢酸ビニル中の残存酢酸基(モル%)を定量し、100から差し引くことにより求めることができる。
部分鹸化ポリ酢酸ビニルの重合度は、感光性樹脂層の強靱性を向上させる観点から、数平均重合度で300以上が好ましい。一方、水現像性を向上させる観点から、数平均重合度で1000以下が好ましく、800以下がより好ましい。
部分鹸化ポリ酢酸ビニルの数平均重合度は、JIS K6726(1994)3.7 平均重合度に従い、部分鹸化ポリ酢酸ビニルを水酸化ナトリウムにより完全鹸化した後、粘度計を用いて水との相対粘度を求め、相対粘度から計算により算出することができる。
また、部分鹸化ポリ酢酸ビニルは、後述するエチレン性不飽和化合物と架橋可能な反応基を有することが好ましい。架橋可能な反応基としては、重合性の不飽和結合が好ましい。架橋可能な反応基を有することにより、光重合により感光性樹脂層の架橋構造が強化され、印刷版の画像再現性や耐刷性を向上させることができる。かかる反応基を有する部分鹸化ポリ酢酸ビニルとしては、例えば、部分鹸化ポリ酢酸ビニルとジカルボン酸無水物を反応させて側鎖にカルボキシル基を付加させた変性部分鹸化ポリ酢酸ビニル、側鎖のカルボキシル基にさらに不飽和エポキシ化合物を反応させて不飽和結合を導入した変性部分鹸化ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。
酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水グルタル酸、水添フタル酸無水物、ナフタリンジカルボン酸無水物などが挙げられる。これらの酸無水物を2種以上用いてもよい。酸無水物残基の含有量は、酢酸ビニル単位および反応前のビニルアルコール単位の合計100モル%に対して、好ましくは0.1〜10モル%の範囲である。0.1モル%以上であれば画像再現性や耐刷性がより向上し、10モル%以下であれば良好な水現像性が維持される。
部分鹸化ポリ酢酸ビニル側鎖にカルボキシル基を付加させる方法としては、例えば、アセトンやN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などの溶剤中で部分鹸化ポリ酢酸ビニルを膨潤させ、酸無水物と反応させた後、乾燥する方法などが挙げられる。
このようにして得られた変性部分鹸化ポリ酢酸ビニルの側鎖に存在するカルボキシル基と不飽和エポキシ化合物を反応させることにより、部分鹸化ポリ酢酸ビニルに重合性の不飽和結合を導入することができる。その結果、光重合により感光性樹脂組成物の架橋構造をより強化にする効果が発現する。
不飽和エポキシ化合物とは、分子内に少なくとも1個のエポキシ基および少なくとも1個の不飽和基を有する化合物である。不飽和基としては、エチレン性不飽和基が好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基がより好ましい。不飽和エポキシ化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメタクリレートなどが挙げられる。これらの不飽和エポキシ化合物を2種以上用いてもよい。
本発明におけるポリアミドとしては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、主鎖中にポリオキシアルキレンセグメントまたは脂環式ジアミンセグメントなどの親水性基を導入したポリアミドおよびその変性体などを挙げることができる。
主鎖中にポリオキシアルキレンセグメントを有するポリアミドとしては、例えば、(i)ポリオキシアルキレンジアミンまたはポリオキシアルキレンジカルボン酸と、(ii)シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、ジグリコール酸などの脂肪族ジカルボン酸またはエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミンとから導かれる単位を主たる構成単位として含有する共重合ポリアミドなどが挙げられる。
また、主鎖中に脂環式ジアミンセグメントを有するポリアミドとしては、例えば、2−アミノエチルピペラジンなどの脂環式ジアミンと、前記(ii)に例示した脂肪族ジカルボン酸とから導かれる単位を主たる構成単位として含有する共重合ポリアミドなどが挙げられる。
前記ポリオキシアルキレンセグメントや脂環式ジアミンセグメントと共重合させるアミド基形成共重合成分は特に限定されず公知のものが使用できる。例えば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのラクタム、アミノ酸および前記脂肪族、芳香族のジアミン、ジカルボン酸の組み合わせから導かれる塩などを用いることができる。
本発明における水分散性ラテックスとは、水分散ラテックスからその大部分を占める水を除いて得られる重合体そのものをいい、水分散ラテックスとは、重合体粒子を分散質として電気的反発力により水中に分散したものであり、この電荷は乳化剤、保護コロイド、ポリマーなどの電離や吸着により引き起こされているものである。水分散ラテックスは水を蒸発すると、水分散性ラテックスとなり、連続皮膜を形成する性質を有するものである。しかしながら、ここで使用する水分散性ラテックスは、重合体の架橋密度が高く連続皮膜を形成しにくいものが好ましく用いられる。
このような水分散性ラテックスとして、具体的には、ポリブタジエンラテックス、天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリクロロプレンラテックス、ポリイソプレンラテックス、ポリウレタンラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、ビニルピリジン重合体ラテックス、ブチル重合体ラテックス、チオコール重合体ラテックス、アクリレート重合体ラテックスなどの水分散性ラテックス重合体やこれら重合体にアクリル酸やメタクリル酸などの他の成分を共重合して得られる重合体が挙げられる。この中でも分子鎖中にブタジエン骨格またはイソプレン骨格を含有する水分散性ラテックス重合体が、硬度の点から好ましく用いられる。具体的には、ポリブタジエンラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリイソプレンラテックスが好ましい。
感光性樹脂層(A)には、上記親水性ポリマーに加えて、さらに他のポリマーを含有してもよい。他のポリマーとしては、例えば、ポリブタジエン、アクリロニトリルゴム、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、ブタジエン−スチレンコポリマー、イソプレン−スチレンコポリマー、セルロース誘導体、ポリエステル、シリコーンゴム、アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニルやこれらの共重合体など、感光性樹脂組成物に通常使用されているものが挙げられる。
本発明における親水性ポリマーの含有量は、印刷版に強靱性を付与して耐刷性を向上させる観点から、感光性樹脂層(A)中30重量%以上が好ましく、40重量%以上がより好ましい。一方、現像性および画像再現性の観点から、感光性樹脂層(A)中70重量%以下が好ましく、60重量%以下がより好ましい。
本発明における感光性樹脂層(A)は、エチレン性不飽和化合物および光重合開始剤を含有することが好ましい。これらを含有することにより、ラジカル重合によりレリーフに架橋構造を形成する。
エチレン性不飽和化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシ−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロプロピル(メタ)アクリレート等のハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、2、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のエチレン性不飽和結合を1個だけ有する化合物、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルに不飽和カルボン酸や不飽和アルコール等のエチレン性不飽和結合と活性水素を持つ化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和エポキシ化合物とカルボン酸やアミンなどの活性水素を有する化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の多価(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン等の多価ビニル化合物等の2個以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
本発明におけるエチレン性不飽和化合物の含有量は、光硬化を十分に進行させる観点から、感光性樹脂層(A)中20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。一方、感光性樹脂層(A)の柔軟性を維持して印刷版の耐刷性を向上させる観点から、感光性樹脂層(A)中60重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。
光重合開始剤としては、紫外線により自己分解または他分子からの水素引き抜きによってラジカルを生成し、エチレン性不飽和化合物中の炭素−炭素不飽和結合に対し、ラジカル重合反応を開始させる機能を有するものならば特に限定されず、既に公知の光重合開始剤が使用できる。例えば、アセトフェノン類、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アントラキノン類、ベンジル類、ビアセチル類等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。上記の光重合開始剤のうち、より具体的には、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが好ましい。
本発明における光重合開始剤の含有量は、光硬化を十分に進行させる観点から、感光性樹脂層(A)中0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。一方、十分な抜線深度を確保する観点から、感光性樹脂層(A)中5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
本発明における感光性樹脂層(A)は、柔軟性を付与し、相溶性を向上させる目的で可塑剤を含有することが好ましい。可塑剤の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類を挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。可塑剤の含有量は、感光性樹脂印刷原版に必要とされる柔軟性に応じて適宜調整することができ、例えば柔軟性をより向上させるためには、感光性樹脂層(A)中5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。一方、画像再現性の観点から、感光性樹脂層(A)中25重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましい。
本発明における感光性樹脂層(A)は、熱安定性の確保を目的に、公知の重合禁止剤を含有してもよい。好ましい重合禁止剤としては、フェノール類、カテコール類、ハイドロキノン類、ニトロソアミン類等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。本発明における重合禁止剤の含有量は、感光性樹脂層(A)中0.5重量%以下が好ましい。
本発明における感光性樹脂層(A)は、相溶性の向上、現像時間の短縮、現像液中の感光性樹脂成分の凝集防止などを目的として、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン類などの非イオン界面活性剤、スルホン酸塩類、硫酸エステル類、リン酸エステル類などの陰イオン界面活性剤、アミン類などの陽イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤などを例示することができる。これらを2種以上含有してもよい。本発明における界面活性剤の含有量は、感光性樹脂層(A)中0.01重量%以上が好ましく、0.03重量%以上がより好ましい。一方、5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
本発明における感光性樹脂層(A)の厚さは、0.5mm以上が好ましく、十分なレリーフ深度が確保でき良好な印刷物を得ることができる。0.7mm以上がより好ましい。一方、5mm以下が好ましく、レリーフ底部まで紫外線が到達し高い画像再現性が確保できる。3mm以下がより好ましい。
本発明の感光性樹脂印刷原版は、接着層(B)を有する。接着層(B)は1層でも多層でもよく、少なくとも親水性ポリマーを含有する接着層(B1)を有することを特徴とする。かかる接着層(B1)を有することにより、親水性ポリマーを含有する感光性樹脂層(A)と接着層(B)との接着性を向上させることができる。さらに、接着層(B)と弾性体層(C)との接着層を向上させるために、熱可塑性エラストマーおよび共重合ポリエステルを含有する接着層(B2)を有することが好ましい。特に、後述する弾性体層(C)が熱可塑性エラストマーを含有する場合には、両層の接着性をより向上させることができる。接着層(B2)を有する場合、各層を弾性体層(C)、接着層(B2)、接着層(B1)、感光性樹脂層(A)の順に有することが好ましい。接着層(B)はさらに他の層を有してもよいが、感光性樹脂印刷原版を簡易に製造する観点からは、接着層(B)は2層以下が好ましい。
本発明における接着層(B1)は、前述のとおり親水性ポリマーを含有することを特徴とする。さらに、感光性樹脂層(A)との接着性をより向上させるために、エチレン性不飽和化合物および光重合開始剤を含有することが好ましい。
接着層(B1)に含有される親水性ポリマーとしては、感光性樹脂層(A)において例示された各種親水性ポリマーが使用できる。特に、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、ポリアミドまたは水分散性ラテックスが好ましく使用できる。
接着層(B1)中の親水性ポリマーの含有量は、感光性樹脂層(A)との接着性をより向上させる観点から、10重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。一方、弾性体層(C)または接着層(B2)との接着性をより向上させる観点から、70重量%以下が好ましく、55重量%以下がより好ましい。
接着層(B1)に含有されるエチレン性不飽和化合物、光重合開始剤としては、感光性樹脂層(A)において例示されたものがそれぞれ使用できる。
接着層(B1)は、さらに種々の特性向上を目的として熱可塑性エラストマー、共重合ポリエステル、可塑剤、重合禁止剤、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸素捕捉剤、増感剤、着色剤(染料、顔料、光発色剤、発色助剤)、香料などを含有してもよい。接着層(B)が後述する接着層(B2)を有しない場合、接着層(B1)に熱可塑性エラストマーや共重合ポリエステルを含有させてもよく、弾性体層(C)と接着層(B)との接着性を向上させることができる。
本発明における接着層(B2)は、熱可塑性エラストマーおよび共重合ポリエステルを含有する。熱可塑性エラストマーおよび共重合ポリエステルを含有することにより、接着層(B)と後述する弾性体層(C)との接着性をより向上させることができる。また、熱可塑性エラストマーを含有することにより、接着層の可撓性を向上させることができるため、印刷版の反発弾性を損ねず、印刷適性の点からも好ましい形態となる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリスチレン類重合体ブロック、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレートなどに代表されるポリエステル類重合体ブロック、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等に代表される共役ジエン化合物ブロック、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステル類重合体ブロック、ポリ(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール)等の脂肪族ポリエーテル類重合体ブロック、エチレン・プロピレン共重合ブロック、エチレン・アクリル酸共重合ブロック等のエラストマー状ブロック共重合体や、スチレンとブタジエンの単量体単位からなるスチレン・ブタジエンランダム共重合体、アクリロニトリルとブタジエンの単量体単位からなるアクリロニトリル・ブタジエンランダム共重合体、各種(メタ)アクリルモノマーのランダム共重合体等のエラストマー状ランダム共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ポリイソプレン等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。なお、ハードセグメントAとソフトセグメントBからなるブロック共重合体の構造は特に限定されず、例えば、一般式A−Bのジブロック、A−B−Aのトリブロック、(A−B)nのマルチブロック、(AB)n・Xのスター型ブロック(nは1〜10の整数)等のブロック共重合体が挙げられる。
接着層(B2)中の熱可塑性エラストマーの含有量は、弾性体層(C)との接着性、可撓性をより向上させる観点から、0.2重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。また、後述する共重合ポリエステルを十分に含有することにより耐溶剤性をより向上させる観点から、20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。
共重合ポリエステルは主にジカルボン酸残基とジオール残基から構成され、ガラス転移温度が60℃以下のもの好ましく使用される。共重合ポリエステルのガラス転移温度は30℃以下がより好ましく、20℃以下がより好ましい。
共重合ポリエステルを構成するジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、オルソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。必要により、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの多価カルボン酸を併用してもよい。
共重合ポリエステルを構成するジオールとしては、主鎖炭素数3〜10のアルキレングリコールが接着性の観点から好ましい。具体例として、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。必要により、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価ポリオールを併用してもよい。
接着層(B2)中の共重合ポリエステルの含有量は、弾性体層(C)との接着性、耐溶剤性をより向上させる観点から、50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましい。一方、(B2)の可撓性を向上させる観点から、95重量%以下が好ましく、90重量%以下がより好ましい。
本発明における接着層(B2)は、共重合ポリエステルと反応し得る硬化剤を含有してもよい。硬化剤の含有量は、共重合ポリエステル(a)/硬化剤(b)=90/10〜60/40(重量比)が好ましく、(a)/(b)=80/20〜70/30がより好ましい。(b)を10以上とすることにより、耐溶剤性を向上させることができる。また、(b)を40以下とすることにより、高い加工性を維持することができる。
前記共重合ポリエステルと反応し得る硬化剤としては、例えば、イソシアネート化合物、アルキルエーテル化アミノホルムアルデヒト樹脂、エポキシ化合物等が挙げられ、特にイソシアネート化合物が好ましい。イソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪酸のモノイソシアネート、ジイソシアネート、トリイソシアネートおよびポリイソシアネート等を挙げることができる。より具体的には、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、n−プロピルイソシアネート、n−ブチルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等のモノイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トランスビニレンジイソシアネート、N,N’(4,4’−ジメチル−3,3’−ジフェニルジイソシアネート)ウレジオン、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート等のジイソシアネート;トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアネートチオホスフェート)4,4’,4”−トリメチル−3,3’,3”−トリイソシアネート−2,4,6−トリフェニルシアヌレート、およびトリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート等のトリイソシアネート;ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等のポリイソシアネート;等を挙げることができる。また、これらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミンなどの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中で、ジイソシアネート、トリイソシアネートおよびポリイソシアネートが好適であり、更に芳香族系が好ましい。
接着層(B2)には適宜、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤を含有することができる。エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤としては、感光性樹脂層(A)において例示されたものがそれぞれ使用できる。
本発明における接着剤層(B)の厚さは、接着性をより向上させる観点から、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。一方、印刷版の弾性を適度に抑える観点からは、150μm以下が好ましく、100μm以下がさらに好ましい。接着剤層を2層以上有する場合、接着剤層(B1)、接着剤層(B2)それぞれの厚みはいずれも1〜100μmが好ましい。
本発明の感光性樹脂印刷原版は、弾性体層(C)を有する。本発明における弾性体層(C)とは、印刷版の柔軟性を担う役割を有する層であり、弾性体層(C)を設けることにより、印刷版の反発弾性が不足することによる高速印刷時のギアマークの発生等の不具合を抑制することができる。
弾性体層(C)は、製版時の裏露光に支障をきたさない紫外線透過率や、印刷特性に支障をきたさない程度の弾性特性を満たしていれば下記の具体例に限定されるものではない。弾性体層(C)を構成する好ましい材料の具体例としては、接着層(B2)において熱可塑性エラストマーとして例示したポリスチレン類重合体ブロック、ポリエステル類重合体ブロック、共役ジエン化合物ブロック、脂肪族ポリエステル類重合体ブロック、脂肪族ポリエーテル類重合体ブロック、エラストマー状ブロック共重合体、スチレン・ブタジエンランダム共重合体、アクリロニトリル・ブタジエンランダム共重合体、エラストマー状ランダム共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ポリイソプレン、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
本発明における弾性体層(C)の紫外線透過率は30%以上であることが好ましい。紫外線透過率が30%以上であれば、弾性体層(C)を通して感光性樹脂層(A)をいわゆる裏露光しフロア層を形成することが可能であり、製版時の作業効率が向上する。また、フロア層を形成することにより、感光性樹脂層(A)が厚い場合も微細な細線、独立点を再現することが可能となり、画像再現性が向上する。紫外線透過率が30%以上である材料としては、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。なお、本発明における紫外線透過率とは、365nmにおける厚さ100μm当たりの光線透過率である。
本発明における弾性体層(C)の厚みは、弾性体層(C)の強度の観点から、0.15mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましい。一方、厚み制度の観点から、6mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。
本発明の感光性樹脂印刷原版は、寸法安定性の観点から、さらに支持体(D)を有してもよい。支持体(D)を有する場合、感光性樹脂印刷原版は、感光性樹脂層(A)、接着層(B)、弾性体層(C)、支持体(D)をこの順に有することが好ましい。
支持体(D)としては、柔軟性、透明性、寸法安定性の観点から、ポリエステルなどのプラスチックシートが好ましく使用され、耐熱性、耐薬品性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと記載)のシートがより好ましい。支持体(D)の厚さは特に限定されないが、取扱性の観点から、100μm以上が好ましい。一方、感光性樹脂印刷原版の柔軟性の観点から、350μm以下が好ましく、250μm以下がより好ましい。
支持体(D)は、その表面が接着処理されていることが好ましく、弾性体層(C)との接着性を向上させることができる。支持体(D)表面の接着処理方法としては、例えば、サンドブラストなどの機械的処理、コロナ放電などの物理的処理、コーティングなどによる化学的処理などが例示できるが、コーティングにより易接着層を設けることが接着性の観点からより好ましい。支持体(D)と弾性体層(C)との接着性の観点から、前記接着層(B2)を支持体(D)または弾性体層(C)に設けることが好ましい。
本発明の感光性樹脂印刷原版は、表面保護、異物の付着防止などの観点から、さらにカバーフィルム(E)を有してもよい。カバーフィルム(E)を有する場合、感光性樹脂印刷原版は、カバーフィルム(E)、感光性樹脂層(A)、接着層(B)、弾性体層(C)、必要により支持体(D)をこの順に有することが好ましい。感光性樹脂層(A)はカバーフィルム(E)と直接接していてもよいし、例えば感光性樹脂層表面の粘着を防止する目的で設けられる粘着防止層など、感光性樹脂層(A)とカバーフィルムの間に1層または複数の層を有していてもよい。
カバーフィルム(E)の材質としては特に限定されないが、ポリエステル、ポリエチレンなどのプラスチックシートが好ましく使用される。カバーフィルム(E)の厚さは特に限定されないが、10〜150μmの範囲が取扱性、コストの観点から好ましい。また、カバーフィルム(E)は、表面粗面化されていてもよく、原画フィルムとの密着性を向上させることができる。
前記の粘着防止層の具体例としては、ポリビニルアルコール系、セルロース系、ポリアミド系、エチレンオキサイド系、高分子電解質系、ナイロン系等の樹脂から形成される層が挙げられる。粘着防止層の厚さは0.5〜5μmが好ましく、より好ましくは1〜3μmである。0.5μm以上であれば感光性樹脂層の粘着を効果的に防止しネガフィルムの真空密着に支障がない。また5μm以下であれば紫外線の透過に支障がなく、白抜深度やレリーフ形状に悪影響を及ぼさない。
本発明の感光性樹脂印刷原版は、さらにマスク層(F)を有してもよく、原画フィルムが不要となり、画像再現性に優れる利点を有する。マスク層(F)は、紫外光を実用上遮断し、描画時には赤外レーザーを効率よく吸収し、その熱により瞬間的に一部または全部が蒸発または融除するものである。これによりレーザーの照射部分と未照射部分の光学濃度に差が生じ、従来の原画フィルムと同様の機能を果たすことができる。マスク層(F)を有する場合、感光性樹脂印刷原版は、必要によりカバーフィルム(E)、マスク層(F)、感光性樹脂層(A)、接着層(B)、弾性体層(C)、必要により支持体(D)をこの順に有することが好ましい。
マスク層(F)の好ましい具体例としては、赤外線を吸収するカーボンブラックをバインダー樹脂に分散させた層を挙げることができる。バインダー樹脂としては特に限定されないが、水不溶性の熱硬化性樹脂が好ましく使用できる。ここでいう水不溶性とは、マスク層単体では水現像が不可能な疎水性の性質を有することである。マスク層が水不溶性を有することで組成物成分の高分子化により層間物質移動をさらに起こりにくくする効果やマスク層(F)表面の耐傷性を付与する効果も得られる。また、バインダー樹脂は、感熱マスク層(F)が紫外光を吸収する機能を有するので光硬化は困難あるいは不効率であるため、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、多官能イソシアネートおよび多官能エポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、尿素系樹脂、アミン系化合物、アミド系化合物、水酸基含有化合物、カルボン酸化合物、チオール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物との組み合わせが挙げられる。複数成分による硬化性の樹脂を用いる方法とは別に、単独成分で用いても硬化性のある樹脂を用いてもよい。単体で用いても硬化性のある樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、架橋性ポリエステル樹脂、架橋性ポリアミド樹脂などが挙げられる。これら樹脂を組み合わせて使用することも可能である。
これら熱硬化性樹脂の使用量はマスク層(F)中10重量%〜75重量%が好ましく、30重量%〜60重量%がより好ましい。10重量%以上であれば水不溶性を付与するに十分な架橋構造が得られ、75重量%以下であればマスク層(F)のレーザー融除が効率よく行われる。
また、赤外線吸収物質としてカーボンブラックなどの顔料を用いる場合は、その分散を行いやすくするため、可塑剤、界面活性剤や分散助剤を添加してもよい。
本発明の感光性樹脂印刷原版は、感光性樹脂層(A)とマスク層(F)の層間にさらに接着力調整層を有してもよく、(A)/(F)間の接着力を適度な範囲に調整することができる。また、マスク層(F)とカバーフィルム(E)の層間にさらに剥離補助層を有してもよく、カバーフィルム(E)の剥離をより容易にすることができる。
本発明の感光性樹脂印刷原版は、例えば、弾性体層(C)の表面に接着層(B)を形成し、さらに感光性樹脂層(A)を形成し、必要によりさらに粘着防止層を有してもよいカバーフィルム(E)を積層することにより得ることができる。また、感光性樹脂層(A)のシートを、接着層(B)を積層した弾性体層(C)と、粘着防止層を有してもよいカバーフィルム(E)で挟むように圧着してもよい。また、マスク層(F)を有する感光性樹脂印刷原版は、マスク層(F)を形成したカバーフィルム(E)を用いて上記方法で積層することにより得ることができる。さらに、接着力調整層や剥離補助層を形成してもよい。また、支持体(D)を有する感光性樹脂印刷原版は、弾性体層(C)の感光性樹脂層(A)とは反対側の面に、必要により接着層を介してさらに支持体(D)を積層する方法、もしくは予め支持体(D)を弾性体層(C)に積層しておき、弾性体層(C)の反対側の面に感光性樹脂層(A)を積層する方法により得ることができる。
弾性体層(C)の表面に接着層(B)を形成する方法としては、例えば、接着層(B)を構成する成分を溶解した塗工液を、コンマコーター、バーコーター、リバースコーター等の塗工機を用いて弾性体層(C)上に塗布・乾燥する方法が挙げられる。接着層(B)として接着層(B1)と接着層(B2)を有する場合は、弾性体層(C)上に接着層(B2)を積層した後、さらに接着層(B1)を積層することが好ましい。なお接着層(B)を積層した弾性体層(C)と感光性樹脂層(A)を積層するまでは、接着層(B)表面を保護するために保護材で被っておくことが好ましい。保護材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムが最適であるが、ポリエチレン、ポリプロピレン等の公知のポリマーフィルムも使用できる。これらフィルムは剥離力を調整するために離型剤処理されていてもよい。また、メチルペンテンコポリマーフィルム、エンボス加工ポリマーフィルム、離型紙なども使用できる。接着層(B)を弾性体層(C)上に積層した後、接着層(B)の接着性をより強固に発現させるために接着層(B)側から紫外線を照射して光重合させてもよい。
一方、感光性樹脂層(A)を形成する方法としては、例えば、親水性ポリマー、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤および必要に応じて可塑剤やその他の添加剤等を溶剤中で混合した感光性樹脂組成物溶液を、前記接着層(B)上に流延し、溶剤を除去する方法が挙げられる。
必要に応じて粘着防止層を有するカバーフィルム(E)を設ける場合、前記感光性樹脂層(A)上に貼り合わせてもよいし、感光性樹脂組成物を、接着層(B)を積層した弾性体層(C)とカバーフィルム(E)の間に配置し、熱プレス、カレンダー加工、ロールプレス加工等の方法で所望の厚みの感光性樹脂層(A)を成形してもよい。
マスク層(F)の形成方法としては、例えば、カーボンブラックを分散させたバインダー樹脂をそのまま、あるいは適当な溶剤にさせてカバーフィルム(E)に塗布し、溶剤を除去して熱キュアさせることによって形成する方法が挙げられる。
コーティングにより得られるマスク層(F)の厚さは0.5μm〜10μmであることが好ましく、0.8μm〜3μmがより好ましい。0.5μm以上であれば、表面傷が発生しにくく、また光の漏れが生じにくく、一定の高光学濃度を得ることができ、また高い塗工技術を必要としない。また、10μm以下であればマスク層(E)を融除するのに高いエネルギーが必要とされないので、コスト的に有利である。
次に、本発明の感光性樹脂印刷原版から印刷版を得る方法について説明する。まず、カバーフィルム(E)を有する場合はこれを剥離して感光性樹脂層(A)を露出させ、感光性樹脂層(A)上にネガティブまたはポジティブの原画フィルムを密着させる。または、感光性樹脂印刷原版がマスク層(F)を有する場合はカバーフィルム(E)を剥離して、レーザー描画を行う。次いで、原画フィルムまたはマスク層(F)を通して、通常300〜400nmの波長を照射できる高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、カーボンアーク灯、ケミカル灯等により紫外線照射(露光)し、感光性樹脂層(A)を光硬化させる。特に、感光性樹脂層(A)が厚い場合、微細な細線、独立点の再現性が要求される場合は、カバーフィルム(E)剥離前に感光性樹脂印刷原版の弾性体層(C)または支持体層(D)側から、所望のフロア厚となるよう裏露光することが好ましい。
次に、感光性樹脂印刷原版を現像液中に浸漬し、未硬化部分を除去する現像装置により、レリーフ像を形成する。現像装置としては、ブラシ式現像装置やスプレー式現像装置が挙げられる。本発明の感光性樹脂印刷原版は、感光性樹脂層(A)が親水性ポリマーを含有するため、水や、界面活性剤、アルカリ性化合物、アルコールなどを含有する水溶液などにより溶解または膨潤し、容易に現像することができる。界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルフォン酸ソーダ等のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。アルコール類としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコールなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。現像時の液温は15℃〜40℃が好ましい。例えば25℃の中性水を用いた場合、深度750μmのレリーフを形成するために要する現像時間は5分以下が好ましく、3分以下がより好ましい。現像時間が5分以下であれば、感光性樹脂層(A)の膨潤が小さく、印刷中のレリーフの欠けや削れを抑制することができる。
レリーフ像形成後、好ましくは50〜70℃において5〜15分程度乾燥し、必要に応じてさらに大気中ないし真空中で活性光線処理することにより印刷版を得ることができる。さらに必要に応じて250nm付近の波長を照射することに印刷版表面の粘着性を抑制することも可能である。
以下、本発明を実施例で詳細に説明する。
合成例1:部分鹸化ポリ酢酸ビニルの変性
日本酢ビ・ポバール(株)製の部分鹸化ポリ酢酸ビニル“Jポバール”(登録商標)JR−05(鹸化度70〜74モル%、数平均重合度500)をアセトン中で膨潤させ、無水コハク酸1.0モル%を添加し反応させカルボキシル基を付加させた。このポリマーをアセトン洗浄し未反応の無水コハク酸を除去後乾燥し、酸価を測定したところ酸価は10.4であった。なお、鹸化度(モル%)は、JIS K6726(1994)3.5 鹸化度に従い、水酸化ナトリウムで部分鹸化ポリ酢酸ビニル中の残存酢酸基(モル%)を定量し、100から差し引くことにより求めた。また、数平均重合度は、JIS K6726(1994)3.7 平均重合度に従い、部分鹸化ポリ酢酸ビニルを水酸化ナトリウムにより完全鹸化した後、粘度計を用いて水との相対粘度を求め、相対粘度から計算により算出した。
合成例2:ポリアミドの合成
数平均分子量600のポリエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα,ω−ジアミノポリオキシエチレンとアジピン酸との等モル塩60重量部、ε−カプロラクタム20重量部およびヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩20重量部を溶融重合して相対粘度(ポリマー1gを抱水クロラール100mlに溶解し、25℃で測定)が2.50のポリアミドを得た。
合成例3:水分散ラテックスゴム1の合成
水100重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2重量部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル3重量部、過硫酸カリウム0.3重量部、t−ドデシルメルカプタン0.2重量部、メチルメタクリレート29重量部、メタクリル酸1重量部、ブタジエン70重量部を50℃で20時間反応させ、数平均粒子径140nm、ガラス転移温度−52℃、固形分濃度50.5重量%の水分散ラテックスゴム1を得た。
合成例4:水分散ラテックスゴム2の合成
水65重量部、不均化ロジン酸カリウム1.3重量部、オレイン酸カリウム1.7重量部、アルキルスルホン酸ナトリウム1.5重量部、t−ドデシルメルカプタン0.05重量部、パラメンタンヒドロペルオキシド0.1重量部、硫酸鉄0.003重量部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩0.006重量部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.005重量部、硫酸カリウム1.2重量部、ブタジエン100重量部を使用し、重合温度5℃の低温重合により反応させた。重合転換率は約60%であった。数平均粒子径350nm、固形分濃度55重量%の水分散ラテックスゴム2を得た。
参考例1:接着剤溶液(b1)の調製
表1に示す親水性ポリマーを、表1に示す添加量に従い70℃3時間の条件で日本アルコール販売(株)製“ソルミックス”(登録商標)H−11/水=50/50(重量比)の混合溶剤に溶解させた。ただし、水分散ラテックスゴム1を使用する場合は、混合溶剤を使用することなく加熱のみ行った。続いて、表1に示す熱可塑性エラストマー、エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、界面活性剤を加え、さらに70℃で1時間混合し、固形分濃度30重量%の接着剤溶液(b1−a)、(b1−b)、(b1−c)、(b1’)を得た。
参考例2:接着剤溶液(b2)の調製
表2に示す共重合ポリエステルを70℃に加熱し2時間撹拌後、30℃まで冷却し、表2に示すエチレン性不飽和化合物、光重合開始剤を添加し、さらに1時間混合した。接着剤溶液の塗工直前に、表2に示す熱可塑性エラストマーおよび硬化剤を添加し、固形分濃度30重量%の接着剤溶液(b2−a)、(b2−b)、(b2−c)を得た。
参考例3:剥離補助層溶液の調製
“ゴーセノール”(登録商標)AL−06(鹸化度91%〜94%のポリビニルアルコール、日本合成化学工業(株)製)10重量部および“ダイレクトスカイブルー6B”(浜本染料(株)製)1重量部を水55重量部、メタノール14重量部、n−プロパノール10重量部およびn−ブタノール10重量部に溶解させ、固形分濃度11重量%の剥離補助層溶液を得た。
参考例4:マスク層溶液の調製
“MA100”(カーボンブラック、三菱化学(株)製)23重量部、“ダイヤナール”(登録商標)BR−95(アルコール不溶性のアクリル樹脂、三菱レイヨン(株)製)15重量部、可塑剤ATBC(アセチルクエン酸トリブチル、(株)ジェイ・プラス製)6重量部およびメチルイソブチルケトン30重量部をあらかじめ混合させたものを、3本ロールミルを用いて混練分散させ、カーボンブラック分散液を調製した。得られたカーボンブラック分散液に“アラルダイト”(登録商標)6071(エポキシ樹脂、旭化成エポキシ(株)製)20重量部、“ユーバン”(登録商標)2061(メラミン樹脂、三井化学(株)製)27重量部、“ライトエステル”P−1M(リン酸モノマー、共栄社化学(株)製)0.7重量部およびメチルイソブチルケトン140重量部を添加し30分間撹拌した。その後、固形分濃度が33重量%になるようにさらにメチルイソブチルケトンを添加し、マスク層溶液を得た。
参考例5:接着力調整層溶液の調製
“ゴーセノール”KL−05(鹸化度78%〜82%のポリビニルアルコール、日本合成化学工業(株)製)10重量部を水40重量部、メタノール20重量部、n−プロパノール20重量部およびn−ブタノール10重量部に溶解させ、固形分濃度10重量%の接着力調整層溶液を得た。
各実施例および比較例における感光性樹脂印刷原版等の特性は以下の方法で評価した。
(弾性体層の紫外線透過率測定)
U−3300型分光光度計((株)日立製作所製)にて波長365nmにおける光線透過率を測定し、ランベルト・ベールの法則を適用し下記式(1)より弾性体層(C)の厚さ100μm当たりの紫外線透過率T100μを求めた。
100μ=100/10(Log(100/T)*100/t)
100μ:弾性体層(C)の厚さ100μm当たりの透過率[%]
T:弾性体層(C)の光線透過率[%]
t:弾性体層(C)の厚さ[μm]
(感光性樹脂印刷原版の特性評価)
(1)接着強度
25cm×2cmの感光性樹脂印刷原版からカバーフィルム(E)を剥離し、フィリップスエレクトロニクス社製、紫外線低圧水銀ランプで3分間全面露光した。その後ブラシ式現像機を用いて25℃中性水中で3分間現像を行い、60℃で10分間乾燥後、前記の紫外線低圧水銀ランプで3分間後露光し、接着強度評価用印刷版を得た。接着強度評価用印刷版を20℃/65%RHで2日間静置した後、テンシロンを使用して100mm/分のスピードで180°剥離により、実施例1〜6および比較例2については感光性樹脂層(A)と弾性体層(C)の間を、比較例3については感光性樹脂層(A)と支持体層(D)の間を剥離し、接着強度を測定した。
(2)平面性
5.5cmφの円形の感光性樹脂印刷原版からカバーフィルム(E)を剥離し、前記(1)と同じ方法で露光、現像、乾燥、後露光を行い、平面性評価用印刷版を得た。平面性評価用印刷版をシリカゲルを入れたデシケーター中で24時間静置した後、水平な台上に置き、印刷版端部の浮き上がり量を測定し、大きいほうから2カ所の平均値を算出した。浮き上がり量の平均値は小さいほど好ましく、1mm未満であれば平面性は極めて良好、1mm以上3mm未満であれば平面性は良好、3mm以上であれば平面性は不良と判断できる。
(3)印刷適性
フィリップスエレクトロニクス社製、紫外線低圧水銀ランプを使用し、感光性樹脂印刷原版の弾性体層(C)側から裏露光した。次いで、カバーフィルム(E)を剥離後、実施例1〜5および比較例3についてはカバーフィルム(E)を剥離後、150線50%の網点とベタ部からなるネガフィルムを感光性樹脂層(A)に真空密着させ、前記の紫外線低圧水銀ランプを使用して主露光を行った。
実施例6については、カバーフィルム(E)を剥離後、赤外線に発光領域を有するファイバーレーザーを備えた外面ドラム型プレートセッター“CDI SPARK”(エスコ・グラフィックス(株)製)に、基板側がドラムに接するように装着し、150線50%の網点とベタ部からなるテストパターンをレーザー出力9W、ドラム回転数750rpmの条件で描画し、画像マスクを形成し、その後前記紫外線低圧水銀ランプを使用して主露光を行った。
なお、裏露光はレリーフ深度が600μm、主露光はGSステップガイド15段になるよう露光時間を調節した。
その後、ブラシ式現像機で25℃中性水中2分間(実施例4においては50℃で7分間)現像を行い、60℃で10分間乾燥後、前記の紫外線低圧水銀ランプで3分間後露光、殺菌灯で10分間露光し、印刷適性評価用印刷版を得た。得られた印刷適性評価用印刷版を用いて、フレキソ印刷機マークアンディ2000で100m/分のスピードで印刷し、印刷物のギアマークの有無を以下の基準で判定した。
○:ギアマークなし
×:ギアマークあり
実施例1〜3
表5に示す弾性体層(C)表面に、表5に示す接着剤溶液(b2)を、バーコーターを用いて乾燥後厚みが20μmとなるように塗布し、120℃で3分間乾燥し、接着層(B2)を形成した。ついで、(B2)表面に、表5に示す接着剤溶液(b1)を、バーコーターを用いて乾燥後厚みが10μmとなるように塗布し、120℃で3分間乾燥し、接着層(B1)を形成した。なお、弾性体層(C)の詳細を表3に示す。
水/エタノール比率=40/60(重量比)の混合溶剤に、表5に示す親水性ポリマーと可塑剤を表5の添加量に従い添加し、70℃3時間の条件で溶解させた。続いて表5に示す各種エチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、界面活性剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、染料を表5の添加量に従い加え、70℃で1時間混合し、1時間静置脱泡し感光性樹脂組成物溶液を得た。このとき感光性樹脂組成物溶液の固形分濃度が60重量%となるように調製した。ただし、親水性ポリマーとして合成例2のポリアミドを使用した場合は、感光性樹脂組成物溶液の固形分濃度は70重量%とした。なお、感光性樹脂組成物溶液を構成する各原料の詳細を表4に示す。
得られた感光性樹脂組成物溶液を弾性体層(C)に積層した接着層(B)上に流延し、65℃で3時間乾燥し、厚み900μmの感光性樹脂層(A)を形成した。得られた感光性樹脂層(A)上に、水/エタノール=50/50(重量比)の混合溶剤を塗布し、マット化された100μmのポリエステルフィルム上に鹸化度94mol%の部分鹸化ポリ酢酸ビニルを粘着防止層として有するカバーフィルム(E1)を圧着し、感光性樹脂印刷原版を得た。
実施例4
実施例1〜3と同様にして、表5に示す弾性体層(C)上に、表5に示す接着剤溶液(b2)からなる厚み20μmの接着層(B2)および表5に示す接着剤溶液(b1)からなる厚み10μmの接着層(B1)を形成した。
表5に示す親水性ポリマー、エチレン性不飽和化合物、熱可塑性エラストマー、光重合開始剤、可塑剤、重合禁止剤を表5の添加量に従い加熱混合して水分を除去し感光性樹脂組成物を得た。得られた感光性樹脂組成物を弾性体層(C)に積層した接着層(B)上に流延し、60℃で3時間乾燥し、厚み900μmの感光性樹脂層(A)を形成した。得られた感光性樹脂層(A)上に、水/エタノール=50/50(重量比)の混合溶剤を塗布し、マット化された100μmのポリエステルフィルム上に鹸化度80mol%の部分鹸化ポリ酢酸ビニルを粘着防止層として有するカバーフィルム(E2)を圧着し、感光性樹脂印刷原版を得た。
実施例5
接着層(B1)を設けない以外は実施例1と同様にして感光性樹脂印刷原版を作製した。
実施例6
厚さ100μmのポリエステルフィルム“ルミラー”(登録商標)S10(東レ(株)製)上に、合成例3により得られた剥離補助層溶液をバーコーターを用いて乾燥膜厚が0.3μmになるように塗布し、100℃で25秒間乾燥して得られた剥離補助層を形成した。このようにして得られた積層体の剥離補助層側に、合成例4により得られたマスク層溶液をバーコーターを用いて乾燥膜厚が2μmになるように塗布し、140℃で30秒間乾燥し、マスク層(F)を形成した。このようにして得られた積層体のマスク層(F)側に、合成例5により得られた接着力調整層溶液をバーコーターを用いて乾燥膜厚が1μmになるように塗布し、180℃で30秒間乾燥し、接着力調整層/マスク層/剥離補助層/ポリエステルフィルムが順次積層されたマスク層(F)つきカバーフィルム(E3)を得た。
粘着防止層を有するカバーフィルム(E1)の代わりに、上記方法で作製したマスク層(F)つきカバーフィルム(E3)を使用した他は実施例1と同様にして感光性樹脂印刷原版を作製した。
比較例1
接着層(B)を形成せず、弾性体層(C1)表面をトルエン/酢酸エチル=50/50(重量比)の混合溶媒で膨潤させた後、感光性樹脂組成物溶液を流延した他は実施例1と同様にして感光性樹脂印刷原版を作製した。
比較例2
接着剤溶液(b1−a)にかえて親水性ポリマーを含有しない接着剤溶液(b1’)を使用した他は実施例1と同様にして感光性樹脂印刷原版を作製した。
比較例3
弾性体層(C)にかえて厚み190μmのPETを支持体(D)としてこの上に接着層(B)を形成し、感光性樹脂層(A)の厚みを1480μmに変更した他は実施例1と同様にして感光性樹脂印刷原版を作製した。
得られた感光性樹脂印刷原版の特性を評価した結果を表6に示す。実施例1〜6の感光性樹脂印刷原版から得られた印刷版はいずれも接着強度が高く、平面性および印刷適性に優れていた。一方、比較例1および2は感光性樹脂層(A)と弾性体層(C)の接着強度が低く両層の間で剥がれが発生したため、印刷評価を行うことができなかった。また、弾性体層(C)を有しない比較例3は印刷版の平面性が不足していること、印刷適性が十分でないことがわかった。なお、ギアマーク以外に印刷適性を判断する指標とされる印刷版の硬度に由来する網点径の太りやベタ部の濃度の不具合については、実施例1〜6、比較例3はいずれも発生せず、ほとんど差異は見られなかった。
Figure 2012173368
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Claims (5)

  1. 少なくとも感光性樹脂層(A)、接着層(B)および弾性体層(C)をこの順に有し、前記感光性樹脂層(A)が親水性ポリマーを含有し、かつ、前記接着層(B)が親水性ポリマーを含有する接着層(B1)を有することを特徴とする感光性樹脂印刷原版。
  2. 前記接着層(B)が、さらに熱可塑性エラストマーおよび共重合ポリエステルを含有する接着層(B2)を有することを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂印刷原版。
  3. 前記感光性樹脂層(A)に含有される親水性ポリマーが、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、ポリアミドまたは水分散性ラテックスを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の感光性樹脂印刷原版。
  4. 前記弾性体層(C)の紫外線透過率が30%以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の感光性樹脂印刷原版。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の感光性樹脂印刷原版を露光および現像して得られる印刷版。
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