JP4537942B2 - 信号多重化装置及び多重信号分離装置及びこれらの方法 - Google Patents
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AD変換については、従来からアナログ信号を一定値に保持して、振幅方向の分解能を例えば8bit若しくは16bit程度確保する逐次比較型AD変換器が良く用いられていた。この方法でAD変換を行うと、信号の振幅の精度を得ようとすると多bit化が前提になり、そのディジタル化した信号を伝送するためには、少なくとも多bitに対応した複数の信号線を必要とする課題があった。また、振幅方向の精度を高めるためには、アナログ信号を一定時間の間、一定値に保持する必要があり、その結果、変換に時間がかかり変換速度が遅く、、また回路規模が大きくなる課題があった。
特に多数の信号をAD変換する場合、例えば、多数のマイクロホンそれぞれについて逐次比較型AD変換器でディジタル信号に変換するのは、回路規模が大きく、非常にコストの高いものになる課題があった。
パケット受信手段18Bは、そのパケット化されたマイクロホンの信号を受信し、パケット信号内の識別信号に応じて、識別信号に対応した復号化手段181A〜181Nにマイクロホンの信号を供給する。復号化手段181A〜181Nは、図14で説明済みの動作を行いアナログ信号に復号化し、復号化手段181A〜181Nそれぞれに接続されたスピーカーシステム7A〜7Nで音響信号に変換されて出力される。
このように従来においては、パケット多重化、時分割多重化のいずれでも各チャネル信号を一箇所に集約しているため、多重化装置と各信号線間の配線が複雑になっていた。多重分離においても同様であった。
更に、この発明の多重信号分離装置は、時分割多重化され、共通信号線に出力されたディジタル信号をオーバーサンプリングの1周期ごとに保持する複数の保持信号を生成する制御部と、その保持された信号をアナログ信号として復号する複数の素子とからなる。
[第1の実施の形態]
[実施例1]
図1にこの発明による信号多重化装置の実施例1を示す。観測信号Sをオーバーサンプル低振幅分解能符号化でディジタル信号化する複数の素子10a〜10nのA/D変換出力が、共通信号線11にそれぞれ接続されている。複数の素子10a〜10nをそれぞれ活性化させるサンプリングクロック12と、素子の出力である観測信号のA/D変換結果を、共通信号線11に時分割で出力させるゲート信号13a〜13nが制御部100から供給されている。
このマスタークロック33の1周期分ずつシフトされたn段シフトレジスタ103の各段の出力信号と、マスタークロック33との論理積で各素子のゲート信号が生成される。素子10aのゲート信号13aは、ANDゲート104aによってマスタークロック33のクロック1のタイミングに発生する。素子10bのゲート信号13bは、ANDゲート104bによってマスタークロック33のクロック2のタイミングに発生する。
このようにこの発明の信号多重化装置によれば、複数の素子に個別の識別信号を付する事も無く、最小の信号線で、且つ高速な信号の伝送を行うことが可能になる。また、この共通信号線11上の時分割多重信号には、同期信号が含まれていない。
[実施例2]
制御部として素子ごとに素子制御部を設け、素子を制御する配線数も減らした実施例2を図4に示す。各素子10a,10b,10c,10dごとに素子制御部40a,40b,40c,40dが設けられ、各素子10a〜10dには、各素子制御部40a〜40dからサンプリングクロック12a〜12dが供給されている。各素子制御部40a〜40dは前段の素子制御部からの逐次接続線41a〜41cによって芋づる式に順次接続されている。初段の素子10aの素子制御部40aには、初期指示生成部42が接続されている。初期指示生成部42及び各素子制御部40a〜40dには、マスタークロック線LMCからそれぞれマスタークロック33が供給されている。各素子10a〜10dの出力は、各素子制御部40a〜40dを介して共通信号線11に接続されている。図3は、素子が4個の例を示しているが、同じ接続関係でn個接続することが可能である。
各素子制御部40a〜40d内のTFF2段で構成された分周回路51a〜51dは、マスタークロック33の周波数をT端子に入力されるクロック信号の立下りで分周し、各素子へ供給するサンプリングクロック12a〜12dを生成する。素子10aと素子10bのサンプリングクロック12a,12bと、素子10cと素子10dのサンプリングクロック12c,12dの位相は180°異なっている。つまり、それぞれ同一の構成の分周回路を構成する最後のTFFの異なる極性の出力がサンプリングクロックとされている。素子10a,10bのサンプリングクロックがTFFのQ ̄、素子10c,10dのサンプリングクロックがTFFのQ端子から取られている。したがって、リセット信号50による初期化後は、最初に素子10aと10bがサンプリングされ、次に素子10cと10dがサンプリングされる。デューティ50%の信号であるサンプリングクロックによって交互に素子10a,10bと、素子10b,10cが活性化される。
その初期化指示パルスは、ゲート信号生成部42aを構成するDFFのD端子に入力され、マスタークロック33の半周期分遅らされたDFF52aのQ出力とマスタークロック33との論理積を取るアンドゲートG52aによって、ゲート信号1となる。ゲート信号1は、素子10aのディジタル出力信号の共通信号線11への接続を制御するゲート素子53aのコントロール端子に接続されている。
逐次接続線41aによって、供給される出力指示信号は、素子制御部40bのゲート信号生成部52bを構成するDFF52bのD端子に入力される。DFF52bのQ出力は、マスタークロック33のクロック2の立ち上がりで“1”(論理レベル1)になり、次のクロック3の立ち上がりのタイミングで“0”に変化する。つまり、素子制御部40aからの出力指示信号がマスタークロック33の1クロック分遅れた信号となる。マスタークロック33の1クロック分遅れたDFF52bのQ出力とマスタークロック33との論理積を取るアンドゲートG52bによって、ゲート信号2が生成される。ゲート信号2は、素子10bのゲート素子53bのコントロール端子に接続されている。
素子制御部40dは、マスタークロック33のクロック4の立ち上がりからクロック5の立ち上がりまで“1”となる出力指示信号を生成し、マスタークロック33のクロック4のタイミングで“1”となるゲート信号4を生成する。
図5は、素子が4個しかない例であるので、4段目の素子制御部30dからの出力指示信号は、開放されているが、上記した関係で以降n個の素子及びn個の素子制御部を接続することが可能である。その場合、マスタークロック33の周波数をサンプリングクロックの周波数の少なくともn倍にすれば良い。
なお、この実施例2の最後の素子制御部40dからの逐次接続線41dが無い形で説明を行ったが、図4に破線で示すように素子制御部40dからの逐次接続線41dを初段の素子制御部40aに接続しても良い。このように素子制御部を逐次接続線で円環状に接続することも可能である。その場合、初期指示生成部42が簡単なスイッチに置き換え可能である。図4に破線で示すスイッチ44を一定時間(短い時間でよい)オンさせて素子制御部40aにゲート信号を発生させると、後は、逐次接続線41a〜41dを介して順次、各素子制御部が上記した動作を行う。
[実施例3]
更に素子を制御する配線を減らした実施例3を図7に示す。図7は実施例2で示した各素子制御部内に設けられた分周回路を固有値カウンタに置き換えた素子制御部70a〜70dとすることで、各素子制御部間を芋づる式に接続する逐次接続線を無くしたものである。その部分が異なるだけで他の構成は全く同じであるので、図7の説明は省略し、図7を具体的に構成した一例を示す図8について説明する。
固有値カウンタ80a〜80dの構成は、単純な2bit(この例では素子が4個なので22bitである)のバイナリーカウンターで構成され、各カウンタがそれぞれの固有値でキャリーを発生させるようにデコーダ81a〜81dを有している。図9にその動作タイムチャートを示す。素子制御部40aの固有値カウンタ80aに設けられたデコーダ81aは、ANDゲートで構成され固有値カウンタのカウント値が0の期間“1”となるパルスを発生させ、ゲート信号生成部52aに供給する。
この各固有値カウンタ80a〜80dが生成するパルスは、実施例2で示した逐次接続線41a〜41cによって次段の素子制御部へのゲート信号生成のタイミングを指示する信号と同じものである。
このように各素子制御部内に固有値カウンタを設けることで、実施例2で示した逐次接続線も無くすことが可能になる。この結果、共通信号線11とリセット信号線LRとマスタークロック線LMCの3本の配線だけで、n個の素子の信号を時分割多重伝送することができる。この例では、素子を4個の例で説明したが、素子の数を増やしても固有値カウンタ80a〜80dのカウント値を増やすだけの変更で、この発明を実施することが出来る。
[第2の実施の形態]
[実施例1]
図10にこの発明による多重信号分離装置を示す。観測信号をオーバーサンプル低振幅分解能符号化でディジタル信号化した複数の信号が伝送される共通信号線11に、ディジタル信号をアナログ信号に復号するn個の素子60a〜60nが接続されている。各素子には、制御部200から共通信号線11上に多重化されたディジタル信号をオーバーサンプリングの1周期ごとに保持するための保持信号20a〜20nが、それぞれ供給されている。
復号手段112については、背景技術で説明した図14と同じものであるので、説明を省略する。このように素子60aを構成することで、オーバーサンプリング周波数の周期でディジタル化された例えば音波を再生することが可能である。
このマスタークロック33の1周期分ずつシフトされたn段シフトレジスタ203の各段の出力信号とマスタークロック33との論理積で各素子の保持信号が生成される。素子60aの保持信号は、ANDゲート204aによってマスタークロック33のクロック1のタイミングに発生する。保持素子111はDFF等で構成されるラッチ回路であり、例えば保持信号が“1”の時に読み込み“0”に変化する瞬間の共通信号線11上の信号を保持するものである。素子10bのゲート信号は、ANDゲート204bによってマスタークロック33のクロック2のタイミングに発生する。
[実施例2]
制御部を素子ごとに設けられる素子制御部とし、配線数も減らした実施例2を図12(作図上の都合により図12−1と図12−2に分かれているが、本来1個の物である)に示す。各素子60a,60b,60c,60dごとに素子制御部120a,120b,120c,120dが設けられ、各素子60a〜60dには、各素子制御部内に設けられた保持素子111a〜111dで保持された信号が、供給されている。実施例2では、111a〜111dを各素子制御部内に組み込んだ構成としている。動作は、信号多重化装置の実施例2で説明した図5の動作とほぼ同じである。
図12の多重分離装置の動作タイムチャートを図13に示す。素子制御部120a内の保持信号20aは、マスタークロック33のクロック1のタイミングで発生する。素子制御部120bが生成する保持信号20bは、マスタークロック33のクロック2のタイミングで発生する。以下同様に、素子60cの保持信号20cはクロック3、素子60dの保持信号はクロック4のタイミングで発生され、以降繰り返される。
例えば、信号多重化装置の実施例3を応用した例を図14に示す。図14は、部屋の窓等に取り付けられるカーテン140にこの発明による信号多重化装置を組み込んだ例を示す。カーテンレール141に掛けられたカーテン140の表面全体にマイクロホンからなる素子10a〜10nが多数分散配置されていて、それらの素子間が共通信号線11で結ばれている。共通信号線11に沿って破線で示すその他の制御線142が配線されている。その他の制御線142は、例えば各素子に電源を供給する電源線と、初期化する為のリセット信号と、マスタークロックからなる。
[実施例3]
多重信号分離装置も実施例2に示した逐次接続線を無くすことが可能である。逐次接続線を無くした実施例3を図19(作図上の都合により図19−1と図19−2に分かれているが、本来1個の物である)に示す。上記した多重信号分離装置の実施例2(図12)の各素子制御部内に、信号多重化装置の実施例3(図8)で示したものと同じように、固有値カウンタ80a〜80dを設けたものである。参照符号を同一とし動作説明は省略する。このように多重信号分離装置においても実施例2に示した各素子制御部内の分周回路を、固有値カウンタに置き換えることで、逐次接続線が必要でなくなる。
以上述べたような構成において、オーバーサンプル低振幅分解能符号化によってディジタル化された信号が時分割多重化されて伝送される共通信号線上のディジタル信号を、オーバーサンプリングの1周期ごとに保持する過程により共通信号線上の信号を分離する多重信号分離方法が実現できる。
以上、この発明による信号多重化装置と多重信号分離装置を、マイクロホンとスピーカーとからなる素子の例で説明を行って来たが、この発明は、これに限定されない。図15に示すように他のセンサを用いることも可能である。
図15(b)はマイクロホンの替りに加速度センサ151を用いた素子を示している。ロボット等には、多数の3軸の加速度センサが用いられる。そのような複数の情報を多数伝送する場合には、共通信号線を増やすことで対応可能である。単純に共通信号線の数を増やすことで、例えばロボット等の制御にこの発明を応用することもできる。
以上のようにこの発明の信号多重化装置及び多重信号分離装置によれば、伝送系の信号線をオーバーサンプル低振幅符号化ディジタル信号の少ない信号線(1〜数bitの共通信号線)だけで形成でき、個々の伝送信号に識別信号を必要としない、低コストで高速な時分割多重伝送が実現できる。
また、この発明の信号多重化装置の実施例1〜3と、多重信号分離装置の実施例1〜3とは、相互に独立した関係で組み合わせることが可能であり、どのように組み合わせてもこの発明の特徴である、構成が簡単で、伝送系の信号線の数が最小で、また高速である効果を得ることが出来る。
Claims (6)
- 減算器とアナログ積分器と量子化器とで構成されるオーバーサンプル低振幅分解能符号化によって観測信号をディジタル信号とする複数の素子と、
上記複数の素子のディジタル観測信号を伝達する共通信号線と、
上記共通信号線に上記複数の素子のディジタル観測信号を時分割で出力させる制御部と、
から構成され、
上記制御部は、素子ごとに設けられた素子制御部として構成され、各素子制御部は、前段に接続された逐次接続線からの出力指示信号に応答して上記複数素子よりのディジタル信号を上記共通信号線に出力すると共に、次段の素子に対し、出力指示信号を逐次接続線に送出するものであり、
初段の素子制御部は上記オーバーサンプル低振幅分解能符号化のオーバーサンプリングの1周期ごとに出力指示信号を生成するものであることを特徴とする信号多重化装置。 - 請求項1に記載の信号多重化装置において、
上記制御部は素子ごとに設けられた素子制御部として構成され、各素子制御部は、
上記素子ごとに固有の識別番号の指示する時間を生成し、その時間に、当該ディジタル信号をそれぞれ上記共通信号線に出力するものであることを特徴とする信号多重化装置。 - 観測信号を減算器とアナログ積分器と量子化器とで構成されるオーバーサンプル低振幅分解能符号化でディジタル信号化した複数の信号が時分割多重化されて伝送される共通信号線と、
上記共通信号線上のディジタル信号を上記オーバーサンプル低振幅分解能符号化のオーバーサンプリングの1周期ごとに保持する保持信号を生成する制御部と、
その保持された信号をアナログ信号として復号する複数の素子と、
を備え、
上記制御部は素子ごとに設けられた素子制御部として構成され、各素子制御部は、前段に接続された逐次接続線からの保持指示信号に応答して上記共通信号線上の信号を保持するものであり、
初段の素子制御部は上記オーバーサンプリングの1周期ごとに保持指示信号を生成するものであることを特徴とする多重信号分離装置。 - 請求項3に記載の多重信号分離装置において、
上記制御部は素子ごとに設けられた素子制御部として構成され、各素子制御部は、上記素子ごとに固有の識別番号の指示する時間を生成し、その時間に、上記共通信号線上の信号を保持するものであることを特徴とする多重信号分離装置。 - 減算器とアナログ積分器と量子化器とで構成されるオーバーサンプル低振幅分解能符号
化によって観測信号をディジタル信号とする複数の素子と、
上記複数の素子のディジタル観測信号を伝達する共通信号線と、
上記共通信号線に上記複数の素子のディジタル観測信号を時分割で出力させる制御部と、
を備える信号多重化方法であって、
上記複数の素子が、減算器とアナログ積分器と量子化器とによオーバーサンプル低振幅分解能符号化によって観測信号をディジタル信号とする過程と、
上記制御部は、素子ごとに設けられた素子制御部として構成され、その初段の素子制御部が、上記オーバーサンプル低振幅分解能符号化のオーバーサンプリングの1周期ごとに出力指示信号を生成し、上記初段の素子制御部以外の各素子制御部が、前段に接続された逐次接続線からの出力指示信号に応答して上記複数素子よりのディジタル信号を上記共通信号線に出力すると共に、次段の素子に対し、出力指示信号を逐次接続線に送出する過程と、
により信号を多重化する信号多重化方法。 - 観測信号を減算器とアナログ積分器と量子化器とで構成されるオーバーサンプル低振幅分解能符号化でディジタル信号化した複数の信号が時分割多重化されて伝送される共通信号線と、
上記共通信号線上のディジタル信号を上記オーバーサンプル低振幅分解能符号化のオーバーサンプリングの1周期ごとに保持する保持信号を生成する制御部と、
その保持された信号をアナログ信号として復号する複数の素子と、
を備える多重信号分離方法であって、
上記制御部は素子ごとに設けられた素子制御部として構成され、その初段の素子制御部が、上記オーバーサンプリングの1周期ごとに出力指示信号を生成し、上記初段の素子制御部以外の各素子制御部が、前段に接続された逐次接続線からの保持指示信号に応答して 上記共通信号線上の信号を保持する過程により上記共通信号線上の信号を分離する多重信号分離方法。
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