JP4535940B2 - ゴムストリップ積層成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴムストリップ材をコアドラムに螺旋状に巻き付けて積層成形部材を成形する方法に関する。
このゴムストリップ積層成形方法としては、ゴムストリップ材をタイヤ成形ドラムに巻き付けてタイヤ構成部材を直接成形する方法が既に種々提案されている。
タイヤ成形ドラムに螺旋状に巻き付けられたゴムストリップ材は、その回転軸方向にずれて重ね合わされることで段差部が生じ、ここが開き易いので、通常この段差部をステッチャローラによって押圧することで、段差部が開かないように貼着するとともに段差を潰して滑らかにしている。
さらに、製品タイヤにベアやクラックなどの発生を防止するために、この磨潰しローラを、回転駆動させ、その回転方向をドラムの回転方向と0〜30度の角度に設定することで、段差部を効率良く磨り潰そうとする方法が、同じ出願人の出願に係る特許文献1に開示されている。
国際公開WO2002/078939
しかるに、同特許文献1の記載のように、磨潰しローラの回転方向をドラムの回転方向と0〜30度の角度にして回転駆動すると、ゴムストリップ材の段差部をその巻き付け方向に対し30度未満の鋭角方向に磨り潰すことになり、磨り潰し効果が十分ではない。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、コアドラムに螺旋状に巻き付けられたゴムストリップ材の段差部を十分効果的に磨り潰して積層成形部材の品質の向上を図ることができるゴムストリップ積層成形方法を供する点にある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、押出機から押出されたゴムストリップ材を回転するコアドラムに部分的に重ねながら螺旋状に巻き付けて積層成形部材を成形するゴムストリップ積層成形方法において、ゴムストリップ材が部分的に重ねられてできる段差部を自ら回転駆動して磨り潰し貼着する磨潰しローラを備え、前記磨潰しローラが磨り潰す段差部における前記コアドラムの回転に伴うドラム周速度ベクトルと前記磨潰しローラの回転に伴うローラ周速度ベクトルとの合成速度ベクトルが、前記ゴムストリップ材の巻き付け方向に対して略直角方向で先に巻き付けられたゴムストリップ材側に指向するように前記磨潰しローラの向きと回転速度が設定されるゴムストリップ積層成形方法とした。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のゴムストリップ積層成形方法において、前記磨潰しローラは、回転するコアドラムにゴムストリップ材を巻き付けた下流側に配置され、巻き付けた直後の段差部を磨り潰し貼着することを特徴とする。
請求項1記載のゴムストリップ積層成形方法によれば、磨潰しローラが磨り潰す段差部におけるドラム周速度ベクトルとローラ周速度ベクトルとの合成速度ベクトルが、ゴムストリップ材の巻き付け方向に対して略直角方向で先に巻き付けられたゴムストリップ材側に指向するように前記磨潰しローラの向きと回転速度が設定されるので、コアドラムに螺旋状に巻き付けられたゴムストリップ材の段差部を構成するゴムストリップ材の側縁が指向する方向と直角の方向、すなわち最も効果的に段差部を貼着し残留エアを排出することができる方向に段差部を磨り潰すことができる。
請求項2記載のゴムストリップ積層成形方法によれば、磨潰しローラは、回転するコアドラムにゴムストリップ材を巻き付けた下流側に配置され、巻き付けた直後の段差部を磨り潰し貼着するので、ゴムストリップ材の巻き付けによる積層と略同時に磨り潰しによる貼着を行って積層成形部材を効率的に成形することができる。
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図5に基づいて説明する。
本実施の形態は、タイヤ構成部材を成形する方法であり、図1は、タイヤ構成部材成型機10の模式図であり、特にタイヤの外周面を構成するトレッド部材2を成形している状態を斜視図で示しており、図2は、同側面図である。
モータによって駆動される回転駆動機構11の出力回転軸11aに一体に支持されて回転する支持体である剛体コアドラム12の外周面12aに、ゴムストリップ材1を螺旋状に巻き付けてトレッド部材2を成形する。
剛体コアドラム12に対向してゴムストリップ材1を押出し成形する押出機15が支持台14に支持されて設けられている。
支持台14は、移動機構13により図1に矢印で示すように、押出機15をX方向およびY方向に移動するとともに、θ方向に回動することができるように支持している。
押出機15の先端の口金16の押出し方向に一対のローラ17,18が、押出機15と一体に取り付けられており、押出機15の口金16より成形されて押出されたゴムストリップ材1を一対のローラ17,18が挟んで剛体コアドラム12に導くとともに、一方のローラ17は圧延ローラであって剛体コアドラム12にゴムストリップ材1を押し付けて圧延し貼り付ける役割を果たす。
すなわち、回転駆動機構11は、モータにより剛体コアドラム12を所定回転速度で回転し、回転する剛体コアドラム12の外周面12aに押出機15の対向する口金16から押出されたゴムストリップ材1がローラ17によって貼り付けられ、その際、移動機構13により押出機15およびローラ17を主にY方向に徐々に移動することで、ゴムストリップ材1は剛体コアドラム12の外周面12aに部分的に重なるようにして螺旋状に巻き付けられていき、円筒状ゴム部材であるトレッド部材2が成形されていく。
そして、剛体コアドラム12の外周面にローラ17により貼り付けられたゴムストリップ材1は、さらに下流側に位置した磨潰しローラ20によって、特に重ね合わされることにより生じる段差部1dが磨り潰されて表面を均すとともに互いの重ね合わせ部の接合を強化して製品としての使用時にクラックが生じないように貼着する。
磨潰しローラ20の外周面は、ゴムストリップ材1の段差部1dの磨り潰しを効果的に行うべくローレット加工が施されている。
なお、磨潰しローラ20の外周面は、ローレット加工に限らずゴムの段差部を磨り潰す効果のある凹凸が形成されていればよい。
この磨潰しローラ20は、図3に示すように、ギヤボックス21から延出する一対のアーム22,22の端部間に架設された回転軸23に回転自在に支持され、磨潰しローラ20の側面には被動プーリ29が一体に設けられている。
ギヤボックス21内には、ウオームギヤ機構26が収められており、モータ25の駆動軸に嵌着されたウオーム26aにウオームホイール26bが噛み合い、ウオームホイール26bと一体同軸の駆動プーリ27と前記被動プーリ29間にベルト28が架渡されている。
したがって、モータ25の駆動で、減速されてベルト28を介して磨潰しローラ20が回転する。
なお、磨潰しローラ20を回転させる機構は、他に種々考えられる。
ギヤボックス21は、モータ25のモータケース25aに支持されており、モータケース25a自体はホルダ30に回動自在に設けられている。
ホルダ30内の回動機構によりモータケース25aとともにギヤボックス21および磨潰しローラ20が一体となって回動する。
したがって、磨潰しローラ20の向きを制御することができる。
この磨潰しローラ20の向きとモータ25の駆動による回転速度は、コンピュータによる制御装置により制御されるようになっている。
磨潰しローラ20は、剛体コアドラム12の外周面にローラ17により貼り付けられたゴムストリップ材1の貼り付け位置より幾らか下流側の側縁部が形成する段差部1dに接して位置し、剛体コアドラム12と相対的に向きを異にしている。
すなわち、磨潰しローラ20は、その回転軸23の中心軸Crが剛体コアドラム12の回転中心軸Cdに対して角度をもって傾いている(図5参照)。
図4は、剛体コアドラム12に螺旋状に巻き付けられたゴムストリップ材1の要部断面と磨潰しローラ20の位置関係を示す図であり、その平面図を図5に示す。
ただし、図5では磨潰しローラ20を2点鎖線で示している。
図5において、剛体コアドラム12に螺旋状に巻き付けられたゴムストリップ材1の段差部1dにおける磨潰しローラ20が接する点をPとし、点Pにおける剛体コアドラム12の回転に伴うドラム周速度ベクトルをVdとし、同点Pにおける磨潰しローラ20の回転に伴うローラ周速度ベクトルをVrとする。
図5に示すように、ドラム周速度ベクトルVdに対してローラ周速度ベクトルVrがなす角度αは、鈍角を示し、ドラム周速度ベクトルVdとローラ周速度ベクトルVrの合成ベクトルVが、ゴムストリップ材材の巻き付け方向(略ドラム周速度ベクトルVdが指向する方向)に対して略直角方向で先に巻き付けられたゴムストリップ材側に指向するように、磨潰しローラ20の向き(角度α)と回転速度が設定され制御される。
すると、剛体コアドラム12に巻き付けられたゴムストリップ材1の段差部1dの接点Pにおけるゴムが、巻き付け方向と直角の合成ベクトルVの指向する方向すなわち段差部1dを構成するゴムストリップ材1の側縁が指向する方向と直角の方向に磨り潰され、表面が滑らかになる(図4参照)。
段差部を磨り潰す場合に、ゴムストリップ材1の側縁が指向する方向と直角の方向が、段差部を確実に貼着し残留エアを排出することができる最も効果的な方向である。
したがって、剛体コアドラム12に螺旋状に巻き付けられたゴムストリップ材1の段差部を十分効果的に磨り潰してベアやクラックの生じないトレッド部材2を成形でき、積層成形部材の品質の向上を図ることができる。
剛体コアドラム12に対するゴムストリップ材1の貼り付け場所によってドラム周速度ベクトルVdは、変化し、それに伴って磨潰しローラ20の向き(角度α)と回転速度を制御してローラ周速度ベクトルVrを調整し、常に合成ベクトルVがゴムストリップ材の巻き付け方向に対して略直角方向となるようにすることができる。
磨潰しローラ20の向き(角度α)と回転速度の制御は、一方を固定して他方を制御して対応することができる。
すなわち、磨潰しローラ20の向き(角度α)を一定にして磨潰しローラ20の回転速度のみを制御するか、逆に磨潰しローラ20の回転速度を一定にして磨潰しローラ20の向き(角度α)のみを制御することで対応することができる。
本実施の形態では、トレッド部材2を成形したが、その他サイドウオールなどのタイヤ構成部材、さらには種々のゴム円環部材を精度良く成形することができる。
本発明の一実施の形態に係るタイヤ構成部材成型機の模式図である。 同側面図である。 磨潰しローラの駆動機構を示す部分斜視図である。 剛体コアドラムに螺旋状に巻き付けられたゴムストリップ材の要部断面と磨潰しローラの位置関係を示す図である。 磨潰しローラを仮想線で示した同平面図である。
符号の説明
1…ゴムストリップ材、2…トレッド部材、
10…生タイヤ成型機、11…回転駆動機構、12…剛体コアドラム、13…移動機構、14…支持台、15…押出機、16…口金、17,18…ローラ、
20…磨潰しローラ、21…ギヤボックス、22…アーム、23…回転軸、25…モータ、26…ウオームギヤ機構、27…駆動プーリ、28…ベルト、29…被動プーリ。

Claims (2)

  1. 押出機から押出されたゴムストリップ材を回転するコアドラムに部分的に重ねながら螺旋状に巻き付けて積層成形部材を成形するゴムストリップ積層成形方法において、
    ゴムストリップ材が部分的に重ねられてできる段差部を自ら回転駆動して磨り潰し貼着する磨潰しローラを備え、
    前記磨潰しローラが磨り潰す段差部における前記コアドラムの回転に伴うドラム周速度ベクトルと前記磨潰しローラの回転に伴うローラ周速度ベクトルとの合成速度ベクトルが、前記ゴムストリップ材の巻き付け方向に対して略直角方向で先に巻き付けられたゴムストリップ材側に指向するように前記磨潰しローラの向きと回転速度が設定されることを特徴とするゴムストリップ積層成形方法。
  2. 前記磨潰しローラは、回転するコアドラムにゴムストリップ材を巻き付けた下流側に配置され、巻き付けた直後の段差部を磨り潰し貼着することを特徴とする請求項1記載のゴムストリップ積層成形方法。
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