JP4535480B2 - 地下埋設構造物の撤去方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、マンホール等地下埋設構造物の解体、撤去を行うための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
送電や通信等における電線、ケーブル等は、近年、ガス、水道、下水等の管路と同様に地下に埋設されることが多くなっている。このようなケーブル類の地中化では、ケーブル類の中継や分岐、建物や構内の引き込み、或いは点検、補修等の必要から、地中経路の必要個所にマンホールを施設している。このマンホールは、一般に、図3に示すように、地下の所要深さに埋設されるコンクリート製のボックス1の上部に、地上と連絡する通路筒2を設けた構造となっており、その前後両端には、ケーブル類を通す埋設管3の端部が接続される。
【0003】
ところで、都市等の開発、整備事業によって、ケーブル類等の既設の地中経路を変更して他所に新たに設置することが多くなっている。こうした場合、廃止される既設の地中経路は地中から掘り出して撤去され、地中経路中のマンホール等の地下埋設構造物も撤去されることになる。既設のマンホールを撤去するには、従来、図3に示すように、マンホールAを囲んで矢板壁5を打設し、マンホールAの周囲の地盤を掘削、除去してマンホールAの全体を露出させた後、マンホールAを破壊して撤去し、撤去後の孔6に土砂を埋め戻すようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記地中経路は一般の道路に沿ってその地下に施設されることが多く、そのような地中経路中のマンホールの撤去工事には多大な手間と期日を要するばかりでなく、工事のため交通の規制や遮断をする必要があるとともに、工事を中断する夜間等には覆工を設置するので、多額の費用を要している。
【0005】
特に、市街地においては、例えば図4に示すように、地中経路のマンホールAに近接して下水管7や水道管8、ガス管9等が埋設されていることが多く、そのような場合は、工事によって他の隣接埋設物の損害を防ぐため、それら埋設場所より離れた位置に矢板壁5を打設して広い掘削孔を手堀り等により形成してマンホールA及び隣接埋設物7,8,9を露出させる。また、マンホールAの破壊、撤去作業も、他の埋設物7,8,9を傷つけないよう細心の注意を払いながら行わねばならず、したがって、より多額の費用がかかることになる。
【0006】
本発明は、かかる状況にかんがみなされたもので、矢板壁を打設して大きな掘削孔を形成することなく、また、隣接する他の埋設物を露出せず、それらに損傷を与えることなしに、マンホールの撤去を行うことができる、新規な地下埋設構造物の撤去方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の方法は、土止めの矢板壁を打設せずに既設地下構造物の強度を保持しながら躯体(ボックス)内部よりこれをブロック状に切断し、地山の土圧、水圧とのバランスを図りながら、流動化処理土を躯体内に充填し、切断した各部材を撤去するものである。構造物切断にあたっての構造物の強度保持としては、対向する両側壁部間及びまたは対向する両端壁部間に支保工を設置する。また、流動化処理土は、主として建設発生土を利用し、これと早結、急結系のモルタル及び水を混合したもので、高い流動性を有するとともに、遮水性に優れ、通常の地盤以上の強度が得られる。したがって、工事中の遮水材、耐圧材、埋め戻し材として好適である。
【0008】
本発明の構成を添付の図面を参照して説明すると、請求項1の方法は、地下に埋設された構造物Aの躯体(ボックス1)内に支保工12を設置し、該構造物Aを搬出可能な大きなブロック状に切断するとともに、構造物Aの上部地盤を除去して構造物Aの上部を露出させた後、ボックス1内に流動化処理土16を充填しながら支保工12を撤去するとともに、ボックス1の切断した各ブロックを搬出することを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2の方法は、請求項1記載の方法において、露出された構造物A上の地面に覆工18を設置して施工することを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施態様を示した工程図、図2は同他の実施態様を示した工程図である。
【0011】
撤去するマンホールAは、図3、図4及び図1(イ)に示すように、一般にコンクリート製のボックス1に通路筒2を設けた構造となっており、通路筒2の上端を地上面に臨ませ、基礎コンクリート10に支持させて地中に埋設されている。マンホールAの内部には多数の電線、ケーブル等が配置、支持されているが、それらは図示を省略している。本発明の工法では、従来工法のような、矢板壁を打設し、地盤を掘削してマンホールを露出させるまでの工程を削除して、マンホールAの解体、撤去を行うようにする。
【0012】
本発明の第一の実施形態について説明すると、図1(イ)のような地中に埋設されているマンホールAに対し、図1(ロ)のように、通路筒2の蓋11(図1(イ)参照)を除いて作業員がマンホール内に入り、マンホール内に設置されたケーブル類等を撤去した後、マンホールAのボックス1の両側壁部1a、1a間に支保工12,12を適宜な上下位置等に設置する。なお、マンホールAの両端壁部1b,1b間にも必要に応じて支保工12を設置する。そして、ボックス1内部より、カッターやウォータージェットを使用して、通路筒2と天井スラブ1cと接続部に切断部aを設けるとともに、天井スラブ1cと側壁部1a及び端壁部1bの接続部に切断部bを設け、また、床スラブ1dと側壁部及び端壁部1bの接続部に切断部cを設ける。さらに、側壁部1a及び端壁部1bにも上下にわたる切断部dを設け、側壁部1a及び端壁部1bをそれぞれ搬出可能な大きさの縦割りのブロックに分断する。なお、床スラブ1dも必要に応じて複数個に切断する
【0013】
ついで、図1(ハ)に示すように、マンホールAの上部にある地盤を除去して作業凹部13を形成し通路筒2とボックス1の天井スラブ1cを露出させ、分断された通路筒2を地上の適所に搬出する。続いて、天井スラブ1cを吊り上げて地上の適所に搬出する。なお、天井スラブ1c全体での搬出が困難な場合は、あらかじめ搬出可能なブロックに分断しておく。
【0014】
次に、図1(二)に示すように、ボックス1の内周面、すなわち、側壁部1a及び端壁1bの内壁面に、塩化ビニール製の波板や合成樹脂シート等による剥離材14を添着し、床スラブ1dに吊金具15を取り付けて、流動化処理土16を所要の高さに充填し、下部にある支保工12を撤去する。そして、流動化処理土16の硬化しないうちに、吊金具15を利用して床スラブ1dを、上部にある支保工12の間を通して吊り上げ、地上の適所に搬出する。この場合、下部の支保工12を撤去しても、それに代って流動化処理土16が充填されているので、周囲の土圧によって側壁部1a、端壁部1bの切断されたブロックが内方に倒壊することがないとともに、マンホ−ルA下底からの水の浸入が充填された流動化処理上によって防止される。
【0015】
上記の流動化処理土16は、建設現場等で発生する掘削排土などのいわゆる建設排土を、早結性モルタルや急結性モルタルと混練して製成される。その性状は、流動性が高く、早結性モルタルと混練したものでは3〜6時間で固化し、急結性モルタルと混練したものでは1時間程で固化する。撤去作業に長い時間を要する場合は、混和剤の使用を選択して固化までの時間を調節することができる。
【0016】
上記作業の次には、図1(ホ)に示すように、ボックス1内に流動化処理土16を投入してほぼ充満させて、上部に残っている支保工12を撤去する。そして、流動化処理土16をさらに投入しながら、側壁部1a、端壁部1bの分割されたブロック及び剥離剤14を矢印のように上方に引き抜き地上の適所に搬出する。側壁部1a、端壁部1bを引き抜いた後の空所には、流動化処理土16が流入し、地山の崩壊が防がれる。ボックス1の撤去が終わった後は、図1(へ)に示すように、流動化処理土16をさらに充填してボックス1の抜けた孔及び作業凹部13内を埋め戻す。そして、充填した流動化処理土16の上に仮復旧舗製17を施し、工事が終了することになる。
【0017】
次に、本発明の他の実施態様について説明する。この実施態様は、マンホールAの撤去作業が複数日にわたって行われるような工事等に適したもので、さきの実施態様のものに覆工処置を加えたものである。これを図2を参照して説明する。図2の(イ)、(ロ)は図1の実施態様におけると同様であるから、その説明は省略する。
【0018】
図2(イ)、(ロ)までの作業工程に続いて、図2(ハ)に示すように、マンホールAの上部にある地盤を除去して作業凹部13を形成し、通路筒2とボックス1の天井スラブ1cを露出させ、それらを搬出した後に、作業凹部13上に覆工18を設置する。または、通路筒2と天井スラブ1cを搬出した後に作業凹部13上に覆工18を設置する。
【0019】
そして、図1の(二)(ハ)の作業工程と同様の作業を、図2(二)、(ハ)に示すように、覆工18を設置した状態で行う。この場合、剥離材14の添着、ボックス1の切断された各部材1a、1b、1dの搬出、流動化処理土の充填等の作業では、必要に応じて一時覆工18の一部を開いて作業を行なう。夜間等の作業中断時には、覆工を閉じるようにし、その間の交通の回復や危険の防止を図るようにする。そして、ボックス1の撤去が終わった後は、図2(へ)に示すように、覆工18を撤去し、流動化処理土16を充填し、ボックス1の抜けた孔、作業凹部13及び覆工18の撤去後を埋め戻し、仮復旧舗製17を施し、工事が終了することになる。
【0020】
なお、上記各実施態様では、マンホールAを対象構造物としているが、本発明は、マンホールに限定されるものではなく、内部に、構造物の切断等作業空間を有するものであれば、各種の地下埋設構造物の撤去に広く適用できるものである。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、地下に埋設されている構造物を、従来のように、構造物の周囲に土止め壁を打設して地盤を掘削し、構造物全体を露出させてこれを破壊して搬出する、という大がかりな方法によることなく、構造物内より強度保持の支保工を設置して、構造物をブロック状に切断し、構造物内に流動化処理土を充填しながらブロック等各部材を撤去するので、工事を極めて限定されたスペース内で行うことができ、騒音、振動、粉じんの発生が少なく、隣接の埋設物や近接建物に影響を与えることなく、地下埋設構造物の撤去を行うことができる。また、工事は簡易化され経費の大巾な低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)〜(へ)は本発明の一実施態様を順次工程を追って示した縦断面図である。
【図2】(イ)〜(へ)は同他の実施態様を順次工程を追って示した縦断面図である。
【図3】従来法の一例を示した平面図である。
【図4】同他の例を示した平面図である。
【符号の説明】
A マンホール
1 ボックス
1a 側壁部
1b 端壁部
1c 天井スラブ
1d 床スラブ
2 通路筒
12 支保工
13 作業凹部
14 剥離材
15 吊金具
流動化処理土
17 仮復旧舗装
18 覆工
a,b 切断部
Claims (2)
- 地下に埋設された構造物内に支保工を設置し、該構造物を搬出可能な大きさのブロック状に切断するとともに、構造物上部地盤を除去して構造物の上部を露出させた後、構造物内に流動化処理土を充填しながら支保工を撤去するとともに、構造物の切断した各ブロックを搬出することを特徴とする、地下埋設構造物の撤去方法。
- 露出された構造物上の地面に覆工を設置して施工することを特徴とする、請求項1記載の地下埋設構造物の撤去方法。
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JP2001154912A JP4535480B2 (ja) | 2001-05-24 | 2001-05-24 | 地下埋設構造物の撤去方法 |
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2001
- 2001-05-24 JP JP2001154912A patent/JP4535480B2/ja not_active Expired - Lifetime
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