JP4535189B2 - 車両用回転電機 - Google Patents

Description

本発明は、冷媒によって冷却される車両用回転電機に関し、特に、車両用回転電機におけるコイルエンドの温度を測定する温度センサを取り付ける端子台に関する。

電気自動車やハイブリッド自動車等に使用されるモータや発電機などの回転電機は、鉄損や抵抗によりコイルが発熱することから、回転電機には空冷や冷媒などによる冷却手段が設けられている。しかし、回転電機は長期の使用や過負荷などにより発熱し、冷媒による冷却が不十分な場合には過熱する場合がある。このため、従来から回転電機の各部の温度を測定し、測定した温度が予め決められた温度を超える場合には回転電機の負荷の制限や回転電機を停止させる等の制御を行っている。

一般的に車両用回転電機では、インバータによって制御される三相交流型の回転電機が多く用いられている。この回転電機はエンジン及びギヤミッションなどと共に一体化されて車両に搭載されているため、回転電機の内部に冷媒であるオイルを循環させて冷却する方法がとられている。回転電機の温度を測定する場合、コイルが固定子鉄心のスロットから露出するコイルエンド部の温度を測定する方法が容易であるため、コイルエンドの温度測定が多く用いられている。しかし、コイルエンドなどに温度センサを取り付けると温度センサにかかったオイルにより実際の温度より低く又は高く測定されてしまうことがあった。

そこで、特許文献１には、車両用回転電機のコイルエンドに固定された中性点の外面の絶縁層を保護して車両用回転電機の小型化を図ると同時に、精度の良いコイルの温度測定を行う技術が開示されている。また、特許文献２には、コイルエンドに固定された温度センサの位置ズレを防止すると共に、コイルの保護を目的としてコイルを樹脂によりモールドし、樹脂部に形成された穴部に挿入した温度センサを有する回転電機が開示されている。

特開２００８−２９１２７号公報 特開２００８−１３６３２４号公報

上述した特許文献２によれば、樹脂によりモールドしたコイルの穴部で規定された内周面で温度センサを支持することにより温度センサの位置ズレを抑制することができ、温度測定乱れのないコイルの温度測定が可能となる。しかし、この方法では、コイルの穴部に挿入した温度センサを穴部に密着させて接着剤で全周を埋める必要があると共に、コイルから伸びるＵ相，Ｖ相，Ｗ相を固定する端子台を別途取り付ける必要があるため、部品点数及び取り付け工数のさらなる低減が望まれていた。

そこで、本発明は、コイルエンドの温度を測定する温度センサを車両用回転電機に取り付ける端子台に関し、温度測定乱れを抑制すると共に、部品点数及び取り付け工数を減らすことが可能な端子台を提供することを目的とする。

以上のような目的を達成するために、本発明に係る車両用回転電機は、冷媒によって冷却される車両用回転電機において、円筒状のステータに設けられたコイルと、樹脂モールドされたコイルエンドの温度を検出する温度センサと、コイルエンドに形成された穴部に温度センサが収容され、温度センサをコイルエンドに予め決められた荷重で接触させると共に、コイルから伸びる端子を接続する端子台と、を有し、端子台は、コイルエンドの円周方向外側より温度センサを覆うと共に、温度センサ周囲に冷媒の流入を抑制する流入抑制部材を有することを特徴とする。

また、本発明に係る車両用回転電機において、端子台には冷媒溜まりと、冷媒溜まりから端子台下部に抜ける冷媒流路と、が設けられ、端子台の内部に設けられた冷媒流路を冷媒が流れることを特徴とする。

また、本発明に係る車両用回転電機において、冷媒流路は、温度センサがコイルエンドの中心部位の温度を安定して測定するために温度センサから予め決められた距離だけ離間して配置されたことを特徴とする。

さらに、本発明に係る車両用回転電機において、端子台の冷媒溜まりは、冷媒流路の上側に配置され、冷媒が重力により冷媒流路を流れ落ちることを特徴とする。

本発明を用いることにより、コイルエンドの温度を測定する温度センサを確実に保持し、温度センサの温度測定乱れを抑制すると共に、部品点数及び取り付け工数を減らすことが可能な端子台を提供することができるという効果がある。

以下、本発明を実施するための最良の形態（以下実施形態という）を、図面に従って説明する。

図１は車両のトランスミッションに組み込まれた車両用の回転電機１００の構成を示している。回転電機１００は、三相交流によって駆動され、ステータコア１３と、ステータコア１３に巻かれたコイルを覆うモールド樹脂１２と、ロータコア４０と、ロータコア４０に設けられたシャフト１１と、コイルエンド部に設けられた端子台２０と、回転電機１００を覆うケース３０と、を有している。端子台２０から伸びる複数のパワーケーブルはケース端子箱３１を介してケース３０外に引き出されている。また、温度センサ２２は端子台２０によってモールド樹脂１２の穴部に固定され、その温度センサ２２は発熱源近傍の温度を測定する。

図２は図１に示した回転電機１００のＡ−Ａ’断面の構造を示している。回転電機１００のロータコア４０は、中心にシャフト１１と、外周部に配置された複数の永久磁石４１とを有している。ロータコア４０の外側には、ステータコア１３が配置され、ステータコア１３にはＵ相，Ｖ相，Ｗ相のコイル４２が巻かれ、そのコイル端は端子台２０の対応する各電極に接続されている。また、回転電機の上側には冷却用のオイル吐出口３２が設けられ、コイルエンド外周を伝わったオイルによってコイルエンドと端子台２０とが冷却され、オイルは回転電機下側のオイル溜まり３９で集められる。

図３には回転電機１００における端子台２０の構成が示されている。本発明で特徴的な事項の一つは、オイル上流側にＵ相，Ｖ相，Ｗ相等のコイル端子を設け、その下流側に温度センサ２２を配置したことである。さらに、温度センサ２２の外周部を密閉してオイルの流入を抑制するオイル流入抑制部材（１４，１５）を設けている。このような構成とすることで、温度センサ２２に直接オイルがかかることを防止すると共に、予め決められたオイル流路２９でオイルを流すことにより温度センサ２２の温度測定乱れを抑制することである。このオイル流路２９は、ステータの冷却にも寄与し、端子台２０により放熱が制限される部分であっても予め設定された放熱を実現している。

図３の温度センサ２２は、温度センサ２２の先端部で温度を検出するため、モールド樹脂１２の中心部に挿入される。温度センサ２２の先端部をモールド樹脂１２に密着させるために、温度センサ２２と端子台２０の基部２１との間にバネやゴムなどの弾性体である押し当て部材２３を設けると共に、温度センサ２２のケーブルからオイルが侵入することを防止するためのシール２７を設けている。このような構成にすることで、寸法ばらつき・熱膨張による寸法変化及び回転電機による振動が過大であっても安定した接触を保つことが可能となる。

図４は端子台２０の温度センサ取り付け構造と、オイルの流れを示している。本発明で特徴的な事項の一つは、端子台２０の表面だけでなく、その内部を冷却するために図１に示したオイル溜まり２８と、オイル溜まり２８で集めたオイルをオイル流路２９に流す構造にすることで端子台２０の内部を冷却したことである。

図４に示すように、オイルは端子台２０の周囲を流れると共に、図１のオイル溜まり２８で集められたオイルが重力によりオイル流路２９を流れることになる。さらに、端子台２０は複数のオイル流路２９を有しているため、端子台２０の表面だけではなく、端子台２０で覆われたモールド樹脂１２も冷却することが可能となる。なお、温度センサ２２がオイルによる冷却の変化で温度測定乱れを発生しないように、端子台２０の形状とオイル流路２９とを最適化することで、最高温度を正確に測定することを可能にし、温度センサ２２の取り付け工数の低減も可能としている。

図５（Ａ）〜（Ｃ）には、その他の実施形態に係る温度センサ取り付け構造が示されている。図５（Ａ）は、温度センサ２２を温度変化による押し当て力の変化が少ないバネ５１によってモールド樹脂１２に押し当てる構成である。図５（Ｂ）は、温度変化により押し当て力は若干変化するものの、弾性体５２の底部に設けたフランジ形状と温度センサ２２を保持する凹部により端子台２０と一体化することが可能であり、取り付け工数の低減が可能である。また、図５（Ｃ）は、押し当て力を得ることができるように大型のオーリング５３により温度センサ２２を端子台２０に保持する構成である。

以上、上述したように、本実施形態に係る端子台を用いることにより、コイルエンドの温度を測定する温度センサを適切な荷重でモールド樹脂に押し当てて保持し、温度センサの回りの冷却を一定に保つ構造にしたことで温度センサの測定乱れを抑制すると共に、部品点数及び取り付け工数を減らすことが可能な端子台を提供することが可能となる。

本発明の実施形態に係る車両用回転電機の構成を示す側面図である。 本発明の実施形態に係る車両用回転電機の断面構造を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る端子台の構成を説明する説明図である。 本実施形態に係る端子台の温度センサ取り付け構造を説明する説明図である。 その他の実施形態に係る温度センサ取り付け構造を説明する説明図である。

符号の説明

１１ シャフト、１２ モールド樹脂、１３ ステータコア、１４，１５ オイル流入抑制部材、２０ 端子台、２１ 基部、２２ 温度センサ、２３ 押し当て部材、２７ シール、２９ オイル流路、３０ ケース、３１ ケース端子箱、４０ ロータコア、４１ 永久磁石、４２ コイル、５１ バネ、５２ 弾性体 、５３ オーリング、１００ 回転電機。

Claims (4)

1. 冷媒によって冷却される車両用回転電機において、
   円筒状のステータに設けられたコイルと、
   樹脂モールドされたコイルエンドの温度を検出する温度センサと、
   コイルエンドに形成された穴部に温度センサが収容され、温度センサをコイルエンドに予め決められた荷重で接触させると共に、コイルから伸びる端子を接続する端子台と、
   を有し、
   端子台は、
   コイルエンドの円周方向外側より温度センサを覆うと共に、温度センサ周囲に冷媒の流入を抑制する流入抑制部材を有することを特徴とする車両用回転電機。
2. 請求項１に記載の車両用回転電機において、
   端子台には冷媒溜まりと、冷媒溜まりから端子台下部に抜ける冷媒流路と、が設けられ、端子台の内部に設けられた冷媒流路を冷媒が流れることを特徴とする車両用回転電機。
3. 請求項１に記載の車両用回転電機において、
   冷媒流路は、温度センサがコイルエンドの中心部位の温度を安定して測定するために温度センサから予め決められた距離だけ離間して配置されたことを特徴とする車両用回転電機。
4. 請求項２に記載の車両用回転電機において、
   端子台の冷媒溜まりは、冷媒流路の上側に配置され、冷媒が重力により冷媒流路を流れ落ちることを特徴とする車両用回転電機。

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