JP4532948B2 - プラズマ処理方法 - Google Patents

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この発明は、大気圧近傍の圧力(略常圧)環境でのプラズマ処理方法に関する。
この種方法では、略常圧の処理雰囲気において一対の電極間に電界を印加しグロー放電を起こさせる。これにより、処理ガスをプラズマ化でき、これを半導体基板などの被処理物に当て、成膜やエッチング等の表面処理を行なうことができる(例えば特許文献1、2参照)。
電極間への電界印加用の電源は、一般に、一次電圧をトランスで昇圧し、昇圧後の二次電圧を電極に供給するようになっている。例えば、電極間距離を1mmとしたときのピーク間電圧Vppが5kV程度の場合、希ガス雰囲気でしかグロー放電せず、出力の大きさ自体も十分でない。電極間距離を1mmとしたときのピーク間電圧Vppを10〜20kVにすると、空気や窒素等の希ガス以外の雰囲気でもグロー放電を起こすことができる。周波数は、出力の安定が確保される数値(例えば10kHz)に固定している。しかし、電力の供給効率が低く、十分な出力を得られていない。なお、ピーク間電圧Vppが20kVを超えるとアーク放電になってしまう。
その他、雰囲気ガス種に依らずにグロー放電できる条件として、特許文献1では、電極に被膜された誘電体の静電容量と給電周波数との比を1400pF/(m・kHz)以下にしている。
特許文献2では、電極間の電界強度を0.1〜10kV/mm、周波数を0.5〜100kHz等と定めているが、これら数値は印加電界をパルス波にした場合に限られ、正弦波等の連続波には適用されない。
特開2001−284099号公報 特開平10−154598号公報
上記のように、従来、略常圧環境でのグロー放電のための具体的な数値条件が種々提案されているが、電源からの電力供給効率と、出力の安定性、さらには被処理物に対する高い処理能力を確保でき、しかも汎用的に適用できる条件は未だ確立されていない。
上記問題点を解決するため、発明者らは鋭意研究を行なった。その結果、放電時の固有振動周波数に対する給電周波数のずれ量と、電力効率および出力の安定性との間に一定の関係があることが判明した。
すなわち、図3の実線に示すように、放電時における(推定の)固有振動周波数fに対する給電周波数fのずれがプラス・マイマス両方向に極めて大きい領域R3では、電力供給効率が非常に低く、しかも、給電周波数fの値に対して殆ど変化せずフラットになる。なお、電力供給効率の指標として、入力電圧Vと電極のピーク間電圧Vppの比Vpp/Vを用いている。フラット領域R3よりも固有振動周波数fに近い側の一定領域R2では、固有振動周波数fに近づくにしたがってVpp/Vが大きくなるようにスロープを描く。領域R2,R3では、給電周波数fに対してVpp/Vがほぼ一義的に定まる。すなわち、Vpp/Vが時間的に変動することはなく、安定している。
スロープ領域R2よりも固有振動周波数fに近い側の一定領域R1になると、Vpp/Vが時間の経過とともに上昇していく。ただし、その上昇度は比較的緩慢であり、制御可能である。更に固有振動周波数fに近づき、固有振動周波数fを含む一定領域R0になると、Vpp/Vが瞬間的に跳ね上がり、制御不能になる。図3の破線は、領域R1,R0における放電開始直後のVpp/Vを示したものであり、固有振動周波数fにおいてピークを示している。
固有振動周波数fは、放電の状態によって変動し、特定が困難であるが、基本的には電極どうし間の印加電圧に依存するものと考えられることから、同じ印加電圧での実験等により推定することが可能である。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、一対の電極とインダクタを含むLC回路に給電することにより、前記電極どうし間の略常圧の空間に電界を印加してグロー放電を起こしプラズマ処理を行なう方法であって、前記略常圧空間での放電時における前記LC回路の固有振動周波数を予め推定しておく推定工程と、前記LC回路への給電周波数を、前記推定固有振動周波数からずらして設定する設定工程と、設定した周波数で給電することによりプラズマ処理を行なう本処理工程とを実行し、前記推定工程において、前記LC回路に一時的に給電を行なって放電を起こした後、該給電の切断により前記LC回路に減衰振動を生じさせ、しかもこの減衰振動の初期における電極間への印加電圧が本処理工程における設定印加電圧と略等しくなるようにし、この減衰振動の初期の周波数を測定し、この測定値を前記推定固有振動周波数とすることを第1の特徴とする。また、一対の電極とインダクタを含むLC回路に給電することにより、前記電極どうし間の略常圧の空間に電界を印加してグロー放電を起こしプラズマ処理を行なう方法であって、前記略常圧空間での放電時における前記LC回路の固有振動周波数を予め推定する工程と、後記本処理工程での前記LC回路への給電周波数を設定する設定工程と、設定した周波数で給電することによりプラズマ処理を行なう本処理工程とを実行し、前記推定工程において、前記電極間への印加電圧が本処理工程における設定印加電圧と略等しくなるようにしながらかつ周波数を掃引しながら前記LC回路に給電し、該給電の電圧に対する前記電極間への印加電圧の比(以下、特許請求の範囲において「入出力比」と称す)が極大になる点における周波数を求め、これを前記推定固有振動周波数とするとともに、前記推定固有振動周波数の±25%内の周波数を瞬間変動領域とし、前記設定工程では、前記本処理工程での前記給電周波数を前記瞬間変動領域からずらして設定することを第2の特徴とする。これによって、電力効率を上げつつ安定性を確保可能な給電周波数の範囲の汎用的な設定方法を提供できる。
本発明において、雰囲気ガスは、ヘリウムやアルゴン等の希ガスでもよく、空気や窒素等の希ガス以外のガスでもよい。LC回路への給電波形は、正弦波や方形波等の連続波でもよく、パルス波等の間欠波でもよい。
本発明における略常圧(大気圧近傍の圧力)とは、1.013×104〜50.663×104Paの範囲を言い、圧力調整の容易化や装置構成の簡便化を考慮すると、好ましくは、1.333×104〜10.664×104Paであり、より好ましくは、9.331×104〜10.397×104Paである。
前記第1特徴において、前記固有振動周波数の推定工程では、前記LC回路に一時的に給電を行なった後、該給電の切断により前記LC回路に減衰振動を生じさせ、しかもこの減衰振動の初期における電極間への印加電圧が本処理工程における設定印加電圧と略等しくなるようにし、この減衰振動の初期の周波数を測定し、この測定値を前記推定固有振動周波数とすることにより、放電時の固有振動周波数を確実に推定できる。前記一時的給電は、間欠波であってもよく、連続波であってもよい。間欠波給電の場合、間欠波の各波要素のオフによって、前記給電切断がなされることになる。したがって、間欠波の1つの波要素と次の波要素の間の休止期間中に前記LC回路に生じる減衰振動の初期周波数を測定するとよい。休止期間は、減衰が十分に収束する長さであるのが好ましい。連続波給電の場合、この連続波をオフし、その後の減衰振動の初期周波数を測定するとよい。前記間欠波の各波要素または連続波の波形は、種々選択でき、例えば方形波でもよく、正弦波でもよく、三角波でもよい。間欠波は、パルス波であってもよい。
前記設定工程において、給電周波数は、少なくとも、前記推定固有振動周波数の周辺における入出力比が制御不能な速さで変動する領域R0からずらして設定するのが望ましい。これによって、出力が暴走するのを防止できる。出力の安定性の面からは、前記推定固有振動周波数の周辺における入出力比が時間的に変動する領域すなわち前記瞬間変動領域R0だけでなく前記入出力比が制御可能な速さで変動する緩慢変動領域R1からもずらして設定するのが望ましい。すなわち、入出力比が時間的に安定な領域R2,R3に設定するのが望ましい。ただし、短時間の処理の場合には、前記緩慢変動領域R1に設定することができる。
より望ましくは、前記本処理工程において、給電周波数を、入出力比が時間的に安定でかつ給電周波数に応じて増減するスロープ領域R2に設定する。更に望ましくは、給電周波数を、入出力比が時間的に安定な領域R2における時間的に変動する領域R1との境に設定する。これによって、出力の安定を確保できるとともに電力効率を高くすることができる。
前記LC回路への給電が、インバータの出力電圧をトランスで昇圧することによりなされるようになっており、前記トランスが、前記LC回路のインダクタ成分を構成していることが望ましい。また、直流をインバータで交流に変換し、更にトランスで昇圧することにより、前記LC回路へ給電されるようになっており、前記入出力比を、前記電極間のピーク間電圧Vppと、前記直流入力電圧Vとの比(Vpp/V)とすることが望ましい。
図3に示すように、発明者らの実験によれば、給電周波数fのずれが推定固有振動周波数fの±約25%内(f=0.75f〜1.25f)が、瞬間的変動領域R0であり、±約25%〜±約50%(f=0.5f〜0.75f、1.25f〜1.5f)が、緩慢変動領域R1であり、±約50%〜±約80%(f=0.2f〜0.5f、1.5f〜1.8f)が、入出力比が安定なスロープ領域R2であり、±約80%以上(f≦0.2f、f≧1.8f)が、フラット領域R3であった。したがって、前記本処理工程で少なくとも出力の暴走を防止するには、設定工程において、給電周波数を推定固有振動周波数の±約25%以上ずらして設定する。安定性を確実に確保するには、推定固有振動周波数の±約50%以上ずらして設定するのが望ましい。安定で、かつ電力効率も良好にするには、推定固有振動周波数の±約50%(f=0.5f、1.5f)に設定するのが望ましい。
本発明は、推定固有振動周波数に代えて入出力比を基準にして、処理時における給電周波数を設定することもできる。すなわち、本発明は、一対の電極とインダクタを含むLC回路に給電することにより、前記電極どうし間の略常圧の空間に電界を印加してグロー放電を起こしプラズマ処理を行なう方法であって、前記電極間への印加電圧を本処理時における設定印加電圧と等しくしながらかつ周波数を掃引しながら前記LC回路に給電し、前記周波数と入出力比との関係を予め求めるとともに前記入出力比が極大になる周波数の±25%内の周波数を瞬間変動領域とする予備工程と、後記本処理工程での前記LC回路への給電周波数を、前記入出力比がその極大値に対し所定%以下になる範囲でかつ前記瞬間変動領域からずらして設定する設定工程と、設定した周波数で給電することによりプラズマ処理を行なう本処理工程とを実行することを第3の特徴とする。これによって、少なくとも瞬間変動領域R0を避けることができる。
本発明は、コロナ放電等ではなく、グロー放電によるプラズマ処理を行なうものであるので、電極は、平等電界を形成する形状になっているのが好ましい。電極(または誘電体)の放電する部分は、面状であることが好ましい(以下、この面状部分を「放電面」という。)。また、一対の電極間の距離は、略一定(一対の電極の放電面どうしが平行)であるのが好ましい。これにより、電界集中によるアーク放電を防止できるとともに、均一なグロー放電を発生させることができる。放電面どうし間の距離は、0.5mm以上、20mm以下が好ましく、1mm以上7mm以下がより好ましい。放電面は、曲面であっても良いが、曲率半径は大きい方が好ましく(R=5mm以上)、平面がより好ましい。また、放電面は、平滑(つるつる)であることがこのましい。凸凹や突起があると、火花が目立つので、好ましくない。これら条件を満たす電極構造としては、一対の平板状電極を平行に対向させた平行平板電極型、ロール状(円筒状)電極とその周面に沿う円筒凹面を有する凹面電極とからなるロール−凹面電極型、同軸をなす内外一対の円筒状電極からなる同軸円筒電極型などが挙げられる。
本発明によれば、電力効率と安定性と処理能力を確保可能な給電周波数の範囲を汎用的に設定できる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る常圧プラズマ処理装置Mを模式的に示したものである。プラズマ処理装置Mは、互いに対向する一対の電極11,12と、電源装置20とを備えている。図示は省略するが、一対の電極11,12の対向面には、固体誘電体の層が設けられている。なお、固体誘電体層は、少なくとも一方の電極11,12に設けられていればよい。電極11,12間の空間10pの厚さは、例えば1mmである。
電極11,12は、大気圧下において空気雰囲気中に配置されている。なお、雰囲気ガスは、窒素でもよく、ヘリウムやアルゴン等の希ガスでもよい。
電極間空間10pには、図示しない処理ガス導入手段によって処理ガスが導入されるようになっている。
電源装置20は、インバータ21とトランス22を有している。インバータ21は、直流電圧Vをスイッチングして交流に変換するようになっている。
トランス22は、インバータ21に接続された一次コイル22aと、電極11に接続された二次コイル22bとを有し、インバータ21の出力電圧を昇圧して電極11に供給する。これによって、厚さ1mmの電極間空間10pに例えばVpp=10kV、給電周波数fの交流電圧が印加されるようになっている。この電圧印加によって空間10p内にグロー放電が起き、前記導入手段からの処理ガスがプラズマ化(活性化、イオン化)される。このプラズマ化された処理ガスが半導体基板などの被処理物に当てられることにより、被処理物の常圧プラズマ表面処理がなされるようになっている。
トランス22の二次コイル22bと電極11,12によって、電極回路1が構成されている。コイル(インダクタ)22bには、漏れインダクタンスLがある。また、電極11,12は、キャパシタと見做せる。したがって、電極回路1は、LC直列共振回路を構成している。なお、電極間空間10pのコンダクタンスは、非放電時にはゼロであるが、放電時にはゼロ以外の、しかも放電状態によって変動する値を示す。したがって、電極回路1すなわちLC回路の放電時の固有振動周波数は、放電状態によって異なることになる。一方、放電状態は、基本的には電極間への印加電圧によって変わる。したがって、放電時の固有振動周波数は、印加電圧に依存するものと考えられる。
上記構成の常圧プラズマ処理装置Mにおいて、処理時の電極回路1への給電周波数fを設定する手順について説明する。
〔固有振動周波数の推定工程〕
実際のプラズマ処理(以下「本処理」という。)に先立ち、予め、電極回路1の本処理時(放電時)における固有振動周波数fを推定しておく。推定方法として、例えば次の掃引式、減衰波式等がある。
(掃引式)
電極11への印加電圧が本処理時の大きさ(Vpp=10kV)に維持されるようにインバータ21の一次側電圧Vを調節しながら、給電周波数fを0〜数百kHzの範囲で掃引する。そして、電圧Vの調節値から入出力比Vpp/Vを算出する。これによって、図3に示すようなデータを得ることができる。そして、入出力比Vpp/Vが極大になった時の周波数を電極回路1の固有振動周波数fと推定する。この掃引式では、Vpp/Vがピークになるあたりすなわち瞬間変動領域R0での出力暴走に注意する。
(減衰波式)
図2に示すように、インバータ21からトランス22に周波数fの間欠波状の電圧Vを入力する。この間欠波Vの各波要素は、短周期(1/f’)の方形波になっている。各波要素の振幅(すなわち電圧Vの大きさ)は、インバータ21の一次側電圧Vによって決まる。この間欠波電圧Vの給電によって電極回路1の電極11に振動電圧Vが生じる。この電圧Vは、上記間欠波Vの各波要素が出力されている期間中は、該波要素と同じ周波数で振動する。一方、波要素がオフになった瞬間から、電圧Vは、電極回路1に固有の振動数で振動しながら減衰していく。この減衰振動の初期のピーク間電圧Vppが、上記本処理時のピーク間電圧Vpp(=10kV)と等しくなるように、上記間欠波Vの各波要素の振幅すなわちインバータ21の一次側電圧Vを設定しておく。これによって、減衰振動の少なくとも初期においては、電極間空間10pを本処理時と同様の放電状態にすることができ、本処理時と同じ固有振動数にすることができる。この減衰振動の初期の、特に第1波の周波数fを測定する。すなわち、間欠波Vの波要素がオフになった瞬間からの電圧Vの1サイクル分の時間(周期:1/f)を測定する。これを本処理時における固有振動周波数fと推定する。測定は、間欠波Vの波要素がオフになる度に繰返し行ない、その平均を取るのが好ましい。これによって、推定精度を高めることができる。間欠波Vの1つの波要素と次の波要素の間の休止期間t(=(1/f)−(1/f’))は、減衰が十分に収束し得る程度に設定するのが好ましい。これにより、次の減衰波との重畳を避けることができる。
推定固有振動周波数fは、例えば100kHz乃至120kHzとなる。
〔設定工程〕
次に、上記推定固有振動周波数fに基づいて本処理時における給電周波数fを設定する。最も望ましくは、上記の推定固有振動周波数fの±50%の大きさになるように設定する。すなわち、
f=f×(1−0.5)=0.5f …(式1)
又はf=f×(1+0.5)=1.5f …(式2)
に設定する。これは、安定スロープ領域R2における変動領域R1との境界となる周波数である。例えばf=120kHzの場合、f=60kHzとなる。
そして、本処理工程において、設定周波数fで給電しながら常圧プラズマ処理を実行する。これによって、出力を安定化でき、しかも電力効率を高めることができる。
なお、図3に示すように、出力の安定性の観点からは、給電周波数fは、推定固有振動周波数fのちょうど±50%に限られず、それ以上ずらして設定してもよい。すなわち、次式3,4で示される安定領域R2,R3内であればよい。
f≦f×(1−0.5)=0.5f …(式3)
又はf≧f×(1+0.5)=1.5f …(式4)
ただし、ずらす範囲は、±80%程度でとどめるのが好ましい。これ以上ずらすと電力効率が低くなり過ぎ、所望の出力を得るのが困難になってしまう。すなわち、次式5,6で示すように、安定領域のうちフラット領域R3を除く。
f≧f×(1−0.8)=0.2f …(式5)
又はf≦f×(1+0.8)=1.8f …(式6)
式3〜6をまとめると、出力の安定性を確保でき、かつ、電力効率も稼ぐことのできる給電周波数fの設定範囲は、次式7,8で示される安定スロープ領域R2となる。
0.2f≦f≦0.5f …(式7)
又は1.5f0≦f≦1.8f0 …(式8)
また、処理時間が短い(例えば数分〜10分程度の)場合には、給電周波数fを推定固有振動周波数fに対し少なくとも±25%以上ずらせばよく、±50%より推定固有振動周波数fの側に設定してもよい。すなわち、次式9,10で示される緩慢変動領域R1内に設定してもよい。
0.5f<f≦0.75f(=f×(1−0.25)) …(式9)
又は1.5f>f≧1.25f(=f×(1+0.25)) …(式10)
この緩慢変動領域R1では、電力効率が非常に高くなり、大出力を得ることができる。入出力比は経時的に上昇していくが、その程度は緩慢であり、瞬時に上昇することはない。したがって、処理を短時間で終えてオフにすれば、インバータ21や電極11,12が破壊に至ることはない。
給電周波数fを推定固有振動周波数fに対し少なくとも±25%以上ずらすことによって、入出力が瞬間的に変動する領域R0(0.75f<f<1.25f)を避けることができ、大電流によってインバータ21の素子や電極11,12が破壊されるのを防止することができる。
次に、常圧プラズマ処理装置Mにおいて、給電周波数fの設定手順の他の実施形態について説明する。
この実施形態では、推定固有振動周波数fに代えて入出力比Vpp/Vを基準にする。詳述すると、先ず、予備工程として、給電周波数fと入出力比Vpp/Vとの関係を求めておく。その方法は、前述実施形態の掃引式と実質的に同じである。すなわち、電極11への印加電圧が本処理時の大きさ(Vpp=10kV)に維持されるようにインバータ21の一次側電圧Vを調節しながら、給電周波数fを0〜数百kHzの範囲で掃引する。そして、電圧Vを測定し、給電周波数fに対する入出力比Vpp/Vを算出してデータ化する。
次に、設定工程として、本処理時における給電周波数fを、前記入出力比Vpp/Vがその極大値に対し例えば70%以下になる範囲内で設定する。これによって、少なくとも瞬間変動領域R0を避けることができ、電極11,12やインバータ21の破壊を防止することができる。
本発明の一実施形態に係る常圧プラズマ処理装置の概略構成を示す回路図である。 前記装置において固有振動周波数を減衰波式で推定するためのインバータ出力電圧V1と電極電圧V2の波形グラフである。 放電時の給電周波数に対する入出力比の関係を示すグラフである。
符号の説明
M 常圧プラズマ処理装置
1 電極回路(LC回路)
11,12 電極
20 電源
21 インバータ
22 トランス
22b 二次コイル(インダクタ)
R0 瞬間変動領域
R1 緩慢変動領域
R2 安定スロープ領域
R3 安定フラット領域

Claims (11)

  1. 一対の電極とインダクタを含むLC回路に給電することにより、前記電極どうし間の略常圧の空間に電界を印加してグロー放電を起こしプラズマ処理を行なう方法であって、前記略常圧空間での放電時における前記LC回路の固有振動周波数を予め推定する工程と、前記LC回路への給電周波数を、前記推定固有振動周波数からずらして設定する設定工程と、設定した周波数で給電することによりプラズマ処理を行なう本処理工程とを実行し、 前記推定工程において、前記LC回路に一時的に給電を行なって放電を起こした後、該給電の切断により前記LC回路に減衰振動を生じさせ、しかもこの減衰振動の初期における電極間への印加電圧が本処理工程における設定印加電圧と略等しくなるようにし、この減衰振動の初期の周波数を測定し、この測定値を前記推定固有振動周波数とすることを特徴とするプラズマ処理方法。
  2. 一対の電極とインダクタを含むLC回路に給電することにより、前記電極どうし間の略常圧の空間に電界を印加してグロー放電を起こしプラズマ処理を行なう方法であって、前記略常圧空間での放電時における前記LC回路の固有振動周波数を予め推定する工程と、後記本処理工程での前記LC回路への給電周波数を設定する設定工程と、設定した周波数で給電することによりプラズマ処理を行なう本処理工程とを実行し、
    前記推定工程において、前記電極間への印加電圧が本処理工程における設定印加電圧と略等しくなるようにしながらかつ周波数を掃引しながら前記LC回路に給電し、該給電の電圧に対する前記電極間への印加電圧の比(以下、特許請求の範囲において「入出力比」と称す)が極大になる点における周波数を求め、これを前記推定固有振動周波数とするとともに、前記推定固有振動周波数の±25%内の周波数を瞬間変動領域とし、前記設定工程では、前記本処理工程での前記給電周波数を前記瞬間変動領域からずらして設定することを特徴とするプラズマ処理方法。
  3. 一対の電極とインダクタを含むLC回路に給電することにより、前記電極どうし間の略常圧の空間に電界を印加してグロー放電を起こしプラズマ処理を行なう方法であって、前記電極間への印加電圧を本処理時における設定印加電圧と等しくしながらかつ周波数を掃引しながら前記LC回路に給電し、前記周波数と入出力比との関係を予め求めるとともに前記入出力比が極大になる周波数の±25%内の周波数を瞬間変動領域とする予備工程と、後記本処理工程での前記LC回路への給電周波数を、前記入出力比がその極大値に対し所定%以下になる範囲でかつ前記瞬間変動領域からずらして設定する設定工程と、設定した周波数で給電することによりプラズマ処理を行なう本処理工程とを実行することを特徴とするプラズマ処理方法。
  4. 前記設定工程において、給電周波数を、入出力比が時間的に安定でかつ給電周波数に応じて増減する領域に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ処理方法。
  5. 前記設定工程において、給電周波数を、入出力比が時間的に安定な領域における時間的に変動する領域との境に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ処理
    方法。
  6. 前記設定工程において、給電周波数を、前記推定固有振動周波数の±約25%以上ずらして設定することを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理方法。
  7. 前記設定工程において、給電周波数を、前記推定固有振動周波数の±約50%以上ずらして設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ処理方法。
  8. 前記設定工程において、給電周波数を、前記推定固有振動周波数の±約50%に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ処理方法。
  9. 前記本処理工程における前記電極間への印加電圧が、連続波であることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載のプラズマ処理方法。
  10. 前記LC回路への給電が、インバータの出力電圧をトランスで昇圧することによりなされるようになっており、前記トランスが、前記LC回路のインダクタ成分を構成していることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のプラズマ処理方法。
  11. 直流をインバータで交流に変換し、更にトランスで昇圧することにより、前記LC回路へ給電されるようになっており、前記入出力比を、前記電極間のピーク間電圧Vppと、前記直流入力電圧Vとの比(Vpp/V)とすることを特徴とする請求項2又は3に記載のプラズマ処理方法。
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