JP2005026063A - プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】処理効率が高くかつ安定したプラズマを発生させるプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】印加電極1に直流パルス電圧を印加することが可能な直流パルス電源13と、印加電極1に高周波交流電圧を印加することが可能な高周波交流パルス電源12とが設けられている。また、高周波交流パルス電源12と印加電極1とが電気的に接続された状態と、直流パルス電源13と印加電極1とが電気的に接続された状態とを切換えることが可能なスイッチング回路11が設けられている。前述の構成において、高周波交流パルス電圧を印加電極1に印加することが休止されている時間内に、直流パルス電圧が印加電極1に印加されるように、スイッチング回路11が切換制御される。
【選択図】 図1
【解決手段】印加電極1に直流パルス電圧を印加することが可能な直流パルス電源13と、印加電極1に高周波交流電圧を印加することが可能な高周波交流パルス電源12とが設けられている。また、高周波交流パルス電源12と印加電極1とが電気的に接続された状態と、直流パルス電源13と印加電極1とが電気的に接続された状態とを切換えることが可能なスイッチング回路11が設けられている。前述の構成において、高周波交流パルス電圧を印加電極1に印加することが休止されている時間内に、直流パルス電圧が印加電極1に印加されるように、スイッチング回路11が切換制御される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の所属する技術分野】
本発明は、プラズマを発生させて、発生したプラズマを用いて、被処理物を処理するプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、グロー放電プラズマ、特に大気圧グロー放電プラズマを用いて、被処理物体の一例の基板の表面に薄膜を形成するプラズマ処理装置、または、基板の表面に親水化などの処理を施すプラズマ処理装置が開発されている。このようなプラズマ処理装置の一例として、特開平7−85997号公報に記載されたプラズマ処理装置が既に知られている。以下、特開平7−85997号公報に記載されたプラズマ処理装置を、図31〜図33を用いて詳述する。
【0003】
図31は、特開平7−85997号公報に記載された大気圧グロー放電プラズマ処理装置を示す概略図である。図32は、前述のプラズマ処理装置内の電極に電圧の印加するための基本回路の一例を示した図である。図33は、前述のプラズマ処理装置内の電極に印加される電圧波形を示した図である。
【0004】
前述のプラズマ処理装置108は、図31に示すように、反応容器101と、反応容器101内に設けられた上部電極102および下部電極106と、上部電極102および下部電極106のうち少なくともいずれか一方に設置された誘電体膜105と、反応容器101の側面に設けられたガス入口103およびガス出口104と、反応容器101内に熱を加えるための加熱用電源107とを備えている。
【0005】
また、プラズマ処理装置108は、図32に示すように、電力を供給する1次側のトランス111と、トランス111から電力の供給を受ける2次側のトランス112とを備えている。なお、図33には、高周波交流パルス電圧109の波形および直流パルス負電圧110の波形が示されている。
【0006】
前述の図31に示すプラズマ処理装置108の使用方法は、次のようなものである。まず、反応容器101内に、大気圧に近い気圧を有する、不活性ガス、または不活性ガスおよび反応性ガスの混合ガスを導入する。その後、上部電極102と下部電極106との間に電圧を印加する。それにより、反応容器101内で大気圧グロー放電プラズマを励起させる。その結果、上部電極102と下部電極106との間に配置された、被処理物の表面を親水化するか、または、被処理物の表面に薄膜を形成する。このプラズマ処理装置108の特徴は、図32に示す基本回路を用いて、図33に示すように、上部電極102と下部電極106とに高周波交流パルス電圧と直流パルス負電圧とを交互に印加することにより、グロー放電を発生させることである。
【0007】
また、図32に示す基本回路では、1次側のトランス111に印加された高周波交流パルス電圧が昇圧され、2次側のトランス112に大きな高周波交流パルス電圧が印加される。この大きな高周波交流パルス電圧がダイオード、コイルおよびコンデンサによって整流されることにより、負のバイアスが作成される。
【0008】
この負のバイアスがグロー放電中にスイッチング回路を介して瞬時に高電圧側電極(たとえば、上部電極102)に印加される。この大きな高周波交流パルス電圧と負のバイアスとは、図33に示すように、上部電極102と下部電極106との間に交互に印加される。それにより、反応容器101内で放電が停止することがないため、プラズマの処理が継続して行われる。なお、負のバイアスを作成するための電源は、別電源であってもよい。
【0009】
さらに、負のバイアスを電極に印加する時間は、0.1秒〜5秒の範囲内であることが必要であり、好ましくは、0.5秒〜2秒の範囲である。なお、負のバイアスを電極に印加する時間は、0.1秒より短い場合には効果が小さく、5秒より長い場合には放電が不安定となる。
【0010】
また、図33に示すように、上部電極102および下部電極106には、大きな高周波交流パルス電圧109が印加された後に直流パルス負電圧110が印加される。この高周波交流パルス電圧109の印加と直流パルス負電圧110の印加とを繰り返す。その結果、基板表面の面内方向の処理特性の均一性が向上する。
【0011】
また、前述のプラズマ処理装置では、HeとArとの混合ガスで反応容器101内が満たされ、かつ、高周波交流パルス電圧205〜4kv、周波数5〜8kHzおよび直流パルス負電圧2.5〜5kvの電圧条件で、親水化のための処理、または、薄膜の形成などが行われている。
【0012】
【特許文献1】
特開平7−85997号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の大気圧プラズマ処理装置には以下のような課題が残存する。
【0014】
まず、前述のプラズマ処理装置では、上部電極102と下部電極106とに印加される直流パルス電圧として、直流パルス負電圧のみが用いられ、直流パルス正電圧が用いられていない。したがって、直流パルス負電圧のみと高周波交流パルス電圧とが上部電極102と下部電極106とに繰り返して印加される。そのため、直流パルス負電圧によって、上部電極102と下部電極106との間の配置された被処理物が帯電する。その結果、被処理物が損傷することがある。
【0015】
本発明の上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、被処理物が損傷することを抑制することが可能なプラズマ処理装置を提供することである。
【0016】
また、前述のプラズマ処理装置では、上部電極102および下部電極106のうちの少なくともいずれか一方に誘電体膜105が設置された状態で上部電極102と下部電極106との間に直流パルス負電圧が印加される。この直流パルス負電圧の印加が開始された時点においては、上部電極102および下部電極106により構成された電極間コンデンサに電荷が蓄積される。
【0017】
しかしながら、電極間コンデンサが最大容量まで電荷が蓄積された後においては、電極間コンデンサを介しては、電流が流れない。そのため、直流パルス負電圧が印加されている時間の中で、電極間コンデンサに最大容量まで電荷が蓄積された後においては、プラズマ処理装置は仕事をしていないことになる。前述のプラズマ処理装置においては、直流パルス負電圧の印加時間(0.1秒〜5秒)が比較的長い。そのため、プラズマ処理装置の被処理物の処理の効率が低下する。さらに、直流パルス負電圧を電極間コンデンサに印加している期間中には、安定した高圧プラズマを維持することができない。
【0018】
本発明の他の目的は、安定した高圧プラズマを維持することが可能なプラズマ処理装置を提供することである。
【0019】
また、電極間コンデンサには直流パルス負電圧と高周波交流パルス電圧とが交互に繰り返される波形の電圧が印加される。そのため、直流パルス負電圧の1周期では十分な荷電粒子密度の大気圧プラズマを発生させることができない。また、直流パルス負電圧を印加している期間においては、高周波交流パルス電圧は印加されない。そのため、プラズマの分解度が低下する。したがって、プラズマ処理装置の被処理物の処理の効率が低下する。また、高周波の周波数は高くても10kHzであるため、高周波交流パルス電圧を印加した時点においては、プラズマの分解度が低い。そのため、被処理物の処理の効率が低下する。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、被処理物の処理効率が向上したプラズマ処理装置を提供することである。
【0021】
また、前述のプラズマ処理装置は、対向した1対の電極間に被処理物が設置される。そのため、高周波交流パルス電圧が印加される上部電極が、アースに接続された下部電極により覆われた構造となっていない。その結果、電磁波漏れによる電磁障害を引き起こすおそれがある。
【0022】
本発明の別の目的は、電磁波漏れによる電磁障害が防止されたプラズマ処理装置を提供することである。
【0023】
また、上記従来のプラズマ処理装置は、一対の電極間に被処理物が設置される構造であったため、被処理物の設置態様が制限されたものとなっていた。
【0024】
本発明のさらに別の目的は、被処理物の設置態様の自由度が増加したプラズマ処理装置を提供することである。
【0025】
また、上記従来のプラズマ処理装置は、交流電源と直流電源とを切換える回路が必要であったため、回路構造が複雑となっていた。
【0026】
本発明のまたさらに別の目的は、回路構造が簡略化されたプラズマ処理装置を提供することである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラズマ処理装置は、プラズマを発生させて、発生したプラズマを用いて、被処理物を処理するプラズマ処理装置である。
【0028】
本発明の第1の局面のプラズマ処理装置は、互いに対向する一対の電極と、一対の電極に高周波交流パルス電圧を印加することが可能な高周波交流パルス電源と、一対の電極に高周波交流パルス電圧よりも周波数が低い低周波交流パルス電圧を印加することが可能な低周波交流パルス電源とを備えている。
【0029】
また、本発明の第1の局面のプラズマ処理装置は、高周波交流パルス電源と一対の電極とが電気的に接続された状態と、低周波交流パルス電源と一対の電極とが電気的に接続された状態とを切換えることが可能なスイッチング回路とを備えている。
【0030】
また、本発明の第1の局面のプラズマ処理装置は、スイッチング回路が、高周波交流パルス電圧の印加の休止時間内に、低周波交流パルス電圧が一対の電極に印加されるように切換制御され、プラズマを発生させる。
【0031】
上記の構成によれば、大容量の高周波交流パルス電源を用いることなく、低周波交流パルス電源を用いて安定した高圧プラズマを生成および維持することができる。
【0032】
本発明の第2の局面のプラズマ処理装置は、互いに対向する一対の電極と、一対の電極に高周波交流パルス電圧を印加することが可能な高周波交流パルス電源と、一対の電極に直流パルス電圧を印加することが可能な直流パルス電源とを備えている。
【0033】
また、本発明の第2の局面のプラズマ処理装置は、高周波交流パルス電源と一対の電極とが電気的に接続された状態と、直流パルス電源と一対の電極との接続とが電気的に接続された状態とを切換えることが可能なスイッチング回路とを備えている。
【0034】
また、本発明の第2の局面のプラズマ処理装置は、スイッチング回路が、高周波交流パルス電圧の印加の休止時間内に、直流パルス電圧が一対の電極に印加されるように切換制御され、プラズマを発生させる。
【0035】
上記の構成によれば、大容量の高周波交流パルス電源を用いることなく、直流パルス電源を用いて安定した高圧プラズマを生成および維持することができる。
【0036】
本発明の第3の局面のプラズマ処理装置は、互いに対向する一対の電極と、一対の電極に高周波交流パルス電圧または連続高周波交流電圧を印加することが可能な高周波交流電源とを備えている。
【0037】
また、本発明の第3の局面のプラズマ処理装置は、一対の電極に高周波交流パルス電圧または連続高周波交流電圧よりも周波数が低い低周波交流パルス電圧を印加することが可能な低周波交流パルス電源と、高周波交流パルス電圧または連続高周波交流電圧と低周波交流パルス電圧とを重畳させる重畳回路と、を備えている。
【0038】
また、本発明の第3の局面のプラズマ処理装置は、重畳回路を通じて、一対の電極に高周波交流パルス電圧若しくは連続高周波交流電圧、及び低周波交流パルス電圧を所望の時刻で印加しプラズマを発生させる。
【0039】
上記の構成によれば、大容量の電源を用いることなく、高周波交流パルス電圧若しくは連続高周波交流電圧、及び低周波交流パルス電源を用いて安定した高圧プラズマを生成および維持することができる。また、上記の構成によれば、低周波交流パルス電圧を印加電極に印加した直後に高周波パルス電圧または連続高周波交流電圧を印加電極に印加することが可能となる。したがって、低周波交流パルス電圧で発生した荷電粒子を用いて、効率よく高周波交流パルス電圧または連続高周波交流電圧で反応ガス分子の分解を促進させることができる。その結果、効率的に被処理物を処理することが可能になる。
【0040】
本発明の第4の局面のプラズマ処理装置は、互いに対向する一対の電極と、一対の電極に高周波交流パルス電圧または高周波交流連続波電圧を印加することが可能な高周波交流電源とを備えている。
【0041】
また、本発明の第4の局面のプラズマ処理装置は、一対の電極に直流パルス電圧を印加することが可能な直流パルス電源と、高周波交流パルス電圧または連続高周波交流電圧と直流パルス電圧とを重畳させる重畳回路と、を備えている。
【0042】
また、本発明の第4の局面のプラズマ処理装置は、重畳回路を通じて、一対の電極に高周波交流パルス電圧若しくは連続高周波交流電圧、及び直流パルス電圧を所望の時刻で印加しプラズマを発生させる。
【0043】
上記の構成によれば、大容量の電源を用いることなく、高周波交流パルス電源若しくは連続高周波交流電源、及び直流パルス電源を用いて安定した高圧プラズマを生成および維持することができる。また、上記の構成にれば、直流パルス電圧を印加電極に印加した直後に高周波交流パルス電圧若しくは連続高周波交流電圧を印加電極に印加することが可能となる。したがって、直流パルス電圧で発生した荷電粒子を用いて、効率よく高周波交流パルス電圧若しくは連続高周波交流電圧で反応ガス分子の分解を促進させることができる。その結果、効率的に被処理物を処理することが可能になる。
【0044】
また、本発明のプラズマ処理装置は、直流パルス電圧および低周波交流パルス電圧を印加電極に印加するタイミングを調整するトリガ装置をさらに備えていてもよい。
【0045】
上記の構成によれば、直流波パルス電圧および低周波交流パルス電圧それぞれを所望のタイミングで印加電極に印加することができる。
【0046】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、スイッチング回路若しくは重畳回路と、高周波交流電源若しくは高周波交流パルス電源との間に、マッチングボックス、または、ハイパスフィルタが接続されていてもよい。
【0047】
上記の構成によれば、低周波交流電圧が高周波交流電源若しくは高周波交流パルス電源に到達してしまう不都合が防止される。
【0048】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、スイッチング回路若しくは重畳回路と、低周波交流パルス電源若しくは直流パルス電源との間に、ローパスフィルタをさらに備えていてもよい。
【0049】
上記の構成によれば、連続高周波交流電圧または高周波交流電圧が低周波交流パルス電源または直流パルス電源に到達してしまう不都合が防止される。
【0050】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、高周波交流パルス電圧の印加の休止時間内に、少なくとも2パルス以上の低周波交流パルス電圧若しくは直流パルス電圧を印加電極に印加するものであってもよい。
【0051】
上記の構成によれば、連続高周波交流電源または高周波交流パルス電源のみではプラズマを発生させるために必要な高電圧を印加することが困難であった反応ガス種および高圧反応ガス条件においても、低周波交流パルス電圧若しくは直流パルス電圧を用いてプラズマの発生に必要な高電圧を印加電極に印加することができる。
【0052】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置においては、直流パルス電源は、一対の電極のうち高周波交流パルス電圧を印加する電極が、その電極に対向する電極よりも高電位になるように接続されている。
【0053】
上記の構成によれば、一対の電極のうち高周波交流パルス電圧を印加する電極が、電極に対向する電極をアース電極として使用することができる。
【0054】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、高周波交流パルス電圧若しくは連続高周波交流電圧が印加される電極が、その電極に対向する電極に対して高電位になるように印加される第1直流パルス電圧と、高周波交流パルス電圧若しくは連続高周波交流電圧が印加される電極が、その電極に対向する電極に対して低電位になるように印加される第2直流パルス電圧とが、各々少なくとも1パルス以上印加電極に印加される。
【0055】
上記の構成によれば、高周波交流パルス電圧若しくは連続高周波交流電圧が印加されている時間の合間に、正負が逆転した直流パルス正電圧および直流パルス負電圧それぞれを印加することが可能である。その結果、直流パルス電圧を印加電極に印加したときに、被処理物にイオンが衝突する回数および正または負のうちの一方の電荷に被処理物が帯電する量を低減することができる。したがって、被処理物が損傷することを防止することができる。
【0056】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、一対の電極に高周波交流パルス電圧と直流パルス電圧とが、同時に、または、各パルスの印加時間の一部もしくは全部が互いに重なるように、印加電極に印加されるものであってもよい。
【0057】
上記の構成によれば、高周波交流パルス電圧を印加するタイミングと直流パルス電圧を印加するタイミングとを調整するための装置を設置する必要がなくなる。
【0058】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、一対の電極に連続高周波交流電圧と直流パルス電圧とが、同時に前記印加電極に印加されるものであってもよい。
【0059】
上記の構成によれば、連続高周波電圧を印加するタイミングと直流パルス電圧を印加するタイミングとを調整するための装置を設置する必要がなくなる。
【0060】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、一対の電極に高周波交流パルス電圧と低周波交流パルス電圧とが、同時に、または、各パルスの印加時間の一部もしくは全部が互いに重なるように、前記印加電極に印加されるものであってもよい。
【0061】
上記の構成によれば、高周波交流パルス電圧を印加するタイミングと低周波交流パルス電圧を印加するタイミングとを調整するための装置を設置する必要がなくなる。
【0062】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、一対の電極に連続高周波交流電圧と低周波交流パルス電圧とが、同時に、印加電極に印加されるものであってもよい。
【0063】
上記の構成によれば、連続高周波交流電圧を印加するタイミングと低周波交流パルス電圧を印加するタイミングとを調整するための装置を設置する必要がなくなる。
【0064】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、低周波交流電圧を印加するときにおいては、直流パルス電圧にて発生させた密度の高い荷電粒子および活性反応種を、交流電界の中で振動させることにより、密度が高いプラズマを発生させることが望ましい。そのため、本発明のプラズマ処理装置では、低周波交流電源の発振周波数を極力高くすることが望ましい。そのため、本発明のプラズマ処理装置では、低周波交流電圧の発振周波数を、1MHz以上にすることが望ましい。また、本発明のプラズマ処理装置では、低周波交流電源の消費電力を低減するという観点からは、低周波交流パルス電圧の発振周波数を、10GHz以下にすることが望ましい。したがって、本発明のプラズマ処理装置では、低周波交流電圧の周波数は、1MHz〜10GHzであることが望ましい。
【0065】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置では、直流パルス電圧にて発生した荷電粒子を交流パルス電圧または交流連続波電圧で効率良く分解を促進させるためにも、速やかに直流パルス電圧を立ち下げることが望ましい。そのため、本発明のプラズマ処理装置では、直流パルス電源の性能にもよるが、直流パルス電圧の1パルスの印加時間Tpは100msec以下であることが望ましい。
【0066】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置では、直流パルス電圧の繰返し周波数が高すぎると、高周波交流パルス電源と同様に、直流パルス電源の消費電力が大きくなる。また、本発明のプラズマ処理装置では、直流パルス電圧の繰返し周波数が低すぎると、各直流パルス電圧同士の合間の休止時間が長くなることによって、プラズマの発生およびプラズマ状態の維持が困難になる。そのため、本発明のプラズマ処理装置では、直流パルス電圧の周波数は10Hz〜1MHzであることが望ましい。
【0067】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、高周波交流パルス電圧または連続波交流電圧を印加するときにおいては、直流パルス電圧にて発生させた密度の高い荷電粒子および活性反応種を、交流電界の中で振動させることにより、密度が高いプラズマを発生させることが望ましい。そのため、本発明のプラズマ処理装置では、高周波交流パルス電源または連続波交流電源の発振周波数を極力高くすることが望ましい。そのため、本発明のプラズマ処理装置では、高周波交流パルス電圧または連続波交流電圧の発振周波数を、1MHz以上にすることが望ましい。また、本発明のプラズマ処理装置では、交流電源の消費電力を低減するという観点からは、高周波交流パルス電圧または連続波交流電圧の発振周波数を、10GHz以下にすることが望ましい。したがって、本発明のプラズマ処理装置では、高周波交流パルス電圧または連続高周波交流電圧の周波数は、1MHz〜10GHzであることが望ましい。
【0068】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、一対の電極同士の間に被処理物を載置可能なステージが設けられているか、または、一対の電極のうちのいずれか一方が、被処理物が載置されるステージとして使用されれば、プラズマ処理装置の容器内体積を小さくすることができる。
【0069】
本発明の第5の局面のプラズマ処置装置は、互いに対向する一対の電極と、一対の電極同士の間の空間に挿入された誘電体または絶縁体とを備えている。本発明の第5の局面のプラズマ処置装置は、一対の電極と該誘電体または絶縁体とにより電力伝達経路が構成されるとともに、一対の電極と誘電体または絶縁体とが一対をなして露出する部分が電力伝達経路の開放端となっており、その開放端近傍にプラズマを発生させる。
【0070】
上記の構成によれば、一対の電極が互いに対向する部分以外の位置に被処理物を設置することが可能になるため、被処理物の設置態様の自由度が増加する。
【0071】
本発明の第6の局面のプラズマ処理装置は、印加電極の外部から開放端にプラズマを発生させるためのガスを導くガス供給経路を備えており、ガス供給経路は、印加電極内を通過するとともに、ガス供給経路の終端が、開放端の印加電極表面に面するように構成されている。
【0072】
上記の構成によれば、高電界が発生する開放端にプラズマを発生させるためのガスを効率的に供給することができる。
【0073】
前述のガス供給経路は、開放端の電極表面に、複数の供給口が面するように構成されていれば、開放端に均一にプラズマを発生させるためのガスを供給することが可能になる。
【0074】
前述の開放端が、一対の電極の一方、誘電体または絶縁体、および、一対の電極の他方の組み合わせからなり、その組み合わせは複数設けられていれば、プラズマを発生させるために必要となる高電界を効率的に生成することが可能となる。
【0075】
前述の一対の電極のうち少なくともいずれか一方が複数に分岐していれば、プラズマを発生させるための電力伝達経路の開放端を複数箇所に設けることができるため、プラズマの発生に必要な高電界を複数箇所に発生させることができる。
【0076】
上述の本発明のプラズマ処理装置は、前述の開放端と対向する位置にステージが設けられていてもよい。
【0077】
本発明の第7の局面のプラズマ処理装置は、互いに対向する一対の電極と、接地電位に固定されたアース電極とを備えており、一対の電極が、プラズマを発生させるための部分以外の部分においては、接地電極に接続された電極に覆われるように構成されている。
【0078】
上記の構成によれば、一対の電極が外部の電磁波から遮蔽されるため、プラズマ処理装置において生じる電磁障害が防止される。
【0079】
本発明の第8の局面のプラズマ処理装置は、互いに対向する一対の電極を備えており、一対の電極が、交流電源に接続された交流電源用電極と、直流電源に接続された直流電源用電極とを含むものであってもよい。
【0080】
上記の構成によれば、交流電源と直流電源とを切換えるための回路を設ける必要がないため、プラズマ処理装置の回路構成を簡略化することができる。
【0081】
さらに、上述の本発明のプラズマ処理装置が反応容器を備えていれば、一対の電極の周囲に所望のガス雰囲気を維持することができる。
【0082】
また、本発明のプラズマ処理方法は、前述のプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法であって、容器内のガスの圧力が0.1気圧〜10気圧の状態で前記被処理物が処理される方法である。
【0083】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態のプラズマ処理装置を、図に基づいて説明する。
【0084】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1のプラズマ処理装置の概略構成図である。図2は、図1のII−II線断面図である。図3は、図2のIII−III線断面図であり、プラズマ処理装置の印加電極の下面図である。
【0085】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、図1〜図3に示すように、次のような構造である。高周波交流パルス電源12および直流パルス電源13それぞれが、スイッチング回路11を介して、反応容器10内に設けられた印加電極1に電気的に接続されている。印加電極1は、その側面が絶縁体2を介してアース電極3で覆われている。
【0086】
印加電極1とアース電極3との間で電力伝達経路が形成されている。印加電極1およびアース電極3の基板8に対向する部分により、電力伝達経路の開放端が形成されている。本実施の形態のプラズマ処理装置は、印加電極1電力伝達経路の開放端およびアース電極3の電力伝達経路の開放端の双方が被覆絶縁体17で被覆されているが、印加電極1の開放端およびアース電極3の開放端のうち少なくともいずれか一方が被覆絶縁体17で被覆されていればよい。
【0087】
さらに、印加電極1の内部には、外部からガスが供給されるガス供給ライン6、ガスが滞留するバッファ5、およびガスが基板8に向かって噴出されるガス供給口4が設けられている。ガス供給ライン6、バッファ5、およびガス供給口4内を通過するガスが、電力伝達経路の開放端の近傍に供給される。さらに、電力伝達経路の開放端に対向する位置であって、ステージ9上に被処理物としての基板8が載置されている。
【0088】
また、高周波交流パルス電源12にはトリガ装置50Aが接続され、直流パルス電源13にはトリガ装置50Bが接続されている。トリガ装置50Aを用いて、高周波交流パルス電源12が出力するパルスのタイミングを調整することが可能になっている。また、トリガ装置50Bを用いて、直流パルス電源13が出力するパルスのタイミングを調整することが可能になっている。
【0089】
本実施の形態のプラズマ処理装置によれば、前述の電力伝達経路の開放端近傍に、プラズマ7を発生させることにより、電力伝達経路の開放端に対向する位置に設置された基板8に薄膜の形成を行うことが可能である。また、本実施の形態のプラズマ処理装置を用いて、基板8の表面に形成された薄膜の加工、また基板8自体の加工を行ってもよい。さらに、本実施の形態のプラズマ処理装置を用いて、基板8の表面の処理を行ってもよい。
【0090】
その際、高周波交流パルス電源12から発振された高周波交流パルスの各パルス間に、直流パルス電源13から発振された直流パルスが挿入されるように、高周波交流パルス電源12および直流パルス電源13を用いて、印加電極1に電圧を印加する。この場合の印加電極1に印加された電圧波形を図4に示す。
【0091】
スイッチング回路11の接続、および、トリガ装置50A,50Bによるタイミングの調整を行った後、印加電極1に対し高周波交流パルス電圧Rを印加する。また、高周波交流パルス電圧R同士の合間に、少なくとも2パルス以上連続して、印加電極1に対し直流パルス正電圧P1を印加する。直流パルス正電圧とは、印加電極1がアース電極3より高電位になるように印加された直流パルス電圧を意味するものとする。さらに、印加電極1がアース電極3に対して低電位になる直流パルス電圧を直流パルス負電圧P2とし、直流パルス正電圧P1、直流パルス負電圧P2をあわせて直流パルス電圧Pとする。
【0092】
プラズマを発生させるために高電圧および強電界を必要とする反応ガス種および高圧反応ガス条件等においては、マイクロ波電源またはRF(Radio Frequency)電源等の高周波交流パルス電源12のみでは、マッチングボックス等の許容電圧を越える大きな電圧を印加することができない。
【0093】
そのため、印加電極1に印加される電圧の波形がパルス波であるかまたは連続波であるかに関わらず、印加電極1にプラズマ発生電界に達する程度の大きさの電圧を印加することができない。また、必要とされる電源容量が非常に大きくなるとともに、プラズマ処理装置の電源のコストが大きくなるという問題が生じる。
【0094】
また、直流パルス電源13を用いる場合、比較的安価な電源価格にて、前述の高周波交流パルス電源12ではプラズマ発生が困難な反応ガス種および高圧反応ガス条件においても、プラズマを発生させることが可能な電圧を発生させることができる。しかしながら、直流パルス電源13では、発生したプラズマの密度が低い。
【0095】
そのため、本実施の形態のプラズマ処理装置は、図4に示すように、各高周波交流パルス電圧R同士の合間に、少なくとも2パルス以上連続して直流パルス正電圧P1が印加されるように構成されている。それにより、高周波交流パルス電源12のみでは、電源およびマッチングボックス等の容量限界からプラズマを発生させるために必要な高電圧を印加することが困難であった反応ガス種および高圧反応ガス条件においても、直流パルス正電圧P1を用いてプラズマの発生に必要な高電圧を印加電極1に印加することができる。それにより、荷電粒子を印加電極1の近傍に発生させることができる。
【0096】
また、前述の直流パルス正電圧P1のみで発生させることができる荷電粒子密度および活性反応種密度は小さい。本実施の形態のプラズマ処理装置においては、更に高周波交流パルス電圧Rを印加電極1に印加する結果、高周波電界により荷電粒子の衝突が増大することにより、プラズマ中の荷電粒子密度および活性反応種密度が増大する。
【0097】
これにより、本実施の形態のプラズマ処理装置によれば、高周波交流パルス電源12のみでは、電源およびマッチングボックス等の容量限界からプラズマ7の発生に必要な高電圧の発生が困難であった反応ガス種および高圧反応ガス条件においても、容易にプラズマ7を発生させることができる。また、本実施の形態のプラズマ処理装置によれば、直流パルス電源13のみでは困難であった高い荷電粒子密度および活性反応種密度のプラズマ7を発生させることができる。
【0098】
また、高周波交流パルス電圧Rの整流を行って直流電圧を発生させる従来のプラズマ処理装置では、発生した直流パルス電圧Qは高周波交流パルス電圧Rの振幅に等しい。そのため、結局プラズマ7を発生させるための直流電圧を発生させる為に、高価な大容量の高周波交流パルス電源12を必要とする。
【0099】
しかしながら、安価な直流パルス電源13でプラズマ7の発生を行うとともに、高周波交流パルス電源12でプラズマ7の分解の促進を行う本実施の形態のプラズマ処理装置では、プラズマ7を発生させるために大容量の高周波交流パルス電源12を必要としない。その結果、高周波交流パルス電源12のコストが低減される。
【0100】
また、従来のプラズマ処理装置では、主放電電極に高周波交流パルス電圧および予備放電電極に直流パルス電圧を印加する、すなわち、一対の電極のうち一方の電極に高周波交流パルス電圧を印加するとともに、一対の電極のうち他方に直流パルス電圧を印加する。
【0101】
しかしながら、本実施の形態のプラズマ処理装置では、同じ印加電極1に直流パルス正電圧P1および高周波交流パルス電圧Rを印加する。そのため、本実施の形態のプラズマ処理装置は、電極構造が簡単になり、かつ、基板8の面内方向の均一性が向上するとともに、プラズマ処理装置の製造コストが低減される。
【0102】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、直流パルス電圧が印加電極1に印加される時点では、印加電極1およびアース電極3のうち少なくともいずれか一方は被覆絶縁体17により被覆されている。そのため、印加電極1とアース電極3とにより構成されるコンデンサに最大容量の電荷が蓄積された後は、印加電極1とアース電極3との間で電流が流れないため、直流パルス電源13は仕事をしない。
【0103】
したがって、プラズマ7中に発生した荷電粒子を基板8などに故意に衝突させる場合を除いて、印加電極1とアース電極3とにより構成されるコンデンサの最大容量の電荷が蓄積された後は、速やかに直流パルス電圧Pを立ち下げることが望ましい。
【0104】
また、直流パルス電圧Pにて発生した荷電粒子を高周波交流パルス電圧Rで効率良く分解を促進させるためにも、速やかに直流パルス電圧Pを立ち下げることが望ましい。また、直流パルス電源13の性能にもよるが、直流パルス電圧Pの1パルスの印加時間Tpは100msec以下であることが望ましい。
【0105】
また、前述の直流パルス電圧Pのパルスの周波数が高すぎると、高周波交流パルス電源12と同様に、直流パルス電源13のコストが高くなる。また、前述の直流パルス電圧のパルスの周波数が低すぎると、各直流パルス電圧P同士の合間の休止時間Toが長くなることによって、プラズマ7の発生およびプラズマ7の状態の維持が困難になる。そのため、直流パルス電圧Pのパルスの周波数は10Hz〜1MHzであることが望ましい。
【0106】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置では、高周波交流パルス電圧Rを印加電極1に印加したときにおいては、直流パルス正電圧P1を用いて発生させた密度の高い荷電粒子および活性反応種を、高周波の電界の中で振動させることにより、密度が高いプラズマを発生させることが望ましい。そのため、本実施の形態のプラズマ処理装置では、高周波交流パルス電圧Rの発振周波数を極力高くすることが望ましい。そのため、本実施の形態のプラズマ処理装置では、高周波交流パルス電圧Rの発振周波数を、1MHz以上にすることが望ましい。
【0107】
また、図5に示すように、高周波交流パルス電圧R同士の合間に、少なくとも2パルス以上連続して直流パルス負電圧P2を印加することによっても、少なくとも2パルス以上連続して直流パルス正電圧P1を印加する場合と同様の効果を得ることができる。ここで、直流パルス負電圧P2とは、印加電極1がアース電極3に対して低電位になる直流パルス電圧を意味する。
【0108】
図4に示す直流パルス正電圧P1を印加電極1に印加したときには、印加電極1には負イオンまたは電子が衝突するとともに、アース電極3には正イオンが衝突する。逆に、図5に示す直流パルス負電圧P2を印加電極1に印加したときには、印加電極1には正イオンが衝突するとともに、アース電極3には負イオンまたは電子が衝突する。
【0109】
したがって、基板8、印加電極1、アース電極3、および絶縁体2の、スパッタリングの度合いおよび帯電の度合い等に応じて、図4に示す直流パルス正電圧P1および図5に示す直流パルス負電圧P2を印加電極1に印加する態様を選択することが望ましい。また、直流パルス負電圧P2、高周波交流パルス電圧Rなどのパルスの周波数、および、パルスを印加する時間は、図4に示された値と同様であることが望ましい。
【0110】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、図6に示すように、各高周波交流パルス電圧R同士の合間に、互いに正と負とが逆転した直流パルス正電圧P1および直流パルス負電圧P2を合計2パルス以上印加電極1に印加することも可能である。直流パルスの正電圧と負電圧とを繰り返して印加電極1に印加することにより、直流パルス電圧Pを印加したときに、印加電極1または基板8にイオンが衝突する回数および印加電極1または基板8が正負のいずれか一方の電荷に帯電する量を低減することができる。
【0111】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、図7に示すように、高周波交流パルス電圧Rの印加の少なくとも1つ以上の休止時間に、直流パルス電圧Qが印加電極1に全く印加されないようにしてもよい。このように直流パルス電圧を印加しない高周波パルス電圧Rの休止時間を設けることにより、不必要な電力を直流パルス電源13で消費することが防止することができる。そのため、プラズマ処理装置の消費電力を低減することができる。
【0112】
また、一旦プラズマ7が直流パルス電圧により発生すれば、新たに直流パルス電圧Pを印加しなくても、高周波交流パルス電圧Rのみで安定したプラズマ7の状態が持続される場合がある。その場合においては、図8に示すように、高周波交流パルス電圧R同士の合間の高周波交流パルス電圧Rの印加の休止時間に、直流パルス正電圧P1を印加電極1に印加することを中止するようにしてもよい。それにより、不必要な電力が直流パルス電源13で消費されることを防止することができる。
【0113】
さらに、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、図9〜図11に示すように、1パルスの直流パルス正電圧P1の印加によりプラズマ7が確実に発生する場合には、各高周波交流パルス電圧R同士の合間に1パルスの直流パルス正電圧P1を印加電極1に印加するだけでよい。このようにすることにより、直流パルス電源13にて不必要な電力を消費することが防止される。
【0114】
さらに、直流パルス電源13の代りに、低周波交流パルス電源が設置されたプラズマ処理装置では、図12に示すように、各高周波交流パルス電圧R同士の合間に、低周波交流パルス電圧Qが印加電極1に印加される。この低周波交流パルス電圧Qを用いてプラズマ7を発生させることにより、荷電粒子を印加電極1の近傍に発生させる。その後、高周波交流パルス電圧Rを用いて荷電粒子同士の衝突回数を増加させる。
【0115】
その結果、プラズマ7中の荷電粒子密度および活性反応種密度を大きくすることもできる。このプラズマ処理装置によっても、比較的安価な低周波交流パルス電源でプラズマ7を発生させることができるため、比較的高価な高周波交流パルス電源12の容量を低くすることができる。その結果、プラズマ処理装置の製造コストが低減される。
【0116】
さらに、前述のように直流パルス電源13を用いる場合とは異なり、試料および電極に対する荷電粒子の衝突回数および帯電量が小さくなる。そのため、試料および電極のダメージの少ない処理を行うことができる。
【0117】
また、低周波交流パルス電圧Qの周波数は、周波数が高すぎると高周波交流パルス電源12と同様に電源コストが高くなる。また、低周波交流パルス電圧Qの周波数は、周波数が低すぎるとプラズマ7の発生およびプラズマ7の状態の維持が困難になる。そのため、低周波交流パルス電圧Qの交流周波数は、10Hz〜1MHzであることが望ましい。
【0118】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置は、図13に示すように、高周波交流パルス電圧R同士の合間の休止時間のうち少なくとも1つ以上の休止時間において、低周波交流パルス電圧Qが印加電極1に印加されない低周波交流パルス電圧Qの休止時間が設けられたものであってもよい。
【0119】
このようにすることにより、不必要な電力を低周波交流パルス電源で消費することがない。そのため、プラズマ処理装置の消費電力を低減させることができる。
【0120】
また、図14に示すように、低周波交流パルス電圧Qによりプラズマ7が発生した後、一旦プラズマ7の状態が安定すれば低周波交流パルス電圧Qを印加しなくても、高周波交流パルス電圧Rを用いて安定したプラズマ7の状態を持続することができる場合がある。その場合においては、高周波交流パルス電圧Rの休止時間に低周波交流パルス電圧Qを印加することを中止する。それにより、不必要な電力が低周波交流パルス電源において消費されることを防止することができる。
【0121】
(実施の形態2)
また、図15は、本発明の実施の形態2のプラズマ処理装置の概略構成図である。
【0122】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、図1に示す実施の形態1のスイッチング回路11の代わりに、図15に示すように、ローパスフィルタ14、重畳回路(結合部)15、および、マッチングボックスまたはハイパスフィルタ16を備えている。その他の構成は、図1に示す実施の形態1のプラズマ処理装置と同様の構成である。
【0123】
なお、実施の形態1のプラズマ処理装置の説明において用いた符号と同一の符号を付した部分は、実施の形態1のプラズマ処理装置の該当部分と同様の機能を果たす部分であるため、その説明は繰返さない。
【0124】
プラズマ処理装置は、図15に示すように、重畳回路(結合部)15およびマッチングボックス16を介して、高周波交流パルス電源12が印加電極1に接続されている。また、プラズマ処理装置は、図15に示すように、重畳回路(結合部)15およびローパスフィルタ14を介して、直流パルス電源13が印加電極1に接続されている。
【0125】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、印加電極1とアース電極3との間にプラズマを発生させるとき、図4に示すように、高周波交流パルス電源12から出力された各高周波交流パルス電圧R同士の合間に、直流パルス電源13から出力された直流パルス正電圧P1が挿入されるように、印加電極1に電圧が印加される。
【0126】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、高周波交流パルス電源12のみではプラズマ7が発生する程度の電界を生じさせることが困難な反応ガス種および高圧反応ガスを用いる場合においては、直流パルス電源13から出力された高い値の直流パルス正電圧P1を印加電極1に印加することにより、プラズマを発生させる。それにより、荷電粒子を印加電極1の近傍に発生させた後に、高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rを用いて、荷電粒子の気体分子等への衝突を発生し易くする。その結果、プラズマ7中の荷電粒子密度および活性反応種密度が増加する。このことに関しては、本実施の形態のプラズマ処理装置と実施の形態1のプラズマ処理装置とは同様である。
【0127】
ただし、実施の形態1のプラズマ処理装置では、印加電極1に印加される、高周波交流パルス電圧Rと直流パルス正電圧P1または低周波交流パルス電圧Qとを切換える場合に、スイッチング回路11の切換速度に上限があるため、高周波交流パルス電圧Rと直流パルス正電圧P1との間の空き時間は一定時間以上短くすることができない。
【0128】
そこで、本実施の形態のプラズマ処理装置では、図15に示すように、重畳回路(結合部)15によって高周波交流パルス電源12に接続された電力伝達経路と直流パルス電源13に接続された電力伝達経路とを重畳回路(結合部)15を用いて結合させている。それにより、高周波交流パルス電源12および直流パルス電源13は、常に、印加電極1に接続された状態となる。
【0129】
そのため、高周波交流パルス電圧Rと直流パルス正電圧P1との合間の時間を実施の形態1のプラズマ処理装置よりも短くすることができる。その結果、直流パルス正電圧P1を印加電極1に印加した直後に、高周波パルス電圧Pを印加電極1に印加することが可能となる。したがって、直流パルス正電圧P1が用いられて発生した荷電粒子を、効率良く高周波パルス電圧で反応ガス分子の分解を促進させることができる。
【0130】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置は、重畳回路(結合部)15と高周波交流パルス電源12との間に、マッチングボックスまたはハイパスフィルタ16が設置されている。そのため、直流パルス電源13から出力された直流パルス正電圧P1が高周波交流パルス電源12まで伝達されることが防止されている。
【0131】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置は、重畳回路(結合部)15と直流パルス電源13との間に、ローパスフィルタ14が設置されている。そのため、高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rが直流パルス電源13に伝達されることが防止されている。
【0132】
また、図15に示す本実施の形態のプラズマ処理装置においても、図5〜図14に示す電圧波形を印加電極1に印加することにより、プラズマを発生させることができる。
【0133】
さらに、本実施の形態のプラズマ処理装置は、図15に示すように、重畳回路(結合部)15によって高周波交流パルス電源12および直流パルス電源13と印加電極1とが1つの電力伝達経路に結合されている。そのため、図16〜図18に示すように、高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rの印加時間中に直流パルス電源13から出力された直流パルス電圧を同時に印加することができる。その結果、直流パルス電圧Qで発生した荷電粒子を用いて、効率よく高周波交流パルス電圧Rで反応ガス分子の分解を促進させることができる。
【0134】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、図19に示すように、高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rの印加時間と、直流パルス電源13から出力された直流パルス電圧の印加時間とを一部分のみ重ね合わせることが可能である。
【0135】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、高周波交流パルス電圧Rを印加電極1に印加している時間全てにおいて、直流パルス正電圧P1を印加する必要はない。そのため、必要に応じて直流パルス正電圧P1が印加されるパルス周波数を調整することにより、不必要な電力が直流パルス電源13で消費されることを防止することができる。
【0136】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、プラズマ7が一旦発生した後に、高周波交流パルス電圧Rを印加電極1に印加するだけで、直流パルス電圧Qを印加電極1に印加しなくても、安定してプラズマ7の状態が持続される場合がある。その場合には、直流パルス正電圧P1を印加電極1に印加することを停止することにより、不必要な電力が直流パルス電源13で消費されることを防止することができる。
【0137】
また、さらに、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、図15において高周波交流パルス電源12の代りに、連続高周波交流電源18を設置し、図20および図21に示すように、各連続高周波交流電圧Sが印加されている期間に、連続高周波交流電圧Sに重ねて、直流パルス正電圧P1、または、直流パルス正電圧P1および直流パルス負電圧P2を印加電極1に印加することも可能である。この場合、必要に応じて直流パルス電源13が出力する直流パルス電圧Pの出力タイミングおよび連続高周波交流電源18が出力する連続高周波交流電圧Sのタイミングを調整するトリガ装置を設置しなくてもよい。
【0138】
このようにすることにより、高周波交流パルス電圧Rと異なり、パルス印加の休止時間における荷電粒子の減少を低減することができるため、効率的な反応ガスの分解を行うことができる。しかしながら、連続高周波交流電圧Sを印加電極1に印加し続けることにより、過度に反応ガスの分解が進行する。したがって、アーク放電などが生じる場合には、連続高周波交流電圧Sではなく、前述の高周波交流パルス電圧Rを印加電極1に印加してもよい。
【0139】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、プラズマ7が発生した後に、直流パルス正電圧P1、または、直流パルス正電圧P1および直流パルス負電圧P2を印加しなくても安定して連続高周波交流電圧Sによってプラズマ7の状態が維持されるならば、プラズマ7が発生した後に、直流パルス電源13を用いて、直流パルス正電圧P1、または、直流パルス正電圧P1および直流パルス負電圧P2を印加電極1に印加すること、を中止することにより、不必要な電力が直流パルス電源13で消費されることを防止することができる。
【0140】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、図15に示す高周波交流パルス電源12の代りに連続高周波交流電源18を設置するとともに、直流パルス電源13の代りに低周波交流パルス電源を設置することが可能である。このようなプラズマ処理装置において、図22に示すように、連続高周波交流電圧Sの印加時間中に低周波交流パルス電圧Qを印加する。それにより、高周波交流パルス電圧Rと異なり、パルス印加の休止時間における荷電粒子の減少が防止されるとともに、荷電粒子の基板8への衝突が抑制される。
【0141】
(実施の形態3)
また、図23は、本発明の実施の形態3のプラズマ処理装置の概略構成図である。図24は、図23のXXIV−XXIV線断面図であり、プラズマ処理装置の印加電極の下面図である。
【0142】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、図23に示すように、大面積の印加電極1Aおよび接地ステージ9Aが設けられている。本実施の形態のプラズマ処理装置は、大面積の印加電極1Aおよび接地ステージ9A以外の構成は、実施の形態2に示されたプラズマ処理装置とほぼ同様である。
【0143】
なお、実施の形態1のプラズマ処理装置の説明において用いた符号と同一の符号を付した部分は、実施の形態1のプラズマ処理装置の該当部分と同様の機能を果たす部分であるため、その説明は繰返さない。
【0144】
本実施のプラズマ処理装置においては、接地ステージ9Aが接地されている。また、大面積の印加電極1Aに対して、図4に示すような高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rの各パルス間に、直流パルス電源13から出力された直流パルス正電圧P1が、印加電極1に印加された場合に、印加電極1Aと接地ステージ9Aとの間でプラズマ7が発生する。なお、本実施の形態のプラズマ処理装置は、大面積の印加電極1Aと接地ステージ9Aとが対向する部分の面積が、実施の形態1および2のプラズマ処理装置の印加電極1とステージ9とが対向する部分の面積よりも広い。
【0145】
また、反応容器10内に高圧反応ガスが充填された状態で、高周波交流パルス電源12および連続高周波交流電源18のみでは基板8の全面にプラズマを発生させることが困難な場合には、直流パルス電源13から出力された直流パルス正電圧P1によりプラズマ7を発生させるために必要な高電圧を大面積の印加電極1Aに印加する。
【0146】
それにより、基板8の主表面の全体にわたってプラズマ7を発生させることができる、すなわち、荷電粒子を大面積の印加電極1Aの主表面の全体にわたって発生させることができる。その結果、高周波交流パルス電源12により形成された高周波電界により荷電粒子の気体分子等への衝突数が増加する。それにより、基板8の全面のプラズマ7中の荷電粒子密度および活性反応種密度が大きくなる。
【0147】
なお、印加電極1に印加する電圧は上記した電圧に限定されず、実施の形態1および2のプラズマ処理装置に用いられた電圧波形を目的に応じて選択して、印加電極1に印加することが可能である。
【0148】
(実施の形態4)
また、図25は、本発明の実施の形態4のプラズマ処理装置の概略構成図である。図26は、図25のXXVI−XXVI線断面図であり、印加電極の下面図である。本実施の形態のプラズマ処理装置は、分岐型の印加電極1Bを備えている。
【0149】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、図25に示すように、分岐型の印加電極1B以外の構成は、実施の形態1および2に示されたプラズマ処理装置の構成とほぼ同様である。
【0150】
なお、実施の形態1〜3のプラズマ処理装置の説明において用いた符号と同一の符号を付した部分は、実施の形態1〜3のプラズマ処理装置の該当部分と同様の機能を果たす部分であるため、その説明は繰返さない。
【0151】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、高周波交流パルス電源12が接続された分岐型の印加電極1Bが絶縁体2を介してアース電極3により覆われている。印加電極1とアース電極3とにより電力伝達経路が形成されている。印加電極1とアース電極3とが基板8に対向する部分において電力伝達経路の開放端が構成されている。また、分岐型の印加電極1Bおよびアース電極3のうち少なくともいずれか一方は被覆絶縁体17で被覆されている。さらに、前述の電力伝達経路の開放端に対向する位置にはステージ9に設置された基板8が配置されている。
【0152】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、分岐型の印加電極1Bとアース電極3とが対向する部分の面積が、実施の形態1および2のプラズマ処理装置の印加電極1とアース電極3とが対向する部分の面積よりも広い。また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、反応容器10内に高圧反応ガスが充填された状態において、高周波交流パルス電源12および連続高周波交流電源18のみでは電力伝達経路の開放端の全面にプラズマ7を発生させる事が困難な場合がある。この場合には、直流パルス電源13から出力された直流パルス正電圧P1によりプラズマ発生に必要な高電圧を分岐型の印加電極1Bに印加する。それにより、電力伝達経路の開放端の全面にわたってプラズマ7を発生させることができる。
【0153】
そのため、高周波交流パルス電源12から出力された高周波電界により荷電粒子の気体分子等への衝突数が増加する。その結果、基板8の全面にわたってプラズマ7中の荷電粒子密度および活性反応種密度を増大させることができる。
【0154】
また、プラズマへ印加される電圧は上記の電圧には限定されず、実施の形態1〜3に示された電圧波形を目的に応じて選択して、印加電極1に印加することが可能である。
【0155】
(実施の形態5)
図27は、本発明の実施の形態5のプラズマ処理装置の概略構成図である。本実施の形態のプラズマ処理装置は、図27に示すように、高周波用電極19および低周波用電極20を備えている。本実施の形態のプラズマ処理装置は、高周波用電極19および低周波用電極20以外の構成については、実施の形態1〜4のプラズマ処理装置とほぼ同様である。
【0156】
なお、実施の形態1〜4のプラズマ処理装置の説明において用いた符号と同一の符号を付した部分は、実施の形態1〜4のプラズマ処理装置の該当部分と同様の機能を果たす部分であるため、その説明は繰返さない。
【0157】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、図27に示すように、高周波交流パルス電源12が接続された高周波用電極19と直流パルス電源13が接続された低周波用電極20とが互いに絶縁体2を介して対向している。また、高周波用電極19および低周波用電極20は絶縁体2を介してアース電極3で覆われている。また、高周波用電極19とアース電極3との間で電力伝達経路が構成されている。また、低周波用電極20とアース電極3との間でも電力伝達経路が構成されている。
【0158】
また、高周波用電極19、低周波用電極20およびアース電極3の基板8に対向する部分が電力伝達線路の開放端となっている。また、高周波用電極19、低周波用電極20およびアース電極3の電力伝達経路の開放端は、被覆絶縁体17で被覆されている。
【0159】
高周波電極19の内部には、外部からガスが供給されるガス供給ライン6、ガスが滞留するバッファ5、および、基板8へガスを噴出するガス供給口4が設けられている。また、高周波用電極19とアース電極3とにより構成される電力伝達経路の開放端の近傍にガスが供給される。さらに、前述の電力伝達経路の開放端に対向する位置にステージ9に搭載された基板8が配置されている。
【0160】
また、高周波交流パルス電源12はトリガ装置50Aに接続されている。また、直流パルス電源13は、トリガ装置50Bに接続されている。そのトリガ装置50Aにより高周波交流パルス電源12から発振されたパルス電圧のタイミングが調整されている。また、トリガ装置50Bにより直流パルス電源13から発振されたパルス電圧のタイミングが調整されている。
【0161】
本実施の形態のプラズマ処理装置においては、高周波用電極19とアース電極3との間で形成される電力伝達経路の開放端にプラズマ7が発生する。それにより、前述の電力伝達経路の開放端に対向する位置に設置された基板8に薄膜の形成が行われるか、薄膜の加工、または基板8自体の加工が行われる、または、基板8の表面の処理等が行われる。
【0162】
その際、高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rの各パルス間に、直流パルス電源13から出力された直流パルス電圧Pが前述の低周波用電極20に印加される。そのとき、プラズマ7に印加される電圧波形は、図4〜図11に既に示された電圧波形である。ここで、高周波用電極19に印加される電圧波形は、図4〜図11中に示される様な高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rであり、同時に低周波用電極20に印加される電圧波形は、図4〜図11中に示される様な直流パルス電源13から出力された直流パルス電圧Pであるが、プラズマ7においてはその電界が重畳され、図4〜図11に示される様な電圧波形になるのである。
【0163】
たとえば、本実施の形態のプラズマ処理装置は、図4に示すように、高周波用電極19に高周波交流パルス電圧Rが印加されるとともに、低周波用電極20に直流パルス正電圧P1が印加される。また、前述の高周波交流パルス電圧R同士の合間に、少なくとも2パルス以上連続して直流パルス正電圧P1が印加される。
【0164】
それにより、高周波交流パルス電源12のみでは、マッチングボックス等の容量の観点からの制限により、プラズマ7を発生させるために必要な高電圧を発生させることが困難であった反応ガス種および高圧反応ガス条件においても、直流パルス正電圧P1を低周波用電極20に印加することにより、プラズマ7を発生させることができる。それにより、荷電粒子を印加電極1の近傍に発生させることができる。
【0165】
また、前述の直流パルス正電圧P1のみで発生できる荷電粒子密度および活性反応種密度は小さい。そのため、高周波交流パルス電圧Rを高周波用電極19に印加することにより、高周波電界により荷電粒子の衝突数を増加させることができる。その結果、プラズマ7中の荷電粒子の密度および活性反応種の密度を大きくすることができる。
【0166】
さらに、本実施の形態のプラズマ処理装置は、1つの電極に対し高周波交流パルス電圧Rおよび直流パルス正電圧P1を印加する場合に比べて、電極構造は複雑になるが、スイッチング回路11および重畳回路15を必要しないため、電源回路が簡略化される。また直流パルス電源の代りに低周波交流電源を接続し、低周波交流パルス電圧Qを低周波用電極20に印加してもよい。
【0167】
本実施の形態のプラズマ処理装置においては、1つの印加電極に高周波交流パルス電圧Rおよび直流パルス電圧Pまたは低周波交流パルス電圧Qが印加されるのではなく、高周波用電極19に高周波交流パルス電圧Rまたは連続高周波交流電圧Sが印加されるとともに、低周波用電極20に低周波交流パルス電圧Qまたは直流パルス電圧Pが印加される。そのため、高周波交流パルス電圧Rまたは連続高周波交流電圧Sが印加電極1に印加されるタイミングと、直流パルス電圧Pまたは低周波交流パルス電圧Qが印加電極に印加されるタイミングとの関係は、実施の形態1〜4のプラズマ処理装置の直流パルス電圧Pまたは低周波交流パルス電圧Qが印加電極に印加されるタイミングとの関係と同様である。
【0168】
(実施の形態6)
また、図28は、本発明の実施の形態6のプラズマ処理装置の概略構成図である。図28に示すプラズマ処理装置は、大面積の高周波用電極19Aおよび低周波用電極20を備えている。本実施の形態のプラズマ処理装置は、大面積の高周波用電極19Aおよび低周波用電極20以外の構成については、実施の形態1〜5のプラズマ処理装置と同様である。
【0169】
なお、実施の形態1〜5のプラズマ処理装置の説明において用いた符号と同一の符号を付した部分は、実施の形態1〜5のプラズマ処理装置の該当部分と同様の機能を果たす部分であるため、その説明は繰返さない。
【0170】
図28に示すように、高周波交流パルス電源12が接続された大面積の高周波用電極19Aおよび直流パルス電源13が接続された低周波用電極20がともに絶縁体2を介してアース電極3で覆われている。また、接地ステージ9Aは、接地されているとともに、大面積の高周波交流用電極19Aに対向するように設置されている。
【0171】
本実施の形態のプラズマ処理装置においても、実施の形態5のプラズマ処理装置と同様に、大面積の高周波用電極19Aに、図4に示す高周波交流パルス電圧Rが印加される。それにより、低周波用電極20に、直流パルス正電圧P1が、各高周波交流パルス電圧R間に少なくとも2パルス以上連続して印加される。その結果、高周波用電極19Aと接地ステージ9Aとの間でプラズマ7が発生し、そのプラズマ7が用いられて、薄膜の形成、薄膜の加工、又は基板8自体の加工、または、基板表面の処理等が行われる。
【0172】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、高周波用電極19Aと接地された接地ステージ9Aとが対向する部分の面積が、実施の形態1および2のプラズマ処理装置の電極とステージとが対向する部分の面積よりも大きい。また、反応容器10内に高圧反応ガスが充填された状態において、高周波交流パルス電源12または連続高周波交流電源18のみでは基板8の全面にわたってプラズマ7を発生させることが困難である場合がある。このような場合には、直流パルス電源13から出力された直流パルス正電圧P1が低周波交流用電極20に印加される。
【0173】
それにより、基板8の表面近傍の全体にわたってプラズマ7が発生することにより、荷電粒子が大面積の高周波用電極19Aの近傍に発生する。
【0174】
また、高周波交流パルス電源12または連続高周波交流電源18から出力された高周波交流パルス電圧Rまたは連続高周波交流電圧Sが、高周波交流用電極19Aに印加される。それにより、高周波電界により荷電粒子の気体分子等への衝突数を増加するため、基板8の表面の全体にわたてプラズマ7中の荷電粒子密度および活性反応種密度が大きくなる。
【0175】
なお、本実施の形態のプラズマ処理装置において、プラズマ7に印加される電圧波形は、上記の電圧波形に限定されず、実施の形態1〜5のプラズマ処理装置において用いられた電圧波形を目的に応じて選択することが可能である。
【0176】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置は、高周波交流パルス電圧Rおよび直流パルス電圧Pを1つの印加電極に印加する場合に比べて、電極構造は複雑になるが、スイッチング回路11および重畳回路15を必要としないため、電源回路が簡略化される。
【0177】
(実施の形態7)
図29および図30は、本発明の実施の形態7のプラズマ処理装置の概略構成図である。
【0178】
図29に示すプラズマ処理装置は、分岐型の高周波用電極19Bおよび低周波用電極20を備えている。本実施の形態のプラズマ処理装置は、分岐型の高周波用電極19Bおよび低周波用電極20以外の構成については、実施の形態1〜6のプラズマ処理装置とほぼ同様である。
【0179】
なお、実施の形態1のプラズマ処理装置の説明において用いた符号と同一の符号を付した部分は、実施の形態1〜6のプラズマ処理装置の該当部分と同様の機能を果たす部分であるため、その説明は繰返さない。
【0180】
図29および図30に示すように、高周波交流パルス電源12が接続された分岐型の高周波用電極19Bと直流パルス電源13が接続された低周波用電極20とが絶縁体2を介して互いに対向している。また、分岐型の高周波用電極19Bおよび低周波用電極20は、絶縁体2を介してアース電極3により覆われている。また、分岐型の高周波用電極19Bとアース電極3との間で電力伝達経路の開放端が構成されている。また、低周波用電極20とアース電極3との間でも電力伝達経路の開放端が構成されている。
【0181】
さらに、分岐型の高周波用電極19B、低周波用電極20およびアース電極3の基板8に対向する部分において電力伝達経路の開放端が構成されている。また、分岐型の高周波用電極19B、低周波用電極20およびアース電極3の電力伝達経路の開放端は、被覆絶縁体17で被覆されている。また、前述の電力伝達経路の開放端に対向する位置にステージ9に設置された基板8が配置されている。
【0182】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、分岐型の高周波用電極19Bとアース電極3とにより構成される電力伝達経路の開放端にプラズマ7が発生する。それにより、前述の電力伝達経路の開放端に対向する位置に設置され基板8に薄膜が形成されるか、薄膜の加工が行われるか、または基板8自体の加工、または、基板8の表面の処理等が行われる。その際、高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rの各パルス間に、直流パルス電源13から出力された直流パルス電圧Pを前述の低周波用電極20に印加される。そのとき、プラズマ7に印加された電圧波形は図4〜図11に示す電圧波形である。
【0183】
ここで、分岐型の高周波用電極19Bに印加される電圧波形は、図4〜図11中に示される様な高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rであり、同時に低周波用電極20に印加される電圧波形は、図4〜図11中に示される様な直流パルス電源13から出力された直流パルス電圧Pであるが、プラズマ7においてはその電界が重畳され、図4〜図11に示される様な電圧波形になるのである。
【0184】
図4に示すように、大面積の分岐型の高周波用電極19Bに高周波交流パルス電圧Rを印加する。さらに、直流パルス正電圧P1が、前述の各高周波交流パルス電圧R同士の合間に少なくとも2パルス以上連続して挿入されるように、低周波交流用電極20に印加される。それにより、分岐型の高周波用電極19Bとステージ9との間でプラズマ7が発生する。その結果、基板8に薄膜が形成されるか、基板8に形成された薄膜が加工されるか、基板8自身が加工、または、基板8の表面が処理される。
【0185】
本実施の形態のプラズマ処理装置においては、分岐型の高周波用電極19Bとアース電極3とが対向する部分の面積が、実施の形態1および2のプラズマ処理装置の印加電極1とアース電極3とが対向する部分の面積よりも大きい。また、反応容器10内に高圧反応ガスが充填された状態において、高周波交流パルス電源12および連続高周波交流電源18のみでは電力伝達経路の開放端の全面にわたってプラズマ7を発生させることが困難な場合がある。この場合には、直流パルス電源13から出力された直流パルス正電圧P1を低周波交流用電極20に印加する。
【0186】
それにより、電力伝達経路の開放端の全面にわたってプラズマ7を発生させる。その結果、荷電粒子が分岐型の高周波用電極19Bの近傍に発生する。さらに、高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rを分岐型の高周波用電極19Bに印加する。それにより、高周波電界により荷電粒子の気体分子等への衝突数が増加する。その結果、電力伝達経路の開放端の全面にわたってプラズマ7中の荷電粒子密度および活性反応種密度を大きくすることができる。
【0187】
本実施の形態のプラズマ処理装置のプラズマ7に印加される電圧波形は、上記の電圧波形に限定させず、実施の形態1〜6のプラズマ処理装置において用いられた電圧波形を目的に応じて選択することが可能である。
【0188】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、高周波交流パルス電圧Rおよび直流パルス電圧Qを1つの印加電極に印加する場合に比べて、電極構造は複雑になるが、スイッチング回路11および重畳回路15を必要としないため、電源回路が簡略化される。
【0189】
なお、上記各実施の形態のプラズマ処理方法では、容器内のガスの圧力が0.1気圧〜10気圧の状態で被処理物が処理される。更にガス圧力が大気圧の場合は反応容器を必要としない。
【0190】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0191】
【発明の効果】
本発明のプラズマ処理装置によれば、被処理物が損傷することを抑制することが可能となる。また、他の観点では、本発明のプラズマ処理装置によれば、安定した高圧プラズマを維持することが可能となる。また、さらに他の観点では、本発明のプラズマ処理装置によれば、被処理物の処理効率が向上する。また、別の観点では、本発明のプラズマ処理装置によれば、電磁波漏れによる電磁障害が防止される。また、さらに別の観点では、本発明のプラズマ処理装置によれば、被処理物の設置態様の自由度が増加したする。また、さらに別の観点では、本発明のプラズマ処理装置によれば、回路構造が簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のプラズマ処理装置の概略構成図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図5】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図6】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図7】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図8】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図9】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図10】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧波形図の一例である。
【図11】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図12】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図13】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図14】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図15】実施の形態2のプラズマ処理装置の概略構成を示す図である。
【図16】実施の形態2のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図17】実施の形態2のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図18】実施の形態2のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧波形図の一例である。
【図19】実施の形態2のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧波形図の一例である。
【図20】実施の形態2のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図21】実施の形態2のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図22】実施の形態2のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図23】実施の形態3のプラズマ処理装置の概略構成を示す図である。
【図24】図23のXXIV−XXIV線断面図である。
【図25】実施の形態4のプラズマ処理装置の概略構成を示す図である。
【図26】図25のXXVI−XXVI線断面図である。
【図27】実施の形態5のプラズマ処理装置の概略構成を示す図である。
【図28】実施の形態6のプラズマ処理装置の概略構成を示す図である。
【図29】実施の形態7のプラズマ処理装置の概略構成を示す図である。
【図30】図29のXXX−XXX線断面図である。
【図31】従来のプラズマ処理装置の印加電極を説明するための図である。
【図32】従来のプラズマ処理装置の電子回路を説明するための図である。
【図33】従来のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧波形を示す図である。
【符号の説明】
1,1A,1B 印加電極、2 絶縁体、3 アース電極、4 ガス供給口、5 バッファ、6 ガス供給ライン、7 プラズマ、8 基板、9 ステージ、10 反応容器、11 スイッチング回路、12 高周波交流パルス電源、13直流パルス電源、14 ロウパスフィルタ、15 重畳回路(結合部)、16マッチングボックスまたはハイパスフィルタ、17 被覆絶縁体、18 連続高周波交流電源、19,19A,19B 高周波用電極、 20 低周波用電極。
【発明の所属する技術分野】
本発明は、プラズマを発生させて、発生したプラズマを用いて、被処理物を処理するプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、グロー放電プラズマ、特に大気圧グロー放電プラズマを用いて、被処理物体の一例の基板の表面に薄膜を形成するプラズマ処理装置、または、基板の表面に親水化などの処理を施すプラズマ処理装置が開発されている。このようなプラズマ処理装置の一例として、特開平7−85997号公報に記載されたプラズマ処理装置が既に知られている。以下、特開平7−85997号公報に記載されたプラズマ処理装置を、図31〜図33を用いて詳述する。
【0003】
図31は、特開平7−85997号公報に記載された大気圧グロー放電プラズマ処理装置を示す概略図である。図32は、前述のプラズマ処理装置内の電極に電圧の印加するための基本回路の一例を示した図である。図33は、前述のプラズマ処理装置内の電極に印加される電圧波形を示した図である。
【0004】
前述のプラズマ処理装置108は、図31に示すように、反応容器101と、反応容器101内に設けられた上部電極102および下部電極106と、上部電極102および下部電極106のうち少なくともいずれか一方に設置された誘電体膜105と、反応容器101の側面に設けられたガス入口103およびガス出口104と、反応容器101内に熱を加えるための加熱用電源107とを備えている。
【0005】
また、プラズマ処理装置108は、図32に示すように、電力を供給する1次側のトランス111と、トランス111から電力の供給を受ける2次側のトランス112とを備えている。なお、図33には、高周波交流パルス電圧109の波形および直流パルス負電圧110の波形が示されている。
【0006】
前述の図31に示すプラズマ処理装置108の使用方法は、次のようなものである。まず、反応容器101内に、大気圧に近い気圧を有する、不活性ガス、または不活性ガスおよび反応性ガスの混合ガスを導入する。その後、上部電極102と下部電極106との間に電圧を印加する。それにより、反応容器101内で大気圧グロー放電プラズマを励起させる。その結果、上部電極102と下部電極106との間に配置された、被処理物の表面を親水化するか、または、被処理物の表面に薄膜を形成する。このプラズマ処理装置108の特徴は、図32に示す基本回路を用いて、図33に示すように、上部電極102と下部電極106とに高周波交流パルス電圧と直流パルス負電圧とを交互に印加することにより、グロー放電を発生させることである。
【0007】
また、図32に示す基本回路では、1次側のトランス111に印加された高周波交流パルス電圧が昇圧され、2次側のトランス112に大きな高周波交流パルス電圧が印加される。この大きな高周波交流パルス電圧がダイオード、コイルおよびコンデンサによって整流されることにより、負のバイアスが作成される。
【0008】
この負のバイアスがグロー放電中にスイッチング回路を介して瞬時に高電圧側電極(たとえば、上部電極102)に印加される。この大きな高周波交流パルス電圧と負のバイアスとは、図33に示すように、上部電極102と下部電極106との間に交互に印加される。それにより、反応容器101内で放電が停止することがないため、プラズマの処理が継続して行われる。なお、負のバイアスを作成するための電源は、別電源であってもよい。
【0009】
さらに、負のバイアスを電極に印加する時間は、0.1秒〜5秒の範囲内であることが必要であり、好ましくは、0.5秒〜2秒の範囲である。なお、負のバイアスを電極に印加する時間は、0.1秒より短い場合には効果が小さく、5秒より長い場合には放電が不安定となる。
【0010】
また、図33に示すように、上部電極102および下部電極106には、大きな高周波交流パルス電圧109が印加された後に直流パルス負電圧110が印加される。この高周波交流パルス電圧109の印加と直流パルス負電圧110の印加とを繰り返す。その結果、基板表面の面内方向の処理特性の均一性が向上する。
【0011】
また、前述のプラズマ処理装置では、HeとArとの混合ガスで反応容器101内が満たされ、かつ、高周波交流パルス電圧205〜4kv、周波数5〜8kHzおよび直流パルス負電圧2.5〜5kvの電圧条件で、親水化のための処理、または、薄膜の形成などが行われている。
【0012】
【特許文献1】
特開平7−85997号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の大気圧プラズマ処理装置には以下のような課題が残存する。
【0014】
まず、前述のプラズマ処理装置では、上部電極102と下部電極106とに印加される直流パルス電圧として、直流パルス負電圧のみが用いられ、直流パルス正電圧が用いられていない。したがって、直流パルス負電圧のみと高周波交流パルス電圧とが上部電極102と下部電極106とに繰り返して印加される。そのため、直流パルス負電圧によって、上部電極102と下部電極106との間の配置された被処理物が帯電する。その結果、被処理物が損傷することがある。
【0015】
本発明の上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、被処理物が損傷することを抑制することが可能なプラズマ処理装置を提供することである。
【0016】
また、前述のプラズマ処理装置では、上部電極102および下部電極106のうちの少なくともいずれか一方に誘電体膜105が設置された状態で上部電極102と下部電極106との間に直流パルス負電圧が印加される。この直流パルス負電圧の印加が開始された時点においては、上部電極102および下部電極106により構成された電極間コンデンサに電荷が蓄積される。
【0017】
しかしながら、電極間コンデンサが最大容量まで電荷が蓄積された後においては、電極間コンデンサを介しては、電流が流れない。そのため、直流パルス負電圧が印加されている時間の中で、電極間コンデンサに最大容量まで電荷が蓄積された後においては、プラズマ処理装置は仕事をしていないことになる。前述のプラズマ処理装置においては、直流パルス負電圧の印加時間(0.1秒〜5秒)が比較的長い。そのため、プラズマ処理装置の被処理物の処理の効率が低下する。さらに、直流パルス負電圧を電極間コンデンサに印加している期間中には、安定した高圧プラズマを維持することができない。
【0018】
本発明の他の目的は、安定した高圧プラズマを維持することが可能なプラズマ処理装置を提供することである。
【0019】
また、電極間コンデンサには直流パルス負電圧と高周波交流パルス電圧とが交互に繰り返される波形の電圧が印加される。そのため、直流パルス負電圧の1周期では十分な荷電粒子密度の大気圧プラズマを発生させることができない。また、直流パルス負電圧を印加している期間においては、高周波交流パルス電圧は印加されない。そのため、プラズマの分解度が低下する。したがって、プラズマ処理装置の被処理物の処理の効率が低下する。また、高周波の周波数は高くても10kHzであるため、高周波交流パルス電圧を印加した時点においては、プラズマの分解度が低い。そのため、被処理物の処理の効率が低下する。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、被処理物の処理効率が向上したプラズマ処理装置を提供することである。
【0021】
また、前述のプラズマ処理装置は、対向した1対の電極間に被処理物が設置される。そのため、高周波交流パルス電圧が印加される上部電極が、アースに接続された下部電極により覆われた構造となっていない。その結果、電磁波漏れによる電磁障害を引き起こすおそれがある。
【0022】
本発明の別の目的は、電磁波漏れによる電磁障害が防止されたプラズマ処理装置を提供することである。
【0023】
また、上記従来のプラズマ処理装置は、一対の電極間に被処理物が設置される構造であったため、被処理物の設置態様が制限されたものとなっていた。
【0024】
本発明のさらに別の目的は、被処理物の設置態様の自由度が増加したプラズマ処理装置を提供することである。
【0025】
また、上記従来のプラズマ処理装置は、交流電源と直流電源とを切換える回路が必要であったため、回路構造が複雑となっていた。
【0026】
本発明のまたさらに別の目的は、回路構造が簡略化されたプラズマ処理装置を提供することである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラズマ処理装置は、プラズマを発生させて、発生したプラズマを用いて、被処理物を処理するプラズマ処理装置である。
【0028】
本発明の第1の局面のプラズマ処理装置は、互いに対向する一対の電極と、一対の電極に高周波交流パルス電圧を印加することが可能な高周波交流パルス電源と、一対の電極に高周波交流パルス電圧よりも周波数が低い低周波交流パルス電圧を印加することが可能な低周波交流パルス電源とを備えている。
【0029】
また、本発明の第1の局面のプラズマ処理装置は、高周波交流パルス電源と一対の電極とが電気的に接続された状態と、低周波交流パルス電源と一対の電極とが電気的に接続された状態とを切換えることが可能なスイッチング回路とを備えている。
【0030】
また、本発明の第1の局面のプラズマ処理装置は、スイッチング回路が、高周波交流パルス電圧の印加の休止時間内に、低周波交流パルス電圧が一対の電極に印加されるように切換制御され、プラズマを発生させる。
【0031】
上記の構成によれば、大容量の高周波交流パルス電源を用いることなく、低周波交流パルス電源を用いて安定した高圧プラズマを生成および維持することができる。
【0032】
本発明の第2の局面のプラズマ処理装置は、互いに対向する一対の電極と、一対の電極に高周波交流パルス電圧を印加することが可能な高周波交流パルス電源と、一対の電極に直流パルス電圧を印加することが可能な直流パルス電源とを備えている。
【0033】
また、本発明の第2の局面のプラズマ処理装置は、高周波交流パルス電源と一対の電極とが電気的に接続された状態と、直流パルス電源と一対の電極との接続とが電気的に接続された状態とを切換えることが可能なスイッチング回路とを備えている。
【0034】
また、本発明の第2の局面のプラズマ処理装置は、スイッチング回路が、高周波交流パルス電圧の印加の休止時間内に、直流パルス電圧が一対の電極に印加されるように切換制御され、プラズマを発生させる。
【0035】
上記の構成によれば、大容量の高周波交流パルス電源を用いることなく、直流パルス電源を用いて安定した高圧プラズマを生成および維持することができる。
【0036】
本発明の第3の局面のプラズマ処理装置は、互いに対向する一対の電極と、一対の電極に高周波交流パルス電圧または連続高周波交流電圧を印加することが可能な高周波交流電源とを備えている。
【0037】
また、本発明の第3の局面のプラズマ処理装置は、一対の電極に高周波交流パルス電圧または連続高周波交流電圧よりも周波数が低い低周波交流パルス電圧を印加することが可能な低周波交流パルス電源と、高周波交流パルス電圧または連続高周波交流電圧と低周波交流パルス電圧とを重畳させる重畳回路と、を備えている。
【0038】
また、本発明の第3の局面のプラズマ処理装置は、重畳回路を通じて、一対の電極に高周波交流パルス電圧若しくは連続高周波交流電圧、及び低周波交流パルス電圧を所望の時刻で印加しプラズマを発生させる。
【0039】
上記の構成によれば、大容量の電源を用いることなく、高周波交流パルス電圧若しくは連続高周波交流電圧、及び低周波交流パルス電源を用いて安定した高圧プラズマを生成および維持することができる。また、上記の構成によれば、低周波交流パルス電圧を印加電極に印加した直後に高周波パルス電圧または連続高周波交流電圧を印加電極に印加することが可能となる。したがって、低周波交流パルス電圧で発生した荷電粒子を用いて、効率よく高周波交流パルス電圧または連続高周波交流電圧で反応ガス分子の分解を促進させることができる。その結果、効率的に被処理物を処理することが可能になる。
【0040】
本発明の第4の局面のプラズマ処理装置は、互いに対向する一対の電極と、一対の電極に高周波交流パルス電圧または高周波交流連続波電圧を印加することが可能な高周波交流電源とを備えている。
【0041】
また、本発明の第4の局面のプラズマ処理装置は、一対の電極に直流パルス電圧を印加することが可能な直流パルス電源と、高周波交流パルス電圧または連続高周波交流電圧と直流パルス電圧とを重畳させる重畳回路と、を備えている。
【0042】
また、本発明の第4の局面のプラズマ処理装置は、重畳回路を通じて、一対の電極に高周波交流パルス電圧若しくは連続高周波交流電圧、及び直流パルス電圧を所望の時刻で印加しプラズマを発生させる。
【0043】
上記の構成によれば、大容量の電源を用いることなく、高周波交流パルス電源若しくは連続高周波交流電源、及び直流パルス電源を用いて安定した高圧プラズマを生成および維持することができる。また、上記の構成にれば、直流パルス電圧を印加電極に印加した直後に高周波交流パルス電圧若しくは連続高周波交流電圧を印加電極に印加することが可能となる。したがって、直流パルス電圧で発生した荷電粒子を用いて、効率よく高周波交流パルス電圧若しくは連続高周波交流電圧で反応ガス分子の分解を促進させることができる。その結果、効率的に被処理物を処理することが可能になる。
【0044】
また、本発明のプラズマ処理装置は、直流パルス電圧および低周波交流パルス電圧を印加電極に印加するタイミングを調整するトリガ装置をさらに備えていてもよい。
【0045】
上記の構成によれば、直流波パルス電圧および低周波交流パルス電圧それぞれを所望のタイミングで印加電極に印加することができる。
【0046】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、スイッチング回路若しくは重畳回路と、高周波交流電源若しくは高周波交流パルス電源との間に、マッチングボックス、または、ハイパスフィルタが接続されていてもよい。
【0047】
上記の構成によれば、低周波交流電圧が高周波交流電源若しくは高周波交流パルス電源に到達してしまう不都合が防止される。
【0048】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、スイッチング回路若しくは重畳回路と、低周波交流パルス電源若しくは直流パルス電源との間に、ローパスフィルタをさらに備えていてもよい。
【0049】
上記の構成によれば、連続高周波交流電圧または高周波交流電圧が低周波交流パルス電源または直流パルス電源に到達してしまう不都合が防止される。
【0050】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、高周波交流パルス電圧の印加の休止時間内に、少なくとも2パルス以上の低周波交流パルス電圧若しくは直流パルス電圧を印加電極に印加するものであってもよい。
【0051】
上記の構成によれば、連続高周波交流電源または高周波交流パルス電源のみではプラズマを発生させるために必要な高電圧を印加することが困難であった反応ガス種および高圧反応ガス条件においても、低周波交流パルス電圧若しくは直流パルス電圧を用いてプラズマの発生に必要な高電圧を印加電極に印加することができる。
【0052】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置においては、直流パルス電源は、一対の電極のうち高周波交流パルス電圧を印加する電極が、その電極に対向する電極よりも高電位になるように接続されている。
【0053】
上記の構成によれば、一対の電極のうち高周波交流パルス電圧を印加する電極が、電極に対向する電極をアース電極として使用することができる。
【0054】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、高周波交流パルス電圧若しくは連続高周波交流電圧が印加される電極が、その電極に対向する電極に対して高電位になるように印加される第1直流パルス電圧と、高周波交流パルス電圧若しくは連続高周波交流電圧が印加される電極が、その電極に対向する電極に対して低電位になるように印加される第2直流パルス電圧とが、各々少なくとも1パルス以上印加電極に印加される。
【0055】
上記の構成によれば、高周波交流パルス電圧若しくは連続高周波交流電圧が印加されている時間の合間に、正負が逆転した直流パルス正電圧および直流パルス負電圧それぞれを印加することが可能である。その結果、直流パルス電圧を印加電極に印加したときに、被処理物にイオンが衝突する回数および正または負のうちの一方の電荷に被処理物が帯電する量を低減することができる。したがって、被処理物が損傷することを防止することができる。
【0056】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、一対の電極に高周波交流パルス電圧と直流パルス電圧とが、同時に、または、各パルスの印加時間の一部もしくは全部が互いに重なるように、印加電極に印加されるものであってもよい。
【0057】
上記の構成によれば、高周波交流パルス電圧を印加するタイミングと直流パルス電圧を印加するタイミングとを調整するための装置を設置する必要がなくなる。
【0058】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、一対の電極に連続高周波交流電圧と直流パルス電圧とが、同時に前記印加電極に印加されるものであってもよい。
【0059】
上記の構成によれば、連続高周波電圧を印加するタイミングと直流パルス電圧を印加するタイミングとを調整するための装置を設置する必要がなくなる。
【0060】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、一対の電極に高周波交流パルス電圧と低周波交流パルス電圧とが、同時に、または、各パルスの印加時間の一部もしくは全部が互いに重なるように、前記印加電極に印加されるものであってもよい。
【0061】
上記の構成によれば、高周波交流パルス電圧を印加するタイミングと低周波交流パルス電圧を印加するタイミングとを調整するための装置を設置する必要がなくなる。
【0062】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、一対の電極に連続高周波交流電圧と低周波交流パルス電圧とが、同時に、印加電極に印加されるものであってもよい。
【0063】
上記の構成によれば、連続高周波交流電圧を印加するタイミングと低周波交流パルス電圧を印加するタイミングとを調整するための装置を設置する必要がなくなる。
【0064】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、低周波交流電圧を印加するときにおいては、直流パルス電圧にて発生させた密度の高い荷電粒子および活性反応種を、交流電界の中で振動させることにより、密度が高いプラズマを発生させることが望ましい。そのため、本発明のプラズマ処理装置では、低周波交流電源の発振周波数を極力高くすることが望ましい。そのため、本発明のプラズマ処理装置では、低周波交流電圧の発振周波数を、1MHz以上にすることが望ましい。また、本発明のプラズマ処理装置では、低周波交流電源の消費電力を低減するという観点からは、低周波交流パルス電圧の発振周波数を、10GHz以下にすることが望ましい。したがって、本発明のプラズマ処理装置では、低周波交流電圧の周波数は、1MHz〜10GHzであることが望ましい。
【0065】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置では、直流パルス電圧にて発生した荷電粒子を交流パルス電圧または交流連続波電圧で効率良く分解を促進させるためにも、速やかに直流パルス電圧を立ち下げることが望ましい。そのため、本発明のプラズマ処理装置では、直流パルス電源の性能にもよるが、直流パルス電圧の1パルスの印加時間Tpは100msec以下であることが望ましい。
【0066】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置では、直流パルス電圧の繰返し周波数が高すぎると、高周波交流パルス電源と同様に、直流パルス電源の消費電力が大きくなる。また、本発明のプラズマ処理装置では、直流パルス電圧の繰返し周波数が低すぎると、各直流パルス電圧同士の合間の休止時間が長くなることによって、プラズマの発生およびプラズマ状態の維持が困難になる。そのため、本発明のプラズマ処理装置では、直流パルス電圧の周波数は10Hz〜1MHzであることが望ましい。
【0067】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、高周波交流パルス電圧または連続波交流電圧を印加するときにおいては、直流パルス電圧にて発生させた密度の高い荷電粒子および活性反応種を、交流電界の中で振動させることにより、密度が高いプラズマを発生させることが望ましい。そのため、本発明のプラズマ処理装置では、高周波交流パルス電源または連続波交流電源の発振周波数を極力高くすることが望ましい。そのため、本発明のプラズマ処理装置では、高周波交流パルス電圧または連続波交流電圧の発振周波数を、1MHz以上にすることが望ましい。また、本発明のプラズマ処理装置では、交流電源の消費電力を低減するという観点からは、高周波交流パルス電圧または連続波交流電圧の発振周波数を、10GHz以下にすることが望ましい。したがって、本発明のプラズマ処理装置では、高周波交流パルス電圧または連続高周波交流電圧の周波数は、1MHz〜10GHzであることが望ましい。
【0068】
また、上述の本発明のプラズマ処理装置は、一対の電極同士の間に被処理物を載置可能なステージが設けられているか、または、一対の電極のうちのいずれか一方が、被処理物が載置されるステージとして使用されれば、プラズマ処理装置の容器内体積を小さくすることができる。
【0069】
本発明の第5の局面のプラズマ処置装置は、互いに対向する一対の電極と、一対の電極同士の間の空間に挿入された誘電体または絶縁体とを備えている。本発明の第5の局面のプラズマ処置装置は、一対の電極と該誘電体または絶縁体とにより電力伝達経路が構成されるとともに、一対の電極と誘電体または絶縁体とが一対をなして露出する部分が電力伝達経路の開放端となっており、その開放端近傍にプラズマを発生させる。
【0070】
上記の構成によれば、一対の電極が互いに対向する部分以外の位置に被処理物を設置することが可能になるため、被処理物の設置態様の自由度が増加する。
【0071】
本発明の第6の局面のプラズマ処理装置は、印加電極の外部から開放端にプラズマを発生させるためのガスを導くガス供給経路を備えており、ガス供給経路は、印加電極内を通過するとともに、ガス供給経路の終端が、開放端の印加電極表面に面するように構成されている。
【0072】
上記の構成によれば、高電界が発生する開放端にプラズマを発生させるためのガスを効率的に供給することができる。
【0073】
前述のガス供給経路は、開放端の電極表面に、複数の供給口が面するように構成されていれば、開放端に均一にプラズマを発生させるためのガスを供給することが可能になる。
【0074】
前述の開放端が、一対の電極の一方、誘電体または絶縁体、および、一対の電極の他方の組み合わせからなり、その組み合わせは複数設けられていれば、プラズマを発生させるために必要となる高電界を効率的に生成することが可能となる。
【0075】
前述の一対の電極のうち少なくともいずれか一方が複数に分岐していれば、プラズマを発生させるための電力伝達経路の開放端を複数箇所に設けることができるため、プラズマの発生に必要な高電界を複数箇所に発生させることができる。
【0076】
上述の本発明のプラズマ処理装置は、前述の開放端と対向する位置にステージが設けられていてもよい。
【0077】
本発明の第7の局面のプラズマ処理装置は、互いに対向する一対の電極と、接地電位に固定されたアース電極とを備えており、一対の電極が、プラズマを発生させるための部分以外の部分においては、接地電極に接続された電極に覆われるように構成されている。
【0078】
上記の構成によれば、一対の電極が外部の電磁波から遮蔽されるため、プラズマ処理装置において生じる電磁障害が防止される。
【0079】
本発明の第8の局面のプラズマ処理装置は、互いに対向する一対の電極を備えており、一対の電極が、交流電源に接続された交流電源用電極と、直流電源に接続された直流電源用電極とを含むものであってもよい。
【0080】
上記の構成によれば、交流電源と直流電源とを切換えるための回路を設ける必要がないため、プラズマ処理装置の回路構成を簡略化することができる。
【0081】
さらに、上述の本発明のプラズマ処理装置が反応容器を備えていれば、一対の電極の周囲に所望のガス雰囲気を維持することができる。
【0082】
また、本発明のプラズマ処理方法は、前述のプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法であって、容器内のガスの圧力が0.1気圧〜10気圧の状態で前記被処理物が処理される方法である。
【0083】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態のプラズマ処理装置を、図に基づいて説明する。
【0084】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1のプラズマ処理装置の概略構成図である。図2は、図1のII−II線断面図である。図3は、図2のIII−III線断面図であり、プラズマ処理装置の印加電極の下面図である。
【0085】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、図1〜図3に示すように、次のような構造である。高周波交流パルス電源12および直流パルス電源13それぞれが、スイッチング回路11を介して、反応容器10内に設けられた印加電極1に電気的に接続されている。印加電極1は、その側面が絶縁体2を介してアース電極3で覆われている。
【0086】
印加電極1とアース電極3との間で電力伝達経路が形成されている。印加電極1およびアース電極3の基板8に対向する部分により、電力伝達経路の開放端が形成されている。本実施の形態のプラズマ処理装置は、印加電極1電力伝達経路の開放端およびアース電極3の電力伝達経路の開放端の双方が被覆絶縁体17で被覆されているが、印加電極1の開放端およびアース電極3の開放端のうち少なくともいずれか一方が被覆絶縁体17で被覆されていればよい。
【0087】
さらに、印加電極1の内部には、外部からガスが供給されるガス供給ライン6、ガスが滞留するバッファ5、およびガスが基板8に向かって噴出されるガス供給口4が設けられている。ガス供給ライン6、バッファ5、およびガス供給口4内を通過するガスが、電力伝達経路の開放端の近傍に供給される。さらに、電力伝達経路の開放端に対向する位置であって、ステージ9上に被処理物としての基板8が載置されている。
【0088】
また、高周波交流パルス電源12にはトリガ装置50Aが接続され、直流パルス電源13にはトリガ装置50Bが接続されている。トリガ装置50Aを用いて、高周波交流パルス電源12が出力するパルスのタイミングを調整することが可能になっている。また、トリガ装置50Bを用いて、直流パルス電源13が出力するパルスのタイミングを調整することが可能になっている。
【0089】
本実施の形態のプラズマ処理装置によれば、前述の電力伝達経路の開放端近傍に、プラズマ7を発生させることにより、電力伝達経路の開放端に対向する位置に設置された基板8に薄膜の形成を行うことが可能である。また、本実施の形態のプラズマ処理装置を用いて、基板8の表面に形成された薄膜の加工、また基板8自体の加工を行ってもよい。さらに、本実施の形態のプラズマ処理装置を用いて、基板8の表面の処理を行ってもよい。
【0090】
その際、高周波交流パルス電源12から発振された高周波交流パルスの各パルス間に、直流パルス電源13から発振された直流パルスが挿入されるように、高周波交流パルス電源12および直流パルス電源13を用いて、印加電極1に電圧を印加する。この場合の印加電極1に印加された電圧波形を図4に示す。
【0091】
スイッチング回路11の接続、および、トリガ装置50A,50Bによるタイミングの調整を行った後、印加電極1に対し高周波交流パルス電圧Rを印加する。また、高周波交流パルス電圧R同士の合間に、少なくとも2パルス以上連続して、印加電極1に対し直流パルス正電圧P1を印加する。直流パルス正電圧とは、印加電極1がアース電極3より高電位になるように印加された直流パルス電圧を意味するものとする。さらに、印加電極1がアース電極3に対して低電位になる直流パルス電圧を直流パルス負電圧P2とし、直流パルス正電圧P1、直流パルス負電圧P2をあわせて直流パルス電圧Pとする。
【0092】
プラズマを発生させるために高電圧および強電界を必要とする反応ガス種および高圧反応ガス条件等においては、マイクロ波電源またはRF(Radio Frequency)電源等の高周波交流パルス電源12のみでは、マッチングボックス等の許容電圧を越える大きな電圧を印加することができない。
【0093】
そのため、印加電極1に印加される電圧の波形がパルス波であるかまたは連続波であるかに関わらず、印加電極1にプラズマ発生電界に達する程度の大きさの電圧を印加することができない。また、必要とされる電源容量が非常に大きくなるとともに、プラズマ処理装置の電源のコストが大きくなるという問題が生じる。
【0094】
また、直流パルス電源13を用いる場合、比較的安価な電源価格にて、前述の高周波交流パルス電源12ではプラズマ発生が困難な反応ガス種および高圧反応ガス条件においても、プラズマを発生させることが可能な電圧を発生させることができる。しかしながら、直流パルス電源13では、発生したプラズマの密度が低い。
【0095】
そのため、本実施の形態のプラズマ処理装置は、図4に示すように、各高周波交流パルス電圧R同士の合間に、少なくとも2パルス以上連続して直流パルス正電圧P1が印加されるように構成されている。それにより、高周波交流パルス電源12のみでは、電源およびマッチングボックス等の容量限界からプラズマを発生させるために必要な高電圧を印加することが困難であった反応ガス種および高圧反応ガス条件においても、直流パルス正電圧P1を用いてプラズマの発生に必要な高電圧を印加電極1に印加することができる。それにより、荷電粒子を印加電極1の近傍に発生させることができる。
【0096】
また、前述の直流パルス正電圧P1のみで発生させることができる荷電粒子密度および活性反応種密度は小さい。本実施の形態のプラズマ処理装置においては、更に高周波交流パルス電圧Rを印加電極1に印加する結果、高周波電界により荷電粒子の衝突が増大することにより、プラズマ中の荷電粒子密度および活性反応種密度が増大する。
【0097】
これにより、本実施の形態のプラズマ処理装置によれば、高周波交流パルス電源12のみでは、電源およびマッチングボックス等の容量限界からプラズマ7の発生に必要な高電圧の発生が困難であった反応ガス種および高圧反応ガス条件においても、容易にプラズマ7を発生させることができる。また、本実施の形態のプラズマ処理装置によれば、直流パルス電源13のみでは困難であった高い荷電粒子密度および活性反応種密度のプラズマ7を発生させることができる。
【0098】
また、高周波交流パルス電圧Rの整流を行って直流電圧を発生させる従来のプラズマ処理装置では、発生した直流パルス電圧Qは高周波交流パルス電圧Rの振幅に等しい。そのため、結局プラズマ7を発生させるための直流電圧を発生させる為に、高価な大容量の高周波交流パルス電源12を必要とする。
【0099】
しかしながら、安価な直流パルス電源13でプラズマ7の発生を行うとともに、高周波交流パルス電源12でプラズマ7の分解の促進を行う本実施の形態のプラズマ処理装置では、プラズマ7を発生させるために大容量の高周波交流パルス電源12を必要としない。その結果、高周波交流パルス電源12のコストが低減される。
【0100】
また、従来のプラズマ処理装置では、主放電電極に高周波交流パルス電圧および予備放電電極に直流パルス電圧を印加する、すなわち、一対の電極のうち一方の電極に高周波交流パルス電圧を印加するとともに、一対の電極のうち他方に直流パルス電圧を印加する。
【0101】
しかしながら、本実施の形態のプラズマ処理装置では、同じ印加電極1に直流パルス正電圧P1および高周波交流パルス電圧Rを印加する。そのため、本実施の形態のプラズマ処理装置は、電極構造が簡単になり、かつ、基板8の面内方向の均一性が向上するとともに、プラズマ処理装置の製造コストが低減される。
【0102】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、直流パルス電圧が印加電極1に印加される時点では、印加電極1およびアース電極3のうち少なくともいずれか一方は被覆絶縁体17により被覆されている。そのため、印加電極1とアース電極3とにより構成されるコンデンサに最大容量の電荷が蓄積された後は、印加電極1とアース電極3との間で電流が流れないため、直流パルス電源13は仕事をしない。
【0103】
したがって、プラズマ7中に発生した荷電粒子を基板8などに故意に衝突させる場合を除いて、印加電極1とアース電極3とにより構成されるコンデンサの最大容量の電荷が蓄積された後は、速やかに直流パルス電圧Pを立ち下げることが望ましい。
【0104】
また、直流パルス電圧Pにて発生した荷電粒子を高周波交流パルス電圧Rで効率良く分解を促進させるためにも、速やかに直流パルス電圧Pを立ち下げることが望ましい。また、直流パルス電源13の性能にもよるが、直流パルス電圧Pの1パルスの印加時間Tpは100msec以下であることが望ましい。
【0105】
また、前述の直流パルス電圧Pのパルスの周波数が高すぎると、高周波交流パルス電源12と同様に、直流パルス電源13のコストが高くなる。また、前述の直流パルス電圧のパルスの周波数が低すぎると、各直流パルス電圧P同士の合間の休止時間Toが長くなることによって、プラズマ7の発生およびプラズマ7の状態の維持が困難になる。そのため、直流パルス電圧Pのパルスの周波数は10Hz〜1MHzであることが望ましい。
【0106】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置では、高周波交流パルス電圧Rを印加電極1に印加したときにおいては、直流パルス正電圧P1を用いて発生させた密度の高い荷電粒子および活性反応種を、高周波の電界の中で振動させることにより、密度が高いプラズマを発生させることが望ましい。そのため、本実施の形態のプラズマ処理装置では、高周波交流パルス電圧Rの発振周波数を極力高くすることが望ましい。そのため、本実施の形態のプラズマ処理装置では、高周波交流パルス電圧Rの発振周波数を、1MHz以上にすることが望ましい。
【0107】
また、図5に示すように、高周波交流パルス電圧R同士の合間に、少なくとも2パルス以上連続して直流パルス負電圧P2を印加することによっても、少なくとも2パルス以上連続して直流パルス正電圧P1を印加する場合と同様の効果を得ることができる。ここで、直流パルス負電圧P2とは、印加電極1がアース電極3に対して低電位になる直流パルス電圧を意味する。
【0108】
図4に示す直流パルス正電圧P1を印加電極1に印加したときには、印加電極1には負イオンまたは電子が衝突するとともに、アース電極3には正イオンが衝突する。逆に、図5に示す直流パルス負電圧P2を印加電極1に印加したときには、印加電極1には正イオンが衝突するとともに、アース電極3には負イオンまたは電子が衝突する。
【0109】
したがって、基板8、印加電極1、アース電極3、および絶縁体2の、スパッタリングの度合いおよび帯電の度合い等に応じて、図4に示す直流パルス正電圧P1および図5に示す直流パルス負電圧P2を印加電極1に印加する態様を選択することが望ましい。また、直流パルス負電圧P2、高周波交流パルス電圧Rなどのパルスの周波数、および、パルスを印加する時間は、図4に示された値と同様であることが望ましい。
【0110】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、図6に示すように、各高周波交流パルス電圧R同士の合間に、互いに正と負とが逆転した直流パルス正電圧P1および直流パルス負電圧P2を合計2パルス以上印加電極1に印加することも可能である。直流パルスの正電圧と負電圧とを繰り返して印加電極1に印加することにより、直流パルス電圧Pを印加したときに、印加電極1または基板8にイオンが衝突する回数および印加電極1または基板8が正負のいずれか一方の電荷に帯電する量を低減することができる。
【0111】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、図7に示すように、高周波交流パルス電圧Rの印加の少なくとも1つ以上の休止時間に、直流パルス電圧Qが印加電極1に全く印加されないようにしてもよい。このように直流パルス電圧を印加しない高周波パルス電圧Rの休止時間を設けることにより、不必要な電力を直流パルス電源13で消費することが防止することができる。そのため、プラズマ処理装置の消費電力を低減することができる。
【0112】
また、一旦プラズマ7が直流パルス電圧により発生すれば、新たに直流パルス電圧Pを印加しなくても、高周波交流パルス電圧Rのみで安定したプラズマ7の状態が持続される場合がある。その場合においては、図8に示すように、高周波交流パルス電圧R同士の合間の高周波交流パルス電圧Rの印加の休止時間に、直流パルス正電圧P1を印加電極1に印加することを中止するようにしてもよい。それにより、不必要な電力が直流パルス電源13で消費されることを防止することができる。
【0113】
さらに、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、図9〜図11に示すように、1パルスの直流パルス正電圧P1の印加によりプラズマ7が確実に発生する場合には、各高周波交流パルス電圧R同士の合間に1パルスの直流パルス正電圧P1を印加電極1に印加するだけでよい。このようにすることにより、直流パルス電源13にて不必要な電力を消費することが防止される。
【0114】
さらに、直流パルス電源13の代りに、低周波交流パルス電源が設置されたプラズマ処理装置では、図12に示すように、各高周波交流パルス電圧R同士の合間に、低周波交流パルス電圧Qが印加電極1に印加される。この低周波交流パルス電圧Qを用いてプラズマ7を発生させることにより、荷電粒子を印加電極1の近傍に発生させる。その後、高周波交流パルス電圧Rを用いて荷電粒子同士の衝突回数を増加させる。
【0115】
その結果、プラズマ7中の荷電粒子密度および活性反応種密度を大きくすることもできる。このプラズマ処理装置によっても、比較的安価な低周波交流パルス電源でプラズマ7を発生させることができるため、比較的高価な高周波交流パルス電源12の容量を低くすることができる。その結果、プラズマ処理装置の製造コストが低減される。
【0116】
さらに、前述のように直流パルス電源13を用いる場合とは異なり、試料および電極に対する荷電粒子の衝突回数および帯電量が小さくなる。そのため、試料および電極のダメージの少ない処理を行うことができる。
【0117】
また、低周波交流パルス電圧Qの周波数は、周波数が高すぎると高周波交流パルス電源12と同様に電源コストが高くなる。また、低周波交流パルス電圧Qの周波数は、周波数が低すぎるとプラズマ7の発生およびプラズマ7の状態の維持が困難になる。そのため、低周波交流パルス電圧Qの交流周波数は、10Hz〜1MHzであることが望ましい。
【0118】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置は、図13に示すように、高周波交流パルス電圧R同士の合間の休止時間のうち少なくとも1つ以上の休止時間において、低周波交流パルス電圧Qが印加電極1に印加されない低周波交流パルス電圧Qの休止時間が設けられたものであってもよい。
【0119】
このようにすることにより、不必要な電力を低周波交流パルス電源で消費することがない。そのため、プラズマ処理装置の消費電力を低減させることができる。
【0120】
また、図14に示すように、低周波交流パルス電圧Qによりプラズマ7が発生した後、一旦プラズマ7の状態が安定すれば低周波交流パルス電圧Qを印加しなくても、高周波交流パルス電圧Rを用いて安定したプラズマ7の状態を持続することができる場合がある。その場合においては、高周波交流パルス電圧Rの休止時間に低周波交流パルス電圧Qを印加することを中止する。それにより、不必要な電力が低周波交流パルス電源において消費されることを防止することができる。
【0121】
(実施の形態2)
また、図15は、本発明の実施の形態2のプラズマ処理装置の概略構成図である。
【0122】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、図1に示す実施の形態1のスイッチング回路11の代わりに、図15に示すように、ローパスフィルタ14、重畳回路(結合部)15、および、マッチングボックスまたはハイパスフィルタ16を備えている。その他の構成は、図1に示す実施の形態1のプラズマ処理装置と同様の構成である。
【0123】
なお、実施の形態1のプラズマ処理装置の説明において用いた符号と同一の符号を付した部分は、実施の形態1のプラズマ処理装置の該当部分と同様の機能を果たす部分であるため、その説明は繰返さない。
【0124】
プラズマ処理装置は、図15に示すように、重畳回路(結合部)15およびマッチングボックス16を介して、高周波交流パルス電源12が印加電極1に接続されている。また、プラズマ処理装置は、図15に示すように、重畳回路(結合部)15およびローパスフィルタ14を介して、直流パルス電源13が印加電極1に接続されている。
【0125】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、印加電極1とアース電極3との間にプラズマを発生させるとき、図4に示すように、高周波交流パルス電源12から出力された各高周波交流パルス電圧R同士の合間に、直流パルス電源13から出力された直流パルス正電圧P1が挿入されるように、印加電極1に電圧が印加される。
【0126】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、高周波交流パルス電源12のみではプラズマ7が発生する程度の電界を生じさせることが困難な反応ガス種および高圧反応ガスを用いる場合においては、直流パルス電源13から出力された高い値の直流パルス正電圧P1を印加電極1に印加することにより、プラズマを発生させる。それにより、荷電粒子を印加電極1の近傍に発生させた後に、高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rを用いて、荷電粒子の気体分子等への衝突を発生し易くする。その結果、プラズマ7中の荷電粒子密度および活性反応種密度が増加する。このことに関しては、本実施の形態のプラズマ処理装置と実施の形態1のプラズマ処理装置とは同様である。
【0127】
ただし、実施の形態1のプラズマ処理装置では、印加電極1に印加される、高周波交流パルス電圧Rと直流パルス正電圧P1または低周波交流パルス電圧Qとを切換える場合に、スイッチング回路11の切換速度に上限があるため、高周波交流パルス電圧Rと直流パルス正電圧P1との間の空き時間は一定時間以上短くすることができない。
【0128】
そこで、本実施の形態のプラズマ処理装置では、図15に示すように、重畳回路(結合部)15によって高周波交流パルス電源12に接続された電力伝達経路と直流パルス電源13に接続された電力伝達経路とを重畳回路(結合部)15を用いて結合させている。それにより、高周波交流パルス電源12および直流パルス電源13は、常に、印加電極1に接続された状態となる。
【0129】
そのため、高周波交流パルス電圧Rと直流パルス正電圧P1との合間の時間を実施の形態1のプラズマ処理装置よりも短くすることができる。その結果、直流パルス正電圧P1を印加電極1に印加した直後に、高周波パルス電圧Pを印加電極1に印加することが可能となる。したがって、直流パルス正電圧P1が用いられて発生した荷電粒子を、効率良く高周波パルス電圧で反応ガス分子の分解を促進させることができる。
【0130】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置は、重畳回路(結合部)15と高周波交流パルス電源12との間に、マッチングボックスまたはハイパスフィルタ16が設置されている。そのため、直流パルス電源13から出力された直流パルス正電圧P1が高周波交流パルス電源12まで伝達されることが防止されている。
【0131】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置は、重畳回路(結合部)15と直流パルス電源13との間に、ローパスフィルタ14が設置されている。そのため、高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rが直流パルス電源13に伝達されることが防止されている。
【0132】
また、図15に示す本実施の形態のプラズマ処理装置においても、図5〜図14に示す電圧波形を印加電極1に印加することにより、プラズマを発生させることができる。
【0133】
さらに、本実施の形態のプラズマ処理装置は、図15に示すように、重畳回路(結合部)15によって高周波交流パルス電源12および直流パルス電源13と印加電極1とが1つの電力伝達経路に結合されている。そのため、図16〜図18に示すように、高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rの印加時間中に直流パルス電源13から出力された直流パルス電圧を同時に印加することができる。その結果、直流パルス電圧Qで発生した荷電粒子を用いて、効率よく高周波交流パルス電圧Rで反応ガス分子の分解を促進させることができる。
【0134】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、図19に示すように、高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rの印加時間と、直流パルス電源13から出力された直流パルス電圧の印加時間とを一部分のみ重ね合わせることが可能である。
【0135】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、高周波交流パルス電圧Rを印加電極1に印加している時間全てにおいて、直流パルス正電圧P1を印加する必要はない。そのため、必要に応じて直流パルス正電圧P1が印加されるパルス周波数を調整することにより、不必要な電力が直流パルス電源13で消費されることを防止することができる。
【0136】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、プラズマ7が一旦発生した後に、高周波交流パルス電圧Rを印加電極1に印加するだけで、直流パルス電圧Qを印加電極1に印加しなくても、安定してプラズマ7の状態が持続される場合がある。その場合には、直流パルス正電圧P1を印加電極1に印加することを停止することにより、不必要な電力が直流パルス電源13で消費されることを防止することができる。
【0137】
また、さらに、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、図15において高周波交流パルス電源12の代りに、連続高周波交流電源18を設置し、図20および図21に示すように、各連続高周波交流電圧Sが印加されている期間に、連続高周波交流電圧Sに重ねて、直流パルス正電圧P1、または、直流パルス正電圧P1および直流パルス負電圧P2を印加電極1に印加することも可能である。この場合、必要に応じて直流パルス電源13が出力する直流パルス電圧Pの出力タイミングおよび連続高周波交流電源18が出力する連続高周波交流電圧Sのタイミングを調整するトリガ装置を設置しなくてもよい。
【0138】
このようにすることにより、高周波交流パルス電圧Rと異なり、パルス印加の休止時間における荷電粒子の減少を低減することができるため、効率的な反応ガスの分解を行うことができる。しかしながら、連続高周波交流電圧Sを印加電極1に印加し続けることにより、過度に反応ガスの分解が進行する。したがって、アーク放電などが生じる場合には、連続高周波交流電圧Sではなく、前述の高周波交流パルス電圧Rを印加電極1に印加してもよい。
【0139】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、プラズマ7が発生した後に、直流パルス正電圧P1、または、直流パルス正電圧P1および直流パルス負電圧P2を印加しなくても安定して連続高周波交流電圧Sによってプラズマ7の状態が維持されるならば、プラズマ7が発生した後に、直流パルス電源13を用いて、直流パルス正電圧P1、または、直流パルス正電圧P1および直流パルス負電圧P2を印加電極1に印加すること、を中止することにより、不必要な電力が直流パルス電源13で消費されることを防止することができる。
【0140】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、図15に示す高周波交流パルス電源12の代りに連続高周波交流電源18を設置するとともに、直流パルス電源13の代りに低周波交流パルス電源を設置することが可能である。このようなプラズマ処理装置において、図22に示すように、連続高周波交流電圧Sの印加時間中に低周波交流パルス電圧Qを印加する。それにより、高周波交流パルス電圧Rと異なり、パルス印加の休止時間における荷電粒子の減少が防止されるとともに、荷電粒子の基板8への衝突が抑制される。
【0141】
(実施の形態3)
また、図23は、本発明の実施の形態3のプラズマ処理装置の概略構成図である。図24は、図23のXXIV−XXIV線断面図であり、プラズマ処理装置の印加電極の下面図である。
【0142】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、図23に示すように、大面積の印加電極1Aおよび接地ステージ9Aが設けられている。本実施の形態のプラズマ処理装置は、大面積の印加電極1Aおよび接地ステージ9A以外の構成は、実施の形態2に示されたプラズマ処理装置とほぼ同様である。
【0143】
なお、実施の形態1のプラズマ処理装置の説明において用いた符号と同一の符号を付した部分は、実施の形態1のプラズマ処理装置の該当部分と同様の機能を果たす部分であるため、その説明は繰返さない。
【0144】
本実施のプラズマ処理装置においては、接地ステージ9Aが接地されている。また、大面積の印加電極1Aに対して、図4に示すような高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rの各パルス間に、直流パルス電源13から出力された直流パルス正電圧P1が、印加電極1に印加された場合に、印加電極1Aと接地ステージ9Aとの間でプラズマ7が発生する。なお、本実施の形態のプラズマ処理装置は、大面積の印加電極1Aと接地ステージ9Aとが対向する部分の面積が、実施の形態1および2のプラズマ処理装置の印加電極1とステージ9とが対向する部分の面積よりも広い。
【0145】
また、反応容器10内に高圧反応ガスが充填された状態で、高周波交流パルス電源12および連続高周波交流電源18のみでは基板8の全面にプラズマを発生させることが困難な場合には、直流パルス電源13から出力された直流パルス正電圧P1によりプラズマ7を発生させるために必要な高電圧を大面積の印加電極1Aに印加する。
【0146】
それにより、基板8の主表面の全体にわたってプラズマ7を発生させることができる、すなわち、荷電粒子を大面積の印加電極1Aの主表面の全体にわたって発生させることができる。その結果、高周波交流パルス電源12により形成された高周波電界により荷電粒子の気体分子等への衝突数が増加する。それにより、基板8の全面のプラズマ7中の荷電粒子密度および活性反応種密度が大きくなる。
【0147】
なお、印加電極1に印加する電圧は上記した電圧に限定されず、実施の形態1および2のプラズマ処理装置に用いられた電圧波形を目的に応じて選択して、印加電極1に印加することが可能である。
【0148】
(実施の形態4)
また、図25は、本発明の実施の形態4のプラズマ処理装置の概略構成図である。図26は、図25のXXVI−XXVI線断面図であり、印加電極の下面図である。本実施の形態のプラズマ処理装置は、分岐型の印加電極1Bを備えている。
【0149】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、図25に示すように、分岐型の印加電極1B以外の構成は、実施の形態1および2に示されたプラズマ処理装置の構成とほぼ同様である。
【0150】
なお、実施の形態1〜3のプラズマ処理装置の説明において用いた符号と同一の符号を付した部分は、実施の形態1〜3のプラズマ処理装置の該当部分と同様の機能を果たす部分であるため、その説明は繰返さない。
【0151】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、高周波交流パルス電源12が接続された分岐型の印加電極1Bが絶縁体2を介してアース電極3により覆われている。印加電極1とアース電極3とにより電力伝達経路が形成されている。印加電極1とアース電極3とが基板8に対向する部分において電力伝達経路の開放端が構成されている。また、分岐型の印加電極1Bおよびアース電極3のうち少なくともいずれか一方は被覆絶縁体17で被覆されている。さらに、前述の電力伝達経路の開放端に対向する位置にはステージ9に設置された基板8が配置されている。
【0152】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、分岐型の印加電極1Bとアース電極3とが対向する部分の面積が、実施の形態1および2のプラズマ処理装置の印加電極1とアース電極3とが対向する部分の面積よりも広い。また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、反応容器10内に高圧反応ガスが充填された状態において、高周波交流パルス電源12および連続高周波交流電源18のみでは電力伝達経路の開放端の全面にプラズマ7を発生させる事が困難な場合がある。この場合には、直流パルス電源13から出力された直流パルス正電圧P1によりプラズマ発生に必要な高電圧を分岐型の印加電極1Bに印加する。それにより、電力伝達経路の開放端の全面にわたってプラズマ7を発生させることができる。
【0153】
そのため、高周波交流パルス電源12から出力された高周波電界により荷電粒子の気体分子等への衝突数が増加する。その結果、基板8の全面にわたってプラズマ7中の荷電粒子密度および活性反応種密度を増大させることができる。
【0154】
また、プラズマへ印加される電圧は上記の電圧には限定されず、実施の形態1〜3に示された電圧波形を目的に応じて選択して、印加電極1に印加することが可能である。
【0155】
(実施の形態5)
図27は、本発明の実施の形態5のプラズマ処理装置の概略構成図である。本実施の形態のプラズマ処理装置は、図27に示すように、高周波用電極19および低周波用電極20を備えている。本実施の形態のプラズマ処理装置は、高周波用電極19および低周波用電極20以外の構成については、実施の形態1〜4のプラズマ処理装置とほぼ同様である。
【0156】
なお、実施の形態1〜4のプラズマ処理装置の説明において用いた符号と同一の符号を付した部分は、実施の形態1〜4のプラズマ処理装置の該当部分と同様の機能を果たす部分であるため、その説明は繰返さない。
【0157】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、図27に示すように、高周波交流パルス電源12が接続された高周波用電極19と直流パルス電源13が接続された低周波用電極20とが互いに絶縁体2を介して対向している。また、高周波用電極19および低周波用電極20は絶縁体2を介してアース電極3で覆われている。また、高周波用電極19とアース電極3との間で電力伝達経路が構成されている。また、低周波用電極20とアース電極3との間でも電力伝達経路が構成されている。
【0158】
また、高周波用電極19、低周波用電極20およびアース電極3の基板8に対向する部分が電力伝達線路の開放端となっている。また、高周波用電極19、低周波用電極20およびアース電極3の電力伝達経路の開放端は、被覆絶縁体17で被覆されている。
【0159】
高周波電極19の内部には、外部からガスが供給されるガス供給ライン6、ガスが滞留するバッファ5、および、基板8へガスを噴出するガス供給口4が設けられている。また、高周波用電極19とアース電極3とにより構成される電力伝達経路の開放端の近傍にガスが供給される。さらに、前述の電力伝達経路の開放端に対向する位置にステージ9に搭載された基板8が配置されている。
【0160】
また、高周波交流パルス電源12はトリガ装置50Aに接続されている。また、直流パルス電源13は、トリガ装置50Bに接続されている。そのトリガ装置50Aにより高周波交流パルス電源12から発振されたパルス電圧のタイミングが調整されている。また、トリガ装置50Bにより直流パルス電源13から発振されたパルス電圧のタイミングが調整されている。
【0161】
本実施の形態のプラズマ処理装置においては、高周波用電極19とアース電極3との間で形成される電力伝達経路の開放端にプラズマ7が発生する。それにより、前述の電力伝達経路の開放端に対向する位置に設置された基板8に薄膜の形成が行われるか、薄膜の加工、または基板8自体の加工が行われる、または、基板8の表面の処理等が行われる。
【0162】
その際、高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rの各パルス間に、直流パルス電源13から出力された直流パルス電圧Pが前述の低周波用電極20に印加される。そのとき、プラズマ7に印加される電圧波形は、図4〜図11に既に示された電圧波形である。ここで、高周波用電極19に印加される電圧波形は、図4〜図11中に示される様な高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rであり、同時に低周波用電極20に印加される電圧波形は、図4〜図11中に示される様な直流パルス電源13から出力された直流パルス電圧Pであるが、プラズマ7においてはその電界が重畳され、図4〜図11に示される様な電圧波形になるのである。
【0163】
たとえば、本実施の形態のプラズマ処理装置は、図4に示すように、高周波用電極19に高周波交流パルス電圧Rが印加されるとともに、低周波用電極20に直流パルス正電圧P1が印加される。また、前述の高周波交流パルス電圧R同士の合間に、少なくとも2パルス以上連続して直流パルス正電圧P1が印加される。
【0164】
それにより、高周波交流パルス電源12のみでは、マッチングボックス等の容量の観点からの制限により、プラズマ7を発生させるために必要な高電圧を発生させることが困難であった反応ガス種および高圧反応ガス条件においても、直流パルス正電圧P1を低周波用電極20に印加することにより、プラズマ7を発生させることができる。それにより、荷電粒子を印加電極1の近傍に発生させることができる。
【0165】
また、前述の直流パルス正電圧P1のみで発生できる荷電粒子密度および活性反応種密度は小さい。そのため、高周波交流パルス電圧Rを高周波用電極19に印加することにより、高周波電界により荷電粒子の衝突数を増加させることができる。その結果、プラズマ7中の荷電粒子の密度および活性反応種の密度を大きくすることができる。
【0166】
さらに、本実施の形態のプラズマ処理装置は、1つの電極に対し高周波交流パルス電圧Rおよび直流パルス正電圧P1を印加する場合に比べて、電極構造は複雑になるが、スイッチング回路11および重畳回路15を必要しないため、電源回路が簡略化される。また直流パルス電源の代りに低周波交流電源を接続し、低周波交流パルス電圧Qを低周波用電極20に印加してもよい。
【0167】
本実施の形態のプラズマ処理装置においては、1つの印加電極に高周波交流パルス電圧Rおよび直流パルス電圧Pまたは低周波交流パルス電圧Qが印加されるのではなく、高周波用電極19に高周波交流パルス電圧Rまたは連続高周波交流電圧Sが印加されるとともに、低周波用電極20に低周波交流パルス電圧Qまたは直流パルス電圧Pが印加される。そのため、高周波交流パルス電圧Rまたは連続高周波交流電圧Sが印加電極1に印加されるタイミングと、直流パルス電圧Pまたは低周波交流パルス電圧Qが印加電極に印加されるタイミングとの関係は、実施の形態1〜4のプラズマ処理装置の直流パルス電圧Pまたは低周波交流パルス電圧Qが印加電極に印加されるタイミングとの関係と同様である。
【0168】
(実施の形態6)
また、図28は、本発明の実施の形態6のプラズマ処理装置の概略構成図である。図28に示すプラズマ処理装置は、大面積の高周波用電極19Aおよび低周波用電極20を備えている。本実施の形態のプラズマ処理装置は、大面積の高周波用電極19Aおよび低周波用電極20以外の構成については、実施の形態1〜5のプラズマ処理装置と同様である。
【0169】
なお、実施の形態1〜5のプラズマ処理装置の説明において用いた符号と同一の符号を付した部分は、実施の形態1〜5のプラズマ処理装置の該当部分と同様の機能を果たす部分であるため、その説明は繰返さない。
【0170】
図28に示すように、高周波交流パルス電源12が接続された大面積の高周波用電極19Aおよび直流パルス電源13が接続された低周波用電極20がともに絶縁体2を介してアース電極3で覆われている。また、接地ステージ9Aは、接地されているとともに、大面積の高周波交流用電極19Aに対向するように設置されている。
【0171】
本実施の形態のプラズマ処理装置においても、実施の形態5のプラズマ処理装置と同様に、大面積の高周波用電極19Aに、図4に示す高周波交流パルス電圧Rが印加される。それにより、低周波用電極20に、直流パルス正電圧P1が、各高周波交流パルス電圧R間に少なくとも2パルス以上連続して印加される。その結果、高周波用電極19Aと接地ステージ9Aとの間でプラズマ7が発生し、そのプラズマ7が用いられて、薄膜の形成、薄膜の加工、又は基板8自体の加工、または、基板表面の処理等が行われる。
【0172】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、高周波用電極19Aと接地された接地ステージ9Aとが対向する部分の面積が、実施の形態1および2のプラズマ処理装置の電極とステージとが対向する部分の面積よりも大きい。また、反応容器10内に高圧反応ガスが充填された状態において、高周波交流パルス電源12または連続高周波交流電源18のみでは基板8の全面にわたってプラズマ7を発生させることが困難である場合がある。このような場合には、直流パルス電源13から出力された直流パルス正電圧P1が低周波交流用電極20に印加される。
【0173】
それにより、基板8の表面近傍の全体にわたってプラズマ7が発生することにより、荷電粒子が大面積の高周波用電極19Aの近傍に発生する。
【0174】
また、高周波交流パルス電源12または連続高周波交流電源18から出力された高周波交流パルス電圧Rまたは連続高周波交流電圧Sが、高周波交流用電極19Aに印加される。それにより、高周波電界により荷電粒子の気体分子等への衝突数を増加するため、基板8の表面の全体にわたてプラズマ7中の荷電粒子密度および活性反応種密度が大きくなる。
【0175】
なお、本実施の形態のプラズマ処理装置において、プラズマ7に印加される電圧波形は、上記の電圧波形に限定されず、実施の形態1〜5のプラズマ処理装置において用いられた電圧波形を目的に応じて選択することが可能である。
【0176】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置は、高周波交流パルス電圧Rおよび直流パルス電圧Pを1つの印加電極に印加する場合に比べて、電極構造は複雑になるが、スイッチング回路11および重畳回路15を必要としないため、電源回路が簡略化される。
【0177】
(実施の形態7)
図29および図30は、本発明の実施の形態7のプラズマ処理装置の概略構成図である。
【0178】
図29に示すプラズマ処理装置は、分岐型の高周波用電極19Bおよび低周波用電極20を備えている。本実施の形態のプラズマ処理装置は、分岐型の高周波用電極19Bおよび低周波用電極20以外の構成については、実施の形態1〜6のプラズマ処理装置とほぼ同様である。
【0179】
なお、実施の形態1のプラズマ処理装置の説明において用いた符号と同一の符号を付した部分は、実施の形態1〜6のプラズマ処理装置の該当部分と同様の機能を果たす部分であるため、その説明は繰返さない。
【0180】
図29および図30に示すように、高周波交流パルス電源12が接続された分岐型の高周波用電極19Bと直流パルス電源13が接続された低周波用電極20とが絶縁体2を介して互いに対向している。また、分岐型の高周波用電極19Bおよび低周波用電極20は、絶縁体2を介してアース電極3により覆われている。また、分岐型の高周波用電極19Bとアース電極3との間で電力伝達経路の開放端が構成されている。また、低周波用電極20とアース電極3との間でも電力伝達経路の開放端が構成されている。
【0181】
さらに、分岐型の高周波用電極19B、低周波用電極20およびアース電極3の基板8に対向する部分において電力伝達経路の開放端が構成されている。また、分岐型の高周波用電極19B、低周波用電極20およびアース電極3の電力伝達経路の開放端は、被覆絶縁体17で被覆されている。また、前述の電力伝達経路の開放端に対向する位置にステージ9に設置された基板8が配置されている。
【0182】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置においては、分岐型の高周波用電極19Bとアース電極3とにより構成される電力伝達経路の開放端にプラズマ7が発生する。それにより、前述の電力伝達経路の開放端に対向する位置に設置され基板8に薄膜が形成されるか、薄膜の加工が行われるか、または基板8自体の加工、または、基板8の表面の処理等が行われる。その際、高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rの各パルス間に、直流パルス電源13から出力された直流パルス電圧Pを前述の低周波用電極20に印加される。そのとき、プラズマ7に印加された電圧波形は図4〜図11に示す電圧波形である。
【0183】
ここで、分岐型の高周波用電極19Bに印加される電圧波形は、図4〜図11中に示される様な高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rであり、同時に低周波用電極20に印加される電圧波形は、図4〜図11中に示される様な直流パルス電源13から出力された直流パルス電圧Pであるが、プラズマ7においてはその電界が重畳され、図4〜図11に示される様な電圧波形になるのである。
【0184】
図4に示すように、大面積の分岐型の高周波用電極19Bに高周波交流パルス電圧Rを印加する。さらに、直流パルス正電圧P1が、前述の各高周波交流パルス電圧R同士の合間に少なくとも2パルス以上連続して挿入されるように、低周波交流用電極20に印加される。それにより、分岐型の高周波用電極19Bとステージ9との間でプラズマ7が発生する。その結果、基板8に薄膜が形成されるか、基板8に形成された薄膜が加工されるか、基板8自身が加工、または、基板8の表面が処理される。
【0185】
本実施の形態のプラズマ処理装置においては、分岐型の高周波用電極19Bとアース電極3とが対向する部分の面積が、実施の形態1および2のプラズマ処理装置の印加電極1とアース電極3とが対向する部分の面積よりも大きい。また、反応容器10内に高圧反応ガスが充填された状態において、高周波交流パルス電源12および連続高周波交流電源18のみでは電力伝達経路の開放端の全面にわたってプラズマ7を発生させることが困難な場合がある。この場合には、直流パルス電源13から出力された直流パルス正電圧P1を低周波交流用電極20に印加する。
【0186】
それにより、電力伝達経路の開放端の全面にわたってプラズマ7を発生させる。その結果、荷電粒子が分岐型の高周波用電極19Bの近傍に発生する。さらに、高周波交流パルス電源12から出力された高周波交流パルス電圧Rを分岐型の高周波用電極19Bに印加する。それにより、高周波電界により荷電粒子の気体分子等への衝突数が増加する。その結果、電力伝達経路の開放端の全面にわたってプラズマ7中の荷電粒子密度および活性反応種密度を大きくすることができる。
【0187】
本実施の形態のプラズマ処理装置のプラズマ7に印加される電圧波形は、上記の電圧波形に限定させず、実施の形態1〜6のプラズマ処理装置において用いられた電圧波形を目的に応じて選択することが可能である。
【0188】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、高周波交流パルス電圧Rおよび直流パルス電圧Qを1つの印加電極に印加する場合に比べて、電極構造は複雑になるが、スイッチング回路11および重畳回路15を必要としないため、電源回路が簡略化される。
【0189】
なお、上記各実施の形態のプラズマ処理方法では、容器内のガスの圧力が0.1気圧〜10気圧の状態で被処理物が処理される。更にガス圧力が大気圧の場合は反応容器を必要としない。
【0190】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0191】
【発明の効果】
本発明のプラズマ処理装置によれば、被処理物が損傷することを抑制することが可能となる。また、他の観点では、本発明のプラズマ処理装置によれば、安定した高圧プラズマを維持することが可能となる。また、さらに他の観点では、本発明のプラズマ処理装置によれば、被処理物の処理効率が向上する。また、別の観点では、本発明のプラズマ処理装置によれば、電磁波漏れによる電磁障害が防止される。また、さらに別の観点では、本発明のプラズマ処理装置によれば、被処理物の設置態様の自由度が増加したする。また、さらに別の観点では、本発明のプラズマ処理装置によれば、回路構造が簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1のプラズマ処理装置の概略構成図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図5】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図6】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図7】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図8】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図9】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図10】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧波形図の一例である。
【図11】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図12】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図13】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図14】実施の形態1のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図15】実施の形態2のプラズマ処理装置の概略構成を示す図である。
【図16】実施の形態2のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図17】実施の形態2のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図18】実施の形態2のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧波形図の一例である。
【図19】実施の形態2のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧波形図の一例である。
【図20】実施の形態2のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図21】実施の形態2のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図22】実施の形態2のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧の波形図の一例である。
【図23】実施の形態3のプラズマ処理装置の概略構成を示す図である。
【図24】図23のXXIV−XXIV線断面図である。
【図25】実施の形態4のプラズマ処理装置の概略構成を示す図である。
【図26】図25のXXVI−XXVI線断面図である。
【図27】実施の形態5のプラズマ処理装置の概略構成を示す図である。
【図28】実施の形態6のプラズマ処理装置の概略構成を示す図である。
【図29】実施の形態7のプラズマ処理装置の概略構成を示す図である。
【図30】図29のXXX−XXX線断面図である。
【図31】従来のプラズマ処理装置の印加電極を説明するための図である。
【図32】従来のプラズマ処理装置の電子回路を説明するための図である。
【図33】従来のプラズマ処理装置の印加電極に印加される電圧波形を示す図である。
【符号の説明】
1,1A,1B 印加電極、2 絶縁体、3 アース電極、4 ガス供給口、5 バッファ、6 ガス供給ライン、7 プラズマ、8 基板、9 ステージ、10 反応容器、11 スイッチング回路、12 高周波交流パルス電源、13直流パルス電源、14 ロウパスフィルタ、15 重畳回路(結合部)、16マッチングボックスまたはハイパスフィルタ、17 被覆絶縁体、18 連続高周波交流電源、19,19A,19B 高周波用電極、 20 低周波用電極。
Claims (29)
- プラズマを発生させて、発生したプラズマを用いて、被処理物を処理するプラズマ処理装置であって、
互いに対向する一対の電極と、
該一対の電極に高周波交流パルス電圧を印加することが可能な高周波交流パルス電源と、
前記一対の電極に前記高周波交流パルス電圧よりも周波数が低い低周波交流パルス電圧を印加することが可能な低周波交流パルス電源と、
前記高周波交流パルス電源と前記一対の電極とが電気的に接続された状態と、前記低周波交流パルス電源と前記一対の電極とが電気的に接続された状態とを切換えることが可能なスイッチング回路とを備え、
該スイッチング回路は、前記高周波交流パルス電圧の印加の休止時間内に、前記低周波交流パルス電圧が前記一対の電極に印加されるように切換制御され、プラズマを発生させる、プラズマ処理装置。 - プラズマを発生させて、発生したプラズマを用いて、被処理物を処理するプラズマ処理装置であって、
互いに対向する一対の電極と、
該一対の電極に高周波交流パルス電圧を印加することが可能な高周波交流パルス電源と、
前記一対の電極に直流パルス電圧を印加することが可能な直流パルス電源と、
前記高周波交流パルス電源と前記一対の電極とが電気的に接続された状態と、前記直流パルス電源と前記一対の電極との接続とが電気的に接続された状態とを切換えることが可能なスイッチング回路とを備え、
前記スイッチング回路は、前記高周波交流パルス電圧の印加の休止時間内に、前記直流パルス電圧が前記一対の電極に印加されるように切換制御され、プラズマを発生させる、プラズマ処理装置。 - プラズマを発生させて、発生したプラズマを用いて、被処理物を処理するプラズマ処理装置であって、
互いに対向する一対の電極と、
該一対の電極に高周波交流パルス電圧または連続高周波交流電圧を印加することが可能な高周波交流電源と、
前記一対の電極に前記高周波交流パルス電圧または連続高周波交流電圧よりも周波数が低い低周波交流パルス電圧を印加することが可能な低周波交流パルス電源と、
前記高周波交流パルス電圧または連続高周波交流電圧と、前記低周波交流パルス電圧と、を重畳させる重畳回路とを備え、
前記重畳回路を通じて、前記一対の電極に前記高周波交流パルス電圧若しくは前記連続高周波交流電圧、及び低周波交流パルス電圧を所望の時刻で印加しプラズマを発生させる、プラズマ処理装置。 - プラズマを発生させて、発生したプラズマを用いて、被処理物を処理するプラズマ処理装置であって、
互いに対向する一対の電極と、
該一対の電極に高周波交流パルス電圧または高周波交流連続波電圧を印加することが可能な高周波交流電源と、
前記一対の電極に直流パルス電圧を印加することが可能な直流パルス電源と、
前記高周波交流パルス電圧または連続高周波交流電圧と、前記直流パルス電圧と、を重畳させる重畳回路とを備え、
前記重畳回路を通じて、前記一対の電極に前記高周波交流パルス電圧若しくは前記連続高周波交流電圧、及び直流パルス電圧を所望の時刻で印加しプラズマを発生させる、プラズマ処理装置。 - 前記直流パルス電圧および前記低周波交流パルス電圧を前記印加電極に印加するタイミングを調整するトリガ装置をさらに備えた、請求項1から4の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記スイッチング回路若しくは前記重畳回路と、前記高周波交流電源若しくは前記高周波交流パルス電源との間に、マッチングボックス、または、ハイパスフィルタが接続された、請求項1から5の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記スイッチング回路若しくは前記重畳回路と、前記低周波交流パルス電源若しくは直流パルス電源との間に、ローパスフィルタをさらに備えた、請求項1から6の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記高周波交流パルス電圧の印加の休止時間内に、少なくとも2パルス以上の前記低周波交流パルス電圧若しくは直流パルス電圧を前記印加電極に印加する、請求項1から7の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記直流パルス電源は、前記一対の電極のうち前記高周波交流パルス電圧を印加する電極が、該電極に対向する電極よりも高電位になるように接続された、請求項2、4から8の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記高周波交流パルス電圧若しくは前記連続高周波交流電圧が印加される電極が、該電極に対向する電極に対して高電位になるように印加される第1直流パルス電圧と、前記高周波交流パルス電圧若しくは前記連続高周波交流電圧が印加される電極が、該電極に対向する電極に対して低電位になるように印加される第2直流パルス電圧とが、各々少なくとも1パルス以上前記印加電極に印加される、請求項2、4から9の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記一対の電極に高周波交流パルス電圧と直流パルス電圧とが、同時に、または、各パルスの印加時間の一部もしくは全部が互いに重なるように、前記印加電極に印加される、請求項4から10の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記一対の電極に前記連続高周波交流電圧と直流パルス電圧とが、同時に前記印加電極に印加される、請求項4から11の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記一対の電極に前記高周波交流パルス電圧と低周波交流パルス電圧とが、同時に、または、各パルスの印加時間の一部もしくは全部が互いに重なるように、前記印加電極に印加される、請求項3、5から8の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記一対の電極に前記連続高周波交流電圧と低周波交流パルス電圧とが、同時に、前記印加電極に印加される、請求項3、5から8、13の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記低周波交流電圧の周波数は、10Hz〜1MHzの範囲である、請求項1、3、5から8、13、14の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記直流パルス電圧を前記印加電極に印加するパルス印加時間は、100msec以下である、請求項4から12の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記直流パルス電圧の繰返し周波数は、10Hz〜1MHzの範囲である、請求項4から12、16の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記連続高周波交流電圧又は前記高周波交流パルス電圧の周波数は、1MHz〜10GHzである、請求項1から17の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記一対の電極同士の間に前記被処理物を載置可能なステージが設けられているか、または、前記一対の電極のうちのいずれか一方が、前記被処理物が載置されるステージとして使用される、請求項1から18のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
- プラズマを用いて、被処理物を処理するプラズマ処理装置であって、
互いに対向する一対の電極と、
該一対の電極同士の間の空間に挿入された誘電体または絶縁体とを備え、
前記一対の電極と該誘電体または絶縁体とにより電力伝達経路が構成されるとともに、前記一対の電極と前記誘電体または絶縁体とが一対をなして露出する部分が前記電力伝達経路の開放端となっており、該開放端近傍にプラズマを発生させる、請求項1から18の何れかに記載のプラズマ処理装置。 - 前記印加電極の外部から前記開放端にプラズマを発生させるためのガスを導くガス供給経路を備え、
該ガス供給経路は、前記印加電極内を通過するとともに、該ガス供給経路の終端が、前記開放端の印加電極表面に面するように構成されている、請求項20に記載のプラズマ処理装置。 - 前記ガス供給経路は、前記開放端の電極表面に、複数の供給口が面するように構成されている、請求項21に記載のプラズマ処理装置。
- 前記開放端は、前記一対の電極の一方、前記誘電体または絶縁体、および、前記一対の電極の他方の組み合わせからなり、該組み合わせは複数設けられている、請求項20から22の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記一対の電極のうち少なくともいずれか一方は、複数に分岐している、請求項20から23の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 前記開放端と対向する位置にステージが設けられた、請求項20から24の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 発生したプラズマを用いて、被処理物を処理するプラズマ処理装置であって、
互いに対向する一対の電極と、
接地電位に固定されたアース電極とを備え、
該一対の電極が、プラズマを発生させるための部分以外の部分においては、接地電極に接続された電極に覆われるように構成されている、プラズマ処理装置。 - 発生したプラズマを用いて、被処理物を処理するプラズマ処理装置であって、
互いに対向する一対の電極を備え、
該一対の電極は、交流電源に接続された交流電源用電極と、直流電源に接続された直流電源用電極とを含む、プラズマ処理装置。 - 前記印加電極周囲のガス雰囲気を維持する反応容器を更に有する、請求項1から27の何れかに記載のプラズマ処理装置。
- 請求項1〜28記載のプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理方法であって、
前記容器内のガスの圧力が0.1気圧〜10気圧の状態で前記被処理物が処理される、プラズマ処理方法。
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