JP4531919B2 - 難燃性ポリエステル樹脂組成物、難燃性ポリエステル繊維、難燃材および難燃性ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents

難燃性ポリエステル樹脂組成物、難燃性ポリエステル繊維、難燃材および難燃性ポリエステル繊維の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リンを難燃剤として配合した難燃性ポリエステル樹脂組成物、難燃性ポリエステル繊維、難燃材および難燃性ポリエステル繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
優れた力学的性質を有し、繊維、フィルム、その他のプラスチック成形物として広範囲に利用される有用な素材として、ポリエチレンテレフタレートがある。しかしながら、燃焼しやすいという欠点を有しており、近年火災に対する認識の高まりに伴い、難燃化が強く要望されている。
【0003】
このようなポリエステルを難燃化する試みは従来より種々検討されており、繊維、フィルムなどの成形時に難燃剤を練り混む方法、成形物に難燃剤を後処理する方法、難燃剤を共重合法により添加配合せしめる方法などが知られている。
【0004】
例えば、特開平8−127918号公報には、有機リン化合物をポリマー中のリン含有量が1.0重量%になるように共重合させたポリエステルであって、反応終了後生成物を加水分解した後エポキシ化合物と反応させ末端酸価を10未満としたオリゴマーを、繊維全体のリン含有量が0.4〜2.0重量%になるように添加配合した高難燃性ポリエステル繊維が開示されている。共重合により有機リン化合物をポリマー中に所定量添加配合した後、更に練り込みによって有機含リンオリゴマーを添加配合させ、高難燃性の防炎性黒色原着ポリエステル繊維を得ている。該公報では、ポリエステル中のリン原子含有量が高く、それぞれ単独の方法で添加配合したものよりもポリエステル本来の力学的物性或いは熱的物性等の低下もほとんどない。また、反応生成物にエポキシ化合物を反応せしめ、反応生成物中の末端酸価を低下せしめれば、ポリエステル本来の力学的物性或いは熱的物性等を低下せしめず、かつ、着色度が少なくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、共重合法では、ポリエステル合成の際に共重合可能なリン化合物を使用するため、高価な化合物を難燃剤として使用する必要があり、不経済である。また、難燃性ポリエステル材を製造するために、ポリエステル樹脂そのものを合成する段階で難燃剤を配合する必要がある。このため、ポリエステル合成の技術を有しない場合には、難燃性ポリエステル樹脂組成物やこれを用いた難燃性繊維を製造することができない。加えて、常に新たなポリエステル原料が必要とされるため、使用後の熱可塑性ポリエステル樹脂製品を再使用して難燃性の熱可塑性ポリエステル樹脂を製造することなども到底困難である。
【0006】
また、ポリエステル繊維を紡糸した後に難燃化処理する方法では処理が煩雑であったり、不均一であったり、又繊維の風合いを粗硬にしたり、洗濯などで難燃性が低下したりする等の種々の欠点を有する場合がある。難燃化処理が不均一では十分難燃効果を得ることはできず、使用時の安全性も害される。
【0007】
更に、難燃性ポリエステル繊維を得る場合に、熱可塑性ポリエステル樹脂自体に難燃剤を配合してそれを製造する方法では、難燃効果を向上させるため難燃剤の配合量が多いと紡糸時に難燃剤が昇華したり、または繊維の機械的特性を著しく低下させる場合がある。更には、繊維製品等をドライクリーニングした際に難燃剤の脱落やブリードアウトが起こり、その結果、性能低下や汚染による衛生上の問題が生じる場合もある。これは難燃剤と熱可塑性ポリエステル樹脂との相溶性が劣ること、難燃剤の添加量が増すと紡糸工程での加工性、相溶性が劣り、強度等が低下することなどが関与すると思われる。
【0008】
従って、優れた力学的性質を有するポリエステルを容易に難燃化することができる難燃化ポリエステル樹脂の製造方法や、特に熱可塑性ポリエステル繊維とするに必要な難燃化ポリエステル樹脂組成物が求められる。
【0009】
一方、このような難燃性ポリエステル樹脂組成物は、カーテン、展示用合板などの高層建築物、じゅうたん、壁装材、旅客機のカーペット、カーテン、座席、クッションなどの内装材、自動車内装材、鉄道車両内装材、船舶用品、寝具類、防炎頭巾、衣類等、広範囲に使用することができる。
【0010】
そしてこれらに使用された後は、解体後に焼却処分されることが一般的であり、このため燃焼時の安全性の確保も必要となる。
【0011】
この点、ポリエステルの難燃性繊維を得るために、難燃剤として有機リン系化合物のほかに臭素系、塩素系などのハロゲン系化合物が使用されているが、燃焼時の問題がある。すなわち、難燃剤としてハロゲン系化合物を使用したものを燃焼しまたは焼却する時には、一般に環境汚染物質として注目されているダイオキシンを発生させる可能性がある。特にダイオキシンは環境中で極めて安定で生物に対する毒性の強いものが多く、人類にとって全く有用性に欠ける物質群である。このダイオキシンの発生を抑制するため、例えば燃焼管理を含めた完全燃焼によって炉からの生成を極力抑制し、さらにバグフィルタや活性炭の使用等の各種技術の組み合わせによって排ガス処理系で対応を図る方法や、高温焼却炉で800℃以上の焼却処理する方法、触媒を用いてダイオキシンを焼却時に分解する方法などもあるが、いずれも十分なものではない。したがって、特に燃焼時に、ハロゲンなどの有毒ガスの発生を防止することも求められる。
【0012】
加えて、難燃性材料はその耐久性も求められる。耐久性に優れる結果、廃棄量自体を減少させ、焼却処理による二酸化炭素の発生なども有効に抑制することができるからである。また、同時に従来の資源を再利用できれば、焼却処分される対象物のマテリアルリサイクルを可能とし、環境保全に寄与すると共に経済的にも有利である。特に、近年の容器包装リサイクル法によって回収された資源が有効利用できなければ回収の意味もない。そこで、環境保全の観点からも既存の資源を利用して簡便に難燃性繊維を得る方法が望まれる。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、熱可塑性ポリエステル樹脂と難燃剤との組み合わせを詳細に検討した結果、少量の無機赤リンを配合することで難燃効果が得られること、および製品廃棄燃焼時の安全性を確保できること、加えて耐光性に優れる難燃材が得られることを見出して本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の(1)〜()を提供するものである。
【0014】
(1) 燃性ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸して得た繊維であって、該ポリエステル樹脂組成物が繊維重量を基準として、無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リンを0.2〜15重量%、カーボンブラックを0〜5重量%、熱可塑性ポリエステル樹脂を99.8〜80重量%含有することを特徴とする難燃性ポリエステル繊維。
【0016】
) 上記(1)記載の樹脂組成物100重量部に、水酸化アルミニウムまたは酸化アンチモンを0.1〜5.0重量部さらに含有することを特徴とする、難燃性ポリエステル繊維
【0017】
前記熱可塑性ポリエステル樹脂の少なくとも一部が、廃棄熱可塑性ポリエステル樹脂である、上記(1)または(2)に記載の難燃性ポリエステル繊維
【0019】
) 上記(1)〜(3)のいずれかに記載の難燃性繊維を5〜100重量%含有する難燃材。
【0020】
) 該難燃材が、自動車用内装材として使用されるものである、上記()記載の難燃剤。
【0021】
) 無機赤リンを含有するマスターバッチ、熱可塑性ポリエステル樹脂、およびカーボンブラックを含有するマスターバッチとを溶融混合し、次いで溶融紡糸することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の難燃性ポリエステル繊維の製造方法。
【0022】
) 樹脂被覆された無機赤リンを含有するマスターバッチ、熱可塑性ポリエステル樹脂、およびカーボンブラックを含有するマスターバッチとを溶融混合し、次いで溶融紡糸することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の難燃性ポリエステル繊維の製造方法。
【0023】
) カーボンブラックを含有するマスターバッチ、樹脂被覆された無機赤リン、および熱可塑性ポリエステル樹脂とを溶融混合し、次いで溶融紡糸することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の難燃性ポリエステル繊維の製造方法。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の第一は、無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リン0.2〜15重量%と熱可塑性ポリエステル樹脂99.8〜85重量%とを含む難燃性ポリエステル樹脂組成物である。本発明は、難燃剤として無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リンを使用することで、従来の塩素系難燃剤を配合する場合と異なり、廃材となり焼却処理される段階でもダイオキシンを発生することがない。しかも、熱可塑性ポリエステル樹脂に無機赤リンなどを混合するため、ポリエステルの合成自体に何ら難燃化処理が不要である。このため熱可塑性ポリエステル樹脂として使用済みのポリエステルを使用することもできる。また、無機赤リンはポリエステル共重合体を合成する際に使用する有機リンと異なり安価である。このため、極めて経済的に難燃性ポリエステル樹脂を得ることができるのである。しかも、無機赤リンは極めて難燃性が高く、得られた熱可塑性ポリエステル樹脂およびこれを紡糸したポリエステル繊維中に少量配合するだけで優れた難燃性を付与できる。このため、ポリエステル樹脂含有量を高めることができ、これによってポリエステル繊維自体の品質や機械的特性を維持することができる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0025】
本発明で使用する無機赤リンは、合成樹脂等の難燃剤として一般に添加される赤リンを使用することができる。一般には、赤リンは、転化釜と称する反応容器中で黄リンを数日間加熱処理し、次いでケーキ状に固く凝結した密度の高い一体の塊状物を粉砕して粉末化して得られ、本発明においてもこれを使用することができる。また、この粉末状赤リンは、その粉末粒子表面が反応性の高い破砕面で構成されているため、熱や摩擦あるいは衝撃に対して不安定な場合もある。従って、このような粉末状赤リンに物理的または化学的表面処理を施したものや、赤リン調製時に他の処理を施したものを使用してもよい。
【0026】
このような他の処理したものとして、例えば、分散剤の存在下で黄リンを沸点付近の温度に加熱し、赤リンに熱転化させたものを使用できる。このように黄リンの熱転化反応を分散剤の存在下で行うことにより、赤リンの粉砕処理を必要とせず、極めて微細な、しかも粒径の揃ったシャープな粒度分布を有する球体様単粒子又はその低次の結合体から成る微粉末状の球体様赤リンが得られる。
【0027】
ここに分散剤とは、溶融黄リン中に生成する赤リン粒子の分散性を高め、該粒子間結合を抑制する物質を意味する。この分散剤としては、各種界面活性剤、難溶性微粉末状無機化合物、無機アンモニウム塩類、アミノ基を有する有機化合物等を挙げることができ、いずれも本発明において使用することができる。分散剤の添加量は、通常赤リンの0.1〜2重量%であり、転化率70%以下で平均粒径数μm〜数10μmの球体様赤リンが得られる。
【0028】
また、使用する分散剤の種類及びその添加量並びに転化率をそれぞれ適当に選択することにより、所望の平均粒径を持つ微粉末状球体様赤リンを任意に製造することができる。本発明においては、平均粒径が10μm以下であり、かつ80重量%以上が粒径20μm以下の粒子で構成される微粉末状球体様赤リンが特に好ましい。
【0029】
このようにして得られた微粉末状球体様赤リンは、微粒子状で、かつ個々の粒子の粒径が比較的均一に揃ったシャープな粒度分布を有する。この微粉末状球体様赤リンは、粉砕処理を経ないため粒子表面に活性点が殆どなく安定であり、水分や酸素の吸着、反応も生起し難く、従来の粉砕赤リンを更に篩別し粒度調整した微粉末状粉砕赤リンに比べて、極めて高い安定性を持つ。篩別による粒度分布の調整が不用で、ポリエステル樹脂との均一な混合性にも優れる。本発明では、無機赤リンとして、市販品を使用することもできる。また、無機赤リンを含むマスターバッチを用いることもできる。
【0030】
次に、本発明で使用する樹脂被覆された無機赤リンとは、無機赤リンの表面を特定の樹脂で被覆したものである。樹脂被覆により熱可塑性樹脂との相溶性に優れるからである。
【0031】
このような樹脂被覆された無機赤リンとしては、無機赤リンや上記微粉末状球体様赤リンに表面改質処理を施したものがあり、特に本発明では熱硬化性樹脂で被覆したものが好ましい。このように微粉末状球体様赤リンに被覆処理を施すことにより、赤リン系難燃剤の安定性は更に改善され、樹脂混合溶融時や紡糸時においても安定で信頼性が高いからである。
【0032】
被覆処理手段としては、従来行われている合成樹脂による被覆法が適用できる。例えば、熱硬化性樹脂原料としては、この樹脂の合成原料物又はその初期縮合物が赤リンの水懸濁液中で容易に重合反応を進行するか又はその初期縮合物が水中に乳化分散し、赤リンの粒子表面に均一に沈積、被覆するならば、どのような樹脂原料でも使用することができる。
【0033】
熱硬化性樹脂として通常は、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ケトン・ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等から選ばれるいずれもが使用できる。
【0034】
被覆処理条件としては、用いる熱硬化性樹脂の種類によって幾分変動するが、水100重量部に対して赤リン10〜100重量部を含む赤リンの水懸濁液に、樹脂の合成原料又は初期縮合物を赤リン100重量部に対して1〜35重量部添加するのが好ましい。そして、樹脂の合成原料を用いる場合、40〜100℃で1〜3時間攪拌処理し、また、予め調製した初期縮合物を用いる場合、60〜100℃で1〜2時間攪拌処理を行うのが好ましい。得られた生成物を分離、水洗し、130〜140℃で乾燥し、重合反応を完結させて微粉末状球体様赤リンの粒子表面に熱硬化性樹脂被覆を形成する。
【0035】
この被覆処理の際、必要に応じて重合触媒や水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム又は水酸化チタンのような充填剤を共存させておくことができる。充填剤の添加量は、赤リン100重量部当り1〜35重量部が好ましい。このような充填剤の添加は、樹脂被覆層の機械的強度が向上すると共に赤リン特有の紫紅色に対する隠ぺい効果があり、赤リン系難燃剤の用途拡大に寄与し得るので好ましい。
【0036】
本発明において、微粉末状球体様赤リンの熱硬化性樹脂による被覆は、該赤リンに直接行う方法であっても、予め無機化合物で被覆処理した後に行う方法のいずれの方法も適用することができる。なお、無機化合物による被覆処理としては、以下の方法が例示できる。
【0037】
無機化合物は、周期律表第2族、第3族又は第4族の金属の酸化物又は水酸化物から選ばれ、具体的には水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化チタン等が挙げられる。上記金属の水溶性塩類の水溶液に赤リンを懸濁させ、水酸化ナトリウムによる中和又は重炭酸アンモニウムによる複分解によって赤リン粒子上に被覆層を形成させる。この際、赤リンの水懸濁液は水100重量部に対して赤リン10〜100重量部、金属の水溶性塩類の水溶液濃度は5〜30重量%、水酸化物又は酸化物の被覆生成量は赤リン100重量部につき1〜30重量部である。
【0038】
熱硬化性樹脂被覆を行った後は、引続き無機化合物による後処理を行い、その後加熱乾燥する。これによりブロッキングが効果的に防止され、被覆処理による難燃剤粒子の粗大化が抑制されて粒径の均一性が高い微粉末状赤リン系難燃剤が得られるからである。
【0039】
なお、後処理とは、樹脂被覆のブロッキング防止を目的として行う無機化合物処理を意味する。この無機化合物による後処理を含む樹脂被覆された無機赤リンの調製は具体的には次のように行うことができる。まず、前記の熱硬化性樹脂被覆方法に従って、熱硬化性樹脂被覆を施そうとする赤リンあるいは金属酸化物被覆赤リンを水に懸濁し、熱硬化性樹脂の合成原料又は初期縮合物を添加、攪拌して被覆処理を行い、これをろ過、水洗する。
【0040】
次に、これを再び水懸濁液とし、これに金属の水溶性塩類の水溶液を添加し、中和又は重炭酸アンモニウムによる複分解によって、金属の酸化物又は水酸化物を樹脂被覆表面上に吸着させる。この場合の無機化合物は、周期律表第2族、第3族又は第4族の金属の酸化物又は水酸化物から選ばれる。
【0041】
また、先の水懸濁液に単に難燃性微粉末状無機化合物を混合攪拌し、樹脂被覆表面上にこれを付着させることもできる。この場合の無機化合物としては、シリカ、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、アパタイト、タルク、ベントナイト、カオリン、珪藻土等が挙げられ、平均粒径1μm以下の微粉末を用いるのが好ましい。
【0042】
後処理における無機化合物の被覆量は、赤リン100重量部当り0.5重量部を必要とし、好ましくは1.0〜3.0重量部である。0.5重量部未満では、ブロッキングの抑制効果を期待するには不十分であり、一方、3.0重量部を越えて被覆量を増加してもブロッキング抑制効果は変わらない。
【0043】
本発明において、以上詳記した無機化合物及び/又は熱硬化性樹脂によるいずれの被覆処理においても、得られる赤リン系難燃剤の平均粒径は、原料の微粉末状球体様赤リンに比べて幾分増大するが、それは本発明の目的に対する有用性を損なうものではなく、多くの場合、平均粒径が15μm以下であり、80重量%以上が粒径35μm以下の粒子で構成されている微粉末状の赤リン系難燃剤を得ることができる。なお、本発明では、無機赤リン、樹脂被覆された無機赤リンとして市販品を使用することができる。
【0044】
なお、本発明では特に難燃剤として樹脂被覆された無機赤リンを使用することが好ましい。特に赤リンは不安定なために、空気中の水分や酸素の吸着が容易であり不均化反応によって合成樹脂を変質劣化させる酸素酸や有害なホスフィンガスを発生する場合がある。このホスフィンガスは、温度依存的に発生量が増加するため、本発明の樹脂組成物を調製する際や、更に溶融混合、溶融紡糸によって繊維を得る工程においてホスフィンが発生しやすい。従って、これら製造工程における有害ガスの発生を押さえ、かつこれらを使用した製品の焼却時においても、ホスフィンの発生を抑制できるため好ましいからである。
【0045】
次に本発明で使用する熱可塑性ポリエステル樹脂について説明する。本発明で使用する熱可塑性ポリエステル樹脂としては特に制限はなく、熱可塑性であればその構成成分を問わずいずれのポリエステル樹脂も使用することができる。本発明は、無機赤リンを配合することで極めて優れた難燃性をポリエステルに付与しうることを見出したものだからである。従って、得られた難燃性ポリエステル樹脂組成物をフィルム、シート、積層板、発泡体などに成型し、または射出、ブローインフレーション法などにより所望の形状に成形して使用することができる。しかしながら、特に該樹脂組成物を用いて紡糸し繊維とできることが好ましい。繊維となれば、その後に布帛やフェルトに成形することができ、特に内装材などとして利用しやすいからである。このため、紡糸可能なポリエステル樹脂にできることが好ましい。なお、紡糸は湿式、乾式に限られない。また、熱可塑性ポリエステル樹脂に限ったのは、熱可塑性であれば廃棄ポリエステルを再利用することができるからである。
【0046】
このような熱可塑性ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ビス−(4−カルボキシフェニル)スルフォン、1,2−ビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、1,2−ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、1,2−ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、p−フェニレンジ酢酸、ジフェニルオキシド−p,p’−ジカルボン酸、trans−ヘキサヒドロテレフタル酸及びそれらのアルキルエステル、アリールエステル、エチレングリコールエステルなどが挙げられる。
【0047】
一方、グリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、1,2−プロピレングリコ−ル、1,4−ブタンジオール、トリメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールや、ビスフェノールA、ビスフェノールS及びそのエチレングリコール、ポリエチレングリコール付加体、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。本発明では、該ポリエステル樹脂組成物をその後に所望の形状に成形して使用できるが、特に繊維に紡糸する場合には、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコールなどであることが好ましい。
【0048】
また、本発明では、該熱可塑性ポリエステルとして使用後に廃棄されたものや、工業製品を製造する際の端材を利用することもできる。なお、本願において、廃棄ポリエステル樹脂とは、使用済みポリエステル樹脂、使用前であるが規格外れ品であって、製品として使用されないものなど、製品以外のポリエステル樹脂を広く含むものとする。このような廃棄ポリエステル樹脂としては、合繊メーカー、フィルムメーカー、ペットボトル製造業、ポリエステル重合メーカーからでる端材や基準グレードを下回るポリエステル樹脂、一般廃棄物の容器包装リサイクル法によって得られるポリエステル樹脂が例示できる。これにより本来廃棄され、または焼却処理の対象となるべき廃材をマテリアルリサイクルすることができるからである。
【0049】
本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物では全ての難燃性ポリエステル樹脂がこのような廃棄ポリエステル樹脂であっても何ら差し支えない。むしろ全ての熱可塑性ポリエステル樹脂が使用済みのものなどであれば、廃材を原料成分として有効利用できると共に、本来焼却されるものを焼却せずに済むため、二酸化炭素の発生などを防止し、環境保全に寄与することができる。
【0050】
本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物では、無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リンを0.2〜15重量%、より好ましくは0.5〜8重量%、特に好ましくは1.0〜5重量%と、可塑性ポリエステル樹脂99.8〜85重量%、より好ましくは99.5〜92重量%、特に好ましくは99〜95重量%とを含む難燃性ポリエステル樹脂であることが好ましい。無機赤リンが0.2重量%を下回ると難燃性を付与することが困難で、その一方、15重量%を超えるとその後に紡糸することが困難となるからである。すなわち、上記範囲の無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リンを配合することで、難燃性に優れると共に紡糸性に優れる樹脂組成物が得られるのである。なお、本願においては、無機赤リン、樹脂被覆した無機赤リンの含有量は、無機赤リンに換算した数値を使用するものとする。
【0051】
本発明の樹脂組成物は、上記樹脂組成物100重量部に対して更にカーボンブラック0.2〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部、特には0.8〜2重量部を含有させてもよい。カーボンブラックを配合することで、紡糸した繊維に耐光堅牢性を付与することができるからである。特に難燃材として自動車内装材に使用されると、常に光による劣化を受けるため耐光性は極めて重要な要素となる。本発明では、カーボンブラックを配合することで難燃性繊維の褪色を防止し、同時に繊維自体に耐光堅牢性を付与できることを見出したのである。また、カーボンブラック自体の黒色により、例えば遮光用の暗幕等として使用することもできるのである。ここに好ましいカーボンブラックの配合量として0.2重量部としたのは、これを下回ると黒色への着色が不充分となるからである。その一方、5重量部としたのは、これを超えても目的とする黒色の程度は変わらず、むしろその後の紡糸が困難となるからである。また、無機赤リンはその名のごとく赤色を呈するために得られた樹脂組成物が赤色となり、これを用いて紡糸して得た繊維も赤色となる。そこでカーボンブラックを配合することで赤みを消し、更に黒色に着色できるので同時に耐光堅牢性が得られる。
【0052】
本発明において用いられるカーボンブラックは、チャンネルブラック、ファーネスブラック等任意のものが用いられる。これらは、一次粒子径が小さくなりすぎると熱可塑性ポリエチレン樹脂組成物中に配合する際粒子が凝集し易く製糸することが困難となる傾向があり、一方大きくなりすぎると黒色度が低下し易い。したがって、カーボンブラックの一次粒子径は10〜400nm、より好ましくは20〜300nm、特には20〜100nmの範囲内にあることが好ましい。
【0053】
本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物は、無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リンと、熱可塑性ポリエステル樹脂との割合が、これらの全量100重量%に対して上記割合を満たせばよく、これにカーボンブラックまたはこれに加えて更に他の添加物を含ませることもできる。このような添加物としては、炭酸カルシウム、タルク等の遅燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、炭酸ナトリウムおよびこれらの混合物などの他の難燃剤、フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪族カルボン酸などの可塑剤、無機塩、金属石鹸などの安定剤、アルキルフェノール、アルキレンビスフェノールなどの抗酸化防止剤、サリチル酸エステル、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤などがある。
【0054】
本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物では、特に酸化アンチモンや水酸化アルミニウムを併用すると、難燃性を増すことができ好ましい。これらの配合量は、本発明の樹脂組成物100重量部に、水酸化アルミニウムまたは酸化アンチモンを0.1〜5重量部、より好ましくは0.1〜4重量部、特には0.1〜3重量部含有してもよい。0.1を下回ると併用効果が発揮されず、その一方5重量部を超えても難燃性は変わらず、その一方、紡糸が困難になるからである。なお、樹脂被覆された無機赤リンの調製時にこれらの化合物が使用されている場合には、それも加えた量を上記化合物の含有量の範囲とする。
【0055】
本発明の樹脂組成物を調製するには、難燃剤として無機赤リン、樹脂被覆した無機赤リンを使用する場合にはこれらのマスターバッチを使用することが好ましい。例えば、予めマスターバッチ基材に無機赤リンまたは樹脂被覆した赤リンとを含有するマスターバッチを調製し、これに熱可塑性ポリエステル樹脂を混合溶融して調製する。また、樹脂組成物に、カーボンブラックを含ませる場合には、予め無機赤リンまたは樹脂被覆した赤リンとを含有するマスターバッチと、熱可塑性ポリエステル樹脂、およびカーボンブラックを含有するマスターバッチを調製し、両者を混合する。マスターバッチとポリエステル樹脂とを溶融混合するには特別の方法を採用する必要はない。例えば、溶融前の夫々のチップを混合後溶融しても良いし、両者を別々に溶融した後紡糸直前にスタティックミキサー等を用いて静的に混合してもよい。なお、難燃剤として樹脂被覆された無機赤リンを使用する場合には、特にポリエステル樹脂との相溶性に優れるために、特にマスターバッチを使用する必要はなく、直接にポリエステル樹脂中に混合溶融することができる。
【0056】
なお、マスターバッチを使用する際には、無機赤リンまたは樹脂被覆した無機赤リンを含むマスターバッチは、無機赤リンに換算してこれを該マスターバッチ中に5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%、特には10〜20重量%含有することが好ましい。5重量%を下回ると、無機赤リンの配合量が少なくマスターバッチを使用する意義が薄れ、その一方、40重量%を超えるとマスターバッチの調製自体が困難になるからである。マスターバッチに使用する樹脂としては、熱可塑性樹脂であってポリエステル樹脂組成物中に配合された後に、該樹脂組成物の特性を失わないものであれば特に制限なく使用でき、最も好ましいのは熱可塑性ポリエステル樹脂であり、その中でもポリエチレンテレフタレート系ポリエステルやポリブチレンテレフタレート系ポリエステルを主成分として含むものである。なお、このようなマスターバッチは市販品を使用することができる。
【0057】
また、カーボンブラックのマスターバッチは、カーボンブラックを該マスターバッチ中に5〜40重量%、より好ましくは10〜35重量%、特には20〜30重量%含有するものである。5重量%を下回ると、カーボンブラックの配合量が少なく所望の黒色を得ることができず、その一方、40重量%を超えるとブラックカーボンを均一に混合することが困難になるからである。
【0058】
この際、該マスターバッチにおいて、かかるカーボンブラックを配合する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート系ポリエステルが好ましい。このポリエステルは、特に該ポリエステルを構成する全酸成分を基準としてイソフタル酸が5〜20モル%共重合されているものがよい。イソフタル酸の共重合割合が5モル%未満の場合には、得られる繊維の物性低下を招いたり、製糸時の糸切れ等のトラブルを増加させる場合があるので好ましくない。一方、イソフタル酸の共重合割合が20モル%を越える場合には、得られる黒原着糸の物性が低下したり、着色斑が発生し易くなる場合があるので好ましくない。なお、上記ポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルは、イソフタル酸成分以外の共重合成分を全酸成分を基準として5モル%以下の範囲でさらに共重合されていてもよく、具体的には、二塩基酸として、アジピン酸、セバシン酸、ナフタリンジカルボン酸、フタル酸、グリコール成分としてプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール等をあげることができる。このようなマスターバッチを使用すると、カーボンブラックがイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート中にあらかじめ分散されているため、カーボンブラックの周辺は主にイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートで取り囲まれた構造となる。その結果、ポリエチレンテレフタレート中にはカーボンブラックによる増粘効果があまり作用せず、一方イソフタル酸共重合ポリエステル中ではイソフタル酸成分の減粘効果によりカーボンブラックの増粘効果が減じられ、全体としてはドリップ効果が向上して防炎性能が向上する。しかしながら本発明では、マスターバッチを使用する場合にこのような樹脂に限られず、目的とする樹脂組成物の特性を損なわないものであれば、いずれも使用できる。
【0059】
なお、他の添加剤を配合する場合には、公知の方法によって該樹脂組成物中に混合することができる。
【0060】
本発明の第二は、上記記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸して得た繊維であって、該ポリエステル樹脂含有量が繊維重量を基準としてそれぞれ無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リンを0.2〜15重量%、カーボンブラックを0〜5重量%、ポリエステル樹脂を99.8〜80重量%含有することを特徴とする難燃性繊維である。
【0061】
なお、該難燃性繊維は、上記樹脂組成物を公知の溶融紡糸方法によって繊維化して得ることができる。その際の断面形状は任意であり、丸断面繊維、異形断面繊維、中空繊維いずれであってもよい。
【0062】
また、該難燃性繊維において、無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リンが0.2重量%としたのは、これを下回ると無機赤リンなどを配合して難燃材を調製する場合に難燃効果が少なく、その一方15重量%としたのはこれを超えると無機赤リンの配合量が多すぎるために糸切れが多くなり、繊維としての特性に欠けるからである。同様に、カーボンブラックが5重量%を超えても糸切れが増え、かつ耐光堅牢性の付与に差がないからである。すなわち、本発明の難燃性繊維は難燃剤の添加量を少なくし、かつカーボンブラックの配合によって耐光堅牢性を付与し、同時にポリエステル繊維の機械的特性を損なうことなく繊維化した難燃性繊維である。
【0063】
このようにして得られる本発明の難燃性繊維は、短繊維またはフィラメント等の繊維綿を使用し、または該繊維綿を単に圧縮してフェルトとして使用し、またはそのまま難燃性充填材として使用することができる。この際、本発明の難燃性繊維の太さは、1.0〜660デシテックスであることが好ましく、より好ましくは3.3〜330デシテックス、特に好ましくは5.0〜17.0デシテックスである。1.0デシテックスを下回る太さとすると糸切れが生じる場合があり、その一方660デシテックスを超えると、剛性によって加工しずらいからである。また、このような短繊維またはフィラメントを単独または他の繊維と併用して従来公知の方法で製織したり製編して布帛としてもよい。例えば、難燃性繊維糸を緯糸に用い、一方通常の白色ポリエステル延伸糸を経糸に用いた朱子織、または一方の面に難燃性繊維糸が配される二重織にして、布帛としてもよい。
【0064】
本発明の第三は、上記難燃性繊維を5〜100重量%含有する難燃材である。難燃材としては、上記の難燃性繊維やこれからなるフェルト、布帛、繊維綿等を用いて調製できる。この際、該難燃材には、難燃性繊維が5〜100重量%、より好ましくは10〜50重量%、特には15〜30重量%含有されることが好ましい。本発明の難燃性繊維は難燃効果が大きいため、少なくとも5重量%を含有されると難燃材として有効に使用できる。従って、従来の部材に配合して難燃性を付与することができ、しかもその配合量が少量であため、製品価格を安価にできると共に、従来の部材の風合いを損なわずに難燃効果を付与することができる。
【0065】
このような難燃性繊維は、例えば、自動車の内装に使用されるシートや、ピラガーニッシュ、リヤパーセル等の内張り、マット、カーペット等の床内張り、サンバイザ、パッケージトレイ、アシストグリップなどの部品、その他、断熱材、各種遮音材、防振材として使用することができる。
【0066】
本発明の第四は、(1)無機赤リンを含有するマスターバッチ、熱可塑性ポリエステル樹脂、およびカーボンブラックを含有するマスターバッチとを溶融混合し、次いで溶融紡糸することを特徴とする、難燃性ポリエステル繊維の製造方法、(2)樹脂被覆された無機赤リンを含有するマスターバッチ、熱可塑性ポリエステル樹脂、およびカーボンブラックを含有するマスターバッチとを溶融混合し、次いで溶融紡糸することを特徴とする、難燃性ポリエステル繊維の製造方法、および(3)カーボンブラックを含有するマスターバッチ、樹脂被覆された無機赤リン、および熱可塑性ポリエステル樹脂とを溶融混合し、次いで溶融紡糸することを特徴とする、難燃性ポリエステル繊維の製造方法である。
【0067】
本来、ポリエステル樹脂に無機化合物を加えて繊維に紡糸することは困難であり、特にポリエステル樹脂と無機化合物との相溶性が不充分であるために糸切れなどが生じやすかった。しかしながら、本発明では、マスターバッチを使用することで、溶融混合のみで簡便に添加物を均一に溶融でき、この結果、糸切れすることなく紡糸できるのである。このマスターバッチを用いる溶融混合は、上記、本発明の樹脂組成物の調製で記載したと同様の方法である。また、溶融紡糸自体は、従来公知の紡糸方法を採用することができる。むしろ、無機赤リンまたは樹脂被覆した無機赤リンを配合しつつも従来の溶融紡糸方法をそのまま採用できる点に特徴がある。なお、樹脂被覆された無機赤リンを使用する場合には、これをカーボンブラックを含有するマスターバッチおよび熱可塑性ポリエステル樹脂と共に溶融混合すればよい。樹脂被覆によってマスターバッチを使用しなくても容易にポリエステル樹脂に溶融混合できるため、ポリエステル樹脂の特性を保持でき、かつ樹脂被覆によってホスフィンの発生を抑制できる点で好ましい。なお、溶融紡糸自体は、従来公知の紡糸方法を採用することができる。
【0068】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。
【0069】
(実施例1、2)
樹脂で被覆した無機赤リンを含むマスターバッチ(燐化学社製、商品名「ノーバレッド120UFA」:無機赤リン含有量15重量%)と、ポリエチレンテレフタレート樹脂(三菱化学社製、商品名「NOVAPEX」)とをエクストルーダーで溶融混合して、表1に示す割合の難燃性ポリエステル樹脂組成物(樹脂1、2)を得た。次いでこれを乾式法で引き取り速度500m/min、温度240〜270℃で溶融紡糸し、単糸6.6デシテックスの難燃性ステープル(難燃性繊維1、2)を得た。
【0070】
この難燃性繊維1、2について、難燃性と耐光性を調べた。結果を表1に示す。なお、難燃性と耐光性は以下に従った。
【0071】
(1)難燃性は、予め得られた難燃材を50±2℃の恒温乾燥器内に24時間放置した後、シリカゲル入りデシケーター中に2時間以上放置したものを使用した。
【0072】
試験片として、図1に示す150mm×100mm×20mmのアルミ製網状バスケットに全面が均一に、図2に示すように繊維方向が縦に一定となるようにほぐした10gの難燃綿をいれた。また詰めた際に、外形から繊維綿が出ないように表面をドライヤーを軽く当てて平らにして、試験片とした。この試験片を図3に示すように、設置台から252mmの位置に試験片のふた側が下となるように水平に固定した。なお、網目は0.2〜0.4φのアルミ線を18メッシュに編んだものであり、外枠は1.6φのアルミ線で調製したものである。
【0073】
火源は、燃料の十分あるチャッカマン(Vesta チャッカマン株式会社東海製)とし、炎長50mm、着火口から試験片までの距離を20mmとした。
【0074】
試験片のほぼ中央に点火し、点火後は火源の周囲の空気を静穏な状態に保ち、燃焼が終了するまで放置した。炎を試験片に10秒間あてて燃え方を観察した。なお炎を当ててから着火までの平均時間(秒)、着火してからの燃焼時間の平均時間(秒:残炎平均時間)および最大時間(秒:残炎最大時間)、炭化長の最大値(mm)を測定し評価した。1試料について3試験片を用い、かつ各試験片について4点で評価した。従って、上記平均とは12測定の平均であり、最大とは12測定の最大値である。
【0075】
(2)耐光性は、常温、水銀灯下15cmで24時間放置したのち、ΔE*ab値を、CS−5 CHROMA−SENSOR(アプライドカラーシステムインコーポレイテッド製)で測定した。また、耐光堅牢度は、JIS L0842(−1996)「紫外線カーボンアーク灯光(第3露光法)」で40時間照射で行い等級で示した。なお、試験数は3とした。
【0076】
(実施例3〜6)
樹脂で被覆した無機赤リンを含むマスターバッチ(燐化学社製、商品名「ノーバレッド120UFA」:無機赤リン含有量15重量%)と、ポリエステル中にカーボンブラックを35重量%配合したマスターバッチ、およびポリエチレンテレフタレート樹脂(三菱化学社製、商品名「NOVAPEX」)とをエクストルーダーで溶融混合して、表1に示す割合の難燃性ポリエステル樹脂組成物(樹脂3〜6)を得た。次いでこれを乾式法で引き取り速度500m/min、温度240〜270℃で溶融紡糸し、単糸6.6デシテックス、L値10〜20の難燃性ステープル(難燃性繊維3〜6)を得た。実施例1、2と同様にして難燃性と耐光性とを評価した。結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
Figure 0004531919
【0078】
(実施例7)
実施例1〜6で得た難燃性繊維1〜6に、難燃加工未処理繊維を表2に示す割合で配合して難燃材(難燃綿)を調製し、難燃性を調べた。なお、難燃加工未処理繊維は、ポリエステル樹脂組成物として赤リンを含せないこと以外は実施例3と同様にして調製したポリエステル樹脂組成物を紡糸した未処理繊維である。難燃性は、実施例1と同様の方法を採用した。結果を表2に示す。また、表2において、市販の難燃性繊維、比較難燃繊維1、比較難燃繊維2、比較難燃繊維3を用いて難燃材を調製した結果を合わせて示す。これら比較難燃繊維1〜3に使用された難燃剤は、比較難燃繊維1:ブロム系難燃剤(東ソー(株)製、商品名「フレームカット110R」、成分デカブロモジフェニルエーテル)8重量%、ブロム系難燃剤(東ソー(株)製、商品名「フレームカット610R」、成分三酸化アンチモン)3重量%、およびポリエチレンテレフタレート89重量%からなり、比較難燃繊維2は、帝人(株)製、商品名「トレビラ」、比較難燃繊維3は、東洋紡績(株)製、商品名「ハイム」である。
【0079】
【表2】
Figure 0004531919
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、難燃性、耐光堅牢性に優れるポリエステル樹脂組成物、難燃性繊維、難燃材が得られる。特に樹脂被覆された無機赤リンを使用することで、得られる樹脂組成物のみならず、難燃性繊維、難燃材の製造工程、さらにこれを焼却処分した場合でもホスフィン等の発生がなく安全性に優れる。しかも、樹脂組成物にカーボンブラックを配合することで黒色に着色でき、これを布帛として難燃性の暗幕等に使用することができる。特に、ポリエステル樹脂組成物に難燃剤を配合すると繊維化が困難となる場合が多いが、本発明では樹脂被覆された赤リンを使用することでポリエステルと赤リンとの相溶性を増し、安定な樹脂組成物が得られると共に、力学的強度に優れるポリエステル繊維を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、難燃度を評価する際に使用する試験片を示す図である。
【図2】は、試験片に難燃性繊維を充填する際の繊維の方向を示したものである。
【図3】は、難燃度を評価する際に使用する試験片と火炎との関係を示す図である。
【図4】は、試験片の炭化長の測定方法を示す図である。
【符号の説明】
1…試験片本体部
2…試験片ふた部
3…火炎
4…試験台
5…留め金

Claims (8)

  1. 燃性ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸して得た繊維であって、該ポリエステル樹脂組成物が繊維重量を基準として、無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リンを0.2〜15重量%、カーボンブラックを0〜5重量%、熱可塑性ポリエステル樹脂を99.8〜80重量%含有することを特徴とする難燃性ポリエステル繊維。
  2. 前記難燃性ポリエステル樹脂組成物100重量部に、水酸化アルミニウムまたは酸化アンチモンを0.1〜5.0重量部さらに含有することを特徴とする、請求項1記載の難燃性ポリエステル繊維。
  3. 前記熱可塑性ポリエステル樹脂の少なくとも一部が、廃棄熱可塑性ポリエステル樹脂である、請求項1または2に記載の難燃性ポリエステル繊維
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性繊維を5〜100重量%含有する難燃材。
  5. 該難燃材が、自動車用内装材として使用されるものである、請求項記載の難燃材。
  6. 無機赤リンを含有するマスターバッチ、熱可塑性ポリエステル樹脂、およびカーボンブラックを含有するマスターバッチとを溶融混合し、次いで溶融紡糸することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性ポリエステル繊維の製造方法。
  7. 樹脂被覆された無機赤リンを含有するマスターバッチ、熱可塑性ポリエステル樹脂、およびカーボンブラックを含有するマスターバッチとを溶融混合し、次いで溶融紡糸することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性ポリエステル繊維の製造方法。
  8. カーボンブラックを含有するマスターバッチ、樹脂被覆された無機赤リン、および熱可塑性ポリエステル樹脂とを溶融混合し、次いで溶融紡糸ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性ポリエステル繊維の製造方法。
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