JP2001279073A - 難燃性ポリエステル樹脂組成物、難燃性ポリエステル繊維、難燃材および難燃性ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents
難燃性ポリエステル樹脂組成物、難燃性ポリエステル繊維、難燃材および難燃性ポリエステル繊維の製造方法Info
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Abstract
リエステル樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤
リン0.2〜15重量%と熱可塑性ポリエステル樹脂9
9.8〜85重量%とを含む難燃性ポリエステル樹脂組
成物である。さらにカーボンブラックを配合してもよ
い。この樹脂組成物を溶融混合することで力学的強度に
優れる難燃性繊維、さらに難燃材を得ることができる。
特に、ポリエステル樹脂として廃棄ポリエステルを使用
すれば、マテリアルリサイクルにも貢献する。
Description
樹脂被覆された無機赤リンを難燃剤として配合した難燃
性ポリエステル樹脂組成物、難燃性ポリエステル繊維、
難燃材および難燃性ポリエステル繊維の製造方法に関す
る。
ム、その他のプラスチック成形物として広範囲に利用さ
れる有用な素材として、ポリエチレンテレフタレートが
ある。しかしながら、燃焼しやすいという欠点を有して
おり、近年火災に対する認識の高まりに伴い、難燃化が
強く要望されている。
は従来より種々検討されており、繊維、フィルムなどの
成形時に難燃剤を練り混む方法、成形物に難燃剤を後処
理する方法、難燃剤を共重合法により添加配合せしめる
方法などが知られている。
は、有機リン化合物をポリマー中のリン含有量が1.0
重量%になるように共重合させたポリエステルであっ
て、反応終了後生成物を加水分解した後エポキシ化合物
と反応させ末端酸価を10未満としたオリゴマーを、繊
維全体のリン含有量が0.4〜2.0重量%になるよう
に添加配合した高難燃性ポリエステル繊維が開示されて
いる。共重合により有機リン化合物をポリマー中に所定
量添加配合した後、更に練り込みによって有機含リンオ
リゴマーを添加配合させ、高難燃性の防炎性黒色原着ポ
リエステル繊維を得ている。該公報では、ポリエステル
中のリン原子含有量が高く、それぞれ単独の方法で添加
配合したものよりもポリエステル本来の力学的物性或い
は熱的物性等の低下もほとんどない。また、反応生成物
にエポキシ化合物を反応せしめ、反応生成物中の末端酸
価を低下せしめれば、ポリエステル本来の力学的物性或
いは熱的物性等を低下せしめず、かつ、着色度が少なく
なる。
法では、ポリエステル合成の際に共重合可能なリン化合
物を使用するため、高価な化合物を難燃剤として使用す
る必要があり、不経済である。また、難燃性ポリエステ
ル材を製造するために、ポリエステル樹脂そのものを合
成する段階で難燃剤を配合する必要がある。このため、
ポリエステル合成の技術を有しない場合には、難燃性ポ
リエステル樹脂組成物やこれを用いた難燃性繊維を製造
することができない。加えて、常に新たなポリエステル
原料が必要とされるため、使用後の熱可塑性ポリエステ
ル樹脂製品を再使用して難燃性の熱可塑性ポリエステル
樹脂を製造することなども到底困難である。
燃化処理する方法では処理が煩雑であったり、不均一で
あったり、又繊維の風合いを粗硬にしたり、洗濯などで
難燃性が低下したりする等の種々の欠点を有する場合が
ある。難燃化処理が不均一では十分難燃効果を得ること
はできず、使用時の安全性も害される。
に、熱可塑性ポリエステル樹脂自体に難燃剤を配合して
それを製造する方法では、難燃効果を向上させるため難
燃剤の配合量が多いと紡糸時に難燃剤が昇華したり、ま
たは繊維の機械的特性を著しく低下させる場合がある。
更には、繊維製品等をドライクリーニングした際に難燃
剤の脱落やブリードアウトが起こり、その結果、性能低
下や汚染による衛生上の問題が生じる場合もある。これ
は難燃剤と熱可塑性ポリエステル樹脂との相溶性が劣る
こと、難燃剤の添加量が増すと紡糸工程での加工性、相
溶性が劣り、強度等が低下することなどが関与すると思
われる。
ステルを容易に難燃化することができる難燃化ポリエス
テル樹脂の製造方法や、特に熱可塑性ポリエステル繊維
とするに必要な難燃化ポリエステル樹脂組成物が求めら
れる。
組成物は、カーテン、展示用合板などの高層建築物、じ
ゅうたん、壁装材、旅客機のカーペット、カーテン、座
席、クッションなどの内装材、自動車内装材、鉄道車両
内装材、船舶用品、寝具類、防炎頭巾、衣類等、広範囲
に使用することができる。
焼却処分されることが一般的であり、このため燃焼時の
安全性の確保も必要となる。
ために、難燃剤として有機リン系化合物のほかに臭素
系、塩素系などのハロゲン系化合物が使用されている
が、燃焼時の問題がある。すなわち、難燃剤としてハロ
ゲン系化合物を使用したものを燃焼しまたは焼却する時
には、一般に環境汚染物質として注目されているダイオ
キシンを発生させる可能性がある。特にダイオキシンは
環境中で極めて安定で生物に対する毒性の強いものが多
く、人類にとって全く有用性に欠ける物質群である。こ
のダイオキシンの発生を抑制するため、例えば燃焼管理
を含めた完全燃焼によって炉からの生成を極力抑制し、
さらにバグフィルタや活性炭の使用等の各種技術の組み
合わせによって排ガス処理系で対応を図る方法や、高温
焼却炉で800℃以上の焼却処理する方法、触媒を用い
てダイオキシンを焼却時に分解する方法などもあるが、
いずれも十分なものではない。したがって、特に燃焼時
に、ハロゲンなどの有毒ガスの発生を防止することも求
められる。
れる。耐久性に優れる結果、廃棄量自体を減少させ、焼
却処理による二酸化炭素の発生なども有効に抑制するこ
とができるからである。また、同時に従来の資源を再利
用できれば、焼却処分される対象物のマテリアルリサイ
クルを可能とし、環境保全に寄与すると共に経済的にも
有利である。特に、近年の容器包装リサイクル法によっ
て回収された資源が有効利用できなければ回収の意味も
ない。そこで、環境保全の観点からも既存の資源を利用
して簡便に難燃性繊維を得る方法が望まれる。
ポリエステル樹脂と難燃剤との組み合わせを詳細に検討
した結果、少量の無機赤リンを配合することで難燃効果
が得られること、および製品廃棄燃焼時の安全性を確保
できること、加えて耐光性に優れる難燃材が得られるこ
とを見出して本発明を完成させた。すなわち、本発明
は、以下の(1)〜(10)を提供するものである。
無機赤リン0.2〜15重量%と熱可塑性ポリエステル
樹脂99.8〜85重量%とを含む難燃性ポリエステル
樹脂組成物。
0重量部と、カーボンブラック0.2〜5重量部と含有
する難燃性ポリエステル樹脂組成物。
脂100重量部に、水酸化アルミニウムまたは酸化アン
チモンを0.1〜5.0重量部含有することを特徴とす
る、難燃性ポリエステル樹脂組成物。
くとも一部が、廃棄熱可塑性ポリエステル樹脂である、
上記(1)〜(3)のいずれかに記載の難燃性ポリエス
テル樹脂組成物。
ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸して得た繊維であっ
て、該ポリエステル樹脂含有量が繊維重量を基準として
それぞれ無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リンを
0.2〜15重量%、カーボンブラックを0〜5重量
%、ポリエステル樹脂を99.8〜80重量%含有する
ことを特徴とする難燃性繊維。
〜100重量%含有する難燃材。
て使用されるものである、上記(4)記載の難燃剤。
ッチ、熱可塑性ポリエステル樹脂、およびカーボンブラ
ックを含有するマスターバッチとを溶融混合し、次いで
溶融紡糸することを特徴とする、難燃性ポリエステル繊
維の製造方法。
するマスターバッチ、熱可塑性ポリエステル樹脂、およ
びカーボンブラックを含有するマスターバッチとを溶融
混合し、次いで溶融紡糸することを特徴とする、難燃性
ポリエステル繊維の製造方法。
スターバッチ、樹脂被覆された無機赤リン、および熱可
塑性ポリエステル樹脂とを溶融混合し、次いで溶融紡糸
することを特徴とする、難燃性ポリエステル繊維の製造
方法。
は樹脂被覆された無機赤リン0.2〜15重量%と熱可
塑性ポリエステル樹脂99.8〜85重量%とを含む難
燃性ポリエステル樹脂組成物である。本発明は、難燃剤
として無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リンを使
用することで、従来の塩素系難燃剤を配合する場合と異
なり、廃材となり焼却処理される段階でもダイオキシン
を発生することがない。しかも、熱可塑性ポリエステル
樹脂に無機赤リンなどを混合するため、ポリエステルの
合成自体に何ら難燃化処理が不要である。このため熱可
塑性ポリエステル樹脂として使用済みのポリエステルを
使用することもできる。また、無機赤リンはポリエステ
ル共重合体を合成する際に使用する有機リンと異なり安
価である。このため、極めて経済的に難燃性ポリエステ
ル樹脂を得ることができるのである。しかも、無機赤リ
ンは極めて難燃性が高く、得られた熱可塑性ポリエステ
ル樹脂およびこれを紡糸したポリエステル繊維中に少量
配合するだけで優れた難燃性を付与できる。このため、
ポリエステル樹脂含有量を高めることができ、これによ
ってポリエステル繊維自体の品質や機械的特性を維持す
ることができる。以下、本発明を詳細に説明する。
等の難燃剤として一般に添加される赤リンを使用するこ
とができる。一般には、赤リンは、転化釜と称する反応
容器中で黄リンを数日間加熱処理し、次いでケーキ状に
固く凝結した密度の高い一体の塊状物を粉砕して粉末化
して得られ、本発明においてもこれを使用することがで
きる。また、この粉末状赤リンは、その粉末粒子表面が
反応性の高い破砕面で構成されているため、熱や摩擦あ
るいは衝撃に対して不安定な場合もある。従って、この
ような粉末状赤リンに物理的または化学的表面処理を施
したものや、赤リン調製時に他の処理を施したものを使
用してもよい。
ば、分散剤の存在下で黄リンを沸点付近の温度に加熱
し、赤リンに熱転化させたものを使用できる。このよう
に黄リンの熱転化反応を分散剤の存在下で行うことによ
り、赤リンの粉砕処理を必要とせず、極めて微細な、し
かも粒径の揃ったシャープな粒度分布を有する球体様単
粒子又はその低次の結合体から成る微粉末状の球体様赤
リンが得られる。
る赤リン粒子の分散性を高め、該粒子間結合を抑制する
物質を意味する。この分散剤としては、各種界面活性
剤、難溶性微粉末状無機化合物、無機アンモニウム塩
類、アミノ基を有する有機化合物等を挙げることがで
き、いずれも本発明において使用することができる。分
散剤の添加量は、通常赤リンの0.1〜2重量%であ
り、転化率70%以下で平均粒径数μm〜数10μmの
球体様赤リンが得られる。
量並びに転化率をそれぞれ適当に選択することにより、
所望の平均粒径を持つ微粉末状球体様赤リンを任意に製
造することができる。本発明においては、平均粒径が1
0μm以下であり、かつ80重量%以上が粒径20μm
以下の粒子で構成される微粉末状球体様赤リンが特に好
ましい。
リンは、微粒子状で、かつ個々の粒子の粒径が比較的均
一に揃ったシャープな粒度分布を有する。この微粉末状
球体様赤リンは、粉砕処理を経ないため粒子表面に活性
点が殆どなく安定であり、水分や酸素の吸着、反応も生
起し難く、従来の粉砕赤リンを更に篩別し粒度調整した
微粉末状粉砕赤リンに比べて、極めて高い安定性を持
つ。篩別による粒度分布の調整が不用で、ポリエステル
樹脂との均一な混合性にも優れる。本発明では、無機赤
リンとして、市販品を使用することもできる。また、無
機赤リンを含むマスターバッチを用いることもできる。
機赤リンとは、無機赤リンの表面を特定の樹脂で被覆し
たものである。樹脂被覆により熱可塑性樹脂との相溶性
に優れるからである。
ては、無機赤リンや上記微粉末状球体様赤リンに表面改
質処理を施したものがあり、特に本発明では熱硬化性樹
脂で被覆したものが好ましい。このように微粉末状球体
様赤リンに被覆処理を施すことにより、赤リン系難燃剤
の安定性は更に改善され、樹脂混合溶融時や紡糸時にお
いても安定で信頼性が高いからである。
合成樹脂による被覆法が適用できる。例えば、熱硬化性
樹脂原料としては、この樹脂の合成原料物又はその初期
縮合物が赤リンの水懸濁液中で容易に重合反応を進行す
るか又はその初期縮合物が水中に乳化分散し、赤リンの
粒子表面に均一に沈積、被覆するならば、どのような樹
脂原料でも使用することができる。
脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ケ
トン・ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹
脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル
樹脂、エポキシ樹脂等から選ばれるいずれもが使用でき
る。
脂の種類によって幾分変動するが、水100重量部に対
して赤リン10〜100重量部を含む赤リンの水懸濁液
に、樹脂の合成原料又は初期縮合物を赤リン100重量
部に対して1〜35重量部添加するのが好ましい。そし
て、樹脂の合成原料を用いる場合、40〜100℃で1
〜3時間攪拌処理し、また、予め調製した初期縮合物を
用いる場合、60〜100℃で1〜2時間攪拌処理を行
うのが好ましい。得られた生成物を分離、水洗し、13
0〜140℃で乾燥し、重合反応を完結させて微粉末状
球体様赤リンの粒子表面に熱硬化性樹脂被覆を形成す
る。
や水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム又は水酸化
チタンのような充填剤を共存させておくことができる。
充填剤の添加量は、赤リン100重量部当り1〜35重
量部が好ましい。このような充填剤の添加は、樹脂被覆
層の機械的強度が向上すると共に赤リン特有の紫紅色に
対する隠ぺい効果があり、赤リン系難燃剤の用途拡大に
寄与し得るので好ましい。
熱硬化性樹脂による被覆は、該赤リンに直接行う方法で
あっても、予め無機化合物で被覆処理した後に行う方法
のいずれの方法も適用することができる。なお、無機化
合物による被覆処理としては、以下の方法が例示でき
る。
は第4族の金属の酸化物又は水酸化物から選ばれ、具体
的には水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸
化亜鉛、酸化チタン等が挙げられる。上記金属の水溶性
塩類の水溶液に赤リンを懸濁させ、水酸化ナトリウムに
よる中和又は重炭酸アンモニウムによる複分解によって
赤リン粒子上に被覆層を形成させる。この際、赤リンの
水懸濁液は水100重量部に対して赤リン10〜100
重量部、金属の水溶性塩類の水溶液濃度は5〜30重量
%、水酸化物又は酸化物の被覆生成量は赤リン100重
量部につき1〜30重量部である。
機化合物による後処理を行い、その後加熱乾燥する。こ
れによりブロッキングが効果的に防止され、被覆処理に
よる難燃剤粒子の粗大化が抑制されて粒径の均一性が高
い微粉末状赤リン系難燃剤が得られるからである。
グ防止を目的として行う無機化合物処理を意味する。こ
の無機化合物による後処理を含む樹脂被覆された無機赤
リンの調製は具体的には次のように行うことができる。
まず、前記の熱硬化性樹脂被覆方法に従って、熱硬化性
樹脂被覆を施そうとする赤リンあるいは金属酸化物被覆
赤リンを水に懸濁し、熱硬化性樹脂の合成原料又は初期
縮合物を添加、攪拌して被覆処理を行い、これをろ過、
水洗する。
属の水溶性塩類の水溶液を添加し、中和又は重炭酸アン
モニウムによる複分解によって、金属の酸化物又は水酸
化物を樹脂被覆表面上に吸着させる。この場合の無機化
合物は、周期律表第2族、第3族又は第4族の金属の酸
化物又は水酸化物から選ばれる。
無機化合物を混合攪拌し、樹脂被覆表面上にこれを付着
させることもできる。この場合の無機化合物としては、
シリカ、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、
酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウ
ム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウ
ム、アパタイト、タルク、ベントナイト、カオリン、珪
藻土等が挙げられ、平均粒径1μm以下の微粉末を用い
るのが好ましい。
リン100重量部当り0.5重量部を必要とし、好まし
くは1.0〜3.0重量部である。0.5重量部未満で
は、ブロッキングの抑制効果を期待するには不十分であ
り、一方、3.0重量部を越えて被覆量を増加してもブ
ロッキング抑制効果は変わらない。
及び/又は熱硬化性樹脂によるいずれの被覆処理におい
ても、得られる赤リン系難燃剤の平均粒径は、原料の微
粉末状球体様赤リンに比べて幾分増大するが、それは本
発明の目的に対する有用性を損なうものではなく、多く
の場合、平均粒径が15μm以下であり、80重量%以
上が粒径35μm以下の粒子で構成されている微粉末状
の赤リン系難燃剤を得ることができる。なお、本発明で
は、無機赤リン、樹脂被覆された無機赤リンとして市販
品を使用することができる。
覆された無機赤リンを使用することが好ましい。特に赤
リンは不安定なために、空気中の水分や酸素の吸着が容
易であり不均化反応によって合成樹脂を変質劣化させる
酸素酸や有害なホスフィンガスを発生する場合がある。
このホスフィンガスは、温度依存的に発生量が増加する
ため、本発明の樹脂組成物を調製する際や、更に溶融混
合、溶融紡糸によって繊維を得る工程においてホスフィ
ンが発生しやすい。従って、これら製造工程における有
害ガスの発生を押さえ、かつこれらを使用した製品の焼
却時においても、ホスフィンの発生を抑制できるため好
ましいからである。
ル樹脂について説明する。本発明で使用する熱可塑性ポ
リエステル樹脂としては特に制限はなく、熱可塑性であ
ればその構成成分を問わずいずれのポリエステル樹脂も
使用することができる。本発明は、無機赤リンを配合す
ることで極めて優れた難燃性をポリエステルに付与しう
ることを見出したものだからである。従って、得られた
難燃性ポリエステル樹脂組成物をフィルム、シート、積
層板、発泡体などに成型し、または射出、ブローインフ
レーション法などにより所望の形状に成形して使用する
ことができる。しかしながら、特に該樹脂組成物を用い
て紡糸し繊維とできることが好ましい。繊維となれば、
その後に布帛やフェルトに成形することができ、特に内
装材などとして利用しやすいからである。このため、紡
糸可能なポリエステル樹脂にできることが好ましい。な
お、紡糸は湿式、乾式に限られない。また、熱可塑性ポ
リエステル樹脂に限ったのは、熱可塑性であれば廃棄ポ
リエステルを再利用することができるからである。
成するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソ
フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−
ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカル
ボン酸、ビス−(4−カルボキシフェニル)スルフォ
ン、1,2−ビス(4−カルボキシフェニル)エーテ
ル、1,2−ビス(4−カルボキシフェニル)スルホ
ン、1,2−ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、
5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ジフェニル−p,
p’−ジカルボン酸、p−フェニレンジ酢酸、ジフェニ
ルオキシド−p,p’−ジカルボン酸、trans−ヘ
キサヒドロテレフタル酸及びそれらのアルキルエステ
ル、アリールエステル、エチレングリコールエステルな
どが挙げられる。
グリコール、ブチレングリコール、1,2−プロピレン
グリコ−ル、1,4−ブタンジオール、トリメチレング
リコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−
シクロヘキサンジメタノールや、ビスフェノールA、ビ
スフェノールS及びそのエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール付加体、ジエチレングリコール、ポリエ
チレングリコールなどが挙げられる。本発明では、該ポ
リエステル樹脂組成物をその後に所望の形状に成形して
使用できるが、特に繊維に紡糸する場合には、ポリエチ
レングリコール、ポリブチレングリコールなどであるこ
とが好ましい。
ルとして使用後に廃棄されたものや、工業製品を製造す
る際の端材を利用することもできる。なお、本願におい
て、廃棄ポリエステル樹脂とは、使用済みポリエステル
樹脂、使用前であるが規格外れ品であって、製品として
使用されないものなど、製品以外のポリエステル樹脂を
広く含むものとする。このような廃棄ポリエステル樹脂
としては、合繊メーカー、フィルムメーカー、ペットボ
トル製造業、ポリエステル重合メーカーからでる端材や
基準グレードを下回るポリエステル樹脂、一般廃棄物の
容器包装リサイクル法によって得られるポリエステル樹
脂が例示できる。これにより本来廃棄され、または焼却
処理の対象となるべき廃材をマテリアルリサイクルする
ことができるからである。
は全ての難燃性ポリエステル樹脂がこのような廃棄ポリ
エステル樹脂であっても何ら差し支えない。むしろ全て
の熱可塑性ポリエステル樹脂が使用済みのものなどであ
れば、廃材を原料成分として有効利用できると共に、本
来焼却されるものを焼却せずに済むため、二酸化炭素の
発生などを防止し、環境保全に寄与することができる。
は、無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リンを0.
2〜15重量%、より好ましくは0.5〜8重量%、特
に好ましくは1.0〜5重量%と、可塑性ポリエステル
樹脂99.8〜85重量%、より好ましくは99.5〜
92重量%、特に好ましくは99〜95重量%とを含む
難燃性ポリエステル樹脂であることが好ましい。無機赤
リンが0.2重量%を下回ると難燃性を付与することが
困難で、その一方、15重量%を超えるとその後に紡糸
することが困難となるからである。すなわち、上記範囲
の無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リンを配合す
ることで、難燃性に優れると共に紡糸性に優れる樹脂組
成物が得られるのである。なお、本願においては、無機
赤リン、樹脂被覆した無機赤リンの含有量は、無機赤リ
ンに換算した数値を使用するものとする。
00重量部に対して更にカーボンブラック0.2〜5重
量部、より好ましくは0.5〜3重量部、特には0.8
〜2重量部を含有させてもよい。カーボンブラックを配
合することで、紡糸した繊維に耐光堅牢性を付与するこ
とができるからである。特に難燃材として自動車内装材
に使用されると、常に光による劣化を受けるため耐光性
は極めて重要な要素となる。本発明では、カーボンブラ
ックを配合することで難燃性繊維の褪色を防止し、同時
に繊維自体に耐光堅牢性を付与できることを見出したの
である。また、カーボンブラック自体の黒色により、例
えば遮光用の暗幕等として使用することもできるのであ
る。ここに好ましいカーボンブラックの配合量として
0.2重量部としたのは、これを下回ると黒色への着色
が不充分となるからである。その一方、5重量部とした
のは、これを超えても目的とする黒色の程度は変わら
ず、むしろその後の紡糸が困難となるからである。ま
た、無機赤リンはその名のごとく赤色を呈するために得
られた樹脂組成物が赤色となり、これを用いて紡糸して
得た繊維も赤色となる。そこでカーボンブラックを配合
することで赤みを消し、更に黒色に着色できるので同時
に耐光堅牢性が得られる。
クは、チャンネルブラック、ファーネスブラック等任意
のものが用いられる。これらは、一次粒子径が小さくな
りすぎると熱可塑性ポリエチレン樹脂組成物中に配合す
る際粒子が凝集し易く製糸することが困難となる傾向が
あり、一方大きくなりすぎると黒色度が低下し易い。し
たがって、カーボンブラックの一次粒子径は10〜40
0nm、より好ましくは20〜300nm、特には20
〜100nmの範囲内にあることが好ましい。
は、無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リンと、熱
可塑性ポリエステル樹脂との割合が、これらの全量10
0重量%に対して上記割合を満たせばよく、これにカー
ボンブラックまたはこれに加えて更に他の添加物を含ま
せることもできる。このような添加物としては、炭酸カ
ルシウム、タルク等の遅燃剤、水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウム、酸化アンチモン、炭酸ナトリウムお
よびこれらの混合物などの他の難燃剤、フタル酸エステ
ル、リン酸エステル、脂肪族カルボン酸などの可塑剤、
無機塩、金属石鹸などの安定剤、アルキルフェノール、
アルキレンビスフェノールなどの抗酸化防止剤、サリチ
ル酸エステル、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾ
フェノン等の紫外線吸収剤などがある。
は、特に酸化アンチモンや水酸化アルミニウムを併用す
ると、難燃性を増すことができ好ましい。これらの配合
量は、本発明の樹脂組成物100重量部に、水酸化アル
ミニウムまたは酸化アンチモンを0.1〜5重量部、よ
り好ましくは0.1〜4重量部、特には0.1〜3重量
部含有してもよい。0.1を下回ると併用効果が発揮さ
れず、その一方5重量部を超えても難燃性は変わらず、
その一方、紡糸が困難になるからである。なお、樹脂被
覆された無機赤リンの調製時にこれらの化合物が使用さ
れている場合には、それも加えた量を上記化合物の含有
量の範囲とする。
剤として無機赤リン、樹脂被覆した無機赤リンを使用す
る場合にはこれらのマスターバッチを使用することが好
ましい。例えば、予めマスターバッチ基材に無機赤リン
または樹脂被覆した赤リンとを含有するマスターバッチ
を調製し、これに熱可塑性ポリエステル樹脂を混合溶融
して調製する。また、樹脂組成物に、カーボンブラック
を含ませる場合には、予め無機赤リンまたは樹脂被覆し
た赤リンとを含有するマスターバッチと、熱可塑性ポリ
エステル樹脂、およびカーボンブラックを含有するマス
ターバッチを調製し、両者を混合する。マスターバッチ
とポリエステル樹脂とを溶融混合するには特別の方法を
採用する必要はない。例えば、溶融前の夫々のチップを
混合後溶融しても良いし、両者を別々に溶融した後紡糸
直前にスタティックミキサー等を用いて静的に混合して
もよい。なお、難燃剤として樹脂被覆された無機赤リン
を使用する場合には、特にポリエステル樹脂との相溶性
に優れるために、特にマスターバッチを使用する必要は
なく、直接にポリエステル樹脂中に混合溶融することが
できる。
無機赤リンまたは樹脂被覆した無機赤リンを含むマスタ
ーバッチは、無機赤リンに換算してこれを該マスターバ
ッチ中に5〜40重量%、より好ましくは10〜30重
量%、特には10〜20重量%含有することが好まし
い。5重量%を下回ると、無機赤リンの配合量が少なく
マスターバッチを使用する意義が薄れ、その一方、40
重量%を超えるとマスターバッチの調製自体が困難にな
るからである。マスターバッチに使用する樹脂として
は、熱可塑性樹脂であってポリエステル樹脂組成物中に
配合された後に、該樹脂組成物の特性を失わないもので
あれば特に制限なく使用でき、最も好ましいのは熱可塑
性ポリエステル樹脂であり、その中でもポリエチレンテ
レフタレート系ポリエステルやポリブチレンテレフタレ
ート系ポリエステルを主成分として含むものである。な
お、このようなマスターバッチは市販品を使用すること
ができる。
は、カーボンブラックを該マスターバッチ中に5〜40
重量%、より好ましくは10〜35重量%、特には20
〜30重量%含有するものである。5重量%を下回る
と、カーボンブラックの配合量が少なく所望の黒色を得
ることができず、その一方、40重量%を超えるとブラ
ックカーボンを均一に混合することが困難になるからで
ある。
るカーボンブラックを配合する樹脂としては、ポリエチ
レンテレフタレート系ポリエステルが好ましい。このポ
リエステルは、特に該ポリエステルを構成する全酸成分
を基準としてイソフタル酸が5〜20モル%共重合され
ているものがよい。イソフタル酸の共重合割合が5モル
%未満の場合には、得られる繊維の物性低下を招いた
り、製糸時の糸切れ等のトラブルを増加させる場合があ
るので好ましくない。一方、イソフタル酸の共重合割合
が20モル%を越える場合には、得られる黒原着糸の物
性が低下したり、着色斑が発生し易くなる場合があるの
で好ましくない。なお、上記ポリエチレンテレフタレー
ト系共重合ポリエステルは、イソフタル酸成分以外の共
重合成分を全酸成分を基準として5モル%以下の範囲で
さらに共重合されていてもよく、具体的には、二塩基酸
として、アジピン酸、セバシン酸、ナフタリンジカルボ
ン酸、フタル酸、グリコール成分としてプロピレングリ
コール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール等
をあげることができる。このようなマスターバッチを使
用すると、カーボンブラックがイソフタル酸共重合ポリ
エチレンテレフタレート中にあらかじめ分散されている
ため、カーボンブラックの周辺は主にイソフタル酸共重
合ポリエチレンテレフタレートで取り囲まれた構造とな
る。その結果、ポリエチレンテレフタレート中にはカー
ボンブラックによる増粘効果があまり作用せず、一方イ
ソフタル酸共重合ポリエステル中ではイソフタル酸成分
の減粘効果によりカーボンブラックの増粘効果が減じら
れ、全体としてはドリップ効果が向上して防炎性能が向
上する。しかしながら本発明では、マスターバッチを使
用する場合にこのような樹脂に限られず、目的とする樹
脂組成物の特性を損なわないものであれば、いずれも使
用できる。
知の方法によって該樹脂組成物中に混合することができ
る。
ステル樹脂組成物を溶融紡糸して得た繊維であって、該
ポリエステル樹脂含有量が繊維重量を基準としてそれぞ
れ無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リンを0.2
〜15重量%、カーボンブラックを0〜5重量%、ポリ
エステル樹脂を99.8〜80重量%含有することを特
徴とする難燃性繊維である。
公知の溶融紡糸方法によって繊維化して得ることができ
る。その際の断面形状は任意であり、丸断面繊維、異形
断面繊維、中空繊維いずれであってもよい。
または樹脂被覆された無機赤リンが0.2重量%とした
のは、これを下回ると無機赤リンなどを配合して難燃材
を調製する場合に難燃効果が少なく、その一方15重量
%としたのはこれを超えると無機赤リンの配合量が多す
ぎるために糸切れが多くなり、繊維としての特性に欠け
るからである。同様に、カーボンブラックが5重量%を
超えても糸切れが増え、かつ耐光堅牢性の付与に差がな
いからである。すなわち、本発明の難燃性繊維は難燃剤
の添加量を少なくし、かつカーボンブラックの配合によ
って耐光堅牢性を付与し、同時にポリエステル繊維の機
械的特性を損なうことなく繊維化した難燃性繊維であ
る。
維は、短繊維またはフィラメント等の繊維綿を使用し、
または該繊維綿を単に圧縮してフェルトとして使用し、
またはそのまま難燃性充填材として使用することができ
る。この際、本発明の難燃性繊維の太さは、1.0〜6
60デシテックスであることが好ましく、より好ましく
は3.3〜330デシテックス、特に好ましくは5.0
〜17.0デシテックスである。1.0デシテックスを
下回る太さとすると糸切れが生じる場合があり、その一
方660デシテックスを超えると、剛性によって加工し
ずらいからである。また、このような短繊維またはフィ
ラメントを単独または他の繊維と併用して従来公知の方
法で製織したり製編して布帛としてもよい。例えば、難
燃性繊維糸を緯糸に用い、一方通常の白色ポリエステル
延伸糸を経糸に用いた朱子織、または一方の面に難燃性
繊維糸が配される二重織にして、布帛としてもよい。
00重量%含有する難燃材である。難燃材としては、上
記の難燃性繊維やこれからなるフェルト、布帛、繊維綿
等を用いて調製できる。この際、該難燃材には、難燃性
繊維が5〜100重量%、より好ましくは10〜50重
量%、特には15〜30重量%含有されることが好まし
い。本発明の難燃性繊維は難燃効果が大きいため、少な
くとも5重量%を含有されると難燃材として有効に使用
できる。従って、従来の部材に配合して難燃性を付与す
ることができ、しかもその配合量が少量であため、製品
価格を安価にできると共に、従来の部材の風合いを損な
わずに難燃効果を付与することができる。
の内装に使用されるシートや、ピラガーニッシュ、リヤ
パーセル等の内張り、マット、カーペット等の床内張
り、サンバイザ、パッケージトレイ、アシストグリップ
などの部品、その他、断熱材、各種遮音材、防振材とし
て使用することができる。
するマスターバッチ、熱可塑性ポリエステル樹脂、およ
びカーボンブラックを含有するマスターバッチとを溶融
混合し、次いで溶融紡糸することを特徴とする、難燃性
ポリエステル繊維の製造方法、(2)樹脂被覆された無
機赤リンを含有するマスターバッチ、熱可塑性ポリエス
テル樹脂、およびカーボンブラックを含有するマスター
バッチとを溶融混合し、次いで溶融紡糸することを特徴
とする、難燃性ポリエステル繊維の製造方法、および
(3)カーボンブラックを含有するマスターバッチ、樹
脂被覆された無機赤リン、および熱可塑性ポリエステル
樹脂とを溶融混合し、次いで溶融紡糸することを特徴と
する、難燃性ポリエステル繊維の製造方法である。
えて繊維に紡糸することは困難であり、特にポリエステ
ル樹脂と無機化合物との相溶性が不充分であるために糸
切れなどが生じやすかった。しかしながら、本発明で
は、マスターバッチを使用することで、溶融混合のみで
簡便に添加物を均一に溶融でき、この結果、糸切れする
ことなく紡糸できるのである。このマスターバッチを用
いる溶融混合は、上記、本発明の樹脂組成物の調製で記
載したと同様の方法である。また、溶融紡糸自体は、従
来公知の紡糸方法を採用することができる。むしろ、無
機赤リンまたは樹脂被覆した無機赤リンを配合しつつも
従来の溶融紡糸方法をそのまま採用できる点に特徴があ
る。なお、樹脂被覆された無機赤リンを使用する場合に
は、これをカーボンブラックを含有するマスターバッチ
および熱可塑性ポリエステル樹脂と共に溶融混合すれば
よい。樹脂被覆によってマスターバッチを使用しなくて
も容易にポリエステル樹脂に溶融混合できるため、ポリ
エステル樹脂の特性を保持でき、かつ樹脂被覆によって
ホスフィンの発生を抑制できる点で好ましい。なお、溶
融紡糸自体は、従来公知の紡糸方法を採用することがで
きる。
る。
ンを含むマスターバッチ(燐化学社製、商品名「ノーバ
レッド120UFA」:無機赤リン含有量15重量%)
と、ポリエチレンテレフタレート樹脂(三菱化学社製、
商品名「NOVAPEX」)とをエクストルーダーで溶
融混合して、表1に示す割合の難燃性ポリエステル樹脂
組成物(樹脂1、2)を得た。次いでこれを乾式法で引
き取り速度500m/min、温度240〜270℃で
溶融紡糸し、単糸6.6デシテックスの難燃性ステープ
ル(難燃性繊維1、2)を得た。
耐光性を調べた。結果を表1に示す。なお、難燃性と耐
光性は以下に従った。
0±2℃の恒温乾燥器内に24時間放置した後、シリカ
ゲル入りデシケーター中に2時間以上放置したものを使
用した。
00mm×20mmのアルミ製網状バスケットに全面が
均一に、図2に示すように繊維方向が縦に一定となるよ
うにほぐした10gの難燃綿をいれた。また詰めた際
に、外形から繊維綿が出ないように表面をドライヤーを
軽く当てて平らにして、試験片とした。この試験片を図
3に示すように、設置台から252mmの位置に試験片
のふた側が下となるように水平に固定した。なお、網目
は0.2〜0.4φのアルミ線を18メッシュに編んだ
ものであり、外枠は1.6φのアルミ線で調製したもの
である。
esta チャッカマン株式会社東海製)とし、炎長5
0mm、着火口から試験片までの距離を20mmとし
た。
の周囲の空気を静穏な状態に保ち、燃焼が終了するまで
放置した。炎を試験片に10秒間あてて燃え方を観察し
た。なお炎を当ててから着火までの平均時間(秒)、着
火してからの燃焼時間の平均時間(秒:残炎平均時間)
および最大時間(秒:残炎最大時間)、炭化長の最大値
(mm)を測定し評価した。1試料について3試験片を
用い、かつ各試験片について4点で評価した。従って、
上記平均とは12測定の平均であり、最大とは12測定
の最大値である。
で24時間放置したのち、ΔE*ab値を、CS−5
CHROMA−SENSOR(アプライドカラーシステ
ムインコーポレイテッド製)で測定した。また、耐光堅
牢度は、JIS L0842(−1996)「紫外線カ
ーボンアーク灯光(第3露光法)」で40時間照射で行
い等級で示した。なお、試験数は3とした。
ンを含むマスターバッチ(燐化学社製、商品名「ノーバ
レッド120UFA」:無機赤リン含有量15重量%)
と、ポリエステル中にカーボンブラックを35重量%配
合したマスターバッチ、およびポリエチレンテレフタレ
ート樹脂(三菱化学社製、商品名「NOVAPEX」)
とをエクストルーダーで溶融混合して、表1に示す割合
の難燃性ポリエステル樹脂組成物(樹脂3〜6)を得
た。次いでこれを乾式法で引き取り速度500m/mi
n、温度240〜270℃で溶融紡糸し、単糸6.6デ
シテックス、L値10〜20の難燃性ステープル(難燃
性繊維3〜6)を得た。実施例1、2と同様にして難燃
性と耐光性とを評価した。結果を表1に示す。
維1〜6に、難燃加工未処理繊維を表2に示す割合で配
合して難燃材(難燃綿)を調製し、難燃性を調べた。な
お、難燃加工未処理繊維は、ポリエステル樹脂組成物と
して赤リンを含せないこと以外は実施例3と同様にして
調製したポリエステル樹脂組成物を紡糸した未処理繊維
である。難燃性は、実施例1と同様の方法を採用した。
結果を表2に示す。また、表2において、市販の難燃性
繊維、比較難燃繊維1、比較難燃繊維2、比較難燃繊維
3を用いて難燃材を調製した結果を合わせて示す。これ
ら比較難燃繊維1〜3に使用された難燃剤は、比較難燃
繊維1:ブロム系難燃剤(東ソー(株)製、商品名「フ
レームカット110R」、成分デカブロモジフェニルエ
ーテル)8重量%、ブロム系難燃剤(東ソー(株)製、
商品名「フレームカット610R」、成分三酸化アンチ
モン)3重量%、およびポリエチレンテレフタレート8
9重量%からなり、比較難燃繊維2は、帝人(株)製、
商品名「トレビラ」、比較難燃繊維3は、東洋紡績
(株)製、商品名「ハイム」である。
優れるポリエステル樹脂組成物、難燃性繊維、難燃材が
得られる。特に樹脂被覆された無機赤リンを使用するこ
とで、得られる樹脂組成物のみならず、難燃性繊維、難
燃材の製造工程、さらにこれを焼却処分した場合でもホ
スフィン等の発生がなく安全性に優れる。しかも、樹脂
組成物にカーボンブラックを配合することで黒色に着色
でき、これを布帛として難燃性の暗幕等に使用すること
ができる。特に、ポリエステル樹脂組成物に難燃剤を配
合すると繊維化が困難となる場合が多いが、本発明では
樹脂被覆された赤リンを使用することでポリエステルと
赤リンとの相溶性を増し、安定な樹脂組成物が得られる
と共に、力学的強度に優れるポリエステル繊維を得るこ
とができる。
す図である。
方向を示したものである。
炎との関係を示す図である。
る。
Claims (10)
- 【請求項1】 無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤
リン0.2〜15重量%と熱可塑性ポリエステル樹脂9
9.8〜85重量%とを含む難燃性ポリエステル樹脂組
成物。 - 【請求項2】 請求項1記載の樹脂組成物100重量部
と、カーボンブラック0.2〜5重量部と含有する難燃
性ポリエステル樹脂組成物。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の樹脂組成物10
0重量部に、水酸化アルミニウムまたは酸化アンチモン
を0.1〜5.0重量部含有することを特徴とする、難
燃性ポリエステル樹脂組成物。 - 【請求項4】 熱可塑性ポリエステル樹脂の少なくとも
一部が、廃棄熱可塑性ポリエステル樹脂である、請求項
1〜3のいずれかに記載の難燃性ポリエステル樹脂組成
物。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性
ポリエステル樹脂組成物を溶融紡糸して得た繊維であっ
て、該ポリエステル樹脂含有量が繊維重量を基準として
それぞれ無機赤リンまたは樹脂被覆された無機赤リンを
0.2〜15重量%、カーボンブラックを0〜5重量
%、ポリエステル樹脂を99.8〜80重量%含有する
ことを特徴とする難燃性繊維。 - 【請求項6】 請求項5記載の難燃性繊維を5〜100
重量%含有する難燃材。 - 【請求項7】 該難燃材が、自動車用内装材として使用
されるものである、請求項6記載の難燃材。 - 【請求項8】 無機赤リンを含有するマスターバッチ、
熱可塑性ポリエステル樹脂、およびカーボンブラックを
含有するマスターバッチとを溶融混合し、次いで溶融紡
糸することを特徴とする、難燃性ポリエステル繊維の製
造方法。 - 【請求項9】 樹脂被覆された無機赤リンを含有するマ
スターバッチ、熱可塑性ポリエステル樹脂、およびカー
ボンブラックを含有するマスターバッチとを溶融混合
し、次いで溶融紡糸することを特徴とする、難燃性ポリ
エステル繊維の製造方法。 - 【請求項10】 カーボンブラックを含有するマスター
バッチ、樹脂被覆された無機赤リン、および熱可塑性ポ
リエステル樹脂とを溶融混合し、次いで溶融紡糸するこ
とを特徴とする、難燃性ポリエステル繊維の製造方法。
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