JP4530443B2 - 路面標示体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は路面標示体に関し、より詳細には、乾燥状態の場合と同様に雨天時にも再帰反射性を生じることのできる路面標示体に関する。本発明は、また、このような路面標示体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
路面標示体は、周知の通り、道路上の所定の部位に、例えばセンターライン、横断歩道などとして設けられるものである。また、従来の路面標示体では、その表面に再帰反射のための多数の透明微小球を配設することによって、夜間におけるその視認性を得ることも行われている。透明微小球は、通常、実質的に平坦な路面標示基材の表面に取り付けられて、再帰反射性の路面標示体を構成している。しかし、従来の再帰反射性の路面標示体の場合、雨天時に再帰反射性が低下するという欠点を甘受しなければならない。なぜなら、降雨時、路面標示体の透明微小球に水が付着してしまうので、微小球の反射面に入射する光線の向きが変えられ、所望とする光の反射が得られないからである。特に、透明微小球の全体が水で覆われてしまった時などは、光線の方向の変化が著しくなることが確認されている。したがって、雨天等でも、透明微小球を覆った水が微小球からできる限り取り除かれることが望まれる。
【0003】
透明微小球からの水の除去のため、いろいろな試みがなされている。例えば特開平3−224903号公報には、多数の空隙を有する路面標示基材を備えた路面標示体が開示されている。この路面標示基材はその空隙のために高い雨水浸透性を有し、したがって、路面標示基材又は路面標示体の表面に溜まった水が路面の空隙に吸引されて一緒に流れ去るようになっている。
【0004】
また、特開平9−41331号公報には、道路の幅方向の断面において等辺又は不等辺の三角形又は五角形を基本形として有する区画線であって、冠水防止及び再帰反射を可能とする排水溝として作用させるために破線とした路面標示体が開示されている。すなわち、この路面標示体の場合、その傾斜部分及び排水溝に沿って水を外部に取り除こうとしている。
【0005】
さらに、特開平7−197407号公報には、路面標示体の表面に、光散乱性及び再帰反射性を有する光輝性材料(ガラスビーズ)をかさ上げして固着させた路面標示体が開示されている。すなわち、この路面標示体の場合、光輝性材料を突出させることにより、その全体が水で覆われることを防止している。
この公報と同様に、特開平6−330510号公報にも、透明微小球をもった複数の凸状半球体を所定の間隔をあけて表面に配設して、凸状半球体の全体が水で覆われることを防止した路面標示体が開示されている。
【0006】
さらに、特開平6−280221号公報にも、透明微小球全体が湿潤時に水で覆われるのを防止するため、透明微小球を固着した表面層に凹凸を交互に形成した路面標示体が開示されている。
上記した公報に記載の路面標示体は水の除去に効果が期待される。しかし、これらの路面標示体の場合には、その路面標示体の表面から水を完全に取り除くことができない。なぜなら、通常の路面標示体の表面の一部の水に水膜として残ったままになり、その結果透明微小球にも水が付着したままとなるからである。したがって、このような水の存在により再帰反射が低減して、路面標示体の雨天時の視認性が晴天時に比べて劣化する。
【0007】
他方において、特開平9−279516号公報に開示される路面標示体は、水の除去を目的として使用される上述の透明微小球よりもさらに高い、1.9〜2.5の屈折率をもったガラスビーズを備えていることを特徴としている。このような高屈折率のガラスビーズは、雨天時に水が付着されても、再帰反射をすることができるように光線の向きを補正することができる。
【0008】
1.9〜2.5の屈折率をもったガラスビーズは、しかし、比較的低い硬度を有していて、破損し易いのが一般的である。また、上記公報によれば、このガラスビーズは106〜850μmの粒径を有して、比較的に平坦な粗面上に最も大きく突出して均一に設けられていることが開示されている。したがって、上述のようにガラスビーズが最も突出して設けられているときは、自動車又は歩行者等の往来により衝撃を頻繁に受け易く、比較的短期間しか形状を保つことができない。その結果、この標示体は長期間にわたる再帰反射性を提供することができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、雨天時の効果的な再帰反射を長期間にわたって行うことができる路面標示体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その1つの面において、
基材と、
前記基材の表面に設けられた複数の突起部分と、
隣接する突起部分の間の前記基材の表面に少なくとも固着して設けられた2.0以上の屈折率を有する第1の透明微小球と、
を含んでなることを特徴とする路面標示体にある。
【0011】
また、本発明は、そのもう1つの面において、基材と、基材の表面に設けられた複数の突起部分と、隣接する突起部分の間の前記基材の表面に少なくとも固着して設けられた2.0以上の屈折率を有する第1の透明微小球とを含む路面標示体を製造する方法であって、
熱的に塑性変形可能な材料から基材を成形する工程と、
複数の開口部が貫通した成形型を用意し、少なくともその成形型の一方の表面に2.0以上の屈折率を有する第1の透明微小球を塗布する工程と、
前記成形型の透明微小球塗布面を前記基材の一面に押し付けて、前記基材の一部を前記成形型の開口部に侵入させながら、前記第1の透明微小球を前記基材に転写させる工程と、
を含んでなることを特徴とする路面標示体の製造方法にある。
【0012】
【発明の実施の形態】
次いで、本発明をその好ましい実施の形態について説明する。
本発明の路面標示体は、前記したように、基材と、基材の表面に設けられた複数の突起部分と、隣接する突起部分の間の前記基材の表面に少なくとも固着して設けられた2.0以上の屈折率を有する第1の透明微小球とを必須の構成要素として含んでいる。
【0013】
第1の透明微小球は、本発明の路面標示体において再帰反射性を発現するためのものであり、好ましくはガラスビーズからなる。第1の透明微小球の屈折率は、少なくとも2.0以上であり、特に、2.2〜2.6の範囲にあることが好ましい。第1の透明微小球の屈折率が2.0を下回ると、所望とする再帰反射効率を得ることができない。
【0014】
また、第1の透明微小球の粒径は、所望とする効果に応じて広く変更することができるというものの、通常、平均して約0.02〜1.00mmの範囲にあることが好ましい。第1の透明微小球の粒径が約0.02mmより小さいと、再帰反射効率が著しく低下する。反対に、第1の透明微小球の粒径が約1.00より大きいと、走行中の自動車から大きく衝撃を受け、基材の表面から剥離し、脱落し易くなる。
【0015】
ガラスビーズに代表される第1の透明微小球は、その効果を十二分に発揮させるため、基材の表面のうち、そこに隣接して配置された突起部分の間、すなわち、突起部分の谷間の部分に、少なくとも固着されていることが必要である。また、第1の透明微小球は、突起部分の谷間の部分に追加して、突起部分の側面にも設けられていることが好ましい。第1の透明微小球は、所望とする効果に応じて粗くも密にも固着することができるが、通常、約10〜400g/m2の密度で設けることが好ましい。第1の透明微小球の分布密度が約10g/m2を下回ると、再帰反射効率が低下し、反対に約400g/m2を上回ると、微小球どうしの影に原因した再帰反射の阻害が発生する。
【0016】
本発明の路面標示体の主体を構成する基材は、その路面標示体の適用場所などを考慮して最適な材料を選択して使用することができるが、一般的には、その基材の表面に突起部分を設ける作業などを考慮して、熱的に塑性変形可能な材料、例えば天然もしくは合成のゴムあるいは樹脂から形成することができる。適当な基材の材料は、以下に列挙するものに限定されないけれども、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ネオプレン、ポリアクリレート、天然ゴム又はスチレン−ブタジエン共重合体、あるいはそれらの少なくとも1種を含む未加硫ゴムを包含する。
【0017】
また、本発明で使用する基材は、必要に応じて、熱及び(又は)光によって硬化可能な材料から形成してもよい。このような材料は、基材に対して改良された耐久性を付与することができる。
基材の表面に設ける突起部分は、基材と一体的に設けられていること、換言すると、基材の加工途中で一体的に成形されることが好ましく、しかし、必要に応じて、基材と同一もしくは異なる材料から、独立して形成されていてもよい。後者の場合には、例えば、接着剤等の固着手段を用いて基材の表面に突起部分を取り付けることができる。
【0018】
基材の表面に突起部分を設ける際、いろいろな配置パターンで複数の突起部分を設けることができる。突起部分の適当な配置パターンは、得られる路面標示体からの水の切れ具合などを考慮して、複数のストライプ、複数の円形ブロック、複数の矩形ブロックあるいはそれらの組み合わせなどである。また、本発明の効果に悪影響を及ぼさない限り、その他の形状も任意に組み合わせてもよい。
【0019】
それぞれの突起部分の大きさは、特に限定されるものではなく、広く変更することができる。また、突起部分の基材の表面からの高さは、通常、約0.5〜2.0mmの範囲であることが好ましい。突起部分の高さが約0.5mmより低いと、第1及び第2の微小球の再帰反射効率が著しく低下し、また、その反対に、突起部分の高さが約2.0mmを超えた場合には、基材の材料費がかさむなどの不都合がある。なお、突起部分の高さは、突起部分の凹部に第1の透明微小球を配置することが必要であるので、少なくとも、第1の透明微小球の粒径よりも大きいことが好ましい。
【0020】
本発明の路面標示体では、上記した第1の透明微小球に追加して、少なくとも突起部分の自由端部に、すなわち、突起部分の頂部に、1.5以上の屈折率を有する第2の透明微小球がさらに配設されていることが好ましい。第2の透明微小球は、必要ならば、突起部分の側面にも配設されていてもよい。
第2の透明微小球は、特に、水を付着させていないときにも路面標示体に再帰反射を提供し、よって、晴天時においても視認性を得ることができるようにすることや、路面標示体から表面摩擦の問題を解消することを目的として用いられるものであり、好ましくはガラスビーズからなる。第2の透明微小球の屈折率は、少なくとも1.5以上である。第2の透明微小球の屈折率が1.5を下回ると、上記したような効果を十分に得ることができない。第2の透明微小球の屈折率は、入手の容易性から、特に1.5〜2.0の範囲にあることが好ましい。
【0021】
また、第2の透明微小球の粒径は、所望とする効果に応じて広く変更することができるというものの、通常、平均して約0.02〜1.00mmの範囲にあることが好ましい。第2の透明微小球の粒径が約0.02mmより小さいと、滑り抵抗値が低下する。反対に、第2の透明微小球の粒径が約1.00mmより大きいと、走行中の自動車からの衝撃により、基材の表面から剥離し、脱落し易くなる。
【0022】
ガラスビーズに代表される第2の透明微小球は、その効果を十二分に発揮させるため、基材の表面のうち、そこに隣接して配置された突起部分の頂部、すなわち、自由端部に、少なくとも固着されていることが必要である。第2の透明微小球は、所望とする効果に応じて粗くも密にも固着することができるが、通常、約10〜400g/m2の密度で設けることが好ましい。第2の透明微小球の分布密度が約10g/m2を下回ると、晴天時の再帰反射効率や滑り抵抗の低下が発生することとなり、反対に約400g/m2を上回ると、微小球自身による再帰反射の阻害が発生することとなる。
【0023】
また、第2の透明微小球は、それが自動車や歩行者等の往来などによって破損するのを回避するため、少なくとも6.5、好ましくは約7〜12のモース硬度を有していることが好ましい。第2の透明微小球の硬さが上述の下限を下回ると、破損を回避することができないばかりか、路面標示体の表面に対して滑り抵抗を付与することができなくなる。
【0024】
本発明の路面標示体は、所望とする効果に応じて、路面の所定の部位にいろいろなパターンで適用することができる。路面標示体は通常区画線、すなわち、センターライン、歩道表示マークなどや、方向指示マーク、規制表示マークとして用いられるので、それらの用途に見合ったパターンを有することができる。一般的には、平面的に見て、線状パターンを呈するように路面標示体が設けられていることが好ましい。線状パターンとしては、例えば、直線、破線又はその組み合わせを挙げることができる。
【0025】
本発明の路面標示体は、好ましくは、次のような工程に従って製造することができる。
(1)熱的に塑性変形可能な材料から基材を成形する工程、
(2)複数の開口部が貫通した成形型を用意し、少なくともその成形型の一方の表面に2.0以上の屈折率を有する第1の透明微小球を塗布する工程、及び
(3)前記成形型の透明微小球塗布面を前記基材の一面に押し付けて、前記基材の一部を前記成形型の開口部に侵入させながら、前記第1の透明微小球を前記基材に転写させる工程。
【0026】
それぞれの工程は、以下に添付の図面を参照して説明するように、いろいろな手法に従って実施することができる。
本発明方法の実施において、特に、使用する成形型の開口部は、基材の表面に設けられた突起部分に対応したパターンで配置されており、かつその突起部分に対応する形状及び寸法を有していることが好ましい。
【0027】
また、基材成形工程では、基板そのものの成形に追加して、1.5以上の屈折率を有する第2の透明微小球を基材の成形型当接面に塗布する工程をさらに含ませることが好ましい。この第2の透明微小球の塗布工程は、基板の成形の前、その間あるいはその後の任意のタイミングで実施することができる。
さらに続けて、本発明の特に好ましい実施の形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、図示の実施形態は一例であり、本発明はこれに限定されないことは、当業者ならば容易に想到されるであろう。
【0028】
図1は、本発明の好適な一実施形態としての路面標示体を示したものである。この路面標示体10は、その一面に複数の突起部分2を設けた基材1を備えている。突起部分2は、図示の例の場合、台形の断面形状を有しているが、所望に応じて任意に変更可能である。また、突起部分2は、好ましくは、後述するように、基材1と一体的に、同一の材料から成形される。基材1は、好ましくは、熱的に塑性変形可能な熱可塑性樹脂からなる。このような基材樹脂は、例えば、信号器材(株)から「ボンライン」なる商品名で入手可能である。
【0029】
本発明の路面標示体10の場合、複数の突起部分2が互いに隣接するようにして基材1の表面に設けられ、また、少なくとも、相隣接する突起部分2の間には、すなわち、突起部分2の間の基材1の表面には、2.0以上の屈折率を有する第1の透明微小球3が固着して設けられる。このような第1の透明微小球3は、例えば雨天時に水を付着させたときに、より効率的な再帰反射性能を路面標示体に提供することができるようになっている。
【0030】
詳細に述べると、隣接する突起部分2の高さhは、第1の透明微小球3の粒径よりも大きいことが好ましい。本例の場合、路面標示体10の突起部分2が自動車の走行及び歩行者の往来などにより直接的な衝撃を受ける。他方、突起部分2の間の第1の透明微小球3は、突起部分2の間の谷間に位置するので、そのような衝撃を受けることが回避される。先にも説明したように、第1の透明微小球3がガラスビーズからなるような場合は、一般に低い硬度を有し、衝撃により比較的破損し易い。しかし、本発明の路面標示体10では、第1の透明微小球3が上述のように自動車、歩行者等に由来する衝撃を回避することができるので、その破損を防止して、長期間にわたって形状を維持することができる。その結果、本発明の路面標示体10は、雨天時の効果的な再帰反射を長期間にわたって行なうことができる。すなわち、本発明の路面標示体10の場合、その視認性が従来の路面標示体に比較して顕著に長期間にわたって維持され得る。
【0031】
本発明の路面標示体10において、通常、基材1の表面の突起部分2は、0.5〜2.0mmの高さhを備え、また、第1の透明微小球3は、0.02〜1.00mmの粒径を有していることが好ましい。
図示の路面標示体10は、さらに、1.5以上の屈折率をもった第2の透明微小球4を少なくとも突起部分2の自由端部(台形断面の頂部)上に配設している。第2の透明微小球4は、例えば水を付着させていないときに、路面標示体10に再帰反射を提供することができるようになっている。その結果、この路面標示体は晴天時においても視認性を得ることができる。また、望ましい第2の透明微小球4は、少なくとも6.5のモース硬度を有して、路面標示体に滑り抵抗を付与することができる。このような第2の透明微小球は、例えば岳南光機(株)からブラスト用ガラスビーズという商品名で市販されている。第2の透明微小球は、好適には0.02〜1.00mmの粒径を有している。
【0032】
図1の路面標示体10は、好ましくは、以下に図2〜図4を参照して説明する製造方法に従って有利に製造することができる。
まず、図2(A)に示すように、熱により塑性変形する平らな基材1を用意して、変形が可能になるまで加熱する。それから、図2(B)に示すように、この基材1の一面(図示の例の場合、上面)に透明微小球4を均一に散布して、一部埋設した状態で固着させる。
【0033】
つぎに、図3(A)に示すように、複数の開口部8が貫通している成形型7を用意する。このような成形型は特に限定されるものではなく、製造しようとしている路面標示体に好適な形状及び寸法を任意に選択することができる。図示の例では、したがって、平板状の成形型が使用されている。かかる場合、成形型としては、いわゆるマッシャー(musher)のような型押し器の構成部品から入手可能である。その後、図3(B)に示すように、水浴中に浸漬した後の平板状の成形型7に2.0以上の屈折率を有する第1の透明微小球3を塗布する。第1の透明微小球3が水の働きによって成形型7に結合せしめられ、その結果、透明微小球3が、成形型7の一方の面(引き続く工程で、透明微小球4を保持する基材1の表面に当接されるべき面)と、開口部8の内壁に付着した状態となる。
【0034】
引き続いて、図4(A)に示すように、成形型7の透明微小球3を保持する面を基材1の透明微小球4を保持する表面に押し付け(矢印参照)、基材1の一部を開口部8の中に侵入させる。この結果、突起部分2が基材1と一体的に成形されると同時に、第1の透明微小球3が成形型7の表面から基材1の表面に転写される。また、基材1の表面に固着されていた透明微小球4はそのままの状態で保持され、したがって、一部の透明微小球4は形成された突起部分2の頂部に保持される。
【0035】
特に、使用する成形型7が図示のように平板状の部材からなる場合には、その型の一面を基材1に均一に押し付けることができるので、その結果、突起部分2をほぼ同一の形状にしながら第1の透明微小球3を基材1に均一に転写させることができる。また、図3(B)に示されるように第1の透明微小球3が成形型7の開口部8の内面にも塗布されている場合、第1の透明微小球3は、基板1の突起部分2の間の表面のみならず、突起部分2の側面にも取り付けられ得る。
【0036】
引き続き、基材1を室温まで冷却し、その後成形型7を基材1から取り除くと、図4(B)に示すように、所望とする形状及び寸法を備えた路面標示体10を得ることができる。
以上、本発明をその好適な実施形態にしたがって説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では第1の透明微小球は通常破損し易いものであったが、これに限定されない。通常の透明微小球よりも比較的高い硬度を有している第1の透明微小球が用いられてもよい。このような第1の透明微小球は、第2の透明微小球と一緒に基材の一面に塗布して突起部分の自由端部にも設置可能となる。その設置の際、第1の透明微小球は平板から圧力や自動車等の往来による衝撃を受けても破損し難くなる。その結果、第1の透明微小球は路面標示体の一面全体に広がって、雨天時においてさらに高い視認性を路面標示体に提供することができる。
【0037】
また、突起部分は、それが基材と一体的であることは必須の要件ではなく、必要に応じて、接着剤等の固着手段でもって基材の一面に取り付けられていてもよい。
さらに、図5に示されるように、基材1は、複数の突起部分2を所定の間隔をおいて予め一体的に成形させたものであってもよい。詳細には、この突起部分の形状は特公平3−52344号公報に述べられている。また、このような基材は、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ネオプレン、ポリアクリレート、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体を少なくとも1つ含む未加硫ゴムからなって可とう性を有して粘弾性を与えていることが好ましい。この粘弾性によって、道路から標示体を除く傾向のある内力を生じることなく車両道路交通の力および圧力の吸収ができる。さらに、図示のような標示体の場合には、図中矢印で示される方向に自動車又は歩行者等の往来がある場合に、すなわち、標示体の流れ方向に対して垂直な方向に歩行者等が往来する場合に、突起部分が目立たなくなり、突起部分のすき間がなくなった部分だけ視認性がより一層向上するという効果がある。
【0038】
基材が未加硫ゴムからなっている場合、通常、第1の透明微小球は固着層を介して設けられる。好ましい固着層は例えば特開平2−38605号公報に述べられているように、熱可塑性あるいは熱硬化性の高分子バインダからなっている。このようなバインダは、例えば、ビニールベースの熱可塑性樹脂、ポリウレタン樹脂又はエポキシベーズの樹脂などである。一般的な固着層は、さらに、顔料として酸化チタンの粒子を均一に分散させている。このような酸化チタンの粒子は、白色着色剤としての機能の他に、固着層に効率の良い反射の機能を提供する。その結果、自動車のヘッドライトの光が路面標示体に入射するとき、広い視野角でもって再帰反射されて運転手に到達することが可能である。したがって、酸化チタンの粒子は路面標示体に一層高い視認性を提供することができる。なお、ここで使用する顔料は上述の酸化チタンに限定されない。その他の有効な顔料は、真珠光沢顔料、アルミニウム粉又はフレークの如き鏡面反射物、黄鉛顔料などがある。また、必要に応じて、舗道マーキングの着色に用いられるその他の顔料も使用可能である。
【0039】
【実施例】
次いで、本発明をその実施例を参照してさらに説明する。
実施例1
まず、信号器材(株)から「ボンライン」という商品名で市販されている溶融型の路面標示用の基材と上述したマッシャーを用意した。マッシャーは、本例において成形型として使用するためのものであり、複数の円筒状開口部が貫通し、したがって、上面及び下面の両方で円形開口が露出している。
つぎに、成形型の全体を水で濡らした後、その成形型の表面と開口部の内側に 、2.2の屈折率と平均70μmの粒径をもった第1のガラスビーズを付着させた。
【0040】
つぎに、先に用意した基材を約150℃まで加熱して溶融させた。引き続いて、予め用意しておいた1mmの厚さをもったアルミニウム板に、その溶融した基材を約2mmの平坦な塗布厚でもって塗布した。
その後、1.5の屈折率と500〜700μmの粒径とをもった第2のガラスビーズを167g/m2の密度で散布し、固着させた。
【0041】
引き続いて、第1のガラスビーズを付着させた成形型の表面を第2のガラスビーズを固着した基材に密着させて圧力を与え、開口部から基材の一部を突出させながら突起部分を基材と一体的に成形した。第1のガラスビーズを基材に転写した後、室温まで基材を冷却したところ、所望とする路面標示体を得られた。
比較例1
第1の透明微小球を成形型の表面に塗布しない相違点を除いて、上記実施例1と同様にして路面標示体を製造した。
視認性の評価:
前記実施例1及び比較例1で製造した路面標示体の視認性の評価を以下に詳細に述べるようにして行った。
【0042】
夜間時における2つの路面標示体の直接対比観察を、そこから10m離れた自動車の中からヘッドライトを当てて目視によって行った。このような直接対比観察は、晴天時及び雨天時に行った。さらに、雨天時の対比観察は路面標示体の摩耗を促進させた後にも行った。なお、路面標示体の摩耗の促進は、平成元年7月21日建設省告示第1322号の促進摩耗試験方法に準じたものであって、路面標示体の摩耗を約4,000回相当行なったものである。下記の表には、5段階評価で得られた評価結果が示されている。5段階評価は、夜間の晴天時において実施例1の初期の再帰反射の明るさを基準にして行った。表中、5は「非常に良い」、4は「良い」、3は「普通」、2は「やゝ悪い」そして1は「悪い」である。
【0043】
Figure 0004530443
上記した評価結果から理解されるように、晴天時には両者の差異はほとんど見られなかった。しかし、雨天時には実施例1の路面標示体が比較例1のそれに比べて高い視認性をもって観察された。特に、摩耗を促進させた場合には、その差異が著しくなった。したがって、本発明にしたがった路面標示体は、雨天時の効果的な再帰反射を長期間にわたって行うことができることが明らかとなった。
【0044】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、路面標示体の突起部分の間の凹部に突起部分により保護された状態で第1の透明微小球を配設したことにより、雨天時にも再帰反射性が低下することもない高性能で長期間にわたって破損の心配のない路面標示体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による路面標示体の好ましい一実施例を示した拡大断面図である。
【図2】図1の路面標示体を製造する好ましい方法の第1の工程を示した断面図である。
【図3】図1の路面標示体を製造する好ましい方法の第2の工程を示した断面図である。
【図4】図1の路面標示体を製造する好ましい方法の第3の工程を示した断面図である。
【図5】本発明による路面標示体の製造に有利に使用することのできる突起部分付き基材の好ましい一例を示した斜視図である。
【符号の説明】
1…基材
2…突起部分
3…第1の透明微小球
4…第2の透明微小球
7…成形型
8…開口部
10…路面標示体

Claims (1)

  1. 基材と、該基材の表面に設けられた複数の突起部分と、隣接する突起部分の間の前記基材の表面に少なくとも固着して設けられた2.0以上の屈折率を有する第1の透明微小球とを含む路面標示体を製造する方法であって、
    熱的に塑性変形可能な材料から基材を成形する工程と、
    複数の開口部が貫通した成形型を用意し、少なくともその成形型の一方の表面に2.0以上の屈折率を有する第1の透明微小球を塗布する工程と、
    前記成形型の透明微小球塗布面を前記基材の一面に押し付けて、前記基材の一部を前記成形型の開口部に侵入させながら、前記第1の透明微小球を前記基材に転写させる工程と、
    を含んでなり、かつ
    前記基材成形工程において、1.5以上の屈折率を有する第2の透明微小球を前記基材の成形型当接面に塗布する工程をさらに含むことを特徴とする路面標示体の製造方法。
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