JP4529234B2 - エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐湿性、電気特性に優れる硬化物を与えるエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物およびその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐湿性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。従来、工業的に最も使用されているエポキシ樹脂としてビスフェノ−ルAにエピクロルヒドリンを反応させて得られる液状または固形のビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記したような汎用エポキシ樹脂は、その組成物の保存安定性が、またその硬化物の耐湿性と電気特性が満足できるレベルに達していないので、半導体封止材料やプリント配線基板分野や粉体塗料では、より優れた保存安定性と耐湿性と電気特性を有する高性能エポキシ樹脂組成物が待望されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこうした実状に鑑み、耐湿性、電気特性に優れる硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物を求めて鋭意研究した結果、下記式(1)で表される化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られる構造を有するエポキシ樹脂を硬化剤として用いたエポキシ樹脂組成物が、これらの要求を満たすものであることを見いだし、本発明を完成させるに到った。
【0005】
すなわち本発明は、
▲1▼式(1)
【化8】
【0006】
(式中、式中、nは平均値を表し0<n≦10の値をとる。Aはフェニレン基、2価のビフェニレン基、アルキレンジフェニル基、オキシジフェニル基、ベンゾフェノン残基、2価のナフタレン基、アルキレンジナフチル基、ビナフチル基、またはジフェニルスルホン残基を、Bは2価の炭化水素基を、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはアリール基をそれぞれ表し、個々のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物とエピハロヒドリンを反応させて得られるエポキシ樹脂と、硬化剤とを必須成分とするエポキシ樹脂組成物、
【0007】
▲2▼式(1)中のAが式(2)
【化9】
【0008】
(式中、Xは炭素数1〜14の炭化水素基、カルボニル基、スルホン基、直接結合を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基を表し、個々のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)、
【0009】
式(3)
【0010】
【化10】
【0011】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基を表し、個々のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)、
【0012】
式(4)
【0013】
【化11】
【0014】
または式(5)
【0015】
【化12】
【0016】
である前記▲1▼記載のエポキシ樹脂組成物、
【0017】
▲3▼式(1)中のBがメチレン基である前記▲1▼または▲2▼記載のエポキシ樹脂と、硬化剤とを必須成分とするエポキシ樹脂組成物、
【0018】
▲4▼式(2)中のXが式(6)、
【0019】
【化13】
【0020】
または式(7)、
【0021】
【化14】
【0022】
である前記▲1▼、▲2▼または▲3▼記載のエポキシ樹脂組成物、
【0023】
▲5▼式(1)で表される化合物とエピハロヒドリンとの反応で得られるエポキシ樹脂のエポキシ当量が、250〜600グラム/当量の範囲であることを特徴とする前記▲1▼〜▲4▼のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物、
【0024】
▲6▼前記▲1▼〜▲5▼のいずれか記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物を提供するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
式(1)で表される化合物は、例えば式(8)
【0026】
【化15】
【0027】
(Yは塩素、臭素、沃素から選ばれるハロゲン原子、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基を表し、個々のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される化合物と2官能フェノール類とを脱ハロゲン化水素縮合反応させることにより得ることができる。
【0028】
使用する式(8)で表される化合物の具体例としては、α、α′−キシレンジクロライド、ビス(α−クロロエチル)ベンゼン、ビス(2−クロロエチル)ベンゼン、ビス(クロロプロピル)ベンゼン類、ビス(3−クロロブチル)ベンゼン類、或いは、ビス(ハロアルキル)ベンゼン類のアルキル置換体などが挙げられ、特に反応のしやすさから、α、α′−キシレンジクロライドが好ましい。
【0029】
使用する2価フェノール類の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フルオレンビスフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メンタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジシクロペンタン、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキジフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1′−ビス(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンなどのビスフェノール類、
【0030】
ハイドロキノン、ジターシャリーブチルハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、ターシャリーブチルカテコールなどのベンゼンジオール類、
【0031】
式(9)
【0032】
【化16】
【0033】
(Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはアリール基をそれぞれ表し、個々のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるビフェノール、テトラメチルビフェノール、4,4′−ジヒドロキシビフェニル−3,3′,5,5′−テトラメチエルビフェニルなどのビフェノール類、
【0034】
式(10)
【0035】
【化17】
【0036】
で表される、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、
【0037】
式(11)、
【0038】
【化18】
【0039】
で表される、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシナフタレン類、
【0040】
式(12)
【0041】
【化19】
(式中、Wは炭素数1〜14の炭化水素基を表す。)
【0042】
で表されるビス(ヒドロキシナフチル)メタンなどのビス(ヒドロキシナフチル)アルカン類、
【0043】
または、1,1′−ビナフトールなどのビナフタレンジオール類が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0044】
上記2価フェノール類のなかでもビスフェノールA、ビスフェノールF、ジヒドロキシナフタレン類、
【0045】
或いは式(13)
【0046】
【化20】
【0047】
(Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基のいずれかを表し、個々のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるようなジシクロペンタジエンとフェノール類から誘導されるビスフェノール化合物、
或いは式(14)
【0048】
【化21】
【0049】
(Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基のいずれかを表し、個々のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるようなフルオレンとフェノール類から誘導されるビスフェノール化合物が耐熱性や耐湿性や電気特性が優れるため好ましく、特にこのジシクロペンタジエン型ビスフェノール類がこれらの特性が際だって優れることから好ましいものである。
【0050】
上記の2価フェノール類が、例えばビスフェノールFや式(13)で表される化合物の場合、フェノールノボラック樹脂中やジシクロペンタジエンフェノール重付加樹脂中に、繰り返し構造型の混合物中に含まれる場合も使用可能である。この場合、粘度が高くなり流動性や作業性に支障が生じることがないように、2価フェノール類の含有量が50重量%以上のものを用いることが好ましく、特に好ましくは80重量%以上である。
【0051】
上記の2価フェノール類と式(8)で表される化合物の縮合反応を行う場合、式(8)で表される化合物の使用量は2価フェノール類1モルに対して通常0.1〜0.9モル、好ましくは0.3〜0.7モルである。式(8)で表される化合物の量が少ないと、目的のエポキシ樹脂中の式(15)で表される基
【0052】
【化22】
【0053】
(Bは2価の炭素数1〜10の炭化水素基、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基のいずれかを表し、個々のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0054】
の含有率が低くなり、低粘度で流動性や作業性が良いものの、保存安定性や耐湿性や電気特性の向上効果は小さくなる。一方、式(8)で表される化合物の量が高いと、目的のエポキシ樹脂中の式(15)で表される基の含有率が高くなり、保存安定性や耐湿性や電気特性の向上効果は大きくなるが、粘度が高くなり流動性や作業性は低下する。従って、所望の粘度、保存安定性、耐湿性、電気特性の要求特性によって、式(8)で表される化合物の量を適宜調節すればよい。
【0055】
上記反応においては脱ハロゲン化水素剤を存在させることが好ましく、その脱ハロゲン化水素剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物やトリエチルアミンなどの3級アミンが使用できるが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが反応速度の点から好ましい。これら脱ハロゲン化水素剤の使用量は特に限定されるものではないが、式(8)で表される化合物1モルに対して2.0〜3.0モル用いるのが好ましい。またその際、4級アンモニウム塩やクラウンエーテエルなどの相関移動触媒を用いることによって反応速度を速めることができる。
【0056】
上記反応は有機溶剤の存在下で行うことが好ましい。有機溶剤を使用する場合の具体例としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。有機溶剤の使用量は仕込んだ原料の総重量100重量部に対して通常50〜300重量部、好ましくは70〜250重量部である。反応温度は通常40〜120℃、反応時間は通常1〜10時間である。これらの溶剤類は単独で、あるいは数種類を混合して用いることが出来る。
【0057】
反応は例えば適当な有機溶媒に2価フェノール類と式(8)で表される化合物を溶解し、それに脱ハロゲン化水素剤を滴下して反応が終結するまで撹拌を続ければよい。反応終了後、反応混合物の水洗浄液のpH値を3〜7になるようにリン酸ソーダ等の酸性化合物を添加して系内を中和する。その後、水洗処理をおこなって無機塩を系内から除去した後に、有機溶媒は蒸留回収することによって目的のエポキシ樹脂の中間体になる式(1)で表される2価フェノール化合物を得ることができる。
【化23】
【0058】
(式中、nは平均値を表し0<n≦10の値をとる。Aはフェニレン基、2価のビフェニレン基、アルキレンジフェニル基、ベンゾフェノン残基、オキシジフェニル基、2価のナフタレン基、アルキレンジナフチル基、ビナフチル基、またはジフェニルスルホン残基を、Bは2価の炭化水素基を、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはアリール基をそれぞれ表し、個々のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0059】
式(1)で表される2価フェノール化合物から本発明のエポキシ樹脂を得る方法としては例えばそれ自体公知の方法が採用できる。例えば、前記で得られた式(1)で表される2価フェノール化合物とエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン等のエピハロヒドリンの溶解混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を添加し、または添加しながら20〜120℃で1〜10時間反応させることにより本発明で用いるエポキシ樹脂を得ることが出来る。
【0060】
エピハロヒドリンの添加量は、原料の2価フェノール化合物中の水酸基1当量に対して、通常0.3〜20当量の範囲が用いられる。エピハロヒドリンが2.5当量よりも少ない場合、エポキシ基と未反応水酸基が反応しやすくなるため、エポキシ基と未反応水酸基が付加反応して生成する基(-CH2CR(OH)CH2-、R:水素原子又はアルキル基)を含んだ高分子量物が得られる。一方、2.5当量よりも多い場合、理論構造物の含有量が高くなる。所望の特性によってエピハロヒドリンの量を適宜調節すればよい。
【0061】
本発明で用いるエポキシ樹脂を得る反応において、アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液し水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。
【0062】
また、式(1)で表される化合物とエピハロヒドリンの溶解混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加し50〜150℃で1〜5時間反応させて得られる、式(1)の化合物のハロヒドリンエーテル化物に、アルカリ金属水酸化物の固体または水溶液を加え、再び20〜120℃で1〜10時間反応させ脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法でもよい。更に、反応を円滑に進行させるためにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサンなどのエーテル類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが好ましい。溶媒を使用する場合のその使用量は、エピハロヒドリンの100重量部に対し通常5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部である。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合はエピハロヒドリン100重量部に対し通常5〜100重量部、好ましくは10〜60重量部である。
【0063】
これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに、加熱減圧下、110〜250℃、圧力1.33kPa以下でエピハロヒドリンや他の添加溶媒などを除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、エピハロヒドリン等を回収した後に得られる粗エポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて更に反応を行い閉環を確実なものにすることもできる。この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量は粗エポキシ樹脂中に残存する加水分解性塩素1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは1.2〜5.0モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜3時間である。反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合のその使用量は、粗エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜3.0重量部の範囲が好ましい。
【0064】
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより本発明のエポキシ樹脂が得られる。
【0065】
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明のエポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。
【0066】
本発明で用いるエポキシ樹脂と併用し得るこれ以外のエポキシ樹脂としては、公知公用の全てのエポキシ樹脂を用いることができるが、例示するならばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加反応型エポキシ樹脂などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上混合して使用してもよい。
【0067】
本発明のエポキシ樹脂組成物に使用される硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などがの公知公用の硬化剤が全て用いることができる。例示するならば、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノ−ルノボラック、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂等を始めとする多価フェノール類及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0068】
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、良好な硬化物性が得られる点から、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、硬化剤中の活性水素基が0.7〜1.5当量になる量が好ましい。さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてシリカ、アルミナ、タルク等の充填材やシランカップリング剤、離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。
【0069】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ樹脂、硬化剤更に必要により硬化促進剤の配合された本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物とすることができる。例えばエポキシ樹脂と硬化剤、充填剤等の配合剤とを必要に応じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合してエポキシ樹脂組成物を得、そのエポキシ樹脂組成物を溶融後注型あるいはトランスファ−成形機などを用いて成形し、さらに80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。また本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解させてワニス化して塗料として用いることができる。さらにはそのワニスをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形して硬化物を得ることなどもできる。この際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10〜80重量%、好ましくは15〜75重量%、特に好ましくは15〜65重量%を占める量を用いる。
【0070】
【実施例】
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において部および%は特に断わりのない限り重量基準である。
【0071】
合成例1
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、ビスフェノールA185部(0.81モル)、α、α′−パラキシレンジクロライド87.5部(0.5モル)、メチルイソブチルケトン500部、テトラエチルアンモニウムクロライド3部を仕込み、室温下、窒素を吹き込みながら撹拌した。80℃で20%水酸化ナトリウム水溶液210部(1.05モル)を2時間要して添加した。添加終了後、80℃でさらに3時間撹拌した。反応終了後、第1リン酸ソーダ20部を添加して中和した後に水層を棄却した。さらに有機層を水100部で3回水洗を繰り返した後に、メチルイソブチルケトンを加熱減圧下に除去して式(1)で表される化合物の一種である化合物(A−1)230部を得た。得られた化合物(A−1)の水酸基当量は386グラム/当量であった。
【0072】
次いで、温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら上記反応で得られた化合物(A−1)193部(水酸基0.5当量)、エピクロルヒドリン463部(5.0モル)、n−ブタノール53部を仕込み溶解させた。50℃に昇温した後に、20%水酸化ナトリウム水溶液110部(0.55モル)を3時間要して添加し、その後更に50℃で1時間反応させた。反応終了後、150℃減圧下で未反応エピクロルヒドリンを留去した。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン300部とn−ブタノール50部とを加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液15部を添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のPHが中性となるまで水100部で水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して目的のエポキシ樹脂(A−2)206部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は468グラム/当量であった。
【0073】
合成例2
ビスフェノールAをビフェノール140部(0.75モル)に変更した以外は合成例1と同様にして、式(1)で表される化合物の一種である化合物(B−1)191部を得た。得られた化合物(B−1)の水酸基当量は382グラム/当量であった。次いで、化合物(A−1)を化合物(B−1)191部(水酸基0.5当量)に変更した以外は合成実施例1と同様にして、目的のエポキシ樹脂(B−2)205部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は469グラム/当量であった。
【0074】
合成例3
ビスフェノールAをジシクロペンタジエン−フェノール重付加物(フェノール2核体含有量86重量%、水酸基当量162グラム/当量)322部(水酸基2.0当量)に変更した以外は合成例1と同様にして、式(1)で表される化合物の一種である化合物(C−1)366部を得た。得られた化合物(B−1)の水酸基当量は377グラム/当量であった。次いで、化合物(A−1)を中間体(C−1)189部(水酸基0.5当量)に変更した以外は合成例1と同様にして、目的のエポキシ樹脂(C−2)201部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は468グラム/当量であった。
【0075】
合成例4
ビスフェノールAを化学式(16)に示されるフルオレン−ビスフェノール化合物436部(水酸基2.28当量)に変更した以外は合成例1と同様にして、式(1)で表される化合物の一種である化合物(D−1)453部を得た。得られた中間体(D−1)の水酸基当量は384グラム/当量であった。次いで、化合物(A−1)を化合物(D−1)192部(水酸基0.5当量)に変更した以外は合成1と同様にして、目的のエポキシ樹脂(D−2)202部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は470グラム/当量であった。
【化24】
【0076】
実施例1〜4および比較例1
合成例1〜4で得られたエポキシ樹脂または比較としてビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(EPICLON 1055:大日本インキ化学工業製、エポキシ当量470グラム/当量)を用い、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(PHENOLITE TD-2131:大日本インキ化学工業製、軟化点80℃、水酸基当量104グラム/当量)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TPP)を用いて、第1表に示した組成で配合して、100℃×5分間の条件で2本ロールを用いて溶融混練しエポキシ樹脂組成物を得た。これを180℃で10分間プレス成形して、その後180℃で5時間さらに硬化せしめて硬化物を得た後に所定のサイズに切り出して、試験片を作成した。得られた組成物の保存安定性、及び試験片の吸湿率と誘電率を、次に示す測定条件で測定した。その評価結果を第1表に示す。
【0077】
保存安定性:30℃×72時間放置の前後のゲルタイム(175℃)を測定して、その変化率(放置後のゲルタイム/放置前のゲルタイム)を求めた。
【0078】
吸湿率:75×25×2.5(mm)の試験片を85℃・85%RHの吸湿条件で300時間放置して、その重量増加率から吸湿率を求めた。
【0079】
誘電率:50×50×2.5(mm)の試験片を25℃のもとで1MHzの誘電率を測定した。
【0080】
【表1】
【0081】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、優れた保存安定性をもった組成物、及び優れた耐湿性と電気特性をもった硬化物を与えることができ、半導体封止材料などの成形材料、プリント配線基板などの積層材料、注型材料、粉体塗料や一般塗料、接着剤、レジストインキなど広範囲の用途にきわめて有用である。
Claims (6)
- 式(1)中のBがメチレン基である請求項1または2記載のエポキシ樹脂組成物。
- 式(1)で表される化合物とエピハロヒドリンとの反応で得られるエポキシ樹脂のエポキシ当量が、250〜600グラム/当量の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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