JP4528012B2 - 室温硬化性接着剤及び床構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、床材の接合に好適に用いられる室温硬化性接着剤及び該接着剤により接合されてなる床構造体に関する。
従来、住宅の床材と床下地材との接合に接着剤を用いる工法が採られてきており(特許文献1)、近年になって、変成シリコーン接着剤が、床材と床下地材を接着するための床用接着剤などの一定厚みを保ちたい箇所への接着剤として検討されてきているが、変成シリコーン接着剤を用いる際には、該接着剤の特徴を発揮させるためには接着剤の厚さを一定以上にする必要がある。しかしながら、変成シリコーン接着剤を用いて床面を構成する床構成体を接着する場合には、床材や床下地材などに変成シリコーン接着剤をビード塗布した後、貼り合わせる工法がとられることがあった。この場合、全面に接着剤を塗布した後に、貼り合わせる工法とは異なって、ビード状に塗布された接着剤のみで貼り合わせ面の間隔を一定に保つことが必要であり、そのために、従来は床材や床下地材との貼り合わせ面にあらかじめスペーサを組み入れるか、もしくはビード状に接着剤を塗布した後、接着剤の上からスペーサを押しつけて接着剤に埋め込んでから貼り合わせて、床材と床下地材との貼り合わせ面の間隔を一定に保つ方法が検討されていた。
しかしながら、このような施工方法は接着剤を塗布する作業とは別に、スペーサ材を供給する工程が必要であったり、床材と床下地材との間隔を一定にするのが困難であるという問題があった。
特開昭62−13649号公報
本発明者は、上記問題を解決するために、球状のガラスビーズをスペーサとして接着剤中に添加することにより、貼り合わせ面の間隔を一定にする方法を検討してきたが、ガラスビーズは硬度が高く、貼り合わせ時に破壊され難いけれども、接着剤の製造時に、ミキサー、配管等の設備を損傷させたり、塗布時に接着剤塗布機(アプリけーター)の配管等を損傷させるという問題点を明らかになった、更に、接着剤を塗布した後に貼り合わせる際に、木製の床材を損傷させる恐れもあった。
一方、本発明者らは内部に大きな気孔を多数有する変成シリコーン接着剤を用いて床構成体を構成することにより床構成体の遮音性を向上させる検討を進めていた。しかしながら、内部に大きな気孔を多数有する変成シリコーン接着剤は硬化物が柔軟なゴム状となることに加えて多数の気孔が存在するために、床面にかかる荷重を支えきれず、床材と床下地材との間隔を一定に保たせることが非常に難しいといった問題点があることが判明した。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は内部に多数の気孔を有する室温硬化性接着剤であっても貼り合わせ面の間隔を一定に保つことができると共に、接着剤の製造、塗布の際に機械の損傷を起こさない室温硬化性接着剤及び該接着剤により接合されてなる床構造体を提供することにある。
請求項1記載の本発明は、加水分解性シリル基又はイソシアネート基である架橋性官能基を有する樹脂からなる室温硬化性樹脂成分100重量部に対して、体積平均粒径が20〜200μmの有機中空フィラー1〜100重量部、体積平均粒径が0.5〜5.0mmの球状プラスチックフィラー1〜100重量部を含有する室温硬化性接着剤。
また、請求項記載の発明は、架橋性官能基を有する樹脂の主鎖がポリエーテル構造で、末端に架橋性官能基を有する請求項1記載の室温硬化性接着剤。
また、請求項記載の発明は、有機中空フィラーが熱膨張済みマイクロカプセルである請求項1又は2に記載の室温硬化性接着剤。
また、請求項記載の発明は、球状プラスチックフィラーのモース硬度が5以下である請求項1又は2に記載の室温硬化性接着剤。
請求項記載の本発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の室温硬化性接着剤により接合されてなる床構造体である。
以下本発明を詳細に説明する。
上記架橋性官能基を有する樹脂としては、架橋性官能基を有する樹脂であれば、特に限定されず、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリカーボネート結合等を主鎖構造とする重合体、ビニル重合体、ポリオレフィン重合体などが挙げられる。これらの重合体の内、柔軟な硬化物が得られやすいことから、主鎖がビニル重合体及び/またはポリエーテル構造を有する重合体からなる樹脂であることが好ましい。特に好ましくは、主鎖がポリエーテル構造を有する重合体からなる樹脂である。主鎖がポリエーテル構造構造を有する樹脂を用いることにより末端に架橋性官能基を導入し易く、より柔軟な硬化物が得られやすい。尚、樹脂は共重合体であってもよく、例えば、ポリエーテル部分及びビニル重合体部分の双方を有する共重合体であってもよい。
上記ポリエーテル構造を有する重合体としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等のグリコールを重合したり、低分子量活性水死含有化合物の存在化にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルを開館重合することにより得られる。これら重合体は、単独重合体であっても良いし2種以上が共重合された共重合体であっても良い。共重合体の場合は、ランダム共重合体であっても良いしブロック共重合体であっても良い。中でも、硬化後の耐水性に優れ、高い弾性率の硬化体が得られ易い点からポリオキシプロピレン系重合体が好ましい。
上記低分子量活性水素含有化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、16ヘキサンジオール等のジオール化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、126ヘキサントリオール等のトリオール化合物、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
架橋性官能基としては、室温で架橋する官能基であれば、特に限定されないが、湿気で架橋反応が進行する加水分解性シリル基やイソシアネート基が好適に用いられる。加水分解性シリル基を有する樹脂は一般に変成シリコーン樹脂と称され、加水分解反応性シリル基が、加水分解をしてシロキサン結合により架橋することにより硬化樹脂となる。
上記加水分解性シリル基とは、加水分解性基が珪素原子に結合した基であり、珪素原子に結合した加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、アシルオキシド基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシド基等が挙げられ、中でも、メトキシ基やエトキシ基等のアルコキシ基が反応後に有害な副生成物を生成しない点で好ましく用いられる。上記加水分解性シリル基を有する樹脂は一般に変性シリコーン樹脂と称され、加水分解性シリル基が加水分解をしてシロキサン結合により架橋することにより硬化物となる。
上記加水分解性シリル基を有する樹脂を製造する方法としては、特に限定されず、側鎖や末端に水酸基を有する重合体に、例えば、下式(1)で表される化合物を反応させる方法、加水分解性シリル基を有する重合開始剤や、加水分解性シリル基を有する連鎖移動剤を用いて重合を行う方法、等が挙げられる。
3-aSiR1 aH … (1)
(式中R1は1価の炭化水素基及びハロゲン化された1価の炭化水素基から選択される基、nは0、1または2の整数、Xはアルコキシ基を意味する。nが0又は1の場合、Xは同じ種類であっても種類が異なっても良い。)
これらの内、重合体の末端に加水分解性シリル基を有する重合体が得られる方法が好ましく、更に好ましくは、主鎖構造としてポリエーテル構造を有し、末端に水酸基を有するポリエーテルグリコールに上記式(1)の化合物を反応させる方法である。
上記ポリオキシアルキレン重合体を主鎖に有する変成シリコーン樹脂としては、例えば、商品名「MSポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、MSポリマーS−203、S−303、S−903等、商品名「サイリルポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、サイリルSAT−200、SAT−350、SAT−400や、商品名「エクセスター」(旭硝子社製)として、エクセスターESS−3620、ESS−3430、ESS−2420、ESS−2410などが市販されている。
上記イソシアネート基を有する樹脂としては、末端にイソシアネート基を有する樹脂が公的の用いられ、従来より公知のポリオールとポリイソシアネート基を反応させることにより得られる。
上記ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられ、中でも、結晶化し難く、湿気を通しやすいポリエーテルポリオールが好適に用いら得る。
ポリエーテルポリオールとしては、上述したポリエーテルポリオールが用いられ、単独で用いられても良いし、2種以上が併用されていても良い。
ポリエーテルポリオールの分子量は3000〜20000が好ましく、更に好ましくは5000〜12000であり、1分子中に含まれる活性水素の数は水酸基を1.5〜5個有するのが好ましく、更に好ましくは2〜3個である。分子量が3000未満の場合は、架橋密度が高くなりすぎたり、反応の際に炭酸ガスが発生しやすくなり好ましくない。また、分子量が20000を超えると、取り扱いが困難となったり、得られた接着剤の粘度が高くなりすぎて作業性が低下してしまうので好ましくない。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、すべリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸等の多価カルボン酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサングリコール等のポリオール反応により得られるポリエステルポリオール、ε−カプロラクトンポリオール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、ポリヘキサメチレンカーボネートポリオール、
ポリシクロヘキサンジメチレンカーボネートポリオール等が挙げられる。
上記ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートの変性物、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート等が挙げられ、ポリイソシアネートの蒸気圧等の取り扱いやすさや安全性の面から、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートの変性物が好適に用いられる。
上記有機中空フィラーとしては、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、アクリロニロリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂などやこれらの共重合体などから形成された中空のプラスチックフィラーがあげられる。有機中空フィラーの体積平均粒径は20〜200μmである。体積平均粒径が20μm未満の場合は有効な大きさの気孔を形成させることが出来ず、200μmを超えると気孔が大きすぎて接着剤の強度が低下してしまい、体積平均粒径が20〜200μmの有機中空フィラーを用いることにより、強度を低下させることなく室温硬化性接着剤に大きな気孔を多数形成させることが出来る。
上記中空プラスチックスフィラーは、樹脂を微粒子に成形したのち、揮発性発泡剤を加
圧環境下で樹脂微粒子に含浸させて発泡性微粒子とした後に、加熱発泡させた発泡中空微粒子や、内部に揮発性の液状炭化水素等を内包するカプセル樹脂微粒子を加熱して内部の液状炭化水素を気化膨張させた熱膨張済みマイクロカプセル等があげられる。なかでも、熱膨張済みマイクロカプセルは、室温硬化性樹脂を必要に応じてくわえられる他の添加成分との混合時において破壊しにくく均一混合しやすいため好ましい。熱膨張済みマイクロカプセルの粒径は20〜200μmであり、真比重は0.10−0.30g/cm3であ
ることが好ましい。
上記有機中空フィラーの量は、室温硬化性樹脂成分100重量部に対して、1〜100重量部であり、1重量部未満の場合は、室温硬化性接着剤の気孔率が低くなり遮音効果等が低下してしまい、100重量部を超えると、室温硬化性接着剤の粘度が高くなりすぎて、均一に分散させることが出来なかったり、均一な塗布が出来なかったり、塗布後の貼り付けの際に所定の間隙が得られなかったりしてしまう。
上記熱膨張済みマイクロカプセルは、熱膨張性マイクロカプセルを所定の温度以上に加熱することにより膨張させて得ることができる。なお、熱膨張性マイクロカプセルは市販されており、積水化学工業社製「アドバンセル」、松本油脂製薬社製「マツモトマイクロスフェア」などがあげられる。
上記球状プラスチックフィラーは、被着体間の間隙を一定に保つスペーサとして用いられ、硬化後の室温硬化性樹脂成分の強度より高ければ特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)等を加熱成形した熱可塑性樹脂粒子や、天然ワックスや合成ワックスを加熱成形したワックス粒子などが挙げられる。上記球状プラスチックスフィラーのモース硬度は5未満であるのが好ましい。モース硬度が5未満であると、スペーサとして広く用いられているガラスバルーンや金属バルーンなどの中空無機フィラー等に比べて硬度が低いので、例えば、床材等の木質材料をビード状に塗布して貼り合わせる場合には、被着体を損傷させ難い。本発明の室温硬化性接着剤を用いる際には、球状プラスチックスフィラーの硬度は被着体の硬度より低くするのがより好ましい。
また上記球状プラスチックスフィラーは、接着剤に対する分散性を向上させるために、炭酸酸カルシウムなどにより表面処理がなされていても良い。
上記球状プラスチックスフィラーの体積平均粒子径は、0.5〜5mmである。体積平均粒子径が0.5mm未満の場合は、変成シリコーン接着剤の硬化物の変形を十分に抑えることが難く、5mmを越えると、接着剤の内部には多数の気孔が形成されていることとあいまって、接着剤中の樹脂成分が不足してしまい十分な接着強度が得られ難くなる。また、球状プラスチックスフィラー粒子は粒径のバラツキが小さく粒径が揃っているほうが貼り合わせ面の間隔を一定に保ちやすいだけでなく、塗布時の粘度も一定させやすいため一定の塗布厚みを保ちやすく好ましい。
上記球状プラスチックスフィラーの量は、室温硬化性樹脂成分100重量部に対して、1〜100重量部であり、好ましくは1〜100重量部である。1重量部未満の場合は、厚さのバラツキを生じ易く、100重量部を超えると、充分な耐久性を発揮できない場合がある。
本発明の室温硬化性接着剤には、溶融粘度や基材に対する密着性を改善するために粘着付与樹脂や熱可塑性樹脂等が添加されていても良い。
上記粘着付与樹脂としては、特に限定されず、一般に用いられているロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂等がが挙げられる。これらの内好ましくは、環球式軟化点が90150℃の粘着付与樹脂が好適に用いられ、添加量は、上記樹脂成分100重量部に対して0〜200重量部が好ましい。添加量が200重量部を超えると耐熱性が低下したり、低温下で脆弱になり易いくなる。粘着付与樹脂は1種類が単独で用いられても良いし、2種以上が併用されていても良い。
上記熱可塑性樹脂としては、メルトインデックス(MI)が100以上のエチレン共重合体が好適に用いられる。エチレン共重合体としては、エチレン酢酸ビニル共重合体(ENA)、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンメタクリル酸エステル共重合体、うが挙げられる。また、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)等の熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、α−オレフィン等の共重合体等のポリオレフィン樹脂等が添加されていても良い。これら熱可塑性樹脂の添加量は、上記樹脂成分100重量部に対して0〜100重量部が好ましい。添加量が100重量部を超えると、粘度が増加しすぎて作業性が低下してしまうことがある。
上記室温硬化性接着剤の粘度は、ブルックフィールド粘度計を用いて10rpmで測定された際の粘度が200〜800Pa・sであるのが好ましく、チクソトロピック指数は4以上が好ましい。粘度が200Pa・s未満、或いはチクソトロピック指数が4未満の場合は、粘度が低すぎて、球状プラスチックフィラーや有機中空フィラーが分離したり、塗布時にタレを生じて球状ビーズの径に応じた所定の塗布厚みが得られなくなったり、凹
凸がある被着面に対して所定の厚さが得られなくなる可能性がある。また、粘度が800Pa・sを超えると球状プラスチックフィラーや有機中空フィラーの分散が困難になったり、塗布性が悪くなったり、被着体の圧着時に接着剤が十分に押しつぶされず所定の厚さが得られなくなる可能性がある。
尚、チクソトロピック指数とは下式で求められる値である。
チクソトロピック指数=粘度(1rpm)/粘度(10rpm)
上記室温硬化性接着剤には硬化反応を促進するためにシラノール縮合触媒が用いられて良く、シラノール縮合触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズなどのスズカルボン酸塩類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が併用して用いられてよい。
上記硬化性接着剤には、タレ防止剤、充填材、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、脱水剤、着色剤、溶剤、接着性付与剤、難燃剤、香料等の各種添加剤が添加されて良い。さらに、硬化物の凝集力や接着性を向上させるためにエポキシ樹脂等が添加されていても良い。
本発明の室温硬化性接着剤の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、プラネタリーミキサー、ディスパー等の攪拌・混合装置が用いられ、ディスパーが好適に用いられる。この際、例えば、球状プラスチックスフィラーを割ってしまわないように攪拌速度、攪拌時のシェアー等を調節して攪拌・混合することが望ましい。
本発明に係わる室温硬化性接着剤は、雰囲気の湿気により速やかに硬化し、柔軟性を有する硬化物を与え、良好な接着性を発現する。さらに、内部に有機中空フィラーにより形成された多数の大きな気孔を有しており、接着剤部分を伝わる音の伝播を弱めることができる。また、球状プラスチックフィラ−を含有しているため、ビード状に塗布された接着剤は貼り合わせ面を一定の間隔に保つことができる。
本発明の室温硬化性接着剤は、床材と床下自在との接着に好適に用いられ、得られた床
構造体は、遮音性に優れた構造体となる。すなわち、ビード状に塗布された接着剤は貼り合わせ面を一定の間隔に保ち、かつ硬化した接着材自体が遮音性を有するので、貼り合わせ面は接着剤の厚みに相当する間隔が保たれ、音の伝播が遮断されるため遮音性に優れた構成体となる。さらに、接着剤自体も内部に多数の大きな気孔が形成されているため遮音性が向上する。したがって、本発明の室温硬化性接着剤は、遮音性が必要とされる構成体に対する接着剤として優れており、特に床用接着剤として好適である。
本発明の接着剤は、床材と床下地材との接着はもとより、床材の下に敷きこまれるウレタンフォームなどを素材とする遮音シートと床材や床下地材との接着剤、個々の床材の継目に充填され床鳴りや目隙き音を防止する接合用接着剤などに用いることにより、たとえ騒音が発生しても遮音し騒音の顕著な伝播を抑制することができる。
本発明の硬化性組成物は、上述のとおり、少なくとも1つの架橋可能な加水分解性シリル基を有する有機重合体と球状プラスチックフィラーと有機中空フィラーを含有してなるので、一定の塗布厚さが容易に得られ、接着剤中に気孔を含有せしめることが出来るので、遮音性に優れた硬化性組成物が得られ、シーリング材、接着剤として好適に使用される。また、含有されるている球状プラスチックフィラーと有機中空フィラーは硬度が低いので、接着剤を製造する際や、接着剤を塗布する際に機器を損傷する恐れが無く、更に、貼り合わせ時に間隔を一定にするために力がかけられた際にも被着体を損傷することもない。
(実施例1)
変成シリコーンポリマーとして、S−303(鐘淵化学工業社製)100重量部、有機中空フィラーとしてアドバンセルEMS007(平均粒径27.4μm、積水化学社製)15重量部、充填剤としてコロイダル炭酸カルシウム(CCR、白石工業社製)100重量部をクリアランス1.5mmの減圧昇温型プラネタリーミキサーにて60分間真空混練し、高速分散した後に110℃まで加熱しフィラー中の水分を脱水した後に、常温まで冷却し、、脱水剤としてビニルトリメトキシシラン(サイラエースS210、チッソ社製)4重量部、、接着性付与樹脂としてN−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS320、チッソ社製)、硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート1重量部、球状体フィラーとしてMPS−75(平均粒径:1.0mm、中国製油社製)15重量部を添加し接着剤を得た。得られた接着剤について下記の評価を行い、結果を表1に纏めた。
(実施例
実施例1において、有機中空フィラーとしてアドバンセルJ22(平均粒径37.6μm、積水化学社製)15重量部を用いた以外は実施例1と同様に行った。
(実施例
ポリウレタンポリマーとして、エクセノール3020(分子量:約3000、官能基数:2、旭硝子社製)100重量部、有機中空フィラーとしてアドバンセルEMS007(平均粒径27.4μm、積水化学社製)15重量部、充填剤としてコロイダル炭酸カルシウム(CCR、白石工業社製)80重量部、可塑剤(DINP、ジェイ・プラス社製)30重量部をクリアランス1.5mmの減圧昇温型プラネタリーミキサーにて60分間真空混練し、高速分散した後に120℃まで加熱しフィラー中の水分を脱水した後に、60℃まで冷却し、MDI(スミジュール44S、住友バイエルウレタン社製)17重量部を添加し60℃で6時間反応させた。その後常温まで冷却し、触媒(U−CAT651M、サンアプロ社製)0.1重量部、接着付与剤としてエポキシシラン(サイラエースS510、チッソ社製)3重量部、球状体フィラーとしてMPS−75(平均粒径:1.0mm、中国製油社製)15重量部を添加し接着剤を得た。得られた接着剤について下記の評価を行い、結果を表1に纏めた。
(比較例1)
実施例1において、球状フィラーとしてGB501M(平均粒径1.0mm、ポッターズ・パロニティー社製)15重量部を用いた以外は実施例1と同様にして行った。
(比較例2)
実施例1において、球状フィラーを用いない以外は実施例1と同様に行った。
(比較例3)
比較例2で得られた接着剤を用い、貼り合わせ前に手蒔きにて球状フィラー(GB501M、平均粒径1.0mm、ポッターズ・パロニティー社製)15重量部を散布して試験片を作成する以外は比較例2と同様に行った。
〔評価〕
(粘度)
BS型粘度計(ローターNo.7)を用い、23℃で、回転数1rpmと10rpmで測定し、下式を用いてチクソトロピック指数を算出した。
チキソトロピック指数=粘度(1rpm)/粘度(10rpm)
(混練機の損傷)
接着剤を得た後に、混練機の内表面の損傷程度を目視で観察した。
(接着剤層の厚さ)
合板(50mm×50mm)の全面に上記で得られた接着剤を塗布し、さらに他の1枚の合板(50mm×50mm)を貼り合わせ、はみ出した接着剤をかきとり、角部(4カ所)及び各辺の中点(4カ所)の合計8カ所について接着剤層の厚さを測定し、平均値、最大値、最小値を求めた。
(繰り返し疲労試験)
合板(50mm×25mm)に上記で得られた接着剤を塗布し、さらに他の1枚の合板(50mm25mm)を接着面積が25mm×25mm、接着剤厚さ1mmとなるように重ね合わせて一定の力で圧着し繰り返し疲労試験用試験片を作製した。次に、得られた試験片に図1に示すようなずり剪断変位(ずり幅は±1.5mm)を2000回繰り返し与
えた後に、接着剤の状態を目視で観察した。
本発明の繰り返し試験法の簡単な模式図

Claims (5)

  1. 加水分解性シリル基又はイソシアネート基である架橋性官能基を有する樹脂からなる室温硬化性樹脂成分100重量部に対して、体積平均粒径が20〜200μmの有機中空フィラー1〜100重量部、体積平均粒径が0.5〜5.0mmの球状プラスチックフィラー1〜100重量部を含有することを特徴とする室温硬化性接着剤。
  2. 架橋性官能基を有する樹脂の主鎖がポリエーテル構造で、末端に架橋性官能基を有することを特徴とする請求項1記載の室温硬化性接着剤。
  3. 有機中空フィラーが熱膨張済みマイクロカプセルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の室温硬化性接着剤。
  4. 球状プラスチックフィラーのモース硬度が5以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の室温硬化性接着剤。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の室温硬化性接着剤により接合されてなる床構造体。
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