JP4527897B2 - 指令信号の補正装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、指令信号と供給圧との関係を示す特性に基づいて指令信号を圧力制御弁に与えるようにした油圧制御装置に適用されるものであって、その指令信号を補正する補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建設機械のトランスミッションは、各速度段に対応する複数の油圧クラッチから構成されている。油圧クラッチに対応して圧力制御弁が設けられている。
【0003】
この場合コントローラから圧力制御弁に対して、指令信号(電気信号)が出力される。圧力制御弁では、入力された指令信号に応じて油圧クラッチに与える供給圧を変化させ、油圧クラッチを係合させる。これによりトランスミッションで変速が行われる。
【0004】
圧力制御弁には油圧クラッチの圧油室が充填完了しフィリングセット圧になったことを検出する油圧スイッチが設けられている。油圧スイッチでフィリングセット圧が検出されると、検出信号がコントローラに出力される。コントローラは、検出信号が入力すると、その時点より油圧クラッチへの供給圧が漸次増加するように圧力制御弁に与える指令信号を変化させるよう制御する。
【0005】
すなわちコントローラでは、指令信号(圧力制御弁の電磁ソレノイドに対する指令電流)と供給圧との関係を表した特性(以下、IP特性という)を記憶しており、油圧スイッチによって供給油圧が所定のフィリングに達したことが検出された場合に、IP特性にしたがい所望の供給圧が油圧クラッチに供給されるように指令信号を圧力制御弁に与えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように油圧クラッチに与える供給圧がフィリングセット圧に達した時点で供給油圧を精度よく漸増させるためには、圧力制御弁が各建設機械毎に個体差がないことを前提している。
【0007】
しかしながら実際の圧力制御弁には個体差があり、つぎのような問題が発生していた。これを図8を参照して説明する。
【0008】
上記IP特性は、同図8に実線で示す特性Lで表される。このIP特性Lは、例えば実験、シミュレーション等により得られたものであり、平均的な(理想的な)IP特性として、コントローラの図示しない記憶部に予め記憶される。
【0009】
しかしながら圧力制御弁のバルブの個体差のために、実際のIP特性は、上述した理想的なIP特性Lとはならず、破線で示す特性L1〜L2の範囲内で、ばらつく。
【0010】
たとえば圧力制御弁の個体差によって、漸増開始油圧がP2となる特性L2にしたがい圧力制御弁が動作するものとし、コントローラ側では、漸増開始油圧がP0となる特性Lにしたがい指令信号を圧力制御弁に与えるものとする。またフィリングセット圧はP0であるとする。
【0011】
油圧スイッチでフィリングセット圧P0が検出され、コントローラに検出信号が入力されると、コントローラでは、現在の指令信号は、特性Lにしたがい、フィリングセット圧P0に対応するI0であると判断して、油圧の漸増を開始する。しかし実際には圧力制御弁は特性L2にしたがい動作するので、漸増開始油圧がP2となってしまい、漸増開始油圧が、本来の漸増開始油圧P0よりもP2−P0に相当する偏差ΔP分だけ高くなる。このように漸増開始時点でP2−P0に相当する偏差ΔP分だけ油圧クラッチへの供給油圧が急上昇するため、変速ショック等が発生し、オペレータに不快感を与えたり機器に損傷を与えることになる。
【0012】
また圧力制御弁の個体差によって、圧力制御弁が特性L1にしたがい動作する場合には、漸増開始油圧がP0−P1だけ低くなる。このため油圧クラッチの係合時間が長くなり変速にタイムラグが生じることになる。
【0013】
こうした圧力制御弁の個体差を少なくする方法として、圧力制御弁のバルブのシム調整やシム交換を行うことが考えられる。しかし圧力制御弁側を調整する作業は手作業であるため、建設機械の出荷検査の工数が甚大となったり、建設機械のサービスマンに多大な負担を課すことになり、これを採用することは難しい。また圧力制御弁側の調整作業そのものに、作業をする人間の熟練度に応じたばらつきが生じ、完全に個体差をなくすことは難しい。
【0014】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、圧力制御弁の個体差を、コントローラ側で補正することによって、建設機械の出荷検査時の工数やサービスマンの負担を大幅に軽減するとともに、熟練度に影響されることなく完全に個体差をなくすことを解決課題とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段、作用および効果】
上記解決課題を達成するために、第1の発明は、
指令信号が与えられ当該指令信号に応じた圧力の圧油を油圧機器に供給する圧力制御弁と、前記油圧機器に供給される圧油の圧力が所定の圧力に達したことを検出する圧力検出手段とを備え、指令信号と供給圧との関係を示す特性を予め設定し、前記圧力検出手段によって前記油圧機器に供給される圧油の圧力が前記所定の圧力に達したことが検出された場合に、前記特性に従い所望の供給圧が前記油圧機器に供給されるように指令信号を前記圧力制御弁に与えるようにした油圧制御装置に適用され、前記特性を補正するようにした、指令信号の補正装置において、
前記圧力制御弁に対して指令信号を与えることによって、前記圧力検出手段で前記所定の圧力が検出されるときの所定の指令信号を計測し、
この計測結果に基づいて、前記所定の指令信号を前記圧力制御弁に与えたときに前記圧力検出手段で前記所定の圧力が検出される特性となるように、前記特性を補正すること
を特徴とする。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、
前記特性を示すデータを記憶するコントローラを備え、当該コントローラは前記記憶した特性を示すデータに従って指令信号を前記圧力制御弁に対して出力することを特徴とする。
【0017】
第3の発明は、第1の発明において、
基準の指令信号を前記圧力制御弁に与えたときに前記圧力検出手段で前記所定の圧力が検出される特性となるように、指令信号と供給圧との関係を示す基準の特性を予め設定し、
前記圧力制御弁に対して指令信号を与えることによって、前記圧力検出手段で前記所定の圧力が検出されるときの所定の指令信号を計測し、
この計測結果に基づいて、前記所定の指令信号を前記圧力制御弁に与えたときに前記圧力検出手段で前記所定の圧力が検出される特性となるように、前記基準の特性を補正すること
を特徴とする。
【0018】
第4の発明は、第3の発明において、
前記基準の特性は、指令信号の変化に対して供給圧が比例的、あるいは略比例的に変化する特性であり、
前記所定の指令信号が計測された場合に、当該所定の指令信号と前記基準の指令信号との差分に相当する量だけ、前記基準の特性を平行移動することによって、当該基準の特性を補正した特性を求めること
を特徴とする。
【0019】
第5の発明は、第1の発明において、
前記油圧機器は、油圧クラッチであり、
前記圧力検出手段は、前記油圧クラッチの圧油室に圧油が充填完了されたときのフィリングセット圧を検出するものであり、
前記圧力検出手段で前記フィリングセット圧が検出された場合に、前記特性に従い供給圧が漸次増加するように前記圧力制御弁に与える指令信号を変化させる制御を行うようにしたこと
を特徴とする。
【0020】
第1乃至第5の発明を図1、図5、図6を参照して説明する。
【0021】
図1、図6に示すように、コントローラ120のIP特性データ記憶部122には、基準となるIP特性Lが記憶されている。基準のIP特性は、指令電流I0のときに、油圧スイッチ112のセット圧Pf(フィリングセット圧Pf)になる。
【0022】
コントローラ120の指令電流供給部123は、図5(a)に示す指令電流Iを比例ソレノイド減圧弁111に与える。図5(b)に示すように、時刻t2から時刻t3までの期間中の時刻tfで、油圧クラッチ140への供給圧Pが油圧スイッチ112のセット圧Pfに達すると、油圧スイッチ112がオンとなり、このオン信号がコントローラ120に入力される(図5(c)参照)。
【0023】
コントローラ120は、このセット圧Pfになった時点における指令電流の電流値Ifを計測して、基準のIP特性Lに対する補正量を、△I=If−I0として求める。そして、図6に示すように、この補正量△Iに基づいて基準IP特性Lを特性L′に補正する。
【0024】
そこで油圧スイッチ112からオン信号が入力された時点で、コントローラ120が、補正した特性L′にしたがって指令電流IをIfより漸増していけば、油圧クラッチ140への供給圧Pは、図8で説明したように漸増開始時点で油圧偏差ΔPを生じることなく、漸増していく。このため圧力制御弁の個体差があったとしても、油圧クラッチへ与える油圧のばらつきを抑えることができ、変速フィーリングが安定する。
【0025】
またコントローラ120側で補正処理が簡易かつ自動的に行われる。
【0026】
このように本発明によれば、圧力制御弁の個体差を、コントローラ側で補正するようにしたので、建設機械の出荷検査時の工数やサービスマンの負担を大幅に軽減できるとともに、熟練度に影響されることなく完全に個体差をなくすことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0028】
図7は、ブルドーザ、ホイールローダなどの建設機械等の作業車両に搭載された制御装置1を示している。
【0029】
同図1に示すようにエンジン10と駆動輪60との間にはトルクコンバータ20、副変速機30、主変速機としてのスピードギヤトレイン40、シャフト51、ディファレンシャル50が順に設けられている。
【0030】
トルクコンバータ20と並列にロックアップクラッチ21が設けられている。
副変速機30内には、車両を前進方向に走行させる前進用クラッチFL、車両を後進方向に走行させる後進用クラッチRがそれぞれ設けられている。前進用クラッチFL、後進用クラッチRは、インチングクラッチであり、インチングペダル83Aの操作に応じて係合され、また解放(係合解除)がされる。
【0031】
前進用クラッチFL、後進用クラッチRにはそれぞれ、圧力制御弁(電磁比例圧力制御弁)31、32としての例えば電子制御モデュレーションバルブ(ECMV)が接続されている。
【0032】
スピードギヤトレイン40内には複数の変速用クラッチつまり車速を第1の車速(1速)にする変速用クラッチ1st、第2の車速(2速)にする変速用クラッチ2nd、第3の車速(3速)にする変速用クラッチ3rd、第4の車速(4速)にする変速用クラッチ4thがそれぞれ設けられている。
【0033】
スピードギアトレイン40には圧力制御弁部41が接続されており、圧力制御弁部41は、スピードギアトレイン40内の各変速用クラッチ1st、2nd、3rd、4thにそれぞれ対応して接続される圧力制御弁(例えばECMV)を有している。
【0034】
上記各圧力制御弁31、32及び圧力制御弁部41の各圧力制御弁は、上記各クラッチFL、R、1st、2nd、3rd、4thの圧油室への供給圧Pを制御するものであり、コントローラ120から出力される指令電流(指令信号)Iによって各々独立して制御される。
【0035】
各圧力制御弁には、後述するようにクラッチの圧油室に圧油が充填完了(フィリングが終了)したときの圧力(フィリングセット圧)Pfを検出するフィリングセンサとしての油圧スイッチ112(図1、図9)が設けられている。油圧スイッチ112でフィリングセット圧Pfが検出されると、油圧スイッチ112はオンとなり、オン信号がコントローラ120に入力される。
【0036】
ロックアップスイッチ85は、エンジン10から副変速機30への動力をトルクコンバータ20又はロックアップクラッチ21の何れを介して伝達するかを選択するスイッチである。ロックアップスイッチ85によって「T/Cモード」が選択されると、コントローラ120から圧力制御弁33に指令電流Iが出力され、これにより圧力制御弁33から制御圧油がロックアップクラッチ21に出力され、ロックアップクラッチ21の両回転板が解放される。このためエンジン10の動力はトルクコンバータ20を介して副変速機30へ伝達される。またロックアップスイッチ85によって「L/Cモード」が選択されると、コントローラ120から圧力制御弁33に指令電流Iが出力され、これにより圧力制御弁33から制御圧油がロックアップクラッチ21に出力され、ロックアップクラッチ21の両回転板が係合される。このためエンジン10の動力はロックアップクラッチ21を介して副変速機30へ伝達される。
【0037】
スピードギヤトレイン40の出力側にはシャフト51の回転数Nを検出する回転センサ81が設けられている。シャフト51の回転数Nを検出することにより実際の車速Vが検出される。
【0038】
回転センサ81の検出信号は、走行制御を実行する際のフィードバック信号としてコントローラ120に入力される。
【0039】
副変速機30の前進用クラッチFL、後進用クラッチRの係合操作および解放(係合解除)操作は、インチングペダル83Aによって行われる。インチングペダル83Aの基準位置からの操作量は、ポテンショメータ83で検出され検出信号がコントローラ120に入力される。シフト操作部84Aによって「前進走行」が選択され車両が前進走行しているときには、前進用クラッチFLがインチングクラッチとして機能する。またシフト操作部84Aによって「後進走行」が選択され車両が後進走行しているときには、後進用クラッチRがインチングクラッチとして機能する。
【0040】
たとえば前進用クラッチFLがインチングクラッチとして機能している場合を想定する。インチングペダル83Aが戻されており(基準位置にあり)操作量が零のときには、前進用クラッチFLは係合している。インチングペダル20が踏み込まれており操作量が最大のときには、前進用クラッチFLは解放している。
【0041】
アクセルペダル82Aはエンジン10に供給される燃料の噴射量(トルク)を増減する操作ペダルである。アクセルペダル82Aの踏み込み量は、ポテンショメータ82によって検出される。ポテンショメータ82の検出信号はコントローラ120に入力される。
【0042】
シフト操作部84Aは車両の前進、後進、速度段などの変速位置を選択する操作レバーである。シフト操作部84Aの操作位置に応じて、車両の前進走行と後進走行とが切り換えられるとともに、車速が切り換えられる。シフト操作部84Aの操作位置は、シフトポジションセンサ84によって検出される。シフトポジションセンサ84の検出信号はコントローラ120に入力される。
【0043】
コントローラ120は、ポテンショメータ82で検出されたアクセルペダル82Aの操作量、シフトポジションセンサ84で検出された変速位置、ポテンショメータ83で検出されたインチングペダル83Aの操作量、ロックアップスイッチ85の選択位置に基づいて、車両の変速、走行を制御する。
【0044】
コントローラ120は、圧力制御弁31、32、圧力制御弁部41の各圧力制御弁に対して指令電流Iを出力する。各圧力制御弁は入力された指令電流Iに応じた指令油圧Pを生成し、対応するクラッチに出力する。
【0045】
図1は本実施形態に係る指令信号の補正装置100の構成図を示している。図1は図7のコントローラ120と、各圧力制御弁と、各油圧クラッチをより詳細に示している。
【0046】
ただし図1では各圧力制御弁を110で、各油圧クラッチを140でそれぞれ代表して示している。
【0047】
圧力制御弁110は、指令電流Iが与えられ当該指令電流Iに応じた供給圧Pの圧油を油圧クラッチ140の圧油室に供給する比例ソレノイド減圧弁111と、油圧クラッチ140の圧油室に供給される圧油の圧力Pが所定のフィリングセット圧力Pfに達したことを検出し、検出したことを示すオン信号を出力する油圧スイッチ112とを備えている。フィリングセット圧Pfは、油圧スイッチ112に付与されているバネにより設定されたセット圧である。
【0048】
コントローラ120は、プログラム記憶部121と、IP特性データ記憶部122と、指令電流供給部123とを有して構成されている。
【0049】
IP特性データ記憶部122は、図3に特性Lとして示すように、基準となるIP特性(以下、基準IP特性という)を示すデータと、図6に特性L′として示すように、後述する補正処理がなされることによって基準IP特性Lを補正処理した後のIP特性(以下、補正IP特性という)L′を示すデータを記憶している。
【0050】
基準IP特性Lは、指令電流IがI0のときに、油圧クラッチ140への供給圧Pが油圧スイッチ112のセット圧Pf(フィリングセット圧Pf)になる特性であって、指令電流Iの変化に対して供給圧Pが比例的あるいは略比例的に変化する特性となっている。
【0051】
プログラム記憶部121は、図2に示すように比例ソレノイド減圧弁111に供給する所定パターンの指令電流Iを示す電流指令データと、後述する図4の補正処理のプログラム(以下、補正処理プログラムという)を記憶している。
【0052】
すなわち所定パターンの指令電流Iは図2に示すように、時刻t1〜時刻t2までのフィリング期間(フィリング開始からフィリング終了)を過ぎた時点(t2)より指令電流Iを漸増させる特性として設定されている。
【0053】
時刻t1から最大レベルのフルトリガ指令電流Igが所定期間供給される。その後、このフルトリガ指令電流Igより電流値IがIs(<Ig)まで低下し、時刻t2まで供給される。これにより油圧クラッチ140のフィリングが終了する。フルトリガ指令電流Igを所定期間供給するのは油圧クラッチ140への圧油のフィリング終了(充填完了)を早めるためである。
【0054】
このフィリング終了時刻t2で、電流値Iが電流値ISから、油圧スイッチ112のセット圧Pf以下の圧力であって、かつ油圧クラッチ140のピストン戻しバネ力に相当する圧力よりも高い圧力PAに相当するIAまで低下する。このとき油圧クラッチ140は圧油でフィリングされているが、油圧スイッチ112はオフとなっている。
【0055】
さらに、時刻t2から時刻t3までの期間においては、電流値IがIAからIB(>IA)まで徐々に漸増する。
【0056】
電流値IA、IBは、図8で説明したIP特性のばらつきを考慮して、時刻t2から時刻t3までの期間中に油圧スイッチ112が必ずオンとなる(圧力Pfとなる)値として設定されている。
【0057】
実際の変速時に圧力制御弁110に供給される指令電流Iのパターンについても、図2のパターンと同じか多少の変形を加えたパターンとなっている。
【0058】
指令電流供給部123は、作動ボタン130が操作されることにより図4に示す補正処理プログラムを実行し、比例ソレノイド減圧弁111に対して図2に示す所定パターンの指令電流Iを供給する処理を実行する。
【0059】
作動ボタン130は、建設機械の出荷検査時や点検時などに、工場の作業担当者やサービスマンによって操作されるものであり、建設機械のユーザやオペレータなどによっては容易に操作できない場所に、いわゆる「隠しスイッチ」として設けられている。
【0060】
図9は図1に示す圧力制御弁110の具体的な構成例を油圧回路で示している。
【0061】
すなわち同図9に示すように圧力制御弁110は、2つの制御弁92、93と、油圧スイッチ112を中心に構成されている。制御弁92、93で図1の比例ソレノイド減圧弁111を構成している。
【0062】
油圧ポンプ90の吐出圧油は制御弁93に供給されるとともに、絞り95を介して制御弁92に供給される。
【0063】
制御弁92は電磁ソレノイドを備えた2位置の切換弁であり、タンク91へ圧油を排出する排出位置92aと、圧油を遮断する遮断位置92bを有している。
【0064】
制御弁93は、パイロットポートを備えた2位置の切換弁であり、油圧クラッチ140の圧油室内の圧油をタンク91へ排出する排出位置93aと、圧油を油圧クラッチ140の圧油室に油路96を介して供給する供給位置93bを有している。
【0065】
絞り95の出口は、パイロット油路94aを介して制御弁92の電磁ソレノイドに対向する側に連通している。また絞り95の出口は、パイロット油路94bを介して制御弁93のパイロットポートに連通している。
【0066】
油圧スイッチ112は、制御弁93と油圧クラッチ140とを接続する油路96上に設けられており、油圧クラッチ140への供給圧Pがセット圧Pfに達した場合にオン信号をコントローラ120に出力する。
【0067】
図9の油圧回路はつぎのように動作する。
【0068】
すなわちコントローラ120から制御弁92の電磁ソレノイドに対して指令電流Iが加えられると、制御弁92は、指令電流Iの大きさに応じて排出位置92aから遮断位置92bに移動する。
【0069】
制御弁92が遮断位置92bに位置すると、絞り95の出口の圧力が大きくなり、制御弁93のパイロットポートに加えられるパイロット圧が大きくなる。
【0070】
制御弁93のパイロットポートに加えられるパイロット圧の大きさに応じて、制御弁93は排出位置93aから供給位置93bに移動する。
【0071】
制御弁93が供給位置93bに位置すると、油圧ポンプ90から油圧クラッチ140の圧油室に供給される圧油の流量、圧力Pが増加する。
【0072】
このようにしてコントローラ120から出力される指令電流Iの大きさに応じて油圧クラッチ140の圧油室への供給圧Pの大きさを変化させることができる。
【0073】
油圧クラッチ140への供給圧Pが油圧クラッチ140のフィリングセット圧Pfに達すると、油圧スイッチ112がセット圧Pfに達してオン動作し、オン信号がコントローラ120に出力される。
【0074】
次に、コントローラ120で行われる基準IP特性Lの補正処理について、図4、図5、図6を併せ参照して説明する。
【0075】
図5(a)は図2で説明した所定パターンの指令電流Iであり、時間tの変化に応じて指令電流Iが変化する様子を示している。
【0076】
図5(b)は図5(a)の指令電流Iに応じて油圧クラッチ140への供給圧Pが変化する様子を示している。
【0077】
図5(c)は図5(a)の指令電流Iに応じて油圧スイッチ112の作動状態つまりオン、オフ状態が変化する様子を示している。
【0078】
図5の横軸における時刻t1、t2、t3は図2の横軸の時刻t1、t2、t3に相当する。
【0079】
図4に示すように、作動ボタン130が押動されると、これに伴いコントローラ120の指令電流供給部123では、補正処理開始を示す信号が取得され(ステップS101)、プログラム記憶部121から補正処理プログラムを読み出し(ステップS102)、IP特性データ記憶部122から基準IP特性Lのデータを読み出す(ステップS103)。
【0080】
次に、指令電流供給部123は、読み出した補正処理プログラムを実行することで、以下の処理を実行する。
【0081】
すなわち指令電流供給部123は、図3に示すように基準IP特性Lにおける油圧Pf(セット圧、フィリングセット圧)に対応する指令電流値I0を初期設定値として定義し(ステップS104)、図2に示す所定パターンの指令電流Iを時刻t1より比例ソレノイド減圧弁111へ供給し始める。
【0082】
このため図5(a)に示すように比例ソレノイド減圧弁111には、時刻t1より所定期間だけ最大レベルの指令電流Igが供給され、さらに最大レベルから低下した指令電流Isが供給されることで、時刻t2でフィリングが完了する。
【0083】
油圧クラッチ140への供給圧Pは、指令電流Ig、Isに応じて時刻t1〜時刻t2間で変化する。このため時刻t2で油圧クラッチ140への供給圧Pはフィリングセット圧Pfに達し、図5(c)に示すように時刻t2で油圧スイッチ112の出力信号はオンレベルとなる。
【0084】
そこで時刻t2のフィリング終了時点で、オン状態になっている油圧スイッチ112を一旦オフ状態にするために、図5(a)に示すように指令電流供給部123は、指令電流Iを電流値ISから電流値IAまで低下させる。
【0085】
以後指令電流供給部123は、図5(a)に示すように時刻t2から時刻t3まで指令電流Iが電流値IAから電流値IBに至るまで徐々に漸増するように、比例ソレノイド減圧弁111に供給する。
【0086】
時刻t2から時刻t3まで指令電流Iが漸増するに伴い、図5(b)に示すように油圧クラッチ140への供給圧Pが同様に時刻t2〜時刻t3間でPAからPBに至るまで漸増する。
【0087】
このため時刻t2から時刻t3までの期間中の時刻tfにおいて、油圧クラッチ140への供給圧Pが油圧スイッチ112のセット圧Pfに達し、油圧スイッチ112がオンとなり、油圧スイッチ112からコントローラ120の指令電流供給部123へオン信号が出力される。そこで指令電流供給部123では、このオン信号が入力された時刻tfに、比例ソレノイド減圧弁11に供給している指令電流値Ifを計測する(ステップS105)。
つぎにステップS105で計測した指令電流値Ifと、ステップS104で定義した初期設定値I0との差分If−I0が演算され、補正量△I=If−I0が求められる(ステップS106)。
【0088】
つぎにこの補正量△Iに基づいて基準IP特性Lを補正する。具体的には図6に示すように基準IP特性Lを補正量△Iだけ平行移動して補正IP特性L′を求める。IP特性記憶部122に補正IP特性L′のデータを記憶する(ステップS107)。
【0089】
以上のようにして基準IP特性LがIP特性L′に補正される。
【0090】
このようにして建設機械の出荷検査あるいは点検が終了すると、以後補正後のIP特性L′にしたがい圧力制御弁110に指令信号Iが供給されて、油圧クラッチ140への供給圧Pが変化する。
【0091】
すなわちコントローラ120より指令信号Ig、Isが供給されることにより油圧クラッチ140でフィリングが完了する。フィリング完了時点で供給圧Pはフィリングセット圧Pfになっている。フィリング完了時点でコントローラ120には油圧スイッチ112よりオン信号が入力される。コントローラ120にオン信号が入力されると、以後コントローラ120は補正IP特性L′にしたがい、油圧が漸増するように、指令電流Iを生成し、圧力制御弁110に供給する。このため油圧クラッチ140への供給圧Pは、図8で説明したように漸増開始時に偏差ΔPを生じることなく漸増していく。このため変速機で変速ショック等は生じなくなり、オペレータに不快感を与えたり、機器の損傷を招くことがない。また油圧クラッチの係合時間が長くなることはなくなり、変速のタイムラグは生じなくなる。この結果圧力制御弁110に個体差があったとしても、油圧クラッチへ与える油圧のばらつきを抑えることができ、変速フィーリングが安定する。
【0092】
また作動ボタン130の操作だけで容易に、かつ自動的に圧力制御弁110の個体差を、補正することができる。
【0093】
以上のように本実施形態によれば、圧力制御弁110の個体差を、コントローラ120側で補正するようにしているので、建設機械の出荷検査時の工数やサービスマンの負担を大幅に軽減できるとともに、熟練度に影響されることなく完全に個体差をなくすことができる。
【0094】
なお本実施形態では、図6に示すように指令電流Iと供給油圧Pとの関係が比例あるいは略比例関係にある場合を想定しているが、必ずしも線形の関係にあるものに限定されるものでなく、指令電流Iと供給油圧Pとの関係が非線形の場合にも同様にして、指令電流Ifのときに供給油圧がPfの値をとるように特性を補正することができる。
【0095】
なお本実施形態では、適用対象が油圧クラッチであるとして説明したが、本発明としては、油圧クラッチに限定されるものではなく、指令信号に応じて供給圧が変化する油圧機器であればよく、油圧ポンプ、油圧モータ、油圧シリンダ等、任意の油圧機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本実施形態に係る補正装置の構成を示す構成図である。
【図2】図2は補正処理時に圧力制御弁に与える所定パターンの指令電流を示す図である。
【図3】図3は、指令電流と油圧クラッチへの供給圧との関係を表す特性を示す図である。
【図4】図4は実施形態の補正処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図5(a)、(b)、(c)はそれぞれ、補正処理時に圧力制御弁に与える所定パターンの指令電流を示す図、所定パターンの指令電流に応じて変化する油圧クラッチへの供給圧を示す図、所定パターンの指令電流に応じて変化する油圧スイッチのオンオフ状態を示す図である。
【図6】図6は基準IP特性から補正IP特性を求める様子を説明する図である。
【図7】図7は実施形態に適用される制御装置の全体構成を示す図である。
【図8】図8は従来技術を説明する図である。
【図9】図9は圧力制御弁の構成例を油圧回路で示す図である。
【符号の説明】
110 クラッチ油圧制御弁、
111 比例ソレノイド減圧弁、
112 油圧スイッチ、
120 コントローラ、
121 プログラム記憶部、
122 IP特性データ記憶部、
123 指令電流供給部、
130 作動ボタン、
140 油圧クラッチ

Claims (2)

  1. 所定パターンの指令信号を出力するコントローラと、前記コントローラから出力された指令信号に応じた油圧を油圧クラッチに供給する圧力制御弁と、前記油圧クラッチに供給される油圧がフィリングセット圧になったことを検出する圧力検出手段とを備えた油圧制御装置に適用される指令信号の補正装置であって、
    前記所定パターンは、前記油圧クラッチに供給される油圧がフィリングセット圧になると、その時点より前記油圧クラッチに供給される油圧を漸増させるというパターンであって、
    前記コントローラは、指令信号と前記油圧クラッチへの供給油圧との対応関係であって、フィリングセット圧時の指令電流とフィリングセット圧とが対応づけられた対応関係を示す基準特性を記憶しており、
    前記基準特性に従い前記所定パターンの指令信号を出力することによって、前記圧力検出手段で前記フィリングセット圧が検出されるときの指令信号を計測し、
    この計測した指令信号が、前記フィリングセット圧時の指令電流となるように前記基準特性を補正し、
    以後は、この補正した特性に従い前記所定パターンの指令信号を出力すること
    を特徴とする指令信号の補正装置。
  2. 前記基準特性は、指令信号の変化に対して前記油圧クラッチへの供給油圧が比例的あるいは略比例的に変化する特性であり、
    前記フィリングセット圧が検出されるときの指令信号が計測された場合に、当該計測した指令信号と、前記基準特性で示されるフィリングセット圧時の指令電流との差分に相当する分だけ、前記基準特性を平行移動することによって、前記基準特性を補正した特性を求めること
    を特徴とする請求項1記載の指令信号の補正装置。
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