JP4526685B2 - 車両内装部材の物品ホルダ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両内装部材の物品ホルダに関し、更に詳細には、所要形状に成形した基材と、同じく所要形状に成形されて前記基材に対応的に位置させた成形表皮材と、これら基材および成形表皮材の間に介在させたクッション材とからなる車両内装部材において、前記基材の所要位置に設けられて携帯電話や硬貨等の各種物品を収容保持する物品ホルダに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗用車等の乗員室内には、インストルメントパネルやフロアコンソールおよびドアパネル等の各種車両内装部材が設置されている。これらの車両内装部材では、所要形状にインジェクション成形された合成樹脂製の基材を主体とすると共に、該基材における外表面の全体領域または部分領域に表皮材を被着して、質感や触感の向上を図るようになっている場合が多い。更には、交通事故時に前方または側方へ投げ出された乗員が衝突した場合の衝撃緩和等を考慮して、前記基材と表皮材との間にウレタンフォーム等のクッション材を発泡介在させ、外表面に適宜の弾力性を有するようにした車両内装部材も多く実施されている。
【0003】
また、前述した各種車両内装部材における前記基材の所要位置には、乗員が携帯している身辺の小間物(例えば携帯電話や財布、500円,100円,50円,10円等の各種硬貨類、等)を一時的に収容保持し得る各種の物品ホルダが設けられている。この物品ホルダは、一般的には前記基材において、前記表皮材の被着領域から外れた部位(例えば基材の前面下部)に設けられる場合が多く、この基材の成形時に一体的に成形される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで前記基材は、ポリプロピレン(PP)やABS等の合成樹脂を材質とし、主にインジェクション成形技術を利用して成形された成形部材である。このため、前述した従来の物品ホルダの内側壁面は、前記基材の樹脂成形面がそのまま露出した状態となっており、質感に乏しい欠点を内在しているうえに、収容した前記物品が車体振動で内側壁面に衝突した際に異音が発生し易い問題も指摘されていた。このため中・高級車においては、物品ホルダの内側壁面に植毛処理を施したり、柔軟性を有するシート材(ゴムシート等)を貼着する等の対策を施していたが、これらの作業は別工程でなされるから製造コストのアップは否めなかった。なお前記物品ホルダでは、前側の物品出入口に開閉扉を有さないものも多く、車両が振動した際や急加速時に、収容されている物品が外方へ飛出してしまう不都合もあった。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、前述した課題を好適に解決するべく提案されたもので、基材における成形表皮材の被着領域に物品収容部を設けると共に、該成形表皮材の所要位置に前記物品収容部を被覆する収容被覆部を一体に形成し、かつ物品収容部と収容被覆部との間にクッション材の一部からなるクッション部を介在させた構成とすることで、物品収容部の内側を収容被覆部で被覆して質感向上を図る一方、物品収容部に収容した各種物品を収容被覆部およびクッション部で弾力的に受容して異音発生防止等を図るようにした車両内装部材の物品ホルダを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決して、所期の目的を達成するため本発明は、所要形状に成形した基材と、前記基材より柔軟な材料から所要形状に成形されて基材に配設した成形表皮材と、前記基材および成形表皮材の間に介在させたクッション材とからなる車両内装部材の乗員室に臨む位置に設けた物品ホルダにおいて、
前記基材に陥凹状に形成されて室内側に開口し、各種物品の収容を許容する物品収容部と、
前記成形表皮材に陥凹状に形成されて室内側に開口する物品出入口を有し、前記物品収容部に室内側から整合して前記物品を受容する収容被覆部と、
前記クッション材の一部からなり、前記物品収容部と前記収容被覆部との間に介在するクッション部と
前記収容被覆部における前記物品出入口に隣接して互いに対向する部位に凹設され、前記クッション部に保持された支持凹部と、
前記物品出入口の開口形状に合う外形形状に形成され、対向する端面から互い離間する側へ突出した支持凸部を有する開閉扉と、
自己潤滑性を有する材料から形成され、前記支持凸部に回転可能に配設されると共に前記支持凹部に嵌合したスリーブ部材とを備え、
前記支持凹部およびクッション部で支持した前記スリーブ部材により、前記開閉扉を前記物品出入口に開閉可能に組付けたことを特徴とする。
同じく、前記課題を解決して、所期の目的を達成するため別の本発明は、所要形状に成形した基材と、前記基材より柔軟な材料から所要形状に成形されて該基材に配設した成形表皮材と、前記基材および成形表皮材の間に介在させたクッション材とからなる車両内装部材の乗員室に臨む位置に設けた物品ホルダにおいて、
前記基材に陥凹状に形成されて室内側に開口し、各種物品の収容を許容する物品収容部と、
前記成形表皮材に陥凹状に形成されて室内側に開口する物品出入口を有し、前記物品収容部に室内側から整合して前記物品を受容する収容被覆部と、
前記クッション材の一部からなり、前記物品収容部と前記収容被覆部との間に介在するクッション部と、
前記収容被覆部における前記物品出入口に隣接して互いに対向する部位に凹設され、前記クッション部に保持された係止凹部と、
前記物品出入口の開口形状に合う外形形状に形成され、該物品出入口を開閉可能に配設された開閉扉と、
前記開閉扉の対向する端面から互いに離間する側へ突出し、該開閉扉が前記物品出入口を閉成した状態で前記各係止凹部に嵌合する係止凸部とを備え、
前記クッション部および収容被覆部の弾性変形により、前記係止凹部に対する前記係止凸部の係脱が許容されることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る車両内装部材の物品ホルダにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお本願の物品ホルダは、基材と成形表皮材およびクッション材から構成される車両内装部材、例えばインストルメントパネル、フロアコンソール、ドアパネル等における乗員室内に臨む所要位置に設けることが可能である。そこで本実施例では、車両内装部材としてインストルメントパネルを例示する。
【0008】
【第1実施例】
そこで先ず、本実施例の物品ホルダが実施されるインストルメントパネルにつき、図4をもとに概略的に説明する。このインストルメントパネル10は、車両の乗員室内の前方に配設される大型の車両内装部材であって、運転席側の前方に位置する図示右側には計器ユニット11が配設され、助手席側の前方に位置する図示左側にはグローブボックス12が開閉可能に配設される一方、左右中央のセンターコンソール部には空調操作パネル13やオーディオユニット14等が配設されている。また、前記空調操作パネル13で操作される図示しないエアコンユニットから送出される調温空気を乗員室内へ吹出し案内するためのエアーアウトレット15が、パネル10の前面におけるセンターコンソール上部および左・右端近傍に、合計で4個配設されている。このようなインストルメントパネル10は、所要形状に成形した基材20と、同じく所要形状に成形されて前記基材20に対応的に位置させた成形表皮材21と、これら基材20および成形表皮材21の間に介在させたクッション材22とから構成されている。
【0009】
前記基材20は、例えばポリプロピレン(PP)やABS等の合成樹脂を材質としてインジェクション成形技術を利用して成形したもので、前記計器ユニット11、グローブボックス12、空調操作パネル13、オーディオユニット14等を固定するための設置部が夫々設けてあると共に、これら機器や部材を搭載するに充分な強度を有している。そして、基材20の右端において、前記エアーアウトレット15の下方には、後述する物品ホルダ25を構成する物品収納部26が、該基材20と一体的に形成されている。
【0010】
実施例のインストルメントパネル10における成形表皮材21は、前述したように、前記基材20の略上半分を被着領域として被着される形状・サイズとされている。この成形表皮材21は、例えば塩化ビニルやポリプロピレン等を材質とし、パウダースラッシュ成形技術を利用して樹脂粉末から所要形状に予備成形したものや、真空成形技術を利用して樹脂シート材から所要形状に予備成形したもの等が採用される。何れの成形表皮材21にあっても、適宜の柔軟性を有すると共に外表面に所謂「シボ加工」が施されており、インストルメントパネル10の質感向上に寄与する。
【0011】
前記クッション材22は、例えばウレタン材料を発泡成形してなるウレタンフォームであって、図示しない発泡成形型を利用したもとで、前記基材20および成形表皮材21間に画成された発泡空間23内で前記ウレタン材料を発泡成形して、これら基材20および成形表皮材21間に介在させたものである。このクッション材22は適宜の弾力性を有していて、前記成形表皮材21を指先で押圧すると適度に圧縮変形するようになっており、インストルメントパネル10の外表面の触感向上を図ると共に、衝突事故に際して前方へ投げ出された乗員が衝突した際には衝撃吸収体として機能する。
【0012】
次に、前述のように構成されたインストルメントパネル10に設けられる第1実施例の物品ホルダにつき説明する。この第1実施例の物品ホルダ25は、図1および図2等に示すように、前記基材20における前記成形表皮材21の被着領域に陥凹状に形成されて室内側に開口し、各種物品Aの前側からの収容を許容する物品収容部26と、前記成形表皮材21の一部からなり、前記物品収容部26の内側に整合する収容被覆部27と、前記クッション材22の一部からなり、前記物品収容部26と前記収容被覆部27との間に介在するクッション部28とを備えている。この第1実施例の物品ホルダ25は、収容空間を比較的大きく確保して汎用性を持たせ、様々な物品、例えば携帯電話や財布等の各種物品Aの収容保持を図り得る汎用ホルダとされている。
【0013】
前記物品収容部26は、エアーアウトレット15用の設置口16の下方に設けられ、基材20に開設した挿通口29と、この挿通口29から基材20の後方側へ延出形成した有底角筒状の収容箱部30とからなり、当該基材20のインジェクション成形時に、該基材20に一体成形されるものである。前記挿通口29は、成形表皮材21に形成した前記収容被覆部27の前側からの挿通を許容し得る形状・サイズとされ、実施例では略横長矩形状とされている。また前記収容箱部30は、挿通口29から奥方向に向けて若干の後下がりの傾斜状に設定される一方、奥側に向けて徐々に先細となるテーパ筒状を呈している。
【0014】
前記収容被覆部27は、前面に物品Aの前側からの収容・取出しを許容する物品出入口31と、この物品出入口31から成形表皮材21の後方側へ延出形成された有底角筒状の収容壁部32とからなり、成形表皮材21の予備成形時に該表皮材21に一体成形されるものである。ここで収容被覆部27の収容壁部32は、前記物品収容部26の収容箱部30より若干小さい略相似形に形成され、物品出入口31から奥方向に向けて若干の後下がりの傾斜状に設定される一方、奥側に向けて徐々に先細となるテーパ筒状を呈している。従って収容被覆部27は、前記成形表皮材21を前記基材20に対応的に位置させた際に、前記挿通口29を介して前記物品収容部26の内側に整合して収納され、このとき収容箱部30と収容壁部32との間に、前記発泡空間23と空間的に連通する空間33を画成するように設定されている。
【0015】
前記クッション部28は、前記クッション材22を成形するウレタン材料の一部から形成される。すなわち、前記基材20と成形表皮材21とで画成される前記発泡空間23が、前記収容箱部30と収容壁部32とで画成される前記空間33に連通していることにより、該発泡空間23内に注入されて該空間23内で発泡反応するウレタン材料の一部が前記空間33内へ侵入するようになり、クッション材22の成形工程時にクッション部28が成形されるようになる。従って物品ホルダ25の内側壁面は、成形表皮材21の一部からなる収容壁部32およびクッション材22の一部からなるクッション部28で形成されているから、インストルメントパネル10の外表面と同等の質感および弾力性を有している。
【0016】
そして、第1実施例の物品ホルダ25における前記物品出入口31には、該物品出入口31を開放可能に閉成する開閉扉35が配設されている。この開閉扉35は、図2および図3に示すように、前記物品出入口31の開口形状に合致する略横長矩形状を呈する扉本体36を主体とし、この扉本体36裏側の左側端下部および右側端下部に膨出形成した支片37,37に、左・右側外方に延出する支軸(支持凸部)38,38が一体的に設けられている。また、前記扉本体36の左側端上部および右側端上部には、左・右側外方に突出する係止凸部39,39が一体的に設けられている。更に、前記扉本体36の上端中央部には、当該開閉扉35を開放する際に指先を掛け得る指掛部40が、表側へ膨出した状態に形成されている。なお扉本体36は、前記物品出入口31に閉成された際には、インストルメントパネル10の意匠面の一部をなすようになり、その外表面には前記成形表皮材21と同一の表皮材を被着することが望ましい。
【0017】
一方、前記収容壁部32およびクッション部28の側においては、前記物品出入口31に隣接した左・右両側の下部に、前記開閉扉35に設けた各支軸38,38に装着されるスリーブ部材41,41が嵌合可能な支持凹部42,42が設けられている。また、前記物品出入口31に隣接した左・右両側の上部には、前記開閉扉35に設けた各係止凸部39,39が係脱可能に係合する係止凹部43,43が凹設されている。前記支持凹部42,42および係止凹部43,43は、前記成形表皮材21の予備成形時に該表皮材21に成形され、内側のクッション部28がこれら支持凹部42,42および係止凹部43,43の形状に沿って硬化することで、凹形形状に保持されている。なお前記スリーブ部材41は、例えばポリアセタール等の自己潤滑性を有する材料から形成されている。
【0018】
このように構成したもとで前記開閉扉35は、前記各支軸38,38にスリーブ部材41,41を装着し、各スリーブ部材41,41を前記夫々の支持凹部42,42へ嵌合させることで、物品ホルダ25における物品出入口31に開閉自在に組付けられる。なお、支持凹部42,42に対するスリーブ部材41,41の嵌合作業は、前記クッション材22が適度の弾力性を有し、前記成形表皮材21が適度の柔軟性を有していることにより、物品出入口31近傍を適宜変形させながら簡単かつ容易に行ない得る。
【0019】
物品出入口31に組付けられた開閉扉35は、前記支持凹部42,42に嵌着したスリーブ部材41,41に対して支軸38,38が摺接しながら開閉変位するようになっており、該スリーブ部材41,41が有する自己潤滑性により長期間に亘ってスムーズな開閉変位が保証されている。そして図1に示すように、略起立状態に変位した際には、前記物品出入口31に整合して物品ホルダ25の収容部を閉成し、また略水平状態に変位した際には、物品ホルダ25の収容部を開放する。なお、開閉扉35が物品出入口31に整合する際には、前記係止凸部39,39が夫々対応の係止凹部43,43へ係合するので、該開閉扉35は閉成状態に保持されて不用意に開放しない。ここで係止凹部43に対する係止凸部39の係脱は、成形表皮材21およびクッション材22の柔軟性、弾力性を利用して、適度の力を開閉扉35に加えるだけで軽く行ない得る。
【0020】
このように構成された第1実施例の物品ホルダ25では、前記開閉扉35を開放状態に保持したもとで、物品出入口31を介して物品Aの収容および取出しを行なう。このとき、前記物品収容部26における収容箱部30の内側壁面が、収容被覆部27の収容壁部32で完全に被覆されて質感向上が図られているから、前記開閉扉35を開放した際に内側が露出しても質感低下を招来する不都合はない。また物品収容部26へ収容された物品Aは、適度の柔軟性を有する前記収容被覆部27および適度の弾力性を有する前記クッション部28で弾力的に受容されるようになるから、例えば車両の振動等により該物品Aがずれ動いて収容被覆部27に衝突したとしても異音等の発生が好適に防止され、また該物品Aに対する衝撃も緩和されるから故障発生等も回避される。しかも、物品収容部26に収容された物品Aは、開閉扉35を閉成することにより、車両が振動しても外方へ飛出すことがない。更には、物品収容部26は基材20の成形時に該基材20に一体成形され、収容被覆部27は成形表皮材21の予備成形時に該表皮材21と一体成形されると共に、クッション部28はクッション材22の発泡成形時に同時に成形されるから、成形工数や組付工数が増加することがなくコストアップを最小限に抑えることができる。
【0021】
【第2実施例】
図5および図6は、前記インストルメントパネル10に設けた第2実施例に係る物品ホルダを示したもので、各種硬貨(物品)Bを収容保持するためのコインホルダ45を例示している。このコインホルダ45は、前記基材20における前記成形表皮材21の被着領域に陥凹状に形成されて室内側に開口し、各種硬貨Bの収容を許容する物品収容部46と、前記成形表皮材21の一部からなり、前記物品収容部46整合する収容被覆部47と、前記クッション材22の一部からなり、前記物品収容部46と前記収容被覆部47との間に介在するクッション部48とから構成されている。
【0022】
前記物品収容部46は、エアーアウトレット15用の前記設置口16の下方に設けられ、基材20を後方側へ湾曲状に突出させた収容凹部49からなっている。一方、前記収容被覆部47は、成形表皮材21の予備成形時に該表皮材21に一体成形され、前面に硬貨Bの前側からの収容・取出しを許容する物品出入口50と、この物品出入口50から成形表皮材21の後方側へ側面「く」字形に延出形成された収容壁部51とからなる。そして、前記収容壁部51における前上方を指向した傾斜壁面には、例えば500円、100円、50円、10円等の各硬貨Bに固有のサイズを前提とした側面U字形状を呈する複数の硬貨保持部52が形成されており、各硬貨保持部52は夫々対応の複数枚の硬貨Bを横並び状に収容保持し得る幅サイズとされている。このように形成された収容被覆部47は、前記成形表皮材21を前記基材20に対応的に位置させた際に前記物品収容部46の前側に整合し、このとき収容凹部49と収容壁部51との間に、前記発泡空間23に空間的と連通する空間53を画成するように設定されている。
【0023】
前記クッション部48は、前記クッション材22を成形するウレタン材料の一部から形成される。すなわち、前記基材20と成形表皮材21とで画成される前記発泡空間23が、前記収容凹部49と収容壁部51とで画成される前記空間53に連通していることにより、該発泡空間23内に注入されて該空間23内で発泡反応するウレタン材料の一部が前記空間53内へ侵入するようになり、クッション材22の成形工程時にクッション部48が成形されるようになる。従ってコインホルダ45の内部は、成形表皮材21の一部である収容壁部51およびクッション材22の一部であるクッション部48で形成されているから、インストルメントパネル10の外表面と同等の質感および弾力性を有している。
【0024】
そして第2実施例のコインホルダ45では、図7に示す如く、前記各硬貨保持部52を、対応の硬貨Bにおける外周縁に沿った半円以上の周長を有する曲面状に成形することにより、硬貨保持部52と収容壁部51との連設部分が適宜鋭角状(但し、先端部は曲面とされる)に形成され、この連設部分が硬貨Bに対する係着部54として機能するようになっている。すなわち係着部54は、クッション部48および成形表皮材21の夫々の弾力性、柔軟性により、対応の硬貨Bの収容当接時に弾性的な変形が許容されている。しかも、硬貨保持部52における開口部52aの開口幅は、対応の硬貨Bの直径寸法dよりも適宜小さく設定されており、硬貨保持部52に収容された硬貨Bは、対向する係着部54,54によりその外周端縁が係着され、当該硬貨保持部52から容易に飛出すことが防止されている。
【0025】
また、第2実施例のコインホルダ45における前記物品出入口50には、該物品出入口50を開放可能に閉成する開閉扉35が配設されている。この開閉扉35は、前記第1実施例に示したものと全く同一形態とされており、扉本体36の形態、該扉本体36設けた支軸(支持凸部)38,38および係止凸部39,39、収容壁部51およびクッション部48に設けた支持凹部42,42および係止凹部43,43、そしてスリーブ部材41,41を介した支軸38,38と支持凹部42,42との嵌合形態、開閉扉35の閉成時における係止凸部39,39と係止凹部43,43との係止形態等は、前記第1実施例のものと全く同一となっている。従ってここでは、同一部材に同一の符号を付して図示表示するに留め、詳細な説明は省略する。
【0026】
このように構成された第2実施例の物品ホルダに係るコインホルダ45では、前記開閉扉35を開放状態に保持したもとで、物品出入口50を介して硬貨保持部52に対する硬貨Bの収容および取出しを行なう。このとき、前記物品収容部46における収容凹部49の内側壁面が、収容被覆部47の収容壁部51および硬貨保持部52で完全に被覆されて質感向上が図られているから、前記開閉扉35を開放した際に内側が露出しても質感低下を招来する問題はない。また硬貨保持部52へ収容された硬貨Bは、適度の柔軟性を有する前記収容被覆部47および適度の弾力性を有する前記クッション部48で弾力的に受容されるようになるから、例えば車両が振動したとしても硬貨保持部52内でがたつくことがなく、異音等の発生が好適に防止される。しかも、物品出入口50に開閉扉35を設けたことにより、万一、硬貨保持部52に収容保持した硬貨Bが車体振動により硬貨保持部52から飛出したとしても、コインホルダ45の外方へ飛出すことはない。更には、物品収容部46は基材20の成形時に該基材20に一体成形され、収容被覆部47は成形表皮材21の予備成形時に該表皮材21と一体成形されると共に、クッション部48はクッション材22の発泡成形時に同時に成形されるから、成形工数や組付工数が増加することがなくコストアップを最小限に抑えることができる。
【0027】
なお、具体的に図示しないが、前記第1実施例に係る物品ホルダ25と第2実施例に係る物品ホルダ(コインホルダ)45とを併設してもよい。また物品ホルダ25,45の形成位置は、各実施例に例示した位置に限定されるものではなく、基材20に対する成形表皮材21の被着領域内であれば基本的には何処でも形成可能である。また前記各実施例では、物品として携帯電話等の如き物品Aや硬貨Bを対象とした物品ホルダ25,45を例示したが、収容対象とされる物品はこれに限定されるものではない。
【0028】
そして前記各実施例では、車両内装部材としてインストルメントパネル10を例示したが、基材、成形表皮材、クッション材からなるフロアコンソールやドアパネル等の車両内装部材等も対象とされ、これらの車両内装部材に対しても前記各実施例のような形態の物品ホルダを好適に設けることが可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る車両内装部材の物品ホルダによれば、基材に設けた物品収容部の内側壁面が、成形表皮材の一部からなる収容被覆部で完全に被覆されているから、この内側壁面が露出しても質感低下を招来しない利点がある。また物品収容部へ収容された物品は、収容被覆部およびクッション部で弾力的に受容されるようになるから、例えば車両が振動して該物品が動いても異音等の発生が好適に防止される利点もある。しかも、物品収容部は基材の成形時に該基材と一体成形され、収容被覆部は成形表皮材の予備成形時に該表皮材と一体成形されると共に、クッション部はクッション材の発泡成形時に同時に成形されるから、成形工数や組付工数が増加することがなくコストアップを最小限に抑えることができる。
一方、物品ホルダの物品出入口に、該物品出入口を開放可能に閉成する開閉扉を設けたことにより、物品収容部に収容された物品は、車両が振動しても外方へ飛出すことがない。そして開閉扉は、該開閉扉に設けた支持凸部および収容被覆部とクッション部に設けた支持凹部を嵌合するようになっており、柔軟性を有する収容被覆部および弾力性を有するクッション部の弾性変形を利用して簡単かつ容易に装着し得る。しかも開閉扉は、物品出入口に閉成した際に、該開閉扉に設けた係止凸部と収容被覆部に設けた係止凹部が係合することにより、閉成状態に保持される。
なお物品ホルダとしては、携帯電話の如き各種物品の収容保持し得る汎用性を備えたものや、各種硬貨を収容保持し得るコインホルダ等が実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例に係る物品ホルダを、図4のX−X線で破断して示す側断面図である。
【図2】図1に示した物品ホルダを、開閉扉を組付ける状態で示す斜視図である。
【図3】物品ホルダの物品出入口に組付けた開閉扉を、該物品出入口に閉成した状態で示す一部破断正面図である。
【図4】物品ホルダを設けたインストルメントパネルの概略斜視図である。
【図5】第2実施例に係る物品ホルダとしてのコインホルダを、図4のX−X線で破断して示す側断面図である。
【図6】図5に示したコインホルダを、開閉扉を組付ける状態で示す斜視図である。
【図7】成形表皮材の一部分からなる収容壁部およびクッション材の一部分からなるクッション部により、硬貨を弾力的に受容している硬貨保持部の側断面図である。
【符号の説明】
20 基材
21 成形表皮材
22 クッション材
26,46 物品収容部
27,47 収容被覆部
28,48 クッション部
31,50 物品出入口
35 開閉扉
38 支軸(支持凸部)
39 係止凸部
41 スリーブ部材
42 支持凹部
43 係止凹部
52 硬貨保持部
A 物品
B 硬貨(物品)

Claims (4)

  1. 所要形状に成形した基材(20)と、前記基材(20)より柔軟な材料から所要形状に成形されて基材(20)に配設した成形表皮材(21)と、前記基材(20)および成形表皮材(21)の間に介在させたクッション材(22)とからなる車両内装部材の乗員室に臨む位置に設けた物品ホルダにおいて、
    前記基材(20)に陥凹状に形成されて室内側に開口し、各種物品(A,B)の収容を許容する物品収容部(26,46)と、
    前記成形表皮材(21)に陥凹状に形成されて室内側に開口する物品出入口(31,50)を有し、前記物品収容部(26,46)に室内側から整合して前記物品(A,B)を受容する収容被覆部(27,47)と、
    前記クッション材(22)の一部からなり、前記物品収容部(26,46)と前記収容被覆部(27,47)との間に介在するクッション部(28,48)と
    前記収容被覆部(27,47)における前記物品出入口(31,50)に隣接して互いに対向する部位に凹設され、前記クッション部(28,48)に保持された支持凹部(42)と、
    前記物品出入口(31,50)の開口形状に合う外形形状に形成され、対向する端面から互い離間する側へ突出した支持凸部(38,38)を有する開閉扉(35)と、
    自己潤滑性を有する材料から形成され、前記支持凸部(38)に回転可能に配設されると共に前記支持凹部(42)に嵌合したスリーブ部材(41)とを備え、
    前記支持凹部(42)およびクッション部(28,48)で支持した前記スリーブ部材(41)により、前記開閉扉(35)を前記物品出入口(31,50)に開閉可能に組付けた
    ことを特徴とする車両内装部材の物品ホルダ。
  2. 所要形状に成形した基材(20)と、前記基材(20)より柔軟な材料から所要形状に成形されて該基材(20)に配設した成形表皮材(21)と、前記基材(20)および成形表皮材(21)の間に介在させたクッション材(22)とからなる車両内装部材の乗員室に臨む位置に設けた物品ホルダにおいて、
    前記基材(20)に陥凹状に形成されて室内側に開口し、各種物品(A,B)の収容を許容する物品収容部(26,46)と、
    前記成形表皮材(21)に陥凹状に形成されて室内側に開口する物品出入口(31,50)を有し、前記物品収容部(26,46)に室内側から整合して前記物品(A,B)を受容する収容被覆部(27,47)と
    前記クッション材(22)の一部からなり、前記物品収容部(26,46)と前記収容被覆部(27,47)との間に介在するクッション部(28,48)と、
    前記収容被覆部(27,47)における前記物品出入口(31,50)に隣接して互いに対向する部位に凹設され、前記クッション部(28,48)に保持された係止凹部(43,43)と、
    前記物品出入口(31,50)の開口形状に合う外形形状に形成され、該物品出入口(31,50)を開閉可能に配設された開閉扉(35)と、
    前記開閉扉(35)の対向する端面から互いに離間する側へ突出し、該開閉扉(35)が前記物品出入口(31,50)を閉成した状態で前記各係止凹部(43,43)に嵌合する係止凸部(39,39)とを備え、
    前記クッション部(38)および収容被覆部(27,47)の弾性変形により、前記係止凹部(43,43)に対する前記係止凸部(39)の係脱が許容される
    ことを特徴とする車両内装部材の物品ホルダ。
  3. 前記収容被覆部(27,47)における前記物品出入口(31,50)に隣接して互いに対向する部位に凹設され、前記クッション部(28,48)に保持された係止凹部(43,43)と、
    前記開閉扉(35)の対向する端面から互いに離間する側へ突出し、該開閉扉(35)が前記物品出入口(31,50)を閉成した状態で前記各係止凹部(43,43)に嵌合する係止凸部(39,39)とを備え、
    前記クッション部(38)および収容被覆部(27,47)の弾性変形により、前記係止凹部(43,43)に対する前記係止凸部(39)の係脱が許容される請求項1記載の車両内装部材の物品ホルダ。
  4. 記収容被覆部(47)は、硬貨(B)の外周縁に沿った半円以上の周長を有する曲面部を有し、挿入する前記硬貨(B)の直径方向での開口幅が該直径より小さく形成された硬貨保持部(52)を備えた請求項1〜3の何れか一項に記載の車両内装部材の物品ホルダ。
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