JP4525443B2 - 消臭性繊維及びこれを用いた繊維成形体、繊維製品 - Google Patents

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Description

本発明は、消臭性繊維に関する。更に詳しくは、おむつ、ナプキン等の吸収性物品、医療衛生材、生活関連材、一般医療材、寝装材、フィルター材、介護用品、及びペット用品等の用途として適した消臭性繊維及びこれを用いた繊維成形体と繊維製品に関する。
近年、生活様式の変化、居住環境の高密度化や機密性の高まり等による悪臭が問題とされ、悪臭除去に対する要求が高まってきている。その中で、アンモニア、トリメチルアミン等の塩基性ガス、硫化水素やメチルメルカプタン等の含硫黄化合物及び、汗腺、皮脂腺等から出る排泄物を微生物が分解することにより生じる酢酸、酪酸、吉草酸及びカプロン酸等の低級脂肪酸類は代表的な悪臭成分とされている。これら以外にも、人に不快を感じさせる成分としては、インドール、スカトールのような含窒素環状化合物等が知られている。
かかる臭気物質を除去する代表的な方法として、活性炭やシリカゲル等の多孔質体を用いて吸着する物理的吸着法、中和、酸化反応等により反応、除去する化学的方法、強い芳香により不快感を抑える感覚的方法等がある。なかでも高濃度の臭気物質を短時間で除去できる化学的方法は、非常に有効な消臭法の1つであり、現在、様々な消臭剤が開発されている。
一方で、現行の化学的方法による消臭剤は、アンモニア、アミン類等の含窒素化合物には効果があるが含硫黄化合物には効果がないことや、逆に後者に対して効果があっても、前者に対しては効果がないことが多い。更に低級脂肪酸類も含めた多種類の臭気物質に対しても消臭可能な消臭剤は非常に少ないのが現状である。このような問題を改善するために様々な消臭剤が提案されており、等電点が7を越える両性界面活性剤、等電点7以下の両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤及びシリコーンオイルを含有する殺菌消臭清拭剤等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。またベタイン型両性化合物と、ケトカルボン酸とを有効成分とする消臭剤を用いた液状消臭剤が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、2種類以上の金属を含有させた複合酸化物は、一部金属が活性化することにより、抗菌性や消臭性を発現することがある。これを利用した複合酸化物を用いた消臭剤も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
前記文献1、2で挙げた消臭剤は、主に液状の消臭剤として用いられており、その性能を効果的に発揮させるために、しばしば繊維表面に付着させて利用されている。しかしながら、上記の消臭剤は、液状消臭剤としては良好な消臭性能を有するものの、繊維表面に付着して繊維成形品とする際、繊維開繊工程(例えばカード、エアレイド機によるウェブ、スライバーへの加工工程)及び不織布化の工程における熱処理時において繊維−金属間または繊維−繊維間の摩擦による脱落及び、熱接着時の一部気散により消臭性能が大幅に低下してしまうという問題を有していた。更に得られた成形品も、消臭可能であるのはアンモニア、アミン類等の含窒素化合物類に限られ、幅広い臭気物質に対応する事は困難であった。
更に、前記文献3で挙げた消臭剤は、耐熱性に優れ、かつ、比較的広い種類の臭気物質に対して良好な消臭性を有するが、中和反応が主となる消臭性とは異なり、消臭速度が遅く、特にアンモニア、アミン類等の含窒素化合物類に対しては、効果が発現し難いという課題があった。
特開2002−47105公報 特許第2717209号公報 特開平11−209258公報
このようなことから、本発明の課題は、不織布等の繊維成形品に加工する際、繊維開繊工程及び不織布化工程での熱接着時における消臭性の低下を抑制し、多種類の臭気性物質に対しても対応可能な消臭性繊維及びそれを用いた繊維成形体と繊維製品を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた。その結果、下記の構成を有する繊維が、前記課題を解決することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。本発明は、以下の構成を有する。
[1]2価金属および3価金属から選ばれる少なくとも2種の金属からなる複合酸化物を繊維重量に対し0.1〜10重量%含有させた熱可塑性樹脂からなる繊維であり、該繊維は下記成分(A)〜(C)のうち、成分(A)を20〜80重量%、成分(B)及び/または成分(C)を80〜20重量%含む界面活性剤を主体とする繊維処理剤が繊維重量に対し0.1〜5重量%付着した消臭性繊維。
成分(A):ベタイン型両性化合物、カルボニル化合物およびビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種類からなる成分
成分(B):アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤および多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも1種類からなる非イオン系界面活性剤
成分(C):カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩およびリン酸エステル塩からなる群から選ばれた少なくとも1種類からなるアニオン系界面活性剤
[2]上記複合酸化物が下記式(1)
2+ (1-x1)3+ x1-δO (1)
(M2+は亜鉛又は亜鉛を必須成分とする2価金属を示し、M3+はAl,Fe,Ceから選ばれる3価金属を示し、x1は0<x1≦0.5の範囲の数を示し、δはカチオン格子欠陥を示す)で表わされる複合酸化物または下記式(2)
(M1 2+1-x2(M2 2+x2O (2)
[式中、M1はMgおよび/またはCaを、M2はCuおよび/またはZnを示し、x2は0.0001≦x2≦0.5の範囲の数を示す]の複合酸化物である前記[1]項記載の消臭性繊維。
[3]消臭性繊維が、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂からなる複合繊維であり、その内の少なくとも1種類の熱可塑性樹脂中に、上記複合酸化物を繊維重量に対し、0.1〜10重量%練り込み、かつ該複合繊維の外周に上記成分(A)を20〜80重量%、成分(B)及び/または成分(C)を80〜20重量%含む界面活性剤を主体とする繊維処理剤が繊維重量に対し、0.1〜5重量%付着した前記[1]項または前記[2]項記載の消臭性繊維。
[4]少なくとも2種類の熱可塑性樹脂からなる複合繊維が鞘芯型複合繊維であり、上記複合酸化物が、複合繊維の鞘成分内に練り込まれている前記[3]項記載の消臭性繊維。
[5]上記成分(A)の付着量が、繊維重量に対して少なくとも0.1重量%である前記[1]〜[4]のいずれか1項記載の消臭性繊維。
[6]前記[1]〜[5]のいずれか1項記載の消臭性繊維を用いた繊維成形体。
[7]前記[1]〜[5]のいずれか1項記載の消臭性繊維または前記[6]項に記載の繊維成形体を用いた繊維製品。
本発明の消臭性繊維は、2価金属および3価金属から選ばれる少なくとも2種の金属からなる複合酸化物を含有させた熱可塑性樹脂からなる繊維に、繊維処理剤成分(A)、(B)及び/または(C)を、繊維表面に付着させる事により、消臭性能を発現させた繊維である。又消臭性能の他にも抗菌性を有し、これら機能と併せて消臭剤は繊維表面から剥離脱落せずに、制電性及び、耐熱性にも優れた消臭性繊維を得る事ができる。特にアンモニア、アミン等の塩基性臭気物質、酢酸等の酸性臭気物質及び、硫化水素等の硫黄系臭気物質の三大臭気に対しても幅広く対応可能であり、吸収速度に優れた充分な消臭性能を有する。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明の消臭性繊維は、2価金属および3価金属から選ばれる少なくとも2種の金属からなる複合酸化物を繊維重量に対し、0.1〜10重量%含有させた熱可塑性樹脂からなる繊維であり、更に該繊維には成分(A)と、成分(B)及び/または成分(C)とからなる繊維処理剤が、繊維重量に対して0.1〜5重量%付着している消臭性繊維であって、該繊維処理剤中の各成分の重量比率は、成分(A)が20〜80重量%、成分(B)及び/または成分(C)が80〜20重量%の重量比率である。
本発明に用いる複合酸化物は、下記式
2+ (1-x1)3+ x1-δO (1)
(式中、M2+はZn又はZnを必須成分とする2価金属を示し、M3+はAl,Fe,Ceから選ばれる3価金属、好ましくはAlを示し、x1は0<x1≦0.5の範囲の数を示し、δはカチオン格子欠陥を示す)で表わされる酸化亜鉛系複合酸化物または下記式(2)
(M1 2+1-x2(M2 2+x2O (2)
[式中、M1はMgおよび/またはCaを、M2はCuおよび/またはZnを示し、x2は0.0001≦x2≦0.5の範囲の数を示す]の複合酸化物を有効成分とする事を特徴とする。
式(1)の酸化亜鉛系複合酸化物とは、ZnOにAl等のM3+が置換固溶したZnOと同じ結晶構造の固溶体、あるいは該固溶体とスピネル(M2+3+ 24)との混合物を意味し、粉末X線回折にかけるとZnOと殆ど同じ回折パターンを示す。式(2)の複合酸化物とは、酸化マグネシウムおよび/または酸化カルシウムに銅イオン(Cu2+)および/または亜鉛イオン(Zn2+)が固溶した、酸化マグネシウムまたは酸化カルシウムと同じ結晶構造を有する化合物である。粉末X線回折にかけると酸化マグネシウムあるいは酸化カルシウムと殆ど同じ回折パターンを示す。
式(1)の複合酸化物において、その固溶体にAl23、Fe23、Ce23等が混在することがあるが、これらが混在した状態であっても、式(1)の複合酸化物自体の固溶体の特性が十分に発揮され消臭剤として十分な効果を得られるならば問題なく使用することができる。また、十分な消臭性を得るためにはM2+が活性化される必要があり、そのためにはM3+の含有量がゼロであってはならない。これらの観点から、x1の値が0.5以下であれば式(1)の複合酸化物の固溶体中にAl23、Fe23、Ce23等が混在するのを十分抑えることができ好ましい。したがって、x1の好ましい範囲を0<x1≦0.5と示すことができる。より好ましくは0.1≦x1≦0.4、さらに好ましくは0.2≦x1≦0.4である。また、M2+はZn又はZnを必須成分とする2価金属であり、具体的にはCa、Mg、Cu等を用いる事で十分な性能を発現し、かつ安全性の高い物質を得る事が出来る。
式(2)の複合酸化物において、副生したCuOおよび/またはZnOが混在することがあるが、これらが混在した状態であっても、式(2)の複合酸化物自体の固溶体の特性が十分に発揮され消臭剤として十分な効果を得られるならば問題なく使用することができる。また、十分な消臭性を得るため、かつマグネシウムおよび/またはカルシウムの成分が活性化されるためには抗菌・消臭作用の有効成分となる銅および/または亜鉛が少量でも含有されている必要がある。これらの観点から、x2が0.5以下であれば式(2)の複合酸化物の固溶体中にCuOおよび/またはZnOが混在するのを十分抑えることができ好ましく、またx2の値が0.0001以上ならば十分な消臭性を得られ、かつマグネシウムおよび/またはカルシウムの成分も活性化されるので好ましい。したがって、x2の好ましい範囲を0.0001≦x2≦0.5と示すことができる。より好ましくは0.0005≦x2≦0.4、さらに好ましくは0.001≦x2≦0.2である。
本発明に用いる複合酸化物の含有量、及び2価または3価の金属(式(1)においてはM2+、M3+、式(2)においてはM1 2+、M2 2+)の混率を定性、定量的に確認する方法として、繊維表面に露出した複合酸化物の微粒子を蛍光X線分析、X線光電子分光分析等により表面分析を行う方法、繊維を構成する熱可塑性樹脂を溶解可能な溶媒を用いて溶解、含有する複合酸化物を濾過、遠心分離等の手法で分離した後、先に挙げた表面分析及び原子吸光法、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析法等の手法で元素分析を行う方法等が挙げられる。勿論、例示したこれらの方法に限定されず、他の手法でも確認可能である。更に、これらの手法を併用することにより、含有する無機物が2価及び/または3価金属の固溶体であるか、異なる金属酸化物を混合させた物であるかを判別し易くなる為好ましい。
本発明に用いる式(1)または式(2)の複合酸化物の繊維に対する好ましい含有量は、繊維重量に対して0.1〜10重量%である。より好ましくは0.3〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。含有量が0.1重量%以上であれば十分に消臭性能を発現させることができ、一方、含有量が10重量%以下であれば消臭性能を十分保ったまま紡糸性の悪化や不織布加工時における繊維表面からの脱落を引き起こすこともなく、生産性も良好に維持される。
本発明の消臭性繊維に用いる成分(A)は、ベタイン型両性化合物、カルボニル化合物および無水マレイン酸共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種類からなる成分であり、成分(B)は、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である非イオン系界面活性剤であり、成分(C)は、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩及びリン酸エステル塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であるアニオン界面活性剤である。
本発明で用いられる成分(A)のベタイン型両性化合物としては、例えば式(3)で示されるアミドベタインが本発明で好ましく利用できる。
RCONHCHCHCH(CHCHCOO (3)
式(3)において、Rは、炭素数1〜20のアルキルである。
また、ベタイン型両性化合物としては、例えば式(4)で示されるイミダゾリウム化合物が本発明で好ましく利用できる。

Figure 0004525443

式(4)において、Rは、炭素数1〜7のアルキルであり、Rは、炭素数8以上のアルキルである。
アミドベタインについて1例を挙げると、オクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−エチルヘキシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、デシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−メチルノニルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パルミチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジヒドロキシメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジヒドロキシメチルアミノ酢酸ベタイン及びオクタンアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−エチルヘキサンアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、デカンアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−メチルノナンアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリンアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチンアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パルミチンアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリンアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリンアミドプロピルジヒドロキシメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジヒドロキシメチルアミノ酢酸ベタイン及びこれらの混合物等が挙げられる。
イミダゾリウム型両性化合物について1例を挙げると、2−アルキル(炭素数6〜22)−N−カルボキシアルキル(炭素数1〜3)−N−ヒドロキシアルキル(炭素数1〜3)イミダゾリウムベタイン〔2−アルキル(炭素数6〜22)−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシメチルイミダゾリウムベタイン[2−デシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシメチルイミダゾリウムベタイン、2−ラウリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシメチルイミダゾリウムベタイン、2−ミリスチル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシメチルイミダゾリウムベタイン、2−ヤシ油アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシメチルイミダゾリウムベタイン及び2−パルミチル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシメチルイミダゾリウムベタイン等];2−アルキル(炭素数8〜18)−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン[2−デシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、2−ラウリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、2−ミリスチル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、2−ヤシ油アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン及び2−パルミチル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等]及びこれらの混合物等〕が挙げられる。
本発明で用いられる成分(A)のカルボニル化合物としては、例えばクロトンアルデヒド、アリルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、シトロネラール等の1価アルデヒド、グリオキサール等の2価アルデヒド、ベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド、グリコールアルデヒド等のアルデヒドアルコール、グリオキシル酸、乳酸アルデヒド、グルクロン酸等のアルデヒドカルボン酸、アセトン、メチルエチルケトン、ジブチルケトン、ヨノン類、アセチルアセトン等の脂肪族または脂肪族飽和ケトン類、ベンゾフェノン等の芳香族ケトン、メチルグリオキサール等のケトアルデヒド、アセトール、ジメチルケトール等のケトアルコール、ピルビン酸、ベンゾイルギ酸、フェニルピルビン酸、アセト酢酸、プロピオニル酢酸、ベンゾイル酢酸、レブリン酸、β−ベンゾイルプロピオン酸等のケトカルボン酸等を例示することができる。
本発明で用いられる成分(A)のビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体としては、エチレン−無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、エチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体等のアルキル基を有するアルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、及びこれらの混合物等を用いる事ができる。好ましくはアルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体であり、より好ましくはメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体である。
前記の化合物(A)は、2種以上を混合して利用してもよい。この他に、オキシ脂肪酸、有機酸性物質、ハロゲン酸アルカリを添加することで消臭性能を向上できるので好ましい。このため、これらは成分(A)の一つとして利用できる。
オキシ脂肪酸としては、例えばグリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の低級オキシ脂肪酸、プロペニルグリコール酸、パラソルビン酸、リシノール酸、16−オキシ−7−ヘキサデセン酸等の不飽和オキシ脂肪酸、2−オキシパルミチン酸、オキシステアリン酸等の飽和オキシ脂肪酸等の分子内に水酸基を1個含むモノオキシ脂肪酸、ジオキシステアリン酸、トリオキシパルミチン酸等の分子内に水酸基を2個以上含むポリオキシ脂肪酸を用いることができる。
有機酸性物質としては、例えば木酢またはその構成成分である種々の低級脂肪酸類、中級脂肪酸類、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、グリオキシル酸及びフミン酸を用いることができる。フミン酸としては、できるだけ塩基置換容量の大きいフミン酸を用いることが好ましい。
ハロゲン酸アルカリは、MXO(Mはアルカリ金属、Xはハロゲン)で表すことができる。この化学式において、Mがナトリウムまたはカリウム、Xが塩素、臭素または沃素ハロゲンである、ハロゲン酸アルカリを用いることができる。これらの組合せのなかでは、ブロム酸カリが特に好ましい。
上記の成分(A)より構成された組成物を用いることにより、含窒素化合物等に対して短時間での消臭が可能になる。しかし、本発明に用いられる消臭剤である成分(A)を、ただ単に繊維表面に付着させるだけでは、ウェブ、スライバーへの加工工程において、カード機またはエアレイド機と繊維とが擦れ合うことにより、繊維表面から消臭剤が剥離脱落することで帯電が起こり、加工性が著しく低下する。そこで成分(B)及び/または成分(C)を成分(A)と混合または成分(A)に被覆して付着させることで、高速カード加工下においても充分な制電性を発揮でき、同時に繊維表面における消臭剤剥離防止性を有することができる。更に成分(A)のみを付着させた場合よりも優れた消臭性能を得ることが可能となる。
本発明で用いられる成分(B)としては、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤{成分(B1)}および多価アルコール型非イオン系界面活性剤{成分(B2)}等の非イオン系界面活性剤を挙げることができる。
成分(B)の非イオン系界面活性剤を構成するアルキルとしては、炭素数が12〜24のアルキルが利用できる。このアルキルは、任意の−CH−が−CH=CH−、シクロアルキレン、またはシクロアルケニレンで置き換えられてもよい。このアルキルは、パーム油、牛脂、ナタネ油、米糠油、魚油等の天然油脂由来のアルキルでも合成系のアルキルでもよい。
成分(B1)は、高級アルコール、高級脂肪酸またはアルキルアミン等に直接アルキレンオキシドを付加させるか、グリコール類にアルキレンオキシドを付加させて得られるポリエチレングリコール類に高級脂肪酸等を反応させるか、または多価アルコールに高級脂肪酸を反応して得られたエステル化物にアルキレンオキシドを付加させることにより得られる。
成分(B1)を構成するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダムまたはブロック付加物が挙げられ、なかでも、エチレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダムまたはブロック付加物が好ましい。付加モル数は、5〜50モルが好ましく、付加すべきアルキレンオキシドのうち50〜100重量%がエチレンオキシドであることが好ましい。なお、エチレンオキシドをEOと略し、nモル付加した場合に、EO(n)として表記する場合がある。
成分(B1)としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル{成分(B1−1)}、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル{成分(B1−2)}、ポリオキシアルキレン多価アルコール高級脂肪酸エステル{成分(B1−3)}、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル{成分(B1−4)}、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル{成分(B1−5)}、ポリオキシアルキレンアルキルアルカノールアミド{成分(B1−6)}等を挙げることができる。
成分(B1−2)、成分(B1−3)、成分(B1−6)及び成分(B2)を構成する高級脂肪酸としては、パーム油、牛脂、ナタネ油、米糠油、魚油等の天然脂肪酸由来の高級脂肪酸が一般的に利用できるが、化学的に合成した高級脂肪酸を使用してもよい。
成分(B1−3)及び成分(B2)を構成する多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトール、ショ糖等の3〜8価アルコールを挙げることができる。特にグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン及びソルビトールが好ましい。
成分(B1−4)を構成するアルキルフェニルとしては、炭素数8〜12のアルキルを有するモノアルキルフェニルまたはジアルキルフェニルを挙げることができる。
成分(B1−5)を構成するアルキルアミノとしては、炭素数8〜24のアルキルを有するモノアルキルアミノまたはジアルキルアミノを挙げることができる。このアルキルの任意の−CH−が−CH=CH−、シクロアルキレン、またはシクロアルケニレンで置き換えられてもよい。
成分(B1−6)を構成するアルキルアルカノールアミドは、アルカノールアミンと高級脂肪酸の脱水反応によって得られる基である。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン等を挙げることができる。
上記の非イオン活性剤である成分(B)のうち、成分(B1−1)〜成分(B1−3)、成分(B1−6)、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン及びソルビトール等の多価アルコール型非イオン系界面活性剤が特に好ましい。
本発明で用いられるアニオン系界面活性剤である成分(C)は、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩およびリン酸エステル塩から選ばれた少なくとも1種である。具体的には、カルボン酸塩としては、オレイン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム等の石鹸類が利用できる。また、スルホン酸塩としては、ラウリルスルホン酸ナトリウム、セチルスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸塩類、ラウリルベンゼンスルホン酸塩等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類が利用できる。硫酸エステル塩としては、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩等のアルキル硫酸エステル塩、ラウリルアルコールにオキシアルキレンを付加した化合物の硫酸エステルナトリウム塩等の硫酸アルキル(ポリオキシアルキレン)エステル塩が利用できる。リン酸エステル塩としては、ステアリルアルコール等の高級アルコールまたはこれにポリオキシアルキレンを付加した化合物のリン酸エステル塩が利用できる。なかでも高級アルコール、ポリオキシアルキレンを付加した硫酸エステルアルカリ金属塩及びリン酸エステルアルカリ金属塩が制電性に優れているため好ましく、リン酸エステルアルカリ金属塩は繊維の平滑性にも優れているため特に好ましい。
リン酸エステルアルカリ金属塩の高級アルコールは、炭素数が6〜24であることが好ましく、炭素数が8〜22であることがより好ましい。このような高級アルコールとしては、例えば、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等のモノエステルまたはジエステルの完全中和塩が好ましく利用できる。炭素数が6未満の高級アルコールでは、繊維金属間摩擦が高くなり、カード通過性が低下するため、消臭剤の剥離脱落及びシリンダー巻き付きの原因となる。また炭素数が24を超える高級アルコールでは、制電性が低下する傾向にある。上記の範囲でリン酸エステルアルカリ金属塩の炭素数を変えることにより親水性、撥水性のいずれの機能も発現させることができる(例えば特開平7−216737号公報、特開平10−46470号公報等参照)。また、ポリオキシアルキレンは、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン等の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位からなるが、該オキシアルキレン単位の繰り返し単位は2〜10モルの付加数を有するものが好ましい。ポリオキシアルキレンは、オキシエチレン単位のみからなってもよいし、その他のオキシアルキレンとブロック及び/またはランダムに結合していてもよい。更にリン酸エステルアルカリ金属塩等の中和塩としては、K、Na等のアルカリ金属、アンモニア、アミン類が例示できるが、制電性の点からK塩、Na塩が好ましい。
本発明に用いられる前記界面活性剤を主体とする繊維処理剤において、前記成分(A)と、成分(B)及び/または成分(C)との重量比率は、20/80〜80/20、好ましくは25/75〜75/25、より好ましくは30/70〜70/30である。成分(A)の比率が20重量%未満では窒素系化合物に対する消臭性能が充分に発揮されず、また成分(A)の比率が80重量%を大幅に超えていると、制電性、剥離防止性が不充分となる。更に、これら繊維処理剤の繊維への付着量は、繊維重量に対して0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%、より好ましくは0.3〜1.5重量%である。繊維処理剤の付着量が0.1〜5重量%の範囲であれば、消臭性、制電性を共に発揮させることができるが、消臭性能を充分に発揮させるためには、特に成分(A)の付着量は、少なくとも0.1重量%であることが好ましい。
繊維処理剤の付着量は、繊維を60℃のエタノール/水(50/50)混合溶媒に10分間浸漬し、水分をしぼった後、再度、60℃のエタノール/水(50/50)混合溶媒に10分間浸漬した後、乾燥し、浸漬前後の重量変化から、次式により求められる。
付着量(重量%)={(W1−W2)/W2}×100
W1:浸漬する前の繊維の乾燥重量(g)
W2:浸漬した後の繊維の乾燥重量(g)
繊維処理剤の付着量の範囲は、繊維開繊工程での加工性を維持する上で求められる範囲であり、工程通過後に繊維成形品を作製する際には、これらの範囲を超えて付着させても、本発明の効果を何ら阻害することはない。なお、繊維処理剤を繊維へ付着する場合には、付着加工がし易いように、繊維処理剤を水で希釈し、仕上剤として使用することが好ましい。
本発明に用いられる繊維処理剤において、成分(B)及び成分(C)は、各々単独で用いてもよいが、成分(B)及び成分(C)を併用することで、制電性と平滑性とのバランスを良好にでき、これにより繊維開繊工程での加工性の向上に繋がるので好ましい。
本発明に用いられる繊維処理剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で、ベンザルコニウムクロライド等のアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、セチルピリジニウムクロライド等のアルキルピリジニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩、ポリリジン等のカチオン系抗菌剤を添加することができる。
また、必要により、繊維処理剤に、炭素数2〜4のアルカノールアミン等のpH調整剤、EDTA、ポリリン酸ナトリウム等のキレート剤、スクワラン、ヒアルロン酸ナトリウム等の皮膚保護剤、茶葉由来カテキン、甘草、アロエエキス等の植物抽出エキス、ジメチルポリシロキサン(シリコーンオイル)、パーフルオロアルキル基含有化合物等の撥水剤、リモネン、フェニルエチルアルコール、ヘキシルシンナミックアルデヒド等の香料、防腐剤、防錆剤、消泡剤等を添加してもよい。なお、ここで挙げたその他成分については、添加量が微量であるため前記成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量には含めない。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂からなる繊維は、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂またはポリアミド樹脂からなる繊維であることが好ましい。また、これらの樹脂で構成された熱可塑性エラストマーからなる繊維及び不織布も好ましく用いられる。ここで、ポリオレフィン樹脂としては、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレン共重合体、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、ポリブテン−1、ポリヘキセン−1、ポリオクテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリメチルペンテン、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエンが利用できる。更にこれらの単独重合体に、単独重合体を構成する単量体以外のエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1または4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンが共重合成分として少量含有されていてもよい。また、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、スチレン及びα−メチルスチレン等の他のエチレン系不飽和モノマーが共重合成分として少量含有されていてもよい。また上記ポリオレフィン樹脂を2種以上混合して使用してもよい。これらは、通常のチーグラーナッタ触媒から重合されたポリオレフィン樹脂だけでなく、メタロセン触媒から重合されたポリオレフィン樹脂であってもよい。
ポリエステル樹脂は、ジオールとジカルボン酸とから縮重合によって得ることができる。ポリエステル樹脂の縮重合に用いられるジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等を挙げることができる。また、用いられるジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。本発明ではポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートが好ましく利用できる。また、これらのポリエステル樹脂は、単独重合体だけでなく、共重合ポリエステル(コポリエステル)でもよい。このとき、共重合成分としては、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸成分、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のジオール成分が利用できる。
ポリアミド樹脂としては、ナイロン−4、ナイロン−6、ナイロン−46、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−12、ポリメタキシレンアジパミド(MXD−6)、ポリパラキシレンデカンアミド(PXD−12)、ポリビスシクロヘキシルメタンデカンアミド(PCM−12)が利用できる。更にこれらのポリアミド樹脂に用いられている単量体を構成単位とするアミドの共重合体も利用できる。
更に本発明を構成する繊維は、エラストマー樹脂を主成分とする樹脂組成物から得られるものでも構わない。主成分とは最も多い成分を言う。エラストマー樹脂とは、常温(20〜30℃)では加硫ゴムと同様な弾性体の性質を持ち(分子中のソフトセグメントによる)、高温では通常の熱可塑性樹脂と同様に既存の繊維成形機をそのまま使って成形することができる(分子中のハードセグメントによる)高分子材料である。このようなエラストマー樹脂としては、ポリスチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマーを挙げることができる。
本発明の消臭性繊維としては、1種の均一な熱可塑性樹脂成分からなる単一繊維または、少なくとも2種の熱可塑性樹脂成分からなる複合繊維が利用できる。複合繊維に充分な熱接着性能を発揮させるためには、該複合繊維が、第1成分と第2成分とからなる場合、第1成分の熱可塑性樹脂が第2成分の熱可塑性樹脂よりも低融点であり、第1成分が繊維表面に露出していることがよい。単一繊維を繊維成形品に成形する主な加工方法は、バインダーによる被覆や、ニードルパンチ、スパンレース等の物理的交絡であるが、これらの方法では、バインダーによって消臭剤を被覆してしまう場合や、針、高圧水流によって消臭剤を脱落させてしまう場合がある。しかし複合繊維を用いることで、熱加工により成形が可能となるため、被覆や脱落による消臭性能の低下を最小限に抑えることができる。
本発明の消臭性繊維の複合形式としては、鞘芯型、並列型、偏心鞘芯型、多層型、放射型または海島型等が例示できる。複合繊維を構成する熱可塑性樹脂の組合せとしては、その組合せを第1成分/第2成分の形式で表すと、ポリオレフィン樹脂/ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂/ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂/ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂/ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂/ポリアミド樹脂の組合せが利用できる。ポリオレフィン樹脂/ポリオレフィン樹脂の組合せとしては、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレンが例示できる。ポリオレフィン樹脂/ポリエステル樹脂の組合せとしては、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートが例示できる。ポリエステル樹脂/ポリエステル樹脂の組合せとしては、共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレートが例示できる。
本発明の消臭性繊維の断面形状は、円形断面形状以外にも、異形断面形状(非円形断面形状)にすることもでき、特に限定されない。異形断面形状としては、例えば、星形、楕円形、三角形、四角形、五角形、多葉形、アレイ形、T字形及び馬蹄形等を挙げることができ、更にこれらは中空断面にすることもできる。本発明の消臭性繊維は、必要に応じて酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料及び可塑剤等の添加剤を本発明の効果を妨げない範囲において、使用することができる。
本発明において、複合酸化物を繊維に含有させる事により、消臭性を発現する事が出来るが、前記複合酸化物は、消臭性の発現の他にも、繊維処理剤成分(A)の耐熱性を向上させる利点がある。成分(A)に用いられる組成物には比較的低い分子量や沸点を有する物もあり、これらの組成物は不織布化、特に熱接着を伴う工程において、熱による一部揮散及び溶融に伴う樹脂への潜り込み等が発生する事がある。この為成分(A)のみの付着では熱履歴により消臭性が若干低下する傾向があった。ここで前記複合酸化物を併用する事により、一部活性化された金属と成分(A)とが一部結合する。或いは複合酸化物の結晶、または2次粒子内に取り込まれる事により加工時の熱から保護する等の作用で熱履歴による消臭性の低下を抑制すると考えられる。したがって、本発明の消臭性繊維は、少なくとも複合酸化物と消臭成分(A)を併用する事が最も好ましく、仮に複合酸化物のみを含有した繊維と、消臭成分(A)のみを付着させた繊維を混繊又は混綿等の手法で不織布化したとしても、優れた消臭性能は発揮させ難い。
本発明において、複合酸化物を繊維に含有させる方法としては、パウダー、マスターバッチによる練り込みが最も好ましいが、複合酸化物の微粒子をスラリー状にして、繊維処理剤と共に付着させる方法でも良い。
繊維処理剤を繊維に付着させる方法には特に制限はなく、紡糸及び/または延伸工程でオイリングロールとの接触、浸漬槽への浸漬、スプレー噴霧等により繊維に付着できる。繊維に付着するだけでなく、ウェブや繊維成形体に付着してもよい。例えば、不織布加工工程でウェブに接触法、浸漬法、噴霧法により付着させる方法や、繊維成形体に加工した後に接触法、浸漬法、噴霧法により付着させる方法が利用できる。更に付着は、上記成分(A)〜(C)、及び複合酸化物スラリーの混合物を一度に付着させる方法でもよいが、紡糸工程、延伸工程または不織布加工工程において消臭成分である成分(A)を先に付着させた後、成分(A)の上に成分(B)及び/または成分(C)を含む界面活性剤を付着させる方法が好ましく利用できる。この手法では成分(B)及び/または成分(C)が成分(A)を覆い保護するため、不織布加工工程中の繊維開繊工程における帯電の抑制(制電)及び成分(A)の脱落をより最小限に抑えることができる。
一例として、乾式紡糸法、湿式紡糸法、ゲル紡糸法、溶融紡糸法等の公知の方法で製造された繊維に、この紡糸工程において、タッチロール等の方法で成分(A)を付着させた後、延伸工程において、成分(A)の層上に、成分(B)及び/または成分(C)からなる界面活性剤を付着させる方法が挙げられる。
更に他の例として、ウェブ/ウォータージェット加工法、短繊維/エアレイド/サーマルボンド加工法、メルトブロー紡糸/サーマルボンド加工法、スパンボンド紡糸/サーマルボンド法等公知の方法で作製された不織布に、タッチロール、グラビアロール等で、成分(A)を付着させた後、成分(A)の層上に成分(B)及び/または成分(C)からなる界面活性剤を付着させる方法を挙げることができる。しかし、特に例示したこれらの方法に限定されない。
本発明の消臭性繊維を用いた繊維成形体としては、ネット、ウェブ、編織物、不織布等を挙げることができ、特に不織布が好ましく用いられる。不織布加工の方法としては、サーマルボンド法(スルーエアー法、ポイントボンド法)、エアレイド法、ニードルパンチ法、ウォータージェット法等の公知の方法を用いることができる。短繊維をカード機等でウェブにした後に、前記不織布加工の方法でウェブを不織布にするだけでなく、メルトブロー法またはスパンボンド法でウェブを直接製造した後、前記不織布加工の方法でウェブを不織布にすることができる。また、混綿、混紡、混繊、交撚、交編、交繊等の方法で混合した繊維を前記不織布加工の方法で布状の形態にすることもできる。なお、本発明で得られた繊維成形品を単体で使用してもよいし、他の不織布、編織物、メッシュ状物、フィルム等の成形品と積層または一体化した状態で使用してもよい。
本発明の消臭性繊維及びそれを用いた繊維成形体は、おむつ、ナプキン、失禁パット等の吸収性物品、ガウン、術衣等の医療衛生材、壁用シート、障子紙、床材等の室内内装材、カバークロス、生ゴミ用カバー等の生活関連材、使い捨てトイレ、トイレ用カバー等のトイレタリー製品、ペットシート、ペット用おむつ、ペット用タオル等のペット用品、一般医療材、寝装材、フィルター材、介護用品など様々な繊維製品への用途に利用することができる。
特に本発明の消臭性繊維またはそれを用いた不織布を吸収性物品に用いると、消臭性以外に、おむつかぶれ等の皮膚炎から皮膚を保護する効果があるため好ましい。このおむつかぶれは、皮膚上に存在する細菌や酵素が尿等の排泄物と接触することにより、アンモニアを発生し、皮膚のpHを高め、これにより、蛋白質分解酵素や脂質分解酵素の活性が上がることが原因と考えられる。しかし、成分(A)中のカルボニル及びカルボキシルが、発生したアンモニアと反応すること、または弱酸性の緩衝作用を有することで、皮膚のpHを一定に保ち、結果的におむつかぶれを抑制することになる。
更に、2価金属および3価金属から選ばれる少なくとも2種の金属からなる複合酸化物が繊維表面を乾燥状態と同様な状態に保つ事で、全体にさらさらした触感を与える。この為肌に対して収斂、消炎、抗アレルギー作用等、スキンケアの役割も積極的に寄与する事ができる。この乾燥状態は肌に対しての作用以外にも、防ダニ、即ちダニに対しての増殖抑制も果す。乾燥状態がダニの水分調整バランスを崩し、繁殖能力を抑える事により、効果を発現する事ができる。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、各例において物性評価は以下に示す方法で行った。
(メルトフローレート)
JIS K 7210(1976年版)に準拠し、メルトフローレートの測定を行った。
ここで、MIは、表1の条件4に準拠し、MFRは、表1の条件14に準拠して測定した。
(制電性)
繊維50gを20℃、相対湿度45%の条件下で7m/minの速度でローラーカード試験機を用いてウェブとし、カード通過時の制電性について以下の基準で評価した。評価はウェブに発生した静電気の電圧及びウェブの目視による状態観察との併用で行った。
◎:100V未満、帯電がほとんどなくウェブの状態は良好である。
○:100V以上1kV未満、帯電がわずかでありウェブの状態は良好である。
△:1kV以上3kV未満、帯電によるウェブの乱れが若干確認される。
×:3kV以上、ウェブの乱れ、フライコムへの巻き上がりが著しく加工不可である。
(剥離・脱落防止性)
繊維50gを20℃、相対湿度45%の条件下で7m/minの速度のローラーカード試験機でウェブとした後、ローラーカード試験機を停止し、以下の基準で繊維からの処理剤の剥離・脱落状況を評価した。
○:剥離脱落による微粉の発生がない。
△:若干の微粉が確認される。
×:多量の微粉が確認される。
(繊維処理剤の付着量)
繊維を60℃のエタノール/水(50/50)混合溶媒に10分間浸漬し、水分をしぼった後、再度、60℃のエタノール/水(50/50)混合溶媒に10分間浸漬した後、乾燥し、浸漬前後の重量変化から、次式により付着量を求めた。ここでは、W1を3gとした。
付着量(重量%)={(W1−W2)/W2}×100
W1:浸漬する前の繊維の乾燥重量(g)
W2:浸漬した後の繊維の乾燥重量(g)
(消臭性試験)
実施例及び比較例で得られた不織布の消臭性能を、アンモニア、酢酸、硫化水素について次のように測定した。テドラーバッグ(登録商標、容積5リットル)に所定量(3g)の不織布を入れて密封した。次いで、シリンジを用いて、所定濃度の臭気成分を含む空気を、全ガス量3リットルとなるようにテドラーバッグ内に注入した。ガスを注入してから一定時間経過後に、テドラーバッグ内のガスをガス検知管(ガステック社製、アンモニア用3La、3L型、酢酸用81型、硫化水素用4LL、4LT型)を用いて直接測定し、下記式により臭気成分の除去率を求めた。
除去率(%)={(C0−C)/C0}×100
0:初期濃度
C:一定時間経過後の対象臭気物質濃度
実施例1
(消臭性繊維の作製)
消臭性繊維の作製は、次のように行った。複合酸化物としては、特開平11−209258号公報に記載の「実施例1」に従って得られる複合酸化物を用いる。分析により、この複合酸化物の組成はZn0.75Al0.25Oであった。該複合酸化物4重量%と、結晶性高密度ポリエチレン(エチレン単独重合体、融点131℃、MI16g/10min、略記号PE)96重量%との組成物を用い、芯成分として、結晶性ポリプロピレン(プロピレン単独重合体、融点163℃、MFR16g/10min、略記号PP)を用いて、それぞれの樹脂は体積比率で50:50とした。鞘芯型複合紡糸装置(鞘芯型紡糸口金を使用)により紡糸温度250℃で複合紡糸を行った。得られた未延伸糸は8.5dtexであった。この未延伸糸を用いてロール型延伸装置により、延伸温度90℃、延伸倍率4.5倍(最大破断倍率5.3倍)で延伸を行なった。延伸工程において成分(A)、(B)、(C)の混合物である繊維処理剤#1(構成は表2に記載)を付着させ、得られた延伸糸をカッターで切断して、ステープル状の複合繊維とした。得られた複合繊維は鞘芯型複合繊維であり、正量繊度2.2dtex、繊維長51mmであった。表1に、鞘芯成分の樹脂構成、複合酸化物、繊維処理剤の添加量を示した。なお、表に示す添加量は繊維重量に対する複合酸化物の重量%である。
(不織布加工)
スルーエアー加工(略記号TA):繊維をローラーカード試験機でカードウェブとし、サクションバンドドライヤー(133℃)で熱処理して、目付約50g/mのスルーエアー不織布とした。表1に、得られた不織布の消臭性能を示す。アンモニア、酢酸、硫化水素に対して非常に良好な消臭性能を発現していた。
実施例2
(消臭性繊維の作製)
実施例1で用いた複合酸化物を5重量%と、結晶性ポリプロピレン(プロピレン単独重合体、融点163℃、MFR16g/10min)95重量%の組成物を用いて紡糸を行った。得られた未延伸糸を、実施例1と同様に延伸工程において成分(A)、(B)の混合物である繊維処理剤#2を付着させ、得られた延伸糸をカッターで切断して、ステープル状の複合繊維とした。得られた繊維は正量繊度3.3dtex、繊維長64mmであった。
(不織布加工)
ニードルパンチ加工(略記号NP):繊維をローラーカード試験機でカードウェブとし、ニードルパンチ加工機で加工して、目付約100g/mのニードルパンチ不織布とした。表1に、得られた不織布の消臭性能を示す。
実施例3
(消臭性繊維の作製)
鞘成分として、実施例1で用いた複合酸化物6重量%と、エチレン−ブテン−プロピレン共重合体(エチレン含量4重量%、ブテン含量5重量%、プロピレン含量91重量%、融点131℃、MFR16g/10min、略記号co−PP)94重量%との組成物を用い、芯成分として、結晶性ポリプロピレン(プロピレン単独重合体、融点163℃、MFR16g/10min)を用いて、鞘芯型複合紡糸装置(鞘芯型紡糸口金を使用)により紡糸温度280℃で複合紡糸を行った。その他は実施例1と同様の方法でステープル状の複合繊維とした。得られた繊維は正量繊度2.2dtex、繊維長38mmであった。
(不織布加工)
ポイントボンド加工(略記号PB):繊維をローラーカード試験機でカードウェブとし、これをエンボス加工機{ロール温度126℃、線圧20kg/cm(換算値1.96×10N/cm)、エンボス面積率25%}で熱処理して、目付約50g/mのポイントボンド不織布とした。表1に、得られた不織布の消臭性能を示す。
実施例4
(消臭性繊維の作製)
鞘成分として、実施例1で用いた複合酸化物1重量%と、結晶性高密度ポリエチレン(エチレン単独重合体、融点131℃、MI16g/10min)99重量%との組成物を用い、芯成分として、ポリエチレンテレフタレート(極限粘度η=0.635、略記号PET)を用いて、それぞれの樹脂の体積比率を50:50とし、鞘芯型複合紡糸装置(鞘芯型紡糸口金を使用)により紡糸温度280℃で複合紡糸を行った。得られた未延伸糸を、実施例1と同様に延伸工程において成分(A)、(C)の混合物である繊維処理剤#3を付着させ、ステープル状の複合繊維とした。得られた繊維は正量繊度2.2dtex、繊維長51mmであった。
(不織布加工)
実施例1と同様の方法で不織布化を行い、消臭性試験を行った。
実施例5
第1成分として、実施例1で用いた複合酸化物2重量%と、結晶性高密度ポリエチレン(エチレン単独重合体、融点131℃、MI16g/10min)98重量%との組成物を用い、第2成分として、結晶性ポリプロピレン(プロピレン単独重合体、融点163℃、MFR16g/10min)を用いて、それぞれの樹脂は体積比率で50:50とした。並列型複合紡糸装置(並列型紡糸口金を使用)により紡糸温度250℃で複合紡糸を行った。得られた未延伸糸を、実施例1と同様に延伸工程において繊維処理剤#1を付着させ、ステープル状の複合繊維とした。得られた複合繊維は並列型複合繊維であり、正量繊度2.2dtex、繊維長38mmであった。
(不織布加工)
実施例1と同様の方法で不織布化を行い、消臭性試験を行った。
実施例6
実施例1で用いた複合酸化物を水に分散させたスラリー(粒子分 15重量%)とし、繊維処理剤#2と混合した繊維処理剤を作製した。鞘成分として、結晶性高密度ポリエチレン(エチレン単独重合体、融点131℃、MI16g/10min)のみ、芯成分として、結晶性ポリプロピレン(プロピレン単独重合体、融点163℃、MFR16g/10min)を用いた複合繊維を作製し、延伸工程で該繊維処理剤を付着させ、ステープル状の複合繊維を作製して不織布化を行った。得られた複合繊維は正量繊度2.2dtex、繊維長45mmであった。複合酸化物の付着量及び、繊維処理剤#2との合計付着量を表1に示す。
(不織布加工)
実施例1と同様の方法で不織布化を行い、消臭性試験を行った。
比較例1
繊維処理剤として、成分(B)、(C)の混合物である繊維処理剤#4を付着させた他は、実施例1と同様の方法で複合繊維を作製し、不織布化を行った。表1に得られた不織布の消臭性能を示す。酢酸、硫化水素に対して比較的良好な消臭性能であるものの、アンモニア消臭性能では劣っていた。
比較例2
鞘成分として、結晶性高密度ポリエチレン(エチレン単独重合体、融点131℃、MI16g/10min)のみ、芯成分として、結晶性ポリプロピレン(プロピレン単独重合体、融点163℃、MFR16g/10min)を用いた他は、実施例1と同様の方法で複合繊維を作製し、不織布化を行った。表1に得られた不織布の消臭性能を示す。アンモニアに対してのみ良好であり、酢酸、硫化水素に対する消臭性は劣っていた。
比較例3
繊維処理剤として、成分(A)のみの混合物である繊維処理剤#5を付着させた他は、実施例1と同様の方法で複合繊維を作製し、不織布化を行った。カード工程において剥離脱落による微粉の発生が認められ、またウェブの乱れ、フライコムへの巻き上がりが著しく加工困難であった。
比較例4
比較例1で得られた複合繊維(複合酸化物のみ添加)と、比較例2で得られた複合繊維(成分(A)、(B)、(C)のみ付着)を各々50/50の重量比となるように混綿し、実施例1と同様の方法で不織布化を行った。比較例4のみ消臭性試験のサンプル重量は6gで行い、各々の重量が他の実施例とほぼ等しくなるようにした。得られた不織布の消臭性能を表1に示す。複合酸化物と成分(A)、(B)、(C)を併用した実施例1に比べ、アンモニア消臭性にやや劣っていた。
比較例5
鞘成分として、結晶性高密度ポリエチレン(エチレン単独重合体、融点131℃、MI16g/10min)のみ、芯成分として、結晶性ポリプロピレン(プロピレン単独重合体、融点163℃、MFR16g/10min)を用い、繊維処理剤として、成分(B)、(C)の混合物である繊維処理剤#4を付着させた他は、実施例1と同様の方法で複合繊維を作製し、不織布化を行った。表1に得られた不織布の消臭性能を示す。アンモニア、酢酸、硫化水素いずれに対しても消臭性は劣っていた。
実施例7
実施例1と比較例5の不織布を用いて、生ごみ用カバーを作製し、実際に使用した際の臭気の変化を調べた。その結果、実施例1の生ごみカバーは比較例5の生ごみカバーと比較して、生ごみ由来の臭気が殆ど感じられず、消臭性に優れていた。
実施例8
実施例3と比較例5の不織布をバックシートとして用いたおむつを作製し、実際に用いた場合の臭気の変化を調べた。前記おむつに人尿100mlを吸収させた後テープで包み、密閉した袋中に入れて1日後の臭気の変化を調べた。その結果、実施例3のおむつは比較例5のおむつと比較して人尿由来の臭気が殆ど感じられず、消臭性に優れていた。
Figure 0004525443
Figure 0004525443
本発明の消臭性繊維は、2価金属および3価金属から選ばれる少なくとも2種の金属からなる複合酸化物を含有する熱可塑性樹脂からなる繊維に、繊維処理剤成分(A)、(B)及び/または(C)を、繊維表面に付着させる事により、消臭性能を発現させることができる。又消臭性能の他にも抗菌性、抗かび性を有し、これら機能と併せて消臭剤は繊維表面から剥離脱落せずに、制電性及び耐熱性にも優れた消臭性繊維を得る事ができる。特にアンモニア、アミン等の塩基性臭気物質、酢酸等の酸性臭気物質及び、硫化水素等の硫黄系臭気物質の三大臭気に対ししても幅広く対応可能であり、吸収速度に優れた充分な消臭性能を有する。
更に、本発明の消臭性繊維から得られる繊維成形体及び繊維製品は優れた消臭性、抗菌性、抗かび性、抗ダニ、抗アレルギー性能を有している。これらは、例えば、おむつ、ナプキン、失禁パット等の吸収性物品、ガウン、術衣等の医療衛生材、壁用シート、障子紙、床材等の室内内装材、カバークロス、生ゴミ用カバー等の生活関連材、使い捨てトイレ、トイレ用カバー等のトイレタリー製品、ペットシート、ペット用おむつ、ペット用タオル等のペット用品、一般医療材、寝装材、フィルター材、介護用品など様々な用途であっても、良好な性能を発揮できる。

Claims (7)

  1. 2価金属および3価金属から選ばれる少なくとも2種の金属からなる複合酸化物を繊維重量に対し0.1〜10重量%含有させた熱可塑性樹脂からなる繊維であり、該繊維は下記成分(A)〜(C)のうち、成分(A)を20〜80重量%、成分(B)及び/または成分(C)を80〜20重量%含む界面活性剤を主体とする繊維処理剤が繊維重量に対し0.1〜5重量%付着した消臭性繊維。
    成分(A):ベタイン型両性化合物、カルボニル化合物およびビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種類からなる成分
    成分(B):アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤および多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも1種類からなる非イオン系界面活性剤
    成分(C):カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩およびリン酸エステル塩からなる群から選ばれた少なくとも1種類からなるアニオン系界面活性剤
  2. 複合酸化物が下記一般式(1)
    2+ (1-x1)3+ x1-δO (1)
    (M2+は亜鉛又は亜鉛を必須成分とする2価金属を示し、M3+はAl,Fe,Ceから選ばれる3価金属を示し、x1は0<x1≦0.5の範囲の数を示し、δはカチオン格子欠陥を示す)で表わされる複合酸化物または下記式(2)
    (M1 2+1-x2(M2 2+x2O (2)
    [式中、M1はMgおよび/またはCaを、M2はCuおよび/またはZnを示し、x2は0.0001≦x2≦0.5の範囲の数を示す]の複合酸化物である請求項1に記載の消臭性繊維。
  3. 消臭性繊維が、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂からなる複合繊維であり、その内の少なくとも1種類の熱可塑性樹脂中に、上記複合酸化物を繊維重量に対し、0.1〜10重量%練り込み、かつ該複合繊維の外周に上記成分(A)を20〜80重量%、成分(B)及び/または成分(C)を80〜20重量%含む界面活性剤を主体とする繊維処理剤が繊維重量に対し、0.1〜5重量%付着した請求項1または2に記載の消臭性繊維。
  4. 少なくとも2種類の熱可塑性樹脂からなる複合繊維が鞘芯型複合繊維であり、上記複合酸化物が、複合繊維の鞘成分内に練り込まれている請求項3に記載の消臭性繊維。
  5. 上記成分(A)の付着量が、繊維重量に対して少なくとも0.1重量%である請求項1〜4のいずれか1項記載の消臭性繊維。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の消臭性繊維を用いた繊維成形体。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の消臭性繊維または請求項6に記載の繊維成形体を用いた繊維製品。
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