JP4780519B2 - 親水性を有する抗菌・消臭性繊維、繊維成形品及び繊維製品 - Google Patents

親水性を有する抗菌・消臭性繊維、繊維成形品及び繊維製品 Download PDF

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Description

本発明は、抗菌・消臭性繊維に関する。更に詳しくは、おむつ、ナプキン、パッド等の吸収性物品、医療衛生材、生活関連材、一般医療材、寝装材、フィルター材、介護用品、及びペット用品等の用途に適した抗菌・消臭性繊維、該繊維から構成された繊維成形品、さらに該繊維成形品を用いた繊維製品、及びそれらの製造方法に関する。
近年、生活様式の変化、居住環境の高密度化や気密性の高まり等により、我々の生活空間には様々な細菌やかびが存在している。特に日本のような高温多湿の環境下では、吸収性物品に代表される衛生材料、衣服などの繊維材料の表面に細菌やカビなどが増殖し易い。その結果、皮膚障害を起こしたり、繊維の変質、変色による品質低下、或いは微生物の繁殖に伴う悪臭を生じる。中でも悪臭の発生は特に問題とされ、微生物の増殖抑制、悪臭除去に対する要求は近年共に高まってきている。代表的な悪臭成分として、アンモニア、トリメチルアミン等の塩基性ガス、硫化水素やメチルメルカプタン等の含硫黄化合物及び、汗腺、皮脂腺等から出る排泄物を微生物が分解することにより生じる酢酸、酪酸、吉草酸及びカプロン酸等の低級脂肪酸類等がある。これら以外にも、人に不快を感じさせる成分としては、インドール、スカトールのような含窒素環状化合物等が知られている。
かかる臭気物質を除去する代表的な方法として、活性炭やシリカゲル等の多孔質体を用いて吸着する物理的吸着法、中和、酸化反応等により反応、除去する化学的方法、強い芳香により不快感を抑える感覚的方法等がある。
一方、微生物の増殖に伴う悪臭の発生に対しては、抗菌性を繊維に付与させる事で間接的に抑制する事が出来る。先に挙げた臭気物質を除去する手法と併用する事により効率的に臭気を除去し、発生を抑制する事が可能である。このような手法の代表的なものとして、銀、亜鉛系等の無機系抗菌・消臭剤があり、特に酸化亜鉛及び亜鉛系無機化合物は、銀系抗菌・消臭剤に見られる変色、水道水中での活性低下が少ない事から、数多くの方法が提案されている(例えば特許文献1、2、3参照)。
一方、繊維を構成する熱可塑性樹脂の中には、疎水性を示す物が多く、かかる繊維を繊維成型品に用いる場合、親水性を有する界面活性剤を付着或いは添加して親水性を発現させている。特に紙おむつや生理用ナプキン、失禁パッド等に代表される衛生用品では、着用時に肌に触れる側から、表面材、吸収材、防水材の3層で構成されており、表面材には、尿や経血等の液体を残さず迅速に吸収材へと通過させる透水性が求められ、着用者が衛生用品を交換する回数を低減させるため、その透水性が出来るだけ維持されるように繰り返しの透水性(以下、耐久親水性と言うことがある)を持つことが求められる。
しかし、先に挙げた酸化亜鉛及び亜鉛系無機化合物を添加した抗菌・消臭繊維は、良好な抗菌・消臭性を有する一方で、疎水性を示す熱可塑性樹脂に添加した場合、一般に親水性の発現に優れるアニオン系界面活性剤を付着或いは添加しても親水性が低下、或いは失活してしまい、殆んど親水性が発現しない問題が見られていた。このため親水性を要求される上記衛生用品等の繊維製品への使用が大きく制限されていた。
特許第2544788号公報 特開平5−156510号公報 特許第3071594号公報
本発明の目的は、細菌、かびに対して優れた増殖抑制効果を有し、更に塩基性ガス、硫黄系化合物、低級脂肪酸等、多種類の臭気性物質にも対応可能である一方、親水性を有し、尿や経血等の液体に対しても優れた透水性を発現することができる抗菌・消臭性繊維、該繊維を用いた繊維成形品、及び繊維製品を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた。その結果、下記の構成を有する繊維が、前記課題を解決することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。本発明は、以下の構成を有する。
[1]熱可塑性樹脂成分を有する繊維であって、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を、繊維全質量に対し0.1〜10質量%の範囲で含み、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤が繊維全質量に対し0.1〜5質量%の範囲で付着している抗菌・消臭性繊維。
[2]上記2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物が、酸化亜鉛である上記[1]の繊維。
[3]上記2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物が、下記一般式(1)
2+ (1-x)3+ (x-δ)O (1)
(M2+は亜鉛又は亜鉛を必須成分とする2価金属を示し、M3+はAl、Fe、Ceから選ばれる3価金属を示し、xは0<x≦0.5の範囲の数を示し、δはカチオン格子欠陥を示す。)で表わされる複合酸化物である前記[1]の繊維。
[4]上記アルキレンオキシド付加型非イオン界面活性剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪族アミン、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸アミド及びポリオキシアルキレンアルキルアルカノールアミドからなる群から選ばれる上記の繊維。
[5]多価アルコール型非イオン系界面活性剤がグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン及びソルビトールの高級脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン高級脂肪酸エステル、並びに高級脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選ばれる上記の繊維。
[6]繊維が少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を用いて得られる鞘芯型複合繊維であり、上記2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物が、該複合繊維の鞘成分内に練り込まれている上記の繊維。
[7]該少なくとも1種類の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、該樹脂が鞘側に配された鞘芯型複合繊維である上記の繊維。
[8]上記繊維を用いて得られた繊維成形品。
[9]熱可塑性樹脂を用いて得られる繊維と、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を0.1〜15質量%、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤を0.1〜10質量%、含む繊維成形品。
[10]上記の繊維成形品を用いて製造された繊維製品。
[11]熱可塑性樹脂を用いて得られる繊維と、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を0.1〜20質量%、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤を0.1〜15質量%、含む繊維製品。
本発明の抗菌・消臭性繊維は、2価金属から選ばれる少なくとも1種類の金属酸化物を含むことにより、細菌、かびに対する増殖抑制及び、消臭性能を発現させることができる。また、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤を含む群から選ばれた少なくとも1種の非イオン系界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤を繊維全質量に対し0.1〜5質量%付着させることにより、親水性を維持し優れた透水性を発現することができる。
このような抗菌・消臭性繊維を用いて、例えばネット、ウェブ、編織物、不織布などの繊維成形品に加工することにより、抗菌・消臭性、及び透水性に優れた繊維成形品を得ることができる。さらにこのような繊維成形品を用いて、優れた抗菌・消臭性且つ透水性を発揮する吸収性物品、医療衛生材、室内内装材、生活関連材、トイレタリー製品、ペット用品、一般医療材など様々な繊維製品を製造することができる。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明の抗菌・消臭性繊維は、具体的には、繊維が熱可塑性樹脂で構成され、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物(以下、単に金属酸化物とも称する。)を繊維全質量に対し、0.1〜10質量%含み、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の非イオン系界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤が繊維全質量に対し0.1〜5質量%付着している熱可塑性単一繊維又は熱可塑性複合繊維である。ここで、繊維全質量とは、繊維を構成する樹脂成分、金属酸化物及び繊維処理剤を包含する繊維全体の質量を意味する。
[金属酸化物]
本発明中の金属酸化物に用いられる2価金属は、例えば銅等の周期表1B族元素、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2A族元素、亜鉛、カドミウム等の周期表2B族元素、クロム、モリブデン等の周期表6A族元素、マンガン等の周期表7A族元素、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム等の周期表8族元素などが挙げられる。これらの2価金属の酸化物は、単独で使用してもよく2種又はそれ以上でも良い。
中でも、好ましい2価金属には遷移金属、例えば銅等の周期表1B族元素、亜鉛等の周期表2B族元素、マンガン等の周期表7A族元素、鉄、コバルト、ニッケル等の周期表8族元素が含まれ、亜鉛、銅、鉄、コバルト、ニッケルがより好ましい。
使用する金属酸化物として特に好ましいのは、酸化亜鉛もしくは下記式(1)で表される酸化亜鉛系複合酸化物である。
2+ (1-x)3+ (x-δ)O (1)
(式中、M2+はZn又はZnを必須成分とする2価金属を示し、M3+はAl、Fe、Ceから選ばれる3価金属、好ましくはAlを示し、xは0<x≦0.5の範囲の数を示し、δはカチオン格子欠陥を示す。)
この酸化亜鉛系複合酸化物とは、ZnOにAl等のM3+が置換固溶したZnOと同じ結晶構造の固溶体、あるいは該固溶体とスピネル(M2+3+ 24)との混合物を意味し、粉末X線回折にかけるとZnOと殆ど同じ回折パターンを示す。
式(1)において、xの値が0.5以下の場合、式(1)の固溶体にAl23、Fe23、Ce23等が混在しないか混在しても問題になる量ではないので、式(1)の固溶体の特性が十分に発揮され好ましい。またxの値が小さくても、M2+が活性化される範囲であれば、十分な消臭性能を得ることができる。このため、本発明に用いる複合酸化物のxの範囲は、0<x≦0.5、好ましくは0.1≦x≦0.4、より好ましくは0.2≦x≦0.4である。
該複合酸化物は市場で入手することができ、市販品として例えば、ハクスイテック株式会社製「パゼットシリーズ」、または株式会社海水化学研究所製「シーバイオ」等がある。なお、該複合酸化物の製造の過程で副生したAl23、Fe23、Ce23等が式(1)の複合金属酸化物に混在した状態であっても、本発明の効果が損なわれない限り抗菌・消臭剤として適用することができる。また、M2+はZn又はZnを必須成分とする2価金属であり、具体的にはZn以外に、Ca、Mg、Cu等を併用することで、大腸菌、黄色ブドウ球菌等の細菌に加え、黒かび等、カビに対する増殖抑制効果も高められる等の効果が得られる。
本発明に用いる金属酸化物の含有量、及びM2+、M3+、の混率を定性、定量的に確認する方法として、繊維表面に露出した金属酸化物の微粒子を蛍光X線分析、X線光電子分光分析等により表面分析を行う方法、繊維を構成する熱可塑性樹脂を溶解可能な溶媒を用いて溶解、含有する金属酸化物を濾過、遠心分離等の手法で分離した後、先に挙げた表面分析及び原子吸光法、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析法等の手法で元素分析を行う方法、繊維を燃焼させた後、金属化合物を含んだ残渣を先に挙げた手法で元素分析を行う方法等が挙げられる。勿論、例示したこれらの方法に限定されず、他の手法でも確認可能である。更に、これらの手法を併用することにより、含有する無機物が2価及び/または3価金属の固溶体であるか、異なる金属酸化物を混合させた物であるかを判別し易くなるため好ましい。
本発明に用いる金属酸化物は、繊維全質量に対して0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜5質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。また、金属酸化物の繊維成形品中での含有量は、0.1〜15質量%、好ましくは0.3〜10質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。さらに、また、金属酸化物の繊維製品中での含有量は0.1〜20質量%、好ましくは0.3〜15質量%、より好ましくは0.5〜15質量%である。金属酸化物の含有量が上記規定の範囲であれば、生産性を維持しつつ、抗菌性、消臭性を発現させる事が出来る。十分な抗菌性、消臭性を発現させる為に金属酸化物の含有量が少なくとも0.1質量%以上であることが好ましい。
上記の成分より構成された金属酸化物を繊維に添加することにより、良好な抗菌・消臭性を発現することができるが、得られた繊維は親水性、透水性が十分満足なレベルにあるとは言えない。更に、親水性の発現に優れるアニオン系界面活性剤を付着あるいは添加しても、親水性は低下あるいは失活してしまう。主な要因として、界面活性剤中の親水基、特にフォスフェート基に代表されるアニオン基が酸化物中の金属と反応することで、水に不溶の金属塩を形成するためと考えられる。その結果親水基が失活して本来持っている親水性を発現できないと推測される。また、親水基と反応した金属酸化物は、必然的に臭気物質との反応に関与し難くなり、その結果消臭性能の低下を引き起こすこととなる。
[非イオン系界面活性剤]
そこで非イオン系界面活性剤を繊維に付着させることにより、親水性を付与することができ、透水性が要求される部材でも問題なく使用することができる。更に消臭性の低下もなく、十分な性能を発揮することが可能となる。
本発明で用いられる非イオン系界面活性剤は、アルキレンオキシド付加型非イオン界面活性剤及び多価アルコール型非イオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である。
上記非イオン系界面活性剤を構成する疎水性部分として例えばアルキル基が挙げられ、該アルキル基として炭素原子数8〜24のものが好ましく、12〜22がより好ましい。このアルキル基は、任意の−CH2−が−CH=CH−、シクロアルキレン、またはシクロアルケニレンで置き換えられてもよい。このアルキル基は、パーム油、牛脂、ナタネ油、米糠油、魚油等の天然油脂由来のアルキル基でも合成系のアルキル基でもよい。
非イオン系界面活性剤は例えば、高級アルコール、高級脂肪酸またはアルキルアミン等に直接アルキレンオキシドを付加させるか、グリコール類にアルキレンオキシドを付加させて得られるポリエチレングリコール類に高級脂肪酸等を反応させるか、または多価アルコールに高級脂肪酸を反応して得られたエステル化物にアルキレンオキシドを付加させることにより得られる。
アルキレンオキシド付加型非イオン界面活性剤を構成するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダムまたはブロック付加物が挙げられ、なかでも、エチレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダムまたはブロック付加物が好ましい。付加モル数は、5〜50モルが好ましく、付加すべきアルキレンオキシドのうち50〜100質量%がエチレンオキシドであることが好ましい。なお、エチレンオキシドをEOと略し、nモル付加した場合に、EO(n)として表記する場合がある。
アルキレンオキシド付加型非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪族アミン、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸アミド及びポリオキシアルキレンアルキルアルカノールアミドなどが挙げられる。本発明ではこのようなアルキレンオキシド付加型非イオン界面活性剤を1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
一方多価アルコール型非イオン界面活性剤としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン及びソルビトールの高級脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン高級脂肪酸エステル、並びに高級脂肪酸アルカノールアミドなどが挙げられる。本発明ではこのような多価アルコール型非イオン界面活性剤を1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
上記のポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪族アミン、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレンアルキルアルカノールアミド、及び多価アルコール型非イオン界面活性剤を構成する高級脂肪酸としては、パーム油、牛脂、ナタネ油、米糠油、魚油等の天然脂肪酸由来の高級脂肪酸が一般的に利用できるが、化学的に合成した高級脂肪酸を使用してもよい。
ポリオキシアルキレン多価アルコール高級脂肪酸エステル及び多価アルコール型非イオン界面活性剤を構成する多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトール、ショ糖等の3〜8価アルコールを挙げることができる。特にグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン及びソルビトールが好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルを構成するアルキルフェニルとしては、炭素原子数8〜12のアルキルを有するモノアルキルフェニルまたはジアルキルフェニルを挙げることができる。
ポリオキシアルキレン高級脂肪族アミンを構成するアルキルアミノ基としては、炭素原子数が好ましくは8〜24、より好ましくは12〜22のアルキルを有するモノアルキルアミノまたはジアルキルアミノを挙げることができる。このアルキルの任意の−CH2−が−CH=CH−、シクロアルキレン、またはシクロアルケニレンで置き換えられてもよい。
ポリオキシアルキレンアルキルアルカノールアミドを構成するアルキルアルカノールアミドは、アルカノールアミンと高級脂肪酸の脱水反応によって得られる基である。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン等を挙げることができる。
上記の非イオン系界面活性剤のうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸アミド、ポリグリセリン高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアルカノールアミド、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン及びソルビトール等の高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルカノールアミドが特に好ましく用いられる。
[繊維処理剤]
本発明において使用する繊維処理剤は、上記の非イオン系界面活性剤を主体として含むものであって、具体的には該繊維処理剤は非イオン系界面活性剤を40質量%以上含むことが適当であって、好ましくは60質量%以上含む。繊維処理剤における非イオン系界面活性剤のこのような含有量によって親水性が十分に発現される。ここで、「主体とする」とは、繊維処理剤の成分中、相対的に最も多いことを意味する。繊維処理剤は上記の非イオン系界面活性剤のみからなるものでもよい。
更に、この繊維処理剤の繊維への付着量は、繊維全質量に対して0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%、より好ましくは0.3〜1.5質量%である。また、繊維処理剤の繊維成形品中での含有量は、0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%、より好ましくは0.3〜3.0質量%である。さらに、また、繊維処理剤の繊維製品中での含有量は0.1〜15質量%、好ましくは0.2〜10質量%、より好ましくは0.3〜5.0質量%である。繊維処理剤の含有量が上記規定の範囲であれば、抗菌・消臭性を維持しつつ、親水性を発現させることができる。
親水性及び透水性を充分に発現させるために、特に非イオン系界面活性剤の付着量が少なくとも0.1質量%であることが好ましい。
繊維に開繊処理が必要な場合、繊維処理剤は、その開繊工程での繊維の加工性を維持する為に、当該工程前において、繊維全質量に対し5質量%以下の量を付着させるのが好ましい。また、繊維処理剤及び金属酸化物は、得られる繊維成形品中の含有量がそれぞれ10質量%及び15質量%を超えないという条件の下で、繊維の製造工程及び/または繊維を繊維成形品へ加工する工程において、同時にまたはそれぞれ独立して、1〜複数回に渡って付着させるのが好ましい。また、繊維処理剤及び金属酸化物は、得られる繊維製品中の含有量が、それぞれ15質量%及び20質量%を超えないという条件の下で、繊維の製造工程及び/または繊維を繊維成形品へ加工する工程及び/または繊維成形品を繊維製品へと加工する工程において、同時にまたはそれぞれ独立して、1〜複数回に渡って付着させるのが好ましい。なお、繊維処理剤を繊維へ付着する場合には、付着加工がし易いように、繊維処理剤を水で希釈し、仕上剤として使用することが好ましい。
本発明に用いられる繊維処理剤において、繊維開繊工程(例えばカード、エアレイド機によるウェブ、スライバーへの加工工程)時の摩擦による帯電を防止するため、アニオン系界面活性剤(例えばカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩およびリン酸エステル塩等)を本発明の効果を阻害しない範囲で含んでも良い。具体的には、繊維処理剤中に25質量%を超えない範囲でアニオン系界面活性剤を添加することにより、制電性と親水性とのバランスを良好にでき、これにより繊維開繊工程での加工性の向上に繋がるので好ましい。
本発明に用いられる繊維処理剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で、ベンザルコニウムクロライド等のアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、セチルピリジニウムクロライド等のアルキルピリジニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩、ポリリジン等のカチオン系抗菌剤を添加することができる。
また、必要により、繊維処理剤に、炭素原子数2〜4のアルカノールアミン等のpH調整剤、EDTA、ポリリン酸ナトリウム等のキレート剤、スクワラン、ヒアルロン酸ナトリウム等の皮膚保護剤、茶葉由来カテキン、甘草、アロエエキス等の植物抽出エキス、ジメチルポリシロキサン(シリコーンオイル)、パーフルオロアルキル基含有化合物等の撥水剤、リモネン、フェニルエチルアルコール、ヘキシルシンナミックアルデヒド等の香料、防腐剤、防錆剤、消泡剤等を添加してもよい。
[繊維を構成する熱可塑性樹脂]
本発明の抗菌・消臭性繊維が1種類の均一な熱可塑性樹脂成分からなる繊維(単一繊維)である場合、用いる熱可塑性樹脂成分としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、立体規則性ポリスチレン樹脂、またはこれらの混合物等が例示されるが、特に限定されるものではない。また、本発明の繊維は、エラストマー樹脂を主成分とする樹脂組成物から得られるものでも構わない。ここで主成分とは、エラストマー樹脂の最も多い成分を言う。エラストマー樹脂は、常温(20〜30℃)では加硫ゴムと同様な弾性体の性質を持ち(分子中のソフトセグメントによる)、高温では通常の熱可塑性樹脂と同様に既存の繊維成形機をそのまま使って成形することができる(分子中のハードセグメントによる)高分子材料である。このようなエラストマー樹脂としては、ポリスチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマーを挙げることができる。このようなエラストマー樹脂を用いると、本来の抗菌・消臭性機能の他に、伸縮弾性機能も具備することができる。
本発明の抗菌・消臭性繊維が複合繊維である場合、少なくとも2成分の熱可塑性樹脂で構成される。本発明でいう熱可塑性樹脂は、繊維形成性を有し、通常の溶融紡糸装置を使用して溶融紡出可能なものであれば特に限定されることはない。例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及び熱可塑性エラストマー樹脂、立体規則性ポリスチレン樹脂、またはこれらの混合物等が例示されるが、鞘成分については、後述の理由よりポリオレフィン系樹脂を用いることが特に好ましい。
上記のポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレン共重合体、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、ポリブテン−1、ポリヘキセン−1、ポリオクテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリメチルペンテン、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエンが利用できる。更にこれらの単独重合体に、単独重合体を構成する単量体以外のエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1または4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンが共重合成分として少量含有されていてもよい。また、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、スチレン及びα−メチルスチレン等の他のエチレン系不飽和モノマーが共重合成分として少量含有されていてもよい。また上記ポリオレフィン樹脂を2種以上混合して使用してもよい。これらは、通常のチーグラーナッタ触媒から重合されたポリオレフィン樹脂だけでなく、メタロセン触媒から重合されたポリオレフィン樹脂、及びそれらの共重合体も好ましく用いることができる。また、好適に使用できるポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(以下、MFRと略す)は、紡糸可能な範囲であれば特に限定されることはないが、1〜100g/10分が好ましく、より好ましくは、5〜70g/10分である。
上記MFR以外のポリオレフィンの物性、例えばQ値(重量平均分子量/数平均分子量)、ロックウェル硬度、分岐メチル鎖数等の物性は、本発明の要件を満たすものであれば、特に限定されない。
ポリエステル系樹脂は、ジオールとジカルボン酸とから縮重合によって得ることができる。ポリエステル樹脂の縮重合に用いられるジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等を挙げることができる。また、用いられるジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。本発明ではポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートが好ましく利用できる。また、これらのポリエステル樹脂は、単独重合体だけでなく、共重合ポリエステル(コポリエステル)でもよい。このとき、共重合成分としては、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸成分、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のジオール成分が利用できる。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン−4、ナイロン−6、ナイロン−46、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−12、ポリメタキシレンアジパミド(MXD−6)、ポリパラキシレンデカンアミド(PXD−12)、ポリビスシクロヘキシルメタンデカンアミド(PCM−12)が利用できる。更にこれらのポリアミド樹脂に用いられている単量体を構成単位とするアミドの共重合体も利用できる。
立体規則性ポリスチレン系樹脂は、13C−NMR法により測定されるタクティシティーとして、連続する複数個の構造単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアット、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示すことができるが、本発明で用いられる該立体規則性ポリスチレン系樹脂としては、通常ペンタッド分率が85%以上、好ましくは95%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリエチルスチレン、ポリイソプロピルスチレン等のポリアルキルスチレン、ポリクロロスチレン、ポリブロモスチレン、ポリフルオロスチレン等のポリハロゲン化スチレン、ポリクロロメチルスチレン等のポリハロゲン化アルキルスチレン、ポリメトキシスチレン、ポリエトキシスチレン等のポリアルコキシスチレン、ポリ安息香酸エステルスチレン等であり、これらを単独もしくは混合して使用する事ができるのは勿論、これら共重合体を構成するモノマー相互の共重合体もしくはこれらモノマーを主成分とする共重合体である。
すなわち、上述のモノマー群から選択される1種以上のモノマーとエチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、デセン等のオレフィン系モノマー、ブタジエン、イソプレン等のジエン系モノマー、環状オレフィンモノマー、環状ジエンモノマーもしくはメタクリル酸メチル、無水マレイン酸、アクリロニトリル等の極性ビニル系モノマーとのシンジオタクティックスチレン構造を有する共重合体である。これらの単独重合体もしくは共重合体は市販品を使用する事ができる。
上記熱可塑性樹脂の中でも特に、疎水性であり、ガスに対する透過性が比較的高いポリオレフィン系樹脂に、例えば酸化亜鉛もしくは酸化亜鉛系複合酸化物といった金属酸化物を練り込む、あるいは付着などの手段で繊維表層に添加することで、臭気物質に対する反応が効率良く進む。即ち、前記単一繊維あるいは複合繊維の鞘成分には、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
本発明に用いる熱可塑性樹脂には、本発明の効果を妨げない範囲内でさらに、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料及び可塑剤等の添加剤を適宣必要に応じて添加してもよい。
本発明の抗菌・消臭性繊維として、少なくとも2種の熱可塑性樹脂からなる複合繊維を利用することで、熱接着性能を発揮させることができる。複合繊維に充分な熱接着性能を発揮させるためには、該複合繊維が、例えば芯成分と鞘成分とからなる場合、鞘成分の熱可塑性樹脂が芯成分の熱可塑性樹脂よりも低融点であり、鞘成分が繊維表面に露出していることがよい。熱可塑性単一繊維の場合、繊維成形品に成形する主な加工方法には、バインダーによる被覆や、ニードルパンチ、スパンレース等の物理的交絡法になるが、これらの方法では、バインダーによって有効成分を被覆してしまう場合や、針、高圧水流によって有効成分を脱落させてしまう場合がある。しかし、複合繊維とすることで、熱加工により成形が可能となるため、被覆や脱落による抗菌・消臭性能の低下を最小限に抑えることができる。金属酸化物は、複合繊維を構成する全ての樹脂成分に含まれていても良く、その一部の樹脂成分に含まれていてもよい。
本発明の抗菌・消臭性繊維の断面形状としては、円形断面形状だけでなく、異形断面形状(非円形断面形状)にすることができる。異形断面形状としては、例えば、星形、楕円形、三角形、四角形、五角形、多葉形、アレイ形、T字形及び馬蹄形等を挙げることができ、これらの場合、表面積が拡大するので抗菌・消臭効果が向上する。更にこれらは前記異形の他、中空断面にすることもできる。
また、複合繊維の場合、鞘芯型、並列型、偏心鞘芯型、多層型、放射型または海島型等が例示できるが、複合酸化物が効率良く露出されやすいこと、熱接着による不織布化が容易である事等の理由から、鞘芯型、並列型、偏心鞘芯型断面であることが好ましい。
本発明の抗菌・消臭性複合繊維を構成する熱可塑性樹脂の組合せとしては、その組合せ例を鞘成分/芯成分の形式で表すと、ポリオレフィン樹脂/ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂/ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂/ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂/ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂/ポリアミド樹脂の組合せが利用できる。ポリオレフィン樹脂/ポリオレフィン樹脂の組合せとしては、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレンが例示できる。
ポリオレフィン樹脂/ポリエステル樹脂の組合せとしては、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートが例示できる。
ポリエステル樹脂/ポリエステル樹脂の組合せとしては、共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレートが例示できる。
本発明の抗菌・消臭性複合繊維において、鞘成分と芯成分との複合比(質量比)は10対90〜90対10の範囲にすることが好ましく、より好ましくは30対70〜70対30である。かかる範囲の複合比とすることにより、両成分が均一に配置された断面形状となる。尚、以下の説明においても複合比の単位は質量に基づく。
[繊維への金属酸化物及び繊維処理剤の適用、繊維成形品]
本発明によれば、熱可塑性樹脂を用いて得られる繊維に、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を、繊維全質量に対し0.1〜10質量%の範囲で含ませ、及びアルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤を繊維全質量に対し0.1〜5質量%の範囲で付着させることで、抗菌・消臭性繊維を製造することができる。
本発明において、繊維が金属酸化物を「含む」という場合、当該金属化合物が、繊維に付着している態様をも包含する。金属酸化物を繊維に含ませる具体的な方法としては、繊維を構成する所望の樹脂成分中、特に鞘芯型複合繊維にあっては鞘成分中に、パウダー、マスターバッチ等を練り込むことが、繊維開繊工程(例えばカード、エアレイド機によるウェブ、スライバーへの加工工程)時の脱落を最小限に抑える、あるいは耐水性(水中への脱落を抑制する)を付与できるなどの理由で最も好ましい。
または、金属酸化物の微粒子をスラリー状にして、繊維処理剤と共に付着させる方法でも良い。
金属酸化物及び繊維処理剤を繊維に付着させる方法に制限はなく、紡糸及び/または延伸工程でオイリングロールとの接触、浸漬槽への浸漬、スプレー噴霧等により繊維に付着できる。
本発明によれば、繊維への金属酸化物及び繊維処理剤の適用の態様は、繊維からネット、ウェブ、スライバー、編織物、不織布等の繊維成形品への加工過程で金属酸化物及び繊維処理剤を適用することもでき、あるいは繊維から繊維成形品に加工された後に、その繊維成形品へ金属酸化物及び繊維処理剤を適用することもでき、あるいは、繊維成形品から繊維製品を加工する工程で、金属酸化物及び繊維処理剤を適用する事もできる。
例えば、不織布加工工程でウェブに接触法、浸漬法、噴霧法により付着させる方法や、繊維成形品に加工した後に接触法、浸漬法、噴霧法により付着させる方法が利用できる。更に付着は、繊維処理剤及び金属酸化物スラリーの混合物を一度に付着させる方法でもよいが、紡糸工程、延伸工程または不織布加工工程において金属酸化物スラリーを先に付着させた後、金属酸化物スラリーの上に非イオン系界面活性剤を含む繊維処理剤を付着させる方法が好ましく利用できる。これらの手法では繊維処理剤が金属酸化物スラリーを覆い保護するため、不織布加工工程中の繊維開繊工程における金属酸化物スラリーの脱落をより最小限に抑えることができる。
一例として、乾式紡糸法、湿式紡糸法、ゲル紡糸法、溶融紡糸法等の公知の方法で製造される繊維に、この紡糸工程において、タッチロール等の方法で金属酸化物スラリーまたは、金属酸化物スラリーと非イオン系界面活性剤を含む繊維処理剤との混合物を付着させた後、延伸工程において、金属酸化物スラリーの層上に、非イオン系界面活性剤を含む繊維処理剤を付着させる方法が挙げられる。
更に他の例として、ウェブ/ウォータージェット加工法、短繊維/エアレイド/サーマルボンド加工法、メルトブロー紡糸/サーマルボンド加工法、スパンボンド紡糸/サーマルボンド法等公知の方法で作製された不織布に、タッチロール、グラビアロール等で、金属酸化物スラリーと繊維処理剤との混合物を付着、あるいは、金属酸化物スラリーを付着させた後、金属酸化物スラリーの層上に界面活性剤を含む繊維処理剤を付着させる方法を挙げることができる。しかし、特に例示したこれらの方法に限定されない。
上記のような方法により、抗菌・消臭性繊維を用いた繊維成形品が得られる。さらに具体的に、熱可塑性樹脂を成分とする繊維であって、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を、繊維全質量に対し0.1〜10質量%の範囲で含み、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤が繊維全質量に対し0.1〜5質量%の範囲で付着している抗菌・消臭性繊維から構成された繊維成形品が得られる。
本発明はまた、構成成分として熱可塑性樹脂を有する繊維と、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を0.1〜15質量%、及びアルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤を0.1〜10質量%、含有する繊維成形品に向けられている。
本発明はまた、構成成分として熱可塑性樹脂を有する繊維と、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を0.1〜20質量%、及びアルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤を0.1〜15質量%、含有する繊維製品に向けられている。
本発明の繊維成形品としては、ネット、ウェブ、編織物、不織布等を挙げることができ、特に不織布が好ましく挙げられる。不織布加工の方法としては、サーマルボンド法(スルーエアー法、ポイントボンド法)、エアレイド法、ニードルパンチ法、ウォータージェット法等の公知の方法を用いることができる。短繊維をカード機等でウェブにした後に、前記不織布加工の方法でウェブを不織布にするだけでなく、メルトブロー法またはスパンボンド法でウェブを直接製造した後、前記不織布加工の方法でウェブを不織布にすることができる。また、混綿、混紡、混繊、交撚、交編、交繊等の方法で混合した繊維を前記不織布加工の方法で布状の形態にすることもできる。なお、本発明で得られた繊維成形品を単体で使用してもよいし、他の不織布、編織物、メッシュ状物、フィルム等の成形品と積層または一体化した状態で使用してもよい。
[繊維製品]
本発明の抗菌・消臭性繊維から構成された繊維成形品を用いた繊維製品としては、おむつ、ナプキン、失禁パット等の吸収性物品、ガウン、術衣等の医療衛生材、壁用シート、障子紙、床材等の室内内装材、カバークロス、生ゴミ用カバー等の生活関連材、使い捨てトイレ、トイレ用カバー等のトイレタリー製品、ペットシート、ペット用おむつ、ペット用タオル等のペット用品、一般医療材、寝装材、フィルター材、介護用品など様々な親水性、透水性を要求される繊維製品への用途に利用することができる。
特に本発明の抗菌・消臭性繊維またはそれを用いた不織布を吸収性物品に用いると、消臭性以外に、おむつかぶれ等の皮膚炎から皮膚を保護する効果があるため好ましい。このおむつかぶれは、皮膚上に存在する細菌や酵素が尿等の排泄物と接触することにより、アンモニアを発生し、皮膚のpHを高め、これにより、蛋白質分解酵素や脂質分解酵素の活性が上がることが原因と考えられる。しかし、金属酸化物中の2価及び3価金属が、発生したアンモニアと反応すること、または弱酸性の緩衝作用を有することで、皮膚のpHを一定に保ち、結果的におむつかぶれを抑制することになる。
更に、金属酸化物が繊維表面を乾燥状態と同様な状態に保つ事で、全体にさらさらした触感を与える。この為肌に対して収斂、消炎、抗アレルギー作用等、スキンケアの役割も積極的に寄与する事ができる。この乾燥状態は肌に対しての作用以外にも、防ダニ、即ちダニに対しての増殖抑制も果す。乾燥状態がダニの水分調整バランスを崩し、繁殖能力を抑えることにより、効果を発現することができる。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1〜13及び比較例1〜6]
表1、表2に示される条件に基づいて単一繊維又は複合繊維、及びその繊維を用いた不織布を得、それらの性能を後述する評価方法に基づき評価、測定した。その結果を表1、表2に合わせて示す。
(金属酸化物)
熱可塑性樹脂に添加する金属酸化物として以下の物質を用いた。
酸化物1:ZnO
酸化物2:Zn0.75Al0.25
(金属酸化物の添加方法)
繊維への金属酸化物の添加方法は、以下の方法を用いた
(1)練り込み:金属酸化物の粉体をマスターバッチ化後、鞘(B)成分へ添加する。マスターバッチ化に用いる樹脂は、鞘(B)成分と同じ樹脂を用いた。
(2)表面付着:金属酸化物の粉体を水に分散させたスラリー(粒子分:15質量%)とし、繊維処理剤(組成は表3を参照のこと)と混合して処理剤を作製し、該処理液を紡糸工程及び/または延伸工程で付着させた。
表1、2に添加方法及び金属酸化物の含有量を示す。尚、含有量は繊維全質量中の含有量である。
(繊維処理剤)
本発明の繊維に付着させる繊維処理剤(1)〜(7)について、各種繊維処理剤の組成を表3に示す。
(A1)アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤
(A2)多価アルコール型非イオン系界面活性剤
(熱可塑性樹脂)
繊維を構成する熱可塑性樹脂として以下の樹脂を用いた。
樹脂1:密度0.96g/cm3、MFR(190℃ 荷重21.18N)が16g/10min、融点が131℃である高密度ポリエチレン(略記号PE)
樹脂2:MFR(230℃ 荷重21.18N)が15g/10min、融点が162℃である結晶性ポリプロピレン(略記号PP)
樹脂3:密度0.93g/cm3、MFR(190℃ 荷重21.18N)が20g/10min、融点が125℃である直鎖状低密度ポリエチレン(略記号LLDPE)
樹脂4:MFR(230℃ 荷重21.18N)が16g/10min、融点が131℃であるエチレン含有量4.0重量%、1−ブテン含有量2.65重量%のエチレン−プロピレン−1−ブテン3元共重合体。(略記号co−PP)
樹脂5:固有粘度が0.65であるポリエチレンテレフタレート。(略記号PET)
繊維に用いる樹脂とその組み合わせを表1、表2に示す。
(不織布化、繊維成形品への加工)
不織布化の方法として、以下の方法と条件を用いた。
(1)スルーエア加工(略称TA):表1、表2に示す熱可塑性樹脂を用い、各表に示す比率(重量比)と断面形状で紡糸し、その際、各表に示す繊維処理剤(繊維処理剤の組成は表3を参照のこと。なお、実施例8及び9では、金属酸化物と繊維処理剤の混合物を使用する。)をオイリングロールに接触させて、繊維処理剤を付着させた。延伸工程を経た後、乾燥させて2.2dtexの繊維を得た。次いで、該繊維をカッターでカット長51mmの短繊維とし、これを試料繊維として用いた。試料繊維をローラーカード試験機にてカードウェブとし、このウェブをサクションドライヤーで加工して目付23g/m2の不織布として用いた。加工条件は、加工温度130℃で行った。
(2)ポイントボンド加工(略称PB):試料繊維を得るところまでは、上記スルーエアー加工と同様である。該繊維をローラーカード試験機でカードウェブとし、これをエンボス加工機{ロール温度126℃、線圧20kg/cm(換算値1.96×102N/cm)、エンボス面積率25%}で熱処理して、目付約23g/m2のポイントボンド不織布とした。尚、実施例12、13ではロール温度145℃としてポイントボンド不織布とした。
各例において物性評価を以下に示す方法で行った。
(メルトフローレート)
JIS K 7210に準拠し、メルトフローレートの測定を行った。
ここで、MIは表1の条件4(試験温度190℃、試験荷重2.16kgf)に準拠し、MFRは、表1の条件14(試験温度230℃、試験荷重2.16kgf)に準拠して測定した。
(繊維の親水性)
試料繊維40gを、25℃、相対湿度65%の条件下で7m/minの速度でローラーカード試験機を用いてウェブとした後、そのウェブを7cm幅で5g切り取り、これを俵状に巻き上げる。3gの金属ワイヤー製カゴ(直径50mm、高さ80mmの円柱型)にウェブを詰め、イオン交換水の中に10mmの高さから落とし、沈降させる。カゴがすべて水中に没するまでの時間を測定し、繊維の親水性を評価した。以下の基準で評価した。10秒未満であれば親水性が高いと判断した。
○:10秒未満
△:10秒以上、60秒未満
×:60秒以上
(不織布の親水性)
目付23g/m2の不織布を100mm×100mmに裁断し、初期の親水性を評価するため、2枚の濾紙(定性濾紙「No.2」東洋濾紙(株)製)(150mm×150mm)の上に置き、ピペットを用いて高さ10mmの位置から人工尿を10点滴下する。10秒以内で滴下が消滅した個数を表示し、不織布の初期親水性とした。その後、不織布を吸水紙(商品名「キムタオルワイパーホワイト」(株)クレシア製)で挟み、その上に板(100mm×100mmより大きいもの)と重り(合計3.5kg)をのせて1分間放置し脱水する。続いて吸水紙を新しいものと交換し再度1分間脱水する。板と重りを取り除き、不織布を新しい濾紙(定性濾紙「No.2」東洋濾紙(株)製)の上に置き3分間風乾する。風乾後上記初期親水性を評価した同じ10点の滴下箇所に人工尿を滴下し、10秒以内で滴下が消滅した個数を表示する。この個数を1回目の耐久親水性とし、評価後再び同一の繊維成形体を表面材が取り除かれた市販の紙おむつの上に重ね、1回目の耐久親水性と同様の方法で、2回目の耐久親水性の評価を行った。各回における耐久親水性を以下の基準で評価した。滴下に対し消失した個数が多いほど親水性、耐久親水性が良好であると判断した。
○:10
△:9〜6
×:5以下
なお、人工尿の組成は下記の通りである。
NH2CONH2 = 2.00質量%
NaCl = 0.80質量%
MgSO4・7H2O = 0.08質量%
CaCl2・2H2O = 0.03質量%
イオン交換水 =97.09質量%
(繊維処理剤の付着量の測定)
迅速残脂抽出装置R−II型(東海計器(株)製)を用いて、迅速抽出法により付着量を測定した。試料繊維または繊維成形品(不織布)2g(短繊維において、繊維処理剤の付着方法により付着斑等が懸念される場合は、カードにかけウェブとしたものを用いること)を金属製の筒(内径16mm、長さ130mm、底部はすり鉢状で最底部には1mmの孔があるもの)に詰め、上部よりメタノール25mlを数回に分けて投入する。
底部の孔より滴下した液体を加熱したアルミ皿で受け、メタノールを蒸発させる。アルミ皿にある残留物の質量を測定し、以下の式で付着量を算出する。
付着量(単位は質量%)=(残留物の質量/2)×100
(消臭性試験)
実施例及び比較例で得られた不織布の消臭性能を、酢酸、硫化水素について次のように測定した。テドラーバッグ(容積5リットル)に所定量(3g)の不織布を入れて密封した。次いで、シリンジを用いて、所定濃度の臭気成分を含む空気を、全ガス量3リットルとなるようにテドラーバッグ内に注入した。ガスを注入してから一定時間経過後に、テドラーバッグ内のガスをガス検知管(ガステック社製、酢酸用81型、硫化水素用4LL、4LT型)を用いて直接測定し、下記式により臭気成分の除去率を求めた。
除去率(%)={(C0−C)/C0}×100
0:初期濃度
C:24時間経過後の対象臭気物質濃度
(抗菌性試験)
繊維製品衛生加工協議会(SEK)の統一試験法に準じて行った。滅菌後クリーンベンチ内で乾燥した試料0.4gの全体に、あらかじめ高圧蒸気滅菌して氷冷した1/20濃度のニュートリエントブロスで、生菌数を1×105個/mlに調製した試験菌懸濁液0.2mlを均一に接種して、滅菌したキャップを締め付ける。これを37±1℃で18時間培養し、培養後の生菌数を測定する。試料には標準布(抗菌防臭加工製品の加工効果評価試験マニュアルに規定のもの)と各実施例で作製した加工布の2種類であり、試験菌としては黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus ATCC 6538P)を用いた。そして、下記の式で抗菌性の指標である静菌活性値を算出した。
静菌活性値=logB−logC
但し、試験成立条件(logB−logA)>1.5を満たす事
A:標準布の接種直後に回収した菌数の平均値
B:標準布の18時間培養後回収した菌数の平均値
C:加工布の18時間培養後回収した菌数の平均値
静菌活性値が2.2以上のものを抗菌性ありと判定した。















Figure 0004780519


Figure 0004780519












Figure 0004780519
[実施例14]
実施例1と比較例1、比較例5の不織布をトップシートとして用いたおむつを作製し、実際に用いた場合の臭気の変化及び、液吸収性を調べた。
前記おむつに人尿100mlを吸収させた後テープで包み、密閉した袋中に入れて1日後の臭気の変化を調べた。その結果、実施例1のおむつは人尿の吸収性も良く、人尿由来の臭気が殆んど感じられなかったが、比較例1のおむつは尿の吸収性不良で液漏れを生じ、比較例5のおむつでは臭気の低下が見られなかった。
[実施例15]
実施例1の繊維を用いてカートリッジフィルターを作成した。繊維を通常のカード法によりウェブとし、これを加熱しながら径30mmの鉄芯に、外径68mmとなるまで巻き上げ、冷却後抜芯して切断し、親水性を有する抗菌・消臭性の中空円筒状カートリッジフィルターを作成した。本フィルターは抗菌性・消臭性に優れ、親水性を有する為水の浸透も良好であり、水濾過用フィルターとして好ましい性能であった。
本発明の抗菌・消臭性繊維は、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を含有していることにより、細菌、かびに対する増殖抑制、及び消臭性能を発現させることができる。また、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤および多価アルコール型非イオン系界面活性剤から選ばれる界面活性剤を40質量%以上含む界面活性剤を主体とする繊維処理剤が繊維全質量に対し0.1〜5質量%付着していることにより、親水性を維持することができる。
更に、本発明の抗菌・消臭性繊維から構成された繊維成形品は優れた抗菌性、消臭性能を有し、且つ親水性にも優れているので、親水性を要求される用途、例えば、おむつ、ナプキン、失禁パット等の吸収性物品、ガウン、術衣等の医療衛生材、壁用シート、障子紙、床材等の室内内装材、カバークロス、生ゴミ用カバー等の生活関連材、使い捨てトイレ、トイレ用カバー等のトイレタリー製品、ペットシート、ペット用おむつ、ペット用タオル等のペット用品、一般医療材、寝装材、フィルター材、介護用品など様々な用途において、良好な消臭性能を発揮できる。

Claims (10)

  1. 少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を用いて得られ、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、該樹脂が鞘側に配された鞘芯型又は偏心鞘芯型複合繊維であって、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を、繊維全質量に対し0.1〜10質量%の範囲で含み、該2価金属が亜鉛又は銅であり、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤が繊維全質量に対し0.1〜5質量%の範囲で付着している抗菌・消臭性繊維(但し、該繊維処理剤がベタイン型両性化合物、カルボニル化合物及びビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる成分を含む場合を除く)。
  2. 該2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物が酸化亜鉛である、請求項1記載の繊維。
  3. 該2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物が下記一般式(1):
    2+ (1-x)3+ (x-δ)O (1)
    (M2+は亜鉛又は亜鉛を必須成分とする2価金属を示し、M3+はAl、Fe、Ceから選ばれる3価金属を示し、xは0<x≦0.5の範囲の数を示し、δはカチオン格子欠陥を示す。)で表される複合酸化物である、請求項1記載の繊維。
  4. 該アルキレンオキシド付加型非イオン界面活性剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪族アミン、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸アミド及びポリオキシアルキレンアルキルアルカノールアミドからなる群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維。
  5. 該多価アルコール型非イオン系界面活性剤がグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン及びソルビトールの高級脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン高級脂肪酸エステル、並びに高級脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維。
  6. 該2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物が、該複合繊維の鞘成分内に練り込まれている、請求項1〜5のいずれか1項記載の繊維。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の繊維を用いて得られた繊維成形品。
  8. 少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を用いて得られ、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、該樹脂が鞘側に配された鞘芯型又は偏心鞘芯型複合繊維と、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を0.1〜15質量%、ここで該2価金属が亜鉛又は銅であり、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤を0.1〜10質量%、含む繊維成形品(但し、該繊維処理剤がベタイン型両性化合物、カルボニル化合物及びビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる成分を含む場合を除く)。
  9. 請求項7または8記載の繊維成形品を用いて得られた繊維製品。
  10. 少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を用いて得られ、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、該樹脂が鞘側に配された鞘芯型又は偏心鞘芯型複合繊維と、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を0.1〜20質量%、ここで該2価金属が亜鉛又は銅であり、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤を0.1〜15質量%、含む繊維製品(但し、該繊維処理剤がベタイン型両性化合物、カルボニル化合物及びビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる成分を含む場合を除く)。
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