JP4780519B2 - 親水性を有する抗菌・消臭性繊維、繊維成形品及び繊維製品 - Google Patents
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Description
[2]上記2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物が、酸化亜鉛である上記[1]の繊維。
[3]上記2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物が、下記一般式(1)
M2+ (1-x)M3+ (x-δ)O (1)
(M2+は亜鉛又は亜鉛を必須成分とする2価金属を示し、M3+はAl、Fe、Ceから選ばれる3価金属を示し、xは0<x≦0.5の範囲の数を示し、δはカチオン格子欠陥を示す。)で表わされる複合酸化物である前記[1]の繊維。
[4]上記アルキレンオキシド付加型非イオン界面活性剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪族アミン、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸アミド及びポリオキシアルキレンアルキルアルカノールアミドからなる群から選ばれる上記の繊維。
[5]多価アルコール型非イオン系界面活性剤がグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン及びソルビトールの高級脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン高級脂肪酸エステル、並びに高級脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選ばれる上記の繊維。
[6]繊維が少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を用いて得られる鞘芯型複合繊維であり、上記2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物が、該複合繊維の鞘成分内に練り込まれている上記の繊維。
[7]該少なくとも1種類の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、該樹脂が鞘側に配された鞘芯型複合繊維である上記の繊維。
[8]上記繊維を用いて得られた繊維成形品。
[9]熱可塑性樹脂を用いて得られる繊維と、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を0.1〜15質量%、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤を0.1〜10質量%、含む繊維成形品。
[10]上記の繊維成形品を用いて製造された繊維製品。
[11]熱可塑性樹脂を用いて得られる繊維と、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を0.1〜20質量%、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤を0.1〜15質量%、含む繊維製品。
このような抗菌・消臭性繊維を用いて、例えばネット、ウェブ、編織物、不織布などの繊維成形品に加工することにより、抗菌・消臭性、及び透水性に優れた繊維成形品を得ることができる。さらにこのような繊維成形品を用いて、優れた抗菌・消臭性且つ透水性を発揮する吸収性物品、医療衛生材、室内内装材、生活関連材、トイレタリー製品、ペット用品、一般医療材など様々な繊維製品を製造することができる。
本発明の抗菌・消臭性繊維は、具体的には、繊維が熱可塑性樹脂で構成され、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物(以下、単に金属酸化物とも称する。)を繊維全質量に対し、0.1〜10質量%含み、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の非イオン系界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤が繊維全質量に対し0.1〜5質量%付着している熱可塑性単一繊維又は熱可塑性複合繊維である。ここで、繊維全質量とは、繊維を構成する樹脂成分、金属酸化物及び繊維処理剤を包含する繊維全体の質量を意味する。
本発明中の金属酸化物に用いられる2価金属は、例えば銅等の周期表1B族元素、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2A族元素、亜鉛、カドミウム等の周期表2B族元素、クロム、モリブデン等の周期表6A族元素、マンガン等の周期表7A族元素、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム等の周期表8族元素などが挙げられる。これらの2価金属の酸化物は、単独で使用してもよく2種又はそれ以上でも良い。
M2+ (1-x)M3+ (x-δ)O (1)
(式中、M2+はZn又はZnを必須成分とする2価金属を示し、M3+はAl、Fe、Ceから選ばれる3価金属、好ましくはAlを示し、xは0<x≦0.5の範囲の数を示し、δはカチオン格子欠陥を示す。)
この酸化亜鉛系複合酸化物とは、ZnOにAl等のM3+が置換固溶したZnOと同じ結晶構造の固溶体、あるいは該固溶体とスピネル(M2+M3+ 2O4)との混合物を意味し、粉末X線回折にかけるとZnOと殆ど同じ回折パターンを示す。
該複合酸化物は市場で入手することができ、市販品として例えば、ハクスイテック株式会社製「パゼットシリーズ」、または株式会社海水化学研究所製「シーバイオ」等がある。なお、該複合酸化物の製造の過程で副生したAl2O3、Fe2O3、Ce2O3等が式(1)の複合金属酸化物に混在した状態であっても、本発明の効果が損なわれない限り抗菌・消臭剤として適用することができる。また、M2+はZn又はZnを必須成分とする2価金属であり、具体的にはZn以外に、Ca、Mg、Cu等を併用することで、大腸菌、黄色ブドウ球菌等の細菌に加え、黒かび等、カビに対する増殖抑制効果も高められる等の効果が得られる。
そこで非イオン系界面活性剤を繊維に付着させることにより、親水性を付与することができ、透水性が要求される部材でも問題なく使用することができる。更に消臭性の低下もなく、十分な性能を発揮することが可能となる。
本発明で用いられる非イオン系界面活性剤は、アルキレンオキシド付加型非イオン界面活性剤及び多価アルコール型非イオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である。
本発明において使用する繊維処理剤は、上記の非イオン系界面活性剤を主体として含むものであって、具体的には該繊維処理剤は非イオン系界面活性剤を40質量%以上含むことが適当であって、好ましくは60質量%以上含む。繊維処理剤における非イオン系界面活性剤のこのような含有量によって親水性が十分に発現される。ここで、「主体とする」とは、繊維処理剤の成分中、相対的に最も多いことを意味する。繊維処理剤は上記の非イオン系界面活性剤のみからなるものでもよい。
更に、この繊維処理剤の繊維への付着量は、繊維全質量に対して0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%、より好ましくは0.3〜1.5質量%である。また、繊維処理剤の繊維成形品中での含有量は、0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%、より好ましくは0.3〜3.0質量%である。さらに、また、繊維処理剤の繊維製品中での含有量は0.1〜15質量%、好ましくは0.2〜10質量%、より好ましくは0.3〜5.0質量%である。繊維処理剤の含有量が上記規定の範囲であれば、抗菌・消臭性を維持しつつ、親水性を発現させることができる。
親水性及び透水性を充分に発現させるために、特に非イオン系界面活性剤の付着量が少なくとも0.1質量%であることが好ましい。
本発明の抗菌・消臭性繊維が1種類の均一な熱可塑性樹脂成分からなる繊維(単一繊維)である場合、用いる熱可塑性樹脂成分としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、立体規則性ポリスチレン樹脂、またはこれらの混合物等が例示されるが、特に限定されるものではない。また、本発明の繊維は、エラストマー樹脂を主成分とする樹脂組成物から得られるものでも構わない。ここで主成分とは、エラストマー樹脂の最も多い成分を言う。エラストマー樹脂は、常温(20〜30℃)では加硫ゴムと同様な弾性体の性質を持ち(分子中のソフトセグメントによる)、高温では通常の熱可塑性樹脂と同様に既存の繊維成形機をそのまま使って成形することができる(分子中のハードセグメントによる)高分子材料である。このようなエラストマー樹脂としては、ポリスチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマーを挙げることができる。このようなエラストマー樹脂を用いると、本来の抗菌・消臭性機能の他に、伸縮弾性機能も具備することができる。
また、複合繊維の場合、鞘芯型、並列型、偏心鞘芯型、多層型、放射型または海島型等が例示できるが、複合酸化物が効率良く露出されやすいこと、熱接着による不織布化が容易である事等の理由から、鞘芯型、並列型、偏心鞘芯型断面であることが好ましい。
本発明によれば、熱可塑性樹脂を用いて得られる繊維に、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を、繊維全質量に対し0.1〜10質量%の範囲で含ませ、及びアルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤を繊維全質量に対し0.1〜5質量%の範囲で付着させることで、抗菌・消臭性繊維を製造することができる。
本発明において、繊維が金属酸化物を「含む」という場合、当該金属化合物が、繊維に付着している態様をも包含する。金属酸化物を繊維に含ませる具体的な方法としては、繊維を構成する所望の樹脂成分中、特に鞘芯型複合繊維にあっては鞘成分中に、パウダー、マスターバッチ等を練り込むことが、繊維開繊工程(例えばカード、エアレイド機によるウェブ、スライバーへの加工工程)時の脱落を最小限に抑える、あるいは耐水性(水中への脱落を抑制する)を付与できるなどの理由で最も好ましい。
または、金属酸化物の微粒子をスラリー状にして、繊維処理剤と共に付着させる方法でも良い。
金属酸化物及び繊維処理剤を繊維に付着させる方法に制限はなく、紡糸及び/または延伸工程でオイリングロールとの接触、浸漬槽への浸漬、スプレー噴霧等により繊維に付着できる。
例えば、不織布加工工程でウェブに接触法、浸漬法、噴霧法により付着させる方法や、繊維成形品に加工した後に接触法、浸漬法、噴霧法により付着させる方法が利用できる。更に付着は、繊維処理剤及び金属酸化物スラリーの混合物を一度に付着させる方法でもよいが、紡糸工程、延伸工程または不織布加工工程において金属酸化物スラリーを先に付着させた後、金属酸化物スラリーの上に非イオン系界面活性剤を含む繊維処理剤を付着させる方法が好ましく利用できる。これらの手法では繊維処理剤が金属酸化物スラリーを覆い保護するため、不織布加工工程中の繊維開繊工程における金属酸化物スラリーの脱落をより最小限に抑えることができる。
本発明はまた、構成成分として熱可塑性樹脂を有する繊維と、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を0.1〜15質量%、及びアルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤を0.1〜10質量%、含有する繊維成形品に向けられている。
本発明はまた、構成成分として熱可塑性樹脂を有する繊維と、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を0.1〜20質量%、及びアルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤を0.1〜15質量%、含有する繊維製品に向けられている。
本発明の抗菌・消臭性繊維から構成された繊維成形品を用いた繊維製品としては、おむつ、ナプキン、失禁パット等の吸収性物品、ガウン、術衣等の医療衛生材、壁用シート、障子紙、床材等の室内内装材、カバークロス、生ゴミ用カバー等の生活関連材、使い捨てトイレ、トイレ用カバー等のトイレタリー製品、ペットシート、ペット用おむつ、ペット用タオル等のペット用品、一般医療材、寝装材、フィルター材、介護用品など様々な親水性、透水性を要求される繊維製品への用途に利用することができる。
[実施例1〜13及び比較例1〜6]
表1、表2に示される条件に基づいて単一繊維又は複合繊維、及びその繊維を用いた不織布を得、それらの性能を後述する評価方法に基づき評価、測定した。その結果を表1、表2に合わせて示す。
熱可塑性樹脂に添加する金属酸化物として以下の物質を用いた。
酸化物1:ZnO
酸化物2:Zn0.75Al0.25O
(金属酸化物の添加方法)
繊維への金属酸化物の添加方法は、以下の方法を用いた
(1)練り込み:金属酸化物の粉体をマスターバッチ化後、鞘(B)成分へ添加する。マスターバッチ化に用いる樹脂は、鞘(B)成分と同じ樹脂を用いた。
(2)表面付着:金属酸化物の粉体を水に分散させたスラリー(粒子分:15質量%)とし、繊維処理剤(組成は表3を参照のこと)と混合して処理剤を作製し、該処理液を紡糸工程及び/または延伸工程で付着させた。
表1、2に添加方法及び金属酸化物の含有量を示す。尚、含有量は繊維全質量中の含有量である。
本発明の繊維に付着させる繊維処理剤(1)〜(7)について、各種繊維処理剤の組成を表3に示す。
(A1)アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤
(A2)多価アルコール型非イオン系界面活性剤
繊維を構成する熱可塑性樹脂として以下の樹脂を用いた。
樹脂1:密度0.96g/cm3、MFR(190℃ 荷重21.18N)が16g/10min、融点が131℃である高密度ポリエチレン(略記号PE)
樹脂2:MFR(230℃ 荷重21.18N)が15g/10min、融点が162℃である結晶性ポリプロピレン(略記号PP)
樹脂3:密度0.93g/cm3、MFR(190℃ 荷重21.18N)が20g/10min、融点が125℃である直鎖状低密度ポリエチレン(略記号LLDPE)
樹脂4:MFR(230℃ 荷重21.18N)が16g/10min、融点が131℃であるエチレン含有量4.0重量%、1−ブテン含有量2.65重量%のエチレン−プロピレン−1−ブテン3元共重合体。(略記号co−PP)
樹脂5:固有粘度が0.65であるポリエチレンテレフタレート。(略記号PET)
繊維に用いる樹脂とその組み合わせを表1、表2に示す。
不織布化の方法として、以下の方法と条件を用いた。
(1)スルーエア加工(略称TA):表1、表2に示す熱可塑性樹脂を用い、各表に示す比率(重量比)と断面形状で紡糸し、その際、各表に示す繊維処理剤(繊維処理剤の組成は表3を参照のこと。なお、実施例8及び9では、金属酸化物と繊維処理剤の混合物を使用する。)をオイリングロールに接触させて、繊維処理剤を付着させた。延伸工程を経た後、乾燥させて2.2dtexの繊維を得た。次いで、該繊維をカッターでカット長51mmの短繊維とし、これを試料繊維として用いた。試料繊維をローラーカード試験機にてカードウェブとし、このウェブをサクションドライヤーで加工して目付23g/m2の不織布として用いた。加工条件は、加工温度130℃で行った。
(2)ポイントボンド加工(略称PB):試料繊維を得るところまでは、上記スルーエアー加工と同様である。該繊維をローラーカード試験機でカードウェブとし、これをエンボス加工機{ロール温度126℃、線圧20kg/cm(換算値1.96×102N/cm)、エンボス面積率25%}で熱処理して、目付約23g/m2のポイントボンド不織布とした。尚、実施例12、13ではロール温度145℃としてポイントボンド不織布とした。
(メルトフローレート)
JIS K 7210に準拠し、メルトフローレートの測定を行った。
ここで、MIは表1の条件4(試験温度190℃、試験荷重2.16kgf)に準拠し、MFRは、表1の条件14(試験温度230℃、試験荷重2.16kgf)に準拠して測定した。
試料繊維40gを、25℃、相対湿度65%の条件下で7m/minの速度でローラーカード試験機を用いてウェブとした後、そのウェブを7cm幅で5g切り取り、これを俵状に巻き上げる。3gの金属ワイヤー製カゴ(直径50mm、高さ80mmの円柱型)にウェブを詰め、イオン交換水の中に10mmの高さから落とし、沈降させる。カゴがすべて水中に没するまでの時間を測定し、繊維の親水性を評価した。以下の基準で評価した。10秒未満であれば親水性が高いと判断した。
○:10秒未満
△:10秒以上、60秒未満
×:60秒以上
目付23g/m2の不織布を100mm×100mmに裁断し、初期の親水性を評価するため、2枚の濾紙(定性濾紙「No.2」東洋濾紙(株)製)(150mm×150mm)の上に置き、ピペットを用いて高さ10mmの位置から人工尿を10点滴下する。10秒以内で滴下が消滅した個数を表示し、不織布の初期親水性とした。その後、不織布を吸水紙(商品名「キムタオルワイパーホワイト」(株)クレシア製)で挟み、その上に板(100mm×100mmより大きいもの)と重り(合計3.5kg)をのせて1分間放置し脱水する。続いて吸水紙を新しいものと交換し再度1分間脱水する。板と重りを取り除き、不織布を新しい濾紙(定性濾紙「No.2」東洋濾紙(株)製)の上に置き3分間風乾する。風乾後上記初期親水性を評価した同じ10点の滴下箇所に人工尿を滴下し、10秒以内で滴下が消滅した個数を表示する。この個数を1回目の耐久親水性とし、評価後再び同一の繊維成形体を表面材が取り除かれた市販の紙おむつの上に重ね、1回目の耐久親水性と同様の方法で、2回目の耐久親水性の評価を行った。各回における耐久親水性を以下の基準で評価した。滴下に対し消失した個数が多いほど親水性、耐久親水性が良好であると判断した。
○:10
△:9〜6
×:5以下
NH2CONH2 = 2.00質量%
NaCl = 0.80質量%
MgSO4・7H2O = 0.08質量%
CaCl2・2H2O = 0.03質量%
イオン交換水 =97.09質量%
迅速残脂抽出装置R−II型(東海計器(株)製)を用いて、迅速抽出法により付着量を測定した。試料繊維または繊維成形品(不織布)2g(短繊維において、繊維処理剤の付着方法により付着斑等が懸念される場合は、カードにかけウェブとしたものを用いること)を金属製の筒(内径16mm、長さ130mm、底部はすり鉢状で最底部には1mmの孔があるもの)に詰め、上部よりメタノール25mlを数回に分けて投入する。
底部の孔より滴下した液体を加熱したアルミ皿で受け、メタノールを蒸発させる。アルミ皿にある残留物の質量を測定し、以下の式で付着量を算出する。
付着量(単位は質量%)=(残留物の質量/2)×100
実施例及び比較例で得られた不織布の消臭性能を、酢酸、硫化水素について次のように測定した。テドラーバッグ(容積5リットル)に所定量(3g)の不織布を入れて密封した。次いで、シリンジを用いて、所定濃度の臭気成分を含む空気を、全ガス量3リットルとなるようにテドラーバッグ内に注入した。ガスを注入してから一定時間経過後に、テドラーバッグ内のガスをガス検知管(ガステック社製、酢酸用81型、硫化水素用4LL、4LT型)を用いて直接測定し、下記式により臭気成分の除去率を求めた。
除去率(%)={(C0−C)/C0}×100
C0:初期濃度
C:24時間経過後の対象臭気物質濃度
繊維製品衛生加工協議会(SEK)の統一試験法に準じて行った。滅菌後クリーンベンチ内で乾燥した試料0.4gの全体に、あらかじめ高圧蒸気滅菌して氷冷した1/20濃度のニュートリエントブロスで、生菌数を1×105個/mlに調製した試験菌懸濁液0.2mlを均一に接種して、滅菌したキャップを締め付ける。これを37±1℃で18時間培養し、培養後の生菌数を測定する。試料には標準布(抗菌防臭加工製品の加工効果評価試験マニュアルに規定のもの)と各実施例で作製した加工布の2種類であり、試験菌としては黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus ATCC 6538P)を用いた。そして、下記の式で抗菌性の指標である静菌活性値を算出した。
静菌活性値=logB−logC
但し、試験成立条件(logB−logA)>1.5を満たす事
A:標準布の接種直後に回収した菌数の平均値
B:標準布の18時間培養後回収した菌数の平均値
C:加工布の18時間培養後回収した菌数の平均値
静菌活性値が2.2以上のものを抗菌性ありと判定した。
実施例1と比較例1、比較例5の不織布をトップシートとして用いたおむつを作製し、実際に用いた場合の臭気の変化及び、液吸収性を調べた。
前記おむつに人尿100mlを吸収させた後テープで包み、密閉した袋中に入れて1日後の臭気の変化を調べた。その結果、実施例1のおむつは人尿の吸収性も良く、人尿由来の臭気が殆んど感じられなかったが、比較例1のおむつは尿の吸収性不良で液漏れを生じ、比較例5のおむつでは臭気の低下が見られなかった。
実施例1の繊維を用いてカートリッジフィルターを作成した。繊維を通常のカード法によりウェブとし、これを加熱しながら径30mmの鉄芯に、外径68mmとなるまで巻き上げ、冷却後抜芯して切断し、親水性を有する抗菌・消臭性の中空円筒状カートリッジフィルターを作成した。本フィルターは抗菌性・消臭性に優れ、親水性を有する為水の浸透も良好であり、水濾過用フィルターとして好ましい性能であった。
更に、本発明の抗菌・消臭性繊維から構成された繊維成形品は優れた抗菌性、消臭性能を有し、且つ親水性にも優れているので、親水性を要求される用途、例えば、おむつ、ナプキン、失禁パット等の吸収性物品、ガウン、術衣等の医療衛生材、壁用シート、障子紙、床材等の室内内装材、カバークロス、生ゴミ用カバー等の生活関連材、使い捨てトイレ、トイレ用カバー等のトイレタリー製品、ペットシート、ペット用おむつ、ペット用タオル等のペット用品、一般医療材、寝装材、フィルター材、介護用品など様々な用途において、良好な消臭性能を発揮できる。
Claims (10)
- 少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を用いて得られ、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、該樹脂が鞘側に配された鞘芯型又は偏心鞘芯型複合繊維であって、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を、繊維全質量に対し0.1〜10質量%の範囲で含み、該2価金属が亜鉛又は銅であり、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤が繊維全質量に対し0.1〜5質量%の範囲で付着している抗菌・消臭性繊維(但し、該繊維処理剤がベタイン型両性化合物、カルボニル化合物及びビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる成分を含む場合を除く)。
- 該2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物が酸化亜鉛である、請求項1記載の繊維。
- 該2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物が下記一般式(1):
M2+ (1-x)M3+ (x-δ)O (1)
(M2+は亜鉛又は亜鉛を必須成分とする2価金属を示し、M3+はAl、Fe、Ceから選ばれる3価金属を示し、xは0<x≦0.5の範囲の数を示し、δはカチオン格子欠陥を示す。)で表される複合酸化物である、請求項1記載の繊維。 - 該アルキレンオキシド付加型非イオン界面活性剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪族アミン、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸アミド及びポリオキシアルキレンアルキルアルカノールアミドからなる群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維。
- 該多価アルコール型非イオン系界面活性剤がグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン及びソルビトールの高級脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン高級脂肪酸エステル、並びに高級脂肪酸アルカノールアミドからなる群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維。
- 該2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物が、該複合繊維の鞘成分内に練り込まれている、請求項1〜5のいずれか1項記載の繊維。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の繊維を用いて得られた繊維成形品。
- 少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を用いて得られ、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、該樹脂が鞘側に配された鞘芯型又は偏心鞘芯型複合繊維と、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を0.1〜15質量%、ここで該2価金属が亜鉛又は銅であり、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤を0.1〜10質量%、含む繊維成形品(但し、該繊維処理剤がベタイン型両性化合物、カルボニル化合物及びビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる成分を含む場合を除く)。
- 請求項7または8記載の繊維成形品を用いて得られた繊維製品。
- 少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を用いて得られ、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、該樹脂が鞘側に配された鞘芯型又は偏心鞘芯型複合繊維と、2価金属から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を0.1〜20質量%、ここで該2価金属が亜鉛又は銅であり、アルキレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤及び多価アルコール型非イオン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を40質量%以上含む繊維処理剤を0.1〜15質量%、含む繊維製品(但し、該繊維処理剤がベタイン型両性化合物、カルボニル化合物及びビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体から選ばれた少なくとも1種からなる成分を含む場合を除く)。
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