JP4521656B2 - パラキシレンおよびスチレンの同時生成法 - Google Patents

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Description

本発明は、主として8ヶの炭素原子を有する芳香族化合物を含む流れから高純度レベルのパラキシレンおよびスチレンを同時生成する方法に関する。
吸着分離による高純度のパラキシレンの生産は、先行技術から公知である。パラキシレンの市場は、拡大しつつあり、その販路は、テレフタル酸、無水フタル酸およびポリエチレンテレフタレートの生産である。極めて高純度のパラキシレンの生産を記述する技術的背景は、本出願人の特許文献1に記載されている。
更に、スチレンの市場も、同じく拡大しつつある。なぜならば、スチレンは、ポリスチレン(PS)の合成のためのモノマーとして且つアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)およびスチレン・ブタジエン(SBR)の合成におけるコポリマーとして使用されるからである。
市場の規格にもとづく高純度(>99.8重量%)のスチレンの生産および精製は、多数の特許の対象をなす。これらの大半は、3つの工程からなる方法である:
−エチルベンゼンの調製のためベンゼンによるエチレンのアルキル化工程、
−スチレンへのエチルベンゼンの脱水素工程、
−本質的に純スチレンからなる流れおよび本質的に脱水素ユニット内を循環されるエチルベンゼンからなる流れを生成するため、脱水素ユニットから来る生成物の精製工程。
特許文献2には、アルキル化に使用されるエチレンを、脱水素ユニットにおいてエタンからスチレンとともに同時生成し、次いで、上記エチレンを、蒸留によって分離し、アルキル化ユニットにリサイクルする先行の方法の適用が提示されている。分離段は、蒸留系から構成されている。
特許文献3は、不飽和芳香族化合物の調製のため芳香族アルキルの脱水素を実現できる触媒グループに関する。
実際、脱水素工程およびこの反応を実現できる多種多様な触媒は、良く知られている。吸熱反応である脱水素のエネルギ経費は高額であるので、この脱水素工程をより経済的とするため、多くの研究努力がなされている。即ち、特許文献4(特許文献5に対応)および特許文献6(特許文献7に対応)には、脱水素工程の重要な適用を含むスチレン調製法が開示されている。なぜならば、この脱水素工程は、水蒸気の存在下で操作されるからである。
特許文献4の場合、水蒸気および純水蒸気とともに脱水素反応器に入るエチルベンゼンの混合物を、エチルベンゼンからスチレンを分離するのに役立つ蒸留塔のコンデンサの回収熱によって連続的に加熱し、次いで、脱水素反応の排出液から熱回収を行う。
特許文献5には、3つの脱水素反応器を含む方法が開示してある。この場合、水蒸気は、まず、第1脱水素反応器の入口でエチルベンゼンと混合する前に、2つの後部の反応器の反応排出液を加熱するのに役立つ。スチレンを直接に調製する上記の基本方法に並行して、スチレンまたは他の反応中に生成された副生物としてのエチルベンゼンの回収を記載した若干数の特許が存在する。例えば、特許文献8には、石油精製、石油化学(熱分解ガソリン)または天然ガス処理によって形成される若干の流れに含まれるスチレンの抽出および/または調製および精製の多数の方法が提示されている。上記流れは、直接、スチレンを含むか、誘導される中間生成物、即ち、エチルベンゼンを含む。
記載の精製技術は、多様であり、単なる蒸留、共沸蒸留または抽出蒸留、液・液抽出、化学錯体の生成、膜分離およびこれら技術の複数の組合せを含む。
特許文献8には、特殊なスチレン生産技術が記載されている。この場合、実質的にスチレンを除いてエチルベンゼン、オルトキシレン、メタキシレンおよびパラキシレンを含むC8の改質留分からスチレンを調製する方法が対象である。この方法は、下記を含む:
−メタキシレンおよびパラキシレンの一部を含むエチルベンゼン濃度の高い頭部流れおよびオルトキシレンとメタキシレンおよびパラキシレンからなる補足成分を含む後部流れを生成できるスプリッタ(蒸留塔);
−次いで、エチルベンゼンの少なくとも一部をスチレンに転換できる脱水素ユニットに上記頭部流れを送る;
−次いで、好ましくは水またはスルホレインから選択した溶媒を使用する抽出蒸留塔と、
上記溶媒を回収できるスプリッタ段と、スチレン精製塔とを含むスチレン精製ユニット群に、脱水素ユニットから出た流れを送る。
この特許は、高純度スチレンの生産に注目しているが、パラキシレンの同時生成を全く記載していない。C8の芳香族炭化水素の投入物からのスチレンの精製を明記する他の特許は、先行技術に提示されている。液・液抽出法は、特に、特許文献9に記載されている。この特許には、例えば、水蒸気分解装置の出口において熱分解ガソリン中の混合物に含まれたキシレン異性体(オルト、メタおよびパラ)およびエチルベンゼンからスチレンを2工程で分離することが記載されている。この場合、第1工程は、直列に配置された(蒸留塔からなる)2つの分溜器を含み、第1分溜器は、頭部からエチルベンゼン、パラキシレンおよびメタキシレンを除去でき、この場合、オルトキシレンおよびスチレンは、底部から引出され、第2分溜器は、炭素原子数が9以上の重い化合物を底部から除去できる。第2工程は、液・液抽出器を含み、使用する溶媒は、スクシノニトリルであり、スクシノニトリルは、スプリッピング工程中に回収される。
抽出蒸留による他のスチレン精製技術は、特許文献10および特許文献11に記載されている。上記技術は、抽出剤として何れにせよ錯体系の化合物の使用に依拠する。
エチルベンゼンからのスチレンの分離を記載した特許文献10について、窒化有機製品(例えば、アジポニトリル、メチルグルタロニトリルまたはニトロベンゼン)を挙げる。
特許文献12には、エステル(例えば、イソ吉草酸エチル、カプリン酸プロピル、プロピオン酸ブチルまたはギ酸ヘキシル)を使用して抽出蒸留または共沸蒸留によってエチルベンゼンまたはオルトキシレンからスチレンを分離する技術が開示されている。
特許文献13には、エチルベンゼンの脱水素ユニットから来る流れの各種精製方法が記載されている。この公報には、更に、各種蒸留塔(塔底部、液体分配器)に関する技術的革新が記載されている。この発明にもとづき、塔径を著しく減少できるが、提案の方法の如何に拘わらず、(スチレン/エチルベンゼン/キシレン混合物からベンゼン/トルエン対の分離に役立つ第1複合精製塔に加えて)2つの蒸留塔、概ね、3つの蒸留塔を使用する必要があることに注意すべきである。更に、これらのすべての塔は、スチレンの望ましくない重合を完全に避けるため、真空下で操作される。
特許文献14および特許文献15には、それぞれ、ホージャサイト・タイプのゼオライト吸着剤の吸着によるC8の芳香族留分からのスチレン分離と、エチルベンゼン80重量%を得ることができる蒸留工程、エチルベンゼンの脱水素工程および1価の金属カチオンをドーピングしたフォージャサイトの吸着によるスチレン分離工程を含むスチレン調製法とが開示されている。これら2つの特許の場合、高純度のパラキシレンの同時生成は対象ではなく、得られた生成物の品質に関する情報は、全く記載されてない。
従って、先行技術に鑑みて、本出願人の知見によれば、少なくとも99.7重量%の純度のパラキシレンおよび少なくとも99.8重量%の純度のスチレンを同時生成できる技術は存在しない。まさにエチルベンゼンの脱水素によってスチレンを調製する場合、パラキシレンの生産ループに入る投入物の中に高頻度でエチルベンゼンが存在することによって、スチレンに先行する中間生成物、即ち、エチルベンゼンが得られる。
欧州特許EP−A−531191 米国特許第6,031,143号 国際特許WO9718034号 米国特許第4,628,136号 欧州特許第0226064号 米国特許第4,774,378号 欧州特許第0238400号 米国特許第5,877,385号 米国特許第4,031,153号 米国特許第4,959,128号 米国特許第4,966,656号 米国特許第4,966,656号 米国特許第6,096,941号 日本特許第02138137号 日本特許第03020229号
本発明の目的は、パラキシレンの生産ループにスチレン生産を組込むことによって、特に、ベンゼンのアルキル化工程が不要であるのでスチレン調製方法を簡単化できる極めて重要な共働作用を実現する方法を提供することにある。本発明に係る方法によって、更に、キシレン異性化ユニットの運転を最適化でき、エチルベンゼンの送入量を実質的に減少することによってパラキシレン分離装置の運転を容易化できる。
本発明の目的は、C8の芳香族炭化水素、エチルベンゼンおよびC9−C10の炭化水素を含む炭化水素を含む投入物(すなわち仕込原料)から極めて高い純度レベルのパラキシレンおよびスチレンを同時生成する新規の方法である(符号Cnは、本質的にnヶの炭素原子を有する炭化水素を含む留分を表す)。パラキシレンは、少なくとも99.7重量%の純度で得られ、スチレンは、少なくとも99.8重量%の純度で得られる。
本方法は、擬似移動床で機能しパラキシレンを抽出できる少なくとも1つのクロマトグラフィ塔または吸着塔の使用を特徴とする。スチレンの抽出は、少なくとも1つの第2クロマトグラフィ塔によって実施できるが、更に、単なる蒸留、共沸蒸留または抽出蒸留、液・液抽出、化学錯体の生成、膜分離、吸着分離およびこれら技術の複数の組合せから選択した他の技術によっても実施できる。
以降の説明において、有利には、擬似移動床で機能する少なくとも1つのクロマトグラフィ塔によってスチレン分離を実現することを特徴とする方法の変形例を示す。方法の若干の点において流れに対して実施される類似の操作または操作グループを意味する工程について説明する。本方法を流れまたは生成物の流動順序で行われる各工程について記載し、パラキシレンの抽出を行う擬似移動床による吸着塔を意味する第1吸着分離塔およびスチレンの抽出を行う擬似移動床による吸着塔を意味する第2吸着分離塔について説明する。簡単に云えば、以降の説明において、第1分離塔および第2分離塔について説明する。
より一般的には、本発明は、キシレン、エチルベンゼン及びC9−C10の炭化水素を含む投入物から高純度のパラキシレン及びスチレンを同時生成する方法において、
− キシレン分離を可能にする、蒸留塔(2)の中で実施される投入物(1)の蒸留段階(1)であって、該蒸留塔からメタキシレン、パラキシレン、エチルベンゼンの大部分とオルトキシレンの少なくとも一部分を含む流れを頭部で抜取り、底部ではこの蒸留塔からC9−C10の炭化水素及びオルトキシレンの残留部分を含有する流れ(4)を抜取る段階;
− パラキシレン、エチルベンゼン、メタキシレン及びオルトキシレンに対する異なる選択性をもち、好ましくは閉ループ状に相互連結された複数の吸着剤床を収納する擬似移動床の形で機能する少なくとも1つの第1の吸着塔(6)の中で、頭部流れ(3)を吸着させる段階であって、前記吸着塔(6)には、少なくとも4つの機能ゾーンすなわち、脱着剤(5)の注入とエキストラクト(7a)の採取の間に含まれるパラキシレン脱着ゾーン1、エキストラクト(7a)の採取点と吸着投入物(3)の注入の間に含まれるエチルベンゼン、オルトキシレン及びメタキシレンの脱着ゾーン2、吸着投入物(3)の注入とラフィネート(7b)の抜取りの間に含まれるパラキシレンの吸着ゾーン3及び、ラフィネート(7b)の抜取りと脱着剤(5)の注入の間に含まれたゾーン4が含まれている段階;
− 少なくとも1基の蒸留(8a)内で実施されるエキストラクト(7a)の蒸留段階であって、該蒸留(8a)から、純粋な好ましくは少なくとも99.7重量%の純度のパラキシレン(9a)を抜取り、かつ該から、第1の吸着内へその少なくとも一部分が再循環される脱着剤を抜取る段階;
− 少なくとも1基の蒸留(8b)内でのラフィネート(7b)の蒸留段階であって、該蒸留から、一方では第1の吸着内で少なくともその一部分が再循環される脱着剤そして他方ではメタキシレン、オルトキシレン、及びエチルベンゼンを含有する蒸留されたラフィネート(9b)を抜取る段階;
− 少なくとも1つの脱水素ゾーン(10)内で実施され、導入されたエチルベンゼンの少なくとも50重量%がその間にスチレンに変換される、エチルベンゼンを含有する蒸留済みラフィネートをスチレン、メタキシレン、オルトキシレン、未変換エチルベンゼン及び副産物を含有する排出液へ脱水素する段階;
− スチレン、エチルベンゼン、メタキシレン及びオルトキシレンの大部分を含有する混合物(18)を生成すべく、少なくとも1基の蒸留塔内の副産物を除去する少なくとも1つの段階;
− 混合物(18)の分離段階であって、この段階の出口で、少なくとも99.8重量%のスチレンを含有する第1の流れ(23a)及び、メタキシレン及びオルトキシレンを主に含有する第2の流れ(23b)を抜取る段階;
− 少なくとも1つの異性化ゾーン内で、好ましくは液相で第2の流れ(23b)を異性化する段階であって、投入物の蒸留(2)の上流側へ再循環されるパラキシレン(25)、オルトキシレン及びメタキシレンが回収される段階、
を連続的に含んで成る方法に関する。
本発明は図面を参照することでさらに良く理解できるものと思われる。
本発明は、図1上に提示されている概略図に従って以下の段階を連続的に含み、キシレン、エチルベンゼン及びC9−C10の炭化水素を含む投入物からパラキシレン及びスチレンを同時生成する方法に関する:
− キシレン分離を可能にする、蒸留塔(2)の中で実施される投入物(1)の蒸留段階(1)であって、該蒸留塔からメタキシレン、パラキシレン、エチルベンゼンの大部分とオルトキシレンの少なくとも一部分を含む流れを頭部で抜取り、底部ではこの蒸留塔からC9−C10の炭化水素及びオルトキシレンの残留部分を含有する流れ(4)を抜取る段階;
− パラキシレン、エチルベンゼン、メタキシレン及びオルトキシレンに対する異なる選択性をもち、好ましくは閉ループ状に相互連結された複数の吸着剤床を収納する擬似移動床の形で機能する少なくとも1つの第1の吸着塔(6)の中で実施される、頭部混合物(3)の吸着段階であって、前記吸着塔は、一方では吸着投入物を構成する混合物(3)及び脱着剤(5)の注入によって、他方ではパラキシレンを含むエキストラクト及びエチルベンゼン、オルトキシレン及びメタキシレンを含有する少なくとも1つのラフィネート(7b)の抜取りによって画定された少なくとも4つのゾーンを含んでいる段階。パラキシレン脱着ゾーン1は、脱着剤(5)の注入とエキストラクト(7a)の採取の間に含まれる。エチルベンゼン、オルトキシレン及びメタキシレンの脱着ゾーン2は、エキストラクト(7a)の採取と吸着投入物(3)の注入の間に含まれる。パラキシレン吸着ゾーン3は、投入物(3)の注入とラフィネート(7b)の抜取りの間に含まれる。ゾーン4は、ラフィネート(7b)の抜取りと脱着剤(5)の注入の間に含まれる;
− それぞれ抜取り(7a)及び(7b)による供給を受ける2本の蒸留(8a)及び(8b)を用いて実施され、例えば塔の底部のほぼ全ての脱着剤を除去できるようにする、流れ(7a)及び(7b)の分離段階。塔(8a)の頭部では、少なくとも99.7重量%の純度のパラキシレン(9a)を抜取り、塔(8b)の頭部では、メタキシレン、オルトキシレン、エチルベンゼン及びわずかなパラキシレンを含有する蒸留済みラフィネートを抜取る。脱着剤(5)は、塔8a及び8bの底部で回収され、吸着(6)内へ戻される;
− 流れ(9b)により導入されたエチルベンゼンの少なくとも50%、有利には、少なくとも65重量%がその間にスチレンに変換される、脱水素反応装置内で実施される、エチルベンゼンからスチレンへの脱水素段階;
− 先行する脱水素段階から出た流れ(11)を処理できるようにする分離段階。流れ(11)は、大部分のスチレン、エチルベンゼン、メタキシレン、オルトキシレン、極く少量のパラキシレン及びトルエン、ベンゼン、エチレン、エタン、メタン及び水素などの極く少量のその他の副産物を含む。この分離段階は、少なくとも1基の蒸留の使用を特徴としている。例えば、熱交換器(12)の中で流れ(11)を冷却し、冷却された流れ(11)を分離装置(13)の中に送り込み、この分離装置から底部では凝縮性の生成物(15)、基本的にはスチレン、エチルベンゼン、メタキシレン、パラキシレン及びオルトキシレン(極く少量のベンゼン及びトルエン副産物を伴う)を、頭部では、軽量生成物(14)(エチレン、エタン、メタン及び水素)が取出される。蒸留(16)の中では、頭部でベンゼン及びトルエンの流れ(17)を、底部では大部分のスチレン、エチルベンゼン、メタキシレン、オルトキシレン及び極く少量のパラキシレンを含有する流れ(18)を回収するべく凝縮性の生成物(15)を分離する。
− スチレン、エチルベンゼン、メタキシレン、オルトキシレン及びパラキシレンに対する異なる選択性をもち、好ましくは閉ループ状に相互連結された複数の吸着剤床を収納する擬似移動床の形で作動する少なくとも1つの第2のクロマトグラフィ塔(20)の中で実施される、混合物(18)の分離段階であって、前記塔(20)が、一方では混合物(18)及び脱着剤の注入によって、他方では、99.8%を上回る純度のスチレンを含有するエキストラクト(21a)及びエチルベンゼン、メタキシレン、オルトキシレン、パラキシレン及びスチレンを含有するラフィネート(21b)の抜取りによって画定されている段階。スチレン脱着の第1ゾーンは、脱着剤(19)の注入とエキストラクトの採取(21a)の間に含まれる。エチルベンゼン、メタキシレン、オルトキシレン及びパラキシレンの脱着の第2ゾーンは、エキストラクト(21a)の採取と脱着投入物(18)の注入の間に含まれる。スチレン吸着の第3ゾーンは、投入物(18)の注入とラフィネート(21b)の抜取りの間に含まれる。脱着の第4ゾーンは、ラフィネート(21b)の抜取りと脱着剤(19)の注入の間に含まれる。
− それぞれ塔(20)の抜取り(21a)及び(21b)による供給を受ける2本の蒸留(22a)及び(22b)の中で実施され、例えば塔の底部のほぼ全ての脱着剤(19)を除去できるようにする、エキストラクト(21a)及びラフィネート(21b)の蒸留段階。塔(22a)の頭部では、少なくとも99.8重量%の純度のスチレン(23a)を抜取り、塔(22b)の頭部では、エチルベンゼン、メタキシレン、オルトキシレン、及びパラキシレンを含有する蒸留済みラフィネート(23b)を抜取る。脱着剤(19)は、塔(21a)及び(21b)の底部で回収され、吸着(20)内に戻される。
− 好ましくは液相で実施される、塔(22b)から来た流れの異性化ユニット(24)の中での異性化段階。この段階は、流れ(23b)内に存在するキシレンをパラキシレンの富化された流れ(25)へと再度変化させるような形で、流れ(23b)の供給を受ける。この異性化された流れ(25)は、投入物の蒸留(2)の上流側(又は下流側)へ再循環される。
本発明に従った方法の利点は、以下の通りである:
− 芳香族留分C8の中にエチルベンゼンが存在していることから、脱水素によりこのエチルベンゼンをスチレンに加工できることでスチレン取得を大幅に簡略化できるようになるという意味で、スチレンの直前の中間体を入手することが可能になる。大部分の方法において、単量体スチレンは、それ自体ベンゼン上のエチレンのアルキル化によって得られるエチルベンゼンから生成されている。
− 流れ(23b)は基本的にメタキシレン及びオルトキシレンで構成されていることから、有利にも、エチルベンゼンの存在によって必要となる気相での異性化よりもはるかに穏やかな条件下で液相で異性化を実施することができる。実際、エチルベンゼンの量は、異性化投入物の10重量%を超えず、好ましくは投入物の多くとも5重量%に達するにすぎない。一例として、以下の運転条件が挙げられる(フランス特許FR2,792,632号): 300℃未満、好ましくは200〜260℃の間に含まれる温度; 4MPa未満、好ましくは2〜3MPaの間に含まれる圧力、10h−1未満、好ましくは2〜4h−2の間の空間速度、及びZSM5タイプの触媒。
− 異性化された流れ(25)はエチルベンゼンをほぼ含まず、一般に、蒸留(2)内への合計流入量は60〜80重量%である。従って、エチルベンゼンの平均含有量は大幅に低下し、吸着ユニット(6)内での擬似移動床による分離はそれにより容易になる。
− 該方法の供給投入物(1)は、1重量%未満の直鎖状及び分枝状アルカン含有量及び1重量%未満のナフテン含有量そして有利にも0.3重量%未満のナフテン含有量を有することができる。該方法の供給投入物(1)は、一般に5〜15重量%の間のエチルベンゼンを含有する。この投入物は、C7及びC9からキシレンへのトランスアルキル化ユニットか又はトルエンからベンゼンへの触媒不均化ユニット、又はエチルベンゼンを含有する流体の異性化ユニットに由来し得る。
図2に例示されているもう1つの好ましい実施形態に従うと、場合によっては、脱着剤(5)の注入とラフィネート(7b)の間で第2のラフィネート(7c)を抜取ることにより分離ユニット(6)内で第5のゾーンを使用することができるだろう。このとき前記分離ユニット(6)は、以前に明示した脱着ゾーンのみならず、有利にも、投入物の注入と第1のラフィネートの抜取りの間に含まれるパラキシレンの脱着ゾーン3A、第1のラフィネートの抜取りと第2のラフィネートの抜取りの間に含まれるエチルベンゼンの吸着ゾーン3B及び第2のラフィネートの抜取りと脱着剤の注入の間に含まれるゾーン4によっても特徴づけられる。
この場合、塔は一般に少なくとも24段の床を含み、そのうち少なくとも3段はゾーン3Bの中にある。
第1のラフィネート(7b)は、このときエチルベンゼンが富化された状態にある。
これは、例えば塔の底部でほぼ全ての脱着剤を除去するべく蒸留(8b)内で蒸留される。頭部で抜取られた流れ(9b)はその後、脱水素ユニット(10)に向かって送られる。前記第2のラフィネート(7c)は、ほぼ全ての脱着剤を除去するべく塔(8c)の中で蒸留され、塔(8c)の頭部で抜取られた流れ(9c)は、エチルベンゼンをほとんど含まない。前記流れ(9c)はその後、異性化ユニット(24)へと導かれる。
この実施形態により、(分離ユニット(20)の場合を除いて)下流側に設置されたユニットに対して不活性物として働きかつスチレンの製造及び精製用のユニットのサイズを不要に増大させるメタキシレン及びオルトキシレンの量を実質的に削減することが可能になる。その上、その他のC8の芳香族(キシレン及びエチルベンゼン)からのスチレンの分離ユニット(20)については、メタ及びオルトキシレンの量の減少は、自明の通り、それが分離を容易にし一定の与えられた純度レベルを得るために必要なふるいを減らし、又、同一のふるい数で生産性を増大できるようにするという理由で、1つの利点である。
もう1つの実施形態に従うと、脱水素ユニット(10)の中に進入する流れ(9b)の中に、例えばベンゼン上へのエチレンのアルキル化ユニットに由来する付加的なエチルベンゼンの入口を設けることができる。
該方法のもう1つの特徴に従うと、塔(6)の中で実施される第1の分離段階で使用される吸着剤はバリウム交換されたゼオライトX又は、カリウム交換されたゼオライトY又はバリウムとカリウムで交換されたゼオライトYを含むことができる。
塔(6)内で実施される第1の分離段階のための好ましい脱着剤は、パラジエチルベンゼンである。ただし、混合状態でのトルエン、パラジクロロベンゼン又はジエチルベンゼンといったようなその他の脱着剤も同じく適切である。
本発明のもう1つの特徴においては、塔(6)内で実施される第1の吸着段階における投入物に対する脱着剤の体積比は、0.5〜2.5の間にあり、好ましくは1.4〜1.7の間に含まれることになる。
本発明のもう1つの特徴に従うと、第1の吸着段階は、20℃〜250℃、好ましくは90℃〜210℃、さらに好ましくは160℃〜200℃の間の温度で、選択された運転温度でのキシレンの気泡圧力と2MPaの間の圧力下で運転することができる。
ユニット(10)で実施される脱水素段階は、エチルベンゼンの脱水素のために使用される従来の触媒で実施できる。米国特許第4,628,136号及び4,774,378号で言及されているように、出る排出液(11)及び/又はその後の蒸留のレベルで回収されるエネルギーを特に取込むことによりエネルギー消費量を減少させることのできる使用が好まれるということを認識した上で、いかなる脱水素反応装置でも使用することができる。
エチルベンゼンの脱水素は、一般に以下の条件で行なわれる:
− 温度: 580℃〜640℃
− 圧力: 0.04MPa〜0.1MPa
− 空間速度(触媒体積あたりの試薬の体積流量): 100〜1000h−1
− 一例として使用された触媒は、質量%で表わされた以下のような組成をもつ:
− Cr:8〜28%
− SnO:0.3〜3.1%
− アルカリ性酸化物(例えばカリウム):0.6〜2.8%
− シリカ:0.1〜2.8%
残りはアルミナで構成されている。
本発明の好ましい実施形態に従うと、蒸留(16)は、スチレンの重合の危険性を制限するため、減圧下、標準的には0.025MPa〜0.035MPa、好ましくは0.028MPa〜0.032MPaの間の圧力下で運転される。
該方法のもう1つの特徴に従うと、第2の吸着のために吸着による分離方法が使用される場合、第2の塔(20)内で使用される吸着剤は、ナトリウム、バリウム、カリウム又はリチウムならびにカリウム及び銀で交換されたゼオライトX又はYを含むことができる。この塔は少なくとも16段の床を収納でき、うち少なくとも5段は第2ゾーン内にある。
塔(20)内で実施される第2の吸着段階のための好ましい脱着剤は、トルエン、ジエチルベンゼン又はナフタレンならびにそのアルキル化誘導体である。
本発明のもう1つの特徴に従うと、第2の分離段階のために吸着による分離方法が使用される場合、第2の分離段階における投入物に対する脱着剤の体積比は、0.5〜3.0の間でよく、好ましくは1.4〜2.0の間となる。
本発明のもう1つの特徴に従うと、第2の吸着を、一般に20℃〜200℃、好ましくは50℃〜150℃、さらに好ましくは60℃〜100℃の間の温度で、かつ選択された運転温度での混合物の気泡圧力と2MPaの間の圧力下で運転させることができる。この第2の分離段階中、場合によっては、重合抑制剤を付加することができる。
本発明の好ましい実施形態に従うと、第2の吸着段階に由来するラフィネート(23b)は、分離ユニット(6)における進入投入物の有害な汚染を回避するべく、場合によって存在するスチレンのビニル基を飽和させる目的で蒸留ユニット(2)内に導入される前に穏やかな水素化を受けることができる。前記水素化の実施を望まない場合には、スチレンが底部で出るような形で塔(2)を運転させることができるだろう。
もう1つの変形実施形態は、一定の与えられた投入物について吸着のサイズを増大させること、特にゾーン3の中に1つの追加床を導入してより多くのスチレンを吸着させより優れたスチレン収量を得ることから成り得る。このため、この塔のラフィネートはもはやほとんどスチレンを含有しない。
異性化段階は、気相で実施することも可能であるが、エチルベンゼンが一般的には異性化投入物の10重量%以下、好ましくは5%以下という少ないものであることのため、有利には液相で実施される。
液相での異性化は次の条件で実施することができる(フランス特許第2792632号):すなわち、300℃未満、好ましくは200〜260℃の間の温度、4MPa未満、好ましくは2〜3MPaの間の圧力、10h−1未満、好ましくは2〜4h−1の間の空間速度。触媒は例えばZSM5タイプのゼオライト系である。
比較のため、エチルベンゼンを含有する排出物の気相での異性化が次のようなさらに厳しい条件で実施されることを指摘しておきたい(フランス特許第2792632号を参照):すなわち、300℃を超える、好ましくは360〜480℃の間の温度、2.5MPa未満、好ましくは0.5〜0.8MPaの間の圧力、10h−1未満、好ましくは0.5〜6h−1の空間速度、10未満、好ましくは3〜6の間の炭化水素に対する水素のモル比である。
本方法のもう一つの特徴に従うと、蒸留(8a)によって脱着剤を事前に取除いた第1の分離に由来するエキストラクトを結晶化により精製することができる。この結晶化は、好ましくは、欧州特許第EP−A−531191号及びEP−A−800499号に記述されているように、+10℃〜−30℃の間で、単数又は複数の段階で実施されることになる。
結晶化に由来する母液は、このとき、第1の分離ゾーンの擬似移動床吸着(6)の供給レベルへ再循環させることが可能である。パラキシレン結晶ケーキの洗浄用溶剤は、擬似移動床吸着(6)の供給レベルに再循環させることが可能である。結晶の洗浄用溶剤は、例えば、n−ペンタン、水、精製パラキシレン又はトルエンといった溶剤中から選択される。
本方法のもう一つの特徴に従うと、クロマトグラフィ吸着(又は分離)(6)は、低い生産性の99.7%以上の純度でではなく、高い生産性で50%以上の純度でパラキシレンを生産することができる。
こうして生産され脱着剤を取り除かれたエキストラクトを、パラキシレンの結晶と1つの母液を送達するために、少なくとも1つの結晶化ゾーンへ送ることができる。パラキシレンの結晶は、母液から分離され、場合によって再懸濁、洗浄及び回収され、母液は少なくとも部分的に吸着(6)に再循環される。
結晶化及び母液の分離及びパラキシレンの精製の様々な段階は、例えば該出願人の米国特許第6,147,272号及び6,111,161号中に記述されている。
形成された結晶は、適切な洗浄用溶剤によって洗浄することが可能であり、非常に純度の高い生成物が回収され、その結果としてもたらされる不純物を含有する洗浄液は、再懸濁化ゾーン内に再循環させることができる。このため、吸着ユニットから出てくるパラキシレンの対する純度の制約を解除し、99.7%以上、好ましくは少なくとも99.9重量%という生成物の最終純度を少なくとも1回の結晶化段階によって確保することにより、吸着ユニットの生産性は最大限になる。
一方、少ない数の吸着床及び少ない割合の溶剤での運転が可能であるために、吸着ユニットの運転コストは最小限になる。実際には、好ましくは多くとも24段の床で、好ましくは多くとも20段の床で作業することができる。ゾーン1の中に脱着剤を投入し、多くとも1.7、例えば0.7〜1.5の間、有利には1.0〜1.3の間の投入物に対する体積比で、割合として、投入物をクロマトグラフィのゾーン3に注入することにより、脱着剤の量を最小限にすることも同様に可能である。
本方法のもう1つの特徴に従うと、オルトキシレンの少なくとも1部分をの底部で取るような形で、蒸留(2)を運転することも可能である。このとき、98.5%以上の純度のオルトキシレン流れを頭部から、炭素原子9個以上の芳香族及び場合によってオルトキシレンを含有する流れを底部から抜取るような形で、炭素原子9個以上の芳香族及びオルトキシレンを含有するこの流れを蒸留に送ることができる。
本発明は、制限的な意味なく示されかつ図1の概略図に適合する以下の例により例示されている。
流れ(1)の組成に異性化に由来する流れ(25)が追加された組成をもつ投入物が、8個以上の炭素原子を有するほぼ全ての芳香族を除去することを目的として、90枚のトレーを有する蒸留(2)で構成された分離ユニット中に送られる。流れ(3)は次に、擬似向流で作用しかつ以下の通りの内訳の24段の床を有する吸着塔(6)中に送られる。
ゾーン1に5段、ゾーン2に9段、ゾーン3に7段そしてゾーン4に3段。吸着(6)は、次のような運転条件で作動する:すなわち、温度は175℃に維持され、再循環ポンプの吸引圧力は1MPaに維持される。使用される吸着剤は、水和ゼオライトBaXである。使用される脱着剤は、投入物に対する脱着剤の体積割合1.3で使用されるパラジエチルベンゼンである。
(6)よりエキストラクト(7a)及びラフィネート(7b)を抜取る。エキストラクト(7a)は蒸留(8a)に送られ、そこから純度99.8重量%のパラキシレンで構成された流れ(9a)が頭部で抜取される。ラフィネート(7b)は蒸留(8b)に送られ、そこで7.06重量%のエチルベンゼンを含有する流れ(9b)が頭部で抜取られる。
このエチルベンゼン流れは、脱水素ユニット(10)内に送られ、このユニットは、凝縮及び蒸留の後に4.64重量%のスチレンを含有する流れ(18)を生成する。
エチレンベンゼンからスチレンへの脱水素ユニットの運転条件は以下の通りである。
− 温度: 600℃
− 圧力: 0.08MPa
− 空間速度(触媒の体積あたりの試薬の体積流量):300h−1
− 使用される触媒は次の重量組成を有している:
− Cr: 13%
− SnO: 1.5%
− アルカリ性酸化物(例えばカリウムの): 1%
− シリカ: 1%
残りはアルミナで構成されている。
ラフィネート(23b)の穏やかな水素化の運転条件は以下の通りである。
− 温度: 20〜200℃
− 圧力: 0.1〜1MPa
− 触媒の単位質量あたりの投入物の質量流量:0.1〜10h−1
− 触媒のタイプ:少なくとも1つの担体(例えばアルミナ)と元素周期表のVIII群金属の少なくとも1つを含む。
流れ(18)は、擬似向流で作動しかつ以下の内訳の20段の床を有する吸着塔(20)中に送られる。ゾーン1に4段、ゾーン2に7段、ゾーン3に5段そしてゾーン4に4段。吸着は、次のような運転条件で作動する。すなわち、温度は100℃に維持され、再循環ポンプの吸引圧力は7barに維持される。使用される吸着剤は、ゼオライトNaYである。使用される脱着剤は、投入物に対する脱着剤の体積比率1.6で使用される1,2−ジメチルナフタレンである。
(20)でエキストラクト(21a)及びラフィネート(21b)を抽出する。エキストラクト(21a)は蒸留ユニット(22a)に送られ、そこで99.8重量%のスチレンを含有する流れ(23a)が頭部で抜取られる。ラフィネート(21b)は蒸留ユニット(22b)に送られ、そこから10h−1に等しい空間速度で液相で運転される異性化ユニット中に送られる流れ(23b)が頭部で抜取られる。温度は200℃に維持され圧力は2.5MPaに維持される。触媒は、ZSM5タイプのものである。簡略化された物質収支が下記の表に示されており、この表中流れは、図1の番号と同一の意味を有する番号によって目印が付けられている。各流れの組成は重量パーセント単位で以下の要素から得られる(表1):
パラキシレン分率 : PX
メタキシレン分率 : MX
オルトキシレン分率 : OX
エチレンベンゼン分率 : EB
非芳香族分率 : non Aro
9+の芳香族分率 : C9+
スチレン分率 : スチレン
Figure 0004521656
本発明は、制限的な意味は無く示されかつ図2の概略図に適合する例2によっても同様に例示されている。下記の表中に見られる流れの数字は、図2中に見られるものと同じの意味を有する。
本発明は、制限的な意味なく示されかつ図2の概略図に適合する以下の例により例示されている。
流れ(1)の組成に異性化に由来する流れ(25)が追加された組成をもつ投入物が、8個以上の炭素原子を有するほぼ全ての芳香族を除去することを目的として、90枚のトレーを有する蒸留(2)で構成された分離ユニット中に送られる。流れ(3)は次に、擬似向流で作用しかつ以下の通りの内訳の24段の床を有する吸着塔(6)中に送られる: ゾーン1に5段、ゾーン2に9段、ゾーン3Aに5段、ゾーン3Bに3段そしてゾーン4に2段。吸着(6)は、次のような運転条件で作動する:すなわち、温度は175℃に維持され、再循環ポンプの吸引圧力は1MPaに維持される。使用される吸着剤は、水和ゼオライトBaXである。使用される脱着剤は、投入物に対する脱着剤の体積割合1.5で使用されるパラジエチルベンゼンである。
(6)よりエキストラクト(7a)、ラフィネート(7b)及び第2のラフィネート(7c)を抜取る。エキストラクト(7a)は蒸留に送られ、そこから純度99.8重量%のパラキシレンで構成された流れ(9a)が頭部で抜取される。第2のラフィネート(7c)は蒸留(8c)に送られ、そこから、異性化(24)に戻される流れ(9c)が頭部で抜取られる。ラフィネート(7b)は蒸留(8b)に送られ、そこで特に7.42重量%のエチルベンゼンを含有する流れ(9b)が頭部で抜取られる。このエチレンベンゼン流れは、脱水素ユニット(10)内に送られ、このユニットは(軽量部の分離後に)、4.88重量%のスチレンを含有する流れ(18)を生成し、残留分は下表にその濃度が記されているC8の芳香族で構成されている。脱水素は実施例1の条件で運転される。
流れ(18)は、擬似向流で作動しかつ以下の内訳の20段の床を有する吸着塔(20)中に送られる。ゾーン1に4段、ゾーン2に7段、ゾーン3に5段そしてゾーン4に4段。吸着は、次のような運転条件で作動する。すなわち、温度は120℃に維持され、再循環ポンプの吸引圧力は1MPaに維持される。使用される吸着剤は、ゼオライトNaYである。使用される脱着剤は、投入物に対する脱着剤の体積比率1.6で使用されるトルエンである。
(20)からエキストラクト(21a)及びラフィネート(21b)を抽出する。エキストラクト(21a)は蒸留ユニット(22a)に送られ、そこから99.8重量%のスチレンを含有する流れ(23a)が頭部で抜取られる。ラフィネート(21b)は蒸留ユニット(22b)に送られ、そこから以下の条件下で液相で運転される異性化ユニット中に送られる流れ(23b)が頭部で抜取られる:温度は200℃に維持され圧力は2.5MPaに維持される。VVH=10h−1で、触媒はZSM5タイプのものである。
パラキシレン分率 : PX
メタキシレン分率 : MX
オルトキシレン分率 : OX
エチレンベンゼン分率 : EB
9+の芳香族分率 : C9+
スチレン分率 : スチレン
Figure 0004521656
該方法をその最も一般的な形で表わす概略フローシートである。 第1の分離塔のレベルに新しい運転ゾーンを導入する、全体図の一変形形態を表わすフローシートである。

Claims (23)

  1. キシレン、エチルベンゼン及びC9−C10の炭化水素を含む投入物から高純度のパラキシレン及びスチレンを同時生成する方法において、
    − 蒸留塔(2)の中で実施される、キシレン分離を可能にする投入物(1)の蒸留段階(1)であって、該蒸留塔からメタキシレン、パラキシレン、エチルベンゼンの大部分とオルトキシレンの少なくとも一部分を含む流れを頭部で抜取り、又底部ではこの蒸留塔からC9−C10の炭化水素及びオルトキシレンの残留部分を含有する流れ(4)を抜取る段階;
    − パラキシレン、エチルベンゼン、メタキシレン及びオルトキシレンに対する異なる選択性をもち、閉ループ状に相互連結された複数の吸着剤床を収納する擬似移動床の形で機能する少なくとも1つの第1の吸着塔(6)の中で、頭部流れ(3)を吸着させる段階であって、前記吸着塔(6)には、少なくとも4つの機能ゾーンすなわち、脱着剤(5)の注入点とエキストラクト(7a)の採取点の間に含まれるパラキシレン脱着ゾーン1、エキストラクト(7a)の採取点と吸着投入物(3)の注入点の間に含まれるエチルベンゼン、オルトキシレン及びメタキシレンの脱着ゾーン2、吸着投入物(3)の注入点とラフィネート(7b)の抜取り点の間に含まれるパラキシレンの吸着ゾーン3及び、ラフィネート(7b)の抜取り点と脱着剤(5)の注入点の間に含まれたゾーン4が含まれている段階;
    − 少なくとも1基の蒸留(8a)内で実施されるエキストラクト(7a)の蒸留段階であって、該蒸留から、一方では少なくとも99.7重量%の純度のパラキシレン(9a)そして他方では、第1の吸着塔内でその少なくとも一部分が再循環される脱着剤を抜取る段階;
    − 少なくとも1基の蒸留(8b)内でのラフィネート(7b)の蒸留段階であって、該蒸留から、一方では第1の吸着内で少なくともその一部分が再循環される脱着剤そして他方ではメタキシレン、オルトキシレン、及びエチルベンゼンを含有する蒸留されたラフィネート(9b)を抜取る段階;
    − 少なくとも1つの脱水素ゾーン(10)内で実施され、導入されたエチルベンゼンの少なくとも50重量%がその間にスチレンに変換される、スチレン、メタキシレン、オルトキシレン、未変換エチルベンゼン及び副産物を含有する排出液を得る目的でエチルベンゼンを含有する蒸留済みラフィネートを脱水素する段階;
    − スチレン、エチルベンゼン、メタキシレン及びオルトキシレンの大部分を含有する混合物(18)を生成するべく少なくとも1基の蒸留塔内の副産物を除去する少なくとも1つの段階;
    − 少なくとも99.8重量%のスチレンを含有する第1の流れ(23a)及び、メタキシレン及びオルトキシレンを主に含有する第2の流れ(23b)を生成する、混合物(18)の分離段階;
    − 少なくとも1つの異性化ゾーン内で、液相で第2の流れ(23b)をユニット(24)の中で異性化する段階であって、この段階の終りで、投入物の蒸留(2)の上流側へ再循環されるパラキシレン(25)、オルトキシレン及びメタキシレンが回収される段階、
    を連続的に含んで成る方法。
  2. 混合物(18)の分離段階が、スチレン、エチルベンゼン、メタキシレン及びオルトキシレンに対する異なる選択性をもち、閉ループ状に相互連結された複数の吸着剤床を収納する擬似移動床の形で作動する少なくとも1つの第2の吸着塔(20)の中で実施され、前記吸着塔(20)には、少なくとも4つのクロマトグラフィゾーンすなわち、脱着剤(19)の注入点とエキストラクト(21a)の採取点の間に含まれる第1のスチレン脱着ゾーン;エキストラクト(21a)の採取点と前記混合物(18)を含む吸着投入物の注入点の間に含まれるエチルベンゼン、メタキシレン及びオルトキシレンの第2の脱着ゾーン;投入物(18)の注入点とラフィネート(21b)の抜取り点の間に含まれる第3のスチレン吸着ゾーン;
    及び、ラフィネート(21b)の抜取り点と脱着剤(19)の注入点の間に含まれた第4のゾーンが含まれている、請求項1に記載の方法。
  3. エキストラクトを蒸留してそこから脱着剤を除去し、ラフィネートを蒸留してそこから脱着剤を除去し、回収された脱着剤は、少なくとも部分的に第2の吸着内で回収される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 第1の吸着(6)が5つの機能ゾーンで運転され、この塔からエチルベンゼンが富化された第1のラフィネート(7b)を抜取り、第1のラフィネート(7b)の抜取り点と、脱着剤(5)の注入点の間で第2のラフィネート(7c)を抜取り、このとき前記吸着(6)が、第1の吸着(6)の前記機能ゾーン1及び2、投入物の注入点と第1のラフィネートの抜取り点の間に含まれたパラキシレンの吸着ゾーン3A、第1のラフィネートの抜取り点と第2のラフィネートの抜取り点の間に含まれたエチルベンゼンの吸着ゾーン3B、第2のラフィネートの抜取り点と脱着剤の注入点の間に含まれたゾーン4を含むことを特長としている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 第1のラフィネート(7b)が、ほぼ全ての脱着剤を除去するべく蒸留(8b)の中で蒸留され、第1の蒸留済みラフィネート(9b)が次に脱水素ゾーン(10)内に送られ、第2のラフィネート(7c)はその後、ほぼ全ての脱着剤を除去するべく1基の蒸留(8c)内で蒸留され、エチルベンゼンをほぼ含まない状態で回収される第2の蒸留済みラフィネート(9c)が次に異性化ゾーンに導かれる、請求項4に記載の方法。
  6. 第1の吸着内で使用される吸着剤が、バリウム交換されたゼオライトX又は、カリウム交換されたゼオライトY又は又バリウムとカリウムで交換されたゼオライトYである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 第2の吸着内で使用される吸着剤がナトリウム又はバリウム又はカリウム又はリチウムならびにカリウム及び銀で交換されたゼオライトX又はYである請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 第1の吸着の脱着剤が、混合状態パラジエチルベンゼン、トルエン、パラジフルオロベンゼン及びジエチルベンゼンから成るグループの中から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 第2の吸着の脱着剤が、トルエン、ナフタレン及びそのアルキル化誘導体から成るグループの中から選択されている、請求項2〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 第1の吸着についての投入物に対する脱着剤の体積比が0.5〜2.5の間であり、吸着による第2の吸着についての投入物に対する脱着剤の体積比が0.5〜3.0の間にある、請求項2〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 第1の吸着段階が、20℃〜250℃の間の温度で、運転温度でのキシレンの気泡圧力と2MPaの間の圧力下で行なわれる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 第1の吸着段階が、90℃〜210℃の間の温度で、運転温度でのキシレンの気泡圧力と2MPaの間の圧力下で行なわれる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 第1の吸着段階が、160℃〜200℃の間の温度で、運転温度でのキシレンの気泡圧力と2MPaの間の圧力下で行なわれる、請求項〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 第2の吸着塔が、20℃〜200℃の間の温度で、運転温度での混合物の気泡圧力と2MPaの間の圧力下で行なわれる、請求項2〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 第2の吸着塔が、50℃〜150℃の間の温度で、運転温度での混合物の気泡圧力と2MPaの間の圧力下で行なわれる、請求項〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 第2の吸着塔が、60℃〜100℃の間の温度で、運転温度での混合物の気泡圧力と2MPaの間の圧力下で行なわれる、請求項〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 第1の吸着塔が少なくとも24段の床を含み、そのうち少なくとも3段がゾーン3B内にある、請求項4〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 第2の吸着塔が少なくとも16段床を含み、そのうち少なくとも5段が第2のゾーン内にある、請求項〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 留分(9a)は、少なくとも50重量%の純度でパラキシレンが富化されており、パラキシレン結晶及び母液を送り出すため少なくとも1つの結晶化ゾーン内に送られ、結晶は母液から分離され、場合によって再度懸濁させられ、洗浄され、回収され、母液は第1の分離塔内に再循環させられる、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. オルトキシレンを含有する留分の少なくとも一部分が塔の底部で抜取られるような形で蒸留塔(2)を運転し、さらに少なくとも9個の炭素原子をもつ芳香族を含む前記留分を蒸留塔に向かって送り、かくして、頭部では少なくとも98.5重量%の純度のオルトキシレンの流れを、又少なくとも9個の炭素原子をもつ芳香族及び場合によってはオルトキシレンを含有する流れを抜取るようにする、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 混合物(18)の分離段階が、蒸留、共沸蒸留、抽出蒸留、液−液蒸留、化学的錯体形成、膜分離及びそれらの組合せから成るグループの中から選択された分離技術を使用する、請求項1に記載の方法。
  22. 第2の流れ(23b)がさらにスチレンを含有し、この流れを水素化ゾーン内で水素化し、水素化排出液を回収し異性化ゾーンに送り込む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 第2の流れ(23b)が、多くとも5%のエチルベンゼンを含有する、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
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