JP2753587B2 - エチルベンゼンを含む芳香族炭化水素混合物からのスチレンの製造方法 - Google Patents

エチルベンゼンを含む芳香族炭化水素混合物からのスチレンの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明はエチルベンゼンを含む芳香族炭化水素混合物
からスチレンを製造する方法に関するものである。
(従来技術及びその問題点) スチレンを製造するために、ナフサの如き炭化水素油
を高温熱分解する際に得られる分解残油を原料として用
いる方法は知られている。この分解残油は、ベンゼン、
トルエン、スチレン、エチルベンゼン及びキシレン等の
芳香族炭化水素及びパラフィン、ナフテン、オレフィン
等の脂肪族炭化水素を主体とするもので、その他に高度
の不飽和度を持つ化合物や微量の各種イオウ化合物が含
まれている。この分解残油からスチレンを製造するに
は、先ず、この分解残油を蒸留処理してC8芳香族炭化水
素を含む沸点範囲、例えば120〜160℃の留分を得る。次
に、この留分を水添処理してそれに含まれるスチレン、
オレフィン、ジオレフィン等の不飽和炭化水素を飽和炭
化水素に転換すると同時に、イオウ分を水添除去した
後、得られた水素化処理油を溶剤抽出処理にて芳香族炭
化水素を分離回収する。次いで、このようにして得られ
たエチルベンゼンとキシレンからなるC8芳香族炭化水素
混合物を超精密蒸留処理して、エチルベンゼンを分離回
収する。そして得られたエンチルベンゼンを高温脱水素
してスチレンとエチルベンゼンからなる混合物を得る。
この混合物を精密蒸留してスチレンを得る。
この方法は、熱分解残油の有効利用の点では有利では
あるものの、熱分解油中に含まれているスチレンを一旦
水添してエチルベンゼンにし、そしてエチルベンゼンと
して単離した後再度脱水素してスチレンにするという無
駄な反復が行われている。このため、スチレンを水添す
るための余分の水素が必要とされ、またその水添により
得られたエチルベンゼンを脱水素するための余分の熱エ
ネルギーが必要とされる。従って、この方法は経済的に
有利なスチレン製造方法とは言い難い。
熱分解残油を原料としてスチレンを製造する場合、そ
れに含まれるスチレンを直接分離すれば経済的に有利で
あることは明らかであり、そのための試みもいくつか知
られてる。例えば、これまでに、銀塩による抽出分離
法、共沸蒸留法、極性有機溶媒による抽出蒸留法等が研
究され、公知となっているが、これらの方法はいずれも
コスト面から実用的な方法ではない。
また、石油類の蒸留処理により得られるエチルベンゼ
ンを含むキシレン留分を直接脱水素してスチレンを製造
する方法も知られている。しかし、この方法では、スチ
レン(沸点145.2℃)とo−キシレン(沸点144.5℃)の
沸点が近似しているため、脱水素生成物からスチレンを
蒸留分離するのは実質上不可能である。この脱水素生成
物からの分離について、前記熱分解残油からのスチレン
の分離に示したと同様の方法が種々検討されているが、
未だ工業化に至っていないのが現状である。
工業的に広く実施されているスチレンの製造法は、ベ
ンゼンとエチレンとの反応により得られた高純度エチル
ベンゼン又はキシレン留分を350段という高い段数を有
する精留塔により超精度蒸留処理して得られる高純度エ
チルベンゼンを原料として用い、これを脱水素し、得ら
れた脱水素生成物からスチレンを分離する方法である。
脱水素生成物にはスチレンが約50重量%含まれており、
この脱水素生成物からのスチレンの分離には、脱水素生
成物に重合防止剤を添加し、減圧下で高い還流比で精留
する方法が行われている。この場合、精留は、スチレン
の重合防止の点から蒸留塔内の許容温度は110℃以下、
好ましくは100℃以下とされているため、相当の減圧下
で行うことが必要である。しかも、エチルベンゼンとス
チレンの沸点がそれぞれ136℃及び145℃と非常に接近し
ているため、その分離には多くの段数(約70〜100段)
と多大な還流比が必要とされる。従って、蒸留法以外の
有利な分離法の開発が強く要望されている。
(発明の課題) 本発明は、エチルベンゼンを含む芳香族炭化水素混合
物から、スチレンを工業的に有利に製造し得る方法を提
供することをその課題とする。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を
重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、エチルベンゼンを含む芳香族
炭化水素混合物を原料とし、これを蒸留によりエチルベ
ンゼン含量が80重量%以上の粗エチルベンゼンを得る蒸
留工程と、蒸留工程で得られた粗エチルベンゼンを高温
度で脱水素する脱水素工程と、該脱水素工程で得られた
生成油を1価の金属カチオンでイオン交換したホージャ
サイト型ゼオライト吸着剤に接触させてスチレンを吸着
分離する吸着分離工程からなるスチレンの製造方法が提
供される。
また、本発明によれば、第2プロセスとして、エチル
ベンゼンを含む芳香族炭化水素混合物を後記する脱水素
工程から循環される脱水素生成油とともに、1価の金属
カチオンでイオン交換したホージャサイト型ゼオライト
吸着剤に接触させてスチレンを吸着分離する吸着分離工
程と、該吸着分離工程で得られた残液を蒸留してエチル
ベンゼン含量が80重量%以上の粗エチルベンゼンを得る
蒸留工程と、該蒸留工程で得られた粗エチルベンゼンを
高温度で脱水素する脱水素工程とからなり、該脱水素工
程で得られた生成油を前記吸着分離工程へ循環すること
を特徴とするスチレン製造方法が提供される。
本発明でスチレン製造のために用いる原料は、エチル
ベンゼンを含む芳香族炭化水素混合物である。このよう
な混合物としては、例えば、ベンゼンをエチル化して得
られるエチルベンゼンを含む混合物の他、ナフサの熱分
解において得られる分解残油を蒸留し得られる沸点120
〜160℃、好ましくは135〜150℃のスチレン、キシレン
及びエチルベンゼンを含む留分、各種石油の蒸留により
得られるキシレンとエチルベンゼンを含むC8留分等が挙
げられる。
本発明においては、スチレンを含む芳香族炭化水素混
合物から吸着剤を用いてスチレンを吸着分離する工程を
含むが、この吸着分離工程で用いる吸着剤は、1価金属
カチオンでイオン交換されたホージャサイト型ゼオライ
トである。
このホージャサイト型ゼオライトは、次の一般式で表
わされる結晶性アルミノシリケートである。
0.9±M2O:Al2O3:XSiO2:YH2O 前記式中、Mは1価金属カチオンであり、ナトリウ
ム、カリウム、リチウム、ベリリウム、銀等が挙げられ
る。ホージャサイト型ゼオライトはX型とY型とに分類
され、X型の場合、Xは2.5±0.5であり、Y型の場合
は、Xは3〜6である。Yは水和の程度により異なる
が、一般には0〜9である。
本発明で用いるホージャサイト型ゼオライトは、その
構造の一部を変更してもよく、例えば、脱アルミ処理を
施してもよく、場合によっては他の金属を含有させても
よい。本発明においては、X型のものの使用が好まし
い。本発明において用いるホージャサイト型ゼオライト
は、1価金属カチオンで置換されていることが必要であ
る。カルシウムやマグネシウム等の2価金属イオン等の
多価金属イオンで置換されたものを用いると、吸着分離
に際し、スチレンの重合反応が生じて良好な結果を得る
ことができない。
本発明におけるスチレンの吸着分離工程は、スチレン
を含む芳香族炭化水素混合物を、前記の1価金属カチオ
ン置換ホージャサイト型ゼオライト吸着剤(以下、単に
吸着剤とも言う)に接触させ、その混合物中に含まれて
いるスチレンを、キシレンやエチルベンゼンよりも選択
性よく吸着させた後、その吸着剤からスチレンを脱着さ
せ、スチレンを含むエキストラクトを得ることによって
行われる。この吸着脱着工程の条件は、温度:30〜200
℃、好ましくは60〜100℃、圧力:常圧〜50kg/cm2G、好
ましくは3〜30kg/cm2Gである。
この吸着分離工程において、吸着剤に吸着いたスチレ
ンは脱着剤によって脱着されるが、この場合、脱着剤と
しては、吸着剤に吸着したスチレンを脱着し得る能力の
ある物質を用いればよい。脱着剤の吸着力が弱い場合
は、スチレンを脱着するための脱着剤の量が多量とな
り、エクストラクト中の脱着剤濃度が増加し、スチレン
と脱着剤とを分離するのに要するコストが増加する。こ
れに対して脱着剤の吸着力が強すぎる場合はスチレンの
吸着時に脱着剤が吸着剤から十分に脱着されず、吸着剤
中に残るためスチレンの吸着容量が低下すると共にエク
ストラクト中に出てくる脱着剤の量が増大し、やはりス
チレンと脱着剤との分離に要するコストが増加する。従
って、脱着剤としては適度の吸着力を有する物質を選定
するのが重要である。又、吸着剤の沸点は、スチレンと
の分離及び他のC8芳香族炭化水素からの分離を蒸留によ
り行うことを考えた場合、一般には、スチレンとの沸点
差が10℃以上、好ましくは20℃以上であることが望まし
い。このような脱着剤としては、鎖状又は環状脂肪族炭
化水素、ベンゼン系又はナフタレン系の芳香族炭化水素
又はその水素化物、アルコールやケトン等の極性化合物
等が使用可能である。
本発明に用いて好適な脱着剤は、ベンゼン、トルエ
ン、沸点160℃以上のモノ又はポリアルキルベンゼン、
ナフタレン又はモノ又はポリアルキルナフタレン等であ
る。
本発明において用いる特に好ましい脱着剤は、次の一
般式で表わされるナフタレン又はそのアルキル置換体で
ある。
式中、R1及びR2は、水素又は低級アルキル基である。
低級アルキル基としは、メチル基、エチル基、プロピル
基又はイソプロピル基等が挙げられる。その具体例とし
ては、例えば、ナフタレン、α−メチルナフタレン、β
−メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、イソプロピ
ルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、メチルイソ
プロピルナフタレン及びこれらの2種以上の混合物等が
挙げられる。
本発明者の研究によれば、ナフタレン又はそのアルキ
ル置換体のゼオライト吸着剤に対する吸着強度及び脱着
強度は、スチレンに比べ、それぞれ強すぎもせずかつ弱
すぎることもなく、しかも沸点はスチレンよりも高く、
脱着剤として非常にすぐれた特性を有することが見出さ
れた。従って、本発明において、ナフタレン又はアルキ
ル置換体を脱着剤として用いる時には、その使用割合は
少なくてすみ、吸着分離工程から得られるエクストラク
ト中の脱着剤濃度を低く抑えることができる。しかも、
脱着剤の沸点がスチレンの沸点よりも低く、エクストラ
クトの蒸留処置に際しては、スチレンよりも多量に存在
する脱着剤を蒸留物として分離する必要がないことか
ら、蒸留塔の熱負荷が少なくてすむ。一般に、吸着分離
工程を工業的に有利に実施する場合、脱着剤の相対分離
係数は0.5〜3の範囲にあることが必要であるとされて
いるが、ナフタレン又はそのアルキル置換体の相対分離
係数β(ST/D)の値は、いずれもこの範囲にある。
本発明で用いる吸着分離工程は、クロマトグラフ法的
方法によって実施され、固定床、流動床、好ましくは擬
似移動床の方式が採用される。擬似移動床方式による吸
着分離は、既に確立された技術であり、キシレン異性体
混合物の吸着分離に適用されており、例えば、特公昭42
−15681号公報、特公昭50−10547号公報等に記載されて
いる。このような吸着分離技術においては、スチレンと
脱着剤とからなるエクストラクトが得られ、スチレン以
外のC8芳香族成分と脱着剤とからなるラフィネートが得
られる。これらのエクストラクト及びラフィネートは蒸
留処理に付されてそれぞれの成分に分離させ、そして分
離された脱着剤は再び循環使用される。
次に、擬似移動床方式による吸着分離技術についてさ
らに詳述すると、この吸着分離技術は、基本的操作とし
て次に示す吸着操作、濃縮操作、脱着操作及び脱着剤回
収操作を連続的に循環して実施される。
(1)吸着操作:スチレンを含む芳香族炭化水素混合物
が吸着剤と接触し、強吸着成分としてスチレンが選択的
に吸着され、弱吸着成分である他の成分が、ラフィネー
ト流れとして脱着剤とともに回収される。
(2)濃縮操作:スチレンを選択的に吸着した吸着剤は
後で述べるエクストラクトの一部と接触させられ、吸着
剤上に残存している弱吸着成分が追い出されスチレンが
濃縮される。
(3)脱着操作:濃縮されたスチレンを含む吸着剤は、
脱着剤と接触させられ、スチレンが吸着剤から追い出さ
れ、脱着剤を伴なってエクストラクト流れとして回収さ
れる。
(4)脱着剤回収操作:実質的に脱着剤のみを吸着した
吸着剤は、ラフィネート流れの一部と接触し、吸着剤に
含まれる脱着剤の一部が吸着剤回収流れとして回収され
る。
第1図に擬似移動床による吸着分離装置の模式図を示
す。この図において、1〜16は吸着剤の入った吸着室で
あり、相互に連結されている。17は脱着剤供給ライン、
18はエキストラクト抜出ライン、19は原料供給ライン、
20はラフィネート抜出ライン、21はリサイクルラインを
示す。図面に示した吸着室1〜16と各ライン17〜20の配
置状態では、吸着室1〜3で脱着操作、吸着室4〜8で
濃縮操作、吸着室9〜13で吸着操作、吸着室14〜16で脱
着剤回収操作がそれぞれ行われている。
このような擬似移動床では、一定時間間隔ごとに、バ
ルブ操作により、各供給及び抜出ラインを液流れ方向に
吸着室1室分だけそれぞれ移動させる。従って、次の吸
着室の配置状態では、吸着室2〜4で脱着操作、吸着室
5〜9で濃度操作、吸着室10〜14で吸着操作、吸着室15
〜1で脱着剤回収操作がそれぞれ行われるようになる。
このような操作を順次行うことによって、スチレンを含
む芳香族炭化水素混合物の擬似移動床による吸着分離処
理が達成される。なお、図面においては、吸着室は16個
に特定されているが、この吸着室の数は限定されるもの
ではないことを留意すべきである。
次に、本発明のスチレンを製造するためのプロセスに
ついて詳述する。
〔第1プロセス〕 このプロエスでは、先ず、エチルベンゼンを含む芳香
族炭化水素からなる原料油を蒸留して、エチルベンゼン
含量が80重量%以上、好ましくは85〜95重量%以上の粗
エチルベンを得る。この蒸留工程は、得られるエチルベ
ンゼンが80重量%以上の純度のものでよいことから、超
精密による必要はなく、比較的容易に行うことができ
る。
次に、前記蒸留工程で得られた粗エチルベンゼンを高
温度で脱水素し、スチレンを含む脱水素生成油を得る。
この脱水素工程は、従来公知の方法に従って実施するこ
とができ、例えば、水蒸気の存在下、高温度で脱水素触
媒と接触させることにより行うことができる。
次いで、前記脱水素工程で得られたスチレンを含む生
成油を、前記したゼオライト吸着剤と接触させてスチレ
ンを吸着分離し、これを回収する。スチレンの除去され
た残液は、必要に応じ、前記蒸留工程へ循環する。
脱水素工程から得られる生成油を吸着分離工程へ送る
場合、その脱水素生成油は、これを脱色処理及び/又は
ジエン除去処理を含む精製処理を施した後、吸着分離工
程へ送るのが好ましい。この精製処理により、最終的に
得られるスチレンの品質の向上が達成されるとともに、
吸着分離工程における吸着剤の被毒が回避される。この
精製処理としては、例えば、蒸留処理、酸処理、水素化
処理等を具体的に示すことができる。これらの処理を組
合せて行うことも好ましい。この場合、蒸留処理では、
脱水素工程で生成するC8芳香族成分より軽質な不純物及
びC8芳香族成分よりも重質な不純物が除去される。ま
た、この蒸留処理では、ジエン類の除去も行われる。酸
処理では、スチレン着色成分が主に除去される。この酸
処理は、硝酸等の酸溶液及び窒素酸化物等の酸性ガスと
脱水素生成油を接触させることにより実施される。硝酸
処理を行なう場合は、粗スチレンに対して1〜100重量
%の濃硝酸と接触させる。接触方式は通常のライイミキ
シング方式、撹拌機付混合槽等を使用することができ
る。処理温度は20〜50℃、接触時間は、5〜60分が好ま
しい。この処理を受けた粗スチレンは、相分離などの一
般的手法により分離し、水又はアルカリ水で洗浄した
後、蒸留分離し、吸着分離工程へ送るのが好ましい。ま
た、水素化処理では、粗スチレン中に含まれるジエン化
合物や微量のアセチレン化合物が主として水素化除去さ
れる。この水素化処理で用いられる触媒は、スチレンの
水素化には低活性であるが、ジエン化合物やアセチレン
系化合物に対しては高活性であるものが好ましく、例え
ば、白金、パラジウムなどの貴金属触媒を適度に被毒さ
せたものが用いられる。この場合の被毒方法としては、
硫化法や、鉛、銅、亜鉛等の金属を微量添加する方法等
がある。水素化条件としては、温度:0〜200℃、圧力:1
〜100kg/cm2G、LHSV:1.0〜10.0HR-1の条件の使用が好ま
しい。
〔第2プロセス〕 このプロセスでは、先ず、エチルベンゼンを含む芳香
族炭化水素混合物を、後続の脱水素工程から循環される
スチレンを含む脱水素生成油とともに、前記したゼオラ
イト吸着剤と接触させてその中に含まれるスチレンを吸
着分離し、これを回収する。
次に、スチレンを吸着分離した後の残液を蒸留して、
エチルベンゼン含量が80重量%以上、好ましくは85〜95
重量%の粗エチルベンゼンを得る。
次に、前記蒸留工程で得られた粗エチルベンゼンを従
来公知の方法で脱水素し、スチレンを含む生成油を得
る。そして、この脱水素生成油は、これを前記吸着分離
工程に循環する。
脱水素生成油を吸着分離工程へ循環する場合、その脱
水素生成油には、前記した脱色処理及び/又はジエン除
去処理を含む精製処理を施すのが好ましい。また、この
精製処理は、脱水素生成油とエチルベンゼンを含む芳香
族炭化水素混合物との混合油に対して適用し、その精製
処理油を吸着分離工程へ送ることも有効である。
(発明の効果) 本発明によれば、脱水素工程で生成されたスチレン
は、吸着分離によって他の近接した沸点を有するエチル
ベンゼンやキシレンから分離される。従って、従来のス
チレンの製造法に見られた各種の問題点は一挙に解決さ
れる。しかも、本発明による時には、原料中にイオウ化
合物が含まれていても、このイオウ化合物は吸着分離工
程で残液中に移行し、スチレンには混入されない。スチ
レンは重合によりポリスチレン又はスチレンを含む共重
合体とされるが、この場合、イオウ化合物は重合に悪影
響を与えることからその完全除去が要求される。本発明
の場合には、原料中にイオウ化合物が含まれていても、
イオウ化合物は分離回収されるスチレンには混入してこ
ないので、その分離は不要になり、非常に有利である。
以上のことから、本発明は、スチレンの工業的製造法
として非常にすぐれたものであり、その産業的意義は多
大である。
(実施例) 次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
なお、以下において吸着剤の吸着特性を表わす指標と
して用いたスチレンを基準とした相対分離係数β(ST/
i)及びβ(ST/D)は、それぞれ成分i及び脱着剤に対
するものを示し、以下の式で表わされる。
β(ST/i)=K(ST)/K(i) (I) β(ST/D)=K(ST)/K(D) (II) 前記式中K(ST)、K(i)及びK(D)は、それぞ
れ、スチレン、i成分及び脱着剤の各固液平衡定数であ
り、次の式で定義される。
なお、前記i成分としては、具体的には、エチルベン
ゼン(EB)、p−キシレン(PX)、m−キシレン(MX)
及びo−キシレン(OX)が含まれる。
相対分離係数β(ST/i)が1より大きい値を示すほど
スチレンがその混合成分iよりも吸着剤に強く吸着する
ことを意味する。逆に、β(ST/i)が1に近いか又は1
より小さい値を示す混合成分iは、スチレンと同等又は
スチレンより強く吸着剤に吸着し、スチレンとの分離が
困難となり、その結果、高純度のスチレンを得ることが
できなくなる。相対分離係数β(ST/i)は2以上である
ことが好ましい。また、脱着剤の相対分離係数β(ST/
D)の値は、0.5〜3の範囲にあることが実用上望まし
い。
参考例(各種吸着剤の調製) Na−Xゼオライト吸着剤は、市販リンデ13X(1/16″
ペレット成形体)を粉砕し、40〜80メッシュに粒度をそ
ろえた細粒品を用いた。Na−Y型ゼオライト吸着剤は、
東ソー社製のNa−Y型ゼオライト(SiO2/Al2O3=5.5)
の粉末に、バインダーとしてアルミナゾルを用いて成形
した直径0.1〜0.25mmの顆粒品を用いた。
それらの吸着剤のNaを他の金属カチオンで交換した吸
着剤は、それらの吸着剤を各種の金属硝酸塩水溶液でイ
オン交換処理して調製した。イオン項か処理は、固液比
10で、約98℃で2時間放置し、この操作を3回くり返し
て行った。イオン交換後の吸着剤は、100℃で乾燥後、4
50℃で3時間焼成した。
参考例2(スチレンの吸着分離実験) 参考例の方法で調製した吸着剤に対するスチレン、キ
シレン、エチルベンゼン及び脱着剤(溶媒)の各相対分
離係数を測定するために、内容積30ccのオートクレーブ
内に、あらかじめ350℃で2時間脱水処理した吸着剤を4
g、及びn−ナノンで25重量%に希釈したC8芳香族炭化
水素混合物と脱着剤を所定の割合で混合したものを8g充
填し、60℃で2時間、ときどき撹拌しながら放置した。
この場合、脱着剤は、C8芳香族炭化水素混合物と脱着剤
の合計量に対する割合が60重量%となる割合で用いた。
また、原料として用いたC8芳香族炭化水素混合物の組成
は表−1の通りであった。なお、希釈剤として用いたn
−ノナンは前記吸着条件下では吸着剤の吸着特性に関し
実質上不活性な物質であるが、吸着平衡時の液相組成を
ガスクロマトグラフィーにより定量分析するための基準
物質として用いたものである。
前記のようにして吸着剤を接触させて吸着平衡に達し
た後の液相混合物の組成をガスクロマトグラフィーによ
り分析し、スチレンを基準としたキシレン、エチルベン
ゼン及び脱着剤の各相対分離係数を求めた。その結果を
表−2に示す。
なお、表−2中にNa−X、K−X、Li−Y等の不幸で
示した吸着剤は、Na−置換X型ゼオライト、K−置換X
型ゼオライト、Li−置換Y型ゼオライト等を示す。ま
た、例えば0.5Ag−0.5K−Yで示した吸着剤は、Ag50当
量%及びK50当量%で置換されたY型ゼオライトを示
す。
本発明で規定した吸着剤を用いることによって、スチ
レンをC8芳香族留分から選択的に吸着分離回収できるこ
とが表−2に示した結果からわかる。
参考例1 参考例1で示した方法でNa−Y型ゼオライトをBa及び
の硝酸塩水溶液でイオン交換した吸着剤を調製した。こ
の吸着剤を用い、参考例2と同一条件で、脱着剤として
トルエンを用いC8芳香族留分に含まれる各成分の相対分
離係数を測定した。その結果、Ba及びPbでイオン交換し
たゼオライト吸着剤を用いると、その触媒作用によりス
チレンが化学反応(重合)を起こし、吸着剤として全く
使用できないことが判明した。
参考例3 原料C8芳香族留分にイオウ化合物が混在した場合にお
いて、これを吸着分離してスチレンを回収する際、イオ
ウ化合物が吸着してスチレン中に混入してこないか否か
を確認するため、参考例2で使用したC8芳香族留分に2
−メチル−チオフェンを若干量添加し、脱着剤としてβ
−メチルナフタレンを用い、それ以外の条件は参考例2
と同一にして相対分離係数を測定した。その結果を表−
3に示す。
なお、表−3中に示したβ(ST/MT)は2−メチル−
チオフェンの相対分離係数を示す。
表−3に示した結果から明らかなように、本発明で規
定した吸着剤を使用すると、イオウ化合物はスチレンよ
り吸着性が弱く、容易にスチレンのみを選択的に吸着分
離し得ることがわかる。
実施例1 (蒸留工程) ナフサ接触改質に得られた表−4に示された性状のC8
芳香族留分約1kgを、内径20mm、高さ2500mmのディクソ
ンパッキングを充填した回分式蒸留塔(理論段数130
段)により蒸留した。蒸留時の圧力は50mmHg、還流比は
75とした。この結果、表−5に示した成分組成を有する
粗エチルベンゼン約200gを得た。
(脱水素工程) 固定床流通式反応装置を用いた表−5に示した成分組
成の粗エチルベゼンの脱水素を以下のようにして実施し
た。
反応器に日産ガードラー社製G−64C(鉄系脱水素触
媒)を約10cc充填し、この反応器に対し、粗エチルベン
ゼン及びスチームをそれぞれ3.5g/HR及び6.0g/HRで供給
した。反応条件は温度600℃、常圧で行なった。このよ
うにして得られた脱水素生成物の組成分析結果を表−6
に示した。
(精製工程) 表−6に組成を示したスチレン含有油100gに濃硝酸30
gを添加し、温度50℃で撹拌しながら約30分放置した
後、分液ロートにより油相を分離した。分離後油相に水
100g添加し、洗浄した後、減圧蒸留によりスチレン留分
を留出させた。得られたスチレン留分を固定床流通式反
応装置により水素化処理した。この場合触媒としてはア
ルミナに約2wt%パラジウムを担持した触媒を用い、予
め硫化処理した。水素化条件は、温度:100℃、圧力:50k
g/cm2G、LHSV:5.0HR-1とした。得られた水素化処理油の
性状を表−7に示す。
(吸着工程) 参考例1で示したNa−X型ゼオライト吸着を用いて、
脱着剤としてβ−メチルナフタレンの存在下、第1図に
示した如き擬似移動床方式の吸着分離装置を用いて表−
7に示す脱水素生成油の精製化油を吸着分離処理した。
この場合、各吸着室の容積は70ccであり、その数は16個
であった。また、脱着剤は、吸着分離塔の上から第1番
目の吸着室に供給し、脱水素生成油は、上から第9番目
の吸着室に導入し、さらに、エキストラクトは上から第
3番目の吸着室から抜出し、ラフィネートは上から第13
番目の吸着室から抜出した。
このようにして得られたエキストラクト中のスチレン
の濃度は脱着剤フリーベースで99重量%以上であり、ス
チレン回収率は89wt%であった。
一方、ラフィネートの成分組成は、脱着剤フリーベー
スで、次表に示す通りであった。
実施例2 表−6に示した脱水素生成油を表−1に示す成分組成
を示す原料油に混合し、これを、実施例1と同様にして
精製処理及び吸着分離処理した。この吸着分離で得られ
るエクストラク中のスチレン濃度は脱着剤フリーベース
で99wt%であり、スチレン回収率は90wt%であった。
一方、ラフィネートの成分組成は、脱着剤フリーベー
スで、次表に示す通りのものであった。
(蒸留工程) 前記で得たラフィネートを実施例1と同様にして蒸留
して、次表に示す成分組成の蒸留物を得た。
(脱水素工程) 前記蒸留工程で得た蒸留物を、実施例1と同様にして
脱水素した。得られた脱水素生成油の成分組成は次表の
通りであった。
【図面の簡単な説明】 第1図は擬似移動床による吸着分離装置の模式図であ
る。 1〜16……吸着室 17……脱着剤供給ライン 18……エクストラクトン抜出ライン 19……原料混合物ライン 20……ラフィネート抜出ライン 21……リサイクルライン 22……ポンプ

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチルベンゼンを含む芳香族炭化水素混合
    物を原料とし、これを蒸留によりエチルベンゼン含量が
    80重量%以上の粗エチルベンゼンを得る蒸留工程と、蒸
    留工程で得られた粗エチルベンゼンを高温度で脱水素す
    る脱水素工程と、該脱水素工程で得られた生成油を1価
    の金属カチオンでイオン交換したホージャサイト型ゼオ
    ライト吸着剤に接触させてスチレンを吸着分離する吸着
    分離工程からなるスチレンの製造方法。
  2. 【請求項2】該吸着分離工程で得られるスチレンが分離
    された後の残液を前記蒸留工程へ循環する請求項1の方
    法。
  3. 【請求項3】該脱水素工程で得られた生成油を脱色処理
    及び/又はジエン除去処理を含む精製処理を施した後、
    吸着分離工程へ送る請求項1又は2の方法。
  4. 【請求項4】エチルベンゼンを含む芳香族炭化水素混合
    物を後記する脱水素工程から循環される脱水素生成油と
    ともに、1価の金属カチオンでイオン交換したホージャ
    サイト型ゼオライト吸着剤に接触させてスチレンを吸着
    分離する吸着分離工程と、該吸着分離工程で得られた残
    液を蒸留してエチルベンゼン含量が80重量%以上の粗エ
    チルベンゼンを得る蒸留工程と、該蒸留工程で得られた
    粗エチルベンゼンを高温度で脱水素する脱水素工程とか
    らなり、該脱水素工程で得られた生成油を前記吸着分離
    工程へ循環することを特徴とするスチレン製造方法。
  5. 【請求項5】脱水素工程で得られた生成油又は該生成油
    とエチルベンゼンを含む芳香族炭化水素混合物との混合
    油を脱色処理及び/又はジエン除去処理を含む精製処理
    を施した後、吸着分離工程へ送る請求項4の方法。
  6. 【請求項6】吸着分離工程において吸着剤に吸着したス
    チレンを、スチレンとの沸点差が20℃以上ある芳香族系
    炭化水素で脱着する請求項1〜5のいずれかの方法。
  7. 【請求項7】脱着剤として使用する芳香族系炭化水素
    が、次の一般式で表わされるナフタレン又はそのアルキ
    ル置換体である請求項6の方法。 (式中、R1及びR2は水素又は低級アルキル基である)
  8. 【請求項8】脱着剤として使用する芳香族系炭化水素
    が、ナフタレン、α−メチルナフタレン及びβ−メチル
    ナフタレンの中から選ばれる少なくとも1種である請求
    項6の方法。
  9. 【請求項9】脱着剤として使用する芳香族系炭化水素
    が、トルエン、ジエチルベンゼン及びp−シメンの中か
    ら選ばれる少なくとも1種である請求項6の方法。
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