JP4519018B2 - 生おからを原料としたシート状食品及びその製造方法 - Google Patents

生おからを原料としたシート状食品及びその製造方法 Download PDF

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生おからを原料としたシート状食品及びその製造方法に関する。
シュガーコーンやトルティラチップスなどのシート状食品は、具材、フィリングを載せたり包み込む目的で、シート状に焼成した生地を、丸めたり、折り曲げたりして変形し整形することが行われている。
変形は、生地の焼成により、生地中の澱粉が熱と水分によりアルファー化され柔軟になっている間に行われる。
しかし、変形工程で生地が冷えるに従って澱粉が固化すると、生地がもろくなり、変形によりひびや割れを生じ、製造ロスが発生する。
また、シート状であるため、物理的な強度不足により流通段階で破損ロスも生じている。
これらのシート状食品は、小麦粉や澱粉類を主原料としているが、強度を向上するために強化材として、セルロース、結晶セルロース、紙、おから、植物の葉、ふすま、ケイソウ土、タルク、シリコンを添加することが知られている(例えば特許文献1参照)。
特開平5−320401号公報
本発明の目的は、製造ロスや流通時の破損によるロスの少ない食感の良好なシート状食品及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、生おからを主原料とし、これにつなぎ材を使用することにより、変形耐性および強度に優れ、外観、食感が良好なシート状食品を得られること、及び、さらにゾル状グルコマンナンを使用した場合は、サクサクとした食感をより長く保持することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は
(1)原料中、生おからを50〜80質量%含有し、かつ該生おから100質量部に対し5〜50質量部のつなぎ材及び該生おから100質量部に対し乾物換算で0.05〜0.5質量部のゾル状グルコマンナンを含有するシート状食品原料である。
)前記シート状食品原料を使用したシート状食品である。
)焼成した生地を変形して整形したことを特徴とする前記シート状食品である。
)原料中、生おからを50〜80質量%含有し、かつ該生おから100質量部に対し5〜50質量部のつなぎ材及び該生おから100質量部に対し乾物換算で0.05〜0.5質量部のゾル状グルコマンナンを含有するシート状食品原料を混捏して生地を調製し、該生地をシート状に整形した後焼成することを特徴とするシート状食品の製造方法である。
)原料中、生おからを50〜80質量%含有し、かつ該生おから100質量部に対し5〜50質量部のつなぎ材及び該生おから100質量部に対し乾物換算で0.05〜0.5質量部のゾル状グルコマンナンを含有するシート状食品原料を混捏して生地を調製し、該生地をシート状に整形した後焼成し、焼成生地を変形して整形することを特徴とするシート状食品の製造方法である。
製造や流通段階でのロスが少なく、外観、食感の良好なシート状食品を得ることができる。
さらに、ゾル状グルコマンナンを使用した場合は、サクサクとした食感をより長く保持することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のシート状食品とは、シート状に整形して焼成またはフライされた食品をいい、シュガーコーン、アイスコーン、トルティラ、トルティラチップス、ゴーフル、タルト、薄焼きせんべい、ウェハース等を挙げることができる。
本発明において使用する生おからとは、豆腐製造工程において煮大豆の加水粉砕物を木綿、絹、又はこられに相当するメッシュ(目開き)の篩によって豆乳を搾り取った粕をいう。
おからには、他に、生おからを乾式粉末化した乾燥粉末おからや、乾燥させず、湿式粉砕したペーストおから等があるが、これらを使用しても本発明の効果は得ることができない。
これはおから繊維が変質しているためだと考えられる。
ただし、前記乾燥粉末おからや前記ペーストおからはつなぎ材として使用することは可能である。
本発明において使用する生おからは市販品も使用することができる。
本発明の生おからを製造する場合の絞りメッシュは目開き0.05mm〜0.18mmであり、好ましくは0.08mm〜0.15mmである。
目開き0.05mm未満ではシート状食品が重い食感となり、目開き0.18mmを超えるとザラザラとした食感になる傾向がある。
本発明の生おからの使用量は、原料中50〜80質量%である。
生おからには水分が70〜90%程度含有されているが、生おからに含有される水分を利用して生地を混捏することができる。
ここで、原料とは、加水する場合は、加水も含めたすべての原料をいう。
本発明では、前記のとおり、加水は必ずしも必要ではない。
使用量が原料中50質量%未満では強度が十分ではなく、80質量%を超えると生地のつながりが悪いためやはり強度が十分ではない。
本発明は、生おからを主原料としているため、従来の小麦粉を主原料としたシート状食品に比べ食物繊維を多く摂取できる効果もある。
本発明において使用できるつなぎ材は、粒径0.5mm以下で吸湿性のある素材であれば特に限定されない。
つなぎ材はとしては、例えば、小麦粉、そば粉、ライ麦粉、大麦粉、コーンフラワー、マサフラワー、米粉、大豆粉、ポテトフラワー等の穀粉類、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、モチ種トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、さつまいも澱粉、さご澱粉、くず澱粉等の生澱粉類、これらの澱粉をα化、エーテル化、酢酸エステル化、架橋、酸化などの処理をした化工澱粉類、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン等の増粘材、小麦グルテン、卵黄、卵白、全卵、生卵、凍結卵、粉末卵、おから乾燥粉末、ペースト状おからを挙げることができる。
自然で軽い食感となり、作業性も滑らかになることから、好ましいつなぎ材として小麦澱粉、トウモロコシ澱粉を挙げることができる。
つなぎ材の使用量は、生おから100質量部に対して5〜50質量部であり、好ましくは、10〜30質量部である。
5質量部未満では生地のまとまり、作業性が悪く、食感がザラつき、50質量部を超えると食感が重たく、強度向上効果がなくなる。
本発明のシート状食品原料に、さらに、つなぎ材としてではなく、生おから100質量部に対し乾物換算で0.05〜0.5質量部のゾル状グルコマンナンを配合することにより、焼成後の生地の吸湿を抑え、サクサクとした良好な食感をより長く維持することができる。
これは、おからを使用した食品は一般に吸湿性が高いが、グルコマンナンの長大な分子構造により水分の移行を妨げ、おからの吸湿による経時変化を防止できるためと考えられる。
なお、通常ゾル状グルコマンナンは水分を95〜98質量%程度含有しているが、本発明の乾物換算とは水分量を0質量%に換算したときの質量である。
本発明にはゾル状のグルコマンナンを使用するがゾル状グルコマンナンをアルカリ処理して製造されるゲル状のグルコマンナンを使用しても、原料への分散が十分ではなく本発明の効果を得ることはできない。
ゾル状グルコマンナンの使用量は0.05質量部未満ではサクサクした食感が失われる傾向があり、0.5質量部を超えるとガリガリとした食感になる傾向がある。
本発明のシート状食品の原料には必要に応じて、副資材として、膨張剤、乳化剤、食塩、色素、香料、酸類、糖類、油脂類等の副資材を使用することが出来る。
本発明のシート状食品は、膨張剤を使用することにより乾燥効率を高めることができるが、強度が不足するためパンやケーキに代表される膨化食品のように積極的に膨化させる目的で膨張剤を使用しない。
本発明の生地は 生おからを50〜80質量%含有し、かつ該生おから100質量部に対し5〜50質量部のつなぎ材、または、さらに該生おから100質量部に対し乾物換算で0.05〜0.5質量部のゾル状グルコマンナンを含有する原料を混捏して調製する。
前記のとおり、生おからには水分が70〜90質量%含まれているため、生地を調製する場合、加水は必ずしも必要ではない。
混捏の方法は特に限定されないが、手作業又はミキサーを使用することができる。
生地を痛めないよう、ミキサーを使用する場合は低速で行うことが好ましい。
ミキシング時間は生地の種類にもよるが3〜5分程度である。
ミキシングして調製した生地はシート状に整形する。
シート状にする方法は特に限定されず、手作業により生地塊を麺棒等で圧延する方法、シーター等の機械で圧延する方法、生地をノズルから押し出す方法等を使用することができる。
また、アイスコーンベーカー等を使用して圧延と焼成を一度にすることもできる。
圧延工程と焼成工程を一度にする場合、生地は圧延された後焼成されるので、この場合でも本発明の製造方法に含まれる。
圧延した生地の焼成方法は特に限定されず、公知の方法が使用できる。
例えば、前記アイスコーンベーカー等のように生地を挟み込んで焼成する方法や、天板で焼成する方法が使用できる。
前記焼成した生地は、必要に応じて変形し整形を行う。
整形方法は特に限定されず、折り曲げ、丸め、型によるプレス等の方法を使用することができる。
前記焼成した生地をそのまま冷却して、又は、さらにフライ、乾燥、冷却の工程を加えて、本発明のシート状食品を得ることができる。
冷却方法は、特に限定されず、自然冷却、クーリングコンベア、クーラー、急速冷凍機による方法が使用でき、一旦は氷点温度以上での冷却が好ましい。
あまりに急速な冷凍は製品にクラックを生じることがあり好ましくない。
フライ方法、乾燥方法は特に限定されず公知の方法が使用できる。
以下本発明を実施例により具体的に説明する。
[実施例1〜3、比較例1〜4]
(シュガーコーン)
表1に示す配合比率の原料1kgを縦型ミキサーで低速3分間混捏し生地を調製した。
前記生地を常温で30分間寝かした後、50gに分割した。
前記分割した生地をアイスコーンベーカーで200℃で150秒間圧延、焼成を行い、直径17〜18cm、厚さ1mmの焼成済みシート状生地を得た。
前記焼成済みシート状生地を円柱状に折り曲げ変形しシュガーコーンを得た。
Figure 0004519018
[実施例4〜9、比較例5〜6]
(トルティラチップス)
表2に示す配合比率の原料1kgを縦型ミキサーで低速3分間混捏し生地を調製した。
前記生地を常温で30分間寝かした後、30gに分割し、直径17〜18cm、厚さ1mmの生地を得た。
前記分割、圧延した生地をホットプレートを使用して230℃で表裏合わせて100秒間焼成を行った。
焼成した生地を扇形に8分割し、180℃で50秒間フライしてトルティラチップスを得た。
なお、ゾル状グルコマンナンは2質量%の水溶液にして使用した。
Figure 0004519018
[シュガーコーンの折り曲げ耐久試験]
実施例1〜3及び比較例1〜4において得られた焼成済みシート状生地を焼成後直ちに中心から2つに折り返し、厚さ3mm、20cm四方の平面アクリル板の間に挟み込んで500gの重しを載せ10分間静置して取り出し折り曲げ破損率を調べた。
試験はそれぞれ20点行い、キズやヒビの入ったものの個数を全体で除して折り曲げ破損率とした。
得られた試験結果を表3に示す。
Figure 0004519018
実施例1〜3は比較例1〜4に比べて、キズやヒビの発生が非常に少なかった。
[シュガーコーンの食感試験]
実施例1〜3及び比較例1〜4において得られた焼成済みシート状生地を120℃で10分間乾燥し、翌日パネラー10名により、以下の基準で食感試験を行った。
食感
5点 非常に軽くサクサクして滑らかで良い。
4点 軽くサクサクして滑らかで良い。
3点 やや軽くサクサクして滑らかである。。
2点 軽さがなくサクサク感、滑らかさが不足して悪い。
1点 重く、ザラザラとして非常に悪い。
得られた評価結果(平均値)を表4に示す。
Figure 0004519018
本発明品はいずれも非常に軽くサクサクして滑らかで良い食感であった。
比較例1は食感は良好であったが、折り曲げ破損率が高く総合的に評価すると実施例より劣る評価となった。
[トルティラチップスの衝撃耐久試験]
実施例4及び比較例5〜6において得られたトルティラチップスを40枚をビニル袋(40cm×25cm)に入れ、口をヒートシールした。
前記トルティラチップス入りのビニール袋を高さ150cmから5回落下させ、衝撃破損率を調べた。キズやヒビの入ったものの個数を全体で除して衝撃破損率とした。
得られた試験結果を表5に示す。
Figure 0004519018
実施例4は比較例5〜6に比べキズやヒビの入ったものの個数が少なかった。
[トルティラチップスの食感試験]
実施例4及び比較例5〜6ににおいて得られたトルティラチップスをパネラー10名により、前記の評価基準で食感試験を行った。
得られた試験結果を表6に示す。
Figure 0004519018
実施例4は比較例5〜6に比べいずれも非常に軽くサクサクして滑らかで良い食感であった。
[トルティラチップスへのグルコマンナンの添加効果試験]
実施例4〜9及び比較例5〜6で得られたトルティラチップスをそのまま室内に1日放置した。
前記放置したトルティラチップスをパネラー10名により、前記の評価基準で食感試験を行った。
得られた試験結果を表7に示す。
Figure 0004519018
実施例5〜9は1日経過後もサクサクして良好な食感であり、実施例4は、当日の食感は良好であったが、1日経過後は食感がやや劣る結果となった。
実施例9はガリガリする食感となったが、実施例5〜9はいずれも実施例4よりさらに良好な食感を得ることができ、いずれも比較例5〜6より良い結果であった。
[実施例10]
(薄焼きせんべい)
生おから100質量部、小麦粉26質量部、ごま0.2質量部、食塩2.8質量部の配合比率の原料1kgを縦型ミキサーで低速3分間混捏し生地を調製した。
前記生地を常温で30分間寝かした後、50gに分割した。
焼型に挟み両面を火であぶり180℃で7分焼成して本発明の薄焼きせんべいを得た。
物理的強度は十分あり、食したところ、サクサクした非常に良い食感であった。
[実施例11]
(ウェハース)
生おから100質量部、小麦粉42質量部、牛乳21.7質量部、卵黄2.3質量部、バニラフレーバー0.2質量部の配合比率の原料1kgを縦型ミキサーで低速3分間混捏し生地を調製した。
前記生地を常温で30分間寝かした後、50gに分割した。
ウェハースベーカーで180℃で4分間焼成し、その後、乾燥オーブンで100℃で5分間乾燥して本発明のウェハースを得た。
物理的強度は十分あり、食したところ、サクサクした非常に良い食感であった。

Claims (5)

  1. 原料中、生おからを50〜80質量%含有し、かつ該生おから100質量部に対し5〜50質量部のつなぎ材及び該生おから100質量部に対し乾物換算で0.05〜0.5質量部のゾル状グルコマンナンを含有するシート状食品原料。
  2. 請求項1に記載のシート状食品原料を使用したシート状食品。
  3. 焼成した生地を変形して整形したことを特徴とする請求項に記載のシート状食品。
  4. 原料中、生おからを50〜80質量%含有し、かつ該生おから100質量部に対し5〜50質量部のつなぎ材及び該生おから100質量部に対し乾物換算で0.05〜0.5質量部のゾル状グルコマンナンを含有するシート状食品原料を混捏して生地を調製し、該生地をシート状に整形した後焼成することを特徴とするシート状食品の製造方法。
  5. 原料中、生おからを50〜80質量%含有し、かつ該生おから100質量部に対し5〜50質量部のつなぎ材及び該生おから100質量部に対し乾物換算で0.05〜0.5質量部のゾル状グルコマンナンを含有するシート状食品原料を混捏して生地を調製し、該生地をシート状に整形した後焼成し、焼成生地を変形して整形することを特徴とするシート状食品の製造方法。
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