JP4518597B2 - 積層体、積層体の製造方法、および包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子フィルムを補強した積層体、その製造方法、および積層体を加工して形成される自立性の包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
高分子フィルムを加工して形成された、例えば、ガゼット袋等に代表される自立性の包装体が知られている。従来、包装体に自立性を付与するためには、包装体を構成するフィルムに剛性の高いものを用いる必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高分子フィルムのみを用いて包装体を形成する場合には、包装体の用途に適合するだけの充分な自立性が得られないことがある。
【0004】
本発明は、充分な自立性を有する包装体、自立性包装体に適する積層体、およびそのような積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために適用される本発明の積層体の製造方法は、高分子フィルム(1,3)と、高分子フィルム(1,3)を補強する補強層(2)とを備える積層体の製造方法において、高分子フィルム(1,3)に紙、不織布、合成紙のいずれかからなる補強層(2)を接着する工程と、高分子フィルム(1,3)に接着された補強層(2)に切れ目を入れる工程と、切れ目から補強層(2)を切断して補強層(2)の一部を除去する工程とを含むものである。
【0016】
この発明によれば、容易に補強層(2)を所望の形状に形成することができる。
【0017】
また、補強層(2)の側から高分子フィルム(1,3)と補強層(2)との間に設けられた接着層(5)の途中まで抜き刃(20)の刃先を入れることにより補強層(2)に切れ目を入れてもよい。
【0018】
この発明によれば、高分子フィルム(1,3)に損傷を与えることなく補強層(2)の全体を確実に切断することができる。
【0019】
また、上記目的を達成するために適用される本発明のガゼット袋は、積層体(10)を加工して形成されるガゼット袋であって、積層体(10)は、高分子フィルム(1,3)に紙、不織布、合成紙のいずれかからなる補強層(2)が接着された補強領域(2a)と、高分子フィルム(1,3)に補強層(2)が接着されていない非補強領域(2b)とを備えるものである。
【0020】
この発明によれば、補強層(2)によって積層体(10)が補強されているので、包装体に充分な自立性を付与することができる。
【0021】
また、非補強領域(2b)における高分子フィルム(1,3)の表面にはヒートシール層(4)が形成され、ヒートシール層(4)を介して、積層体(10)が互いに接着されていてもよい。
【0022】
この発明によれば、非補強領域(2b)にヒートシール層(4)が設けられているので、容易にヒートシール加工を施すことができる。
【0023】
また、補強層(2)として坪量60〜200g/m2の紙を用いてもよい。
【0024】
この発明によれば、紙の剛性によって積層体を補強して包装体に充分な自立性を付与することができる。
【0025】
また、補強層(2)として坪量60〜200g/m2の不織布を用いてもよい。
【0026】
この発明によれば、不織布の剛性によって積層体を補強して包装体に充分な自立性を付与することができる。
【0027】
また、補強層(2)として高分子材料に充填剤を混合してなる坪量60〜200g/m2の合成紙を用いてもよい。
【0028】
この発明によれば、合成紙の剛性によって積層体を補強して包装体に充分な自立性を付与することができる。
【0029】
また、高分子フィルム(1,3)として透明なフィルムを用いてもよい。
【0030】
この発明によれば、非補強層(2b)を介して包装体の内容物を見ることができる。また補強層2を高分子フィルム(1,3)の内側に配置した場合であっても、高分子フィルム(1,3)を介して補強層2を見ることができる。
【0031】
また、高分子フィルム(1,3)の内側に補強層(2)を配置し、補強層(2)に形成された絵柄が高分子フィルム(1,3)を介して見えるようにしてもよい。
【0032】
この発明によれば、補強層(2)の絵柄を利用して包装体のデザインの自由度を高めることができる。
【0034】
この発明によれば、補強層(2)によって積層体(10)が補強されているので、ガゼット袋に充分な自立性を付与することができる。
【0035】
なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図15を用いて、本発明による包装体の実施の形態について説明する。
【0037】
図1(a)および図1(b)は、本実施の形態の包装体を示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)の反対側から見た様子を示している。本実施の形態の包装体は、図2および図3に示す積層体10を加工して形成されたものである。
【0038】
図3(a)に示すように、積層体10は、包装体の外側に露出される透明な外層フィルム1と、外層フィルム1の内側に配置されて積層体10を補強するための補強層2と、補強層2の内側に配置され、例えば積層体10にガスバリア性等の機能性を付与する中間層3と、包装体の内面側に露出され熱封接着層として機能するヒートシール層4とを備える。
【0039】
また、外層フィルム1と補強層2との間には接着層5が、補強層2と中間層3との間には接着層6が、中間層3とヒートシール層4との間には接着層7がそれぞれ設けられている。
【0040】
外層フィルム1としては、例えば、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリカーボネートフィルム、あるいはセロファンフィルム等を用いることができる。
【0041】
補強層2としては、坪量60〜200g/m2 程度の紙、不織布、あるいは合成紙等を用いることができる。合成紙は、高分子材料に無機物あるいは有機物のフィラー等の充填物を混合し、この混合物をシート状ないしはフィルム状に成形したものである。補強層2は、積層体10を成形して得た包装体の自立性が確保できるように積層体10を補強するためのものである。補強層2の種類、面積、厚み等は包装体の自立性が確保できる範囲で、適宜選択することができる。
【0042】
中間層3としては、例えば、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリカーボネートフィルム、セロファンフィルム、アルミニウム箔、高分子フィルム表面にアルミニウム等の金属薄膜を形成した金属薄膜フィルム、高分子フィルム表面に透明酸化金属薄膜を形成した透明薄膜フィルム、あるいはエチレンビニルアルコールコポリマーフィルム等を用いることができる。
【0043】
ヒートシール層4としては、例えば、ポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、アイオノマー、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂を用いることができる。
【0044】
接着層5および接着層6としては、例えば、ポリエチレン、エチレンエチルアクリレート(EEA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、あるいはアイオノマー等の樹脂を用いることができる。
【0045】
図1および図2に示すように、補強層2は積層体10の一部にのみ設けられている。接着層5と接する側の補強層2の表面には絵柄が印刷されており、透明な外層フィルム1および接着層5を介して包装体の外側からその絵柄を見ることができる。
【0046】
図3(b)に示すように、補強層2が設けられていない領域(後述する領域2b)では接着層5および接着層6が互いに連続している。補強層2以外の各層をすべて透明な材質で構成すれば、補強層2が設けられていないこの領域を介して包装体の内容物を見ることができる。
【0047】
補強層2が配置された領域では、補強層2によって熱が伝わりにくくなるため、ヒートシール加工を施そうとしてもヒートシール層4を充分に加熱することができない。このため、本実施の形態では、積層体10の周辺部に補強層2のない領域を設け、この領域においてヒートシール層4を介して積層体10どうしを接着して包装体を形成している。
【0048】
以下、本実施の形態の包装体の製造方法について説明する。
【0049】
まず、図4に示すように、補強層2の所定領域2aに絵柄を印刷するとともに、同一面の領域2bに剥離ニスを塗布する。例えば、多色刷り印刷機を用い、別々の印刷ユニットにおいて絵柄および剥離ニスを連続的に印刷してもよい。なお、図4では絵柄が印刷される領域2aが矩形であり、その周囲の領域2bに剥離ニスを塗布する場合を示している。
【0050】
絵柄のインキ層としては、接着層5に対する接着力が強いものを選択することが好ましい。剥離ニスとしては、例えば、硝化綿ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレンワックス等を用いることができる。剥離ニスは、接着層5に対する接着力よりも補強層2に対する接着力のほうが大きな材料のものを選択する必要がある。
【0051】
次に、外層フィルム1と補強層2とを接着層5を介して押出しラミネート(エクストルージョンコート)またはラミネートコートによって接着する。図5に示すように、補強層2は絵柄が印刷される面、すなわち剥離ニスが塗布される面を介して外層フィルム1と接着される。
【0052】
次に、例えば、ロータリーダイカッターによって、絵柄の領域2aを囲む形状に補強層2を打ち抜く。補強層2を打ち抜く際には、図6に示すように外層フィルム1を支持体として利用し、抜き刃20を補強層2の方向(図6の下方)から接着層5の途中まで入れる。このように抜き刃20によって接着層5の途中まで切断することにより、外層フィルム1に損傷を与えることなく補強層2を確実に打ち抜くことができる。
【0053】
このように、接着層5の厚みを利用して抜き刃20が到達する位置のばらつきを吸収することができる。したがって、積層体10に要求される性能上許容される範囲内において、抜き刃20の位置精度に応じ接着層5の厚みを設定すればよい。
【0054】
また、補強層2を引き剥がす後工程を円滑なものとするため、図6に示すように領域2b内に抜き刃20を入れることが望ましい。このように領域2b内に切れ目を入れておけば、引き剥がし時に大きな力が要らなくなるとともに、引き剥がし面を適切に制御することができる。
【0055】
補強層2を打ち抜いた後、図7に示すように補強層2を外層フィルム1から引き剥がすと、打ち抜きにより形成された切れ目(切断面)から補強層2が切断されて、領域2bが外層フィルム1から分離除去されるとともに、領域2aが外層フィルム1に接着されたまま残留する。したがって、外層フィルム1から補強層2を引き剥がすことにより、外層フィルム1に絵柄の印刷された補強層2の領域2aが接着された複合フィルムが得られる。なお、このとき領域2bの剥離ニスは、補強層2とともに外層フィルム1から除去され、接着層5は外層フィルム1上に残留する。
【0056】
次に、上記複合フィルムの補強層2の側に、接着層6を介して中間層3を接着する。この場合、例えば、押出しラミネートまたはラミネートコートを用いることができる。次に、中間層3の表面に接着層7を介してヒートシール層4を形成し、図2および図3に示す積層体10を得ることができる。中間層3とヒートシール層4とを接着する場合にも、押出しラミネートまたはラミネートコート等を用いることができる。
【0057】
積層体10を切断して折り曲げ、さらにヒートシール加工を行うことにより、自立性の包装体を作製することができる。包装体の作製には、例えば従来からの製袋機等を使用することができる。製袋と同時に包装体に内容物を装填するようにしてもよい。
【0058】
本実施の形態では、包装体を形成する積層体10の一部に補強層2を設けることにより包装体の自立性を確保しているので、積層体10を構成する他のフィルム材料の選択の範囲を拡大することができる。例えば、積層体10を構成する他のフィルムに柔らかい材料を使用することが可能となる。
【0059】
また、本実施の形態では補強層2の表面に絵柄を形成し、外層フィルム1を介してこの絵柄が見えるように構成したので、補強層2を包装体のデザインの一部として有効に機能させることができる。
【0060】
補強層2以外の部材、例えば外層フィルム1や中間層3にも絵柄を形成することにより絵柄面積を拡大できる。この場合には、補強層2の絵柄および他の部材の絵柄相互間の位置合わせが問題となりうるので、このような問題が発生しないように、いずれかの絵柄、あるいは両方の絵柄をエンドレスの絵柄(位置合わせが問題とならない絵柄)としてもよい。
【0061】
図9に示すように、包装体の折り目の部分(角になる部分)には補強層2を設けないようにしてもよい。折り目部分から補強層2を排除すれば、包装体を製造する際に積層体の折り曲げ加工が簡単になるため、例えば従来の製袋機をそのまま使用できる等の利点がある。また、図11に示すように、補強層2の包装体の折り目に当たる部分にミシン目21を入れることにより、補強層2の折り曲げ加工を容易なものとすることができる。このようなミシン目21は、例えば、ロータリーダイカッターを用いて補強層2の打ち抜きと同時に形成することができる。ミシン目の代わりにハーフカット加工、あるいは折り罫加工を施してもよい。このように補強層2を折り曲げて包装体の角に配置した場合には、包装体全体の強度を大幅に高めることができ、よって包装体に対し容易に自立性を付与することができる。
【0062】
積層体のフィルム構成は任意に選択することができる。例えば、図10に示すように、高分子フィルム31の一部に補強層2に相当する補強層32を接着した積層体30を用いて包装体を形成することもできる。この場合、例えば、高分子フィルム31を打ち抜き時の支持体として用い、高分子フィルム31に接着した補強層32を抜き刃によって打ち抜くことにより、補強層32を所望の形状に形成することができる。高分子フィルム31として透明フィルムを用い、補強層32の高分子フィルム31側の面に絵柄を設ければ、高分子フィルム31を介して絵柄を見ることができる。図12〜図14には、補強層32を外側に向けるように形成した種々の形式の包装体を示しており、各図の(a)は包装体を表側から、各図の(b)は包装体を裏側(表面に対向する側)から、それぞれ見たものである。図12〜図14において、符号33はシール部を示している。図14に示すように、補強層32の一部を利用して包装体の底部32aを形成することもできる。
【0063】
また、図16(a)に示されるような貼着装置を用いることにより、効率よく、また安定して所定の位置に断裁された補強層を貼付することができる。
【0064】
貼着装置100は、裁断された補強層32(図10)を積層して収容するスタッカー51と、スタッカー51から排出された補強層32を搬送する搬送コンベア52と、補強層32に塗布された感熱粘着剤を活性化させる加熱源を有する活性化部53と、搬送コンベア52で搬送されてきた補強層を搬送コンベア52の先端部で停止させるストッパー54と、高分子フィルム31を給送する巻き返し機構55とを備える。スタッカー51は、搬送コンべア52上に所定の列数の補強材32を一定間隔に供給する機構を備える。感熱粘着剤の活性化は、活性化部53によって熱風、赤外線などにより塗布面を加熱することによりなされる。
【0065】
なお、図16(b)は、搬送コンベア52に載せられた補強層32を示す図16(a)の部分拡大図である。補強層32は、図16(b)において下面側に印刷層32a、上面側に感熱粘着剤32bをそれぞれ有する。
【0066】
ストッパー52は変位部(不図示)により補強層32の移動を許容する開放状態と、補強層32の移動を禁止する禁止状態との間で駆動される。ストッパー52を所定のタイミングで駆動制御することにより、補強材32を高分子フィルム31の所定の位置にタイミングよく貼着することができる。このとき、巻き返し機構55によって高分子フィルム31は補強材貼着面をストッパー54の側に向けるようにして基材ロール31Aから巻取ロール31Bの方向へ流れている。
【0067】
補強材32の貼着に際して、先ず、スタッカー51から搬送コンベア52上に所定の列数の補強材31を、図16(b)に示すように、その感熱粘着剤32bの塗布面を上にして一定間隔で供給する。次いで、搬送コンべア52の上部にある活性化部53により、感熱粘着剤32bを加熱し粘着性を発現する。粘着性を発現した補強材32は、搬送コンベア52の先端にあるストッパー54により、その移動を停止され、所定の貼着のタイミングにより基材ロール31Aからくり出される高分子フィルム31に貼着される。巻き返し機構55における基材ロール31Aからの流れは連続的であっても、また間欠的であってもよい。そして装置の制御部は、基材ロール31Aの印刷部の位置を検知部61において検知して、補強材32を貼着するタイミングをストッパー54の変位部に信号を送る。そして、貼着のタイミングの信号を受信した変位部は、禁止状態にあるストッパー54を直ちに開放状態に切替え、補強材32は、高分子フィルム31の所定の位置に貼着される。貼着のために補強材32を繰り出す方法は、ジェットエアー、機械的プッシャー等の方法のいずれでもよい。また。補強材32の貼着後、高分子フィルム31と補強材32とをピンチロール62a,62bなどにより加圧して貼着を確実にする。補強材32の上にさらに中間層をラミネートする仕様では、中間層をラミネートし、そして、熱融着層をラミネートしてもよく、積層体とした後、前述したように、自立袋の製袋機または自動包装機により成形製袋することによって、自立性のよい袋となる。
【0068】
また、補強材の貼着する面が、包装袋となる場合の外面側である場合には、上記の貼着面を確実に固着後、同様に、製袋機または包装機にかけることにより自立性のよい袋が得られる。
【0069】
また、貼付を行ってから任意の積層体としてもよく、層構成は特に限定されない。
【0070】
本発明による包装体は種々の形式、例えば側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール(ピロー)型、ヒダ付きシール型、平底シール型、角底シール型、スタンディングパウチ型、ガゼット型の包装体等に適用することができる。なお、図15に示すように、包装体の角の部分にシール部8を配置してもよい。
【0071】
−第1の実施例−
以下、本発明による包装体の第1の実施例について説明する。
【0072】
まず、片面コート紙(三菱製紙 片アート 坪量:126g/m2)のコート面に多色グラビア印刷方式により絵柄を印刷するとともに、絵柄以外の部分に剥離ニス(インクテック KS−10スリップOPニス)を同時に印刷した。
【0073】
次いで、20μm厚の延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(二村化学 FOR)のコロナ処理面にアンカーコート剤としてイソシアネートを塗布するとともに、片面コート紙の印刷面(コート面)にアンカーコート剤としてポリエチレンイミンを塗布した。そして、延伸ポリプロピレンフィルムおよび片面コート紙のアンカーコート面どうしを、ポリエチレン樹脂を接着層として押出しラミネートした。これにより、延伸ポリプロピレンフィルムと片面コート紙とを30μmのポリエチレンフィルムを介して接着した。
【0074】
次に、延伸ポリプロピレンフィルムを支持体とし、カット深さ133μmに設定されたロータリーダイカッターによって片面コート紙の非印刷面(非コート面)の側から抜き刃を入れ、印刷絵柄の外周に沿って片面コート紙を切断した。なお、上記カット深さは接着層であるポリエチレンフィルムの中央に刃先が位置するようにその値が設定されたものである。すなわち、カット深さ(133μm)は、片面コート紙の厚み(118μm)にポリエチレンフィルムの厚み(30μm)の1/2、すなわち15μmを加算した値に設定されている。
【0075】
また、ポリエチレンフィルムの厚み(30μm)はロータリーダイカッターの抜き刃の刃高さの精度、片面コート紙の厚み精度、あるいはポリエチレンフィルム自身の厚み精度を考慮したものであり、誤差やばらつきによって刃先が延伸ポリプロピレンフィルムに届いてしまったり、あるいは片面コート紙を完全に切断できなかったりすることがないように、常に刃先がポリエチレンフィルムの厚みの範囲に収まるようにしている。接着層の厚みは刃高さの精度等に応じて設定することができるが、本実施例では、接着層の厚みは20μm以上とする必要があり、好ましくは30μm以上である。
【0076】
次に、例えば、片面コート紙と延伸ポリプロピレンフィルムとをそれぞれ別のロールに巻き取ることにより、延伸ポリプロピレンフィルムから片面コート紙を引き剥がした。これによって片面コート紙の絵柄以外の不要部分が剥離ニスとともに延伸ポリプロピレンフィルムから分離除去され、延伸ポリプロピレンフィルム上には片面コート紙の絵柄部分のみが残った。
【0077】
次いで、延伸ポリプロピレンフィルムおよび片面コート紙の絵柄部分からなる複合フィルムに対し、アルミニウム蒸着膜がポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に形成された蒸着フィルム(東洋メタライジング1100;12μm厚)を片面コート紙の側から接着した。すなわち、ポリエチレン樹脂(三井石油ミラソン11P)にて押出しラミネートすることにより、15μm厚のポリエチレンフィルムを接着層として、上記複合フィルムの片面コート紙側の面と、上記蒸着フィルムの蒸着面とを互いに接着した。
【0078】
続いて、蒸着フィルムの非蒸着面にアンカーコート剤としてイソシアネートを塗布し、この塗布面と、ヒートシール層として用いる20μm厚の無延伸ポリプロピレンフィルムとをポリエチレン樹脂(三井石油ミラソン11P)にて押出しラミネートすることにより、接着層としての15μm厚のポリエチレンフィルムを介して接着した。
【0079】
以上の工程によって形成された多層フィルムの層構成は、絵柄印刷部分(補強層が有る部分)については、延伸ポリプロピレン(20μm厚)/ポリエチレン(30μm厚)/アンカーコート/剥離ニス/絵柄印刷/コート紙(坪量:126g/m2)/ポリエチレン(15μm厚)/蒸着フィルム(12μm厚)/ポリエチレン(15μm厚)/無延伸ポリプロピレン(20μm厚)である。
【0080】
また、絵柄無し部分(補強層が無い部分)の層構成は、延伸ポリプロピレン(20μm厚)/ポリエチレン(30μm厚)/ポリエチレン(15μm厚)/蒸着フィルム(12μm厚)/ポリエチレン(15μm厚)/無延伸ポリプロピレン(20μm厚)である。
【0081】
この多層フィルムの巻き取りを縦型ガゼットピロー機(川島製作所製)にセットし、包装体の成形、包装体への内容物の充填、および包装体のシールを行ったところ、自立性の高いガゼット袋が得られた。
【0082】
また、上記の多層フィルムの巻き取りを製袋機(西部製作所製)にセットし、包装体の成形および包装体のシールを行ったところ、自立性の高いガゼット袋が得られた。
【0083】
−第2の実施例−
以下、本発明による包装体の第2の実施例について説明する。
【0084】
まず、片面コート紙(三菱製紙 片アート 坪量:126g/m2)のコート面に多色グラビア印刷方式により絵柄を印刷するとともに、絵柄以外の部分に剥離ニス(インクテック キュアトップディレイドOPニス/キュアトップY100)を同時に印刷した。
【0085】
次いで、片面コート紙の印刷面(コート面)にアンカーコート剤としてイソシアネートを塗布した。そして、20μm厚の延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(二村化学 FONA)と、片面コート紙とを、ポリエチレン樹脂を接着層として押出しラミネートした。これにより、延伸ポリプロピレンフィルムと片面コート紙とを20μm厚のポリエチレンフィルムを介して接着した。
【0086】
次に、延伸ポリプロピレンフィルムを支持体とし、カット深さ128μmに設定されたロータリーダイカッターによって片面コート紙の非印刷面(非コート面)の側から抜き刃を入れ、印刷絵柄の外周に沿って片面コート紙を切断した。なお、上記カット深さは接着層であるポリエチレンフィルムの中央に刃先が位置するようにその値が設定されたものである。すなわち、カット深さ(128μm)は、片面コート紙の厚み(118μm)にポリエチレンフィルムの厚み(20μm)の1/2、すなわち10μmを加算した値に設定されている。
【0087】
次に、例えば、片面コート紙と延伸ポリプロピレンフィルムとをそれぞれ別のロールに巻き取ることにより、延伸ポリプロピレンフィルムから片面コート紙を引き剥がした。これによって片面コート紙の絵柄以外の不要部分が剥離ニスとともに延伸ポリプロピレンフィルムから分離除去され、延伸ポリプロピレンフィルム上には片面コート紙の絵柄部分のみが残った。
【0088】
次いで、延伸ポリプロピレンフィルムおよび片面コート紙の絵柄部分からなる複合フィルムに対し、アルミニウム蒸着膜がポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に形成された蒸着フィルム(東洋メタライジング1100;12μm厚)を片面コート紙の側から接着した。すなわち、ポリエチレン樹脂(三井石油ミラソン11P)にて押出しラミネートすることにより、15μm厚のポリエチレンフィルムを接着層として、上記複合フィルムの片面コート紙側の面と、上記蒸着フィルムの蒸着面とを互いに接着した。
【0089】
続いて、蒸着フィルムの非蒸着面にアンカーコート剤としてイソシアネートを塗布し、この塗布面にヒートシール層として用いる30μm厚の線状低密度ポリエチレン樹脂(三井石油15100C)を押出してシーラント層を形成した。
【0090】
以上の工程によって形成された多層フィルムの層構成は、絵柄印刷部分(補強層が有る部分)については、延伸ポリプロピレン(20μm厚)/ポリエチレン(20μm厚)/アンカーコート/剥離ニス/絵柄印刷/コート紙(坪量:126g/m2)/ポリエチレン(15μm厚)/蒸着フィルム(12μm厚)/アンカーコート/線状低密度ポリエチレン(30μm厚)である。
【0091】
また、絵柄無し部分(補強層が無い部分)の層構成は、延伸ポリプロピレン(20μm厚)/ポリエチレン(20μm厚)/ポリエチレン(15μm厚)/蒸着フィルム(12μm厚)/アンカーコート/線状低密度ポリエチレン(30μm厚)である。
【0092】
この多層フィルムの巻き取りを縦型ガゼットピロー機(川島製作所製)にセットし、包装体の成形、包装体への内容物の充填、および包装体のシールを行ったところ、自立性の高いガゼット袋が得られた。
【0093】
また、上記の多層フィルムの巻き取りを製袋機(西部製作所製)にセットし、包装体の成形および包装体のシールを行ったところ、自立性の高いガゼット袋が得られた。
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高分子フィルムに補強層が接着された補強領域と、補強層が接着されていない非補強領域とを備えるので、充分な自立性を有する包装体、および自立性包装体に適する積層体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による包装体の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は第1の実施の形態の包装体を示す斜視図、(b)は(a)の反対側から見た第1の実施の形態の包装体を示す斜視図。
【図2】包装体を展開した状態の積層体10を示す図。
【図3】積層体10の層構成を示す図であり(a)は図2のA−A線断面図、(b)は図2のB−B線断面図。
【図4】絵柄および剥離ニスを印刷した補強層を示す図であり、(a)は補強層を示す斜視図、(b)は補強層を示す平面図。
【図5】外層フィルムと補強層とを貼り合わせた状態を示す断面図。
【図6】抜き刃を入れた状態を示す断面図。
【図7】外層フィルムと補強層とを引き剥がす工程を示す図。
【図8】外層フィルムから補強層を引き剥がした後の状態を示す断面図。
【図9】本発明による別の包装体を示す斜視図。
【図10】本発明による別の積層体を示す断面図。
【図11】ミシン目が形成された補強層を示す図。
【図12】補強層を外側に向けて形成した形式の包装体を示す図であり、(a)は包装体を表側から見た図、(b)は包装体を裏側から見た図。
【図13】補強層を外側に向けて形成した別の形式の包装体を示す図であり、(a)は包装体を表側から見た図、(b)は包装体を裏側から見た図。
【図14】補強層を外側に向けて形成した別の形式の包装体を示す図であり、(a)は包装体を表側から見た図、(b)は包装体を裏側から見た図。
【図15】角の部分にシール部8を配置した包装体を示す斜視図。
【図16】貼着装置および補強層を示す図であり、(a)は貼着装置を概念的に示す図、(b)は貼着装置の搬送コンベアに載せられた補強層を示す断面図。
【符号の説明】
1 外層フィルム
2 補強層
2a 補強領域
2b 非補強領域
3 中間層
4 ヒートシール層
5 接着層
10 積層体
20 抜き刃
Claims (9)
- 高分子フィルムと、前記高分子フィルムを補強する補強層とを備える積層体の製造方法において、
前記高分子フィルムに紙、不織布、合成紙のいずれかからなる補強層を接着する工程と、
前記高分子フィルムに接着された前記補強層に切れ目を入れる工程と、
前記切れ目から前記補強層を切断して前記補強層の一部を除去する工程とを含むことを特徴とする積層体の製造方法。 - 前記補強層の側から前記高分子フィルムと前記補強層との間に設けられた接着層の途中まで抜き刃の刃先を入れることにより前記補強層に切れ目を入れることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 積層体を加工して形成されるガゼット袋であって、
前記積層体は、高分子フィルムに紙、不織布、合成紙のいずれかからなる補強層が接着された補強領域と、前記高分子フィルムに前記補強層が接着されていない非補強領域とを備えることを特徴とするガゼット袋。 - 前記非補強領域における前記高分子フィルムの表面にはヒートシール層が形成され、前記ヒートシール層を介して、前記積層体が互いに接着されていることを特徴とする請求項3に記載のガゼット袋。
- 前記紙が、坪量60〜200g/m 2 の紙であることを特徴とする請求項3または4に記載のガゼット袋。
- 前記不織布が、坪量60〜200g/m 2 の不織布であることを特徴とする請求項3または4に記載のガゼット袋。
- 前記合成紙が、高分子材料に充填剤を混合してなる坪量60〜200g/m 2 の合成紙であることを特徴とする請求項3または4に記載のガゼット袋。
- 前記高分子フィルムとして透明なフィルムを用いることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1項に記載のガゼット袋。
- 前記高分子フィルムの内側に前記補強層を配置し、前記補強層に形成された絵柄が前記高分子フィルムを介して見えるようにしたことを特徴とする請求項8に記載のガゼット袋。
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