JP4516533B2 - 建築板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット塗装が施された建築板及びその製造方法に関するものである。
外壁材、屋根材、塀材などの建築用外装材には、セメント系の建築板が広く用いられている。このような建築板は、建物の外観の形成を担うため、各種の意匠を実現する表面化粧について技術的な検討が加えられている。たとえばセメント系成形材料を抄造、押出成形、注型成形等により成形して得られる湿潤シートを養生硬化させ、得られる無機質基材に塗装を施すことが一般的に行われている。
塗装の一方式として、最近、コンベア上で搬送される無機質基材の表面に向けて、この無機質基材の搬送速度と同期させてインクジェットノズルヘッドより塗料を噴射するインクジェット塗装が考えられている。このようなインクジェット塗装は、これまで一般的に用いられてきた塗装ロール等に比べ、局所的なしかも位置制御された塗装が可能である。したがって、濃淡表現などにより自然な風合いの高意匠塗装された建築板が製造可能であるという利点がある(特許文献1参照)。
ここで、セメント系の湿潤シート等の成形体を養生硬化させて無機質基材を得る際には、エフロレッセンスの発生を防止する等の目的のために、養生硬化に先立って成形体の表面にシーラーを設けて目止めすることが行われている。このようなシーラーが設けられた無機質基材にインクジェット塗装を施す場合には、無機質基材の表面にインクが定着しにくく、鮮明な意匠模様を付与することが困難であるため、インクジェット塗装を施す前に無機質基材の表面にインクの定着性の高いインク受理層を形成する必要があり、また、塗装面を保護するために塗装面にクリアー層を形成することが行われている。
特開2004−17007号公報
しかし、上記インク受理層は吸水性が高いことから、無機質基材側が吸湿した場合にこの無機質基材からシーラーを介してインク受理層に水分が到達すると、吸湿したインク受理層に白化や剥離等の不良が生じる場合がある。
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、シーラーの塗膜を有する無機質基材にインク受理層の形成、インクジェット塗装及びクリアー層の形成を順次行って得られる建築板において、無機質基材が吸湿した場合でも無機質基材からインク受理層への水分の移動を防止し、インク受理層の白化や剥離等の不良の発生を防止することができ、優れた耐湿性を有する建築板及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る建築板1は、セメント系成形材料を成形した湿潤シートの表面にシーラーを塗布した後、養生硬化し、得られた無機質基材2におけるシーラーの塗膜3が形成された面にインク受理層4を設け、このインク受理層4の表面にインクジェット塗装を施した後、塗装面にクリアー層5を形成して成る建築板1において、養生硬化後のシーラーの塗膜3の、枠置き法による耐透水性試験で測定される透水量が5000g/m2以下であることを特徴とするものである。
このため、シーラーの塗膜3によって無機質基材2からインク受理層4への水分の侵入を十分に阻害することができる。
上記シーラーの塗膜3としては、平均粒径5μm以下の粒子を含有する塗膜3aを設ける。
この場合、無機質基材2の表面の凹部内にシーラーの塗膜3中の粒子が充填されて十分に目止めがなされ、無機質基材2からインク受理層4への水分の侵入を更に確実に阻害することができる。
上記粒子を含有する塗膜は、上記セメント系成形材料を成形して得られる湿潤シート上に、この湿潤シートを養生硬化する前に形成する。
このため養生硬化時のエフロレッセンスの発生を更に確実に阻害すると共に、シーラー3の塗膜の透水性を更に低減することができる。
また、上記シーラーの塗膜3として、無機質基材2の表面に直接積層して設けられた上記粒子を含有する塗膜と、この粒子を含有する塗膜に積層して設けられた粒子を含有しない塗膜とを設ける。この粒子を含有しない塗膜は、粒子を含有しない以外は上記粒子を含有する塗膜3aを形成するためのシーラーと同一組成のシーラーを用いて形成される。
この場合、粒子を含有する塗膜にて無機質基材2の凹部の目止めを行うと共に、これに積層して粒子を含有しない塗膜3を設けることで、シーラーの塗膜3における水分の透過を十分に阻害することができるように、シーラーの塗膜3の全体厚みを確保することができる。
また、インクジェット塗装が施された後のインク受理層4の表面に、クリアー層5を設けることが好ましい。
この場合、インクジェット塗装が施されたインク受理層4の表面をクリアー層5により保護することができ、また透水性の低いインク受理層4によりインク受理層4とクリアー層5との界面への水分の侵入が抑制されてこのような水分に起因するクリアー層5の層間剥離や白化の発生を防止することができる。
本発明によれば、無機質基材の表面の凹部内に粒子を含有する塗膜中の粒子が充填されて十分に目止めがなされると共に、これに積層して粒子を含有しない塗膜を設けることで、シーラーの塗膜における水分の透過を十分に阻害することができるように、シーラーの塗膜の全体厚みを確保することができ、無機質基材が吸湿しても無機質基材からインク受理層への水分の移動がシーラーによって阻害されてインク受理層が吸湿することを防ぐことができ、インク受理層の吸湿による白化や剥離等の不良の発生を防止することができて、建築板に高い耐湿性を付与することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
建築板1の下地となる無機質基材2の作製には、セメントと補強繊維を主成分とする湿潤シート(グリーンシート)を用いることができる。この湿潤シートは、セメント系の水性スラリーを原料組成物として用いて、長網式、丸網式の各種の抄造法により抄造することができるが、押出成形等の他の適宜の手法も採用することができる。原料組成物としては、例えば水硬性のセメント成分が30〜95質量%、シリカ、珪石粉、フライアッシュ等の充填材が2〜60質量%、パルプ等の補強繊維が3〜10質量%を占める固形分からなるものとし、この固形分100質量部に対し、水50〜2000質量部程度の割合としたスラリーを用いることができる。なお、セメント成分は、普通ポルトランドセメントをはじめ、高炉セメント等の、適宜に組成調整されたものを用いることができる。補強繊維のパルプは、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、古紙パルプ、あるいはこれらのうち二種以上の混合物等を用いることができる。
この湿潤シートを養生硬化することにより、無機質基材2を得ることができる。養生硬化は適宜の手法で行うことができるが、オートクレーブ養生をすることが望ましく、その際の温度としては140℃以上とすることが好適である。また、実際的には、養生は、オートクレーブ養生と、これに先行しての促進前養生、つまり加温のために水蒸気が投入される前養生との二段階での養生であることが望ましい。これによって、無機質基材2の強度が向上し、組織と性能の均一化が図られることになる。
上記のような無機質基材2には、シーラーの塗膜3を積層して形成する。このシーラーの塗膜3は、上記養生時のエフロレッセンスの発生を防止する機能と、無機質基材2とインク受理層4との間の透水性を低減する機能とを有する。
本発明では、シーラーとして、このシーラーの塗膜3の、枠置き法による耐透水性試験で測定される透水量が5000g/m2以下となるものを用いる。
上記枠置き法による耐透水性試験とは、次に示すものである。
まずシーラーの塗膜3が設けられ、且つインク受理層4が形成されていない無機質基材2から平面視300×300mmの寸法の試験片を切り出し、室内に一週間放置する。次に、200×200mmの寸法の矩形枠状の試験枠を、試験片のシーラーの塗膜3が設けられた面にエポキシ樹脂系接着剤で貼着し、この試験枠が貼着された試験片の重量W0(g)を電子天秤で測定した後、この試験片上の前記枠内に深さ20mmまで注水する。この状態で24時間静置した後、水を捨て、試験片の表面に付着した水をウエスで拭き取った後、直ちに試験片の重量W1(g)を測定する。ここで、前記重量W0及びW1は、電子天秤にて1/10g単位まで測定する。そして、下記式に基づいて、透水量A(g/m2)を算出するものである。
A=(W1−W0)/0.04
シーラーは特に制限されないが、例えばアクリル系、酢酸ビニル系、エポキシ系、塩化ゴム系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系等の水性樹脂エマルションを用いることができる。
また、このようなシーラー中には、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、アルミナ等の粒子を配合することができ、これらの粒子は一種類用いるほか、二種以上を併用することができる。
また、シーラー中には必要に応じて分散剤、レベリング剤、消泡剤等の添加剤を含有させても良い。
このようなシーラーを用い、その組成や塗膜の厚み等を適宜調整することによって、上記のような透水量を有する塗膜を形成することができる。
シーラーの塗膜3を形成するにあたっては、シーラーを養生前の湿潤シートの表面に塗布し、加熱成膜することでシーラーの塗膜3(一次塗膜3a)を形成し、次いでこの湿潤シートを上記のように養生硬化してシーラーの塗膜3が形成された無機質基材2を形成することができる。この養生硬化の際にシーラーの塗膜3によりエフロレッセンスの発生が防止される。
このようなシーラーの塗装は、養生前に行うものであるが、上記のように促進前養生を行う場合には促進前養生後にシーラーを塗布し、次いでオートクレーブ養生を行うことが好ましく、これにより建築板1の耐凍害性や寸法安定性を向上することができる。
このような養生硬化により得られた無機質基材2には、必要に応じて乾燥処理や切削加工が施される。
ここで、無機質基材2の直接積層される一次塗膜3aを形成するためのシーラーとしては、シーラーとして上記のような粒子を含有すると共に、この粒子の平均粒径が5μm以下となるものを用いることが好ましい。この平均粒径は体積基準のメディアン径を指すものとし、例えば島津製作所株式会社製の品番「SALD−2100」で測定できる。
ここで、セメント系或いは窯業系の無機質基材2の表面は、その製法上の制約から凹凸を有する粗面として形成され、その表面の凹部から水分が出入りしやすいが、この無機質基材2の表面に上記のような粒子を含むシーラーにて一次塗膜3aを形成すると、無機質基材2の表面の凹部に前記粒子が充填されて目止めがなされ、このため無機質基材2への水分の出入りを更に阻害することができる。このため養生硬化時のエフロレッセンスの発生を更に確実に阻害すると共に、シーラー3の塗膜の透水性を更に低減することができる。
また、このとき前記粒子のシーラー中での含有量は、凹部内に粒子を十分に充填することができる程度に適宜調整されるが、好ましくは顔料含有量(PWC)が40〜60となる範囲で含有させるものである。ここでPWCは、水を除いたシーラー中の顔料成分(粒子)の含有量をB重量部、樹脂成分の含有量をA重量部とした場合に、PWC(%)=A/(A+B)×100の式で求められる値である。例えばシーラーの全量を100重量部とした場合に、樹脂固形分の含有量が25重量部、前記粒子の含有量が30重量部、水の含有量が40重量部、その他の添加剤の含有量が5重量部として、PWCを54.5とすることができる。
このような粒子を含有する一次塗膜3aを設けるにあたっての、粒子を含有するシーラーの無機質基材2への塗布は、ロールコーターにより行うことが好ましい。この場合、シーラーの塗布にあたってシーラー中の粒子が無機質基材2の凹部内に充填されやすくなり、透水量の低減を十分になすことができる。このようにして一次塗膜3aを形成するにあたってのシーラーの無機質基材2への塗布量は、固形分量で10〜20g/m2の範囲とすることができる。
また、シーラーの塗膜3としては、上記一次塗膜3aのみを設けるほか、この一次塗膜3aに積層してシーラーの二次塗膜3bを形成することで、シーラーの塗膜3の透水性を更に低減することもできる。
シーラーの二次塗膜3bは、成膜された一次塗膜3aに更にシーラーを塗布し、加熱成膜することで形成することができる。このとき湿潤シートの養生硬化による無機質基材2の形成後に、二次塗膜3bを形成しても良く、この場合、養生硬化に伴うエフロレッセンスの発生防止は一次塗膜3aのみで達成され、更に一次塗膜3aと二次塗膜3bとが積層して形成されたシーラーの塗膜3によって無機質基材2とインク受理層4との間の水分の透過が抑制されることとなる。
上記二次塗膜3bを形成するためのシーラーとしては、一次塗膜を形成するためのシーラーと同一の組成のものを用いることができる。
また、粒子を含有する一次塗膜3aを形成する場合に、二次塗膜3bを形成するためのシーラーとして、粒子を含有しない以外は一次塗膜3aを形成するためのシーラーと同一組成のものを用いても良い。このようにすると、粒子を含有する一次塗膜3aにて無機質基材2の凹部の目止めを行うと共に、凹部の目止めする機能を有しない二次塗膜3bには粒子を含有させることなく、この二次塗膜3bによってシーラーの塗膜3における水分の透過を十分に阻止することができるように、シーラーの塗膜3の全体厚みを確保することができるものである。
このように一次塗膜3aと二次塗膜3bとを設ける場合には、一次塗膜3aを形成するにあたってのシーラーの塗布量は固形分量で15〜30g/m2の範囲、二次塗膜3bを形成するにあたってのシーラーの塗布量は固形分量で10〜20g/m2の範囲とすることが好ましい。
また、上記一次塗膜3aを形成した後、一次塗膜3aとは組成の異なるシーラーの三次塗膜3cを形成しても良く、この場合、一次塗膜3aに積層して三次塗膜3cを形成するほか、一次塗膜3a及び二次塗膜3bを積層して形成した後に三次塗膜3cを形成しても良い。
このような三次塗膜3cを形成することで、シーラーの塗膜3全体の透水性を更に低減することができる。また、着色顔料を含むシーラー(エナメルシーラー)にて三次塗膜3cを形成すると、インク受理層4が有する無機質基材2の隠蔽機能を補完し、無機質基材2の隠蔽性を向上することができる。
この三次塗膜3cを形成するためのシーラーとしては適宜の組成のものを用いることができ、例えば、アクリルエマルジョン等の樹脂成分に、適宜の着色顔料や、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の体質顔料を含有させたものを用いることができ、たとえば着色顔料、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウムを50:25:25の重量比で含む顔料Bと、アクリルエマルジョン等の樹脂成分Aとを、顔料重量濃度(PWC(%)=A/(A+B)×100)が50となるように配合したものを挙げることができる。
このように一次塗膜3a、二次塗膜3b及び三次塗膜3cを形成する場合は、一次塗膜3aを形成するにあたってのシーラーの塗布量は固形分量で15〜300g/m2の範囲、二次塗膜3bを形成するにあたってのシーラーの塗布量は固形分量で10〜20g/m2の範囲、三次塗膜3cを形成するにあたってのシーラーの塗布量は固形分量で15〜40g/m2の範囲とすることが好ましい。
このようにして得られた無機質基材2におけるシーラーの塗膜3の表面にインク受理層4(インク受容層)を形成する。インク受理層4はインクジェット塗装時に塗布されるインクを滲みなく定着させる機能を有し、インクを吸収する性質を有するもの、例えば吸水性を有する多孔質の層を形成するものである。
インク受理層4を形成するための組成物としては適宜の組成物を用いることができ、例えばシリカ、コロイダルシリカ、アルミナゾル等の無機フィラーや、酸化チタン、ベンガラ、炭酸カルシウム、複合金属酸化物等の無機顔料、カーボンブラック、キナクリドン、ナフトールレッド、シアニンブルー、シアニングリーン、ハンザイエロー、群青等の有機顔料などから選ばれる一種以上と、ウレタン系ポリマーやアクリル系ポリマー等のインク吸収性ポリマーをPVA(ポバール)、PVP(ポリビニルピロリドン)、EVOH(エチレンビニルアルコール)、PEO(ポリエチレンオキサイド)、CMC(カルボキシメチルセルロース)等のバインダーに混合分散させたものを用いることができ、またこれにポリアミド尿素樹脂、メラミン樹脂、グリオキザール等の耐水化剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤等の耐光性向上剤等を適宜添加してもよい。
また、水系の組成物として、アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコールと炭酸ジルコニルアンモニウムとを含有する水溶液を用いることもできる。
アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールにジケテンを反応させたり、ポリビニルアルコールとアセト酢酸エステルを反応させてエステル交換したりして、ポリビニルアルコールにアセト酢酸エステル基を導入させたもので、かかるポリビニルアルコールとしては、一般的にはポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液をアルカリや酸などのケン化触媒によってケン化したケン化物又はその誘導体が用いられ、更には酢酸ビニルと共重合性を有するエチレン等の単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物等を用いることもできる。
このとき組成物中のアセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコールの含有量は0.1〜30重量%、さらには0.3〜25重量%、特には0.5〜20重量%、殊に1〜15重量%とすることが好ましく、またアセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール/炭酸ジルコニウムアンモニウムの割合は、100/0.1〜100/30(さらには100/0.3〜100/25、特に100/0.5〜100/20)(重量比)であることが好ましい。
また、この組成物には塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸や酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、マロン酸などの有機酸を加えることによりpHを4.0(20℃)未満に調整することが好ましい。また、他の水溶性高分子(ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、(A)以外のポリビニルアルコール等)、可塑剤(グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類等)、防錆剤、着色剤、フィラー(合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ等)、界面活性剤(シリコン系、フッ素系、ポリエチレングリコール系等)、防腐剤、防虫剤、増粘剤などの公知の添加剤を添加することも可能である。
このような水系の組成物を用いると、特にインクジェット塗装において水系インクを用いる場合の塗装模様の発色性が高くなり、また、溶剤系の材料を用いる必要が無く、建築板1の製造にあたって材料の取扱性が良くなると共に、環境負荷の低減も図ることができる。しかも、このように水系の組成物にてインク受理層4を形成しても、上記のようにシーラーの塗膜3にて無機質基材2からインク受理層4への水分の移動が抑制されることから、インク受理層4の吸湿が十分に抑制される。
インク受理層4を形成するにあたっては、上記のようなインク受理層4を形成するための組成物を、シーラーが設けられた無機質基材2の表面に例えばスプレーコート、カーテンコート、浸漬、ワイヤーバーコート、アプリケーターコート、スピンコート、ロールコート、電着コート、刷毛塗り等の適宜の手法にて塗布し、例えば110℃で60秒程度の時間加熱して加熱硬化することでインク受理層4を形成することができる。
このように無機質基材2に形成されるインク受理層4の厚みは、インク受理層4にインクの定着性能を十分に発揮させるように適宜の厚みに調整されるが、例えば5〜20μmの範囲に形成することができる。
このようにインク受理層4を形成した後、このインク受理層4の表面にインクジェット塗装を施す。このとき、上記のようにインク受理層4を形成するための組成物とインクジェット塗装のためのインクとして共に水系のものを用いることにより、塗装模様の発色性を高くすることができる。
インクジェット塗装に用いるインクとしては適宜のものを用いることができる。特に上記のように水系インクを用いる場合、従来から知られている顔料を分散剤で分散した顔料インクも使用可能であるが、インクジェット塗装では顔料濃度を高めることが困難で、かつバインダー樹脂量も少ないことから印刷物の色合いが暗くなりやすく、内装装飾材としての品位が著しく減少しやすい。このような観点からは、少なくとも一部が塩基で中和された酸基を有する皮膜形成性樹脂によって顔料粒子が被覆された着色樹脂粒子水性分散体からなる水性顔料タイプのインクが、優れた耐候性と共に色再現範囲が広く、高い印刷品位を得ることが可能なことから好適である。
前記の酸基を有する皮膜形成性樹脂は、公知の酸基を有するものであれば特に種類の制限はないが、好ましくは酸価が50〜280のカルボキシル基を有する樹脂が好ましい。またその少なくとも一部が塩基で中和されてなる自己水分散性樹脂の場合は、特に優れたジェットインクとしての安定性を示す。
このような樹脂としては、例えばアクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂等があるが、特に好ましくは、スチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂である。なお、(メタ)アクリルとは、アクリルとメタクリルとの両方を包含する。
スチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂とは、スチレン系モノマーを必須成分として、(メタ)アクリル酸系モノマー、例えば(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルを共重合させた樹脂である。
当該樹脂としては、例えばスチレンあるいはα−メチルスチレンのような置換スチレンと、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸ブチルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等のアクリル酸エステルと、メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸ブチルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステルとから選ばれる少なくとも一つ以上のモノマー単位と、アクリル酸、メタクリル酸から選ばれる少なくとも一つ以上のモノマー単位とを含む共重合体である。これらの共重合体は、少なくともその一部が共有結合性の架橋や多価金属によるイオン架橋されていても良い。
前記樹脂を用いて自己水分散性樹脂として用いる場合には、そのカルボキシル基の少なくとも一部を塩基で中和すればよい。塩基、即ちアルカリ性中和剤による中和は、得られる自己水分散性樹脂が水に溶解しない程度に中和すればよい。塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエチルアミン、モルホリン等の塩基性物質の他、特にトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルコールアミンとりわけトリエタノールアミンがジェットインクとして好ましい。
最終的に塩基の存在下のインクのpHとして、7〜10、好ましくは8〜9の範囲にある場合には顔料を包含している樹脂のインク中への溶解も少なく、ノズル目詰まりを防止すると共に鮮やかな発色を得ることができ、鮮明な絵柄模様が得られる。
上述した水系インクに用いる顔料は特に限定されるものはなく、例えばカーボンブラック、チタンブラック、チタンホワイト、硫化亜鉛、ベンガラ等の無機顔料や、フタロシアニン顔料、モノアゾ系、ジスアゾ系等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料がある。かかる顔料の使用量(含有量)は、特に規定されないが、最終的に得られるインク中で0.5〜10重量%となるような量が好ましい。
前記の樹脂によって顔料が包含された着色樹脂粒子を作製する方法は、特に限定されるものではないが、より好ましい具体的な例は、特開平10−88042号公報で示される工程にて得ることが出来る。このようにして得られた分散液に、必要に応じて以下の添加剤類を併用することが好ましい。
乾燥防止剤は、水系インクに添加される場合が多く、インクジェットの噴射ノズル口でのインクの乾燥を防止する効果を与えるものであり、通常、水以上の沸点を有する水溶性有機溶剤が使用される。このような乾燥防止剤としては、特に限定されるものではなく、従来知られているエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン等のピロリドン類、アミド類、ジメチルスルホオキサイド、イミダゾリジノン等が使用可能である。乾燥防止剤の使用量は、種類によって異なり、通常水100重量部に対して1〜150重量部の範囲から適宜選択される。
水系インクのインク受理層4への浸透をより良好とするために、公知慣用の浸透剤の必要量を用いることが好ましい。浸透剤として、インク受理層4への浸透性付与効果を示す、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、ジエチレングリコール−N−ブチルエーテル等のグリコールエーテル、プロピレングリコール誘導体、ピロリドン化合物等の水溶性有機溶媒やノニオン性やアニオン性、両性界面活性剤を加えてもよい。その他、必要に応じて水溶性樹脂、防腐剤、キレート剤等の添加剤を加えることができる。
インクジェット塗装を行うために用いる塗装装置としては、図2に示すものを挙げることができる。この塗装装置は、噴射ノズル10を設けた塗装ノズルヘッド11、塗装ノズルヘッド11の噴射ノズル10に塗料を供給する塗料供給タンク12、塗装ノズルヘッド11の噴射ノズル10からの塗料の噴射を制御する塗装制御システム13などを設けたインクジェット式塗装機14と、無機質基材2を搬送する搬送手段15とを備えて形成されるものである。
塗装ノズルヘッド11はインクジェット式塗装機14の下端に設けられているものであり、建築板1の送り方向と垂直な方向に長いラインヘッドとして形成してある。
塗装ノズルヘッド11はイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色の塗料を噴出する4種類の塗装ノズルヘッド11y,11c,11m,11kから形成してあり、フルカラー印刷による塗装を行うことができるようにしてある。塗装ノズルヘッド11の個数はこれに限られず、使用するインクの種類に応じた個数が設けられる。塗料供給タンク12も同様に4種類のものからなるものであり、イエローの塗料を供給する塗料供給タンク12yは塗装ノズルヘッド11yに、シアンの塗料を供給する塗料供給タンク12cは塗装ノズルヘッド11cに、マゼンタの塗料を供給する塗料供給タンク12mは塗装ノズルヘッド11mに、ブラックの塗料を供給する塗料供給タンク12kは塗装ノズルヘッド11kにそれぞれ接続してある。そして各塗装ノズルヘッド11y,11c,11m,11kは無機質基材2の搬送方向に沿って配列してある。
塗装制御システム13は、各種のCPU、ROM、RAM等から構成されるものであり、塗装データ作成部、塗装制御部、噴射ノズル制御部等を備えて形成してある。塗装データ作成部は、原画をスキャナ等して得た色柄パターンのデータを入力して保存するものであり、塗装制御部は、塗装を行う建築板1に応じた色柄パターンのデータを塗装データ作成部から取り出し、この色柄パターンのデータに基づいて、噴射ノズル制御部に制御信号を出力するものである。また噴射ノズル制御部は塗装ノズルヘッド11y,1c,11m,11kの各噴射ノズル10に接続してあり、噴射ノズル制御部から入力される制御信号に基づいて各噴射ノズル10を制御するものである。各噴射ノズル10は例えばピエゾ制御方式や光熱交換素子にレーザ光を照射する制御方式により噴射を制御されるようになっており、噴射ノズル制御部で各噴射ノズル10を制御することによって、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各塗料の噴射と停止を個別に制御して、色柄パターンに対応したフルカラー印刷による塗装を行うことができるものである。
搬送手段15はタイミングベルトなどの無限帯状のベルト16をプーリ17間に懸架したベルトコンベア15aで形成することができ、インクジェット式塗装機14の下側に配置されるものである。
インクジェット塗装を行うにあたっては、まず搬送手段5に無機質基材2を供給する。このとき、複数の無機質基材2を順次間隔をあけて搬送することができる。
このように搬送手段5にて搬送される無機質基材2は、塗装ノズルヘッド11の下方を通過する。このとき塗装ノズルヘッド11から無機質基材2上のインク受理層4に向けてインクがインクジェット方式で噴射されて塗装が施され、意匠模様が付与された建築板1が得られる。
かかるインクジェット塗装により、建築板1に所望の意匠模様を発現させることができる。またこのようなインクジェット塗装を施すことで位置制御された塗装が可能であり、例えばインク受理層4に形成した凹溝6と合致した塗装も可能となる。また、濃淡表現などにより自然な風合いの高意匠塗装が可能となる。また、このときインク受理層4にインクが浸入して定着することで、鮮明な意匠模様が付与される。
また、上記建築板1には、必要に応じて、表面保護用のクリアー層5を形成する。クリアー層5は適宜のクリアー塗料を塗布成膜することにより形成することができ、例えばアクリルシリコン系塗料や、アクリルエマルション系塗料等を用い、これを建築板1のインクジェット塗装が施された面にスプレー等して塗布した後、80〜150℃で焼き付け乾燥等することにより成膜することにより、クリアー層5を形成することができる。このクリアー層5の厚みは特に制限されないが、1〜10μmの範囲であることが好ましい。
また、建築板1には、更に無機質塗料層を形成することもできる。無機質塗料層はクリアー層5の表面に無機質塗料を塗布成膜することで形成することができ、これにより建築板1の耐候性を向上することができる。無機質塗料としては適宜のものを用いることができるが、例えばオルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液に、ポリオルガノシロキサンや、アルキルチタン酸塩等の縮合反応触媒を加え、或いは更にシリカを加えたケイ素アルコキシド系塗料等を用い、これを静電塗装等して塗布した後、60〜120℃で焼き付け乾燥等することにより成膜することにより、無機質塗料層を形成することができる。この無機質塗料層の厚みは特に制限されないが、1〜10μmの範囲であることが好ましい。
また、更に光触媒層を形成することも好ましい。光触媒層は、無機質塗料層の表面に光触媒を含有する無機質塗料を塗布成膜することで形成することができ、これにより建築板1の防汚性を向上することができる。光触媒を含有する無機質塗料としては適宜のものを用いることができるが、例えば上記のようなケイ素アルコキシド系塗料に酸化チタン等の光触媒を加えたもの等を用い、これをスプレー塗装等して塗布した後、60〜120℃で焼き付け乾燥等することにより成膜することにより、光触媒層を形成することができる。この光触媒層の厚みは特に制限されないが、0.2〜1.0μmの範囲であることが好ましい。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。以下の実施例は、透水量5000g/m2以下のシーラーの塗膜を作製するための具体例を示すものである。
参考例1)
セメント40重量部、フライアッシュ40重量部、ケイ石粉10重量部、パルプ10重量部、マイカ3重量部、セメント板のスクラップ粉砕品10重量部を混合し、これを水と混合して固形分濃度が13重量%のセメント系スラリーを調製した。そしてこのセメント系スラリーを抄造して、水分含有量が35重量%、厚み15mmのグリーンシートを作製した。
一方、樹脂成分としてBASFジャパン株式会社製「アクロナールYJ1110D」(アクリルスチレン樹脂水性エマルション)を固形分量で70重量部、BASFジャパン株式会社製「アクロナールYJ1120D」(アクリルスチレン樹脂水性エマルション)を固形分量で30重量部混合したものを用い、樹脂固形分の含有量が25重量部、水の含有量が45重量部のシーラーを調製した。
そしてグリーンシートの表面にこのシーラーをロールコーターにて固形分量で15g/m2の塗布量で塗布した後130℃で2分間加熱して乾燥して、シーラーの一次塗膜3aを形成した。
次に、グリーンシートを165℃で4.5時間オートクレーブ養生することによって無機質基材2を得た。
次に、上記一次塗膜3aと同一のシーラーを一次塗膜3aの表面にロールコーターにて塗布した後250℃で20分間加熱して乾燥して、厚み15μmのシーラーの二次塗膜3bを形成した。
このようにして得られた無機質基材2に対して、シーラーの塗膜3の冷却後、枠置き法による耐透水性試験にてシーラーの塗膜3の透水量を測定したところ、5000g/m2であった。
また、インク受理層4は、インク受理層形成組成物としてアクリル系エマルション(AcEm)をベースにしたアクリル樹脂塗料を用いて形成した。この塗料は、下記表1にそれぞれ示す顔料成分Aと樹脂成分Bとを含有し、PWC(A/(A+B)×100)が50となるようにした。
そして、この塗料をシーラーの塗膜3の表面にスプレー塗装し110℃、60秒間の条件で加熱成膜することで厚み30μmのインク受理層4を形成した。
Figure 0004516533
次いで、このインク受理層4の表面に、株式会社マスターマインド製のインクジェットプリンタ「MMP13000」を用いてインクジェット塗装を施し、建築板1を作製した。このとき、インクとしてはセイコーエプソン株式会社製の水性顔料系インクであるブラックインク「ICMB25」、イエローインク「ICY25」、グレーインク「ICGY25」、ライトマゼンタインク「ICLM25」、マゼンタインク「ICM25」、ライトシアンインク「ICLC25」及びシアンインク「ICC25」の7色のインクを用いた。
(実施例2)
一次塗膜3aを形成するためのシーラーとしては、樹脂成分として参考例1と同一のものを用い、粒子(フィラー)として炭酸カルシウム(竹原化学工業株式会社製、品番「SL300」、平均粒径5μm)を50重量部、硫酸バリウム(竹原化学工業株式会社製、品番「W−6」、平均粒径5μm)を50重量部混合したものを用いて、樹脂固形分の含有量が25重量部、粒子の含有量が30重量部、添加剤(分散剤;サンノプコ株式会社製「SNディスパーサント5468」)の含有量が5重量部、水の含有量が40重量部に調製したものを用いた。
また、二次塗膜3bを形成するためのシーラーとしては、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムを含有しない以外は上記一次塗膜3aを形成するためのシーラーと同一組成のものを用いた。
それ以外は参考例1と同様にしてシーラーの塗膜3を有する無機質基材2を作製し、この無機質基材2に対して、シーラーの塗膜3の冷却後、枠置き法による耐透水性試験にてシーラーの塗膜3の透水量を測定したところ、4500g/mであった。
更に、参考例1と同様にしてインク受理層4の形成及びインクジェット塗装を施し、建築板1を作製した。
(実施例3)
一次塗膜3aを形成するためのシーラーとしては、樹脂成分として参考例1と同一のものを用い、粒子(フィラー)として炭酸カルシウム(竹原化学工業株式会社製、品番「SL1000」、平均粒径3μm)のみを用いて、樹脂固形分の含有量が25重量部、粒子の含有量が30重量部、添加剤(分散剤;サンノプコ株式会社製「SNディスパーサント5468」)の含有量が5重量部、水の含有量が40重量部に調製したものを用いた。
また、二次塗膜3bを形成するためのシーラーとしては、炭酸カルシウムを含有しない以外は上記一次塗膜3aを形成するためのシーラーと同一組成のものを用いた。
それ以外は参考例1と同様にしてシーラーの塗膜3を有する無機質基材2を作製し、この無機質基材2に対して、シーラーの塗膜3の冷却後、枠置き法による耐透水性試験にてシーラーの塗膜3の透水量を測定したところ、3000g/mであった。
更に、参考例1と同様にしてインク受理層4の形成及びインクジェット塗装を施し、建築板1を作製した。
(実施例4)
一次塗膜3aを形成するためのシーラーとしては、樹脂成分として参考例1と同一のものを用い、粒子(フィラー)として炭酸カルシウム(竹原化学工業株式会社製、品番「SL1500」、平均粒径2μm)のみを用いて、樹脂固形分の含有量が25重量部、粒子の含有量が30重量部、添加剤(分散剤;サンノプコ株式会社製「SNディスパーサント5468」)の含有量が5重量部、水の含有量が40重量部に調製したものを用いた。
また、二次塗膜3bを形成するためのシーラーとしては、炭酸カルシウムを含有しない以外は上記一次塗膜3aを形成するためのシーラーと同一組成のものを用いた。
それ以外は参考例1と同様にしてシーラーの塗膜3を有する無機質基材2を作製し、この無機質基材2に対して、シーラーの塗膜3の冷却後、枠置き法による耐透水性試験にてシーラーの塗膜3の透水量を測定したところ、4500g/mであった。
更に、参考例1と同様にしてインク受理層4の形成及びインクジェット塗装を施し、建築板1を作製した。
参考例5)
参考例1において、二次塗膜3bを形成した後、更に、樹脂成分としてアクリルエマルションを、顔料として着色顔料(酸化チタン、石原産業株式会社製「CR50」)、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウムを50:25:25の重量比で混合したものを、PWC=50となるように配合したシーラー(エナメルシーラー)を二次塗膜3bの表面にロールコーターにて固形分量で25g/mの塗布量で塗布し、130℃で2分間加熱して乾燥して、シーラーの三次塗膜3bを形成した。
それ以外は参考例1と同様にしてシーラーの塗膜3を有する無機質基材2を作製し、この無機質基材2に対して、シーラーの塗膜3の冷却後、枠置き法による耐透水性試験にてシーラーの塗膜3の透水量を測定したところ、1000g/mであった。
更に、参考例1と同様にしてインク受理層4の形成及びインクジェット塗装を施し、建築板1を作製した。但し、インク受理層4の厚みは、三次塗膜3bにより無機質基材2の隠蔽性が向上されているため、20μmとした。
(比較例1)
二次塗膜3bを形成しなかった以外は参考例1と同様にしてシーラーの塗膜3を有する無機質基材2を作製し、この無機質基材2に対して、シーラーの塗膜3の冷却後、枠置き法による耐透水性試験にてシーラーの塗膜3の透水量を測定したところ、10000g/mであった。
更に、参考例1と同様にしてインク受理層4の形成及びインクジェット塗装を施し、建築板1を作製した。
(評価)
上記各実施例、参考例及び比較例にて得られた建築板1に対し、JIS K5600−6−2(耐液耐性)(水浸漬法)による90日間の水浸漬の後、外観を観察したところ、実施例2〜4,参考例1,5ではインク受理層4に剥離や白化の発生は認められなかったのに対して、比較例1ではインク受理層4に部分的に剥離及び白化の発生が認められた。
本発明の実施の形態の一例を示す概略断面図である。 インクジェット塗装工程の一例の概略を示す側面図である。
符号の説明
1 建築板
2 無機質基材
3 塗膜
3a 塗膜
3b 塗膜
4 インク受理層
5 クリアー層

Claims (4)

  1. セメント系成形材料を成形して得られる無機質基材、この無機質基材の表面に形成されたシーラーの塗膜、シーラーの塗膜に積層して形成されたインク受理層を有し、前記インク受理層の表面にインクジェット塗装が施された建築板であって、前記シーラーの塗膜が、無機質基材の表面に直接積層して設けられた平均粒径5μm以下の粒子を含有する塗膜と、この粒子を含有する塗膜に積層して設けられた粒子を含有しない塗膜とを含み、前記粒子を含有する塗膜が、前記セメント系成形材料を成形して得られる湿潤シート上に、この湿潤シートを養生硬化する前に形成されたものであり、前記無機質基材は前記湿潤シートを養生硬化することにより形成されたものであり、前記粒子を含有しない塗膜が、粒子を含有しない以外は前記粒子を含有する塗膜を形成するためのシーラーと同一の組成を有するシーラーで形成されたものであり、前記シーラーの塗膜の、枠置き法による耐透水性試験で測定される透水量が5000g/m以下であることを特徴とする建築板。
  2. インクジェット塗装が施された後のインク受理層の表面に、クリアー層を設けて成ることを特徴とする請求項1に記載の建築板。
  3. セメント系成形材料を成形して得られる無機質基材、この無機質基材の表面に形成されたシーラーの塗膜、シーラーの塗膜に積層して形成されたインク受理層を有し、前記インク受理層の表面にインクジェット塗装が施された建築板の製造方法であって、
    前記セメント系成形材料を成形して湿潤シートを形成する工程と、
    前記湿潤シートを養生硬化する前にこの湿潤シートに粒子を含有するシーラーを塗布することで、粒子を含有する塗膜を形成する工程と、
    前記湿潤シートを養生硬化することで前記無機質基板を形成する工程と、
    前記粒子を含有する塗膜に、粒子を含有しない以外は前記粒子を含有するシーラーと同一の組成を有するシーラーを塗布することで、粒子を含有しない塗膜を形成する工程とを含み、
    前記粒子を含有する塗膜と粒子を含有しない塗膜とを含む前記シーラーの塗膜の、枠置き法による耐透水性試験で測定される透水量を5000g/m 以下とすることを特徴とする建築板の製造方法。
  4. インクジェット塗装が施された後のインク受理層の表面に、クリアー層を設ける工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の建築板の製造方法。
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