JP5091767B2 - 塗装板 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット塗装により所望の模様が施された塗装板に関するものである。
従来、図1に示されるような、インクジェット塗装による所望の模様が形成された塗装板(例えば、特許文献1参照。)は、例えば次のようにして作製されている。
まずセメント板等の基板1の表面にアクリル系塗料等が塗布されることで受理層2を形成される。次にこの受理層2の表面に水性インクがインクジェット塗装により塗布されることでインクジェット層3が形成される。その後、このインクジェット層3の表面にアクリル系塗料等でクリア層4が形成される。更にこの図1に示される例では、クリア層4に積層して無機質塗料層5が形成されている。これにより、図1に示すような塗装板が作製される。前記受理層2はインクジェット層3のインクを定着させて鮮明な模様を発現させる機能を有し、前記クリア層4はインクジェット層3を保護する機能を有する。
インクジェット塗装は、これまで一般的に用いられてきた塗装ロール等による塗装に比べ、局所的なしかも位置制御された塗装が可能であり、このため、濃淡表現などにより自然な風合いを有し、意匠性の高い塗装板が製造可能であるという利点がある。このような塗装板が例えば外壁材、屋根材、塀材などの外装材等として使用されることで、建築物の高意匠化が期待されている。
近年、建築物の更なる高意匠化の要請により、インクジェット塗装が施された塗装板について更なる意匠性の向上が求められている。そこで、例えばインクジェット塗装が施された塗装板に対して、更にカラービーズやカラーサンドを散布して定着させることで自然な風合いを有する模様を形成することが考えられている。
しかし、塗装板にカラービーズやカラーサンド等を散布すると製造工程の煩雑化を招くと共に製造原料の増大を招くという問題がある。また、塗装板に定着させたカラービーズ等が剥がれるとその部分の塗装板の塗膜が剥離してしまうという問題もある。また、塗装板を建築物等に施工する際などに、塗装板を取り扱う作業者がカラービーズ等により怪我を負う危険性もある。また、カラービーズ等の散布位置の制御は難しいため、塗装板における所望の箇所のみにカラービーズ等を散布することが難しいという問題もある。
そこで、インクジェット塗装時に水性インクを用い、インクジェット塗装後、この水性インクが乾燥する前に疎水性のクリア塗料を塗布成膜してクリア層4を形成することが考えられる。この場合、クリア塗料の塗布時にはインクジェット層3を構成する水性インクが界面張力により凝集し、インク抜けが点在して形成される。このため、インクジェット塗装により形成される模様において、インク抜けの部分で下地の色が外観に現れるようになる。このインク抜けによって、インクジェット層にはカラービーズを散布した場合と同様の自然な風合いを有する模様が形成される。
しかし、このようなインク抜けはインクジェット層にランダムに形成されることによって自然な風合いが発現する反面、インク抜けが形成される位置に過度の偏りが生じると逆に不自然な模様が形成されて、塗装板の意匠性が低下してしまうおそれがある。
特開2007−154430号公報
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、インクジェット層にランダムなインク抜けを形成することで自然な風合いを有する模様を形成されると共に、インク抜けの形成位置の過度の偏りにより不自然な外観が生じることが抑制された塗装板を提供することを目的とする。
本発明に係る塗装板は、基板1にインクジェット層3と、このインクジェット層3に積層して形成されたクリア層4とが設けられている。前記インクジェット層3は色柄パターンのデータに基づくインクジェット塗装により水性インクで形成され、前記クリア層4はインクジェット塗装により塗布された水性インクが乾燥する前に疎水性のクリア塗料で形成されたものである。前記色柄パターンのデータには、水性インクが塗布されない0.〜5.0mm2の面積を有する複数の領域が設定されている。
このため、クリア塗料の塗布時にはインクジェット層3を構成する水性インクが界面張力により凝集し、インク抜けが点在して形成される。このため、インクジェット塗装により形成される模様において、インク抜けの部分で下地の色が外観に現れるようになる。また、このインク抜けとは別に、インクジェット層3には水性インクが塗布されない複数の領域が形成され、このためインク抜けの形成位置に過度の偏りが生じた場合にその偏りが観察者に認識されにくくなる。
本発明によれば、インクジェット塗装により形成される模様中に、インク抜けによって下地の色が外観に現れる部分が点在して形成されるようになり、これによりガラスビーズ等を使用することなくインクジェット塗装のみで自然な風合いを有する模様が形成され、更にインク抜けの形成位置に過度の偏りが生じても、インク抜けとは別に水性インクが塗布されない領域が形成されることで、インク抜けの過度の偏りが観察者によって認識されにくくなり、意匠性の悪化が抑制される。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本実施形態に係る塗装板は、図1に示すように、基板1の表面に、受理層2、インクジェット層3、クリア層4、無機質塗料層5がこの順に積層されることで形成されている。
基板1の材質は特に制限されないが、例えばフレキシブルボード、珪酸カルシウム板、石膏スラグパーライト板、木片セメント板、プレキャストコンクリート板、ALC板、石膏ボード等の無機質板が使用される。
塗装板の製造時には、例えば基板1の表面に必要に応じて適宜のシーラーが塗布された後、受理層2が形成される。シーラーは公知のものが使用される。受理層2はインクジェット層3を構成するインクを定着させる機能を有し、例えば有機溶剤で希釈された塗料で形成されるが、水性塗料で形成されることも好ましい。
受理層2の形成のために使用される水性塗料としては、アクリル系エマルションをベースにしたアクリル樹脂塗料や、アクリルシリコン系エマルションをベースにしたアクリルシリコン樹脂塗料等が挙げられる。この水性塗料は、体質顔料と吸湿性樹脂のうちの少なくとも一方を含有することが好ましい。この場合、受理層2へのインクの定着性が向上し、また発色性も向上する。前記体質顔料としては、例えばシリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、多孔質シリカ、珪藻土等が使用される。吸湿性樹脂としては、酢酸ビニル、ウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール等のインキ吸収性ポリマー等が使用される。また、この水性塗料は、着色剤として酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等の顔料を含有しても良い。
上記のような水性塗料がスプレーコート、カーテンコート、浸漬、ワイヤーバーコート、アプリケーターコート、スピンコート、ロールコート、電着コート、刷毛塗り等の適宜の手法により基板1に塗布された後、加熱成膜されることで、受理層2が形成される。受理層2形成時の基板1への水性塗料の塗布量は30〜200g/m2・wetの範囲が好ましい。
次に、受理層2の表面にインクジェット塗装によって水性インクが塗布されることで、インクジェット層3が形成される。
インクジェット塗装のために使用されるインクジェット装置は、例えば図2に示すような構成を有する。このインクジェット装置は、噴射ノズル7を有する塗装ノズルヘッド8、前記噴射ノズル7へ供給される水性インクが貯留された塗料供給タンク9、噴射ノズル7からの水性インクの噴射を制御する塗装制御システム10等を備えたインクジェット式塗装機11と、基板1を搬送する搬送コンベア12とから構成されている。
塗装制御システム10は、各種のCPU、ROM、RAM等から構成される。この塗装制御システム10は塗装データ作成部、塗装制御部、噴射ノズル制御部等を備える。塗装データ作成部は、原画のスキャニング等により作成された色柄パターンのデータを記憶して保存する。前記色柄パターンは、インクジェット塗装によって基板1上の所定位置に所定パターンの塗装模様が形成されるように作成される。塗装制御部は、前記色柄パターンのデータを塗装データ作成部から取り込み、この色柄パターンのデータに基づいて、噴射ノズル制御部に制御信号を出力する機能を有する。噴射ノズル制御部は塗装制御部から入力される制御信号に基づいて塗装ノズルヘッド8の噴射ノズル7を制御する機能を有する。
前記色柄パターンのデータには、水性インクが塗布されない0.1〜5.0mm2の面積を有する複数の領域(以下、不塗布領域という)が設定されている。例えば色柄パターンのデータを作成するための原画に予めスキャニングでは認識されない白抜きの領域を形成しておくことで、不塗布領域が設定される。また、色柄パターンのデータを作成した後、このデータを加工することで不塗布領域を設定しても良い。この不塗布領域は、特にインクジェット層3における水性インクによる塗布量が250nl/cm2以上となる領域(以下、高塗布密度領域という)に設定することが好ましい。
この不塗布領域は、インクジェット層3における高塗布密度領域にのみ設定しても良く、またインクジェット層3における高塗布密度領域を含む全ての領域に設定しても良い。また、不塗布領域は、インクジェット層3における不塗布領域が形成される領域の表面積1cm2当たりにつき5個以上設定されることが好ましい。
不塗布領域は、円形状や不定形状等の適宜の形状に形成される。また、複数の不塗布領域の寸法は全て統一されていても良いが、種々の寸法を有する不塗布領域が混在している方が好ましい。
塗装ノズルヘッド8はインクジェット式塗装機11の下端に設けられ、基板1の送り方向と垂直な方向に長いラインヘッドとして形成されている。塗装ノズルヘッド8としては、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色の塗料を噴出する4種類の塗装ノズルヘッド8y,8c,8m,8kが、基板1の搬送方向に沿って配列するように設けられている。尚、塗装ノズルヘッド8の個数は使用される水性インクの種類に応じて適宜変更される。塗料供給タンク9(9y,9c,9m,9k)は各塗装ノズルヘッド8(8y,8c,8m,8k)ごとに設けられている。
各噴射ノズル7は例えばピエゾ制御方式や光熱交換素子にレーザ光を照射する制御方式等により噴射が制御される。噴射ノズル制御部からの制御を受けて各噴射ノズル7からの塗料の噴射と停止が個別に制御され、色柄パターンに対応したフルカラー塗装がなされる。
搬送手段12は例えばタイミングベルトなどの無限帯状のベルトがプーリ間に懸架されたベルトコンベアで形成される。ベルトの上面がインクジェット式塗装機11の下側に配置される。
インクジェット塗装時には、まず搬送手段12に基板1が供給される。このとき例えば搬送手段12で複数の基板1が順次間隔をあけて搬送される。
このように搬送手段12にて搬送される基板1は、塗装ノズルヘッド8の下方を通過する。このとき塗装ノズルヘッド8から基板1上のインク受理層2に向けてインクがインクジェット方式で噴射されて塗装が施され、意匠模様が付与された基板1が得られる。塗装後の基板1は更に次工程へ搬出される。
次に、インクジェット層3が形成された基板1の表面に、更にクリア層4が形成される。クリア層4はインクジェット層3を保護するために設けられる。
クリア層4は、疎水性のクリア塗料で形成される。疎水性のクリア塗料としては、例えば溶剤として酢酸ブチルやキシレン等の疎水性の有機溶剤を含有するアクリル系塗料やアクリルシリコン系塗料等が挙げられる。
このような疎水性のクリア塗料が、インクジェット塗装後の基板1の表面にスプレー等により塗布された後、焼き付け乾燥等により成膜され、クリア層4が形成される。このクリア層4の厚みは特に制限されないが、1〜10μmの範囲であることが好ましい。
クリア層4形成時の疎水性のクリア塗料の塗布は、インクジェット層3を構成する水性インクが乾燥する前に行われる。そのためには、インクジェット塗装後、60秒以内にクリア塗料の塗布が行われることが好ましい。
このようにクリア塗料が塗布されると、インクジェット層3を構成する水性インクが界面張力により凝集し、インクジェット層3に水性インクが存在しない領域(「インク抜け」という)が点在して形成されるようになる。このようにインク抜けが形成されると、インクジェット塗装により形成される模様中にインク抜けが点在し、このインク抜けの部分では下地(本実施形態では受理層2)の色が外観に現れるようになる。例えば下地の色が白色であれば、インクジェット層3により現れる模様には、微小な白色の領域がランダムに点在することになる。このため、カラービーズやカラーサンド等を使用することなく、インクジェット塗装のみによって、自然な風合いを有する模様が形成される。また、受理層2が着色されている場合には、この受理層2の色に応じた種々の色を有する領域がインクジェット層3による模様中に形成される。
インク抜けはインクジェット層3の全体に亘って形成されるが、特にインクジェット層3における水性インクの塗布密度が高い部分では、インク抜けの部分を除けば下地である受理層2の水性インクによる隠蔽性が高いため、インク抜けにおける下地の色が特に目立つようになる。このため、インクジェット層3における特定の領域での水性インクの塗布密度を高くすることで、その領域にインク抜けによる自然な風合いを有する模様を形成することができる。
インク抜けを目立たせるための水性インクの塗布密度は、受理層2の組成、水性インクの組成、インクジェット塗装時の水性インクの液滴の大きさや密度等に応じて適宜設定されるが、塗布量が250nl/cm2以上の高塗布密度領域が形成されていれば、この高密度領域ではインク抜けが特に目立つようになる。高密度領域における塗布量の上限は特に制限されないが、700nl/cm2以下であることが好ましい。この塗布量が700nl/cm2を超えると、インクジェット層3における異なる色を有する水性インク同士の間で滲みが目立つようになるため、インクジェット層3が本来有する繊細な意匠表現が困難になる。
この水性インクの塗布量は、色柄パターンのデータに依存して決定されるため、インク抜けを目立たせたい特定の領域が高密度領域となるように色柄パターンを作成することで、インクジェット層3における所望の領域にインク抜けによる自然な風合いを有する模様を形成することができる。
また、インクジェット層3には、上記インク抜けとは別に、色柄パターンのデータに基づく0.1〜5.0mm2の面積を有する複数の不塗布領域が形成される。このため、インクジェット層3におけるインク抜けの形成位置に過度の偏りが生じていても、このインク抜けと不塗布領域とが共にインクジェット層3に形成されることで、インク抜けの過度の偏りが観察者に認識されにくくなる。尚、不塗布領域の面積が0.1mm2よりも小さいと観察者によって不塗布領域の存在が認識されにくくなるおそれがあり、またこの面積が5.0mm2よりも大きいとインク抜けに対して不塗布領域の寸法が大きくなりすぎて不自然な外観が現れるおそれがある。
インクジェット層3における不塗布領域が形成されている領域において、この領域の表面積1cm2当たりにつき5個以上の不塗布領域が形成されると、インク抜けの過度の偏りが特に認識されにくくなる。また、複数の不塗布領域中に寸法の異なる不塗布領域が混在していると、インク抜けの過度の偏りは更に認識されにくくなる。
また、上記のように高塗布密度領域ではインク抜けが目立つため、インク抜けの過度の偏りも目立ってしまうが、高塗布密度領域に不塗布領域が形成されていれば、インク抜けの過度の偏りが特に目立ちにくくなる。勿論、不塗布領域はインクジェット層の全体に亘って形成されても良い。
このような不塗布領域の形成位置や寸法等は、既述のような色柄パターンのデータの設定によって調整される。
また、塗装板には、上記クリア層4に積層して形成された無機質塗料層5が設けられても良い。無機質塗料層5はクリア層4の表面に無機質塗料が塗布成膜されることで形成される。この無機質塗料層5によって、塗装板の耐候性が向上する。無機質塗料としては適宜のケイ素アルコキシド系コーティング剤等が使用される。無機質塗料の具体例としては、例えばオルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液にポリオルガノシロキサンや、アルキルチタン酸塩等の縮合反応触媒が加えられ、或いは更にシリカが加えられることで調製されたケイ素アルコキシド系塗料が挙げられる。このような無機質塗料が例えば静電塗装等により塗布された後、60〜120℃で焼き付け乾燥されて成膜されることで、無機質塗料層5が形成される。この無機質塗料層5の厚みは特に制限されないが、1〜10μmの範囲が好ましい。
また、塗装板には、上記無機質塗料層5に積層して形成された光触媒層6が設けられても良い。光触媒層6は、無機質塗料層5の表面に光触媒を含有する無機質塗料が塗布成膜されることで形成される。この光触媒層6により塗装板の防汚性が向上する。光触媒を含有する無機質塗料としては適宜のものを用いられるが、例えば上記のようなケイ素アルコキシド系塗料に酸化チタン等の光触媒が加えられたものが挙げられる。このような光触媒を含有する無機質塗料が例えばスプレー塗装等により塗布された後、60〜120℃で焼き付け乾燥等されて成膜されることで、光触媒層6が形成される。この光触媒層6の厚みは特に制限されないが、0.2〜1.0μmの範囲が好ましい。
(実施例1〜4,比較例1〜6)
基板1として、セメント系無機質基板1を用いた。
この基板1の作製にあたっては、セメント系成形材料を成形した養生硬化前の湿潤シートの表面にアクリルエマルション塗料からなるシーラーをロールコータにて塗布し、250℃で20分間加熱することにより乾燥塗布量40g/m2のシーラーの塗膜を形成し、この湿潤シートを養生硬化することで基板1を得た。
この基板1のシーラーの塗膜を設けた面に、アクリルエマルション塗料に顔料として炭酸カルシウム微粒子を含有させた受理層形成組成物(顔料含有比率PWC=50質量%)をスプレー塗布し、130℃で2分間加熱することで厚み30μmのインク受理層2を形成した。
このインク受理層2を形成した基板1に対し、図2に示す構成の塗布装置を用いて、インク受理層2の表面にインクジェット塗装を施してインクジェット層3を形成した。
このインクジェット塗装時には、インクジェット層3に、下記表1に示されるような水性インクの塗布量、不塗布領域の密度、並びに不塗布領域の面積の組み合わせが異なる領域が形成されるように設定された色柄パターンのデータを使用した。尚、比較例1,2,5,6では不塗布領域は設定しなかった。
このインクジェット塗装時には、水性インクとして、顔料4質量%、エチレングリコール35質量%、グリセリン20質量%、添加剤3質量%、水38質量%の組成のものを用い、前記顔料としてイエローのインクにイエローオーカー、シアンのインクにフタロシアニン、マゼンタのインクにベンガラ、ブラックのインクにカーボンブラックを含有させたものを使用した。また、各噴射ノズル7から噴射される1ドット分のインクの噴射量は27plとなるようにした。
次に、インクジェット塗装後、3秒が経過した時点で、インクジェット層3の表面に、表1に示す組成のクリア塗料をスプレー塗布し、100℃で1分間加熱することにより乾燥膜厚20μmのクリア層4を形成した。但し、比較例2についてはクリア層4は形成しなかった。
次に、上記クリア層4の表面に、ポリオルガノシロキサンを含有する無機質塗料をスプレー塗布し、130℃で2分間加熱することにより、乾燥膜厚5μmの無機質塗料層5を形成した。
次に、この無機質塗料層5の表面に、ポリオルガノシロキサンを含有すると共に酸化チタンを50質量%の割合で含有する無機質塗料をスプレー塗布し、130℃で2分間加熱することにより乾燥塗布量3g/m2の光触媒層6を形成した。
(評価試験)
各実施例及び比較例で得られた平面視30cm×30cmの寸法の塗装板のインクジェット層3により現れる模様を、30cm離れた位置から目視で観察し、その結果を下記のように評価した。その結果を表1に示す。
◎… インク抜けの偏りが目立たず、且つ自然な外観が得られる
○… インク抜けの偏りが殆ど目立たない
△… インク抜けの偏りが僅かに目立つ
×… インク抜けの偏りが非常に目立つ、又はインクの滲みが発生、又はインク抜けが発生しない為に自然な外観が得られない
このように実施例1〜4ではインク抜けにより自然な風合いを有する模様を形成されると共に、0.1〜5.0mm2の面積を有する不塗布領域が形成されることで、インク抜けの形成位置の過度の偏りが認識されにくくなった。
、尚、クリア層4が設けられていない比較例2では、上記のような外観上の問題があるだけでなく、インクが定着しないため、雨水や物との接触によってインクが流れたり取れたりして不安定な状態になるという問題もある。
本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。 インクジェット装置の一例を示す概略正面図である。
符号の説明
1 基板
3 インクジェット層
4 クリア層

Claims (1)

  1. 基板にインクジェット層と、このインクジェット層に積層して形成されたクリア層とが設けられ、
    前記インクジェット層は色柄パターンのデータに基づくインクジェット塗装により水性インクで形成され、
    前記クリア層はインクジェット塗装により塗布された水性インクが乾燥する前に疎水性のクリア塗料で形成され、
    前記色柄パターンのデータには、水性インクが塗布されない0.〜5.0mm2の面積を有する複数の領域が設定されていることを特徴とする塗装板。
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