JPH11321075A - インクジェット用被記録材及びその製造方法 - Google Patents

インクジェット用被記録材及びその製造方法

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JPH11321075A
JPH11321075A JP10128515A JP12851598A JPH11321075A JP H11321075 A JPH11321075 A JP H11321075A JP 10128515 A JP10128515 A JP 10128515A JP 12851598 A JP12851598 A JP 12851598A JP H11321075 A JPH11321075 A JP H11321075A
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JP
Japan
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particles
weight
ink
recording material
organic binder
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JP10128515A
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English (en)
Inventor
Takao Kadokura
孝雄 門倉
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的短期間ならば十分な耐水性を有する記
録物を与えるインクジェット用被記録材を提供する。 【解決手段】 基材上にアンカーコート層、インク受容
層及びオーバーコート層を順次形成してなり、アンカー
コート層は疎水性有機バインダーと有機粒子、インク受
容層は疎水性有機バインダーと有機及び/又は無機粒
子、オーバーコート層は疎水性有機バインダーと無機粒
子とからそれぞれ成っており、且つインク受容層で粒子
の占める割合はアンカーコート層での割合よりも大であ
り、オーバーコート層の粒子はインク受容層の粒子より
も小さいことを特徴とするインクジェット用被記録材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット用
被記録材、特にインク受容性に優れ、且つ耐水性及び受
容層の強度が大きいインクジェット用被記録材に関する
ものである。また本発明は、このようなインクジェット
用被記録材を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンターは、文書だけ
でなく広告その他の展示物の作成にも広く用いられるよ
うになってきている。インクジェットプリンターのイン
クは、主として水に色素及び各種の助剤を溶解させた水
溶性インクであり、このインクを受容する被記録材とし
ては、基材に水溶性高分子化合物の塗布層を設けたもの
や、この塗布層のなかに種々の粒子を含有させたものな
どが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のインクジェット
用被記録材の問題点の一つは、耐水性に乏しいことであ
る。すなわちインク受容層が水溶性高分子化合物を主体
としているので、これに水性インクで文字や画像を形成
した記録物は、水と接触すると滲みが生じ、甚だしい場
合には記録層そのものが溶出してしまう。
【0004】この耐水性に乏しいという問題に対する対
策の一つとして、記録面に透明フイルムを貼付すること
が行われている。この方法は長期間に亘り耐水性を確保
する方法として有効であるが、フイルムの貼付操作が煩
雑である。また、最近では広告等の展示物で、せいぜい
数カ月程度の比較的短期間の耐久性を満足すればよいと
いう分野に適した被記録材が要求されつつある。本発明
は、このような要求に応えようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るインクジェ
ット被記録材は、基材上にアンカーコート層、インク受
容層及びオーバーコート層の少くとも3層をこの順序に
形成した構造を有しており、且つアンカーコート層が疎
水性有機バインダーと有機粒子から成っており、インク
受容層が疎水性有機バインダーと無機粒子及び/又は有
機粒子から成っていて、しかも疎水性有機バインダーに
対するこれらの粒子の重量比がアンカーコート層におけ
るその比率よりも大であり、オーバーコート層が疎水性
有機バインダーと無機粒子から成っていて、しかもその
粒子の粒径がインク受容層の粒子の粒径よりも小さいこ
とを特徴とするものである。
【0006】本発明に係るこのインクジェット用被記録
材は、それぞれの層を構成する疎水性有機バインダーの
有機溶媒溶液にそれぞれの層を構成する粒子を懸濁させ
てなるスラリーを、基材上に順次塗布することにより製
造することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明について詳細に説明する
に、被記録材の基材としては、ポリエステル、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチ
ックフイルムや、紙、布、金属箔など、従来からインク
ジェット用被記録材の基材として知られている任意のも
のを用いることができる。通常は耐水性が良く、かつ取
り扱い性も良いプラスチックフイルム、なかでもポリエ
チレンテレフタレートフイルムが好んで用いられる。基
材の厚さは通常10〜150μm、特に25〜120μ
mであり、記録物の用途や取り扱い性を考慮して適宜選
択すればよい。
【0008】アンカーコート層は、有機粒子と疎水性有
機バインダーから本質的に成っており、有機粒子を疎水
性有機バインダーで基材に密着させ、かつ有機粒子をア
ンカーコート層の表面から突出させる、すなわちアンカ
ーコート層の表面を凹凸形状にすることにより、インク
受容層とアンカーコート層との密着性をより強固にする
ことを目的とする。
【0009】有機粒子としては、アンカーコート層の形
成に用いる有機溶剤に対する耐溶剤性に優れたものを用
いるのが好ましく、例えば、アクリル樹脂、尿素樹脂、
メラミン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂等が用い
られる。なかでも尿素樹脂を用いるのが好ましい。尿素
樹脂としては、粒径0.1〜50μm、特に1〜5μm
のものを用いるのが好ましい。通常は尿素樹脂を単独で
用いるが、他のものを併用することもできる。
【0010】疎水性有機バインダーとしては、有機溶剤
可溶性のものが用いられる。例えば、ポリビニルブチラ
ール、ポリエステル、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポ
リウレタンなどが用いられる。なかでもポリエステルを
単独で用いるか、又はポリエステルと他の溶剤可溶性樹
脂との混合物でポリエステルが50重量%以上を占める
ものを用いるのが好ましい。
【0011】疎水性有機バインダーと有機粒子との比率
は、通常はバインダー100重量部につき有機粒子1〜
50重量部、好ましくは、1〜30重量部である。有機
粒子の比率が多すぎると、基材への密着性が低下し、ア
ンカーコート層を介してインク受容層を基材に強固に密
着させるという目的にそぐわなくなる。
【0012】アンカーコート層は、上述の疎水性有機バ
インダーを有機溶剤に溶解し、この溶液に有機粒子を添
加して懸濁させたスラリーを、基材に塗布して乾燥する
ことにより容易に形成することができる。有機溶剤とし
ては、疎水性有機バインダーを溶解し、かつ有機粒子を
溶解しないものであればよく、乾燥し易いように比較的
低沸点のものを用いるのが好ましい。通常は、メチルエ
チルケトン、イソプロピルアルコール、トルエン、メチ
ルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロ
ヘキサノン、キシレンなどの汎用の溶剤が用いられる。
【0013】アンカーコート層を形成するスラリー中に
は、所望により、分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、増
粘剤、染料、蛍光増白剤など、各種の助剤を添加しても
よい。スラリーの濃度は通常5〜20重量%、好ましく
は5〜15重量%である。スラリーを基材上に塗布する
には、バーコート、ブレードコート、ダイコート、リバ
ースロールコート、グラビアロールコートなど、常用の
任意の塗布方式によることができる。塗布膜の乾燥膜
厚、すなわちアンカーコート層の厚さは、1〜10μ
m、特に2〜8μmであるのが好ましい。アンカーコー
ト層が薄すぎると、基材との密着性が低下したり、有機
粒子が欠落してインク受容層との密着性が低下する。
【0014】インク受容層は、無機粒子及び/又は有機
粒子並びに疎水性有機バインダーから本質的に成ってお
り、無機粒子及び/又は有機粒子を疎水性有機バインダ
ーでアンカーコート層に密着させた構造を有している。
無機粒子としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、
シリカ、珪藻土、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウ
ム、珪酸カルシウム、アルミナ、ゼオライト、硫酸バリ
ウム、硫酸カルシウムなどが用いられる。通常は粒径
0.01〜25μm、好ましくは0.01〜10μm、
BET比表面積が3〜90m2 /g、好ましくは5〜8
0m2 /g、JIS K−5421法による吸油量が5
〜250ml/100g、好ましくは10〜200ml
/100gのものを用いる。
【0015】上述の無機粒子のなかでも、インク吸収性
に優れている多孔質の炭酸カルシウム、特にアラゴナイ
ト質炭酸カルシウムを用いるのが好ましい。このものは
針状結晶であるが、この針状の結晶がからみ合ってイガ
グリ状ないしはウニ殻状外観を呈しているものを用いる
のが好ましい。無機粒子として炭酸カルシウムと他のも
のとを併用する場合でも、その50重量%以上は炭酸カ
ルシウムであるのが好ましい。炭酸カルシウムとして
は、通常、粒径1〜20μm、好ましくは2〜8μm、
BET比表面積が3〜70m2 /g、好ましくは5〜5
0m2 /g、JIS K−5421法による吸油量が3
0〜200ml/100g、好ましくは50〜170m
l/100gのものを用いる。
【0016】有機粒子としては、アクリル樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂など
が用いられる。なかでも耐溶剤性に優れ且つインク吸収
を促すための孔隙を有する尿素樹脂を用いるのが好まし
い。尿素樹脂としては、粒径0.1〜50μm、好まし
くは1〜5μm、JIS K−5101法による吸油量
が200〜1500ml/100g、好ましくは400
〜1100ml/100gのものを用いるのが好まし
い。有機粒子としては、尿素樹脂に他のものを併用する
こともできるが、その場合でも、有機粒子の50重量%
は尿素樹脂であるのが好ましい。
【0017】無機粒子と有機粒子とはそれぞれ単独で用
いることもできるが、両者を併用するのが好ましい。併
用する場合の両者の比率(重量比)は、通常20:80
〜80:20である。
【0018】疎水性有機バインダーとしては、溶剤可溶
性のものが用いられる。例えば、ポリビニルブチラー
ル、ポリエステル、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリ
ウレタンなどが用いられる。なかでもポリエステルを単
独で用いるか、又はポリエステルと他の溶剤可溶性樹脂
との混合物でポリエステルが50重量%以上占めるもの
を用いるのが好ましい。このような混合物としては、例
えばポリエステルにその5〜30重量%のポリアクリル
酸エステルを配合したものが用いられる。このものはポ
リエステル単独のものよりもインク吸収性の良いインク
受容層を与える。なおポリアクリル酸エステルを配合す
ると耐水性が低下する傾向があるので、ステアリン酸マ
グネシウムなどの耐水性向上剤をバインダーに対して2
〜30重量%併用するのが好ましい。
【0019】疎水性有機バインダーに対する粒子の比率
は、アンカーコート層における疎水性バインダーに対す
る有機粒子の比率よりも大きくする。通常は疎水性有機
バインダー100重量部につき、無機粒子又は有機粒子
のみを用いる場合には30〜200重量部、好ましくは
50〜180重量部であり、両者を併用する場合には合
計で30〜220重量部、好ましくは50〜180重量
部である。インク受容層を形成する疎水性有機バインダ
ーの比率が大きすぎると、インク受容性が低下し、その
結果、記録時にインクの乾燥に時間を要したり、甚だし
い場合にはインク液だれが発生したりする。また、形成
された記録物も耐水性が低く、水ぬれ時にインクの滲み
出しが起き易い。これは、インクは本来的には粒子と粒
子との間隙や粒子内の孔隙に吸収されてそこに保持され
るべきものなので、粒子に対する疎水性有機バインダー
の比率が大きくなり過ぎて粒子表面の相当部分がバイン
ダーで被覆されるようになると、インクの吸収が阻害さ
れ且つインクがバインダー上にそのまま保持されること
によるものと考えられる。逆に疎水性有機バインダーの
比率が小さすぎると、粒子の接着強度が弱くてインク受
容層から粒子が脱落する粉落ちが発生するようになる。
また、記録時にインクの吸収が良すぎて、所望の濃度や
色調がえられないこともある。
【0020】インク受容層は、上述の疎水性有機バイン
ダーを有機溶剤に溶解し、この溶液に無機粒子及び/又
は有機粒子を添加して懸濁させたスラリーをアンカーコ
ート層上に塗布して乾燥することにより容易に形成する
ことができる。有機溶剤としては、疎水性有機バインダ
ーを溶解し、かつ有機粒子を溶解しないものであればよ
く、乾燥し易いように比較的低沸点のものを用いるのが
好ましい。通常はメチルエチルケトン、イソプロピルア
ルコール、トルエン、メチルイソブチルケトン、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、キシレンなどの
汎用の溶剤が用いられる。
【0021】インク受容層を形成する上記スラリー中に
は、所望により、界面活性剤、分散剤、紫外線吸収剤、
光安定剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤など、各
種の助剤を添加してもよい。例えば、インク受容層に適
量の界面活性剤を含有させると、記録時におけるインク
定着性が向上する。これは界面活性剤がインクの移動を
助長することによるものと思われる。しかし界面活性剤
が多すぎると、記録時にインクの横方向への拡散による
滲みが発生したり、形成された記録物の耐水性が低下し
て、水ぬれ時にインクの滲み出しが起き易くなる。イン
ク受容層中における界面活性剤の濃度は、疎水性有機バ
インダー100重量部につき0.1重量部以下、特に
0.05重量部以下とするのが好ましい。
【0022】界面活性剤としては陰イオン界面活性剤、
陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活
性剤のいずれを用いることもできるが、なかでも陰イオ
ン界面活性剤若しくは陽イオン界面活性剤をそれぞれ単
独で用いるか、又はこれらを併用するのが好ましい。一
般には両者を併用するのが好ましい。これらの界面活性
剤としてはアルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルカ
ンスルホン酸ソーダ、高級アルコールの硫酸エステル
塩、長鎖アルキル基を有するアミン塩や第4級アンモニ
ウム塩など常用のものを用いることができる。
【0023】耐候性を向上させるための紫外線吸収剤や
光安定剤としては、通常のヒンダードアミン系、ベンゾ
トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系化
合物などを、単独で又はいくつか併用して用いればよ
い。インク受容層を形成するスラリーの濃度は通常30
〜50重量%、好ましくは30〜40重量%である。
【0024】スラリーをアンカーコート層上に塗布する
には、バーコート、ブレードコート、ダイコート、リバ
ースロールコート、グラビアロールコート、などの常用
の任意の塗布方式によることができる。塗布膜の乾燥膜
厚、すなわちインク受容層の厚さは、10〜100μ
m、特に20〜80μmであるのが好ましい。インク受
容層が薄すぎると、記録時のインク吸収性及び定着性が
不良でインクの液だれが発生したり、形成された記録物
の耐水性が不良で、水ぬれ時にインクの滲み出しが起き
たりする。
【0025】オーバーコート層は、無機粒子と疎水性有
機バインダーから本質的に成っており、無機粒子を疎水
性有機バインダーによりインク受容層に密着させた構造
を有している。オーバーコート層は被記録材の表面をよ
り強固なものとし、かつ多くの場合には表面に若干の光
沢を付与する。疎水性有機バインダーとしては、有機溶
剤可溶性のもののなかから被記録材の用途により適宜選
択することができる。例えば、ポリビニルブチラール、
ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエーテルイミド、ポ
リサルホン、ポリウレタンなどが用いられる。これらは
単独で用いてもよく、またいくつかを併用してもよい。
【0026】無機粒子としてはインク受容層を構成する
粒子よりも小粒径のものであればよく、炭酸カルシウ
ム、タルク、クレー、珪藻土、珪酸アルミ、珪酸マグネ
シウム、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、
酸化チタン、亜鉛華、鉛白等が用いられる。これらは単
独で用いてもよく、またいくつかを併用してもよい。特
に無機白色顔料である硫酸バリウム、酸化チタン、亜鉛
華等を用いるのが好ましい。通常は、粒径が0.01〜
1μm、好ましくは0.01〜0.5μm、JIS K
−5101法による吸油量が5〜100ml/100
g、好ましくは10〜70ml/100g、BET比表
面積が3〜90m2 /g、好ましくは5〜80m2 /g
のものを用いる。なかでもオーバーコート層の膜厚より
も小粒径の無機粒子を用いるのが好ましい。
【0027】オーバーコート層を構成する疎水性有機バ
インダーと無機粒子との比率は、通常は疎水性有機バイ
ンダー100重量部につき無機粒子1〜50重量部、好
ましくは1〜30重量部である。無機粒子の比率が大き
くなり過ぎると、被記録材の表面強度を向上させるとい
うオーバーコート層の目的が十分に達成できなくなる。
【0028】オーバーコート層は、上述の疎水性有機バ
インダーを有機溶媒に溶解した溶液に上述の無機粒子を
懸濁させて調製したスラリーを、インク受容層上に塗布
して乾燥することにより形成する。オーバーコート層を
構成する無機粒子はインク受容層を構成する粒子よりも
小粒径なので、塗布されたスラリー中の無機粒子は、イ
ンク受容層の表面の粒子間隙に入り込む。これによりオ
ーバーコート層とインク受容層との結合が強固になると
共に、インク受容層の表面の凹部がスラリー中の無機粒
子により埋められて平滑化されるので、多くの場合には
若干の表面光沢を生ずるようになる。
【0029】スラリーを調製するための有機溶媒として
は、疎水性有機バインダーを溶解しうるものであればよ
く、通常はメチルエチルケトン、イソプロピルアルコー
ル、トルエン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、
酢酸ブチル、シクロヘキサノン、キシレンなどの汎用の
溶剤が用いられる。
【0030】オーバーコート層を形成するスラリー中に
は、所望により、界面活性剤、分散剤、紫外線吸収剤、
光安定剤、染料、蛍光増白剤など、各種の助剤を添加し
てもよい。例えば、粒子含有オーバーコート層に適量の
界面活性剤を含有させると記録時におけるインクの定着
性が向上する。これは界面活性剤がインクの移動を助長
することによるものと思われる。オーバーコート層中に
おける界面活性剤の濃度は、有機バインダー100重量
部につき0.1重量部以下、特に0.05重量部以下と
するのが好ましい。なお、界面活性剤はオーバーコート
層を形成するスラリー中に配合しておく以外に、オーバ
ーコート層に後から添加してもよい。例えば、インク受
容層上に塗布、乾燥によりオーバーコート層を形成した
のち、オーバーコート層に界面活性剤溶液を塗布したり
する方法を用いることができる。
【0031】オーバーコート層に用いる界面活性剤及び
耐候性向上剤としては、前述のインク受容層に用いた界
面活性剤、紫外線安定剤や光安定剤等を用いることがで
きる。オーバーコート層を形成するスラリーの濃度は1
〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。
【0032】オーバーコート層を形成するスラリーをイ
ンク受容層上に塗布するには、前述のアンカーコート層
やインク受容層の塗布の場合と同じく、常用の任意の塗
布方式によることができる。塗布膜の乾燥膜厚、すなわ
ちオーバーコート層の厚さは、0.1〜5μm、特に
0.1〜0.8μmであるのが好ましい。オーバーコー
ト層が薄すぎると、被記録材の表面強度を十分に向上さ
せることができない。逆にオーバーコート層が厚すぎる
と、記録時のインク受容層へのインク吸収を阻害した
り、オーバーコート層表面でのインクハジケによるイン
ク液だれが発生し、鮮明な記録物を得ることができな
い。
【0033】アンカーコート層、インク受容層及びオー
バーコート層から成る被記録層は、所望ならば基材の両
面に設けることもできるが、通常は基材の一面にのみ設
けられる。他面はそのままにしておいてもよいが、広告
等の展示物の展示用の基材の場合には、他の面に接着層
を形成しておくのが好ましい。接着剤としては、天然ゴ
ム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリエス
テル系樹脂、ポリイソブチレンなどの常用のものを用
い、これらを溶媒に溶解して乾燥膜厚が2〜50μm、
好ましくは5〜30μmとなるように塗布すればよい。
通常は耐候性、耐光性などの点からしてアクリル系樹脂
やポリエステル系樹脂を用いるのが好ましい。
【0034】接着剤層には、シリコン樹脂等の剥離剤を
塗布したポリエステルフイルム等の保護層を設けておく
のが、被記録材の製造及び取り扱い、さらには記録時の
操作上好ましい。なおインク受容層は、複数の異なる種
類のインク受容層を組合せることもできる。また、イン
ク受容層の特性に悪影響を与えない限りにおいて、任意
のインク受容層を組合せて積層することもできる。
【0035】
【実施例】以下に実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。 実施例1〜60及び比較例1〜16 (1)アンカーコート層の作成 疎水性有機バインダーとして、疎水性ポリエステル樹脂
のトルエン−メチルエチルケトン混合溶液(東洋紡績社
製品、バイロン20SS、固形分濃度30重量%)を用
い、これに尿素ホルムアルデヒド樹脂(日本化成社製
品、有機フィラー、平均粒径3.8μm)を添加してよ
く攪拌し、均一組成のスラリーとした。このスラリーを
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートの二軸延
伸フイルム面に、乾燥膜厚さが4μとなるように塗布し
てアンカーコート層を形成した。
【0036】(2)インク受容層の作成 疎水性有機バインダー溶液として、疎水性ポリエステル
樹脂のトルエン−メチルエチルケトン混合溶液(日本合
成化学工業社製品、ポリエスターLP−044、固形分
濃度30重量%)を用い、これにアラゴナイト質炭酸カ
ルシウム(白石工業社製品、カルライトSA、平均粒径
3.3μm)、尿素ホルムアルデヒド樹脂(日本化成社
製品、有機フィラー、平均粒径3.8μm)及び界面活
性剤を添加してよく攪拌し、均一組成のスラリーとし
た。このスラリーをアンカーコート層上に、乾燥膜厚さ
が40μmとなるように塗布してインク受容層を形成し
た。形成されたインク受容層は、いずれも表面が平滑で
あった。
【0037】(3)オーバーコート層の作成 疎水性有機バインダー溶液として、ポリビニルブチラー
ル樹脂(積水化学社製品、BMS)をイソプロピルアル
コールを用いて固形分濃度40重量%に調製した溶液、
又はアクリル酸エステル樹脂のイソプロピルアルコール
溶液(三菱化学社製品、サフトマー2100NSA、固
形分濃度40重量%)を用い、これに無機粒子として硫
酸バリウム(堺化学社製品、BF−1、平均粒径0.0
5μm)、亜鉛華(堺化学社製品、超微粒子酸化亜鉛F
INX−75、平均粒径0.01μm)、又は酸化チタ
ン(堺化学社製品、R−62N、平均粒径0.26μ
m)のいずれか、及び界面活性剤を添加してよく攪拌
し、均一組成のスラリーとした。このスラリーを前述の
インク受容層の表面に乾燥膜厚さが0.3μmとなるよ
うに塗布して、オーバーコート層を形成した。形成され
たオーバーコート層は、いずれも表面が平滑であった。
【0038】(4)被記録層の評価 上記で作成した被記録材について、下記によりその強
度、耐水性、記録時のインク滲みと乾燥性を評価した。
結果を表−1及び表−2に示す。 (4−1)被記録層の強度 被記録材を、温度23℃、湿度55%の雰囲気中に24
時間放置したのち、これから幅25mm、長さ200m
mの試料を切り出した。この試料のオーバーコート層面
に、同じく幅25mm、長さ200mmの粘着テープ
(リンテック社製品、ネオクラフトテープ)の粘着面を
重ね、粘着テープ側から重さ2kgのゴムローラーを一
往復させて圧着した。なお試料の一端から長さ50mm
の範囲は、剥離紙をおいて粘着テープが接着しないよう
にした。これを上記と同じ雰囲気中に1時間放置したの
ち、引っ張り試験機を用いて300mm/分の一定速度
で、被記録材と粘着テープを180°方向に剥離し、剥
離に要する力を測定した。
【0039】(4−2)被記録層の耐水性 被記録材を23℃の水中に静置し、被記録層の表面を親
指で5往復こする操作を、最初は10分毎に6回、次い
で30分毎に14回、その後は24時間毎に行ない、オ
ーバーコート層及びインク受容層に溶けだし、欠損が生
ずるまでの日数を調べた。なお試験は90日で打切っ
た。
【0040】(4−3)記録時のインク滲みと乾燥性 被記録材を、温度23℃、湿度55%の雰囲気中に24
時間放置したのち、同一雰囲気中でインクジェットプリ
ンター(シャープ社製品、IO−735)を用いて、市
販のシアン、イエロー、マゼンタの各顔料系水性インク
(ENCAD社製品、206861GO、206862
GO、206863GO)による印字(各インクの単独
印字、並びにシアン+イエロー、シアン+マゼンタ及び
イエロー+マゼンタの重ね印字)を行ない、インクの滲
み状態及び乾燥状態を観察した。
【0041】滲み ○:滲みが観察されず。 乾燥 ◎:重ね印字が30秒以内にインク受容層に吸収、印字
部表面が乾燥した状態であった。
【0042】○:重ね印字が50秒以内にインク受容層
に吸収、印字部表面が乾燥した状態であった。
【0043】(4−4)被記録層の光沢性 被記録材を室温23℃、湿度55%の雰囲気中に24時
間放置したのち、縦298mm×横210mmのA4サ
イズに切り出した。前述と同一雰囲気中にて、室内用蛍
光灯の下で平坦な机上に被記録層のオーバーコート層面
を上にして置き、机より2m離れ、高さ1.00mのと
ころから目視にて光沢度合いを観察した。なお、机上に
おける照度は800ルックスとした。
【0044】 ○:光沢が僅かに見られる。 ×:光沢性がない。
【0045】・比較例1〜16では、シアンで印字した
際ハジケる傾向がある。 ・実施例1〜60では、インクのハジケは見られない。 ・実施例1〜60を比較すると、実施例49〜60は、
オーバーコート層に界面活性剤が未添加のため印字時イ
ンク吸収乾燥に時間を若干要するが、実用上問問題無い
レベルであった。 ・実施例1〜48は、オーバーコート層に界面活性剤が
含有されている効果により印字時のインク吸収乾燥性に
優れていた。 ・比較例1〜4は、アンカーコート層及びオーバーコー
ト層がないため、他の物に比べ被記録材層の強度及び耐
水性が劣っていた。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】
【表7】
【0053】
【表8】

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上にアンカーコート層、インク受容
    層及びオーバーコート層の少くとも3層をこの順序に形
    成してなるインクジェット用被記録材であって、アンカ
    ーコート層が疎水性有機バインダーと有機粒子から成っ
    ており、インク受容層が疎水性有機バインダーと無機粒
    子及び/又は有機粒子から成っていて、且つ疎水性有機
    バインダーに対するこれらの粒子の重量比がアンカーコ
    ート層におけるその比率よりも大であり、オーバーコー
    ト層が疎水性有機バインダーと無機粒子から成ってい
    て、且つその粒子の粒径がインク受容層の粒子の粒径よ
    りも小さいことを特徴とするインクジェット用被記録
    材。
  2. 【請求項2】 アンカーコート層が疎水性有機バインダ
    ー100重量部につき有機粒子1〜50重量部を含有す
    ることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用被
    記録材。
  3. 【請求項3】 インク受容層を構成する無機粒子の少く
    とも50重量%が、粒径1〜20μm、BET比表面積
    が3〜70m2 /g、吸油量が30〜200ml/10
    0gである炭酸カルシウムであることを特徴とする請求
    項1又は2記載のインクジェット用被記録材。
  4. 【請求項4】 インク受容層を構成する有機粒子の少く
    とも50重量%が、粒径0.1〜50μm、吸油量が2
    00〜1500ml/100gの尿素樹脂であることを
    特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインク
    ジェット用被記録材。
  5. 【請求項5】 インク受容層が、疎水性有機バインダー
    100重量部につき無機粒子と有機粒子とを合計で30
    〜220重量部含有しており、かつ無機粒子と有機粒子
    との重量比が20:80〜80:20であることを特徴
    とする請求項1ないし4のいずれかに記載のインクジェ
    ット用被記録材。
  6. 【請求項6】 インク受容層を構成する疎水性有機バイ
    ンダーの少くとも50重量%がポリエステル樹脂である
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の
    インクジェット用被記録材。
  7. 【請求項7】 インク受容層の厚さが10〜100μm
    であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに
    記載のインクジェット用被記録材。
  8. 【請求項8】 インク受容層が界面活性剤を含有してい
    ることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載
    のインクジェット用被記録材。
  9. 【請求項9】 オーバーコート層を構成する無機粒子
    が、硫酸バリウム、酸化チタン及び亜鉛華よりなる群か
    ら選ばれたものであって、粒径が0.01〜1μm、B
    ET比表面積が3〜90m2 /g、吸油量が5〜100
    ml/100gのものであることを特徴とする請求項1
    ないし8のいずれかに記載のインクジェット用被記録
    材。
  10. 【請求項10】 オーバーコート層の厚さが0.1〜5
    μmであることを特徴とする請求項1ないし9のいずれ
    かに記載のインクジェット用被記録材。
  11. 【請求項11】 基材上に、疎水性有機バインダーの有
    機溶媒溶液に疎水性有機バインダー100重量部につき
    1〜50重量部の有機粒子を懸濁させてなるスラリーを
    塗布して乾燥し、次いでその上に疎水性有機バインダー
    の有機溶媒溶液に疎水性有機バインダー100重量部に
    つき50〜180重量部の有機粒子及び無機粒子よりな
    る群から選ばれた粒子を懸濁させてなるスラリーを塗布
    して乾燥し、更にその上に疎水性有機バインダーの有機
    溶媒溶液に疎水性有機バインダー100重量部につき1
    〜50重量部の無機粒子を懸濁させてなるスラリーを塗
    布して乾燥することを特徴とするインクジェット用被記
    録材の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009285558A (ja) * 2008-05-28 2009-12-10 Kubota Matsushitadenko Exterior Works Ltd 塗装板
JP2009285626A (ja) * 2008-05-30 2009-12-10 Kubota Matsushitadenko Exterior Works Ltd 塗装板
JP2009285553A (ja) * 2008-05-28 2009-12-10 Kubota Matsushitadenko Exterior Works Ltd 塗装板

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