JP3935375B2 - 粘着性インクジェットプリンタ用メディア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着性を有するインクジェットプリンタ用メディアに関し、さらに詳しくは、印字面の耐水性、耐候性に優れ、低コストな粘着性インクジェットプリンタ用メディアに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、一般に、染料または顔料を含有する水性インクをノズルから噴出して微小な液滴をつくり、この液滴を電気入力信号に応じた画素としてインクジェットプリンタ用メディア(インクジェット記録媒体)のインク受像層に付着させて、文字、図形、画像などを形成する方式であり、低雑音、高解像度、高速印字などの特徴を有している。
【0003】
インクジェット記録方式では、インクカートリッジなどの印字に必要な部品を備えた簡単で安価なインクジェットプリンタを使用することができ、しかもヘッドの増設だけでカラー印字を行うこともできる。インクジェット記録方式は、鮮明な画像を形成することができ、フルカラー化や写真の印字も可能であるため、例えば、電車の車内広告や商店の広告宣伝などにも用途が広がってきている。
【0004】
従来のインクジェットプリンタ用メディアは、一般に、インク受像層/基材の層構成を有しているため、印字後、そのままでは、ガラスや壁面などの被着体に貼付することができなかった。そこで、インクジェットプリンタ用メディアを被着体に貼付する場合には、印字後、両面粘着シートを基材と貼り合せて、インク受像層/基材/両面粘着シート/被着体の構成で被着体に貼付されている。
【0005】
しかし、この方法では、印字されたインク受像層が表面に出ているため、印字面の耐水性や耐候性が不充分である。インク受像層が雨や水に濡れると、インクが流出する。また、インク受像層が日光に直接暴露されるため、変色や退色が早期に進行する。
【0006】
インク受像層/基材/粘着剤/セパレーターの層構成を有するインクジェットプリンタ用メディアが知られており、印字後、セパレーターを剥がして、インク受像層/基材/粘着剤/被着体の構成で被着体に貼付される。しかし、この場合も、印字されたインク受像層が表面に出ているために、耐水性、耐候性が不充分である。
【0007】
そこで、印字後、インク受像層の表面に保護シートを貼り合わせて、保護シート/インク受像層/基材/両面粘着シート/被着体、あるいは保護シート/インク受像層/基材/粘着剤/被着体の構成で被着体に貼付する方法が提案されている。この方法によれば、インク受像層の耐水性、耐候性を改善することができるものの、保護シート分の材料費が余分にかかり、コスト高になってしまう。
【0008】
特許第3107495号公報には、基材上に親水性を有する粘着層を形成し、この粘着層にインクジェットプリンタにより水性インクで印字する方法が提案されている。この方法によれば、印字された粘着層を被着体に貼付することができる。このように、基材/印字粘着層/被着体の構成で被着体に貼付して、透明な基材側から印字面を見るようにすれば、簡単な層構成で、印字面の耐水性、耐候性を向上させることができる。しかし、親水性の粘着層は、インク吸収性が不足しており、印字後にインクが溢れて滲んだり、被着体に移行したりする欠点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、インク受像層の水性インク吸収性が良好で、印字後に印字面で被着体に貼付し得る粘着性を備え、印字面の耐水性及び耐候性に優れたインクジェットプリンタ用メディアを提供することにある。
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、インク受像層上に、実質的にインク吸収性を有さず、かつ、インク透過性を有する粒状アクリル系粘着剤層を形成することに想到した。粒状アクリル系粘着剤層は、インク透過性を有するため、インクジェットプリンタにより水性インクを用いて粒状アクリル系粘着剤層の表面から印字すると、水性インクが粒状アクリル系粘着剤層を透過してインク受像層に吸収される。
【0011】
印字後、粒状アクリル系粘着剤層の粘着性を利用して被着体に貼付すれば、印字面に耐水性及び耐候性を付与することができる。印字されたインク受像層は、透明性のある基材を通して見ることになるため、表面光沢、画像濃度などに優れた画像が提供される。このインクジェットプリンタ用メディアは、印字する面が粘着性を有するため、保護シートを用いて印字面を保護する必要がなく、コスト高を抑制することができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、透明な合成樹脂シートまたはフィルムからなる基材上に、吸水性ポリマーの水溶液を塗工して形成された水性インク吸収性を有するインク受像層が設けられ、さらに該インク受像層上には、球状アクリル系重合体の懸濁重合液を塗工して形成された水性インク透過性を有する粒状アクリル系粘着剤層が設けられた層構成を有しており、該粒状アクリル系粘着剤層の表面が水性インクによる印字面となり、かつ、該粒状アクリル系粘着剤層の表面から透過して該インク受像層に吸収される水性インク吸収量が10g/m2以上である粘着性インクジェットプリンタ用メディアが提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
1.基材
本発明の粘着性インクジェットプリンタ用メディアにおいて、基材としては、透明性に優れた合成樹脂シートまたはフィルムを使用する。基材は、透明性に加えて、耐熱性、寸法安定性、剛性などを備えた合成樹脂シートまたはフィルムであることが好ましい。
【0014】
具体的に、基材としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレンなどの芳香族ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルローストリアセテートなどの合成樹脂からなる単層または多層シート若しくはフィルムが挙げられる。
【0015】
これらのシートまたはフィルムには、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、アルミナ、シリカなどの顔料;タルク、炭酸カルシウム、シリカゲルなどの充填剤;ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛などの滑剤;フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系などの酸化防止剤;ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系などの紫外線吸収剤または安定剤;ガラスバルーン、シリカバルーンなどの無機系中空粒子;アクリル系、高分子量ポリオレフィン系パウダーなどの高分子微小球;シリコーン系、長鎖アルキル系等の剥離性付与剤;などを添加することができる。
【0016】
2.インク受像層
本発明の粘着性インクジェットプリンタ用メディアで用いるインク受像層は、水性インク吸収性を有する吸水性ポリマーから形成されたものである。水性インク吸収性を有するインク受像層は、吸水性ポリマー単独、または吸水性ポリマーと無機粒子及び/または有機粒子との混合物から形成されたものであることが好ましい。
【0017】
吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、シラン変性ポリビニルアルコール、ポリメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル、ポリウレタン、カルボキシル基またはその塩を有するアクリル系樹脂、ポリアルキレンオキサイド、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、あるいはこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。吸水性ポリマーは、水溶性ポリマーであることが好ましい。
【0018】
吸水性ポリマーの水溶液を基材上に塗布し、乾燥することにより、インク受像層を形成することができる。インク受像層は、無機粒子または有機粒子若しくはこれらの混合粒子が吸水性ポリマーにより結着された構造を有するインク受像層であってもよい。
【0019】
無機粒子及び有機粒子としては、例えば、酸化アルミニウム、シリカ、酸化チタン、亜鉛華などの金属酸化物粒子;親水性アクリル粒子、親水性セスロース系化合物粒子などの有機粒子;が挙げられる。酸化アルミニウム(アルミナ)としては、γ型結晶形体の酸化アルミニウム微粉末が好ましい。シリカとしては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカが好ましい。無機粒子及び有機粒子は、平均粒子径0.01〜10μmの微粒子であることが好ましい。
【0020】
無機粒子及び有機粒子は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。無機粒子及び/または有機粒子は、吸水性ポリマー100重量部に対して、通常0.1〜20重量部の割合で使用される。顔料水性インクの定着性及び透明性の点では、吸水性ポリマー100重量部に対し、平均粒子径0.01〜4μmの酸化アルミニウム粒子を0.1〜10重量部の割合で添加することが好ましい。
【0021】
吸水性ポリマーと無機粒子及び/または有機粒子とを含有する水性分散液を基材上に塗布し、乾燥することにより、これらの粒子を含有するインク受像層を形成することができる。
【0022】
インク受像層は、通常、1層でよいが、必要に応じて2層以上とすることができる。例えば、吸水性ポリマー層を下層とし、その上に無機粒子及び/または有機粒子を含有する吸水性ポリマー層を形成することができ、それによって、顔料水性インクの吸収性、発色性などを向上させることができる。
【0023】
3.アンカーコート剤
本発明の粘着性インクジェットプリンタ用メディアは、インク受像層と基材との間に、アンカーコート剤の塗布層を形成することが層間密着性の観点から好ましい。アンカーコート剤としては、例えば、酸変性ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン、アクリル系樹脂、イソシアネート系化合物、ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。
【0024】
4.粘着剤層
インク受像層の上には、水性インク透過性を有する粘着剤層を形成する。粘着剤としては、アクリル系粘着剤を使用することができるが、実質的に水性インク吸収性を持たない疎水性の粘着剤であることが好ましい。
【0025】
粘着剤層に水性インク透過性を付与するには、例えば、インク受像層の上に粒状粘着剤(粘着性を有する粒子であり、「粘着微小球」ともいう)の塗布層を形成する方法がある。これらの中でも、インク受像層の上に、粘着微小球の塗布層を形成する方法が好ましい。
【0026】
粒状粘着剤としては、平均粒子径が1〜30μmの粘着微小球が好ましい。粘着微小球としては、アクリル系樹脂からなる粘着微小球が挙げられる。無色透明性、耐候性等の点から、アクリル系粘着微小球が用いられる。水性インクは、粘着剤層の粘着微小球間の隙間を通ってインク受像層面に達するため、粘着微小球は、疎水性であって親水性ではないことが好ましい。粘着微小球の平均粒子径が1μm未満の場合には、粘着微小球間の隙間が少なく、インク吸収性が悪くなる。粘着微小球の平均粒子径が30μmを超える場合には、インク受像層へのインク吸収性を阻害するために画像がボケたりする。
【0027】
5.粘着性インクジェットプリンタ用メディア
本発明の粘着性インクジェットプリンタ用メディアは、支持基材の上に、各層を順次塗工する公知の方法によって製造することができる。
【0028】
本発明の粘着性インクジェットプリンタ用メディアは、ロール状に巻いた状態で保存し、巻戻しながら使用する。また、本発明の粘着性インクジェットプリンタ用メディアは、セパレーターを粘着剤層面に貼り合わせた状態で保存し、セパレーターを剥がして使用することができる。
【0029】
本発明の粘着性インクジェットプリンタ用メディアは、基材が10〜500μm、アンカーコート剤の塗布層が0.1〜20μm、インク受像層が3〜100μm、粘着剤層が1〜30μmの各厚みを有するものであることが好ましく、基材が30〜100μm、アンカーコート剤の塗布層が0.5〜5μm、インク受像層が15〜40μm、粘着剤層が5〜20μmの各厚みを有するものであることがより好ましい。
【0030】
本発明の粘着性インクジェットプリンタ用メディアは、粘着剤層の表面から水性インクで印字したとき、インク受像層の水性インク吸収量が10g/m2以上であることが必要である。インク受像層の水性インク吸収量を調整するには、インク受像層の水性インク吸収性を高めるとともに、粘着剤層の塗布量や構造を調整する。粘着剤層の粘着特性と水性インク透過性を制御するには、前述の平均粒子径が1〜30μmの粘着微小球の塗布層を形成することが好ましい。
【0031】
図1は、粘着微小球を用いて粘着剤層を形成した本発明の粘着性インクジェットプリンタ用メディアの一例の層構成を示す断面図である。基材1上にアンカーコート剤の塗布層2を介してインク受像層3が形成されている。インク受像層の上には、粘着微小球の塗布層4が形成されている。粘着剤層の厚みが粘着微小球の平均粒子径よりも大きいため、粘着微小球が数層重なっている。粘着剤層の表面には、微細な凹凸が形成されており、インクジェット印刷適性を有している。
【0032】
図2は、粘着微小球を用いて粘着剤層を形成した本発明の粘着性インクジェットプリンタ用メディアの他の一例の層構成を示す断面図である。基材21上にアンカーコート剤の塗布層22を介してインク受像層23が形成されている。インク受像層の上には、粘着微小球の塗布層24が形成されている。粘着剤層の厚みが粘着微小球の平均粒子径とほぼ同じであるため、インク受像層の上に粘着微小球が分散した状態の粘着剤層が形成されている。粘着剤層の表面は、微細な凹凸が形成されているため、インクジェット印刷適性を有している。
【0033】
いずれの粘着性インクジェットプリンタ用メディアにおいても、粘着微小球の間隙を水性インクが透過して、インク受像層に到達する。粘着剤層の表面から印字したときの水性インク吸収量が10g/m2未満である場合には、インク吸収性が不足しており、高品質な印字ができない。
【0034】
インク受像層の水性インク吸収量は、12g/m2以上であることが好ましい。水性インク吸収量の上限は、通常20g/m2、好ましくは18g/m2である。水性インク吸収量が多すぎても、印字品質にそれほどの差異はなく、しかも水性インク吸収性を高めるために粘着剤層を薄くしたり、粘着微小球の分散状態がまばらになりすぎると、粘着剤層の粘着特性が低下する。
【0035】
本発明の粘着性インクジェットプリンタ用メディアのインク受像層、アンカーコート剤の塗布層、粘着剤層には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、充填剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、無機系中空粒子、高分子微小球、剥離性付与剤、イソチアゾリン化合物やブロモニトロアルコール化合物等の防腐剤、ノニオン性界面活性剤等の消泡剤、ノニオン性、カチオン性、アニオン性界面活性剤等の濡れ改質剤等を適宜添加することができる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明する。
<材料>
以下の実施例及び比較例では、以下の材料を用いた。
【0037】
(1)基材
S−1:テクノロイR845#60(住友化学製の60μm厚PMMA系フィルム)
S−2:農メタロセン・フィルムイク育#75(三井化学プラテック製の75μm厚ポリオレフィン系フィルム)
【0038】
(2)インク受像層(受像層液)
M−1:クラレポバールPVA217(クラレ製ポリビニルアルコール)/イオン交換水=20重量部/80重量部
M−2:クラレポバールPVA217(クラレ製ポリビニルアルコール)/アエロジルAl2O3・C(日本アエロジル製γ型酸化アルミニウム微粒子)/イオン交換水=3重量部/15重量部/82重量部
【0039】
(3)粘着剤
A−1:平均粒子径3μmの球状アクリル系重合体の懸濁重合液(固形分濃度20重量%;モノマー組成=2−エチルヘキシルアクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=90重量部/8重量部/2重量部)
A−2:平均粒子径10μmの球状アクリル系重合体の懸濁重合液(固形分濃度20重量%;モノマー組成=2−エチルヘキシルアクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=90重量部/8重量部/2重量部)
A−3:アクリルエマルジョン粘着剤液(固形分濃度45重量%)/ポリオキシエチレンβ−ナフチルエーテル=100重量部/4.5重量部;モノマー組成=n−ブチルアクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ポリエチレングリコールメタクリレート/アクリル酸=63重量部/17重量部/15重量部/5重量部
【0040】
(4)アンカーコート剤
P−1:アクリディックCL−1000(大日本インキ化学工業製アクリル系樹脂溶液、固形分濃度40重量%)
【0041】
[実施例1〜3、及び比較例1]
表1に示した層構成のインクジェットプリンタ用メディアを以下の方法で作成した。
基材上に、アンカーコート剤を乾燥後の塗布厚が1μmになるようにバーコーター方式で塗工し、乾燥した。その上に、インク受像層を乾燥後の塗布厚が20μmになるようにコンマコーター方式で塗工し、乾燥した。さらにその上に、粘着剤を乾燥後の塗布厚が10μmになるようにスクリーン印刷方式により塗工、乾燥した後、厚さ75μmのセパレーター(片面シリコーン処理ポリエステルフィルム)のシリコーン処理面と貼り合わせた。
【0042】
[比較例2]
表1に示した層構成のインクジェットプリンタ用メディアを以下の方法で作成した。
基材上に、アンカーコート剤を乾燥後の塗布厚が1μmになるようにバーコーター方式で塗工し、乾燥した。その上に、インク受像層を乾燥後の塗布厚が20μmになるようにコンマコーター方式で塗工し、乾燥した。基材の反対面に、粘着剤を乾燥後の塗布厚が10μmになるようにスクリーン印刷方式により塗工、乾燥した後、厚さ75μmのセパレーター(片面シリコーン処理ポリエステルフィルム)のシリコーン処理面と貼り合わせた。
【0043】
実施例1〜3及び比較例1〜2において得られたインクジェットプリンタ用メディア粘着シートについて、インク吸収量の測定及び印字テストを行い、さらに印字後の耐水性、耐候性を評価した。
【0044】
(1)インク吸収量
温度23℃の雰囲気下、ビーカーにエプソン製インクジェットプリンタ用インクIC5BK05を100g入れ、1cm×1cmのインクジェットプリンタ用メディアをインク受像層面を下にした状態で浮かせ、5秒後に取り出してインク受像層表面上のインクを拭き取ったものについて、浸漬前の重量との差を測定した。
【0045】
(2)印字テスト
インクジェットプリンタ用メディアの粘着剤層の表面または表層インク受像層面に、エプソン製インクジェットプリンタPM−820で1440×720dpiのモードで印字し、インクの染み出しと印字部の滲みの有無を光学顕微鏡(ハイロックス製 Hi-Scope KH-2700)で観察した。また、印字部の白ボケ、擦れについては目視にて観察した。
【0046】
(3)耐水性、耐候性
印字したインクジェットプリンタ用メディアをアクリル塗装パネルに貼付し、サンシャインウエザーメーター(スガ試験機製 WEL-SUN HC・B)で60時間照射(降雨12時間、ブラックパネル63℃)後の状態を観察した。
【0047】
【表1】
【0048】
表1の実施例1〜3の結果から明らかなように、本発明の粘着性インクジェットプリンタ用メディアは、水性インク吸収量が高く、インクの染み出し、印字部の滲みなく、高品質印字が可能であり、印字面の耐水性、耐候性も良好である。
【0049】
これに対して、比較例1のように、粘着剤層が親水性で平滑である場合には、インク吸収量が不足しており、高dpiモードで印字するとインクの染み出しや印字部の滲みが発生する。また、比較例2のように、表層にインク受像層がある場合には、耐水性、耐候性が悪い。
【0050】
【発明の効果】
本発明の粘着性インクジェットプリンタ用メディアは、透明な合成樹脂シートまたはフィルムからなる基材を表層に用い、その裏に水性インク吸収性を有するインク受像層を形成し、さらにその上にインク透過性の粒状アクリル系粘着剤層を形成することにより、該粘着剤層表面から印字したときのインク吸収量を10g/m2以上にすることが可能である。粒状アクリル系粘着剤層表面に直接高品質印字をすることができ、印字面を被着体に貼付して基材側から印字面を見るようにすることで、保護シートをラミネートすることなく、低コストで、耐水性及び耐候性が良好な印刷画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の粘着性インクジェットプリンタ用メディアの一例の層構成を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の粘着性インクジェットプリンタ用メディアの他の一例の層構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1:基材
2:アンカーコート剤の塗布層
3:インク受像層
4:粒状粘着剤層
21:基材
22:アンカーコート剤の塗布層
23:インク受像層
24:粒状粘着剤層
Claims (2)
- 透明な合成樹脂シートまたはフィルムからなる基材上に、吸水性ポリマーの水溶液を塗工して形成された水性インク吸収性を有するインク受像層が設けられ、さらに該インク受像層上には、球状アクリル系重合体の懸濁重合液を塗工して形成された水性インク透過性を有する粒状アクリル系粘着剤層が設けられた層構成を有しており、該粒状アクリル系粘着剤層の表面が水性インクによる印字面となり、かつ、該粒状アクリル系粘着剤層の表面から透過して該インク受像層に吸収される水性インク吸収量が10g/m2以上である粘着性インクジェットプリンタ用メディア。
- 該基材上に、アンカーコート剤の塗布層を介して、該インク受像層が形成されている請求項1記載の粘着性インクジェットプリンタ用メディア。
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