JP4728802B2 - 建築板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、建物の外壁材や屋根材などとして用いられる建築板の製造方法に関するものである。
従来、セメントなどの水硬性材料を含有する無機質基板をオートクレーブ養生することにより建築板を製造することが行われているが、多数枚の無機質基板を積載した際に無機質基板同士が付着する(いわゆるブロッキング)のを防止したり、オートクレーブ養生によりエフロレッセンスが発生するのを防止したりする目的で、オートクレーブ養生前に無機質基板の表面にエフロ・ブロッキング防止塗料を塗布することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
一方、最近では、インクジェット方式の塗装方法(印刷方法)を採用することにより高意匠性の建築板を製造することが提案されているが(例えば、特許文献2参照)、この場合、インクの発色性を高めるなどの目的で無機質基板の表面に受理層を形成することが考えられている。
従って、ブロッキングやエフロレッセンスの発生を防止し、且つインクジェット塗装により塗装して建築板を製造する場合、エフロ・ブロッキング防止塗料の塗膜の表面にさらに受理層を形成する必要があり、製造工程が複雑になるという問題があった。
特開2003−127121号公報 特開平7−62828号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、製造工程が複雑になることなく、ブロッキングやエフロレッセンスの発生を防止しながら、インクジェット塗装により印刷することができる建築板の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の建築板の製造方法は、水硬性材料を含む無機質基板1の表面にエフロ・ブロッキング防止塗料を塗布した後、オートクレーブ養生することにより前記無機質基板1の表面に前記エフロ・ブロッキング防止塗料の塗膜を形成し、この塗膜を受理層2としてその表面にインクジェット塗装するものであって、前記エフロ・ブロッキング防止塗料に平均粒径が1μmと10μmである二種類の目止めフィラーを配合することを特徴とするものである。
本発明にあっては、エフロ・ブロッキング防止塗料をロール塗装すると共に、エフロ・ブロッキング防止塗料の塗布量は5〜50g/m(乾燥状態)とするのが好ましい。
また、本発明にあっては、エフロ・ブロッキング防止塗料をロール塗装後にさらにスプレー塗装するのが好ましい。
また、本発明にあっては、エフロ・ブロッキング防止塗料が水性エマルションタイプであることが好ましい。
また、本発明にあっては、エフロ・ブロッキング防止塗料がアクリル系エマルションまたはアクリルシリコーン系エマルションを主成分とするのが好ましい。
また、本発明にあっては、エフロ・ブロッキング防止塗料にインク定着用無機フィラーを配合することができる。
また、本発明にあっては、エフロ・ブロッキング防止塗料にインク定着用吸湿性樹脂を配合することができる。
また、本発明にあっては、エフロ・ブロッキング防止塗料に着色剤として顔料を配合することができる。
また、本発明にあっては、目止めフィラーの粒度分布が0.1〜100μmであることが好ましい。
本発明では、オートクレーブ養生により無機質基板1の表面に形成されるエフロ・ブロッキング防止塗料の塗膜を受理層2とし、この受理層2の表面にインクジェット塗装するので、エフロ・ブロッキング防止塗料の塗膜と受理層とを別々に形成する必要が無くて層構成を簡略化することができ、従って、製造工程が複雑になることなく、ブロッキングやエフロレッセンスの発生を防止しながら、インクジェット塗装により印刷することができるものである。また、オートクレーブ養生の大きなエネルギーを利用してエフロ・ブロッキング防止塗料を焼付けて成膜することができ、受理層として安定した性状の強固な塗膜を得ることができるものであり、この結果、印刷の安定性や意匠再現性に優れるものである。
さらに、エフロ・ブロッキング防止塗料をロール塗装することにより、ロールによるエフロ・ブロッキング防止塗料の擦り込み効果で強固な塗膜を得ることができるものである。また、エフロ・ブロッキング防止塗料の塗布量は5〜50g/m・dry(乾燥状態)とすることにより、エフロ・ブロッキングを防止しながらインクジェット塗装によるインクの定着性や発色性を高くすることができ、しかも建築板として必要な耐水性などの性能も付与することができるものである。
また、エフロ・ブロッキング防止塗料をロール塗装後にさらにスプレー塗装するので、無機質基板の表面の凹凸が激しくてロール塗装のできない部分は、ロール塗装後にスプレー塗装することができ、二度塗りで制御して塗装ムラの発生を防止することができるものである。
また、水性エマルションタイプのエフロ・ブロッキング防止塗料を用いることによって、溶剤系のものと比較して環境への負荷を低減することができるものである。
また、アクリル系エマルションまたはアクリルシリコーン系エマルションを主成分とするエフロ・ブロッキング防止塗料を用いることによって、比較的安価で耐久性の高い塗膜を形成することができるものである。
また、エフロ・ブロッキング防止塗料にインク定着用無機フィラーを配合することによって、受理層2にインクが吸収しやすくなって、インクの定着性や発色性を確保することができ、滲み等の発生を防止することができるものである。
また、エフロ・ブロッキング防止塗料にインク定着用吸湿性樹脂を配合することによって、受理層2にインクが吸収しやすくなって、インクの定着性や発色性を確保することができ、滲み等の発生を防止することができるものである。
また、エフロ・ブロッキング防止塗料に着色剤として顔料を配合することによって、隠蔽性やデザイン性を向上させることができるものである。
また、エフロ・ブロッキング防止塗料に目止めフィラーを配合することによって、耐透水性を向上させることができるものである。
また、目止めフィラーの粒度分布が0.1〜100μmのものを用いて、最適なPWC(全固形分に占める目止めフィラーの割合であって、「パウダーウェイトコンテント」)や粒度分布にすることによって、目止め効果を向上することができると共に隠蔽性の向上も図ることができるものである。
また、平均粒径が異なる二種類以上の目止めフィラーを配合することによって、目止めフィラーの充填性が向上し、目止め効果を高くすることができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明では、無機質基板1としてセメントなどの水硬性材料を用いたセメント板であれば何でも用いることができるが、以下では、抄造湿潤シート(SDM基材層)10と表層(SDM表層)11とから形成される二層基板を例として説明する。
抄造湿潤シート10はセメントと補強繊維を主成分とするものであり、セメント系の水性スラリーを原料組成物として用いて、長網式、丸網式の各種の抄造法により抄造されたものである。原料組成物としては、水硬性材料のセメント成分が30〜95質量%、シリカ、珪石粉、フライアッシュ等の充填材が2〜60質量%、パルプ等の補強繊維が3〜10質量%を占める固形分からなるものとし、この固形分100質量部に対し、水50〜2000質量部程度の割合としたスラリーを用いることができる。尚、セメント成分は、普通ポルトランドセメントをはじめ、高炉セメント等の、適宜に組成調整されたものを用いることができる。補強繊維のパルプは、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、再生古紙(古紙パルプ)あるいはその混合物等を用いることができる。
抄造湿潤シート10の上の表層11は、セメントと補強繊維を主成分とする乾式または半乾式の表面材を散布することにより形成することができる。この表面材には、前記の抄造湿潤シート10の場合と同様の材料を用いることができ、例えば、セメント成分30〜95質量%、充填材2〜60質量%、補強繊維3〜10質量%からなる固形分に水が配合され、ミキサー混合されたものを用いることができる。充填材としては、パーライト等の軽量骨材を用いてもよい。さらに、表面材の固形成分としては、セメント系外壁材を作製した際に製品外となったシート等を砕いて用いてもよい。表面材にこのような再使用品を用いると、資源の有効利用が図れる。
半乾式の表面材を散布する場合には、抄造湿潤シート10は含水率が50〜200質量%で、半乾式の表面材は含水率が5〜50質量%の範囲のものとして用いることが好適である。また、上記表面材の散布には、各種の手段が採用されてよく、その散布量は、無機質板の厚みや比重、物理的特性と用途等を考慮して決めることができる。
本発明では上記無機質基板1をオートクレーブ(高圧蒸気)養生により硬化させるが、この前に無機質基板1の表面にエフロ・ブロッキング防止塗料を塗布する。これにより、多数枚の無機質基板1を積載しても付着するのを防止したり、オートクレーブ養生によりエフロレッセンスが発生するのを防止したりすることができる。また、本発明では、オートクレーブ養生後に無機質基板1の表面に形成されるエフロ・ブロッキング防止塗料の塗膜を受理層2として用いるものであり、これにより、エフロ・ブロッキング防止塗料の塗膜と受理層2とを別々に形成する必要が無くて層構成を簡略化することができる。
エフロ・ブロッキング防止塗料は水性エマルションタイプにすることができ、塗料のバインダーとして用いるアクリルやアクリルシリコーンなどの疎水性樹脂を水性化するために、これらの樹脂をエマルション形にして配合した塗料を用いることができる。
また、本発明ではエフロ・ブロッキング防止塗料にインク定着用無機フィラーを配合するのが好ましく、これにより、硬化後のエフロ・ブロッキング防止塗料の塗膜である受理層2にインクが吸収しやすくなる。このインク定着用無機フィラーとしては多孔質の無機フィラーを用いることができ、例えば、多孔質シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウムなどを挙げることができる。本発明では、インク定着用無機フィラーの配合量は、エフロ・ブロッキング防止塗料の固形分の全量に対して2〜50質量%とするのが好ましい。
また、本発明ではエフロ・ブロッキング防止塗料にインク定着用吸湿性樹脂を配合するのが好ましく、これにより、硬化後のエフロ・ブロッキング防止塗料の塗膜である受理層2にインクが吸収しやすくなる。このインク定着用吸湿性樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、ウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)などを挙げることができる。本発明では、インク定着用吸湿性樹脂の配合量は、エフロ・ブロッキング防止塗料の固形分の全量に対して5〜50質量%とするのが好ましい。
さらに、本発明ではエフロ・ブロッキング防止塗料に顔料を配合するのが好ましく、これにより、硬化後のエフロ・ブロッキング防止塗料の塗膜である受理層2における隠蔽性やデザイン性を向上させることができるものである。この顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラックなどを挙げることができる。本発明では、顔料の配合量は、エフロ・ブロッキング防止塗料の固形分の全量に対して0.5〜50質量%とするのが好ましい。
また、本発明ではエフロ・ブロッキング防止塗料に目止めフィラーを配合するのが好ましく、これにより、硬化後のエフロ・ブロッキング防止塗料の塗膜である受理層2の耐透水性を向上させることができ、水が無機質基板1を通過しにくくなって防水性を高めることができるものである。この目止めフィラーとしては、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、クレーなどを挙げることができる。目止めフィラーの粒度分布は0.1〜100μmであることが好ましく、これにより、目止め効果を向上することができると共に隠蔽性の向上も図ることができるものである。従って、目止めフィラーの粒度分布が上記の範囲から逸脱すると、受理層2の目止め効果や隠蔽性が低くなる恐れがある。ここで、目止めフィラーとしては、平均粒径が異なる二種類以上のものを併用して配合するのが好ましい。例えば、平均粒径が0.1μmの目止めフィラーと平均粒径が10μmの目止めフィラーとを併用することができる。本発明では、顔料の配合量は、エフロ・ブロッキング防止塗料の固形分の全量に対して5〜90質量%とするのが好ましい。尚、本発明において平均粒径とは体積基準のメディアン径であり、例えば、島津製作所製の「SALD−2100」で測定することができる。
本発明では、無機質基板1の表面にエフロ・ブロッキング防止塗料を塗装するにあたって、ロール塗装を採用することができる。また、無機質基板1の表面の凹凸差が大きくて、ロール塗装だけでは無機質基板1の表面にエフロ・ブロッキング防止塗料を均一に塗装することができない場合は、ロール塗装の後にスプレー塗装を施すのが好ましい。無機質基板1の表面に対するエフロ・ブロッキング防止塗料の塗布量は、エフロ・ブロッキング防止塗料を乾燥状態に換算した場合に5〜50g/mとなるようにするのが好ましい。エフロ・ブロッキング防止塗料の塗布量が5g/m未満であると、成膜むらが生じてエフロレッセンスが防止できない恐れがあり、エフロ・ブロッキング防止塗料の塗布量が50g/mを超えると、フィラー効果(特にブロッキング効果)が低下したりコストアップになったりする恐れがある。尚、無機質基板1の表面にエフロ・ブロッキング防止塗料を塗装する前に、無機質基板1に前養生(湿空中で加熱する作業であって、例えば、80℃で12時間)を行うのが好ましい。
本発明では、上記のようにして無機質基板1の表面にエフロ・ブロッキング防止塗料を塗装した後、オートクレーブ養生を行う。オートクレーブ養生の条件は、例えば、170℃で12時間とすることができるが、これに限定されるものではない。そして、このオートクレーブ養生により、未硬化の無機質基板1を硬化すると共にエフロ・ブロッキング防止塗料も硬化し、硬化した無機質基板1の表面にエフロ・ブロッキング防止塗料の硬化した塗膜である受理層2が形成されるものである。
本発明では、上記のようにして、無機質基板1の表面に受理層2を形成した後、受理層2の表面にインクジェット塗装により模様や絵柄を印刷により形成する。図2に示すように、このインクジェット装置は、噴射ノズル7を設けた塗装ノズルヘッド8、塗装ノズルヘッド8の噴射ノズル7にインクを供給する塗料供給タンク9、塗装ノズルヘッド8の噴射ノズル7からのインクの噴射を制御する塗装制御システム10などを設けたインクジェット式塗装機11と、無機質基板1を搬送する搬送コンベア12とを備えて形成されるものである。
塗装ノズルヘッド8は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のインクを噴出する4種類の塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kから形成してあり、フルカラー印刷による塗装を行うことができるようにしてある。塗料供給タンク9も同様に4種類のものからなるものであり、イエローのインクを供給する塗料供給タンク9yは塗装ノズルヘッド8yに、シアンのインクを供給する塗料供給タンク9cは塗装ノズルヘッド8cに、マゼンタのインクを供給する塗料供給タンク9mは塗装ノズルヘッド8mに、ブラックのインクを供給する塗料供給タンク9kは塗装ノズルヘッド8kに、それぞれ接続してある。また、各塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kは無機質基板1の搬送方向に沿って配列してある。
塗装制御システム10は、各種のCPU、ROM、RAM等から構成されるものであり、塗装データ作成部、塗装制御部、噴射ノズル制御部等を備えて形成してある。塗装データ作成部は、原画をスキャナ等して得た色柄パターンのデータを入力して保存するものであり、塗装制御部は、塗装を行う無機質基板1に応じた色柄パターンのデータを塗装データ作成部から取り出し、この色柄のパターンのデータに基づいて、噴射ノズル制御部に制御信号を出力するものである。また、噴射ノズル制御部は、塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kの各噴射ノズル7に接続してあり、噴射ノズル制御部から入力される制御信号に基づいて各噴射ノズル7を制御するものである。各噴射ノズル7は例えばピエゾ制御方式や光熱交換素子にレーザー光を照射して制御する方式により噴射を行ったり噴射を停止したりするようになっており、噴射ノズル制御部で各噴射ノズル7を制御することによって、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各インクの噴射と停止を個別に制御して、色柄パターンに対応したフルカラー印刷による塗装を行うことができるものである。
搬送コンベア12は、インクジェット式塗装機11の下側に配置されるものであり、ベルトコンベアで形成することができる。
そして、上記のように形成されるインクジェット装置でインクジェット印刷するにあたっては、まず、受理層2を形成した無機質基板1を搬送コンベア12上に導入する。導入された無機質基板1はそのまま送られてインクジェット式塗装機11の塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kの下を順に通過する。このように、無機質基板1を搬送コンベア12で送りながら、塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kからインクを噴射させて塗着させることによって、受理層2の表面にインクジェット層42を形成し、このインクジェット層42により模様や絵柄等を形成することができるものである。このように塗装された無機質基板1はさらに送られ、次工程に搬出されるものである。
上記のようにしてインクジェット層42を形成した後、インクジェット層42の表面に無機質塗料層43を形成する。無機質塗料層43は耐候性のために形成されるものである。この無機質塗料層43はSiO骨格で構成された塗膜で、紫外線吸収剤及び場合によっては、艶消し剤が配合された塗料を用い、これをスプレー塗装などでインクジェット層42の表面に塗布した後、100〜200℃で1〜5分間乾燥することにより形成することができる。また、無機質塗料層43の単位面積当たりの付着量は、特に制限はないが、4〜40g/m・dryの範囲とするのが好ましい。
上記のようにして無機質塗料層43を形成した後、無機質塗料層43の表面に光触媒層(光セラ層)44を形成する。光触媒層44は防汚性のために形成されるものであって、光が照射されることより光触媒層44の表面に付着した汚れを触媒作用により分解するものである。この光触媒層44はSiO骨格で構成された塗膜で、光触媒及び場合によっては、艶消し剤が配合された塗料を用い、これをスプレー塗装などで無機質塗料層43の表面に塗布した後、100〜200℃で1〜5分間乾燥することにより形成することができる。また、光触媒層43の単位面積当たりの付着量は、特に制限はないが、0.5〜5g/m・dryの範囲とするのが好ましい。
このようにして、無機質基板1の表面に受理層2、インクジェット層42、無機質塗料層43、光触媒層44が積層された建築板を形成することができる。
以下本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
まず、抄造湿潤シート10を形成した。抄造湿潤シート10は、セメント50質量部と、充填材である珪石粉45質量部と、補強繊維であるパルプ5質量部とを混合して固形分を調製し、この固形分100質量部に対して水を900質量部配合してスラリーを調製し、このスラリーを抄造することによって、厚み20mmで含水率が100質量%に形成した。
次に、抄造湿潤シート10の表面に表層11を形成して無機質基板1とした。表層11は、セメント50質量部と、充填材である珪石粉45質量部と、補強繊維であるパルプ5質量部とを混合して固形分を調製し、この固形分100質量部に対して水を25質量部配合して表層材を調製し、この表層材を抄造湿潤シート10の表面に散布した。
そして、表層材の散布後に、10MPaで脱水プレスすることによって厚み15mmの無機質基板1を形成した。
次に、湿空中で80℃で24時間の前養生を行った後、表層11の表面にエフロ・ブロッキング防止塗料を塗布した。このエフロ・ブロッキング防止塗料はアクリル系エマルション(AcEm系)を主成分とする水性エマルションタイプのクリアーの塗料である。また、エフロ・ブロッキング防止塗料の組成は、アクリル系エマルション100質量部、インク定着用無機フィラーとして多孔質シリカを10質量部、インク定着用吸湿性樹脂として酢酸ビニル樹脂を20質量部、目止めフィラーとして炭酸カルシウムを20質量部、着色剤である顔料としてカーボンブラックを1質量部それぞれ含有するものである。ここで、目止めフィラーは粒度分布が1〜10μmであり、平均粒径が1μmと10μmである2種類の目止めフィラーを併用した。この時、各種の目止めフィラーの割合は質量比で1:1とした。また、エフロ・ブロッキング防止塗料はロール塗装した後にスプレー塗装するものであり、その塗布量は乾燥状態換算(固形分換算)で30g/m・dryとした。
次に、エフロ・ブロッキング防止塗料を塗装した無機質基板1をオートクレーブ養生した。オートクレーブ養生の条件は、温度が170℃、時間が12時間とした。このオートクレーブ養生により無機質基板1及びエフロ・ブロッキング防止塗料を硬化させることによって、硬化した無機質基板1の表面に受理層2を形成した。
次に、受理層2の表面にインクジェット装置(株式会社マスターマインド製の「MMP13000」)によるインクジェット塗装を行ってインクジェット層42を形成した。この時、インクとしてはセイコーエプソン株式会社製の水性顔料系のものを用い、イエローのインクとしては品番「ICY25」を、シアンのインクとしては品番「ICC25」を、マゼンタのインクとしては品番「ICM25」を、ブラックのインクとしては品番「ICMB25」をそれぞれ用いた。
次に、インクジェット層42の表面に無機質塗料層43を形成した。無機質塗料層43を形成する塗料としては特許第3242442号公報に記載された実施例1のコーチング組成物を用いた。すなわち、以下のようにして、A成分、B成分を調製し、A成分とB成分とC成分(N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)とを重量比でA:B:C=70:30:1の割合で配合することにより、無機質塗料層43を形成する塗料とした。
(A成分の調製)
攪拌機、加温ジャケット、コンデンサーおよび温度計を取付けたフラスコ中にメタノール分散コロイダルシリカゾルMA−ST(粒子径10〜20mμ、固形分30%、日産化学工業社製)100部、メチルトリメトキシシラン68部、水10.8部を投入して攪拌しながら65℃の温度で約5時間かけて部分加水分解反応を行い冷却して(A)成分を得た。このものは、室温で48時間放置したときの固形分が36%であった。ここで得た(A)成分の調製条件は次のとおりであった。
・加水分解性基1モルに対する水のモル数:4×10-1
・(A)成分のシリカ分含有量:47.3%
・n=1の加水分解性オルガノシランのモル%:100モル%
(B成分の調製)
攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を取付けたフラスコにメチルトリイソプロポキシシラン209部(0.95モル)とフェニルトリクロロシラン10.575部(0.05モル)とトルエン150部との混合液を計り取り、水150部を上記混合液に20分で滴下してメチルトリイソプロポキシシランを加水分解した。滴下40分後に攪拌を止め、二層に分離した少量の塩酸を含んだ下層の水・イソプロピルアルコールの混合液を分液し、次に残ったトルエンの樹脂溶液の塩酸を水洗で除去し、さらにトルエンを減圧除去した後、トルエンで希釈し平均分子量約2000のシラノール基含有オルガノポリシロキサンのトルエン40%溶液を得た。これをB成分とした。
次に、無機質塗料層43の表面に光触媒層44を形成した。光触媒層44を形成する塗料としては松下電工株式会社製の品番「PS1000」を用い、これを塗布した後、150℃で1分間乾燥することにより、0.7g/mの光触媒層44を形成した。
このようにして実施例1の建築板を形成した。
(実施例2)
エフロ・ブロッキング防止塗料にインク定着用吸湿性樹脂を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして建築板を形成した。
参考例)
エフロ・ブロッキング防止塗料にインク定着用吸湿性樹脂と目止めフィラーとを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして建築板を形成した。
(実施例4)
エフロ・ブロッキング防止塗料にインク定着用無機フィラーを配合しなかった以外は、実施例1と同様にして建築板を形成した。
(実施例5)
エフロ・ブロッキング防止塗料に、アクリルの代わりにアクリルシリコーン系(AcSiEm系)を配合した以外は実施例1と同様にして建築板を形成した。
(比較例1)
エフロ・ブロッキング防止塗料をオートクレーブ養生後の無機質基板1の表面に塗布して受理層2を形成した以外は、実施例1と同様にして建築板を形成した。
(比較例2)
エフロ・ブロッキング防止塗料にインク定着用無機フィラーとインク定着用吸湿性樹脂とを配合せずにエフロ・ブロッキング防止塗料の塗膜を受理層として形成しなかった以外は、実施例1と同様にして建築板を形成した。
上記の実施例、参考例及び比較例について、以下の試験を行った。
(1)エフロレッセンスの発生の有無
オートクレーブ後の無機質基板1の外観を評価した。そして、エフロレッセンスの発生部分の占める割合が無機質基板1の表面積の0%であれば◎を、5%以下であれば○を、5%より大きく10%未満であれば△を、10%以上であれば×をそれぞれ付した。
(2)ブロッキングの発生の有無
オートクレーブ後の無機質基板1の外観を評価した。そして、ブロッキングの発生箇所が1個以下であれば○を、2〜4個であれば△を、5個以上であれば×をそれぞれ付した。
(3)インク定着性の評価
建築板の表面を目視観察(顕微鏡による20倍観察を含む)を行って評価した。そして、特に良好なものに◎を、良好のものに○を、不良のものに×をそれぞれ付した。
(4)インク発色性の評価
建築板の表面を目視観察(顕微鏡による20倍観察を含む)を行って評価した。そして、特に良好なものに◎を、良好のものに○を、不良のものに×をそれぞれ付した。
(5)透水性の評価
枠置き式の透水性試験(20cm角の囲いを取り付け、水を2cmの高さまで入れた状態で24時間放置し、水を除いたときの重量増加分を評価)を行った。そして、重量増加分が1000g/m以上を×、1000g/m未満500g/mより大きい場合を△、500g/m以下100g/mより大きい場合を○、100g/m以下を◎とした。
結果を表1に示す。
Figure 0004728802
本発明で製造される建築板の一例を示す断面図である。 本発明で使用するインクジェットプリンタの一例を示す概略の側面図である。
符号の説明
1 無機質基板
2 受理層

Claims (9)

  1. 水硬性材料を含む無機質基板の表面にエフロ・ブロッキング防止塗料を塗布した後、オートクレーブ養生することにより前記無機質基板の表面に前記エフロ・ブロッキング防止塗料の塗膜を形成し、この塗膜を受理層としてその表面にインクジェット塗装する建築板の製造方法であって、前記エフロ・ブロッキング防止塗料に平均粒径が1μmと10μmである二種類の目止めフィラーを配合することを特徴とする建築板の製造方法
  2. 前記エフロ・ブロッキング防止塗料をロール塗装すると共に、前記エフロ・ブロッキング防止塗料の塗布量は5〜50g/m(乾燥状態)とすることを特徴とする請求項1に記載の建築板の製造方法。
  3. 前記エフロ・ブロッキング防止塗料をロール塗装後にさらにスプレー塗装することを特徴とする請求項2に記載の建築板の製造方法。
  4. 前記エフロ・ブロッキング防止塗料が水性エマルションタイプであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の建築板の製造方法。
  5. 前記エフロ・ブロッキング防止塗料がアクリル系エマルションまたはアクリルシリコーン系エマルションを主成分とすることを特徴とする請求項4に記載の建築板の製造方法。
  6. 前記エフロ・ブロッキング防止塗料にインク定着用無機フィラーを配合することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の建築板の製造方法。
  7. 前記エフロ・ブロッキング防止塗料にインク定着用吸湿性樹脂を配合することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の建築板の製造方法。
  8. 前記エフロ・ブロッキング防止塗料に着色剤として顔料を配合することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の建築板の製造方法。
  9. 前記目止めフィラーの粒度分布が0.1〜100μmであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の建築板の製造方法。
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