JP2007152162A - 建築板の製造方法及び建築板 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面に浅い凹溝が形成されると共にインクジェット塗装が施された建築板を容易に製造することができる建築板の製造方法を提供する。
【解決手段】セメント系無機質板からなる下地材2にインク受理層形成用の組成物を塗布して軟質膜3を形成する。複数の凸部5が設けられた治具4の前記凸部5を軟質膜3に押圧させる。この軟質膜3を硬化させることで表面に複数の凹部6を有するインク受理層7を形成する。このインク受理層7の表面にインクジェット塗装を施す。これにより、凹部を下地材2自体に形成することなくインク受理層7に形成することができて、下地材2に直接凹部を形成する場合のように凹部6がインク受理層7によって埋められて消失したり不鮮明になったりするようなことがなくなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット塗装が施された建築板の製造方法及び建築板に関するものである。
外壁材、屋根材、塀材などの建築用外装材には、セメント系の建築板が広く用いられている。このような建築板は、建物の外観の形成を担うため、各種の意匠を実現する表面化粧について技術的な検討が加えられている。たとえばセメント系成形材料を抄造したり押出成形したりして得られる湿潤シートに凹凸プレス加工を施した後に養生硬化させたり、或いはセメント系成形材料を注型成形した後に同様の養生硬化するなどし、このようにして作製される無機質系の下地材の凹凸模様表面を塗装することが一般的に行われている。
塗装の一方式として、最近、コンベア上で搬送される下地材の表面に向けて、この下地材2の搬送速度と同期させてインクジェットノズルヘッドより塗料を噴射するインクジェット塗装が考えられている。このようなインクジェット塗装は、これまで一般的に用いられてきた塗装ロール等に比べ、局所的なしかも位置制御された塗装が可能である。したがって、濃淡表現などにより自然な風合いの高意匠塗装された建築板が製造可能であるという利点がある(特許文献1参照)。
ここで、セメント系の湿潤シート等の成形体を養生硬化させて下地材を得る際には、エフロレッセンスの発生を防止する等の目的のために、養生硬化に先立って成形体の表面にシーラー8を設けて目止めすることが行われている。このようなシーラー8が設けられた下地材2にインクジェット塗装を施す場合には、下地材の表面にインクが定着しにくく、鮮明な意匠模様を付与することが困難であるため、インクジェット塗装を施す前に下地材の表面にインクの定着性の高いインク受理層を形成する必要がある。
特開2004−17007号公報
近年、建築板1に求められている意匠性は多岐に渡るようになっており、この建築板に凹凸模様を付する場合には深い凹凸模様を形成することで意匠性を向上するだけでなく、浅い凹溝を形成して微細な意匠性を発揮させることも要望されるようになっている。そして、このような浅い凹溝が形成された無機質板にインクジェット塗装を施すことで、凹溝により発揮される意匠性とインクジェット塗装により発揮される意匠性とが相まって更に高い意匠性が発揮されることが期待できる。
しかし、従来の手法をそのまま適用して、下地材の形成の際に凹凸プレス加工や注型成形等により予め下地材に浅い凹溝を形成した後に、インク受理層の形成とインクジェット塗装を施そうとすると、下地材の表面の凹溝が浅いことから、この凹溝がインク受理層によって埋まってしまい、インク受理層の表面では凹溝が消失したり不鮮明になったりする問題がある。
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、表面に浅い凹溝が形成されると共にインクジェット塗装が施された建築板を容易に製造することができる建築板の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る建築板の製造方法は、セメント系無機質板からなる下地材2にインク受理層形成用の組成物を塗布して軟質膜3を形成し、複数の凸部5が設けられた治具4の前記凸部5を軟質膜3に擦過させた後、この軟質膜3を硬化させることで表面に複数の凹部6を有するインク受理層7を形成し、このインク受理層7の表面にインクジェット塗装を施すことを特徴とするものである。これにより、凹部を下地材2自体に形成することなくインク受理層7に形成することができて、下地材2に直接凹部を形成する場合のように凹部がインク受理層7によって埋められて消失したり不鮮明になったりするようなことがなくなる。
上記インク受理層形成用の組成物としては、チクソトロピーインデックスが4〜8の範囲のものを用いることが好ましい。この場合、下地材2上の軟質膜3に治具4を擦過させた場合にこの軟質膜3に形成される凹部6の形状を十分に保持することができて、明確な形状を有する凹部6をインク受理層7に形成することができ、建築板1の意匠性を更に向上することができる。
また、本発明に係る建築板は、セメント系無機質板からなる下地材2に、表面に複数の凹部6を有するインク受理層7を形成し、このインク受理層7にインクジェット塗装を施して成ることを特徴とするものである。
本発明によれば、建築板に形成される凹部の深さが浅い場合であっても、インクジェット塗装に先立ってこの凹部が不鮮明になったり消失したりすることを防ぐことができ、この凹部により発揮される意匠性と、インクジェット塗装により発揮される意匠性とが相まって、非常に高い意匠性を有する建築板を容易に得ることができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
建築板1の下地材2となる無機質板の作製には、セメントと補強繊維を主成分とするセメント系成形材料を成形した湿潤シート(グリーンシート)を用いることができる。この湿潤シートは、セメント系の水性スラリーをセメント系成形材料として用いて、長網式、丸網式の各種の抄造法により抄造したり、押出成形したりするなどして得られるものである。セメント系成形材料としては、例えば水硬性のセメント成分が30〜95質量%、シリカ、珪石粉、フライアッシュ等の充填材が2〜60質量%、パルプ等の補強繊維が3〜10質量%を占める固形分からなるものとし、この固形分100質量部に対し、水40〜100質量部程度の割合としたスラリーを用いることができる。なお、セメント成分は、普通ポルトランドセメントをはじめ、高炉セメント等の、適宜に組成調整されたものを用いることができる。補強繊維のパルプは、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、あるいはその混合物等を用いることができる。この湿潤シートを養生硬化することにより、下地材2を得ることができる。
上記下地材2の養生硬化は適宜の手法で行うことができるが、オートクレーブ養生をすることが望ましく、その際の温度としては140℃以上とすることが好適である。また、実際的には、養生は、オートクレーブ養生と、これに先行しての促進前養生、つまり加温のために水蒸気が投入される前養生との二段階での養生であることが望ましい。これによって、下地材2の強度が向上し、組織と性能の均一化が図られることになる。
この養生時には、養生前の湿潤シートの表面にシーラー8を塗布することが好ましい。このシーラー8を塗布することにより、養生時にエフロレッセンスが発生することを防止することができ、更にシーラー8の塗膜が耐透水性を発揮することで、建築板1の耐透水性を向上することができる。シーラー8は特に制限されず、例えばアクリルエマルション塗料を用いることができるが、ウレタン系、シリコン系、フッ素系等の水性エマルション塗料を用いることもできる。シーラー8の塗布量は適宜設定される。
このようなシーラー8の塗装は、養生前に行うものであるが、上記のように促進前養生を行う場合には促進前養生後にシーラー8を塗布し、次いでオートクレーブ養生を行うことが好ましく、これにより建築板1の耐凍害性や寸法安定性を向上することができる。
このような養生硬化により得られた下地材2には、必要に応じて乾燥処理や切削加工が施される。
このような下地材2は適宜の形状とすることができるが、下記の凹部6の形成を容易に行うためには、図1(a)に示すように表面が平坦な平板状のものを形成することが好ましい。
このようにして得られた下地材2の表面にインク受理層7(インク受容層)を形成する。インク受理層7はインクジェット塗装時に塗布されるインクを滲みなく定着させる機能を有し、インクを吸収する性質を有するもの、例えば吸水性を有する多孔質の層を形成するものである。
インク受理層7を形成するための組成物としては適宜の組成物を用いることができ、例えばシリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、多孔質シリカ、珪藻土等の体質顔料や、酸化チタン、ベンガラ、複合金属酸化物等の無機顔料、カーボンブラック、キナクリドン、ナフトールレッド、シアニンブルー、シアニングリーン、ハンザイエロー、群青等の有機顔料などから選ばれる一種以上の着色顔料や、ウレタン系ポリマーやアクリル系ポリマー等のインク吸収性ポリマーをPVA(ポバール)、PVP(ポリビニルピロリドン)、EVOH(エチレンビニルアルコール)、PEO(ポリエチレンオキサイド)、CMC(カルボキシメチルセルロース)等のバインダーに混合分散させたものを用いることができ、またこれにポリアミド尿素樹脂、メラミン樹脂、グリオキザール等の耐水化剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤等の耐光性向上剤等を適宜添加してもよい。
また、水系の組成物として、アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコールと炭酸ジルコニルアンモニウムとを含有する水溶液を用いることもできる。
アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールにジケテンを反応させたり、ポリビニルアルコールとアセト酢酸エステルを反応させてエステル交換したりして、ポリビニルアルコールにアセト酢酸エステル基を導入させたもので、かかるポリビニルアルコールとしては、一般的にはポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液をアルカリや酸などのケン化触媒によってケン化したケン化物又はその誘導体が用いられ、更には酢酸ビニルと共重合性を有するエチレン等の単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物等を用いることもできる。
このとき組成物中のアセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコールの含有量は0.1〜30重量%、さらには0.3〜25重量%、特には0.5〜20重量%、殊に1〜15重量%とすることが好ましく、またアセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール/炭酸ジルコニウムアンモニウムの割合は、100/0.1〜100/30(さらには100/0.3〜100/25、特に100/0.5〜100/20)(重量比)であることが好ましい。
また、この組成物には塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸や酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、マロン酸などの有機酸を加えることによりpHを4.0(20℃)未満に調整することが好ましい。また、他の水溶性高分子(ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、上記以外のポリビニルアルコール等)、可塑剤(グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類等)、防錆剤、着色剤、フィラー(合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ等)、界面活性剤(シリコン系、フッ素系、ポリエチレングリコール系等)、防腐剤、防虫剤、増粘剤などの公知の添加剤を添加することも可能である。
このような水系の組成物を用いると、特にインクジェット塗装において水性インクを用いる場合の塗装模様の発色性が高くなる。
上記のようなインク受理層7を形成するための組成物としては、特にチクソトロピーインデックス(TI値)が4〜8の範囲のものを用いることが好ましい。このTI値の調整は、インク受理層7を形成するための組成物の組成を調整することで適宜為し得るが、特にインク受理層7を形成するための組成物のPWCを変更することでTI値を容易に調整することができる。ここで、PWCは、前記組成物中の体質顔料と着色顔料とを含めた顔料成分の含有量をA(重量部)、樹脂成分の含有量をB(重量部)とした場合に、{A/(A+B)}×100(%)の式で定義される値であり、このPWCを増大させることでTI値を増大させることができ、またPWCを減少させることでTI値を減少させることができる。
上記のようなTI値を有する組成物にてインク受理層7を形成するようにすると、治具4により軟質膜3に凹凸模様を容易に形成することができると共にこの凹凸模様の形状が崩れることなく保持され、明確な形状の凹凸模様を形成することができる。ここで、TI値は大きいほど明確な凹凸模様を形成しやすくなるが、TI値を大きくするために上記PWCを大きくしすぎると、インクジェット塗装時にインク受理層7におけるインクの吸収性が大きくなりすぎて発色性が低下するおそれがあり、また、TI値が低すぎると凹凸模様の成形性が低下するおそれがある。
上記のようなインク受理層7を形成するための組成物を、シーラー8が設けられた下地材2の表面に塗布することで、図1(b)に示すように軟質な塗膜(軟質膜3)を形成する。組成物の塗布にあたっては適宜の手法を採ることができ、例えばスプレーコート、カーテンコート、浸漬、ワイヤーバーコート、アプリケーターコート、スピンコート、ロールコート、電着コート、刷毛塗り等の方法を採ることができる。
このように下地材2に形成される組成物の軟質膜3の厚みは、形成されるインク受理層7にインクの定着性能を十分に発揮させると共に、この下記の治具4にて明確な凹部6を形成することができるように適宜の厚みに調整されるが、例えばこの軟質膜3を硬化成膜して得られるインク受理層7の厚みが30〜300μmの範囲となるようにすることが好ましい。
このようにインク受理層形成用の組成物を塗布した後、形成された軟質膜3に治具4を押圧させて、軟質膜3の表面に複数の凹部6を形成する。
上記治具4としては、図1(c)及び図2(a)に示すように、複数の凸部5が間隔をあけて一列に配列して設けられたものを用いることができる。上記凸部5の突出寸法や幅等の寸法や、隣接する凸部5間の間隔等は、建築板1に形成される所望の凹凸模様に応じて適宜設定されるが、例えば凸部5の突出寸法が0.2〜2mm、幅寸法が0.2〜2mm、間隔が0.2〜2mmの範囲となるように形成し、これにより図2(a)に示す隣接する凸部5間に形成される凹部15の幅Xが0.2〜2mm、凹部15の深さYが0.2〜2mm、隣り合う凹部の中心間の寸法λが0.4〜4mmとなるようにすることが好ましい。
このような治具4(櫛引治具)を用いる場合には、軟質膜3に治具4を擦過させて、組成物の表面に複数条の溝条の凹部6を形成することができる。このような治具4で下地材2上の軟質膜3を擦過するにあたっては、治具4の各凸部5を組成物の表面に押しつけて複数の凸部5が同時に軟質膜3中に押し入れられるようにし、この状態で図3に示すように治具4を軟質膜3の表面に沿って移動させることで擦過(櫛引き)するものである。このとき軟質膜3の表面には、治具4が擦過した領域における凸部5が通過した箇所に凹部6が形成されることとなり、図1(d)及び図2(b)に示すように、凹部6の間では治具4の凸部5にて押しのけられた組成物が盛り上がって凸条16が形成される。これにより、軟質膜3の表面に複数の凹部6が同時に形成されることとなる。
また、上記のように軟質膜3に凹凸を形成する場合、上記のような治具4(櫛引治具)において、凸部5を治具4の移動方向と直交する方向にスライド移動自在に形成し、軟質膜3に治具4を擦過しながら凸部5をスライド移動すると、曲線状にうねりを生じた溝状の凹部6を形成することができる。また治具4を移動させながらこの治具4を軟質膜3に対して近接離間させると、軟質膜3に凹部6が形成される領域と、凹部6が形成されない領域とを設けることができる。
また、治具4としては、上記のような形状のもののほか、軟質膜3に押圧される凸部5を有する適宜の形状のものを用いることができる。例えば、治具4をロール状に形成し、その周面に複数の凸部5を突設したものを挙げることができる。この場合、治具4の周面を軟質膜3上に接触させてその周面の凸部5を軟質膜3に押圧させ、この状態で治具4を回転させながら軟質膜3に対して移動させると、治具4の周面の凸部5が順次軟質膜3に押圧されて凹部6が形成される。このとき治具4に設ける凸部5としては、治具4の周面全周に亘るリブ状の凸部5を設けたり、或いは適宜の形状の凸部5を治具4の周面に部分的に設けたりして、軟質膜3に適宜の形状の凹部6を形成することができる。
次に、軟質膜3を必要に応じて加熱乾燥して水や溶剤を揮発させ、更に必要に応じて軟質膜3中の樹脂成分を加熱反応させることにより硬化成膜し、インク受理層7を形成する。このとき、インク受理層形成用の組成物として水系の組成物を用い、インクジェット塗装において水性インクを用いる場合には、インク受理層7中に揮発分が4〜20重量%の範囲で残存していることが好ましく、揮発分の含有量が4重量%に満たないとインク受理層7が水性インクをはじいて吸収性が悪くなり、またこの含有量が20重量%を超えるとインク受理層7で水性インクが滲みやすくなり、いずれの場合も発色性が悪くなるおそれがある。ここで、前記の揮発分とは水のことであり、また、インク受理層7中に水に可溶な小量の溶剤が含まれている場合にはこの溶剤と水とを含めたものである。
このようにして得られたインク受理層7には軟質膜3における凹部6の形状が保持され、複数の凹部6を有するインク受理層7が形成される。
このように形成されるインク受理層7の凹凸形状は、理想的には治具4の凹凸形状と合致する形状となるが、凹凸形状の深さはインク受理層7の厚みにも依存し、また櫛引き後に生じる軟質膜3の凹凸形状のへたりや、軟質膜3の硬化成形時に生じる硬化収縮等により、凹凸形状に収縮が生じる。すなわち図2(b)には、インク受理層7の表面の凸条16にへたりと収縮が生じて山形に形成された様子が示されており、またこのとき凸条16の幅X’、高さY’及び凸条16の頂部間の間隔λ’は、治具4における凹部15の幅X、凹部15の深さY、及び隣り合う凹部15の中心間の寸法λよりも、それぞれ小さくなる。
インク受理層7の形成後、このインク受理層7の表面にインクジェット塗装を施す。
インクジェット塗装に用いるインクとしては適宜のものを用いることができ、例えば水性インクを用いることができる。特にインク受理層7を水系の組成物にて形成する場合に水性インクにてインクジェット塗装を施すようにすれば、既述のように得られる意匠模様の発色性が高くなる。
水性インクとしては、従来から知られている着色顔料を分散剤で分散した顔料インクも使用可能であるが、インクジェット塗装では顔料濃度を高めることが困難で、かつバインダー樹脂量も少ないことから印刷物の色合いが暗くなりやすく、内装装飾材としての品位が著しく減少しやすい。このような観点からは、少なくとも一部が塩基で中和された酸基を有する皮膜形成性樹脂によって着色顔料粒子が被覆された着色樹脂粒子水性分散体からなる水性顔料タイプのインクが、優れた耐候性と共に色再現範囲が広く、高い印刷品位を得ることが可能なことから好適である。
前記の酸基を有する皮膜形成性樹脂は、公知の酸基を有するものであれば特に種類の制限はないが、好ましくは酸価が50〜280のカルボキシル基を有する樹脂が好ましい。またその少なくとも一部が塩基で中和されてなる自己水分散性樹脂の場合は、特に優れたジェットインクとしての安定性を示す。
このような樹脂としては、例えばアクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂等があるが、特に好ましくは、スチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂である。なお、(メタ)アクリルとは、アクリルとメタクリルとの両方を包含する。
スチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂とは、スチレン系モノマーを必須成分として、(メタ)アクリル酸系モノマー、例えば(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステル、を共重合させた樹脂である。
当該樹脂としては、例えばスチレンあるいはα−メチルスチレンのような置換スチレンと、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸ブチルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等のアクリル酸エステルと、メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸ブチルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステルとから選ばれる少なくとも一つ以上のモノマー単位と、アクリル酸、メタクリル酸から選ばれる少なくとも一つ以上のモノマー単位とを含む共重合体である。これらの共重合体は、少なくともその一部が共有結合性の架橋や多価金属によるイオン架橋されていても良い。
前記樹脂を用いて自己水分散性樹脂として用いる場合には、そのカルボキシル基の少なくとも一部を塩基で中和すればよい。塩基、即ちアルカリ性中和剤による中和は、得られる自己水分散性樹脂が水に溶解しない程度に中和すればよい。塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエチルアミン、モルホリン等の塩基性物質の他、特にトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルコールアミンとりわけトリエタノールアミンがジェットインクとして好ましい。
最終的に塩基の存在下のインクのpHとして、7〜10、好ましくは8〜9の範囲にある場合には顔料を包含している樹脂のインク中への溶解も少なく、ノズル目詰まりを防止すると共に鮮やかな発色を得ることができ、鮮明な絵柄模様が得られる。
上述した水性インクに用いる着色顔料は特に限定されるものはなく、例えばカーボンブラック、チタンブラック、チタンホワイト、硫化亜鉛、ベンガラ等の無機顔料や、フタロシアニン顔料、モノアゾ系、ジスアゾ系等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料がある。かかる着色顔料の使用量(含有量)は、特に規定されないが、最終的に得られるインク中で0.5〜10重量%となるような量が好ましい。
前記の樹脂によって着色顔料が包含された着色樹脂粒子を作製する方法は、特に限定されるものではないが、より好ましい具体的な例は、特開平10−88042号公報で示される工程にて得ることが出来る。このようにして得られた分散液に、必要に応じて以下の添加剤類を併用することが好ましい。
乾燥防止剤は、水性インクに添加される場合が多く、インクジェットの噴射ノズル口でのインクの乾燥を防止する効果を与えるものであり、通常、水以上の沸点を有する水溶性有機溶剤が使用される。このような乾燥防止剤としては、特に限定されるものではなく、従来知られているエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン等のピロリドン類、アミド類、ジメチルスルホオキサイド、イミダゾリジノン等が使用可能である。乾燥防止剤の使用量は、種類によって異なり、通常水100重量部に対して1〜150重量部の範囲から適宜選択される。
水性インクのインク受理層7への浸透をより良好とするために、公知慣用の浸透剤の必要量を用いることが好ましい。浸透剤として、インク受理層7への浸透性付与効果を示す、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、ジエチレングリコール−N−ブチルエーテル等のグリコールエーテル、プロピレングリコール誘導体、ピロリドン化合物等の水溶性有機溶媒やノニオン性やアニオン性、両性界面活性剤を加えてもよい。その他、必要に応じて水溶性樹脂、防腐剤、キレート剤等の添加剤を加えることができる。
インクジェット塗装を行うために用いる塗装装置としては、図4に示す例を挙げることができる。この塗装装置では、一方向にインク受理層7が設けられた下地材2を搬送する搬送手段と、搬送手段にて搬送される下地材2の搬送経路9に向けてインクジェット方式でインクを噴射する塗装ヘッド10を有する。
搬送手段は、例えばロールコンベアやベルトコンベア11(タイミングベルト)にて構成され、厚み方向の一面である塗装面を上側にした状態で図示の矢印の方向に搬送する。
この搬送手段による下地材2の搬送経路9上方には、塗装ヘッド10がそれぞれ配設されている。塗装ヘッド10としては、例えば搬送経路9に沿って順にイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のインクをそれぞれ噴射する4台の塗装ヘッド10が設けられ、下地材2のカラー塗装が可能となっている。各塗装ヘッド10は、それぞれ多数のノズルを有したノズルアレイ12を備え、各色のインクをノズルアレイ12に供給するインクタンク13に接続された構成を有する。ノズルアレイ12としては、例えばピエゾ素子(図示せず)を使用してインクの液滴を各ノズルから噴射するものが設けられる。また、ノズルアレイ12にはインクの噴射の制御を行うノズル制御手段(図示せず)が接続されており、ノズル制御手段は、塗装のデザインのデータを有した塗装制御手段14からのノズル制御信号を受けてインクを噴射させる。
インクジェット塗装を行うにあたっては、まず搬送手段に下地材2を供給する。このとき、複数の下地材2を順次間隔をあけて搬送することができる。
このように搬送手段にて搬送される下地材2は、塗装ヘッド10の下方を通過する。このとき塗装ヘッド10から下地材2上のインク受理層7に向けてインクがインクジェット方式で噴射されて塗装が施され、意匠模様が付与された建築板1が得られる。
かかるインクジェット塗装により、建築板1に所望の意匠模様を発現させることができる。またこのようなインクジェット塗装を施すことで位置制御された塗装が可能であり、例えばインク受理層7に形成した凹部6と合致した塗装も可能となる。また、濃淡表現などにより自然な風合いの高意匠塗装が可能となる。また、このときインク受理層7にインクが浸入して定着することで、鮮明な意匠模様が付与される。このときインク受理層7へのインクの侵入深さが1〜50μmの範囲となるようにすることが好ましい。
また、上記建築板1には、必要に応じて、表面保護用のクリアー層を形成する。クリアー層は適宜のクリアー塗料を塗布成膜することにより形成することができ、例えばアクリルシリコン系と用、アクリルエマルション系塗料等を用い、これを建築板1のインクジェット塗装が施された面にスプレー等して塗布した後、80〜150℃で焼き付け乾燥等することにより成膜することにより、クリアー層を形成することができる。このクリアー層の厚みは特に制限されないが、1〜10μmの範囲であることが好ましい。
また、更に無機質塗料層を形成することも好ましい。無機質塗料層はクリアー層の表面に無機質塗料を塗布成膜することで形成することができ、これにより建築板1の耐候性を向上することができる。無機質塗料としては適宜のものを用いることができるが、例えばオルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液に、ポリオルガノシロキサンや、アルキルチタン酸塩等の縮合反応触媒を加え、或いは更にシリカを加えたケイ素アルコキシド系塗料等を用い、これを静電塗装等して塗布した後、60〜120℃で焼き付け乾燥等することにより成膜することにより、無機質塗料層を形成することができる。この無機質塗料層の厚みは特に制限されないが、1〜10μmの範囲であることが好ましい
また、更に光触媒層を形成することも好ましい。光触媒層は、無機質塗料層の表面に光触媒を含有する無機質塗料を塗布成膜することで形成することができ、これにより建築板1の防汚性を向上することができる。光触媒を含有する無機質塗料としては適宜のものを用いることができるが、例えば上記のようなケイ素アルコキシド系塗料に酸化チタン等の光触媒を加えたものを等を用い、これをスプレー塗装等して塗布した後、60〜120℃で焼き付け乾燥等することにより成膜することにより、光触媒層を形成することができる。この光触媒層の厚みは特に制限されないが、0.2〜1.0μmの範囲であることが好ましい。
以上のようにして建築板1を製造すると、凹部6を下地材2自体に形成することなくインク受理層7に形成することができて、下地材2に直接凹部6を形成する場合のように凹部6がインク受理層7によって埋められて消失したり不鮮明になったりするようなことがなくなる。このため、建築板1に形成される凹部6の深さが浅い場合であっても、インクジェット塗装に先立ってこの凹部6が不鮮明になったり消失したりすることを防ぐことができ、この凹部6により発揮される意匠性と、インクジェット塗装により発揮される意匠性とが相まって、非常に高い意匠性を有する建築板1を容易に得ることができる。
以下、本発明を実施例にて更に詳述する。
(実施例1,2)
各実施例につき、下記表1に示す顔料成分及び樹脂成分を、PWCが表2に示す値となるように配合して、TI値が表2に示す値となるインク受理層7の形成用の組成物を調整した。
Figure 2007152162
この組成物を、セメント系無機質板からなる下地材2の表面に塗布して軟質膜3を形成し、この軟質膜3の表面に、図2(a)に示すX、Y、λの値が表2に示すものとなる治具4を擦過して櫛引きし、軟質膜3に凹凸模様を形成した。
次いで、上記軟質膜3を130℃で2分間乾燥した後、室温に冷却して、凹凸模様の凸条16を含めた厚みが300μmのインク受理層7を成膜した。
このようにインク受理層7が形成された下地材2に、図4に示すような塗装装置を用いてインクジェット塗装を施した。
インクジェット塗装におけるインクとしては、フタロシアニンブルー、ベンガラ、黄色酸化鉄、カーボンブラックの各色の顔料を、それぞれ水溶性樹脂(アクリル酸共重合体)及び水と共に、顔料/水溶性樹脂/水=10/4/86の重量比で混合して、各色の顔料が水溶性樹脂及び水中に分散された四種類の水性顔料分散体を調製し、この水性顔料分散体50重量%、ジエチレングリコール10重量%、グリセリン20重量%、ジエチレングリコールモノブチルエーテル10重量%、水10重量%を配合して調製された、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色の水性インクを用いた。
また、インクジェット塗装は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのそれぞれについての単色塗装を行い、このとき塗装ヘッド10の下方で下地材2が搬送されるに従って塗装ヘッド10からのインクの噴射量を最大量の25%、50%、75%、100%と順次変更するグラデーション塗装を施した。
次いで、インクジェット塗装が施されたインク受理層7の表面に、アクリルエマルション系のクリアー塗料を塗布成膜してクリアー層を形成した。
(評価)
上記のようにして得られた各実施例及び比較例の建築板1について、その表面に形成された凹凸模様における凸条16の幅X’、高さY’、凸条16の頂部間の間隔λ’(図2(b)参照)を測定した。
また、建築板1の塗装面を目視及び20倍の拡大鏡で観察し、インク本来の色が均一に塗装されているものを「良」、色にむら又はくすみが生じてインク本来の色が塗装されていない場合を「不良」と評価した。
これらの結果を下記表2に示す。
Figure 2007152162
本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)乃至(d)は建築板の製造過程を示す断面図である。 同上の実施の形態における、(a)は治具の一部拡大図、(b)はインク受理層の一部拡大した断面図である。 図1(c)の平面図である。 インクジェット塗装工程の一例の概略を示す側面図である。
符号の説明
1 建築板
2 下地材
3 軟質膜
4 治具
5 凸部
6 凹溝
7 インク受理層

Claims (3)

  1. セメント系無機質板からなる下地材にインク受理層形成用の組成物を塗布して軟質膜を形成し、複数の凸部が設けられた治具の前記凸部を軟質膜に押圧させた後、この軟質膜を硬化させることで表面に複数の凹部を有するインク受理層を形成し、このインク受理層の表面にインクジェット塗装を施すことを特徴とする建築板の製造方法。
  2. インク受理層形成用の組成物として、チクソトロピーインデックスが4〜8の範囲のものを用いることを特徴とする請求項1に記載の建築板の製造方法。
  3. セメント系無機質板からなる下地材に、表面に複数の凹部を有するインク受理層を形成し、このインク受理層にインクジェット塗装を施して成ることを特徴とする建築板。
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