JP4516168B2 - ガス濃度測定方法 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,酸素ガス濃度と共にNOxガス濃度を測定する測定方法に関する。
【0002】
【従来技術】
自動車等の排ガスによる大気汚染は現代社会に深刻な問題を引き起こしており,排ガス中の公害物質に対する浄化基準法規が年々厳しくなってきている。
そのため,ガソリンエンジン,ディーゼルエンジン等に対するより精密な燃焼制御,またエンジン排気系等に設置した触媒コンバータによる排ガス中の公害物質のさらなる低減の検討が進められている。
【0003】
米国のOBD-II規制では,触媒コンバーター中の排ガスを浄化するための触媒が適切な状態にあるかどうかを判定する機能をエンジンの燃焼制御系などが備えることを要求している。これに対して,従来,2本の酸素センサを用いたモニターシステム等が導入さている。
【0004】
しかしながら,酸素センサを使用する方法は,直接排ガス中の公害物質の寡多を正確に測定する方法ではない。この方法は,エンジンにおける空燃比を適切な状態に維持することで,触媒コンバーターによる排ガスの浄化効率を高めようとする方法である。つまり,浄化効率を高めて公害物質を排ガス中から低減しようとする間接的な方法であった。
【0005】
もし,エンジンの燃焼制御系や触媒モニター等において,NOx(例えばNO,NO2等の窒素酸化物)ガス濃度を直接的に検出することができれば,排ガス中より公害物質を低減するという目的に対して,より正確で効果的なアプローチが期待できる。
以上のような背景から,近年,排ガス中のNOxガス濃度を測定するためのセンサ素子として,図16に示すようなガスセンサ素子が提案されていた(特開平8−271476号)。
【0006】
このガスセンサ素子9は拡散抵抗として機能する拡散通路920で結ばれた第1の内部空所921と第2の内部空所922とを有する。
導入路910より被測定ガスが第1の内部空所921に導入され,ここにおいて被測定ガス中の酸素量が制御される。次いで,酸素量が制御された被測定ガスが拡散通路920を通って第2の内部空所922に導かれ,第2の内部空所922の雰囲気中に存在する被測定ガス中のNOxガス濃度が測定される。
【0007】
第1の内部空所921における被測定ガス中の酸素量を制御する方法として,上記ガスセンサ素子9には次のような方法が採用されている。
即ち,第1の内部空所921内には酸素分圧検出用の参照電極821を有する参照セル82と,酸素ポンプセル81用のポンピング電極811,812が設けてあり,参照セル82により検出された酸素分圧に基づいて,ポンピング電極811,812間への通電量を制御する。これにより,第1の内部空所921内の雰囲気中の酸素分圧を制御することができる。
なお,同図における符号925は基準ガス室で,ここに設けてある基準電極820は参照セル82の基準電極であると共に以下に示すセンサセル83の基準電極でもある。また,符号91,93は酸素イオン導電性の固体電解質体である。
【0008】
第2の内部空所922内にはNOxガス測定用のセンサ電極831を持つセンサセル83が設けてある。このセンサ電極831によって被測定ガス中のNOxガス濃度を測定する。
以上により,被測定ガス中の酸素分圧,すなわち酸素ガス濃度と共にNOx等の特定ガス濃度を測定することができる。
【0009】
【解決しようとする課題】
しかしながら,従来技術にかかるガスセンサ素子での被測定ガス中の酸素量制御方法には次のような問題がある。
つまり,酸素量制御のために参照電極と酸素のポンピング電極という2種の異なる機能を有する電極を合わせ持つ必要があり,それだけセンサ素子の構造が複雑となってしまう。
【0010】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,被測定ガス中のNOxガス濃度と共に酸素ガス濃度を測定することが出来るとともに,センサ素子の構造をより簡単にすることができるNOxガス濃度測定方法を提供しようとするものである。
【0011】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,固体電解質体と,該固体電解質体の表面に設けられ,被測定ガス室に面した測定電極と基準ガス室に面した基準電極とからなるセンサセルと,
また,固体電解質体と該固体電解質体の表面に設けられた一対のポンプ電極とからなると共に被測定ガス室に面して配置されたポンプセルとを有し,
上記センサセルは第1電流計と電源とを備えた検出回路に接続されていると共に,上記ポンプセルは第2電流計と可変電源とを備えたポンプ回路に接続されているガスセンサ素子を用いて,
上記第2電流計の検出値より被測定ガス中の酸素ガス濃度を測定し,上記第2電流計の検出値のみを用いて上記可変電源を制御して,酸素濃度に対して限界電流値を示しつつNOxを分解しない領域における印加電圧と電流との関係として予め決められた特性線に基づいて印加電圧を一対の上記ポンプ電極にかけると共に,
上記第1電流計の検出値より被測定ガス中のNOxガス濃度を測定することを特徴とするNOxガス濃度測定方法にある。
【0012】
本発明にかかる測定において,ポンプセルに対する電圧の印加はポンプ回路の可変電源が行い,また該ポンプ回路には第二電流計が設けてある。
ポンプセルに電圧を印加することで被測定ガス室中の酸素ガスがポンプ電極表面でイオン化し,固体電解質体を通じて被測定ガス室外へ放出される。
【0013】
ところで,ポンプセル電流とポンプセル印加電圧との関係を記載したのが図7である。ポンプ電流は電圧が小さいと電圧に比例して電流が大きくなるが,あるところから電流が変わらなくなる(限界電流値)。この状態がしばらく続いた後,更に電圧が大きくなると再び電圧に比例して電流が大きくなる。
この電圧−電流の特性の曲線は図7に示すごとく,酸素ガス濃度に対応して変化し,酸素ガス濃度が減少すると左斜下に移動する。
【0014】
従って,ポンプセルに対し第2電流計が限界電流値を示すよう可変電源から電圧を印加し,被測定ガス中の酸素量を理論空燃比となるように酸素ガスを室外へ放出する。これにより室内の酸素量をおよそ10-6atm程度まで常に一定に容易に減少させることができる。
更に,限界電流値の値は図7から酸素ガス濃度に比例するから,被測定ガス室に導入された被測定ガス中の酸素ガス濃度の測定を同時に行うことができる。
【0015】
また,センサセルに対する電圧の印加は検出回路の電源が行い,また該検出回路には第1電流計が設けてある。
センサセルに電圧を印加することで被測定ガス中のNOxガスが測定電極上で還元され酸素イオンを生じ,測定電極及び基準電極には電圧が印加されていることから被測定ガス中のNOxガス濃度に応じたイオン電流がセンサセルにおける固体電解質体に流れることとなる。
【0016】
このイオン電流はセンサセルに接続された検出回路を流通するため,該検出回路における第1電流計にて測定することができる。そして,このイオン電流は図8に示すごとく,NOxガス濃度に応じて変化するため,第1電流計の値からNOxガス濃度を測定することができる。
また,上述したごとく,ポンプセルで既に被測定ガスから酸素ガスがほぼ抜き取られているため,上記センサセル上でイオン化するのはNOxガス由来の酸素のみである。従って,第1電流計の値はNOxガス濃度に比例する。
【0017】
このように,本発明にかかる測定方法によれば,従来と異なりポンプセルとセンサセルだけでNOxガスの濃度と共に酸素ガス濃度を測定することができるため,ガスセンサ素子の構造を簡単とすることができる。
【0018】
以上,本発明によれば,被測定ガス中のNOxガス濃度と共に酸素ガス濃度を測定することが出来るとともに,センサ素子の構造をより簡単にすることができるNOxガス濃度測定方法を提供することができる。
また,センサ素子の構造が簡単となるためガスセンサ素子の製造を容易とすることができる。更に,電極の数を減らすことができるため,高価な貴金属材料の使用量を減らすこともでき,コスト削減も実現できる。
【0019】
なお,本発明の測定方法で用いるガスセンサ素子のセンサセルにおける測定電極の種類を変更すれば、他の各種のガス濃度を測定することはできる。
本発明においては,NOxに対して活性な電極を使用することでNOxセンサ素子を得る。つまり,測定電極において,NOxが接触することにより該NOxを窒素イオンと酸素イオンとに分解する作用を有する物質にて構成する。
【0020】
こうすることで,分解された酸素イオンが固体電解質体を流通するイオン電流となるが,この電流値を測定すればNOx濃度に比例する値を得ることができる。よってNOxセンサ素子として機能するのである。
それ以外には,CO,HC,H2O等の濃度を測定する素子が得られるため,本発明にかかる測定方法をこれらのガス濃度測定に適用することができる。
【0021】
本発明において用いるガスセンサ素子において,被測定ガスに面する上記ポンプ電極は,NOxガスに対して不活性な物質より構成する必要がある。
上述するごとく,上記ガスセンサ素子ではNOxガスを分解して生成された酸素イオンの量によってNOxガス濃度を測定している。従って,ポンプセルでのNOxガスの消費を防止しなくては,正確なNOxガス濃度の測定ができなくなる。
【0022】
また,上記ポンプセルは被測定ガス室に面して配置されると共にガスセンサ素子の外部に面して配置することができる(図1参照)。また,上記ポンプセルは被測定ガス室に面すると共に,基準ガス室に面して配置することもできる(図14参照)。
【0023】
請求項2記載の発明は,上記ガスセンサ素子における上記被測定ガス室は1つの空間部により構成されると共に気孔率3〜30%の多孔質体にて充填されていることが好ましい。
本発明において用いたガスセンサ素子の被測定ガス室は,ただ1つの空間部よりなる単純な形状であり,また中実であるため,製造時などにおいても被測定ガス室の形状を容易に維持することができ,変形や寸法狂い等が生じ難い。
よって,このような素子を用いた本発明にかかる測定方法によれば,精度の高い測定を行うことができる。
【0024】
また,本発明にかかる測定方法で用いたガスセンサ素子は,上述したごとき,被測定ガス室が多孔質体にて充填されているため,被測定ガスの拡散が多孔質体中において発生することとなる。よって,被測定ガスの拡散がクヌーセン拡散と分子拡散とが混じりあった拡散となり,温度依存性が小さくなる。
このため,温度に依存しない測定を行うことができる。
【0025】
以上,これらによれば,測定精度が高く,測定精度に温度依存性が少ないNOxガス濃度測定方法を提供することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかるガス濃度測定方法及びこれに用いるガスセンサ素子の構造について,図1〜図8を用いて説明する。なお,本例のガス濃度測定方法は,被測定ガス中のNOxガス濃度を測定する方法である。
【0027】
本例で用いたガスセンサ素子1は,図1に示すごとく,固体電解質体13と,該固体電解質体13の表面に設けられ,被測定ガス室101に面した測定電極21と基準ガス室102に面した基準電極22とからなるセンサセル2と,また,固体電解質体11と該固体電解質体11の表面に設けられた一対のポンプ電極31,32とからなると共に被測定ガス室101に面して配置されたポンプセル3とを有し,上記センサセル2は第1電流計251と電源253とを備えた検出回路25に接続されていると共に,上記ポンプセル3は第2電流計351と可変電源353とを備えたポンプ回路35に接続されている。
【0028】
このようなガスセンサ素子1を用いて,上記第2電流計351の検出値より被測定ガス中の酸素ガス濃度を測定し,得られた酸素ガス濃度値より上記可変電源353を制御すると共に,上記第1電流計251の検出値より被測定ガス中の特定ガス濃度を測定する。
そして,上記被測定ガス室101は1つの空間部により構成されると共に多孔質体にて充填されている。
【0029】
以下に詳細に説明する。
図1に示すごとく,本例のガスセンサ素子1は積層型の素子であり,固体電解質体11,12,13と絶縁基板14とヒータ15とよりなる。
固体電解質体基板11には一対のポンプ電極31,32よりなるポンプセル3が設けてあり,上記ポンプ電極32は被測定ガス室101と対面している。
固体電解質体11,12,13により囲まれた空間部に気孔率12%の多孔質体を充填することで被測定ガス室101が構成されている。
この多孔質体は,被測定ガスをある拡散抵抗のもとで被測定ガス室101に導入し,センサセル2にかかる測定電極21の近傍まで拡散させるために設けてある。
【0030】
また,上記固体電解質体13には測定電極21と基準電極22とが設けてあり,これらによってセンサセル2が構成されている。
上記センサセル2における測定電極21は白金よりなる電極であり,センサセル2に電圧を与えることで,該測定電極21はNOxを分解して窒素イオンと酸素イオンを生成し,該酸素イオンを基準ガス室102に対しポンピングすることができる。つまり,測定電極21はNOxに対して活性な電極である。
また,上記基準電極22も白金より構成されているが,金−白金電極で構成することもできる。
【0031】
また,上記ポンプセル3における一対のポンプ電極31,32はNOxを分解しない金−白金電極よりなる。
ポンプセル3は,適当な電圧を与えることで,被測定ガス室101から外部へ,またはその逆方向へ,酸素イオンをポンピングすることができる。
【0032】
また,図2に示すごとく,ポンプセル3のポンプ電極31には,電圧印加用のリード部311が設けてある。なお,図1,図2においては図示を略したが,センサセル2の測定電極21,基準電極22,ポンプセル3のもう一つのポンプ電極32についても同様に電圧印加用,または出力取出用のリード部や端子部が設けてある。
【0033】
また,固体電解質体13に対し,スペーサー14を介してヒータ15が積層されている。そして,固体電解質体13,スペーサー14,ヒータ15により囲まれた空間部が基準ガス室102となる。
上記ヒータ15はヒータ基板151と該ヒータ基板151に設置された白金を含む発熱体150とよりなり,該発熱体150は被覆基板152により被覆されている。
【0034】
また,上記ヒータ基板151に対しても,発熱体150に電力を供給するためのリード部(図示略)が設けられている。
また,上記発熱体150はセンサセル2における測定電極21,基準電極22,ポンプセル3におけるポンプ電極31,32を投影的に見たとき,これらを覆うことができるよう設けることが好ましい。
各電極21,22,31,32は活性温度に加熱することで,はじめてポンピングやNOxの分解などの機能を発揮することができるのである。このため,上記ヒータ15により効率的にこれらの電極21,22,31,32を加熱するために,このような構成としたのである。
【0035】
次に,本例のガスセンサ素子1の製造方法について説明する。
まず,固体電解質体11,12,13用のジルコニア生シートの作製につき説明する。
6モル%のイットリアと94モル%のジルコニアとよりなる平均粒径が0.5μmのイットリア部分安定化ジルコニア100部(重量部,以下回じ),α−アルミナ1部,PVB(ポリビニルブチラール)5部,DBP(ディブチルフタレート)10部,エタノール10部,トルエン10部よりなるセラミック混合物を準備した。
次いで,上記セラミック混合物をボールミル中で混合し,得られたスラリーをドクターブレード法にて乾燥厚みが0.3mmであるシート成形体に成形した。
【0036】
上記シート成形体を5×70mmの長方形に切断し,ポンプセル3のポンプ電極32用の印刷部を1〜10wt%の金添加白金とジルコニア10wt%よりなるペーストを用いて印刷形成した。一方,ポンプ電極32と対向する位置に設けたポンプ電極31,該ポンプ電極31,32に接続される各リード部等となる印刷部を10wt%ジルコニア添加白金ペーストを用いてスクリーン印刷にて形成した。これが固体電解質体11用の生シートとなる。
【0037】
また,上記シート成形体を5×70mmの長方形に切断し,先端がコの字になるよう2×15mmの空間部を設けた。これが固体電解質体12用の生シートとなる。
【0038】
また,上記シート成形体を5×70mmの長方形に切断し,測定電極21用の印刷部を10wt%ジルコニア添加白金ペーストを用いて印刷形成した。一方,上記測定電極21,上記基準電極22に接続される各リード部等となる印刷部を10wt%ジルコニア添加白金ペーストを用いてスクリーン印刷にて形成した。
これが固体電解質体13用の生シートとなる。
【0039】
次に,スペーサー14,ヒータ基板151,被覆基板152用のアルミナ生シートの作製につき説明する。
平均粒径0.3μmのα−アルミナ98部,6モル%イットリア部分安定化ジルコニア3部,PVB10部,DBP10部,エタノール30部,トルエン30部よりなるセラミック混合物を準備した。
次いで,このセラミック混合物をボールミル中にで混合し,得られたスラリーをドクターブレード法にて乾燥厚みが0.3mmとなるシート成形体に成形した。
【0040】
上記シート成形体を5×70mmの長方形に切断し,先端が閉じたコの字となるように2×65mmの空間部を設けた。これがスペーサー14用の生シートとなる。
また,上記シート成形体を5×70mmの長方形に切断し,90wt%の白金と10wt%のアルミナが含まれるぺーストを用いて,発熱体150や該発熱体150に通電するためのリード部等を構成する印刷部をスクリーン印刷法により形成した。これがヒータ基板151用の生シートとなる。
また,被覆基板152用の生シートを上記シート成形体を5×70mmで切断して,作製する。
【0041】
次に,上記被測定ガス室101に充填した多孔質体の製造方法について説明する。
バインダーとしてPVB10部,可塑剤としてDBP5部,消泡剤としてスパン1部,溶剤としてテレピネオール50部,アルミナ粉100部を混合し,三本ロールに20回通すことでアルミナペーストを作製した。
【0042】
そして,上記各生シートを積層して積層体を構成する。この方法について説明する。
まず,固体電解質体12用の生シートと固体電解質体13用の生シートとを80度にて熱圧着して積層する。次いで,上記アルミナペーストをスクリーン印刷法にて固体電解質体12の空間に充填し,被測定ガス室101となる部分を作製する。
その後,残りの生シートを図1に示す通り,順次積層圧着して積層体を得た。
以上の方法で得られた積層体を大気中1500℃にて1時間で焼成した。
これにより,本例にかかるガスセンサ素子1を得た。
【0043】
次に,上記ガスセンサ素子1による特定ガス濃度及び酸素ガス濃度の測定方法を以下のブロック図等を用いて説明する。
図3に示すごとく,ガスセンサ素子1において,ポンプセル3には酸素ガス濃度検出手段6が接続され,センサセル2には特定ガス濃度検出手段5が接続されている。両検出手段5,6は共に制御回路4の一部である。
そして,それぞれの検出手段5,6より発せられた信号1S,2Sが酸素ガス濃度の出力となり,NOxガス濃度の出力となる。
【0044】
次に,上記制御回路4について詳細を説明する。
図4に示すごとく,ガスセンサ素子1におけるポンプ電極32と測定電極21とはアースされることで,共通電位Va(GND)に保持されている。
そして,酸素ガス濃度検出手段6は,ポンプセル3に対する印加電圧をコントロールするポンプセル印加電圧指令回路61と該ポンプセル印加電圧指令回路61からの指令電圧Vbが非反転入力端子に入力される増幅回路62と,酸素ガス濃度に応じて流れるポンプセル電流を検出するための抵抗63とより構成されている。
【0045】
上記増幅回路62からの出力は,抵抗63の一方の端子631に対し入力されている。また,同じ端子631に対して,酸素ガス濃度に応じた電流を検出するための端子633も接続されている。また,端子633の電圧はVdである。
【0046】
上記抵抗63の他方の端子632は,ガスセンサ素子1のポンプ電極31に接続されている。また,同じ端子632は,増幅回路62の反転入力端子に入力されると共に酸素ガス濃度に応じた電流を検出する端子634にも接続されている。また,端子634は,増幅回路62の非反転入力端子に入力されるポンプセル印加電圧指令回路61からの指令電圧であるVbと同一電圧である。
【0047】
従って,ポンプセル印加電圧指令回路61からの指令電圧Vbがポンプセル3に対する印加電圧として印加される。そして,酸素ガス濃度に応じて流れるポンプセル電流を検出する抵抗63の増幅回路62側の電圧Vdとポンプセル3側の電圧Vbとの差及びポンプセル電流を検出する抵抗63の抵抗値より,ポンプセル電流が次の式の通り得ることができる。
(ポンプセル電流Ip)=(Vd−Vb)/R63
ここにR63は抵抗63の抵抗値である。
そして,このポンプセル電流が酸素ガス濃度に対応する。
【0048】
また,特定ガス濃度検出手段5は,センサセル2の印加電圧をコントロールするセンサセル印加電圧指令回路51と該センサセル印加電圧指令回路51からの指令電圧Vcが非反転入力端子に入力される増幅回路52と,NOxガス濃度に応じて流れるセンサセル電流を検出するための抵抗53とより構成されている。
【0049】
上記増幅回路52の出力は,センサセル電流を検出する抵抗53の一方の端子531に接続され,同端子531はNOxガス濃度に応じた電流を検出する端子533に接続されている。また,端子533の電圧はVeである。
【0050】
また,上記抵抗53のもう片方の端子532はガスセンサ素子1の基準電極22に接続され,増幅回路52の反転入力端子に入力されると共に,NOxガス濃度に応じた電流を検出する端子534にも接続される。同端子534は,増幅回路52の非反転入力端子に入力されるセンサセル印加電圧指令回路51からの指令電圧であるVbと同一電圧である。
【0051】
従って,センサセル印加電圧指令回路51からの印加電圧信号Vcがセンサセル2の印加電圧として印加され,NOxガス濃度に応じて流れるセンサセル電流を検出する抵抗53の増幅回路52側の電圧Veとセンサセル2側の電圧Vcの差及びセンサセル電流を検出する抵抗53の抵抗値より,センサセル電流が次の式の通り得ることができる。
(センサセル電流Is)=(Ve−Vc)/R53
ここにR53は抵抗53の抵抗値である。
そして,このセンサセル電流がNOxガス濃度に対応する。
【0052】
次に,ポンプセル印加電圧指令回路61及びセンサセル印加電圧指令回路51の具体的な構成について説明する。
両指令回路51,61は,図6に示すごとく,マイクロコンピュータ66,A/Dコンバータ65,D/Aコンバータ67により実現することができる。また,両指令回路51,61の具体的な作動について,図5を用いて説明する。
【0053】
図5に示すごとく,ステップ581,582で酸素ガス濃度に応じてポンプセル3に流れる電流を検出する抵抗63の両端子631,632における電圧Vd,Vbを読み込む。
具体的には,図4〜図6に示すごとく,ポンプセル電流を検出する抵抗63の一方の端子631の電圧VdをA/D1においてマイクロコンピュータ66に読み込み,抵抗63の他方の端子632の電圧VbをA/D2においてマイクロコンピュータ66に読み込む。
【0054】
次に,図5に示すごとく,ステップ583,584で,NOxガス濃度に応じてセンサセル2に流れる電流を検出する抵抗53の両端子531,532における電圧Ve,Vcを読み込む。
具体的には,図4〜図6に示すごとく,センサセル電流を検出する抵抗53の一方の端子531の電圧VeをA/D3においてマイクロコンピュータ66に読み込み,他方の端子532の電圧VcをA/D4においてマイクロコンピュータ66に読み込む。
【0055】
図5に示すごとく,ステップ585でポンプセル3に流れる電流IpをVdとVb,抵抗63の抵抗値R63より算出する。
続いて,ステップ586で,図7に示すごとき,ポンプセル3に対する印加電圧特性線LX1を用いて,ポンプセル電流lpに対応する目標印加電圧を求める(マップ演算する)。
【0056】
なお,図7は横軸にポンプセルに対する印加電圧を,縦軸にポンプセルにおいて流れる電流をとって,酸素ガス濃度を違えることで得られたポンプセルの電圧−電流特性線である。印加電圧LX1と付された印加電圧特性線は各電圧−電流特性線に見られるフラット部分(限界電流値)の中央を酸素ガス濃度の異なる▲1▼〜▲5▼の各曲線について連結することで得られた直線である。
ただし,被測定ガス中には,酸素の他に測定すべきNOxがO2に比べかなり少ないが含まれているので,実際には図7に示したように,NOxの分解がない領域で目標印加電圧を設定しなければならない。
更に,ステップ587において,目標印加電圧より新たなポンプセル印加電圧Vbを求め,これをD/A1より出力する。
【0057】
次に,ステップ588において,センサセルに流れる電流IsをVe,Vc,R53より算出し,ステップ589で,図8に示すごとく,センサセルへの印加電圧特性線LX2を用いて,センサセル電流Isに対応する目標印加電圧を求める(マップ演算する)。
【0058】
なお,図8は横軸にセンサセルに対する印加電圧を,縦軸にセンサセルにおいて流れる電流をとって,NOxガス濃度を違えることで得られたセンサセルの電圧−電流特性線である。印加電圧LX2と付された印加電圧特性線は各電圧−電流特性線に見られるフラット部分の中央をNOxガス濃度の異なる▲1▼〜▲3▼の各曲線について連結することで得られた直線である。
更に,ステップ590において,目標印加電圧より新たなセンサセル印加電圧Vbを求め,これをD/A2より出力する。
以上により,酸素ガス濃度と共に,NOxガス濃度を測定することができる。
【0059】
次に,本例にかかる作用効果について説明する。
ポンプセル電流とポンプセル印加電圧との関係を記載したのが図7である。ポンプ電流は電圧が小さいと電圧に比例して電流が大きくなるが,あるところから電流が変わらなくなる(限界電流値)。この状態がしばらく続いた後,更に電圧が大きくなると再び電圧に比例して電流が大きくなる。
この電圧−電流の特性の曲線は図7に示すごとく,酸素ガス濃度に対応して変化し,酸素ガス濃度が減少すると左斜下に移動する。
【0060】
従って,ポンプセルに対し第2電流計が限界電流値を示すよう可変電源から電圧を印加し,被測定ガス中の酸素量を理論空燃比となるように酸素ガスを室外へ放出する。これにより室内の酸素量をおよそ10-6atm程度まで常に一定に容易に減少させることができる。
更に,限界電流値の値は図7から酸素ガス濃度に比例するから,被測定ガス室に導入された被測定ガス中の酸素ガス濃度の測定を同時に行うことができる。
【0061】
また,センサセルに対する電圧の印加は検出回路の電源が行い,また該検出回路には第1電流計が設けてある。
センサセルに電圧を印加することで被測定ガス中の特定ガスが測定電極上で還元され酸素イオンを生じ,測定電極及び基準電極には電圧が印加されていることから被測定ガス中の特定ガス濃度に応じたイオン電流がセンサセルにおける固体電解質体に流れることとなる。
【0062】
このイオン電流はセンサセルに接続された検出回路を流通するため,該検出回路における第1電流計にて測定することができる。そして,このイオン電流は図8に示すごとく,特定ガス濃度に応じて変化するため,第1電流計の値から特定ガス濃度を測定することができる。
また,上述したごとく,ポンプセルで既に被測定ガスから酸素ガスがほぼ抜き取られているため,上記センサセル上でイオン化するのは特定ガス由来の酸素のみである。従って,第1電流計の値は特定ガス濃度に比例する。
【0063】
このように,本例にかかる測定方法によれば,従来と異なりポンプセルとセンサセルだけで特定ガスの濃度と共に酸素ガス濃度を測定することができるため,ガスセンサ素子の構造を簡単とすることができる。
【0064】
以上,本例によれば,被測定ガス中の特定ガス濃度と共に酸素ガス濃度を測定することが出来るとともに,センサ素子の構造をより簡単にすることができるガス濃度測定方法を提供することができる。
【0065】
更に,本例で用いたガスセンサ素子1は,被測定ガス室101は1つの空間部により構成されると共に気孔率3〜30%の多孔質体にて充填されており,中実である。
よって,製造時や使用時などにおいて被測定ガス室101の形状を容易に維持することができ,変形や寸法狂い等が生じ難い。
【0066】
そのため,ガスセンサ素子1の個々の特性のバラツキを減少させることができるため,個々の特性の変動を該ガスセンサ素子1を回路等に接続して調整する必要がない。よって,本例にかかるガスセンサ素子1によれば,製造コストを削減することができ,製造の手間を省くことができる。
また,被測定ガス室101の形状にバラツキが少ないことから,本例によれば測定精度の高いガスセンサ素子を得ることができる(実施形態例2及び図10参照)。
【0067】
また,被測定ガス室101が多孔質体により充填されており,本例のガスセンサ素子1においては,被測定ガスの拡散が多孔質体中において発生することとなる。よって,被測定ガスの拡散がクヌーセン拡散と分子拡散とが混じりあった拡散となり,温度依存性が小さくなる。
このため,本例によれば,測定精度が温度に依存し難いガスセンサ素子1を得ることができる(実施形態例2及び図11参照)。
【0068】
更に,本例にかかるガスセンサ素子1において,センサセル2の測定電極21とポンプセル3のポンプ電極32とがそれぞれ被測定ガス室101に面して配置されている。
ところで,ガスセンサ素子において,測定電極はNOxガスに対して活性とする必要があるが,ポンプ電極は不活性とせねばならない。
【0069】
本例によれば,ガスセンサ素子1を作製する場合,被測定ガス室101が多孔質体により充填されているため,ポンプ電極32を不活性とするために添加した成分等が揮発した場合であっても,これらの成分は多孔質体にはばまれて測定電極21に達することができなくなる。よって,測定電極21の被毒が防止できる。このため,本例によれば,より精度の高い測定が可能なガスセンサ素子を得ることができる。
【0070】
実施形態例2
実施形態例1にかかるガスセンサ素子と図9に示す被測定ガス室が多孔質体で充填されていない構成のガスセンサ素子を作製し,両者の性能を比較した。
試料1のガスセンサ素子1は,図1,図2に示され,被測定ガス室が多孔質体で充填されている。
また,比較試料C1のガスセンサ素子99は,試料1のガスセンサ素子1と各電極の位置,面積,被測定ガス室,基準ガス室の幅や長さ等が同じである。
ただし,図9に示すごとく,固体電解質体11のポンプセル3近傍に直径0.2mmのピンホール109を設け,また固体電解質体12には被測定ガス室101を作製するために,2×15mmの角穴を設けた。
それ以外は,上述の試料1と同様の材料,作製手順を利用して作製した。
【0071】
次に,試料1と比較試料C1を用いて,以下に示す方法でのNOxに対する特性を評価し,特性バラツキにつき調査した。特性バラツキの評価には出力バラツキを利用した。この出力バラツキは平均値に対する最大値,最小値の大きいものの差をとって,平均値にて割った物と定義した。つまり,{(最大値)−平均値}/平均値,または{(最小値)−平均値}/平均値のいずれかである。
また,この測定は,特定のガスを流すことができる評価ベンチにて実施した。
【0072】
なお,この測定における条件は,被測定ガスの温度が400℃,被測定ガスは,2000ppmのNOを含んだ5%のO2と95%のN2とよりなる。また,ガスセンサ素子の温度は750℃に保持して行った。
以上にかかる測定を試料1,比較試料C1,各10本のガスセンサ素子に対して行った。この測定結果を図10に記載した。
【0073】
また,上述した試料1と比較試料C1とを用いて,出力比の温度依存性について測定した。この出力比は750℃での値を基準にとり,差を750℃の値にて割ったものを出力比を定義した。また,この測定は,上述と同様の方法にて実施した。
なお,この測定における条件は,被測定ガスの温度が400℃,被測定ガスは,2000ppmのNOを含んだ5%のO2と95%のN2とよりなる。また,被測定ガスの流速は1.2リットル/分で,ガスセンサ素子の温度は650℃,700℃,750℃,800℃,850℃において行った。
以上にかかる測定は試料1,比較試料C1,各5本のガスセンサ素子に対して行った。この結果を図11に記載した。
【0074】
図10,図11より明らかであるが,試料1にかかるガスセンサ素子は,比較試料C1と比べて,出力のばらつきが小さく,出力の温度依存性が小さかった。
また,図10にかかる測定が終了した後,使用したガスセンサ素子の内部をミクロ観察したところ,本例にかかるガスセンサ素子(試料1)では被測定ガス室の形状変化が認められなかったが,比較試料C1では被測定ガス室の形状が維持されておらず,各素子においてバラバラであった。また,測定電極21には微量な金が検出された。
よって,このような被測定ガス室の変形ならびに測定電極21の金による被毒が出力バラツキを発生させた大きな要因であると推定された。
【0075】
また,図11にかかるような温度依存性が生じた原因については,ピンホールによる被測定ガスの拡散は,分子拡散が支配的であるためと思われる。分子拡散は拡散速度の温度依存性が強いためだからである。
【0076】
実施形態例3
実施形態例1に示したガスセンサ素子1を用い,実施形態例1に示したマイクロコンピュータを用いない他の測定方法について説明する。
この方法は,図12に示すごときハードウェアを用いる場合である。
図12に示すごとく,ポンプセル印加電圧指令回路6は,基準電圧回路611,増幅回路612,増幅回路の増幅率を決定する増幅抵抗615及び増幅抵抗616,ローパスフィルタを構成する抵抗613及びコンデンサ614,ポンプセル電流を検出する回路617より構成されている。
【0077】
ポンプセル電流を検出する回路617の入力は,図4に示すポンプセル電流を検出する抵抗R63の両端子633,634が接続される。ポンプセル電流を検出する回路617で処理された電圧(Vd−Vb)は出力として増幅回路612の非反転入力端子に接続される。
増幅回路612の反転入力端子は増幅率を決定する増幅抵抗615,ローパスフィルタのコンデンサ614のそれぞれ片側に接続される。
【0078】
増幅率を決定する抵抗615のもう一つの端子は基準電圧回路611に接続され基準電圧が印加される。増幅回路612の出力端子は増幅回路612の増幅率を決定する増幅抵抗616のもう1つの端子に接続されると共に,ローパスフィルタの抵抗613の片側に接続される。
ローパスフィルタの抵抗613のもう1つの端子はローパスフィルタのコンデンサ614の片側に接続され,ポンプ指令電圧Vbとして出力される。コンデンサ614のもう片側はGNDに接地される。
【0079】
ポンプセル電流を検出する回路617ではポンプセル電流に相当する電圧Vd−Vbを出力し,増幅回路612では基準電圧回路611の電圧とポンプセル電流値(Vd−Vb)とを増幅抵抗615,616により比較増幅する。
【0080】
その結果,図7に示す印加電圧特性線LX1に示す特性となる。
ここで,基準電圧回路611は印加電圧特性線LX1のオフセット電圧(0mA時の印加電圧)を生成し,増幅回路612と増幅抵抗615,616は図7に示す印加電圧線LX1の傾き(ポンプセル電流増大に伴う印加電圧の増大)を生成する。
【0081】
ローパスフィルタ(抵抗613とコンデンサ614)は,印加電圧特性線LX1がポンプセル電流増大に伴う印加電圧の増大する特性である事からポジティブフィードバックとなり,出力する印加電圧が発振するのを防止する目的で設置される。
【0082】
以上のような構成及び作用によりハードウエアにより制御回路4を構成することもできる。なお,センサセルの印加電圧指令も同様な回路で実現できるため,こちらについては説明は省略した。
【0083】
実施形態例4
本発明にかかる測定方法で使用可能なガスセンサ素子の他の例として,図13に示すごとき素子が挙げられる。
このものは同図に示すごとく,ポンプ電極31の表面を保護層119で覆い,電極が排ガスの熱に直接さらされ,凝集等が発生しないように電極を保護する。
また,本例にかかるガスセンサ素子1において,被測定ガスは被測定ガス室101の側面から導入されるが,この導入部となる部分に被毒物トラップ層129を設け,被測定ガス中の被毒物質から保護してある。
【0084】
また,本例のガスセンサ素子1では,センサセル2が基準ガス室102と被測定ガス室101との間に設けてあり,ポンプセル3が被測定ガス室101と対面し,またポンプセル3の他方の面はガスセンサ素子1の外部と対面するよう配置されていた。
図14に示すごとく,上記ガスセンサ素子1とは逆に,ポンプセル3が基準ガス室102と被測定ガス室101との間に設けてあり,センサセル2が被測定ガス室101と対面し,またセンサセル2の他方の面はガスセンサ素子1の外部と対面するよう配置することもできる。
【0085】
ところで,本例にかかるガスセンサ素子1は,NOx検出用の測定電極21(図1参照)をNOx活性な電極で構成したが,後述するごとく測定電極21をNOxに不活性な電極で構成することもできる。
つまり,測定電極21をポンプセル3のポンプ電極31,32と同様の金−白金を含有するNOx不活性電極より構成することができる。
図15は,NOx不活性電極である金−白金電極で測定電極21を構成した場合のN2−O2−NOx系の被測定ガスでのV−i特性を示す線図である。
【0086】
同図より知れるごとく,センサセル2に対する印加電圧が小さい場合にはNOxが分解されないため,酸素ポンピングによる電流が出力となる。この時の限界電流がcである。
更に印加電圧を大きくした場合,NOx不活性電極といえども活性電極として機能するようになる。つまり,NOxを分解してNOx中の酸素をポンピングすることができるため,限界電流dが発生する。
【0087】
よって,ポンプ電極32,測定電極21を,金−白金よりなるNOx不活性電極で構成しても,印加電圧をそれぞれ図中a,bとすることで,ガスセンサ素子としての機能を果たすことができる。
この場合,センサセル2のV−i特性における電圧aでの限界電流値はこのセル近傍の酸素量を示すものであるため,この電圧aでの電流値から残存酸素に基づくオフセット電流を推定でき,回路上でキャンセルできるというメリットもある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,ガスセンサ素子の構造を示す断面説明図。
【図2】実施形態例1における,ガスセンサ素子の平面図。
【図3】実施形態例1における,ガスセンサ素子と酸素ガス濃度検出手段と特定ガス濃度検出手段とを示すブロック図。
【図4】実施形態例1における,酸素ガス濃度検出手段と特定ガス濃度検出手段との詳細を示すブロック図。
【図5】実施形態例1における,酸素ガス濃度検出と特定ガス濃度検出にかかるフローを示す説明図。
【図6】実施形態例1における,マイクロコンピュータによるポンプセル印加電圧指令回路,センサセル印加電圧指令回路のブロック図。
【図7】実施形態例1における,酸素ガス濃度を違えることで得られたポンプセルの電圧−電流特性線を示す線図。
【図8】実施形態例1における,NOxガス濃度を違えることで得られたセンサセルの電圧−電流特性線を示す線図。
【図9】実施形態例2における,比較試料C1にかかるガスセンサ素子を示す断面説明図。
【図10】実施形態例2における,試料1及び比較試料C1の出力バラツキを示す線図。
【図11】実施形態例2における,試料1及び比較試料C1の出力比と温度との関係を示す線図。
【図12】実施形態例3における,ハードウェアによるポンプセル印加電圧指令回路のブロック図。
【図13】実施形態例4における,保護層と被毒物トラップ層を設けたガスセンサ素子を示す断面説明図。
【図14】実施形態例4における,センサセルが外部に露出し,ポンプセルが被測定ガス室と基準ガス室との間に設けられたガスセンサ素子を示す断面説明図。
【図15】実施形態例4における,測定電極としてNOxに不活性な電極を用いた場合のセンサセルにおけるV−i特性を示す線図。
【図16】従来技術にかかる,NOxセンサ素子の構造を示す説明図。
【符号の説明】
1...ガスセンサ素子,
11,12,13...固体電解質体,
101...被測定ガス室,
102...基準ガス室,
2...センサセル,
21...測定電極,
22...基準電極,
25...検出回路,
251...第1電流計,
253...電源,
3...ポンプセル,
31,32...ポンプ電極,
351...第2電流計,
353...可変電源,
Claims (2)
- 固体電解質体と,該固体電解質体の表面に設けられ,被測定ガス室に面した測定電極と基準ガス室に面した基準電極とからなるセンサセルと,
また,固体電解質体と該固体電解質体の表面に設けられた一対のポンプ電極とからなると共に被測定ガス室に面して配置されたポンプセルとを有し,
上記センサセルは第1電流計と電源とを備えた検出回路に接続されていると共に,上記ポンプセルは第2電流計と可変電源とを備えたポンプ回路に接続されているガスセンサ素子を用いて,
上記第2電流計の検出値より被測定ガス中の酸素ガス濃度を測定し,上記第2電流計の検出値のみを用いて上記可変電源を制御して,酸素濃度に対して限界電流値を示しつつNOxを分解しない領域における印加電圧と電流との関係として予め決められた特性線に基づいて印加電圧を一対の上記ポンプ電極にかけると共に,
上記第1電流計の検出値より被測定ガス中のNOxガス濃度を測定することを特徴とするNOxガス濃度測定方法。 - 請求項1において,上記ガスセンサ素子における上記被測定ガス室は1つの空間部により構成されると共に気孔率3〜30%の多孔質体にて充填されていることを特徴とするNOxガス濃度測定方法。
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