JP3621827B2 - 窒素酸化物濃度の測定方法及び測定装置 - Google Patents

窒素酸化物濃度の測定方法及び測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
燃焼器や内燃機関の排ガス成分を検出するためのガス濃度の測定方法及び測定装置、特に窒素酸化物濃度の測定方法及び測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、排ガス規制の強化に伴い、エンジン等の排ガス中のNOxを直接測定し、エンジンの制御や触媒のコントロールを行う研究が行われている。特に、ZrO等の酸素イオン導電体を用い、第1酸素イオンポンプセルでNOxが分解しない程度に酸素を汲み出し、NOxを含む残ったガスを第2酸素イオンポンプセルでさらに酸素を汲み出すことでNOxを分解し、この分解を電流として検知するNOxガスセンサは、HC、CO等の妨害ガスの影響を受けずにNOxガス濃度が測定できることから、近年広く研究が行われている。このような窒素酸化物センサでは、前記第2酸素イオンポンプセルに設けられた一対の電極間に流れる電流に基づき、窒素酸化物濃度を検出している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らは、窒素酸化物濃度を測定する際、酸素濃度によりゲインが変化し、窒素酸化物濃度測定に誤差を生じ、正確な窒素酸化物濃度検出が困難であることを見出した。そこで、本発明は、窒素酸化物濃度を正確に測定する方法及び装置を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の特徴を有する窒素酸化物濃度検出器(センサ)を用いて実施される。すなわち、第1拡散抵抗を介して被検ガスが導入される第1測定室と、前記第1測定室内に設けられ、前記第1測定室内における被検ガス中の酸素濃度を測定するための酸素濃度検知電極と、前記第1測定室の内部と外部に設けられた一対の電極を備え、前記酸素濃度検知電極の電位が一定となるよう、該一対の電極に電圧が印加されて、前記第1測定室外へ酸素を汲み出す及び/又は前記第1測定室内へ酸素を汲み込む第1酸素イオンポンプセルと、前記第1測定室から第2拡散抵抗を介してガスが導入される第2測定室と、前記第2測定室の内部と外部に設けられた一対の電極を備え、該一対の電極に電圧が印加されて前記第2測定室中の窒素酸化物を分解し、解離した酸素が移動することにより窒素酸化物濃度に応じた電流(以下「第2酸素ポンプ電流」という)が流れる第2酸素イオンポンプセルとを有する窒素酸化物濃度検出器である。なお、第2測定室に酸素濃度が十分に低下したガスが拡散すれば、第1測定室において窒素酸化物(特にNO)が一部分解してもよく、例えば、第1酸素イオンポンプセルに流れる電流に基づき分解量を補償することも可能である。本発明は、第1の視点において、被検ガス中の酸素濃度に応じて、窒素酸化物を分解し解離した酸素が移動することにより流れる窒素酸化物濃度に応じた電流に基づいて得られる窒素酸化物濃度を補正する手段(特に演算手段を備える)を有する。
【0005】
の視点において、窒素酸化物濃度の変化量は前記第2酸素ポンプ電流の変化量の関数であり、さらに、被検ガス中の酸素濃度に応じて、前記関数における前記第2酸素ポンプ電流の変化量の係数(以下これを「ゲイン」という)を選択するゲイン選択手段を有し、演算手段は、前記選択されたゲインを用いて窒素酸化物濃度を求める。
【0006】
の視点において、前記ゲインは被検ガス中の酸素濃度の関数であり、予め、既知の酸素濃度及び窒素酸化物濃度を有する被検ガスを投入して前記第2酸素ポンプ電流を測定し、前記窒素酸化物濃度及び前記第2酸素ポンプ電流の値を用いて、最小二乗法により、所定の酸素濃度における、窒素酸化物濃度の変化量に対する前記第2酸素ポンプ電流の変化量(以下これを「所定酸素濃度におけるゲイン」という)を求め、さらに、前記所定酸素濃度におけるゲインの値を用いて、例えば最小二乗法により、前記ゲインと被検ガス中の酸素濃度の関数における該酸素濃度の係数を定めておく。
【0007】
の視点において、前記ゲインは被検ガス中の酸素濃度の関数であり、予め、既知の酸素濃度及び窒素酸化物濃度を有する被検ガスを前記検出器に投入して前記第2酸素ポンプ電流を測定し、前記窒素酸化物濃度及び前記第2酸素ポンプ電流の値を用いて、例えば最小二乗法により、所定の酸素濃度における、窒素酸化物濃度の変化量に対する前記第2酸素ポンプ電流の変化量(以下これを「所定酸素濃度におけるゲイン」という)を求め、さらに、前記所定酸素濃度におけるゲインの値を用いて、例えば最小二乗法により、前記ゲインと被検ガス中の酸素濃度の関数における該酸素濃度の係数を定めておく。
【0008】
の視点において、前記ゲインは、被検ガス中の酸素分圧の対数の関係式として表される。
【0009】
の視点において、予め、被検ガス中の酸素濃度を変えて、窒素酸化物の濃度を実質的にゼロ及び所定濃度としたときの前記第2酸素ポンプ電流をそれぞれ測定し、前記所定酸素濃度におけるゲイン、及び所定酸素濃度において窒素酸化物の濃度を実質的にゼロとした際の前記第2酸素ポンプ電流(これを「所定酸素濃度におけるオフセット」という)を測定しておき、被検ガス中の酸素濃度に対応する前記ゲイン及び前記オフセットと、前記第2酸素ポンプ電流とから、窒素酸化物濃度を求める。
【0010】
の視点において、演算手段は、前記被検ガス中の酸素濃度に応じて変化する前記第1酸素ポンプ電流に基づいて、前記第2酸素ポンプ電流に基づいて得られる窒素酸化物濃度を補正する。
【0011】
の視点において、第1拡散抵抗を介して被検ガスが導入される第1測定室と、前記第1測定室内に設けられ、前記第1測定室内における被検ガス中の酸素濃度を測定するための酸素濃度検知電極と、前記第1測定室の内部と外部に設けられた一対の電極を備え、前記酸素濃度検知電極の電位が一定となるよう、該一対の電極に電圧が印加されて、前記第1測定室外へ酸素を汲み出す及び/又は前記第1測定室内へ酸素を汲み込む第1酸素イオンポンプセルと、前記第1測定室から第2拡散抵抗を介してガスが導入される第2測定室と、前記第2測定室の内部と外部に設けられた一対の電極を備え、該一対の電極に電圧が印加されて前記第2測定室中の窒素酸化物を分解し、解離した酸素が移動することにより窒素酸化物濃度に応じた電流(以下「第2酸素ポンプ電流」という)が流れる第2酸素イオンポンプセルと、を備えた窒素酸化物濃度検出器と、窒素酸化物濃度の変化量は前記第2酸素ポンプ電流の変化量の関数であり、前記酸素濃度検知電極の出力に応じて、前記関数における前記第2酸素ポンプ電流の変化量の係数(以下これを「ゲイン」という)を選択するゲイン選択手段と、少なくとも、前記第2酸素ポンプ電流と前記ゲイン選択手段により選択されたゲインに基づいて、窒素酸化物濃度を算出する演算手段と、を有する。
【0012】
本発明は、第の視点において、酸素濃度検知電極の電位に基づき、第1測定室から該測定室外へ、被検ガス中の酸素を窒素酸化物が分解しない程度に十分に汲み出す第1酸素イオンポンプセルを有する。第の視点に基づく第9〜13の視点の内容は前記第2〜第の視点と同様であるまた、好ましくは前記ゲイン選択手段及び前記演算手段は、窒素酸化物濃度検出器に接続するマイクロコンピュータ内に構成することができる。
【0013】
なお、酸素濃度検知電極の出力に基づき酸素濃度を検出するとは、直接的ないし間接的に酸素濃度検知電極の出力に基づいて、酸素濃度ないし酸素濃度を表す電流、電圧などを検出することを意味する。好ましくは、酸素濃度検知電極の電位に基づいて酸素濃度を検出する。或いは、酸素濃度検知電極の出力(電位)に基づき制御される第1酸素イオンポンプセルへの印加電圧、第1酸素イオンポンプセルに流れる第1酸素ポンプ電流に基づき酸素濃度を検出する。従って、好ましくは例えば、第1酸素イオンポンプセルへの印加電圧、第1酸素ポンプ電流に基づいて、窒素酸化物濃度のゲインの補正ができる。
【0014】
以下、図面を参照して本発明の原理を説明する。本発明者らは、酸素濃度によるゲイン(窒素酸化物濃度の変化量/第2酸素ポンプ電流の変化量)の変化を校正し、窒素酸化物濃度を正確に測定する方法を提案するものである。本発明者らは、先に、ガス濃度、特に窒素酸化物濃度を検出するためのセンサ及びその方法に関する提案をした。図1に、本発明の窒素酸化物測定方法が適用される、上記提案に係る窒素酸化物センサと同様のセンサの概略構成を示し、図2に、このセンサを用いた窒素酸化物濃度検出過程を説明するフローチャートを示す。
【0015】
図1のセンサは、それぞれ2組の拡散抵抗部、酸素イオンポンプセル、及び測定室を有し、第1の固体電解質層を挟んで設けられた一対の電極を備えた第1酸素イオンポンプセル6、第2の固体電解質層を挟んで設けられた一対の酸素濃度検知電極、酸素濃度基準電極を備えた酸素濃度測定セル7、第3の固体電解質層を挟んで設けられた一対の電極を備えた第2酸素イオンポンプセル8の順に積層され、各固体電解質層の層間には絶縁層がそれぞれ形成されている。そして、第1酸素イオンポンプセル6と酸素濃度測定セル7の層間には、絶縁層及び固体電解質層によって第1測定室2が画成され、同様に絶縁層及び固体電解質層により第2酸素イオンポンプセル8の上部に第2測定室4が画成されている。さらに、第1測定室2を囲む壁面には拡散抵抗を有する第1拡散孔1が複数設けられ、第1測定室2の中央部には第2拡散孔3の開口が第1拡散孔1と離間して設けられている。第2拡散孔3は、酸素濃度測定セル7及び固体電解質層を貫通して第1、第2測定室2,4を拡散抵抗をもって連通する。
【0016】
図1に示したようなセンサにおいて、排気ガス中の窒素酸化物濃度検出過程は、図2(ステップ201〜205)に示す通りである。従って、第2酸素イオンポンプセルに流れる第2酸素ポンプ電流Ip2が窒素酸化物の分解により生じた酸素量に比例することを利用して、窒素酸化物濃度を求めることができる。なお、第1、第2拡散抵抗は、図1においては、第1拡散孔1、第2拡散孔3が有するガス拡散抵抗にそれぞれ相当する。
【0017】
ところで、実際には、所定以下の低酸素濃度雰囲気では、窒素酸化物の分解が起こるなどの制約のため、第1測定室において酸素を完全に汲み出すことができない。従って、第2酸素イオンポンプセルによって第2測定室から汲み出される(移動する)酸素は、第2測定室において窒素酸化物の分解により生じる酸素と、第1測定室で汲みきれず第2測定室に拡散した酸素の両方である。すなわち、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流は、第2測定室の残存酸素濃度と窒素酸化物濃度の両方に影響されるものとなるから、正確な窒素酸化物濃度の測定を行うためには、残存酸素の影響を排除する必要がある。そこで、下記のように、酸素濃度に応じて、異なった“オフセット”の値を用いることが考えられる。
【0018】
すなわち、予め、▲1▼ 窒素酸化物濃度をゼロとし酸素濃度を変えた種々の被検ガスをセンサにそれぞれ投入して、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流量(この電流量が「オフセット」である)をそれぞれ測定することにより、酸素濃度に応じて異なる値のオフセット(変数)を設定することができる。窒素酸化物濃度を求めるためには、下記のように第2酸素ポンプ電流の変化量の“ゲイン”(定数)を定める。すなわち、▲2▼ 既知の標準窒素酸化物濃度を有する被検ガスをセンサに投入して、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流量を測定する。これらの測定値より、下式に従い、第2酸素ポンプ電流の変化量の“ゲイン”(定数)を設定することができる。
【0019】
“ゲイン”=(標準窒素酸化物濃度)/(発生電流量−オフセット)
【0020】
このように算出された、酸素濃度に応じて可変するオフセットの値と、常に一定のゲインの値を予め、メモリ等の記憶手段に記憶しておき、測定時、これらオフセット及びゲインと、第2酸素イオンポンプセルに流れる電流量をマイクロコンピュータなどに入力することにより、窒素酸化物濃度が算出される。なお、オフセットは、上述したように、酸素濃度により異なるので、酸素濃度に応じた所定の値をマップとして予め記憶しておき、酸素濃度測定セルの出力などに応じて、このマップから所定のデータ(オフセット値)を読み出して、窒素酸化物濃度の補正、算出を行うことができる。
【0021】
しかしながら、本発明者らは、鋭意研究を進めた結果、数ppmの窒素酸化物濃度測定を正確に行うためには、ゲインの酸素濃度による補正が必要であることを見出した。酸素濃度によりゲインが変化する原因については、次のように考えられる。図3(A)及び(B)は、酸素濃度によりゲインが変化する原因を説明するための概念図であって、被検ガス中の酸素濃度により、第1測定室と第2測定室でガス濃度割合が変化することを示す図である。図1に示すようなセンサにおいては、第1測定室から第2測定室に流入する酸素の濃度が酸素濃度測定セルで規定する濃度となるように(起電力一定)、第1酸素イオンポンプセルによって第1測定室から酸素が汲み出され、第2測定室に流入する酸素濃度を一定としている。この時、第2測定室に流入するガスの各々の成分(NO、COなど)の濃度割合を考えた場合、次のようになる。
【0022】
図3(A)を参照して、被検ガスの酸素濃度がゼロの場合、第1酸素イオンポンプセルによって汲み出される酸素はないため、第2測定室に流入する各々の成分のガス濃度割合は変化しない。しかし、図3(B)を参照して、被検ガスの酸素濃度が増加するに従って、第1酸素イオンポンプセルで汲み出される酸素量が増加し、この結果、第2測定室に流入する各々の成分のガス濃度割合は、酸素減少分、被検ガスのそれと比較して増大する。すなわち、被検ガスの酸素濃度が高いほど、第2測定室に占める窒素酸化物濃度が増大し、窒素酸化物の分解により生じる酸素量に比例する第2酸素イオンポンプセルの電流量が増加することとなり、窒素酸化物濃度に対するセンサの感度は上昇する(ゲインは下降する)。より正確な窒素酸化物濃度を算出するためには、このようなセンサの感度上昇により起こるゲインの下降は無視できず、補正することが必要となる。本発明者らは、以上の知見に基づき、被検ガス中の酸素濃度に応じてゲインを補正する手段を提供するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る窒素酸化物濃度測定方法、並びに酸素濃度及び空燃比測定方法を説明するためのフローチャートである。まず、濃度ないし空燃比測定前に、予め、酸素濃度及び窒素酸化物濃度が既知の被検ガスを用いて、酸素濃度に応じた窒素酸化物濃度のゲイン、オフセット、及び酸素濃度のゲイン(標準酸素濃度あたりの電流量)、オフセット(酸素濃度0%のときの第1酸素ポンプ電流)を求めておく。次に、窒素酸化物濃度などが不明の被検ガスの測定を行う。図4を参照して、第1酸素ポンプ電流Ip1を測定し(ステップ401)、Ip1に基づいて、酸素濃度を計算して出力し(ステップ411〜412)、空燃比を算出して出力する(ステップ421〜422)。また、Ip1から計算された酸素濃度に応じて、予め算出しておいた窒素酸化物濃度のオフセット及びゲインを読み出し、これらと測定した第2酸素ポンプ電流Ip2を用いて、窒素酸化物濃度を計算し、出力する(ステップ402〜407)。図4に示した一連の演算を、センサに接続したマイクロコンピュータなどに行わせることができ、或いはセンサに計測器、例えば電流計等を接続し、表示結果などから計算することもできる。また、所定の酸素濃度依存性を有する窒素酸化物濃度のゲインの補正は、第1酸素イオンポンプセルの出力を利用し、アナログ回路上で窒素酸化物濃度出力回路の増幅率を変化させることで行っても良い。
【0024】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を詳細に説明する。図5は、測定に用いた窒素酸化物センサの構造を説明するための、センサを長手方向に切断した断面を示す斜視図である。図5に示したセンサは、固体電解質層を挟んで設けられた一対の電極6a,6bを備えた第1酸素イオンポンプセル6、固体電解質層を挟んで設けられた一対の酸素濃度検知電極、酸素濃度基準電極7a,7bを備えた酸素濃度測定セル7、固体電解質層を挟んで設けられた一対の電極8a,8bを備えた第2酸素イオンポンプセル8の順に積層され、各固体電解質層の層間には絶縁層がそれぞれ形成されている。そして、第1酸素イオンポンプセル6と酸素濃度測定セル7の層間には、絶縁層及び固体電解質層によって第1測定室2が画成され、同様に絶縁層及び固体電解質層により第2酸素イオンポンプセル8の上部に第2測定室4が画成されている。さらに、第1測定室2を囲む壁面には拡散抵抗を有する第1拡散孔1が複数設けられ、第1測定室2の中央部には第2拡散孔3の開口が第1拡散孔1と離間して設けられている。第2拡散孔3は、酸素濃度測定セル7及び固体電解質層を貫通して第1、第2測定室2,4を拡散抵抗をもって連通する。酸素濃度検知電極7aは第1測定室2内に設けられている。第1酸素イオンポンプセル6が備える一対の電極6a,6bは第1測定室2の外部と内部に設けられ、酸素濃度検知電極7aの電位が一定となるよう、電圧が印加されて、第1測定室2外へ酸素を汲み出す及び/又は第1測定室2内へ酸素を汲み込む。第2酸素イオンポンプセル8が備える一対の電極8a,8bは第2測定室4の内部と外部に設けられている。
【0025】
このセンサによる測定原理は、実施の形態の欄で上述した通りであって、第1測定室2に第1拡散孔1を介して拡散し導入された被測定ガス中の酸素濃度に応じた起電力が酸素濃度測定セル7の一対の電極7a,7b間に発生し、この起電力による電圧が一定になるように、差動増幅器(アンプ)によって第1酸素イオンポンプセル6に印加される電圧が制御される(マイクロコンピュータを用いてデジタル制御してもよい)。そして、余剰の酸素が汲み出され一定の酸素濃度を有する被測定ガスが第2拡散孔3を介して第2測定室4に拡散し、第2酸素イオンポンプセル8の一対の電極8a,8bに電圧が印加されて残存する酸素がさらに汲み出される(移動する)と共に、この白金合金、ロジウム合金製の電極の触媒作用により、NOxがNとOに分解され、このOがイオンとなって第2酸素イオンポンプセル8の固体電解質層内を移動することにより、第2測定室4内外に設けられた第2酸素イオンポンプセル8の一対の電極8a,8b間に分解された窒素酸化物(NOxガス)濃度に応じた第2酸素ポンプ電流Ip2が流れる。
【0026】
このような窒素酸化物センサを用いて被検ガス中の窒素酸化物濃度測定試験を行った。図6は、測定に使用した窒素酸化物センサの製造例及びレイアウトを説明するための図である。
【0027】
[製造例]
図6に示すように、図中左上から左下、そして右上から右下の順にZrOグリーンシート及び電極用ペーストなどが積層されて、一体の検出器(センサ)が作製される。絶縁コート、電極などペースト材料は、所定のZrOグリーンシートにスクリーン印刷されることにより、積層形成される。次ぎに、ZrOグリーンシートなど各構成部品の製造例を説明する。
【0028】
[ZrOグリーンシート成形]
ZrO粉末を600℃×2時間、大気炉にて仮焼した。仮焼したZrO粉末30kg、分散剤150g、有機溶剤10kgを球石60kgとともにトロンメルに入れ、約50時間混合し、分散させ、これに有機バインダー4kgを有機溶剤10kgに溶解させたものを添加し、20時間混合して10Pa・s程度の粘度を有するスラリーを得た。このスラリーからドクターブレード法により、厚さ0.4mm程度のZrOグリーンシートを作製し、100℃×1時間乾燥した。
【0029】
[印刷用ペースト]
(1)第1酸素イオンポンプ電極6a、酸素濃度基準電極7b(酸素基準電極b)、第2酸素イオンポンプ電極8a、8b用: 白金粉末20g、ZrO粉末2.8g、適量の有機溶剤を、らいかい機(或いはポットミル)に入れ、4時間混合し、分散させ、これに有機バインダー2gを有機溶剤20gに溶解させたものを添加し、さらに粘度調整剤5gを添加し、4時間混合して粘度150Pa・s程度のペーストを作製した。
【0030】
(2)第1酸素イオンポンプ電極6b、酸素濃度検知電極(酸素基準電極a)7a用: 白金粉末19.8g、ZrO粉末2.8g、金粉末0.2粉末、適量の有機溶剤を、らいかい機(或いはポットミル)に入れ、4時間混合し、分散させ、これに有機バインダー2gを有機溶剤20gに溶解させたものを添加し、さらに粘度調整剤5gを添加し、4時間混合して粘度150Pa・s程度のペーストを作製した。
【0031】
(3)絶縁コート、保護コート用: アルミナ粉末50gと適量の有機溶剤を、らいかい機(或いはポットミル)に入れ、12時間混合し、溶解させ、さらに粘度調整剤20gを添加し、3時間混合して粘度100Pa・s程度のペーストを作製した。
【0032】
(4)Pt入り多孔質用(リード線用): アルミナ粉末10g、白金粉末1.5g、有機バインダ2.5g、有機溶剤20gを、らいかい機(或いはポットミル)に入れ、4時間混合し、さらに粘度調整剤10gを添加し、4時間混合して粘度100Pa・s程度のペーストを作製した。
【0033】
(5)第1拡散孔1用: 平均粒径2μm程度のアルミナ粉末10g、有機バインダ2g、有機溶剤20gを、らいかい機(或いはポットミル)に入れ、混合し、分散させ、さらに粘度調整剤10gを添加し、4時間混合して粘度400Pa・s程度のペーストを作製した。
【0034】
(6)カーボンコート用: カーボン粉末4g、有機バインダ2g、有機溶剤40gを、らいかい機(或いはポットミル)に入れ、混合し、分散させ、さらに粘度調整剤5gを添加し、4時間混合してペーストを作製した。なお、カーボンコートを印刷形成することにより、一例を挙げれば、電極間の電気的接触が防止される。また、カーボンコートは第1測定室及び第2測定室を形成するために用いられる。カーボンは焼成途中で焼失するので、カーボンコート層は焼成体には存在しない。
【0035】
第2拡散孔3用: 平均粒径2μm程度のアルミナ粉末20g、有機バインダ8g、有機溶剤20gを、らいかい機(或いはポットミル)に入れ、1時間混合し、造粒し、金型プレスにて約2t/cm圧を加え直径1.3mm、厚さ0.8mmの円柱状のプレス成形体(グリーン状態)を作製した。このグリーン状態のプレス成形体を、2、3層目のZrOグリーンシートの所定箇所に挿入され、圧着して一体化した後、焼成することにより、ガスセンサ中に第2拡散孔を形成する。
【0036】
[ZrO積層方法] 2、3層目圧着後、第2拡散孔が貫通する部分(直径1.3mm)を打ち抜く。打ち抜き後、第2拡散孔となるグリーン円柱状成形体を埋め込み、1〜4層のZrOグリーンシートを加圧力:5kg/cm、加圧時間:1分で圧着する。
【0037】
[脱バインダー及び焼成] 圧着した成形体を、400℃×2時間脱バインダーし、1500℃×1時間焼成する。
【0038】
上記製造例に従って下記の寸法の窒素酸化物(NOxガス)センサを作成し、NOxガス濃度測定試験を行った。測定に使用した窒素酸化物センサは、長手方向の長さが50mm、幅(短手方向)が4mm、厚さ(積層方向)が1.3mmである。第1酸素イオンポンプセルの厚さは0.3mm、電極6a,6bの長手方向の長さは7mm、短手方向の長さは2mm、第1測定室の長手方向の長さは7mm、短手方向の長さは2mm、高さ50μm、第2測定室の長手方向長さが7mm、短手方向の長さは2mm、高さ50μm、第1拡散孔の長手方向の長さは2mm、短手方向の長さ1mm、厚さ50μm、第2拡散孔の大きさは直径1mmである。
【0039】
以上説明したような窒素酸化物センサを用いて、下記の補正方法により窒素酸化物濃度を求めた。なお、共通の測定条件は下記の通りである。測定ガス温度は300℃、ガス成分はNO(0〜1500ppm)、O(0〜16%)、CO10%、残部Nとし、ヒータ電力18〜25W(20Wで検出器温度800℃相当)となるようにした。
【0040】
まず、予備的に、種々の酸素濃度において、窒素酸化物濃度を実質的にゼロ、及び所定濃度(1500ppm)としたときの第2酸素ポンプ電流をそれぞれ測定し、所定酸素濃度(各酸素濃度)におけるゲイン(=窒素酸化物濃度の変化量/第2酸素ポンプ電流の変化量)を最小二乗法によりそれぞれ求めた。表1及び図7にこれらの結果を示す。図7を参照して、酸素濃度が増大するほどゲインが下降しており、正確な窒素酸化物濃度を求めるためには、酸素濃度によるゲインの補正が必要なことが理解される。以下、表1に示した各酸素濃度におけるゲインの値を用いて、任意の酸素濃度を代入することにより適切なゲインが算出される計算式の係数を求める方法について説明する。
【0041】
【表1】
Figure 0003621827
【0042】
次に、本発明の一実施例として、第2酸素ポンプ電流に基づいて得られる窒素酸化物濃度の補正方法1〜6(実施例1〜6)を説明する。
【0043】
[実施例1:補正方法1]
被検ガス中の酸素濃度を0、1、7、16%とし、投入NO濃度を0、約500、約1000、約1500ppmとし、これらの条件の組み合わせについて、第2酸素ポンプ電流をそれぞれ測定した。さらに、ゲイン(Gain)と酸素濃度の関係が下式(1)の通り、最小二乗法の一次式(後述の(4)式において、n=1の場合)で表されるとし、
【0044】
【化1】
Figure 0003621827
【0045】
上式(1)に表1に示した所定酸素濃度におけるゲインの値を代入し、最小二乗法を用いて、上記係数(GAIN、GAIN)を定めた。そして、(1)式に任意の酸素濃度を代入して求められるGainの値、及び下記の表2に示すΔIp2の値を、それぞれ下式(2)に代入し、窒素酸化物濃度を求めた。
【0046】
【化2】
Figure 0003621827
【0047】
また、比較例として、ゲインを酸素濃度が0、1、7、16%のときのゲインを平均して、その平均値を(2)式のGain(係数)として用い、窒素酸化物濃度を求めた。表2に、以上の測定値、計算値、及び窒素酸化物濃度の真値(投入NO濃度(A))と計算値(B)との差、並びに比較例の結果を示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003621827
【0049】
表2より、本補正方法1の方がより正確に濃度を測定できることがわかる(特に酸素希薄領域)。
【0050】
[実施例2:補正方法2]
ゲイン(Gain)と酸素濃度の関係が下式(4)の最小二乗法の多項式で表されるとし、
【0051】
【化3】
Figure 0003621827
【0052】
上式(4)においてi=2として、表1に示した所定酸素濃度におけるゲインの値を代入し、最小二乗法を用いて、上記係数(GAINi:i=0〜2)を定めた。以下は、補正方法1と同様に窒素酸化物濃度を求めた。表3に、以上の測定値、計算値、及び窒素酸化物濃度の真値(投入NO濃度(A))と計算値(B)との差、並びに比較例(表2に示したものと同じ)の結果を示す。表3より、本補正方法2で窒素酸化物濃度を求める方がより正確に濃度を測定できることがわかる。
【0053】
【表3】
Figure 0003621827
【0054】
[実施例3:補正方法3]
酸素分圧を10−3、0.01、0.07、0.16とし、投入NO濃度を0、約500、約1000、約1500ppmとし、これらの条件の組み合わせについて、第2酸素ポンプ電流をそれぞれ測定した。なお、酸素分圧は前記補正方法1及び2の濃度表記を分圧表記に代えたものであり、投入NO濃度、第2酸素ポンプ電流などの測定値、及び比較例は前記補正方法1及び2に記載のものと共通である。ゲイン(Gain)と酸素分圧の対数の関係が下式(5)の通り、多項式で表される。
【0055】
【化4】
Figure 0003621827
【0056】
以下、百分率表記(%)が分圧表記になった以外は、補正方法1と同様の方法により、窒素酸化物濃度を式(2)より求めた。表4に、以上の測定値、計算値、及び窒素酸化物濃度の真値(投入NO濃度(A))と計算値(B)との差、並びに比較例の結果を示す。表4より、本補正方法3で窒素酸化物濃度を求める方がより正確に濃度を測定できることがわかる。
【0057】
【表4】
Figure 0003621827
【0058】
[実施例4:補正方法4]
次に、表1に示した各酸素濃度に対するゲインを求める方法と同様の方法で、多くの酸素濃度において、所定酸素濃度に対応するゲインを求めた。表5にこの結果を示す。
【0059】
【表5】
Figure 0003621827
【0060】
そして、補正方法1と異なり、表5に示した所定酸素濃度(各酸素濃度)におけるゲイン(Gain)の値を前述の(2)式に直接代入し、窒素酸化物濃度を求めた。すなわち、任意の酸素濃度に対応するゲインの値(表5)の値を記憶し、被検ガス中の酸素濃度に応じてゲインの値を読み出し、読み出されたゲインの値とΔIp2の値の積より窒素酸化物濃度を算出した。また、比較例は表2に記載したものと同一である。表6に、以上の測定値、計算値、及び窒素酸化物濃度の真値(投入NO濃度(A))と計算値(B)との差、並びに比較例の結果を示す。表6より、本補正方法4に従い窒素酸化物濃度を求める方法がより正確に濃度を測定できることがわかる。
【0061】
【表6】
Figure 0003621827
【0062】
[実施例5]
被検ガス中の酸素濃度は、第1酸素イオンポンプセルに流れる電流(第1酸素ポンプ電流)を測定することにより求めることができる。そこで、所定濃度の酸素及びNOを投入し、酸素濃度がゼロのときに流れる第1酸素ポンプ電流Ip1をそれぞれ測定した。被検ガス中の酸素濃度と第1酸素ポンプ電流には次式(6)の比例関係がある。
【0063】
【化5】
Figure 0003621827
【0064】
表7に、上式(6)式を用いて、酸素濃度を求めた結果を示す。表7より、本方法によって、誤差0.2%程度に酸素濃度を正確に求めることができる。すなわち、被検ガス中の酸素濃度が未知であっても、第1酸素ポンプ電流から酸素濃度が正確に求められ、被検ガス中の酸素濃度に応じた、窒素酸化物濃度測定のゲイン及びオフセットが正確に定まり、窒素酸化物濃度を正確に求めることができる。また、このことは、本センサが、窒素酸化物濃度と酸素濃度を同時に測定することができることも示している。加えて、この測定値を用いて空燃比も求めることができる。
【0065】
【表7】
Figure 0003621827
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被検ガス中の酸素濃度が変化しても、窒素酸化物濃度をより正確に、簡便な方法で求めることができる。また、酸素濃度検知電極の出力は、被検ガス中の酸素濃度と所定の関係を有するから、一つの窒素酸化物濃度センサによって、酸素濃度及び窒素酸化物濃度も測定できることとなり、被検ガス中の酸素濃度に基づく窒素酸化物濃度の補正を一つの検出器を用いて行うことができる。従って、本発明に係る窒素酸化物濃度測定装置を内燃機関の排気系に適用し、窒素酸化物濃度と共に空燃比を求めることができ、一つの計器で多機能が実現される。また、窒素酸化物濃度を求めるための、酸素濃度依存性を有する第2酸素ポンプ電流の係数は、好ましくは最小二乗法を用いて容易に算出することができ、予めこの係数と酸素濃度を関連付けたテーブルを作成しておくことにより、リアルタイムで正確な窒素酸化物濃度を得ることができ、この方法を内燃機関の窒素酸化物検出システムに適用すれば、酸素濃度及び窒素酸化物濃度の変化に応じた、即応性の高い燃焼制御システムを構築することが可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る窒素酸化物濃度の補正方法が適用される窒素酸化物センサの構造の概略を示す説明図である。
【図2】図1に示すようなセンサによる窒素酸化物濃度検出原理を説明するためのフローチャートである。
【図3】酸素濃度によりゲインが変化する原因を説明するための概念図であって、被検ガス中の酸素濃度により、第1測定室と第2測定室でガス濃度割合が変化することを示す図であり、(A)は被検ガス中の酸素濃度が0%の場合の各室のガス成分比、(B)は0%以上の場合の各室のガス成分比を示す。
【図4】本発明の一実施形態に係る窒素酸化物濃度測定方法、並びに、酸素濃度及び空燃比測定方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の一実施例において、窒素酸化物濃度測定に用いた窒素酸化物センサの構造を説明するための、センサを長手方向に切断した断面を示す斜視図である。
【図6】図5に示したような窒素酸化物濃度センサの製造方法及びレイアウトを説明するための図である。
【図7】窒素酸化物濃度のゲインが被検ガス中の酸素濃度に依存することを説明するための図である。
【符号の説明】
1:第1拡散孔
2:第1測定室
3:第2拡散孔
4:第2測定室
6:第1酸素イオンポンプセル
6a,6b:電極
7:酸素濃度測定セル
7a,7b:酸素濃度検知電極,酸素濃度基準電極
8:第2酸素イオンポンプセル
8a,8b:電極

Claims (13)

  1. 第1拡散抵抗を介して被検ガスが導入される第1測定室と、
    前記第1測定室内に設けられ、前記第1測定室内における被検ガス中の酸素濃度を測定するための酸素濃度検知電極と、
    前記第1測定室内部と外部に設けられた一対の電極を備え、前記酸素濃度検知電極の電位が一定となるよう、該一対の電極に電圧が印加されて、前記第1測定室外へ酸素を汲み出す及び/又は前記第1測定室内へ酸素を汲み込む第1酸素イオンポンプセルと、
    前記第1測定室から第2拡散抵抗を介してガスが導入される第2測定室と、
    前記第2測定室内部と外部に設けられた一対の電極を備え、該一対の電極に電圧が印加されて前記第2測定室中の窒素酸化物を分解し、解離した酸素が移動することにより窒素酸化物濃度に応じた電流(以下「第2酸素ポンプ電流」という)が流れる第2酸素イオンポンプセルと、
    被検ガス中の酸素濃度に応じて、前記第2酸素ポンプ電流に基づいて得られる窒素酸化物濃度を補正する演算手段と、を有し、
    窒素酸化物濃度の変化量は前記第2酸素ポンプ電流の変化量の関数であり、
    さらに、被検ガス中の酸素濃度に応じて、前記関数における前記第2酸素ポンプ電流の変化量の係数(以下これを「ゲイン」という)を選択するゲイン選択手段を有し、
    前記演算手段は、前記選択されたゲインを用いて窒素酸化物濃度を求めることを特徴とする窒素酸化物濃度測定装置。
  2. 前記ゲインは被検ガス中の酸素濃度の関数であり、予め、既知の酸素濃度及び窒素酸化物濃度を有する被検ガスを投入して前記第2酸素ポンプ電流を測定し、前記窒素酸化物濃度及び前記第2酸素ポンプ電流の値を用いて、所定の酸素濃度における、窒素酸化物濃度の変化量に対する前記第2酸素ポンプ電流の変化量(以下これを「所定酸素濃度におけるゲイン」という)を求め、
    さらに、前記所定酸素濃度におけるゲインの値を用いて、前記ゲインと被検ガス中の酸素濃度の関数における該酸素濃度の係数を定めておくことを特徴とする請求項記載の窒素酸化物濃度測定装置。
  3. 前記ゲインは被検ガス中の酸素濃度の関数として表され、予め、既知の酸素濃度及び窒素酸化物濃度を有する被検ガスを投入して前記第2酸素ポンプ電流を測定し、前記窒素酸化物濃度及び前記第2酸素ポンプ電流の値を用いて、所定の酸素濃度における、窒素酸化物濃度の変化量に対する前記第2酸素ポンプ電流の変化量(以下これを「所定酸素濃度におけるゲイン」という)を求めておき、
    前記ゲイン選択手段は、前記ゲインとして、被検ガス中の酸素濃度に応じて前記所定酸素濃度におけるゲインを選択することを特徴とする請求項記載の窒素酸化物濃度測定装置。
  4. 前記ゲインは、被検ガス中の酸素分圧の対数の関係式として表されることを特徴とする請求項又は記載の窒素酸化物濃度測定装置。
  5. 予め、被検ガス中の酸素濃度を変えて、窒素酸化物の濃度を実質的にゼロ及び所定濃度としたときの前記第2酸素ポンプ電流をそれぞれ測定し、前記所定酸素濃度におけるゲイン、及び所定酸素濃度において窒素酸化物の濃度を実質的にゼロとした際の前記第2酸素ポンプ電流(これを「所定酸素濃度におけるオフセット」という)を測定しておき、被検ガス中の酸素濃度に対応する前記ゲイン及び前記オフセットと、前記第2酸素ポンプ電流に基づき、窒素酸化物濃度を求めることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の窒素酸化物濃度測定装置。
  6. 前記演算手段は、前記被検ガス中の酸素濃度に応じて変化する前記第1酸素ポンプ電流に基づいて、前記第2酸素ポンプ電流に基づいて得られる窒素酸化物濃度を補正することを特徴とする請求項1〜のいずれか一に記載の窒素酸化物濃度の測定装置。
  7. 第1拡散抵抗を介して被検ガスが導入される第1測定室と、
    前記第1測定室内に設けられ、前記第1測定室内における被検ガス中の酸素濃度を測定するための酸素濃度検知電極と、
    前記第1測定室内外に設けられた一対の電極を備え、前記酸素濃度検知電極の電位が一定となるよう、該一対の電極に電圧が印加されて、前記第1測定室外へ酸素を汲み出す及び/又は前記第1測定室内へ酸素を汲み込む第1酸素イオンポンプセルと、
    前記第1測定室から第2拡散抵抗を介してガスが導入される第2測定室と、
    前記第2測定室の内部と外部に設けられた一対の電極を備え、該一対の電極に電圧が印加されて前記第2測定室中の窒素酸化物を分解し、解離した酸素が移動することにより窒素酸化物濃度に応じた電流(以下「第2酸素ポンプ電流」という)が流れる第2酸素イオンポンプセルと、を備えた窒素酸化物濃度検出器と、
    窒素酸化物濃度の変化量は前記第2酸素ポンプ電流の変化量の関数であり、前記酸素濃度検知電極の出力に応じて、前記関数における前記第2酸素ポンプ電流の変化量の係数(以下これを「ゲイン」という)を選択するゲイン選択手段と、
    少なくとも、前記第2酸素ポンプ電流と前記ゲイン選択手段により選択されたゲインに基づいて、窒素酸化物濃度を算出する演算手段と、
    を有することを特徴とする窒素酸化物濃度測定装置。
  8. 第1拡散抵抗を介して被検ガスが導入される第1測定室と、
    前記第1測定室内に設けられ、前記第1測定室内における被検ガス中の酸素濃度を測定するための酸素濃度検知電極と、
    前記第1測定室の内部と外部に設けられた一対の電極を備え、前記酸素濃度検知電極の電位が一定となるよう、該一対の電極に電圧が印加されて、前記第1測定室外へ酸素を汲み出す及び/又は前記第1測定室内へ酸素を汲み込む第1酸素イオンポンプセルと、
    前記第1測定室から第2拡散抵抗を介してガスが導入される第2測定室と、
    前記第2測定室の内部と外部に設けられた一対の電極を備え、該一対の電極に電圧が印加されて前記第2測定室中の窒素酸化物を分解し、解離した酸素が移動することにより窒素酸化物濃度に応じた電流(以下「第2酸素ポンプ電流」という)が流れる第2酸素イオンポンプセルと、を備えた窒素酸化物濃度検出器を用いた窒素酸化物濃度の測定方法において、
    窒素酸化物濃度の変化量は前記第2酸素ポンプ電流の変化量の関数であり、被検ガス中の酸素濃度に応じて、前記関数における前記第2酸素ポンプ電流の変化量の係数(以下これを「ゲイン」という)を可変し、可変の前記ゲインを用いて窒素酸化物濃度を求めることを特徴とする窒素酸化物濃度の測定方法。
  9. 前記ゲインは被検ガス中の酸素濃度の関数であり、予め、既知の酸素濃度及び窒素酸化物濃度を有する被検ガスを前記検出器に投入して前記第2酸素ポンプ電流を測定し、前記窒素酸化物濃度及び前記第2酸素ポンプ電流の値を用いて、最小二乗法により、所定の酸素濃度における、窒素酸化物濃度の変化量に対する前記第2酸素ポンプ電流の変化量(以下これを「所定酸素濃度におけるゲイン」という)を求め、さらに、前記所定酸素濃度におけるゲインの値を用いて、前記ゲインと被検ガス中の酸素濃度の関数における該酸素濃度の係数を定めておくことを特徴とする請求項記載の窒素酸化物濃度の測定方法。
  10. 前記ゲインは被検ガス中の酸素濃度の関数として表され、予め、既知の酸素濃度及び窒素酸化物濃度を有する被検ガスを投入して前記第2酸素ポンプ電流を測定し、前記窒素酸化物濃度及び前記第2酸素ポンプ電流の値を用いて、所定の酸素濃度における、窒素酸化物濃度の変化量に対する前記第2酸素ポンプ電流の変化量(以下これを「所定酸素濃度におけるゲイン」という)を求めておき、前記ゲインとして、被検ガス中の酸素濃度に応じて前記所定酸素濃度におけるゲインを選択して用いることを特徴とする請求項記載の窒素酸化物濃度の測定方法。
  11. 前記ゲインは、被検ガス中の酸素分圧の対数の関係式として表されることを特徴とする請求項又は10記載の窒素酸化物濃度の測定方法。
  12. 予め、被検ガス中の酸素濃度を変えて、窒素酸化物の濃度を実質的にゼロ及び所定濃度としたときの前記第2酸素ポンプ電流をそれぞれ測定し、前記所定酸素濃度におけるゲイン、及び所定酸素濃度において窒素酸化物の濃度を実質的にゼロとした際の前記第2酸素ポンプ電流(これを「所定酸素濃度におけるオフセット」という)を測定しておき、被検ガス中の酸素濃度に対応する前記ゲイン及び前記オフセットと、前記第2酸素ポンプ電流とから、窒素酸化物濃度を求めることを特徴とする請求項11のいずれか一に記載の窒素酸化物濃度の測定方法。
  13. 前記被検ガス中の酸素濃度に応じて変化する前記第1酸素ポンプ電流に基づいて、前記第2酸素ポンプ電流に基づいて得られる窒素酸化物濃度を補正することを特徴とする請求項12のいずれか一に記載の窒素酸化物濃度の測定方法。
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