JP4514560B2 - 筒状セラミック多孔質体及びその製造方法ならびにこれを用いたセラミックフィルター - Google Patents

筒状セラミック多孔質体及びその製造方法ならびにこれを用いたセラミックフィルター Download PDF

Info

Publication number
JP4514560B2
JP4514560B2 JP2004243909A JP2004243909A JP4514560B2 JP 4514560 B2 JP4514560 B2 JP 4514560B2 JP 2004243909 A JP2004243909 A JP 2004243909A JP 2004243909 A JP2004243909 A JP 2004243909A JP 4514560 B2 JP4514560 B2 JP 4514560B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
separation membrane
cylindrical
ceramic
porous body
ceramic powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004243909A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005118771A (ja
Inventor
令祐 谷原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2004243909A priority Critical patent/JP4514560B2/ja
Publication of JP2005118771A publication Critical patent/JP2005118771A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4514560B2 publication Critical patent/JP4514560B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Porous Artificial Stone Or Porous Ceramic Products (AREA)
  • Press-Shaping Or Shaping Using Conveyers (AREA)

Description

本発明は、フィルターとして好適に用いることができる筒状セラミック多孔質体の製造方法に関するものである。
濾過フィルター等に用いられるセラミック多孔質体は、同様の用途に使用される有機高分子膜と比較して、耐熱性、耐食性、耐久性、物理的強度に優れている一方で、フィルターのろ過性能で重要な特性である、分離性能と透過性能を単層で同時に満足させる孔径制御が必要となる。
その孔径制御の技術としては、セラミック原料に気孔形成剤を添加し、焼成時に焼失させて気孔を形成することにより気孔率および気孔径を制御した、均質でかさのある多孔質セラミック材料が開示されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1に示される多孔質セラミック材料では、気孔形成剤により気孔率および気孔径が制御されているため、焼成の段階で気孔形成剤を焼失させるために、通常より脱バインダー時間を多くとる必要があり、さらには、その条件が適切でなければクラック等の欠陥につながる問題を有している。また、濾過対象となる液体や気体の圧力損失の影響が大きいため、透過性能を優先させると、必要な分離性能及び強度が得られないという問題を有している。
そのため、分離性能、透過性能、及び強度を満足させる手段として、比較的細孔径の大きい多孔体からなる基材の外周面などに、分離層として更に細孔径の小さい多孔質薄膜を複数層形成する方法が一般に用いられている。そのような複数層構造の膜技術は多数開示されているが、多孔質支持体の一側面に無機物粒子を含む懸濁液をコーティングして分離層を形成し、乾燥、焼成する無機多孔質膜の製造方法が開示されている(特許文献2)。
また、フィルターの清掃は逆流洗浄によることが多いが、一部には水蒸気洗浄や加熱洗浄による場合もあり、前記の支持体の一側面に懸濁液をコーティングすることにより分離層を形成する方法は、上記のようなヒートショックがかかるような環境下におかれた場合に上記支持体と分離層の界面の剥離やクラックが生じやすいという問題があり、その改善策として、たとえば、図4(a)に示すように金型111を用いた二層押出成形方法が開示されている(特許文献3)。
これによると、電極用の杯土115とセパレータ用の杯土116をプランジャー117により口金112から押出しすることにより、図4(b)に示すようなグリーン積層成形体118を作製し、得られた上記グリーン積層成形体118を焼成することにより積層焼結体を作製することが示されている。
また、支持体の細孔径が1〜50μm、分離膜の細孔径が0.01〜10μmの二層多孔質体も開示されていて、円板、シート、管、押し出された柱状物の形が示され、上記多孔質体をフィルターに用いることが好適であるとされている(特許文献4)。
特開平11−322465号公報 特開平7−163848号公報 特開平9−259905号公報 特開平2−95423号公報
しかしながら、上記特許文献2のものは、多孔質支持体上に形成される分離層は薄膜であるために、クラックやピンホール等の致命的な欠陥が発生しやすいという問題を秘めている。また、分離性能を満足するためには、懸濁液に含まれる無機物粒子を微細なものにする必要があることから、分離層の気孔率が低く、透過性能が低くなるという課題があった。
また、特許文献3に示す押出成形により作製される積層体は板状体であり、グリーン積層成形体118を形成する電極用の杯土115とセパレータ用の杯土116をひとつの口金112に連続的に供給することにより、上記積層体118を押出成形し該積層体118を一体焼結することにより積層焼結体を作製する製造方法である。また、積層体118の曲がりを防止し、かつ、双方の成形体界面の位置がずれるのを防止するために、電極用の杯土115とセパレータ用の杯土116の硬度を10〜14とし、かつ、その差を2以下とすることも開示されているが、これらの方法によれば、各層同士を密着させるために界面に接合材層を設ける、或いは成形後に加圧するといった工程が必要となる。このため、積層体形状は板状に限定され、複数層の筒状セラミック多孔質体への適用は困難であった。
そして、特許文献4では、筒状体を含む二層多孔質体の担持体(支持体)の細孔径を1〜50μm、これに接合する無機膜(分離膜)の細孔径を0.01〜10μmとすることが記載されているが、上記無機膜の細孔径範囲を達成するには平均粒径0.1〜5μ程度の原料粉末を使用しなければならず、担持体細孔内に無機膜粒子が入し、透過性能が著しく低下するという課題があった。また、細孔径20μ以上の担持体を使用すると、フィルター用途としての分な強度が得られず、さらに無機膜の均一な膜付けが難しいことから、膜に欠陥が生じやすいという課題があった。また、上記特許文献4では、担持体、無機膜の細孔径の適切な範囲限定の理由ならびに押出成形による製造方法も明示されておらず、利用しうるものではなかった。
そこで、本発明では、信頼性の高い厚膜の分離層を有し、かつ高い分離性能と透過性能、高強度という特を持った、高性能の筒状セラミック多孔質体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に対し、検討を重ねた結果、特に支持体および分離膜として使用する原料の粒度及び粒度分布、分離膜及び多孔質体全体の厚み、およびその成型方法、焼成温度などが、これら特性に大きく寄与することを見いだし、これら特定の条件を満足するように制御することによって、セラミック多孔質体としての分離性能、透過性能,強度が達成されることを見いだし、本発明に至った。
本発明の筒状セラミック多孔質体の製造方法は、筒状をした支持体の表面に、膜厚が0.05mm〜0.5mm、平均細孔径が0.04μm〜0.3μm、最大細孔径が0.4μm以下、気孔率が30〜50%の一層或いは複数層の無機多孔質分離膜からなり、厚みが1.5〜2.5mm、曲げ強度が40MPa以上、500kPa加圧時の空気透過量が1.0L/分/cm 以上である分離膜を備えてなる筒状セラミック多孔質体の製造方法であって、記支持体は平均粒径が3.0μm〜9.0μmのセラミックス粉末からなる原料を用い、記分離膜は平均粒径が0.4μm〜2.5μmのセラミックス粉末からなる原料を用い、両原料を押出成形にて同時に一体成形することにより筒状成形体を作製し、該筒状成形体を1200℃〜1600℃の温度で焼成することを特徴とする。
さらに、好ましくは、前記分離膜を成すセラミックス粉末は、粒度分布の小径側から累積10%、累積90%に相当する粒径をそれぞれD10、D90としたとき、90/10比が3以下であることを特徴とする。
さらに、好ましくは、前記押出成形は、支持体となるセラミック粉末の杯土の吐出量をV1、分離膜となるセラミック粉末の杯土の吐出量をV2としたとき、V1/V2比が1.5〜40の範囲で成形することを特徴とする。
また、本発明の筒状セラミック多孔質体の製造方法によれば、筒状をした支持体の表面に膜厚が0.05mm〜0.5mm、平均細孔径が0.04μm〜0.3μm、最大細孔径が0.4μm以下、気孔率が30〜50%の一層或いは複数層の無機多孔質分離膜からなり、厚みが1.5〜2.5mm、曲げ強度が40MPa以上、500kPa加圧時の空気透過量が1.0L/分/cm 以上である分離膜を備えてなる筒状セラミック多孔質体を、支持体に平均粒径が3.0μm〜9.0μmのセラミックス粉末からなる原料を用い、分離膜に平均粒径が0.4μm〜2.5μmのセラミックス粉末からなる原料を用い、両原料を押出成形によって同時に一体成形することにより筒状成形体を作製、この筒状成形体を1200℃〜1600℃の温度で焼成することから、膜付けの工程を追加する必要がなく工数の削減につながる。また、分離膜、支持体ともに坏土で供給されるため、分離膜粒子が支持体細孔内に入り込むといった問題を防止できる。さらに、支持体となるセラミック粉末の吐出量V1と分離膜となるセラミック粉末の吐出量V2の比V1/V2を1.5〜40としたときには、高性能で信頼性の高い膜を得ることができる。すなわち、V1/V2を1.5以上としたことから、過度の厚膜による圧力損失の増大、透過性能の低下を防止することができ、また上記比V1/V2を40以下としたことから、分離膜が支持体にひきずられて形成されることによる膜の破れやクラックといった欠陥の発生を防止することができる。
以下、本発明による筒状セラミック多孔質体について、詳細に説明する。
図1は本発明の筒状セラミック多孔質体1の一例を示す斜視図である。
本発明の製造方法によって得られる筒状セラミック多孔質体1は、筒状をしたセラミック多孔質支持体2の表面に厚みt1の無機多孔質分離膜(以下、単に分離膜と称す)3を担持(積層)し、その合計の厚みがtからなり、前記分離膜3側から前記支持体2側に向かって流体を透過することで濾過することできるようにしてある。
そして、本発明の特徴として、筒状セラミック多孔質体1の分離膜3は、厚みt1が0.05mm〜0.5mm、平均細孔径0.04μm〜0.3μm、最大細孔径0.4μm以下、気率30〜50%の一層或いは複数層の無機多孔質からなるものである。
ここで、上記分離膜3の厚みt1を0.05mm〜0.5mmとしたのは、厚みt1が0.05mm未満であれば膜厚が薄いため、破れやクラックなどの欠陥を生じ、信頼性を低下させるためであり、0.5mmを越える場合には、圧力損失が大きくなり、セラミック多孔質体全体としての透過性能が低下してしまうからである。
また、分離膜3の平均細孔径を0.04μm〜0.3μmとしたのは、0.04μm未満の場合には、細孔径が小さすぎて透過性能が低下するので好ましくないためであり、平均細孔径が0.3μmを上回る場合には、分離性能が低下してしまうためである。また、このようにすることで、例えばウィルス、粘土類、細菌類そして藻類、に対する優れた分離性能を発揮することができる。
そして、最大細孔径を0.4μ以下にすることで、特に産業用水・廃水処理用に本発明のセラミック多孔質体をセラミックフィルターとして用いる場合において、優れた分離性能を発揮し、大きさが約0.5μのシュードモナス(細菌の一種)などを適確に除去することが可能となる。
さらに、気孔率を30%〜50%としたのは、30%未満の場合には、透過性能が低下するので好ましくないためであり、50%を越える場合には、強度が低下し、欠陥につながるからである。
また、上記筒状セラミック多孔質体1は厚みが1.5〜2.5mm,曲げ強度が40Ma以上,500kPa加圧時の空気透過量が1.0/分/cm以上であることを特徴とする。
本発明において、筒状セラミック多孔質体1の厚みtを1.5mm〜2.5mmとしたのは、上記厚みtが1.5mm未満の場合には、多孔質体の透過性能が確保できる焼成温度で焼成すると、厚みが薄いために多孔質体の強度が満足できず好ましくないためであり、また2.5mmを超える場合には、多孔質体の分離性能が確保できる焼成温度で焼成すると焼結が進み、厚みによる圧力損失が大きくなることから、多孔質体全体としての透過性能が低下してしまうため好ましくないためである。
そして、前記筒状セラミック多孔質体1の曲げ強度を40MPa以上としたのは、40MPa未満では、セラミックフィルターの特徴である耐久性や物理的強度が活かせないためである。
このような前記の要素を制御することにより、500Paの加圧時の空気透過量が1.0L/分/cm以上とすることができるが、これによって、分離性能・強度を有した上で十分な濾過処理能力を確保することができる。
次に、本発明の別の実施形態を図2に示す。図2(a)は、筒状をしたセラミック多孔質支持体2の一方の側面に分離膜3を備えた断面図、図2(b)は、筒状をしたセラミック多孔質支持体2の一方の側面に分離膜31,32の二層を備えた断面図、図2(c)は、筒状をしたセラミック多孔質支持体2の両側面に分離膜31,32を備えた断面図である。
このように、本発明の製造方法によって得られる筒状セラミック多孔質体1は、図2(a)に示すように支持体と分離膜の二層構造とすることにより前述した優れた分離性能と透過性能をすることができ、さらに膜厚のバラツキが問題になる場合は、図2(b)(c)に示すように分離膜31,32を二層以上の複数層構造にすることで、さらに濾過性能のバラツキを低減できる。また、本発明の筒状セラミック多孔質体1の形状は、(以下不図示)楕円を含む略円筒状、多角形筒状のいずれであってもよい。
また、前述の筒状セラミック多孔質体1を用いてセラミックフィルターとすることによって、上水用フィルターのみならず、産業用水・廃水処理用のフィルターとして、強度に優れ、透過性能や分離性能に優れたセラミックフィルターとして用いることができる。
次に、本発明の製造方法を説明する。
本発明のセラミック多孔質体の製造方法は、図3(a)の断面図に示すように、ともに筒状の外芯13,内芯14、口金12からなる金型11に、支持体2用のセラミック粉末の坏土15、分離膜3用のセラミック粉末の杯土16を投入し、両原料を押出成形にて同時に一体成形することにより複数層の筒状成形体を得る。ここで、坏土15、16が一体となる分離膜吐出口19は口金部12に設け、口金12の長さLは10〜15mmのものを使用する。このように分離膜坏土16を口金部12まで単独で供給し、口金部12にて支持体坏土15と一体化させることによって、金型11の内面と分離膜3の杯土16との摩擦を低減することができ、摩擦による分離膜3の剥離を防止することができる。さらに、分離膜の杯土16の吐出口19は円周上に均等間隔で複数設けることで、分離膜3の厚みt1の円周方向の厚みt1のバラツキを抑止している。
このようにして得られた筒状成形体を1200℃〜1600℃の温度で焼成することにより前記筒状セラミック多孔質体1を作製する。
ここで、図3(a)は支持体2、分離膜3の筒状二層構造のセラミック多孔質体1を作製する金型11の一例を示したが、図2(b)(c)に示す二層以上の複数層の構造でも同様に製造することができる。すなわち、図3(b)に示すように、金型11の外芯部13に、分離膜31を形成する坏土22、分離膜32を形成する坏土23の各流路を設け、坏土22の吐出口19の前方に坏土23の吐出口25を配置すればよい。
このように、筒状セラミック多孔質体1を押出成形にて一体成形するようにしたことから、別途の膜付け工程を必要とせず、また、分離膜3、支持体2ともに坏土で供給されるため、膜粒子が支持体細孔内に入り込むといった問題を防止できる。
前記筒状セラミック多孔質支持体2を形成するセラミック粉末の坏土15は、平均粒径が3.0μm〜9.0μmのセラミックス粉末からなる原料を用い、前記分離膜3を形成するセラミック粉末の坏土16は、平均粒径が0.4μm〜2.5μmのセラミック粉末からなる原料を用いる。また、前記分離膜3を形成するセラミック粉末からなる原料は、好ましくは、粒度分布の小径側から累積10%、累積90%に相当する粒径をそれぞれD10、D90としたとき、90/10比が3以下であるセラミック粉末からなる原料を用いる。
すなわち、前記分離膜をなすセラミック粉末は平均粒径が0.4μm〜2.5μmであって、好ましくは、前記セラミック粉末の粒度分布において、小径側から累積10%、および累積90%に相当するセラミック粉末の粒径をそれぞれD10、D90としたとき、90/10の比が3以下となるように設定することによって、前記分離膜をセラミック多孔質支持体に担持させて、1200℃〜1600℃の範囲で焼成することによって、前述の平均細孔径を0.04μm〜0.3μm、最大細孔径を0.4μm以下、気孔率を30〜50%とすることができることを知見したのである。
そして、前記筒状成形体の焼成温度を1200℃〜1600℃としたのは、その範囲を超える場合には、セラミック多孔質体の平均細孔径、最大細孔径、透過性能、曲げ強度の内、少なくとも1つが満足できなくなるため好ましくないからである。
、使用するセラミック粉末の平均粒径によって、適正な焼成温度範囲は変化するが、例えば、セラミック多孔質支持体に平均粒径が3.0μm以上6.0μm未満のセラミックス粉末からなる原料を用い、分離膜に平均粒径が0.4μm以上1.5μm未満のセラミックス粉末からなる原料を用いる場合には1200℃〜1500℃、セラミック多孔質支持体に平均粒径が6.0μm以上7.5μm未満のセラミックス粉末からなる原料を用い、分離膜用に平均粒径が1.5μm以上2.0μm未満のセラミックス粉末からなる原料を用いる場合には1400℃〜1550℃、セラミック多孔質支持体平均粒径が7.5μm以上9.0μm未満のセラミックス粉末からなる原料を用い、分離膜用に2.0m以上2.5μm未満のセラミックス粉末からなる原料を用いる場合は1450℃〜1600℃の範囲がより好ましい。
前記押出成形は、支持体2となるセラミック粉末の杯土15の吐出量をV1、分離膜3となるセラミック粉末の杯土16の吐出量をV2としたとき、V1/V2比が1.5〜40の範囲で成形する。各坏土15,16,22,23の吐出量V1、V2は、図3(a)に示すように、支持体側プランジャー17、分離膜側プランジャー18の各速度によって調整することができ、上記V1/V2比が1.5〜40の範囲となるように設定した。
ここで、支持体2となるセラミック粉末の杯土15の吐出量をV1、分離膜3となるセラミック粉末の杯土16の吐出量をV2としたとき、V1/V2比が1.5〜40としたのは、上記V1/V2比が1.5未満であると、過度の厚膜による透過性能の低下の問題が発生し、また、上記V1/V2比が40を越えると、分離膜が支持体にひきずられて形成されることにより膜破れやクラック等の分離膜の欠陥が生ずるためである。
尚、V1/V2比のより好ましい範囲は5〜25である。
また、図2(b)(c)に示すような分離膜が二層以上の複数層の構造においては、支持体2となるセラミック粉末の坏土15の吐出量をV1とし、分離膜31となる坏土22の吐出量と、分離膜32となる坏土23の吐出量のトータルをV2として、上記V1/V2比の範囲と同様となるように設定すればよい。
そして、本発明のセラミック多孔質支持体、分離膜に使用する原料は特に指定しないが、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、コージェライト、ムライト等や、これらの2種以上を適宜混合してなる原料が例示されるが、耐食性や耐久性、耐熱性の点から、α―アルミナが好ましく、その中でも、焼成温度に対して、粒成長しにくく、多孔質体の細孔制御がし易い電融アルミナが好ましい。
さらに、前記セラミック多孔質支持体と分離膜に使用する原料は、異なった原料であっても良いが、互いに反応して特性の劣化した化合物を形成する組み合わせは避けた方がよく、収縮の違い等からくる反りやクラックを考慮するならば、同じ原料を組み合わせることが好ましいことはいうまでもないことである。
(実施例1)
まず、図1に示す筒状セラミック多孔質体1を得るために、セラミック多孔質支持体2用の原料として、平均粒径が6μmのα−アルミナを、また、分離膜3用の原料として、0.3〜3.0μmの平均粒径のα−アルミナを使用し、また分離膜3用のセラミック粉末の粒度分布を小径側から累積10%、累積90%に相当する粒径をそれぞれD10D90としたときD90/D10比を1.5〜3.5とし、それぞれに成形用バインダーとしてメトローズなどの結合剤、マルレックスなどの潤滑剤およびセラミゾールなどの可塑剤を加えて混練し、押出成形用の原料を得た。
上記セラミック粉末の原料を用い、前述した図3(a)の押出成型用の金型11を用い、外芯13側に筒状セラミック多孔質体1の分離膜3の杯土16を、また、内芯14側に支持体2の杯土15を口金12から押出すことにより、二層の筒状セラミック成形体を作製した。その後、焼成することにより外径φが13mm、厚みtは1.8mm、分離膜3の厚みt1は0.04〜0.6mmとなる筒状セラミック多孔質体1を作製した。
尚、ここで、支持体となるセラミック粉末の吐出量V1と分離膜となるセラミック粉末の吐出量V2のV1/V2比は15とした。ここで、支持体側、分離膜側の各プランジャー17、18により、それぞれ吐出量V1=339mm/sec、V2=22.5mm/secとなるよう調整した。また、金型11の口金の長さLは12mmとし、分離膜となる杯土16は外心13の円周方向内壁に等間隔で3つの流路で供給し上記口金12の入り口の分離膜3の吐出口19で合流し吐出する構造とした。
上記の二層押出成形で得られた成形体を200mmの長さになるように切断し、セラミック多孔質体の厚みが1.8mmとなるように設定したものを1400℃の温度で焼成し、得られた筒状セラミック多孔質体1の平均細孔径、最大細孔径、気孔率、空気透過量、曲げ強度の測定を行った。また、分離膜3の破れやクラックの有無についても観察した。尚、それぞれの測定方法は以下の通りである。
すなわち、セラミック粉末の平均粒径、粒度分布の測定は、セラミック粉末をレーザー回折法(マイクロトラック9320−X100)にて測定し、小径側から累積50%の粒径を平均粒径とし、累積10%、累積90%の粒径をそれぞれD10、D90として、D90/D10の比を求めた。
また、平均細孔径、最大細孔径、気孔率の測定については、水銀圧入法を測定原理とする、micromeritics社製(ポアサイザー―9310型)を用いて測定し、平均細孔径と最大細孔径、気孔率を求めた。
また、空気透過量の測定には、Porous Materials社製バブルポイント法に基づく自動細孔測定装置(Perm Porometer)を用いて測定し、500kPa加圧時の空気透過量を求めた。
そして、曲げ強度の測定においては、アイコーエンジニアリング社製(デジタル式荷重測定機1840)を用いて、スパン80mm、クロスヘッドスピード0.5mm/分の条件で3点曲げ試験を行い、円筒形状の断面係数と曲げモーメントより曲げ強度を求めた。
さらに、各々の試料を、双眼顕微鏡で観察し、分離膜のクラックや剥離等の欠陥について、検査し、クラックや剥離が無いものを○とし、有るものを×と評価した。
従来製法による比較例として、平均粒径6μのα−アルミナを使用して支持体を作し、平均粒径0.5μ、D90/D10比が3のα―アルミナ粒子を含む懸濁液を用いて一回のコーティングを行い、1500℃で焼成することによりセラミック多孔質体を得た。尚、比較例の多孔質体の厚みは2.0mmで分離膜の厚みは0.03mmとした。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0004514560
表1の結果から解るように、分離膜をコーティングにより形成した比較例である試料番号22では、細孔径、透過性能については良好であったが、分離膜にクラックが観察されたため、総合評価として×であった。
本発明実施例においては、試料番号1〜21のいずれにおいても、分離膜の欠陥は見られなかったが、分離膜のセラミック粉末粒径が0.3μで本発明の範囲外となる試料番号1〜3では、分離膜平均細孔径が0.014〜0.016μm、分離膜の気孔率が28.1〜28.3%となり、従って、空気透過性能も0.77〜0.86L/分/cmと十分な透過性能が得られず総合評価は×であった。また、上記分離膜のセラミック粉末粒径が3μで本発明範囲外の試料番号19〜21では最大細孔径0.44〜0.47μmと大きく、分離性能が得られないという結果になり総合評価は×であった。
一方で、分離膜のセラミック粉末粒度分布90/10比本発明範囲外の3.5とした試料番号6,9,12,15,18の場合、いずれの粉末粒径を用いた試料においても、最大細孔径あるいは透過性能のどちらかが分な性能を達成することができず、総合評価は×であった。
これらに対して、本発明実施例の分離膜のセラミック粉末粒径0.4〜2.5μ、セラミック粉末粒度分布90/10比が3以下の条件で作製した試料番号4,5,7,8,10,11,13,14,16,17においては、最大細孔径と透過性能とのいずれにおいても良好な結果を得ることができ、剥離、クラック等の膜欠陥についても全く見られず総合評価は○であった。
(実施例2)
に、実施例1と同一のセラミック粉末を用いて、図1に示す筒状セラミック多孔質体1を得るために、支持体2となる杯土15と分離膜3となる杯土16を、金型11の口金12から押し出す吐出量の比V1/V2を、おのおの変え筒状セラミック多孔質体1を作製し、形成された分離膜3の評価をった。
試料の形状サイズは実施例1と同じで、支持体2となるセラミック粉末の粒径が6μm、分離膜3となるセラミック粉末は粒径が1.0μm、D90/D10比が3.0とし、支持体2となるセラミック粉末の杯土15の吐出量V1と分離膜3となるセラミック粉末の杯土16の吐出量V2のV1/V2比を1.0〜45の範囲で7水準の条件で杯土15,16を吐出することにより、セラミツク成形体を得、1400℃の温度で焼成することにより筒状セラミック多孔質体1を作製した。尚、吐出量については、実施例1の吐出量比を参考にして、各々プランジャー17、18によって吐出量の調整を行い、所定のV1/V2比となるように設定を行った。
上記各試料について、分離膜3の厚みバラツキならびに、剥離やクラックの欠陥がないか、双眼顕微鏡を用いて観察した。厚みバラツキについては、1個の試料の任意の箇所5カ所を選び、破断し双眼顕微鏡で測定し、厚み平均値と最大値、最小値で表した。また剥離、クラックが有るものは×とし、無いものは○と評価した。
以上の結果を表2に示す。
Figure 0004514560
表2から、本発明範囲外である、吐出量比V1/V2比1の試料番号100は、分離膜の剥離、クラック等の欠陥はないが、分離膜の平均膜厚t1が0.5mmを超え、従って、圧力損失が大きく、分な空気透過性能が得られず総合評価は×であった。さらに、上記吐出量比V1/V2が45で本発明範囲外の試料番号106は、空気透過性能は問題ないが、分離膜の剥離、クラックのいずれも発生し、総合評価は×であった。
これに対し、吐出量比V1/V2比が1.5〜40の本発明実施例の試料番号101〜105は、分離膜の平均膜厚は0.05〜0.5mmの範囲内でかつ、そのバラツキも小さく抑えられ、さらに、分離膜の剥離やクラックの欠陥も無く総合評価は○であった。
以上の結果から、吐出量比V1/V2比は1.5〜40の範囲とするのがよく、透過性能や膜厚のバラツキ、膜の欠陥の発生といったことを考慮すると、5〜25の範囲とすることがより好ましいことが分かる。
本発明のセラミック多孔質体を用いたフィルターは、食品、医薬品、エレクトロニクス、バイオ産業などの工業分野において、ろ過、濃縮、分離の工程に用いられるが、前述したように、特に産業用水・廃水処理用のフィルターとして好適に用いることができる。
本発明のセラミック多孔質体の一例を示す斜視図である。 (a)〜(c)は本発明のセラミック多孔質体の部分拡大断面図である。 (a)(b)は本発明の製造方法の一例を示す金型の断面図である。 (a)は従来のセラミック積層体の製造方法を示す断面図、(b)はセラミック積層体の断面図である。
符号の説明
1:筒状セラミック多孔質体
2:支持体
3、31,32:分離膜
11,111:金型
12,112:口金
13:外芯
14:内芯
15:支持体の杯土
16、22、23:分離膜の杯土
19、25:分離膜の吐出口
18:セラミック成形体
115:電極用の杯土
116:セパレータ用の杯土
17、18、24、117:プランジャー
118:グリーン積層成形体

Claims (3)

  1. 筒状をした支持体の表面に、膜厚が0.05mm〜0.5mm、平均細孔径が0.04μm〜0.3μm、最大細孔径が0.4μm以下、気孔率が30〜50%の一層或いは複数層の無機多孔質分離膜からなり、厚みが1.5〜2.5mm、曲げ強度が40MPa以上、500kPa加圧時の空気透過量が1.0L/分/cm 以上である分離膜を備えてなる筒状セラミック多孔質体の製造方法であって、前記支持体は平均粒径が3.0μm〜9.0μmのセラミックス粉末からなる原料を用い、前記分離膜は平均粒径が0.4μm〜2.5μmのセラミックス粉末からなる原料を用い、両原料を押出成形にて同時に一体成形することにより筒状成形体を作製し、該筒状成形体を1200℃〜1600℃の温度で焼成することを特徴とする筒状セラミック多孔質体の製造方法。
  2. 前記分離膜を成すセラミックス粉末は、粒度分布の小径側から累積10%、累積90%に相当する粒径をそれぞれD10、D90としたとき、90/10比が3以下であることを特徴とする請求項1に記載の筒状セラミック多孔質体の製造方法。
  3. 前記押出成形は、支持体となるセラミック粉末の杯土の吐出量をV1、分離膜となるセラミック粉末の杯土の吐出量をV2としたとき、V1/V2比が1.5〜40の範囲で成形することを特徴とする請求項またはに記載の筒状セラミック多孔質体の製造方法。
JP2004243909A 2003-09-22 2004-08-24 筒状セラミック多孔質体及びその製造方法ならびにこれを用いたセラミックフィルター Expired - Fee Related JP4514560B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004243909A JP4514560B2 (ja) 2003-09-22 2004-08-24 筒状セラミック多孔質体及びその製造方法ならびにこれを用いたセラミックフィルター

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003330598 2003-09-22
JP2004243909A JP4514560B2 (ja) 2003-09-22 2004-08-24 筒状セラミック多孔質体及びその製造方法ならびにこれを用いたセラミックフィルター

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005118771A JP2005118771A (ja) 2005-05-12
JP4514560B2 true JP4514560B2 (ja) 2010-07-28

Family

ID=34621891

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004243909A Expired - Fee Related JP4514560B2 (ja) 2003-09-22 2004-08-24 筒状セラミック多孔質体及びその製造方法ならびにこれを用いたセラミックフィルター

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4514560B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5110839B2 (ja) * 2006-01-27 2012-12-26 京セラ株式会社 セラミックフィルター
JP5036211B2 (ja) * 2006-04-17 2012-09-26 株式会社ニッカトー セラミックフィルター及びその製造方法
JP5013769B2 (ja) * 2006-08-03 2012-08-29 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 酸素分離膜
KR101034869B1 (ko) * 2008-11-12 2011-05-17 한국전기연구원 관상의 나노다공질 산화물 세라믹 막과 이를 이용한 막 필터
JP5719586B2 (ja) * 2010-06-08 2015-05-20 株式会社マルコム 真空混練脱泡装置
JP6001298B2 (ja) * 2012-03-29 2016-10-05 ケイミュー株式会社 押出成形体の製造方法
JP6415200B2 (ja) * 2014-09-11 2018-10-31 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 片端封止型筒状セラミックスおよびその製造方法
EP3984626B1 (en) * 2020-10-16 2023-11-29 Mann+Hummel Life Sciences & Environment Holding Singapore Pte. Ltd. Ceramic filtration element
CN113398782A (zh) * 2021-05-17 2021-09-17 四川凯歌微纳科技有限公司 一种高分离性能的管式陶瓷膜及其制备方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004255311A (ja) * 2003-02-26 2004-09-16 Kyocera Corp セラミック多孔質体とその製造方法及びこれを用いたセラミックフィルター

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2767826B2 (ja) * 1987-10-06 1998-06-18 エヌオーケー株式会社 多孔質セラミックス多層中空糸の製造法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004255311A (ja) * 2003-02-26 2004-09-16 Kyocera Corp セラミック多孔質体とその製造方法及びこれを用いたセラミックフィルター

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005118771A (ja) 2005-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2066426B1 (en) Method for preparing a porous inorganic coating on a porous support using certain pore formers
JP6892821B2 (ja) 無機メンブランフィルターおよびその方法
JP2004299966A (ja) ハニカムフィルタ用基材及びその製造方法、並びにハニカムフィルタ
JP4514560B2 (ja) 筒状セラミック多孔質体及びその製造方法ならびにこれを用いたセラミックフィルター
JP4367678B2 (ja) セラミックフィルタ
JP2023011761A (ja) セラミック膜フィルタ
US6551369B1 (en) Ceramic flat membrane and method for producing the same
JP6436974B2 (ja) モノリス型分離膜構造体及びモノリス型分離膜構造体の製造方法
WO2017169591A1 (ja) 多孔質支持体、多孔質支持体の製造方法、分離膜構造体及び分離膜構造体の製造方法
JP6490665B2 (ja) モノリス型分離膜構造体、モノリス型分離膜構造体の製造方法及び脱水方法
JP2004521732A5 (ja)
JP5110839B2 (ja) セラミックフィルター
US10870607B2 (en) Inorganic membrane filtration articles and methods thereof
JP2023021136A (ja) セラミックフィルタ
JP6609547B2 (ja) モノリス型分離膜構造体
US20080142432A1 (en) Bag tube shaped body with porous multilayer structure
JP2004255311A (ja) セラミック多孔質体とその製造方法及びこれを用いたセラミックフィルター
JP6541644B2 (ja) モノリス型基材、モノリス型分離膜構造体及びモノリス型基材の製造方法
JP2004202399A (ja) セラミック多孔質体とその製造方法及びこれを用いたセラミックフィルター
JP4933740B2 (ja) セラミックフィルタの製造方法
JP6417355B2 (ja) モノリス型分離膜構造体
JP6577866B2 (ja) モノリス型分離膜構造体及びその製造方法
JP6403710B2 (ja) モノリス型基材及びその製造方法
JP2020521634A (ja) 一体式メンブレンろ過構造体
Wahid et al. Performance of ceramic filters: Influence of particle sizes and sintering temperature

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070718

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090706

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090825

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091022

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100413

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100511

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130521

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees