JP4514115B2 - 角速度センサ - Google Patents

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本発明は、航空機,船舶,自動車などの姿勢制御や位置検出などに利用される回転系内の回転角速度を検出するセンサに適用できる角速度センサに関する。
角速度センサには様々な種類があるが、組み込むために薄く小型にし、かつ軽量にするという要求を満たすものとして、振動型の角速度センサがある。従来よりある振動型の角速度センサは、四角柱に加工した振動子を振動させて回転に伴って働くコリオリ力を検出するものである。
このような従来の角速度センサとして、音叉型振動子を用いたものがある(特許文献1参照)。また、回転軸に対して交差する面内に延在する複数の支持部と、各支持部の先端に支持された複数の屈曲振動片とを備えた振動子も提案されている(特許文献2参照)。特許文献2の振動子によれば、上記面内の回転の回転速度が検出でき、ジャイロスコープの低背化を可能としている。
一方、検出すべき運動の自由度に多軸化が求められるようになり、直交する3軸の各成分(角速度)を検出する角速度センサが提案されている。例えば、振動子により3軸化を図ろうとする場合、角速度の検出原理であるコリオリ力を3軸のすべてについて発生させるため、素子は、駆動変位速度として少なくとも直交する2方向成分を有する必要がある。これを実現する技術として、1つの慣性体要素を、時間的にも直交した2相駆動により円運動させる方式が提案されている(非特許文献1参照)。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
特開2002−340559号公報 特開平11−281372号公報 田村英樹、市村敏也、富川義朗、「2相駆動による3軸角速度検出ジャイロセンサ」、超音波TECHNO、2002.1−2、pp.6−13、(2002−01)
以上に説明したように、従来では、複数の振動子を組み合わせることで、3軸の各成分検出するようにしているため、角速度センサの構成が複雑になるという問題があった。また、1つの慣性体要素を時間的にも直交した2相駆動により円運動させる方式では、圧電振動材料の板(振動子)に均整な円運動を与えることが困難であり、他軸信号との直交性が乱れ、異なる成分の信号の分離が容易ではないという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、1つの振動子により3軸方向の角速度が検出できるようにすることを目的とする。
発明に係る角速度センサは、所定の軸を中心に少なくとも3回の対称性を有する圧電材料から構成され、上記軸を法線とする同一の平面内で一端が互いに連結されて各々120°異なる方向に延在する3つの脚部と、脚部の間に架設されている3つの梁部と、各々の梁部の平面に直交する側面に設けられた励振電極と、各々の脚部の平面に平行な上面に設けられた検出電極とを備えるようにしたものである。
以上説明したように、本発明によれば、同一の平面内で一端が互いに連結されて各々120°異なる方向に延在する3つの脚部と、脚部の間に架設されている3つの梁部とを備えるようにしたので、1つの振動子により3軸方向の角速度が検出できるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態における振動子の構成例を示す平面図である。図1に示す振動子は、水晶から構成され、中央部(連結部)101より各々120°異なる方向に延在する3つの脚部121,122,123と、各脚部の外側部分に架設されている3つの梁部131,132,133とから構成されたものである。3つの梁部131,132,133は、互いに120°異なる方向に延在している。また、3つの梁部131,132,133は、隣り合う脚部を連結している。
このように、本振動子は、所定の軸を中心に少なくとも3回の対称性を有する圧電材料から構成され、上記軸を法線とする同一の平面内で一端が互いに連結されて各々120°異なる方向に延在する3つの脚部121,122,123と、各脚部の間に架設されている3つの梁部131,132,133とを備えるようにしたものである。各脚部121,122,123は、一端が中央部101で連結されている。
図1に示す振動子は、例えば板厚0.358mmの水晶板(Z板)を、例えばエッチングなどにより加工することで形成すればよい。また、各脚部や各梁部は、幅0.2〜0.7mm程度に形成されていればよい。また、各脚部は、長さ1.5〜2mm程度に形成されていればよい。また、各梁部は、長さ5〜6mm程度に形成されていればよい。図1に示す振動子では、3つの脚部はすべて同一の長さに形成され、同様に、3つの梁部はすべて同一の長さに形成されている。
図1に示す振動子は、図2に示す振動モードを有している。図1に示す振動子によれば、図2(a)に示す特に安定な振動モードにより、各梁部131,132,133を、図2の紙面の平面方向に放射状に屈曲振動させるように駆動(励振)することで、図2(b),(c),(d)に示す角速度Ωz,Ωy,Ωxの変位速度成分を同時に得ることができる。
図2(b),図2(c),図2(d)は、本振動子を駆動させたときに、角速度Ωが印加された場合に生じるコリオリ力(F=−2mΩ×v)から誘起され得る、各部分の変位の方向を示している。本振動子が駆動している状態で回転角速度Ωz,Ωy,Ωxが印加されると、コリオリ力が各々図2(b),図2(c),図2(d)に示すように各梁部に生じ、各々の振動変位成分が誘起される。
図1に示す振動子は、3回対称性を有する結晶である水晶から構成されているので、中央部101より各々120°異なる方向に延在する3つの脚部121,122,123は、振動特性が等しくなる。従って、単相駆動による励振が可能となる。また、3回の対称形状により、各脚の検出振動特性が等しくなるため、検出時の信号処理が容易となる。
なお、各振動モードの振動周波数はほぼ等しい状態とした方がよく、モードを近接させるためには、振動子の厚さ,梁及び脚の幅や長さを適宜設計すればよい。
次に、上述した励振と検出を行うための電極配置例について説明する。
図3は、図1に示した振動子を用いて角速度センサを構成するための電極の配置を示した斜視図である。図3に示すように、梁部131に励振電極311,312,313,314が配設され、梁部132に励振電極321,322,323,324が配設され、梁部133に励振電極331,332,333,334が配設されている。各励振電極は、各脚部及び各梁部が配置されている平面に直交する側面に設けられている。
例えば、図3(b)に示すように、励振電極311,313と励振電極312,314との間に交流電圧(励振信号)VDを印加することで、梁部131を、上記平面(y)方向に屈曲振動させることができる。同様に、励振電極321,323と励振電極322,324との間に励振信号VDを印加することで、梁部132を屈曲振動させることができ、励振電極331,333と励振電極332,334との間に励振信号VDを印加することで、梁部133を屈曲振動させることができる。これら、各梁部に屈曲振動を起こさせることで、前述したように、図3に示す角速度センサを励振したことになる。
また、脚部121に検出電極341,342が配設され、脚部122に検出電極351,352が配設され、脚部123に検出電極361,362が配設されている。また、中央部101より放射状に延在するように、各脚部上面の中央部に配設された接地電極301を備える。例えば、接地電極301の電位を基準とし、各検出電極に生じる電圧が検出される。各検出電極は、各脚部及び各梁部が配置されている平面に平行な上面に設けられている。なお、図3に示す角速度センサは、中央部101に部分において支持手段により支持されている。
次に、上述した各検出電極により、励振状態とした図3に示す角速度センサによる角速度の検出について説明する。
各検出電極は、図4に示すように検出回路に接続すればよい。例えば、検出電極341,342は、差動増幅回路401の2つの入力端に接続される。差動増幅回路401は、例えばオペアンプを含み、このオペアンプの非反転入力端及び反転入力端に、検出電極341及び検出電極342が、各々接続される。差動増幅回路401により、検出電極341と検出電極342との出力差が検出される。
差動増幅回路401から出力された信号は、同期検波回路411の一方の入力端に入力される。同期検波回路411の他方の入力端には、位相回路421が接続される。同期検波回路411は、振動子を励振するために発振回路430から出力される励振信号に同期して、差動増幅回路401の出力を検波する。なお、図4において、便宜上、発振回路430を複数に示しているが、これらはすべて同一である。
さらに、同期検波回路411から出力された信号は、整流増幅回路441により整流されて増幅される。
また、検出電極351,352は、差動増幅回路402の2つの入力端に接続され、検出電極361,362は、差動増幅回路403の2つの入力端に接続される。差動増幅回路402から出力された信号と差動増幅回路403から出力された信号とは、差動増幅回路404に入力し、差動増幅回路404から出力された信号は、同期検波回路412の一方の入力端に入力される。同期検波回路412他方の入力端には、位相回路422が接続される。同期検波回路412は、振動子を励振するために発振回路430から出力される励振信号に同期して、差動増幅回路404の出力を検波する。さらに、同期検波回路412から出力された信号は、整流増幅回路442により整流されて増幅される。
また、検出電極341,342,351,352,361,362は、加算器405の入力単に接続され、加算器405から出力された信号は、同期検波回路413の一方の入力端に入力される。同期検波回路413の他方の入力端には、位相回路423が接続される。同期検波回路413は、振動子を励振するために発振回路430から出力される励振信号に同期して、加算器405の出力を検波する。さらに、同期検波回路413から出力された信号は、整流増幅回路443により整流されて増幅される。
上述した検出回路により、まず、整流増幅回路441から出力された信号により、図2(d)に示す角速度Ωxが得られる。また、整流増幅回路442から出力された信号により、図2(c)に示す角速度Ωyが得られる。また、整流増幅回路443から出力された信号により、図2(b)に示す角速度Ωzが得られる。
次に、本発明の実施の形態における他の振動子について説明する。図5は、本実施の形態における振動子の構成例を示す斜視図である。
図5に示す振動子は、中央部500より各々120°異なる方向に延在する3つの脚部501,502,503と、各脚部501,502,503の外側部分に架設されている3つの梁部504,505,506とから構成されたものである。3つの梁部504,505,506は、各脚部501,502,503の外側部分を連結している。
3つの梁部504,505,506は、互いに120°異なる方向に延在している。このように、本振動子も、同一の平面内で各々120°異なる方向に中央部500より延在する3つの脚部501,502,503と、各脚部の間に架設されている3つの梁部504,505,506とを備えるようにしたものである。
また、図5に示す振動子は、次に説明するように、励振電極及び検出電極を備えている。
まず、梁部504に励振電極511,512,513,514が配設され、梁部505に励振電極521,522,523,524が配設され、梁部506に励振電極531,532,533,534が配設されている。
また、脚部501に検出電極541,542が配設され、脚部502に検出電極551,552が配設され、脚部503に検出電極561,562が配設されている。各検出電極は、本振動子の上面に配設され、励振電極は、各脚部の上面に直行する側面に配設されている。
また、中央部500より放射状に延在するように、各脚部上面の中央部に配設された配線541,542,543を備え、配線541,542,543により、励振電極512,514,522,524,532,534に励振信号が印加される。励振電極511,513,521,523,531,533には、各脚部の裏面に設けられた図示しない配線により励振信号が印加される。
次に、本発明の実施の形態における他の振動子について説明する。図6は、本実施の形態における振動子の構成例を示す斜視図である。
図6に示す振動子は、中央部600より各々120°異なる方向に延在する3つの脚部601,602,603と、各脚部の外側部分に架設されている3つの梁部604,605,606とから構成されたものである。3つの梁部604,605,606は、各脚部の外側部分を連結している。また、3つの梁部604,605,606は、互いに120°異なる方向に延在している。
このように、本振動子も、同一の平面内で各々120°異なる方向に中央部600より延在する3つの脚部601,602,603と、各脚部の間に架設されている3つの梁部604,605,606とを備える。
加えて、図6に示す振動子は、各脚部601,602,603を中心脚とし、これに対称配置され、かつ平行に配置され、各脚部601,602,603中央部600側で連結する各々2つの側脚611a,611b,612a,612b,613a,613bを備える。また、図6に示す振動子は、隣り合う側脚の間に架設されている側脚梁614,615,616を備える。側脚梁614,615,616は、隣り合う側脚を連結している。
また、図6に示す振動子は、支持接続部621,622,623を備える。図6に示す振動子は、所定のパッケージの内部に設けた台座などに、支持接続部621,622,623を固定することができる。また、図6に示す振動子は、支持接続部621,622,623に、図示しない励振電極や検出電極に接続する配線への接続端子を配置することができる。なお、図6(b)に示すように、隣り合う脚部(中心脚)の間に側脚梁を設けない構成としてもよい。
図6に示す振動子によれば、複数の支持接続部により支持する構成としたので、より安定した状態で支持することができる。また、図6に示す振動子のように、脚部(中心脚)と逆相に振れるように側脚を設けることで、支持接続部付近において各々のひずみが相殺されるようになる。このことにより、振動エネルギーの散逸や支持に対する悪影響が、低減できるようになる。加えて、図6(a)に示す振動子によれば、各振動モード間の結合が回避できるようになる。
なお、図6(a)に示す振動子では、脚部601,602,603の上面に検出電極を設ければよい。また、側脚部611a,611b,612a,612b,613a,613bの上面に検出電極を設けるようにしてもよい。また、図6(a)に示す振動子では、梁部604,605,606もしくは側脚梁614,615,616のいずれかに励振電極を設ければよい。ただし、梁部604,605,606に励振電極を設けて駆動することで、より低い振動周波数とすることができる。
なお、上述では、水晶から振動子を構成するようにしたが、これに限るものではない。3の整数倍の対称性を有する圧電結晶を用いるようにしてもよい。また、PZTセラミックスなどの圧電セラミックスを用いるようにしてもよい。圧電セラミックス材料は、所定の軸(Z軸)に対して無限の対称性を有している材料である。
本発明の実施の形態における振動子の構成例を示す平面図である。 図1に示す振動子の振動モードを説明するための説明図である。 図1に示した振動子を用いて角速度センサを構成するための電極の配置を示した斜視図である。 図3に示した各検出電極と検出回路との接続関係を示す概略的な回路図である。 本発明の実施の形態における振動子の他の構成例を示す斜視図である。 本発明の実施の形態における振動子の他の構成例を示す斜視図である。
符号の説明
101…中央部、121,122,123…脚部、131,132,133…梁部。

Claims (1)

  1. 所定の軸を中心に少なくとも3回の対称性を有する圧電材料から構成され、
    前記軸を法線とする同一の平面内で一端が互いに連結されて各々120°異なる方向に延在する3つの脚部と、
    前記脚部の間に架設されている3つの梁部と、
    各々の前記梁部の前記平面に直交する側面に設けられた励振電極と、
    各々の前記脚部の前記平面に平行な上面に設けられた検出電極と
    を備えることを特徴とする角速度センサ。
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