JP2008175679A - 振動ジャイロ - Google Patents
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Abstract
【課題】 振動子の小形化に伴う検出感度の低下を補うだけの駆動検出効率の向上を図るとともに、1個の振動子で2軸の角速度検出を可能とした振動ジャイロを提供すること。
【解決手段】 互いに直交するY軸及びZ軸周りの角速度ωy,ωzを検出する振動ジャイロであり、この振動ジャイロの振動子は第1、第2、第3、第4のアーム部を備え、各々のアーム部に対応して検出用の電極42ab、42bb、42cb、42dbが形成され、各電極から得られた出力電圧V42a、V42b、V42c、V42dに対して、(1)(V42a−V42c)−(V42b−V42d)をY軸周りの角速度出力とし、(2)(V42a−V42c)+(V42b−V42d)をZ軸周りの角速度出力として検出する振動ジャイロである。
【選択図】 図12
Description
本発明は、角速度を検出する振動ジャイロに関し、特に、自動車のナビゲーションシステムや姿勢制御、或いは、カメラ一体型VTRの手振れ補正装置等に好適な振動ジャイロに関する。
振動ジャイロは、速度を持つ物体に角速度が与えられると、その物体自身に速度方向と直角な方向にコリオリ力が発生するという力学現象を利用した角速度センサである。また振動ジャイロは、電気的な信号で、機械的な振動を励起させて駆動振動とし、コリオリ力によって生じる前記駆動振動と直交する成分を有する機械的な振動を検出振動として、その大きさを電気的に検出するセンサである。この振動ジャイロは、予め、駆動振動を励起させた状態で、駆動振動面と検出振動面との交線と平行な軸を中心とした回転の角速度を与えると、コリオリ力により、検出振動が発生し、出力電圧として検出される。検出された出力電圧は駆動振動の大きさ及び角速度に比例するため、駆動振動の大きさを一定にした状態では、出力電圧の大きさから角速度の大きさを求めることができる。
振動ジャイロは小形で安価に製造できることから、特にカメラの手振れ補正装置に使用されている。近年、カメラ機器の小形化に伴い、圧電振動ジャイロに対する小形・低価格化のニーズも高まっている。特許文献1には、2軸の角速度検出を1個の振動子で構成することで、小形・低価格化を実現する技術が開示されている。
図14には、特許文献1に記載の振動ジャイロを示す。振動子213は、対になった4組の駆動検出用電極216a〜216hを有し、駆動回路230によって駆動振動させることができ、向かい合う2組の検出電極からは、各々回路240及び250を経由し、一方の軸周りの角速度に対する出力とそれと垂直な軸周りの角速度に対する出力が得られる。2個の振動子を駆動振動させる場合と比較し、駆動回路は1つで済むため回路規模は小さくできる利点がある。また、2個の振動子を駆動振動させる場合、互いの駆動振動周波数の差の周波数を有する干渉ノイズが発生し、振動ジャイロのS/Nを低下させるのに対し、1個の振動子を駆動振動させる場合は、干渉ノイズは全く発生しない利点もある。
ところがこのような振動子に関わらず、振動子の小形化を進めるにつれ検出感度が得られ難くなる問題がある。具体的には、振動子の小形化を厚みで言えば300μmを切ったあたりから顕著に振動子の共振抵抗が増加してしまい、検出感度を得るための十分な振動振幅を稼げなくなる。これは、振動子表面に形成した電極層の摩擦抵抗や、振動子内部或いは表面の僅かな欠陥などの摩擦抵抗の大きさが振動子の小形化に伴い相対的に増すというのが原因としてあげられる。
従い、検出感度を維持しながら、小形・低価格化を図るためには、前述の1個の振動子で2軸の角速度検出を行う工夫の他に、振動子の駆動検出効率を向上させる工夫が必要であった。
本発明は、前述の振動子の小形化に伴う検出感度の低下を補うだけの駆動検出効率の向上を図ると同時に、1個の振動子で2軸の角速度検出を可能とし、振動ジャイロの小形・低価格化を実現するものである。
本発明は、前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。本発明のポイントは2つあり、2軸の角速度検出の場合はそれぞれ独立した検出手段を設けるよりも両方の軸の角速度を検出できる検出手段を設けた方が感度に有利であると言うことと、両方の軸の角速度を検出できる検出手段から得られた信号を各々の軸の角速度に対応する信号に分離する方法をとることである。
即ち、本発明の振動ジャイロは、一方の軸周りと前記軸と直交する軸周りの角速度を検出する振動ジャイロにおいて、この振動ジャイロに用いる振動子は第1及び第2のアーム部を有し、前記第1及び第2のアーム部に1つずつ施された第1及び第2の検出電極から得られた第1及び第2の出力電圧を処理し、前記第1及び第2の出力電圧の和をとった信号を一方の軸周りの角速度を検出する信号とし、前記第1及び第2の出力電圧の差をとった信号を前記軸と直交する軸周りの角速度を検出する信号として分離することを特徴とする。
また、本発明の振動ジャイロは、一方の軸周りと前記軸と直交する軸周りの角速度を検出する振動ジャイロにおいて、この振動ジャイロに用いる振動子は4つのアーム部を有し、第1、第2、第3及び第4のアーム部に1つずつこの順に施された第1、第2、第3及び第4の検出電極から得られた第1、第2、第3及び第4の出力電圧を処理し、前記第1及び第3の出力電圧の差と前記第2及び第4の出力電圧の差との更に差をとった信号を一方の軸周りの角速度を検出する信号とし、前記第1及び第3の出力電圧の差と前記第2及び第4の出力電圧の差との更に和をとった信号を前記軸と直交する軸周りの角速度を検出する信号としたことを特徴とする。
そして、本発明の振動ジャイロは、一方の軸周りと前記軸と直交する軸周りの角速度を検出する振動ジャイロにおいて、この振動ジャイロに用いる振動子は4つのアーム部を有し、第1、第2、第3及び第4のアーム部に1つずつこの順に施された第1、第2、第3及び第4の検出電極から得られた第1、第2、第3及び第4の出力電圧を処理し、前記第1及び第4の出力電圧の和と前記第2及び第3の出力電圧の和との差をとった信号を一方の軸周りの角速度を検出する信号とし、第1、第2、第3及び第4の出力電圧の総和の信号を前記軸と直交する軸周りの角速度を検出する信号としたことを特徴とする。
前記の如く、本発明によれば、1個の振動子で2軸の角速度検出を可能とし、駆動検出効率の向上が図れるとともに、従来の振動ジャイロを大幅に小形・低価格化することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態は既に説明した次の2点に基づいている。(1)2軸の角速度検出の場合はそれぞれ独立した検出手段を設けるよりも両方の軸の角速度を検出できる検出手段を設けた方が感度に有利であると言うこと、(2)両方の軸の角速度を検出できる検出手段から得られた信号を各々の軸の角速度に対応する信号に分離する方法をとることである。
まず始めに、2軸の角速度検出の場合はそれぞれ独立した検出手段を設けるよりも両方の軸の角速度を検出できる検出手段を設けた方が感度に有利であると言うことについて説明する。駆動振動の方向と印加角速度軸の方向と印加角速度によって発生するコリオリ力方向の3つの方向は各々垂直の関係にある。図1(a)は、その関係を示す振動ジャイロ用振動子(簡略に振動子と呼ぶ)の簡易モデルの構造図である。柱状体1の表面には駆動用圧電素子3及び検出用圧電素子5が貼り付けられ、柱状体1の端部は固定されている。そのA1−A1断面を図1(b)に示す。駆動用圧電素子3は電極3a及び3cと圧電体3bで構成されており、所望の振動モードの周波数の交流電圧を電極3aと3cの間に印加することで駆動振動させることができる。ここでは振動ジャイロの感度が高くなるよう、振動子の振動振幅を稼ぐため、駆動用圧電素子3の厚み方向に端部フリーの先端が振れる屈曲の基本振動モードを利用することとする。駆動振動状態で、柱状体の長手方向にωyの角速度が加わると、駆動振動の方向と印加角速度軸Yの方向のいずれにも垂直な方向にコリオリ力Fcyが働く。このコリオリ力Fcyの働きにより新たなに検出振動が励起され、その検出振動の大きさを電極5a及び5cと圧電体5bで構成された検出用圧電素子5によって出力電圧V5の電気信号に変換できる。検出用圧電素子5はコリオリ力Fcyに対し垂直に配置されているので、検出用圧電素子5が曲げられやすく、効率よく電気信号に変換され出力電圧V5を得る。
次に、検出用圧電素子を印加角速度軸に対し例えば45°傾けた場合を説明する。図2(a)に示した振動子の構成は、図1(a)のものと同一であり、図2(b)はA2−A2断面図であり、11は柱状体、13は駆動用圧電素子、15は検出用圧電素子、13b、15bは圧電体、13a、13c、15a、15cは電極である。図示していないが、柱状体11の端部は柱状体1と同様に固定されている。従い、駆動用圧電素子13による駆動振動の振幅は、駆動用圧電素子3と同一であり、発生するコリオリ力Fcyの向きも大きさも同一となる。しかしながら、検出用圧電素子15がコリオリ力Fcyに対し45°の傾きを有するために、コリオリ力Fcyは検出用圧電素子5の曲げ変形につながり難くなる。具体的な数値で表すと、出力電圧V5の値を1とすると出力電圧V15の値はcos45°の約0.7となり、検出用圧電素子を印加角速度軸に対し45°傾けた場合の感度は30%低減することとなる。
それでは、2軸の角速度検出の場合を説明する。図3には、図1と同様の構成の振動子を直交配置したものを示す。図3(a)はその構造図、図3(b)はそのA3−A3断面図、図3(c)はそのB3−B3断面図であり、21,22は柱状体、23,24は駆動用圧電素子、25,26は検出用圧電素子、23b,24b,25b,26bは圧電体、23a,23c,24a,24c,25a,25c,26a,26cは電極である。
柱状体21及び22の2つの振動子の連結部分を固定しており、駆動用圧電素子23及び24には周波数が同一で同位相同振幅の交流電圧を印加する。こうした状態で角速度ωy及びωzを印加すると各々Fcy及びFczが図示する方向に働く。従い、角速度ωyに対応する出力は検出用圧電素子25によって出力電圧V25として得られ、角速度ωzに対応する出力は検出用圧電素子26によって出力電圧V26として得られる。
次に、検出用圧電素子を印加角速度軸に対し例えば45°傾けた場合を説明する。図4には、図3の構成と同一の直交配置の振動子を、検出用圧電素子を印加角速度軸に対し45°傾けて配置したものを示す。図4(a)はその構造図、図4(b)はそのA4−A4断面図、図4(c)はそのB4−B4断面図であり、31,32は柱状体、33,34は駆動用圧電素子、35,36は検出用圧電素子、33b,34b,35b,36bは圧電体、33a,33c,34a,34c,35a,35c,36a,36cは電極である。
駆動用圧電素子33及び34には周波数が同一で同位相同振幅の交流電圧を印加する。このような状態において、角速度ωyが加わった場合、検出用圧電素子35及び36のいずれも曲げ変形が生じ出力電圧が得られることとなる。角速度ωzが加わった場合も同様である。表1には、図3(a)に示す配置と図4(a)で示す配置の場合で得られる出力電圧の大きさの比較を示す。数値は、出力電圧V25の値を基準の1とおいた相対値を記載している。
表1が示すように、得られる出力の大きさを比較すると45°傾けて配置した方が、個々の出力は0.7と30%程度低下しているが、各端子の出力の総和は1.4と40%程度高くなっていることが分かる。即ち感度を40%高められることを意味する。但し、各端子の出力が印加角速度軸Y及び印加角速度軸zのどちらの軸のものか分離できることが前提である。
それでは、本発明の2つ目のポイントである両方の軸の角速度を検出できる検出手段から得られた信号を各々の軸の角速度に対応する信号に分離する方法について説明する。図4を用いて原理を説明する。駆動用圧電素子33及び34には周波数が同一で同位相同振幅の交流電圧を印加している。このため、柱状体31及び32には全く同一の方向で同一の大きさのコリオリ力FcyとFczが発生することとなる。尚、これらの矢印の方向は、駆動振動のある瞬間を現すもので、具体的には、駆動用圧電素子33及び34が柱状体の長手方向に縮もうとする瞬間であり、即ち図4(a)の紙面で屈曲振動する瞬間である。そこで、Fczについて見てみると、検出用圧電素子35及び36のいずれも縮む方向に働くことが分かる。これに対し、Fcyは検出用圧電素子35に対しては縮む方向に働くが、検出用圧電素子36に対しては伸びる方向に働くことが分かる。つまり、Fczによって得られる出力電圧V35とV36は同位相であり、Fcyによって得られる出力電圧V35とV36は逆位相である。そこで表2のような出力処理を行うとよい。
表2に示すように、印加角速度軸Yに対応する出力は出力電圧V35とV36の差をとり、印加角速度軸zに対応する出力は出力電圧V35とV36の和をとることで、どちらかの軸の出力が分離できることとなる。尚、駆動用圧電素子33及び34に逆位相の交流電圧を印加した場合は、柱状体31に発生するFcy及びFczと柱状体32に発生するFcy及びFczの向きが逆向きとなるため、印加角速度軸Yに対応する出力は出力電圧V35とV36の和をとることで得られ、印加角速度軸zに対応する出力は出力電圧V35とV36の差をとることで得られることとなる。従い、本発明によれば、一方の軸周りと前記軸と直交する軸周りの角速度を検出可能な振動ジャイロにおいて、前記振動ジャイロの振動子には第1及び第2のアーム部を有し、前記第1及び第2のアーム部には各々に対応する第1及び第2の検出電極を施し、各々の検出電極から得られる第1及び第2の出力信号の内、前記第1及び第2の出力電圧の差をとった信号を一方の軸周りの角速度を検出用の信号とし、前記第1及び第2の出力電圧の差をとった信号を前記軸と直交する軸周りの角速度を検出用の信号とすることで2軸の角速度を検出することの可能な振動ジャイロが得られる。
また、4つのアームから検出用信号を得る構成にすることもできる。一方の軸周りと前記軸と直交する軸周りの角速度を検出可能な振動ジャイロにおいて、前記振動ジャイロの振動子には第1乃至第4のアーム部を有し、前記第1乃至第4のアームには各々に対応する第1乃至第4の検出電極を施し、各々の検出電極から得られる第1乃至第4の出力信号の内、前記第1及び第4の出力電圧の和と前記第2及び第3の出力電圧の和との差をとった信号を一方の軸周りの角速度を検出用の信号とし、前記第1及び第2の出力電圧の和と前記第3及び第4の出力電圧の和との差をとった信号を前記軸と直交する軸周りの角速度を検出用の信号とすることで、駆動及び検出振動が外乱の影響を受けることのなく安定とした上で、2軸の角速度を検出することの可能な振動ジャイロが得られる。尚、これら和と差の演算処理の順序は重要でなく、採用する電気回路に依存し、各アームから得られた出力電圧の前に+と−のいずれの符号が最終的に付加されるかが本質的である。
更に、4つのアームから検出用信号を得る他の構成も可能である。一方の軸周りと前記軸と直交する軸周りの角速度を検出可能な振動ジャイロにおいて、前記振動ジャイロの振動子には第1乃至第4のアーム部を有し、前記第1乃至第4のアームには各々に対応する第1乃至第4の検出電極を施し、各々の検出電極から得られる第1乃至第4の出力信号の内、前記第1及び第4の出力電圧の和と前記第2及び第3の出力電圧の和との差をとった信号を一方の軸周りの角速度を検出用の信号とし、第1乃至第4の出力電圧の総和の信号を前記軸と直交する軸周りの角速度を検出用の信号とすることで、駆動及び検出振動が外乱の影響を受けることのなく安定とした上で、2軸の角速度を検出することの可能な振動ジャイロが得られる。
(実施例1)請求項2に示す本発明の振動ジャイロ用振動子の実施例を図8(a)に斜視図で示す。振動子40は、ニオブ酸リチウムからなる一体的なもので、具体的には厚み約200μmの板状のニオブ酸リチウムをレーザ、ウエットエッチング、ドライエッチング、サンドブラスト等の加工方法で形成することができる。尚、ここではニオブ酸リチウムを使用したが、水晶、ランガサイト、タンタル酸リチウム、ジルコン酸チタン酸鉛系のセラミクス等の他の圧電体であっても構わないし、金属やシリコンと前述の圧電体との積層体であっても構わない。振動子40は、4つのアーム42a、42b、42c、42dを有している。また、4つのアームの一方端部には、負荷質量43a、43b、43c、43dが接続され、他方端部にはアーム41が接続された構造である。尚、ニオブ酸リチウムの圧電性を生かすために、板状の厚みはニオブ酸リチウム結晶のX軸を、アーム41の長手方向には−140Y軸をとる。また、アーム41の中央近傍にて支持固定するものとする。
図8(b)には、上面図を示し、更に、アーム42aのA8−A8断面を図9(b)に示す。同様にアーム42b、42c、42dに対応する断面は、図9(c)、図9(d)、図9(e)に示される。また、アーム41のB8−B8断面は、図9(a)に示される。図9で、45a〜45dは駆動用の電極、42aa,42ab,42ac,42ba,42bb,42bc,42ca,42cb,42cc,42da,42db,42dcは検出用の電極であり、V42a〜V42dは各アームでの出力電圧を示す。
振動子40の表裏面には、スパッタや蒸着などでクロム下地の金電極等を成膜した後、フォトリソグラフィー技術を利用し、ウエットエッチングやドライエッチング等で所望の電極形状を構成する。電極の構成は、図9(a)〜図9(e)に示す通りである。電極45c及び45bを接地し、電極45a及び45dに同位相の交流信号を印加することでアーム41が圧電すべり効果でねじり振動を起こし駆動振動させることができる。図8で説明すると、ねじり振動に伴いアーム42a〜42dが屈曲すると同時に負荷質量43a〜43dが振動子40の厚み方向に振動することとなる。尚、負荷質量の振動の位相関係は、対角同士で同位相となる。この状態で、角速度ωy及びωzが加わった場合の振動挙動のある瞬間を図8(c)及び図8(d)に示す。
その駆動振動は紙面に垂直方向であり、対角同士同位相であるため、コリオリ力Fcy及びFczは図中に示す方向となる。更に、コリオリ力の働きによってアーム42a〜42dが図示する通り屈曲振動する。アーム42a〜42dの一方主面には、各々3本の帯状電極を形成している。尚、ここでは、説明を簡素化するため一方主面に形成するものとしたが、表裏面に3本ずつ形成した方が大きな出力が得られ、高い検出感度が得られる。
それでは出力電圧を得る方法を例えば図9(b)を用い説明する。まず始めに、電極42aa、42acを接地し、電極42abを出力端子とする。アーム42aが屈曲振動した場合、電極42aaが形成されているアーム42aの側面が伸びた場合、電極42acが形成されているアーム42aの側面は縮むこととなる。尚、分極方向は前述した通り、断面の水平方向にニオブ酸リチウムの結晶の−140Y軸が向けられていることから水平方向を向いている。分極方向とアーム42a〜42dの伸縮の関係から、電極42aaと電極42abとの間と、電極42abと電極42acとの間に発生する電界は逆向きをとり、結果、電極42aから出力電圧V42aを得ることができるようになる。
角速度ωy及びωzが加わった場合の出力電圧V42a〜V42dの位相関係は、図8(c)及び図8(d)におけるアームの屈曲振動方向が示す通りである。角速度ωyが加わった場合アーム42aの左側が伸び右側が縮むよう屈曲した時42dも左側が伸び右側が縮んでいるため、出力電圧V42aとV42dの位相は同位相となる。これに対しアーム42b及び42cは逆向きの屈曲をしており、出力電圧V42aと出力電圧V42bまたはV42cとの位相関係は逆位相となる。角速度ωzが加わった場合は、各アームの屈曲の方向は図8(c)の通りであるから、出力電圧V42aとV42bが同位相で、出力電圧V42aと出力電圧V42cまたはV42dとは逆位相となる。
図12には振動子40を組み込んだ駆動検出回路を示す。発振回路で駆動電極に交流電圧を印加することで駆動振動を励起する。また、発振信号の一部を使用し、出力に同期検波をかけることで駆動周波数帯域外のノイズを低減し、更にLPF(ローパスフィルタ)回路でも高周波帯域のノイズを低減する。Vyout即ちωyに対応する出力は、前述の出力の位相関係から、(V42a−V42c)−(V42b−V42d)とすればよく、こうすればωyにのみ出力され、ωzに対して出力されなくなる。同様にVzout即ちωzに対応する出力は、前述の出力の位相関係から、(V42a−V42c)+(V42b−V42d)とすればよく、こうすればωzにのみ出力され、ωyに対して出力されなくなる。V42aとV42cを差動回路に接続したものと、V42bとV42dを差動回路に接続したものとで得られる2つの出力において差動回路を経由したものがωyに対する出力とすることができ、加算回路を経由したものがωzに対する出力とすることができる。
即ち各々の軸の角速度に対応する信号に分離することができ、2軸の角速度を検出できる振動ジャイロとして機能する。尚、説明は省略するが、本実施例1は振動子の振動安定性において特に優れている。
(実施例2)次に請求項3に示す本発明の振動ジャイロ用振動子の実施例を図10と図11に示す。図10(a)はその斜視図、図10(b)はその上面図、図10(c)は角速度ωyが加わった場合の振動挙動を示す図、図10(d)は角速度ωzが加わった場合の振動挙動を示す図である。図11は振動子の断面を示し、図11(a)はアームのB10−B10断面図、図11(b)〜図11(e)は他のアームのA10−A10断面図である。図11、図12において、50は振動子、51,52a〜52dはアーム、53a〜53dは負荷質量部、55a〜55dは駆動用の電極、52aa,52ab,52ac,52ba,52bb,52bc,52ca,52cb,52cc,52da,52db,52dcは検出用の電極であり、V52a〜V52dは各アームでの出力電圧を示す。
本実施例2の振動子50と実施例1の振動子40とは負荷質量のアームへの接続の向きが異なる。これにより、コリオリ力の働きによるアーム52a〜52dの屈曲の向きが異なってくる。それに伴い、出力の位相関係も変わってくるが、図13に示す駆動検出回路に接続することで、同様に各々の軸の角速度に対応する信号に分離することができ、2軸の角速度を検出できる振動ジャイロとして機能する。尚、本実施例2で得られる感度は実施例1と同等であるが、負荷質量の接続の向きが互いに内側に向いている分、更に小形化が可能になる。
ところで、図4(a)〜図4(c)に示したように2つのアームでも、出力電圧V35とV36の差動をとる場合と加算をとる場合によって、各々の軸の角速度に対応する信号に分離することができ、2軸の角速度を検出できる振動ジャイロとして機能する。また、図5、図6、図7のように模式的な斜視図で例示した形状においても、各々の軸の角速度に対応する信号に分離することができ、2軸の角速度を検出できる振動ジャイロとして機能させることができる。
図5〜図7の各形状について説明を加える。図5の振動子70では、71a,71b,73が柱状体のアームであり、アーム71a,71bにそれぞれ接続された負荷質量部72a,72bは長いアームを曲げたのと同様の効果を持つ。こうして、高感度を保ちながら、小形化を可能にする。
図6の振動子80では、81a,81b,83が柱状体のアームであり、アーム81a,81bにそれぞれ接続された負荷質量部82a,82bの向きが、図5の振動子70とは反対になっており、逆位相の出力が得られる。
図7の振動子90は中心の接続点から直交方向に伸びる4本の柱状体のアーム91a〜91dからなり、高感度を優先する場合に適した例である。尚、図5〜図7の形状は例示にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更が可能である。
1,11,21,22,31,32 柱状体
3,13,23,24,33,34 駆動用圧電素子
3a,3c,5a,5c,13a,13c,15a,15c,23a,23c,24a,24c,25a,25c,26a,26c,33a,33c,34a,34c,35a,35c,36a,36c,42aa〜42dc,45a〜45d,52aa〜52dc,55a〜55d 電極
3b,5b,13b,15b,23b,24b,25b,26b,33b,34b,35b,36b 圧電体
5,15,25,26,35,36 検出用圧電素子
40,50,70,80,90 振動子
41,51,42a〜42d,52a〜52d,71a,71b,73,81a,81b,83 アーム
43a〜43d,53a〜53d 負荷質量
Fcy,Fcz コリオリ力
V5,V15,V25,V26,V35,V36,V42a〜V42d,V52a〜V52d 出力電圧
ωy,ωz 角速度
3,13,23,24,33,34 駆動用圧電素子
3a,3c,5a,5c,13a,13c,15a,15c,23a,23c,24a,24c,25a,25c,26a,26c,33a,33c,34a,34c,35a,35c,36a,36c,42aa〜42dc,45a〜45d,52aa〜52dc,55a〜55d 電極
3b,5b,13b,15b,23b,24b,25b,26b,33b,34b,35b,36b 圧電体
5,15,25,26,35,36 検出用圧電素子
40,50,70,80,90 振動子
41,51,42a〜42d,52a〜52d,71a,71b,73,81a,81b,83 アーム
43a〜43d,53a〜53d 負荷質量
Fcy,Fcz コリオリ力
V5,V15,V25,V26,V35,V36,V42a〜V42d,V52a〜V52d 出力電圧
ωy,ωz 角速度
Claims (3)
- 一方の軸周りと前記軸と直交する軸周りの角速度を検出する振動ジャイロにおいて、この振動ジャイロに用いる振動子は第1及び第2のアーム部を有し、前記第1及び第2のアーム部に1つずつ施された第1及び第2の検出電極から得られた第1及び第2の出力電圧を処理し、前記第1及び第2の出力電圧の和をとった信号を一方の軸周りの角速度を検出する信号とし、前記第1及び第2の出力電圧の差をとった信号を前記軸と直交する軸周りの角速度を検出する信号として分離することを特徴とする振動ジャイロ。
- 一方の軸周りと前記軸と直交する軸周りの角速度を検出する振動ジャイロにおいて、この振動ジャイロに用いる振動子は4つのアーム部を有し、第1、第2、第3及び第4のアーム部に1つずつこの順に施された第1、第2、第3及び第4の検出電極から得られた第1、第2、第3及び第4の出力電圧を処理し、前記第1及び第3の出力電圧の差と前記第2及び第4の出力電圧の差との更に差をとった信号を一方の軸周りの角速度を検出する信号とし、前記第1及び第3の出力電圧の差と前記第2及び第4の出力電圧の差との更に和をとった信号を前記軸と直交する軸周りの角速度を検出する信号としたことを特徴とする振動ジャイロ。
- 一方の軸周りと前記軸と直交する軸周りの角速度を検出する振動ジャイロにおいて、この振動ジャイロに用いる振動子は4つのアーム部を有し、第1、第2、第3及び第4のアーム部に1つずつこの順に施された第1、第2、第3及び第4の検出電極から得られた第1、第2、第3及び第4の出力電圧を処理し、前記第1及び第4の出力電圧の和と前記第2及び第3の出力電圧の和との差をとった信号を一方の軸周りの角速度を検出する信号とし、第1、第2、第3及び第4の出力電圧の総和の信号を前記軸と直交する軸周りの角速度を検出する信号としたことを特徴とする振動ジャイロ。
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- 2007-01-18 JP JP2007008968A patent/JP2008175679A/ja active Pending
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