JP4012578B2 - 振動ジャイロ - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、角速度を検出する振動ジャイロに関するものである。
背景技術
今日、音叉形状や音片形状など様々な形状の振動ジャイロが考案されている。
従来から機械式の回転ジャイロスコープが、飛行機や船舶の慣性航行装置として使われているが、装置が大きく、価格が高く、したがって小型の電子機器や小型の輸送機械に組み込むことは困難である。
しかし近年ジャイロスコープも小型化の研究が進み、圧電磁器で振動体を励振させ、振動体が回転により受けるコリオリ力で起きる振動により発生する角速度電流を、振動体に設けた別の圧電磁器で検出する振動ジャイロの実用化が進み、自動車のナビゲーションシステムやビデオカメラの手振れ検出装置等に使われている。
以下に圧電磁器を使用した従来のジャイロを図面を用いて説明する。図29は従来の音叉型の振動ジャイロを示す斜視図である。
図29により従来の音叉型の振動ジャイロについて説明する。振動体71はエリンバなど恒弾性金属で形成された複合音叉型の構造を有している。すなわち振動体71は、音叉の第1の足72、73の上部に、第2の足74、75を結合した構造をもつものである。圧電素子或いは、圧電磁器製の駆動部と駆動電極76は第1の足72に張り合わせてある。図示しないが同様の駆動部および駆動電極が第1の足73に張り合わせてある。圧電素子或いは圧電磁器製の検出部と検出電極77は第2の足75に張り合わせてある。図示しないが同様の検出部および検出電極が第2の足74に張り合わせてある。ここで、足の伸びた方向をz軸方向とする。
以上の構造に基づく作用について説明する。駆動電極76に印加した交流電圧により第1の足72、73は左右に変位する第1の屈曲振動を発生する。以下これを、通常の音叉が1つの面内で振動を行うのを理想とする慣例から、面内振動と呼ぶ。この面内振動により、第1の足72,73に結合された第2の足74,75は面内振動する。音叉全体をz軸の回りに角速度ωで回転させると、面内振動と直角な方向にコリオリ力Fcが働く。コリオリ力Fcは以下の式で表すことができる。
Fc=2・M・ω・V
ここで、Mは第1の足72,73または第2の足74,75の質量であり、Vは振動の速度である。このコリオリ力Fcによって、面内振動と直角方向に変位する第2の屈曲振動を励起する。以下これを面外振動と呼ぶ。この面外振動により発生する交流電圧を検出電極77で検出することによって、角速度ωを算出して知ることができる。
しかしながら、従来の振動ジャイロには以下のような問題がある。一般に振動体を支持する場合は、支持の影響が振動体に及ぶのを最小限にするため、振動体が振動中に動かない位置、すなわち振動の節を用いる。図29に示す音叉型の構成では面内振動の節は又の部分にあり、この周辺はほとんど動かないが、コリオリ力で励振される面外振動では、振動により動かない部分は存在しない。したがって、どの部分を、どのように支持しても支持の影響が振動体に及んでしまう。
一般に音叉型振動子は又の中央部あたりを支持するが、実際にこの部分を支持する場合と支持しない場合で、振動体71の面内振動の共振周波数がほとんど変わらないのに比べ、面外振動では、数%にも及ぶ共振周波数の変化がある。したがって面外振動の共振周波数は支持の仕方によって数%も変化することになる。ここでは、面内振動の周波数をもつ交番コリオリ力で面外振動を励振するのだが励振の効率は、面外振動の共振周波数に依存する。音叉の面内振動の共振周波数と面外振動の共振周波数が離れていると、面外振動に充分な励振を引き起こすことができないし、微妙な支持の変化で面外振動の共振周波数が大幅に変化するのでは、励振の効率が大幅に変化してしまい、精度のよい検出は不可能である。このような理由により、音叉型の振動ジャイロは、充分普及するに至っていない。
処で、振動ジャイロは励振方向に直交する方向に働くコリオリ力を検出するので、検出すべき回転方向に直交する面内で中心対称な形状の物が有利とされ、現在は音片型が主流である。しかし音片型は支持の方法に難点があり、振動体に影響を与えない支持は困難であり、また完全に外部への振動漏れを防ぐことが出来ない。支持が容易な例として、古くから4脚音叉や多脚音叉が考案されている。
例えば特開平6−258083に4脚音叉型振動ジャイロが開示されている。この4脚音叉は、音片型と同様に検出すべき回転方向に直交する面内で中心対称な形状を持ち、さらに音叉型の特徴として、基部の底面が振動しないため、外部と振動的に完全に分離することが出来る。特開平6−258083に開示された4脚音叉型振動ジャイロは、6種類存在する4脚音叉の1次振動モードの中から、駆動とコリオリ力の検出が直交する方向の振動モードを選び出し、またこれらの1次結合を用いてコリオリ力の検出を行うことにより、基部の揺れの殆どない振動ジャイロを実現している。
以下に、対称性の良い4脚音叉の6つの1次振動モードを図面を用いて説明する。図13は一般的な4脚音叉の正面図であり、基部の底面を半固定した様子をハッチングで示す。この4脚音叉の各部の大きさは各々、全長4.8mm,基部の長さ1.92mm,足の長さ2.88mm,基部の巾1.2mm,足の巾0.48mmそして溝の巾0.24mmである。
また、図17〜図22はこの4脚音叉の足の先端側から見た足の断面図であり、この4脚音叉の各々の足が持つ6つの1次の振動モードを、有限要素法解析で計算した後実験で確認し、周波数の低い順に示している。ただし、最後のねじれモードは実験で確認することは出来なかった。
また、図23〜図28は厚みを変えず、音叉全体の巾を1%減じた同様な4脚音叉の足の先端側から見た足の断面図であるが、図17〜図22と異なり、足の断面が長方形になっており、この4脚音叉の各々の足が持つ6つの1次の振動モードも、有限要素法解析で計算した後実験で確認し、周波数の低い順に示している。やはり、最後のねじれモードは実験で確認することは出来なかった。
最初に、図17〜図22を用いて足の断面形状が正方形の場合の振動モードを説明する。図17において、記された矢印は、ある瞬間の足の振れ方向を示しており、この振れ方を行う振動モードを「モード1」と呼ぶこととするが、4つの足は各々その中心の軌跡が長方形になるように振れ、固有振動数は38.730KHZである。
図18において、記された矢印はある瞬間の足の振れ方向を示しており、この振れ方を行う振動モードを「モード2」と呼ぶこととするが、4つの足は各々その中心の軌跡が正方形を保ったまま振れ、固有振動数は38.841KHZである。図19において、記された矢印はある瞬間の足の振れ方向を示しており、この振れ方を行う振動モードを「モード3」と呼ぶこととするが、4つの足は各々その中心の軌跡が菱形になるように振れ、固有振動数は39.160KHZである。
図20において、記された矢印はある瞬間の足の振れ方向を示しており、この振れ方を行う振動モードを「モード4」と呼ぶこととするが、4つの足は各々その中心の軌跡が各々平行に振れ、固有振動数は39.483KHZである。図21において、記された矢印はある瞬間の足の振れ方向を示しており、この振れ方を行う振動モードを「モード5」と呼ぶこととするが、4つの足は各々その中心の軌跡が各々平行に振れ、固有振動数は39.483KHZである。
図22において、記された矢印はある瞬間の足の振れ方向を示しており、この振れ方を行う振動モードを「モード6」と呼ぶこととするが、4つの足は各々その中心の軌跡が各々4脚音叉がねじれるように振れ、固有振動数は40.150KHZである。モード6が実験で確認できないのは、半固定する基部が激しく揺れるためである。
次に、図23〜図28を用いて足の断面形状が長方形の場合の振動モードを説明する。
図23において、記された矢印はある瞬間の足の振れ方向を示しており、この振れ方を行う振動モードを「モード1」と呼ぶこととするが、4つの足は各々その中心の軌跡が互いに平行になるように振れ、固有振動数は36.617KHZである。
図24において、記された矢印はある瞬間の足の振れ方向を示しており、この振れ方を行う振動モードを「モード2」と呼ぶこととするが、4つの足は各々その中心の軌跡が互いに平行になるように振れ、固有振動数は36.939KHZである。
図25において、記された矢印はある瞬間の足の振れ方向を示しており、この振れ方を行う振動モードを「モード3」と呼ぶこととするが、4つの足は各々その中心の軌跡が菱形になるように振れ、固有振動数は37.099KHZである。
図26において、記された矢印はある瞬間の足の振れ方向を示しており、この振れ方を行う振動モードを「モード4」と呼ぶこととするが、4つの足は各々その中心の軌跡が各々平行に振れ、固有振動数は37.266KHZである。
図27において、記された矢印はある瞬間の足の振れ方向を示しており、この振れ方を行う振動モードを「モード5」と呼ぶこととするが、4つの足は各々その中心の軌跡が各々平行に振れ、固有振動数は37.608KHZである。
図28において、記された矢印はある瞬間の足の振れ方向を示しており、この振れ方を行う振動モードを「モード6」と呼ぶこととするが、4つの足は各々その中心の軌跡が各々4脚音叉がねじれるように振れ、固有振動数は38.101KHZである。モード6が実験で確認できないのは、やはり半固定する基部が激しく揺れるためである。
係る構成に於ける作用について説明するならば、特開平6−258083に開示された4脚音叉型振動ジャイロは、長方形の場合に存在する振動モードをもとに6種類存在する4脚音叉の1次振動モードの中から、駆動用の振動モードとこれに直交するコリオリ力が、励振する検出用の振動モードを選び出し、この駆動と検出を実現する構成を示している。
最初の実施の形態では図26に示した長方形のモード4を駆動用振動モードとし、図27に示した長方形のモード5を検出用振動モードとしている(銘記されてはいないが、一般に固有周波数の低い方を検出側にすることはない)。2つ目の実施の形態では図25に示した長方形のモード3を駆動用振動モードとし、図17に示した、長方形の場合に存在しない、正方形のモード1を検出用振動モードとし、この駆動と検出を実現する構成を示している。
また、3つ目の実施の形態として、図25に示した長方形のモード3と図17に示したコリオリ力が励振する正方形のモード1の1次結合から図23に示した長方形のモード1又は図24に示した長方形のモード2を検出する方法を示し、この駆動と検出を実現する構成を示している。
しかしながら、従来の特開平6−258083に開示された4脚音叉型振動ジャイロには以下のような課題がある。まず、第1の実施の形態においては図26に示した長方形のモード4と図27に示した長方形のモード5では、固有振動数が異なるため、モード4はモード5に充分な励振を与えることができす、検出感度を大きくすることが出来ない。
この点について、特開平6−258083には対称即ち正方形にすると記されているが、実際には正方形の場合は図26及び図27に示した長方形のモード4及びモード5のような振動モードは存在せず、図20及び図21に示した正方形のモード4及びモード5のような振動モードが現れる。
実験的には、2つの方向の固有振動数差が10万PPM程度に近づくと、カップリングにより、すでに図26及び図27に示した長方形のモード4及びモード5は存在しなくなる。
従って、特開平6−258083に開示された最初の実施の形態は周波数差が10万PPM以上離れた非共振型4脚音叉で実現するか、共振型でコリオリ力が無くても非常に大きな出力が出ている状態でコリオリ力を検出するかの何れかとなる。
非共振型の場合はコリオリ力を検出する感度が悪くなるので結局コリオリ力を検出するS/Nが悪くなり、共振型の場合はコリオリ力に起因する出力よりも遙にかに大きな出力の中からコリオリ力を検出しなければならず、高いS/Nを得るのに不利なダイナミックレンジの極めて広い測定を行わなければならない。また、閉ループにより出力を小さく抑える機構も提案されているが、S/Nを変化させる物ではない。
次に、特開平6−258083に開示された残りの実施の形態についてであるが、駆動に使用するのは図25に示した長方形のモード5であり、検出に使用するのは図23又は図24に示した長方形のモード1又はモード2もしくはこれらのカップリングにより生成する図17に示した正方形のモード1である。
長方形の場合は図28に示した検出できないモード6を除外すると、図25に示したモード3は唯一正方形と一致する振動モードである。これと検出用の振動モードの間には明らかに固有振動数の差が存在する。
この周波数差は本質的に異なる振動モードであることを考慮すると、たとえ調整によって固有振動数を一致させることが出来たとしても音叉全体の対称性に影響を与えてしまい、振動ノイズを増加させ、コリオリ力検出のS/Nを大きくすることが出来ない。
本発明の目的は、上記課題を解決しようとするもので、検出感度が大きく、検出精度の良い、振動ジャイロを提供することにある。
発明の開示
上記目的を解決するために、本発明の振動ジャイロは、基本的には、以下に示す様な技術構成を採用する。
即ち、本発明に係る当該振動ジャイロの第1の態様としては、弾性を持つ材料から構成されている4本の足部と、この足部と一体的に形成されている基部を備える振動ジャイロにおいて、前記4本の足部は、前記基部の中心部に対して等距離で且つ等角度の位置に配置されており、前記4本の足部の選択された少なくとも一部の足部に、互いに隣り合う2つの足部の中心線を含む平面内に無い第1の方向を持ち、第1の屈曲振動及び第2の屈曲振動に分離可能な1つめの振動を行う様に自励発振を行わせると共に、選択された足部の一部を含む別途に選択された少なくとも一部の足部に、互いに隣り合う2つの足部の中心線を含む平面内に無い前記第1の方向とは異なる第2の方向を持ち、第1の屈曲振動及び第2の屈曲振動に分離可能な2つめの振動を行わせる様に構成され、前記4本の足部の側面には、圧電素子から構成されている駆動電極部と検出電極部とから選択された少なくとも一方の電極部が設けられており、前記足部の少なくとも一部の足部から前記屈曲振動により生ずる電圧を測定する様に構成されていることを特徴とする振動ジャイロである。
又本発明に係る当該振動ジャイロの第2の態様としては弾性を持つ材料から構成されている4本の足部と、この足部と一体的に形成されている基部とを有し、前記4本の足部は、前記基部の中心部に対して等距離で且つ等角度の位置に配置されており、前記4本の足部の選択された少なくとも一部の足部に、互いに隣り合う2つの足部の中心線を含む平面内に無い第1の方向を持ち、第1の屈曲振動及び第2の屈曲振動に分離可能な1つめの振動を行う様に自励発振を行わせると共に、選択された足部の一部を含む別途に選択された少なくとも一部の足部に、互いに隣り合う2つの足部の中心線を含む平面内に無い前記第1の方向とは異なる第2の方向を持ち、第1の屈曲振動及び第2の屈曲振動に分離可能な2つめの振動を行わせる様に構成され、前記4本の足部の側面には、圧電素子から構成されている駆動電極部と検出電極部とから選択された少なくとも一方の電極部が設けられており、前記足部の少なくとも一部の足部から前記屈曲振動により生ずる電圧を測定する様に構成されている振動ジャイロにおいて、前記足部の内、第1及び第2の足の圧電素子を用いて自励発振を行わせ、前記第1の屈曲振動を行なわせると同時に、第2及び第4の足の圧電素子を用いて自励発振を行わせ、前記第1の屈曲振動と直交する方向に、前記第1の屈曲振動と振動数と位相が一致する前記第2の屈曲振動を発生させておき、前記第1の屈曲振動と前記第2の屈曲振動の合成振動として、第3の屈曲振動を発生させ、回転によるコリオリ力により引き起こす、第3の屈曲振動に直交する方向の第4の屈曲振動の前記第1の屈曲振動の方向の成分である第5の屈曲振動の結果生じる電圧を、第3及び第4の足の検出電極部により検出し、前記第4の屈曲振動の前記第2の屈曲振動の方向の成分である第6の屈曲振動の結果生じる電圧を、前記第1及び前記第3の足の検出部により検出することを特徴とする振動ジャイロである
本発明に係る当該振動ジャイロは、上記した様な構成を採用しているので、4本の足を田の字型に対称性良く配置したことにより、音叉型における面外振動のような支持部に影響される振動を利用することなく、使用するいずれの振動においても基部がほぼ静止しており、保持方法により性能に影響が無く、精度の良い角度検出ができる。また加工組立精度に過大な期待をすることなく出力信号を大きくとるための励振と検出の共振周波数の一致を実現でき、構造上共振検出方向の出力信号が大きくとれ、コリオリ力以外の出力をキャンセルできる構成をとるので、ノイズが少なく高いS/Nを実現できる。
又、加振と検出の足を別々にとれるので、発振系に起因する位相ずれによるDCドリフトもほとんど無い。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る4脚音叉型の振動ジャイロの外観を示す斜視図である。
図2は、本発明に係る4脚音叉型の振動ジャイロの電極の位置を示し、振動調整のための又の位置を示す斜視図である。
図3は、本発明に係る第1の具体例である振動ジャイロの先端側から見たY軸方向の電極構造の断面および配線模式の図面である。
図4は、本発明に係る第2の具体例である振動ジャイロの先端側から見たY軸方向の電極構造の断面および配線模式の図面である。
図5は、本発明係る第2の具体例である振動ジャイロの先端側から見たY軸方向の電極構造の断面および配線模式の図面である。
図6は、本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの円筒状の管に封入したジャイロ素子の構成を示す外観の図面である。
図7は、本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見たY軸方向の断面を模式的に表した動作説明の図面である。
図8は、本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見たY軸方向の断面を模式的に表した動作説明の図面である。
図9は、本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見たY軸方向の断面を模式的に表した動作説明の図面である。
図10は、本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見たY軸方向の断面を模式的に表した動作説明の図面である。
図11は、本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロに用いる圧電素子の斜視図である。
図12は、本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロに用いる圧電素子の斜視図である。
図13は、一般的な4脚音叉の正面図である。
図14は、圧電素子からの信号を示す波形図である。
図15は、圧電素子からの信号を示す波形図である。
図16は、圧電素子からの信号をベクトルで表現した動作説明図である。
図17〜図28は、一般的な4脚音叉の足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図である。
図29は、従来の音叉型振動ジャイロを示す斜視図である。
図30は、振動ジャイロにおけるコリオリ力の効果を示す電圧波形の図面である。
図31は、振動ジャイロにおけるコリオリ力の効果を示す電圧波形の図面である。
図32は、振動ジャイロにおけるコリオリ力の効果を示す電圧波形の図面である。
図33は、振動ジャイロにおけるコリオリ力の効果を示す電圧波形の図面である。
図34は、本発明に係る第4の具体例の構成に於ける4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面,回路ブロック及び配線模式図である。
図35は、本発明に係る第5の具体例の構成に於ける4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面,回路ブロック及び配線模式図である。
図36は、本発明に係る第6の具体例の構成に於ける4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面,回路ブロック及び配線模式図である。
図37は、本発明に係る第7の具体例の構成に於ける4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面,回路ブロック及び配線模式図である。
図38は、図37に示す第7の具体例の構成に於ける4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面及び詳細な回路例を示す図である。
図39は、本発明の4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図である。
図40は、本発明の4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図である。
図41は、本発明の4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図である。
図42は、本発明の4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図である。
図43は、本発明の4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図である。
図44は、本発明の4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した。
発明を実施する為の最良の形態
次に、本発明に係る振動ジャイロの具体的な構成に付いて図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る第1の具体例の構成を説明する図であり、図中、4本の足と電極と基部を備える振動ジャイロであって、この足は弾性をもつ材料からなり、足は形状が四角柱であり、足は四角柱の側面に駆動部と検出部を有し、駆動部と検出部は圧電素子からなり、基部は弾性をもつ材料からなり、基部は形状が四角柱であり、基部と4本の足は一体構造であり、4本の足は互いに平行に基部に田の字形に配置されており、第1および第2の足の圧電素子を用いて自励発振を行わせ、第1の屈曲振動を行なわせると同時に、第2および第4の足の圧電素子を用いて自励発振を行わせ、第1の屈曲振動と直交する方向に、第1の屈曲振動と振動数が一致する第2の屈曲振動を発生させておき、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の合成振動として、第3の屈曲振動を発生させ、第3の屈曲振動が、回転によるコリオリ力により引き起こす、第3の屈曲振動に直交する方向の、第4の屈曲振動の第1の屈曲振動の方向の成分である第5の屈曲振動の結果生じる電圧を、第3および第4の足の検出部により検出し、第4の屈曲振動の第2の屈曲振動の方向の成分である第6の屈曲振動の結果生じる電圧を、第1および第3の足の検出部により検出するものである。
本具体例の振動ジャイロに於いては、第3の屈曲振動を生成するための発振回路と、第4の屈曲振動を生成するための発振回路は、別々に設けず1つの発振回路とする事が望ましい。
更に、本具体例の振動ジャイロは、第1の屈曲振動を行う第3の足の圧電素子および第4の足の圧電素子は互いに電気的に接続されている事も望ましい。
本具体例に於ける振動ジャイロは、例えば、第2の屈曲振動を行う第1の足の圧電素子および第3の足の圧電素子は互いに電気的に接続されている。
又、本具体例に於ける当該振動ジャイロは、第1の屈曲振動と第5の屈曲振動が合成された屈曲振動が第3の足に貼り付けられた圧電素子に発生させる電圧出力を参照信号として、第5の屈曲信号が第3の足に貼り付けられた圧電素子に発生させる電圧出力を検出するロックインアンプを備える事も可能である。
更に、本具体例に於いては、振動ジャイロは、第2の屈曲振動と第6の屈曲振動が合成された屈曲振動が第3の足に貼り付けられた圧電素子に発生させる電圧出力を参照信号として、第6の屈曲信号が第3の足に貼り付けられた圧電素子に発生させる電圧出力を検出するロックインアンプを備える。
本具体例に於ける当該振動ジャイロは、第2の屈曲振動と第6の屈曲振動が合成された屈曲振動が第3の足に貼り付けられた圧電素子に発生させる電圧出力を参照信号として、第5の屈曲信号が第3の足に貼り付けられた圧電素子に発生させる電圧出力を検出するロックインアンプを備えていても良く又、第1の屈曲振動と第5の屈曲振動が合成された屈曲振動が第3の足に貼り付けられた圧電素子に発生させる電圧出力を参照信号として、第6の屈曲信号が第3の足に貼り付けられた圧電素子に発生させる電圧出力を検出するロックインアンプを備えるもので有っても良い。
本具体例に於ける当該振動ジャイロは、第5の屈曲振動が第3の足に貼り付けられた圧電素子に発生させる電圧出力を検出する第1のロックインアンプの出力と、第6の屈曲振動が第3の足に貼り付けられた圧電素子に発生させる電圧出力を検出する第2のロックインアンプの出力とを加算する差動増幅回路を備える。
又当該振動ジャイロは、第5の屈曲振動が第3の足に貼り付けられた圧電素子に発生させる電圧出力を検出する第1のロックインアンプの出力と、第6の屈曲振動が第3の足に貼り付けられた圧電素子に発生させる電圧出力を検出する第2のロックインアンプの出力とを加算する差動増幅回路を備えるもので有っても良い。
以下、本具体例に於ける当該振動ジャイロを実施するための詳細な具体例を図面を基に説明する。
尚、以下に述べる本発明に係る当該振動ジャイロに於いては、当該音叉の足部の断面形状は四角形の場合を例にとり、且つ当該四角形の足部が、一つの基部に田の字型に均等に配列されている例を中心に説明するが、本発明に於いては、当該音叉の足部の断面形状は、当該四角形に特定されるものではなく、円形、楕円形、多角形等の形状を使用する事も可能であり、又、基部に配列される当該足部の配置位置も田の字に特定されるものではなく、当該基部の中心に対して等距離でかつ互いに均等に配置されているものであれば、如何なる状態のものでも採用可能である。
図1から図12は本発明の実施の形態である振動ジャイロであり、図1は、以後4叉型と呼ぶ、4脚音叉型の振動ジャイロの外観を示し、以後説明に用いる座標を示す斜視図であり、図2は圧電素子の位置を示し、振動調整のための又の位置を示す斜視図であり、図3は4叉型の足の先端側から見たY軸方向の圧電素子の断面および配線模式図であり、図6は4叉型を円筒状の管に封入した振動ジャイロの構成を示す外観図であり、図7,図8,図9および図10は4叉型の足の先端側から見たY軸方向の断面を模式的に表した動作説明図であり、図11および図12は圧電素子の変形の様子を示す斜視図である。
第1の具体例
図1に示すように、4叉型10は第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14と図示しない圧電素子と基部15から構成される。足は弾性をもつ金属または石英ガラスからなり、形状が四角柱であり、四角柱の側面に張り合わされた圧電素子からなる駆動部および検出部を有している。基部は弾性をもつ金属または石英ガラスからなり、形状が四角柱である。
第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14は互いに平行に方形の基部15の4つの頂点の位置に配置されており、基部15と第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14は一体構造である。
本実施の形態で使用する金属は、弾性率の温度依存性が小さい鉄50%,ニッケル35%およびクロム9.1%を含む合金でエリンバーと呼ばれるものを用いる。同じく弾性率の温度依存性が非常に小さい石英ガラスを用いる場合は、あらかじめ表面に銀やクロムを無電界メッキや蒸着などの手法で薄膜形成しておく。
以下4叉型10を説明するに際しては、座標軸Y軸,Z軸およびX軸を、各辺と平行な方向に定める。このとき長手方向、すなわち足の伸びた方向をY軸,巾方向をZ軸および厚さ方向をX軸とする。このように定めた4叉型10の、長手方向,巾方向および厚さ方向は、それぞれY軸,Z軸およびX軸と平行となる。ただし、4叉型10はX−Z面内で対称な形状をもつので、ここで用いた巾と厚さという言葉は特別な意味をもたない。以下ではXまたはZ方向の巾という言葉を用いる。
図2に、一例として第1の足11,第2の足12に圧電素子からなる駆動部および検出部を接着した様子を示した。斜視図なので図示しないが第3の足13および第4の足14にも同様の圧電素子を貼り付けてある。圧電素子は、薄い板状の形状をしており、あらかじめ両面に銀やクロムの合金を蒸着してある。圧電素子の片面にエポキシ系の導電性接着剤を塗布し、各々の足に貼り付ける。
図3に図2に示す形状の圧電素子を、第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14を切断するX−Z面内の断面に示した。加振用として、第1の足11に圧電素子25、26を張り付け,第2の足12に圧電素子27,28,29、30を張り付け,第4の足14に圧電素子35、36を張り付けてある。
また検出用として、第1の足11に圧電素子23、24を張り付け,第3の足13に圧電素子31,32,33、34を張り付け,第4の足14に圧電素子37、38を張り付けてある。
図3には加振用圧電素子25,26,27,28,29,30,35、36の各々の電極とともに用いて、すべての足を自励発振させる発振回路を構成するオペアンプH0,オペアンプH0を用いた反転増幅器の増幅率を決定する第1の抵抗H1,第2の抵抗H2,第3の抵抗H3,位相調整用の第4の抵抗H4および第1のコンデンサH5、検出用圧電素子23,24,31,32,33,34,37、38の各々の電極からの信号を検出するロックインアンプを構成する緩衝バッファB0,バンドパスフィルタR1,乗算器R2,ローパスフィルタR3,ロックインアンプの参照波を波形整形する波形整形回路R4および参照波の位相を調整する移相回路R5を示し、これらの間の配線を示す。
図6に4叉型10を円筒状の管に封入したジャイロ素子としての構成を示す。ベース16は、セラミックなどの絶縁性材料で構成され、上面には配線基板22が接着してある。4叉型10は基部15を配線基板22と接着固定する。4叉型10を固定したベース16は、金属製キャップ17に圧入し、ベース16と金属キャップ17で封止することにより、4叉型10が存在する内部環境を一定に保つ。この内部環境はたとえば窒素等の不活性ガスの雰囲気とし、振動子としての4叉型10の振動特性、すなわちQ値や共振インピーダンス値が、振動ジャイロとして扱いやすいものとなるように考慮して気圧を調節する。
4叉型10に貼り付けられた図3に示した圧電素子25,26,27,28,29,30,35,36,23,24,31,32,33,34,37、38の電極部は、ベース16に気密圧入されたリード18,19,20、21と導線を用いて半田付けにより電気的に接続される。リード18,19,20、21は、図3に示した発振回路とロックインアンプに接続される。
ここで、本発明に於ける振動ジャイロの振動動作原理に付いて図11及び図12を参照しながら説明する。
つまり、図11と図12は圧電素子の動作を示す。本実施の形態で用いるPZTと呼ばれる圧電素子は、あらかじめ高電圧を加えて分極させておくと、圧電素子に加える電圧の方向により、歪みの方向が異なる。正の電圧を印加した状態で厚さが増加し、縦横が縮む面58を(+)面と呼ぶこととし、図11に示す。
また同じく正の電圧を印加した状態で厚さが減少し、縦横が伸びる面59を(−)面と呼ぶこととし、図12に示す。図3に記入した(+)および(−)の記号は、4叉型10の各々の足に貼り付けられた圧電素子の面のうち、足に接着されている面がいずれの面であるかを示している。
また、図3には第1の足11のY方向の屈曲振動の第1の中立線39を点で示し、第2の足12のY方向の屈曲振動の第2の中立線40を点で示し、第3の足13のY方向の屈曲振動の第3の中立線41を点で示し、第4の足14のY方向の屈曲振動の第4の中立線42を点で示す。図の外側の線は各圧電素子の電極間の配線を模式的に示した。
図3において、オペアンプH0から、第1の足11の圧電素子25、26の電極に電圧が印加されると、たとえば圧電素子25がY方向に縮み、この時同時に圧電素子26がY方向に伸び、結果としてX軸方向に屈曲変位が起こる。時間の経過とともに、この方向は変化し、結果として、第1の足11はX軸方向に屈曲振動する。このとき、駆動する足が第1の足11のみであったとしても、第1の足11の振動が基部15を通して伝達し、第2の足12、第3の足13,第4の足14が自動的に励振され、第1の足11と第2の足12がY−X面内で音叉型に振れ、第3の足13と第4の足14がY−X面内で、第1の足11と第2の足12の振動と逆相で音叉型に振れる第1の屈曲振動が自励発振する。このとき第2の足12の圧電素子29、30の電極からは自励発振を継続するための電圧信号がオペアンプH0に帰還される。このオペアンプH0が加振する足が第2の足12であり、帰還信号を受け取る足が第1の足11であってもよい。
これと同時に、オペアンプH0から、第4の足14の圧電素子35、36の電極に電圧が印加されると、たとえば圧電素子35がY方向に縮み、この時同時に圧電素子36がY方向に伸び、結果としてZ軸方向に屈曲変位が起こる。時間の経過とともに、この方向は変化し、結果として、第4の足14はZ軸方向に屈曲振動する。このとき、駆動する足が第4の足14のみであったとしても、第4の足14の振動が基部15を通して伝達し、第1の足11,第2の足12、第3の足13が自動的に励振され、第1の足11と第3の足13がY−Z面内で音叉型に振れ、第2の足12と第4の足14がY−Z面内で、第1の足11と第3の足13の振動と逆相で音叉型に振れる第2の屈曲振動が自励発振する。
このとき第2の足12の圧電素子27、28の電極からは自励発振を継続するための電圧信号がオペアンプH0に帰還される。このオペアンプH0が加振する足が第2の足12であり、帰還信号を受け取る足が第4の足14であってもよい。
図7に第1の屈曲振動を模式的に示す。第1の屈曲振動では、4叉型10の第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14がY−X面内で屈曲振動を行うが、ここではある瞬間の変位方向を矢印で示している。また、図8に第2の屈曲振動を模式的に示す。第2の屈曲振動では、4叉型10の第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14がY−Z面内で屈曲振動を行う。ここでもある瞬間の変位方向を実線矢印で示している。
図7に示した第1の屈曲振動および図8に示した第2の屈曲振動は4叉型10の試作品の動作確認により、弾性体としての共振周波数の存在がが確認されているものである。すなわち第1の屈曲振動においては、すべての足はX方向に振動しており、第1の足11と第2の足12は通常の音叉型振動を行っており、この時同時に第3の足13と第4の足14は、第1の足11と第2の足12が行う振動の逆相の音叉型振動を行っている。
一方第2の屈曲振動においては、すべての足はZ方向に振動しており、第1の足11と第3の足13は通常の音叉型振動を行っており、この時同時に第2の足12と第4の足14は、第1の足11と第3の足13が行う振動の逆相の音叉型振動を行っている。これらの振動は4本の足が互いにバランスを取り合い、基部15は振動の節となっておりほとんど振動しないので、4叉型10は支持の方法によって振動状態が変わることはほとんどない。
図9に第1の屈曲振動と第2の屈曲振動が同時に存在する場合の4叉型10の屈曲振動の様子を模式的に示す。X軸およびZ軸方向に対称な形状をもつ設計の4叉型10であるが、工作精度が十分でなくこの対称性が保証されない場合は、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の各々固有の機械的共振周波数が離れてしまうが、図3の回路構成においては、1つのオペアンプH0に第1の屈曲振動および第2の屈曲振動の参照信号を入力し、1つのオペアンプH0の電圧出力で第1の屈曲振動と第2の屈曲振動を励振している。
この場合第1の屈曲振動を行う4叉型10の電気機械振動系と第2の屈曲振動を行う4叉型10の電気機械振動系は結合し、第1の屈曲振動の発振周波数f1と第2の屈曲振動の発振周波数f2は各々変化して同じ周波数となり、第1の屈曲振動の周波数f1と第2の屈曲振動の周波数f2の中間の周波数fをもつ第3の屈曲振動が発生する。
ここで注意しなければならないことがある。図3に示す回路構成は、電気機械的な引き込み効果で第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の周波数を一致させるが、各々の機械的なQ値が大きい場合は周波数の一致には限界があり、各々の機械的な共振周波数があまり離れていると第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の周波数を同時に発生させ、第3の屈曲振動を発生させることはできない。
ここで、第1の屈曲振動の共振周波数と第2の屈曲振動の機械的な共振周波数を近づける工夫をする。棒状振動体の屈曲振動の周波数は屈曲方向の巾に比例するので、4叉型10のY軸に垂直な断面の形状を、精度よく加工することにより、第2の屈曲振動の共振周波数と、第1の屈曲振動の共振周波数を近づけられる。
しかしながら、量産を考慮した場合、一般に加工に用いられるダイシングソーやワイヤソーによる加工精度は±3μm程度であるが、たとえば4叉型10の各の足の巾を300μm程度とすると、1%が加工精度の限界となる。これ以上の調整を必要とする場合は、棒状振動体の共振周波数は棒の長さの自乗に逆比例するので、図2に示すようにZ方向から見た足の長さL1と、X方向から見た足の長さL2が異なるように各の又の深さが異なるように加工する。
この部分だけを局部的に、さらに高精度に加工することにより、第1の屈曲振動の共振周波数と第2の屈曲振動の共振周波数をより精度よく一致させることができ、第3の屈曲振動を実現することができる。
この第3の屈曲振動が発生している時、4叉型10がY軸の回りに、角速度ωで回転すると、各の足は、変位する方向に直交する方向にコリオリ力を受け、このコリオリ力により図10に示す第4の屈曲振動が引き起こされる。第4の屈曲振動は、第3の屈曲振動と発振周波数が完全に一致している。したがって、第3の屈曲振動による第4の屈曲振動の励振は、強制振動の理論によれば、最高の効率で行われ、第4の屈曲振動は非常に大きな振幅を得ることができる。
第4の屈曲振動は、X方向に成分として第5の屈曲振動をもつ。第5の屈曲振動は、第1の屈曲振動の振幅と位相を変化させる効果をもつ。第5の屈曲振動の効果は、第4の足14においては、第1の屈曲振動により発生しているY−X面内の歪みを変化させ、図3に示した圧電素子37、38により発生する電圧が変化する。
Y方向歪みは、コリオリ力発生の原理に従い、角速度ωに比例するので圧電素子37、38に発生した電圧の変化は角速度ωに比例することになる。この角速度に比例する電圧の変化を含む圧電素子37、38の発生電圧は、差動入力の緩衝バッファB0の負に入力される。
また、第3の足13においては、第1の屈曲振動により発生しているY−X面内の歪みを変化させ、図3に示した圧電素子33、34により発生する電圧が変化する。Y方向歪みは、コリオリ力発生の原理に従い、角速度ωに比例するので、圧電素子33、34に発生した電圧の変化は角速度ωに比例することになる。この角速度に比例する電圧の変化を含む圧電素子33、34の発生電圧も、差動入力の緩衝バッファB0の負に入力される。
ここに圧電素子33,圧電素子34,圧電素子37および圧電素子38は電気的に接続されていることになるが、これは4叉型10にX方向の振動や衝撃力が加えられた場合、これらに起因するノイズ出力が互いに打ち消しあう効果をもたらす。
同様に、第4の屈曲振動は、Z方向に成分として、第6の屈曲振動をもつ。第6の屈曲振動は、第2の屈曲振動の振幅および位相を変化させる効果をもつ。第6の屈曲振動の効果は、第1の足11においては、第2の屈曲振動により発生しているY−Z面内の歪みを変化させ、図3に示した圧電素子23、24により発生する電圧が変化する。
Y方向歪みは、コリオリ力発生の原理に従い、角速度ωに比例するので、圧電素子23、24に発生した電圧の変化は角速度ωに比例することになる。この角速度に比例する電圧の変化を含む圧電素子23、24の発生電圧は、差動入力の緩衝バッファB0の正に入力される。また、第3の足13においては、第2の屈曲振動により発生しているY−Z面内の歪みを変化させ、図3に示す圧電素子31、32により発生する電圧が変化する。
Y方向歪みはコリオリ力発生の原理に従い、角速度ωに比例するので圧電素子31、32に発生した電圧の変化は角速度ωに比例することになる。この角速度に比例する電圧の変化を含む圧電素子31、32の発生電圧も、差動入力の緩衝バッファB0の正に入力される。ここに圧電素子23,圧電素子24,圧電素子31および圧電素子32は電気的に接続されていることになるが、これは4叉型10にZ方向の振動や衝撃力が加えられた場合、これらに起因するノイズ出力が互いに打ち消しあう効果をもたらす。
角速度ωの回転に対して第5の屈曲振動と第6の屈曲振動は互いに逆の効果をもつ。すなわち、角速度ωの回転方向により生じる第5の屈曲振動が第1の屈曲振動の振幅を増加させる時、角速度ωにより生じる第6の屈曲振動は第2の屈曲振動の振幅を減少させ、角速度ωにより生じる第5の屈曲振動が第1の屈曲振動の振幅を減少させる時、角速度ωにより生じる第6の屈曲振動は第2の屈曲振動の振幅を増加させる。また、角速度ωにより生じる第5の屈曲振動が第1の屈曲振動の位相を進ませる時、角速度ωにより生じる第6の屈曲振動は第2の屈曲振動の位相を遅らせ、角速度ωにより生じる第5の屈曲振動が第1の屈曲振動の位相を遅らせる時、角速度ωにより生じる第6の屈曲振動は第2の屈曲振動の位相を進ませる。
したがって、差動入力の緩衝バッファB0の出力は、第1の屈曲振動の交流出力と第2の屈曲振動の交流出力の差に、コリオリ力に起因する、第5の屈曲振動の効果と第6の屈曲振動の効果の和が、重ね合わされたものとなる。この出力から、ロックインアンプの構成をもって、交流出力を取り除く。まず緩衝バッファB0の出力をバンドパスフィルタR1により成形し、乗算器R2に入力する。乗算器は、DCドリフトを抑えるため、スイッチング方式とする。すなわち、入力信号の位相が0度以上180度未満を通過させ、180度以上360度未満を反転して出力する。
信号反転に用いる位相情報は、オペアンプH0の出力を2値化回路R4で2値化した後、移相回路R5で調整して作成した参照信号を用いる。乗算器H0の出力は非常に遮断周波数の小さいローパスフィルタR3で直流とする。この構成では、ノイズと見なされる参照信号の周波数以外のほとんどの信号成分が取り除かれ、非常にS/Nのよい信号抽出が実現でき、その結果、コリオリ力に起因する第5の屈曲振動の効果と第6の屈曲振動の効果の和のみが直流として抽出される。これによって角速度ωの値を正確に知ることができる。
本発明における4叉型10の第3の屈曲振動は、大きなQ値をもつ音叉型発振器を構成している。すなわち非常に安定した周波数をもつ信号である。したがって、これを参照信号として用いることによりロックインアンプの機能であるバンドパスフィルタのバンド幅を非常に小さくできる。言い換えると、これを用いることにより、角速度ωに起因する信号以外のノイズをほとんど除外できる。
したがって、第3の屈曲振動からの信号を参照信号とするロックインアンプは、コリオリ力に起因する第4の屈曲振動が生成する信号の検出に際して、非常に大きなS/N比をもつ増幅を実現できる。本実施の形態においては、これらを最も安価に実現するための最少の構成を示した。
第2の具体例
以下、本発明の第2の具体例の実施の形態振動のジャイロを実施するための最良の形態による実施の形態を図面を基に説明する。
図1から図12は本具体例の実施の形態である振動ジャイロであり、図1は、以後4叉型と呼ぶ、4脚音叉型の振動ジャイロの外観を示し、以後説明に用いる座標を示す斜視図であり、図2は圧電素子の位置を示し、振動調整のための又の位置を示す斜視図であり、図4は4叉型の足の先端側から見たY軸方向の圧電素子の断面および配線模式図であり、図6は4叉型を円筒状の管に封入した振動ジャイロの構成を示す外観図であり、図7,図8,図9および図10は4叉型の足の先端側から見たY軸方向の断面を模式的に表した動作説明図であり、図11および図12は圧電素子の変形の様子を示す斜視図であり、図30,図31,図32および図33は、コリオリ力の効果を示す動作説明図である。
図1に示すように、4叉型10は第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14と図示しない圧電素子と基部15から構成される。足は弾性をもつ金属または石英ガラスからなり、形状が四角柱であり、四角柱の側面に張り合わされた圧電素子からなる駆動部および検出部を有している。基部は弾性をもつ金属または石英ガラスからなり、形状が四角柱である。第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14は互いに平行に方形の基部15の4つの頂点の位置に配置されており、基部15と第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14は一体構造である。
本実施の形態で使用する金属は、弾性率の温度依存性が小さい鉄50%,ニッケル35%およびクロム9.1%を含む合金でエリンバーと呼ばれるものを用いる。同じく弾性率の温度依存性が非常に小さい石英ガラスを用いる場合は、あらかじめ表面に銀やクロムを無電界メッキや蒸着などの手法で薄膜形成しておく。
以下4叉型10を説明するに際しては、座標軸Y軸,Z軸およびX軸を、各辺と平行な方向に定める。このとき長手方向、すなわち足の伸びた方向をY軸,巾方向をZ軸および厚さ方向をX軸とする。このように定めた4叉型10の、長手方向,巾方向および厚さ方向は、それぞれY軸,Z軸およびX軸と平行となる。ただし、4叉型10はX−Z面内で対称な形状をもつので、ここで用いた巾と厚さという言葉は特別な意味をもたない。以下ではXまたはZ方向の巾という言葉を用いる。
図2に、一例として第1の足11,第2の足12に圧電素子からなる駆動部および検出部を接着した様子を示した。斜視図なので図示しないが第3の足13および第4の足14にも同様の圧電素子を貼り付けてある。圧電素子は、薄い板状の形状をしており、あらかじめ両面に銀やクロムの合金を蒸着してある。圧電素子の片面にエポキシ系の導電性接着剤を塗布し、各々の足に貼り付ける。
図4には図2に示した形状の圧電素子を、第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14を切断するX−Z面内の断面に示した。図3においては、各々の足を駆動し検出する電極はバイモルフを構成するように配置した。図4には、ユニモルフでも駆動および検出は可能なので、必ずしも必要の無い音叉内側の圧電素子を省略して示した。
図4には加振用として、第1の足11に圧電素子25を張り付け,第2の足12に圧電素子27、29を張り付け,第4の足14に圧電素子35を張り付けてある。また検出用として第1の足11に圧電素子23を張り付け,第3の足13に圧電素子31、33を張り付け,第4の足14に圧電素子37を張り付けてある。
図4には加振用圧電素子25,27,29、35のそれぞれの電極と共に用いてすべての足を自励発振させる発振回路を構成するオペアンプH0,オペアンプH0を用いた反転増幅器の増幅率を決定する第1の抵抗H1,第2の抵抗H2,第3の抵抗H3,位相調整用の抵抗H4およびコンデンサH5を示し、検出用圧電素子33、37の各々の電極からの信号を検出する第1のロックインアンプを構成する第1の緩衝バッファB1,第1のバンドパスフィルタR11,第1の乗算器R12,第1のローパスフィルタR13,検出用圧電素子23、31の各々の電極からの信号を第1のロックインアンプの参照波として検出する第2の緩衝バッファB2,参照波を波形整形する第1の波形整形回路R14および参照波の位相を調整する第1の移相回路R15を示し、検出用圧電素子23、31の各々の電極からの信号を検出する第2のロックインアンプを構成する第3の緩衝バッファB3,第2のバンドパスフィルタR21,第2の乗算器R22,第2のローパスフィルタR23,検出用圧電素子33、37の各々の電極からの信号を第2のロックインアンプの参照波として検出する第4の緩衝バッファB4,参照波を波形整形する第2の波形整形回路R24および参照波の位相を調整する第2の移相回路R25を示し、第1のローパスフィルタR13と第2のローパスフィルタR23の出力を合成する差動増幅回路R10を示す。
図6に4叉型10を円筒状の管に封入したジャイロ素子としての構成を示す。ベース16は、セラミックなどの絶縁性材料で構成されるが、上面には配線基板22が接着してある。4叉型10は基部15を配線基板22と接着固定する。4叉型10を固定したベース16は、金属製キャップ17に圧入し、ベース16と金属キャップ17で封止することにより、4叉型10が存在する内部環境を一定に保つ。この内部環境はたとえば窒素等の不活性ガスの雰囲気とし、振動子としての4叉型10の振動特性、すなわちQ値や共振インピーダンス値が、振動ジャイロとして扱いやすいものとなるように考慮して気圧を調節する。
4叉型10に貼り付けられた図4に示した圧電素子25,27,29,35,23,31,33、37の電極部は、ベース16に気密圧入されたリード18,19,20、21と導線を用いてハンダ付けにより電気的に接続される。リード18,19,20、21は、図4に示した発振回路とロックインアンプを構成する緩衝バッファB1,B2,B3、B4に接続される。
図4において、オペアンプH0から、第1の足11の圧電素子25の電極に電圧が印加されると、たとえば圧電素子25がY方向に縮み、その結果、X軸方向に屈曲変位が起こる。時間の経過とともにこの方向は変化し、その結果、第1の足11はX軸方向に屈曲振動する。このとき駆動する足が第1の足11のみであったとしても、第1の足11の振動が基部15を通して伝達し、第2の足12、第3の足13,第4の足14が自動的に励振され、第1の足11と第2の足12がY−X面内で音叉型に振れ、第3の足13と第4の足14がY−X面内で、第1の足11と第2の足12の振動と逆相で音叉型に振れる第1の屈曲振動が自励発振する。このとき第2の足12の圧電素子29の電極からは、自励発振を継続するための電圧信号がオペアンプH0に帰還される。このオペアンプH0が加振する足が第2の足12であり、帰還信号を受け取る足が第1の足11であってもよい。
これと同時に、オペアンプH0から、第4の足14の圧電素子35の電極に電圧が印加されると、たとえば圧電素子35がY方向に縮み、結果としてZ軸方向に屈曲変位が起こる。時間の経過とともにこの方向は変化し、その結果、第4の足14はZ軸方向に屈曲振動する。
このとき駆動する足が第4の足14のみであったとしても、第4の足14の振動が基部15を通して伝達し、第1の足11,第2の足12、第3の足13が自動的に励振され、第1の足11と第3の足13がY−Z面内で音叉型に振れ、第2の足12と第4の足14がY−Z面内で、第1の足11と第3の足13の振動と逆相で音叉型に振れる第2の屈曲振動が自励発振する。このとき第2の足12の圧電素子27の電極からは、自励発振を継続するための電圧信号がオペアンプH0に帰還される。このオペアンプH0が加振する足が第2の足12であり、帰還信号を受け取る足が第4の足14であってもよい。
図7に第1の屈曲振動を模式的に示す。第1の屈曲振動では、4叉型10の第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14がY−X面内で屈曲振動を行うが、ここではある瞬間の変位方向を矢印で示している。さらに、図8に第2の屈曲振動を模式的に示す。第2の屈曲振動では4叉型10の第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14がY−Z面内で屈曲振動を行う。ここでもある瞬間の変位方向を実線矢印で示している。
図7に示した第1の屈曲振動および図8に示した第2の屈曲振動は4叉型10の試作品の動作確認により、弾性体としての共振周波数の存在が確認されているものである。すなわち第1の屈曲振動においては、すべての足はX方向に振動しており、第1の足11と第2の足12は通常の音叉型振動を行っており、この時同時に第3の足13と第4の足14は、第1の足11と第2の足12が行う振動の逆相の音叉型振動を行っている。
一方第2の屈曲振動においては、すべての足はZ方向に振動しており、第1の足11と第3の足13は通常の音叉型振動を行っており、この時同時に第2の足12と第4の足14は、第1の足11と第3の足13が行う振動の逆相の音叉型振動を行っている。これらの振動は4本の足が互いにバランスを取り合い、基部15は振動の節となっておりほとんど振動しないので、4叉型10は支持の方法によって振動状態が変わることはほとんどない。
図9に第1の屈曲振動と第2の屈曲振動が同時に存在する場合の4叉型10の屈曲振動の様子を模式的に示す。X軸とZ軸方向に対称な形状をもつ設計の4叉型10であるが、工作精度が十分でなくこの対称性が保証されない場合は、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の各々固有の機械的共振周波数が離れてしまうが、図4の回路構成においては、1つのオペアンプH0に第1の屈曲振動および第2の屈曲振動の参照信号を入力し、1つのオペアンプH0の電圧出力で第1の屈曲振動および第2の屈曲振動を励振している。
この場合第1の屈曲振動を行う4叉型10の電気機械振動系と第2の屈曲振動を行う4叉型10の電気機械振動系は結合し、第1の屈曲振動の発振周波数f1と第2の屈曲振動の発振周波数f2は各々変化して同じ周波数となり、第1の屈曲振動の周波数f1と第2の屈曲振動の周波数f2の中間の周波数fをもつ第3の屈曲振動が発生する。
ここで注意しなければならないことがある。図4に示す回路構成は、電気機械的な引き込み効果で第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の周波数を一致させるが、各々の機械的なQ値が大きい場合は周波数の一致には限界があり、各々の機械的な共振周波数があまり離れていると第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の周波数を同時に発生させ、第3の屈曲振動を発生させることはできない。
ここで、第1の屈曲振動の共振周波数と第2の屈曲振動の機械的な共振周波数を近づける工夫をする。棒状振動体の屈曲振動の周波数は屈曲方向の巾に比例するので、4叉型10のY軸に垂直な断面を、精度よく加工することにより、第2の屈曲振動の共振周波数と、第1の屈曲振動の共振周波数を近づけられる。
しかしながら、量産を考慮した場合、一般に加工に用いられるダイシングソーやワイヤソーによる加工精度は±3μm程度であるが、たとえば4叉型10の各の足の巾を300μm程度とすると、1%が加工精度の限界となる。これ以上の調整を必要とする場合は、棒状振動体の共振周波数は棒の長さの自乗に逆比例するので、図2に示すようにZ方向から見た足の長さL1と、X方向から見た足の長さL2が異なるように各の又の深さが異なるように加工する。この部分だけを局部的に、さらに高精度に加工することにより、第1の屈曲振動の共振周波数と第2の屈曲振動の共振周波数をより精度よく一致させることができ、第3の屈曲振動を実現することができる。
この第3の屈曲振動が発生しているとき、4叉型10がY軸の回りに、角速度ωで回転すると、各の足は、変位する方向に直交する方向にコリオリ力を受け、このコリオリ力により図10に示す第4の屈曲振動が引き起こされる。第4の屈曲振動は、第3の屈曲振動と発振周波数が完全に一致している。したがって、第3の屈曲振動による第4の屈曲振動の励振は、強制振動の理論によれば、最高の効率で行われ、第4の屈曲振動は非常に大きな振幅を得ることができる。
第4の屈曲振動はX方向に成分として、第5の屈曲振動をもつ。第5の屈曲振動は第1の屈曲振動の振幅および位相を変化させる効果をもつ。第5の屈曲振動の効果は、第4の足14においては、第1の屈曲振動により発生しているY−X面内の歪みを変化させ、図4に示した圧電素子37により発生する電圧が変化する。Y方向歪みはコリオリ力発生の原理に従い、角速度ωに比例するので、圧電素子37に発生した電圧の変化は角速度ωに比例することになる。
この角速度に比例する電圧の変化を含む圧電素子37の発生電圧は、緩衝バッファB1、B4に入力する。また第3の足13においては、第1の屈曲振動により発生しているY−X面内の歪みを変化させ、図4に示した圧電素子33により発生する電圧が変化する。Y方向歪みはコリオリ力発生の原理に従い、角速度ωに比例するので圧電素子33に発生した電圧の変化は角速度ωに比例することになる。この角速度に比例する電圧の変化を含む圧電素子33の発生電圧も、緩衝バッファB1、B4に入力する。
ここに圧電素子33および圧電素子37は電気的に接続されていることになるが、これは4叉型10にX方向の振動や衝撃力が加えられた場合、これらに起因するノイズ出力が互いに打ち消しあう効果をもたらす。
同様に、第4の屈曲振動は、Z方向に成分として、第6の屈曲振動をもつ。第6の屈曲振動は、第2の屈曲振動の振幅および位相を変化させる効果をもつ。第6の屈曲振動の効果は、第1の足11においては、第2の屈曲振動により発生しているY−Z面内の歪みを変化させ、図4に示した圧電素子23により発生する電圧が変化する。
Y方向歪みはコリオリ力発生の原理に従い、角速度ωに比例するので、圧電素子23に発生した電圧の変化は角速度ωに比例することになる。この角速度に比例する電圧の変化を含む圧電素子23の発生電圧は、緩衝バッファB2、B3に入力する。また、第3の足13においては、第2の屈曲振動により発生しているY−Z面内の歪みを変化させ、図4に示した圧電素子31により発生する電圧が変化する。
Y方向歪みは、コリオリ力発生の原理に従い、角速度ωに比例するので、圧電素子31に発生した電圧の変化は角速度ωに比例することになる。この角速度に比例する電圧の変化を含む圧電素子31の発生電圧も、緩衝バッファB2、B3に入力する。ここに圧電素子23および圧電素子31は電気的に接続されていることになるが、これは4叉型10にZ方向の振動や衝撃力が加えられた場合、これらに起因するノイズ出力が互いに打ち消しあう効果をもたらす。
角速度ωの回転に対して第5の屈曲振動と第6の屈曲振動は互いに逆の効果をもつ。すなわち、角速度ωの回転方向により生じる第5の屈曲振動が第1の屈曲振動の振幅を増加させる時、角速度ωにより生じる第6の屈曲振動は第2の屈曲振動の振幅を減少させ、角速度ωにより生じる第5の屈曲振動が第1の屈曲振動の振幅を減少させる時、角速度ωにより生じる第6の屈曲振動は第2の屈曲振動の振幅を増加させる。また、角速度ωにより生じる第5の屈曲振動が第1の屈曲振動の位相を進ませる時、角速度ωにより生じる第6の屈曲振動は第2の屈曲振動の位相を遅らせ、角速度ωにより生じる第5の屈曲振動が第1の屈曲振動の位相を遅らせる時、角速度ωにより生じる第6の屈曲振動は第2の屈曲振動の位相を進ませる。
したがって、緩衝バッファB1の出力は、第1の屈曲振動の交流出力に、コリオリ力に起因する、第5の屈曲振動の効果が重ね合わされたものとなる。この出力から、ロックインアンプの構成をもって、交流成分を取り除く。まず、緩衝バッファB1の出力をバンドパスフィルタR11により成形し、乗算器R12に入力する。乗算器は、DCドリフトを抑えるため、スイッチング方式とする。
すなわち、入力信号の位相が0度以上180度未満を通過させ、180度以上360度未満を反転して出力する。入力信号の信号反転に用いる位相情報は、緩衝バッファB2の出力を2値化回路R14で2値化した後、移相回路R15で調整して作成した参照信号を用いる。乗算器R12の出力は非常に遮断周波数の小さいローパスフィルタR13で直流とする。この構成では、ノイズと見なされる参照信号の周波数以外のほとんどの信号成分が取り除かれ、非常にS/Nのよい信号抽出が実現でき、結果として、コリオリ力に起因する第5の屈曲振動の効果および第1の屈曲振動による定常的な出力の重ね合わされたもののみが、直流として抽出される。
つぎに、緩衝バッファB3の出力は、第2の屈曲振動の交流出力に、コリオリ力に起因する、第6の屈曲振動の効果が重ね合わされたものとなる。この出力から、ロックインアンプの構成をもって、交流成分を取り除く。まず、緩衝バッファB3の出力をバンドパスフィルタR21により成形し、乗算器R22に入力する。乗算器はDCドリフトを抑えるため、スイッチング方式とする。
すなわち入力信号の位相が0度以上180度未満を通過させ、180度以上360度未満を反転して出力する。入力信号の信号反転に用いる位相情報は、緩衝バッファB4の出力を2値化回路R24で2値化した後、移相回路R25で調整して作成した参照信号を用いる。乗算器R22の出力は非常に遮断周波数の小さいローパスフィルタR23で直流とする。この構成では、ノイズと見なされる参照信号の周波数以外のほとんどの信号成分が取り除かれ、非常にS/Nのよい信号抽出が実現でき、その結果、コリオリ力に起因する第6の屈曲振動の効果および第2の屈曲振動による定常的な出力の重ね合わされたもののみが、直流として抽出される。
第1の屈曲振動と第5の屈曲振動に起因するローパスフィルタR13の出力と第2の屈曲振動と第6の屈曲振動に起因するローパスフィルタR23の出力とは差動増幅器R10によって加算され、結果としてコリオリ力の効果は差動増幅器R10から出力される。
ここに図4に示す4叉型10の圧電素子23,31,33,37の出力は、圧電素子33、37からのX方向の信号を入力とする第1のロックインアンプの参照には圧電素子23、31からのZ方向の信号を用い、圧電素子23、31からのZ方向の信号を入力とする第2のロックインアンプの参照には圧電素子33、37からのX方向の信号が用いられることを示した。
ロックインアンプの参照信号としては、参照信号が常時出力されている必要があるので図3に示したように、発振回路を構成するオペアンプH0の出力を用いる場合が多い。しかしながら、自励発振のエネルギーを供給する素子の出力は、4本の足で構成される機械発振系との間で常に微妙な調整を行っている。
この調整の効果は、機械発振系とオペアンプH0の出力との間の微妙な位相のズレとして発現する。ロックインアンプの入力信号と参照信号の間に位相のズレが存在する場合は、出力にDCドリフトを与えてしまう。DCドリフトは、角速度を出力とする振動ジャイロにとって好ましくない。角度情報を求めることを目的とする振動ジャイロにとって、角速度に比例する直流出力にDCドリフトが加算されるとその積分値である角度情報は不正確になる。
本実施の形態においては、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動を常時発生させていることを利用し、第1のロックインアンプも第2のロックインアンプも参照信号としては、4叉型10に発振のためのエネルギーを供給するオペアンプH0とは電気的に直接接続されていない信号を用いており、すなわち4叉型10の機械振動の結果生じるエネルギーのみを用いているため、ロックインアンプの入力と参照信号の間に位相のズレはほとんど発生しない。したがって、DCドリフトもほとんど発生しない。
図30,図31,図32および図33に第5屈曲振動および第6の屈曲振動として現れるコリオリ力の効果を示す。まず、図30および図31を用いて出力電圧の振幅に及ぼす効果について説明する。4叉型10が静止している場合は、圧電素子33および圧電素子37からの電圧出力Bは、圧電素子23および圧電素子31からの電圧出力Cと振幅が一致、もしくは一定の振幅差をもって安定しており、説明の簡単のためこれを一致させ、静止時電圧出力Aで示す。
4叉型10が右回りに回転すると、圧電素子33および圧電素子37からの電圧出力Bは、図30に破線で示すように振幅が増大し、圧電素子23および圧電素子31からの電圧出力Cは、図30に一点鎖線で示すように振幅が減少する。また、4叉型10が左回りに回転すると、圧電素子33および圧電素子37からの電圧出力Bは図31に破線で示すように振幅が減少し、圧電素子23および圧電素子31からの電圧出力Cは、図31に一点鎖線で示すように振幅が増大する。
つぎに図32と図33とを用いて出力電圧の位相に及ぼす効果について説明する。4叉型10が静止している場合は、圧電素子33および圧電素子37からの電圧出力Bは、圧電素子23および圧電素子31からの電圧出力Cと位相が一致または一定の差をもって安定しており、説明の簡単のためこれを一致させ、静止時電圧出力Aで示す。4叉型10が右回りに回転すると、圧電素子33と圧電素子37からの電圧出力Bは、図32に破線で示すように位相が遅れ、圧電素子23および圧電素子31からの電圧出力Cは、図32に一点鎖線で示すように位相が進む。
また、4叉型10が左回りに回転すると、圧電素子33および圧電素子37からの電圧出力Bは、図33に破線で示すように位相が遅れ、圧電素子23および圧電素子31からの電圧出力Cは、図33に一点鎖線で示すように位相が進む。
このコリオリ力による位相の変化は、たとえば電圧出力Cの位相を用いて電圧出力Bの信号の積分期間を決定する場合、図32と図33における電圧出力の時間積分値を現す正符号の面積S1および負符号の面積S2の和として図示した、4叉型10が静止していて電圧出力Bおよび電圧出力Cがともに電圧出力Aに等しい場合に対して、4叉型10が回転している場合の正符号の面積S3と負符号の面積S4の和が変化することにより、ロックインアンプのDC出力に影響を与える。ここに、電圧出力Bや電圧出力Cのように検出信号と参照信号が共に発振回路と電気的に接続されていないもの同士を用いた場合は、お互いの位相変化はコリオリ力のみを反映し、DCドリフトはほとんど発生しない。
しかし、参照信号にオペアンプH0の出力等、発振回路の出力を用いる場合は、コリオリ力以外に発振制御のための位相変化が加わる。これがDCドリフトの原因である。角速度ωが毎秒90度程度であれば、第1の屈曲振動の位相と第2の屈曲振動の相対的な位相のズレは15度程度であるが、この程度の位相のズレであればロックインアンプのDC出力は0.2%程度のリニアリティーをもって、角速度ωに比例する。この位相ズレによるロックインアンプの出力は、振幅変化によるロックインアンプの出力より大きい。
振幅変化および位相ズレの両方の効果を検出に用いることができ、かつDCドリフトがほとんど無い本実施の形態は、たとえばカメラ一体型VTRの手ブレ防止用途のような、小型にすると出力が小さくなる振動ジャイロの特性にもかかわらず、小型であることが重要な用途において、最適な振動ジャイロの構成を実現する。
第3の具体例
以下、本発明の振動ジャイロの第3の具体例に付いて、図面を基に説明する。
図1から図12は本発明の実施の形態である振動ジャイロであり、図1は、以後4叉型と呼ぶ、4脚音叉型の振動ジャイロの外観を示し、以後説明に用いる座標を示す斜視図であり、図2は圧電素子の位置を示し、振動調整のための又の位置を示す斜視図であり、図5は4叉型の足の先端側から見たY軸方向の圧電素子の断面および配線模式図であり、図6は4叉型を円筒状の管に封入した振動ジャイロの構成を示す外観図であり、図7,図8,図9および図10は4叉型の足の先端側から見たY軸方向の断面を模式的に表した動作説明図であり、図11と図12は圧電素子の変形の様子を示す斜視図であり、図30,図31,図32および図33は、コリオリ力の効果を示す動作説明図である。
図1に示すように、4叉型10は第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14と図示しない圧電素子と基部15から構成される。足は弾性をもつ金属または石英ガラスからなり、形状が四角柱であり、四角柱の側面に張り合わされた圧電素子からなる駆動部および検出部を有している。基部は弾性をもつ金属または石英ガラスからなり、形状が四角柱である。第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14は互いに平行に方形の基部15の4つの頂点の位置に配置されており、基部15と第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14は一体構造である。
本実施の形態で使用する金属は、弾性率の温度依存性が小さい鉄50%,ニッケル35%およびクロム9.1%を含む合金でエリンバーと呼ばれるものを用いる。同じく弾性率の温度依存性が非常に小さい石英ガラスを用いる場合は、あらかじめ表面に銀やクロムを無電界メッキや蒸着などの手法で薄膜形成しておく。
以下4叉型10を説明するに際しては、座標軸Y軸,Z軸およびX軸を、各辺と平行な方向に定める。このとき、長手方向、すなわち足の伸びた方向をY軸,巾方向をZ軸および厚さ方向をX軸とする。このように定めた4叉型10の長手方向,巾方向および厚さ方向は、それぞれY軸,Z軸およびX軸と平行となる。ただし、4叉型10はX−Z面内で対称な形状をもつので、ここで用いた巾と厚さという言葉は特別な意味をもたない。以下ではXまたはZ方向の巾という言葉を用いる。
図2に、一例として第1の足11,第2の足12に圧電素子からなる駆動部および検出部を接着した様子を示した。斜視図なので図示しないが第3の足13および第4の足14にも同様の圧電素子を貼り付けてある。圧電素子は、薄い板状の形状をしており、あらかじめ両面に銀やクロムの合金を蒸着してある。圧電素子の片面にエポキシ系の導電性接着剤を塗布し、各々の足に貼り付ける。
図5には図2に示した形状の圧電素子を、第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14を切断するX−Z面内の断面に示した。図3では、各々の足を駆動し検出する電極は、バイモルフを構成するように配置した。図5には、ユニモルフでも駆動および検出は可能なので、必ずしも必要の無い音叉内側の圧電素子を省略して示した。図5には、加振用として、第1の足11に圧電素子25を張り付け,第2の足12に圧電素子27、29を張り付け,第4の足14に圧電素子35を張り付けてある。また検出用として、第1の足11に圧電素子23を張り付け,第3の足13に圧電素子31、33を張り付け,第4の足14に圧電素子37を張り付けてある。
図5には加振用圧電素子25,27,29、35のそれぞれの電極とともに使用して、すべての足を自励発振させる発振回路を構成するオペアンプH0,オペアンプH0を用いた反転増幅器の増幅率を決定する第1の抵抗H1,第2の抵抗H2,第3の抵抗H3,位相調整用の抵抗H4およびコンデンサH5を示し、検出用圧電素子33、37の各々の電極からの信号を検出する第1のロックインアンプを構成する第1の緩衝バッファB5,第1のバンドパスフィルタR31,第1の乗算器R32,第1のローパスフィルタR33,検出用圧電素子33、37の各々の電極からの信号を第1のロックインアンプの参照波として検出する第2の緩衝バッファB6,参照波を波形整形する第1の波形整形回路R34および参照波の位相を調整する第1の移相回路R35を示し、検出用圧電素子23、31の各々の電極からの信号を検出する第2のロックインアンプを構成する第3の緩衝バッファB7,第2のバンドパスフィルタR41,第2の乗算器R42,第2のローパスフィルタR43,検出用圧電素子23、31の各々の電極からの信号を第2のロックインアンプの参照波として検出する第4の緩衝バッファB8,参照波を波形整形する第2の波形整形回路R44および参照波の位相を調整する第2の移相回路R45を示し、第1のローパスフィルタR33と第2のローパスフィルタR43の出力を合成する差動増幅回路R20を示す。
図6に4叉型10を円筒状の管に封入したジャイロ素子としての構成を示す。ベース16は、セラミックなどの絶縁性材料で構成されるが、上面には配線基板22が接着してある。4叉型10は基部15を配線基板22と接着固定する。4叉型10を固定したベース16は、金属製キャップ17に圧入し、ベース16と金属キャップ17で封止することにより、4叉型10が存在する内部環境を一定に保つ。この内部環境はたとえば窒素等の不活性ガスの雰囲気とし、振動子としての4叉型10の振動特性、すなわちQ値や共振インピーダンス値が、振動ジャイロとして扱いやすいものとなるように考慮して気圧を調節する。
4叉型10に貼り付けられた図4に示した圧電素子25,27,29,35,23,31,33、37の電極部は、ベース16に気密圧入されたリード18,19,20、21と導線を用いてハンダ付けによって電気的に接続する。リード18,19,20、21は、図4に示した発振回路とロックインアンプを構成する緩衝バッファB5,B6,B7、B8に接続される。
図5において、オペアンプH0から、第1の足11の圧電素子25の電極に電圧が印加されると、たとえば圧電素子25がY方向に縮み、結果としてX軸方向に屈曲変位が起こる。時間の経過とともに、この方向は変化し、結果として、第1の足11はX軸方向に屈曲振動する。このとき駆動する足が第1の足11のみであったとしても、第1の足11の振動が基部15を通して伝達し、第2の足12、第3の足13,第4の足14が自動的に励振され、第1の足11と第2の足12がY−X面内で音叉型に振れ、第3の足13と第4の足14がY−X面内で、第1の足11と第2の足12の振動と逆相で音叉型に振れる第1の屈曲振動が自励発振する。このとき第2の足12の圧電素子29の電極からは、自励発振を継続するための電圧信号がオペアンプH0に帰還される。このオペアンプH0が加振する足が第2の足12であり、帰還信号を受け取る足が第1の足11であってもよい。
これと同時に、オペアンプH0から、第4の足14の圧電素子35の電極に電圧が印加されると、たとえば圧電素子35がY方向に縮み、結果としてZ軸方向に屈曲変位が起こる。時間の経過とともに、この方向は変化し、結果として、第4の足14はZ軸方向に屈曲振動する。
このとき駆動する足が第4の足14のみであったとしても、第4の足14の振動が基部15を通して伝達し、第1の足11,第2の足12、第3の足13が自動的に励振され、第1の足11と第3の足13がY−Z面内で音叉型に振れ、第2の足12と第4の足14がY−Z面内で、第1の足11と第3の足13の振動と逆相で音叉型に振れる第2の屈曲振動が自励発振する。このとき第2の足12の圧電素子27の電極からは、自励発振を継続するための電圧信号がオペアンプH0に帰還される。このオペアンプH0が加振する足が第2の足12であり、帰還信号を受け取る足が第4の足14であってもよい。
図7に第1の屈曲振動を模式的に示す。第1の屈曲振動では4叉型10の第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14がY−X面内で屈曲振動を行うが、ここではある瞬間の変位方向を矢印で示している。また図8に第2の屈曲振動を模式的に示す。第2の屈曲振動では4叉型10の第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14がY−Z面内で屈曲振動を行なう。ここでもある瞬間の変位方向を実線矢印で示している。
図7に示した第1の屈曲振動と、図8に示した第2の屈曲振動は4叉型10の試作品の動作確認により、弾性体としての共振周波数の存在がが確認されているものである。すなわち第1の屈曲振動においては、すべての足はX方向に振動しており、第1の足11と第2の足12は通常の音叉型振動を行っており、この時同時に第3の足13と第4の足14は、第1の足11と第2の足12が行う振動の逆相の音叉型振動を行っている。一方第2の屈曲振動においては、すべての足はZ方向に振動しており、第1の足11と第3の足13は通常の音叉型振動を行っており、この時同時に第2の足12と第4の足14は、第1の足11と第3の足13が行う振動の逆相の音叉型振動を行っている。これらの振動は4本の足が互いにバランスを取り合い、基部15は振動の節となっておりほとんど振動しないので4叉型10は支持の方法によって振動状態が変わることはほとんどない。
図9に第1の屈曲振動と第2の屈曲振動が同時に存在する場合の4叉型10の屈曲振動の様子を模式的に示す。X軸およびZ軸方向に対称な形状をもつ設計の4叉型10であるが、工作精度が十分でなくこの対称性が保証されない場合は、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の各々固有の機械的共振周波数が離れてしまうが、図4の回路構成においては、1つのオペアンプH0に第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の参照信号を入力し、1つのオペアンプH0の電圧出力で第1の屈曲振動および第2の屈曲振動を励振している。
この場合第1の屈曲振動を行う4叉型10の電気機械振動系と第2の屈曲振動を行う4叉型10の電気機械振動系は結合し、第1の屈曲振動の発振周波数f1と第2の屈曲振動の発振周波数f2は各々変化して同じ周波数となり、第1の屈曲振動の周波数f1と第2の屈曲振動の周波数f2の中間の周波数fをもつ第3の屈曲振動が発生する。
ここで注意しなければならないことがある。図5に示す回路構成は、電気機械的な引き込み効果で第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の周波数を一致させるが、各々の機械的なQ値が大きい場合は周波数の一致には限界があり、各々の機械的な共振周波数があまり離れていると第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の周波数を同時に発生させ、第3の屈曲振動を発生させることはできない。
ここで、第1の屈曲振動の共振周波数と第2の屈曲振動の機械的な共振周波数を近づける工夫をする。棒状振動体の屈曲振動の周波数は屈曲方向の巾に比例するので、4叉型10のY軸に垂直な断面を、精度よく加工することにより、第2の屈曲振動の共振周波数と、第1の屈曲振動の共振周波数を近づけられる。
しかしながら、量産を考慮した場合、一般に加工に用いられるダイシングソーやワイヤソーによる加工精度は±3μm程度であるが、たとえば4叉型10の各の足の巾を300μm程度とすると、1%が加工精度の限界となる。これ以上の調整を必要とする場合は、棒状振動体の共振周波数は棒の長さの自乗に逆比例するので、図2に示すようにZ方向から見た足の長さL1と、X方向から見た足の長さL2が異なるように各の又の深さが異なるように加工する。この部分だけを局部的に、さらに高精度に加工することにより、第1の屈曲振動の共振周波数と第2の屈曲振動の共振周波数をより精度よく一致させることができ、第3の屈曲振動を実現することができる。
この第3の屈曲振動が発生している時、4叉型10がY軸の回りに、角速度ωで回転すると、各の足は、変位する方向に直交する方向にコリオリ力を受け、このコリオリ力により図10に示す第4の屈曲振動が引き起こされる。第4の屈曲振動は、第3の屈曲振動と発振周波数が完全に一致している。したがって、第3の屈曲振動による第4の屈曲振動の励振は、強制振動の理論によれば、最高の効率で行われ、第4の屈曲振動は非常に大きな振幅を得ることができる。
第4の屈曲振動は、X方向に成分として、第5の屈曲振動をもつ。第5の屈曲振動は、第1の屈曲振動の振幅および位相を変化させる効果をもつ。第5の屈曲振動の効果は、第4の足14においては、第1の屈曲振動により発生しているY−X面内の歪みを変化させ、図5に示した圧電素子37により発生する電圧が変化する。Y方向歪みはコリオリ力発生の原理に従い、角速度ωに比例するので圧電素子37に発生した電圧の変化は角速度ωに比例することになる。
この角速度に比例する電圧の変化を含む圧電素子37の発生電圧は緩衝バッファB5、B6に入力する。また第3の足13においては、第1の屈曲振動により発生しているY−X面内の歪みを変化させ、図5に示した圧電素子33により発生する電圧が変化する。Y方向歪みはコリオリ力発生の原理に従い、角速度ωに比例するので圧電素子33に発生した電圧の変化は角速度ωに比例することになる。この角速度に比例する電圧の変化を含む圧電素子33の発生電圧も、緩衝バッファB5、B6に入力する。ここに圧電素子33および圧電素子37は電気的に接続されていることになるが、これは4叉型10にX方向の振動や衝撃力が加えられた場合、これらに起因するノイズ出力が互いに打ち消しあう効果をもたらす。
同様に、第4の屈曲振動は、Z方向に成分として、第6の屈曲振動をもつ。第6の屈曲振動は、第2の屈曲振動の振幅と位相を変化させる効果をもつ。第6の屈曲振動の効果は、第1の足11においては、第2の屈曲振動により発生しているY−Z面内の歪みを変化させ、図5に示した圧電素子23により発生する電圧が変化する。Y方向歪みは、コリオリ力発生の原理に従い、角速度ωに比例するので、圧電素子23に発生した電圧の変化は角速度ωに比例することになる。
この角速度に比例する電圧の変化を含む圧電素子23の発生電圧は、緩衝バッファB7、B8に入力する。また第3の足13においては、第2の屈曲振動により発生しているY−Z面内の歪みを変化させ、図5に示した圧電素子31により発生する電圧が変化する。Y方向歪みはコリオリ力発生の原理に従い、角速度ωに比例するので、圧電素子31に発生した電圧の変化は角速度ωに比例することになる。この角速度に比例する電圧の変化を含む圧電素子31の発生電圧も緩衝バッファB7、B8に入力する。ここに圧電素子23および圧電素子31は電気的に接続されていることになるが、これは4叉型10にZ方向の振動や衝撃力が加えられた場合、これらに起因するノイズ出力が互いに打ち消しあう効果をもたらす。
角速度ωの回転に対して第5の屈曲振動と第6の屈曲振動は互いに逆の効果をもつ。すなわち、角速度ωの回転方向により生じる第5の屈曲振動が第1の屈曲振動の振幅を増加させる時、角速度ωにより生じる第6の屈曲振動は第2の屈曲振動の振幅を減少させ、角速度ωにより生じる第5の屈曲振動が第1の屈曲振動の振幅を減少させる時、角速度ωにより生じる第6の屈曲振動は第2の屈曲振動の振幅を増加させる。また、角速度ωにより生じる第5の屈曲振動が第1の屈曲振動の位相を進ませる時、角速度ωにより生じる第6の屈曲振動は第2の屈曲振動の位相を遅らせ、角速度ωにより生じる第5の屈曲振動が第1の屈曲振動の位相を遅らせる時、角速度ωにより生じる第6の屈曲振動は第2の屈曲振動の位相を進ませる。
したがって、緩衝バッファB5の出力は、第1の屈曲振動の交流出力に、コリオリ力に起因する、第5の屈曲振動の効果が重ね合わされたものとなる。この出力から、ロックインアンプの構成をもって、交流成分を取り除く。まず、緩衝バッファB5出力をバンドパスフィルタR31により成形し、乗算器R32に入力する。乗算器は、DCドリフトを抑えるため、スイッチング方式とする。
すなわち、入力信号の位相が0度以上180度未満を通過させ、180度以上360度未満を反転して出力する。入力信号の信号反転に用いる位相情報は、緩衝バッファB6の出力を2値化回路R34で2値化した後、移相回路R35で調整して作成した参照信号を用いる。乗算器R32の出力は非常に遮断周波数の小さいローパスフィルタR33で直流とする。この構成では、ノイズと見なされる参照信号の周波数以外のほとんどの信号成分が取り除かれ、非常にS/Nのよい信号抽出が実現でき、結果として、コリオリ力に起因する第5の屈曲振動の効果および第1の屈曲振動による定常的な出力の重ね合わされたもののみが、直流として抽出される。
つぎに、緩衝バッファB7の出力は、第2の屈曲振動の交流出力に、コリオリ力に起因する、第6の屈曲振動の効果が重ね合わされたものとなる。この出力から、ロックインアンプの構成をもって、交流成分を取り除く。まず、緩衝バッファB7の出力をバンドパスフィルタR41により成形し、乗算器R42に入力する。乗算器はDCドリフトを抑えるため、スイッチング方式とする。すなわち入力信号の位相が0度以上180度未満を通過させ、180度以上360度未満を反転して出力する。入力信号の信号反転に用いる位相情報は、緩衝バッファB8の出力を2値化回路R44で2値化した後、移相回路R45で調整して作成した参照信号を用いる。乗算器R42の出力は非常に遮断周波数の小さいローパスフィルタR43で直流とする。この構成では、ノイズと見なされる参照信号の周波数以外のほとんどの信号成分が取り除かれ、非常にS/Nのよい信号抽出が実現でき、その結果、コリオリ力に起因する第6の屈曲振動の効果および第2の屈曲振動による定常的な出力の重ね合わされたもののみが、直流として抽出される。
第1の屈曲振動と第5の屈曲振動に起因するローパスフィルタR33の出力と第2の屈曲振動と第6の屈曲振動に起因するローパスフィルタR43の出力とは差動増幅器R20によって加算され、結果としてコリオリ力の効果は差動増幅器R20から出力される。
ここに図5に示す4叉型10の圧電素子23,31,33,37の出力は、圧電素子33、37からのX方向の信号を入力とする第1のロックインアンプの参照には圧電素子33、37からのX方向の信号自身が用いられ、圧電素子23、31からのZ方向の信号を入力とする第2のロックインアンプの参照には圧電素子23、31からのZ方向の信号自身が用いられることを示した。
ロックインアンプの参照信号としては、参照信号が常時出力されている必要があるので、図3に示すように、発振回路を構成するオペアンプH0の出力を用いる場合が多い。しかしながら、自励発振のエネルギーを供給する素子の出力は、4本の足で構成される機械発振系との間で常に微妙な調整を行っている。この調整の効果は、機械発振系とオペアンプH0の出力との間の微妙な位相のズレとして発現する。ロックインアンプの入力信号と参照信号の間に位相のズレが存在する場合は、出力にDCドリフトを与えてしまう。DCドリフトは、角速度を出力とする振動ジャイロにとって好ましくない。
角度情報を求めることを目的とする振動ジャイロにとって、角速度に比例する直流出力にDCドリフトが加算されるとその積分値である角度情報は不正確になる。本実施の形態においては、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動を常時発生させていることを利用し、第1のロックインアンプも第2のロックインアンプも参照信号としては、各々検出に用いる信号自身を用いており、ロックインアンプの入力と参照信号の問に位相のズレはまったく発生しない。したがって、DCドリフトは全く発生しない。
尚、本発明に使用される振動ジャイロにおいて、第5屈曲振動および第6の屈曲振動として現れるコリオリ力の効果を図30,図31,図32および図33に示す。まず、図30および図31を用いて出力電圧の振幅に及ぼす効果について説明する。4叉型10が静止している場合は、圧電素子33および圧電素子37からの電圧出力Bは、圧電素子23および圧電素子31からの電圧出力Cと振幅が一致、もしくは一定の振幅差をもって安定しており、説明の簡単のためこれを一致させ、静止時電圧出力Aで示す。4叉型10が右回りに回転すると、圧電素子33および圧電素子37からの電圧出力Bは、図30に破線で示すように振幅が増大し、圧電素子23および圧電素子31からの電圧出力Cは、図30に一点鎖線で示すように振幅が減少する。また、4叉型10が左右回りに回転すると、圧電素子33と圧電素子37とからの電圧出力Bは、図31に破線で示すように振幅が減少し、圧電素子23および圧電素子31からの電圧出力Cは、図31に一点鎖線で示すように振幅が増大する。つぎに図32および図33を用いて出力電圧の位相に及ぼす効果について説明する。4叉型10が静止している場合は、圧電素子33および圧電素子37からの電圧出力Bは、圧電素子23および圧電素子31からの電圧出力Cと位相が一致、もしくは一定の振幅差をもって安定しており、説明の簡単のためこれを一致させ、静止時電圧出力Aで示す。4叉型10が右回りに回転すると、圧電素子33および圧電素子37からの電圧出力Bは、図32に破線で示すように位相が遅れ、圧電素子23および圧電素子31からの電圧出力Cは、図32に一点鎖線で示すように位相が進む。また、4叉型10が左回りに回転すると、圧電素子33および圧電素子37からの電圧出力Bは、図33に破線で示すように位相が遅れ、圧電素子23および圧電素子31からの電圧出力Cは、図33に一点鎖線で示すように位相が進む。
検出信号自身を参照信号として用いる本実施の形態においては位相ズレの効果は全く寄与しない。振幅変化のみの効果を検出に用いる本実施の形態は、たとえば車載用のカーナビゲーションシステムや大型の機械の姿勢制御といった、ジャイロ素子の大きさにあまり制限はないが、DCドリフトを含むノイズが無いことが重要な用途において、最もノイズの少ない理想的な振動ジャイロの構成を実現する。
以上の説明で明らかなように、本具体例による振動ジャイロでは、4本の足を対称性よく配置したことにより、いずれの振動においても基部が静止しており、保持方法により性能に影響が無く、加工組立精度に過大な期待をすることなくゲインを大きくとるための励振と検出の共振周波数の一致を実現できるので量産に向き、構造上共振検出方向のゲインが大きくとれ、コリオリ力以外の出力をキャンセルできる構成をとるのでノイズが少なく、高いS/Nを実現している。
次に、本発明に係る振動ジャイロの他の具体例に付いて説明する。
即ち、図34は、本発明に係る第4の具体例である振動ジャイロの構成を示しており、具体的には、4本の足と電極と基部を備える振動ジャイロであって、足は弾性をもつ金属からなり、足は形状が四角柱であり、足は四角柱の側面に駆動部と検出部を有し、駆動部と検出部は圧電素子からなり、基部は弾性をもつ金属からなり、基部は形状が四角柱であり、基部と4本の足は一体構造であり、4本の足は互いに平行に基部に田の字形に配置されており、第1,第2,第3および第4の足の駆動部に印加した交流電圧により生じた振動が基部を通して伝達してすべての足に生じた第1の屈曲振動が、回転によるコリオリ力により引き起こす、第1の屈曲振動に直交する方向の第2の屈曲振動の結果生じる電圧を第1,第2,第3および第4の足の検出部により検出する振動ジャイロが示されている。
本具体例に於ける振動ジャイロの田の字配置された平行な4本の足および基部は、第1の屈曲振動の共振周波数と第2の屈曲振動の共振周波数が一致するようにほぼ正方形の断面を有するように成形されているものであり、又、当該振動ジャイロの田の字配置された平行な4本の足は、第1の屈曲振動の共振周波数と第2の屈曲振動の共振周波数がほぼ一致するように、幅方向から見た足の長さと、厚さ方向から見た足の長さが異なるように各の又の位置が調整されているものである。
当該振動ジャイロの作動の方法としては、例えば、第1および第2の足の駆動部に交流電圧を印加し、第1の屈曲振動を行なわせると同時に、第2および第4の足の駆動部に交流電圧を印加し、第1の屈曲振動と直交する方向に、第1の屈曲振動と振動数および位相が一致する第2の屈曲振動を発生させておき、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の合成振動として、第3の屈曲振動を発生させ、第3の屈曲振動が、回転によるコリオリ力により引き起こす、第3の屈曲振動に直交する方向の、第4の屈曲振動の第1の屈曲振動の方向の成分である第5の屈曲振動の結果生じる電圧を、第3および第4の足の検出部により検出し、第4の屈曲振動の第2の屈曲振動の方向の成分である第6の屈曲振動の結果生じる電圧を、第1および第3の足の検出部により検出するものである。
係る具体例に於いては、第3の屈曲振動を生成するための交流電圧を発生させる発振回路と、第4の屈曲振動を生成するための交流電圧を発生させる発振回路は、電気機械的振動の引き込み効果により各の振動の周波数と位相を一致させるため、別々に設けず1つの発振回路とすること有っても良く、又、第3の屈曲振動を生成するための第1の発振回路と、第4の屈曲振動を生成するための第2の発振回路の、各の振動の周波数と位相を一致させるため、一方が他方のまたは双方の発振に対してPLLループによるフィードバック回路を有するものであっても良い。
本発明に係る具体例に於いては、第1の屈曲振動を発生する発振回路の出力を参照信号として第2の屈曲信号の結果生じる電圧出力を検出するロックインアンプを備えていても良く、更には、第1の屈曲振動を発生する発振回路の出力を参照信号として、第5の屈曲振動の結果生じる電圧出力を検出し、第1の直流に変換する第1のロックインアンプと、第1の屈曲振動を発生する発振回路の出力を参照信号として、第6の屈曲振動の結果生じる電圧出力を検出し、第2の直流に変換する第2のロックインアンプを備えたもので有っても良い。
一方、本具体例に於ける当該振動ジャイロに於いては、第1の屈曲振動を発生する第1の発振回路の出力を参照信号として、第5の屈曲振動の結果生じる電圧出力を検出し、第1の直流に変換する第1のロックインアンプと、第1の屈曲振動を発生する第1の発振回路の出力を参照信号として、第6の屈曲振動の結果生じる電圧出力を検出し、第2の直流に変換する第2のロックインアンプを備えていても良く、又、第5の屈曲振動の結果生じる電圧と第6の屈曲振動の結果生じる電圧の双方を入力とする差動アンプを有するもので有っても良い。
図34には、本発明に係る第4の具体例に於ける当該振動ジャイロの設けられる圧電素子の形状が示されており、具体的には、第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14を切断するX−Z面内の断面に示した。加振用として、第1の足11に圧電素子25および26を張り付け,第2の足12に圧電素子29および30を張り付け,第3の足13に圧電素子33および34を張り付け,第4の足14に圧電素子37および38を張り付けてある。また検出用として、第1の足11に圧電素子23および24を張り付け,第2の足12に圧電素子27および28を張り付け,第3の足13に圧電素子31および32を張り付け,第4の足14に圧電素子35および36を張り付けてある。
また、図34には加振用圧電素子25,26,29,30,33,34,37および38の各々の電極に交流電圧を印加する発振回路43および、検出用圧電素子23,24,27,28,31,32,35および36の各々の電極からの信号を検出する検出回路を構成する緩衝バッファ44,45,46,47およびロックインアンプ48,49,50,51および差動増幅アンプ52,53および差動アンプ54を示し、これらの間の配線を示してある。
図34に記入した(+)および(−)の記号は、4叉型10の各々の足に貼り付ける圧電素子の面のうち、足に接着されている面がいずれの面であるかを示している。また図34には第1の足11のY方向の屈曲振動の第1の中立線39を点で示し、第2の足12のY方向の屈曲振動の第2の中立線40を点で示し、第3の足13のY方向の屈曲振動の第3の中立線41を点で示し、第4の足14のY方向の屈曲振動の第4の中立線42を点で示す。図の外側の線は各圧電素子の電極間の配線を模式的に示したもので、発振回路43と検出回路を構成する緩衝バッファ44,45,46および47に接続している。
図34に於て、発振回路43からの交流電圧により、第1の足11の圧電素子25および26の電極に電圧が印加されると、たとえば圧電素子25がY方向に縮み、この時同時に圧電素子26がY方向に伸び、結果としてX軸方向に屈曲変位が起こる。
時間の経過とともに、この方向は変化し、結果として、第1の足11はX軸方向に屈曲振動する。また、第2の足12の圧電素子29および30の電極に電圧が印加されると、たとえば圧電素子29がY方向に縮み、この時同時に圧電素子30がY方向に伸び、結果としてX軸方向に屈曲変位が起こる。時間の経過とともに、この方向は変化し、結果として、第2の足12はX軸方向に屈曲振動する。また第3の足13の圧電素子33および34の電極に電圧が印加されると、たとえば圧電素子33がY方向に伸び、この時同時に圧電素子34がY方向に縮み、結果としてX軸方向に屈曲変位が起こる。
時間の経過とともに、この方向は変化し、結果として、第3の足13はX軸方向に屈曲振動する。また、第4の足14の圧電素子37および38の電極に電圧が印加されると、たとえば圧電素子37がY方向に伸び、この時同時に圧電素子38がY方向に縮み、結果としてX軸方向に屈曲変位が起こる。時間の経過とともに、この方向は変化し、結果として、第4の足14はX軸方向に屈曲振動する。発振回路43の周波数が4叉型10の弾性体としての共振周波数付近であれば、これらの屈曲振動は基部15を通して伝達し、全体として同じ周波数と位相で振動する第1の屈曲振動が発生する。
このとき、駆動する足が第1の足11のみであったとしても、発振回路43の周波数が4叉型10の弾性体としての共振周波数付近であれば、第1の足11の振動が基部15を通して伝達し、第2の足12,第3の足13,第4の足14が自動的に励振され、第1の足11と第2の足12がY−X面内で音叉型に振れ、第3の足13と第4の足14がY−X面内で、第1の足11と第2の足12の振動と逆相で音叉型に振れる第1の屈曲振動が発生する。
前記した図7を参照して第1の屈曲振動を模式的に示す。第1の屈曲振動では、4叉型10の第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14がY−X面内で屈曲振動を行うが、ここではある瞬間の変位方向を矢印で示している。この第1の屈曲振動が発生している時、4叉型10がY軸の回りに、角速度ωで回転すると各の足は、変位する方向に直交する方向にコリオリ力を受け、このコリオリ力により第2の屈曲振動が引き起こされる。
又、前記した図8を参照して第1の屈曲振動により引き起こされる第2の屈曲振動を模式的に示す。第2の屈曲振動では4叉型10の第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14がY−Z面内で屈曲振動を行い、第1の足11と第3の足13がY−Z面内で音叉型に振れ第2の足12と第4の足14がY−Z面内で逆相で音叉型に振れるている。ここでもある瞬間の変位方向を実線矢印で示している。
第2の屈曲振動では、たとえば第1の足11においては、Y−Z面内の屈曲を生じる。Y方向の歪みは、コリオリ力発生の原理にしたがい、角速度ωに比例するが、圧電素子の性質から歪みの量に比例する電圧が発生する。図3に示すようにY−Z面内の屈曲振動は圧電素子23および24によりその電極に角速度ωに比例した電圧を生じ、図3に示した様に緩衝バッファ46に導かれる。同様に第2の足12のY−Z面内の屈曲振動は圧電素子27および28の電極に角速度ωに比例した電圧を生じ、緩衝バッファ45に導かれ、第3の足13のY−Z面内の屈曲振動は圧電素子31および32の電極に角速度ωに比例した電圧を生じ、緩衝バッファ47に導かれて、第4の足14のY−Z面内の屈曲振動は圧電素子35および36の電極に角速度ωに比例した電圧を生じ、緩衝バッファ44に導かれ、緩衝バッファ44,45,46および47の各々の出力は、発振回路43の出力を参照としてロックインアンプ48,49,50および51により増幅され、ロックインアンプ48および49の出力は差動アンプ52で増幅され、ロックインアンプ50および51の出力は差動アンプ53にて増幅され、差動アンプ52および53の出力は、差動アンプ54により増幅される。差動アンプ54の出力は第2の屈曲振動を引き起こす角速度ωに比例する。これによって角速度ωの値を知ることができる。
図7に示した第1の屈曲振動および図8に示した第2の屈曲振動は4叉型10の試作品の動作確認により、弾性体としての共振周波数の存在がが確認されているものである。すなわち第1の屈曲振動においては、すべての足はX方向に振動しており、第1の足11と第2の足12は通常の音叉型振動を行っており、この時同時に第3の足13と第4の足14は、第1の足11と第2の足12が行う振動の逆相の音叉型振動を行っている。一方第2の屈曲振動においては、すべての足はZ方向に振動しており、第1の足11と第3の足13は通常の音叉型振動を行っており、この時同時に第2の足12と第4の足14は、第1の足11と第3の足13が行う振動の逆相の音叉型振動を行っている。これらの振動は4本の足が互いにバランスを取り合い、基部15は振動の節となっておりほとんど振動しないので、4叉型10は支持の方法によって振動状態が変わることはない。
今たとえばあらかじめ図7に示す第1の屈曲振動を行わせておき、Y軸の回りに回転角速度ωを与え、コリオリ力を発生させると、コリオリ力は第1の屈曲振動の方向に垂直な方向に働くので、図8に示した第2の屈曲振動が励起される。しかしながら、一般に第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の共振周波数が離れていると、第1の屈強振動は充分な振幅の第2の屈曲振動を励起させることができない。X軸およびZ軸方向に対称な形状をもつ設計の4叉型10であるが、工作精度が充分でなくこの対称性が保証されない場合は、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の共振周波数が離れてしまう。
したがって、第1の屈曲振動の共振周波数と第2の屈曲振動の共振周波数を近づけなければならない。棒状振動体の屈曲振動の周波数は屈曲方向の巾に比例するので、4叉型10のY軸に垂直な断面を、精度良く加工する。これによって、角速度ωに対して第2の屈曲振動の屈曲を大きくすることができる。
しかしながら、量産を考慮した場合、一般に金属加工に用いられるダイシングソーやワイヤソーによる加工精度は±3μm程度であるが、たとえば4叉型10の各の足の巾を300μm程度とすると、1%が加工精度の限界となる。これ以上の調整を必要とする場合は、棒状振動体の共振周波数は棒の長さの自乗に逆比例するので、図2に示す様にZ方向から見た足の長さL1と、X方向から見た足の長さL2が異なるように各の又の深さが異なるように加工する。この部分だけを局部的に、さらに高精度に加工することにより、第1の屈曲振動の共振周波数と第2の屈曲振動の共振周波数をより精度良く一致させることができる。これによって、角速度ωに対して第2の屈曲振動の屈曲をさらに大きくできる。
本具体例に於て、4叉型10の第1の屈曲振動は、発振回路43と結合して、かなり大きなQ値をもつ音叉型発振器を構成している。すなわち非常に安定した周波数をもつ。言い換えると、これを用いることにより、第1の屈曲振動と同じ周波数をもつ、コリオリ力による励振周波数以外の振動に起因するノイズをほとんど除外できる。
図34の検出回路は、ロックインアンプと差動アンプから構成されており、発振回路43の信号を、参照信号として用いている。したがって、第1の屈曲振動からの信号を参照信号とするロックインアンプは、第2の屈曲振動からの信号の検出に際して、非常に大きなS/N比をもつ増幅を実現できる。また第2の屈曲振動を検出する電圧は互いに逆相となる第1の足11の電圧および第3の足13の電圧から差動増幅されたものおよび、やはり互いに逆相となる第2の足12の電圧および第4の足14の電圧から差動増幅されたものを用いるため、4叉型10に加わる振動や撃力に起因するノイズは、すべての足の屈曲方向が同方向となるため相殺されて寄与せず、さらに高いS/Nを実現する。
次に、本発明に係る当該振動ジャイロの第5の具体例に付いて以下に説明する。
図35には、本発明に係る第5の具体例である振動ジャイロの構成の概要が示されており、図2に示す形状の圧電素子を、第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14を切断するX−Z面内の断面に示す。加振用として、第1の足11に圧電素子25および26を張り付け,第2の足12に圧電素子27,28,29および30を張り付け,第4の足14に圧電素子35および36を張り付けてある。また検出用として、第1の足11に圧電素子23および24を張り付け,第3の足13に圧電素子31,32,33および34を張り付け,第4の足14に圧電素子37および38を張り付けてある。
図35には加振用圧電素子25,26,27,28,29,30,35,および36のそれぞれの電極に交流電圧を印加する発振回路43、および検出用圧電素子23,24,31,32,33,34,37および38の各々の電極からの信号を検出する検出回路を構成する緩衝バッファ44,45,46,47およびロックインアンプ48,49,50,51および差動増幅アンプ52,53および差動アンプ54を示し、これらの間の配線を示してある。また、後述する本発明に係る第6の具体例を示す図36には加振用圧電素子27,28,35および36の各々の電極に交流電圧を印加する第1の発振回路55および、加振用圧電素子25,26,29および30の各々の電極に交流電圧を印加する第2の発振回路56および、第1の発振回路と第2の発振回路の周波数と位相を一致させるPLL回路57および、検出用圧電素子23,24,31,32,33,34,37および38の各々の電極からの信号を検出する検出回路を構成する緩衝バッファ44,45,46,47およびロックインアンプ48,49,50,51および差動増幅アンプ52,53および差動アンプ54を示し、これらの間の配線を示してある。
又、図35および図36に記入した(+)および(−)の記号は、4叉型10の各々の足に貼り付けられた圧電素子の面のうち、足に接着されている面がいずれの面であるかを示している。また図35および図36には第1の足11のY方向の屈曲振動の第1の中立線39を点で示し、第2の足12のY方向の屈曲振動の第2の中立線40を点で示し、第3の足13のY方向の屈曲振動の第3の中立線41を点で示し、第4の足14のY方向の屈曲振動の第4の中立線42を点で示す。図の外側の線は各圧電素子の電極間の配線を模式的に示したもので、図35においては発振回路43と検出回路を構成する緩衝バッファ44,45,46および47に接続している。また図5では、第1の発振回路55および第2の発振回路56と検出回路を構成する緩衝バッファ44,45,46および47に接続している。
図35において、発振回路43からの交流電圧により、第1の足11の圧電素子25および26の電極に電圧が印加されると、たとえば圧電素子25がY方向に縮み、この時同時に圧電素子26がY方向に伸び、結果としてX軸方向に屈曲変位が起こる。時間の経過とともに、この方向は変化し、結果として第1の足11はX軸方向に屈曲振動する。また、第2の足12の圧電素子29および30の電極に電圧が印加されると、たとえば圧電素子29がY方向に縮み、この時同時に圧電素子30がY方向に伸び、結果としてX軸方向に屈曲変位が起こる。
時間の経過とともに、この方向は変化し、結果として、第2の足12はX軸方向に屈曲振動する。このとき、駆動する足が第1の足11および第2の足12のみであったとしても、発振回路43の周波数が4叉型10の弾性体としての共振周波数付近であれば、第1の足11の振動および第2の足12の振動が基部15を通して伝達し、第3の足13,第4の足14が自動的に励振され、第1の足11と第2の足12がY−X面内で音叉型に振れ、第3の足13と第4の足14がY−X面内で、第1の足11と第2の足12の振動と逆相で音叉型に振れる第1の屈曲振動が発生する。
これと同時に発振回路43からの交流電圧によって、第2の足12の圧電素子27および28の電極に電圧が印加されると、たとえば圧電素子27がY方向に縮み、この時同時に圧電素子28がY方向に伸び、結果としてZ軸方向に屈曲変位が起こる。時間の経過とともに、この方向は変化し、結果として第2の足12はZ軸方向に屈曲振動する。また、第4の足14の圧電素子35および36の電極に電圧が印加されると、たとえば圧電素子35がY方向に縮み、この時同時に圧電素子36がY方向に伸び、結果としてZ軸方向に屈曲変位が起こる。
時間の経過とともに、この方向は変化し、結果として、第4の足14はZ軸方向に屈曲振動する。発振回路43の周波数が4叉型10の弾性体としての共振周波数付近であれば、これらの屈曲振動は基部15を通して伝達し、全体として同じ周波数と位相で振動する第2の屈曲振動が発生する。このとき、駆動する足が第2の足12および第4の足14のみであったとしても、発振回路43の周波数が4叉型10の弾性体としての共振周波数付近であれば、第2の足12の振動および第4の足14の振動が基部15を通して伝達し、第1の足11,第3の足13が自動的に励振され、第1の足11と第3の足13がY−Z面内で音叉型に振れ、第2の足12と第4の足14がY−Z面内で、第1の足11と第3の足13の振動と逆相で音叉型に振れる第2の屈曲振動が発生する。
前記した図7を参照して第1の屈曲振動を模式的に示す。即ち、第1の屈曲振動では、4叉型10の第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14がY−X面内で屈曲振動を行うが、ここではある瞬間の変位方向を矢印で示している。また前記した図8を参照して第2の屈曲振動を模式的に示す。第2の屈曲振動においては、4叉型10の第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14がY−Z面内で屈曲振動を行う。ここでもある瞬間の変位方向を実線矢印で示している。
図7に示す第1の屈曲振動および図8に示した第2の屈曲振動は4叉型10の試作品の動作確認により、弾性体としての共振周波数の存在がが確認されているものである。すなわち第1の屈曲振動においては、すべての足はX方向に振動しており、第1の足11と第2の足12は通常の音叉型振動を行っており、この時同時に第3の足13と第4の足14は、第1の足11と第2の足12が行う振動の逆相の音叉型振動を行っている。
一方第2の屈曲振動においては、すべての足はZ方向に振動しており、第1の足11と第3の足13は通常の音叉型振動を行っており、この時同時に第2の足12と第4の足14は、第1の足11と第3の足13が行う振動の逆相の音叉型振動を行っている。これらの振動は4本の足が互いにバランスを取り合い、基部15は振動の節となっておりほとんど振動しないので、4叉型10は支持の方法によって振動状態が変わることはない。
図9に第1の屈曲振動と第2の屈曲振動が同時に存在する場合の4叉型10の屈曲振動の様子を模式的に示す。図35の回路構成においては、発振回路として1つの発振回路43で第1の屈曲振動と第2の屈曲振動を同時に発生させている。この場合第1の屈曲振動を行う4叉型10の機械振動系と第2の屈曲振動を行う4叉型10の機械振動系は、発振回路43と結合して、第1の屈曲振動の発振周波数f1および位相δ1と第2の屈曲振動の発振周波数f2および位相δ2は各同じになり、図9に示す第3の屈曲振動が発生する。
図36の回路構成においては、第1の発振回路55で第1の屈曲振動を生成し、第2の発振回路56で第2の屈曲振動を生成し、第2の発振回路55の発振を参照信号として第1の発振回路56の発振周波数との位相差を検出し、これを電圧に置き換え、第1の発振回路55のバリキャップにフィードバックするPLL回路57により、第1の屈曲振動の発振周波数f1および位相δ1と第2の屈曲振動の発振周波数f2および位相δ2を各同じにしている。結果として、図4に示した発振回路を1つだけ用いた回路構成と同じく、図9に示す第3の屈曲振動が発生する。しかしながら、あらかじめ第1屈曲振動と、第2の屈曲振動の振幅を調整し、第3の屈曲振動の方向を調整したい場合は、発振回路を2つもつ構成にする。
ここで注意しなければならないことがある。X軸およびZ軸方向に対称な形状をもつ設計の4叉型10であるが、工作精度が充分でなくこの対称性が保証されない場合は、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の共振周波数が離れてしまう。図35に示した発振回路を1つ用いる方法も、図36に示したPLLを用いる方法も、電気的な引き込み効果で第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の周波数と位相を一致させる方法であるが、これには限界があり、機械的な共振周波数があまり離れていると第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の周波数と位相を一致させることができない。
ここで、第1の屈曲振動の共振周波数と第2の屈曲振動の共振周波数を近づける工夫をする。棒状振動体の屈曲振動の周波数は屈曲方向の巾に比例するので、4叉型10のY軸に垂直な断面を、精度良く加工することにより、第2の屈曲振動の共振周波数と、第1の屈曲振動の共振周波数を近づけられる。
しかしながら、量産を考慮した場合、一般に金属加工に用いられるダイシングソーやワイヤソーによる加工精度は±3μm程度であるが、たとえば4叉型10の各の足の巾を300μm程度とすると、1%が加工精度の限界となる。これ以上の調整を必要とする場合は、棒状振動体の共振周波数は棒の長さの自乗に逆比例するので、図2に示す様にZ方向から見た足の長さL1と、X方向から見た足の長さL2が異なるように各の又の深さが異なるように加工する。この部分だけを局部的に、さらに高精度に加工することにより、第1の屈曲振動の共振周波数と第2の屈曲振動の共振周波数をより精度良く一致させることができ、第3の屈曲振動を実現することができる。
この第3の屈曲振動が発生している時、4叉型10がY軸の回りに、角速度ωで回転すると、各の足は、変位する方向に直交する方向にコリオリ力を受け、このコリオリ力により図10に示す第4の屈曲振動が引き起こされる。第4の屈曲振動は、第3の屈曲振動と発振周波数が完全に一致している。したがって、第3の屈曲振動による第4の屈曲振動の励振は、強制振動の理論によれば、最高の効率で行われ、第4の屈曲振動は非常に大きな振幅を得ることができる。
第4の屈曲振動は、X方向に成分として、第5の屈曲振動を持ち、第5の屈曲振動に直交するZ方向に成分として第6の屈曲振動をもつ。たとえば、第5の屈曲振動では、第4の足14においては、Y−X面内の歪みを生じ、図35および図36に示した圧電素子37および38により電圧が発生する。Y方向歪みは、コリオリ力発生の原理に従い、角速度ωに比例するので、圧電素子37および38に発生した電圧は角速度ωに比例することになる。この角速度に比例する電圧は緩衝バッファ45に入力される。
また、第3の足13においては、Y−X面内の歪みを生じ、図35および図36に示した圧電素子33および34により電圧が発生する。Y方向歪みは、コリオリ力発生の原理に従い、角速度ωに比例するので、圧電素子33および34に発生した電圧は角速度ωに比例することになる。この角速度に比例する電圧は緩衝バッファ46に入力される。同様に、第6の屈曲振動では、第1の足11においては、Y−Z面内の歪みを生じ、図35および図36に示した圧電素子23および24により電圧が発生する。Y方向歪みは、コリオリ力発生の原理に従い、角速度ωに比例するので、圧電素子23および24に発生した電圧は角速度ωに比例することになる。この角速度に比例する電圧は緩衝バッファ44に入力される。
また第3の足13においては、Y−Z面内の歪みを生じ、図35および図36に示した圧電素子31および32により電圧が発生する。Y方向歪みは、コリオリ力発生の原理に従い、角速度ωに比例するので、圧電素子31および32に発生した電圧は角速度ωに比例することになる。この角速度に比例する電圧は緩衝バッファ47に入力される。
Z方向の振動が角速度に比例する電圧の入力された緩衝バッファ44の出力およびX方向の振動が角速度に比例する電圧の入力された緩衝バッファ45の出力は,各々ロックインアンプ48および49に入力され、ロックインアンプ48および49の出力は差動アンプ52にへ入力される。差動アンプ52には、あらかじめ第1の屈曲振動および第2の屈曲振動に起因する出力が入力されいるが、これらは同相であり、出力が0になるようにあらかじめ調整されている。
これに対し、第5の屈曲振動および第6の屈曲振動に起因する出力が入力されたコリオリ力に基づく信号は互いに逆相であり、差動アンプ52の出力はコリオリ力に基づくもののみとなる。また、X方向の振動が角速度に比例する電圧の入力された緩衝バッファ46の出力およびZ方向の振動が角速度に比例する電圧の入力された緩衝バッファ47の出力は,各々ロックインアンプ50および51に入力され、ロックインアンプ50および51の出力は差動アンプ53にへ入力される。差動アンプ52には、あらかじめ第1の屈曲振動および第2の屈曲振動に起因する出力が入力されいるが、これらは同相であり、出力が0になるようにあらかじめ調整されている。
これに対し、第5の屈曲振動および第6の屈曲振動に起因する出力が入力されたコリオリ力に基づく信号は互いに逆相であり、差動アンプ53の出力はコリオリ力に基づくもののみとなる。コリオリ力に基づく差動アンプ52および53の出力は互いに逆相であり、差動アンプ54に入力される。結果として差動アンプ54の出力は、X方向に働く第5の屈曲振動は、同じくX方向に働く第1の屈曲振動強めるように働き、Z方向に働く第6の屈曲振動は、同じくZ方向に働く第2の屈曲振動を弱めるように働くので、差動アンプ54の出力はコリオリ力によって発生した第4の屈曲振動の成分である第5の屈曲振動と第6の屈曲振動により発生する。これによって角速度ωの値を知ることができる。
本具体例では、緩衝バッファ44,45,46および47の出力の検出精度を上げるために、S/N比の大きな増幅器であるロックインアンプ48,49,50および51を用いた。ロックインアンプは、参照信号で検出信号をフィルタリングする思想のものである。
本具体例における4叉型10の第1の屈曲振動は、発振回路43又は第1の発振回路55および第2の発振回路56と結合して、大きなQ値をもつ音叉型発振器を構成している。すなわち非常に安定した周波数をもつ信号である。したがってこれらを参照信号として用いることによりロックインアンプの機能であるバンドパスフィルタのバンド幅を非常に小さくできる。言い換えると、これを用いることにより、角速度ωに起因する信号以外のノイズをほとんど除外できる。したがって、第1の屈曲振動からの信号を参照信号とするロックインアンプは、第5の屈曲振動と第6の屈曲振動からの信号の検出に際して、非常に大きなS/N比をもつ増幅を実現できる。
以上の説明から明らかなように、本具体例による振動ジャイロは、4本の足を対称性良く配置したことにより、いずれの振動においても基部が静止しており、保持方法により性能に影響が無く、加工組立精度に過大な期待をすることなくゲインを大きくとるための励振と検出の共振周波数の一致を実現できるので量産に向き、構造上共振検出方向のゲインが大きくとれ、コリオリ力以外の出力をキャンセルできる構成をとるのでノイズが少なく、高いS/Nを実現している。
次に、本発明に係る当該振動ジャイロの第7の具体例に付いて図面を参照しながら詳細に説明する。
図37は、本発明に係る当該振動ジャイロの第7の具体例の構成を示すブロックダイアグラムであり図中、4本の足と電極と基部を備える振動ジャイロであって、足は弾性を持つ材料からなり、足は形状が四角柱であり、足は四角柱の側面に駆動部と検出部を有し、駆動部と検出部は圧電素子からなり、基部は弾性を持つ材料からなり、基部は形状が四角柱であり、基部と4本の足は一体構造であり、4本の足は互いに平行に基部に田の字形に配置されており、基部の底面は支持に用いられ、第1及び第2の足の圧電素子を用いて自励発振を行わせ、第1の屈曲振動を行なわせると同時に、第2及び第4の足の圧電素子を用いて自励発振を行わせ、第1の屈曲振動と直交する方向に、第1の屈曲振動と振動数が一致する第2の屈曲振動を発生させておき、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の合成振動として、第3の屈曲振動を発生させ、第3の屈曲振動が、回転によるコリオリ力により引き起こす、第3の屈曲振動に直交する方向の、第4の屈曲振動の第1の屈曲振動の方向の成分である第5の屈曲振動の結果生じる電圧を、第3及び第4の足の検出部により検出し、第4の屈曲振動の第2の屈曲振動の方向の成分である第6の屈曲振動の結果生じる電圧を、第1及び第3の足の検出部により検出する様に構成された振動ジャイロが示されている。
本具体例に於ける当該振動ジャイロの田の字配置された平行な4本の足は、第1の屈曲振動の共振周波数と第2の屈曲振動の共振周波数が一致するように、巾方向から見た足の長さと、厚さ方向から見た足の長さが異なるように各々の又の深さが調整されていることも望ましい。
又、本具体例に於いては、第1の屈曲振動を行う第3の足の圧電素子及び第4の足の圧電素子は互いに電気的にかたく接続されていることが望ましい。
更には、本具体例に於いては、当該振動ジャイロは、第2の屈曲振動を行う第1の足の圧電素子及び第3の足の圧電素子は互いに電気的にかたく接続されていることが望ましく、更には、当該第1の屈曲振動を行う第3の足の圧電素子及び第4の足の圧電素子は互いに電気的にかたく接続されており、第2の屈曲振動を行う第1の足の圧電素子及び第3の足の圧電素子は互いに電気的にかたく接続されていることも望ましい。
本具体例に於いては、第1の屈曲振動と第5の屈曲振動の合成振動が第3の足に貼り付けられた圧電素子に発生させる電圧出力及び、第2の屈曲振動と第6の屈曲振動の合成振動が、第3の足に貼り付けられた圧電素子に発生させる電圧出力を加算する加算回路を備え、加算回路の出力を90度移相する移相回路を備え、移相回路の出力を2値化する2値化回路を備え、第1の屈曲振動と第5の屈曲振動の合成振動が、第3の足に貼り付けられた圧電素子に発生させる電圧出力及び、第2の屈曲振動と第6の屈曲振動の合成振動が、第3の足に貼り付けられた圧電素子に発生させる電圧出力を減算する減算回路を備え、減算回路の出力を前記2値化回路の出力を用いて検出するロックインアンプを備えている事も好ましい。
更には、第1の屈曲振動の振幅及び位相が第2の屈曲振動の振幅及び位相と一致するように発振回路の出力信号を調整する為のローパスフィルタを備えている事も好ましい。
本具体例に於ける当該振動ジャイロは、4本の足を田の字型に対称性良く配置したことにより、音叉型における面外振動のような支持部に影響される振動を利用することなく、使用する何れの振動においても基部がほぼ静止しており、支持方法により性能に影響が少なく、精度の良い角度検出ができる。また加振と検出に同じ振動モードを用いるので、構造上検出方向の出力信号が大きくとれ、コリオリ力以外の出力をキャンセルできる構成をとるのでノイズが少なく、高いS/Nを実現でき、加振と検出の足を別々にとれるので、発振系に起因する位相ずれによるDCドリフトも殆ど無い。
本具体例に於ける当該足部は弾性を持つ金属または石英ガラスからなり、形状が四角柱であり、四角柱の側面に張り合わされた圧電素子からなる駆動部及び検出部を有している。
基部は弾性を持つ金属または石英ガラスからなり、形状が四角柱である。第1の足11,第2の足12,第3の足13及び第4の足14は互いに平行に方形の基部15の4つの頂点の位置に配置されており、基部15と第1の足11,第2の足12,第3の足13及び第4の足14は一体構造である。
又、本具体例に於て使用される金属は、弾性率の温度依存性が非常に小さい鉄50%,ニッケル35%及びクロム9.1%を含む合金でエリンバーと呼ばれるものを用いる。同じく弾性率の温度依存性が非常に小さい石英ガラスを用いる場合は、予め表面の一部に銀やクロム等の導電性材料を無電界メッキや蒸着などの手法で薄膜形成し、張り付ける全ての圧電素子の共通電極としておく。
図37に示す様に、本具体例に於ける当該振動ジャイロの電極部の構成は、図示した形状の圧電素子を、第1の足11,第2の足12,第3の足13及び第4の足14を切断するX−Z面内の断面に示した。自励発振用として、第1の足11に圧電素子25を張り付け,第2の足12に圧電素子27及び29を張り付け,第4の足14に圧電素子35を張り付けてある。また検出用として、第1の足11に圧電素子23を張り付け,第3の足13に圧電素子31及び33を張り付け,第4の足14に圧電素子37を張り付けてある。
図37には加振用圧電素子25,27,29及び35の各々の電極と共に用いてすべての足を自励発振させる発振回路H0、発振状態を調整するローパスフィルタLA及びLB、検出用圧電素子23,31,33及び37の各々の電極からの信号を加算する加算回路K0、加算した信号の位相を変化させる移相回路I0、移相した信号を2値化する2値化回路C0、検出用圧電素子23,31,33及び37の各々の電極からの信号を減算して参照信号を生成する減算回路G0、減算した信号を参照信号を用いて位相検波し直流電圧に変換するロックインアンプP0を示し、これらの間の配線を示す。
図38には図37の発信回路H0を実現する一例として、干渉バッファを構成するオペアンプH1,ローパスフィルタを構成するトリマ抵抗H2及びコンデンサH7,反転増幅器を構成するオペアンプH3及び抵抗H4〜H6を示し、直流バイアスを加える為の負電源D1及び分割抵抗D2を示す。
図38には図37のローパスフィルタLAを実現する一例として、トリマ抵抗LA1及びコンデンサLA2を示す。
図38には図37のローパスフィルタLBを実現する一例として、トリマ抵抗LB1及びコンデンサLB2を示す。
図38には図37の加算回路K0を実現する一例として、干渉バッファを構成するオペアンプK1〜K2,抵抗K3〜K4を示す。
図38には図37の移相回路I0を実現する一例として、ローパスフィルタを構成する抵抗I1及びコンデンサI2を示す。
図38には図37の2値化回路C0を実現する一例として、第1のコンパレータC1及び第2のコンパレータC2を示す。
図38には図37の減算回路G0を実現する一例として、干渉バッファG1〜G2,第1の差動増幅回路を構成するオペアンプG3及び抵抗G4〜G7,第2の差動増幅回路を構成するオペアンプG8及び抵抗G9〜G12を示す。
図38には図37のロックインアンプP0を実現する一例として、第1のバンドパスフィルタを構成するオペアンプP1,コンデンサP2〜P3及び抵抗P4〜P7、第2のバンドパスフィルタを構成するオペアンプP8,コンデンサP9〜P10及び抵抗P11〜P14、第1のアナログスイッチP15、第2のアナログスイッチP16、ローパスフィルタを構成する抵抗P17及びコンデンサP18を示す。
4叉型10に貼り付けられた図38に示した圧電素子25,27,29,35,23,31,33及び37の電極部は、ベース16に気密圧入されたリード18,19,20及び21と導線を用いて半田付けにより電気的に接続される。リード18,19,20及び21は、図37に示した発振回路H0,加算回路K0及び減算回路G0に接続される。
図37及び図38には第1の足11のY方向の屈曲振動の第1の中立線39を点で示し、第2の足12のY方向の屈曲振動の第2の中立線40を点で示し、第3の足13のY方向の屈曲振動の第3の中立線41を点で示し、第4の足14のY方向の屈曲振動の第4の中立線42を点で示す。図の外側の線は各圧電素子の電極間の配線を模式的に示した。
PZTは分極方向の逆方向に電圧をかけると分極の状態が劣化する可能性が指摘されている。本実施の形態に於いては分極形成時に印加する高電圧に比べて無視しうる電圧で駆動するので特に問題とならないが、図38においてはこの指摘に対処する方法を示しておく。圧電素子25,27,29,35,23,31,33及び37の電極部は4叉型10の基部がエリンバ等の導体においては共通電極を構成するので、通常は図37に示すようにグランドに接地しておくが、ここではPZT分極劣化の対策として、常に分極時にかけた電圧と同じ方向の電圧を加えるため、グランドより低レベルの電圧源D1に接続しておく。また、この直流バイアスの大きさを調整するため、分割抵抗D2を介して接続する。
図37において発振回路H0から、第2の足12の圧電素子29の電極に電圧が印加されると、例えば圧電素子29がY方向に縮み、結果としてX軸方向に屈曲変位が起こる。
時間の経過とともに、この方向は変化し、結果として、第2の足12はX軸方向に屈曲振動する。このとき、駆動する足が第2の足12のみであったとしても、第2の足12の振動が基部15を通して伝達し、第1の足11,第3の足13及び第4の足14が自動的に励振され、第1の足11と第2の足12がY−X面内で音叉型に振れ、第3の足13と第4の足14がY−X面内で、第1の足11と第2の足12の振動と逆相で音叉型に振れる第1の屈曲振動が自励発振する。このとき第1の足11の圧電素子25の電極からは、自励発振を継続するための参照信号が発振回路H0に帰還される。
この発振回路H0が加振する足が第1の足11であり、参照信号を受け取る足が第2の足12であってもかまわない。
図37において発振回路H0から、第2の足12の圧電素子27の電極に電圧が印加されると、例えば圧電素子27がY方向に縮み、結果としてZ軸方向に屈曲変位が起こる。
時間の経過とともに、この方向は変化し、結果として、第2の足12はZ軸方向に屈曲振動する。このとき、駆動する足が第2の足12のみであったとしても、第2の足12の振動が基部15を通して伝達し、第1の足11,第3の足13及び第4の足14が自動的に励振され、第4の足14と第2の足12がY−Z面内で音叉型に振れ、第3の足13と第1の足11がY−Z面内で、第4の足14と第2の足12の振動と逆相で音叉型に振れる第2の屈曲振動が自励発振する。
このとき第4の足14の圧電素子35の電極からは、自励発振を継続するための参照信号が発振回路H0に帰還される。この発振回路H0が加振する足が第4の足14であり、参照信号を受け取る足が第2の足12であってもかまわない。
図39に第1の屈曲振動を模式的に示す。第1の屈曲振動では、4叉型10の第1の足11,第2の足12,第3の足13及び第4の足14がY−X面内で屈曲振動を行うが、ここではある瞬間の変位方向を矢印で示している。また図40に第2の屈曲振動を模式的に示す。第2の屈曲振動では、4叉型10の第1の足11,第2の足12,第3の足13及び第4の足14がY−Z面内で屈曲振動を行う。ここでもある瞬間の変位方向を実線矢印で示している。
図37に示した第1の屈曲振動及び図8に示した第2の屈曲振動は4叉型10の試作品の動作確認により、弾性体としての共振周波数の存在が確認されているものである。即ち第1の屈曲振動においては、全ての足はX方向に振動しており、第1の足11と第2の足12は通常の音叉型振動を行っており、この時同時に第3の足13と第4の足14は、第1の足11と第2の足12が行う振動の逆相の音叉型振動を行っている。一方第2の屈曲振動においては、全ての足はZ方向に振動しており、第1の足11と第3の足13は通常の音叉型振動を行っており、この時同時に第2の足12と第4の足14は、第1の足11と第3の足13が行う振動の逆相の音叉型振動を行っている。これらの振動は4本の足が互いにバランスを取り合い、基部15は振動の節となっており殆ど振動しないので、4叉型10は底面を支持すれば、支持の方法によって振動状態が変わることは殆どない。
図41に第1の屈曲振動と第2の屈曲振動が同時に存在する場合の4叉型10の屈曲振動の様子を模式的に示す。図37の回路構成においては、1つの発振回路H0に第1の屈曲振動及び第2の屈曲振動の参照信号を入力し、1つの発振回路H0の電圧出力で第1の屈曲振動及び第2の屈曲振動を励振している。このとき第1の屈曲振動の発振周波数f1と第2の屈曲振動の発振周波数f2は同じ周波数fであり、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の合成として第3の屈曲振動が発生する。図41においては、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の振幅と位相が一致する場合の第3の屈曲振動を描いている。
第3の屈曲振動が発生している時、4叉型10がY軸の回りに、角速度ωで回転すると、各々の足は、変位する方向に直交する方向にコリオリ力を受け、このコリオリ力により図42に示す第4の屈曲振動が引き起こされる。第4の屈曲振動は、第3の屈曲振動と同じく第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の合成と見ることが出来るが、第3の屈曲振動と異なり、第1の屈曲振動の位相に対して第2の屈曲振動の位相が180度変化している。第3の屈曲振動と第4の屈曲振動は全く同じ性質のものであり、第3の屈曲振動による第4の屈曲振動の励振は最高の効率で行われ、第4の屈曲振動は非常に大きな振幅を得ることができる。
ところでコリオリ力は慣性力なので速度が大きな位置で大きな力が働く。このことは振動する足の動作において、速度最大の位置、即ち足が曲がっていない位置にあるときがコリオリ力がもっとも大きく働く位置となることを示している。従って第3の屈曲振動によって引き起こされるコリオリ力が生成する第4の屈曲振動は、第3の屈曲振動に対して90度位相の異なる振動となる。このことから、図9に示した第3の屈曲振動と図42に示したコリオリ力により引き起こされる第4の屈曲振動の合成された振動状態は、図43に示す様に各々の足が楕円軌道を描く動作となる。
4叉型10はX軸及びZ軸方向に対称な形状を持つ設計である。有限要素法解析に於いてはこのような理想形状の確認が可能であり、等方性弾性体において完全な対称性が保証される場合は、4叉型10においては第1の屈曲振動及び第2の屈曲振動よりもむしろ第3の屈曲振動及び第4の屈曲振動が本質的な屈曲振動となることが確認されている。しかし対称性が少しでも崩れると第1の屈曲振動と第2の屈曲振動が本質的な振動となる。工作精度が有限な現実の場合はX及びZ方向の対称性が保証されないので、第1の屈曲振動及び第2の屈曲振動が本質的な振動であり、各々固有の機械的共振周波数は異なる値となる。この値を各々f1及びf2とする。
図37に示した構成では、第1の屈曲振動及び第2の屈曲振動は4叉型10の機械的な機構と発振回路H0による電気機械振動系を構成する。4叉型10の電気機械振動系は、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の周波数を一致させ、f1及びf2の低い方の周波数に近い値をとる周波数fを持つ第3の屈曲振動を発生させることができる。このときf1及びf2の高い方の周波数は機械的な固有振動から離れたものとなる。
理想的な場合、コリオリ力の働かない状態では第3の屈曲振動は図9に示した45度方向の直線的な振動を行う。ここで、図42に示すコリオリ力が働くと、図43に示す主軸が45度方向の楕円軌道になり、コリオリ力は第1の屈曲振動及び第2の屈曲振動間の位相の変化としてのみ観測される。しかしながら音叉の工作精度以外にも使用する圧電素子の質量や特性のばらつきなどが存在する現実の場合は、コリオリ力が働いていない状態でも第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の振幅と位相は一致せず、第3の屈曲振動は一般には図44に示すように、主軸が45度方向から傾いた楕円軌道になる。
4叉型10が回転していないにも関わらず位相差を持ち、回転した場合はさらに振幅差の影響から楕円主軸の傾きが発生する、即ち第1の屈曲振動及び第2の屈曲振動の振幅差がコリオリ力の影響でさらに互いの振幅を変化させる複雑な動作になる。本実施の形態に於いては図2に示したローパスフィルタLA及びローパスフィルタLBを用い、発振回路H0の加振の振幅と位相を変化させることにより、コリオリ力の働かない状態では、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の振幅を一致させ、また位相差をなくし、図43に示した直線状の第3の屈曲振動を実現すことが出来る。
この場合はコリオリ力の効果は第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の間の位相差としてのみ現れ、後述する簡単な検出回路でコリオリ力を検出する事が出来る。実際にはコリオリ力の効果は第3の屈曲振動が楕円になるとこの効果から更に楕円主軸方向の振幅の変化を伴うが、これは必ずしも検出に用いなくても良い。
図38に示すようにローパスフィルタLA及びLBは抵抗LA1及びLB1,コンデンサLA2及びLB2で構成されるが、ここに使用するコンデンサLA2及びLB2の値は同一にしないことにより位相の調整と振幅の調整を分離して行うことが出来る。また位相を変化させることによる発振回路全体の位相変化は、同じく図38に示したトリマ抵抗H2及びコンデンサH7で構成する予め発振回路H0全体の位相調整を目的として用いている別のローパスフィルタの定数を変化させることにより吸収する。
各々の機械的な共振周波数があまり離れていると第1の屈曲振動と第2の屈曲振動を同時に発生させ、第3の屈曲振動を発生させた場合、fはf1及びf2の高い方の周波数から大きく離れてしまい、高い方の周波数を共振周波数とする方の屈曲振動は単なる強制振動となってしまい、第3の屈曲振動は共振現象を利用したものとは言えなくなり充分な振幅を維持するためには発振回路H0から大きな加振エネルギーを投入しなければならない。このような共振的でない場合は、コリオリ力により発生する第4の屈曲振動も非常に早く減衰してしまうし、発振回路H0の大きな加振が第4の屈曲振動を減衰させる効果もあり、充分な出力を得ることが出来ない。
ここで、第1の屈曲振動の共振周波数と第2の屈曲振動の機械的な共振周波数を近づける工夫をする。棒状振動体の屈曲振動の周波数は屈曲方向の巾に比例するので、4叉型10のY軸に垂直な断面を、精度良く加工することにより、第2の屈曲振動の共振周波数と、第1の屈曲振動の共振周波数を近づけられる。
しかしながら、量産を考慮した場合、一般に加工に用いられるダイシングソーやワイヤソーによる加工精度は±3μm程度であるが、例えば4叉型10の各の足の巾を300μm程度とすると、1%が加工精度の限界となる。これ以上の調整を必要とする場合は、棒状振動体の共振周波数は棒の長さの自乗に逆比例するので、図2に示す様にZ方向から見た足の長さL1と、X方向から見た足の長さL2が異なるように各の又の深さが異なるように加工する。この部分だけを局部的に、さらに高精度に加工することにより、第1の屈曲振動の共振周波数と第2の屈曲振動の共振周波数をより精度良く一致させることができ、共振的な第3の屈曲振動を実現することができる。
図37において、X方向の振動を検出する圧電素子33及び37の電極部からの出力を信号A,Z方向の振動を検出する圧電素子23及び31の電極部からの出力を信号Bとする。圧電素子33及び圧電素子37は電気的に接続されていることになるが、これは4叉型10にX方向の振動や衝撃力が加えられた場合、これらに起因するノイズ出力が互いに打ち消しあう効果をもたらす。
また、圧電素子23及び圧電素子31は電気的に接続されていることになるが、これは4叉型10にZ方向の振動や衝撃力が加えられた場合、これらに起因するノイズ出力が互いに打ち消しあう効果をもたらす。第4の屈曲振動は、X方向に成分として、第5の屈曲振動を持つ。第5の屈曲振動は、第1の屈曲振動を変化させる効果を持つ。即ち信号Aは第1の屈曲振動及びコリオリ力に起因する第5の屈曲振動が合成された信号である。第4の屈曲振動は、Z方向に成分として、第6の屈曲振動を持つ。
第6の屈曲振動は、第2の屈曲振動を変化させる効果を持つ。即ち信号Bは第2の屈曲振動及びコリオリ力に起因する第6の屈曲振動が合成された信号である。本実施の形態に於いては、信号Aと信号Bを加算回路K0と減算回路G0に入力し、信号Aと信号Bの和信号A+Bと差信号A−Bを生成し、これを利用する。
図14にコリオリ力が働かない場合の信号A,B,A+B及びA−Bの関係を示す。この場合、信号Aと信号Bは各々第1の屈曲振動及び第2の屈曲振動そのものであり、これらは図2に示したローパスフィルタLA及びLBの調整により、完全に一致した信号である。信号A+Bは信号A及びBの2倍の振幅を持つ信号であり、信号A−Bは振幅がない。
図15にコリオリ力により第4の屈曲振動が生成された場合の信号A,B,A+B及びA−Bの関係を示す。第4の屈曲振動の効果は、信号A及び信号Bの相対的な位相を変化させる。4叉型10の回転角速度ωの大きさにほぼ比例して信号A及び信号Bの相対的な位相が変化する。
角速度ωにより信号Aの位相が進み,信号Bの位相が遅れるとすると、角速度−ωでは信号Bの位相が進み,信号Aの位相が遅れ、信号A及びBの位相の変化はωの方向によることになる。一方コリオリ力の有無に関わらず信号A+B及びA−Bはコリオリ力が働かない場合の位相を維持する。またコリオリ力は、信号A+Bの振幅に少し変化をもたらし、信号A−Bには僅かな振幅を発生させる。
図16に信号A,B,A+B及びA−Bの関係をベクトルで示す。この場合、信号の振幅はベクトルの長さで表現され、位相はベクトルの回転で表現される。コリオリ力の効果は、信号A+B及びA−Bの振幅の変化として検出することが出来る。ここで注目したいのは、信号A及び信号Bの変化が位相のみであり振幅が変化しない場合は、信号A+B及びA−Bの相対的な位相関係がコリオリ力の大きさに関わらず常に90度に保たれることである。
本実施の形態においては、出力の小さなコリオリ力の検出にロックインアンプの構成を用い、被検出信号から参照信号と同一の周波数成分のみを抽出して積分することにより高いS/Nを実現しようとするが、この場合被検出信号と位相の一致した正確な参照信号が必要である。まず、コリオリ力を反映する被検出信号として信号A,B及びA+Bは、コリオリ力がない状態でも大きな出力をもつので小さなコリオリ力による変化をとらえるのに適していない。
一方、信号A−Bはコリオリ力が無い場合は出力がないので、ダイナミックレンジを考慮すると被検出信号として最も適しており、これを使用する。一方参照信号としては、信号A及びBはコリオリ力により位相が変化するので使用できず、最も位相が正確なA−B信号自身もコリオリ力が働かないか小さい場合に交流出力が無いか不安定なので、使用できない。しかし図16に示した様にA+B信号は常に安定した大きな振幅とA−B信号と正確に90度だけ異なる位相差を持っている。従って参照信号としては、A+B信号を90度位相を移相したものを使用する。
図37に示す様に、信号A及び信号Bを減算回路G0に入力し、図38に示す高い同相除去比CMRRを持つ構成の差動増幅回路G1〜G12をもって、信号A−B及びこれと逆相の信号B−Aを生成し、図37に示すロックインアンプP0に入力する。図38に示すようにロックインアンプP0の内部では、バンドパスフィルタP1〜P14を用いて信号A−B及びこれと逆相の信号B−Aの直流成分と奇数次高調波成分を除去し、アナログスイッチP15〜P16を用いてスイッチングし、平滑及び積分回路P17〜P18を用いて直流に変換する。
また図37に示す様に、信号A及び信号Bを加算回路K0に入力し、図38に示す移相回路I0〜I1で90度移相し、コンパレータC1〜C2でスイッチング信号とこれと逆相のスイッチング信号を生成し、アナログスイッチP15〜P16に入力する。この結果、A−B信号はA+B信号を90度移相したタイミングで全波整流され、直流出力に変換される。ここでは直流ドリフトを嫌う理由から位相の検波に乗算器でなくスイッチング方式を用いた。この構成では、ノイズと見なされる参照信号の周波数以外の殆どの信号成分が取り除かれ、非常にS/Nのよいコリオリ力の検出が実現できる。
従って、第1の屈曲振動及び第2の屈曲振動の差に、コリオリ力に起因する第5の屈曲振動の効果と第6の屈曲振動の効果が重ね合わされた振動から、結果としてコリオリ力に起因する第5の屈曲振動の効果と第6の屈曲振動の効果のみが直流として抽出される。これによって角速度ωの値を正確に知ることができる。
本発明における4叉型10の第3の屈曲振動は、大きなQ値を持つ音叉型発振器を構成している。即ち非常に安定した周波数を持つ。従って、これを参照信号として用いることによりロックインアンプの機能である周波数抽出の幅を非常に小さくできる。言い換えると、本実施の形態の構成においては、角速度ωに起因する信号以外のノイズを殆ど除外でき、大変S/Nがよい。
以上の説明で明らかなように、本発明による振動ジャイロは、4本の足を田の字型に対称性良く配置したことにより、音叉型における面外振動のような支持部に影響される振動を利用することなく、使用する何れの振動においても基部がほぼ静止しており、保持方法により性能に影響が少なく、精度の良い角度検出ができる。また加振と検出に同じ振動モードを用いるので、構造上検出方向の出力信号が大きくとれ、コリオリ力以外の出力をキャンセルできる構成をとるのでノイズが少なく、高いS/Nを実現でき、加振と検出の足を別々にとれるので、発振系に起因する位相ずれによるDCドリフトも殆ど無い。

Claims (12)

  1. 弾性を持つ材料から構成されている4本の足部と、この足部と一体的に形成されている基部を備える振動ジャイロにおいて
    前記4本の足部は、前記基部の中心部に対して等距離で且つ等角度の位置に配置されており、
    前記4本の足部の選択された少なくとも一部の足部に、互いに隣り合う2つの足部の中心線を含む平面内に無い第1の方向を持ち、第1の屈曲振動及び第2の屈曲振動に分離可能な1つめの振動を行う様に自励発振を行わせると共に、選択された足部の一部を含む別途に選択された少なくとも一部の足部に、互いに隣り合う2つの足部の中心線を含む平面内に無い前記第1の方向とは異なる第2の方向を持ち、前記第1の屈曲振動及び前記第2の屈曲振動に分離可能な2つめの振動を行わせる様に構成され、
    前記4本の足部の側面には、圧電素子から構成されている駆動電極部と検出電極部とから選択された少なくとも一方の電極部が設けられており、
    前記足部の少なくとも一部の足部から前記屈曲振動により生ずる電圧を測定する様に構成されていることを特徴とする振動ジャイロ。
  2. 弾性を持つ材料から構成されている4本の足部と、この足部と一体的に形成されている基部とを有し、
    前記4本の足部は、前記基部の中心部に対して等距離で且つ等角度の位置に配置されており、前記4本の足部の選択された少なくとも一部の足部に、互いに隣り合う2つの足部の中心線を含む平面内に無い第1の方向を持ち、第1の屈曲振動及び第2の屈曲振動に分離可能な1つめの振動を行う様に自励発振を行わせると共に、選択された足部の一部を含む別途に選択された少なくとも一部の足部に、互いに隣り合う2つの足部の中心線を含む平面内に無い前記第1の方向とは異なる第2の方向を持ち、第1の屈曲振動及び第2の屈曲振動に分離可能な2つめの振動を行わせる様に構成され、前記4本の足部の側面には、圧電素子から構成されている駆動電極部と検出電極部とから選択された少なくとも一方の電極部が設けられており、前記足部の少なくとも一部の足部から前記屈曲振動により生ずる電圧を測定する様に構成されている振動ジャイロにおいて、
    前記4本の足部の内、第1及び第2の足の圧電素子を用いて自励発振を行わせ、前記第1の屈曲振動を行なわせると同時に、第2及び第4の足の圧電素子を用いて自励発振を行わせ、前記第1の屈曲振動と直交する方向に、前記第1の屈曲振動と振動数と位相が一致する前記第2の屈曲振動を発生させておき、前記第1の屈曲振動と前記第2の屈曲振動の合成振動として、第3の屈曲振動を発生させ、回転によるコリオリ力により引き起こす、第3の屈曲振動に直交する方向の第4の屈曲振動の前記第1の屈曲振動の方向の成分である第5の屈曲振動の結果生じる電圧を、前記第3及び第4の足の検出電極部により検出し、前記第4の屈曲振動の前記第2の屈曲振動の方向の成分である第6の屈曲振動の結果生じる電圧を、前記第1及び前記第3の足の検出電極部により検出することを特徴とする振動ジャイロ。
  3. 前記4本の足部は、前記第1の屈曲振動の共振周波数と前記第2の屈曲振動の共振周波数が一致するように、幅方向から見た足の長さと、厚さ方向から見た足の長さが異なるように各々の又の深さが調整されていることを特徴とする請求の範囲第1項叉は第2項に記載の振動ジャイロ。
  4. 前記第1の屈曲振動を行う第3の足の圧電素子及び第4の足の圧電素子は互いに電気的にかたく接続されていることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の振動ジャイロ。
  5. 前記第5の屈曲振動の結果生じる電圧と前記第6の屈曲振動の結果生じる電圧の双方を入力とする差動アンプを有することを特徴とする請求の範囲第2項乃至第4項のいずれかに記載の振動ジャイロ。
  6. 前記第1の屈曲振動と前記第5の屈曲振動の合成振動が前記第3の足の圧電素子に発生させる電圧出力と、前記第2の屈曲振動と前記第6の屈曲振動の合成振動が、前記第3の足の圧電素子に発生させる電圧出力とを加算する加算回路と、この加算回路の出力を90度移相する移相回路と、この移相回路の出力を2値化する2値化回路と、前記第1の屈曲振動と前記第5の屈曲振動の合成振動が、前記第3の足の圧電素子に発生させる電圧出力と、前記第2の屈曲振動と前記第6の屈曲振動の合成振動が、前記第3の足の圧電素子に発生させる電圧出力とを減算する減算回路と、この減算回路の出力を前記2値化回路の出力を用いて検出するロックインアンプとを備えたことを特徴とする請求の範囲第2項乃至第5項のいずれかに記載の振動ジャイロ
  7. 前記4本の足部のうち、一部の足部に自励発振操作のみを行わせ、他の足部にこの足部の振動に伴う電圧を測定する検出操作のみを行わせ、更に、残る他の足部に前記自励発振操作と前記検出操作の双方を行わせる様に構成されていることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第6項のいずれかに記載の振動ジャイロ
  8. 前記自励発振操作のみを行う足部には、駆動電極部のみが設けられていると共に、前記検出操作のみを行う足部には、検出電極部のみが設けられており、更に、前記自励発振操作と前記検出操作の双方を行わせる足部には、駆動電極部と検出電極部との双方が設けられていることを特徴とする請求の範囲第7項に記載の振動ジャイロ。
  9. 前記第1の屈曲振動を生成するための発振回路と、前記第2の屈曲振動を生成するための発振回路は、別々に設けず1つの発振回路で構成されていることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第8項のいすれかに記載の振動ジャイロ
  10. 前記第1の屈曲振動の振幅及び位相が前記第2の屈曲振動の振幅及び位相と略一致するように発振回路の出力信号を調整する為のローパスフィルタを備えたことを特徴とする請求の範囲第1項乃至第9項のいずれかに記載の振動ジャイロ
  11. 前記第1の屈曲振動の位相が前記第2の屈曲振動の位相と略一致するように発振回路の出力信号を調整する為の移相回路を備えたことを特徴とする請求の範囲第1項乃至第10項のいずれかに記載の振動ジャイロ
  12. 弾性を持つ材料から構成されている4本の足部と、この足部と一体的に形成されている基部とを有し、
    前記4本の足部は、前記基部の中心部に対して等距離で且つ等角度の位置に配置されている振動ジャイロにおいて、
    この振動ジャイロの田の字配置された平行な4本の足は、第1の屈曲振動の共振周波数と第2の屈曲振動の共振周波数とが一致するように、巾方向から見た足の長さと、厚さ方向から見た足の長さが異なるようにそれぞれの又の深さが調整されていることを特徴とする振動ジャイロ。
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