JP4641107B2 - 振動ジャイロ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、角速度を検出する振動ジャイロに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から機械式の回転ジャイロスコープが、飛行機や船舶の慣性航行装置として使われているが、装置が大きく、価格が高く、従って小型の電子機器や小型の輸送機械に組み込むことは困難である。
【0003】
しかし近年、ジャイロスコープも小型化の研究が進み、圧電素子で振動体を励振し、振動体に設けた別の圧電素子で振動体が回転により受けるコリオリ力で起きる振動により発生する電圧を検出する振動ジャイロの実用化が進み、自動車のナビゲーションシステムやビデオカメラの手振れ検出装置等に使われている。
【0004】
特に圧電性単結晶を用いた振動ジャイロは、構造が簡単で、調整もしやすく、また温度特性に優れ、有望視されている。以下に圧電性単結晶を使用した例として、水晶を用いた音叉型振動ジャイロの構造を図面を用いて説明する。図5は音叉型の振動ジャイロを示す斜視図である。
【0005】
図5において、音叉J10は水晶を一体加工したものに、駆動検出電極を蒸着した構造を有している。すなわち音叉J10は、平行に配置された第1の足J11及び第2の足J12が、基部J15に結合した構造を持つものである。第1の足J11には、駆動電極J3及びJ4が蒸着されており、第2の足J12には、検出電極J6,J7及びJ8が蒸着されている。基部J15の底面は、支持に用いられる。ここで、足の伸びた方向をY’方向、2本の足の並ぶ方向をX方向、X及びY’方向に直交する方向をZ’方向とする。
【0006】
作用について説明する。図6は、従来の音叉型水晶ジャイロの駆動検出方法を説明する為の、断面及び駆動検出回路の模式図である。図6において、左側に記す第1の足J11の断面には、駆動電極J1,J2,J3及びJ4の断面が配置され、右側に記す第2の足J12の断面には検出電極J5,J6,J7及びJ8の断面が配置されている。
【0007】
まず、第1の足J11が例えば第2の足J12に向かってX方向に屈曲すると、電極J2近傍がY’方向に伸び、電極J4近傍がY’方向に縮むが、この時水晶内部では圧電効果により電極J2近傍ではX方向に、また電極J4近傍では−X方向に電界が発生する。この時電界の向きを考慮すると電極J2及びJ4は同電位で、足の中央より例えば高い電位となる。X方向に見ると、足の中央付近に配置された電極J1及びJ3は、相対的に電極J2及びJ4より低い電位となるので、電極J2及びJ4と、電極J1及びJ3の間には、電位差が発生する。圧電効果は可逆的なので、電極J2及びJ4と、電極J1及びJ3の間に電位差を与えれば、水晶内部には、これに応じた電界が発生し、第1の足J11はX方向に屈曲することになる。これらのことから、例えば電極J1及びJ3の電位を参照として発振条件を超える増幅率でアンプJGを用いて増幅し、発振条件を満足する位相に移相回路JPで整えて電極J2及びJ4に戻すことにより、第1の足J11の屈曲に伴う機械的な戻り力と電気的な力の間でエネルギーの交換が起こり、第1の足J11をX方向に自励発振させることができる。
【0008】
音叉J10全体で見ると、第1の足J11及び第2の足J12の運動量をバランスさせる為、第1の足J11がX方向に動く時、第2の足J12は−X方向に動き、第1の足J11が−X方向に動く時、第2の足J12がX方向に動く動作となるが、これを、通常の音叉が1つの面内で振動を行うのを理想とする慣例から、面内屈曲振動と呼ぶが、第1の足J11,アンプJG及び移相回路JPで発生させる振動は面内屈曲振動と同じ動作であり、その周波数は、音叉J10の面内屈曲振動の共振周波数とほぼ一致する。
【0009】
この状態で音叉J10全体をY’軸の回りに角速度ωで回転させると、音叉J10の2つの足には、面内屈曲振動と直交するZ’方向にコリオリ力Fcが働く。コリオリ力Fcは以下の式で表すことができる。
FC=2・M・ω・V
ここで、Mは第1の足J11又は第2の足J12の質量であり、Vは第1の足J11又は第2の足J12の速度である。このコリオリ力FCは、第1の足J11及び第2の足J12に、面内屈曲振動の動作方向であるX方向と直交する、Z’方向に変位する屈曲振動を励起する。以下これを面外屈曲振動と呼ぶ。また、コリオリ力は変位でなく、速度に比例する力なので、コリオリ力により発生する面外屈曲振動は、面内屈曲振動より90度位相が遅れて発生する。
【0010】
この面外屈曲振動により、例えば第2の足J12の電極J5及びJ8の近傍はY’方向に伸び縮みし、電極J6及びJ7の近傍は電極J5及びJ8の近傍と逆相で伸び縮みする。例えば、電極J5及びJ8の近傍がY’方向に伸びている時、第2の足J12の内部の電極J5及びJ8の近傍では、X方向に電界が発生し、この時電極J6及びJ7の近傍はY’方向に縮むので、第2の足12の内部の電極J6及びJ7の近傍では、−X方向に電界が発生する。すなわち電極J5の電位が電極J8の電位より高い時、電極J7の電位は電極J6の電位より高い状態となる。また、電極J5及びJ8の近傍がY’方向に縮んでいる時、第2の足J12の内部の電極J5及びJ8の近傍では、−X方向に電界が発生し、この時電極J6及びJ7の近傍はY’方向に伸びるので、第2の足12の内部の電極J6及びJ7の近傍では、X方向に電界が発生する。すなわち電極J5の電位が電極J8の電位より低い時、電極J7の電位は電極J6の電位より低い状態となる。
【0011】
面外屈曲振動により発生するこれら電極J5及びJ8と、電極J6及びJ7の間の電位差は、Z’方向に振れる第2の足J12の方向に従って変化する。見方を変えると、例えば電極J5が高電位の時電極J7も高電位であり、この時電極J6及び電極J8は低電位であり、電極J5が低電位の時電極J7も低電位であり、この時電極J6及び電極J8は高電位である。コリオリ力は、電極J5又は電極J7と、電極J6又は電極J8の間の電位差として現れる。
【0012】
コリオリ出力の検出信号は、電極J5及び電極J7を一方の入力信号とし、電極J6及び電極J8を他方の入力信号とした、差動バッファJDを経て乗算回路JMに導かれ、面内屈曲振動の発振系の出力を、コリオリ力が90度遅れて発生するのを補正する目的で、アンプJGの出力を、移相回路JP2により90度移相し、コンパレータJCにより2値化した参照信号により乗算され、乗算により検波された結果は、更に積分回路JSにより平滑化され、正確な直流出力として検出できる。この直流出力はコリオリ力FCに比例し、コリオリ力FCは角速度ωに比例するので、この直流出力により角速度ωを知ることができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の圧電性単結晶を用いた音叉型の振動ジャイロには以下のような課題がある。一般に振動体を支持する場合は、支持の影響が振動体に及ぶのを最小限にするため、振動体が振動中に殆ど動かない位置、すなわち振動の節のみを支持することを理想とする。音叉型振動ジャイロでは、足の延びた方向に垂直な2方向の屈曲振動を扱う事になるが、これら2方向の屈曲振動の中で、駆動に用いる面内屈曲振動においては、基部底面を支持する事によりほぼ理想的な支持が実現する。この支持方法においては、音叉型振動体は足の伸びた方向に僅かに変動するのみであり、支持部の変化による周波数変動は僅か数PPMに留まる。一方、面内屈曲振動と振動体の回転により足に生じたコリオリ力で励振される面外屈曲振動においては、音叉型振動体は音叉の中心対称軸の周りの捻り振動となるので、振動体の外部に振動を伝えない支持は難しい。従来の基部底面支持のごとく支持の影響が振動体に及ぶ理想的でない支持方法を用いる場合は、コリオリ力により発生する検出振動である面外屈曲振動も、後述する駆動用の振動である面内屈曲振動の検出振動への漏れ振動も支持部を通して振動体外部に伝わってしまい、S/Nの低下やドリフトの原因となる。
【0014】
また、2脚音叉型振動ジャイロにおいては、棒状の振動体が駆動と検出をかねており、検出部が振動している。理論上は駆動方向が検出方向に直交しているので、駆動振動の影響は検出振動に及ばないのであるが、実際の加工精度においては、この直交度が充分でなく、検出方向は駆動により予め振動しており、検出電極は駆動振動を検出してしまう。駆動振動と検出振動の共振周波数を互いに離せば駆動振動が検出振動を僅かに励振する現象は少なくなるが、振動ジャイロにおいては、駆動振動と検出振動の共振周波数をコリオリ力が伝達できる程度に接近させているので、駆動振動の検出振動への漏れと言われるこの現象は避けられない。また、駆動電極及び検出電極の電極間の静電容量結合によっても、検出電極は駆動振動を検出してしまう。これはコリオリ力が無いにもかかわらず検出出力が出ている事を意味する。駆動振動は振幅が大きいので、支持部の環境変化や、振動体の温度変化による駆動振動の僅かな変化も、振幅の小さな検出振動に多大な影響を与え、S/Nが低下し、ドリフトが発生する。
【0015】
[発明の目的]
本発明の目的は、上記課題を解決しようとするもので、S/Nが高く、ドリフトが少なく、検出精度の良い、振動ジャイロを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するために、本発明の振動ジャイロは、下記の構成を採用する。
【0017】
本発明の振動ジャイロは、基部と、基部上に並んで配設された3本の足と、を有する振動子と、3本の足のうち、一方の端に位置する第1の足と中央に位置する第2の足のみを面内方向に屈曲振動させる発振手段と、他方の端に位置する第3の足の面外方向の振動を検出する検出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の振動ジャイロは、上記記載の構成に加えて、第3の足は、第1の足及び第2の足より幅が狭いことを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明の振動ジャイロは、上記記載の構成に加えて、第の足と基部とが結合する部分に肩部を有することを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明の振動ジャイロは、上記記載の構成に加えて、第2の足と第3の足とが、第1の足と前記第2の足との間隔以上離れていることを特徴とする。
【0022】
[作用]
本発明による振動ジャイロは、3脚音叉型形状を採用し、振動の節を支持する事により、極めてQ値が高く外部への振動漏れの少ない駆動振動及び検出振動を用い、また駆動振動によって振動しない検出部を用いることにより、駆動振動の影響が殆ど検出部に及ぶ事がなく、結果として高いS/Nと低いドリフトを実現する。
【0023】
【発明の実施の形態】
[第1の発明の実施の形態]
以下、本発明の振動ジャイロを実施するための最良の形態による第1の実施の形態を図面を基に説明する。図1〜図4,図7及び図8は本発明の実施の形態である振動ジャイロであり、図1は以後3脚音叉10と呼ぶ、3脚音叉型の振動ジャイロの外観を示し、以後説明に用いる座標を示す斜視図であり、図2は3脚音叉10の断面,回路ブロック及び配線模式図であり、図3は3脚音叉型の振動ジャイロの外観を示し、座標を示し、電極の一部を示す表面図であり、図4は3脚音叉型の振動ジャイロの外観を示し、座標を示し、電極の一部を示す裏面図であり、図7及び図8は3脚音叉型振動体の振動モードを示す足の断面の動作説明図である。
【0024】
[振動ジャイロの構造説明:図1〜図4]
本実施の形態においては、圧電性単結晶の中で、特に温度特性に優れた水晶を使用する。水晶は、Si02の単結晶で、常温では4つの結晶軸を持つ三方晶系に属する。結晶軸の1つはc軸と呼ばれ、結晶の頂点を通る結晶軸であり、残りの3つはa軸と呼ばれ、c軸に垂直な面内に互いに120度の角度を成す結晶軸である。ここでは、3つのa軸のいずれかをX軸とし、c軸をZ軸とし、X軸及びZ軸に直交する方向にY軸をとる。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態で使用する座標系は、上記X,Y,Z軸から、X軸の回りに、Z軸からY軸の方向にθ度回転させた座標軸Y’軸,Z’軸及びX軸を用いる。このとき回転角θは0〜10度とする。ここに示した回転角は、温度特性及び振動の安定度を指標に最適なものが選択される。3脚音叉10は、一定の厚みを持つ2次元形状であるが、この厚み方向をZ’軸方向にして切り出す。こうして切り出された3脚音叉10の3脚音叉形状は、X−Y’面内に2次元形状で表現される。ここで以下の説明において、Z’軸方向を表裏方向とし、Z’方向から見たZ’軸に直交する面を表面、−Z’方向から見たZ’軸に直交する面を裏面と呼び、X軸方向を左右方向とし、X方向から見たX軸に直交する面を左側面、−X方向から見たX軸に直交する面を右側面と呼ぶ事とする。
【0026】
図1は、3脚音叉10を斜めから見た図であるが、電極は省略してある。図1に示すように、3脚音叉10は足1〜3,基部9及び支持部11から構成される。足1は弾性と圧電性を持つ水晶からなり、形状は、Y’方向の長さL,X方向の幅W1,Z’方向の厚さがtの、各々同一の寸法を持つ四角柱であり、側面に施された金属蒸着膜からなる電極を有している。足2は弾性と圧電性を持つ水晶からなり、形状は、Y’方向の長さL,X方向の幅W2,Z’方向の厚さがtの四角柱であり、側面に施された金属蒸着膜からなる電極を有している。足3は弾性と圧電性を持つ水晶からなり、形状は、Y’方向の長さL,X方向の幅W3,Z’方向の厚さがtの四角柱であり、側面に施された金属蒸着膜からなる電極を有している。基部9は弾性を持つ水晶からなり、形状は、Y’方向の長さD,X方向の幅W1+W2+W3+2×U+2×K,Z’方向の厚さがtの四角柱である。支持部11は、弾性を持つ水晶からなり、形状は、X方向の幅が基部の幅の1/3〜1/1であり、Z’方向の厚さがtの四角柱である。足1〜3は、X方向に足1,足2,足3の順に平行に、隙間Uを開けて配置され、各々の足は、基部9のY’方向に垂直な1つの面に接合している。このとき、基部9の左右側面と足1及び3の左右側面は単一平面とならず、足1及び3は、基部9の側面からX方向にKだけ内側に配置され、肩部が形成される。支持部11は、基部9の足1〜3の接合した面と平行な、底面と呼ぶもう1つの面の中央に接合している。基部がある程度長ければ、支持部11は必要無く、基部の底面に近い中央部又は基部底面の中央付近を支持部とすれば良い。上記すべての部分は同じ厚さで、同一平面内にあり、一体構造である。
【0027】
図3及び図4には、電極の一例として3脚音叉10に金属蒸着膜から成る電極を形成した様子を示した。ただし、電極の説明に関係のない、支持部11は省略してある。図3は3脚音叉10をZ’方向から見た様子を示している。図4は3脚音叉10を−Z’方向から見た様子を示している。既に述べた様に、図3に示す面を表面,図4に示す面を裏面と呼ぶ。電極の形状は、予め形状をエッチングで作成したマスクを作成しておき、これを3脚音叉10の電極を生成する表裏面に密着させて真空蒸着を施すことにより形成する。左右側面の電極は、蒸着方向を回転する事により形成できる。足1の表面に電極1U,裏面に電極1D,左側面に電極1L,右側面に電極1Rを蒸着し、足2の表面に電極2U,裏面に電極2D,左側面に電極2L,右側面に電極2Rを蒸着し、足3の表面から右側面に回り込む電極3U,裏面から右側面に回り込む電極3D,左側面に電極3Gを蒸着する。全ての電極は長方形である。基部9の表面には回路と接続する為の端子DR,SE,S1,S2及びGNDと、各々の足の電極と端子を結ぶ導線を蒸着する。
【0028】
図2には、図3及び図4に示したのと同じ足1〜3、及び電極1L,1R,1U,1D,2L,2R,2U,2D,3U,3D及び3GのY’軸方向に垂直な断面を示し、各電極の接続関係及び駆動検出回路を示す。駆動回路は、検出電極1L,1R,2U及び2Dからの信号をアンプG及び移相回路Pを用いて駆動電極1U,1D,2L及び2Rに返す自励発振回路で構成され、検出回路は、検出電極3U及び3Dからの信号を検出する差動バッファD、アンプGの出力の位相を変化させる移相回路P2、位相検出回路の信号を2値化するコンパレータC、差動バッファDの出力を移相回路P2の出力と乗算する乗算回路M、及び乗算結果を積分して直流化する積分回路Sで構成される。3電源系の回路で構成する場合は、駆動検出回路に直接接続されない電極3Gはグランドに接地する。
【0029】
[振動ジャイロの動作・作用説明:図2,図7及び図8]
以下、図7を用いて3脚音叉型振動体の検出振動を説明し、図8においては3脚音叉型振動体の駆動振動を説明し、最後に図2を用いて、電気的に3脚音叉10を駆動し、3脚音叉10の回転の結果である電圧出力から角速度を知る方法を説明する。
【0030】
最初に、本実施の形態において使用する3脚音叉10を切り出す座標系が、水晶の結晶軸から傾いている事について説明する。本実施の形態において使用する水晶は異方性単結晶であり、方向により弾性率の温度依存性が異なる。厚み方向をZ軸方向とせず、X軸の回りに、Z軸からY軸の方向にθ度回転させた座標軸Y’軸,Z’軸及びX軸を用い、厚み方向をZ’軸方向としたのは、回転角θにより駆動検出振動の共振周波数の温度特性が変化するので、回転角θを温度特性を勘案して決定する為である。この回転角θは、振動ジャイロを使用する温度条件を勘案し、0〜10度から選択する。
【0031】
さて、振動ジャイロにおける理想は、振動体内で自己完結的な振動モードのみを利用し、この振動モードにおける振動の節を支持する事により、外部環境に依存しない安定した振動ジャイロを得る事である。しかしながら、直交する2方向が、共にこのような条件を満足する振動体は、極めて希である。ところで、2脚音叉は2本の足が決定する平面内で、2本の足が相反する方向へバランスを取りながら1次屈曲振動する、いわゆる面内振動において、最も優れた振動体として発振器等に利用されいる。また、3脚音叉は3本の足が決定する平面に垂直な方向へ、両側の2本の足と中央の足が相反する方向へ1次屈曲振動する、いわゆる面外振動において、2脚音叉の面内振動に匹敵する優れた振動体として利用されてきた。本実施の形態においては2脚音叉の面内振動に匹敵する優れた振動と、3脚音叉の面外振動に匹敵する優れた振動を、振動ジャイロの駆動と検出の振動に用いる。
【0032】
また、振動ジャイロにおいては、駆動振動が発生している間に、検出部がコリオリ力に無関係な出力を発生しないことが、高いS/Nと厄介な無回転時の出力のドリフトを抑える点で有効である。無回転時に出力が無ければ、ドリフトは存在しないからである。コリオリ力に無関係な出力は、駆動と検出振動の直交性が不完全であれば、振動する検出部において、駆動振動が検出振動を機械的に発生させ、電極の対称性が不完全であれば、振動する検出部において、駆動出力が検出出力を電気的に発生させるので、有限な加工精度で製作された振動体としては、回転のない時は、駆動振動発生時に、駆動振動と無関係に検出部が静止しており、回転による検出振動の発生時は、検出部が検出振動の振動体の一部として大きく振動するような構造が望ましい。本実施の形態においては、3本の足を持つ3脚音叉を振動体として用い、並んだ3本の足の中で、右端の足3の幅を、他の足の幅より10万PPM以上狭くする事で、上述の望ましい事項を全て満足する振動体を提供する。
【0033】
本実施の形態で使用する3脚音叉型振動体は、複数の固有振動モードを持つ。これらの中で3脚音叉形状の、厚み方向に直交する平面内、即ちX−Y’平面内で完結する、3本の足のX方向への1次屈曲振動を、3脚音叉10の面内振動と呼ぶこととする。また、3脚音叉形状の、厚み方向、即ち3本の足のZ’方向への1次屈曲振動を、3脚音叉10の面外振動と呼ぶこととする。
【0034】
図7を用いて、3脚音叉10の検出振動を説明する。図7はY'方向から見た足の断面図であるが、3脚音叉10の面外振動の中で、足1及び3の組と足2が、互いに相対する方向へ屈曲する面外振動を行う振動モードがある。図7は、ある瞬間の各々の足の変位方向を矢印で示している。この振動モードを検出振動と呼ぶ事とする。
【0035】
3脚音叉10は、平行に並んだ足の中で、両側に位置する足1及び3の幅が異なる。これは、3脚音叉10が一般的な3脚音叉と異なる部分である。一般に3脚音叉の面外振動は、両端の足の幅が等しい場合においてのみ基部揺れの非常に少ない面外振動を実現できると信じられているが、我々は詳細な実験の結果、この条件はかなり緩やかである事を明らかにした。振動ジャイロにおいては、支持部への振動漏れが少ない事を目標とするが、振動漏れは、支持方法の変化に対する面外振動の固有周波数の変化を指標とする事が出来る。支持部を完全に固定した場合と完全に自由にした場合の周波数差Δfが、100PPM以下であれば、振動ジャイロとしては申し分ない。実験の結果、左端の足1の幅W1に対して右端の足3の幅W3を狭くする割合A=(W1−W3)/W1と、支持方法による最大周波数変化量Δfとの関係は、Aが10万PPMの時Δf=0PPM,Aが15万PPMの時Δf=50PPM,Aが20万PPMの時Δf=100PPMであった。このことから、3脚音叉10の面外振動は、Aを20万PPM以内、即ち20%以内とすれば、両端の足が同じ幅を持つ一般的な3脚音叉に遜色無い優れた振動体となることが分かる。
【0036】
次に、図8を用いて、3脚音叉10の駆動振動を説明する。3脚音叉10の面内振動の中で、足1及び2が、互いに相対する方向へ屈曲する面内振動を行い、この間、足3が静止している振動モードがある。図8は、Y’方向から見た足の断面図であるが、ある瞬間の各々の足の変位方向を矢印で示している。この振動モードを駆動振動と呼ぶ事とする。
【0037】
3脚音叉10の各々の足の配置において、足1及び2の配置に着目すると、足1及び2は2脚音叉に似た配置を形成しており、駆動振動は足1及び2で構成される2脚音叉と類似の面内振動と見る事が出来る。2脚音叉の面内振動は、基部の下部を支持部とした自己完結的な振動体であるが、これに類似の3脚音叉10の駆動振動は、支持部への振動の漏れが少ないことが確認されている。
【0038】
駆動振動において、足3が静止している理由は、足1,2の組が自己完結的な振動を実現できるからであるが、更に足3の幅が、他の足の幅に対して10万PPM以上狭くなっており、足3のX方向の共振周波数が他の足の面内振動の共振周波数とかけ離れていて、足1及び2の振動に結合できないことが挙げられる。
【0039】
面外振動においては、足固有の共振周波数は足の幅に影響されず厚さtで決定される為、足3の幅を大きく変化させても3本の足は全て振動する検出振動が実現したのに対し、面内振動においては足3の幅を大きく変化させる事により、足3だけが静止する駆動振動を実現した。これが3脚音叉10の大きな特徴である。
【0040】
一般に、3本の足の幅を同じにした場合は、3脚音叉の面内振動は、支持部への振動漏れが避けられない。これは、平行に並んだ3本の足の中で、中央の足と両端の足の固有周波数が異なる事に起因する。面内振動においては、各々の足の屈曲振動時に基部は殆ど変形しないと述べたが、面外振動ほどではないが、基部の変形は足の振動に影響を与えている。中央の足は両側に基部が存在するのに対して、両側の足の外側には、基部が存在しない為、基部の側面は足の屈曲時にY’方向への圧縮伸張が大きく、結果として両側の足は中央の足よりも固有周波数が下がる。中央の足と固有周波数の異なる両端の2本の足が互いに対向して振動する面内振動においては、足部だけでは運動量のバランスが取れず、結果として支持部が振動する。しかしながらこの現象は、基部に肩部を設けて基部の変形を抑え、更に中央の足に対して両側の足の幅を僅かに太くする事によって、中央の足と両側の足の共振周波数を一致させる事により、解消する事が出来る。実際に3本の足の幅をほぼ同じにした3脚音叉においては、足幅の1/15〜1/20程度の肩を設け、両側の足の幅を中央の足の幅に対して5万PPM程度広くすることにより、面内振動において、支持部への振動漏れを消滅させる事が出来る。
【0041】
本実施の形態で用いる3脚音叉10においても、同様な問題は存在する。3脚音叉10においては、右端の足3の幅を10万PPM以上狭くすることにより、面内振動は左端の足1及び中央の足2の2本のみを振動させているが、足1及び2の幅を同じとした場合は、中央の足2の固有周波数に対して左端の足1の固有周波数は僅かに低くなり、支持部への振動漏れが発生する。本実施の形態においては、基部の幅を広げて、足1の左側面より、基部の左側面をW2/15ほど移動し、左肩部を設け、足3の右側面より、基部の右側面をW2/15ほど移動し、右肩部を設け、足1の幅W1を中央の足幅W2に対して5万PPM程度広げることにより、支持部への振動漏れを消滅させている。ただし、3脚音叉10の場合は、足3は振動していないので必ずしも足3の幅を広げる必要はない。
【0042】
ここまで述べた事のまとめとして、本実施の形態で用いる3脚音叉10の寸法の比率の例を示す。中央の足2の幅W2を1とすると、左足の幅W1=1.04〜1.06,右足の幅W3=0.8〜0.9,肩K=0.00〜0.075,溝幅U=0.05〜1.0,厚さt=0.95〜0.98等となる。また、ここまでの説明で駆動振動で静止させる足を足3としてきたが、勿論足1であっても構わない。この場合の3脚音叉10の寸法の比率の例を示す。中央の足2の幅W2を1とすると、右足の幅W3=1.04〜1.06,左足の幅W1=0.8〜0.9,肩K=0.00〜0.075,溝幅U=0.05〜1.0,厚さt=0.95〜0.98等となる。
【0043】
次に、駆動振動及び検出振動と、コリオリ力の関係について説明する。駆動振動を行う3脚音叉10において、この時3脚音叉10をY’の周りに角速度ωで回転すると、速度VXで運動する足1には、駆動振動に直交する方向にコリオリ力FCが働き、速度−VXで運動する足2には、駆動振動に直交する方向にコリオリ力−FCが働く。即ち、図8に示す様に、コリオリ力FC及び−FCは、面外振動方向に、駆動振動の周波数で3脚音叉10の足1及び2に働く。従って駆動振動が発生している3脚音叉10をY’軸周りに角速度ωで回転すると、コリオリ力により足1及び2の運動を媒介として検出振動が励振されることが分かる。ただし、コリオリ力は速度に比例する力なので、駆動振動により引き起こされる検出振動の変位位相は、駆動振動の変位位相に対して90度遅れることに注意しなければならない。
【0044】
次に、実際の駆動検出回路を用いた、電気的な駆動検出方法について説明する。図2には、3脚音叉10の足の断面及び、電極1L,1R,1U,1D,2L,2R,2U,2D,3U,3D,及び3Gの断面が示されている。
【0045】
まず、足2が面内振動を行う場合を説明する。足2がX方向に屈曲すると、電極2L近傍はY’方向に伸び、電極2R近傍はY’方向に縮む。この時水晶内部の電極2L近傍には圧電効果により−X方向に電界が発生し、電極2R近傍には圧電効果によりX方向に電界が発生する。これらの電界により、電極2U及び2Dは電極2L及び2Rより高電位となる。またこれとは逆に、電極2Lと電極2U又は2Dの間に外部から電圧を印加し、電極2U又は2Dと電極2Rの間に外部から逆電圧を印加すると、圧電効果は可逆的なので、水晶内部には電極2L近傍に−X方向に電界が発生し、電極2R近傍にX方向に電界が発生するが、この電界により足2の電極2Lの近傍は伸び、電極2Rの近傍は縮み、結果として足2はX方向に屈曲する。従って、X方向の屈曲によって電極2U又は2Dに発生する電圧を増幅し、位相を調整して電極2L及び2Rにこの電圧を加える事により、足2を用いて面内振動を発振させる事が出来る。
【0046】
本実施の形態においては、駆動振動で動作する足1及び2を全て駆動する。即ち、図8に示した駆動振動の足の動作方向を勘案し、足1は、左右の電極1L及び1Rを参照電圧として、表裏の電極1U及び1Dに電圧を印加し、足2においては、逆に表裏の電極2U及び2Dの電圧を参照に左右の電極2L及び2Rに電圧を印加すればよい。本実施の形態においては、電極1L,1R,2U及び2Dからの電圧をアンプGに入力し、移相回路PでアンプGの出力を移相して、電極1U,1D,2L及び2Rに印加する事により、駆動振動を自励発振させている。
【0047】
この状態で3脚音叉10全体をZ’軸の回りに角速度ωで回転させると、3脚音叉10の足1及び2の運動を介して、3脚音叉10には、既に述べた様に検出振動が発生し、回転のない場合には静止していた足3には、面外振動が発生する。足3が面外振動する場合を説明する。足3がZ’方向に屈曲すると、電極3D近傍がY’方向に縮む。この時圧電効果により、Z’方向に見て、足3の電極3Dが存在する領域ではX方向に電界が発生する。従って基準電極3Gに対して電極3Dは低電位になる。このとき電極3U近傍はY’方向に伸びる。圧電効果により、Z’方向に見て、足3の電極3Uが存在する領域では−X方向に電界が発生する。従って基準電極3Gに対して電極3Uは高電位になる。これとは逆に、足3が−Z’方向に屈曲すると、電極3Dの存在する領域がY’方向に伸びる。この時圧電効果により、電極の存在する領域では−X方向に電界が発生する。従って基準電極3Gに対して電極3Dは高電位になる。このとき電極3U近傍はY’方向に縮む。圧電効果により、Z’方向に見て、足3の電極3Uが存在する領域ではX方向に電界が発生する。従って基準電極3Gに対して電極3Uは低電位になる。即ち、検出振動は、足3の基準電極3Gの電位を基準とした、電極3Uと電極3Dに生じる互いに逆方向の電圧として検出できる。勿論、電極3Gを使用せずに、直接に電極3Uと3D間の電圧を測定しても良い。
【0048】
コリオリ力の検出信号は、電極3Gをグランドに接続して基準電圧を作り、電極3U及び3Dの電圧を差動バッファDに入力し、差動バッファDを経て乗算回路Mに導き、駆動振動の発振系の出力を、コリオリ力が90度遅れて発生するのを補正する目的で、アンプGの出力を、移相回路P2により90度移相し、コンパレータCにより2値化した参照信号により乗算し、乗算により検波した結果は、更に積分回路Sにより平滑化し、正確な直流出力として検出できる。この直流出力はコリオリ力に比例し、コリオリ力は角速度ωに比例するので、この直流出力により角速度ωを知ることができる。ここで、検出に差動検出を用いたのは、回路の対称性を向上し、回路系のドリフトを低減する為である。
【0049】
次に3脚音叉10の駆動振動と検出振動の共振について具体的な数値を用いて説明する。3脚音叉10は、エッチング又はワイヤソー等で製作できるが、正確に製作すると駆動振動及び検出振動のQ値は10万以上にもなる。共振周波数を10kHzで設計すると、検出側のQ値は充分高いので、駆動振動と検出振動の共振周波数を一致させる共振型で設計を行うと、コリオリ力により発生した検出振動の時間的減衰が緩やかになり、角速度ωの変化に対する検出出力の時間応答性が極めて悪くなり、実用的でない。これに対して駆動振動と検出振動の共振周波数を離した設計では2つの共振周波数の差に対して指数関数的に時間応答が改善されるが、本実施の形態においては、駆動振動と検出振動の共振周波数の差を2万PPM以上とすることにより、100Hz以上の応答性を得ている。
【0050】
[第2の発明の実施の形態]
以下、本発明の振動ジャイロを実施するための最良の形態による第2の発明の実施の形態を図面を基に説明する。図1〜図4,図7〜図9は本発明の実施の形態である振動ジャイロであり、図1は以後3脚音叉10と呼ぶ、3脚音叉型の振動ジャイロの外観を示し、以後説明に用いる座標を示す斜視図であり、図2は3脚音叉10の断面,回路ブロック及び配線模式図であり、図3は3脚音叉型の振動ジャイロの外観を示し、座標を示し、電極の一部を示す表面図であり、図4は3脚音叉型の振動ジャイロの外観を示し、座標を示し、電極の一部を示す裏面図であり、図7,8及び図9は3脚音叉型振動体の振動モードを示す足の断面の動作説明図である。
【0051】
第1の発明の実施の形態においては、特に駆動用の面内振動において、高いQ値を得る為に3脚音叉10の各々の足の振動の連結性を重視し、かつワイヤソーによる加工を勘案して各々の足の間の溝幅及び肩幅を極力小さく抑えたモデルを提供した。本第2の実施の形態においては振動ジャイロのS/Nを向上し、ドリフトを低下させるために、高いQ値を追求するのではなく、別の効果を反映させた3脚音叉10を提供する。製造方法はエッチングが主流になるが、水晶のエッチングにおいては、Z’方向へ極めて早く加工が進む特性から、各部形状を単純な直方体にできない点に注意を要する。
【0052】
本実施の形態における3脚音叉10は、第1の発明の実施の形態に示した3脚音叉10とほぼ同じ構成を持つものであり、基本的な構成と動作の説明は全く同じであるが、第1の発明の実施の形態に示した3脚音叉10に対して、各部の寸法が異なり、新しい効果が追加される。以下、第1の発明の実施の形態に述べたものと同じ部分の説明は割愛し、第1の発明の実施の形態と異なる、寸法と新しい効果についてのみ説明する。
【0053】
図1において、溝幅U及び肩幅Kを足幅W1及びW2と同程度以上とする。面内振動において各々の足の振動の連結性は減少し、Q値は半分以下に減少する。しかし、この時足1及び足2周辺の基部は、広い範囲において左右の条件が等しくなる為、足1の幅W1及び足2の幅W2を等しくしても3脚音叉10の面内振動は基部揺れを引き起こさないようになる。更に、各々の足の振動の連結性低下は、駆動時の検出用の足3の静止性を更に向上させる。また、足2と足3の距離が大きくなる為、電極間の静電容量結合による電気的な漏れ出力も減少する。
【0054】
ここでは、更に検出用の足3の幅W3を足1の幅W1及び足2のW2に対して半分程度とする。駆動用の足1及び2に対する足3の連結性低下は決定的となり、駆動時の検出用の足3は、極めて静止性が良くなる。しかしこのようにすると、駆動用の面内振動とは異なり、検出用の面外振動においては、もはや3本の足は完全にバランスを取ることができなくなり、3脚音叉10の支持部は、検出振動時にY’方向の回りに回転振動を行うようになる。
【0055】
ここまで述べた構成では、駆動時の検出部の静止性の向上と引きかえに、第1の実施の形態に比べてQの低下と検出振動の基部揺れの増加という負の効果を抱え込む。しかしながら、この構成においては振動ジャイロの検出精度を向上させる別の効果が得られる。図9を用いてこの効果を説明する。図9は、Y’方向から3脚音叉10の足の断面図であるが、3脚音叉10の面外振動の中で、足1及び3の組と足2が、互いに相対する方向へ屈曲する面外振動を行う振動モードの、ある瞬間の各々の足の変位方向を矢印で示している。本実施の形態ではこの振動モードを検出振動として用いている。ここで注目すべき事は、図7に示す第1の実施の形態の場合と異なり、図9に示す本実施の形態では、Z’方向への足1の振幅は非常に小さくなり、足3の振幅が非常に大きくなることである。図9では振幅の差を矢印の長さで示している。この効果は、足3の幅W3を足1の幅W1及び足2の幅W2に対して細くするほど大きくなり、足3の長さを足1及び足2の長さに対して短くすることで更に助長される。
【0056】
図9に示した3脚音叉10の検出振動は、図8に示した足1及び足2のみのX方向への対向動作である駆動振動から、コリオリ力を媒介として励振されるものである。従ってコリオリ力は足1及び足2のみをZ’方向に駆動する。この時、足1の動作に注目すると、検出振動においては、足1はあまり曲がることができず、僅かにしか変形できない為、足1に加えられたコリオリ力は基部を大きく変形させることとなる。このことは、足1に加えられたコリオリ力が足1の変形により消費されること無く、3脚音叉10の中の変形し易い部分に伝播することを意味し、結果として、足1のX方向の駆動振幅に起因するコリオリ力は、足3をZ’方向に大きな振幅で励振することとなる。即ち足1の駆動振動のエネルギーの大部分は足3に移送されることとなる。この効果を我々は「逆梃子効果」と呼んでいる。
【0057】
「逆梃子効果」は、各々の足の検出振動の振幅の倍率に比例する。3脚音叉10においては、駆動される足1の検出振動の振幅に対して検出用の足3の振幅は10倍程度であるが、この10倍の「逆梃子効果」と「検出足静止」の組み合わせ効果は、3脚音叉10のS/Nを約10倍向上させ、ドリフトを約1/10に減少させることが確認されている。本実施の形態における3脚音叉10は、この効果をもって、第1の実施の形態に述べたものに対して、Q値が低く基部揺れが大きい特性を補うことができる。
【0058】
本実施の形態で用いる3脚音叉10の寸法の比率の一例を示す。中央の足2の幅W2を1とすると、左足の幅W1=約1.0,右足の幅W3=約0.5,肩K=約1.0〜2.0,溝幅U=約1.0〜2.0,厚さt=約1.0等となる。この時面外振動のΔfは5000PPM程度である。
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明による振動ジャイロは、第1の実施の形態においては、Q値を劣化させる原因となる支持部から外部への振動漏れが少ない3脚音叉型振動体を用いることにより、圧電性単結晶の性質を最大限に引き出して、駆動検出両振動に対して高いQ値を実現し、更に駆動振動によっては振動しない検出部を用いることにより低いノイズNを実現し、結果として高いS/Nと低ドリフトを実現している。また、第2の実施の形態においては、Q値を劣化させる原因となる支持部から外部への振動漏れが少ない3脚音叉型振動体を用いることにより、圧電性単結晶の性質を最大限に引き出して、駆動振動に対して高いQ値を実現し、更に駆動振動によっては振動しない検出部を用いることにより低いノイズNを実現し、また、検出振動において、コリオリ力が加振する足の振幅に比して検出足の振幅が大きくなる構成をとり、「逆梃子効果」により高い出力Sを実現し、結果として高いS/Nと低ドリフトを実現している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である3脚音叉型の振動ジャイロの外観を示し、以後説明に用いる座標を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態である3脚音叉の断面を示し,回路ブロック及び配線を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態である3脚音叉型の振動ジャイロの外観を示し、以後説明に用いる座標を示し、電極の一部を示す表面図である。
【図4】本発明の実施の形態である3脚音叉型の振動ジャイロの外観を示し、以後説明に用いる座標を示し、電極の一部を示す裏面図である。
【図5】従来の音叉型の水晶ジャイロの外観を示し、座標を示し、電極の一部を示し、異方性結晶の回転方向を示す斜視図である。
【図6】従来の音叉型水晶ジャイロの、足の断面及び駆動検出回路の配線模式図である。
【図7】本発明の実施の形態である3脚音叉型振動体の駆動振動を示す動作説明図である。
【図8】本発明の実施の形態である3脚音叉型振動体の検出振動を示す動作説明図である。
【図9】本発明の実施の形態である3脚音叉型振動体の検出振動を示す動作説明図である。
【符号の説明】
1L,1R,1U,1D 電極
2L,2R,2U,2D 電極
3U,3D,3G 電極
DR,SE 端子
S1,S2,GND 端子
1〜3 足
9 基部
10 3脚音叉型の振動ジャイロ
11 支持部
W1,W2,W3 足幅
U 溝幅
K 肩幅
C コンパレータ
D 差動バッファ
G アンプ
M 乗算回路
P ,P2 移相回路
S 積分回路
FC,−FC コリオリ力
VX,−VX 速度
J1〜J8 電極
J10 音叉型振動体
J11 第1の足
J12 第2の足
J15 基部
JC コンパレータ
JD 差動バッファ
JG アンプ
JM 乗算回路
JP ,JP2 移相回路
JS 積分回路

Claims (4)

  1. 基部と、前記基部上に並んで配設された3本の足と、を有する振動子と、
    前記3本の足のうち、一方の端に位置する第1の足と中央に位置する第2の足のみを面内方向に屈曲振動させる発振手段と、
    他方の端に位置する第3の足の面外方向の振動を検出する検出手段と、を備えた
    ことを特徴とする振動ジャイロ。
  2. 前記第3の足は、前記第1の足及び前記第2の足より幅が狭い
    ことを特徴とする請求項1に記載の振動ジャイロ。
  3. 前記第の足と前記基部とが結合する部分に肩部を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の振動ジャイロ。
  4. 前記第2の足と前記第3の足とが、前記第1の足と前記第2の足との間隔以上離れている
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の振動ジャイロ。
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