JP2005345404A - 圧電振動ジャイロ用振動子及びその製造方法 - Google Patents

圧電振動ジャイロ用振動子及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005345404A
JP2005345404A JP2004167987A JP2004167987A JP2005345404A JP 2005345404 A JP2005345404 A JP 2005345404A JP 2004167987 A JP2004167987 A JP 2004167987A JP 2004167987 A JP2004167987 A JP 2004167987A JP 2005345404 A JP2005345404 A JP 2005345404A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibration
vibrator
tuning fork
electrode
mode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004167987A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuharu Chiba
光晴 千葉
Koichi Shuda
浩一 習田
Akiko Oshima
亜希子 大島
Takeshi Mizuno
豪 水野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokin Corp
Original Assignee
NEC Tokin Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Tokin Corp filed Critical NEC Tokin Corp
Priority to JP2004167987A priority Critical patent/JP2005345404A/ja
Publication of JP2005345404A publication Critical patent/JP2005345404A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract


【課題】 簡便な方法で二つの振動モードの共振周波数の差、即ちΔfを調整した、圧電振動ジャイロ用振動子、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 圧電振動ジャイロ用振動子として、一方の側面にのみ電極を形成することで振動子を構成し得る圧電単結晶の音叉型振動子を採用し、音叉型振動子の電極が形成されていない方の主面に対し、切削加工を施して、Δf及び振動方向を調整する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、主として自動車のナビゲーションシステムや姿勢制御装置、カメラ一体型VTRの手振れ防止装置等に用いられるジャイロスコープで、特に圧電振動ジャイロスコープに用いられる、圧電振動ジャイロ用振動子、及びその製造方法に関するものである。
振動ジャイロは、速度を持つ物体に角速度が与えられると、その物体自身に速度方向と直角な方向にコリオリ力が発生するという力学現象を利用した角速度センサである。
具体的な角速度の検出方法としては、電気的な信号を印加することで機械的な振動(駆動モード)を励起させることが可能で、且つ、駆動振動と直交する方向の機械的な振動(検出モード)の大きさを電気的に検出可能とした系を用い、予め、駆動モードを励振した状態で、駆動モードの振動面と検出モードの振動面との交線と平行な軸を中心とした角速度を与えると、前述のコリオリ力の作用により、検出モードが発生し、出力電圧として検出されるというものである。
検出された出力電圧は駆動モードの大きさ及び角速度に比例するため、駆動モードの大きさを一定にした状態では、出力電圧の大きさから角速度の大きさを求めることができる。振動ジャイロの中でも、電気的信号と機械的振動の変換を圧電効果で行うものを圧電振動ジャイロと称する。
圧電振動ジャイロは、小型で安価なため、デジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の手振れ検出用センサとして広く一般に利用されている。近年、これら携帯用デジタル機器の小型化、機能の高集積化が益々進められるに伴い、圧電振動ジャイロへの更なる小型化の要求も高まっている。
しかしながら、圧電振動ジャイロの小型化を図るには、振動子の加工精度、組み立て精度のばらつきの相対的な増加に対処するための、効率の良い補正手段を考える必要が生じている。従来、このようなばらつきは、振動子を組み立てた後、振動子の振動方向や、駆動と検出モードの共振周波数差を機械的加工等で調整し、所定の特性を満足させてきた。以下は、共振周波数差をΔfとし、
Δf=(駆動モードの共振周波数)−(検出モードの共振周波数)
と定義して説明する。
圧電振動ジャイロに用いる振動子の一つに、音叉型がある。音叉型振動子は、一対の平行な棒状の部材であるアーム部と、アーム部を一体に接合する基部を有する形状であり、2方向に振動させることが可能である。即ち、音叉型振動子の中心軸について対称な前記一対のアーム部の面内振動と、前記面内振動とほぼ直交する方向における前記一対のアーム部の面垂直振動である。
図5は、音叉型振動子の形状と振動方向を示す図で、図5(a)は音叉型振動子の形状を示す斜視図、図5(b)は面内振動(以下、fxモードと記す)を示す斜視図、図5(c)は面垂直振動(以下、fyモードと記す)を示す斜視図である。図5において、50a、50bは一対のアーム部、51は基部である。
このような音叉型振動子の共振周波数の調整方法の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている調整方法の例は、音叉型振動子の基部に、支持基板を取り付け、この支持基板の長さにより、fxモードとfyモードの共振周波数差、Δfを調整するものである。
図6は、特許文献1に開示されている、共振周波数の従来の調整方法の一例を説明するための図で、図6(a)は音叉型振動子と基部の配置を示す図、図6(b)は基部の長さの変化に伴う共振周波数の変化を示す図である。図6において、61は音叉型振動子、62は支持基板、63は基板である。また、図中のdは、支持基板長を示す。
図6に示されるように、特許文献1に開示されている技術によれば、支持基板長dの増加に伴い、fyモードは単調に減少するのに対し、fxモードは殆ど変化を示さない。これによって、Δfを調整することが可能であるとしている。
これは、fxモードは、支持構造の特徴から支持基板へ振動漏れがなく、fyモードは、捩れ振動が支持基板へ漏れるため、支持基板長dに大きく依存することによる。その結果、支持基板長dの調整によって、ΔfおよびfyモードのQ値を調節することが可能となる。
また、同じく特許文献1には、アーム部の稜、即ちコーナーにトリミング加工を施すことで、振動方向を調整する方法が開示されている。図7は、音叉型振動子のアーム部のコーナートリミングによる振動方向の調整方法を説明するための、アーム部の断面図である。図7において、70a、70bはアーム部、ハッチングを施したA、A’、B、B’の部分は、トリミングを施す部分である。
理想的な状態では、振動子の長さ方向の軸に関して角速度が印加されない場合、fxモードを駆動してもfyモードが発生しないはずである。しかし、特にΔfが極端に小さい条件や振動子および電極の形状的な非対称性、結晶の非対称性などにより、fxモードとfyモードに結合が生じ、fxモードを駆動するとfyモードが発生する。
その結果として、振動方向が変化する。これが、検出電極に漏れ出力として発生し、静止時出力の偏倚の一因となる。この振動方向の変化を、図7に示したように、アーム部70a、70bのコーナーA、A’、BおよびB’のいずれか1つ以上を、レーザなどを用いて切削することで、振動方向を調整し、前述の漏れ出力を低減することができる。
その他の効果としては、音叉型振動子の基部にセラミック支持基板を接続することにより、音叉型振動子の長さ方向の軸に関してモーメントを大きくすることができ、fyモードの捩れ振動を抑圧し、fyモードの振動方向のずれを防止するための支持を容易にする効果も期待できる。
また、特許文献2には、音叉型振動子の振動方向の調整方法として、電極にトリミングを施す技術が開示されている。図8は、特許文献2に開示されている、従来の音叉型振動子の形状、及び電極構成の一例を示した図で、図8(a)は正面図、図8(b)は側面図、図8(c)はAA断面図である。
図8において、80は基部、81a、81bはアーム部、82は検出電極、83は駆動電極、84はfyモードトリミング電極、85、86はfxモードトリミング電極、87は基準電位電極である。図8に示したように、この音叉型振動子は、特許文献1に示されているのと同様に、矩形の圧電単結晶からなる基部80に、同じ材質、同じ厚みのアーム部81a及び81bが接合された形状である。
アーム部81aには、検出電極82、基準電位電極87、fxモードトリミング電極85、86が配置され、アーム部81bには、駆動電極83、基準電位電極87、fyモードトリミング電極84が配置されている。この電極構成により、静電的な漏れ出力を抑圧し、さらに、fyモードトリミング電極84、fxモードトリミング電極85、86を切削することによって、電極による非対称性を調整し、漏れ出力の抑制を行うことができる。
また、特許文献3には、音叉形振動子の振動方向の調整方法として、アーム部の先端近傍への付加質量効果の利用が開示されている。図9は特許文献3に開示されている、従来の音叉形振動子における振動方向の調整方法の一例を説明するための図で、図9(a)は平面図、図9(b)は正面図、図9(c)は側面図である。
図9において、90は音叉型振動子、91は検出電極、92は駆動電極、93はバランス補正用電極である。この例では、検出電極91でfyモードを検出し、駆動電極92でfxモードを励振し、アーム部に先端近傍には、電気的な作用のない付加質量効果のみの機能を有するバランス補正用電極93が配置されている。
このような電極構成とすることで、センサ静止時の出力をモニタしながら、音叉型振動子90の二つのアーム部における、バランス補正用電極93の蒸着及び除去を繰り返すことで、振動方向を調整して、漏れ出力の抑制を行うことができるとしている。
また、特許文献4には、圧電振動子の調整方法として、振動子表裏の電極が配置されている主面に対して切削加工を施し、Δfおよび振動方向を調整する技術が開示されている。図10は、特許文献4に開示されている、従来の振動子の調整方法の一例を説明するための図である。
この例においては、厚み方向に互いに逆向きに分極されている圧電セラミクス矩形板104と105が、中間電極103を介して積層され、振動子101が構成され、振動子101の一方の主面には、振動子101の長手方向に関して2分割された駆動兼検出電極102a及び102bが配置され、他方の主面には基準電位電極106が配置されている。
振動子101は、屈曲振動のノード点付近でワイヤ108により支持され、振動ジャイロ100が構成されている。振動子101の2つの主面に対し、切削加工位置107に切削加工を施し、駆動振動モードである振動子101の主面にほぼ垂直な屈曲振動モードの共振周波数を低下させると共に、振動の方向を調整することができる。この切削加工を何度か繰り返し、Δfの適正値に調整し、同時に出力バランスも調整する。
特開平8−313265号公報 特開平9−89568号公報 特開平8−327367号公報 特許第3285140号
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、振動方向の調整にコーナー部の切削加工を施すが、コーナー部には電極が配置されており、その電極を切削すれば、電極効率を低下させる。その結果、調整の多い音叉型振動子と調整の少ない音叉型振動子では、感度にばらつきを生じ、回路側への負荷を高めることとなる。
さらに、コーナー部の切削加工による調整効率の高い部位ほど、電極の励振・検出効率に寄与する部位であると考えられるため、電極効率の低下を避けて調整を行えば、調整効率が低下し、切削量が増える。その結果、Δfが大きく変化する可能性がある。また、セラミック支持基板の長さの調整やスリットを形成することなどで、Δfの調整を行うが、音叉型振動子とセラミック支持基板を接続する工程が必要となることによるコストアップや、接着剤層の管理の難しさから歩留まり低下が懸念される。
また、特許文献2に開示されている技術では、トリミング用の電極を切削することで、漏れ出力の抑制を行うが、fxモードによる漏れ出力とfyモードによる漏れ出力は、相互に影響を与えるため、振動子主面の電極の切削加工、音叉型振動子側面への切削加工を何回も繰り返し調整を行う必要がある。従って、作業の複雑化により生産性が低下し、コストアップの原因となる。
また、特許文献3に開示されている技術では、音叉型振動子における二つのアーム部のバランス補正用電極に蒸着・除去を繰り返し、振動子先端のバランスを変え振動方向を調整するが、特に側面部において、選択的に電極を蒸着・除去するのは技術的に容易ではなく、さらに、電極を蒸着・除去を行う装置が必要となり、設備の大型化によるコストアップが避けられない。
また、特許文献4に開示されている技術では、振動子の主面に対して、トリミングを施し、Δfと同時に振動の方向を調整する。しかし、調整の際に、本来必要とされる電極に対してもトリミングを行うため、電極の励振効率が劣化し、感度ばらつき増加の原因となる。しかも音叉型振動子には、そのまま適用できない技術である。
従って、本発明の課題は、簡便な方法で二つの振動モードの共振周波数の差を調整した、圧電振動ジャイロ用振動子、及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するため、圧電振動ジャイロ用振動子として、一方の側面にのみ電極を形成することで振動子を構成し得る圧電単結晶の音叉型振動子を採用し、音叉型振動子の電極が形成されていない方の主面に対し、トリミングを施して、Δf及び振動方向を調整する方法を検討した結果なされたものである。
即ち、本発明は、一対のアーム部と前記一対のアーム部を接合する基部が圧電単結晶で一体に形成された音叉型振動子の、前記一対のアーム部の同一方向の面のそれぞれに、駆動用電極、検出用電極、基準電位用電極が、前記アーム部の長手方向に平行に配置され、前記一対のアーム部を含む面における、音叉型振動子の中心軸について対称な前記一対のアーム部の面内振動、即ちfxモードと、前記fxモードとほぼ直交する方向における前記一対のアーム部の面垂直振動、即ちfyモードとを、励振及び検出する圧電振動ジャイロ用振動子において、前記駆動用電極、前記検出用電極、前記基準用電極が形成された側の面と対向する側の面に施されてなるトリミングにより、前記fxモードと前記fyモードの共振周波数差及び振動方向が調整されてなることを特徴とする圧電振動ジャイロ用振動子である。
また、本発明は、一対のアーム部と前記一対のアーム部を接合する基部を有する音叉型振動子を、圧電単結晶を用いて一体に形成し、前記一対のアーム部の同一方向の面のそれぞれに、駆動用電極、検出用電極、基準電位用電極を、前記アーム部の長手方向に平行に形成し、前記面と対向する側の面にトリミングを施すことにより、前記一対のアーム部を含む面における、音叉型振動子の中心軸について対称な前記一対のアーム部の面内振動、即ちfxモードと、前記面内振動とほぼ直交する方向における前記一対のアーム部の面垂直振動、即ちfyモードとの、共振周波数差及び振動方向を調製することを特徴とする、圧電振動ジャイロ用振動子の製造方法である。
また、本発明は、前記fxモードと前記fyモードの共振周波数差の所要値よりも、前記fyモードの共振周波数の初期値を予め高く設定し、トリミングにより、共振周波数差を所要値に調整することを特徴とする、前記の圧電振動ジャイロ用振動子の製造方法である。
また、本発明は、前記音叉型振動子の中心軸を含み、前記音叉型振動子における、前記駆動用電極、前記検出用電極、前記基準電位用電極を形成した面と直交する面について、前記トリミングを対称に施すことを特徴とする、前記の圧電振動ジャイロ用振動子の製造方法である。
本発明によれば、Δf及び振動方向を調整するために、音叉型振動子の電極が形成されていない側の主面に対して任意の切削加工、即ちトリミングを行うことができる。従来の電極を避けながら行う調整とは異なり、自由度の高い調整を行うことが可能である。粗調整を行うには、調整感度の高い、音叉型振動子の基部付近にトリミングを施し、微調整を行うには、調整感度の低い、アーム部の先端近傍にトリミングを施すことで、調整の分解能を高める効果が期待できる。
また、従来の調整方法のように、音叉型振動子の電極に欠損部を生じることもなく、音叉型振動子の励振・検出効率は、調整前後で変化しない。従って、音叉型振動子加工のばらつきが大きく、音叉型振動子間の調整量のばらつきが大きくても、適切な調整を行った後の音叉型振動子の特性には、ばらつきが非常に小さくなる。さらに、音叉型振動子の厚みが許す限り調整可能であり、調整範囲を非常に広くとれる利点がある。
また、前記のようなトリミングにより、fyモードの共振周波数を低下させることは非常に容易である。そこで、予め音叉型振動子の加工ばらつきを調査し、所望のΔfとなるfyモードの共振周波数よりも、fyモードの共振周波数を予め高くなるように設計しておけば、量産におけるΔfの調整工程で、すべての振動子に対してfyモードの共振周波数を低くする調整を行うこととなる。
fyモードの共振周波数を高くする場合やfxモードの共振周波数を低くする場合には、音叉型振動子の2つの側面に対してバランス良くトリミングを施す必要があるが、本発明の製造方法によれば、すべての音叉型振動子に対して、容易な加工方法である、電極が形成されていない主面へのトリミング調整することが可能となり、生産性を向上させることができる。
また、本発明においては、電極を形成していない主面に対して、全体的なトリミングまたは、前記音叉型振動子の中心軸を含み、電極を形成した面と直交する面について、対称的なトリミングを施すことで、音叉型振動子の厚みを調整し、fyモードの共振周波数のみを選択的に低下させるが、音叉型振動子のΔfは、厚みだけで決定することはなく、電極の配置でも大きく変化する。そのため、予め電極配置後のΔfを予測し音叉型振動子の厚みを設計する。
しかしながら、Δfが確定するのは、音叉型振動子の一方の主面に電極を形成して実装した後なので、実装後にΔfを調整する必要がある。従来の圧電振動ジャイロにおいては、振動子表裏の2側面に電極を配置する必要があり、振動子の実装後には、すでに電極が配置されているため、振動子の厚みを調整することは、ほぼ不可能であった。
本発明によれば、トリミングを施す面には電極は存在しておらず、全体的なトリミング、または対称的なトリミングにより、fxモードに対して、バランスの良いトリミングを行うことが可能であり、fyモードの共振周波数のみを大きく低下させることが容易である。このため、振動方向の変化が少なく、Δfだけを選択的に広い範囲で調整できる。
以下に、本発明による音叉型圧電振動ジャイロの実施の形態について説明する。
まず、音叉形圧電振動ジャイロの基本的な動作原理について説明する。本発明の音叉型圧電振動ジャイロに用いる音叉型振動子の形状と振動モードは、図5に示した通りである。図5(a)のような音叉型の圧電体に、図5(b)及び図5(c)の振動モードに結合した電極を配置し、励振及び検出可能な音叉形圧電振動子を構成する。
fxモードの共振周波数に近い周波数の駆動信号を電極に印加し、fxモードを励振する。その状態で、音叉型振動子の長さ方向の軸に角速度を印加すると、音叉型振動子には、角速度に比例したコリオリ力が働き、fyモードを生じる。このfyモードによって生じる電気信号を電極から取り出せば、角速度に比例した電気信号が得られ、圧電振動ジャイロとして機能させることができる。
この場合では、駆動モードにfxモード、検出モードにfyモードを利用しているが、これらを入れ替えて、駆動モードにfyモード、検出モードにfxモードを利用することも可能である。以下に図を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用できる圧電振動ジャイロ用音叉型振動子の例を示す斜視図である。図1において、10は基部、11a、11bはアーム部、12、13は駆動電極、14、17は検出電極、15、16は基準電位電極である。
この音叉型振動子の寸法は、全長が7mm、幅が1.12mm、厚みが0.4mm、アーム部の長さが4mm、アーム部の幅が0.35mmであり、fxモード及びfyモードの共振周波数は、約20kHzである。平行で左右対称に配置された2本のアーム部11a及び11bとそれらを接続した基部10が圧電体で一体に形成されている。
アーム部11aには、アーム部11aの長手方向と平行に駆動電極13と、その左右に配置された基準電位電極16と検出電極17が形成されている。同様に、アーム部11bには、アーム11bの長手方向と平行に駆動電極12、検出電極14、基準電位電極15を配置している。圧電体には、音叉型振動子の長手方向を結晶のY軸がX軸に関して40°回転した軸と平行にしたLiTaO3圧電単結晶X板、または、音叉型振動子の長手方向を結晶のY軸がX軸に関して50°回転した軸と平行にしたLiNbO3圧電単結晶X板を使用しており、音叉型振動子の幅方向の電界に対して、圧電横効果が大きい。
従って、音叉型振動子の幅方向に電界を印加することで、音叉型振動子の長手方向に歪を生じさせ、アームを屈曲させることができる。図2は、本発明の一実施の形態における音叉型振動子の断面図で、図2(a)はfxモードについて説明するための図、図2(b)はfyモードについて説明するための図である。駆動電極13と検出電極17及び基準電位電極16の間に、駆動電圧を印加することで図2(a)のような電界が発生する。
その結果、駆動電極13の左右では、逆向きの電界となるため、一方では長さ方向に伸び、もう一方では長さ方向に縮むこととなる。したがって、fxモードを駆動電極13により励振することができる。また、同様に、駆動電極12と検出電極14及び基準電位電極15の間に、駆動電極13に加えた電圧と逆位相の電圧を印加することで、fxモードを2倍の効率で励振することができる。
次に、アームの長手方向の軸に角速度を加えると、図2(b)のようにコリオリ力よるfyモードが生じる。この振動は、音叉型振動子における電極を形成した主面と垂直方向に、左右のアーム部が逆向きに振動する。
この振動の検出には、検出電極17と基準電位電極16及び検出電極14と基準電位電極15の間の信号差として検出することができる。なお、図2に示した通り、fyモードによって生じる検出電極14と検出電極17の信号は、同振幅、同位相である。上記の説明では、駆動モードにfxモード、検出モードにfyモードを利用して、圧電振動ジャイロを構成する場合について説明したが、駆動モードと検出モードを入れ替えた場合にも同様に使用することができる。
図3は、本発明の実施の形態における振動方向の調整について示した図で、図3(a)は、音叉型振動子のトリミング例の断面図であり、図3(b)は、トリミング位置と振動方向変化、即ち出力電流差の関係を示した図である。破線の円で示した部分がトリミング位置で、ここに示したトリミングは、音叉型振動子のアーム部の長手方向と平行に幅100μm、深さ50μmのV溝を、アーム部全体に亘って施している。
図3(b)の横軸は、音叉型振動子の幅を2分割する中心を原点とした、音叉型振動子の幅方向の座標であり、図3(a)のアーム部の断面図の位置と対応している。縦軸は、fxモードの共振周波数近辺の周波数でfxモード用駆動電極に一定振幅の電圧を印加した際に、二つのfyモード用検出電極に生じる漏れ出力(出力電流差)を示しており、下記の式で得られる数値をプロットしたものである。
出力電流差=(漏れ出力の差/漏れ出力の和)×100(%)
なお、検出電極には電流検出回路が接続され、オペアンプの仮想接地機能により、検出電極の終端条件は短絡条件である。本来、完全に対称な音叉型振動子であれば、二つの検出電極には、fxモードの成分のみの同振幅で、互いに逆位相の信号が生じ、それらの和はゼロである。しかし、振動方向が音叉型振動子の面内方向の軸から偏倚するに従って、二つ検出電極にはfyモード成分が生じ、同相成分が加わるため、位相差が180°から変化し始め、その結果、出力電流差が大きくなる。
図3(b)を見ると明らかなように、アーム部の中央付近にトリミングを施して出力電流差は変化が小さく、アーム部の中央付近を境界にして、変化の極性が反転する。従って、トリミングの位置を調整することによって、振動方向を制御することができる。
ここでは、一定の深さ、長さでトリミングを施しているが、V溝部の深さを変えることによって、図3(b)の直線の傾斜を変えることができ、V溝部の長さを変えることによっても、図3(b)の直線の傾斜を変えることができる。また、トリミングの形状はV溝形状に限定するものではなく、U溝形状やその他の形状であっても、図3(b)の直線の傾斜が変わるだけであって、本質的には問題ない。
次に、音叉型振動子のΔf調整の方法について説明する。図4は、音叉型振動子の厚みとfxモードとfyモードの共振周波数の関係を示す図である。つまり、この例は、音叉型振動子の電極が形成されていない側の主面を切削して厚みを調整するので、音叉型振動子の中心軸を含み、電極を形成した面と直交する面について、対称的なトリミングを施す一例として捉えることができる。
図4によれば、音叉型振動子の厚みに対して、fxモードは大きく変化し、音叉型振動子の厚みに比例して共振周波数が高くなる。それに対して、fyモードの共振周波数は、音叉型振動子の厚みに拘わらずほぼ一定である。つまり、音叉型振動子のこの特徴を利用し、音叉型振動子の厚みを調整することにより、Δfを任意の値に調整することが可能である。
本発明の音叉型振動子調整方法では、電極が二つの主面のうち、1面にしか配置されておらず、もう一方の主面は電極が存在していないため、任意の加工を行っても、電極の励振効率低下による音叉型振動子の特性劣化が起こらないので、レーザ加工などの手段を用いて音叉型振動子の厚みを薄くすることが可能である。
また、ここでは、音叉型振動子の厚みが均一に変化した場合の例を紹介しているが、音叉型振動子の厚みを均一に調整することに限定されることはない。音叉型振動子の幅方向を2分割する音叉型振動子の対称面に対して対称に調整を行うことで、振動方向は変化し難いため、前述の出力電流差は変化せず、Δfのみを選択的に変化させることが可能である。
しかし、トリミングにより、音叉型振動子の厚みを薄くすることは可能であるが、厚くすることは不可能である。そこで、圧電振動ジャイロとして要求される感度や応答性、回路条件により必要となるΔfを得るためには、所要のfyモードの共振周波数より、fyモードの共振周波数を予め高く設計することでΔfの調整には、音叉型振動子を薄くする調整だけで対応する必要がある。
具体的には、仮に加工精度により、fxモード及びfyモードの共振周波数が中心値に対して200Hzばらつき、要求されるΔfが、fyモードよりfxモードの共振周波数が200Hz高い条件であるとすれば、fyモードをfxモードより200Hz高くすれば良いから、図4に示した例では、音叉型振動子の厚みを約0.405mmに中心値を設計すれば良いことになる。
即ち、本発明によれば、音叉型振動子の一方の主面に電極が存在しないため、任意のトリミングを施すことが可能であり、Δf及び振動方向の調整の自由度が高く、調整の範囲も非常に広い。さらに、電極の欠損などがなく、電極の励振・検出効率に寄与する部位に対してトリミングを施すこともないため、調整後の音叉型振動子特性のばらつきを大きく低減することが可能である。
従って、本発明により、振動子の大幅な小型化を図った場合においても、生産性が高く、ばらつきの小さい圧電振動ジャイロ用音叉型振動子とその製造方法を提供できる。
本発明を適用できる圧電振動ジャイロ用音叉型振動子の例を示す斜視図。 本発明の一実施の形態における音叉形振動子の断面図。図2(a)はfxモードについて説明するための図。図2(b)はfyモードについて説明するための図。 本発明の実施の形態における振動方向の調整について示した図。図3(a)は音叉型振動子のトリミング例の断面図。図3(b)はトリミング位置と出力電流差の関係を示した図。 振動子の厚みとfxモードとfyモードの共振周波数の関係を示す図。 音叉型振動子の形状と振動方向を示す図。図5(a)は音叉型振動子の形状を示す斜視図。図5(b)はfxモードを示す斜視図。図5(c)はfyモードを示す斜視図。 共振周波数の従来の調整方法の一例を説明するための図。図6(a)は音叉型振動子と基部の配置を示す図。図6(b)は基部の長さの変化に伴う共振周波数の変化を示す図。 音叉型振動子のアーム部のコーナートリミングによる振動方向の調整方法を説明するためのアーム部の断面図。 従来の音叉型振動子の形状及び電極構成の一例を示した図。図8(a)は正面図。図8(b)は側面図。図8(c)はAA断面図。 従来の音叉形振動子における振動方向の調整方法の一例を説明するための図。図9(a)は平面図。図9(b)は正面図。図9(c)は側面図 従来の振動子の調整方法の一例を説明するための図。
符号の説明
10,51,62,80 基部
11a,11b,50a,50b,70a,70b,81a,81b アーム部
12,13,83,92 駆動電極
14,17,82,91 検出電極
15,16,87,106 基準電位電極
61,90 音叉型振動子
62 支持基板
63 基板
84 fyモードトリミング電極
85,86 fxモードトリミング電極
93 バランス補正用電極
100 振動ジャイロ
101 振動子
103 中間電極
104,105 圧電セラミクス矩形板
102a,102b 駆動兼検出電極
107 切削加工位置
108 ワイヤ

Claims (4)

  1. 一対のアーム部と前記一対のアーム部を接合する基部が圧電単結晶で一体に形成された音叉型振動子の、前記一対のアーム部の同一方向の面のそれぞれに、駆動用電極、検出用電極、基準電位用電極が、前記アーム部の長手方向に平行に配置され、前記同一方向の面に平行な、音叉型振動子の中心軸について対称な前記一対のアーム部の面内振動と、前記面内振動とほぼ直交する方向における前記一対のアーム部の面垂直振動とを、励振及び検出する圧電振動ジャイロ用振動子において、前記駆動用電極、前記検出用電極、前記基準用電極が形成された側の面と対向する側の面に施されてなるトリミングにより、前記面内振動と前記面垂直振動の共振周波数差及び振動方向が調整されてなることを特徴とする圧電振動ジャイロ用振動子。
  2. 一対のアーム部と前記一対のアーム部を接合する基部を有する音叉型振動子を、圧電単結晶を用いて一体に形成し、前記一対のアーム部の同一方向の面のそれぞれに、駆動用電極、検出用電極、基準電位用電極を、前記アーム部の長手方向に平行に形成し、前記面と対向する側の面にトリミングを施すことにより、前記同一方向の面に平行な、音叉型振動子の中心軸について対称な前記一対のアーム部の面内振動と、前記面内振動とほぼ直交する方向における前記一対のアーム部の面垂直振動との、共振周波数差及び振動方向を調製することを特徴とする、圧電振動ジャイロ用振動子の製造方法。
  3. 前記面内振動と前記面垂直振動の共振周波数差の所要値よりも、前記面垂直振動の共振周波数の初期値を予め高く設定し、トリミングにより、前記共振周波数差を所要値に調整することを特徴とする、請求項2に記載の圧電振動ジャイロ用振動子の製造方法。
  4. 前記音叉型振動子の中心軸を含み、前記音叉型振動子における、前記駆動用電極、前記検出用電極、前記基準電位用電極を形成した面と直交する面について、前記トリミングを対称に施すことを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の圧電振動ジャイロ用振動子の製造方法。
JP2004167987A 2004-06-07 2004-06-07 圧電振動ジャイロ用振動子及びその製造方法 Pending JP2005345404A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004167987A JP2005345404A (ja) 2004-06-07 2004-06-07 圧電振動ジャイロ用振動子及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004167987A JP2005345404A (ja) 2004-06-07 2004-06-07 圧電振動ジャイロ用振動子及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005345404A true JP2005345404A (ja) 2005-12-15

Family

ID=35497916

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004167987A Pending JP2005345404A (ja) 2004-06-07 2004-06-07 圧電振動ジャイロ用振動子及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005345404A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007117008A1 (ja) * 2006-04-12 2007-10-18 Panasonic Corporation 慣性力センサ
JP2008203110A (ja) * 2007-02-21 2008-09-04 Matsushita Electric Ind Co Ltd 慣性力センサ素子の製造方法
JP2011137837A (ja) * 2011-03-29 2011-07-14 Panasonic Corp 慣性力センサ
US8225663B2 (en) 2008-09-02 2012-07-24 Murata Manufacturing Co., Ltd. Tuning fork-type vibrator, tuning fork-type vibrator manufacturing method, and angular velocity sensor
JP2013205329A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Seiko Epson Corp 振動片、センサーユニット、電子機器、および振動片の製造方法
JP2015035734A (ja) * 2013-08-09 2015-02-19 セイコーエプソン株式会社 振動素子、振動デバイス、電子機器、および移動体

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007117008A1 (ja) * 2006-04-12 2007-10-18 Panasonic Corporation 慣性力センサ
JP2007279001A (ja) * 2006-04-12 2007-10-25 Matsushita Electric Ind Co Ltd 慣性力センサ
US8215190B2 (en) 2006-04-12 2012-07-10 Panasonic Corporation Inertial force sensor
US8590403B2 (en) 2006-04-12 2013-11-26 Panasonic Corporation Inertial force sensor
JP2008203110A (ja) * 2007-02-21 2008-09-04 Matsushita Electric Ind Co Ltd 慣性力センサ素子の製造方法
US8225663B2 (en) 2008-09-02 2012-07-24 Murata Manufacturing Co., Ltd. Tuning fork-type vibrator, tuning fork-type vibrator manufacturing method, and angular velocity sensor
JP2011137837A (ja) * 2011-03-29 2011-07-14 Panasonic Corp 慣性力センサ
JP2013205329A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Seiko Epson Corp 振動片、センサーユニット、電子機器、および振動片の製造方法
US9696156B2 (en) 2012-03-29 2017-07-04 Seiko Epson Corporation Vibrating element, sensor unit, electronic apparatus, and method for manufacturing vibrating element
JP2015035734A (ja) * 2013-08-09 2015-02-19 セイコーエプソン株式会社 振動素子、振動デバイス、電子機器、および移動体
US9995582B2 (en) 2013-08-09 2018-06-12 Seiko Epson Corporation Vibrating element, vibrating device, electronic apparatus, and moving object

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4702942B2 (ja) 振動ジャイロ用素子及び振動ジャイロ
JP2001255152A (ja) 圧電振動ジャイロスコープおよびその周波数調整方法
JP2006201118A (ja) 圧電振動ジャイロ素子およびジャイロセンサ
JP4911690B2 (ja) 振動ジャイロ用振動子
JP2008224627A (ja) 角速度センサ、角速度センサの製造方法及び電子機器
JP2005345404A (ja) 圧電振動ジャイロ用振動子及びその製造方法
JP4877322B2 (ja) 音叉型バイモルフ圧電振動子、それを用いた振動ジャイロモジュールおよび音叉型バイモルフ圧電振動子の製造方法
US6666096B2 (en) Vibrator, vibration gyro using the vibrator, and electronic device using the vibration gyro
JP2006266969A (ja) 音叉形圧電振動ジャイロ
JP3355998B2 (ja) 振動ジャイロ
JP4440682B2 (ja) 振動ジャイロ
JPH10103961A (ja) 振動ジャイロの温度特性調整方法
JP4309814B2 (ja) 圧電振動ジャイロ用振動子の調整方法
JP2008267983A (ja) 圧電振動ジャイロ及びその調整方法
JP4044519B2 (ja) 音叉形圧電振動ジャイロ
JP4044547B2 (ja) 圧電振動ジャイロ
US7571648B2 (en) Piezoelectric vibration angular velocity sensor
JP2008145325A (ja) 振動ジャイロ
JP2009063299A (ja) 振動ジャイロ
JP3690448B2 (ja) 圧電振動ジャイロ用圧電振動子
JP2003014464A (ja) 振動ジャイロおよびその調整方法
JP2000146593A (ja) 振動ジャイロの支持構造および支持方法
JP2006322874A (ja) 音叉形圧電振動ジャイロ
JP3640003B2 (ja) エネルギー閉じ込め振動モードを利用した圧電振動ジャイロ
JP3685224B2 (ja) エネルギー閉じ込め振動モードを利用した圧電振動ジャイロ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070115

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090421

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090708

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091104