JP4303341B2 - 振動ジャイロ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、角速度を検出する振動ジャイロに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、家庭用カメラの手ぶれ防止、カーナビゲーションシステムの自立航法、自動車の姿勢制御、モーションキャプチャ、入力装置など、様々な分野で角速度センサが利用されているが、これらの多くは小型で低価格を特徴とする振動ジャイロの出現によるところが大きい。
【0003】
振動ジャイロとしては、音叉形状や音片形状など様々な形状の振動体を利用するものが考案されているが、振動ジャイロは励振方向に直交する方向に働くコリオリ力を検出するので、直交する2方向共にバランスのとれた振動体であることが望ましく、検出すべき回転方向に直交する面内で回転方向に4回対称な形状の物がこれに該当するが、回転方向に4回対称な形状の振動体として、従来音片型や4脚音叉型の振動ジャイロが考案されている。
【0004】
一方、コリオリ力の検出においては、コリオリ力の効果を全て検出に用いることができる、差動型の構成の効率が最も良いので、差動型の駆動検出の構成を持つ振動ジャイロが有利であが、この事も、差動型駆動検出を実現しやすい、検出すべき回転方向に直交する面内で回転方向に4回対称な形状が有利な所以でもある。
【0005】
図13により従来の音片型の差動型振動ジャイロの構造について説明する。振動体J10はエリンバなど恒弾性金属で形成された四角柱音片型の構造を有しており、圧電素子製の駆動部および圧電素子J1,J2,J3およびJ4を四角柱の各側面に導電性を持たせて貼り合わせてあり、棒状振動体の互いに直交する2つの1次振動モードの節を含み、四角柱の伸びた方向に直交する面と、四角柱の接線J5LおよびJ6L付近を支持する構造を持つ。支持は、図28に示す、外部取り付け枠J5Fに、四角柱形状の振動体J10の断面形状に穴J5Hが開けられたポリイミドフィルム等の膜J5Mを張った支持体J5および、四角柱形状の振動体J10の断面形状に穴J6Hが開けられたマイラーフィルム等の膜J6Mを張った支持体J6を、振動体J10のJ5LおよびJ6L部に取り付けて行う。
【0006】
図26は、振動体J10の圧電素子J3およびJ4の検出電極からの電圧信号のゲインを調整するアンプJG1およびJG2、およびゲイン調整された2つの検出信号を減算する減算回路JS、およびゲイン調整された2つの検出信号からの電圧信号を加算する加算回路JA、および加算された信号を移相する移相回路JP、および移相された信号を2値化するコンパレータJC、および減算信号と2値化信号を乗算する乗算回路JMを示し、加算された振動体J10の圧電素子J3およびJ4の検出電極からの電圧信号を移相して圧電素子J1およびJ2を駆動する移相回路JP1およびJP2を示す。
【0007】
次に、図26により上記音片型の振動ジャイロの作用について説明する。圧電素子J3およびJ4の検出電極は、各々の圧電素子を貼りあわせた四角柱の側面に直交する方向の屈曲振動の結果生じる圧電素子の電圧変化を検出することができる。また、圧電素子J1およびJ2の駆動電極に電圧を印加すると、各々の圧電素子を貼りあわせた四角柱の側面に直交する方向に屈曲振動生じさせることができる。ここで、振動体J10の圧電素子J1を貼り合わせた側面に直交する方向をX軸方向、振動体J10の圧電素子J2を貼り合わせた側面に直交する方向をZ軸方向、柱の伸びた方向をY軸方向とする。
【0008】
圧電素子J1の駆動電極に電圧を印加すると、四角柱にはX方向の屈曲が発生し、同時に、圧電素子J2の駆動電極に電圧を印加すると、四角柱にはZ方向の屈曲が発生する。この時、圧電素子J3およびJ4の検出電極からの電圧信号を、第1のアンプJG1および第2のアンプJG2で増幅し、加算回路JAにより加算した後、第1の移相回路JP1および第2の移相回路JP2で移送し、発振条件が成立するように各々増幅率および移相量を調整し、圧電素子J1およびJ2の駆動電極に帰還することにより、X方向に第1の屈曲振動、Z方向に第2の屈曲振動が自励発振する。第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の合成振動である第3の屈曲振動は、XZ面内において、一般に楕円軌道を描くが、第1の移相回路JP1の相量および、第2の移相回路JP2の移量および、第1のアンプJG1の増幅量および、第2のアンプJG2の増幅量を調整することにより、直線状に振動させることができる。図26には第3の屈曲振動が、XおよびZ方向に同相かつ同振幅で振動する第1の屈曲振動および第2の屈曲振動から合成された第3の屈曲振動の振動方向を矢印で示してある。
【0009】
この第3の屈曲振動が発生した状態で、音叉全体をY軸の回りに角速度ωで回転させると、第3の屈曲振動と直交する方向にコリオリ力Fcが働く。コリオリ力Fcは以下の式で表すことができる。
Fc=2・M・ω・V
ここで、Mは振動部の質量に比例する量であり、Vは振動の速度である。このコリオリ力Fcによって、第3の屈曲振動と直交する方向に変位する第4のの屈曲振動を励起する。この第4の屈曲振動は、圧電素子J3およびJ4の検出電極に発生する交流電圧の差として現れるが、これは、コリオリ力に比例した振幅を持つ交流信号である。ここでは、圧電素子J3およびJ4の検出電極に発生する交流電圧から、減算回路JSにより減算して得られる交流信号を、加算回路JAの信号の位相を移相回路JPにより移相し、コンパレータJCにより2値化して得られるタイミング信号を参照信号として、乗算回路JMで乗算し、この値を積分することにより、コリオリ力を、正確な直流電圧として検出している。乗算機の出力を積分した直流出力は、コリオリ力に比例するので、この出力により角速度ωを知ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
振動ジャイロには、角速度ωを示す直流信号にドリフトが発生することが課題としてあげられる。カメラの手ぶれ検出のような角速度ωに対して微分的な使用法において、直流ドリフトはあまり問題とならないが、他の角度を求める積分的な用途においては、ドリフトが存在することは大きな問題であり、振動ジャイロが貢献すべき用途に制限を与える結果となっている。振動ジャイロにおいて直流ドリフトが発生する原因は、温度による振動体の機械常数の変化や、発振を制御する電気系の常数の変化など様々である。差動型の振動ジャイロは差動型でない振動ジャイロに対して、ドリフトと相関のないコリオリ出力が約2倍検出できる点、出力に相対的なドリフト量は半分であり有利ではあるが、積分的な用途において充分ドリフトが少ないとは言えない。従来ドリフトを低減する為に主に検出系において様々な工夫がなされてきたが、ドリフトの発生原因が発振状態の変化に起因する部分が大きいことを勘案すると、十分な対策は見つかっていない。
【0011】
[発明の目的]
本発明の目的は、上記課題を解決しようとするもので、発振系の変化を自律的に平衡位置に戻すことにより、ドリフトの少ない振動ジャイロを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するために、本発明の振動ジャイロは下記の構成を採用する。
【0013】
棒状部を有する振動体と、コリオリ力を検出する回転の軸に直交し、互いに直交する第1および第2の方向に前記棒状部を屈曲振動させる駆動部と、前記棒状部の前記第1および第2の方向の屈曲振動を検出する検出部と、前記検出部で検出した前記棒状部の前記第1の方向の屈曲振動に応じて、前記第2の方向に前記棒状部を前記駆動部で屈曲振動させるとともに、前記検出部で検出した前記棒状部の前記第2の方向の屈曲振動に応じて、前記第1の方向に前記棒状部を前記駆動部で屈曲振動させる発振回路と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
前記駆動部は、前記棒状部の側面に貼り付けられ、前記第1および第2の方向に前記棒状部を屈曲振動させる圧電素子を有し、前記検出部は、前記棒状部の側面に貼り付けられ、前記棒状部の前記第1および第2の方向の屈曲振動を検出する圧電素子を有し、前記発振回路は、前記第1の方向の屈曲振動を検出する圧電素子からの電気信号を増幅して、前記第2の方向に屈曲振動させる圧電素子を駆動するとともに、前記第2の方向の屈曲振動を検出する圧電素子からの電気信号を増幅して、前記第1の方向に屈曲振動させる圧電素子を駆動することを特徴とする。
【0015】
前記棒状部の前記第1および第2の方向の屈曲振動を検出する圧電素子と前記発振回路とを、抵抗を介して接続したことを特徴とする。
【0016】
前記振動体は、前記棒状部として、前記回転の軸に平行に、前記回転の軸から等距離に、4回対称な位置に配置された4本の足を備えるとともに、前記4本の足が配置された基部を備える4脚音叉であり、前記屈曲振動を検出する圧電素子または前記屈曲振動を検出する圧電素子の少なくとも一方が、前記各足に貼り付けられたことを特徴とする。
【0017】
前記4本の足のうち2本の足の側面に貼り付けられた圧電素子どうしを、抵抗を介して接続したことを特徴とする。
【0018】
[作用]
本発明による振動ジャイロは、例えば検出すべき回転方向に直交する面内で回転方向に4回対称な形状を持つ振動体を用い、差動型で駆動検出を行い、互いに直交する方向の振動を増幅する自励発振系を持つことにより、発振系全体に生じる様々な変化から、平衡点へ自的に復帰する特性を持たせ、結果として角速度出力のドリフトを低減している。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の発明の実施の形態)
以下、本発明の振動ジャイロを実施するための最良の形態による実施の形態を図面を基に説明する。図1から図2および図4から図25は本発明の実施の形態である振動ジャイロであり、図1は、以後4叉型と呼ぶ、4脚音叉型の振動ジャイロの外観を示し、圧電素子の位置を示し、振動調整のための又の位置を示し、以後説明に用いる座標を示す斜視図であり、図2は4叉型の足の先端側から見た足の断面,回路ブロックおよび配線模式図であり、図4および図5は圧電素子の変形の仕組みを説明する斜視図であり、図6は4叉型を円筒状の管に封入した振動ジャイロの構成を示す外観図であり、図7から図25は4叉型の足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図である。
【0020】
[振動ジャイロの構造説明:図1,図2および図6]
図1に示すように、4叉型10は第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14と基部15から構成される。足は弾性を持つ金属または石英ガラスからなり、形状が四角柱であり、四角柱の側面に貼り合わされた圧電素子からなる駆動部および検出部を有している。基部は弾性を持つ金属または石英ガラスからなり、形状が四角柱である。第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14は互いに平行に方形の基部15の4つの頂点の位置に配置されており、基部15と第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14は一体構造である。
【0021】
本実施の形態で使用する金属は、弾性率の温度依存性が非常に小さい、例えば鉄50%,ニッケル35%およびクロム9.1%を含む合金でエリンバーと呼ばれるものを用いる。同じく弾性率の温度依存性が非常に小さい石英ガラスを用いる場合は、予め表面の一部に金,銀,クロム,ニッケル等の導電性材料を無電界メッキや蒸着などの手法で薄膜形成し、貼り付ける全ての圧電素子の共通電極としておく。
【0022】
以下4叉型10を説明するに際しては、座標軸Y軸,Z軸およびX軸を、各辺と平行な方向に定める。このとき、長手方向、即ち足の伸びた方向をY軸,巾方向をZ軸および厚さ方向をX軸とする。このように定めた4叉型10の、長手方向,巾方向および厚さ方向は、それぞれY軸,Z軸およびX軸と平行となる。ただし、4叉型10はX−Z面内で対称な形状を持つので、ここで用いた巾と厚さという言葉は特別な意味をもたない。以下ではX又はZ方向の巾、もしくは単に足の巾という言葉を用いる。
【0023】
図1には、一例として第1の足11,第2の足12および第3の足13に圧電素子からなる駆動部および検出部を接着した様子を示した。圧電素子は、薄い板状の形状をしており、予め両面に金,銀,クロム,ニッケル等の合金を蒸着してある。圧電素子の片面にエポキシ系の導電性接着剤を塗布し、各々の足に貼り付けるか、接着剤を用いず圧電素子の片面を各々の足に固相接合する。
【0024】
図2には、図1に示した形状の圧電素子を、第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14を切断するX−Z面内の断面に示した。第1の足11に圧電素子23および25を貼り付け,第2の足12に圧電素子27および29を貼り付け,第3の足13には圧電素子31および33を貼り付け、第4の足14に圧電素子35および37を貼り付けてある。
【0025】
また、図2には4叉型10の圧電素子23,31,33および37の検出電極からの電圧信号のゲインを調整するアンプQG1およびQG2、およびゲイン調整された2つの検出信号を減算する減算回路QS、およびゲイン調整された2つの検出信号からの電圧信号を加算する加算回路QA、および加算された信号を移相する移相回路QP、および移相された信号を2値化するコンパレータQC、および減算信号と2値化信号を乗算する乗算回路QM、および乗算結果を直流化しコリオリ力に比例する直流出力を得る積分回路QIを示し、4叉型10の圧電素子23,31の検出電極からの電圧信号を移相して圧電素子25,29を駆動する移相回路QP1、および4叉型10の圧電素子33,37の検出電極からの電圧信号を移相して圧電素子27,35を駆動する移相回路QP2を示す。
【0026】
図6に4叉型10を円筒状の管に封入したジャイロ素子としての構成を示す。ベース16は、セラミック等の絶縁性材料で構成されるが、上面には配線基板22が接着してある。4叉型10は基部15を配線基板22と接着固定する。4叉型10を固定したベース16は、金属製キャップ17に圧入し、ベース16と金属キャップ17で封止することにより、4叉型10が存在する内部環境を一定に保つ。この内部環境は例えば窒素等の不活性ガスの雰囲気とし、振動子としての4叉型10の振動特性、即ちQ値や共振インピーダンス値が、振動ジャイロとして扱いやすいものとなるように考慮して、気圧を調節する。
【0027】
[振動ジャイロの動作・作用説明:図2,図4,図5,図7〜図12,および図14〜図25]
最初に4叉型10の機械的固有振動について説明する。4叉型10は、X方向およびZ方向の寸法が全く対称に製作された、理想的な場合は、6つの機械的固有振動を持つ。これら6つの固有振動の様子を、ある瞬間の各足の動作方向を、矢印を用いて、周波数の低い順に、理想的な第1の固有振動を図14,理想的な第2の固有振動を図15,理想的な第3の固有振動を図16,理想的な第4の固有振動を図17,理想的な第5の固有振動を図18および理想的な第6の固有振動を図19に示す。また現実の工作精度が有限の為、例えばX方向に対してZ方向の寸法の比率が僅かに小さい場合も、やはり6つの機械的固有振動を持つ。これら6つの固有振動の様子を、ある瞬間の各足の動作方向を、矢印を用いて周波数の低い順に、現実的な第1の固有振動を図20,現実的な第2の固有振動を図21,現実的な第3の固有振動を図22,現実的な第4の固有振動を図23,現実的な第5の固有振動を図24および現実的な第6の固有振動を図25に示す。これらの機械的固有振動の中で、図17および図18に示した理想的な第4および第5の固有振動だけは、互いに全く等しい固有振動周波数を持つ。本実施の形態においては、図23および図24に示した、現実に利用できる、現実的な第4および第5の固有振動から、電気的制御により、図17および図18に示した理想的な第4および第5の固有振動を合成し、利用する。
【0028】
図4および図5に圧電素子の動作を示す。本実施の形態で用いるPZTと呼ばれる圧電素子は、予め高電圧を加えて分極させておくと、圧電素子に加える電圧の方向により、歪みの方向が異なる。図4に示す(+)面58は、分極時にこの裏側の面に対して正の電圧を印加した面であり、裏面に対して高電位にすると厚みが増加し、縦横が縮む。また、図5には面58の裏面である(−)面59を示す。(−)面59は、裏面に対して正の電圧を印加すると厚みが減少し、縦横が伸びる。図2および図3に記入した(+)または(−)の記号は、4叉型10の各々の足に貼り付けられた圧電素子の面のうち、足に接着されている面が何れの面であるかを示している。また、図2および図3には第1の足11のY方向の屈曲振動の第1の中立線39を点で示し、第2の足12のY方向の屈曲振動の第2の中立線40を点で示し、第3の足13のY方向の屈曲振動の第3の中立線41を点で示し、第4の足14のY方向の屈曲振動の第4の中立線42を点で示す。図の外側の線は各圧電素子の電極間の配線を模式的に示した。
【0029】
図2において移相回路QP1から、例えば第2の足12に貼られた圧電素子29の電極に電圧を印加すると、例えば圧電素子29がY方向に縮み、結果としてX軸方向に屈曲変位が起こる。時間の経過とともに、印加する電圧の方向を変化させれば、結果として第2の足12をX軸方向に屈曲振動させることができる。このとき、印加する電圧の時間的変化の速さである周波数を調整すると、駆動する足が第2の足12のみであったとしても、第2の足12の振動が基部15を通して伝達し、第1の足11,第3の足13および第4の足14が自動的に励振され、第1の足11と第2の足12が Y−X面内で音叉型に振れ、 第3の足13と第4の足14がY−X面内で、第1の足11と第2の足12の振動と逆相で音叉型に振れる第1の屈曲振動を引き起こすことができる。第1の屈曲振動は図23に示した4叉型10の持つ現実的な第4の固有振動に近い周波数を持つ。
【0030】
また、図2において移相回路QP2から、例えば第2の足12に貼られた圧電素子27の電極に電圧を印加すると、例えば圧電素子27がY方向に縮み、結果としてZ軸方向に屈曲変位が起こる。時間の経過とともに、印加する電圧の方向を変化させれば、結果として、第2の足12をZ軸方向に屈曲振動させることができる。このとき印加する電圧の時間的変化の速さである周波数を調整すると、駆動する足が第2の足12のみであったとしても、第2の足12の振動が基部15を通して伝達し、第1の足11,第3の足13および第4の足14が自動的に励振され、第2の足12と第4の足14が Y−Z面内で音叉型に振れ、 第1の足11と第3の足13がY−Z面内で第2の足12と第4の足14の振動と逆相で音叉型に振れる第2の屈曲振動を引き起こすことができる。第2の屈曲振動は図24に示した4叉型10の持つ現実的な第5の固有振動に近い周波数を持つ。
【0031】
図7に第1の屈曲振動を模式的に示す。第1の屈曲振動では、4叉型10の第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14がY−X面内で屈曲振動を行うが、ここではある瞬間の変位方向を矢印で示している。図7に示す第1の屈曲振動の動作は、図23に示す4叉型10の現実的な第4の固有振動の動作とほぼ同じである。また図8に第2の屈曲振動を模式的に示す。第2の屈曲振動では、4叉型10の第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14がY−Z面内で屈曲振動を行う。ここでもある瞬間の変位方向を実線矢印で示している。図8に示す第2の屈曲振動の動作は、図24に示す4叉型10の現実的な第5の固有振動の動作とほぼ同じである。
【0032】
図9においては、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の振幅と位相が一致する場合に、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動が同時に存在する場合の、4叉型10の屈曲振動の様子を模式的に描くが、これを第3の屈曲振動と呼ぶこととする。図9に示す第3の屈曲振動の動作は、図17に示す4叉型10の理想的な第4の固有振動の動作とほぼ同じである。
【0033】
このとき図2において、例えば第3の足13の圧電素子31、または第1の足11の圧電素子23の電極から、電圧信号をアンプQG1で発振条件を満たすように増幅し、移相回路QP1を用いて発振条件を満たすように移相調整した後、第2の足12の圧電素子29の電極に帰還し、同時に、例えば第3の足13の圧電素子33、または第4の足14の圧電素子37の電極から、電圧信号をアンプQG2で発振条件を満たすように増幅し、移相回路QP2を用いて発振条件を満たすように移相調整した後、第2の足12の圧電素子27の電極に帰還すると、アンプQG1,QGおよび移相回路QP1,QP2が発振回路として働き、第3の屈曲振動を、図17に示す、4叉型10の理想的な第4の固有振動の周波数付近の周波数を持つ自励発振として発振させることができる。
【0034】
図12に、実際に製作された4叉型10が、第3の屈曲振動を自励発振している様子を模式的に示す。第1の屈曲振動と第2の屈曲振動には、一般に振幅および位相の双方に差があり、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の合成振動は図12示すような楕円軌道となるが、楕円軌道を描く場合のコリオリ力は、非常に複雑であり、リニアリティーやドリフトに影響するので、以下、アンプQG1およびQG2、および移相回路QP1およびQP2を用いて、図9に示したような、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の振幅と位相を一致させた状態で説明する。ここでは振幅が一致する場合が最もコリオリ力の検出効率が良いので、振幅も一致させるが、振幅の一致は必ずしも必要ではないことを記しておく。
【0035】
一方、例えば第1の屈曲振動に対して第2の屈曲振動の位相を180度移相した状態で合成すると、図10に示す第8の屈曲振動が生成される。第3の屈曲振動および第8の屈曲振動は、共に第1の屈曲振動および第2の屈曲振動から合成されたものなので、共振周波数はほぼ一致している。また、図10に示す第8の屈曲振動の動作は、図18に示す4叉型10の理想的な第5の固有振動の動作とほぼ同じである。
【0036】
ここで、第3の屈曲振動の安定性について説明する。4叉型10をXおよびZ方向に完全に対称に製作することができた場合は、第3の屈曲振動は、自然に図17に示す4叉型10の理想的な第4の固有振動とほぼ同じ形となるが、現実には図9に示した直線状の振動状態は安定ではなく、実際アンプQG1およびQG2、および移相回路QP1およびQP2を用いて矯正した振動である。実際に製作された4叉型10が、図12に示すような楕円軌道を描くのは、4叉型10の機械的工作精度不足および圧電素子の貼り付け精度不足、また駆動回路の常数のずれによりもたらされるものであるが、エリンバ,PZTおよび回路素子の熱的変動、またPZTおよび回路素子の経時変化により、図12の軌道は変化する。従って、ある時点で、アンプQG1およびQG2、および移相回路QP1およびQP2を用いて矯正し、図9に示した直線状の振動状態を作り上げたとしても、この状態が安定して保存されることはない。
【0037】
ところで、第3の屈曲振動および第3の屈曲振動と同じ周波数を持ち、第3の屈曲振動に比べて非常に小さな振幅を持ち、第8の屈曲振動と同じ動作であり、図10で模式的に表現できるが、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動から合成されたものでない、第7の屈曲振動を合成すると、図12に示したような楕円振動を生成することができる。このことは、例えば図9に示す直線状の第3の屈曲振動から、図12に示したような楕円振動への状態の変化を、第3の屈曲振動と同じ周波数を持ち、第3の屈曲振動に比べて非常に小さな振幅を持ち、第3の屈曲振動と位相の異なる、第7の屈曲振動に置き換えて考えることができることを示している。
【0038】
次に、第7の屈曲振動が第1の屈曲振動および第2の屈曲振動に及ぼす効果について説明する。第7の屈曲振動が、第1の屈曲振動を生成する発振系に与える影響と、第7の屈曲振動が、第2の屈曲振動を生成する発振系に与える影響を比べると、反対の効果を与えることが分かる。即ち4叉型10の回転方向により、第7の屈曲振動が第1の屈曲振動を強める場合、第7の屈曲振動は第2の屈曲振動を弱め、第7の屈曲振動が第1の屈曲振動を弱める場合、第7の屈曲振動は第2の屈曲振動を強める。
【0039】
図2に示す回路構成では、例えば第7の屈曲振動が、第1の屈曲振動の振幅を増加させた場合の効果は、第3の足13の圧電素子33および第4の足14の圧電素子37により検出され、アンプQG2を介して増幅され第2の足12の圧電素子27および第4の足14の圧電素子35に帰還され、第2の屈曲振動を強めるが、この時同時に、第7の屈曲振動は第2の屈曲振動を弱めるので、その効果は、第1の足11の圧電素子23および第3の足13の圧電素子31により検出され、アンプQG1を介して増幅され第2の足12の圧電素子29および第1の足11の圧電素子25に帰還され、第1の屈曲振動を弱める。
【0040】
即ち、第7の屈曲振動が生じると、第7の屈曲振動は第1の屈曲振動と第2の屈曲振動に変化をもたらすが、図2の回路構成においては、この変化をうち消すように制御を与える。
【0041】
また、図2に示す回路構成において、第7の屈曲振動が、第1の屈曲振動の振幅を減少させた場合の効果は、第3の足13の圧電素子33および第4の足14の圧電素子37により検出され、アンプQG2を介して増幅され第2の足12の圧電素子27および第4の足14の圧電素子35に帰還され、第2の屈曲振動を弱めるが、この時同時に、第7の屈曲振動は第2の屈曲振動を強めるので、その効果は、第1の足11の圧電素子23および第3の足13の圧電素子31により検出され、アンプQG1を介して増幅され第2の足12の圧電素子29および第1の足11の圧電素子25に帰還され、第1の屈曲振動を強める。
【0042】
やはり、第7の屈曲振動が生じると、第7の屈曲振動は第1の屈曲振動と第2の屈曲振動に変化をもたらすが、図2の回路構成においては、この変化をうち消すように制御を与える。
【0043】
図2の発振回路では、第1の屈曲振動を用いて第2の屈曲振動を励振し、第2の屈曲振動を用いて第1の屈曲振動を励振するので、第7の屈曲振動に対して負のフィードバックを行う様に構成されている。即ち、図2に示した回路構成は、第3の屈曲振動の、エリンバ,PZTおよび回路素子の熱的変動、またPZTおよび回路素子の経時変化による、安定な状態からの変化を、自律的に復元する構成となっている。
【0044】
次にコリオリ力検出の機構を説明する。第3の屈曲振動が発生している時、4叉型10がY軸の回りに、角速度ωで回転すると、各々の足は、変位する方向に直交する方向にコリオリ力を受け、このコリオリ力に起因した、第8の屈曲振動および第7の屈曲振動と同じ動作であり、同様に図10で示すことができる、第4の屈曲振動が引き起こされる。第4の屈曲振動は、第3の屈曲振動と共振周波数がほぼ一致しており、第3の屈曲振動による第4の屈曲振動の励振は非常に良い効率で行われ、第4の屈曲振動は非常に大きな振幅を得ることができる。
【0045】
ところでコリオリ力が生成する第4の屈曲振動は、第3の屈曲振動に対して0度または90度位相の異なる振動となる。コリオリ力のもつ性質から第3の屈曲振動と第4の屈曲振動の機械的な共振周波数が一致する領域にある場合は、コリオリ力に起因する第4の屈曲振動の第3の屈曲振動に対する位相差は0であり、一致する領域に無い場合は、コリオリ力に起因する第4の屈曲振動の第3の屈曲振動に対する位相差は90度付近である。ここで用いた共振周波数の一致する領域とは、例えばエリンバを用いた、Q値が2000程度の振動体の場合は、周波数の幅10000PPM程度の領域を示している。また、石英ガラスを用いた、Q値が10000程度の振動体の場合は、周波数の幅2000PPM程度の領域を示している。エリンバを用いた本実施の形態の試作試料においては、第3の屈曲振動および第4の屈曲振動の共振周波数の差は10000PPM以内なので、位相差は0度となる。この場合は、図9に示した第3の屈曲振動と図10に示したコリオリ力により引き起こされる第4の屈曲振動の合成された振動状態は、図11に示す様に、各々の足の振動方向が図9に示したX軸又はZ軸から45度の方向から傾く動作となる。実際の試作品においては、コリオリ力に起因する第4の屈曲振動の第3の屈曲振動に対する位相差が90度の場合の効果も少し重ね合わされ、より複雑であるが、以下説明の簡単のため、この効果は省略する。
【0046】
次に、コリオリ力の検出の方法を説明する。図2において、X方向の振動を検出する圧電素子33および37の電極部からの出力信号をA、Z方向の振動を検出する圧電素子23および31の電極部からの出力信号をBとする。第4の屈曲振動は、X方向に成分として、第5の屈曲振動を持つ。第5の屈曲振動は、第1の屈曲振動を変化させる効果を持つ。即ち信号Aは第1の屈曲振動およびコリオリ力に起因する第5の屈曲振動が合成された信号である。第4の屈曲振動は、Z方向に成分として、第6の屈曲振動を持つ。第6の屈曲振動は、第2の屈曲振動を変化させる効果を持つ。即ち信号Bは第2の屈曲振動およびコリオリ力に起因する第6の屈曲振動が合成された信号である。本実施の形態に於いては、信号Aと信号Bを加算回路QAと減算回路QSに入力し、信号Aと信号Bの和信号A+Bと差信号A−Bを生成し、これを利用する。
【0047】
コリオリ力が働かない場合の信号A+BおよびA−Bの関係を説明する。信号Aと信号Bは各々第1の屈曲振動および第2の屈曲振動を電気信号に置き換えただけのものであり、これらは図2に示したアンプQG1およびQG2、および移相回路QP1およびQP2の調整により、完全に一致した信号である。信号A+Bは信号AまたはBの2倍の振幅を持つ信号であり、信号A−Bは振幅がない。
【0048】
次に、第4の屈曲振動が生成された場合の信号A,B,A+BおよびA−Bの関係を説明する。第4の屈曲振動の効果は、信号Aおよび信号Bの相対的な振幅を変化させる。4叉型10の回転角速度ωの大きさにほぼ比例して信号Aおよび信号Bの相対的な振幅が変化する。角速度ωにより信号Aの振幅が増大し,信号Bの位相が減少すると、角速度−ωでは信号Bの振幅が増大し,信号Aの振幅が減少し、信号AおよびBの振幅の変化はωの方向によることになる。またコリオリ力は、信号A+Bの振幅に変化を与えず、信号A−Bには信号Aと信号Bの振幅差に相当す振幅を発生させる。
【0049】
本実施の形態においては、出力の小さなコリオリ力の検出に位相検波の構成を用い、被検出信号から参照信号と同一の周波数成分のみを抽出して積分することにより高いS/Nを実現しようとするが、この場合被検出信号と位相の一致した正確な参照信号が必要である。コリオリ力を反映する被検出信号として信号A,BおよびA+Bは、コリオリ力がない状態でも大きな出力をもつので小さなコリオリ力による変化をとらえるのに適していない。一方、信号A−Bはコリオリ力が無い場合は出力がないので、ダイナミックレンジを考慮すると被検出信号として最も適しておりこれを使用する。一方参照信号としては、信号AおよびBは、理想的でない場合は、コリオリ力により位相が変化するので使用できず、最も位相が正確なA−B信号自身もコリオリ力が働かないか小さい場合に交流出力が無いか不安定なので、使用できない。しかしA+B信号は常に安定した大きな振幅とA−B信号と正確に位相が一致している。従って参照信号としては、A+B信号を使用する。
【0050】
図2に示す様に、信号Aおよび信号Bを減算回路QSに入力し、信号A−Bを生成し、図2に示す乗算回路QMに入力する。また図2に示す様に、信号Aおよび信号Bを加算回路QAに入力し、理想条件からずれて、位相ずれが存在する場合は移相回路QPで移相するが、本実施の形態では移相せず、コンパレータQCで2値化し、乗算回路QMに入力し、乗算回路QMの出力は積分回路QIを用いて直流に変換する。この結果、A−B信号はA+B信号を参照に全波整流され、直流出力に変換される。ここでは直流ドリフトを嫌う理由から位相の検波に使用する乗算器QMには、スイッチング方式を用いた。この構成では、ノイズと見なされる参照信号の周波数以外の殆どの信号成分が取り除かれ、非常にS/Nのよいコリオリ力の検出が実現できる。
【0051】
従って、第1の屈曲振動および第2の屈曲振動の差に、コリオリ力に起因する第5の屈曲振動の効果および第6の屈曲振動の効果が重ね合わされた振動から、結果としてコリオリ力に起因する第5の屈曲振動の効果と第6の屈曲振動の効果のみが直流として抽出され、正確な出力が得られる。これによって角速度ωの値を正確に知ることができる。
【0052】
ここではコリオリ力に起因する第4の屈曲振動を正確に知る方法を述べたが、この検出方法では、第3の屈曲振動が不安定な場合には、エリンバ,PZTおよび回路素子の熱的変動、またPZTおよび回路素子の経時変化による安定な状態からの変化を置き換えた第7の屈曲振動が、コリオリ力に起因する第4の屈曲振動と分離することができずに検出されてしまい、コリオリ力に無関係な出力をも正確に検出することになる。この出力は0点ドリフトと呼ばれ、角速度を積分して角度を求める用途においては、振動ジャイロにとって致命的な欠点となっていたが、本実施の形態では、第7の屈曲振動に対して負のフィードバックを行い、第3の屈曲振動が自律的に安定な状態に復元する構成を用いたことにより、殆ど0点ドリフトの無い検出が可能である。
【0053】
(第2の発明の実施の形態)
以下、本発明の振動ジャイロを実施するための、もう1つの最良の形態による実施の形態を図面を基に説明する。図1および図3から図25は本発明の実施の形態である振動ジャイロであり、図1は、以後4叉型と呼ぶ、4脚音叉型の振動ジャイロの外観を示し、圧電素子の位置を示し、振動調整のための又の位置を示し、以後説明に用いる座標を示す斜視図であり、図3は4叉型の足の先端側から見た足の断面,回路ブロックおよび配線模式図であり、図4および図5は圧電素子の変形の仕組みを説明する斜視図であり、図6は4叉型を円筒状の管に封入した振動ジャイロの構成を示す外観図であり、図7から図25は4叉型の足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図である。
【0054】
[振動ジャイロの構造説明:図1,図3および図6]
図1に示すように、4叉型10は第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14と基部15から構成される。足は弾性を持つ金属または石英ガラスからなり、形状が四角柱であり、四角柱の側面に貼り合わされた圧電素子からなる駆動部および検出部を有している。基部は弾性を持つ金属または石英ガラスからなり、形状が四角柱である。第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14は互いに平行に方形の基部15の4つの頂点の位置に配置されており、基部15と第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14は一体構造である。
【0055】
本実施の形態で使用する金属は、弾性率の温度依存性が非常に小さい、例えば鉄50%,ニッケル35%およびクロム9.1%を含む合金でエリンバーと呼ばれるものを用いる。同じく弾性率の温度依存性が非常に小さい石英ガラスを用いる場合は、予め表面の一部に金,銀,クロム,ニッケル等の導電性材料を無電界メッキや蒸着などの手法で薄膜形成し、貼り付ける全ての圧電素子の共通電極としておく。
【0056】
以下4叉型10を説明するに際しては、座標軸Y軸,Z軸およびX軸を、各辺と平行な方向に定める。このとき、長手方向、即ち足の伸びた方向をY軸,巾方向をZ軸および厚さ方向をX軸とする。このように定めた4叉型10の、長手方向,巾方向および厚さ方向は、それぞれY軸,Z軸およびX軸と平行となる。ただし、4叉型10はX−Z面内で対称な形状を持つので、ここで用いた巾と厚さという言葉は特別な意味をもたない。以下ではX又はZ方向の巾、もしくは単に足の巾という言葉を用いる。
【0057】
図1には、一例として第1の足11,第2の足12および第3の足13に圧電素子からなる駆動部および検出部を接着した様子を示した。圧電素子は、薄い板状の形状をしており、予め両面に金,銀,クロム,ニッケル等の合金を蒸着してある。圧電素子の片面にエポキシ系の導電性接着剤を塗布し、各々の足に貼り付けるか、接着剤を用いず圧電素子の片面を各々の足に固相接合する。
【0058】
図3には、図1に示した形状の圧電素子を、第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14を切断するX−Z面内の断面に示した。第1の足11に圧電素子23および25を貼り付け,第2の足12に圧電素子27および29を貼り付け,第3の足13には圧電素子31および33を貼り付け、第4の足14に圧電素子35および37を貼り付けてある。
【0059】
また4叉型10の第3の足13に貼られた圧素子33の静電容量と共に電気的なフィルタを構成する抵抗QR1,および第4の足14に貼られた圧電素子37の静電容量と共に電気的なフィルタを構成する抵抗QR2,第1の足11に貼られた圧素子23の静電容量と共に電気的なフィルタを構成する抵抗QR3,第3の足13に貼られた圧電素子31の静電容量と共に電気的なフィルタを構成する抵抗QR4,第1の足11に貼られた圧素子25の静電容量および第4の足14に貼られた圧素子35の静電容量と共に電気的なフィルタを構成する抵抗QRを示す。
【0060】
また4叉型10の圧電素子23,31,33および37の検出電極からの電圧信号のゲインを調整するアンプQG1およびQG2、およびゲイン調整された2つの検出信号を減算する減算回路QS、およびゲイン調整された2つの検出信号からの電圧信号を加算する加算回路QA、および加算された信号を移相する移相回路QP、および移相された信号を2値化するコンパレータQC、および減算信号と2値化信号を乗算する乗算回路QM、および乗算結果を直流化し、コリオリ力に比例する直流出力を得る積分回路QIを示し、4叉型10の圧電素子23,31の検出電極からの電圧信号を移相して圧電素子25,29を駆動する移相回路QP1、および4叉型10の圧電素子33,37の検出電極からの電圧信号を移相して圧電素子27,35を駆動する移相回路QP2を示す。
【0061】
図6に4叉型10を円筒状の管に封入したジャイロ素子としての構成を示す。ベース16は、セラミック等の絶縁性材料で構成されるが、上面には配線基板22が接着してある。4叉型10は基部15を配線基板22と接着固定する。4叉型10を固定したベース16は、金属製キャップ17に圧入し、ベース16と金属キャップ17で封止することにより、4叉型10が存在する内部環境を一定に保つ。この内部環境は例えば窒素等の不活性ガスの雰囲気とし、振動子としての4叉型10の振動特性、即ちQ値や共振インピーダンス値が、振動ジャイロとして扱いやすいものとなるように考慮して、気圧を調節する。
【0062】
[振動ジャイロの動作・作用説明:図3,図4,図5,図7〜図12,および図14〜図25]
最初に、4叉型10の機械的固有振動について説明する。4叉型10は、X方向およびZ方向の寸法が全く対称に製作された、理想的な場合は、6つの機械的固有振動を持つ。これら6つの固有振動の様子をある瞬間の各足の動作方向を、矢印を用いて、周波数の低い順に、理想的な第1の固有振動を図14,理想的な第2の固有振動を図15,理想的な第3の固有振動を図16,理想的な第4の固有振動を図17,理想的な第5の固有振動を図18および理想的な第6の固有振動を図19に示す。また、現実の工作精度が有限の為、例えばX方向に対してZ方向の寸法の比率が僅かに小さい場合も、やはり6つの機械的固有振動を持つ。これら6つの固有振動の様子を、ある瞬間の各足の動作方向を、矢印を用いて、周波数の低い順に現実的な第1の固有振動を図20,現実的な第2の固有振動を図21,現実的な第3の固有振動を図22,現実的な第4の固有振動を図23,現実的な第5の固有振動を図24と、現実的な第6の固有振動を図25に示す。これらの機械的固有振動の中で、図17および図18に示した理想的な第4および第5の固有振動だけは、互いに全く等しい固有振動周波数を持つ。本実施の形態においては、図23および図24に示した、現実に利用できる、現実的な第4および第5の固有振動から、電気的制御により、図17および図18に示した理想的な第4および第5の固有振動を合成し、利用する。
【0063】
図4および図5に圧電素子の動作を示す。本実施の形態で用いるPZTと呼ばれる圧電素子は、予め高電圧を加えて分極させておくと、圧電素子に加える電圧の方向により、歪みの方向が異なる。図4に示す(+)面58は、分極時にこの裏側の面に対して正の電圧を印加した面であり、裏面に対して高電位にすると厚みが増加し、縦横が縮む。また、図5には面58の裏面である(−)面59を示す。(−)面59は、裏面に対して正の電圧を印加すると厚みが減少し、縦横が伸びる。図2および図3に記入した(+)または(−)の記号は、4叉型10の各々の足に貼り付けられた圧電素子の面のうち、足に接着されている面が何れの面であるかを示している。また、図2および図3には第1の足11のY方向の屈曲振動の第1の中立線39を点で示し、第2の足12のY方向の屈曲振動の第2の中立線40を点で示し、第3の足13のY方向の屈曲振動の第3の中立線41を点で示し、第4の足14のY方向の屈曲振動の第4の中立線42を点で示す。図の外側の線は各圧電素子の電極間の配線を模式的に示した。
【0064】
図3において移相回路QP1から、例えば第2の足12に貼られた圧電素子29の電極に電圧を印加すると、例えば圧電素子29がY方向に縮み、結果としてX軸方向に屈曲変位が起こる。時間の経過とともに印加する電圧の方向を変化させれば、結果として、第2の足12をX軸方向に屈曲振動させることができる。このとき、印加する電圧の時間的変化の速さである周波数を調整すると、駆動する足が第2の足12のみであったとしても、第2の足12の振動が基部15を通して伝達し、第1の足11,第3の足13および第4の足14が自動的に励振され、第1の足11と第2の足12が Y−X面内で音叉型に振れ、 第3の足13と第4の足14がY−X面内で、第1の足11と第2の足12の振動と逆相で音叉型に振れる第1の屈曲振動を引き起こすことができる。第1の屈曲振動は図23に示した4叉型10の持つ現実的な第4の固有振動に近い周波数を持つ。
【0065】
また、図3において移相回路QP2から、例えば第2の足12に貼られた圧電素子27の電極に電圧を印加すると、例えば圧電素子27がY方向に縮み、結果としてZ軸方向に屈曲変位が起こる。時間の経過とともに印加する電圧の方向を変化させれば、結果として、第2の足12をZ軸方向に屈曲振動させることができる。このとき、印加する電圧の時間的変化の速さである周波数を調整すると、駆動する足が第2の足12のみであったとしても、第2の足12の振動が基部15を通して伝達し、第1の足11,第3の足13、および第4の足14が自動的に励振され、第2の足12と第4の足14が Y−Z面内で音叉型に振れ、 第1の足11と第3の足13がY−Z面内で、第2の足12と第4の足14の振動と逆相で音叉型に振れる第2の屈曲振動を引き起こすことができる。第2の屈曲振動は図24に示した4叉型10の持つ現実的な第5の固有振動に近い周波数を持つ。
【0066】
図7に第1の屈曲振動を模式的に示す。第1の屈曲振動では、4叉型10の第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14がY−X面内で屈曲振動を行うが、ここではある瞬間の変位方向を矢印で示している。図7に示す第1の屈曲振動の動作は、図23に示す4叉型10の現実的な第4の固有振動の動作とほぼ同じである。また図8に第2の屈曲振動を模式的に示す。第2の屈曲振動では、4叉型10の第1の足11,第2の足12,第3の足13および第4の足14がY−Z面内で屈曲振動を行う。ここでもある瞬間の変位方向を実線矢印で示している。図8に示す第2の屈曲振動の動作は、図24に示す4叉型10の現実的な第5の固有振動の動作とほぼ同じである。
【0067】
図9においては、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の振幅と位相が一致する場合に、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動が同時に存在する場合の、4叉型10の屈曲振動の様子を模式的に描くが、これを第3の屈曲振動と呼ぶこととする。図9に示す第3の屈曲振動の動作は、図17に示す4叉型10の理想的な第4の固有振動の動作とほぼ同じである。
【0068】
このとき図2において、例えば第3の足13の圧電素子31、または第1の足11の圧電素子23の電極から、電圧信号をアンプQG1で発振条件を満たすように増幅し、移相回路QP1を用いて発振条件を満たすように移相調整した後、第2の足12の圧電素子29の電極に帰還し、同時に、例えば第3の足13の圧電素子33、または第4の足14の圧電素子37の電極から、電圧信号をアンプQG2で発振条件を満たすように増幅し、移相回路QP2を用いて発振条件を満たすように移相調整した後、第2の足12の圧電素子27の電極に帰還すると、アンプQG1,QGおよび移相回路QP1,QP2が発振回路として働き、第3の屈曲振動を、図17に示す、4叉型10の理想的な第4の固有振動の周波数付近の周波数を持つ自励発振として発振させることができる。
【0069】
図12に、実際に製作された4叉型10が、第3の屈曲振動を自励発振している様子を模式的に示す。第1の屈曲振動と第2の屈曲振動には、一般に振幅および位相の双方に差があり、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の合成振動は図12示すような楕円軌道となるが、楕円軌道を描く場合のコリオリ力は、非常に複雑であり、リニアリティーやドリフトに影響するので、以下、アンプQG1およびQG2、および移相回路QP1およびQP2を用いて、図9に示したような、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の振幅と位相を一致させた状態で説明する。ここでは振幅が一致する場合が最もコリオリ力の検出効率が良いので、振幅も一致させるが、振幅の一致は必ずしも必要ではないことを銘記しておく。
【0070】
一方、例えば第1の屈曲振動に対して第2の屈曲振動の位相を180度移相した状態で合成すると、図10に示す第8の屈曲振動が生成される。第3の屈曲振動および第8の屈曲振動は、共に第1の屈曲振動および第2の屈曲振動から合成されたものなので、共振周波数はほぼ一致している。また、図10に示す第8の屈曲振動の動作は、図18に示す4叉型10の理想的な第5の固有振動の動作とほぼ同じである。
【0071】
ここで、第3の屈曲振動の安定性について説明する。4叉型10をXおよびZ方向に完全に対称に製作することができた場合は、第3の屈曲振動は、自然に図17に示す4叉型10の理想的な第4の固有振動とほぼ同じ形となるが、現実には図9に示した直線状の振動状態は安定ではなく、実際アンプQG1およびQG2、および移相回路QP1およびQP2を用いて、矯正した振動である。実際に製作された4叉型10が、図12に示すような楕円軌道を描くのは、4叉型10の機械的工作精度不足および圧電素子の貼り付け精度不足、また駆動回路の常数のずれによりもたらされるものであるが、エリンバ,PZTおよび回路素子の熱的変動、またPZTおよび回路素子の経時変化により図12の軌道は変化する。従って、ある時点で、アンプQG1およびQG2、および移相回路QP1およびQP2を用いて矯正し、図9に示した直線状の振動状態を作り上げたとしても、この状態が安定して保存されることはない。
【0072】
更に、4叉型10の機械的工作精度不足および圧電素子の貼り付け精度不足により、4本の足の各々独自の共振周波数に差が生じると、これに起因して周波数の違いによる干渉性の微振動が4叉型10全体に生じるが、この微振動はS/Nを低下させる原因になっている。干渉性の振動の周波数は第3の屈曲振動の周波数より低い。一方圧電素子は静電容量とみなせるので、これと抵抗を組み合わせることにより、ローパスフィルタを構成することができる。本実施の形態においては、4叉型10の第3の足13に貼られた圧素子33の静電容量と共に電気的なフィルタを構成する抵抗QR1,および第4の足14に貼られた圧電素子37の静電容量と共に電気的なフィルタを構成する抵抗QR2,第1の足11に貼られた圧素子23の静電容量と共に電気的なフィルタを構成する抵抗QR3,第3の足13に貼られた圧電素子31の静電容量と共に電気的なフィルタを構成する抵抗QR4,第1の足11に貼られた圧素子25の静電容量および第4の足14に貼られた圧素子35の静電容量と共に電気的なフィルタを構成する抵抗QRを挿入することにより、干渉性の微振動を消滅させ、S/Nの低下を防止している。
【0073】
ところで、第3の屈曲振動および第3の屈曲振動と同じ周波数を持ち、第3の屈曲振動に比べて非常に小さな振幅を持ち、第8の屈曲振動と同じ動作であり、図10で模式的に表現できるが、第1の屈曲振動と第2の屈曲振動から合成されたものでない、第7の屈曲振動を合成すると、図12に示したような楕円振動を生成することができる。このことは、例えば図9に示す直線状の第3の屈曲振動から、図12に示したような楕円振動への状態の変化を、第3の屈曲振動と同じ周波数を持ち、第3の屈曲振動に比べて非常に小さな振幅を持ち、第3の屈曲振動と位相の異なる、第7の屈曲振動に置き換えて考えることができることを示している。
【0074】
次に、第7の屈曲振動が第1の屈曲振動および第2の屈曲振動に及ぼす効果について説明する。第7の屈曲振動が、第1の屈曲振動を生成する発振系に与える影響と、第7の屈曲振動が第2の屈曲振動を生成する発振系に与える影響を比べると、反対の効果を与えることが分かる。即ち、4叉型10の回転方向により、第7の屈曲振動が第1の屈曲振動を強める場合、第7の屈曲振動は第2の屈曲振動を弱め、第7の屈曲振動が第1の屈曲振動を弱める場合、第7の屈曲振動は第2の屈曲振動を強める。
【0075】
図3に示す回路構成では、例えば第7の屈曲振動が、第1の屈曲振動の振幅を増加させた場合の効果は、第3の足13の圧電素子33および第4の足14の圧電素子37により検出され、アンプQG2を介して増幅され第2の足12の圧電素子27および第4の足14の圧電素子35に帰還され、第2の屈曲振動を強めるが、この時同時に、第7の屈曲振動は第2の屈曲振動を弱めるので、その効果は、第1の足11の圧電素子23および第3の足13の圧電素子31により検出され、アンプQG1を介して増幅され第2の足12の圧電素子29および第1の足11の圧電素子25に帰還され、第1の屈曲振動を弱める。
【0076】
即ち、第7の屈曲振動が生じると、第7の屈曲振動は第1の屈曲振動と第2の屈曲振動に変化をもたらすが、図3の回路構成においては、この変化をうち消すように制御を与える。
【0077】
また、図3に示す回路構成において、第7の屈曲振動が、第1の屈曲振動の振幅を減少させた場合の効果は、第3の足13の圧電素子33および第4の足14の圧電素子37により検出され、アンプQG2を介して増幅され第2の足12の圧電素子27および第4の足14の圧電素子35に帰還され、第2の屈曲振動を弱めるが、この時同時に、第7の屈曲振動は第2の屈曲振動を強めるので、その効果は、第1の足11の圧電素子23および第3の足13の圧電素子31により検出され、アンプQG1を介して増幅され第2の足12の圧電素子29および第1の足11の圧電素子25に帰還され、第1の屈曲振動を強める。
【0078】
やはり、第7の屈曲振動が生じると、第7の屈曲振動は第1の屈曲振動と第2の屈曲振動に変化をもたらすが、図2の回路構成においては、この変化をうち消すように制御を与える。
【0079】
図3の発振回路では、第1の屈曲振動を用いて第2の屈曲振動を励振し、第2の屈曲振動を用いて第1の屈曲振動を励振するので、第7の屈曲振動に対して負のフィードバックを行う様に構成されている。即ち、図3に示した回路構成は、第3の屈曲振動の、エリンバ,PZTおよび回路素子の熱的変動、またPZTおよび回路素子の経時変化による、安定な状態からの変化を、自律的に復元する構成となっている。
【0080】
次にコリオリ力検出の機構を説明する。第3の屈曲振動が発生している時、4叉型10がY軸の回りに、角速度ωで回転すると、各々の足は、変位する方向に直交する方向にコリオリ力を受け、このコリオリ力に起因した、第8の屈曲振動および第7の屈曲振動と同じ動作であり、同様に図10で示すことができる、第4の屈曲振動が引き起こされる。第4の屈曲振動は、第3の屈曲振動と共振周波数がほぼ一致しており、第3の屈曲振動による第4の屈曲振動の励振は非常に良い効率で行われ、第4の屈曲振動は非常に大きな振幅を得ることができる。
【0081】
ところでコリオリ力が生成する第4の屈曲振動は、第3の屈曲振動に対して0度または90度位相の異なる振動となる。コリオリ力のもつ性質から第3の屈曲振動と第4の屈曲振動の機械的な共振周波数が一致する領域にある場合は、コリオリ力に起因する第4の屈曲振動の第3の屈曲振動に対する位相差は0であり、一致する領域に無い場合は、コリオリ力に起因する第4の屈曲振動の第3の屈曲振動に対する位相差は90度付近である。ここで用いた共振周波数の一致する領域とは、例えばエリンバを用いた、Q値が2000程度の振動体の場合は、周波数の幅10000PPM程度の領域を示している。また、石英ガラスを用いた、Q値が10000程度の振動体の場合は、周波数の幅2000PPM程度の領域を示している。エリンバを用いた本実施の形態の試作試料においては、第3の屈曲振動および第4の屈曲振動の共振周波数の差は10000PPM以内なので、位相差は0度となる。この場合は、図9に示した第3の屈曲振動と図10に示したコリオリ力により引き起こされる第4の屈曲振動の合成された振動状態は、図11に示す様に、各々の足の振動方向が図9に示したX軸又はZ軸から45度の方向から傾く動作となる。実際の試作品においては、コリオリ力に起因する第4の屈曲振動の第3の屈曲振動に対する位相差が90度の場合の効果も少し重ね合わされ、より複雑であるが、以下説明の簡単のため、この効果は省略する。
【0082】
次に、コリオリ力の検出の方法を説明する。図3において、X方向の振動を検出する圧電素子33および37の電極部からの出力信号をA、Z方向の振動を検出する圧電素子23および31の電極部からの出力信号をBとする。第4の屈曲振動は、X方向に成分として、第5の屈曲振動を持つ。第5の屈曲振動は、第1の屈曲振動を変化させる効果を持つ。即ち信号Aは第1の屈曲振動およびコリオリ力に起因する第5の屈曲振動が合成された信号である。第4の屈曲振動は、Z方向に成分として、第6の屈曲振動を持つ。第6の屈曲振動は、第2の屈曲振動を変化させる効果を持つ。即ち信号Bは第2の屈曲振動およびコリオリ力に起因する第6の屈曲振動が合成された信号である。本実施の形態に於いては、信号Aと信号Bを加算回路QAと減算回路QSに入力し、信号Aと信号Bの和信号A+Bと差信号A−Bを生成し、これを利用する。
【0083】
コリオリ力が働かない場合の信号A+BおよびA−Bの関係を説明する。信号Aと信号Bは各々第1の屈曲振動および第2の屈曲振動を電気信号に置き換えただけのものであり、これらは図2に示したアンプQG1およびQG2、および移相回路QP1およびQP2の調整により、完全に一致した信号である。信号A+Bは信号AまたはBの2倍の振幅を持つ信号であり、信号A−Bは振幅がない。
【0084】
次に、第4の屈曲振動が生成された場合の信号A,B,A+BおよびA−Bの関係を説明する。第4の屈曲振動の効果は、信号Aおよび信号Bの相対的な振幅を変化させる。4叉型10の回転角速度ωの大きさにほぼ比例して信号Aおよび信号Bの相対的な振幅が変化する。角速度ωにより信号Aの振幅が増大し,信号Bの位相が減少すると、角速度−ωでは信号Bの振幅が増大し,信号Aの振幅が減少し、信号AおよびBの振幅の変化はωの方向によることになる。またコリオリ力は、信号A+Bの振幅に変化を与えず、信号A−Bには信号Aと信号Bの振幅差に相当す振幅を発生させる。
【0085】
本実施の形態においては、出力の小さなコリオリ力の検出に位相検波の構成を用い、被検出信号から参照信号と同一の周波数成分のみを抽出して積分することにより高いS/Nを実現しようとするが、この場合被検出信号と位相の一致した正確な参照信号が必要である。コリオリ力を反映する被検出信号として信号A,BおよびA+Bは、コリオリ力がない状態でも大きな出力をもつので小さなコリオリ力による変化をとらえるのに適していない。一方、信号A−Bはコリオリ力が無い場合は出力がないので、ダイナミックレンジを考慮すると被検出信号として最も適しておりこれを使用する。一方参照信号としては、信号AおよびBは、理想的でない場合は、コリオリ力により位相が変化するので使用できず、最も位相が正確なA−B信号自身もコリオリ力が働かないか小さい場合に交流出力が無いか不安定なので、使用できない。しかしA+B信号は常に安定した大きな振幅とA−B信号と正確に位相が一致している。従って参照信号としては、A+B信号を使用する。
【0086】
図3に示す様に、信号Aおよび信号Bを減算回路QSに入力し、信号A−Bを生成し、図3に示す乗算回路QMに入力する。また図3に示す様に、信号Aおよび信号Bを加算回路QAに入力し、理想条件からずれて、位相ずれが存在する場合は移相回路QPで移相するが、本実施の形態では移相せず、コンパレータQCで2値化し、乗算回路QMに入力し、乗算回路QMの出力は積分回路QIを用いて直流に変換する。この結果、A−B信号はA+B信号を参照に全波整流され、直流出力に変換される。ここでは直流ドリフトを嫌う理由から位相の検波に使用する乗算器QMには、スイッチング方式を用いた。この構成では、ノイズと見なされる参照信号の周波数以外の殆どの信号成分が取り除かれ、非常にS/Nのよいコリオリ力の検出が実現できる。
【0087】
従って、第1の屈曲振動および第2の屈曲振動の差に、コリオリ力に起因する第5の屈曲振動の効果および第6の屈曲振動の効果が重ね合わされた振動から、結果としてコリオリ力に起因する第5の屈曲振動の効果と第6の屈曲振動の効果のみが直流として抽出され、正確な出力が得られる。これによって角速度ωの値を正確に知ることができる。
【0088】
ここではコリオリ力に起因する第4の屈曲振動を正確に知る方法を述べたが、この検出方法では、第3の屈曲振動が不安定な場合には、エリンバ,PZTおよび回路素子の熱的変動、またPZTおよび回路素子の経時変化による、安定な状態からの変化を置き換えた第7の屈曲振動が、コリオリ力に起因する第4の屈曲振動と分離することができずに検出されてしまい、コリオリ力に無関係な出力をも正確に検出することになる。この出力は0点ドリフトと呼ばれ、角速度を積分して角度を求める用途においては、振動ジャイロにとって致命的な欠点となっていたが、本実施の形態では第7の屈曲振動に対して負のフィードバックを行い、第3の屈曲振動が自律的に安定な状態に復元する構成を用いたことにより、殆ど0点ドリフトの無い検出が可能である。
【0089】
(第3の発明の実施の形態)
以下、本発明の振動ジャイロを実施するための、もう1つの最良の形態による実施の形態を図面を基に説明する。図13,図27および図28は本発明の実施の形態である振動ジャイロであり、図13は、四角柱音片型の振動ジャイロの外観を示し、圧電素子の位置を示し、支持部を示し、以後説明に用いる座標を示す斜視図であり、図27は四角柱音片型の柱の伸びた方向から見た音片の断面,回路ブロックおよび配線模式図であり、図28は支持に用いる支持部の構造を示す平面図である。
【0090】
[振動ジャイロの構造説明:図13,図27および図28]
図13により本実施の形態の音片型の差動型振動ジャイロの構造について説明する。振動体J10はエリンバなど恒弾性金属で形成された四角柱音片型の構造を有しており、圧電素子製の駆動部および駆動電極J1,J2,J3およびJ4を四角柱の各側面に導電性を持たせて貼り合わせてあり、棒状振動体の互いに直交する2つの1次振動モードの節を含み、四角柱の伸びた方向に直交する面と、四角柱の接線J5LおよびJ6L付近を支持する構造を持つ。支持は、図28に示す、外部取り付け枠J5Fに、四角柱形状の振動体J10の断面形状に穴J5Hが開けられたマイラーフィルム等の膜J5Mを張った支持体J5および、四角柱形状の振動体J10の断面形状に穴J6Hが開けられたマイラーフィルム等の膜J6Mを張った支持体J6を、振動体J10のJ5LおよびJ6L部に取り付けて行う。
【0091】
図27には、振動体J10の圧電素子J3およびJ4の検出電極からの電圧信号のゲインを調整するアンプJG1およびJG2、およびゲイン調整された2つの検出信号を減算する減算回路JS、およびゲイン調整された2つの検出信号からの電圧信号を加算する加算回路JA、および加算された信号を移相する移相回路JP、および移相された信号を2値化するコンパレータJC、および減算信号と2値化信号を乗算する乗算回路JM、および乗算結果を直流化し、コリオリ力に比例する直流出力を得る積分回路JIを示し、振動体J10の圧電素子J3およびJ4の検出電極からの電圧信号を移相して圧電素子J1およびJ2を駆動する移相回路JP1およびJP2を示す。
【0092】
[振動ジャイロの動作・作用説明:図27]
次に、図27により上記音片型の振動ジャイロの作用について説明する。圧電素子J3およびJ4の検出電極は、各々の圧電素子を貼りあわせた四角柱の側面に直交する方向の屈曲振動の結果生じる圧電素子の電圧変化を検出することができる。また、圧電素子J1およびJ2の駆動電極に電圧を印加すると、各々の圧電素子を貼りあわせた四角柱の側面に直交する方向に屈曲振動生じさせることができる。ここで、振動体J10の圧電素子J1を貼り合わせた側面に直交する方向をX軸方向、振動体J10の圧電素子J2を貼り合わせた側面に直交する方向をZ軸方向、柱の伸びた方向をY軸方向とする。
【0093】
圧電素子J1の駆動電極に電圧を印加すると、四角柱にはX方向の屈曲が発生し、同時に、圧電素子J2の駆動電極に電圧を印加すると、四角柱にはZ方向の屈曲が発生する。この時、圧電素子J4の検出電極からの電圧信号を、第2のアンプJG2で増幅し、第2の移相回路JP2で移送し、発振条件が成立するように各々増幅率および移相量を調整し、圧電素子J1の駆動電極に帰還することにより、X方向に第1の屈曲振動を自励発振させることができ、圧電素子J3の検出電極からの電圧信号を、第1のアンプJG1で増幅し、第1の移相回路JP1で移送し、発振条件が成立するように各々増幅率および移相量を調整し、圧電素子J2の駆動電極に帰還することにより、Z方向に第2の屈曲振動を自励発振させることがでる。第1の屈曲振動と第2の屈曲振動の合成振動である第3の屈曲振動は、XZ面内において、一般に楕円軌道を描くが、第1の移相回路JP1の位相量および、第2の移相回路JP2の移送量および、第1のアンプJG1の増幅量および、第2のアンプJG2の増幅量を調整することにより、直線状に振動させることができる。図4には第3の屈曲振動が、XおよびZ方向に同相かつ同振幅で振動する第1の屈曲振動および第2の屈曲振動から合成された第3の屈曲振動の振動方向を矢印で示してある。
【0094】
ここで第3の屈曲振動の安定性について説明する。振動体J10をXおよびZ方向に完全に対称に製作することができた場合は、第3の屈曲振動は、自然に図27に示す直線状の振動となるが、現実には直線状の振動状態は安定ではなく、実際アンプJG1およびJG2、および移相回路JP1およびJP2を用いて、矯正した振動である。実際に製作された振動体J10が、楕円軌道を描くのは、振動体J10の機械的工作精度不足および圧電素子の貼り付け精度不足、支持部の組み立て精度不足、また駆動回路の常数のずれによりもたらされるものであるが、エリンバ,PZTおよび回路素子の熱的変動、またPZTおよび回路素子の経時変化により、軌道は変化する。従ってある時点で、アンプJG1およびJG2、および移相回路JP1およびJP2を用いて矯正し、図27に示した直線状の振動状態を作り上げたとしても、この状態が安定して保存されることはない。
【0095】
ところで、第3の屈曲振動および、第3の屈曲振動と同じ周波数を持ち、第3の屈曲振動と直交する方向の直線振動を、第3の屈曲振動と合成すると、振動体J10は楕円振動を行う。このことは、直線状の第3の屈曲振動から楕円振動への状態の変化を、第3の屈曲振動に直交する直線振動に置き換えて考えることができることを示している。この、第3の屈曲振動の不安定さに起因し、第3の屈曲振動に直交する小振幅の屈曲振動を第7の屈曲振動と呼ぶこととする。
【0096】
次に、第7の屈曲振動が第1の屈曲振動および第2の屈曲振動に及ぼす効果について説明する。第7の屈曲振動が、第1の屈曲振動を生成する発振系に与える影響と、第7の屈曲振動が、第2の屈曲振動を生成する発振系に与える影響を比べると、反対の効果を与えることが分かる。即ち、振動体J10の回転方向により、第7の屈曲振動が第1の屈曲振動を強める場合、第7の屈曲振動は第2の屈曲振動を弱め、第7の屈曲振動が第1の屈曲振動を弱める場合、第7の屈曲振動は第2の屈曲振動を強める。
【0097】
図27に示す回路構成では、例えば第7の屈曲振動が、第1の屈曲振動の振幅を増加させた場合の効果は、圧電素子J3により検出され、アンプJG1を介して増幅され圧電素子J2に帰還され、第2の屈曲振動を強めるが、このとき同時に、第7の屈曲振動は第2の屈曲振動を弱めるので、その効果は、圧電素子J4により検出され、アンプJG2を介して増幅され圧電素子J1に帰還され、第1の屈曲振動を弱める。
【0098】
即ち、第7の屈曲振動が生じると、第7の屈曲振動は第1の屈曲振動と第2の屈曲振動に変化をもたらすが、図27の回路構成においては、この変化をうち消すように制御を与える。
【0099】
また、図27に示す回路構成において、第7の屈曲振動が、第1の屈曲振動の振幅を減少させた場合の効果は、圧電素子J3により検出され、アンプJG1を介して増幅され第圧電素子J2に帰還され、第2の屈曲振動を弱めるが、この時同時に、第7の屈曲振動は第2の屈曲振動を強めるので、その効果は、圧電素子J4により検出され、アンプJG2を介して増幅され圧電素子J1に帰還され、第1の屈曲振動を強める。
【0100】
やはり、第7の屈曲振動が生じると、第7の屈曲振動は第1の屈曲振動と第2の屈曲振動に変化をもたらすが、図27の回路構成においては、この変化をうち消すように制御を与える。
【0101】
図27の発振回路においては、第1の屈曲振動を用いて第2の屈曲振動を励振し、第2の屈曲振動を用いて第1の屈曲振動を励振するので、第7の屈曲振動に対して負のフィードバックを行う様に構成されている。即ち、図27に示した回路構成は、第3の屈曲振動の、エリンバ,PZTおよび回路素子の熱的変動、またPZTおよび回路素子の経時変化による、安定な状態からの変化を、自律的に復元する構成となっている。
【0102】
この第3の屈曲振動が発生した状態で、音叉全体をY軸の回りに角速度ωで回転させると、第3の屈曲振動と直交する方向にコリオリ力Fcが働く。コリオリ力Fcは以下の式で表すことができる。
Fc=2・M・ω・V
ここで、Mは振動部の質量に比例する量であり、Vは振動の速度である。このコリオリ力Fcによって、第3の屈曲振動と直交する方向に変位する第4のの屈曲振動を励起する。この第4の屈曲振動は、圧電素子J3およびJ4の検出電極に発生する交流電圧の差として現れるが、これは、コリオリ力に比例した振幅を持つ交流信号である。ここでは、圧電素子J3およびJ4の検出電極に発生する交流電圧から、減算回路JSにより減算して得られる交流信号を、加算回路JAの信号の位相を移相回路JPにより移相し、コンパレータJCにより2値化して得られるタイミング信号を参照信号として、乗算回路JMで乗算し、この値を積分することにより、コリオリ力を、正確な直流電圧として検出している。乗算機の出力を積分した直流出力は、コリオリ力に比例するので、この出力により角速度ωを知ることができる。
【0103】
ここではコリオリ力に起因する第4の屈曲振動を正確に知る方法を述べたが、この検出方法では、第3の屈曲振動が不安定な場合には、エリンバ,PZTおよび回路素子の熱的変動、またPZTおよび回路素子の経時変化による、安定な状態からの変化を置き換えた第7の屈曲振動が、コリオリ力に起因する第4の屈曲振動と分離することができずに検出されてしまい、コリオリ力に無関係な出力をも正確に検出することになる。この出力は0点ドリフトと呼ばれ、角速度を積分して角度を求める用途においては、振動ジャイロにとって致命的な欠点となっていたが、この実施の形態では、第7の屈曲振動に対して負のフィードバックを行い、第3の屈曲振動が自律的に安定な状態に復元する構成を用いたことにより、殆ど0点ドリフトの無い検出が可能である。
【0104】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明による振動ジャイロは、例えば検出すべき回転方向に直交する面内で回転方向に4回対称な形状を持つ振動体を用い、差動型で駆動検出を行い、互いに直交する方向の振動を増幅する自励発振系を持つことにより、発振系全体に生じる様々な変化から、平衡点へ自的に復帰する特性を持たせ、結果として角速度出力のドリフトを低減している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの外観を示し、圧電素子の位置を示し、振動調整のための又の位置を示し、以後説明に用いる座標を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面,回路ブロックおよび配線模式図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面,回路ブロックおよび配線模式図である。
【図4】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロに用いる圧電素子の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロに用いる圧電素子の斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの円筒状の管に封入したジャイロ素子の構成を示す外観図である。
【図7】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図である。
【図8】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図実施の形態であるである。
【図9】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図である。
【図10】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図である。
【図11】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図である。
【図12】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図である。
【図13】一般的な4脚音叉の正面図である。
【図14】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図実施の形態であるである。
【図15】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図実施の形態であるである。
【図16】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図実施の形態であるである。
【図17】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図実施の形態であるである。
【図18】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図実施の形態であるである。
【図19】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図実施の形態であるである。
【図20】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図実施の形態であるである。
【図21】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図実施の形態であるである。
【図22】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図実施の形態であるである。
【図23】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図実施の形態であるである。
【図24】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図実施の形態であるである。
【図25】本発明の実施の形態である4脚音叉型の振動ジャイロの足の先端側から見た足の断面を模式的に表した動作説明図実施の形態であるである。
【図26】従来の差動音片型振動ジャイロの先端側から見た音片の断面,回路ブロックおよび配線模式図である。
【図27】本発明の実施の形態である差動音片型振動ジャイロの先端側から見た音片の断面,回路ブロックおよび配線模式図である。
【図28】本発明の実施の形態である差動音片型振動ジャイロの支持部の構造を示す平面図である。
【符号の説明】
10:4脚音叉型の振動ジャイロ
11,12,13,14 4脚音叉の足
15:4脚音叉の基部 16:ベース
17:金属製のキャップ 18,19,20,21 リード線
22:配線基板
23、25,27,29,31,33,35および37:圧電素子
39〜42:屈曲振動の中立線 QR :抵抗
QR1〜QR4:抵抗 QG1,QG2:アンプ
QS:減算回路 QA:加算回路 QP:移相回路
QP1,QP2:移相回路 QC:コンパレータ
QM:乗算回路 QI:積分回路
58:(+)面 59:(−)面
J1〜J4:圧電素子 J5,J6
J5L,J6L:支持位置 J5F,J6F
J5M,J6M J5H,J6H
J10:振動体 JG1,JG2:アンプ
JS:減算回路 JA:加算回路 JP:移相回路
JP1,JP2:移相回路 JC:コンパレータ
JM:乗算回路 JI:積分回路

Claims (5)

  1. 棒状部を有する振動体と、
    コリオリ力を検出する回転の軸に直交し、互いに直交する第1および第2の方向に前記棒状部を屈曲振動させる駆動部と、
    前記棒状部の前記第1および第2の方向の屈曲振動を検出する検出部と、
    前記検出部で検出した前記棒状部の前記第1の方向の屈曲振動に応じて、前記第2の方向に前記棒状部を前記駆動部で屈曲振動させるとともに、前記検出部で検出した前記棒状部の前記第2の方向の屈曲振動に応じて、前記第1の方向に前記棒状部を前記駆動部で屈曲振動させる発振回路と、を備えたことを特徴とする振動ジャイロ。
  2. 前記駆動部は、前記棒状部の側面に貼り付けられ、前記第1および第2の方向に前記棒状部を屈曲振動させる圧電素子を有し、
    前記検出部は、前記棒状部の側面に貼り付けられ、前記棒状部の前記第1および第2の方向の屈曲振動を検出する圧電素子を有し、
    前記発振回路は、前記第1の方向の屈曲振動を検出する圧電素子からの電気信号を増幅して、前記第2の方向に屈曲振動させる圧電素子を駆動するとともに、前記第2の方向の屈曲振動を検出する圧電素子からの電気信号を増幅して、前記第1の方向に屈曲振動させる圧電素子を駆動することを特徴とする請求項1に記載の振動ジャイロ。
  3. 前記棒状部の前記第1および第2の方向の屈曲振動を検出する圧電素子と前記発振回路とを、抵抗を介して接続したことを特徴とする請求項2に記載の振動ジャイロ。
  4. 前記振動体は、前記棒状部として、前記回転の軸に平行に、前記回転の軸から等距離に、4回対称な位置に配置された4本の足を備えるとともに、前記4本の足が配置された基部を備える4脚音叉であり、
    前記屈曲振動を検出する圧電素子または前記屈曲振動を検出する圧電素子の少なくとも一方が、前記各足に貼り付けられた
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の振動ジャイロ。
  5. 前記4本の足のうち2本の足の側面に貼り付けられた圧電素子どうしを、抵抗を介して接続したことを特徴とする請求項4に記載の振動ジャイロ。
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