JP4512326B2 - 浄水システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は浄水システムに関し、特に、一般家庭の浴室、洗面台や、理容院、美容院などに設けられ、髪や身体などを洗浄する際に使用される浄水シャワーシステムとして好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
水道水に残留している残留塩素は、臭気を有するだけでなく、洗顔、洗髪、入浴の際などに肌を刺激したり、髪を傷めたりする原因となることが知られている。そこで、料理用、飲料用の水からだけでなく、一般家庭において洗顔、洗髪、入浴の際に使用する水からも残留塩素を除去することが求められていて、脱塩素剤を通水経路中に設けた浄水シャワーシステムが提案、実用化されてきている。
【0003】
ここで使用される脱塩素剤としては、例えば、亜硫酸カルシウム、アスコルビン酸などの酸化還元反応によるもの、活性炭素繊維、粒状活性炭、成形活性炭などの分解によるものがある。酸化還元反応によるもののうちでは、特許文献1などに記載されているように、迅速な反応により残留塩素を除去できることから、亜硫酸カルシウムが好適に用いられている。また、分解によるもののうちでは、特許文献2などに記載されているように、反応性の高い活性炭素繊維が好適に使用されている。
【0004】
また近年、水道水の水質に関する安全衛生上の関心が一層高まって来ていて、上述のような残留塩素に加え、水道配管に使用されている鉛管に起因する水道水の鉛汚染が問題となっている。鉛汚染は、浄水場で水処理した後、一般家庭の蛇口まで供給される間に発生することから、水道水質基準値の引き下げとあいまって、その対策が検討されている。
鉛などの重金属を除去するものとして、例えば特許文献3には、2種以上の合金媒体を用い、イオン化傾向の差を利用して重金属を析出させ除去する浴室用シャワーが提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−239740号公報
【特許文献2】
特開2000−271033号公報
【特許文献3】
特開平8−299855号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献3に記載された方法では、2種以上の合金媒体を使用するため、金属アレルギー体質の使用者に対する悪影響が懸念される。また、水中に存在する鉛には、イオンの状態で溶解している溶解性鉛と、他のイオンとの反応により水に不溶な固体として存在している不溶性鉛の2つの存在形態があると考えられるが、特許文献3に記載された方法で除去できるのは、溶解性鉛のみであり、不溶性鉛は得られた処理水中に残存したままであった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、残留塩素に加え、溶解性鉛と不溶性鉛の両者を効果的に除去でき、金属アレルギー体質の使用者であっても快適に使用できる浄水システムを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、水処理材として上流側から亜硫酸カルシウムと中空糸膜とを備えた浄水部を有し、40℃の原水を8L/minで前記浄水部に通水して前記亜硫酸カルシウムと前記中空糸膜とで処理した場合に、得られる処理水中の亜硫酸イオン濃度が40ppm以上となる浄水システムである。
前記浄水部は、少なくとも前記中空糸膜より上流側に、アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体、チタンケイ酸塩、リン酸カルシウム系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの重金属除去剤を水処理材としてさらに備えていることが好ましい。
また、本発明の浄水システムは、原水が処理される水処理材の種類を任意に選択可能な切換機構を備えていることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の浄水システムについて、実施形態例を挙げて詳細に説明する。図1は本発明の浄水システムの一実施形態例である浄水シャワーシステム10を示すものである。この例の浄水シャワーシステム10は、水道水や水道水が加温された温水などの原水が供給される給水ホース11と、給水ホース11からの原水が処理される浄水部12と、浄水部12で処理され、得られた処理水がシャワー状に吐出されるシャワーヘッド13とを備えたものであって、一般家庭の浴室、洗面台や、理容院、美容院などに設けられ、髪や身体などを洗浄する際に好適に使用されるものである。
【0010】
この例の浄水部12は、カートリッジケース14内に、亜硫酸カルシウムが容器内に充填された亜硫酸カルシウムカートリッジ15と、中空糸膜が容器内に収められた中空糸膜カートリッジ16とが上流側から順次収納された浄水器からなり、給水ホース11からの原水が、まず亜硫酸カルシウムカートリッジ15内に導入されて亜硫酸カルシウムで処理され、ついで中空糸膜カートリッジ16内に導入されて中空糸膜で処理されるようになっている。
亜硫酸カルシウムは、酸化還元反応により原水中の残留塩素を除去するとともに、原水中に含まれる溶解性鉛と反応して亜硫酸鉛を生成し、鉛を不溶化するものである。中空糸膜は、こうして生成した亜硫酸鉛、固体として原水中に存在している不溶性鉛、鉄錆などに代表される汚れ物質などを膜面で捉え、除去するものである。
【0011】
ここで亜硫酸カルシウムは、40℃の原水を浄水部12に通水速度(供給速度)8L/minで通水して亜硫酸カルシウムと中空糸膜とで処理した場合に、得られる処理水中の亜硫酸イオン濃度が40ppm以上となるように亜硫酸カルシウムカートリッジ15内に充填されることが必要である。
図2は、富田製薬(株)製の亜硫酸カルシウムNo.30を114g充填した内容積140mlの亜硫酸カルシウムカートリッジと、このカートリッジの下流側に中空糸膜カートリッジ(三菱レイヨン(株)製のSTERAPORE JRX 0328P)を接続した浄水ユニットに、原水として水温40℃、鉛濃度50ppbの硝酸鉛水溶液を流量を変えて通水した際の、各流量での鉛除去率と、得られた処理水中の亜硫酸イオン濃度との関係をプロットしたグラフである。
このグラフから、処理水中の亜硫酸イオン濃度が高くなるにしたがって鉛除去率が増加する傾向が見られ、特に、亜硫酸イオン濃度が40ppm以上で、高い鉛除去率が達成できることが確認できる。ここで、処理中の亜硫酸イオン濃度が40ppm未満となる条件であると、亜硫酸カルシウムが原水中の溶解性鉛と十分に反応せず、その結果、高い鉛除去率が得られない。
【0012】
また、このような高い鉛除去率は、シャワーヘッド13から吐出される処理水が髪や身体を洗浄するために適した吐出流量、具体的には、8〜12L/minの吐出流量となるように原水を浄水部12に導入、通水した際に、達成可能であることが必要である。
よって、亜硫酸カルシウムは、40℃の原水を浄水部12に8L/minで通水して亜硫酸カルシウムと中空糸膜とで処理した場合に、得られる浄水中の亜硫酸イオン濃度が特定値(40ppm)以上となるように充填されることが必要となる。
【0013】
亜硫酸カルシウムは、このような条件を満足するように亜硫酸カルシウムカートリッジ15内に充填される限り、その粒径や充填量、充填形態には特に制限はない。
例えば、このような条件を満足するように亜硫酸イオンの溶解量の高い亜硫酸カルシウムを選択して使用してもよいし、亜硫酸カルシウムカートリッジ15の内容積を大きくするなどして亜硫酸カルシウムの充填量を多くすることによって、亜硫酸イオンの溶解量を増やしてもよい。亜硫酸カルシウムの好ましい充填量は、シャワーヘッド13からの好適な吐出流量が上述したように8〜12L/minであること、また、好ましい空間速度がSV=1000/hr未満であることから、500ml以上である。
【0014】
なお、使用者が快適であると感じる吐出流量はシャワーヘッド13の散水板13aに形成される吐出穴13bの形状によって異なる。よって、仮に、上記条件を満足するように亜硫酸カルシウムが充填されているものの、その際に適性な吐出流量が得られない場合には、散水板13aの吐出穴13bの形状を工夫してもよい。
さらに、上記条件を満足するような亜硫酸イオン濃度を安定に持続させるために、原水が安定した流量で亜硫酸カルシウムカートリッジ15に供給されるように、亜硫酸カルシウムカートリッジ15の上流側に定流量弁を設けてもよい。
【0015】
また、亜硫酸カルシウムの粒径としては特に制限はないが、好ましくは0.01〜5mm、より好ましくは0.15〜0.5mmの粒径範囲のものが用いられる。粒径が0.01mm未満のものを使用すると、通水時の圧力損失が大きく、適正な実用流量が得られ
ない可能性があり、5mmを超えたものを使用すると、短絡流(ショートパス)を発生しやすくなり、除去性能が低下する恐れがある。
【0016】
亜硫酸カルシウムカートリッジ15の具体的な形態としては、亜硫酸カルシウム粒子が粒子状のまま、このカートリッジ15から漏れ出ることがなければ特に制限はなく、例えば、両端を適切な目開きのメッシュシートや不織布などで閉塞した筒状容器内に亜硫酸カルシウムを充填した形態や、亜硫酸カルシウムの粒子を透水性シートからなる袋などに充填した後、これを入水部と出水部とが形成された容器内に収めた形態などが挙げられる。透水性シートからなる袋の使用は、特に粒径の小さい亜硫酸カルシウムを採用する場合に好適である。
【0017】
中空糸膜カートリッジ16の具体的形態としても特に制限はなく、容器内に、ポリオレフィン系、ポリスルホン系などの公知の材質からなる中空糸膜が収められ、亜硫酸カルシウムと原水中の鉛とから生成した亜硫酸鉛を少なくとも捉えて濾過できるものであればよい。中空糸膜の孔径としては、好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm未満である。
【0018】
浄水部12には、亜硫酸カルシウムと中空糸膜の他に、水処理材として重金属処理剤を備えると、鉛以外の重金属をも除去できるため好ましい。重金属処理剤としては、アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体、チタンケイ酸塩、リン酸カルシウム系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましく使用される。重金属除去剤は、亜硫酸カルシウムカートリッジ15内に亜硫酸カルシウムと混合された状態で充填されてもよいし、別の容器内に個別に充填されて、カートリッジケース14内に配置されてもよいが、重金属除去剤は少なくとも中空糸膜よりも上流側に配置されることが好ましい。また、亜硫酸カルシウムカートリッジ15内の亜硫酸カルシウムの粒子表面に、重金属除去剤を適当なバインダを使用して接着させることにより配してもよい。
【0019】
また、浄水部12には、原水が処理される水処理材の種類を任意に選択できるような切換機構を設けることが好ましく、さらに、水処理材を一切経由せずに原水がそのままシャワーヘッド13から吐出されるようなバイパス流路を形成しておき、切換機構により、このバイパス流路をも選択できるようにすることが好ましい。
すなわち、切換機構により、原水を亜硫酸カルシウム、重金属除去剤、中空糸膜をすべて経由させることによって、脱塩素と鉛除去と重金属除去とを行うことができる。また、亜硫酸カルシウムと中空糸膜とを経由させ、重金属除去剤を経由させない場合には、脱塩素と少なくとも鉛除去とを行うことができる。また、原水中に中空糸膜で除去すべき鉄錆などの汚れ物質が比較的少なく、鉛濃度も低い場合などには、亜硫酸カルシウムのみを経由させて脱塩素のみを行うようにしてもよい。
【0020】
また、例えば、原水中の鉛などの重金属は水道配管の材質に由来したものであるため、特に初流の原水に高濃度で存在する。したがって、このような初流を処理する場合だけ、切換機構により、この原水が亜硫酸カルシウムと、必要に応じて重金属除去剤と、中空糸膜とを経由するようにし、その後の原水についてはバイパス流路を経由して吐出させることなどによって、これら水処理材の寿命をのばすことができる。また、浴槽の洗浄など、原水を水処理する必要がない用途向けの場合も、いずれの水処理材も経由しないバイパス流路を経由させればよい。このように状況に応じて、切換機構により水処理材を任意に選択し、使い分けることにより、各水処理材の寿命をのばすことができる。
【0021】
また、このような浄水シャワーシステム10においては、さらに水処理材として臭気除去剤を備えてもよいし、また、最終的に得られる処理水中に保湿剤、清涼剤、芳香剤などの薬剤が含まれるようにこれらが添加される形態としてもよい。
臭気除去剤は、原水に含まれる不快臭の元となるジオスミンや、カビ臭の元となる2−メチルイソボルネオールを除去するために使用されるものであって、活性炭、ジビニルベンゼン系ポリマーなどが挙げられるが、原水が温水である場合にも非常に有効であることから、ジビニルベンゼン系ポリマーが好ましい。
【0022】
保湿剤は、皮膚に保湿効果を与え皮膚の乾燥を防ぐものである。このような保湿剤としては、使用時に少量の保湿剤が体内に摂取されることを考慮して、安全面で問題がないものであって、かつ少量で十分な保湿効果が期待出来るものがよく、例えば、桃の葉、アロエ、甘草、カミツレなどの植物エキス、ホホバオイル、スクワランなどの油脂類、米発酵エキス、フェルラ酸、米糠エキスなどの米抽出物、ヒアルロン酸、コラーゲンなどが挙げられる。
【0023】
清涼剤は、特に暑い夏期に浄水を使用した際に、爽快感を与えるものであって、例えばメントール、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、ミョウバンなどが挙げられる。
芳香剤は、アロマテラピーとしての美容、健康、精神的リラックス効果が期待できるもので、例えば、ローズウッド、ジャスミン、ラベンダーなどのハーブ系の植物から抽出されるエッセンシャルオイルなどが挙げられる。
【0024】
これら臭気除去剤や、保湿剤、清涼剤、芳香剤などの薬剤は、これらが効果的に使用される形態であれば、浄水シャワーシステム10中においてどのような形態で配置されてもよく、例えば、亜硫酸カルシウムや重金属除去剤と混合して、亜硫酸カルシウムカートリッジ15、あるいは、重金属除去剤が充填されたカートリッジに充填した形態、個別の容器に充填した形態などが挙げられる。また、個別の容器に充填する場合、薬剤の種類によっては、処理水中に少量ずつ含まれるように添加速度を制御できるような機構を設けてもよい。さらに、薬剤の種類によっては、亜硫酸カルシウムの粒子表面にバインダで接着させた形態としてもよい。
【0025】
本発明の浄水システムの他の一実施形態例としては、図3に示す形態が挙げられる。図3の例の浄水シャワーシステム10は、亜硫酸カルシウムカートリッジ15と中空糸膜カートリッジ16とが収められたカートリッジケース14が、浄水器として浴室の壁などに固定されたシャワーフック17に内蔵され、処理水が給水ホース11を介してシャワーヘッド13に供給される形態となっている点で図1の例と異なるが、その他の点では図1の浄水シャワーシステム10と同様である。
【0026】
さらに、他には、バスタブ外周部や洗面カウンタ下の空間に各水処理材が充填されたカートリッジケース14を浄水器として設置する形態、シャワーヘッド13を上下方向の好みの高さに調節できるように浴室の壁などに設置された中空バーの内部にカートリッジケース14を浄水器として設置する形態などとしてもよい。
【0027】
また、浄水部12の形態は、図1および図3の例のように、亜硫酸カルシウムカートリッジ15と中空糸膜カートリッジ16とがカートリッジケース14内にそれぞれ収められた形態に限定されず、例えば、亜硫酸カルシウムカートリッジ15と中空糸膜カートリッジ16とが1つのカートリッジケース14に収められておらず独立していてもよいし、1つの容器内に亜硫酸カルシウムと中空糸膜とがともに収められたカートリッジが、カートリッジケース14内に配置された形態でもよい。この場合には、通水は可能であるが亜硫酸カルシウムの粒子は通過できない不織布やメッシュシートなどを容器内に配して、亜硫酸カルシウム収納部と中空糸膜収納部とに分けることが好ましい。さらには、亜硫酸カルシウムカートリッジまたは、中空糸膜カートリッジを、シャワーヘッド13内に収めても良い。
また、これらいかなる形態の浄水部12であっても、原水が処理される水処理材の種類を任意に選択でき、さらには、水処理材を一切経由せずに原水がそのままシャワーヘッド13から吐出されるバイパス流路を選択できる切換機構を設けることが好ましい。さらに、必要に応じて臭気除去剤を経由する形態としたり、保湿剤、清涼剤、芳香剤などの薬剤が添加される形態としてもよい点についても同様である。
【0028】
また、以上の説明においては浄水システムとして、浄水がシャワーヘッド13から吐出される浄水シャワーシステム10を例示したが、特にシャワー状に吐出されるものに限定されない。
さらに、原水の温度としても特に制限はないが、特に、洗髪や入浴に好適に使用され、かつ、効果的な鉛除去が可能であることから、35〜45℃、さらに好ましくは40℃前後の温水が好適である。
【0029】
このような浄水システムは、水処理材として上流側から亜硫酸カルシウムと中空糸膜とを備えた浄水部を有し、40℃の原水を8L/minで浄水部に通水して亜硫酸カルシウムと中空糸膜とで処理した場合に、得られる処理水中の亜硫酸イオン濃度が40ppm以上となるものであるので、原水中の残留塩素に加え、溶解性鉛を亜硫酸鉛として効果的に除去できるうえ、不溶性鉛をも除去することができ、たとえ金属アレルギー体質の使用者であっても快適に使用することができる。よって、このような浄水システムは、例えば一般家庭の浴室、洗面台や、理容院、美容院などに浄水シャワーシステムとして設けられる場合などに適している。
【0030】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
[参考実験例]
原水中の残留塩素を除去する目的の従来のシャワーシステムを使用して処理水を得て、この処理水中の亜硫酸イオン濃度を以下のようにして測定した。
(1)市販のシャワーヘッド(三菱レイヨン(株)製ピュアピュアII)を1台用意した。このシャワーヘッドに、原水として残留塩素濃度0.5ppm、40℃に調温した溶液を、8L/minで通水し、総濾過流量が0m3(初流)と、4m3、8m3到達時の処理水中の亜硫酸イオン濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1から、残留塩素を除去する目的で市販されているシャワーヘッドに通水して得られた処理水は亜硫酸イオン濃度が非常に低く、図2の結果と併せると、原水中の溶解性鉛を亜硫酸鉛として不溶化することはほとんどできないことが示唆された。
【0033】
[実施例1]
図3に示したように、浴室の壁などに固定されたシャワーフック17内に、亜硫酸カルシウムカートリッジ15と中空糸膜カートリッジ16とが収められたカートリッジケース14が内蔵され、処理水が給水ホース11を介してシャワーヘッド13に供給される形態の浄水シャワーシステム10を使用して、下記の通水試験を行った。
具体的には、カートリッジケース14内に、亜硫酸カルシウム(富田製薬(株)製亜硫酸カルシウムNo.30)800g(容積950ml)が充填された亜硫酸カルシウムカートリッジ15と、その下流側に、中空糸膜として三菱レイヨン製EX540Vを使用した膜面積0.15m2の中空糸膜カートリッジ16を設置した。
【0034】
(通水試験)
(1)残留塩素除去能力
水温40℃、1ppm残留塩素含有水を通水速度8L/minで亜硫酸カルシウムカートリッジ15と中空糸膜カートリッジ16とに順次通水し、通水開始10分後に得られた処理水の残留塩素濃度をDPD法により測定した。結果を表2に示す。
(2)鉛除去能力
水温40℃、鉛濃度として50ppbに調整した硝酸鉛水溶液を通水速度8L/minで亜硫酸カルシウムカートリッジ15と中空糸膜カートリッジ16とに順次通水し、通水開始10分後に得られた処理水の鉛濃度をICP発光分光分析法で測定し、除去率を算出した。結果を表2に示す。
(3)亜硫酸イオン濃度の測定
水温40℃に調整した水道水を通水速度8L/minで亜硫酸カルシウムカートリッジ15と中空糸膜カートリッジ16とに順次通水し、通水開始10分後に得られた処理水の亜硫酸イオン濃度をイオンクロマト法で測定した。結果を表2に示す。
【0035】
[実施例2]
実施例2では、亜硫酸カルシウムカートリッジ15として、亜硫酸カルシウム量を300g(容積350ml)としたものを使用した以外は実施例1と同様とした。
[比較例1]
比較例1では、カートリッジケース14内に中空糸膜カートリッジ16を設置せず、亜硫酸カルシウムカートリッジ15として、亜硫酸カルシウム量を800g(容積950ml)としたものを使用した以外は実施例1と同様とした。
【0036】
【表2】
【0037】
表2から、水処理材として上流側から亜硫酸カルシウムと中空糸膜とを備え、40℃の原水を8L/minで通水して亜硫酸カルシウムと中空糸膜とで処理した場合に、得られる処理水中の亜硫酸イオン濃度が40ppm以上となるように亜硫酸カルシウムを充填した実施例1及び実施例2においては、残留塩素のみでなく鉛除去も可能であった。一方、中空糸膜を有さない比較例1では、残留塩素は取れるものの、鉛は除去できなかった。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の浄水システムは、水処理材として上流側から亜硫酸カルシウムと中空糸膜とを備えた浄水部を有し、40℃の原水を8L/minで浄水部に通水して亜硫酸カルシウムと中空糸膜とで処理した場合に、得られる処理水中の亜硫酸イオン濃度が40ppm以上となるようにしたものであるので、残留塩素に加え、可溶性鉛、さらには他のイオンと反応するなどして不溶化した不溶化鉛をも除去することができ、より安全な水を供給することができる。また、他の重金属除去剤との併用により、さらに高度な除去性能を達成でき、また、原水が処理される水処理材の種類を任意に選択可能な切換機構を備えることにより、各水処理材の寿命を延ばすことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の浄水システムの一実施形態例を示す正面図である。
【図2】 図2は、鉛除去率と、得られた処理水中の亜硫酸イオン濃度との関係を示すグラフである。
【図3】 本発明の浄水システムの他の一実施形態例を示す正面図である。
【符号の説明】
10 浄水シャワーシステム
11 給水ホース
12 浄水部
13 シャワーヘッド
14 カートリッジケース
15 亜硫酸カルシウムカートリッジ
16 中空糸膜カートリッジ
17 シャワーフック
Claims (3)
- 水処理材として上流側から亜硫酸カルシウムと中空糸膜とを備えた浄水部を有し、40℃の原水を8L/minで前記浄水部に通水して前記亜硫酸カルシウムと前記中空糸膜とで処理した場合に、得られる処理水中の亜硫酸イオン濃度が40ppm以上となることを特徴とする浄水システム。
- 前記浄水部は、少なくとも前記中空糸膜より上流側に、アルミノケイ酸塩系無機イオン交換体、チタンケイ酸塩、リン酸カルシウム系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの重金属除去剤を水処理材としてさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の浄水システム。
- 原水が処理される水処理材の種類を任意に選択可能な切換機構を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の浄水システム。
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