JP4510912B2 - 非水電解液電池 - Google Patents

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Description

本発明は、フッ化黒鉛を正極活物質として含む非水電解液電池に関し、特にフッ化黒鉛の表面状態の改良や、非水電解液電池の大電流パルス放電特性の改良に関する。
従来から、携帯機器等の電子機器の電源として非水電解液電池、なかでもリチウム一次電池が広く用いられている。このような電子機器の使用環境温度としては、人の生活環境をベースとした−20℃〜60℃程度が考えられている。
しかし、近年、電池を用いた機器の応用範囲は拡大しており、それに伴い機器の使用温度範囲も拡大する傾向にある。例えば車載用機器に用いられる電池としては、使用環境温度を最大125℃と想定した場合にも一定期間は機能を保つことができ、また−40℃程度の低温でも動作する一次電池が要望されている。
リチウム一次電池の代表例としては、正極活物質に二酸化マンガンを用いたCR系電池、および正極活物質にフッ化黒鉛を用いたBR系電池が挙げられる。
CR系電池は、一般的に、低温での負荷特性に優れているが、高温特性が低い。具体的には、60℃以上の高温では、電池内の微量水分の存在下で二酸化マンガンの触媒作用により、非水電解液が分解されて、ガスが発生する。このため、電池の膨れによる電池内部の緊縛性の低下により、電池の内部抵抗が大幅に上昇する場合がある。
一方、BR系電池は、100℃以上の高温でも、フッ化黒鉛と非水電解液との反応等、材料間での反応性は低いため、電池の内部抵抗の上昇が小さく、高温特性に優れている。そのため、100℃以上の高温では、BR系電池はCR系電池よりも信頼性が高い。
現在、リチウム一次電池の正極活物質に使用されているフッ化黒鉛には、高容量を有し、放電電圧の平坦性に優れているという観点から、フッ素含有量の多いフッ化黒鉛が使用されている。このフッ化黒鉛を使用したBR系電池は、非常に優れた高温特性を有するが、低温における放電特性が低く、例えば放電レート特性が低下する場合がある。
また、フッ化黒鉛を使用した場合、放電初期に電圧が急激に大きく低下した後、若干上昇してその後ほぼ一定の電圧を示し、電圧が安定する。このような電圧の急激な低下は、メモリのバックアップ用電源のように微弱電流で放電する場合には、電池の電圧低下が小さいため、問題にならない。一方で、車載機器のタイヤ空気圧センサーのような電波を発信する機器では、使用電流が大きいため、電圧低下、特に放電初期の電圧低下が増大する場合がある。
さらに、今後、機器が小型化された場合、それに伴い電池のサイズも小型化する必要が生じる。電池の小型化は、電極の反応面積を小さくし、放電の電流密度を増加させるため、放電電圧は更に低下する。
低温での放電特性を改良する目的で、例えば、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理のうちのいずれかにより、フッ化黒鉛の表面に親水性の官能基を形成させる方法が提案されている(特許文献1参照)。この提案によれば、フッ化黒鉛の表面に水酸基またはカルボキシル基を形成させることで、正極の非水電解液への濡れ性が改善し、−20℃での低温放電特性が改善される、と述べられている。
特許文献2は、放電初期に電圧の極小点が現れる現象を解決し、放電初期における電圧の低下を改善するために、フッ化黒鉛にγ線照射を行う方法を提案している。これにより、フッ化黒鉛表面のC−F結合の一部を解離させ、表面に炭素層を形成している。
特許文献3は、フッ化黒鉛を有機溶媒中に浸漬または湿潤させた状態で紫外線を照射する方法を提案している。この方法では、フッ化黒鉛表面に対して部分的に脱フッ素処理を行うことで、表面に炭素層を形成している。
非特許文献1は、水素ガス雰囲気中でフッ化黒鉛を300〜450℃で加熱処理することで、フッ化黒鉛表面のC−F結合を解離させ、表面に炭素層を形成する方法を提案している。
特許文献2、3および非特許文献1では、いずれもフッ化黒鉛表面に炭素層を形成することでフッ化黒鉛に導電性を付与している。これにより、放電初期に電圧の極小点が現れる現象を抑制できるとされている。
放電レート特性を改善する方法として、特許文献4では、粒子径がサブミクロンオーダーのフッ化黒鉛を用いることが提案されている。平均粒子径が1μm以下のフッ化黒鉛粉末を用い、フッ化黒鉛の表面積を増加させて、フッ化黒鉛がリチウムを吸蔵する反応が起こる割合を高めることにより、放電特性が改善されると述べられている。
特開2006−59732号公報 特開昭58−5966号公報 特開昭58−26457号公報 特開2005−247679号公報 N.Kumagai,et.al.,J.Applied Electrochem.,vol.20(1995),page 869-873
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、−40℃のような低温環境における大電流放電特性に関しては、十分な改善効果が望めない。非水電解液の粘度は、温度の低下に対して指数関数的に増加するため、−40℃では、非水電解液の粘度は非常に大きくなる。フッ化黒鉛表面に親水性官能基を形成させた場合であっても、−40℃では、正極の非水電解液への濡れ性は十分には改善されず、大電流放電において、電池電圧の低下が大きくなってしまう。
また、特許文献2、3および非特許文献1の方法を用いれば、放電初期の電圧は向上すると考えられる。しかし、これらの方法では、フッ化黒鉛表面のC−F結合を解離させているため、フッ化黒鉛全体のフッ化度が低下し、電池の放電容量が低下する。
さらに、特許文献4の方法で作製したフッ化黒鉛では、フッ素が遊離しやすく、特に高温環境下ではその傾向が強い。この遊離したフッ素は負極で絶縁被膜を形成するため、高温保存特性が大幅に低下する場合がある。また、平均粒子径がサブミクロンオーダーのフッ化黒鉛の粉体は嵩密度が低く、圧縮充填性も低下するため、活物質の充填量が減少し、電池容量が低下する。
本発明は、高温保存特性を低下させることなく、放電特性、特に低温環境下での大電流パルス放電特性に優れた非水電解液電池を提供することを目的とする。
また、本発明は、放電容量を低下させることなく、フッ化黒鉛の放電初期における電圧の低下を改善することを目的とする。
本発明は、正極活物質を含み、正極活物質は、第1フッ化黒鉛を含み、第1フッ化黒鉛は、表面におけるフッ素原子と炭素原子との濃度比([F]/[C])が、1.0以上、1.8未満のフッ化黒鉛である、正極と、
負極活物質を含み、負極活物質は、金属リチウムまたはリチウム合金を含む、負極と、
正極と負極との間に配されるセパレータと、
非水電解液と、を備えた非水電解液電池を提供する。
本発明においては、第1フッ化黒鉛の表面に存在するフッ素原子の割合を低下させ、炭素原子の割合を増加させている。疎水性および撥油性の大きなフッ素原子の割合を減少させることで、正極の非水電解液への濡れ性をより向上させることができる。また、フッ化黒鉛の表面に存在する炭素原子の割合を増加させることができ、フッ化黒鉛表面の導電性をより向上させることができる。よって、低温環境における大電流放電特性を改善することができる。
第1フッ化黒鉛は、X線光電子分光法(XPS)において、290eV以下の範囲に、C−F結合に帰属されるC1sピークを有し、688.5eV以下の範囲に、C−F結合に帰属されるF1sピークを有することが好ましい。
本発明においては、フッ化黒鉛の表面のC−F結合エネルギーを完全な共有結合の状態よりも低くしつつ、全体のフッ化度の低下を抑制している。これにより、放電初期に電圧の極小点が現れる現象と、電池の放電容量の低下とを同時に抑制することができる。
本発明に係るフッ化黒鉛においては、その表面のC−F結合エネルギーが、従来のフッ化黒鉛の結合エネルギーよりも低い。すなわち、本発明に係るフッ化黒鉛の表面では、C−F結合が解離されやすい。これにより、放電初期において、炭素とフッ素とリチウムとの反応による中間生成物が形成されやすくなり、放電初期の正極の過電圧が低下すると考えられる。
正極活物質は、更に、表面におけるフッ素原子と炭素原子との濃度比([F]/[C])が1.8より大きい第2フッ化黒鉛を含み、第1フッ化黒鉛と第2フッ化黒鉛とが混在していることが好ましい。
第1フッ化黒鉛は、表面におけるフッ素原子と炭素原子との濃度比([F]/[C])が1.8より大きい第2フッ化黒鉛を粉砕処理することによって得られたものであることが好ましい。粉砕により、フッ化黒鉛内部に存在するフッ素化されていない炭素部分が表面に露出する。よって、フッ化黒鉛の表面に存在するフッ素原子の割合を減少させ、非水電解液へのフッ化黒鉛の濡れ性を改善できる。従って、低温環境における大電流放電特性を改善することができる。
第2フッ化黒鉛は、X線光電子分光法において、290eVより大きい範囲に、C−F結合に帰属されるC1sピークを有し、688.5eVより大きい範囲に、C−F結合に帰属されるF1sピークを有することが好ましい。
第1フッ化黒鉛の全細孔容積は、0.05cm3/g以上、1.0cm3/g以下であることが好ましい。フッ化黒鉛内部の細孔を増加させることにより、その結晶構造における結晶子の間の隙間が増加し、フッ化黒鉛内部でのイオン拡散が容易となる。このため、低温放電特性をさらに改善することができる。
第1フッ化黒鉛は、体積累積粒度分布における体積分率50%のときの粒子径D50が、0.1〜10μmであることが好ましい。粒子径がこの範囲にあることで、フッ化黒鉛の比表面積が増大し、正極活物質の反応面積が増大するため、界面抵抗を減少させることができる。よって、低温放電特性をさらに改善することができる。
第1フッ化黒鉛は、式(1):(CFxn
(式中、0.4≦x≦1.15であり、nは1以上の整数である)
で表されることが好ましい。
このようなフッ化黒鉛を用いることで、低温放電特性の改善効果および放電容量の向上効果をより大きくすることができる。
C−F結合に帰属されるC1sピークは、288〜290eVの範囲に存在し、C−F結合に帰属されるF1sピークは、686.5〜688.5eVの範囲に存在することがより好ましい。このようなフッ化黒鉛の場合、C−F結合が適度な強度を有することから、リチウムとの反応時にはC−F結合が解離しやすく、かつ、フッ化黒鉛の表面からフッ素の遊離が起こりにくい。そのため、放電特性および高温保存特性に優れた非水電解液電池を得ることができる。
第1フッ化黒鉛は、X線光電子分光法において、更に、530〜534eVの範囲に、C−O結合に帰属されるO1sピークを有することが好ましい。
第1フッ化黒鉛は、体積累積粒度分布における体積分率50%のときの粒子径D50が、0.2μm以上、7μm以下であることがより好ましい。
第2フッ化黒鉛は、体積累積粒度分布における体積分率50%のときの粒子径D50が、10μm以上、30μm以下であることがより好ましい。
正極中における第1フッ化黒鉛と第2フッ化黒鉛との混合重量比は、10:90〜90:10であることが好ましい。
第1フッ化黒鉛は、第2フッ化黒鉛よりも電位が高いことが好ましい。
本発明によると、−40℃のような低温環境下でのフッ化黒鉛の非水電解液への濡れ性を向上させることができ、また、フッ化黒鉛表面の導電性を向上させることができる。このため、低温環境下での大電流放電特性の優れた非水電解液電池を得ることができる。
本発明によれば、高温保存特性を低下させることなく、放電特性、特に低温環境下での大電流パルス放電特性に優れた非水電解液電池を提供することができる。
本発明によれば、放電容量を低下させることなく、フッ化黒鉛の放電初期における電圧の低下を改善することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係る非水電解液電池の縦断面図を示す。電池10は、正極12と、負極14と、正極と負極との間に配置されたセパレータ13と、非水電解液(図示せず)と、これらを収容する電池ケース11と、周縁部に絶縁ガスケット15を備える封口板16とを含む。
正極12は、第1フッ化黒鉛を正極活物質として含む。第1フッ化黒鉛は、表面におけるフッ素原子と炭素原子との濃度比([F]/[C])(以下、表面フッ化度ともいう)は、1.0以上、1.8未満に制御されているフッ化黒鉛である。フッ化黒鉛の表面フッ化度がこの範囲である場合、フッ化黒鉛粒子の表面に存在する疎水性および撥油性の大きなフッ素元素の割合が小さいため、正極の非水電解液への濡れ性を高くすることができる。従って、特に低温環境においても放電時の過電圧を小さくすることができる。さらには、表面に存在する炭素原子の割合が大きくなるため、フッ化黒鉛表面の導電性をより向上させることができる。このため、低温環境下における大電流放電特性、特に大電流パルス放電特性を改善することができる。
第1フッ化黒鉛の表面フッ化度が1.8より大きい場合は、フッ素原子の含有比率が大きな官能基の割合が多いため、第1フッ化黒鉛の非水電解液への濡れ性が低い。一方、表面フッ化度が1.0より小さい場合、第1フッ化黒鉛自体のフッ素原子の含有量が小さい。よって、十分な放電容量が得られない。表面フッ化度は、1.1〜1.7であることがさらに好ましく、その上限は1.6であることがさらに好ましく、1.5であることが特に好ましい。
第1フッ化黒鉛は、X線光電子分光法(XPS)において、290eV以下の範囲に、C−F結合に帰属されるC1sピークを有し、688.5eV以下の範囲に、C−F結合に帰属されるF1sピークを有することが好ましい。このようなフッ化黒鉛は、表面に完全な共有結合ではないC−F結合を有する。そのため、C−F結合が解離されやすく、炭素−フッ素とリチウムとの反応が容易になることから、放電初期の過電圧を小さくすることができ、放電初期における電圧の低下が抑制される。
なかでも、フッ化黒鉛の表面におけるフッ素の遊離を抑制する観点から、第1フッ化黒鉛において、C−F結合に帰属されるC1sピークは、288〜290eVの範囲に存在し、C−F結合に帰属されるF1sピークは、686.5〜688.5eVの範囲に存在することが好ましい。これにより、優れた放電特性と優れた高温保存特性とを両立することができる。
第1フッ化黒鉛は、X線光電子分光法において、更に、530〜534eVの範囲に、C−O結合に帰属されるO1sピークを有することが好ましい。C−O結合を有することで、フッ化黒鉛に対する非水電解液の濡れ性が向上する。C−O結合は、単結合であってもよく、多重結合であってもよい。通常、フッ化黒鉛はC−O結合に帰属されるO1sピークを有さないことが多い。本発明の第1フッ化黒鉛がC−O結合に帰属されるO1sピークを有する理由の詳細は不明だが、フッ化黒鉛の結晶構造中のエッジ面に位置する不安定な炭素が、空気中の酸素と結合したためであると考えられる。
フッ化黒鉛の表面フッ化度は、例えば、X線光電子分光法を用いて測定することができる。具体的には、内部標準(例えば、金)を含むフッ化黒鉛試料の、広域スペクトルを求め、この広域スペクトルに基づいて、所定のピーク(例えば、C1sおよびF1s)につ
いての狭域スペクトルを求める。所定のピークの面積を求め、その面積から、炭素原子濃度およびフッ素原子濃度を求めることができる。また、前記内部標準により、帯電補正を行うことができる。
また、フッ化黒鉛のXPS測定は、例えば次に示す手順で行えばよい。
XPSの測定試料には、例えば試料粉末(フッ化黒鉛)の一部を金でコーティングしたものを用いる。
測定試料の広域スペクトルおよび狭域スペクトルは、例えば理学電機工業(株)製のXPS−7000を用い、線源としてMg−Kα線を使用して測定することができる。広域スペクトル測定は、例えば5kV、5mAの条件で行い、狭域スペクトル測定は、例えば10kV、10mAの条件で行う。帯電補正は、例えば試料に蒸着した金のAu4fピーク位置を基準にして行う。フッ化黒鉛のC1sスペクトルでは、C−F結合、および炭素成分に由来する2つのピークが観測される。炭素成分のピーク位置が284.2eVからずれる場合は、炭素成分のピーク位置を284.2eVとして、さらに補正を行えばよい。
第1フッ化黒鉛は、以下の式(1):(CFxn(式中、0.4≦x≦1.15であり、nは1以上の整数である)で表されることが好ましい。前記式で表されるフッ化黒鉛を用いることにより、低温放電特性をより向上させることができる。また、高温保存特性をより改善することができ、放電容量をより大きくすることができる。式(1)中のx値、つまりフッ化度が1.15を超えると、フッ素の含有量が多くなるため、過電圧を小さくする効果が小さくなり、十分な放電特性が得られない場合がある。また、フッ化度が0.4未満であると、フッ化黒鉛の重量あたりの放電容量が小さくなり、十分なエネルギー密度が得られない場合がある。式(1)のフッ化黒鉛において、0.5≦x≦1.15であることがより好ましく、0.9≦x≦1.1であることがさらに好ましい。
ここで、例えば、フッ化黒鉛(CFxnにおけるx値とは、フッ化黒鉛に含まれる炭素原子のモル数に対するフッ素原子のモル数の比のことである。
第1フッ化黒鉛は、体積累積粒度分布における体積分率50%のときの粒子径D50が、0.1〜10μmであることが好ましく、0.1〜7μmであることがより好ましく、0.2〜3μmであることがさらに好ましい。第1フッ化黒鉛の粒子径D50を前記範囲とすることにより、第1フッ化黒鉛の表面積が増大する。これにより、正極活物質の界面抵抗を減少させることができるため、低温放電特性を改善することができる。体積累積粒度分布は、例えば、レーザー回折式粒度分布計を用いて測定することができる。
粒子径D50が0.1μmよりも小さい場合、ペレット状の正極を作製するときに多量のバインダが必要となる。多量のバインダを用いて作製した電極を用いると、放電特性が低下することがある。また、比表面積が大きすぎるため、フッ化黒鉛から遊離するフッ素量が増加し、保存による内部抵抗の上昇が大きくなることがある。粒子径D50が10μmよりも大きい場合、第1フッ化黒鉛の表面積が小さいために、低温放電特性を改善する効果が十分に得られないことがある。
第1フッ化黒鉛は、細孔を有し、その全細孔容積は、0.05〜1.0cm3/gで
あることが好ましい。第1フッ化黒鉛内部の細孔を増加させることで、その結晶構造における結晶子の間の隙間が増加する。このため、第1フッ化黒鉛内部におけるイオン拡散が容易になり、低温パルス放電特性を向上することができる。
全細孔容積が0.05cm3/gより小さい場合、その結晶構造における結晶子の間の
隙間が少ないため、低温パルス放電特性の向上効果を十分に得られないことがある。全細孔容積が1.0cm3/gより大きい場合、第1フッ化黒鉛が非水電解液を吸収して大きく膨潤することがある。ペレット状の正極の場合、正極活物質の膨潤により、正極内の導電ネットワークが損なわれ、放電特性が低下することがある。
全細孔容積は、例えば、BET法(窒素吸着法)により測定することができる。
正極活物質は、第1フッ化黒鉛と、表面におけるフッ素原子と炭素原子との濃度比([F]/[C])が1.8より大きい第2フッ化黒鉛とを含んでもよい。この場合、第1フッ化黒鉛と第2フッ化黒鉛とが混在していることが好ましい。
第2フッ化黒鉛を用いる場合、放電開始直後では、フッ化黒鉛の表面の一部に存在する結合力が弱いC−F結合の部分で、リチウムが反応すると考えられる。さらに放電が進行すると、電圧は除々に低下していき、電圧の極小点を経て電圧が復帰し、平坦な電圧を示すようになる。放電電圧の極小点が現れるのは、放電の進行に伴い、リチウムを吸蔵した第2フッ化黒鉛の導電性が向上し、第2フッ化黒鉛とリチウムとの反応性が向上して、過電圧が減少するためと考えられる。
第2フッ化黒鉛のみを用いた場合、放電初期において、電圧は急激に低下した後、若干上昇して極小点を示し、その後ほぼ一定の放電電圧を示す。一方、第1フッ化黒鉛と第2フッ化黒鉛とが混在している正極活物質を用いることにより、例えば、大電流でパルス放電した場合、放電開始直後は、リチウムとの反応性が高い第1フッ化黒鉛がリチウムと優先的に反応し、第1フッ化黒鉛のみを活物質として用いた場合と同等のパルス放電時の閉路電圧(以下、パルスCCVとする。)を示す。さらに、第1フッ化黒鉛がリチウムと優先的に反応して高いパルスCCVを示す間、第2フッ化黒鉛も少しずつリチウムと反応し、フッ化黒鉛の導電性が徐々に増加する。このため、第1フッ化黒鉛と第2フッ化黒鉛とが混在している正極活物質を含む電池では、第2フッ化黒鉛のみを活物質として用いた電池で起こる放電初期の大きな電圧降下が抑制され、放電初期においても高いパルスCCVを維持することができる。
第2フッ化黒鉛は、第1フッ化黒鉛の原料(前駆体)にもなる。第2フッ化黒鉛は、炭素材料のような出発原料をフッ素化処理すれば得られる。フッ素化処理の方法としては、例えば、出発原料とフッ素ガスとを250〜650℃程度の温度で反応させる方法が挙げられる。次いで、得られた第2フッ化黒鉛の表面フッ化度を1.0以上、1.8未満とすることにより、第1フッ化黒鉛が得られる。
第2フッ化黒鉛の出発原料として、少なくとも一部に黒鉛構造を含む炭素材料を用いることができる。このような炭素材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、石油コークス、サーマルブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、気相成長炭素繊維、熱分解炭素、メソフェーズマイクロビーズ、石炭コークス、石油系炭素繊維、石炭系炭素繊維、木炭、活性炭、ガラス状炭素、レーヨン系炭素繊維、PAN系炭素繊維、カーボンナノチューブ、フラーレンなどが挙げられる。
第2フッ化黒鉛は、このような炭素材料をフッ素化することで得られる。
なお、出発原料は、上記の材料に限定されない。フッ素化処理後の材料(つまり、第2フッ化黒鉛)に少なくとも黒鉛構造が含まれていればよい。また、出発原料は、黒鉛化処理によって黒鉛化度を高くしたのち、フッ素化してもよい。
得られた第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、通常1.8より大きく、2.5未満の範囲となる。第2フッ化黒鉛は、出発材料の表面がフッ素化されたのち、内部がフッ素化されることにより形成される。そのような反応メカニズムの影響により、第2フッ化黒鉛の表面付近には、炭素−フッ素結合や、ジフルオロメチレン基(−CF2−)、あるいはトリフルオロメチル基(−CF3)など、フッ素の含有比率の大きな官能基が存在する。よって、第2フッ化黒鉛の表面には、炭素原子よりもフッ素原子の方が過剰に存在する。
また、上記の理由により、第2フッ化黒鉛の表面は、通常290eVより大きい範囲にC−F結合に帰属されるC1sピークを有し、688.5eVより大きい範囲にC−F結合に帰属されるF1sピークを有する。このような表面では、C−F結合が解離されにくく、C−Fとリチウムとの反応は起こりにくい。また、上記のような共有結合のC−F結合が多く存在する第2フッ化黒鉛の表面は、絶縁性が高いため、リチウムとの反応が起こりにくい。よって、第2フッ化黒鉛を活物質として用いた場合、放電開始直後の過電圧は大きくなる。
290eVより大きい範囲にC−F結合に帰属されるC1sピークを有し、688.5eVより大きい範囲にC−F結合に帰属されるF1sピークを有する第2フッ化黒鉛は、フッ化度が高く、放電容量が大きい。このような第2フッ化黒鉛を粉砕することで得られる第1フッ化黒鉛は、比表面積が増加するため、フッ化黒鉛の表面積あたりの電流負荷が軽減される。これにより、第1フッ化黒鉛の利用率が向上し、放電容量が更に大きくなると考えられる。
第2フッ化黒鉛の粒子は、体積累積粒度分布における体積分率50%のときの粒子径D50が、10μmより大きく、30μm以下であることが好ましい。第2フッ化黒鉛の粒子径D50が10μm未満であると、高温保存特性が低下しやすくなる場合がある。一方、第2フッ化黒鉛の粒子径D50が30μmを超えると、第2フッ化黒鉛の反応面積が小さくなりすぎ、放電特性の改善効果が十分に得られない場合がある。第2フッ化黒鉛の粒子径D50は、10μm以上20μm以下であることがより好ましい。
第2フッ化黒鉛の組成は特に限定されないが、反応速度や反応時間など、フッ素化処理の条件等に応じて、式(CFxn(ただし、xは0以上から1.2程度)で表される第2フッ化黒鉛、式(C2F)nで表される第2フッ化黒鉛、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
なかでも、(CFxn(式中、0.4≦x≦1.15であり、nは1以上の整数である)で表される第2フッ化黒鉛を用いることが好ましい。このようなフッ化黒鉛を用いることで、高温保存特性をより改善することができ、放電容量をより大きくすることができる。x値、つまりフッ化度が1.15を超えると、フッ素の含有量が多くなるため、過電圧を小さくする効果が小さくなり、十分な放電特性が得られない場合がある。また、フッ化度が0.4未満であると、フッ化黒鉛の重量あたりの放電容量が小さくなり、十分なエネルギー密度が得られない場合がある。x値は、0.90≦x≦1.15を満たすことがより好ましい。
第2フッ化黒鉛の表面フッ化度を、1.0以上、1.8未満とすることで、第1フッ化黒鉛を得ることができる。表面フッ化度が1.0以上、1.8未満である第1フッ化黒鉛を得る方法は、例えば、第2フッ化黒鉛を極性溶媒中に分散させて紫外線を照射する方法、第2フッ化黒鉛を極性溶媒中に分散させてヒドラジンなどの還元剤で表面を還元する方法、第2フッ化黒鉛を粉砕してフッ素含有率が低い粒子内部を表面に露出させる方法などが挙げられる。本発明において、第2フッ化黒鉛の表面フッ化度を低下させる方法はこれらに限定されないが、なかでも、表面フッ化度が1.8より大きい第2フッ化黒鉛を粉砕処理することによって、表面フッ化度を低下させる方法が好ましい。これにより、第1フッ化黒鉛を得ることができる。
第2フッ化黒鉛の粉砕方法としては、例えば、湿式粉砕方法および乾式粉砕方法が挙げられる。湿式粉砕方法としては、例えば、第2フッ化黒鉛を有機溶媒あるいは界面活性剤を溶解させた水中に分散させた状態で、ビーズとの衝突によって衝撃粉砕するビーズミリングが挙げられる。乾式粉砕方法としては、例えば、圧力をかけた気流中で、第2フッ化黒鉛の粒子どうしを衝突させて衝撃粉砕するジェットミリングが挙げられる。なかでも、フッ化度の変化や結晶性の変化が起こりにくい点で、乾式粉砕方法がより好ましい。第2フッ化黒鉛を粉砕して得られる第1フッ化黒鉛は、分級して粒度を調整してもよい。
第2フッ化黒鉛の表面におけるC−F結合は、一部に結合力が弱い結合が含まれるものの、大部分は共有結合である。一方、第2フッ化黒鉛の内部には、結合エネルギーの低いC−F結合が、表面よりも多く存在すると考えられる。第2フッ化黒鉛の内部に存在する結合エネルギーの低いC−F結合は、第2フッ化黒鉛を粉砕することで、第1フッ化黒鉛の表面に露出する。これにより、第1フッ化黒鉛の表面の導電性が向上する。結合エネルギーの低いC−F結合の影響によって、XPSで観測される第1フッ化黒鉛表面のC1sピークおよびF1sピークは、低エネルギー側にシフトする。
すなわち、第2フッ化黒鉛を粉砕することで、第1フッ化黒鉛の表面のC−F結合エネルギーが低下し、さらに第1フッ化黒鉛の表面の導電性が向上するため、放電特性の顕著な改善効果が得られる。
第2フッ化黒鉛を粉砕して得られた第1フッ化黒鉛と、第2フッ化黒鉛との混合物の体積累積粒度分布においては、通常2つのピークが存在する。2つのピークのうち、一方は、例えば0.2〜7μmの範囲にあり、他方は、例えば10〜30μmの範囲にある。
このような混合物を用いる場合、優れた放電特性および高温保存特性を確実に得る観点から、第1フッ化黒鉛と第2フッ化黒鉛との混合重量比は、10:90〜90:10であることが好ましく、25:75〜75:25であることがより好ましい。第1フッ化黒鉛の混合重量比が、第1フッ化黒鉛および第2フッ化黒鉛の合計100重量部あたり10重量部未満であると、第1フッ化黒鉛の量が不十分となり、放電特性の改善効果が十分に得られない場合がある。一方、第1フッ化黒鉛の混合重量比が、第1フッ化黒鉛および第2フッ化黒鉛の合計100重量部あたり90重量部を超えると、高温保存特性が若干低下する場合がある。
第1フッ化黒鉛は、第2フッ化黒鉛よりも電位が高いことが好ましい。これにより、第2フッ化黒鉛を単独で用いた電池と比べて、開路電圧(OCV)が高くなる。正極における第1フッ化黒鉛の含有量が多いほど、OCVは高くなる。フッ化黒鉛では放電時の分極による過電圧が大きくなるため、放電初期の電圧低下が大きいが、OCVを高くすることで、できるだけCCVを高くすることができる。
本発明の非水電解液電池は、正極活物質のフッ化黒鉛に主な特徴を有し、他の構成要素は特に限定されない。
正極は、例えば、正極活物質と導電材と結着剤とを混合して得た正極合剤を、ディスク状に成型及び乾燥することにより、作製することができる。
導電材としては、例えば、黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維などが用いられる。
結着剤は、当該分野で公知の材料を用いることができる。このような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体、およびエチレン−メタクリル酸メチル共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体が挙げられる。これらの材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極活物質、導電材、および結着剤の配合割合は、正極活物質60〜95重量%、導電材1〜30重量%、結着剤2〜10重量%とすることが好ましい。
負極としては、金属リチウムおよびリチウム合金よりなる群から選択される少なくとも1種が用いられる。リチウム合金としては、例えば、Li−Al合金、Li−Sn合金、Li−NiSi合金、Li−Pb合金などが挙げられる。なかでも、Li−Al合金が好ましい。
リチウム合金の作製方法は、特に限定されない。放電容量の確保と内部抵抗を安定化させる観点から、リチウム合金において、リチウム以外の金属元素の含有量は、0.2重量%〜15重量%が望ましい。
セパレータとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイドなどからなる不織布等が好ましい。電池が高温環境で使用される場合、ポリブチレンテレフタレートからなる不織布、またはポリフェニレンサルファイドからなる不織布をセパレータとして用いることが好ましい。
非水電解液は、非水溶媒およびこれに溶解したリチウム塩を含む。非水溶媒としては、例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、ラクトン類などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのなかでも、幅広い温度範囲で安定であるため、γ−ブチロラクトンを主溶媒として用いることが特に好ましい。
リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiBF4、LiPF6などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのなかでも、フッ化黒鉛との相性がよく、安定した放電特性を発揮することができるため、LiBF4が特に好ましい。
図1に、本実施例で作製したコイン型電池の縦断面図を示す。以下、図面を参照しながら説明する。
《実施例1A》
(1)正極活物質の作製
粒子径D50が20μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、表面フッ化度が1.8の第2フッ化黒鉛(CF1.15nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧(5.07×104Pa)とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を12時間とした。
第2フッ化黒鉛(D50:20μm)とエタノールとを重量比20:80の割合で混合し、フッ化黒鉛をエタノールに分散させた。得られた混合物に、ウシオ電機(株)製の低圧水銀ランプUL0−6DQを光源として用いて、紫外線を5分間照射して、第2フッ化黒鉛表面の炭素−フッ素結合の一部を切断した。こうして、正極活物質である表面フッ化度が1.79のフッ化黒鉛(CF1.15n(第1フッ化黒鉛)を作製した。
(2)正極ペレットの作製
得られた第1フッ化黒鉛、導電剤であるアセチレンブラック、及び結着剤であるスチレンブタジエンゴムを、固形分重量比84:8:8の比率で混合した。得られた混合物を、80℃で乾燥し、粉砕した。このようにして得られた粉末を所定の成型金型内に充填し、油圧プレス機にて加圧圧縮し、直径16mmで厚み3mmの正極ペレット12を作製した。電池の組立てに使用する前に、正極ペレット12を150℃の熱風で5時間乾燥して、水分を除去した。
(3)コイン型電池の作製
厚み1.3mmの金属リチウムからなるシートを直径18mmの円板状に打抜き、円板状の金属リチウムが封口板16と同芯になるようにして封口板16の内側に圧着し、負極を作製した。
負極の金属リチウムの上に、ポリブチレンテレフタレート製の不織布からなるセパレータ13と正極ペレット12を載置した。こののち、非水電解液を注液した。非水電解液としては、溶質であるLiBF4を、非水溶媒であるγ−ブチロラクトンに、1mol/L
の濃度で溶解した溶液を用いた。
電池ケース11の開口端部を、絶縁ガスケット15を介して封口板16にかしめて、電池ケース11を封口した。こうして、直径24.5mm、厚み5.0mmのコイン型リチウム一次電池を作製した。
(4)フッ化黒鉛の物性値の測定方法
[粒子径D50
フッ化黒鉛の体積累積粒度分布を、堀場製作所(株)製のレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920を用い、フッ化黒鉛をエタノールに分散させて測定した。得られた粒度分布から粒子径D50を求めた。測定は、20℃で行った。
[フッ化黒鉛(CFxnにおける炭素原子に対するフッ素原子のモル比xの測定]
フッ化黒鉛におけるフッ素原子のモル比xの測定は次に示す手順で行った。フッ化黒鉛の粉末試料を自動燃焼装置(三菱化学製AQF−100)を用いて1200℃で加熱分解し、発生したガスを所定量の過酸化水素水に吸収させた。得られた吸収液(測定試料)中のフッ化物イオン濃度を、日本ダイオネクス(株)製ICS−1500を用いて、イオンクロマトグラフ法で定量した。測定試料中のフッ素含有量および用いたフッ化黒鉛の量を元に、フッ化黒鉛におけるフッ素原子と炭素原子との組成比を求めた。
[XPSによる表面フッ化度およびピークエネルギーの測定]
フッ化黒鉛の表面フッ化度(表面での濃度比(モル比)([F]/[C]))の測定は、次に示す手順で行った。フッ化黒鉛の試料粉末を、8mm角のアルミニウム基板上に貼った導電性両面接着テープ上に保持した。中央にφ1mmの穴を空けたアルミニウム板マスクを、フッ化黒鉛の試料粉末上に被せて金を蒸着し、試料粉末の一部分上に金をコーティングした。このようにして作製した測定試料の広域スペクトルおよび狭域スペクトルを、理学電機工業製XPS−7000および線源としてMg−Kα線を使用して測定した。広域スペクトル測定は、5kV、5mAの条件で行い、狭域スペクトル測定は、10kV、10mAの条件で行った。測定は、0〜1000eVの範囲の広域スペクトル測定を行った後、C1s、F1sおよびO1s各ピークの狭域スペクトル測定を行った。
フッ化黒鉛のC1sスペクトルでは、C−F結合、および炭素成分に由来する2つのピークが観測される。炭素成分のピーク位置が284.2eVからずれる場合は、炭素成分のピーク位置を284.2eVとして、帯電補正を行った。帯電補正は、試料に蒸着した金のAu4fピーク位置(84eV)を基準にして行った。
C1sおよびF1sの各ピークにおいてバックグラウンド補正を行い、C1sおよびF1sの各ピーク面積の積分強度を求め、炭素元素およびフッ素元素の感度係数を用いて、炭素原子およびフッ素原子の濃度を求めた。得られた値を用いて、フッ化黒鉛表面のフッ素原子と炭素原子との濃度比([F]/[C])を求めた。
[全細孔容積]
フッ化黒鉛の全細孔容積は、島津製作所(株)製の自動比表面積/細孔分布測定装置トライスター3000を用いて、窒素ガス吸着によって測定した。
以下の実施例および比較例においても、フッ化黒鉛の物性値は、上記のようにして測定した。
《実施例2A》
実施例1Aで行った、表面フッ化度1.80の(CF1.15nへの紫外線照射の時間を20分間に変更して、第1フッ化黒鉛である表面フッ化度1.70の(CF1.15nを得た。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で、実施例2Aの電池を作製した。
《実施例3A》
実施例1Aで行った、表面フッ化度1.80の(CF1.15nへの紫外線照射の時間を1時間に変更して、第1フッ化黒鉛である表面フッ化度1.30の(CF1.15nを得た。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で、実施例3Aの電池を作製した。
《実施例4A》
実施例1Aで行った、表面フッ化度1.80の(CF1.15nへの紫外線照射の時間を2時間に変更して、第1フッ化黒鉛である表面フッ化度1.10の(CF1.09nを得た。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で、実施例4Aの電池を作製した。
《実施例5A》
実施例1Aで行った、表面フッ化度1.80の(CF1.15nへの紫外線照射の時間を3時間に変更して、第1フッ化黒鉛である表面フッ化度1.00の(CF0.90nを得た。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Aと同様にして、実施例5Aの電池を作製した。
《実施例6A》
粒子径D50が20μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、表面フッ化度1.80の第2フッ化黒鉛(CF1.20nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を16時間とした。
得られた第2フッ化黒鉛とエタノールとを重量比20:80の割合で混合し、フッ化黒鉛をエタノールに分散させた。得られた混合物に、紫外線を1時間照射して、第1フッ化黒鉛である表面フッ化度1.30の(CF1.20nを得た。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で、実施例6Aの電池を作製した。
《実施例7A》
粒子径D50が20μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、表面フッ化度1.80の第2フッ化黒鉛(CF1.10nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を10時間とした。
得られた第2フッ化黒鉛とエタノールとを、重量比20:80の割合で混合して、フッ化黒鉛を分散させた。得られた混合物に、紫外線を1時間照射して、第1フッ化黒鉛である表面フッ化度1.3の(CF1.10nを得た。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で、実施例7Aの電池を作製した。
《実施例8A》
粒子径D50が20μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、表面フッ化度1.8の第2フッ化黒鉛(CF0.80nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を1気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を6時間とした。
得られた第2フッ化黒鉛とエタノールとを重量比20:80の割合で混合して、フッ化黒鉛をエタノールに分散させた。得られた混合物に、紫外線を1時間照射して、第1フッ化黒鉛である表面フッ化度1.3の(CF0.80nを得た。得られた第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で、実施例8Aの電池を作製した。
《実施例9A》
粒子径D50が20μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、表面フッ化度1.80の第2フッ化黒鉛(CF0.50nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を1気圧とし、加熱温度を340℃とし、反応時間を8時間とした。
得られた第2フッ化黒鉛とエタノールとを重量比20:80の割合で混合し、フッ化黒鉛をエタノールに分散させた。得られた混合物に、紫外線を1時間照射して、第1フッ化黒鉛である表面フッ化度1.30の(CF0.50nを得た。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で、実施例9Aの電池を作製した。
《実施例10A》
粒子径D50が20μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、表面フッ化度1.80の第2フッ化黒鉛(CF0.40nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を1気圧とし、加熱温度を340℃とし、反応時間を5時間とした。
得られた第2フッ化黒鉛とエタノールとを重量比20:80の割合で混合して、フッ化黒鉛をエタノールに分散させた。得られた混合物に、紫外線を1時間照射して、第1フッ化黒鉛である表面フッ化度1.30の(CF0.40nを得た。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で、実施例10Aの電池を作製した。
《実施例11A》
粒子径D50が20μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、表面フッ化度1.80の第2フッ化黒鉛(CF0.30nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を1気圧とし、加熱温度を340℃とし、反応時間を3時間とした。
得られた第2フッ化黒鉛とエタノールとを重量比20:80の割合で混合して、フッ化黒鉛をエタノールに分散させた。得られた混合物に、紫外線を1時間照射して、活物質フッ化炭素である表面フッ化度1.30の(CF0.30nを得た。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で、実施例11Aの電池を作製した。
《実施例12A》
実施例7Aで作製した第2フッ化黒鉛である表面フッ化度1.80の(CF1.10n
非イオン性界面活性剤Triton X−100の1wt%水溶液とを、重量比10:90の割合で混合して、第2フッ化黒鉛を前記水溶液に分散させた。
次に、(株)シンマルエンタープライズ製の湿式粉砕・分散機DYNO−MILL TYPE KD−6およびφ0.65mmのジルコニアビーズを用いて、第2フッ化黒鉛を湿式粉砕し、表面フッ化度を低下させた。粉砕は、粒子径D50が15μmとなるまで行った。このようにして、第1フッ化黒鉛である表面フッ化度1.30の(CF1.10nを得た。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で、実施例12Aの電池を作製した。
《実施例13A》
実施例12Aで行った湿式粉砕による処理回数を増加して、第2フッ化黒鉛を、粒子径D50が10μmとなるまで粉砕した。こうして、第1フッ化黒鉛である表面フッ化度1.30の(CF1.10nを得た。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で、実施例13Aの電池を作製した。
《実施例14A》
実施例12Aで行った湿式粉砕による処理回数を増加して、第2フッ化黒鉛を、粒子径D50が3μmとなるまで粉砕した。こうして、第1フッ化黒鉛である表面フッ化度1.30の(CF1.10nを得た。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1と同様の手順で、実施例14Aの電池を作製した。
《実施例15A》
実施例12Aで行った湿式粉砕による処理回数を増加して、第2フッ化黒鉛を、粒子径D50が1μmとなるまで粉砕した。こうして、第1フッ化黒鉛である表面フッ化度1.30の(CF1.10nを得た。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で、実施例15Aの電池を作製した。
《実施例16A》
実施例12Aで行った湿式粉砕による処理回数を増加して、第2フッ化黒鉛を、粒子径D50が0.5μmとなるまで粉砕した。こうして、第1フッ化黒鉛である表面フッ化度1.30の(CF1.10nを得た。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で、実施例16Aの電池を作製した。
《実施例17A》
実施例12Aで行った湿式粉砕による処理回数を増加して、第2フッ化黒鉛を、粒子径D50が0.1μmとなるまで粉砕した。こうして、第1フッ化黒鉛である表面フッ化度1.30の(CF1.10nを得た。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で、実施例17Aの電池を作製した。
《実施例1B》
(1)正極活物質の作製
粒子径D50が20μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、第2フッ化黒鉛(CF0.30nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を2時間とした。第2フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、290.1eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、688.6eVであった。
上記の手順で作製した第2フッ化黒鉛(D50:20μm)を、(株)アイシンナノテクノロジーズ製のナノジェットマイザーNJ−100を用いて、粒子径D50が12μmとなるまで乾式粉砕した。こうして、第1フッ化黒鉛(CF0.30nを作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.70であった。また、第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、290.0eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、688.5eVであった。
(2)正極ペレットの作製
得られた第1フッ化黒鉛、導電材であるアセチレンブラック、および結着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)を、固形分重量比84:8:8の比率で混合した。得られた混合物を80℃で乾燥後、粉砕し、目開き500μmの篩いを通過させた。このようにして得られた粉末を、ペレット成型金型の内部に充填し、油圧プレス機にて加圧圧縮し、直径16mmで厚み3mmの正極ペレット12を作製した。電池の組立てに使用する前に、正極ペレット12を150℃の熱風で5時間乾燥して、水分を除去した。
得られた正極を用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で実施例1Bの電池を作製した。
《実施例2B》
粒子径D50が30μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、粒子径D50が30μmの第2フッ化黒鉛(CF0.30nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を2.5時間とした。第2フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、290.2eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、688.7eVであった。
得られた第2フッ化黒鉛を、実施例1Bと同様の方法により、粒子径D50が12μmとなるまで乾式粉砕して、第1フッ化黒鉛(CF0.30nを作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.50であった。また、第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、289.0eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、687.5eVであった。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、実施例2Bの電池を作製した。
《実施例3B》
粒子径D50が40μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、粒子径D50が40μmの第2フッ化黒鉛(CF0.30nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を3時間とした。第2フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、290.2eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、688.7eVであった。
得られた第2フッ化黒鉛を、実施例1Bと同様の方法により、粒子径D50が12μmとなるまで乾式粉砕して、第1フッ化黒鉛(CF0.30nを作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.30であった。また、第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、288eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、686.5eVであった。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、実施例3Bの電池を作製した。
《実施例4B》
粒子径D50が45μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、粒子径D50が40μmの第2フッ化黒鉛(CF0.30nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を3.2時間とした。第2フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、290.2eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、688.8eVであった。
得られた第2フッ化黒鉛を、実施例1Bと同様の方法により、粒子径D50が12μmとなるまで乾式粉砕して、第1フッ化黒鉛(CF0.30nを作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.20であった。また、第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、287.9eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、686.3eVであった。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、実施例4Bの電池を作製した。
《実施例5B》
実施例1Bで作製したD50が20μmの(CF0.30nを、実施例1Bと同様の方法により、粒子径D50が10μmとなるまで乾式粉砕して、第1フッ化黒鉛(CF0.30nを作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.50であった。また、第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、289.7eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、688.3eVであった。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、実施例5Bの電池を作製した。
《実施例6B》
実施例1Bで作製したD50が20μmの(CF0.30nを、実施例1と同様の方法により、粒子径D50が3μmとなるまで乾式粉砕して、第1フッ化黒鉛(CF0.30nを作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.35であった。また、第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、289.5eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、688eVであった。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、実施例6Bの電池を作製した。
《実施例7B》
実施例1Bで作製したD50が20μmの(CF0.30nを、実施例1と同様の方法により、粒子径D50が1μmとなるまで乾式粉砕して、第1フッ化黒鉛(CF0.30nを作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.20であった。また、第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、289eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、687.5eVであった。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、実施例7Bの電池を作製した。
《実施例8B》
実施例1Bで作製したD50が20μmの(CF0.30nを、実施例1と同様の方法により、粒子径D50が0.5μmとなるまで乾式粉砕して、第1フッ化黒鉛(CF0.30nを作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.15であった。また、第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、288.5eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、687eVであった。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、実施例8Bの電池を作製した。
《実施例9B》
実施例1Bで作製したD50が20μmの(CF0.30nを、実施例1と同様の方法により、粒子径D50が0.1μmとなるまで乾式粉砕して、第1フッ化黒鉛(CF0.30nを作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.05であった。また、第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、288eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、686.5eVであった。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、実施例9Bの電池を作製した。
《実施例10B》
実施例9Bで作製したD50が0.1μmの(CF0.30nとイソプロピルアルコールとを、重量比20:80の割合で混合し、フッ化黒鉛をイソプロピルアルコールに分散させた。(株)マツボー製の湿式遠心分級機LC−1000を用いてフッ化黒鉛を分級し、粒子径D50が0.05μmの第1フッ化黒鉛(CF0.30nを得た。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.00であった。また、第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、287.9eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、686.3eVであった。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、実施例10Bの電池を作製した。
《実施例11B》
粒子径D50が20μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、粒子径D50が20μmの第2フッ化黒鉛(CF1.20nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を16時間とした。第2フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、290.3eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、688.8eVであった。
得られた第2フッ化黒鉛を、実施例1Bと同様の方法により、粒子径D50が1μmとなるまで乾式粉砕して、第1フッ化黒鉛(CF1.20nを作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.20であった。また、第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、289eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、687.5eVであった。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、実施例11Bの電池を作製した。
《実施例12B》
粒子径D50が20μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、粒子径D50が20μmの第2フッ化黒鉛(CF1.15nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を14時間とした。第2フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、290.2eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、688.7eVであった。
得られた第2フッ化黒鉛を、実施例1Bと同様の方法により、粒子径D50が1μmとなるまで乾式粉砕して、第1フッ化黒鉛(CF1.15nを作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.20であった。また、第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、289eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、687.5eVであった。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、実施例12Bの電池を作製した。
《実施例13B》
粒子径D50が20μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、粒子径D50が20μmの第2フッ化黒鉛(CF1.10nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を11時間とした。第2フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、290.2eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、688.6eVであった。
得られた第2フッ化黒鉛を、実施例1Bと同様の方法により、粒子径D50が1μmとなるまで乾式粉砕して、第1フッ化黒鉛(CF1.10nを作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.20であった。また、第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、289eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、687.5eVであった。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、実施例13Bの電池を作製した。
《実施例14B》
粒子径D50が20μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、粒子径D50が20μmの第2フッ化黒鉛(CF0.90nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を9時間とした。第2フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、290.2eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、688.6eVであった。
得られた第2フッ化黒鉛を、実施例1Bと同様の方法により、粒子径D50が1μmとなるまで乾式粉砕して、第1フッ化黒鉛(CF0.90nを作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.20であった。また、第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、289eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、687.5eVであった。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、実施例14Bの電池を作製した。
《実施例15B》
粒子径D50が20μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、粒子径D50が20μmの第2フッ化黒鉛(CF0.50nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を4.5時間とした。第2フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、290.1eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、688.6eVであった。
得られた第2フッ化黒鉛を、実施例1Bと同様の方法により、粒子径D50が1μmとなるまで乾式粉砕して、第1フッ化黒鉛(CF0.50nを作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.20であった。また、第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、289eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、687.5eVであった。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、実施例15Bの電池を作製した。
《実施例16B》
粒子径D50が20μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、粒子径D50が20μmの第2フッ化黒鉛(CF0.40nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を1気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を4時間とした。第2フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、290.1eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、688.5eVであった。
得られた第2フッ化黒鉛を、実施例1Bと同様の方法により、粒子径D50が1μmとなるまで乾式粉砕して、第1フッ化黒鉛(CF0.40nを作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.20であった。また、第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、289eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、687.5eVであった。この第1フッ化黒鉛を用いたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、実施例16Bの電池を作製した。
《実施例1C》
(1)正極活物質の作製
平均粒子径D50が13μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理して、フッ化黒鉛(CF1.0nの第2フッ化黒鉛を作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を10時間とした。上記で得られた第2フッ化黒鉛を、(株)アイシンナノテクノロジーズ製のナノジェットマイザーNJ−100を用いて乾式粉砕し、平均粒子径D50が0.2μmの第1フッ化黒鉛を作製した。第1フッ化黒鉛および第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、それぞれ1.00および1.85であった。上記で得られた第1フッ化黒鉛および第2フッ化黒鉛を重量比50:50で混合し、正極活物質とした。
(2)正極の作製
上記で得られた正極活物質、導電材であるアセチレンブラック、および結着剤であるダイキン工業(株)製のネオフロンND−1を、固形分重量比85:8:7の割合で混合し、正極合剤を得た。この正極合剤を70℃で乾燥した後、粉砕し、目開き500μmの篩いに通過させ、粉末を得た。この粉末をペレット成型金型に充填し、油圧プレス機にて加圧圧縮し、ペレット状の正極12(直径16mm、厚み3mm)を作製した。電池の組立て前に、正極12を250℃の熱風で5時間乾燥して、水分を除去した。
得られた正極を用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で実施例1Cの電池を作製した。
《実施例2C》
実施例1Cの平均粒子径D50が13μmの第2フッ化黒鉛を乾式粉砕し、平均粒子径D50が0.5μmの第1フッ化黒鉛を作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.05であった。この第1フッ化黒鉛を用いた以外、実施例1Cと同様の方法により電池を作製した。
《実施例3C》
実施例1Cの平均粒子径D50が13μmの第2フッ化黒鉛を乾式粉砕し、平均粒子径D50が1μmの第1フッ化黒鉛を作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.20であった。この第1フッ化黒鉛を用いた以外、実施例1Cと同様の方法により電池を作製した。
《実施例4C》
実施例1Cの平均粒子径D50が13μmの第2フッ化黒鉛を乾式粉砕し、平均粒子径D50が3μmの第1フッ化黒鉛を作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.35であった。この第1フッ化黒鉛を用いた以外、実施例1Cと同様の方法により電池を作製した。
《実施例5C》
実施例1Cの平均粒子径D50が13μmの第2フッ化黒鉛を乾式粉砕し、平均粒子径D50が7μmの第1フッ化黒鉛を作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.40であった。この第1フッ化黒鉛を用いた以外、実施例1Cと同様の方法により電池を作製した。
《実施例6C》
平均粒子径D50が10μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理して、フッ化黒鉛(CF1.0nの第2フッ化黒鉛を作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を9時間とした。この第2フッ化黒鉛を用いた以外、実施例3Cと同様の方法により電池を作製した。第1フッ化黒鉛および第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、それぞれ1.20および1.85であった。
《実施例7C》
平均粒子径D50が30μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理して、フッ化黒鉛(CF1.0nの第2フッ化黒鉛を作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を12時間とした。この第2フッ化黒鉛を用いた以外、実施例3Cと同様の方法により電池を作製した。第1フッ化黒鉛および第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、それぞれ1.20および1.90であった。
《実施例8C》
第1フッ化黒鉛および第2フッ化黒鉛の混合重量比を10:90とした以外、実施例3Cと同様の方法により電池を作製した。
《実施例9C》
第1フッ化黒鉛および第2フッ化黒鉛の混合重量比を25:75とした以外、実施例3Cと同様の方法により電池を作製した。
《実施例10C》
第1フッ化黒鉛および第2フッ化黒鉛の混合重量比を40:60とした以外、実施例3Cと同様の方法により電池を作製した。
《実施例11C》
第1フッ化黒鉛および第2フッ化黒鉛の混合重量比を60:40とした以外、実施例3Cと同様の方法により電池を作製した。
《実施例12C》
第1フッ化黒鉛および第2フッ化黒鉛の混合重量比を75:25とした以外、実施例3Cと同様の方法により電池を作製した。
《実施例13C》
第1フッ化黒鉛および第2フッ化黒鉛の混合重量比を90:10とした以外、実施例3Cと同様の方法により電池を作製した。
《実施例14C》
実施例1Cの平均粒子径D50が13μmの第2フッ化黒鉛を、平均粒子径D50が0.1μmとなるまで乾式粉砕して、第1フッ化黒鉛を作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.05であった。この第1フッ化黒鉛を用いた以外、実施例1Cと同様の方法により電池を作製した。
《実施例15C》
実施例1Cの平均粒子径D50が13μmの第2フッ化黒鉛を、平均粒子径D50が9μmとなるまで乾式粉砕して、第1フッ化黒鉛を作製した。第1フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.45であった。この第1フッ化黒鉛を用いた以外、実施例1Cと同様の方法により電池を作製した。
《実施例16C》
平均粒子径D50が5μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理して、フッ化黒鉛(CF1.0nの第2フッ化黒鉛を作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を8時間とした。この第2フッ化黒鉛を用いた以外、実施例3Cと同様の方法により電池を作製した。第1フッ化黒鉛および第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、それぞれ1.20および1.83であった。
《実施例17C》
平均粒子径D50が40μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理して、フッ化黒鉛(CF1.0nの第2フッ化黒鉛を作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を16時間とした。この第2フッ化黒鉛を用いた以外、実施例3Cと同様の方法により電池を作製した。第1フッ化黒鉛および第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、それぞれ1.20および1.90であった。
《比較例1A》
実施例1Aで作製した第2フッ化黒鉛(表面フッ化度1.80の(CF1.15n)だけを正極活物質としたこと以外、実施例1Aと同様の手順で、比較例1Aの電池を作製した。
《比較例2A》
実施例1Aで行った紫外線照射の時間を24時間として、表面フッ化度0.90の(CF0.76nを得た。このフッ化黒鉛だけを用いたこと以外、実施例1Aと同様の手順で、比較例2Aの電池を作製した。
《比較例1B》
実施例1Bで作製した第2フッ化黒鉛(粒子径D50が20μmの(CF0.30n)だけを正極活物質としたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、比較例1Bの電池を作製した。第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.85であった。
《比較例2B》
実施例2Bで作製した第2フッ化黒鉛(粒子径D50が30μmの(CF0.30n)だけを正極活物質としたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、比較例2Bの電池を作製した。第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.88であった。
《比較例3B》
実施例3Bで作製した第2フッ化黒鉛(粒子径D50が40μmの(CF0.30n)だけを正極活物質としたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、比較例3Bの電池を作製した。第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.90であった。
《比較例4B》
実施例4Bで作製した第2フッ化黒鉛(粒子径D50が45μmの(CF0.30n)だけを正極活物質としたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、比較例4Bの電池を作製した。第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.95であった。
《比較例5B》
粒子径D50が12μmの石油コークスを、フッ素ガス雰囲気中で加熱処理することにより、粒子径D50が12μmのフッ化黒鉛(CF0.30nを作製した。反応条件は、フッ素ガスの圧力を0.5気圧とし、加熱温度を400℃とし、反応時間を1.5時間とした。フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは、290.2eVであった。C−F結合に帰属されるF1sピークは、688.7eVであった。このフッ化黒鉛を正極活物質としたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、比較例5Bの電池を作製した。このフッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.85であった。
《比較例6B》
実施例12Bで作製した第2フッ化黒鉛(粒子径D50が20μmの(CF1.15n)だけを正極活物質としたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、比較例6Bの電池を作製した。第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.85であった。
《比較例7B》
実施例13Bで作製した第2フッ化黒鉛(粒子径D50が20μmの(CF1.10n)だけを正極活物質としたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、比較例7Bの電池を作製した。第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.85であった。
《比較例8B》
実施例14Bで作製した第2フッ化黒鉛(粒子径D50が20μmの(CF0.90n)だけを正極活物質としたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、比較例8Bの電池を作製した。第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.85であった。
《比較例9B》
実施例16Bで作製した第2フッ化黒鉛(粒子径D50が20μmの(CF0.40n)だけを正極活物質としたこと以外、実施例1Bと同様の手順で、比較例9Bの電池を作製した。第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.85であった。
《実施例18C》
第2フッ化黒鉛を正極活物質に用いずに、実施例1Cの平均粒子径D50が0.2μmの第1フッ化黒鉛のみを正極活物質に用いた以外、実施例1Cと同様の方法により電池を作製した。
《実施例19C》
第2フッ化黒鉛を正極活物質に用いずに、実施例2Cの平均粒子径D50が0.5μmの第1フッ化黒鉛のみを正極活物質に用いた以外、実施例1Cと同様の方法により電池を作製した。
《実施例20C》
第2フッ化黒鉛を正極活物質に用いずに、実施例3Cの平均粒子径D50が1μmの第1フッ化黒鉛のみを正極活物質に用いた以外、実施例1Cと同様の方法により電池を作製した。
《実施例21C》
第2フッ化黒鉛を正極活物質に用いずに、実施例4Cの平均粒子径D50が3μmの第1フッ化黒鉛のみを正極活物質に用いた以外、実施例1Cと同様の方法により電池を作製した。
《実施例22C》
第2フッ化黒鉛を正極活物質に用いずに、実施例5Cの平均粒子径D50が7μmの第1フッ化黒鉛のみを正極活物質に用いた以外、実施例1Cと同様の方法により電池を作製した。
《比較例1C》
第1フッ化黒鉛を正極活物質に用いずに、実施例6Cの平均粒子径D50が10μmの第2フッ化黒鉛のみを正極活物質に用いた以外、実施例1Cと同様の方法により電池を作製した。 第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.85であった。
《比較例2C》
第1フッ化黒鉛を正極活物質に用いずに、実施例3Cの平均粒子径D50が13μmの第2フッ化黒鉛のみを正極活物質に用いた以外、実施例1Cと同様の方法により電池を作製した。第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.85であった。
《比較例3C》
第1フッ化黒鉛を正極活物質に用いずに、実施例7Cの平均粒子径D50が30μmの第2フッ化黒鉛のみを正極活物質に用いた以外、実施例1Cと同様の方法により電池を作製した。第2フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.88であった。
上記の実施例1A〜17Aおよび比較例1A〜2Aで用いたフッ化黒鉛の各物性値を表1に示す。なお、比較例1Aについては、第2フッ化黒鉛の物性値を示す。
上記の実施例1B〜16Bおよび比較例1B〜9Bで用いたフッ化黒鉛の各物性値を表2に示す。なお、比較例1B〜4Bおよび6B〜9Bについては、第2フッ化黒鉛の物性値を示す。
上記の実施例1C〜22Cおよび比較例1C〜3Cで用いたフッ化黒鉛の各物性値を表3および表5に示す。実施例1C〜22Cおよび比較例1C〜3Cにおける第1フッ化黒鉛および第2フッ化黒鉛の粒子径D50および混合重量比を表4および表6に示す。なお、比較例1C〜3Cについては、第2フッ化黒鉛の物性値を示す。
[評価]
(電池の開回路電圧(OCV)および内部抵抗)
以上のようにして得られた実施例1A〜17A、1B〜16B、1C〜22Cならびに比較例1A〜2A、1B〜9Bおよび1C〜3Cの電池の内部抵抗(1kHzでのインピーダンス)を測定した。結果をそれぞれ表7、表8、表9および表10に示す。
電池のOCVは、直流電圧計を用いて測定した。電池の内部抵抗は、交流インピーダンス法を用いて測定した。交流インピーダンス測定では、鶴賀電機(株)製の抵抗計MODEL3566を用い、交流4端子法によって1kHzでのインピーダンスの値を測定した。そして、各電池のOCVおよび内部抵抗の値を、5個の電池の平均値として求めた。結果を表7〜表10に示す。
(低温パルス放電特性)
内部抵抗の測定後、低温パルス放電特性について、以下のような評価を実施した。
実施例1A〜17A、比較例1A〜2A、実施例1B〜16Bおよび比較例1B〜9Bについては、−40℃において、10mAで100m秒間の放電が1分に1回行われるパターンを、300時間繰り返した。300時間中のパルス放電での最低電圧をその電池のパルス放電電圧とした。各実施例および比較例について、5個ずつの電池を放電し、その平均値を、パルス放電電圧とした。
実施例1C〜22Cおよび比較例1C〜3Cについては、−40℃において、10mAで20m秒間の放電が1分に1回行われるパターンを、300時間繰り返したこと以外、実施例AおよびBと同様に評価を実施した。結果を表7〜表10に示す。
(高温保存特性)
高温保存特性について、以下のような評価を実施した。
実施例1A〜17A、比較例1A〜2A、実施例1B〜16Bおよび比較例1B〜9Bについては、120℃の恒温槽内に、電池を10日間保存し、保存後の電池の内部抵抗(1kHzでのインピーダンス)を測定した。各実施例および比較例について、5個ずつの電池の高温保存試験を行い、その平均値を、内部抵抗値とした。
実施例1C〜22Cおよび比較例1C〜3Cについては、125℃の恒温槽を用いたこと以外、実施例AおよびBと同様に評価を実施した。結果を表7〜表10に示す。
(フッ化黒鉛の利用率と電圧との関係)
実施例4B、実施例11Bおよび比較例1Bの電池を、20℃の環境下、電流500μAで連続放電して放電特性の比較を行った。図2は、フッ化黒鉛の利用率と電圧との関係を示した図である。
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実施例1A〜5Aの電池に用いたフッ化黒鉛は、比較例1Aの電池に用いたフッ化黒鉛を紫外線照射処理し、表面フッ化度を低下させたものである。これらの電池の放電特性について比較すると、表面フッ化度が1.8よりも低いフッ化黒鉛を用いた実施例1A〜5Aの電池は、比較例1Aの電池よりも高いパルス放電電圧を示した。
実施例5Aの電池に用いたフッ化黒鉛は、表面フッ化度のみならず、フッ化度(つまり、(CFxnのx値)も低下していた。実施例5Aの電池において、放電容量の低下が確認されたが、パルス放電電圧は向上していた。
比較例2Aの電池に用いたフッ化黒鉛は、実施例1Aの電池に用いたフッ化黒鉛をより長く紫外線照射処理し、その表面フッ化度を0.9とした。比較例2Aの電池のパルス放電電圧は向上せず、フッ化黒鉛のx値が0.76まで低下した影響により、放電容量が大きく低下していた。x値の大きな低下は、フッ化黒鉛の炭素−フッ素結合が切断される反応が表面だけでなく内部まで進行してしまったのが原因と考えられる。
以上のことから、フッ化黒鉛の表面フッ化度を1.0以上、1.8未満の範囲とした場合に、低温パルス放電特性を向上できることが確認できる。さらに、表面フッ化度を1.7、1.3、および1.1としたフッ化黒鉛を用いた実施例2A、3A、および4Aの電池は、パルス放電電圧の向上効果が大きいことから、フッ化黒鉛の表面フッ化度は、1.1〜1.7の範囲とするのがより好ましいことがわかった。
実施例3A、6A〜11Aの電池には、表面フッ化度を1.3とし、x値を0.30〜1.20の範囲で変化させたフッ化黒鉛が用いられている。x値が1.20のフッ化黒鉛を用いた実施例6Aの電池のパルス放電電圧と比較して、実施例3A、実施例7A〜10Aの電池のパルス放電電圧は高い。これは、フッ化黒鉛のx値が高いほど放電電圧が低いという特性の影響によると考えられる。
同様に、x値が0.30のフッ化黒鉛を用いた実施例11Aの電池のパルス放電電圧と比較して、実施例3A、7A〜10Aの電池のパルス放電電圧は高い。なお、実施例11Aの電池において、パルス放電での最低電圧は、放電初期に生じた。これは、x値が低いフッ化黒鉛は表面に遊離しやすいフッ素原子を有しており、そのフッ素原子が非水電解液に溶出して、負極リチウムと反応して、負極リチウム表面に抵抗被膜が形成されて、電池の内部抵抗が上昇したのが原因と考えられる。
このように、実施例3A、7A〜10Aの電池に用いたフッ化黒鉛のように、x値が0.40〜1.15の範囲のフッ化黒鉛(つまり、0.40≦x≦1.15の(CFxn)を用いることで、パルス放電電圧の大きな向上効果が得られることが確認できた。さらに、x値が0.5〜1.10のフッ化黒鉛を用いた実施例7A〜9Aの電池では、パルス放電電圧がより高くなっている。パルス放電電圧が向上するのは、必ずしも明確ではないが、x値が0.5以上のフッ化黒鉛には、放電電圧が高い(C2F)nが少なからず含まれることによると考えられる。従って、フッ化黒鉛のx値は0.5〜1.1の範囲とするのが最適である。なお、表面フッ化度を1.7、あるいは1.0とし、x値を0.30〜1.20の範囲で変化させた場合でも、同様の結果が得られることを確認している。
実施例12A〜17Aの電池には、湿式粉砕によって、表面フッ化度を低下させたフッ化黒鉛を用いている。フッ化黒鉛の内部にはフッ素化されていない未反応の炭素部分が少なからず残存しており、このフッ素化されていない未反応の炭素部分が、粉砕によって表面に露出されることで、表面フッ化度が低下すると考えられる。
また、紫外線照射等の外部エネルギーを加えることで表面の炭素−フッ素結合を切断して表面フッ化度を低下する方法では、エネルギーが過剰に加えられることで内部の炭素−フッ素結合まで切断され、x値の低下が生じた。
フッ化黒鉛の粉砕について、種々の条件を検討したが、表面フッ化度を1.0未満にすることはできず、x値の低下も少なかった。このように、粉砕によって表面フッ化度を低下させる方法は、表面フッ化度の低下に伴うx値の低下を抑制することが可能な点により、表面フッ化度を低下させる方法として最適である。
実施例12A〜17Aの電池は、粉砕によって粒子径を調節したフッ化黒鉛を用いている。なかでも、フッ化黒鉛の粒子径をより小さくしたフッ化黒鉛を用いた電池において、パルス放電電圧がより高くなる結果となった。ここで、フッ化黒鉛の粒子径D50が15μmである実施例12Aの電池と、粒子径D50が20μmである実施例7Aの電池とでは、パルス放電電圧が同一であった。つまり、フッ化黒鉛の粒子径D50が15μmの場合と20μmの場合とでは、パルス放電電圧に差は生じなかった。実施例13Aの電池に用いたフッ化黒鉛のように、粒子径D50を10μmとすることで、パルス放電電圧が向上した。実施例14A〜17Aの電池のパルス放電電圧が示すように、フッ化黒鉛の粒子径D50を10μm以下の範囲でより小さくするほど、パルス放電電圧がより高くなった。
このように、フッ化黒鉛の粒子径D50を0.1〜10μmの範囲とすることで、低温放電特性が改善できることが確認できた。さらに、実施例14A〜17Aの電池でパルス放電電圧がより高くなっていることから、フッ化黒鉛の粒子径D50は0.1〜3μmの範囲とするのが最適である。
実施例13A〜17Aの電池に用いたフッ化黒鉛の全細孔容積は0.05〜1.0cm3/gの範囲であった。なお、本発明により、粉砕によってフッ化黒鉛の細孔容積が増加することが新たに見出された。
細孔分布に着目すると、フッ化黒鉛の結晶子の大きさに相当する2〜8nmの範囲において、細孔容積ピークが特異的に増加していた。粉砕によってフッ化黒鉛の粒子に亀裂が生じ、特に結晶子の間の隙間が増加したと考えられる。
このように、フッ化黒鉛粒子に隙間が増加することで、正極が非水電解液をより吸液しやすくなる。さらに、フッ化黒鉛粒子内部は導電性がないために、放電初期には、フッ化黒鉛粒子の内部は放電反応しないが、放電の進行によってフッ化黒鉛がリチウムと反応し、フッ化黒鉛粒子の導電性が向上する。よって、粒子内部も除々に放電反応に関与するようになると考えられる。実施例13A〜17Aの電池のパルス放電電圧が高い理由には、細孔容積の増加の寄与も含まれると考えられる。
なお、全細孔容積を1.0cm3/gより大きくしたフッ化黒鉛を用いると、非水電解
液の吸収による正極の膨潤が著しく大きくなり、電極が割れる現象が観察された。
従って、低温環境における大電流パルス放電特性の向上に対しては、フッ化黒鉛の全細孔容積を0.05〜1.0cm3/gの範囲とするのが最適である。
比較例1B〜4Bの電池に用いたフッ化黒鉛は、C−F結合に帰属されるC1sピークが290eVより大きい範囲に存在し、C−F結合に帰属されるF1sピークが688.5eVより大きい範囲に存在する。すなわち、フッ化黒鉛表面のC−F結合の結合力が強い。
実施例1B〜4Bの電池に用いた第1フッ化黒鉛は、それぞれ、比較例1B〜4Bの電池に用いたフッ化黒鉛を乾式粉砕したものである。各実施例における第1フッ化黒鉛のC−F結合に帰属されるC1sピークは290eV以下の範囲に存在し、C−F結合に帰属されるF1sピークは688.5eV以下の範囲に存在する。
実施例1B〜4Bの電池は、比較例1B〜4Bの電池よりも高いパルス放電電圧を示した。実施例1B〜4Bの電池の中では、フッ化黒鉛表面のC−F結合の結合力が弱いほど、パルス放電電圧が高くなる傾向を示した。このように、フッ化黒鉛表面のC−F結合の結合力を弱くすることで、放電特性の改善効果が大きくなることが確認された。従って、電池の放電特性を改善するには、C−F結合に帰属されるC1sピークが290eV以下の範囲に存在し、C−F結合に帰属されるF1sピークが688.5eV以下の範囲に存在するフッ化黒鉛を用いることが好ましいと考えられる。
しかし、C−F結合に帰属されるC1sピークが288eVよりも小さな範囲に存在し、C−F結合に帰属されるF1sピークが686.5eVよりも小さな範囲に存在するフッ化黒鉛を用いた実施例4Bの電池は、高温保存後の内部抵抗の上昇が大きかった。
上記のような、内部抵抗の上昇の差が生じた原因について明らかにするため、以下の分析を行った。
実施例1B〜4Bの電池を高温保存後、分解し、負極のリチウムをジメチルカーボネート(DMC)で洗浄し、その表面を、XPSを用いて深さ方向に対して分析した。
その結果、実施例1B〜4Bの電池の全てにおいて、リチウム表面にLi−Fの被膜が生成していることが確認された。実施例1B〜3Bの電池のリチウムでは、表面から約200nmの深さまでLi−Fの被膜が形成されていた。一方、実施例4Bの電池のリチウムでは、表面から約300nmの深さまでLi−Fの被膜が形成されていた。これは、実施例4Bの電池では、高温保存中にフッ化黒鉛から電解液に遊離したフッ素イオン量が、他の実施例の電池よりも多いことが原因であると考えられる。
また、実施例1B〜4Bの高温保存後の電池についてガスクロマトグラフィーによる発生ガス分析を行った。
その結果、実施例1B〜3Bの電池における水素ガスの発生量は0.1mL以下であった。一方、実施例4Bの電池の水素ガスの発生量は、0.5mLであり、実施例1B〜3Bの電池のそれよりも多かった。高温保存によって水素ガスの発生量が多くなるメカニズムは明らかではないが、Li−Fの被膜生成反応に付随して、水素ガスが発生していると推測される。
以上の結果から、C−F結合に帰属されるC1sピークが288eV未満の範囲に存在し、C−F結合に帰属されるF1sピークが686.5eV未満の範囲に存在するフッ化黒鉛は、表面のC−F結合の結合力が弱いため、電池内部でフッ素イオンを遊離しやすくなり、その結果、保存特性がやや低下すると考えられる。従って、電池の放電特性を改善し、保存特性の低下を防ぐには、C−F結合に帰属されるC1sピークが288〜290eVの範囲に存在し、C−F結合に帰属されるF1sピークが686.5〜688.5eVの範囲に存在するフッ化黒鉛を用いることが更に好ましい。
実施例5B〜10Bの電池では、C−F結合に帰属されるC1sピークが290eVより大きい範囲に存在し、C−F結合に帰属されるF1sピークが688.5eVより大きい範囲に存在する第2フッ化黒鉛を粉砕処理し、粒子径を調整した第1フッ化黒鉛を用いた。
実施例5B〜10Bの電池では、フッ化黒鉛の粒子径が小さくなるのに伴い、結合力の弱いC−F結合が、フッ化黒鉛の表面に露出したと考えられる。これにより、表面のC−F結合の結合力が低下したため、パルス放電電圧が高くなっていた。ここでは、フッ化黒鉛に対して乾式粉砕を行っているため、粒子径D50を小さくしてもフッ化度の低下が起こらず、表面のC−F結合の結合力のみが低下したと考えられる。第2フッ化黒鉛の内部には、C−F結合が完全な共有結合になる前の遷移状態の部分が、フッ化黒鉛の表面よりも多く存在する。第2フッ化黒鉛を粉砕することで、遷移状態にあるC−F結合が表面に露出されたため、C−F結合に帰属されるC1sピークおよびC−F結合に帰属されるF1sピークが低エネルギー側へシフトしたと考えられる。
このように、フッ化黒鉛を粉砕することによって、フッ化黒鉛表面のC−F結合の結合力を制御することが可能である。よって、290eVより大きい範囲にC−F結合に帰属されるC1sピークを有し、688.5eVより大きい範囲にC−F結合に帰属されるF1sピークを有する第2フッ化黒鉛を粉砕処理することで、第1フッ化黒鉛を得ることが好ましいことがわかった。
表面のC−F結合の結合力およびフッ化度が同一であり、粒子径が異なるフッ化黒鉛を用いた場合の比較を行った。実施例10Bの電池は、実施例4Bよりもフッ化黒鉛の粒子径D50が小さいために、正極活物質の界面抵抗が減少し、パルス放電電圧が高くなったと考えられる。しかし、実施例10Bの電池は、高温保存後の内部抵抗の上昇がやや大きかった。これは、粒子径が小さいために比表面積が大きくなり、高温保存中にフッ化黒鉛から遊離するフッ素量が増加し、負極のリチウム表面にLi−Fの被膜がより厚く形成されたことが原因であると考えられる。以上の結果から、フッ化黒鉛の粒子径D50は0.1μm以上、10μm以下の範囲であることがより好ましいことがわかった。さらに、実施例6Bから実施例9Bの電池のパルス放電電圧がより高くなっていることから、フッ化黒鉛の粒子径D50は、0.1μm以上、3μm以下が更に好ましいことがわかった。
比較例6B〜9Bの電池に用いたフッ化黒鉛は、C−F結合に帰属されるC1sピークが290eVより大きい範囲に存在し、C−F結合に帰属されるF1sピークが688.5eVより大きい範囲に存在し、かつフッ化度が0.40〜1.15であった。
実施例7Bおよび11B〜16Bの電池は、表面のC−F結合の結合力と粒子径D50が同一であり、フッ化度が異なるフッ化黒鉛がそれぞれ用いられている。実施例11の電池のパルス放電電圧は、実施例7Bおよび12B〜16Bのそれよりも低くなった。これは、フッ化黒鉛のフッ化度が大きいために、過電圧がやや大きくなったことが原因であると考えられる。
上記のなかでも、実施例12B〜14Bおよび16Bの電池に用いた第1フッ化黒鉛は、それぞれ、比較例6B〜9Bの電池に用いたフッ化黒鉛を乾式粉砕したものである。実施例12B〜14Bおよび16Bの電池は、対応する比較例の電池よりもパルス放電電圧が高くなっていることがわかる。
一方、フッ化黒鉛の重量あたりの放電容量は、実施例11B〜16Bの電池で500mAh/g以上となっており、高エネルギー密度の電池が得られた。以上の結果から、フッ化黒鉛の組成は、(CFxn(0.4≦x≦1.15)であることが好ましいことがわかった。実施例12B〜14Bの電池では、放電容量が更に大きくなっていることから、フッ化度が(0.90≦x≦1.15)であることが更に好ましいことがわかった。
図2は、20℃において電池を電流500μAで放電したときの、実施例4B、11Bおよび比較例1Bのフッ化黒鉛の利用率と電圧との関係を示した図である。比較例1Bの電池では、放電開始後の電圧低下が大きく、放電初期に電圧の極小点が現れた。
実施例4Bの電池は、放電初期に電圧の極小点が現れず、比較例1Bよりも放電電圧が高くなった。
実施例11Bの電池は、放電初期に電圧の極小点が現れず、実施例2Bよりも放電電圧が更に高くなり、フッ化黒鉛の利用率もより高くなった。以上の結果から、粒子径D50を小さくすることで、フッ化黒鉛の利用率が更に向上することがわかった。
正極活物質に第1フッ化黒鉛のみを用いた実施例18C〜22Cの電池の比較から、微粉末の平均粒子径D50が小さいほど、電池のOCVが高くなることがわかった。この理由は明確ではないが、フッ化黒鉛における結合力の弱いC−F結合が粉砕によって粒子表面に露出し、フッ素の電位が影響することで電池のOCVが高くなったと推測される。また、これらの電池の比較から、第1フッ化黒鉛の平均粒子径D50が小さいほど、パルス放電電圧が高くなる一方で、高温保存後の内部抵抗がやや大きくなる傾向を示すことがわかった。パルス放電電圧が高くなる理由としては、粒子径を小さくことにより表面積が増加したことが考えられる。高温保存後の内部抵抗が大きくなる理由としては、高温保存時に粒子径の小さいフッ化黒鉛から遊離するフッ素量がやや多くなったことが考えられる。
また、正極活物質に第2フッ化黒鉛のみを用いた比較例1C〜3Cの電池では、パルス放電電圧および高温保存後の内部抵抗はあまり変化しなかったことから、粗粉末の平均粒子径D50が電池特性へ及ぼす影響は小さいと考えられる。
実施例1C〜5Cの電池に用いた正極活物質は、実施例18C〜22Cの電池に用いた第1フッ化黒鉛、および比較例2Cの電池に用いた平均粒子径D50が13μmの第2フッ化黒鉛を重量比50:50で混合したものと同じである。これらの電池のパルス放電電圧は、微粉末のみを用いた実施例18C〜22Cの電池のパルス放電電圧に非常に近い。
ここで、実施例3C、20Cおよび比較例2Cの電池の上記パルス放電時における電池電圧の経時変化を図3に示す。図3は、パルスオフ時(放電休止時)の電池電圧およびパルスオン時(放電時)の電池電圧を時間に対してプロットした図である。平均粒子径D50が1μmの第1フッ化黒鉛を用いた実施例20Cの電池では、放電開始後からパルスオン時の電池電圧が少しずつ低下し、720時間後にはほぼ一定の値を示した。従って、実施例20Cの電池のパルス放電電圧は720時間後の電池電圧である。一方、平均粒子径D50が13μmの第2フッ化黒鉛を用いた比較例2Cの電池では、放電開始直後からパルスオン時の電圧の低下が大きく、200時間後に電池電圧の極小点が現れ、その後電池電圧が少し上昇した。従って、比較例2Cの電池のパルス放電電圧は200時間後の電池電圧である。実施例20Cの電池では比較例2Cの電池よりも放電開始からのパルスオン時の電池電圧の低下が小さいことから、第1フッ化黒鉛は第2フッ化黒鉛よりもリチウムとの反応性が高いと考えられる。
ここで、正極活物質に粗粉末と微粉末を混ぜて用いた実施例3Cの電池では、正極活物質に微粉末のみを用いた実施例20Cの電池と同様に、正極活物質に粗粉末のみを用いた比較例2Cの電池にみられるような放電初期の電池電圧の大幅な低下はみられなかった。これは、放電初期において、リチウムとの反応性が高い第1フッ化黒鉛がリチウムと優先的に反応し、第1フッ化黒鉛が優先的に反応する間、第2フッ化黒鉛が少しずつリチウムと反応して導電性を除々に増加したためであると考えられる。実施例1C、2C、4C、および5Cの電池も、実施例3Cの電池と同様のパルスオン時の電池電圧の変化を示した。
以上の結果から、正極活物質に、放電開始直後からリチウムとの反応性の高い第1フッ化黒鉛と、放電の進行に伴って導電性が増大する第2フッ化黒鉛とを混合して用いることによって、低温での大電流パルス放電特性がさらに向上することがわかった。
また、実施例1C〜5Cの電池は、実施例18C〜22Cの電池と比べて、高温保存時の内部抵抗がさらに低く、高温保存特性により優れていることがわかった。この理由は明確ではないが、微粉末および粗粉末を混合することにより、保存時に活物質から遊離するフッ素が減少したことが理由の一つとして考えられる。
実施例1C〜5Cの電池の比較から、第1フッ化黒鉛の平均粒子径D50が小さいほど、パルス放電電圧が高くなる傾向を示すことがわかった。これは、第1フッ化黒鉛の表面積が大きいほど、フッ化黒鉛のリチウムとの反応性が高まったためであると考えられる。
第1フッ化黒鉛の平均粒子径D50が0.1μmである実施例14Cの電池は、高いパルス放電電圧を示したが、高温保存後に高い内部抵抗を示した。これは、保存中に第1フッ化黒鉛から遊離したフッ素により、負極表面に絶縁被膜が形成されたことによると考えられる。第1フッ化黒鉛の平均粒子径D50が9μmである実施例15Cの電池は、低いパルス放電電圧を示した。これは、第1フッ化黒鉛の表面積が小さく、リチウムとの反応性が低いためであると考えられる。以上のことから、高温保存特性を低下させずに、低温時のパルス放電特性を改善できる点で、第1フッ化黒鉛の平均粒子径D50は0.2μm以上7μm以下が好ましいことがわかった。
実施例3C、6Cおよび7Cの電池において用いられる正極活物質は、実施例20Cの電池に用いた平均粒子径D50が1μmの第1フッ化黒鉛と、比較例1C〜3Cの電池に用いた第2フッ化黒鉛とを重量比50:50の割合で混合した粉末と同じである。実施例3C、6Cおよび7Cの電池は、正極活物質に第1フッ化黒鉛を混合したことにより、第2フッ化黒鉛のみを正極活物質に用いた比較例1C〜3Cの電池よりも、高いパルス放電電圧を示した。実施例3C、6Cおよび7Cの電池の比較から、微粉末が同じ場合、第2フッ化黒鉛の粒子径が小さいほどパルス放電電圧は高くなる傾向を示すことがわかった。
平均粒子径D50が5μmの第2フッ化黒鉛を、平均粒子径D50が1μmの第1フッ化黒鉛と混合した実施例16Cの電池は、パルス放電電圧が高いが、高温保存後の内部抵抗が高く、第1フッ化黒鉛を単独で用いた電池と同等の放電特性を示した。平均粒子径D50が40μmの第2フッ化黒鉛を、平均粒子径D50が1μmの第1フッ化黒鉛と混合した実施例17Cの電池は、低いパルス放電電圧を示した。これは、第1フッ化黒鉛がリチウムと優先的に反応している間、第2フッ化黒鉛は表面積が小さすぎるためにリチウムとの反応が進まず、第2フッ化黒鉛の導電性が増加しなかったためであると考えられる。以上のことから、高温保存特性を低下させずに、低温時のパルス放電特性を改善できる点で、第2フッ化黒鉛の平均粒子径D50を10μm以上30μm以下とするのが好ましいことがわかった。
実施例3Cおよび8C〜13Cの電池では、平均粒子径D50が1μmの第1フッ化黒鉛と、平均粒子径D50が13μmの第2フッ化黒鉛とを重量比10:90〜90:10の範囲で混合した正極活物質を用いた。実施例3Cおよび8C〜13Cの電池は、平均粒子径D50が13μmの第2フッ化黒鉛のみを正極活物質に用いた比較例2Cと比べて、高いパルス放電電圧を示した。実施例3Cおよび8C〜13Cは、平均粒子径D50が1μmの第1フッ化黒鉛を用いた実施例20Cと比べて、高温保存後に低い内部抵抗を示した。このように、第1フッ化黒鉛と第2フッ化黒鉛との混合重量比が10:90〜90:10である場合、フッ化黒鉛の微粒子または粗粉末を単独で用いるよりも、放電特性および高温保存特性が改善した。
また、実施例3Cおよび8C〜13Cの電池を比較すると、実施例8Cの電池はパルス放電電圧の向上効果が小さく、実施例13Cの電池は高温保存後に比較的高い内部抵抗を示した。従って、第1フッ化黒鉛と第2フッ化黒鉛とは25:75〜75:25の重量比で混合するのが更に好ましいことがわかった。
実施例1C〜13Cの電池の正極活物質に用いられた微粒子および粗粉末は、実施例18C〜22Cおよび比較例1C〜3Cの電池の正極活物質に用いられた微粒子または粗粉末と同じである。実施例18C〜22Cおよび比較例1C〜3Cの電池のOCVの比較から、第1フッ化黒鉛は第2フッ化黒鉛よりも電位が高いことがわかった。実施例3Cおよび8C〜13Cの電池の比較から、微粉末の混合比率が高いほどOCVが高いことがわかった。
実施例3C、6C、および7Cの電池が、比較例1C〜3Cの電池よりもパルス放電電圧が高い理由の一つには、実施例3C、6C、および7Cの電池のOCVが高いことが考えられる。第2フッ化黒鉛の電位よりも高い微粉末を混ぜることにより、粗粉末を単独で用いた場合よりもパルス放電電圧を高くすることができる。
以上の実施例では、石油コークスから作製されるフッ化黒鉛を使用したが、天然黒鉛、人造黒鉛、あるいはその他の炭素材料から作製したフッ化黒鉛でも、同様の効果が得られる。
本発明の非水電解液電池は、低温環境における大電流放電特性、特にパルス放電特性に優れる。よって、本発明の非水電解液電池は、例えば、タイヤ・プレッシャ・モニタリング・システム(TPMS)などに代表される車載用機器、ガスメータや水道メータなどに代表されるユーティリティ・メータ等、優れた低温放電特性と長期信頼性が要求される機器の主電源用途として有用である。
本発明の一実施形態に係る非水電解液電池を概略的に示す縦断面図である。 20℃において、実施例4B、実施例11Bおよび比較例1Bの電池を電流500μAで放電したときの、フッ化黒鉛の利用率と電圧との関係を示す図である。 本発明の実施例3Cおよび20C、ならびに従来の2Cの電池における、パルス放電のオン時(放電時)およびオフ時(放電休止時)の電池電圧の経時変化を示す図である。
符号の説明
10 電池
11 電池ケース
12 正極
13 セパレータ
14 負極
15 絶縁ガスケット
16 封口板

Claims (14)

  1. 正極活物質を含み、前記正極活物質は、第1フッ化黒鉛を含み、前記第1フッ化黒鉛は、表面におけるフッ素原子と炭素原子との濃度比([F]/[C])が、1.0以上、1.8未満のフッ化黒鉛である、正極と、
    負極活物質を含み、前記負極活物質は、金属リチウムまたはリチウム合金を含む、負極と、
    前記正極と前記負極との間に配されるセパレータと、
    非水電解液と、を備えた非水電解液電池。
  2. 前記第1フッ化黒鉛が、X線光電子分光法において、290eV以下の範囲に、C−F結合に帰属されるC1sピークを有し、688.5eV以下の範囲に、C−F結合に帰属されるF1sピークを有する、請求項1記載の非水電解液電池。
  3. 前記正極活物質は、更に、表面におけるフッ素原子と炭素原子との濃度比([F]/[C])が1.8より大きい第2フッ化黒鉛を含み、前記第1フッ化黒鉛と前記第2フッ化黒鉛とが混在している、請求項1または2記載の非水電解液電池。
  4. 前記第1フッ化黒鉛が、表面におけるフッ素原子と炭素原子との濃度比([F]/[C])が1.8より大きい第2フッ化黒鉛を粉砕処理することによって得られたものである、請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液電池。
  5. 前記第2フッ化黒鉛が、X線光電子分光法において、290eVより大きい範囲に、C−F結合に帰属されるC1sピークを有し、688.5eVより大きい範囲に、C−F結合に帰属されるF1sピークを有する、請求項3または4記載の非水電解液電池。
  6. 前記第1フッ化黒鉛の全細孔容積が、0.05cm3/g以上、1.0cm3/g以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解液電池。
  7. 前記第1フッ化黒鉛は、体積累積粒度分布における体積分率50%のときの粒子径D50が、0.1〜10μmである、請求項1〜6のいずれかに記載の非水電解液電池。
  8. 前記第1フッ化黒鉛が、式(1):(CFxn
    (式中、0.4≦x≦1.15であり、nは1以上の整数である)
    で表される、請求項1〜7のいずれかに記載の非水電解液電池。
  9. 前記C−F結合に帰属されるC1sピークが、288〜290eVの範囲に存在し、前記C−F結合に帰属されるF1sピークが、686.5〜688.5eVの範囲に存在する、請求項2記載の非水電解液電池。
  10. 前記第1フッ化黒鉛が、X線光電子分光法において、更に、530〜534eVの範囲に、C−O結合に帰属されるO1sピークを有する、請求項2記載の非水電解液電池。
  11. 前記第1フッ化黒鉛は、体積累積粒度分布における体積分率50%のときの粒子径D50が、0.2μm以上、7μm以下である、請求項1〜10のいずれかに記載の非水電解液電池。
  12. 前記第2フッ化黒鉛は、体積累積粒度分布における体積分率50%のときの粒子径D50が、10μm以上、30μm以下である、請求項3〜5のいずれかに記載の非水電解液電池。
  13. 前記正極中における前記第1フッ化黒鉛と前記第2フッ化黒鉛との混合重量比は、10:90〜90:10である、請求項3記載の非水電解液電池。
  14. 前記第1フッ化黒鉛は、前記第2フッ化黒鉛よりも電位が高い、請求項3〜5のいずれかに記載の非水電解液電池。
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