JP6749068B2 - リチウムイオン二次電池用負極材料、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極材料、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極材料、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池に関する。
現在、リチウムイオン二次電池の負極材料には主に黒鉛が用いられているが、黒鉛は放電容量に372mAh/gという理論的な容量限界があることが知られている。近年、携帯電話、ノートパソコン、タブレット端末等のモバイル機器の高性能化に伴い、リチウムイオン二次電池の高容量化の要求が強くなっており、リチウムイオン二次電池の更なる高容量化を達成可能な負極材料が求められている。
そこで、理論容量が高く、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な元素(以下、「特定元素」ともいう。また、該特定元素を含んでなるものを、「特定元素体」ともいう)を用いた負極材料の開発が活発化している。
上記特定元素としては、ケイ素、錫、鉛、アルミニウム等がよく知られている。その中でも特定元素体の一つであるケイ素酸化物は、他の特定元素からなる負極材料よりも容量が高く、安価、加工性が良好である等といった利点があり、これを用いた負極材料の研究が特に盛んである。
一方、これら特定元素体は、充電によって合金化した際に、大きく体積膨張することが知られている。このような体積膨張は、特定元素体自身を微細化し、更にこれらを用いた負極材料もその構造が破壊されて導電性が切断される。そのため、サイクル経過によってリチウムイオン二次電池の容量が著しく低下することが課題となっている。
この課題に対し、例えば、特許文献1では、X線回折において、Si(111)に帰属される回折ピークが観察され、その回折線の半価幅をもとにシェーラー法により求めたケイ素の結晶の大きさが1〜500nmである、ケイ素の微結晶がケイ素系化合物に分散した構造を有する粒子の表面を炭素でコーティングしてなることを特徴とする非水電解質二次電池負極材用導電性ケイ素複合体が開示されている。
特許文献1の技術によれば、ケイ素微結晶又は微粒子を不活性で強固な物質、例えば、二酸化ケイ素に分散し、更に、この表面の少なくとも一部に導電性を賦与するための炭素を融着させることによって、表面の導電性はもちろん、リチウムの吸蔵・放出に伴う体積変化に対して安定な構造となり、結果として、長期安定性及び初期効率が改善されるとされている。
また、特許文献2では、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る材料の表面を黒鉛皮膜で被覆した導電性粉末であり、黒鉛被覆量が3〜40重量%、BET比表面積が2〜30m/gであって、該黒鉛皮膜が、ラマン分光スペクトルより、ラマンシフトが1330cm−1と1580cm−1付近にグラファイト構造特有のスペクトルを有することを特徴とする非水電解質二次電池用負極材が開示されている。
特許文献2の技術によれば、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る材料の表面を被覆する黒鉛皮膜の物性を特定範囲に制御することで、市場の要求する特性レベルに到達し得るリチウムイオン二次電池の負極が得られるとされている。
また、特許文献3では、非水電解質を用いる二次電池用の負極に用いられる負極材料であって、該負極材料は、一般式SiOで表される酸化ケイ素粒子の表面上に炭素皮膜が被覆されたものであり、かつ前記炭素皮膜は熱プラズマ処理されたものであることを特徴とする非水電解質二次電池用負極材料が開示されている。
特許文献3の技術によれば、酸化ケイ素の欠点である電極の膨張と、ガス発生による電池の膨張を解決し、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池負極用として有効な負極材料が得られるとされている。
特許第3952180号公報 特許第4171897号公報 特開2011−90869号公報
しかしながら、特定元素体の一つであるケイ素酸化物を負極材料として使用した場合、初期の充放電効率が低く、実際の電池に適用した際に正極の電池容量を過剰に必要とするため、従来の技術においても、高容量というケイ素酸化物の特徴を実際のリチウムイオン二次電池へ充分には活かしきれなかった。また、今後、モバイル機器等の高性能化に適したリチウムイオン二次電池へ適用するための負極材料としては、単に多くのリチウムイオンを貯蔵できる(充電容量が高い)だけではなく、貯蔵したリチウムイオンをより多く放出できることが必要となる。従って、リチウムイオン二次電池の更なる性能向上に貢献する負極材料としては、初期の放電容量の向上と初期の充放電効率の向上が重要となる。他方、充放電後の回復率等を指標とするリチウムイオン二次電池の寿命の更なる向上も重要な課題である。
本発明は、上記要求に鑑みなされたものであり、初期の放電容量、初期の充放電効率、及び寿命に優れるリチウムイオン二次電池用負極材料、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1>ケイ素酸化物粒子と、前記ケイ素酸化物粒子の表面の一部又は全部に存在する炭素の単体と、前記炭素の単体が表面に存在するケイ素酸化物粒子の表面の一部又は全部に存在する有機物と、を含むリチウムイオン二次電池用負極材料。
<2>前記有機物がカルボキシル基及びヒドロキシ基からなる群より選択される少なくとも1つを有する水溶性有機物を含む、<1>に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
<3>前記有機物が、多糖、ゼラチン、カゼイン及び水溶性ポリエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1つである第一成分と、単糖、二糖、オリゴ糖、アミノ酸、没食子酸、タンニン、サッカリン、サッカリンの塩及びブチンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1つである第二成分とを含む、<1>又は<2>に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
<4>前記炭素の単体の含有率が、ケイ素酸化物粒子と炭素の単体の合計量の0.5質量%〜10.0質量%である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
<5>CuKα線を線源とするX線回折スペクトルにおいてSi(111)に帰属される回折ピークを有し、前記回折ピークから算出されるケイ素の結晶子の大きさが2.0nm〜8.0nmである、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
<6>集電体と、前記集電体上に設けられる、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の負極材料を含む負極材層と、を有するリチウムイオン二次電池用負極。
<7>正極と、<6>に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、電解質と、を備えるリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、初期の放電容量、初期の充放電効率、及び寿命に優れるリチウムイオン二次電池用負極材料、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本発明の負極材料の構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の負極材料の構成の他の一例を示す概略断面図である。 本発明の負極材料の構成の他の一例を示す概略断面図である。 本発明の負極材料の構成の他の一例を示す概略断面図である。 本発明の負極材料の構成の他の一例を示す概略断面図である。 図1〜図3の負極材料の一部を拡大した断面図である。(A)では負極材料における炭素の単体10の状態の一態様を説明し、(B)では負極材料における炭素の単体10の状態の他の態様を説明する。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
更に、本明細書において組成物中の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
<リチウムイオン二次電池用負極材料>
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料(以下、「負極材料」と略称する場合がある)は、ケイ素酸化物粒子と、ケイ素酸化物粒子の表面の一部又は全部に存在する炭素の単体と、炭素の単体が表面に存在するケイ素酸化物粒子(以下、炭素の単体が表面に存在するケイ素酸化物粒子を「SiO−C粒子」と略称する場合がある)の表面の一部又は全部に存在する有機物と、を含む。このような構成を有する本発明の負極材料を用いたリチウムイオン二次電池は、初期の放電容量、初期の充放電効率、及び充放電後の回復率に優れる。
(ケイ素酸化物粒子)
本発明の負極材料は、ケイ素酸化物粒子を含む。ケイ素酸化物粒子を構成するケイ素酸化物は、ケイ素原子を含む酸化物であればよく、一酸化ケイ素(酸化ケイ素ともいう)、二酸化ケイ素、亜酸化ケイ素等が挙げられる。これらは一種単独で使用してもよく、複数種を組み合わせて使用してもよい。
ケイ素酸化物の中で、酸化ケイ素及び二酸化ケイ素は、一般的には、それぞれ一酸化ケイ素(SiO)及び二酸化ケイ素(SiO)として表されるが、表面状態(例えば、酸化皮膜の存在)又は化合物の生成状況によって、含まれる元素の実測値(又は換算値)として組成式SiOx(xは0<x≦2)で表される場合があり、この場合も本発明に係るケイ素酸化物とする。なお、xの値は、例えば、不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法にてケイ素酸化物中に含まれる酸素を定量することにより算出することができる。また、本発明の負極材料の製造工程中に、ケイ素酸化物の不均化反応(2SiO→Si+SiO)を伴う場合は、化学反応上、ケイ素及び二酸化ケイ素(場合によって酸化ケイ素)を含む状態で表される場合があり、この場合も本発明に係るケイ素酸化物とする。
なお、酸化ケイ素は、例えば、二酸化ケイ素と金属ケイ素との混合物を加熱して生成した一酸化ケイ素の気体を冷却及び析出させる公知の昇華法にて得ることができる。また、酸化ケイ素、一酸化ケイ素等として市場から入手することができる。
ケイ素酸化物粒子は、ケイ素酸化物中にケイ素の結晶子が分散した構造を有することが好ましい。ケイ素酸化物粒子中にケイ素の結晶子が分散した構造となる場合、CuKα線を線源とする粉末X線回折(XRD)測定を行ったとき、2θ=28.4°付近にSi(111)に帰属される回折ピークが観察される。ケイ素酸化物粒子中にケイ素の結晶子が存在すると、初期の放電容量の高容量化と良好な初期の充放電効率が得られやすい。
ケイ素の結晶子の大きさは8.0nm以下であることが好ましく、より好ましくは、6.0nm以下である。結晶子の大きさが8.0nm以下の場合には、ケイ素酸化物粒子中でケイ素の結晶子が局在化しにくくなるため、ケイ素酸化物粒子内でリチウムイオンが拡散しやすく、良好な充放電容量が得られやすい。
また、ケイ素の結晶子の大きさは2.0nm以上であることが好ましく、より好ましくは、3.0nm以上である。結晶子の大きさが2.0nm以上の場合には、リチウムイオンとケイ素酸化物との反応が制御され、良好な充放電効率が得られやすい。
ケイ素の結晶子の大きさは、波長0.154056nmのCuKα線を線源とする粉末X線回折分析で得られるSi(111)に帰属される2θ=28.4°付近の回折ピークの半値幅から、Scherrerの式を用いて求めることができる。
上記ケイ素酸化物粒子中にケイ素の結晶子が分散した構造は、例えば、ケイ素酸化物粒子を不活性雰囲気下で700℃〜1300℃の温度域で熱処理して不均化することにより作製することができる。また、後述の炭素の単体をケイ素酸化物粒子に付与するための熱処理における加熱温度を調整することにより作製することができる。なお、熱処理時の加熱温度が高くなるほど、また、加熱時間が長くなるほど、ケイ素の結晶子の大きさが大きくなる傾向がある。
ケイ素酸化物粒子は、数cm角程度の大きさの塊状のケイ素酸化物を準備した場合には、粉砕し、分級して製造することができる。詳しくは、まず、微粉砕機に投入できる大きさまで粉砕する一次粉砕及び分級を行い、これを微粉砕機により二次粉砕することが好ましい。二次粉砕により得られるケイ素酸化物粒子の平均粒子径は、最終的な所望の負極材料の大きさに合わせて、0.1μm〜20μmであることが好ましく、0.5μm〜10μmであることがより好ましい。平均粒子径は、粒度分布の体積累積50%粒径(D50%)である。以下、平均粒子径の表記において同様である。平均粒子径の測定には、レーザー回折粒度分布計等の既知の方法を採用することができる。
(炭素の単体)
本発明の負極材料は、ケイ素酸化物粒子の表面の一部又は全部に存在する炭素の単体を含む。ケイ素酸化物粒子の表面の一部又は全部に炭素の単体が存在することにより、リチウムイオンの吸蔵及び放出に伴う膨張及び収縮を緩和することができるとともに、単位質量あたりのケイ素酸化物の容量低下を抑えることができる。このため、初期の放電容量及び初期の充放電効率が向上すると考えられる。
炭素の単体の含有率は、ケイ素酸化物粒子と炭素の単体の合計量中に0.5質量%〜10.0質量%であることが好ましい。このような構成とすることにより、初期の放電容量及び初期の充放電効率がより向上する傾向にある。炭素の単体の含有率は、1.0質量%〜9.0質量%であることが好ましく、2.0質量%〜8.0質量%であることがより好ましい。
炭素の単体の含有率(質量基準)は、高周波焼成−赤外分析法によって求めることができる。高周波焼成−赤外分析法においては、例えば、炭素硫黄同時分析装置(CSLS600、LECOジャパン合同会社)を用いることができる。この際、負極材料を有機物が分解する温度以上(例えば300℃)に加熱して、有機物に由来する炭素をあらかじめ除いておくことで、ケイ素酸化物粒子と炭素の単体の合計量中の炭素の単体の含有率を測定することができる。
炭素の単体は、低結晶性であることが好ましい。低結晶性とは、下記に示す方法で得られるR値が0.5以上であることを意味する。
炭素の単体は、励起波長532nmのレーザーラマン分光測定により求めたプロファイルの中で、1360cm−1付近に現れるピークの強度をId、1580cm−1付近に現れるピークの強度をIgとし、その両ピークの強度比Id/Ig(D/Gとも表記する)をR値とした際、そのR値が0.5〜1.5であることが好ましく、0.7〜1.3であることがより好ましく、0.8〜1.2以下であることが更に好ましい。R値が0.5〜1.5であると、炭素結晶子が乱配向した低結晶性炭素で粒子表面が被覆されるため、電解液との反応性が低減でき、サイクル特性が改善する傾向がある。
ここで、1360cm−1付近に現れるピークとは、通常、炭素の単体の非晶質構造に対応すると同定されるピークであり、例えば、1300cm−1〜1400cm−1に観測されるピークを意味する。また、1580cm−1付近に現れるピークとは、通常、黒鉛結晶構造に対応すると同定されるピークであり、例えば、1530cm−1〜1630cm−1に観測されるピークを意味する。
なお、R値はラマンスペクトル測定装置(例えば、NSR−1000型、日本分光株式会社)を用い、測定範囲(830cm−1〜1940cm−1)に対して1050cm−1〜1750cm−1をベースラインとして求めることができる。
ケイ素酸化物粒子の表面に炭素の単体を付与する方法は、特に制限されず、湿式混合法、乾式混合法、化学蒸着法等の方法が挙げられる。均一かつ反応系の制御が容易で、負極材料の形状が維持できるといった点から、湿式混合法又は乾式混合法が好ましい。
湿式混合法の場合は、例えば、ケイ素酸化物粒子と、炭素源を溶媒に溶解させた溶液と、を混合し、炭素源の溶液をケイ素酸化物粒子の表面に付着させ、必要に応じて溶媒を除去し、その後、不活性雰囲気下で熱処理することにより炭素源を炭素化させて炭素の単体を付与することができる。なお、炭素源が溶媒に溶解しない等の場合は、炭素源を分散媒中に分散させた分散液とすることもできる。
乾式混合法の場合は、例えば、ケイ素酸化物粒子と炭素源とをそれぞれ固体の状態で混合し混合物とし、この混合物を不活性雰囲気下で熱処理することにより炭素源を炭素化させて、ケイ素酸化物粒子の表面に炭素の単体を付与することができる。なお、ケイ素酸化物粒子と炭素源とを混合する際、力学的エネルギーを加える処理(例えば、メカノケミカル処理)を施してもよい。
化学蒸着法の場合は、公知の方法が適用でき、例えば、炭素源を気化させたガスを含む雰囲気中でケイ素酸化物粒子を熱処理することで、ケイ素酸化物粒子の表面に炭素の単体を付与することができる。
前記方法にて、ケイ素酸化物粒子の表面に炭素の単体を付与する場合、炭素源としては、特に制限はなく、熱処理により炭素の単体を残し得る化合物であればよい。具体的には、フェノール樹脂、スチレン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリブチラール等の高分子化合物;エチレンヘビーエンドピッチ、石炭系ピッチ、石油ピッチ、コールタールピッチ、アスファルト分解ピッチ、ポリ塩化ビニル等を熱分解して生成するPVCピッチ、ナフタレン等を超強酸存在下で重合させて作製されるナフタレンピッチ等のピッチ類;デンプン、セルロース等の多糖類;などが挙げられる。これら炭素源は、1種単独で又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
化学蒸着法によってケイ素酸化物粒子の表面に炭素の単体を付与する場合、炭素源としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素等のうち、気体状又は容易に気体化可能な化合物を用いることが好ましい。具体的には、メタン、エタン、プロパン、トルエン、ベンゼン、キシレン、スチレン、ナフタレン、クレゾール、アントラセン、これらの誘導体等が挙げられる。これら炭素源は、1種単独で又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
炭素源を炭素化するための熱処理温度は、炭素源が炭素化する温度であれば特に制限されず、700℃以上であることが好ましく、800℃以上であることがより好ましく、900℃以上であることが更に好ましい。また、炭素の単体を低結晶性とする観点及びケイ素の結晶子を所望の大きさで生成させる観点からは、1300℃以下であることが好ましく、1200℃以下であることがより好ましく、1100℃以下であることが更に好ましい。
熱処理時間は、用いる炭素源の種類やその付与量によって適宜選択され、例えば、1時間〜10時間が好ましく、2時間〜7時間がより好ましい。
なお、熱処理は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。熱処理装置は、加熱機構を有する反応装置を用いれば特に限定されず、連続法、回分法等での処理が可能な加熱装置などが挙げられる。具体的には、流動層反応炉、回転炉、竪型移動層反応炉、トンネル炉、バッチ炉等をその目的に応じ適宜選択することができる。
熱処理により得られた熱処理物は個々の粒子が凝集している場合があるため、解砕処理することが好ましい。また、所望の平均粒子径への調整が必要な場合は更に粉砕処理を行ってもよい。
また、ケイ素酸化物粒子の表面に炭素の単体を付与する別の方法としては、例えば、ケイ素酸化物粒子の表面に付与する炭素の単体として、ソフトカーボン、ハードカーボン等の非晶質炭素;黒鉛;などの炭素質物質を用いる方法が挙げられる。この方法によれば、後述する図4及び図5に示す、炭素の単体10が粒子としてケイ素酸化物粒子20の表面に存在する形状の負極材料を作製することもできる。炭素質物質を用いる方法としては、湿式混合法又は乾式混合法を応用することができる。
湿式混合法を応用する場合は、炭素質物質の粒子と、結着剤となる有機化合物(熱処理により炭素の単体を残し得る化合物)とを混合して混合物とし、この混合物とケイ素酸化物粒子とを更に混合することにより、ケイ素酸化物粒子の表面に混合物を付着させ、それを熱処理することで作製される。有機化合物としては、熱処理により炭素の単体を残し得る化合物であれば特に制限はない。また、湿式混合法を応用する場合の熱処理条件は、炭素源を炭素化するための熱処理条件を適用することができる。
乾式混合法を応用する場合は、炭素質物質の粒子と、ケイ素酸化物の粒子とをそれぞれ固体の状態で混合して混合物とし、この混合物に力学的エネルギーを加える処理(例えば、メカノケミカル処理)を行うことで作製される。なお、乾式混合法を応用する場合においても、ケイ素酸化物の粒子中にケイ素の結晶子を生成させるために、熱処理を行うことが好ましい。乾式混合法を応用する場合の熱処理条件は、炭素源を炭素化するための熱処理条件を適用することができる。
(有機物)
本発明の負極材料は、SiO−C粒子の表面の一部又は全部に存在している有機物を含む。有機物を含むことにより、負極材料の比表面積が低下し、電解液との反応が抑制されるため、充放電後の回復率が向上すると考えられる。
さらに、負極材料が有機物を含むことで、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を使用しなくても容量維持率を向上させることができる。FECはケイ素を負極活物質として用いた場合にケイ素の膨張伸縮が原因となって生じる電解液との反応を抑制するために電解液の添加剤として一般的に使用されている。しかしながら、FECは分解してガスが発生する場合がある。本発明の負極材料を用いることで、FECの省略又は量の低減が可能となり、FECの分解によるガスの発生を防止又は抑制することができる。
有機物の含有率は、負極材料全体中に0.1質量%〜2.0質量%であることが好ましい。前記の範囲内であると、導電性の低下を抑制しつつ充放電後の回復率の向上の効果が充分得られる傾向にある。負極材料全体中の有機物の含有率は、0.2質量%〜1.5質量%であることが好ましく、0.3質量%〜1.0質量%であることがより好ましい。
負極材料が有機物を有しているか否かは、例えば、充分に乾燥させた負極材を有機物が分解する温度以上でありかつ炭素の単体が分解する温度よりも低い温度(例えば300℃)に加熱して、有機物が分解した後の負極材の質量を測定することで確認することができる。具体的には、加熱前の負極材料の質量をAg、加熱後の負極材料の質量をBgとした場合に{(A−B)/A}×100で表される質量の変化率が0.1%以上であると、負極材料が有機物を含んでいると判断することができる。
変化率は0.1%〜2.0%であることが好ましく、0.3%〜1.0%であることがより好ましい。変化率が0.1%以上であると充分な量の有機物がSiO−C粒子の表面に存在しており、本発明の効果が充分得られる傾向にある。
SiO−C粒子の表面の一部又は全部に有機物を効率よく存在させる観点からは、有機物は水溶性有機物を含むことが好ましく、カルボキシル基及びヒドロキシ基からなる群より選択される少なくとも1つを有する水溶性有機物を含むことがより好ましい。
有機物は、第一成分として多糖、ゼラチン、カゼイン及び水溶性ポリエーテルからなる群より選ばれる1つ以上と、第二成分として単糖、二糖、オリゴ糖、アミノ酸、没食子(もっしょくし)酸、タンニン、サッカリン、サッカリンの塩及びブチンジオールからなる群より選ばれる1つ以上とを含むことが好ましい。本発明において多糖は単糖分子が10個以上結合した構造を有する化合物を意味し、オリゴ糖は単糖分子が3個〜10個結合した構造を有する化合物を意味する。
多糖として具体的には、デンプン、デンプンの誘導体、デキストリン、デキストリンの誘導体、シクロデキストリン、セルロースの誘導体、アルギン酸、アルギン酸の誘導体、プルラン、グリコーゲン、アガロース、カラギーナン、ペクチン、リグニンの誘導体、キシログルカン等を挙げることができる。
単糖として具体的には、アラビノース、グルコース、マンノース、ガラクトース等を挙げることができる。
二糖として具体的には、スクロース、マルトース、ラクトース、セロビオース、トレハロース等を挙げることができる。
オリゴ糖として具体的には、ラフィノース、スタキオース、マルトトリオース等を挙げることができる。
アミノ酸として具体的には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン、オキシプロリン、グリシルグリシン等を挙げることができる。
タンニンとして具体的には、茶カテキン、柿カテキン等を挙げることができる。
第一成分は多糖の少なくとも1種を含むことが好ましく、デンプン、デキストリン及びプルランからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。第一成分は、負極材料の表面の一部又は全部を被覆するように存在することでその比表面積を低下させると考えられる。その結果、負極材料と電解液との反応が抑制され、リチウムイオン二次電池の寿命の向上に寄与すると考えられる。
第二成分は二糖及び単糖からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、マルトース、ラクトース、トレハロース及びグルコースからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。第二成分は、第一成分中に取り込まれ、第一成分から形成される沈殿膜の水又は電解液への溶解性を抑制すると考えられる。
有機物が第一成分と第二成分とを含む場合、その質量比(第一成分:第二成分)は1:1〜25:1であることが好ましく、3:1〜20:1であることがより好ましく、5:1〜15:1であることがさらに好ましい。質量比が上記の範囲内であると、貯蔵特性の維持率及び回復率が改善する傾向がある。
有機物をSiO−C粒子の表面の一部又は全部に存在させる方法は特に制限されない。例えば、有機物を溶解又は分散させた液体にSiO−C粒子を入れ、必要に応じて撹拌することにより、有機物をSiO−C粒子に付着させることができる。その後、有機物が付着したSiO−C粒子を液体から取り出し、必要に応じて乾燥することで、有機物が表面に付着したSiO−C粒子を得ることができる。
撹拌時の水溶液の温度は特に制限されず、例えば5℃〜95℃から選択することができる。乾燥時の温度は特に制限されず、例えば50℃〜200℃から選択することができる。水溶液中の有機物の含有率は特に制限されず、例えば0.1質量%〜20質量%から選択することができる。
以下、本発明の負極材料の一例について図面を参照して説明する。
図1〜図4は、本発明の負極材料の構成の例を示す概略断面図である。
図1では、炭素の単体10がケイ素酸化物粒子20の表面全体を被覆している。図2では、炭素の単体10の単体がケイ素酸化物粒子20の表面全体を被覆しているが、厚みにばらつきがある。図3では、炭素の単体10の単体がケイ素酸化物粒子20の表面に部分的に存在し、一部でケイ素酸化物粒子20の表面が露出している。図4では、ケイ素酸化物粒子20の表面に、ケイ素酸化物粒子20よりも小さい粒径を有する炭素の単体10の粒子が存在している。図5は図4の変形例であり、炭素の単体10の粒子形状が鱗片状となっている。そして、図1〜図5では、この状態で炭素の単体10が表面に存在するケイ素酸化物粒子20(SiO−C粒子)の表面が有機物16で被覆されている。
なお、図1〜図5では、ケイ素酸化物粒子20の形状は、模式的に球状(断面形状としては円)で表されているが、球状、ブロック状、鱗片状、断面形状が多角形の形状(角のある形状)等のいずれであってもよい。また、図1〜図5では、炭素の単体10が表面に存在するケイ素酸化物粒子20(SiO−C粒子)の表面の全部が有機物16で被覆されているが、これに限られず、表面の一部が被覆されていてもよい。
図6は、図1〜図3の負極材料の一部を拡大した断面図であり、図6(A)では負極材料における炭素の単体10の形状の一態様を説明し、図6(B)では負極材料における炭素の単体10の形状の他の態様を説明する。図1〜図3の場合、図6(A)に示すように炭素の単体10が全体的に炭素の単体で構成されていても、図6(B)で示すように炭素の単体10が炭素の粒子12で構成されていてもよい。なお、図6(B)では炭素の単体10において炭素の粒子12の輪郭形状が残った状態で示しているが、炭素の粒子12同士が結合していてもよい。炭素の粒子12同士が結合した場合には、炭素の単体10が全体的に炭素の単体で構成されることがあるが、炭素の単体10の一部において空隙が内包される場合がある。このように炭素の単体10の一部に空隙が内包されていてもよい。
また、炭素の単体10が粒子の場合、図4に示すように炭素の単体10の粒子はケイ素酸化物粒子20の表面に部分的に存在し、一部でケイ素酸化物粒子20の表面が露出していてもよいし、図6(B)に示すように炭素の単体10の粒子がケイ素酸化物粒子20の表面全体に存在していてもよい。
本発明の負極材料の体積基準の平均粒子径は、0.1μm〜20μmであることが好ましく、0.5μm〜10μmであることがより好ましい。平均粒子径が20μm以下の場合、負極内での負極材料の分布が均一化し、更には、充放電時の膨張及び収縮が均一化することでサイクル特性の低下が抑えられる。また、平均粒子径が0.1μm以上の場合には、負極密度が大きくなりやすく、高容量化しやすい。
本発明の負極材料の比表面積は、0.1m/g〜15.0m/gであることが好ましく、0.5m/g〜10.0m/gであることがより好ましく、1.0m/g〜7m/gであることが更に好ましく、1.0m/g〜3.0m/gであることが特に好ましい
比表面積が15.0m/g以下の場合、得られるリチウムイオン二次電池の初回の不可逆容量の増加が抑えられる。更には、負極を作製する際に結着剤の使用量の増加が抑えられる。比表面積が0.1m/g以上の場合、負極材料と電解液との接触面積が増加し、充放電効率が増大する。比表面積の測定には、BET法(窒素ガス吸着法)等の既知の方法を採用することができる。
また、本発明の負極材料は、炭素の単体の含有率が0.5質量%〜10.0質量%であり、有機物の含有率が0.1質量%〜2.0質量%であり、ケイ素の結晶子の大きさが2.0nm〜8.0nm以下であることが好ましく、炭素の単体の含有率が1.0質量%〜9.0質量%であり、有機物の含有率が0.2質量%〜1.5質量%であり、ケイ素の結晶子の大きさが3.0nm〜6.0nm以下であることがより好ましい。
本発明の負極材料は、必要に応じて、リチウムイオン二次電池の負極の活物質として従来知られている炭素系負極材料と併用してもよい。併用する炭素系負極材料の種類に応じて、充放電効率の向上、サイクル特性の向上、電極の膨張抑制効果等が得られる。
従来知られている炭素系負極材料としては、鱗片状天然黒鉛、鱗片状天然黒鉛を球形化した球状天然黒鉛等の天然黒鉛類、人造黒鉛、非晶質炭素などが挙げられる。また、これらの炭素系負極材料は、その表面の一部又は全部に更に炭素を有していてもよい。これら炭素系負極材料の1種又は2種以上を、上記本発明の負極材料に混合して使用してもよい。
本発明の負極材料を炭素系負極材料と併用して使用する場合、上記本発明の負極材料(A)と炭素系負極材料(B)との比率(A:B)は、目的に応じて適宜調整することが可能である。例えば、電極の膨張抑制効果の観点からは、質量基準で、0.1:99.9〜20:80であることが好ましく、0.5:99.5〜15:85であることがより好ましく、1:99〜10:90であることが更に好ましい。
<リチウムイオン二次電池用負極>
本発明のリチウムイオン二次電池用負極(以下「負極」と略称する場合がある)は、集電体と、集電体上に設けられる本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料を含む負極材層と、を有する。例えば、本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料、有機結着剤、溶剤又は水等の溶媒、及び必要により増粘剤、導電助剤、従来知られている炭素系負極材料等を混合した塗布液を調製し、この塗布液を集電体に塗布した後、溶剤又は水を乾燥し、加圧成形して負極材層を形成することにより得られる。一般に、有機結着剤、溶媒等と混練して、シート状、ペレット状等の形状に成形される。
有機結着剤は、特に限定されず、スチレン−ブタジエン共重合体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸エステルと、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸と、を共重合して得られる(メタ)アクリル共重合体;ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエピクロルヒドリン、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミドイミド等の高分子化合物;などが挙げられる。なお、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル共重合体」等の他の類似の表現においても同様である。
これらの有機結着剤は、それぞれの物性によって、水に分散、若しくは溶解したもの、又は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の有機溶剤に溶解したものがある。これらの中でも、密着性に優れることから、主骨格がポリアクリロニトリル、ポリイミド又はポリアミドイミドである有機結着剤が好ましく、後述するように負極作製時の熱処理温度が低く、電極の柔軟性が優れることから、主骨格がポリアクリロニトリルである有機結着剤が更に好ましい。ポリアクリロニトリルを主骨格とする有機結着剤としては、例えば、ポリアクリロニトリル骨格に、接着性を付与するアクリル酸及び柔軟性を付与する直鎖エーテル基を付加した製品(LSR7(商品名)、日立化成株式会社等)が使用できる。
リチウムイオン二次電池負極材料の負極材層中の有機結着剤の含有比率は、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.2質量%〜20質量%であることがより好ましく、0.3質量%〜15質量%であることが更に好ましい。
有機結着剤の含有比率が0.1質量%以上であることで、密着性が良好で、充放電時の膨張及び収縮によって負極が破壊されることが抑制される。一方、20質量%以下であることで、電極抵抗が大きくなることを抑制できる。
更に、粘度を調整するための増粘剤として、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等を、前述した有機結着剤と共に使用してもよい。
有機結着剤の混合の際に必要に応じて溶剤を用いてもよい。溶剤は、特に制限されず、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン等が用いられる。
なお、塗布液には導電助剤を添加してもよい。導電助剤としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、導電性を示す酸化物、導電性を示す窒化物等が挙げられる。これらの導電助剤は1種単独で又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。導電助剤の含有率は、負極材層(100質量%)中0.1質量%〜20質量%であることが好ましい。
また、集電体の材質は、特に限定されず、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼、ポーラスメタル(発泡メタル)、カーボンペーパー等が挙げられる。集電体の形状は、特に限定されず、箔状、穴開け箔状、メッシュ状等が挙げられる。
上記塗布液を集電体に塗布する方法は、特に限定されず、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。塗布後は、必要に応じて平板プレス、カレンダーロール等による加圧処理を行うことが好ましい。
また、シート状、ペレット状等の形状に成形された塗布液と集電体との一体化は、例えば、ロールによる一体化、プレスによる一体化及びこれらの組み合わせによる一体化により行うことができる。
集電体上に形成された負極材層又は集電体と一体化した負極材層は、用いた有機結着剤に応じて熱処理することが好ましい。例えば、ポリアクリロニトリルを主骨格とした有機結着剤を用いる場合は、100℃〜180℃で熱処理することが好ましく、ポリイミド又はポリアミドイミドを主骨格とした有機結着剤を用いる場合には、150℃〜450℃で熱処理することが好ましい。
この熱処理により溶媒の除去及び有機結着剤の硬化による高強度化が進み、負極材料間の密着性及び負極材料と集電体との間の密着性を向上できる。なお、これらの熱処理は、処理中の集電体の酸化を防ぐため、ヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気又は真空雰囲気で行うことが好ましい。
また、熱処理する前に、負極はプレス(加圧処理)しておくことが好ましい。加圧処理することで電極密度を調整することができる。本発明のリチウムイオン二次電池用負極では、電極密度が1.4g/cm〜1.9g/cmであることが好ましく、1.5g/cm〜1.85g/cmであることがより好ましく、1.6g/cm〜1.8g/cmであることが更に好ましい。電極密度については、その値が高いほど負極の体積容量が向上する傾向があり、また、負極材料間の密着性及び負極材料と集電体との間の密着性が向上する傾向がある。
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極と、本発明の負極と、電解質と、を備える。
本発明の負極は、例えば、セパレータを介して正極を対向して配置し、電解質を含む電解液を注入することにより、リチウムイオン二次電池とすることができる。
正極は、本発明の負極と同様にして、集電体表面上に正極層を形成することで得ることができる。正極における集電体には、本発明の負極で説明した集電体と同様のものを用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の正極に用いられる材料(正極材料ともいう)については、リチウムイオンをドーピング又はインターカレーション可能な化合物であればよく、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)等が挙げられる。
正極は、上記の正極材料と、ポリフッ化ビニリデン等の有機結着剤と、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチルラクトン等の溶媒とを混合して正極塗布液を調製し、この正極塗布液をアルミニウム箔等の集電体の少なくとも一方の面に塗布し、次いで溶媒を乾燥除去し、必要に応じて加圧処理して作製することができる。
なお、正極塗布液には導電助剤を添加してもよい。導電助剤としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、導電性を示す酸化物、導電性を示す窒化物等が挙げられる。これらの導電助剤は1種単独で又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池に用いられる電解液は、特に制限されず、公知のものを用いることができる。例えば、電解液として、有機溶剤に電解質を溶解させた溶液を用いることにより、非水系リチウムイオン二次電池を製造することができる。
電解質としては、LiPF、LiClO、LiBF、LiClF、LiAsF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiC(CFSO、LiCl、LiI等が挙げられる。
有機溶剤としては、電解質を溶解できればよく、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ビニルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
セパレータとしては、公知の各種セパレータを用いることができる。具体的には、紙製セパレータ、ポリプロピレン製セパレータ、ポリエチレン製セパレータ、ガラス繊維製セパレータ等が挙げられる。
リチウムイオン二次電池の製造方法は、特に制限されない。例えば、以下の工程により製造することができる。まず正極と負極の2つの電極を、セパレータを介して捲回する。得られたスパイラル状の捲回群を電池缶に挿入し、予め負極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池缶底に溶接する。得られた電池缶に電解液を注入し、更に予め正極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池の蓋に溶接し、蓋を絶縁性のガスケットを介して電池缶の上部に配置し、蓋と電池缶とが接した部分をかしめて密閉することによって電池を得る。
本発明のリチウムイオン二次電池の形態は、特に限定されず、ペーパー型電池、ボタン型電池、コイン型電池、積層型電池、円筒型電池、角型電池等のリチウムイオン二次電池が挙げられる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料は、リチウムイオン二次電池用に限らず、リチウムイオンを挿入脱離することを充放電機構とする電気化学装置全般に適用することが可能である。
以下、合成例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限するものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[実施例1]
(負極材料の作製)
塊状の酸化ケイ素(株式会社高純度化学研究所、規格:10mm〜30mm角)を乳鉢により粗粉砕しケイ素酸化物粒子を得た。このケイ素酸化物粒子を振動ミル(小型振動ミルNB−0、日陶科学(株)製)によって更に粉砕した後、300M(300メッシュ)の試験篩で整粒し、平均粒子径D50が5μmのケイ素酸化物粒子を得た。平均粒子径の測定は、以下の方法で行った。
<平均粒子径の測定>
測定試料(5mg)を界面活性剤(エソミンT/15、ライオン株式会社)0.01質量%水溶液中に入れ、振動攪拌機で分散した。得られた分散液をレーザー回折式粒度分布測定装置(SALD3000J、株式会社島津製作所)の試料水槽に入れ、超音波をかけながらポンプで循環させ、レーザー回折式で測定した。測定条件は下記の通りとした。得られた粒度分布の体積累積50%粒径(D50%)を平均粒子径とした。
・光源:赤色半導体レーザー(690nm)
・吸光度:0.10〜0.15
・屈折率:2.00−0.20
得られたケイ素酸化物粒子950gと、石炭系ピッチ(固定炭素50%)50gを混合装置(ロッキングミキサーRM−10G、愛知電機株式会社)に投入し、5分間混合した後、アルミナ製の熱処理容器に充填した。熱処理容器に充填した後、これを雰囲気焼成炉において、窒素雰囲気下で、1000℃、5時間熱処理し、熱処理物を得た。
得られた熱処理物を乳鉢により解砕し、300M(300メッシュ)の試験篩により篩い分けしてSiO−C粒子を得た。次いで、純水1リットルに対し有機物としてプルランを0.7g溶解後、100gのSiO−C粒子を投入し、ホモナイザーで10分間撹拌し、分散処理を行った。その後、トレハロース0.1gを投入し、150℃の恒温槽中で12時間乾燥させて、負極材料である有機物が付着したSiO−C粒子を得た。
<炭素の単体の含有率の測定方法>
負極材料の炭素の単体の含有率を高周波焼成−赤外分析法にて測定した。高周波焼成−赤外分析法は、高周波炉にて酸素気流で試料を加熱燃焼させ、試料中の炭素及び硫黄をそれぞれCO及びSOに変換し、赤外線吸収法によって定量する分析方法である。測定装置及び測定条件等は下記の通りである。なお、付着している有機物は、予め300℃、2時間熱処理して除去した。
・装置:炭素硫黄同時分析装置(CSLS600、LECOジャパン合同会社)
・周波数:18MHz
・高周波出力:1600W
・試料質量:約0.05g
・分析時間:装置の設定モードで自動モードを使用
・助燃材:Fe+W/Sn
・標準試料:Leco501−024(C:3.03%±0.04% S:0.055%±0.002%)
・測定回数:2回(表1中の炭素含有率の値は2回の測定値の平均値である)
<有機物の含有率の測定方法>
得られた負極材料を大気下の電気炉で、300℃で2時間加熱し、加熱前後の質量を測定した。加熱前の質量(A)は1.0000gであり、加熱後の質量(B)は0.9926gであり、質量の変化率は0.74%であった。
<R値の測定>
ラマンスペクトル測定装置(NSR−1000型、日本分光株式会社)を用い、得られたスペクトルは下記範囲をベースラインとし、負極材料の分析を行った。測定条件は、下記の通りとした。
・レーザー波長:532nm
・照射強度:1.5mW(レーザーパワーモニターでの測定値)
・照射時間:60秒
・照射面積:4μm
・測定範囲:830cm−1〜1940cm−1
・ベースライン:1050cm−1〜1750cm−1
なお、得られたスペクトルの波数は、基準物質インデン(和光一級、和光純薬工業株式会社)を前記と同一条件で測定して得られる各ピークの波数と、インデンの各ピークの波数理論値との差から求めた検量線を用いて補正した。
補正後に得られたプロファイルの中で、1360cm−1付近に現れるピークの強度をId、1580cm−1付近に現れるピークの強度をIgとし、その両ピークの強度比Id/Ig(D/G)をR値として求めた。
<BET比表面積の測定>
高速比表面積/細孔分布測定装置(ASAP2020、マイクロメリティックスジャパン合同会社)を用い、液体窒素温度(77K)での窒素吸着を5点法で測定しBET法(相対圧範囲:0.05〜0.2)より算出した。
<ケイ素の結晶子の大きさの測定>
粉末X線回折測定装置(MultiFlex(2kW)、株式会社リガク)を用いて負極材料の分析を行った。ケイ素の結晶子の大きさは、2θ=28.4°付近に存在するSi(111)の結晶面に帰属されるピークの半値幅から、Scherrerの式を用いて算出した。測定条件は下記の通りとした。
・線源:CuKα線(波長:0.154056nm)
・測定範囲:2θ=10°〜40°
・サンプリングステップ幅:0.02°
・スキャンスピード:1°/分
・管電流:40mA
・管電圧:40kV
・発散スリット:1°
・散乱スリット:1°
・受光スリット:0.3mm
なお、得られたプロファイルは、上記装置に付属の構造解析ソフト(JADE6、株式会社リガク)を用いて下記の設定で、バックグラウンド(BG)除去及びピーク分離した。
[Kα2ピーク除去及びバックグラウンド除去]
・Kα1/Kα2強度比:2.0
・BG点からのBGカーブ上下(σ):0.0
[ピークの指定]
・Si(111)に帰属するピーク:28.4°±0.3°
・SiOに帰属するピーク:21°±0.3°
[ピーク分離]
・プロファイル形状関数:Pseudo−Voigt
・バックグラウンド固定
上記設定により構造解析ソフトから導き出されたSi(111)に帰属するピークの半値幅を読み取り、下記Scherrerの式よりケイ素の結晶子の大きさを算出した。
D=Kλ/B cosθ
B=(Bobs −b1/2
D:結晶子の大きさ(nm)
K:Scherrer定数(0.94)
λ:線源波長(0.154056nm)
θ:測定半値幅ピーク角度
obs:半値幅(構造解析ソフトから得られた測定値)
b:標準ケイ素(Si)の測定半値幅
(負極の作製方法)
上記手法で作製した負極材料の粉末(97.6質量部)、カルボキシメチルセルロース(CMC)(1.2質量部)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR、1.2質量部)を混練し、均一なスラリーを作製した。このスラリーを、電解銅箔の光沢面に塗布量が10mg/cmとなるように塗布し、90℃、2時間で予備乾燥させた後、ロールプレスで密度1.65g/cmになるように調整した。その後、真空雰囲気下で、120℃で4時間乾燥させることによって硬化処理を行い、負極を得た。
(リチウムイオン二次電池の作製)
上記で得られた電極を負極とし、対極として金属リチウム、電解液として1MのLiPFを含むエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)及びエチルメチルメチルカーボネート(EMC)(体積比1:1:1)とビニレンカーボネート(VC)(1.0質量%)の混合液、セパレータとして厚さ25μmのポリエチレン製微孔膜、スペーサーとして厚さ250μmの銅板を用いて2016型コインセルを作製した。
(電池評価)
<初回放電容量、初期の充放電効率>
上記で得られた電池を、25℃に保持した恒温槽に入れ、0.45mA/cmで0Vになるまで定電流充電を行った後、0Vの定電圧で電流が0.09mA/cmに相当する値に減衰するまで更に充電し、初回充電容量を測定した。充電後、30分間の休止を入れたのちに放電を行った。放電は0.45mA/cmで1.5Vになるまで行い、初回放電容量を測定した。このとき、容量は用いた負極材料の質量あたりに換算した。初回放電容量を初回充電容量で割った値を初期の充放電効率(%)として算出した。結果を表1に示す。
<貯蔵特性(寿命:維持率及び回復率)>
上記で得られた各電池を25℃に保持した恒温槽に入れ、0.45mA/cmで0Vになるまで定電流充電を行った後、0Vの定電圧で電流が0.09mA/cmに相当する値に減衰するまで更に充電した。充電後、30分間の休止を入れた後、放電を行った。放電は0.45mA/cmで1.5Vになるまで行った。
次に、上記と同条件で2サイクル目の充電をした後、充電状態のまま電池を70℃に保持した恒温槽に入れ、72時間に保管した。その後、再度25℃に保持した恒温槽に入れ、0.45mA/cmで1.5Vになるまで放電を行った。初回の放電容量に対して、70℃保管直後の放電容量の比率を、貯蔵特性の維持率とした。
次いで、25℃の恒温槽で、上記と同条件で3サイクル目の充放電試験を行った。初回の放電容量に対する3サイクル目の放電容量の比率(3サイクル目の放電容量/初回の放電容量)を、貯蔵特性の回復率とした。
<サイクル特性(10サイクル容量維持率)>
上記で得られた各電池を、25℃に保持した恒温槽に入れ、0.45mA/cmで0Vになるまで定電流充電を行った後、0Vの定電圧で電流が0.09mA/cmに相当する値に減衰するまで更に充電した。充電後、30分間の休止を入れた後放電を行った。放電は0.45mA/cmで1.5Vになるまで行った。この充電―放電を1サイクルとし、10回サイクル試験を行った。1サイクル目の放電容量に対する10サイクル目の放電容量(10サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)によってサイクル特性の評価を行った。
[比較例1]
篩い分けした熱処理物に有機物を付着させる工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして2016型コインセルを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。表中の「負極材料の平均粒子径」は、SiO−C粒子(有機物が付着している場合は有機物が付着した状態のSiO−C粒子)の平均粒子径である。
表1に示すように、SiO−C粒子に有機物を付着させた実施例1のBET比表面積は1.3m/gであり、SiO−C粒子に有機物を付着させていない比較例1の3.2m/gよりも小さかった。さらに、実施例1のリチウムイオン二次電池の回復率は97.5%であり、比較例1の96.3%よりも大きかった。以上の結果より、SiO−C粒子に有機物を付着させて負極材料のBET比表面積が減少することが、リチウムイオン二次電池の回復率の向上に関係していると考えられる。
[参考例1]
SiO−C粒子に有機物を付着させる工程を行わなかったことと、電解液として1MのLiPFを含むエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)及びエチルメチルメチルカーボネート(EMC)(体積比1:1:1)の混合液を使用した以外は実施例1と同様にして2016型コインセルを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
[参考例2]
電解液として1MのLiPFを含むエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)及びエチルメチルメチルカーボネート(EMC)(体積比1:1:1)の混合液を使用した以外は実施例1と同様にして2016型コインセルを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
[参考例3]
電解液として、フルオロエチレンカーボネート(FEC)(1.0質量%)をさらに含む混合液を使用した以外は参考例1と同様にして2016型コインセルを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
[参考例4]
電解液として、フルオロエチレンカーボネート(FEC)(1.0質量%)をさらに含む混合液を使用した以外は参考例2と同様にして2016型コインセルを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
参考例1と参考例3の比較に示すように、電解液がFECを含む場合は含まない場合に比べて容量維持率が高く、サイクル特性に優れていた。他方、参考例1と参考例2の比較に示すように、SiO−C粒子に有機物が付着している場合は有機物が付着していない場合に比べて容量維持率が高く、サイクル特性に優れていた。さらに、SiO−C粒子に有機物が付着している場合の容量維持率の向上の度合いは電解液がFECを含む場合の容量維持率の向上の度合いと比較しても遜色ないものであった。以上より、本発明の負極材料を用いることにより、電解液にFECを添加しなくても容量維持率を充分に高くでき、サイクル特性が向上することがわかった。また、参考例3と参考例4の比較に示すように、本発明の負極材料を用いることにより電解液にFECを添加しただけでは達成できないサイクル特性の向上効果が得られることがわかった。
10 炭素の単体
12 炭素の単体の粒子
16 有機物
20 ケイ素酸化物粒子

Claims (6)

  1. ケイ素酸化物粒子と、前記ケイ素酸化物粒子の表面の一部又は全部に存在し、R値が0.5以上1.5以下である炭素の単体と、前記炭素の単体が表面に存在するケイ素酸化物粒子の表面の一部又は全部を被覆している有機物と、を含み、
    前記有機物が、多糖、ゼラチン、カゼイン及び水溶性ポリエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1つである第一成分と、単糖、二糖、オリゴ糖、アミノ酸、没食子酸、タンニン、サッカリン、サッカリンの塩及びブチンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1つである第二成分とを含み、
    前記有機物の含有率は負極材料全体中に0.1質量%〜2.0質量%であるリチウムイオン二次電池用負極材料。
  2. 前記有機物がカルボキシル基及びヒドロキシ基からなる群より選択される少なくとも1つを有する水溶性有機物を含む、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
  3. 前記炭素の単体の含有率が、ケイ素酸化物粒子と炭素の単体の合計量の0.5質量%〜10.0質量%である、請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
  4. CuKα線を線源とするX線回折スペクトルにおいてSi(111)に帰属される回折ピークを有し、前記回折ピークから算出されるケイ素の結晶子の大きさが2.0nm〜8.0nmである、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
  5. 集電体と、前記集電体上に設けられる、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の負極材料を含む負極材層と、を有するリチウムイオン二次電池用負極。
  6. 正極と、請求項に記載のリチウムイオン二次電池用負極と、電解質と、を備えるリチウムイオン二次電池。
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