JP4509247B2 - シリコーン含有ポリイミド樹脂、シリコーン含有ポリアミック酸およびそれらの製造方法 - Google Patents
シリコーン含有ポリイミド樹脂、シリコーン含有ポリアミック酸およびそれらの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシリコーン含有ポリイミド樹脂、シリコーン含有ポリアミック酸およびそれらの製造方法に関し、詳しくは、耐熱性と可撓性に優れたシリコーン含有ポリイミド樹脂、該ポリイミド樹脂の原料となるシリコーン含有ポリアミック酸およびそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミド樹脂は機械特性,耐熱性等に優れていることから、成形材料,フィルム,コーティング剤として広く使用されている。しかしポリイミド樹脂は、一般に、成形加工性、可撓性、溶剤溶解性に劣るため、ソフトセグメントとして分子鎖両末端にアミノ基を有するポリオルガノシロキサンを共重合させる方法が提案されている(特開平4−36321号公報参照)。しかし、このようにして得られたシリコーン含有ポリイミド樹脂は、ポリオルガノシロキサン鎖が長いために、高温環境下ではポリオルガノシロキサン鎖の解裂反応により低分子量の環状シロキサンが発生し、その結果、耐熱性が低下するという問題点があった。このため、ケイ素原子数が2個のジシロキサン鎖を共重合させたシリコーン含有ポリイミド樹脂が提案されている(特開昭58−27722号公報および特開昭61−118424号公報参照)が、2個のケイ素原子では可撓性の改善効果が不十分であるという欠点があった。これらのことから、優れた耐熱性と可撓性を有するポリイミド樹脂が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の化学構造を有するオルガノシロキサンを共重合させることにより上記問題点を解決できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の目的は、耐熱性と可撓性に優れたシリコーン含有ポリイミド樹脂、該ポリイミド樹脂の原料となるシリコーン含有ポリアミック酸およびそれらの製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記構造式(1)で表わされる構成単位0.1〜100モル%と構造式(2)で表わされる構成単位99.9〜0モル%からなるシリコーン含有ポリイミド樹脂と、
構造式(1):
【化13】
(式中、Ar1は少なくとも1個の芳香族環を有する4価の有機基であり、Rは脂肪族不飽和結合を含まない同種もしくは異種の1価炭化水素基であり、Xは炭素原子数2以上のアルキレン基またはアルキレンオキシアルキレン基であり、mおよびnは0または1〜3の整数であり、かつ、(m+n)は1〜6の整数である。)
構造式(2):
【化14】
(式中、Ar2は少なくとも1個の芳香族環を有する4価の有機基であり、Ar3は少なくとも1個の芳香族環を有する2価の有機基である。)
下記構造式(A)で表わされる構成単位0.1〜100モル%と構造式(B)で表わされる構成単位99.9〜0モル%からなるシリコーン含有ポリアミック酸、および、それらの製造方法に関する。
構造式(A):
【化15】
[式中、Ar1,R,X,mおよびnは前記と同じであり、Zは水素原子または式:−SiR3(式中、Rは前記と同じである。)で表されるシリル基である。]
構造式(B):
【化16】
(式中、Ar2およびAr3は前記と同じである。)
【0005】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明のシリコーン含有ポリイミド樹脂について説明する。
本発明のシリコーン含有ポリイミド樹脂は、下記構造式(1)で表わされる構成単位のみ、または下記構造式(1)および(2)で表わされる構成単位から構成される。
構造式(1):
【化17】
構造式(2):
【化18】
上式中、Ar1およびAr2は少なくとも1個の芳香族環を有する4価の有機基であり、下記式で表される基が例示される。
【化19】
【化20】
これらの中でも下記式で示される基が好ましい。
【化21】
Ar3は少なくとも1個の芳香族環を有する2価の有機基であり、下記式で示される基が例示される。
【化22】
【化23】
これらの中でも、下記式で示される基が好ましい。
【化24】
Rは脂肪族不飽和結合を含まない同種もしくは異種の1価炭化水素基であり、具体的には、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基,トリル基,キシリル基等のアリール基;ベンジル基,フェネチル基等のアラルキル基が例示される。Xは炭素原子数2以上のアルキレン基またはアルキレンオキシアルキレン基であり、具体的には、エチレン基,プロピレン基,ブチレン基,ペンチレン基,ヘキシレン基,エチレンオキシプロピレン基,エチレンオキシブチレン基が例示される。 mおよびnは0または1〜3の整数であり、かつ、(m+n)は1〜6の整数であることが必要である。中でも(m+n)は2であることが好ましく、このときのmとnは1であることがより好ましい。
【0006】
本発明のシリコーン含有ポリイミド樹脂において、上記構成単位の共重合比率は、構造式(1)で表される構成単位:構造式(2)で表される構成単位が、0.1〜100:99.9〜0モル%の範囲であり、好ましくは1〜100:99〜0モル%の範囲である。またこのシリコーン含有ポリイミド樹脂の25℃における性状は固体状であるが、使用時に溶媒に溶解させて液状としてもよい。その固有粘度(N−メチルピロリドン溶液の25℃における測定値)は、通常、0.1〜3.0dl/gの範囲であり、好ましくは、0.2〜2.0dl/gの範囲である。
【0007】
本発明のシリコーン含有ポリイミド樹脂は、例えば、下記構造式(A)で表わされる構成単位0.1〜100モル%と構造式(B)で表わされる構成単位99.9〜0モル%からなる本発明のシリコーン含有ポリアミック酸を、加熱脱水環化してイミド化することにより製造することができる。
構造式(A):
【化25】
構造式(B):
【化26】
上式中、Ar1,Ar2,Ar3,R,X,mおよびnは前記と同じである。Zは水素原子または式:−SiR3(式中、Rは前記と同じである。)で表されるシリル基である。加熱脱水環化する方法としては、該ポリアミック酸の溶液を直接基材に塗布して加熱処理してフィルム状にする方法や、該ポリアミック酸に水と相溶しない非極性の有機溶媒を配合して共沸脱水を行った後、生成した水を除去してから基材に塗布して加熱処理する方法が挙げられる。このときの加熱処理条件は50〜400℃の温度範囲であることが好ましい。またこのシリコーン含有ポリアミック酸の固有粘度(N−メチルピロリドン溶液の25℃における測定値)は、通常、0.1〜3.0dl/gの範囲であり、好ましくは、0.2〜2.0dl/gの範囲である。
【0008】
また、本発明のシリコーン含有ポリアミック酸は、例えば、下記構造式(C)で表されるテトラカルボン酸2無水物と、構造式(D)および(E)で表される2価アミン系化合物とを重合させることにより製造することができる。
構造式(C):
【化27】
構造式(D):
【化28】
構造式(E):H2N−Ar3−NH2
上式中、Ar4は上記Ar 1 または上記Ar 2 と同じであり、少なくとも1個の芳香族環を有する4価の有機基であり、前記Ar1およびAr2で例示したのと同じ基が挙げられる。Ar 3 は少なくとも1個の芳香族環を有する2価の有機基であり、前記で例示したのと同じ基が挙げられる。R,X,Z,mおよびnは前記と同じである。
【0009】
上記構造式(C)で表されるテトラカルボン酸2無水物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【化29】
【化30】
【0010】
上記構造式(D)で表されるシリコーン系2価アミン系化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【化31】
このシリコーン系2価アミン系化合物は、例えば、式:
【化32】
[式中、Rは前記と同じであり、cは(m+n)である。]で表されるケイ素原子結合水素原子含有環状オルガノシロキサンとトリメチルシリルアリルアミンとを白金系触媒の存在下で付加反応させた後、脱トリメチルシリル化することにより製造することができる(特開平4−323222号公報参照)。
【0011】
上記構造式(E)で表される2価アミン系化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
【化33】
【化34】
【0012】
上記構造式(C)で表されるテトラカルボン酸2無水物と構造式(D)および(E)で表される2価アミン系化合物との重合反応は従来周知の方法で行うことができる。例えば、0〜80℃の低温度条件下、該テトラカルボン酸2無水物と2価アミン系化合物とを極性溶媒中で反応させる方法が挙げられる。このときの添加順序は特に限定されないが、例えば、テトラカルボン酸2無水物を極性溶媒中に投入し、次いで構造式(D)で表されるシリコーン系2価アミン系化合物を加えて反応させた後、構造式(E)で表される2価アミン系化合物をそのまま、または極性溶媒溶液として投入して反応させる方法が好ましい。上記反応において使用される極性溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン,N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,ジメチルスルホキシド,テトラヒドロフラン等またはそれらの混合物が用いられる。またこれらの不活性溶媒に加えて、構造式(D)で表されるシリコーン系2価アミン系化合物の溶解性を高める目的で、非極性の溶媒、例えば、トルエン,キシレン等を適宜加えてもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲であれば、さらに下記構造式(F)で表される直鎖状のシリコーン系2価アミン系化合物等を加えてもよい。構造式(F):
【化35】
上式中、Rは前記と同じであり、Wは炭素原子数2以上の置換もしくは非置換の2価炭化水素基であり、pは0〜80である。さらに、末端停止剤あるいは分子量調節剤として、無水フタル酸等の2価カルボン酸無水物やアニリン等の1価アミン系化合物を使用してもよい。
【0013】
以上のような本発明のシリコーン含有ポリイミド樹脂は、ポリイミド樹脂本来の優れた機械特性,耐熱性,可撓性を有する上に、撥水性,密着性,溶剤溶解性,成形加工性が良好であるという利点を有する。特に、共重合成分である特定の環状オルガノシロキサンが高温環境下でも揮発しないため、耐熱性と可撓性の両方に優れるという特徴を有する。このため、本発明のシリコーン含有ポリイミド樹脂は、コーテイング用,フィルム用,成形用,接着剤として好適に使用される。
【0014】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明する。実施例中、粘度は25℃における測定値である。尚、得られたポリイミド樹脂の熱分解温度,接触角,弾性率は下記の方法に従って測定した。
○熱分解温度 熱重量分析装置[島津製作所製;TGA−50]を用いて、窒素気流下、15℃/分の昇温速度でポリイミド樹脂を加熱し、加熱減量が1重量%となった温度と5重量%となった温度を測定して、これらを熱分解温度とした。○接触角 厚さ約60μmの試料を作製し、これの水に対する接触角を、自動接触角計(協和界面科学社製;CA−Z型)を用いて測定した。
○弾性率 厚さ約60μm、幅1mmの試料を作製し、これを引張試験機(オリエンテック社製;RTC−1325A)を用いてクロスヘッド50mm/分で引っ張り、変位が1%での弾性率を測定した。
【0015】
【実施例1】
窒素気流下、攪拌機,滴下ロート,温度計を備えた500mlの4つ口フラスコに、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物17.59gを仕込み、乾燥したN−メチルピロリドン120gを加えて溶解した。次いで室温下、乾燥した式:
【化36】
で表されるシリコーン系2価アミン系化合物の混合物8.00g(混合比率 50:50 mol%)を滴下した。滴下終了後、室温下で1時間攪拌した。次いでこれに、2,2−ビス(2−ジアミノフェノキシフェニル)プロパン14.52gを乾燥したN−メチルピロリドン80gに溶解した溶液を、氷冷下で徐々に滴下した。滴下終了後、氷冷下で1時間攪拌し、さらに室温下で4時間攪拌を行って、下記構造式(A−1)、(A−2)および(B)で表される構成単位からなるシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を得た。
【化37】
上記構造式(A−1)で表される構成単位:構造式(A−2)で表される構成単位:構造式(B)で表される構成単位の共重合比(モル%)は17.5:17.5:65であった。このようにして得られたシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン中の固有粘度を測定したところ、0.35dl/gであった。
このシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液をテフロン基板上に塗布して、窒素気流下で100℃から180℃まで徐々に加熱してフィルムを作成した。次いでこのフィルムをテフロン板からはがしてガラス支持台上に移し、窒素気流下で200℃から300℃まで徐々に加熱して、下記構造式(1)、(2)および(3)で表される構成単位からなるフィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂を得た。
【化38】
上記構造式(1)で表される構成単位:構造式(2)で表される構成単位:構造式(3)で表される構成単位の共重合比(モル比)は17.5:17.5:65であった。このようにして得られたシリコーン含有ポリイミド樹脂フィルムの外観を目視にて測定した。またその熱分解温度、接触角および弾性率を測定し、これらの結果を表1に示した。
【0016】
【比較例1】
窒素気流下、攪拌機,滴下ロート,温度計を備えた500mlの4つ口フラスコに、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物19.9gを仕込み、乾燥したN−メチルピロリドン120gを加えて溶解した。次いで、室温下にて、式:
【化39】
で表されるシリコーン系2価アミン系化合物8.00gを徐々に滴下した。滴下終了後、1時間攪拌した。次いでこれに、2,2−ビス(2−ジアミノフェノキシフェニル)プロパン12.10gを乾燥したN−メチルピロリドン80gに溶解した溶液を、氷冷下で徐々に滴下した。滴下終了後、氷冷下で1時間攪拌し、さらに室温下で4時間攪拌を行って、下記構造式(A)および(B)で表される構成単位からなるシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を得た。
【化40】
上記構造式(A)で表される構成単位:構造式(B)で表される構成単位の共重合比(モル比)は52:48であった。このようにして得られたシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン中の固有粘度を測定したところ、0.4dl/gであった。
このシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液をテフロン基板上に塗布して、窒素気流下で100℃から180℃まで徐々に加熱してフィルムを作成した。次いでこのフィルムをテフロン板からはがしてガラス支持台上に移し、窒素気流下で200℃から300℃まで徐々に加熱して、下記構造式(1)および(2)で表される構成単位からなるフィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂を得た。
【化41】
上記構造式(1)で表される構成単位:構造式(2)で表される構成単位の共重合比(モル比)は52:48であった。このようにして得られたシリコーン含有ポリイミド樹脂フィルムの外観を目視にて測定した。またその熱分解温度、接触角および弾性率を測定し、これらの結果を表1に示した。
【0017】
【比較例2】
窒素気流下、攪拌機,滴下ロート,温度計を備えた500mlの4つ口フラスコに、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物16.12gを仕込み、乾燥したN−メチルピロリドン120gを加えて溶解した。次いでこれに、2,2−ビス(2−ジアミノフェノキシフェニル)プロパン20.52gを乾燥したN−メチルピロリドン80gに溶解した溶液を、氷冷下で徐々に滴下した。滴下終了後、氷冷下で1時間攪拌し、さらに室温下で4時間攪拌を行って、下記構造式(A)で表される構成単位からなるポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を得た。
【化42】
このようにして得られたポリアミック酸のN−メチルピロリドン中の固有粘度を測定したところ、 0.4 dl/gであった。
このポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液をテフロン基板上に塗布して、窒素気流下で100℃から180℃まで徐々に加熱してフィルムを作成した。次いでこのフィルムをテフロン板からはがしてガラス支持台上に移し、窒素気流下で200℃から300℃まで徐々に加熱して、下記構造式(1)で表される構成単位からなるフィルム状のポリイミド樹脂を得た。
【化43】
このようにして得られたポリイミド樹脂フィルムの外観を目視にて測定した。またその熱分解温度、接触角および弾性率を測定し、これらの結果を表1に示した。
【0018】
【比較例3】
窒素気流下、攪拌機,滴下ロート,温度計を備えた500mlの4つ口フラスコに、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物15.59gを仕込み、乾燥したN−メチルピロリドン120gを加えて溶解した。次いで、室温下にて、式:
【化44】
で表されるシリコーン系2価アミン系化合物8.00gを徐々に滴下した。滴下終了後、1時間攪拌した。次いでこれに、2,2−ビス(2−ジアミノフェノキシフェニル)プロパン16.41gを乾燥したN−メチルピロリドン80gに溶解した溶液を、氷冷下で徐々に滴下した。滴下終了後、氷冷下で1時間攪拌し、さらに室温下で4時間攪拌を行って、下記構造式(A)および(B)で表される構成単位からなるシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を得た。
【化45】
上記構造式(A)で表される構成単位:構造式(B)で表される構成単位の共重合比(モル比)は17:83であった。このようにして得られたシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン中の固有粘度を測定したところ、 0.35 dl/gであった。
このシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液をテフロン基板上に塗布して、窒素気流下で100℃から180℃まで徐々に加熱してフィルムを作成した。次いでこのフィルムをテフロン板からはがしてガラス支持台上に移し、窒素気流下で200℃から300℃まで徐々に加熱して、下記構造式(1)および(2)で表される構成単位からなるフィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂を得た。
【化46】
上記構造式(1)で表される構成単位:構造式(2)で表される構成単位の共重合比(モル比)は17:83であった。このようにして得られたシリコーン含有ポリイミド樹脂フィルムの外観を目視にて測定した。またその熱分解温度、接触角および弾性率を測定し、これらの結果を表1に示した。
【0019】
【実施例2】
窒素気流下、攪拌機,滴下ロート,温度計を備えた500mlの4つ口フラスコに、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸2無水物17.42gを仕込み、乾燥したN−メチルピロリドン120gを加えて溶解した。次いで室温下、乾燥した式:
【化47】
で表されるシリコーン系2価アミン系化合物の混合物12.00g(混合比率 50:50 mol%)を滴下した。滴下終了後、室温下で1時間攪拌した。次いでこれに、2,2−ビス(2−ジアミノフェノキシフェニル)プロパン10.58gを乾燥したN−メチルピロリドン80gに溶解した溶液を、氷冷下で徐々に滴下した。滴下終了後、氷冷下で1時間攪拌し、さらに室温下で4時間攪拌を行って、下記構造式(A−1)、(A−2)および(B)で表される構成単位からなるシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液を得た。
【化48】
上記構造式(A−1)で表される構成単位:構造式(A−2)で表される構成単位:構造式(B)で表される構成単位の共重合比(モル%)は26:26:48であった。このようにして得られたシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン中の固有粘度を測定したところ、0.3dl/gであった。
このシリコーン含有ポリアミック酸のN−メチルピロリドン溶液をテフロン基板上に塗布して、窒素気流下で100℃から180℃まで徐々に加熱してフィルムを作成した。次いでこのフィルムをテフロン板からはがしてガラス支持台上に移し、窒素気流下で200℃から300℃まで徐々に加熱して、下記構造式(1)、(2)および(3)で表される構成単位からなるフィルム状のシリコーン含有ポリイミド樹脂を得た。
【化49】
上記構造式(1)で表される構成単位:構造式(2)で表される構成単位:構造式(3)で表される構成単位の共重合比(モル比)は26:26:48であった。このようにして得られたシリコーン含有ポリイミド樹脂フィルムの外観を目視にて測定した。またその熱分解温度、接触角および弾性率を測定し、これらの結果を表1に示した。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】
本発明のシリコーン含有ポリイミド樹脂は、上記構造式(1)で表される構成単位のみ、または上記構造式(1)および(2)で表される構成単位からなり、分子中に環状のオルガノシロキサンを含有しているので、耐熱性と可撓性に優れるという特徴を有する。そしてこのシリコーン含有ポリイミド樹脂は、本発明のシリコーン含有ポリアミック酸をイミド化することにより効率よく製造できるという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1で製造したシリコーン含有ポリイミド樹脂のIRチャートである。
Claims (6)
- 下記構造式(1)で表わされる構成単位0.1〜100モル%と構造式(2)で表わされる構成単位99.9〜0モル%からなり、固有粘度(N−メチルピロリドン溶液の25℃における測定値)が0.1〜3.0dl/gの範囲であるシリコーン含有ポリイミド樹脂。
構造式(1):
構造式(2):
- 下記構造式(A)で表わされる構成単位0.1〜100モル%と構造式(B)で表わされる構成単位99.9〜0モル%からなり、固有粘度(N−メチルピロリドン溶液の25℃における測定値)が0.1〜3.0dl/gの範囲であるシリコーン含有ポリアミック酸。
構造式(A):
構造式(B):
- 下記構造式(A)で表わされる構成単位0.1〜100モル%と構造式(B)で表わされる構成単位99.9〜0モル%からなるシリコーン含有ポリアミック酸を加熱脱水環化してイミド化することを特徴とする、請求項1に記載のシリコーン含有ポリイミド樹脂の製造方法。
構造式(A):
構造式(B):
- 構造式(C):
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