JP4506912B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機やスロットマシンに代表される遊技機に関し、特に、電源の切断によって有価物体の払い出しが中断されても、その払い出しを確実に行うことができる遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ機の遊技の制御は、主に主制御基板により行われる。この主制御基板には、賞球や貸し球の払い出し制御を行う払出制御基板や、効果音の出力制御を行う効果音制御基板、図柄の変動表示等の表示制御を行う表示用制御基板などが接続されている。これら各制御基板の制御は、主制御基板から各制御基板へ一方向に送信されるコマンドにより行われる。
【0003】
賞球の払い出しは、停電等の発生によってパチンコ機の電源が突然切断された場合にも確実に行う必要がある。そこで、本願出願人は、払出制御基板のデータをパチンコ機の電源切断後も保持し(バックアップし)、電源が再投入された後で未払いの賞球を払い出すことを試みた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、賞球の払い出し数は、払出制御基板のみならず主制御基板においても管理しているが、主制御基板のデータはバックアップされていないので、未払いの賞球が電源の再投入後に払出制御基板によって払い出されると、主制御基板は、コマンドで指示していない賞球の払い出しが行われたと判断してエラー処理を実行してしまう。このため払出制御基板のデータをバックアップしても、電源の投入後に未払いの賞球を払い出すことができないという問題点がある。主制御基板と払出制御基板との送受信は、主制御基板から払出制御基板への一方向にのみ行われ、払出制御基板から主制御基板へは行うことができない。よって、電源の再投入時に、払出制御基板から主制御基板へ未払いの賞球があることを報せることはできない。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、電源の切断によって有価物体の払い出しが中断されても、その払い出しを確実に行うことができる遊技機を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、遊技の制御を行う主制御手段と、その主制御手段から送信されるコマンドに基づいて所定の有価価値を有する有価物体を払い出す払出制御手段と、その払出制御手段による前記有価物体の払い出しを検出する払出検出手段と、その払出検出手段により前記主制御手段から前記払出制御手段へ指示した数以上の前記有価物体の払い出しが検出された場合にエラー処理を実行する前記主制御手段に設けられたエラー実行手段とを備えると共に、前記払出制御手段は、電源の切断後においても前記有価物体の払い出し残数を記憶すると共に、電源の投入時に前記払い出し残数分の有価物体を払い出すものであり、前記主制御手段は、電源の投入時に前記エラー実行手段によるエラー処理の実行を所定時間禁止するエラー禁止手段を備え、前記エラー禁止手段の作動中に前記払出検出手段によって前記有価物体の払い出しが検出された場合、そのエラー禁止手段の作動時間を延長する延長手段を備えている。
【0007】
この請求項1記載の遊技機によれば、主制御手段から払出制御手段へ有価物体の払い出しに関するコマンドが送信されると、そのコマンドに基づいて、払出制御手段により有価物体が払い出される。払い出された有価物体は、払出検出手段によって検出され、主制御手段および払出制御手段へ報される。払出検出手段によって主制御手段から払出制御手段へ指示した数以上の有価物体の払い出しが検出されると、主制御手段に設けられたエラー実行手段によってエラー処理が実行される。
【0008】
ここで、有価物体の払い出し途中で電源が切断されたために未払いの有価物体が生じた場合、電源が再投入されると、その未払いの有価物体は払出制御手段によって払い出される。主制御手段が払出制御手段へ指示した有価物体の払い出し数の記憶は、電源の切断によりクリアされるが、電源の投入時には、エラー禁止手段によって、エラー実行手段によるエラー処理の実行が所定時間禁止されるので、未払いの有価物体の払い出しが払出検出手段によって検出されても、エラー処理が実行されることはない。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や、コイン遊技機、スロットマシン等の他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
【0010】
図1は、本実施例のパチンコ機Pの遊技盤の正面図である。遊技盤1の周囲には、打球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶(LCD)ディスプレイ3が設けられている。このLCDディスプレイ3の表示画面は横方向に3分割されており、3分割された各表示領域において、それぞれ右から左へ横方向にスクロールしながら図柄の変動表示が行われる。
【0011】
LCDディスプレイ3の下方には、図柄作動口(第1種始動口)4が設けられ、打球がこの図柄作動口4を通過することにより、前記したLCDディスプレイ3の変動表示が開始される。図柄作動口4の下方には、特定入賞口(大入賞口)5が設けられている。この特定入賞口5は、LCDディスプレイ3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、打球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、あるいは、打球が10個入賞するまで)開放される入賞口である。
【0012】
この特定入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、特定入賞口5の開放中に、打球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に打球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。
【0013】
図2は、パチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図であり、特に、パチンコ機Pの遊技内容の制御を行う主制御基板Cと、賞球や貸し球の払出制御を行う払出制御基板Hとの電気的構成を示したブロック図である。
【0014】
パチンコ機Pの主制御基板Cは、演算装置であるMPU11と、そのMPU11により実行される各種の制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM12と、ワークメモリ等として使用されるRAM13とを備えている。図3に示すフローチャートのプログラムは、ROM12内に記憶されている。
【0015】
RAM13には、残賞球数カウンタ13aと、電源投入時フラグ13bと、10秒カウンタ13cと、遊技停止フラグ13dとが設けられている。残賞球数カウンタ13aは、未払いの賞球数を記憶するカウンタであり、払出制御基板Hによって払い出される賞球数を主制御基板Cで管理するためのカウンタである。残賞球数カウンタ13aの値は、主制御基板Cが払出制御基板Hへ賞球の払い出しを指示する毎に、その指示した個数が加算され、逆に、払出制御基板Hによって賞球の払い出しが行われて、その払い出された賞球を賞球カウントスイッチ22が検出する毎に「1」ずつ減算される。残賞球数カウンタ13aの値が「0」である場合に賞球の払い出しが行われると、即ち、残賞球数カウンタ13aの値が「0」である場合に賞球カウントスイッチ22が賞球の払い出しを検出すると、払い出すべき賞球数を上回った賞球が行われたということであるので、賞球オーバーエラーを発生させて遊技を中断する。
【0016】
電源投入時フラグ13bは、パチンコ機Pの電源投入時にオンされるフラグである。払出制御基板Hのデータはバックアップされるので(パチンコ機Pの電源切断後も保持されるので)、賞球の払い出しの途中でパチンコ機Pの電源が切断された場合、電源が再投入されると、払出制御基板Hによって残りの賞球(未払いの賞球)が払い出される。主制御基板Cのデータはバックアップされておらず、残賞球数カウンタ13aの値は電源投入により「0」クリアされるので、かかる払出制御基板Hによる未払いの賞球の払い出しは、賞球オーバーエラーを発生させてしまう。そこで、パチンコ機Pの電源投入時にオンされる電源投入時フラグ13bを設け、該フラグ13bがオンされている場合には、賞球オーバーエラーを発生させないようにして、未払いの賞球の払い出しを可能にしている。この電源投入時フラグ13bは、パチンコ機Pの電源投入後10秒間オンされる。電源投入時フラグ13bがオンされている間に賞球の払い出しが検出された場合には、その時点から更に10秒間、電源投入時フラグ13bのオンが延長される。
【0017】
10秒カウンタ13cは、前記した電源投入時フラグ13bがオンされる10秒の時間をカウントするためのカウンタである。この10秒カウンタ13cには、電源投入時に10秒分のカウント値である「5000」がセットされ、その後は、2ms(ms:ミリ秒)毎に実行されるリセット割込処理において「1」ずつ減算される。また、前記した通り、電源投入時フラグ13bがオンされている場合に、賞球の払い出しが検出されると(賞球カウントスイッチ22がオンされると)、10秒カウンタ13cには初期値の「5000」がセットされる。
【0018】
遊技停止フラグ13dは、賞球オーバーエラーが発生した場合にオンされるフラグであり、この遊技停止フラグ13dがオンされることにより、パチンコ機Pの遊技の進行が停止される。
【0019】
これらMPU11、ROM12、RAM13は、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン14を介して相互に接続されている。バスライン14は、また、入出力ポート15にも接続されている。入出力ポート15は、入力および出力が固定的なバッファ(インバータゲート)16,37を介して払出制御基板Hと接続されるほか、複数の普通入賞スイッチ17と、第1種始動口スイッチ18と、Vカウントスイッチ19と、10カウントスイッチ20と、賞球カウントスイッチ22と、空切れ防止スイッチ23と、オーバーフロー検出スイッチ24と、他の入出力装置25とそれぞれ接続されている。
【0020】
普通入賞スイッチ17は、遊技領域1内の複数の普通入賞口2へ入賞した球をそれぞれ検出するためのスイッチであり、各普通入賞口2の入口近傍に設けられている。第1種始動口スイッチ18は、図柄作動口(第1種始動口)4を通過した球を検出するためのスイッチであり、図柄作動口4の近傍に設けられている。普通入賞スイッチ17のいずれか又は第1種始動口スイッチ18によって球が検出されると、払出制御基板Hによって6個の賞球が払い出される。Vカウントスイッチ19は、特定入賞口5内のVゾーン5aへ入賞した球を検出するためのスイッチであり、また、10カウントスイッチ20は、特定入賞口5内のVゾーン5a以外へ入賞した球を検出するためのスイッチである。Vカウントスイッチ19又は10カウントスイッチ20により球が検出されると、払出制御基板Hによって15個の賞球が払い出される。
【0021】
賞球カウントスイッチ22は、賞球払出用モータ21によって払い出された賞球を検出するためのスイッチであり、賞球払出用モータ21と共に賞球払出ユニットSに搭載されている。賞球払出用モータ21は賞球を払い出すためのモータであり、賞球払出用モータ21の駆動は、払出制御基板Hによって制御される。
【0022】
空切れ防止スイッチ23は、賞球払出ユニットSに球が正常に供給されているか否かを検出するためのスイッチであり、賞球払出ユニットSの上部に配設されている。賞球払出ユニットSへ供給される球が無く、空切れ防止スイッチ23がオンされている場合には、例え賞球の払い出し要求があっても、払出制御基板Hは賞球の払い出しを行わないが、同様に、空切れ防止スイッチ23がオンされている場合には、前記した10秒カウンタ13cの減算は行われないので、電源投入時フラグ13bは、払出制御基板Hが賞球の払い出しが可能な状態で、確実に10秒以上オンされ続ける。
【0023】
オーバーフロー検出スイッチ24は、払い出された賞球を遊技台の下皿(図示せず)に正常に排出できるか否かを監視するためのスイッチであり、下皿の奥寄りに配設されている。オーバーフロー検出スイッチ24がオンされている場合には、下皿に払い出された賞球が一杯になっているので、払出制御基板Hは、例え賞球の払い出し要求があっても、賞球の払い出しを行わない。なお、オーバーフロー検出スイッチ24がオンされている場合には、空切れ防止スイッチ23の場合と同様に、10秒カウンタ13cの減算は行われないので、電源投入時フラグ13bは、払出制御基板Hが賞球の払い出しが可能な状態で、確実に10秒以上オンされ続ける。
【0024】
前記した通り主制御基板Cは、入力および出力が固定的なバッファ(インバータゲート)16,37を介して、払出制御基板Hと接続されている。このため主制御基板Cと払出制御基板Hとの間における賞球数データ等のコマンドの送受信は、主制御基板Cから払出制御基板Hへの一方向にのみ行われ、払出制御基板Hから主制御基板Cへ行うことはできない。なお、主制御基板Cと払出制御基板Hとは、8本のデータ線と1本のストローブ線とにより接続されており、ストローブ線のデータがアクティブになった時に、8本のデータ線上に出力されているデータが主制御基板Cから払出制御基板Hへコマンドとして送信される。
【0025】
払出制御基板Hは、賞球や貸し球の払出制御を行うものであり、演算装置であるMPU31と、そのMPU31により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM32と、ワークメモリ等として使用されるRAM33とを備えている。MPU31、ROM32及びRAM33は、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン35により互いに接続されている。バスライン35は、また、入出力ポート36にも接続されている。入出力ポート36は、前述した入力および出力が固定的なバッファ(インバータゲート)16,37を介して主制御基板Cと接続されるほか、賞球払出ユニットSの賞球払出用モータ21および賞球カウントスイッチ22と、他の入出力装置38とそれぞれ接続されている。
【0026】
払出制御基板HのRAM33は、残賞球数カウンタ33aを備えると共に、バックアップ用のコンデンサ34が接続されてバックアップ可能に構成されている。よって、RAM33の残賞球数カウンタ33aの値は、パチンコ機Pの電源が切断された場合にも保持されるのである。
【0027】
残賞球数カウンタ33aは、主制御基板Cの残賞球数カウンタ13aと同様に、未払いの賞球数を記憶するカウンタである。残賞球数カウンタ33aの値は、コマンドによって主制御基板Cから払出制御基板Hへ賞球の払い出しが指示される毎に、その指示された個数が加算される。逆に、賞球払出用モータ21が駆動されて払い出された賞球を賞球カウントスイッチ22が検出する毎に「1」ずつ減算される。前記した通り、この残賞球数カウンタ33aの値はバックアップされるので、賞球の払い出し途中でパチンコ機Pの電源が切断された場合にも、そのパチンコ機Pの電源を再投入することにより、払出制御基板Hは、残りの賞球(即ち、未払いの賞球)を正確に払い出すことができるのである。
【0028】
次に、図3を参照して、2ms毎に主制御基板Cで実行されるリセット割込処理について説明する。このリセット割込処理では、まず、その処理が電源投入後、最初に実行された処理であるか否かを調べ(S1)、最初に実行された処理であれば(S1:Yes)、S2〜S4の各処理によって、RAM13の初期化処理を実行する。具体的には、まず、RAM13の内容をクリアした後で初期値を設定する(S2)。次に、電源の投入時であることを示すべく電源投入時フラグ13bをオンし(S3)、更に、その電源投入時フラグ13bのオン時間をカウントする10秒カウンタ13cへ10秒分のカウント値である「5000」をセットして(S4)、RAM13の初期化処理を終了する。S4の処理の実行後は、次のリセット割込処理が発生するまで処理の実行を待機する。
【0029】
S1の処理において電源投入後2回目以降に実行されたリセット割込処理であると判断された場合には(S1:No)、遊技停止フラグ13dがオンされているか否かを判断し(S5)、オンされていなければ(S5:No)、更に、電源投入時フラグ13bがオンされているか否かを判断する(S6)。電源投入時フラグ13bがオンされていれば(S6:Yes)、次のS7〜S9の各処理によって、電源投入時フラグ13bをオフするタイミングを検出する。
【0030】
S7〜S9の各処理では、まず、空切れ防止スイッチ23及びオーバーフロー検出スイッチ24が共にオフであれば(S7:No)、賞球払出ユニットSへ球が正常に供給されており、且つ、下皿は一杯になっていないので、払出制御基板Hは賞球を払い出すことができる。よって、かかる場合には、電源投入時フラグ13bのオン時間をカウントする10秒カウンタ13cの値を「1」減算し(S8)、減算後の10秒カウンタ13cの値が「0」であるか否かを調べる(S9)。減算後の値が「0」でなければ(S9:No)、パチンコ機Pの電源投入後、未だ10秒が経過していないので、電源投入時フラグ13bのオンを維持するためにS10の処理をスキップする。一方、S9の減算処理により、10秒カウンタ13cの値が「0」になれば(S9:Yes)、パチンコ機Pの電源投入後、既に10秒が経過したので、電源投入時フラグ13bをオフする(S10)。
【0031】
なお、空切れ防止スイッチ23又はオーバーフロー検出スイッチ24のいずれかがオンされている場合には(S7:Yes)、賞球払出ユニットSへ球が供給されていないか、或いは、下皿が一杯になっているので、払出制御基板Hは賞球を払い出すことができない。よって、かかる場合には、10秒カウンタ13cの減算処理等(S8〜S10)をスキップする。これによりパチンコ機Pの電源投入後、賞球の払い出しが可能な状態で、電源投入時フラグ13bを10秒間確実にオンしておくことができる。また、S6の処理において、電源投入時フラグ13bが既にオフされている場合には(S6:No)、S7〜S10の各処理をスキップする。
【0032】
S11の処理では、賞球の払い出しがあるか否かを賞球カウントスイッチ22により判断する(S11)。賞球カウントスイッチ22がオンであれば(S11:Yes)、賞球の払い出しが行われたということであるので、賞球の払い出し残数(未払いの賞球数)を記憶する残賞球数カウンタ13aの値が「0」であるか否かを判断する(S12)。残賞球数カウンタ13aの値が「0」でなければ(S12:No)、1個の賞球の払い出しに対応して、その残賞球数カウンタ13aの値を「1」減算する(S13)。
【0033】
一方、賞球カウントスイッチ22のオンを検出したにも拘わらず(S11:Yes)、残賞球数カウンタ13aの値が「0」であれば(S12:Yes)、電源投入時フラグ13bがオンされているか否かを判断する(S14)。電源投入時フラグ13bがオンされていなければ(S14:No)、賞球オーバーエラーである。よって、かかる場合には、賞球オーバーコマンドをインバータゲート16,37を介して払出制御基板Hへ送信して(S16)、払出制御基板Hへ賞球オーバーエラーの発生を報せると共に、遊技の進行を停止するために遊技停止フラグ13dをオンし(S17)、更に、賞球オーバーエラーの発生を遊技者やホールの店員に報知するべくエラー表示処理を行う(S18)。なお、エラー表示処理(S18)は、LCDディスプレイ3で図柄の変動表示が行われている場合には、その変動表示の終了後に行われる。
【0034】
賞球カウントスイッチ22のオン時に(S11:Yes)、残賞球数カウンタ13aの値が「0」であっても(S12:Yes)、電源投入時フラグ13bがオンされていれば(S14:Yes)、かかる賞球の払い出しは、パチンコ機Pの電源投入時におけるものである。即ち、賞球の払い出し中に停電などが発生してパチンコ機Pの電源が切断され、その後、電源が再投入された状態である。よって、かかる場合には、賞球オーバーエラーを発生させないために、S16〜S18の各処理をスキップすると共に、電源投入により再開された賞球の払い出しを確実に行うために電源投入時フラグ13bのオン時間を延長するべく、10秒カウンタ13cへ10秒分のカウント値である「5000」をセットする(S15)。これにより電源投入時フラグ13bのオン時間は、賞球の払い出しが検出される毎に10秒ずつ更新されるので、賞球の払い出しに長時間を要する場合であっても、その払い出しを確実に行うことができるのである。
【0035】
S5の処理において、遊技停止フラグ13dがオンされていれば(S5:Yes)、賞球オーバーエラーが発生しており、遊技を停止しなければならない。よって、かかる場合にはS6〜S18の各処理をスキップして処理をS19へ移行する。また、S11の処理において、賞球カウントスイッチ22がオフであれば(S11:No)、賞球は払い出されていないので、S12〜S18の各処理をスキップして処理をS19へ移行する。更に、S13、S15、S18の各処理の実行後は、処理をS19へ移行する。S19の処理では、主制御基板Cにおけるその他の各処理を実行する(S19)。なお、遊技停止フラグ13dがオンされている場合には、S19の処理において殆どの処理が中止されるが、打球の入賞検出処理と、主制御基板Cから各種制御基板へのコマンド送信処理は実行される。
【0036】
次に、図4を参照して第2実施例について説明する。第2実施例のパチンコ機Pは、払出制御基板HのRAM33のみならず、主制御基板CのRAM13にもバックアップ用のコンデンサ(図示せず)を接続して、両制御基板C,Hのデータを共にバックアップするように構成している。かかる構成によれば、賞球の払い出し中にパチンコ機Pの電源が切断されても、両制御基板C,Hがそれぞれ未払いの賞球数を記憶しているので、電源の再投入時には、確実に残りの賞球の払い出しを行えるかのように思われる。しかしながら、パチンコ機Pの電源切断により、両制御基板C,Hが停止するタイミングは必ずしも一致しないので、両制御基板C,Hが記憶する残りの賞球数が異なる場合がある。払出制御基板Hが記憶する残りの賞球数が、主制御基板Cが記憶する残りの賞球数より大きい場合には、賞球オーバーエラーが発生する。
【0037】
そこで、第2実施例では、払出制御基板Hに加えて主制御基板CのRAM13をバックアップした場合であっても、電源の切断により中断された賞球の払い出しを、電源の再投入後に確実に行えるようにしている。なお、第2実施例のパチンコ機Pは、主制御基板CのRAM13がバックアップされる点を除いて、前記した第1実施例のパチンコ機Pと同一である。よって、かかる同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略し、異なる部分のみについて説明する。
【0038】
図4は、2ms毎に主制御基板Cで実行される第2実施例のリセット割込処理である。このリセット割込処理では、まず、その処理が電源投入後、最初に実行された処理であるか否かを調べ(S1)、最初に実行された処理であれば(S1:Yes)、バックアップが有効であるか否かを判断する(S21)。バックアップが有効であれば(S21:Yes)、バックアップされている残賞球数カウンタ13aの値を「0」クリアし(S22)、逆に、バックアップが有効でなければ(S21:No)、すべてのRAM13のデータをクリアした後で初期値を設定する(S2)。
【0039】
その後は、第1実施例と同様に、電源の投入時であることを示すべく電源投入時フラグ13bをオンし(S3)、更に、その電源投入時フラグ13bのオン時間をカウントする10秒カウンタ13cへ10秒分のカウント値である「5000」をセットして(S4)、次のリセット割込処理が発生するまで処理の実行を待機する。
【0040】
このように第2実施例のパチンコ機Pでは、払出制御基板Hに加えて主制御基板CのRAM13もバックアップしているが、電源の投入時に残りの賞球数(未払いの賞球数)を記憶する残賞球数カウンタ13aの値を「0」クリアするので、S5〜S18の各処理を第1実施例の場合と同様に実行することができる。よって、電源の切断により中断された賞球の払い出しを、電源の再投入後に確実に行うことができるのである。
【0041】
なお、上記各実施例において、請求項1記載の所定の有価価値を有する有価物体としては払出制御基板Hによって払い出される賞球が、エラー実行手段としては図4のS16〜S18の処理が、エラー禁止手段としては図4のS14のYesの分岐が、それぞれ該当する。
【0042】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0043】
例えば、上記各実施例では、賞球の払出制御を例に説明したが、本発明は必ずしも該制御に限定されるものではなく、本発明を貸し球の払出制御に適用することも当然に可能である。
【0044】
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技機の制御装置において、前記エラー禁止手段の作動中に前記払出検出手段によって前記有価物体の払い出しが検出された場合、そのエラー禁止手段の作動時間を延長する延長手段を備えていることを特徴とする遊技機の制御装置1。
【0045】
請求項1記載の遊技機の制御装置、または、遊技機の制御装置1において、前記払出制御基板による有価物体の払い出しが可能な状態であるか否かを判断する判断手段と、その判断手段により前記有価物体の払い出しが不可能な状態であると判断された場合に、前記エラー禁止手段の作動時間の計時を停止する停止手段とを備えていることを特徴とする遊技機の制御装置2。
【0046】
請求項1記載の遊技機の制御装置、または、遊技機の制御装置1若しくは2において、前記主制御基板は、電源の切断後においてもその電源の切断前の遊技状態を記憶するバックアップ手段と、そのバックアップ手段により電源切断前の遊技状態が有効に記憶された電源の投入時に、電源の切断前に前記払出制御基板へ指示した前記有価物体の払い出し数のうち未払いの払い出し数の値をクリアするクリア手段とを備えていることを特徴とする遊技機の制御装置3。
【0047】
請求項1記載の遊技機の制御装置、または、遊技機の制御装置1から3のいずれかにおいて、前記コマンドを前記主制御基板から前記払出制御基板への一方向にのみ送信する一方向手段を備えていることを特徴とする遊技機の制御装置4。
【0048】
【発明の効果】
本発明の遊技機によれば、遊技機の電源投入時には、有価物体の払い出しに関するエラー処理の実行が所定時間禁止されるので、電源の切断前に未払いであった有価物体の払い出しを、電源の投入時に行うことができる。よって、電源の切断によって有価物体の払い出しが中断されても、その払い出しを確実に行うことができるという効果がある。
【0049】
また、延長手段を設けることにより、払出検出手段によって有価物体の払い出しが検出される度に、エラー禁止手段の作動時間を延長することができる。よって、払い出す有価物体の個数が多く、その払い出しに長時間を要し、エラー禁止手段の作動時間である所定時間を越える場合であっても、延長手段によってエラー禁止手段の作動時間を延長し、エラー処理の実行禁止を有価物体の払い出し中は延長することにより、その多数の有価物体の払い出しを確実に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるパチンコ機の遊技盤の正面図である。
【図2】 パチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図3】 主制御基板で実行されるリセット割込処理のフローチャートである。
【図4】 主制御基板で実行される第2実施例のリセット割込処理のフローチャートである。
【符号の説明】
13 主制御基板のRAM
13a 主制御基板の残賞球数カウンタ
13b 電源投入時フラグ
13c 10秒カウンタ
13d 遊技停止フラグ
16 バッファ
17 普通入賞スイッチ
21 賞球払出用モータ
22 賞球カウントスイッチ(払出検出手段)
23 空切れ防止スイッチ
24 オーバーフロー検出スイッチ
33 払出制御基板のRAM
33a 払出制御基板の残賞球数カウンタ
34 バックアップ用のコンデンサ
37 バッファ
C 主制御基板(主制御手段)
H 払出制御基板(払出制御手段)
P パチンコ機(遊技機)
S 賞球払出ユニット
Claims (1)
- 遊技の制御を行う主制御手段と、その主制御手段から送信されるコマンドに基づいて所定の有価価値を有する有価物体を払い出す払出制御手段と、その払出制御手段による前記有価物体の払い出しを検出する払出検出手段と、その払出検出手段により前記主制御手段から前記払出制御手段へ指示した数以上の前記有価物体の払い出しが検出された場合にエラー処理を実行する前記主制御手段に設けられたエラー実行手段とを備えた遊技機において、
前記払出制御手段は、電源の切断後においても前記有価物体の払い出し残数を記憶すると共に、電源の投入時に前記払い出し残数分の有価物体を払い出すものであり、
前記主制御手段は、電源の投入時に前記エラー実行手段によるエラー処理の実行を所定時間禁止するエラー禁止手段を備え、
前記エラー禁止手段の作動中に前記払出検出手段によって前記有価物体の払い出しが検出された場合、そのエラー禁止手段の作動時間を延長する延長手段を備えていることを特徴とする遊技機。
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