JP2001170325A5 - - Google Patents
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Description
【書類名】 明細書
【発明の名称】 遊技機
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の有価価値を有する有価物体の払い出し制御を行う払出制御手段と、その払出制御手段の制御に基づいて有価物体の払い出しを実行する払出実行手段と、その払出実行手段によって払い出された有価物体を検出する払出検出手段とを備えた遊技機において、
前記払出制御手段は、有価物体の払い出し残数を記憶する残数記憶手段と、その残数記憶手段の内容を電源の切断後においても保持させるバックアップ手段と、停電が発生した場合に前記払出実行手段の払い出し動作を停止させる払出停止手段とを備えており、
停電が発生した場合において、前記払出検出手段の駆動電圧は、前記払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】 前記払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、前記払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より大きく設定されることにより、
その払出検出手段の駆動電圧は、前記払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】 前記払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、前記払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より低く設定されており、
その払出検出手段へ駆動電圧を供給する電源は、前記払出制御手段へ駆動電圧を供給する電源と独立して、その払出制御手段の電源より大容量に構成されることにより、前記払出検出手段の駆動電圧は、前記払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、パチンコ機やスロットマシンに代表される遊技機に関し、特に、停電等の発生により突然に電源が切断されても、電源の再投入により有価物体の払い出しを正確に行うことができる遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 従来、パチンコ機の賞球の払い出しは、いわゆる証拠球方式により行われていた。即ち、打球が入賞口へ入賞すると、その入賞球は証拠球として一旦タンクへ保存され、賞球の払い出しが賞球払出用モータを駆動して行われた後で、タンクから除かれるというものである。この証拠球方式の賞球の払い出しはメカ式であるので、賞球の払い出し前に停電等が発生してパチンコ機の電源が切断されても、パチンコ機の電源が再投入されれば、タンクに保存された証拠球に基づいて賞球の払い出しを行うことができる。しかし、その一方で、入賞球に対する賞球数を変更するためには賞球の払出機構の設計変更が必要になったり、また、賞球は少ない賞球数のものから順に払い出されるように設計されているので、複数の打球が短時間の間に続けて入賞すると、払い出されている賞球がどの入賞球に対するものなのかを判別することができず、パチンコ機の検査等に支障を来してしまうのである。
【0003】
このため近年のパチンコ機では、証拠球方式による賞球の払い出しに代えて、ソフト方式(ソフト制御)の賞球の払い出しが数多く採用されている。かかるソフト方式の賞球の払い出しでは、すべての入賞口に入賞球を検出するためのスイッチを設けて、そのスイッチの状態を主制御基板で監視し、打球の入賞が検出された場合には、そのスイッチに対する賞球数を払出制御基板へ報せ、かかる賞球の払い出しを払出制御基板に行わせる。このソフト方式の賞球の払い出しでは、払い出される賞球数はメモリに記憶されるので、停電等の発生によりパチンコ機の電源が切断された場合にも、かかるメモリ内容を保持するために、払出制御基板のメモリをバックアップする必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 メモリの内容をバックアップする場合には、一般に、所定のバックアップ処理が行われるが、かかるバックアップ処理は、電源の切断が検出されると、割込処理によって即座に実行される。このバックアップ処理が極めて短時間のうちに終了すると、払い出し途中にある賞球(即ち、賞球払出用モータによって払い出され、且つ、スイッチにより検出される前の落下途中にある賞球)を検出することができないという問題点がある。
【0005】
一方、賞球の払い出しを検出するスイッチの駆動電圧は9〜12ボルトであり、4〜5ボルトで駆動する払出制御基板の駆動電圧より大きいので、バックアップ処理が長引いて、スイッチの駆動電圧が9ボルト未満に下がってもなお終了しないと、正常動作範囲外の電圧で駆動するスイッチの出力を、正常動作範囲内の電圧(4ボルト以上)で駆動している払出制御基板が読み込むことになり、誤った賞球の払い出し結果を、払出制御基板が読み込んでしまうという問題点がある。即ち、実際には払い出されていない賞球を、払い出されたものとして判断してしまうのである。かかる誤検出があると、払出制御基板のメモリ内容をバックアップしても、本来払い出すべき数の賞球を払い出すことができない。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、停電等の発生により突然に電源が切断されても、電源の再投入により有価物体の払い出しを正確に行うことができる遊技機を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】 この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、所定の有価価値を有する有価物体の払い出し制御を行う払出制御手段と、その払出制御手段の制御に基づいて有価物体の払い出しを実行する払出実行手段と、その払出実行手段によって払い出された有価物体を検出する払出検出手段とを備え、更に、前記払出制御手段は、有価物体の払い出し残数を記憶する残数記憶手段と、その残数記憶手段の内容を電源の切断後においても保持させるバックアップ手段と、停電が発生した場合に前記払出実行手段の払い出し動作を停止させる払出停止手段とを備えており、停電が発生した場合において、前記払出検出手段の駆動電圧は、前記払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されている。
【0008】
この請求項1記載の遊技機によれば、停電等の発生により突然に電源が切断されると、まず、払出停止手段によって払出実行手段の払い出し動作が停止される。この時、払出制御手段と払出検出手段とは動作を継続しており、しかも、払出検出手段の駆動電圧は、払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されているので、払出制御手段が動作している間、払出検出手段は正常な検出結果を出力する。よって、停電の発生前に払出実行手段によって払い出された有価物体は、払出検出手段によって正常に検出され、その検出結果に基づいて、払出制御手段の残数記憶手段の内容が更新される。この残数記憶手段の内容は、バックアップ手段によって電源の切断後も保持されるので、停電等の発生により突然に電源が切断されても、電源の再投入により有価物体の払い出しは正確に行われる。
【0009】
請求項2記載の遊技機は、請求項1記載の遊技機において、前記払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、前記払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より大きく設定されることにより、その払出検出手段の駆動電圧は、前記払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されている。
【0010】
請求項3記載の遊技機は、請求項1記載の遊技機において、前記払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、前記払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より低く設定されており、その払出検出手段へ駆動電圧を供給する電源は、前記払出制御手段へ駆動電圧を供給する電源と独立して、その払出制御手段の電源より大容量に構成されることにより、前記払出検出手段の駆動電圧は、前記払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されている。
【0011】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。第1実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や、コイン遊技機、スロットマシン等の他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
【0012】
図1は、第1実施例のパチンコ機Pの遊技盤の正面図である。遊技盤1の周囲には、打球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶(LCD)ディスプレイ3が設けられている。このLCDディスプレイ3の表示画面は横方向に3分割されており、3分割された各表示領域において、それぞれ右から左へ横方向にスクロールしながら図柄の変動表示が行われる。
【0013】
LCDディスプレイ3の下方には、図柄作動口(第1種始動口)4が設けられ、打球がこの図柄作動口4を通過することにより、前記したLCDディスプレイ3の変動表示が開始される。図柄作動口4の下方には、特定入賞口(大入賞口)5が設けられている。この特定入賞口5は、LCDディスプレイ3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、打球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、あるいは、打球が10個入賞するまで)開放される。
【0014】
この特定入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、特定入賞口5の開放中に、打球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に打球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。
【0015】
図2は、パチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図であり、特に、遊技の制御を行う主制御基板Cの周辺装置と、賞球や貸し球の払出制御を行う払出制御基板Hと、各制御基板やスイッチ、モータなどへ電力を供給する電源基板Dとの電気的構成を示したブロック図である。
【0016】
パチンコ機Pは、演算装置であるMPUを始め、遊技の制御プログラムを記憶したROMおよび書き替え可能なメモリとしてのRAMを搭載した主制御基板Cを備えている。この主制御基板Cの入出力ポートには、後述する払出制御基板Hのほか、複数の普通入賞スイッチ17と、第1種始動口スイッチ18と、Vカウントスイッチ19と、10カウントスイッチ20と、賞球カウントスイッチ22と、他の入出力装置25とがそれぞれ接続されている。
【0017】
普通入賞スイッチ17は、遊技領域1内の複数の普通入賞口2へ入賞した球をそれぞれ検出するためのスイッチであり、各普通入賞口2の入口近傍に設けられている。第1種始動口スイッチ18は、図柄作動口(第1種始動口)4を通過した球を検出するためのスイッチであり、図柄作動口4の近傍に設けられている。普通入賞スイッチ17のいずれか又は第1種始動口スイッチ18によって球が検出されると、払出制御基板Hによって6個の賞球が払い出される。Vカウントスイッチ19は、特定入賞口5内のVゾーン5aへ入賞した球を検出するためのスイッチであり、また、10カウントスイッチ20は、特定入賞口5内のVゾーン5a以外へ入賞した球を検出するためのスイッチである。Vカウントスイッチ19又は10カウントスイッチ20により球が検出されると、払出制御基板Hによって15個の賞球が払い出される。なお、賞球の払い出しは、主制御基板Cから払出制御基板Hへ賞球数を指示する賞球コマンドが送信されることにより行われる。
【0018】
この主制御基板Cは、入力および出力が固定的なバッファ(インバータゲート)(図示せず)を介して、払出制御基板Hと接続されている。このため主制御基板Cと払出制御基板Hとの間における賞球コマンド等の送受信は、主制御基板Cから払出制御基板Hへの一方向にのみ行われ、払出制御基板Hから主制御基板Cへ行うことはできない。なお、主制御基板Cと払出制御基板Hとは、8本のデータ線と1本のストローブ線とにより接続されており、ストローブ線のデータがアクティブになった時に、8本のデータ線上に出力されているデータが主制御基板Cから払出制御基板Hへコマンドとして送信される。
【0019】
払出制御基板Hは賞球や貸し球の払出制御を行うものであり、演算装置であるMPU31と、そのMPU31により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM32と、ワークメモリ等として使用されるRAM33とを備えている。図4及び図5に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM32内に記憶されている。
【0020】
払出制御基板HのRAM33は、残賞球数カウンタ33aと、賞球中フラグ33bと、残球貸数カウンタ33cと、停電発生フラグ33dとを備えると共に、バックアップ用のコンデンサ34が接続されてバックアップ可能に構成されている。このため、残賞球数カウンタ33aや残球貸数カウンタ33cの値は、パチンコ機Pの電源が切断された場合にも保持される。
【0021】
残賞球数カウンタ33aは未払いの賞球数を記憶するカウンタであり、賞球コマンドによって主制御基板Cから払出制御基板Hへ賞球の払い出しが指示される毎に、指示された賞球数が加算される。逆に、残賞球数カウンタ33aの値は、賞球カウントスイッチ22が払い出された賞球を検出する毎に「1」ずつ減算される。前記した通り、この残賞球数カウンタ33aの値はコンデンサ34によってバックアップされるので、賞球の払い出し途中でパチンコ機Pの電源が切断された場合にも(停電の発生等により電源が突然切断された場合にも)、そのパチンコ機Pの電源を再投入することにより、残りの賞球(未払い分の賞球)を正確に払い出すことができる。
【0022】
賞球中フラグ33bは、賞球の払い出し処理が実行されていることを示すためのフラグであり、賞球の払い出し動作が開始されるとオンされ、賞球の払い出しが完了して、残賞球数カウンタ33aの値が「0」となるとオフされる。賞球中フラグ33bがオンされている間は、例え球貸しの要求があっても、賞球動作が完了して賞球中フラグ33bがオフされるまで、即ち、残賞球数カウンタ33aの値が「0」になるまで、球貸し動作は待機される。なお、球貸し動作中に、賞球の払い出し要求があっても、球貸し動作が終了するまで、賞球の払い出し動作は待機される(図5のS12及びS13)。
【0023】
残球貸数カウンタ33cは未払いの球貸し数を記憶するカウンタであり、球貸し要求がある毎に、要求された球貸し数が加算される。逆に、残球貸数カウンタ33cの値は、球貸カウントスイッチ24が払い出された貸し球を検出する毎に「1」ずつ減算される。前記した通り、この残球貸数カウンタ33cの値は、残賞球数カウンタ33aの場合と同様に、コンデンサ34によってバックアップされるので、貸し球の払い出し途中でパチンコ機Pの電源が切断された場合にも(停電の発生等により電源が突然切断された場合にも)、そのパチンコ機Pの電源を再投入することにより、残りの貸し球(未払い分の貸し球)を正確に払い出すことができる。
【0024】
停電発生フラグ33dは、停電の発生や電源スイッチのオフによってパチンコ機Pへの電力供給が途絶えた場合にオンされるフラグである。パチンコ機Pへ電力供給を行う外部電源41の出力電圧は、電源監視回路45によって絶えず監視されている。停電等が発生すると、外部電源41の出力電圧は所定電圧以下に下がるが、かかる電圧低下が電源監視回路45によって検出されると、電源監視回路45から払出制御基板HのMPU31へ停電信号45aが出力される。停電信号45aの信号線はMPU31の外部割込端子に接続されており、停電信号45aが出力されると、MPU31によって図4に示す停電割込処理が実行され、停電発生フラグ33dがオンされる。なお、一旦オンされた停電発生フラグ33dは、パチンコ機Pの電源が再投入されるまでオフされない。
【0025】
これらMPU31、ROM32及びRAM33は、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン35により互いに接続されている。バスライン35は、また、入出力ポート36にも接続されている。入出力ポート36は、前述した入力および出力が固定的なバッファ(インバータゲート)(図示せず)を介して主制御基板Cと接続されるほか、賞球払出用モータ21と、賞球カウントスイッチ22と、球貸払出用モータ23と、球貸カウントスイッチ24と、他の入出力装置40とにそれぞれ接続されている。
【0026】
賞球払出用モータ21は、賞球を払い出すためのモータであり、払出制御基板Hによって駆動制御される。賞球カウントスイッチ22は、賞球払出用モータ21を駆動することによって実際に払い出された賞球を検出するためのスイッチであり、その出力は、払出制御基板Hのみならず、主制御基板Cへも入力される。球貸払出用モータ23は、貸し球を払い出すためのモータであり、払出制御基板Hによって駆動制御される。球貸カウントスイッチ24は、球貸払出用モータ23を駆動することによって実際に払い出された貸し球を検出するためのスイッチであり、その出力は払出制御基板Hへのみ入力される。
【0027】
電源基板Dは、DC24V生成回路42と、DC12V生成回路43と、DC5V生成回路44と、電源監視回路45とを備えている。DC24V生成回路42は、外部電源41から入力される24ボルトの交流電圧から+24ボルトの直流電圧を生成するための回路である。生成された+24ボルトの直流電圧は、電源基板D内のDC12V生成回路43及びDC5V生成回路44へ供給されるほか、賞球払出用モータ21および球貸払出用モータ23などの各種モータへ駆動電圧として供給される。
【0028】
DC12V生成回路43は、DC24V生成回路42から供給される+24ボルトの直流電圧から+12ボルトの直流電圧を生成するための回路である。生成された+12ボルトの直流電圧は、各種スイッチ17〜20,22,24へ駆動電圧として供給される。DC5V生成回路44は、DC12V生成回路43と同様に、DC24V生成回路42から供給される+24ボルトの直流電圧から+5ボルトの直流電圧を生成するための回路である。生成された+5ボルトの直流電圧は、主制御基板Cや払出制御基板Hなどの各制御基板へ駆動電圧として供給される。
【0029】
これらDC24V生成回路42、DC12V生成回路43およびDC5V生成回路44の出力電圧は、停電の発生や電源スイッチのオフによってパチンコ機Pの電源が切断されると、図3に示すように低下していく。第1実施例では、DC24V生成回路42の出力電圧からDC12V生成回路43およびDC5V生成回路44の出力電圧が生成されており、かつ、DC12V生成回路42にはDC5V生成回路44より十分に大容量のコンデンサ(図示せず)が接続されている。よって、DC12V生成回路43の出力電圧の方が、DC5V生成回路44の出力電圧よりも、正常動作範囲の電圧を長く維持することができるのである。
【0030】
ここで、正常動作範囲の電圧とは、DC12V生成回路43については、DC12V生成回路43に接続される各種スイッチ17〜20,22,24の正常動作範囲の電圧である「9〜13ボルト」が相当し、DC5V生成回路44については、DC5V生成回路44に接続される各種制御基板C,Hの正常動作範囲の電圧である「4〜5.5ボルト」が相当する。
【0031】
従って、停電等の発生によりパチンコ機Pの電源が切断されても、払出制御基板Hが動作している間は、賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24には正常動作可能な電圧が供給されるので、賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24から払出制御基板Hへ、誤った検出結果が出力されることは無い。即ち、払出制御基板Hが動作している間は、賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24から払出制御基板Hへ、正常な検出結果のみが出力される。
【0032】
図2に示す電源基板Dの電源監視回路45は、停電の発生や電源スイッチのオフによってパチンコ機Pの電源が切断された場合に、停電信号45aを払出制御基板HのMPU31へ出力するための回路である。停電監視回路45は、外部電源41の出力電圧を絶えず監視しており、外部電源41の出力電圧が所定電圧以下になった場合に、停電信号45aを出力する。前述した通り、停電信号45aが払出制御基板HのMPU31へ出力されると、MPU31によって図4に示す停電割込処理が実行され停電発生フラグ33dがオンされる。
【0033】
次に、図4及び図5を参照して、払出制御基板Hで行われる停電割込処理およびメイン処理について説明する。図4は、停電割込処理のフローチャートである。停電等の発生によりパチンコ機Pの電源が切断されて、外部電源41の出力電圧が所定電圧以下になると、電源監視回路45から払出制御基板HのMPU31へ停電信号45aが出力される。停電信号45aの信号線はMPU31の外部割込端子に接続されているので、停電信号45aが出力されると、MPU31によって停電割込処理が実行される。
【0034】
停電割込処理では、まず、停電の発生を報せるべく停電発生フラグ33dをオンする(S1)。その後は、停電割込をマスクして(S2)、この停電割込処理を終了する。停電割込をマスクしなければ、停電信号45aの継続出力によって絶えず停電割込が発生するために、後述するメイン処理の実行時間が確保できなくなるからである。
【0035】
図5は、払出制御基板Hのメイン処理のフローチャートである。このメイン処理は払出制御基板Hで行われる初期化処理の後に実行されるものであり、メイン処理によって、払出制御基板Hで必要な賞球や貸し球の払い出し等の各処理が実行される。
【0036】
メイン処理では、まず、停電発生フラグ33dの状態を調べる(S11)。停電発生フラグ33dがオフされていれば(S11:No)、未だ、停電等は発生していないので、以降のS12からS18の各処理によって、賞球や貸し球の払出制御を行う。一方、停電発生フラグ33dがオンされていれば(S11:Yes)、既に停電等が発生してパチンコ機Pの電源が切断されているので、賞球や貸し球の払出制御を停止するべく、S12からS18の各処理をスキップして、処理をS19へ移行する。賞球や貸し球の払出制御は、賞球払出用モータ21又は球貸払出用モータ23を駆動して行われるので、消費する電力が大きい。しかし、第1実施例では、停電等の発生により、かかる払出制御を真っ先に停止するので、その分、消費電力を抑えて、各制御基板C,Hの停電等の発生時における動作時間をより長くすることができるのである。
【0037】
S12の処理では、賞球中フラグ33bの状態を調べ(S12)、オフされていれば(S12:No)、賞球動作は行われていないので、残球貸数カウンタ33cの値を調べる(S13)。残球貸数カウンタ33cの値が「0」でなければ(S13:No)、払い出すべき貸し球が存在するので、球貸払出用モータ23を駆動して貸し球を1個払い出す(S14)。一方、S12の処理において賞球中フラグ33bがオンされていれば(S12:Yes)、賞球動作中であるので、また、S13の処理において残球貸数カウンタ33cの値が「0」であれば(S13:Yes)、払い出すべき貸し球は存在しないので、残賞球数カウンタ33aの値を調べる(S15)。残賞球数カウンタ33aの値が「0」でなければ(S15:No)、払い出すべき賞球が存在するので、賞球払出用モータ21を駆動して賞球を1個払い出し(S16)、賞球動作中であることを示すべく、賞球中フラグ33bをオンする(S17)。一方、残賞球数カウンタ33aの値が「0」であれば(S15:Yes)、払い出すべき賞球は存在しないので、賞球中フラグ33bをオフして(S18)、賞球動作を終了する。
【0038】
S19からS24の処理では、S12からS18の各処理によって払い出された賞球および貸し球の検出処理が行われる。これらの検出処理は停電発生フラグ33dのオンオフに関係なく実行される。即ち、賞球および貸し球の検出処理は、停電の発生時においても、払出制御基板Hが動作を継続する限り実行される。
【0039】
なお、前記した通り、停電等の発生時には電力消費の大きな賞球や貸し球の払出制御が真っ先に停止されるので、払出制御基板Hをより長く動作させることができる。よって、停電等の発生直前に払い出された賞球や貸し球であっても、これらを賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24によって検出することができるのである。
【0040】
S19の処理では、まず、賞球カウントスイッチ22がオンされたか否かを確認し(S19)、オンが検出されれば(S19:Yes)、賞球の払い出しが行われたということである。よって、かかる場合には、残賞球数カウンタ33aの値を確認し(S20)、その値が「0」でなければ(S20:No)、払い出された賞球に対応して残賞球数カウンタ33aの値を「1」減算する(S21)。一方、賞球カウントスイッチ22のオンが検出されない場合や(S19:No)、賞球カウントスイッチ22のオンが検出されても(S19:Yes)、残賞球数カウンタ33aの値が「0」である場合には(S20:Yes)、S21の処理をスキップする。
【0041】
S22の処理では、球貸カウントスイッチ24がオンされたか否かを確認する(S22)。球貸カウントスイッチ24のオンが検出されれば(S22:Yes)、貸し球の払い出しが行われたということである。よって、かかる場合には、残球貸数カウンタ33cの値を確認し(S23)、その値が「0」でなければ(S23:No)、払い出された貸し球に対応して残球貸数カウンタ33cの値を「1」減算する(S24)。一方、球貸カウントスイッチ24のオンが検出されない場合や(S22:No)、球貸カウントスイッチ24のオンが検出されても(S22:Yes)、残球貸数カウンタ33cの値が「0」である場合には(S23:Yes)、S24の処理をスキップする。S22:No,S23:Yes,S24の各処理の実行後は、払出制御基板Hで必要な各処理を実行し(S25)、その実行後は、処理を再びS11へ移行する。
【0042】
以上説明したように、第1実施例のパチンコ機Pによれば、停電等の発生により電源が切断されると、停電発生フラグ33dがオンされて、賞球や貸し球の払出制御が停止される(S11:Yes)。このとき、払出制御基板H、賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24は正常に動作を継続しており、しかも、図3に示すように、各スイッチ22,24の駆動電圧の方が払出制御基板Hの駆動電圧より、正常動作範囲の電圧を長く維持する。このため、払出制御基板Hは、停電等の発生によりパチンコ機Pの電源が切断された後も僅かながら制御を継続すると共に、その払出制御基板Hが動作している間中、各スイッチ22,24は正常な検出結果を出力する。
【0043】
よって、停電等の発生の直前に払い出された賞球又は貸し球であっても、それらを賞球カウントスイッチ22又は球貸カウントスイッチ24により確実に検出し、残賞球数カウンタ33a及び残球貸数カウンタ33cの値を更新することができる。残賞球数カウンタ33a及び残球貸数カウンタ33cの値は、コンデンサ34によって電源の切断後も保持されるので、停電等の発生により電源が切断されても、パチンコ機Pの電源を再投入することにより、未払いの賞球や貸し球を正確に払い出すことができるのである。
【0044】
次に、図6及び図7を参照して、第2実施例について説明する。前記した第1実施例のパチンコ機Pでは、賞球カウントスイッチ22や球貸カウントスイッチ24等の各スイッチ17〜20,22,24として「9〜13ボルト」の電圧で動作するスイッチを用いていたが、第2実施例のパチンコ機Pでは、各制御基板C,Hの動作電圧である「4〜5.5ボルト」より低い、「2.5〜3.5ボルト」の電圧で動作するスイッチを用いている。以下、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみについて説明する。
【0045】
図6に示すように第2実施例では、賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24などの各スイッチ17〜20,22,24の駆動電圧は、電源基板Dに設けられたDC3V生成回路46から供給される。DC3V生成回路46は、DC5V生成回路44から出力される+5ボルトの直流電圧から+3ボルトの直流電圧を生成するので、パチンコ機Pの電源が切断された場合、図7に示すように、DC3V生成回路46の出力電圧は、DC5V生成回路44の出力電圧より正常動作範囲の電圧を長く維持することができる。
【0046】
よって、停電等の発生によってパチンコ機Pの電源が切断された場合、払出制御基板Hが動作している間、賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24は正常な検出結果を出力することができる。従って、第2実施例のパチンコ機Pにおいても、第1実施例のパチンコ機Pと同様の効果を奏することができる。
【0047】
次に、図8から図10を参照して、第3実施例について説明する。前記した第1実施例のDC5V生成回路44は、DC12V生成回路43と同様に、DC24V生成回路42の出力電圧を入力して+5ボルトの直流電圧を生成した。これに対し、第3実施例のDC5V生成回路44は、DC24V生成回路42の出力電圧ではなく、DC12V生成回路43の出力電圧を入力して+5ボルトの直流電圧を生成している。以下、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみについて説明する。
【0048】
図8に示すように、第3実施例のパチンコ機Pでは、DC24V生成回路42の出力電圧がDC12V生成回路43へ入力されて+12ボルトの直流電圧が生成され、そのDC12V生成回路43の出力電圧がDC5V生成回路44へ入力されて+5ボルトの直流電圧が生成されている。このためパチンコ機Pの電源が切断された場合、図9に示すように、各スイッチ17〜20,22,24へ駆動電圧を供給するDC12V生成回路43の出力電圧は、各制御基板C,Hへ駆動電圧を供給するDC5V生成回路44の出力電圧より、正常動作範囲の電圧を長く維持することはできない。即ち、停電等の発生によってパチンコ機Pの電源が切断された場合、払出制御基板Hが動作している間に、賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24は、正常な検出結果を出力できなくなってしまう。
【0049】
そこで、第3実施例の払出制御基板Hのメイン処理では、図10のフローチャートに示すように、第1実施例のメイン処理に対して、S31の処理を追加している。即ち、停電の発生や電源スイッチのオフによってパチンコ機Pの電源が切断されると、停電発生フラグ33dがオンされるが(S1)、かかる停電発生フラグ33dがオンしている場合には(S11:Yes)、賞球や貸し球の払出制御(S12〜S18)をスキップするだけでなく、DC12V生成回路43の出力電圧を調べて(S31)、その電圧が9.5ボルト以上である場合に限り(S31:Yes)、払い出し球の検出処理を実行し(S19〜S24)、逆に、その電圧が9.5ボルト未満であれば(S31:No)、払い出し球の検出処理を禁止(スキップ)するのである。賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24等の各スイッチ17〜20,22,24の正常動作範囲の電圧は「9〜13ボルト」であるので、S31の処理では「0.5ボルト」のマージンをみて、「9.5ボルト」を基準に、払い出し球の検出処理(S19〜S24)を実行するか否かを判断している。
【0050】
従って、停電等の発生によってパチンコ機Pの電源が切断された場合にも、払出制御基板Hは、賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24の正常な検出結果のみを入力することができるので、停電等の発生の直前に払い出された賞球又は貸し球であっても、それらを賞球カウントスイッチ22又は球貸カウントスイッチ24により正確に検出し、残賞球数カウンタ33a及び残球貸数カウンタ33cの値を更新することができる。残賞球数カウンタ33a及び残球貸数カウンタ33cの値は、コンデンサ34によって電源の切断後も保持されるので、停電等の発生により電源が切断されても、パチンコ機Pの電源を再投入することにより、未払いの賞球や貸し球を正確に払い出すことができる。
【0051】
上記各実施例において、所定の有価価値を有する有価物体としては払出制御基板Hによって払い出される賞球および貸し球が、払出停止手段としては、S11のYesの分岐処理が、それぞれ該当する。
【0052】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0053】
例えば、上記各実施例では、払出制御基板HのRAM33の内容は、バックアップ用のコンデンサ33bによって、残賞球数カウンタ33aおよび残球貸数カウンタ33cの値に限らず、すべてバックアップされた。しかし、かかるコンデンサ33bによって、残賞球数カウンタ33aおよび残球貸数カウンタ33cの値のみをバックアップするように構成しても良い。
【0054】
また、停電等の発生時には、払出制御基板Hの動作時間をより長くするために、電力消費の大きな賞球払出用モータ21及び球貸払出用モータ23の駆動が真っ先に停止されたが、かかる停止と共に、電力消費の大きな他のモータ、例えば球を遊技領域1へ発射する発射モータなどの駆動を停止するようにしても良い。これにより、停電等の発生時における払出制御基板Hの動作時間をより長くして、停電等の発生直前に払い出された賞球や貸し球の検出をより確実に行うことができる。
【0055】
更に、上記各実施例の停電監視回路45は、外部電源41の出力電圧を絶えず監視して、その出力電圧が所定電圧以下になった場合に停電信号45aを出力するように構成したが、かかる外部電源41に代えて、DC24V生成回路42の出力電圧を監視し、その出力電圧が所定電圧以下になった場合に停電信号45aを出力するように構成しても良い。なお、停電監視回路45の監視対象となる電源は、各スイッチ17〜20,22,24及び各制御基板C,Hへ駆動電圧を供給する電源より大きな電圧を出力する電源であれば、外部電源41やDC24V生成回路42以外の電源であっても良い。例えば、各スイッチ17〜20,22,24の正常動作範囲の駆動電圧が各制御基板C,Hと同じ「4〜5.5ボルト」である場合には、電源監視回路45でDC12V生成回路43の出力電圧を監視して、その出力電圧が所定電圧以下になった場合に停電信号45aを出力するように構成しても良いのである。
【0056】
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技機の制御装置において、前記払出制御基板の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、前記払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より大きく設定されることにより、その払出検出手段の駆動電圧は、前記払出制御基板の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されていることを特徴とする遊技機の制御装置1。例えば、払出制御基板の正常動作範囲の駆動電圧の最低値が4ボルトで、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は2.5ボルトである場合、停電等の発生により遊技機の電源が切断されても、払出制御基板の動作中は、払出検出手段は確実に正常動作しているので、払出制御基板が払出検出手段の誤った検出結果を読み込むことはない。
【0057】
請求項1記載の遊技機の制御装置において、前記払出制御基板の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、前記払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より低く設定されており、その払出検出手段へ駆動電圧を供給する電源は、前記払出制御基板へ駆動電圧を供給する電源と独立して、その払出制御基板の電源より大容量に構成されることにより、前記払出検出手段の駆動電圧は、前記払出制御基板の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されていることを特徴とする遊技機の制御装置2。例えば、払出制御基板の正常動作範囲の駆動電圧の最低値が4ボルトで、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は9.5ボルトである場合、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧は、払出制御基板の正常動作範囲の駆動電圧より大きいが、払出検出手段および払出制御基板へ駆動電圧を供給する電源は独立して構成され、しかも、払出検出手段の電源の方が大容量に構成されている。よって、停電等の発生により遊技機の電源が切断されても、払出制御基板の動作中は、払出検出手段の駆動電圧を正常動作範囲の電圧に維持して、払出検出手段を正常動作させることができる。
【0058】
所定の有価価値を有する有価物体の払い出し制御を行う払出制御手段と、その払出制御手段の制御に基づいて有価物体の払い出しを実行する払出実行手段と、その払出実行手段によって払い出された有価物体を検出する払出検出手段とを備え、更に、前記払出制御手段は、有価物体の払い出し残数を記憶する残数記憶手段と、その残数記憶手段の内容を電源の切断後においても保持させるバックアップ手段と、停電が発生した場合に前記払出実行手段の払い出し動作を停止させる払出停止手段と、停電が発生した場合に前記払出検出手段の駆動電圧が正常動作範囲外の電圧値になった場合に、その払出検出手段による検出を禁止する検出禁止手段とを備えている遊技機10。なお、検出禁止手段としては、S31のNoの分岐処理が該当する。
この遊技機10によれば、停電等の発生により突然に電源が切断されると、まず、払出停止手段によって払出実行手段の払い出し動作が停止される。この時、払出制御手段と払出検出手段とは動作を継続しているが、払出検出手段の駆動電圧が正常動作範囲外の電圧値になった場合には、検出禁止手段によって払出検出手段による検出が禁止されるので、払出制御手段は、払出検出手段の正常な検出結果のみを入力することができる。よって、停電の発生前に払出実行手段によって払い出された有価物体は、払出検出手段によって正常に検出され、その検出結果に基づいて、払出制御手段の残数記憶手段の内容が更新される。この残数記憶手段の内容は、バックアップ手段によって電源の切断後も保持されるので、停電等の発生により突然に電源が切断されても、電源の再投入により有価物体の払い出しは正確に行われる。
遊技機10によれば、停電等の発生により突然に電源が切断されると、払出制御手段と払出検出手段との動作を継続しつつ、払出実行手段の払い出し動作を停止する。払出検出手段の駆動電圧が正常動作範囲外の電圧値になった場合には、検出禁止手段によって払出検出手段による検出が禁止されるので、払出制御手段は、払出検出手段の正常な検出結果のみを入力することができる。よって、停電の発生前に払出実行手段によって払い出された有価物体を払出検出手段により検出し、その検出結果に基づいて、払出制御手段の残数記憶手段の内容を更新することができる。残数記憶手段の内容は電源の切断後も保持されるので、停電等の発生により突然に電源が切断されても、電源の再投入により有価物体の払い出しを正確に行うことができるという効果がある。
遊技機10において、前記払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、前記払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より低く設定されていることを特徴とする遊技機11。例えば、払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値が4ボルトで、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は9.5ボルトである場合、停電等の発生により遊技機の電源が切断されると、払出制御手段の正常動作中に、払出検出手段が正常動作不可能となる。しかし、かかる状態では、払出制御手段の検出禁止手段により、払出検出手段の検出(又は、検出結果の読み込み)が禁止されるので、誤った検出結果を読み込むことがない。
【0059】
【発明の効果】 請求項1記載の遊技機によれば、停電等の発生により突然に電源が切断されると、払出制御手段と払出検出手段との動作を継続しつつ、払出実行手段の払い出し動作を停止する。払出検出手段の駆動電圧は、払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されているので、払出制御手段が動作している間、払出検出手段は正常な検出結果を出力する。よって、停電の発生前に払出実行手段によって払い出された有価物体を払出検出手段により検出し、その検出結果に基づいて、払出制御手段の残数記憶手段の内容を更新することができる。残数記憶手段の内容は電源の切断後も保持されるので、停電等の発生により突然に電源が切断されても、電源の再投入により有価物体の払い出しを正確に行うことができるという効果がある。
【0060】
請求項2記載の遊技機によれば、請求項1記載の遊技機の奏する効果に加え、払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より大きく設定されており、その払出検出手段の駆動電圧は、払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されている。よって、例えば、払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値が4ボルトで、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は2.5ボルトである場合、停電等の発生により遊技機の電源が切断されても、払出制御手段の動作中は、払出検出手段は確実に正常動作しているので、払出制御手段が払出検出手段の誤った検出結果を読み込むことはない。
【0061】
請求項3記載の遊技機によれば、請求項1記載の遊技機の奏する効果に加え、払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より低く設定されており、その払出検出手段へ駆動電圧を供給する電源は、払出制御手段へ駆動電圧を供給する電源と独立して、その払出制御手段の電源より大容量に構成されており、払出検出手段の駆動電圧は、払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されている。よって、例えば、払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値が4ボルトで、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は9.5ボルトである場合、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧は、払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧より大きいが、払出検出手段および払出制御手段へ駆動電圧を供給する電源は独立して構成され、しかも、払出検出手段の電源の方が大容量に構成されている。従って、停電等の発生により遊技機の電源が切断されても、払出制御手段の動作中は、払出検出手段の駆動電圧を正常動作範囲の電圧に維持して、払出検出手段を正常動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるパチンコ機の遊技盤の正面図である。
【図2】 パチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図3】 停電等の発生によりパチンコ機の電源が切断された場合に電源基板から出力される各駆動電圧の変化の様子を示した図である。
【図4】 払出制御基板の外部割込で実行される停電割込処理のフローチャートである。
【図5】 払出制御基板で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【図6】 第2実施例におけるパチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図7】 第2実施例のパチンコ機において、停電等の発生により電源が切断された場合に電源基板から出力される各駆動電圧の変化の様子を示した図である。
【図8】 第3実施例におけるパチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図9】 第3実施例のパチンコ機において、停電等の発生により電源が切断された場合に電源基板から出力される各駆動電圧の変化の様子を示した図である。
【図10】 第3実施例の払出制御基板で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【符号の説明】
21 賞球払出用モータ(払出実行手段の一部)
22 賞球カウントスイッチ(払出検出手段の一部)
23 球貸払出用モータ(払出実行手段の一部)
24 球貸カウントスイッチ(払出検出手段の一部)
33a 残賞球数カウンタ(残数記憶手段)
33c 残球貸数カウンタ(残数記憶手段)
33d 停電発生フラグ
34 バックアップ用コンデンサ(バックアップ手段)
41 外部電源
42 DC24V生成回路
43 DC12V生成回路
44 DC5V生成回路
45 停電監視回路
45a 停電信号
46 DC3V生成回路
C 主制御基板
D 電源基板
H 払出制御基板
P パチンコ機(遊技機)
【発明の名称】 遊技機
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の有価価値を有する有価物体の払い出し制御を行う払出制御手段と、その払出制御手段の制御に基づいて有価物体の払い出しを実行する払出実行手段と、その払出実行手段によって払い出された有価物体を検出する払出検出手段とを備えた遊技機において、
前記払出制御手段は、有価物体の払い出し残数を記憶する残数記憶手段と、その残数記憶手段の内容を電源の切断後においても保持させるバックアップ手段と、停電が発生した場合に前記払出実行手段の払い出し動作を停止させる払出停止手段とを備えており、
停電が発生した場合において、前記払出検出手段の駆動電圧は、前記払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】 前記払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、前記払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より大きく設定されることにより、
その払出検出手段の駆動電圧は、前記払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】 前記払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、前記払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より低く設定されており、
その払出検出手段へ駆動電圧を供給する電源は、前記払出制御手段へ駆動電圧を供給する電源と独立して、その払出制御手段の電源より大容量に構成されることにより、前記払出検出手段の駆動電圧は、前記払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、パチンコ機やスロットマシンに代表される遊技機に関し、特に、停電等の発生により突然に電源が切断されても、電源の再投入により有価物体の払い出しを正確に行うことができる遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 従来、パチンコ機の賞球の払い出しは、いわゆる証拠球方式により行われていた。即ち、打球が入賞口へ入賞すると、その入賞球は証拠球として一旦タンクへ保存され、賞球の払い出しが賞球払出用モータを駆動して行われた後で、タンクから除かれるというものである。この証拠球方式の賞球の払い出しはメカ式であるので、賞球の払い出し前に停電等が発生してパチンコ機の電源が切断されても、パチンコ機の電源が再投入されれば、タンクに保存された証拠球に基づいて賞球の払い出しを行うことができる。しかし、その一方で、入賞球に対する賞球数を変更するためには賞球の払出機構の設計変更が必要になったり、また、賞球は少ない賞球数のものから順に払い出されるように設計されているので、複数の打球が短時間の間に続けて入賞すると、払い出されている賞球がどの入賞球に対するものなのかを判別することができず、パチンコ機の検査等に支障を来してしまうのである。
【0003】
このため近年のパチンコ機では、証拠球方式による賞球の払い出しに代えて、ソフト方式(ソフト制御)の賞球の払い出しが数多く採用されている。かかるソフト方式の賞球の払い出しでは、すべての入賞口に入賞球を検出するためのスイッチを設けて、そのスイッチの状態を主制御基板で監視し、打球の入賞が検出された場合には、そのスイッチに対する賞球数を払出制御基板へ報せ、かかる賞球の払い出しを払出制御基板に行わせる。このソフト方式の賞球の払い出しでは、払い出される賞球数はメモリに記憶されるので、停電等の発生によりパチンコ機の電源が切断された場合にも、かかるメモリ内容を保持するために、払出制御基板のメモリをバックアップする必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 メモリの内容をバックアップする場合には、一般に、所定のバックアップ処理が行われるが、かかるバックアップ処理は、電源の切断が検出されると、割込処理によって即座に実行される。このバックアップ処理が極めて短時間のうちに終了すると、払い出し途中にある賞球(即ち、賞球払出用モータによって払い出され、且つ、スイッチにより検出される前の落下途中にある賞球)を検出することができないという問題点がある。
【0005】
一方、賞球の払い出しを検出するスイッチの駆動電圧は9〜12ボルトであり、4〜5ボルトで駆動する払出制御基板の駆動電圧より大きいので、バックアップ処理が長引いて、スイッチの駆動電圧が9ボルト未満に下がってもなお終了しないと、正常動作範囲外の電圧で駆動するスイッチの出力を、正常動作範囲内の電圧(4ボルト以上)で駆動している払出制御基板が読み込むことになり、誤った賞球の払い出し結果を、払出制御基板が読み込んでしまうという問題点がある。即ち、実際には払い出されていない賞球を、払い出されたものとして判断してしまうのである。かかる誤検出があると、払出制御基板のメモリ内容をバックアップしても、本来払い出すべき数の賞球を払い出すことができない。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、停電等の発生により突然に電源が切断されても、電源の再投入により有価物体の払い出しを正確に行うことができる遊技機を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】 この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、所定の有価価値を有する有価物体の払い出し制御を行う払出制御手段と、その払出制御手段の制御に基づいて有価物体の払い出しを実行する払出実行手段と、その払出実行手段によって払い出された有価物体を検出する払出検出手段とを備え、更に、前記払出制御手段は、有価物体の払い出し残数を記憶する残数記憶手段と、その残数記憶手段の内容を電源の切断後においても保持させるバックアップ手段と、停電が発生した場合に前記払出実行手段の払い出し動作を停止させる払出停止手段とを備えており、停電が発生した場合において、前記払出検出手段の駆動電圧は、前記払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されている。
【0008】
この請求項1記載の遊技機によれば、停電等の発生により突然に電源が切断されると、まず、払出停止手段によって払出実行手段の払い出し動作が停止される。この時、払出制御手段と払出検出手段とは動作を継続しており、しかも、払出検出手段の駆動電圧は、払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されているので、払出制御手段が動作している間、払出検出手段は正常な検出結果を出力する。よって、停電の発生前に払出実行手段によって払い出された有価物体は、払出検出手段によって正常に検出され、その検出結果に基づいて、払出制御手段の残数記憶手段の内容が更新される。この残数記憶手段の内容は、バックアップ手段によって電源の切断後も保持されるので、停電等の発生により突然に電源が切断されても、電源の再投入により有価物体の払い出しは正確に行われる。
【0009】
請求項2記載の遊技機は、請求項1記載の遊技機において、前記払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、前記払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より大きく設定されることにより、その払出検出手段の駆動電圧は、前記払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されている。
【0010】
請求項3記載の遊技機は、請求項1記載の遊技機において、前記払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、前記払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より低く設定されており、その払出検出手段へ駆動電圧を供給する電源は、前記払出制御手段へ駆動電圧を供給する電源と独立して、その払出制御手段の電源より大容量に構成されることにより、前記払出検出手段の駆動電圧は、前記払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されている。
【0011】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。第1実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や、コイン遊技機、スロットマシン等の他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
【0012】
図1は、第1実施例のパチンコ機Pの遊技盤の正面図である。遊技盤1の周囲には、打球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶(LCD)ディスプレイ3が設けられている。このLCDディスプレイ3の表示画面は横方向に3分割されており、3分割された各表示領域において、それぞれ右から左へ横方向にスクロールしながら図柄の変動表示が行われる。
【0013】
LCDディスプレイ3の下方には、図柄作動口(第1種始動口)4が設けられ、打球がこの図柄作動口4を通過することにより、前記したLCDディスプレイ3の変動表示が開始される。図柄作動口4の下方には、特定入賞口(大入賞口)5が設けられている。この特定入賞口5は、LCDディスプレイ3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、打球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、あるいは、打球が10個入賞するまで)開放される。
【0014】
この特定入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、特定入賞口5の開放中に、打球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に打球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値の付与された状態(特別遊技状態)である。
【0015】
図2は、パチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図であり、特に、遊技の制御を行う主制御基板Cの周辺装置と、賞球や貸し球の払出制御を行う払出制御基板Hと、各制御基板やスイッチ、モータなどへ電力を供給する電源基板Dとの電気的構成を示したブロック図である。
【0016】
パチンコ機Pは、演算装置であるMPUを始め、遊技の制御プログラムを記憶したROMおよび書き替え可能なメモリとしてのRAMを搭載した主制御基板Cを備えている。この主制御基板Cの入出力ポートには、後述する払出制御基板Hのほか、複数の普通入賞スイッチ17と、第1種始動口スイッチ18と、Vカウントスイッチ19と、10カウントスイッチ20と、賞球カウントスイッチ22と、他の入出力装置25とがそれぞれ接続されている。
【0017】
普通入賞スイッチ17は、遊技領域1内の複数の普通入賞口2へ入賞した球をそれぞれ検出するためのスイッチであり、各普通入賞口2の入口近傍に設けられている。第1種始動口スイッチ18は、図柄作動口(第1種始動口)4を通過した球を検出するためのスイッチであり、図柄作動口4の近傍に設けられている。普通入賞スイッチ17のいずれか又は第1種始動口スイッチ18によって球が検出されると、払出制御基板Hによって6個の賞球が払い出される。Vカウントスイッチ19は、特定入賞口5内のVゾーン5aへ入賞した球を検出するためのスイッチであり、また、10カウントスイッチ20は、特定入賞口5内のVゾーン5a以外へ入賞した球を検出するためのスイッチである。Vカウントスイッチ19又は10カウントスイッチ20により球が検出されると、払出制御基板Hによって15個の賞球が払い出される。なお、賞球の払い出しは、主制御基板Cから払出制御基板Hへ賞球数を指示する賞球コマンドが送信されることにより行われる。
【0018】
この主制御基板Cは、入力および出力が固定的なバッファ(インバータゲート)(図示せず)を介して、払出制御基板Hと接続されている。このため主制御基板Cと払出制御基板Hとの間における賞球コマンド等の送受信は、主制御基板Cから払出制御基板Hへの一方向にのみ行われ、払出制御基板Hから主制御基板Cへ行うことはできない。なお、主制御基板Cと払出制御基板Hとは、8本のデータ線と1本のストローブ線とにより接続されており、ストローブ線のデータがアクティブになった時に、8本のデータ線上に出力されているデータが主制御基板Cから払出制御基板Hへコマンドとして送信される。
【0019】
払出制御基板Hは賞球や貸し球の払出制御を行うものであり、演算装置であるMPU31と、そのMPU31により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM32と、ワークメモリ等として使用されるRAM33とを備えている。図4及び図5に示すフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM32内に記憶されている。
【0020】
払出制御基板HのRAM33は、残賞球数カウンタ33aと、賞球中フラグ33bと、残球貸数カウンタ33cと、停電発生フラグ33dとを備えると共に、バックアップ用のコンデンサ34が接続されてバックアップ可能に構成されている。このため、残賞球数カウンタ33aや残球貸数カウンタ33cの値は、パチンコ機Pの電源が切断された場合にも保持される。
【0021】
残賞球数カウンタ33aは未払いの賞球数を記憶するカウンタであり、賞球コマンドによって主制御基板Cから払出制御基板Hへ賞球の払い出しが指示される毎に、指示された賞球数が加算される。逆に、残賞球数カウンタ33aの値は、賞球カウントスイッチ22が払い出された賞球を検出する毎に「1」ずつ減算される。前記した通り、この残賞球数カウンタ33aの値はコンデンサ34によってバックアップされるので、賞球の払い出し途中でパチンコ機Pの電源が切断された場合にも(停電の発生等により電源が突然切断された場合にも)、そのパチンコ機Pの電源を再投入することにより、残りの賞球(未払い分の賞球)を正確に払い出すことができる。
【0022】
賞球中フラグ33bは、賞球の払い出し処理が実行されていることを示すためのフラグであり、賞球の払い出し動作が開始されるとオンされ、賞球の払い出しが完了して、残賞球数カウンタ33aの値が「0」となるとオフされる。賞球中フラグ33bがオンされている間は、例え球貸しの要求があっても、賞球動作が完了して賞球中フラグ33bがオフされるまで、即ち、残賞球数カウンタ33aの値が「0」になるまで、球貸し動作は待機される。なお、球貸し動作中に、賞球の払い出し要求があっても、球貸し動作が終了するまで、賞球の払い出し動作は待機される(図5のS12及びS13)。
【0023】
残球貸数カウンタ33cは未払いの球貸し数を記憶するカウンタであり、球貸し要求がある毎に、要求された球貸し数が加算される。逆に、残球貸数カウンタ33cの値は、球貸カウントスイッチ24が払い出された貸し球を検出する毎に「1」ずつ減算される。前記した通り、この残球貸数カウンタ33cの値は、残賞球数カウンタ33aの場合と同様に、コンデンサ34によってバックアップされるので、貸し球の払い出し途中でパチンコ機Pの電源が切断された場合にも(停電の発生等により電源が突然切断された場合にも)、そのパチンコ機Pの電源を再投入することにより、残りの貸し球(未払い分の貸し球)を正確に払い出すことができる。
【0024】
停電発生フラグ33dは、停電の発生や電源スイッチのオフによってパチンコ機Pへの電力供給が途絶えた場合にオンされるフラグである。パチンコ機Pへ電力供給を行う外部電源41の出力電圧は、電源監視回路45によって絶えず監視されている。停電等が発生すると、外部電源41の出力電圧は所定電圧以下に下がるが、かかる電圧低下が電源監視回路45によって検出されると、電源監視回路45から払出制御基板HのMPU31へ停電信号45aが出力される。停電信号45aの信号線はMPU31の外部割込端子に接続されており、停電信号45aが出力されると、MPU31によって図4に示す停電割込処理が実行され、停電発生フラグ33dがオンされる。なお、一旦オンされた停電発生フラグ33dは、パチンコ機Pの電源が再投入されるまでオフされない。
【0025】
これらMPU31、ROM32及びRAM33は、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン35により互いに接続されている。バスライン35は、また、入出力ポート36にも接続されている。入出力ポート36は、前述した入力および出力が固定的なバッファ(インバータゲート)(図示せず)を介して主制御基板Cと接続されるほか、賞球払出用モータ21と、賞球カウントスイッチ22と、球貸払出用モータ23と、球貸カウントスイッチ24と、他の入出力装置40とにそれぞれ接続されている。
【0026】
賞球払出用モータ21は、賞球を払い出すためのモータであり、払出制御基板Hによって駆動制御される。賞球カウントスイッチ22は、賞球払出用モータ21を駆動することによって実際に払い出された賞球を検出するためのスイッチであり、その出力は、払出制御基板Hのみならず、主制御基板Cへも入力される。球貸払出用モータ23は、貸し球を払い出すためのモータであり、払出制御基板Hによって駆動制御される。球貸カウントスイッチ24は、球貸払出用モータ23を駆動することによって実際に払い出された貸し球を検出するためのスイッチであり、その出力は払出制御基板Hへのみ入力される。
【0027】
電源基板Dは、DC24V生成回路42と、DC12V生成回路43と、DC5V生成回路44と、電源監視回路45とを備えている。DC24V生成回路42は、外部電源41から入力される24ボルトの交流電圧から+24ボルトの直流電圧を生成するための回路である。生成された+24ボルトの直流電圧は、電源基板D内のDC12V生成回路43及びDC5V生成回路44へ供給されるほか、賞球払出用モータ21および球貸払出用モータ23などの各種モータへ駆動電圧として供給される。
【0028】
DC12V生成回路43は、DC24V生成回路42から供給される+24ボルトの直流電圧から+12ボルトの直流電圧を生成するための回路である。生成された+12ボルトの直流電圧は、各種スイッチ17〜20,22,24へ駆動電圧として供給される。DC5V生成回路44は、DC12V生成回路43と同様に、DC24V生成回路42から供給される+24ボルトの直流電圧から+5ボルトの直流電圧を生成するための回路である。生成された+5ボルトの直流電圧は、主制御基板Cや払出制御基板Hなどの各制御基板へ駆動電圧として供給される。
【0029】
これらDC24V生成回路42、DC12V生成回路43およびDC5V生成回路44の出力電圧は、停電の発生や電源スイッチのオフによってパチンコ機Pの電源が切断されると、図3に示すように低下していく。第1実施例では、DC24V生成回路42の出力電圧からDC12V生成回路43およびDC5V生成回路44の出力電圧が生成されており、かつ、DC12V生成回路42にはDC5V生成回路44より十分に大容量のコンデンサ(図示せず)が接続されている。よって、DC12V生成回路43の出力電圧の方が、DC5V生成回路44の出力電圧よりも、正常動作範囲の電圧を長く維持することができるのである。
【0030】
ここで、正常動作範囲の電圧とは、DC12V生成回路43については、DC12V生成回路43に接続される各種スイッチ17〜20,22,24の正常動作範囲の電圧である「9〜13ボルト」が相当し、DC5V生成回路44については、DC5V生成回路44に接続される各種制御基板C,Hの正常動作範囲の電圧である「4〜5.5ボルト」が相当する。
【0031】
従って、停電等の発生によりパチンコ機Pの電源が切断されても、払出制御基板Hが動作している間は、賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24には正常動作可能な電圧が供給されるので、賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24から払出制御基板Hへ、誤った検出結果が出力されることは無い。即ち、払出制御基板Hが動作している間は、賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24から払出制御基板Hへ、正常な検出結果のみが出力される。
【0032】
図2に示す電源基板Dの電源監視回路45は、停電の発生や電源スイッチのオフによってパチンコ機Pの電源が切断された場合に、停電信号45aを払出制御基板HのMPU31へ出力するための回路である。停電監視回路45は、外部電源41の出力電圧を絶えず監視しており、外部電源41の出力電圧が所定電圧以下になった場合に、停電信号45aを出力する。前述した通り、停電信号45aが払出制御基板HのMPU31へ出力されると、MPU31によって図4に示す停電割込処理が実行され停電発生フラグ33dがオンされる。
【0033】
次に、図4及び図5を参照して、払出制御基板Hで行われる停電割込処理およびメイン処理について説明する。図4は、停電割込処理のフローチャートである。停電等の発生によりパチンコ機Pの電源が切断されて、外部電源41の出力電圧が所定電圧以下になると、電源監視回路45から払出制御基板HのMPU31へ停電信号45aが出力される。停電信号45aの信号線はMPU31の外部割込端子に接続されているので、停電信号45aが出力されると、MPU31によって停電割込処理が実行される。
【0034】
停電割込処理では、まず、停電の発生を報せるべく停電発生フラグ33dをオンする(S1)。その後は、停電割込をマスクして(S2)、この停電割込処理を終了する。停電割込をマスクしなければ、停電信号45aの継続出力によって絶えず停電割込が発生するために、後述するメイン処理の実行時間が確保できなくなるからである。
【0035】
図5は、払出制御基板Hのメイン処理のフローチャートである。このメイン処理は払出制御基板Hで行われる初期化処理の後に実行されるものであり、メイン処理によって、払出制御基板Hで必要な賞球や貸し球の払い出し等の各処理が実行される。
【0036】
メイン処理では、まず、停電発生フラグ33dの状態を調べる(S11)。停電発生フラグ33dがオフされていれば(S11:No)、未だ、停電等は発生していないので、以降のS12からS18の各処理によって、賞球や貸し球の払出制御を行う。一方、停電発生フラグ33dがオンされていれば(S11:Yes)、既に停電等が発生してパチンコ機Pの電源が切断されているので、賞球や貸し球の払出制御を停止するべく、S12からS18の各処理をスキップして、処理をS19へ移行する。賞球や貸し球の払出制御は、賞球払出用モータ21又は球貸払出用モータ23を駆動して行われるので、消費する電力が大きい。しかし、第1実施例では、停電等の発生により、かかる払出制御を真っ先に停止するので、その分、消費電力を抑えて、各制御基板C,Hの停電等の発生時における動作時間をより長くすることができるのである。
【0037】
S12の処理では、賞球中フラグ33bの状態を調べ(S12)、オフされていれば(S12:No)、賞球動作は行われていないので、残球貸数カウンタ33cの値を調べる(S13)。残球貸数カウンタ33cの値が「0」でなければ(S13:No)、払い出すべき貸し球が存在するので、球貸払出用モータ23を駆動して貸し球を1個払い出す(S14)。一方、S12の処理において賞球中フラグ33bがオンされていれば(S12:Yes)、賞球動作中であるので、また、S13の処理において残球貸数カウンタ33cの値が「0」であれば(S13:Yes)、払い出すべき貸し球は存在しないので、残賞球数カウンタ33aの値を調べる(S15)。残賞球数カウンタ33aの値が「0」でなければ(S15:No)、払い出すべき賞球が存在するので、賞球払出用モータ21を駆動して賞球を1個払い出し(S16)、賞球動作中であることを示すべく、賞球中フラグ33bをオンする(S17)。一方、残賞球数カウンタ33aの値が「0」であれば(S15:Yes)、払い出すべき賞球は存在しないので、賞球中フラグ33bをオフして(S18)、賞球動作を終了する。
【0038】
S19からS24の処理では、S12からS18の各処理によって払い出された賞球および貸し球の検出処理が行われる。これらの検出処理は停電発生フラグ33dのオンオフに関係なく実行される。即ち、賞球および貸し球の検出処理は、停電の発生時においても、払出制御基板Hが動作を継続する限り実行される。
【0039】
なお、前記した通り、停電等の発生時には電力消費の大きな賞球や貸し球の払出制御が真っ先に停止されるので、払出制御基板Hをより長く動作させることができる。よって、停電等の発生直前に払い出された賞球や貸し球であっても、これらを賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24によって検出することができるのである。
【0040】
S19の処理では、まず、賞球カウントスイッチ22がオンされたか否かを確認し(S19)、オンが検出されれば(S19:Yes)、賞球の払い出しが行われたということである。よって、かかる場合には、残賞球数カウンタ33aの値を確認し(S20)、その値が「0」でなければ(S20:No)、払い出された賞球に対応して残賞球数カウンタ33aの値を「1」減算する(S21)。一方、賞球カウントスイッチ22のオンが検出されない場合や(S19:No)、賞球カウントスイッチ22のオンが検出されても(S19:Yes)、残賞球数カウンタ33aの値が「0」である場合には(S20:Yes)、S21の処理をスキップする。
【0041】
S22の処理では、球貸カウントスイッチ24がオンされたか否かを確認する(S22)。球貸カウントスイッチ24のオンが検出されれば(S22:Yes)、貸し球の払い出しが行われたということである。よって、かかる場合には、残球貸数カウンタ33cの値を確認し(S23)、その値が「0」でなければ(S23:No)、払い出された貸し球に対応して残球貸数カウンタ33cの値を「1」減算する(S24)。一方、球貸カウントスイッチ24のオンが検出されない場合や(S22:No)、球貸カウントスイッチ24のオンが検出されても(S22:Yes)、残球貸数カウンタ33cの値が「0」である場合には(S23:Yes)、S24の処理をスキップする。S22:No,S23:Yes,S24の各処理の実行後は、払出制御基板Hで必要な各処理を実行し(S25)、その実行後は、処理を再びS11へ移行する。
【0042】
以上説明したように、第1実施例のパチンコ機Pによれば、停電等の発生により電源が切断されると、停電発生フラグ33dがオンされて、賞球や貸し球の払出制御が停止される(S11:Yes)。このとき、払出制御基板H、賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24は正常に動作を継続しており、しかも、図3に示すように、各スイッチ22,24の駆動電圧の方が払出制御基板Hの駆動電圧より、正常動作範囲の電圧を長く維持する。このため、払出制御基板Hは、停電等の発生によりパチンコ機Pの電源が切断された後も僅かながら制御を継続すると共に、その払出制御基板Hが動作している間中、各スイッチ22,24は正常な検出結果を出力する。
【0043】
よって、停電等の発生の直前に払い出された賞球又は貸し球であっても、それらを賞球カウントスイッチ22又は球貸カウントスイッチ24により確実に検出し、残賞球数カウンタ33a及び残球貸数カウンタ33cの値を更新することができる。残賞球数カウンタ33a及び残球貸数カウンタ33cの値は、コンデンサ34によって電源の切断後も保持されるので、停電等の発生により電源が切断されても、パチンコ機Pの電源を再投入することにより、未払いの賞球や貸し球を正確に払い出すことができるのである。
【0044】
次に、図6及び図7を参照して、第2実施例について説明する。前記した第1実施例のパチンコ機Pでは、賞球カウントスイッチ22や球貸カウントスイッチ24等の各スイッチ17〜20,22,24として「9〜13ボルト」の電圧で動作するスイッチを用いていたが、第2実施例のパチンコ機Pでは、各制御基板C,Hの動作電圧である「4〜5.5ボルト」より低い、「2.5〜3.5ボルト」の電圧で動作するスイッチを用いている。以下、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみについて説明する。
【0045】
図6に示すように第2実施例では、賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24などの各スイッチ17〜20,22,24の駆動電圧は、電源基板Dに設けられたDC3V生成回路46から供給される。DC3V生成回路46は、DC5V生成回路44から出力される+5ボルトの直流電圧から+3ボルトの直流電圧を生成するので、パチンコ機Pの電源が切断された場合、図7に示すように、DC3V生成回路46の出力電圧は、DC5V生成回路44の出力電圧より正常動作範囲の電圧を長く維持することができる。
【0046】
よって、停電等の発生によってパチンコ機Pの電源が切断された場合、払出制御基板Hが動作している間、賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24は正常な検出結果を出力することができる。従って、第2実施例のパチンコ機Pにおいても、第1実施例のパチンコ機Pと同様の効果を奏することができる。
【0047】
次に、図8から図10を参照して、第3実施例について説明する。前記した第1実施例のDC5V生成回路44は、DC12V生成回路43と同様に、DC24V生成回路42の出力電圧を入力して+5ボルトの直流電圧を生成した。これに対し、第3実施例のDC5V生成回路44は、DC24V生成回路42の出力電圧ではなく、DC12V生成回路43の出力電圧を入力して+5ボルトの直流電圧を生成している。以下、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみについて説明する。
【0048】
図8に示すように、第3実施例のパチンコ機Pでは、DC24V生成回路42の出力電圧がDC12V生成回路43へ入力されて+12ボルトの直流電圧が生成され、そのDC12V生成回路43の出力電圧がDC5V生成回路44へ入力されて+5ボルトの直流電圧が生成されている。このためパチンコ機Pの電源が切断された場合、図9に示すように、各スイッチ17〜20,22,24へ駆動電圧を供給するDC12V生成回路43の出力電圧は、各制御基板C,Hへ駆動電圧を供給するDC5V生成回路44の出力電圧より、正常動作範囲の電圧を長く維持することはできない。即ち、停電等の発生によってパチンコ機Pの電源が切断された場合、払出制御基板Hが動作している間に、賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24は、正常な検出結果を出力できなくなってしまう。
【0049】
そこで、第3実施例の払出制御基板Hのメイン処理では、図10のフローチャートに示すように、第1実施例のメイン処理に対して、S31の処理を追加している。即ち、停電の発生や電源スイッチのオフによってパチンコ機Pの電源が切断されると、停電発生フラグ33dがオンされるが(S1)、かかる停電発生フラグ33dがオンしている場合には(S11:Yes)、賞球や貸し球の払出制御(S12〜S18)をスキップするだけでなく、DC12V生成回路43の出力電圧を調べて(S31)、その電圧が9.5ボルト以上である場合に限り(S31:Yes)、払い出し球の検出処理を実行し(S19〜S24)、逆に、その電圧が9.5ボルト未満であれば(S31:No)、払い出し球の検出処理を禁止(スキップ)するのである。賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24等の各スイッチ17〜20,22,24の正常動作範囲の電圧は「9〜13ボルト」であるので、S31の処理では「0.5ボルト」のマージンをみて、「9.5ボルト」を基準に、払い出し球の検出処理(S19〜S24)を実行するか否かを判断している。
【0050】
従って、停電等の発生によってパチンコ機Pの電源が切断された場合にも、払出制御基板Hは、賞球カウントスイッチ22及び球貸カウントスイッチ24の正常な検出結果のみを入力することができるので、停電等の発生の直前に払い出された賞球又は貸し球であっても、それらを賞球カウントスイッチ22又は球貸カウントスイッチ24により正確に検出し、残賞球数カウンタ33a及び残球貸数カウンタ33cの値を更新することができる。残賞球数カウンタ33a及び残球貸数カウンタ33cの値は、コンデンサ34によって電源の切断後も保持されるので、停電等の発生により電源が切断されても、パチンコ機Pの電源を再投入することにより、未払いの賞球や貸し球を正確に払い出すことができる。
【0051】
上記各実施例において、所定の有価価値を有する有価物体としては払出制御基板Hによって払い出される賞球および貸し球が、払出停止手段としては、S11のYesの分岐処理が、それぞれ該当する。
【0052】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0053】
例えば、上記各実施例では、払出制御基板HのRAM33の内容は、バックアップ用のコンデンサ33bによって、残賞球数カウンタ33aおよび残球貸数カウンタ33cの値に限らず、すべてバックアップされた。しかし、かかるコンデンサ33bによって、残賞球数カウンタ33aおよび残球貸数カウンタ33cの値のみをバックアップするように構成しても良い。
【0054】
また、停電等の発生時には、払出制御基板Hの動作時間をより長くするために、電力消費の大きな賞球払出用モータ21及び球貸払出用モータ23の駆動が真っ先に停止されたが、かかる停止と共に、電力消費の大きな他のモータ、例えば球を遊技領域1へ発射する発射モータなどの駆動を停止するようにしても良い。これにより、停電等の発生時における払出制御基板Hの動作時間をより長くして、停電等の発生直前に払い出された賞球や貸し球の検出をより確実に行うことができる。
【0055】
更に、上記各実施例の停電監視回路45は、外部電源41の出力電圧を絶えず監視して、その出力電圧が所定電圧以下になった場合に停電信号45aを出力するように構成したが、かかる外部電源41に代えて、DC24V生成回路42の出力電圧を監視し、その出力電圧が所定電圧以下になった場合に停電信号45aを出力するように構成しても良い。なお、停電監視回路45の監視対象となる電源は、各スイッチ17〜20,22,24及び各制御基板C,Hへ駆動電圧を供給する電源より大きな電圧を出力する電源であれば、外部電源41やDC24V生成回路42以外の電源であっても良い。例えば、各スイッチ17〜20,22,24の正常動作範囲の駆動電圧が各制御基板C,Hと同じ「4〜5.5ボルト」である場合には、電源監視回路45でDC12V生成回路43の出力電圧を監視して、その出力電圧が所定電圧以下になった場合に停電信号45aを出力するように構成しても良いのである。
【0056】
以下に本発明の変形例を示す。請求項1記載の遊技機の制御装置において、前記払出制御基板の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、前記払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より大きく設定されることにより、その払出検出手段の駆動電圧は、前記払出制御基板の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されていることを特徴とする遊技機の制御装置1。例えば、払出制御基板の正常動作範囲の駆動電圧の最低値が4ボルトで、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は2.5ボルトである場合、停電等の発生により遊技機の電源が切断されても、払出制御基板の動作中は、払出検出手段は確実に正常動作しているので、払出制御基板が払出検出手段の誤った検出結果を読み込むことはない。
【0057】
請求項1記載の遊技機の制御装置において、前記払出制御基板の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、前記払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より低く設定されており、その払出検出手段へ駆動電圧を供給する電源は、前記払出制御基板へ駆動電圧を供給する電源と独立して、その払出制御基板の電源より大容量に構成されることにより、前記払出検出手段の駆動電圧は、前記払出制御基板の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されていることを特徴とする遊技機の制御装置2。例えば、払出制御基板の正常動作範囲の駆動電圧の最低値が4ボルトで、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は9.5ボルトである場合、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧は、払出制御基板の正常動作範囲の駆動電圧より大きいが、払出検出手段および払出制御基板へ駆動電圧を供給する電源は独立して構成され、しかも、払出検出手段の電源の方が大容量に構成されている。よって、停電等の発生により遊技機の電源が切断されても、払出制御基板の動作中は、払出検出手段の駆動電圧を正常動作範囲の電圧に維持して、払出検出手段を正常動作させることができる。
【0058】
所定の有価価値を有する有価物体の払い出し制御を行う払出制御手段と、その払出制御手段の制御に基づいて有価物体の払い出しを実行する払出実行手段と、その払出実行手段によって払い出された有価物体を検出する払出検出手段とを備え、更に、前記払出制御手段は、有価物体の払い出し残数を記憶する残数記憶手段と、その残数記憶手段の内容を電源の切断後においても保持させるバックアップ手段と、停電が発生した場合に前記払出実行手段の払い出し動作を停止させる払出停止手段と、停電が発生した場合に前記払出検出手段の駆動電圧が正常動作範囲外の電圧値になった場合に、その払出検出手段による検出を禁止する検出禁止手段とを備えている遊技機10。なお、検出禁止手段としては、S31のNoの分岐処理が該当する。
この遊技機10によれば、停電等の発生により突然に電源が切断されると、まず、払出停止手段によって払出実行手段の払い出し動作が停止される。この時、払出制御手段と払出検出手段とは動作を継続しているが、払出検出手段の駆動電圧が正常動作範囲外の電圧値になった場合には、検出禁止手段によって払出検出手段による検出が禁止されるので、払出制御手段は、払出検出手段の正常な検出結果のみを入力することができる。よって、停電の発生前に払出実行手段によって払い出された有価物体は、払出検出手段によって正常に検出され、その検出結果に基づいて、払出制御手段の残数記憶手段の内容が更新される。この残数記憶手段の内容は、バックアップ手段によって電源の切断後も保持されるので、停電等の発生により突然に電源が切断されても、電源の再投入により有価物体の払い出しは正確に行われる。
遊技機10によれば、停電等の発生により突然に電源が切断されると、払出制御手段と払出検出手段との動作を継続しつつ、払出実行手段の払い出し動作を停止する。払出検出手段の駆動電圧が正常動作範囲外の電圧値になった場合には、検出禁止手段によって払出検出手段による検出が禁止されるので、払出制御手段は、払出検出手段の正常な検出結果のみを入力することができる。よって、停電の発生前に払出実行手段によって払い出された有価物体を払出検出手段により検出し、その検出結果に基づいて、払出制御手段の残数記憶手段の内容を更新することができる。残数記憶手段の内容は電源の切断後も保持されるので、停電等の発生により突然に電源が切断されても、電源の再投入により有価物体の払い出しを正確に行うことができるという効果がある。
遊技機10において、前記払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、前記払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より低く設定されていることを特徴とする遊技機11。例えば、払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値が4ボルトで、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は9.5ボルトである場合、停電等の発生により遊技機の電源が切断されると、払出制御手段の正常動作中に、払出検出手段が正常動作不可能となる。しかし、かかる状態では、払出制御手段の検出禁止手段により、払出検出手段の検出(又は、検出結果の読み込み)が禁止されるので、誤った検出結果を読み込むことがない。
【0059】
【発明の効果】 請求項1記載の遊技機によれば、停電等の発生により突然に電源が切断されると、払出制御手段と払出検出手段との動作を継続しつつ、払出実行手段の払い出し動作を停止する。払出検出手段の駆動電圧は、払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されているので、払出制御手段が動作している間、払出検出手段は正常な検出結果を出力する。よって、停電の発生前に払出実行手段によって払い出された有価物体を払出検出手段により検出し、その検出結果に基づいて、払出制御手段の残数記憶手段の内容を更新することができる。残数記憶手段の内容は電源の切断後も保持されるので、停電等の発生により突然に電源が切断されても、電源の再投入により有価物体の払い出しを正確に行うことができるという効果がある。
【0060】
請求項2記載の遊技機によれば、請求項1記載の遊技機の奏する効果に加え、払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より大きく設定されており、その払出検出手段の駆動電圧は、払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されている。よって、例えば、払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値が4ボルトで、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は2.5ボルトである場合、停電等の発生により遊技機の電源が切断されても、払出制御手段の動作中は、払出検出手段は確実に正常動作しているので、払出制御手段が払出検出手段の誤った検出結果を読み込むことはない。
【0061】
請求項3記載の遊技機によれば、請求項1記載の遊技機の奏する効果に加え、払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値より低く設定されており、その払出検出手段へ駆動電圧を供給する電源は、払出制御手段へ駆動電圧を供給する電源と独立して、その払出制御手段の電源より大容量に構成されており、払出検出手段の駆動電圧は、払出制御手段の駆動電圧より正常動作範囲の電圧が長く維持されるように構成されている。よって、例えば、払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値が4ボルトで、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧の最低値は9.5ボルトである場合、払出検出手段の正常動作範囲の駆動電圧は、払出制御手段の正常動作範囲の駆動電圧より大きいが、払出検出手段および払出制御手段へ駆動電圧を供給する電源は独立して構成され、しかも、払出検出手段の電源の方が大容量に構成されている。従って、停電等の発生により遊技機の電源が切断されても、払出制御手段の動作中は、払出検出手段の駆動電圧を正常動作範囲の電圧に維持して、払出検出手段を正常動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるパチンコ機の遊技盤の正面図である。
【図2】 パチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図3】 停電等の発生によりパチンコ機の電源が切断された場合に電源基板から出力される各駆動電圧の変化の様子を示した図である。
【図4】 払出制御基板の外部割込で実行される停電割込処理のフローチャートである。
【図5】 払出制御基板で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【図6】 第2実施例におけるパチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図7】 第2実施例のパチンコ機において、停電等の発生により電源が切断された場合に電源基板から出力される各駆動電圧の変化の様子を示した図である。
【図8】 第3実施例におけるパチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図9】 第3実施例のパチンコ機において、停電等の発生により電源が切断された場合に電源基板から出力される各駆動電圧の変化の様子を示した図である。
【図10】 第3実施例の払出制御基板で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【符号の説明】
21 賞球払出用モータ(払出実行手段の一部)
22 賞球カウントスイッチ(払出検出手段の一部)
23 球貸払出用モータ(払出実行手段の一部)
24 球貸カウントスイッチ(払出検出手段の一部)
33a 残賞球数カウンタ(残数記憶手段)
33c 残球貸数カウンタ(残数記憶手段)
33d 停電発生フラグ
34 バックアップ用コンデンサ(バックアップ手段)
41 外部電源
42 DC24V生成回路
43 DC12V生成回路
44 DC5V生成回路
45 停電監視回路
45a 停電信号
46 DC3V生成回路
C 主制御基板
D 電源基板
H 払出制御基板
P パチンコ機(遊技機)
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