JP3822939B2 - スロットマシン - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、複数のリールと、各リールを始動させるための始動レバーと、各リール毎に設けられる停止釦スイッチとを具備し、各リールの停止時に複数の停止ライン上にそれぞれリール毎の図柄を整列させるようにしたスロットマシンに関する。特にこの発明は、特別のゲームへの移行を示す特定図柄の組合せを成立させるかどうかを決定するための抽選を実行し、この抽選が当たったとき、有効化された停止ライン上に前記特定図柄の組合せまたは抽選が当たったことを示す複数パターンの図柄組合せのうちのいずれかが成立するように各リールの停止動作を制御するスロットマシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の典型的なスロットマシンは、周面に複数の図柄が描かれた3個のリール,各リールを一斉に始動するための始動レバー,各リールに対応する停止釦スイッチなどを有しており、1〜3枚のメダルを投入した後に始動レバーを操作すると、3個のリールが一斉に回転し、この後、順次停止釦スイッチを押操作することにより、対応するリールが停止する。すべてのリールが停止したとき、メダル投入枚数により有効化されたいずれかのライン(以下単に「有効ライン」という)上に所定の図柄の組合せが成立すると、そのゲームは入賞となり、遊戯者は入賞の種類に応じて所定枚数のメダルの配当を受ける。
【0003】
近年のスロットマシンでは、各リールの始動に応じて制御部内部で抽選を行い、この抽選が当たると、各リールに対し、有効ライン上に特定の図柄(例えば「7」の図柄)が引き込まれるようにその停止動作を制御する。これにより有効ライン上に特定図柄の組合せが成立すると、以後の複数回のゲームにおいて、入賞が高確率で発生する特別ゲーム(いわゆる「ボーナスゲーム」)が実施され、多数枚のメダルが払い出される。
【0004】
ところで上記の図柄引込制御は、法規制により所定の駒数内で行うように定められているため、前記抽選が当たった場合でも、停止操作時のリール位置によっては、目的とする特定図柄をうまく引き込めないことがある。
このため従来のスロットマシンでは、前記抽選が当たったことを示す図柄組合せを複数パターン設定しておき(以下これら図柄組合せのパターンを「リーチパターン」という)、前記特別図柄の組合せ(以下これを「ボーナスパターン」という)を成立させることが不可能な場合には、いずれかのリーチパターンが成立するように、リールの停止動作を制御している。
【0005】
前記抽選は、通常は各リールの始動毎に行われるが、一旦この抽選が当たりとなると、以後、ボーナスパターンが成立するまでその結果が維持される。したがって抽選が当たってからボーナスパターンが成立するまでの間の各ゲームでは、リーチパターンが出現するような制御が行われるので、遊戯者は、抽選が当たっているのでないかと予想してボーナスゲームへの期待感を高めるようになる。
【0006】
装置内部の制御部では、リールの停止制御やリール停止時の入賞判定を行うために、各リール毎に、そのリール上に描かれた図柄の種類や配列順序をテーブル化してメモリ内に記憶している。またこのメモリには、前記リーチ図柄にかかる各種図柄組合せが記憶されるとともに、各リール毎に、各種図柄がそれぞれいずれのリーチパターンに関わるかを特定する設定データが記憶されている。
【0007】
図21は、前記リーチパターンとして、5つの態様P1〜P5が設定された例を示す。なおこの図示例では、説明を簡単にするために、各リーチパターンを「7」,「BAR」,「★」の3種類の図柄のうち少なくとも2種類の図柄の組合せにより設定し、各リーチパターンの態様と、左,中央,右の各リールの所定の停止ライン上に出現させる図柄とを対応づけて示してある。
【0008】
図22は、前記3本のリールのうち中央のリールにおいて、前記3種の図柄それぞれが前記リーチパターンP1〜P5のいずれに関わるかを示す設定データの内容を示す。なおこの設定データは、具体的には、前記した各図柄の種類を示すデータの後に順次付加される形式をとるが、ここでは説明を簡単にするために、各図柄とリーチパターンとを対応づけたテーブルの形式に置き換えて示し、各図柄毎に関わりのあるパターンに対応するデータの設定値を「1」により、関わりのないパターンに対応するデータの設定値を「0」により、それぞれ表してある。
【0009】
まず「7」の図柄は、中央のリールにおいては、第1のリーチパターンP1でのみ用いられているので、このリーチパターンP1に対しては「1」のデータ値が、他のリーチパターンP2〜P4に対応しては「0」のデータ値が、それぞれ設定される。また「BAR」の図柄は、第2,第3,第5の各リーチパターンP2,P3,P5に用いられるので、これらリーチパターンP2,P3,P5に対応する設定データは「1」となる。同様にして「★」の図柄については、第4のリーチパターンP4に対応する設定データのみが「1」の値をとる。
なお第1,第3の各リールについても、上記と同様にして、各図柄毎がいずれのリーチパターンに用いられるかを特定するデータが設定され、メモリ内に記憶される。
【0010】
抽選が当たりとなった段階でいずれかの停止釦スイッチが押操作されると、制御部は、対応するリールについて、現時点で有効ライン上に位置する図柄から所定駒数内にある図柄の種類を確認し、これらの図柄の中から有効ライン上に引き込んで停止させる図柄(以下これを「引込み図柄」という)を特定する。
この場合、ボーナスパターンが成立する可能性があり、かつ前記駒数内に「7」の図柄が存在すれば、この「7」の図柄が優先的に引き込まれる。これに対し、先に停止しているリールの有効ライン上に「7」の図柄が停止していない場合や、停止操作されたリールにおいて前記駒数内に「7」の図柄が存在しない場合など、ボーナスパターンの成立の望みがないときは、各リーチパターンの中から成立可能なパターンが絞り込まれた後、前記駒数内の図柄種に応じていずれかのパターンが選択され、引込み図柄が特定される。
【0011】
例えば前記図21,22の例において、左,中央,右の順に各リールが停止操作され、左のリールが有効ライン上に「7」の図柄を引き込んで停止した後、つぎの中央のリールが「7」の図柄を引込み不可能な位置で停止操作されたものとすると、この段階で成立可能なリーチパターンは、第2,第4,第5の各リーチパターンP2,P4,P5となる。このとき第2のリールの有効ライン上から所定駒数内に「BAR」が存在すれば、この「BAR」の図柄が引込み図柄として特定され、停止制御が実施される。
【0012】
これにより成立可能なリーチパターンは、第2,第5のいずれかのリーチパターンP2,P5に絞り込まれるもので、第3のリールの停止操作があれば、同様にその有効ライン上に位置する図柄から前記駒数内に「7」または「★」のいずれかの図柄が存在するか否かに基づき、リーチパターンが決定される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記した制御により、抽選が当たってからボーナスパターンが成立するまでの各ゲームでは、各種のリーチパターンが出現するように設定されるが、この場合、多彩なリーチパターンが出現するように設定できれば、ゲームの興趣が盛り上がり、遊戯者のゲーム展開に対する関心をますます高めることができる。
【0014】
この場合に上記のリール停止制御を適用すると、停止操作毎に先に停止しているリール上の停止図柄などから成立可能なリーチパターンを選択した後、選択された各パターンについて、さらに停止操作されたリールにおける所定駒数内の図柄配列に基づき引込み図柄の特定を行う必要がある。しかしながら停止操作から実際のリール停止までのわずかな時間内に多数のリーチパターンを前記駒数内に存在する図柄と照合することには困難があり、リーチパターンの設定数は必然的に限られたものとなる。
【0015】
この発明は上記問題点に着目してなされたもので、各停止ライン毎に、ボーナスパターンやリーチパターンを成立させるための各リールのリール停止位置を示すデータを、各リール毎に複数通り記憶しておき、リールが停止操作されたとき、対応するリールを記憶されたいずれかの停止位置で停止するように制御することにより、簡単な制御で、多彩なリーチパターンの出現を可能とすることを技術課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかるスロットマシンは、複数駒の図柄が配列された複数のリールと、各リールを始動させるための始動レバーと、各リール毎に設けられる停止釦スイッチとを具備し、各リールを横切る停止ラインが複数設定されている。また、これらの停止ラインのうちの特定の1つ(たとえば後記する停止ラインL )が基準の停止ラインに設定されており、リールの始動時に実行された抽選に当選しているとき、特別のゲームへの移行を示すボーナスパターンまたは前記抽選に当選していることを示すリーチパターン有効化されたいずれかの停止ライン上に成立するように、前記基準の停止ラインに所定の図柄を引き込んで停止させる引込み制御を、所定の駒数内で実行する。さらに、この発明にかかるスロットマシンは、前記複数の停止ラインについて、それぞれ当該停止ラインに前記ボーナスパターンおよびリーチパターンのいずれかを成立させるのに必要な各リールの停止位置を示すデータとして、前記基準の停止ライン上に停止させる図柄の配列順序を示すデータ(たとえば後記する図柄カウンタ、または、たとえば図柄カウンタに所定値を加算したデータ)をリール毎に複数個記憶する記憶手段と、前記抽選に当選した状態で停止釦スイッチによる停止操作が行われたとき、停止操作されたリールにつき、前記停止操作までにそのリールの駆動部に与えられた駆動パルスの数に基づき前記基準の停止ライン上に位置する図柄の配列順序を認識し、認識した配列順序と前記引込み制御が可能な駒数とから割り出される前記基準の停止ラインに引込み可能な図柄の配列順序について、前記記憶手段に記憶された当該リールにかかるデータの中から有効な停止ラインに対して設定されているデータを1つ選択する選択手段と、前記停止操作されたリールを、前記選択手段により選択されたデータが示す配列順序の図柄が前記基準の停止ラインに合わせられた時点で停止させる停止制御手段とを備える。
【0017】
前記記憶手段には、前記複数の停止ライン毎に、当該停止ラインにボーナスパターン用の図柄を停止させるためのデータと、当該停止ラインにボーナスパターン用の図柄以外の図柄を停止させるためのデータとが識別可能な状態で設定されるとともに、全てのリールについてボーナスパターン用の図柄を停止させるためのデータが選択されたときのみボーナスパターンが成立し、それ以外の組み合わせでデータが選択された場合にはリーチパターンが成立するように設定されている。さらに、前記選択手段は、リールが停止する都度、以後に停止させるリールに対する選択対象のデータを、前記リールの停止により前記ボーナスパターンまたはリーチパターンが成立する可能性が生じた停止ラインに対応するデータに絞り込むとともに、停止したリールにボーナスパターン用の図柄が停止した場合には、以後に停止させるリールについて、前記絞り込まれたデータの中からボーナスパターン用の図柄を停止させるためのデータを優先して選択するように設定されている。
【0018】
【作用】
記憶手段には、各停止ラインについて、それぞれボーナスパターンおよびリーチパターンのいずれかを成立させるのに必要な各リールの停止位置を示すデータとして、基準の停止ライン上に停止させる図柄の配列順序を示すデータがリール毎に複数個保存されている。ここで抽選に当選した状態でいずれかのリールが停止操作されると、この停止操作されたリールについて、基準の停止ライン上に位置する図柄の配列順序が認識されるとともに、その認識した配列順序と引込み制御の駒数とから割り出される前記基準の停止ラインに引込み可能な図柄の配列順序について、記憶手段に記憶された当該リールにかかるデータの中から有効な停止ラインに対して設定されているデータが1つ選択される。さらに、前記リールは、選択されたデータが示す配列順序の図柄が基準の停止ラインに合わせられた時点で停止するように制御される。これにより有効な停止ライン上に、ボーナスパターンまたはリーチパターン用の図柄を停止させることが可能になる。
さらに、以下に停止させるリールについて前記記憶手段から選択されるデータは、既に停止したリールによりボーナスパターンまたはリーチパターンが成立する可能性が生じた停止ラインに対応するデータに絞り込みされるので、ボーナスパターンまたはリーチパターンを確実に成立させることが可能になる。
【0019】
また、記憶手段には、複数の停止ライン毎に、当該停止ラインにボーナスパターン用の図柄を停止させるためのデータと、当該停止ラインにボーナスパターン用の図柄以外の図柄を停止させるためのデータとが識別可能な状態で設定されるとともに、全てのリールについてボーナスパターン用の図柄を停止させるためのデータが選択されたときのみボーナスパターンが成立し、それ以外の組み合わせでデータが選択された場合にはリーチパターンが成立するように設定されており、停止したリールにボーナスパターン用の図柄が停止した場合には、以後に停止させるリールについても、絞り込まれたデータの中からボーナスパターン用の図柄を停止させるためのデータが優先して選択されるので、ボーナスパターンが成立する可能性がない場合にはリーチパターンが成立するようになる。
【0020】
【実施例】
図1は、この発明の一実施例にかかるスロットマシンの外観を示す。
このスロットマシンの機体は、ボックス形状の機械本体部の前面に扉部2を開閉可能に取り付けて構成されており、前記扉部2の前面には、リール表示窓3,預け枚数表示器4,メダル投入口5,始動レバー6,3個の停止釦スイッチ7a,7b,7c,メダル投入スイッチ8,精算スイッチ9,メダル放出口10,メダル受皿11などが設けられている。
【0021】
リール表示窓3には、上,中,下,斜めの合計5本の停止ラインL1 〜L5 が表されており、メダルの投入枚数が1枚であれば中央の停止ラインL1 のみが、2枚であれば上,中,下の3本の停止ラインL1 〜L3 が、3枚であれば全ての停止ラインL1 〜L5 が、それぞれ有効化される。
【0022】
前記機械本体部の内部には、リール表示窓3の位置に合わせて、3個のリール1a,1b,1cが組み込まれている。各リール1a,1b,1cの周面には後記するように、それぞれ複数種の図柄が所定の配列順序をもって描かれており、リール停止時には、各リールの3駒分の図柄が、各停止ラインL1 〜L5 上に整列して並ぶようになっている。
【0023】
前記始動レバー6は3個のリール1a,1b,1cを一斉に始動させるためのもの、3個の停止釦スイッチ7a,7b,7cはそれぞれ対応するリール1a,1b,1cを個別に停止させるためのものである。
【0024】
前記メダル投入口5はゲームの実行時に1枚ないし複数枚のメダルを投入する箇所であり、メダル放出口10は精算時や当たり発生時などに、機体内部のホッパー(図示せず)から繰り出されるメダルをメダル受皿11に放出するためのものである。
【0025】
このスロットマシンは、複数枚のメダルを予めメダル投入口5より投入して機械に預けておき、この預けメダルを消費しつつゲームを行うという、いわゆるクレジット方式のスロットマシンであり、預け枚数表示器4には機械に貯蔵されたメダルの枚数がディジタル表示される。前記メダル投入スイッチ8は、貯蔵メダルの投入を指示するためのもので、1回押操作することにより1枚のメダルが、2回押操作することにより2枚のメダルが、3回押操作することにより3枚のメダルが、それぞれ自動投入される。
なお精算スイッチ9は、この貯蔵メダルを精算して前記メダル放出口10よりメダル受皿11に放出させるためのものである。
【0026】
前記各リール1a,1b,1cには、図2に示すごとく、ボーナスゲームにかかる特定図柄となる「7」の図柄18(図中、その位置を塗りつぶしで示す)とその他の6種類の図柄12〜17とがそれぞれ所定の順序で21個ずつ配備されている。
なおこれら図柄12〜18は、図示するように、各リール1a〜1c毎に、図柄の配列順序を示すカウンタ(以下これを「図柄カウンタ」という)と対応づけられてメモリ内に記憶されており(以下この記憶データを「図柄配列テーブル」という)、後記する図柄の引込み制御や入賞判定時には、下段の停止ラインL上の図柄に対応する図柄カウンタの値をもって、各リールの各停止ライン上にそれぞれどの図柄が位置しているかが判断される。
【0027】
このスロットマシンは、始動レバー6の操作に応じて所定の抽選を行い、この抽選が当たったとき、リールの引込み制御を実行して、有効ライン上に前記「7」の図柄18の組合せによるボーナスパターン、または抽選が当たっていることを示す所定のリーチパターンが成立するように各リールの停止動作を制御している。この停止制御により有効ライン上にボーナスパターンが成立したとき、以下、高確率で入賞が発生するボーナスゲームが複数回にわたって実行され、遊戯者に高配当のメダルの払出しが行われる。
【0028】
つぎにこのスロットマシンにおける引込み制御の原理について説明する。
このスロットマシンの制御部は、リーチパターンとして、前記7種類の図柄12〜18による複数通りの図柄組合せを設定しており、各停止ライン毎に、それぞれその停止ライン上にこれらリーチパターンまたはボーナスパターンを成立させるための各リールの停止位置をメモリ内に記憶するようにしている。
【0029】
図3は、上記停止位置の記憶テーブルの一例を示すもので、各停止ラインL1 〜L5 それぞれについて、そのライン上にボーナスパターンまたはリーチパターンにかかる各種の図柄組合せを成立させるための各リールの停止位置を示すデータとして、各図柄組合せの成立時に下段の停止ラインL3 上に停止する図柄を示すデータ(以下これを「停止図柄データ」という)が、各停止ラインの各リール毎に、それぞれまとめられて記憶されている。
なおこの記憶テーブル(以下「ボーナス用停止制御テーブル」と呼ぶ)は、各停止ラインの各リール毎に、15個のデータ種別D1〜D15に分類される。
【0030】
上記停止図柄データは、「0」〜「20」および「80」〜「100」の範囲内にある数値により表される。このうち「0」〜「20」の数値により表される停止図柄データ(図中、塗りつぶしで示された数値データ)は、該当する停止ライン上に引込み目標とする図柄(この場合は「7」の図柄18)を停止させるためのもので、その数値は前記図2に示した図柄カウンタに対応している。
【0031】
例えば、前記図2によると、第1のリール1aでは、図柄カウンタが「0」および「13」となる位置にそれぞれ「7」の図柄18が配置されている。したがって停止ラインL3 上に「20」または「12」のいずれかの図柄カウンタに対応する図柄が位置するとき、図柄18が中央の停止ラインL1 上に停止することになる。よってリール1aにおいて、停止ラインL1 上に「7」の図柄18を停止させるための停止図柄データ(データ種別D1に含まれるデータ)として、「12」「20」の各数値データが記憶される。
【0032】
他の停止ライン、他のリールについても同様であって、それぞれ該当するリールにおいて該当する停止ライン上に引込み目標とする図柄を停止させるための停止図柄データとして、停止ラインL3 上に停止する図柄を示す図柄カウンタの値が記憶される。
したがって所定の停止ラインについて、停止操作されたリール毎に、対応するデータ種別の中から「0」〜「20」の範囲内にあるいずれかの停止図柄データを選択し、その選択されたデータ値を図柄カウンタとする図柄を停止ラインL3 上に引き込むことにより、前記停止ライン上に特定図柄を停止させることができる。
【0033】
一方、「80」〜「100」の数値により表される停止図柄データは、そのデータ種別に対応する停止ライン上に引込み目標以外の図柄(この場合は図柄12〜17)を停止させるためのもので、この停止図柄データが選択された場合、そのデータから80を差し引いた値を図柄カウンタとする図柄が停止ラインL3 上に引き込まれる。
【0034】
例えばリール1aにおいて、停止図柄データとしてデータ種別D1の「82」のデータが選択されたものとすると、リール1aは、停止ラインL3 上に図柄カウンタが「2」となる図柄14を引き込んだ状態で停止する。これにより中央の停止ラインL1 上に、リーチパターンにかかる図柄17が停止することになる。さらに他のリール1b,1cについて、停止ラインL1 にかかるデータ種別D2,D3に属する停止図柄データを選択することにより、停止ラインL1 上にリーチパターンを成立させることができる。
【0035】
上記ボーナス用停止制御テーブルは、各リール毎に、いずれか特定の停止ラインにかかる停止図柄データを選択することにより、その停止ライン上にボーナスパターンまたはリーチパターンが成立するように設定されている。なおこの場合、各リールともに「0」〜「20」のデータ値を有する停止図柄データが選択されたときのみボーナスパターンが成立し、それ以外の組合せで停止図柄データが選択された場合(1〜2個のリールについてのみ「0」〜「20」のデータ値が選択された場合も含む)は、すべてリーチパターンが成立するように設定されている。またいずれのリールにおいても、停止操作時に停止ラインL3 上に位置する図柄の種類にかかわらず、その図柄を含む4駒以内の図柄の中に上記テーブルに示したいずれかの図柄が存在するように、各リールの図柄配列順序が設定されている。
【0036】
図4は、前記抽選がはずれた場合のリール停止制御のためのテーブル(以下「はずれ用停止制御テーブル」という)を示す。このテーブルは、各停止ライン毎に、そのライン上に前記ボーナスパターンやリーチパターンとは無関係の図柄組合せにかかる図柄が停止するときに停止ラインL3 上に位置する停止図柄データを記憶するもので、いずれのデータ値も停止ラインL3 上の図柄を表す図柄カウンタに80が加算された値、すなわち「80」〜「100」の値をとるように設定される。
なおこのテーブルにおいても、前記ボーナス用停止制御テーブルと同様、各停止図柄データは、各停止ライン毎,各リール毎の15個のデータ種別d1〜d15に分類される。
【0037】
図5は、上記スロットマシンの電気的な構成を示す。
図中20は、CPU21を制御主体とする制御部であり、プログラムや前記図2〜4に示した各種のテーブルなどの固定データが格納されるROM22,データの読み書きに用いられるRAM23,前記した抽選に用いられる乱数発生器24などから構成される。
【0038】
前記CPU21には、バス19を介して、前記した預け枚数表示器4,始動レバー6,停止釦スイッチ7a,7b,7c,メダル投入スイッチ8,精算スイッチ9のほか、各リール1a,1b,1cを駆動するリール駆動部25や、メダル払い出し機構のホッパモータを駆動するホッパ駆動部26などが接続されている。CPU21は、ROM22に格納されたプログラムや各リールの図柄配列テーブル,停止制御テーブルなどの固定データに基づき、RAM23に対するデータの読み書きを行いながら、これら入出力部の動作を一連に制御する。
【0039】
図6には、前記リール駆動部25の回路構成例とCPU21の機能があわせて示してある。なお同図は第1のリール1a(他のリール1b,1cも同様)についての回路構成のみを示してある。
【0040】
図中、リール駆動部25は機体内部で発生する駆動パルスPを受け、この駆動パルスPをステッピングモータより成るリールモータ31へ供給して、リール1aを駆動する。このリール駆動部25には、CPU21のリール制御部26よりスタート指令やストップ指令が与えられる。
【0041】
前記始動レバー6の操作信号が入力されると、前記リール制御部26は、スタート指令を発してリール駆動部25を作動させる。
前記駆動パルスPは、リールモータ31のほかCPU21の計数部27に与えられて計数される。この計数部27の計数値はリール1aが一回転するごとに与えられる基準信号によりリセットされる。
【0042】
図柄検出部28は、計数部27の計数値を取り込み、この計数値によりROM22内の図柄配列テーブルの各図柄カウンタを参照してリール1a上のどの図柄が前記基準ラインL3 上に位置するのかを検出し、その検出結果を判定部29およびリール制御部26に出力する。判定部29は、この図柄検出結果を取り込み、有効ライン上に当たりやボーナスゲームにかかる図柄の組合せが成立しているか否かを判定する。
【0043】
抽選部30は、始動レバー6が操作された時点で前記乱数発生器24の発生する乱数値を取り込み、その乱数値によりROM22内の所定の抽選テーブルを参照して抽選を実行する。リール制御部26は、停止釦スイッチ7aからの操作信号が入力されたとき、この抽選結果および図柄検出部28による検出結果に基づき前記当たり,はずれのいずれかの停止制御テーブルを参照してリール1aの停止位置を決定し、その決定された停止位置に対応する図柄が基準ラインL3に移動した時点でリール駆動部25にストップ指令を出力する。
【0044】
図7は、上記スロットマシンのゲームにかかる一連の制御を示す。なおここでは説明を簡単にするために、各ゲームでは常にメダルが3枚投入されてすべての停止ラインL1 〜L5 が有効化されるものとする。また図中のフラグBFは、抽選が当たったことを記憶するためのもので、初期段階ではリセットされているものとする。
【0045】
まず最初のステップ1(図中、各ステップは「ST」と記す)は、メダル投入口からのメダルの投入、またはメダル投入スイッチの押操作をチェックするためのもので、このステップ1が「YES」となると、CPU21は各リールL1 〜L5 を有効化して、始動レバーの押操作に待機する。
【0046】
ここで始動レバーが押操作されてステップ2が「YES」となると、CPU21は、各リール1a,1b,1cを一斉に始動させた後、前記フラグBFをチェックする(ステップ3,4)。
初期段階ではこのフラグBFはリセットされているので、この場合、ステップ4が「YES」となってステップ5へと移行し、CPU21は前記乱数発生器24からの乱数値を取り込んで抽選を実行する。この結果、抽選が当たりとなると、前記フラグFは「1」にセットされる(ステップ6,7)。
【0047】
つぎにCPU21は、ステップ8で、以下のリール停止制御に用いる停止制御テーブルを選択する。このとき、前記ステップ7でフラグBFがセットされている場合は図3に示したボーナス用停止制御テーブルが選択され、フラグBFがリセットされている場合は図4に示したはずれ用停止制御テーブルが選択される。
【0048】
この後、第1の停止操作があると、CPU21は、操作された停止釦スイッチに対応するリールについて、選択された停止制御テーブルを参照して停止ラインL3 上に引き込む図柄を示す停止図柄データを決定する(ステップ9,10)。さらにCPU21は、このリールに対し、決定された図柄が停止ラインL3 上に位置するタイミングでリール停止指令を出力し、目的とする有効ライン上に所定の図柄を停止させる(ステップ11)。
【0049】
第2,第3の停止操作に対しても、対応するリールについて同様の停止制御が行われた結果、すべてのリールが停止すると、ステップ12が「YES」となり、いずれか有効ライン上に入賞にかかる図柄の組合せが成立したか否かがチェックされる(ステップ13)。この判定が「YES」のとき、つぎのステップ14で、その入賞内容に応じた数のメダルが払い出された後、さらに続くステップ15で、成立した図柄組合せがボーナスパターンすなわち「7」「7」「7」の組合せであるか否かが判別される。
【0050】
このステップ15の判定が「YES」であれば、ステップ16へと移行して、所定回数のボーナスゲームが実行された後、前記フラグBFがリセットされる。これに対し、ステップ15が「NO」の場合にはフラグBFの設定値を維持したままステップ1へと戻るので、つぎのゲーム操作が行われると、ステップ5〜7がスキップされてステップ8へと移行する。これにより抽選が当たったにもかかわらずボーナスパターンが成立しなかった場合には、つぎのゲームでもボーナス用停止制御テーブルを用いたリール停止制御が行われることになる。
【0051】
図8は、第1番目に停止操作されたリール(以下「第1リール」という)にかかる停止図柄データの決定処理の詳細な手順(図7のステップ10に対応する)を示すもので、以下、同図および図9,10を用いて、第1リールにおける引込み制御の詳細な流れを説明する。
なお説明の都合上、ここでは前記抽選は当たりとなっているものとする。
【0052】
前記図7のステップ9でいずれか停止釦スイッチの操作がなされると、CPU21は、前記ステップ8で選択したボーナス用停止制御テーブルの各停止図柄データの中から、第1リールに対応するデータ種別(例えばリール1aの場合はD1,D4,D7,D10,D13の各データ種別となる)に属する各データを読み取り、RAM23内にストックする(ステップA)。
【0053】
つぎにCPU21は、この第1リールについて、前記計数部27による計数値を現時点で停止ラインL3 上に位置する図柄の図柄カウンタとして認識し、さらに前記ステップAで読み取った各停止図柄データの中から引込み制御可能な図柄にかかるデータを絞り込む(ステップB,C)。
【0054】
図9(1)は、第1番目にリール1aが停止操作されたとき、その停止操作時点でのリール1aの回転位置を示す。なおここでは説明を簡単にするために、リール表示窓3内の図柄とともにその前後に配置される図柄を示し、さらに各図柄の横に、その図柄に対応する図柄カウンタの値が括弧付き数字により示してある。
【0055】
図示例の場合、停止ラインL3 上に図柄カウンタが「18」に対応する図柄14が位置した時点で停止操作がなされている。この場合の引込み制御対象は、この図柄14を含む4駒以内の図柄、すなわち図柄カウンタ「18」〜「20」および「0」に対応する各図柄となる。
【0056】
ここで図3のデータ種別D1,D4,D7,D10,D13の各データ中から、上記カウンタ値と同値またはこのカウンタ値に80が加算された値のいずれかをとる停止図柄データを絞り込むと、データ種別D1の「80」,「20」,データ種別D4の「19」,データ種別D7の「0」,データ種別D10の「80」,「19」,データ種別D13の「0」の各停止図柄データが抽出される。
【0057】
つぎにCPU21は、前記ステップCで絞り込まれた各停止図柄データの中に「0」〜「20」のいずれかの値を取るデータが存在するか否かをチェックし、この判定が「YES」のとき、その停止図柄データを優先的に選択する(ステップD,E)。なおこの選択処理において、該当する図柄停止データが複数個存在する場合には、抽選などによりいずれか1つのデータが選択される。
【0058】
図9(1)の例の場合、前記絞り込まれた停止図柄データのうち、上記条件に該当するデータとして、データ種別D1にかかる「20」,データ種別D4,D10にかかる「19」,データ種別D7,D13にかかる「0」の各停止図柄データが存在しており、このいずれかが選択されることになる。
図9(2)は、これら停止図柄データの中から「0」のデータが選択されて引込み制御が行われた状態を示すもので、「0」を図柄カウンタとする「7」の図柄18が停止ラインL上に停止している。
【0059】
なおこの「0」の停止図柄データは、第3の停止ラインL3 にかかるデータ種別D7および第5のリールL5 にかかるデータ種別D13の両方に含まれているので、以下のリール1b,1cの停止制御対象は、この時点で停止ラインL3 ,L5 の2本のラインに限定されることになる。
【0060】
一方、前記ステップDで、所定駒数内に「0」〜「20」のいずれのデータも存在しないと判別された場合には、CPU21は、前記絞り込まれた停止図柄データの中から抽選などにより任意のデータを選択する(ステップF)。
【0061】
図10(1)は、リール1aに対し、前記図9(1)よりも3駒手前の位置で停止制御が行われた状態を示す。この場合、停止操作時点では、「15」を図柄カウンタとする図柄13が位置している。よって図8のステップA〜Cの手順によりこの位置から引込み可能な図柄に対応する停止図柄データは、データ種別D1,D4,D7,D13に含まれる「97」,データ種別D1に含まれる「95」,データ種別D10に含まれる「96」の3種類のデータに絞り込まれる。
【0062】
図10(2)は、上記停止図柄データの中から「97」の値をとるデータを選択してリール1aの引込み制御を行った結果、「17」を図柄カウンタとする図柄13が停止ラインL3 上に位置した状態を示す。
この場合、前記「97」の値をとる停止図柄データは、前記した4つのデータ種別D1,D4,D7,D13に含まれているので、以下のリール1b,1cの停止制御対象は、このデータ種別に対応する停止ラインL1 ,L2 ,L3 ,L5 の4本のラインに限定されることになる。
【0063】
つぎに図11〜14を用いて、第2番目に停止操作されたリール(以下「第2リール」という)にかかる引込み図柄の決定処理の詳細な手順(図8と同様、図7のステップ10に対応する)を説明する。なおこの場合も上記に引き続き、ボーナスゲームにかかる抽選が当たっていることを前提とする。
【0064】
残された2個の停止釦スイッチのいずれかが押操作されると、CPU21は、前記ボーナス用停止制御テーブルにおいて、第1リールにおける停止制御により限定されたリールに対応する停止図柄データの中から、操作された停止釦スイッチに対応するリールにかかるデータを読み取ってRAM23内にストックする(ステップG)。
例えば、前記図9(1)(2)に示した停止制御では、前記したように停止制御対象が2本の停止ラインL3 ,L5 に限定されているので、つぎに停止釦スイッチ7bが押操作されてリール1bの停止制御が行われた場合、このリール1bについて停止ラインL3 にかかるデータ種別D8と、停止ラインL5 にかかるデータ種別D14とに属する停止図柄データとが読み出されることになる。
【0065】
つぎにCPU21は、第1リールに対して行ったのと同様、停止操作時点での図柄カウンタに基づき、引込み可能な図柄に対応する停止図柄データの絞り込みを実行する(ステップH,I)。さらにCPU21は、前記第1リールの停止制御結果により制御対象の停止ライン上にボーナスパターンが成立する可能性があるか否かをチェックする(ステップJ)。
【0066】
図12(1)は、リール1aが図9(2)に示した状態で停止した後、中央のリール1bが停止操作されたときのリール1bの回転位置を示すもので、停止ラインL3 上には、「3」を図柄カウンタとする図柄12が位置している。
【0067】
図示例の場合、停止ラインL3 またはL5 にボーナスパターンが成立する可能性があるので、前記ステップJの判定は「YES」となり、つぎのステップKでCPU21は、前記絞り込まれた停止図柄データの中に引込み目標とする「7」の図柄18を引き込むためのデータが存在するか否かをチェックする。
【0068】
図示例では、前記ステップIの段階で、この停止位置から引込み可能な図柄にかかる停止図柄データとして絞り込まれたデータの中に、データ種別D8の「6」,データ種別D14の「5」の各データが含まれているから、この場合、ステップKは「YES」となり、「6」または「5」のいずれかの停止図柄データが選択されて停止制御が行われる。
【0069】
図12(2)は、前記2種類の停止図柄データのうち、データ種別D8の「6」の停止図柄データが選択され、そのデータにかかる図柄18が停止ラインL3 上に引き込まれた状態を示す。この結果、選択されたデータ種別D8に対応する停止ラインL3 上に「7」の図柄18が揃えられ、残るリール1cでは、この停止ラインL3 のみが停止制御対象として限定されることになる。
【0070】
図13(1)は、前記図12(1)に示した位置よりも1駒手前の位置で停止操作がなされたことを示す。この場合、ステップIで絞り込まれる停止図柄データは、データ種別D8の「84」,「85」,データ種別D14の「5」の3種類となる。したがって図13(2)に示すように、「5」の停止図柄データが優先的に選択されて該当する図柄13の引込みが行われた結果、停止ラインL5 上に「7」の図柄18が揃えられる。
【0071】
一方、第1リールの停止制御結果により「7」の図柄18がいずれの停止ライン上にも停止しなかったときは、CPU21はボーナスパターンの成立の可能性がないと判断する。これにより前記ステップJは「NO」となり、前記ステップIで絞り込まれた停止図柄データの中から任意のデータが選択される(ステップM)。また第2リールにおいて、引込み可能な図柄に対応するものとして絞り込まれた停止図柄データの中に「0」〜「20」の値を有するデータが存在しない場合には、ステップKが「NO」となってステップMへと移行し、同様に任意の停止図柄データが選択される。
【0072】
図14(1)は、リール1bが、ボーナスパターンの成立する可能性のある停止ライン上に「7」の図柄18を停止できない位置で停止操作された例を示す。なおこの場合も、リール1aの停止位置は、前記図9(2)と同様であるものとする。
この図示例の場合、停止操作時点では、停止ラインL3 上には図柄カウンタが「0」となる図柄17が位置しているので、前記データ種別D8,D14の各停止図柄データの中から引込み可能な図柄に対応する停止図柄データを検索すると、データ種別D8の「80」およびデータ種別D14の「81」の2種類のデータに絞り込まれる。
【0073】
図14(2)は、上記絞り込まれた停止図柄データのうち、「81」のデータが選択されて停止制御が行われた例を示す。この選択により、停止ライン 上には、所定のリーチパターンにかかる「7」の図柄18と図柄15とが揃うことになる。
【0074】
このようにして2個のリールが停止した後、最後の停止操作が行われると、前記図11に示したのと同様の手順により、このリールに対し、対応する第3番目のリールに対し、停止制御対象として限定された停止ラインについて引込み可能な図柄に対応する停止図柄データが選択され、停止制御が行われる。
【0075】
上記した一連の手順によれば、各リール毎に、前記当たり用制御テーブル内のいずれかの停止ラインにかかる停止図柄データが選択されることになるので、各リールの停止後、その停止ライン上にボーナスパターンまたはリーチパターンが確実に成立する。
【0076】
なお、上記説明ではすべての停止ラインが有効化されていることを前提としたが、メダル投入枚数が1枚もしくは2枚の場合には、有効化された停止ラインに対応するデータ種別の停止図柄データのみを用いて同様の制御が行われる。
【0077】
また抽選がはずれた場合には、前記図4のはずれ用停止制御テーブルが選択されることになるが、行われる制御は上記と同様のものであり、ここでは詳細な説明を省略する。ただしこの場合、ボーナスパターンを成立させるための停止図柄データはテーブル中に設定されていないので、最終的に絞り込まれた停止図柄データ中には、優先的に選択するデータは存在しない。したがって前記図8のステップD,図11のステップJは常に「NO」となり、引込み可能な図柄に対応するものとして絞り込まれた停止図柄データ中のいずれか1つが選択され、リール停止制御が行われることになる。
【0078】
つぎに第2の実施例として、前記ボーナスパターン以外の所定の入賞にかかる図柄組合せ(以下この組合せを「入賞パターン」という)についても、抽選結果に応じて引込み制御を行うように構成されたスロットマシンについて説明する。このスロットマシンの制御部には、前記と同様のボーナス用停止制御テーブル,はずれ用停止制御テーブルのほかに前記入賞パターンに固有の停止制御テーブル(以下これを「入賞用停止制御テーブル」という)が記憶される。
なお、スロットマシンの構成および各リールの図柄配列は、第1の実施例と同様であり、ここではその詳細な説明を省略するとともに、各部に同一の符号を用いることにする。
【0079】
このスロットマシンは、前記抽選により実施する入賞パターンとして、左側のリール1aのいずれか有効ライン上にチェリーの図柄15が停止するような図柄組合せを設定している。
【0080】
図15は、上記入賞パターンにかかる停止制御テーブル(以下「入賞用停止制御テーブル」)の一例を示す。
各停止図柄データは、前記ボーナス用,はずれ用の各停止制御テーブルと同様、各停止ライン毎,各リール毎の15のデータ種別SD1〜SD15に分類されている。このうちリール1aに対応するデータ種別SD1,SD4,SD7,SD10,SD13には、引込み目標となる図柄15を停止させるためのデータ(図中塗りつぶしで示す)が含まれている。これらの停止図柄データは、前記ボーナスパターンにかかる図柄18用の停止図柄データと同様、リール1aにおけるこの図柄15の位置データ(図柄カウンタ「10」および「20」により表される)から割り出されたものであって、例えば中央の停止ラインL1 に対応するデータ種別SD1には、「9」,「19」の各データが含まれる。
【0081】
「80」〜「100」の各データは、前記ボーナス用停止制御テーブルと同様、該当する停止ライン上に引込み対象以外の図柄を引き込むためのものである。なお、ここではこれら停止図柄データの組合せにより、前記ボーナスゲームにかかるリーチパターンが若干位置ずれするような図柄組合せが成立するように設定されている。
【0082】
図16は、リール1aについて、上記入賞用停止制御テーブルのうち前記データ種別SD7,SD13に含まれる「20」の停止図柄データにより停止制御が実施された結果を示すもので、リール1aは、この停止図柄データに対応する図柄、すなわち図柄カウンタ「20」に対応する図柄15が停止ラインL3 ,L5 上に引き込まれた状態で停止している。
【0083】
ところで上記図柄15の上には、ボーナスパターンにかかる「7」の図柄18(図柄カウンタ「0」に対応する)が位置している。この場合、もしボーナスゲームにかかる抽選が当たったときにこの図柄カウンタ「0」に対応する図柄18が停止ラインL1 上に引き込まれて停止し、その後、リール1b,1cについても図柄18が停止ラインL1 上に引き込まれて停止すると、1度のゲームでボーナスパターンと入賞パターンとが同時に成立することになる。
【0084】
この実施例のスロットマシンでは、このような入賞の重複を避けるため、ボーナスパターンにかかるリール1aの停止制御においては、図柄カウンタ「0」に対応する図柄18は中央の停止ラインL1 のみが有効化されているときに限って停止ラインL1 上に引き込まれるように、前記ボーナス用停止制御テーブルの一部のデータを変更している。
【0085】
図17は、上記変更されたボーナス用停止制御テーブルのデータ構成を示すもので、前記図3に示したデータ種別D1において、図柄カウンタ「0」に対応する図柄18を停止ラインL1 上に停止させるためのデータ「20」を「70」に書き換えてある(図中枠付き数字で示す)。
【0086】
この「70」のデータは、停止ラインL1 のみが有効化された場合に用いられるもので、この場合、「70」から「50」を差し引いた値、すなわち「20」を図柄カウンタとする図柄15が停止ラインL3 上に引き込まれる。他方、複数本の停止ラインが有効化された場合には、引込み目標である「7」の図柄18を停止ラインL1 上に停止させるためのデータとしては、「12」のデータのみが採用される。
なお他のデータ種別については前記図3と同様のデータ構成になり、ここでは詳細な説明は省略する。またボーナスゲーム用,入賞用の各抽選がはずれた場合には、前記図4に示したはずれ用停止制御テーブルを用いた停止制御が行われる。
【0087】
18は、この第2の実施例におけるゲーム制御手順を示す。
まず最初のステップ1〜3で、遊戯者によるメダルの投入,始動操作に基づき各リールが始動すると、CPU21は、つぎのステップ4,5で、ボーナスゲームにかかる第1の抽選を実施する。この抽選が当たりとなると、フラグBFがセットされ、さらに前記入賞パターンにかかる第2の抽選が実施される(ステップ6〜8)。この第2の抽選が当たりとなると、CPU21は、この抽選当たりを示すフラグSFをセットした後(ステップ9,10)、各フラグBF,SFの設定値に基づき、ボーナス用,入賞用,はずれ用のいずれかの停止制御テーブルを選択する(ステップ11)。
なお第1,第2のフラグBF,SFがともに「1」である場合には、図15の入賞用停止制御テーブルが優先的に選択される。
【0088】
この後、ステップ12〜15のループで、各リールが選択した停止制御テーブルに基づき順次停止制御された結果、すべてのリールが停止すると、ステップ16で入賞判定が行われ、その結果に応じて、前記第1の実施例と同様、メダルの払出しやボーナスゲームへの移行処理が行われる(ステップ17〜20)。
なお、最後のステップ21,22は、入賞パターンにかかるフラグSFがセットされている場合にこれをリセットするための処理である。よって第1,第2の抽選が同時に当たりとなって、入賞用停止制御テーブルを用いたリール停止制御が行われた場合、つぎのゲーム時に第2の抽選がはずれになれば、前回のゲーム時に設定されたフラグF1に基づきボーナス用停止制御テーブルが選択され、ボーナスパターンまたはリーチパターンを成立させるためのリール停止制御が行われることになる。
【0089】
図19は、第1番目に停止操作されたリール(第1リール)に対する停止図柄データの決定処理の詳細な手順を示す。
最初のステップA〜Cで、前記図8で説明したのと同様の処理が実行されて、停止ライン上に引込み可能な図柄に対応する停止図柄データが絞り込まれると、つぎのステップDで、停止制御の対象がリール1aであるか否かがチェックされ、さらにこの判定が「YES」であれば、続くステップEで、有効化されている停止ラインはL1 のみであるか否かがチェックされる。
【0090】
ステップD,Eいずれかの判定が「NO」であれば、ステップHへと移行し、以下、ステップH〜Jで前記図8のステップD〜Fと同様の処理が実行され、絞り込まれた停止図柄データのうちのいずれかが選択される。これに対し、ステップD,Eの判定がともに「YES」となったとき、すなわち停止ラインL1 のみが有効化された状態でリール1aが第1番目に停止操作されたとき、CPU21は、つぎのステップFで、絞り込まれた停止図柄データの中に「70」のデータが含まれているか否かをチェックする。
【0091】
このときボーナスゲームにかかる抽選が当たって第1の停止制御テーブルが選択され、絞り込まれた停止図柄データの中に「70」のデータが含まれていれば、この判定は「YES」となり、この停止図柄データが選択される。他方、「70」のデータが絞り込まれていない場合、または他の停止制御テーブルが選択されている場合には、ステップFは「NO」となり、ステップH〜Jの処理によりいずれかの停止図柄データが選択される。
【0092】
図20(1)は、停止ラインL1 のみが有効化された場合に、リール1aが第1に停止操作された時点でのリール1aの回転位置を示すもので、停止ラインL3 上には図柄カウンタ「18」に対応する図柄14が位置している。
なお図示例では、有効化された停止ラインL1 のみを実線で示してある。
【0093】
この図示例において、ボーナス用停止制御テーブルが選択されているものとすると、前記図17に示したデータ種別D1の各停止図柄データの中から「80」,「70」の2種類のデータが絞り込まれ、このうち「70」のデータが優先的に選択されることになる。
【0094】
図20(2)は、この「70」のデータが選択されてリール1aが停止制御された結果を示すもので、「70」から「50」を差し引いた値「20」を図柄カウンタとする図柄15を停止ラインL3 上に引き込んで停止させることにより、有効化された停止ラインL1 に「7」の図柄18が停止している。
なお複数本の停止ラインが有効化されている場合に上記と同様の位置で停止制御が行われた場合には、この「70」の図柄は用いられない。したがって引込み可能な図柄に対応する停止図柄データの中から、データ種別D7,D13に含まれる「0」のデータが選択され、リール1aは、前記図9(2)に示したのと同様の位置で停止する。
【0095】
前記図20(1)に示した位置でリール1aが停止操作されたときに入賞用停止制御テーブルが選択されているものとすると、前記データ種別SD1の各停止図柄データの中から停止可能な図柄に対応する停止図柄データ「80」,「19」が絞り込まれ、さらに引込み目標の図柄にかかる「19」のデータが優先的に選択される。
【0096】
図20(3)は、前記「19」のデータが選択されてリール1aが停止制御された結果を示すもので、「19」を図柄カウンタとする図柄16を停止ラインL3 上に引き込んで停止させることにより、有効化された停止ラインL1 にチェリーの図柄15が停止している。
【0097】
なお第2,第3の停止操作に対しては、第1の実施例の図11に示したのと同様のリール停止制御が行われる。
またここでは、ボーナスゲーム,入賞パターンにかかる第1,第2の抽選が当たったとき、入賞用停止制御テーブルを優先的に選択するようにしているが、これに限らず、ボーナス用停止制御テーブルを選択するようにしてもよい。またさらに第2の入賞用停止制御テーブルを設定しておき、両方の抽選が当たったときには、この第2の入賞用停止制御テーブルを選択するように構成してもよい。
【0098】
さらに複数種類の入賞パターンについて、それぞれ抽選結果に基づき引込み制御各リールに特定の図柄を引き込んで停止させるようにした場合にも、各入賞パターン毎に、この入賞パターンや関連する図柄組合せを成立させるためのリール停止位置を記憶する停止制御テーブルを設定し、ROM21内に記憶させておけば良い。これによりいずれの入賞パターンに対するリール停止制御にも同様の制御手順を適用でき、処理を簡易化して多彩な図柄組合せを成立させることが可能となる。
【0099】
【発明の効果】
この発明によれば、停止操作に応じて、その停止操作されたリールについて記憶手段に記憶されているデータの中から条件に応じたものを選択し、その選択したデータが示す配列順序の図柄が基準の停止ラインに合うタイミングでリールを停止させることにより、有効ないずれかの停止ライン上にボーナスパターンまたはリーチパターンを成立させることができる。よって、抽選当たりを示すリーチパターンを多数設定した場合でも、ボーナスパターンまたはリーチパターン用の図柄を有効な停止ラインに停止させるためのデータを引込み制御の時間内に選択することが可能になり、多彩なリーチパターンを発生させて、ゲーム性に富んだスロットマシンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例にかかるスロットマシンの概略構成を示す正面図である。
【図2】図柄配列テーブルの一例を示す説明図である。
【図3】ボーナス用停止制御テーブルの一例を示す説明図である。
【図4】はずれ用停止制御テーブルの一例を示す説明図である。
【図5】スロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
【図6】リール制御にかかるCPU21の機能を示すブロック図である。
【図7】スロットマシンのゲーム制御にかかる手順を示すフローチャートである。
【図8】1番目に停止操作されたリールに対する停止図柄データの決定処理手順を示すフローチャートである。
【図9】1番目に停止操作されたリールに対する引込み制御の具体例を示す説明図である。
【図10】1番目に停止操作されたリールに対する引込み制御の具体例を示す説明図である。
【図11】2,3番目に停止操作されたリールに対する停止図柄データの決定処理手順を示すフローチャートである。
【図12】2番目に停止操作されたリールに対する引込み制御の具体例を示す説明図である。
【図13】2番目に停止操作されたリールに対する引込み制御の具体例を示す説明図である。
【図14】2番目に停止操作されたリールに対する引込み制御の具体例を示す説明図である。
【図15】入賞用停止制御テーブルの一例を示す説明図である。
【図16】入賞パターンにかかる図柄を停止ライン上に引き込んだ例を示す説明図である。
【図17】第2実施例におけるボーナス用停止制御テーブルの例を示す説明図である。
【図18】第2実施例におけるスロットマシンのゲーム制御にかかる手順を示すフローチャートである。
【図19】1番目に停止操作されたリールに対する停止図柄データの決定処理手順を示すフローチャートである。
【図20】1番目に停止操作されたリールに対する引込み制御の具体例を示す説明図である。
【図21】リーチパターンの設定例を示す説明図である。
【図22】中央のリールにおける各図柄とリーチパターンとの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 〜L5 停止ライン
1a,1b,1c リール
21 CPU
22 ROM

Claims (1)

  1. 複数駒の図柄が配列された複数のリールと、各リールを始動させるための始動レバーと、各リール毎に設けられる停止釦スイッチとを具備し、各リールを横切る停止ラインが複数設定されるとともに、これらの停止ラインのうちの特定の1つが基準の停止ラインに設定され、
    リールの始動時に実行された抽選に当選しているとき、特別のゲームへの移行を示すボーナスパターンまたは前記抽選に当選していることを示すリーチパターン有効化されたいずれかの停止ライン上に成立するように、前記基準の停止ラインに所定の図柄を引き込んで停止させる引込み制御を、所定の駒数内で実行するスロットマシンにおいて、
    前記複数の停止ラインについて、それぞれ当該停止ラインに前記ボーナスパターンおよびリーチパターンのいずれかを成立させるのに必要な各リールの停止位置を示すデータとして、前記基準の停止ライン上に停止させる図柄の配列順序を示すデータをリール毎に複数個記憶する記憶手段と、
    前記抽選に当選した状態で停止釦スイッチによる停止操作が行われたとき、停止操作されたリールにつき、前記停止操作までにそのリールの駆動部に与えられた駆動パルスの数に基づき前記基準の停止ライン上に位置する図柄の配列順序を認識し、認識した配列順序と前記引込み制御の駒数とから割り出される前記基準の停止ラインに引込み可能な図柄の配列順序について、前記記憶手段に記憶された当該リールにかかるデータの中から有効な停止ラインに対して設定されているデータを1つ選択する選択手段と、
    前記停止操作されたリールを、前記選択手段により選択されたデータが示す配列順序の図柄が前記基準の停止ラインに合わせられた時点で停止させる停止制御手段とを備え、
    前記記憶手段には、前記複数の停止ライン毎に、当該停止ラインにボーナスパターン用の図柄を停止させるためのデータと、当該停止ラインにボーナスパターン用の図柄以外の図柄を停止させるためのデータとが識別可能な状態で設定されるとともに、全てのリールについてボーナスパターン用の図柄を停止させるためのデータが選択されたときのみボーナスパターンが成立し、それ以外の組み合わせでデータが選択された場合にはリーチパターンが成立するように設定されており、
    前記選択手段は、リールが停止する都度、以後に停止させるリールに対する選択対象のデータを、前記リールの停止により前記ボーナスパターンまたはリーチパターンが成立する可能性が生じた停止ラインに対応するデータに絞り込むとともに、停止したリールにボーナスパターン用の図柄が停止した場合には、以後に停止させるリールについて、前記絞り込まれたデータの中からボーナスパターン用の図柄を停止させるためのデータを優先して選択するようにしたスロットマシン。
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