JP4505986B2 - ファスニングマシンの締込み深さ調節装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ネジ締め機や釘打ち機等のファスニングマシンにおけるネジや釘の締込み深さ調節装置に関するものであり、特に、調節精度の向上を図ったファスニングマシンの締込み深さ調節装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のネジ締め機や釘打ち機等のファスニングマシンは、ノーズに沿ってスライドするコンタクトアームを設け、トリガレバーの前面近傍に配置したネジ式のスライドストローク調節機構によりコンタクトアームのスライドストロークを変更してネジや釘の締込み深さを調節するように構成されている。
【0003】
コンタクトアームは、シリンダハウジングの先端に細いノーズを連結したファスニングマシンの形状に合わせて、ノーズに沿った先端部分からクランク状に屈折してスライドストローク調節機構の近傍に至る形状となっている。
【0004】
スライドストローク調節機構は、コンタクトアームの端面に接している調節ダイアル及び調節ダイアルの中心のネジ軸にねじ込まれたスライダ及び本体に固定されているストッパーによって構成され、調節ダイアルがコンタクトアームの端面に接しており、調節ダイアルイアルを回転するとネジ軸の送り作用によりスライダが移動して、スライダとストッパーとの間隔が変化する。
【0005】
コンタクトアームの先端を施工面へ当ててファスニングマシンを被施工面へ向けて推し進めると、コンタクトアームがファスニングマシン本体側へ押し込まれ、スライドストローク調節機構がコンタクトアームに押されてスライドし、スライダがストッパーに当たってコンタクトアームが停止してネジ締めあるいは釘打ちが可能な状態となる。
【0006】
ネジや釘の締込み深さの調節に際しては、調節ダイアルを回転すればスライダとストッパーとの間隔が変わることによってコンタクトアームのスライドストロークが変化し、コンタクトアームを施工面へ押し付けたときのノーズと施工面との間隔並びにドライバビットの先端と施工面との間隔も変化することになり、これによりネジや釘の締め込み深さが調節される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
コンタクトアームとスライドストローク調節機構による従来の締込み深さ調節装置は、コンタクトアームが長いクランク型であるので、施工面に押し付けたときの撓みやスライドガイド部とのあそびにより締込み深さにばらつきを生じ易く、機械的精度に問題がある。そこで、締込み深さ調節装置の精度を向上するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は上記課題を解決することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記目的を達成するために提案するものであり、ネジ締め機や釘打ち機等のファスニングマシンのノーズ部にコンタクトノーズをスライド自在に装着し、バネあるいは圧力空気等の手段によりコンタクトノーズをファスナーの射出方向へ付勢してノーズから突出させるとともに、コンタクトノーズに回転中心からの半径が段階的あるいは連続的に変化するカムを回転可能に取付け、ファスニングマシンのノーズ部に前記カムに対応するストッパーを設けてカムの外周面に対向させ、コンタクトノーズを圧縮したときにカムがストッパーに当接してスライドを停止するように形成し、カムの回転角度によりコンタクトノーズのスライドストロークが変化してネジや釘の締込み深さを調節できるようにしたファスニングマシンの締込み深さ調節装置において、
上記カムが、上記ノーズ部に配置されたクリックストップ機構の調節ダイアルにより一定の回転角度毎に固定されるように形成したことを特徴とするファスニングマシンの締込み深さ調節装置を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を図に従って詳述する。図1はエアインパクトドライバ1を示し、上からエアモータハウジング2、クラッチハウジング3、シリンダハウジング4、固定ノーズ5を一列に連結し、クラッチハウジング3から直角方向へ延びるグリップ6を取付けた筐体構造となっている。
【0010】
図示は省略するが、一般の空気圧工具と同様にグリップ6の端部にエアプラグが取付けられており、エアプラグへエアホースを接続してエアコンプレッサからグリップ6内のエアチャンバ7へ高圧空気を供給する。
【0011】
グリップ6の基部にはトリガバルブ8及びトリガレバー9が設けられていて、トリガレバー9を操作してトリガバルブ8を開閉することにより、エアインパクトドライバ1の起動及び停止を行う。
【0012】
尚、図中右上のA部はトリガバルブ部分を右から見た断面図、左下のB部は固定ノーズ5に装備されるコンタクトノーズ10の部分を左から見た断面図であり、鎖線で空気配管を表示している。
【0013】
固定ノーズ5の背面(図において右)にはバネオフセットエアシリンダ11とそのピストンロッドに連結された送り爪12からなる公知の連結ネジ送り装置が設けられており、エアインパクトドライバ1の1サイクルの動作に連動して送り爪12が後退及び前進することにより連結ネジマガジン(図示せず)内の連結ネジを固定ノーズ5内へ送り込む。
【0014】
シリンダハウジング4に内蔵したエアシリンダ13のピストン14は、前面(図において下)にドライバビット15が取付けられており、背面(図において上)に六角シャフト16が取付けられている。
【0015】
六角シャフト16は、遠心噛合いクラッチ機構の中心に配置されている従動回転体17(以下、アンビルという)に形成した六角孔18へスプライン嵌合しており、ピストン14とドライバビット15と六角シャフト16は、遠心噛合いクラッチ機構のアンビル17とともに軸回りに回転し、且つエアシリンダ13内を昇降自在となっている。
【0016】
エアモータと遠心噛合いクラッチ機構によるインパクト動作は周知のものであり、エアモータのロータ19と遠心噛合いクラッチ機構のアウターロータ20とは一体に回転する。アウターロータ20には揺動式クラッチ爪21が取付けられていて、アウターロータ20の回転時にクラッチ爪21はアンビル17への係合と離脱動作を高速で反復してアンビル17に回転方向の打撃を連続して加え、六角シャフト16及びピストン14とドライバビット15とを回転させる。
【0017】
トリガレバー9を引くと、エアチャンバ7の圧力空気がトリガバルブ8を通じてエアシリンダ13の上部空気室へ供給され、ピストン14が下降してドライバビット15がネジのリセスに係合した後にエアモータのロータ19が起動して六角シャフト16及びピストン14、ドライバビット15が一体に回転し、微視的には間歇的な回転とクラッチが外れて回転トルクがかからない状態での下降動作とが連続的に繰り返され、ネジがネジ締め対象物に締結される。
【0018】
図2に示すように、コンタクトノーズ10は、固定ノーズ5の先端部外周面に嵌合しているスライダ部22と、全体として楔形で左右に二分割されているガイドノーズ部23とからなり、固定ノーズ5に対して上方へスライドすることができる。
【0019】
ガイドノーズ部23は上部に軸穴が形成されていて、スライダ部22の左右に設けた軸24に軸穴を係合させて取付けられ、ばね(図示せず)によってガイドノーズ部23の下部が内側へ閉じるように付勢されている。ガイドノーズ部23の中央にはネジのガイド孔25が形成されており、ねじ込み作業時にはネジがガイド孔25に入ってガイドノーズ部23を左右に押し開きながら通過する。
【0020】
スライダ部22の前面の中央には調節ダイアル26が取付けられており、固定ノーズ5に形成したストッパー27が調節ダイアル26の上方に位置している。図2(c)に示すように、調節ダイアル26の裏面には回転角度によって回転中心からの半径が段階的(図示例では8段階)に変化するカム部28が形成されている。
【0021】
また、調節ダイアル26の裏面の穴に挿入したバネ29とボール30、及びスライダ部22の前面に環状に配列したボール受け穴31とによって8段階のクリックストップ機構を形成し、調節ダイアル26が一定の回転角度毎に固定されるようにしている。
【0022】
固定ノーズ5に設けたストッパー27は、調節ダイアル26のカム部28の外周面に対向していて、コンタクトノーズ10を上方へスライドさせると、図3に示すようにカム部28の外周面がストッパー27に当たってコンタクトノーズ10が停止する。前述したように、調節ダイアル26の回転角度によってストッパー27に当たるカム部28の半径が異なるので、調節ダイアル26を任意のクリック位置へ回転することによってコンタクトノーズ10の上方へのスライドストロークを8段階に調節でき、これによりネジの締込み深さを調節することができる。
【0023】
このように、コンタクトノーズ10へ直接取付けた調節ダイアル26のカム部28と固定ノーズ5のストッパー27とによってコンタクトノーズ10のスライドストロークを調節するので、従来の長いコンタクトアームとスライドストローク調節機構とを用いた構成とは異なり、撓みやガタ等の誤差発生要素がなくネジの締込み深さのばらつきを解消できる。
【0024】
尚、この発明は上記の実施形態に限定するものではなく、この発明の技術的範囲内において種々の改変が可能であり、この発明がそれらの改変されたものに及ぶことは当然である。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の締込み深さ調節装置は、ファスニングマシンの固定ノーズに装着したコンタクトノーズにカム付調節ダイアルと、固定ノーズに設けたストッパーとによってコンタクトノーズのスライドストロークを設定してネジなどの締込み深さを調節するので、長いクランク型のコンタクトアームとスライドストローク調節機構による従来の締込み深さ調節装置とは異なり、撓みやガタ等によるネジの締込み深さのばらつきを解消でき、均一な仕上がりが得られる。
【0026】
また、クリックストップ式の調節ダイアルをノーズ部分に配置したことにより従来型よりも調節が容易且つ迅速に行え、操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示し、エアインパクトドライバの側面断面図。
【図2】コンタクトノーズ部分を示し、(a)は正面図、(b)は側面断面図、(c)は調節ダイアルの裏面図である。
【図3】コンタクトノーズを上方停止位置へスライドさせた状態を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1 エアインパクトドライバ
2 エアモータハウジング
3 クラッチハウジング
4 シリンダハウジング
5 固定ノーズ
6 グリップ
8 トリガバルブ
9 トリガレバー
10 コンタクトノーズ
13 エアシリンダ
14 ピストン
15 ドライバビット
16 六角シャフト
22 スライダ部
23 ガイドノーズ部
26 調節ダイアル
27 ストッパー
28 カム部
Claims (1)
- ネジ締め機や釘打ち機等のファスニングマシンのノーズ部にコンタクトノーズをスライド自在に装着し、バネあるいは圧力空気等の手段によりコンタクトノーズをファスナーの射出方向へ付勢してノーズから突出させるとともに、コンタクトノーズに回転中心からの半径が段階的あるいは連続的に変化するカムを回転可能に取付け、ファスニングマシンのノーズ部に前記カムに対応するストッパーを設けてカムの外周面に対向させ、コンタクトノーズを圧縮したときにカムがストッパーに当接してスライドを停止するように形成し、カムの回転角度によりコンタクトノーズのスライドストロークが変化してネジや釘の締込み深さを調節できるようにしたファスニングマシンの締込み深さ調節装置において、
上記カムが、上記ノーズ部に配置されたクリックストップ機構の調節ダイアルにより一定の回転角度毎に固定されるように形成したことを特徴とするファスニングマシンの締込み深さ調節装置。
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