JP4505955B2 - 送風機の取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱交換器に空気を送風する送風機を熱交換器に取り付ける際の取付構造に関するもので、車両用ラジエータに送風機を取り付ける際に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】
車両に適用される送風機の取付構造は、一般的に特開平11−229878号公報に記載のごとく、シュラウド等の取付部材を介して上方側2箇所をボルトにて熱交換器に固定し、下方側をシュラウドのU型溝にラジエータに設けられた突起部を差し込むようにして係止している。
【0003】
なお、シュラウドとは、送風機とラジエータとの隙間を覆うことにより送風機によって誘起された空気流がラジエータを迂回することを抑制し、ラジエータの冷却能力を増大させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記取付構造では、ラジエータ、送風機及びシュラウドに加えて、ボルトやナット等の締結用部品を別途必要とするので、組み付け工数(時間)の低減を図ることが難しく、かつ、車両部品のリサイクル時に部品の仕分けに時間を要し、リサイクル性が悪いという問題がある。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、ボルトやナットを用いずに、簡便な手段にて送風機をラジエータ等の熱交換器に取り付けることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、空気と流体とを熱交換する車両用の熱交換器(100)と、熱交換器(100)に空気を送風する送風機(200)と、送風機(200)を熱交換器(100)に取り付けるための取付部材(230)と備え、熱交換器(100)及び取付部材(230)のうちいずれか一方には、他方側に形成された凹部(232)の内壁に接触して送風機(200)の荷重を受ける凸部(124)が形成され、さらに、熱交換器(100)及び取付部材(230)のうちいずれか一方には、弾性変形することにより他方側に形成された穴部(233)に着脱可能に係合する係合手段(125)が設けられ、穴部(233)は、凹部(232)の底部(232a)に形成され、凸部(124)は2本を1組として形成され、2本の凸部(124)は、上方側凸部および下方側凸部であり、上方側凸部(124)と下方側凸部(124)との間に係合手段(125)が設けられ、係合手段(125)は、2本を1組とした係合突起部であり、2本の係合突起部(125)は、互いに独立して弾性変形可能な上方側係合突起部および下方側係合突起部であり、上方側凸部(124)の上面は、凹部(232)の上方側内壁と接触し、下方側凸部(124)の下面は、凹部(232)の下方側内壁と接触し、上方側係合突起部(125)および下方側係合突起部(125)の上下方向における肉厚は、上方側凸部(124)および下方側凸部(124)の上下方向における肉厚よりも薄いことを特徴とする。
【0007】
ところで、ボルトやナットを用いずに送風機を熱交換器に取り付ける手段として、図5に示すように、係合突起部125と係合用穴部233との係合のみで両者100、200を取り付ける手段が考えられるが、この手段では、係合突起部125に送風機200の鉛直方向荷重(自重)及び水平方向荷重が作用するので、係合突起部125の剛性を高く(大きく)する必要がある。
【0008】
しかし、係合突起部125の剛性を高くすると、係合突起部125を係合用穴部233に挿入する際に、係合用突起部125が弾性変形し難くなるので、送風機の熱交換器への組み付け性が悪化してしまう。
【0009】
これに対して、本発明では、凸部(124)と凹部(232)との接触により送風機(200)の荷重が支えられるので、係合手段(上記係合突起部に相当)の剛性を低くすることができる。
【0010】
したがって、送風機(200)の熱交換器(100)への組み付け性が悪化することを防止しつつ、簡便な手段にて送風機(200)を熱交換器に取り付けることができる。
【0011】
なお、請求項2に記載の発明のごとく、上方側係合突起部(125)および下方側係合突起部(125)は、凹部(232)の底部(232a)に係合する係合用爪部(125a)を有し、上方側凸部(124)の根元部の上方側および下方側凸部(124)の根元部の下方側には、階段状の段差部が形成され、段差部のうち上方側係合突起部(125)および下方側係合突起部(125)の先端側の面は、凹部(232)の上縁部および下縁部に接触するようにしてもよい。
【0012】
また、請求項3に記載の発明のごとく、少なくとも4箇所の取付箇所(P1〜P4)にて送風機(200)を熱交換器(100)に取り付け、さらに、4カ所の取付箇所(P1〜P4)のうち、上方側の2つの取付箇所(P1、P2)は凸部(124)、凹部(232)及び係合手段(125)により取り付け、下方側の2つの取付箇所(P3、P4)は熱交換器(100)及び取付部材(230)のうちいずれか一方に設けられた突起部(123)にて係止することが望ましい。
【0013】
また、請求項4に記載の発明のごとく、凸部(124)及び係合手段(125)は熱交換器(100)に設け、凹部(232)及び穴部(233)は取付部材(230)に設けることが望ましい。
【0014】
また、請求項5に記載の発明のごとく、取付部材(230)は、送風機(200)と熱交換器(100)との隙間を覆うことにより送風機(200)によって誘起された空気流が熱交換器(100)を迂回することを抑制するシュラウドを兼ねてもよい。
【0015】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明に係る送風機の取付構造を車両用のラジエータ(熱交換器)に送風機を取り付ける際に適用されたものであって、図1はラジエータ100を空気流れ下流側から上流側を見たラジエータ100及び送風機200の正面図である。
【0017】
なお、本実施形態では、送風機200は、ラジエータ100に対して空気流れ下流側に位置してラジエータ100側から空気を吸引することによりラジエータ100に空気を送風する吸い込み型のものである。
【0018】
ここで、ラジエータ100は、エンジン(図示せず。)を冷却する冷却水が流流通する複数本のチューブ111及びチューブ111間に配設されて空気と冷却水との熱交換を促進する波状のフィン112からなるコア部110、並びに各チューブ111に冷却水を分配供給する第1ヘッダタンク121及び熱交換を終えた冷却水を集合回収する第2ヘッダタンク122を有して構成されたものである。
【0019】
なお、チューブ111及びフィン112は金属(本実施形態では、アルミニウム)製であり、第1、2ヘッダタンク121、122(以下、両タンク121、122を総称してタンク120と表記する。)は、チューブ111がろう付け接合された金属(本実施形態では、アルミニウム)製コアプレート120a、及びコアプレート120aとともにタンク120内空間を構成する樹脂製のタンク本体120bからなるものである。
【0020】
因みに、コアプレート120aとタンク本体120bとは、図示しないパッキン等のシール(密閉)手段を介してコアプレート120aの一部をカシメる(塑性変形)させることにより固定されている。
【0021】
また、送風機200は、空気流を誘起する軸流式のファン210及びファン210を回転駆動する電動モータ(駆動手段)220からなるもので、送風機200は、送風機200とラジエータとの隙間を覆うことにより送風機200によって誘起された空気流がラジエータ200を迂回する(ラジエータ200の下流側から空気を吸い込む)ことを抑制するシュラウド(取付部材)230を介してラジエータ100に取り付けられている。
【0022】
なお、本実施形態では、シュラウド230は、樹脂(本実施形態では、ポリプロピレン)製であり、送風機200は電動モータ220をシュラウド230にボルト等の締結手段により固定されている。
【0023】
次に、送風機200(シュラウド230)とラジエータ100との取付構造について述べる。
【0024】
送風機200(シュラウド230)は、図1に示すように、4箇所P1〜P4にてラジエータ100に取付固定されており、4カ所の取付箇所P1〜P4うち下方側の取付箇所P3、P4は、図2に示すように、ラジエータ100のタンク120に設けられた突起部123にシュラウド230のU型溝231を差し込むようにして係止されている。
【0025】
なお、126は突起部123の先端側に設けられて突起部123の突出方向(車両前後方向)と交差する方向(車両幅方向)に拡がる傘部であり、この傘部126により突起部123がU型溝231から外れてしまうことを防止している。
【0026】
一方、上方側の取付箇所P1、P2は、図3に示すように、シュラウド230に形成された凹部232に、ラジエータ100のタンク120に形成された板状の突起部(凸部)124を凹部232に嵌合させて、凹部232の内壁に突起部124を接触させるとともに、シュラウド230に形成された係合用穴部233に弾性変形可能な係合突起部(係合手段)125を係合させる(引っ掛ける)ことによりラジエータ100に固定されている。なお、125aはシュラウド230に係合する(引っ掛かる)係合用爪部である。
【0027】
このとき、突起部124は2本を1組として凹部232の下方側内壁と上方側内壁に接触しているとともに、係合突起部125は2本の突起部124間に位置して凹部232の底部232aに設けられた係合用穴部233に係合している。
【0028】
次に、送風機200(シュラウド230)の取付方法について述べる。
【0029】
先ず、突起部123にシュラウド230のU型溝231を差し込むようにして下方側の取付箇所P3、P4をラジエータ100に係止固定する。
【0030】
次に、図4(a)、(b)、(c)に示すように、突起部124が凹部232の内壁接触するように突起部124を凹部232に嵌合しながら、係合突起部125を弾性変形させて係合用穴部233に挿入することにより、上方側の取付箇所P1、P2を着脱可能に係合する。
【0031】
このとき、突起部124と凹部232との嵌合により送風機200の鉛直方向荷重(自重)が支えられ、係合突起部125と係合用穴部233との係合により送風機200に作用する水平方向の荷重(加振力)が支えられる。
【0032】
次に、本実施形態の特徴を述べる。
【0033】
ところで、ボルトやナットを用いずに送風機200(シュラウド230)をラジエータ100に取り付ける手段として、図5に示すように、係合突起部125と係合用穴部233との係合のみで両者100、200を取り付ける手段が考えられるが、この手段では、係合突起部125に送風機200の鉛直方向荷重(自重)及び水平方向荷重が作用するので、係合突起部125の剛性を高く(大きく)する必要がある。
【0034】
しかし、係合突起部125の剛性を高くすると、係合突起部125を係合用穴部233に挿入する際に、係合用突起部125が弾性変形し難くなるので、送風機200のラジエータ100への組み付け性が悪化してしまう。
【0035】
これに対して、本実施形態では、突起部124と凹部232との嵌合により送風機200の鉛直方向荷重(自重)が支えられるので、係合突起部125の剛性を低くすることができる。したがって、送風機200のラジエータ100への組み付け性が悪化することを防止しつつ、簡便な手段にて送風機200をラジエータ100に取り付けることができる。
【0036】
なお、水平方向荷重は係合突起部125にて受けることになるが、図5に示す手段では、鉛直方向荷重による曲げ応力及び水平方向荷重による引張り応力を受けるのに対して、本実施形態では、水平方向荷重による引張り応力のみであるので、係合突起部125にて十分な弾性を確保しつつ、水平方向荷重を受けることができる。
【0037】
また、ボルトやナット等の金属製部品をラジエータ100(特に、タンク120)にインサート成形する必要がないので、部品の分別を容易に行うことができ、ラジエータ100のリサイクル性を向上させることができる。
【0038】
(第2実施形態)
本実施形態は、図6(a)に示すように、係合用爪部125aの向きを第1実施形態(図3参照)と逆向きにしたものである。
【0039】
(第3実施形態)
上述の実施形態では、タンク120の長手方向が上下方向に延びるように配設されたラジエータ100に対して適用した例であったが、本実施形態は、タンク120の長手方向が水平方向に延びるように配設されたラジエータ100に対して適用したものである。具体的には、図7(a)に示すように、突起部124と凹部232及び係合突起部125と係合用穴部233とを第1、2実施形態に対して略90°回転させた状態で設けたものである。
【0040】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、タンク120に突起部124及び係合用突起部125を設け、シュラウド230に凹部232及び係合用穴部233を設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、シュラウド230に突起部124及び係合用突起部125を設け、タンク120に凹部232及び係合用穴部233を設けてもよい。
【0041】
また、上述の実施形態では、上方側の取付箇所P1、P2が突起部124と凹部232及び係合突起部125と係合用穴部233とからなるものであったが、下方側の取付箇所P3、P4を突起部124と凹部232及び係合突起部125と係合用穴部233とから構成してもよい。
【0042】
また、上述の実施形態では、熱交換器としてラジエータ100を例に本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、コンデンサ等のその他の熱交換器にも適用することができる。
【0043】
また、上述の実施形態では、送風機を熱交換器に取り付ける取付部材としてシュラウド230を例に本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、単純なステー部材であってもよい。
【0044】
また、上述の実施形態では、樹脂製タンク120を有する熱交換器であったが、タンク120をアルミニウム等の金属製としてもよい。
【0045】
また、上述の実施形態では、吸い込み型のものであったが、ラジエータ(熱交換器)100に対して空気流れ上流側に位置してラジエータ100に空気を押し込む押し込み型のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る取付構造を用いたラジエータ及び送風機の正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る取付構造における下方側の取付箇所を示す拡大図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る取付構造における上方側の取付箇所を示す拡大図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る取付構造における上方側の取付箇所の取付過程を示す模式図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る取付構造の効果を説明するための説明図である。
【図6】(a)は本発明の第2実施形態に係る取付構造における上方側の取付箇所を示す拡大図であり、(b)は(a)の右側面図である。
【図7】(a)は本発明の第3実施形態に係る取付構造における上方側の取付箇所を示す拡大図であり、(b)は(a)の上面図である。
【符号の説明】
100…ラジエータ(熱交換器)、124…突起部(凸部)、
125…係合用突起部(係合手段)、230…シュラウド、
232…凹部、233…係合用穴部。
Claims (5)
- 空気と流体とを熱交換する車両用の熱交換器(100)と、
前記熱交換器(100)に空気を送風する送風機(200)と、
前記送風機(200)を前記熱交換器(100)に取り付けるための取付部材(230)とを備え、
前記熱交換器(100)及び前記取付部材(230)のうちいずれか一方には、他方側に形成された凹部(232)の内壁に接触して前記送風機(200)の荷重を受ける凸部(124)が形成され、
前記熱交換器(100)及び前記取付部材(230)のうちいずれか一方には、弾性変形することにより他方側に形成された穴部(233)に着脱可能に係合する係合手段(125)が設けられ、
前記穴部(233)は、前記凹部(232)の底部(232a)に形成され、
前記凸部(124)は2本を1組として形成され、
前記2本の凸部(124)は、上方側凸部および下方側凸部であり、
前記上方側凸部(124)と前記下方側凸部(124)との間に前記係合手段(125)が設けられ、
前記係合手段(125)は、2本を1組とした係合突起部であり、
前記2本の係合突起部(125)は、互いに独立して弾性変形可能な上方側係合突起部および下方側係合突起部であり、
前記上方側凸部(124)の上面は、前記凹部(232)の上方側内壁と接触し、
前記下方側凸部(124)の下面は、前記凹部(232)の下方側内壁と接触し、
前記上方側係合突起部(125)および前記下方側係合突起部(125)の上下方向における肉厚は、前記上方側凸部(124)および前記下方側凸部(124)の上下方向における肉厚よりも薄いことを特徴とする送風機の取付構造。 - 前記上方側係合突起部(125)および前記下方側係合突起部(125)は、前記凹部(232)の前記底部(232a)に係合する係合用爪部(125a)を有し、
前記上方側凸部(124)の根元部の上方側および前記下方側凸部(124)の根元部の下方側には、階段状の段差部が形成され、
前記段差部のうち前記上方側係合突起部(125)および前記下方側係合突起部(125)の先端側の面は、前記凹部(232)の上縁部および下縁部に接触することを特徴とする請求項1に記載の送風機の取付構造。 - 前記送風機(200)は、少なくとも4箇所の取付箇所(P1〜P4)にて前記熱交換器(100)に取り付けられており、
さらに、前記4カ所の取付箇所(P1〜P4)のうち、上方側の2つの取付箇所(P1、P2)は、前記凸部(124)、前記凹部(232)及び前記係合手段(125)により取り付けられ、一方、下方側の2つの取付箇所(P3、P4)は、前記熱交換器(100)及び前記取付部材(230)のうちいずれか一方に設けられた突起部(123)にて係止されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の送風機の取付構造。 - 前記凸部(124)及び前記係合手段(125)は前記熱交換器(100)に設けられ、
前記凹部(232)及び前記穴部(233)は前記取付部材(230)に設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の送風機の取付構造。 - 前記取付部材(230)は、前記送風機(200)と前記熱交換器(100)との隙間を覆うことにより前記送風機(200)によって誘起された空気流が前記熱交換器(100)を迂回することを抑制するシュラウドを兼ねていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の送風機の取付構造。
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