JP4505293B2 - 多色発色レーザーマーキング用有彩色着色剤、多色発色レーザーマーキング用組成物及びそれを含む成形品並びにレーザーマーキング方法 - Google Patents

多色発色レーザーマーキング用有彩色着色剤、多色発色レーザーマーキング用組成物及びそれを含む成形品並びにレーザーマーキング方法 Download PDF

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Description

本発明は、多色発色レーザーマーキング用有彩色着色剤、多色発色レーザーマーキング用組成物及びそれを含む成形品並びにレーザーマーキング方法に関する。更に詳しくは、本有彩色着色剤を含む成形品に、異なるエネルギーを有する2以上のレーザー光を照射した場合に、着色剤に由来する有彩色を含む2以上の異なる色調のマーキングを鮮明に形成することができる多色発色レーザーマーキング用有彩色着色剤に関し、また、異なるエネルギーを有する2以上のレーザー光を照射することにより、2以上の異なる色調にマーキングされる多色発色レーザーマーキング用組成物及びそれを含む成形品並びにレーザーマーキング方法に関する。
樹脂等の組成物からなる成形品の表面に、簡便且つ高速に、所望の色の文字、記号、図柄等のマークを付与する技術として、レーザーマーキング方法が注目されている(特許文献1参照)。特に、近年、マーキングの色を多様化させる技術も開発されてきており、例えば、レーザー光の吸収により変色又は脱色する物質とレーザー光の影響を受けにくい色素物質とを含有する成形品にレーザー光を照射する方法(特許文献2及び3参照)、熱可塑性有機ポリマー、鉱物性黒色顔料及び着色剤よりなる合成樹脂成形材料にレーザー光を照射する方法(特許文献4参照)等が開示されている。
しかしながら、いずれの方法も、マーキング部分が単色であるため、見やすさやデザインがかなり限定されてしまっている。
特開平5−92657号公報 特開平6−297828号公報 特開平8−127175号公報 特開平7−165979号公報
本発明は、上記実情を鑑みて行われたものである。即ち、本発明は、黒色又は暗色系の地色を呈する成形品の表面に、着色剤に由来する有彩色を含む2以上の異なる色調のマーキングを、更には、着色剤に由来する有彩色及び白色系の色の鮮明なマーキングを形成するために、成形品に含有させる多色発色レーザーマーキング用有彩色着色剤、また、上記マーキングを形成することができる多色発色レーザーマーキング用組成物及びそれを含む成形品並びにレーザーマーキング方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく、着色剤の熱的性質及び黒色物質並びに照射するレーザー光のエネルギーと発色性との関係等について検討した結果、下記構成の多色発色レーザーマーキング用重合体組成物に対して、異なるエネルギーを有する2以上のレーザー光を照射することにより、2以上の異なる色調に鮮明にマーキングされることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
1.2以上の波長が異なるレーザー光を異なる位置に照射することにより、組成物に含まれる重合体の色を主とする白色及び有彩色着色剤に由来する色を含む2以上の異なる色調にマーキングされる多色発色レーザーマーキング用組成物であって、有彩色着色剤と、カーボンブラック、チタンブラック及び黒色酸化鉄から選ばれる少なくとも1種である黒色物質と、熱可塑性重合体とを含有し、上記有彩色着色剤が、フタロシアニン骨格、ジケトピロロピロール骨格、ジオキサジン骨格、キナクリドン骨格、キノフタロン骨格、ペリレン骨格及び金属錯体骨格から選ばれる骨格の少なくとも1種を含み、且つ示差熱分析により、360℃以上590℃以下の範囲に発熱ピークを有し、上記熱可塑性重合体は、(1)単量体成分としてメタクリル酸メチルを用いたゴム強化熱可塑性樹脂、(2)ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、メタクリル酸メチル単量体単位を30質量%以上含む共重合体等のアクリル系樹脂、(3)ポリアセタール樹脂、又は(4)ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂を含み、上記有彩色着色剤の含有量は、上記重合体を100質量部とした場合に0.001〜3質量部であり、上記黒色物質の含有量は、上記重合体を100質量部とした場合に0.01〜2質量部である多色発色レーザーマーキング用組成物。
2.同一波長のレーザー光を異なる照射条件で照射又は波長の異なるレーザー光を照射することにより、レーザー光照射の際の被照射物に対するエネルギー量が2以上の異なるエネルギー量となるように、レーザー光を照射することにより、組成物に含まれる重合体の色を主とする白色及び有彩色着色剤に由来する色を含む2以上の異なる色調にマーキングされる多色発色レーザーマーキング用組成物であって、有彩色着色剤と、レーザー光の受光によりそれ自身が消滅する又は変色する黒色物質と、重合体とを含有し、上記有彩色着色剤が、フタロシアニン骨格、ジケトピロロピロール骨格、ジオキサジン骨格、キナクリドン骨格、キノフタロン骨格、ペリレン骨格及び金属錯体骨格から選ばれる骨格の少なくとも1種を含み、且つ示差熱分析により、360℃以上590℃以下の範囲に発熱ピークを有し、上記重合体が、ゴム質重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル系単量体を重合して得られるゴム強化共重合樹脂、又は、該ゴム強化共重合樹脂とビニル系単量体の(共)重合体との混合物からなるゴム強化熱可塑性樹脂を含み、上記有彩色着色剤の含有量は、上記重合体を100質量部とした場合に0.001〜3質量部であり、上記黒色物質の含有量は、上記重合体を100質量部とした場合に0.01〜2質量部である多色発色レーザーマーキング用組成物。
3.上記重合体が熱可塑性重合体及び熱硬化性重合体を含み、該熱硬化性重合体の含有量が、該熱可塑性重合体の含有量を100質量部としたときに0.01〜20質量部である上記2記載の多色発色レーザーマーキング用組成物。
4.上記黒色物質が、カーボンブラック、チタンブラック及び黒色酸化鉄から選ばれる少なくとも1種である上記2又は3記載の多色発色レーザーマーキング用組成物。
5.更に、上記重合体を100質量部とした場合に、白色系物質を0.001〜1質量部含有する上記1乃至3のいずれかに記載の多色発色レーザーマーキング用組成物。
6.更に、難燃剤、帯電防止剤、抗菌剤、充填材及びメタリック顔料から選ばれる少なくとも1種の機能性付与剤を含有し、上記重合体を100質量部とした場合に、該難燃剤の含有量は、1〜30質量部であり、該帯電防止剤の含有量は、0.5〜10質量部であり、該抗菌剤の含有量は、0.01〜10質量部であり、該充填材の含有量は、1〜30質量部であり、該メタリック顔料の含有量は、0.1〜10質量部である上記1乃至5のいずれかに記載の多色発色レーザーマーキング用組成物。
7.上記1乃至6のいずれかに記載の多色発色レーザーマーキング用組成物を含む成形品。
8.同一波長のレーザー光を異なる照射条件で照射又は波長の異なるレーザー光を照射することにより、レーザー光照射の際の被照射物に対するエネルギー量が2以上の異なるエネルギー量となるように、レーザー光を照射した場合に、低エネルギーのレーザー光の照射により、上記有彩色着色剤に由来する色にマーキングされ、且つ、高エネルギーのレーザー光の照射により、白色に、あるいは、上記有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色にマーキングされる上記7記載の成形品。
9.レーザー光を照射した部分が発泡する上記7又は8記載の成形品。
10.同一波長のレーザー光を異なる照射条件で照射又は波長の異なるレーザー光を照射することにより、レーザー光照射の際の被照射物に対するエネルギー量が2以上の異なるエネルギー量となるように、レーザー光を上記7乃至9のいずれかに記載の成形品に照射して、組成物に含まれる重合体の色を主とする白色及び有彩色着色剤に由来する色を含む2以上の異なる色調にマーキングするレーザーマーキング方法。
11.上記レーザー光が2以上の異なる波長のレーザー光であり、低エネルギーのレーザー光の波長と、高エネルギーのレーザー光の波長との差が、100nm以上である上記10記載のレーザーマーキング方法。
12.マーキング部の少なくとも1箇所を発泡させる上記10又は11記載のレーザーマーキング方法。
13.上記レーザー光を、上記成形品の異なる位置に照射する上記10乃至12のいずれかに記載のレーザーマーキング方法。
14.上記11乃至13のいずれかに記載のレーザーマーキング法により、組成物に含まれる重合体の色を主とする白色及び有彩色着色剤に由来する色を含む2以上の異なる色調にマーキングされている多色レーザーマーキング付き成形品。
15.マーキング部の少なくとも1箇所は発泡している上記13又は14記載の多色レーザーマーキング付き成形品。
16.上記マーキングが、上記成形品の異なる位置に形成されている上記14又は15記載の多色マーキング付き成形品。
本発明の多色発色レーザーマーキング用有彩色着色剤と、特定の黒色物質と、重合体とを含む成形品(組成物)に対し、異なるエネルギーを有する2以上のレーザー光を照射することにより、簡便且つ高速に、多彩な色調のマーキングを鮮明に形成することができる。従って、パソコン、ゲーム機、電卓等のキーボード、車、家電製品、電話等のボタン、ケース等のプラスチック製品等に所望の文字、記号、図柄等をマーキングすることができ、各種表示用途への展開が期待される。特に、本発明のレーザーマーキングによると、黒色又は暗色系の地色を呈する成形品の表面に、白色又は白色に近い色に発色したマーキングを形成することも可能であるから、非常に識別、解読しやすい表示を形成することができる。また、レーザーマーキングにより得られる表示は、印刷等の他の手法で得られる表示に比べ、マーキング部の変形、摩耗等がしにくい、高い視認性を長時間維持できる等耐久性が格段に優れている。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の多色発色レーザーマーキングに用いる有彩色着色剤(以下、単に「本発明の有彩色着色剤」ともいう。)は、該有彩色着色剤、重合体及び黒色物質を含有する組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう。)を用いて得られた成形品に、異なるエネルギーを有する2以上のレーザー光を照射することにより、該成形品表面に2以上の異なる色調でマーキングするために用いられる。
本発明に係る多色発色レーザーマーキングの発色機構は、判明していないが、概ね、以下のような現象に基づいているものと推定される。尚、本発明に係る多色発色レーザーマーキングの発色機構は、以下の機構に限定されるものではない。
本発明の組成物を用いて得られた成形品にレーザー光を照射すると、レーザー光のエネルギーに応じて、黒色物質の消滅、変色等、有彩色着色剤の分解、飛散等が生じる。ここで、黒色物質の気化、変色等が生じた部分は、相対的にこれらが生じていない部分に比べ黒色物質以外の物質の色が強く現れる。更に、有彩色着色剤の分解、飛散等が生じた部分は、これらが生じていない部分に比べ相対的に有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色、あるいは、白色になる。該色変化の生じる程度が、照射したレーザー光のエネルギーの違いに応じて異なるため、異なるエネルギーを有する2以上のレーザー光を照射することにより、2以上の異なる色調にマーキングされると考えられる。また、本発明の有彩色着色剤は、通常、黒色物質を気化、変色等させるエネルギーより高いエネルギーで分解、飛散等を起こすため、例えば、黒色又は暗色系の地色を呈する成形品に対し、低エネルギーのレーザー光が照射されると、その照射部が有彩色着色剤に由来する物質の影響が強く現れた色(以下、単に「有彩色着色剤に由来する色」ともいう。)に発色し、高エネルギーのレーザー光が照射されると、その照射部が有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色に発色した、各マーキングをそれぞれ得ることが可能となる。以上のようにして、レーザー光の未照射部の色(地色)である黒色又は暗色系の色以外の、2以上の異なる色調にマーキングをすることができると考えられる。
1.多色発色レーザーマーキング用有彩色着色剤
本発明の有彩色着色剤は、本発明の多色発色レーザーマーキングの優れた性能を妨げるものでなければどのような着色剤でもよいが、該着色剤は、示差熱分析で360℃以上590℃以下の範囲に発熱ピークを有するものである。該発熱ピーク範囲の下限温度は、更に好ましくは380℃、特に好ましくは400℃であり、同上限温度は、更に好ましくは585℃である。温度が低すぎると、低エネルギーのレーザー光を照射した場合に、有彩色着色剤に由来する色のマーキングが不鮮明となる傾向にある。一方、温度が高すぎると、高エネルギーのレーザー光を照射した場合に、有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色のマーキングが不鮮明となる傾向にある。尚、示差熱分析の測定条件は、実施例に記載の通りである。
本発明の有彩色着色剤は、示差熱分析による発熱ピークが上述の温度範囲にあり、レーザー光照射により本発明の成形品に2以上の異なる色調のレーザーマーキングができれば、どのような物質でも良い。また、発熱ピークの範囲が上述の範囲であれば、2種以上の有彩色着色剤を組み合わせて用いてもよい。本発明の有彩色着色剤の色は、黒色及び白色以外であれば、赤色系、黄色系、青色系、紫色系、緑色系等どのような色でもよい。また、顔料でも染料でも構わない。
示差熱分析による発熱ピークが上述の温度範囲にある有彩色着色剤の例を以下に示す。括弧内には、各着色剤の色の一例を示す。フタロシアニン骨格を有する顔料又は染料(青〜緑色)、ジケトピロロピロール骨格を有する顔料又は染料(橙〜赤色)、ジオキサジン骨格を有する顔料又は染料(紫色)、キナクリドン骨格を有する顔料又は染料(橙〜紫色)、キノフタロン骨格を有する顔料又は染料(黄〜赤色)、アンスラキノン骨格を有する顔料又は染料(黄〜青色)、ペリレン骨格を有する顔料又は染料(赤〜紫色)、ペリノン骨格を有する顔料又は染料(橙〜赤色)、金属錯体骨格を有する顔料又は染料(黄〜紫色)、インダンスロン系顔料(青〜緑色)、トリアリルカルボニウム系顔料(青色)、モノアゾ系顔料(黄〜緑色)、ジスアゾ系顔料(黄〜緑色)、イソインドリノン系顔料(黄〜紫色)、チオインジゴ系顔料(赤〜紫色)、アンスラピリドン系染料(黄色)等である。このうち、組成物(成形品)が、フタロシアニン骨格、ジケトピロロピロール骨格、ジオキサジン骨格、キナクリドン骨格、キノフタロン骨格、アンスラキノン骨格、ペリレン骨格、金属錯体骨格等から選ばれる少なくとも1種の骨格を有する有彩色着色剤を含む場合には、黒色又は暗色系の地色を呈する組成物(成形品)の表面に、有彩色着色剤に由来する色を含む2以上の異なる色調のマーキングを鮮明に形成することができるため好ましい。なかでも、フタロシアニン骨格、ジケトピロロピロール骨格、ジオキサジン骨格、キナクリドン骨格、キノフタロン骨格、ペリレン骨格及び金属錯体骨格から選ばれる少なくとも1種の骨格を有する有彩色着色剤が更に好ましく、フタロシアニン骨格、ジケトピロロピロール骨格及びジオキサジン骨格から選ばれる少なくとも1種の骨格を有する有彩色着色剤が特に好ましい。
以下に具体的に例示する。
1−1.フタロシアニン骨格を有する有彩色着色剤
上述のフタロシアニン骨格を有する有彩色着色剤としては、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
〔式中、Mは、配位金属原子又は2つの水素原子であり、R〜R16は、各々、独立して任意の官能基である。〕
該フタロシアニン骨格を有する有彩色着色剤は、顔料又は染料である。
上記一般式(I)において、Mは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)又は2つの水素原子であることが好ましく、銅(Cu)、アルミニウム(Al)又は亜鉛(Zn)が更に好ましく、銅(Cu)又はアルミニウム(Al)が特に好ましい。尚、Mが金属の場合、ハロゲン原子、OH等の配位子を有してもよい。
また、上記一般式(I)において、R〜R16は、無置換の水素原子;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;スルホン酸アミド基(−SONHR)、−SO ・NH等の置換基(式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基である。)が好ましく、R〜R16のうちの複数の隣接するRが連結して芳香環を形成した基も好ましい。特に好ましくは、無置換の水素原子又はスルホン酸アミド基である。
該フタロシアニン骨格を有する有彩色着色剤として、好ましい具体的な構造を以下の(1)〜(6)に列挙する。このうち、(1)、(3)及び(4)が特に好ましい。
(1)上記一般式(I)におけるMがCuであり、且つ、R〜R16が無置換の水素原子である銅フタロシアニン顔料(下記式(II))。
上記銅フタロシアニン顔料の結晶はα型であっても、β型であってもよい。β型銅フタロシアニン顔料の平均二次粒子径は、一般的に、20μmを超え30μm以下であるが、本発明においては、その上限が好ましくは20μm、より好ましくは10μmであり、下限が1μmである。尚、平均二次粒子径は、レーザー散乱法粒径分布測定装置等により確認することができる。
(2)上記一般式(I)におけるMがCuであり、R〜R16が、各々、独立して無置換の水素原子又はハロゲン原子であるハロゲン含有銅フタロシアニン顔料。尚、ハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子が好ましい。
(3)上記一般式(I)におけるMがCuであり、R〜R16のうちの4〜8個、好ましくは4個が、上述のスルホン酸アミド基又は−SO ・NH、好ましくはスルホン酸アミドである溶剤可溶型銅フタロシアニン染料。特に好ましい溶剤可溶型銅フタロシアニン染料の構造を、下記一般式(III)に示す。
〔式中、各Rは、各々、独立して炭素数1〜20のアルキル基である。〕
上記一般式(III)において、各Rは、各々、独立して炭素数4〜8のアルキル基であることが特に好ましい。
(4)上記一般式(I)におけるMがAlであり、且つ、R〜R16が無置換の水素原子であるアルミニウムフタロシアニン顔料。Alは、配位子として−OH又は−Clを有しているものが好ましく、−OHを有しているものが更に好ましい。特に好ましいアルミニウムフタロシアニン顔料の構造を、以下の式(IV)に示す。
(5)上記一般式(I)におけるMがSnであり、且つ、R〜R16が、各々、独立して無置換の水素原子又はハロゲン原子であるスズフタロシアニン顔料。
(6)上記一般式(I)におけるMがZnであり、且つ、R〜R16が、各々、独立して無置換の水素原子又はハロゲン原子である亜鉛フタロシアニン顔料。該亜鉛フタロシアニン顔料の構造を、下記一般式(V)に示す。
〔式中、R〜R16は、各々、独立して無置換の水素原子又はハロゲン原子である。〕
該亜鉛フタロシアニン顔料としては、上記一般式(V)におけるR〜R16がすべて水素原子である亜鉛フタロシアニン顔料が特に好ましい。
1−2.ジケトピロロピロール骨格を有する有彩色着色剤
上述のジケトピロロピロール骨格を有する有彩色着色剤としては、下記一般式(VI)で表される化合物が挙げられ、該着色剤は、通常、顔料である。
〔式中、Ar及びAr’は、各々、独立して置換基を有してもよい芳香族環である。〕
Ar及びAr’を構成する芳香族環は、芳香族性を有すれば、どのような環でもよいが、通常、5又は6員環の、単環又は2〜6縮合環からなる芳香環であり、O、S、N等のヘテロ原子を含んでいてもよい。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アンスラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、ピリジン環、チオフェン環、ピロール環、フラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、イミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、チアゾール環、ジベンゾチオフェン環等が挙げられ、これらのうち、6員環が好ましく、6員環の単環が更に好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
該芳香族環は置換基を有することが好ましく、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシル基、アミノ基、−NHCOR’、−COR’及び−COOR’(但し、R’は、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数12以下の(ヘテロ)アリール基である。)が挙げられ、このうち、ハロゲン原子、特に塩素原子が好ましい。
1−3.ジオキサジン骨格を有する有彩色着色剤
上述のジオキサジン骨格を有する有彩色着色剤としては、下記一般式(VII)で表される骨格を含む化合物が挙げられ、該着色剤は、通常、顔料である。
この骨格を含む着色剤は、置換基を有する化合物であっても、有しない化合物であってもよいが、置換基を有する化合物であることが好ましい。置換基を有する化合物の構造は、例えば、下記一般式(VIII)で表される。
〔式中、R17〜R22は、各々、独立して、ハロゲン原子、−NHCOR’(但し、R’は、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数12以下の(ヘテロ)アリール基である。)、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシル基である。〕
上述のジオキサジン骨格を有する有彩色着色剤としては、上記一般式(VIII)において、置換基R17及びR18を有することが特に好ましい。R17及びR18は、ハロゲン原子又は−NHCOR’が好ましく、−NHCOR’が更に好ましい。また、R19〜R22は、ハロゲン原子、−NHCOR’、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシル基等が好ましく、炭素数1〜12のアルコキシル基又は−NHCOR’が更に好ましい。
1−4.キナクリドン骨格を有する有彩色着色剤
上述のキナクリドン骨格を有する有彩色着色剤としては、下記一般式(IX)で表される骨格を含む化合物が挙げられ、該着色剤は、通常、顔料である。
この骨格を含む着色剤は、置換基を有する化合物であっても、有しない化合物であってもよいが、置換基を有する化合物の構造は、例えば、下記一般式(X)で表される。
上記一般式(X)において、置換基は、R23〜R26の位置に結合していることが好ましい。好ましい置換基としては、ハロゲン原子又は炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。
1−5.キノフタロン骨格を有する有彩色着色剤
上述のキノフタロン骨格を有する有彩色着色剤としては、下記一般式(XI)で表される骨格を含む化合物が挙げられ、該着色剤は、顔料又は染料である。
この骨格を含む着色剤は、置換基を有する化合物であっても、有しない化合物であってもよいが、置換基を有する化合物の構造は、例えば、下記一般式(XII)で表される。
〔式中、R27〜R30は、各々、独立して無置換の水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシル基又は環構造を含む基であり、R31は、無置換の水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルコキシル基、炭素数5〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜12のヘテロアリールオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数5〜12のアリールチオ基又は炭素数1〜12のヘテロアリールチオ基であり、R32は、無置換の水素原子又はヒドロキシル基であり、R33〜R36は、各々、独立して無置換の水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシル基、−COOR’又は−CONR’(但し、R’は、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数12以下の(ヘテロ)アリール基である。)である。尚、R28及びR29、R31及びR32、R33及びR34、R34及びR35、並びに、R35及びR36は、各々、互いに連結して環を形成してもよい。〕
上記一般式(XII)において、R27〜R30が環構造を含む基である場合、該基としては、下記一般式(XIII)で表される置換基が挙げられる。
〔式中、X〜Xは、各々、独立して無置換の水素原子又はハロゲン原子である。〕
上記一般式(XII)におけるR27が、上記一般式(XIII)で表される置換基である場合の着色剤の構造を、下記に一般式(XIV)として示す。
〔式中、R28〜R36は、前記と同様であり、X〜Xは、各々、独立して無置換の水素原子又はハロゲン原子である。〕
上記一般式(XIV)で表される、キノフタロン骨格を有する有彩色着色剤としては、R28〜R30が無置換の水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシル基であり、R31及びR32が無置換の水素原子であり、且つ、R33〜R36がハロゲン原子である化合物が好ましい。
より好ましい着色剤は、R28及びR29が無置換の水素原子又はハロゲン原子であり、R30〜R32が無置換の水素原子であり、R33〜R36がハロゲン原子であり、且つ、X〜Xがハロゲン原子である化合物である。この着色剤は、通常、顔料である。
特に好ましい着色剤は、R28及びR29が無置換の水素原子であり、R30〜R32が無置換の水素原子であり、R33〜R36がハロゲン原子(X〜X12)であり、且つ、X〜Xがハロゲン原子である化合物である(下記一般式(XV)参照)。
〔式中、X〜X12は、各々、独立してハロゲン原子である。〕
尚、上記一般式(XII)において、R27及びR30が無置換の水素原子であり、R28及びR29がハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシル基である化合物(下記一般式(XVI)参照)は、通常、染料である。
〔式中、R28及びR29は、各々、独立してハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシル基であり、R31は、無置換の水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルコキシル基、炭素数5〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜12のヘテロアリールオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数5〜12のアリールチオ基又は炭素数1〜12のヘテロアリールチオ基であり、R32は、無置換の水素原子又はヒドロキシル基であり、R33〜R36は、各々、独立して無置換の水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシル基、−COOR’、−CONR’(但し、R’は、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数12以下の(ヘテロ)アリール基である。)である。尚、R28及びR29、R31及びR32、R33及びR34、R34及びR35、並びに、R35及びR36は、各々、互いに連結して環を形成してもよい。〕
1−6.アンスラキノン骨格を有する有彩色着色剤
上述のアンスラキノン骨格を有する有彩色着色剤としては、下記一般式(XVII)で表される骨格を含む化合物が挙げられる。該着色剤は、下記骨格を1つのみ含む化合物であってもよいし、2つ以上を含む化合物であってもよい。
該着色剤としては、下記一般式(XVIII)で表される化合物、上記骨格を複数含む化合物、及び、アミノ基を有する化合物が好ましく、2つのアンスラキノン骨格及び2つのアミノ基を有する化合物が特に好ましい。
〔式中、R37〜R44は、各々、独立して無置換の水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシル基、炭素数5〜12のアリール基、炭素数1〜12のヘテロアリール基、−NHR’、−NR’、−OR’、−SR’、−COOR’又は−NHCOR’(但し、R’は、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数12以下の(ヘテロ)アリール基である。)である。〕
上記一般式(XVIII)で表される化合物は、通常、黄〜青色の染料である。
また、2つのアンスラキノン骨格及び2つのアミノ基を有する化合物としては、下記一般式(XIX)及び構造式(XX)で表される化合物が挙げられる。これらの化合物は、通常、青色の顔料である。
〔式中、R45及びR46は、各々、独立して無置換の水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のアリール基、炭素数1〜12のヘテロアリール基、炭素数2〜13のアルキルカルボニル基、炭素数6〜13のアリールカルボニル基又は炭素数2〜13のヘテロアリールカルボニル基である。〕
尚、構造式(XX)で表される化合物は、芳香族環に結合する水素原子がハロゲン原子等に置換されていてもよい。
1−7.ペリレン骨格を有する有彩色着色剤
上述のペリレン骨格を有する有彩色着色剤としては、例えば、下記一般式(XXI)で表される化合物が挙げられ、該着色剤は、通常、顔料である。
〔式中、R47及びR48は、各々、独立して水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のアリール基、炭素数1〜12のヘテロアリール基、−COR’又は−COOR’(但し、R’は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数12以下の(ヘテロ)アリール基である。)である。〕
上記一般式(XXI)で表される、ペリレン骨格を有する有彩色着色剤としては、R47及びR48が炭素数1〜12のアルキル基である着色剤が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基である着色剤が更に好ましい。
1−8.金属錯体骨格を有する有彩色着色剤
上述の金属錯体骨格を有する有彩色着色剤としては、例えば、有機色素骨格に金属イオンが配位した化合物等が挙げられる。該有機色素骨格としては、アゾ基を有するもの、アゾメチン基を有するもの等があり、アゾ基あるいはアゾメチン基のオルト位又はペリ位にヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基等を有してもよい。金属イオンとしては、銅、ニッケル、コバルト、亜鉛等のイオンが挙げられる。
2.多色発色レーザーマーキング用黒色物質
この黒色物質は、レーザー光の受光により消滅する又は変色するものであれば特に限定されない。即ち、レーザー光のエネルギーによりそれ自身が消滅する、変色する等して、本発明の組成物及びこれを用いた成形品におけるレーザー光の照射部の色が、該黒色物質以外の物質の色の影響の強く現れた色となるものであれば、どのような黒色物質でもよい。尚、上述の黒色物質の「消滅」は、気化、揮散又は分解して黒色物質が存在しなくなることを、「変色」は、物質の少なくとも一部又は全てが、分解等により受光前と異なる色(好ましくは白色)になること(例えば、黒色→水色又は白色)をそれぞれ意味する。また、黒色物質の「黒色」は、黒色を含む暗色系の色であり、例えば、赤色−黒色系(茶色−黒色系)、緑色−黒色系、青色−黒色系、紫色−黒色系、灰色−黒色系等の黒系の色を含む。
上述の黒色物質としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル100質量部及び黒色物質0.1質量部のみからなる黒色試験片に対し、出力31A、周波数5.5kHz、波長1,064nmのレーザー光を照射した場合に、該照射部が白色又は黒色以外の色に変色するものが好ましい。
上述の黒色物質は、無機物質でも有機物質でもよく、顔料でも染料でもよく、更に、本発明の優れた効果を損なわなければ、これらに含まれない化合物や鉱物等を含んでいてもよい。上述の黒色物質は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。上述の黒色物質としては、カーボンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄等の無機顔料、黒鉛、活性炭等が挙げられる。これらのうち、カーボンブラック、チタンブラック及び黒色酸化鉄のように、後述のレーザー光照射による発泡が起こりやすい物質が主成分であることが好ましく、特に、カーボンブラックを主成分とするものが好ましい。
カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等が挙げられる。上述のカーボンブラックの平均粒径の下限は、好ましくは0.1nm、更に好ましくは1nm、特に好ましくは5nm、最も好ましくは10nmであり、上限は、好ましくは1,000nm、更に好ましくは500nm、特に好ましくは100nm、最も好ましくは80nmである。また、上述のカーボンブラックの窒素吸着比表面積の下限は、好ましくは1m/g、更に好ましくは5m/g、特に好ましくは10m/g、最も好ましくは20m/gであり、上限は、好ましくは1,0000m/g、更に好ましくは5,000m/g、特に好ましくは2,000m/g、最も好ましくは1,500m/gである。
本発明の組成物(成形品)がカーボンブラックを含有する場合、レーザー光が照射されると、レーザー光を吸収して気化することが知られている。カーボンブラックが気化して無くなると、レーザー光照射部の色は、カーボンブラック由来の色(黒色又は暗色)の影響が小さく又は無くなり、本発明の組成物(成形品)に含まれるカーボンブラック以外の成分に由来する色の影響が強くなり、即ち、有彩色着色剤に由来する色に発色する。
チタンブラックは、一般に、二酸化チタンを還元して得られるものである。上述のチタンブラックの平均粒径の下限は、好ましくは0.01μm、更に好ましくは0.05μm、特に好ましくは0.1μmであり、上限は、好ましくは2μm、更に好ましくは1.5μm、特に好ましくは1.0μm、最も好ましくは0.8μmである。
上述のチタンブラックは、レーザー光が照射されると、白色の二酸化チタンに変化することが知られている。従って、カーボンブラックを含有する組成物にレーザー光を照射した場合と同様、照射部の色は、黒色の度合いが小さく又は無くなり、有彩色着色剤に由来する色に発色する。
また、黒色酸化鉄は、一般に、Fe又はFeO・Feで表される鉄の酸化物である。上述の黒色酸化鉄の平均粒径の下限は、好ましくは0.01μm、更に好ましくは0.05μm、特に好ましくは0.1μm、最も好ましくは0.3μmであり、上限は、好ましくは2μm、更に好ましくは1.5μm、特に好ましくは1.0μm、最も好ましくは0.8μmである。
上述の黒色酸化鉄は、レーザー光が照射されると、赤みがかった白色に変化することが知られている。従って、カーボンブラックやチタンブラックを含有する組成物にレーザー光を照射した場合と同様、照射部の色は、黒色の度合いが小さく又は無くなり、有彩色着色剤に由来する色に発色する。
3.多色発色レーザーマーキング用重合体
この重合体は、レーザー光の照射による多色発色を妨げるものでなければ、どのような重合体でもよい。従って、熱可塑性、熱硬化性、光(可視光線〜紫外線の他、電子線等も含む)硬化性、室温硬化性等の重合体を含むことが好ましい。これらは、樹脂、エラストマー、ポリマーアロイ、ゴム等のいずれでもよい。また、上述のうちの1種で用いても、これらに属さない他の重合体の併用も含め2種以上を組み合わせて用いてもよい。尚、上述の「硬化性」の重合体は、硬化後に重合体となるオリゴマー等を含むものとする。
また、上述の硬化性の重合体等の硬化の時期は、特に限定されず、本発明の組成物を用いて成形品を製造した際、該成形品に対してレーザー光を照射した際等とすることができる。尚、上述の硬化性の重合体等は、本発明の有彩色着色剤、黒色物質等と混練する時点、本発明の組成物とした時点、及び、成形品を製造した時点で硬化していなくてもよい。この場合は、未硬化の重合体、オリゴマー等を示すこととする。
熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体、ABS樹脂等のスチレン系樹脂;ゴム強化熱可塑性樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリエチレン等のオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、エチレン・塩化ビニル重合体、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル酸エステルの1種以上を用いた(共)重合体等のアクリル系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,12等のポリアミド系樹脂(PA);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール樹脂(POM);ポリカーボネート樹脂(PC);ポリアリレート樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンサルファイド;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;液晶ポリマー;ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール;フェノキシ樹脂;感光性樹脂;生分解性プラスチック等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、ゴム強化熱可塑性樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂(PA)、ポリアセタール樹脂(POM)及びウレタン系樹脂が好ましい。尚、上述の「ゴム強化熱可塑性樹脂」は、ゴム質重合体の存在下に、ビニル系単量体を重合して得られるゴム強化共重合樹脂、又は、該ゴム強化共重合樹脂とビニル系単量体の(共)重合体との混合物からなるもの等である。
熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系エラストマー;ジエン系エラストマー;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体等のスチレン系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;ウレタン系エラストマー;塩ビ系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;フッ素ゴム系エラストマー等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマーアロイとしては、PA/ゴム強化熱可塑性樹脂、PC/ゴム強化熱可塑性樹脂、PBT/ゴム強化熱可塑性樹脂、PC/PMMA等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、塩素化ポリエチレン、シリコーンゴム、エピクロルヒドリンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性、光硬化性、室温硬化性等の硬化性重合体としては、アクリル系樹脂(エポキシ基を有するアクリル系重合体を含む)、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン系樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。尚、これらの樹脂は、硬化剤等を含むものであってもよいし、自己架橋性の重合体のみからなるものであってもよい。これらのうち、エポキシ基を有するアクリル系重合体が好ましい。
また、上述の重合体として、レーザー光の受光により発泡しやすい重合体を含む場合には、レーザー光の照射による多色発色がより鮮明となる。従って、上述の重合体は、該重合体のみからなる試験片に対し、出力31A、周波数5.5kHz、波長1,064nmのレーザー光を照射した場合に、照射部の断面に発泡状態が電子顕微鏡により観察される重合体であることが好ましい。
本発明の組成物(成形品)にレーザー光が照射されて、その照射部が発泡部となると、レーザー光照射時の有彩色着色剤の挙動によっては、レーザー光照射部(発泡部)とその周辺の未照射部との屈折率差が大きくなり、マーキングがより鮮明となる。例えば、高エネルギーのレーザー光によって有彩色着色剤が分解、飛散等することで、白色又はその着色剤に由来する色の濃度が低下した色となった場合には、レーザー光照射部(発泡部)とその周辺の未照射部との屈折率差が大きいために、より鮮明なマーキングが形成される。
上述の重合体のうち、(1)単量体成分としてメタクリル酸メチルを用いたゴム強化熱可塑性樹脂、(2)ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、メタクリル酸メチル単量体単位を30質量%以上含む共重合体等のアクリル系樹脂、(3)ポリアセタール樹脂、(4)ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂が発泡しやすく、好ましい。
本発明において好ましいゴム強化熱可塑性樹脂は、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b1)を重合して得られるゴム強化共重合樹脂(A1)、又は、該ゴム強化共重合樹脂(A1)とビニル系単量体(b2)の(共)重合体(A2)との混合物等において、ゴム強化共重合樹脂(A1)又は混合物中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位量が、ゴム質重合体(a)以外の成分中、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であるものである。この範囲から外れると、鮮明なマーキングを容易に得ることができない場合がある。
上述の通り、ゴム強化共重合樹脂(A1)及びビニル系単量体(b2)の(共)重合体(A2)の形成のために、(メタ)アクリル酸エステルを用いることが好ましいことから、ゴム質重合体(a)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル系単量体(b1)を重合して得られるゴム強化共重合樹脂(A1)、又は、該ゴム強化共重合樹脂(A1)とビニル系単量体(b2)の(共)重合体(A2)との混合物からなるゴム強化共重合樹脂が特に好ましい。尚、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b1)を重合すると、通常、ビニル系単量体(b1)がゴム質重合体にグラフト重合しているグラフト重合体成分と、グラフトしていないビニル系単量体(b1)の(共)重合体成分との混合物等が得られる。
上述の(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの化合物のうち、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
上述のゴム質重合体(a)としては、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、イソブチレン・イソプレン共重合体等の重合体;これら重合体の水素化物;ブチルゴム;エチレン・α−オレフィン共重合体;エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体;シリコーン系ゴム;アクリル系ゴム等が挙げられる。これらの重合体は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述のゴム強化共重合樹脂(A1)の形成に用いられるビニル系単量体(b1)は、(メタ)アクリル酸エステル以外に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、マレイミド系化合物等を含んでもよい。また、必要に応じて、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物を用いてもよい。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上述の(共)重合体(A2)の形成に用いられるビニル系単量体(b2)としては、上述の(メタ)アクリル酸エステル;芳香族ビニル化合物;シアン化ビニル化合物;マレイミド系化合物;エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。尚、上述のビニル系単量体(b1)及びビニル系単量体(b2)は、同一の単量体を同量で又は異なる量で用いてもよいし、異なる種類の単量体を用いてもよい。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、メチル−α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン、モノクロルスチレン、ジクロロスチレン等の塩素化スチレン;モノブロモスチレン、ジブロモスチレン等の臭素化スチレン;モノフルオロスチレン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらのうち、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらのうち、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましい。
マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、α,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。尚、マレイミド系化合物単位の上述の重合体への導入は、無水マレイン酸を共重合してからイミド化する等してもよい。
上述の官能基を有するビニル系化合物としては、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸、メタクリル酸、N,N−ジメチルアミノメチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノメチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述のゴム強化共重合樹脂(A1)の形成に用いられるビニル系単量体(b1)、又は、上述の(共)重合体(A2)の形成に用いられるビニル系単量体(b2)の使用量(単位はいずれも質量%)は、いずれも以下の通りである。
(1)芳香族ビニル化合物を用いる場合、ビニル系単量体の全量に対する使用量の下限は、好ましくは5、更に好ましくは10、特に好ましくは20であり、同上限は、好ましくは100、更に好ましくは80である。
(2)シアン化ビニル化合物を用いる場合、ビニル系単量体の全量に対する使用量の下限は、好ましくは1、更に好ましくは3、特に好ましくは5であり、同上限は、好ましくは50、更に好ましくは40、特に好ましくは35である。
(3)(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合、ビニル系単量体の全量に対する使用量の下限は、好ましくは1、更に好ましくは5であり、同上限は、好ましくは100、更に好ましくは95であり、特に好ましくは90である。
(4)マレイミド系化合物を用いる場合、ビニル系単量体の全量に対する使用量の下限は、好ましくは1、更に好ましくは5であり、同上限は、好ましくは70、更に好ましくは60であり、特に好ましくは55である。
(5)官能基を有するビニル系化合物を用いる場合、ビニル系単量体の全量に対する使用量の下限は、好ましくは0.1、更に好ましくは0.5、特に好ましくは1であり、同上限は、好ましくは30、更に好ましくは25である。
ビニル系単量体の使用量が上述の範囲内にあると、用いる単量体の効果が十分に発揮されるので好ましい。
上述のゴム強化共重合樹脂(A1)は、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b1)を、乳化重合、溶液重合、塊状重合等による方法で製造することができる。これらのうち、乳化重合が好ましい。
乳化重合により製造する場合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。
上述のゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(b1)を乳化重合させる際の、ビニル系単量体(b1)の使用方法は、通常、以下の通りであるが、本発明でゴム質重合体(a)の存在下にビニル系単量体(b1)を重合させる際のビニル系単量体(b1)の使用方法は、この使用方法に限定されない。尚、反応系において、ゴム質重合体(a)全量の存在下に、ビニル系単量体(b1)を全量一括して添加してもよいし、分割又は連続添加してもよい。また、ゴム質重合体(a)の全量又は一部を、重合の途中で添加してもよい。
上述の重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等で代表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等で代表される還元剤との組み合わせによるレドックス系、あるいは過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイト、t−ブチルパーオキシモノカーボネート等の過酸化物等が挙げられ、これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、反応系への添加は一括して行っても連続的に行ってもよい。尚、該重合開始剤の使用量は、上述のビニル系単量体(b1)の全量に対し、通常、0.1〜1.5質量%、好ましくは0.2〜0.7質量%である。
上述の連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン等のメルカプタン類;ターピノーレン、α−メチルスチレンのダイマー等が挙げられ、これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。該連鎖移動剤の使用量は、上述のビニル系単量体(b1)の全量に対して、通常、0.05〜2.0質量%である。
上述の乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩;高級脂肪族カルボン酸塩;ロジン酸塩等のアニオン性界面活性剤;ポリエチレングリコールのアルキルエステル型;アルキルエーテル型等のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。該乳化剤の使用量は、上述のビニル系単量体(b1)の全量に対して、通常、0.3〜5.0質量%である。
乳化重合により得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、重合体成分を粉末状とし、その後、これを水洗、乾燥することによって精製される。該凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩;硫酸、塩酸等の無機酸;酢酸、乳酸等の有機酸等が用いられる。
溶液重合、塊状重合による製造方法については、公知の方法を適用することができる。
上述のゴム強化共重合樹脂(A1)に含まれるグラフト重合体のグラフト率(ゴム質重合体(a)へグラフトしたビニル系単量体(b1)の質量割合)は、好ましくは10〜200%、更に好ましくは15〜150%、特に好ましくは20〜100%である。グラフト重合体のグラフト率が低すぎると、本発明の組成物を用いて得られる成形品の外観不良、衝撃強度の低下を招くことがある。また、高すぎると、加工性が劣る。
ここで、グラフト率とは、ゴム強化共重合樹脂(A1)1g中のゴム成分をxg、該ゴム強化共重合樹脂(A1)1gをアセトン(但し、ゴム質重合体(a)としてアクリル系ゴムを用いる場合は、アセトニトリルを使用する)に溶解させた際の不溶分をygとしたときに、次式により求められる値である。
グラフト率(%)={(y−x)/x}×100
尚、該グラフト率(%)は、ゴム強化共重合樹脂(A1)を製造するときの、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を変化させることにより、容易に制御することができる。
上述の(共)重合体(A2)は、例えば、バルク重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等により得ることができる。
上述の(共)重合体(A2)のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、成形加工性と耐衝撃性の物性バランスの点から、好ましくは0.1〜1.0dl/g、より好ましくは0.15〜0.7dl/gである。該極限粘度〔η〕は、上述のゴム強化共重合樹脂(A1)と同様、製造方法の調整により制御することができる。また、上述のゴム強化熱可塑性樹脂のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、成形加工性と耐衝撃性の物性バランスの点から、好ましくは0.1〜0.8dl/g、より好ましくは0.15〜0.7dl/gである。
上述のゴム強化熱可塑性樹脂は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述のゴム強化熱可塑性樹脂の好ましい態様の例を以下(1)〜(4)に示す。
(1)ゴム質重合体の存在下、メタクリル酸メチルを含む単量体を重合して得られたゴム強化共重合樹脂。
(2)上述の(1)と、メタクリル酸メチルを含む単量体を重合して得られた(共)重合体とを組み合わせたゴム強化熱可塑性樹脂。
(3)上述の(1)と、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む単量体を重合して得られた(共)重合体とを組み合わせたゴム強化熱可塑性樹脂。
(4)ゴム質重合体の存在下、メタクリル酸メチルを用いず、芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物とを含む単量体を重合して得られたゴム強化共重合樹脂と、メタクリル酸メチルを含む単量体を重合して得られた(共)重合体とを組み合わせたゴム強化熱可塑性樹脂。
本発明に係る重合体が、上述のゴム強化熱可塑性樹脂を主として含むことで、耐衝撃性に優れた成形品を与える組成物とすることができる。本発明に係る重合体が、上述のゴム強化熱可塑性樹脂を含む場合、該重合体中のゴム質重合体(a)の含有量(単位はいずれも質量%)の下限は、好ましくは0.5、更に好ましくは1、特に好ましくは3、最も好ましくは5、同上限は、好ましくは60、更に好ましくは40、特に好ましくは35である。ゴム質重合体(a)の含有量が少なすぎると、成形品の耐衝撃性が劣る傾向にあり、多すぎると、硬度、剛性が劣る傾向にある。
本発明に係る重合体として、上述のゴム強化熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよいし、更に、他の重合体と組み合わせて用いてもよい。他の重合体としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂;アクリル系樹脂(エポキシ基を有するアクリル系重合体を含む)、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら他の重合体は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明において好ましいアクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体から形成された(共)重合体であるが、この(メタ)アクリル酸エステルとしては、上述のゴム強化熱可塑性樹脂の形成に用いた(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましい。他の単量体としては、芳香族ビニル化合物;シアン化ビニル化合物;マレイミド系化合物;エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物等が挙げられる。
従って、上述のアクリル系樹脂としては、メタクリル酸メチルを含む単量体を用いて得られた樹脂が特に好ましく、メタクリル酸メチル単量体単位を30質量%以上含む(共)重合体、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等が好ましい。
上述のアクリル系樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましくは50,000〜500,000、更に好ましくは70,000〜400,000、特に好ましくは80,000〜300,000である。
また、本発明において好ましいポリアセタール樹脂としては、オキシメチレン基(−CHO−)を主な構成単位とする高分子化合物であれば特に限定されない。該ポリアセタール樹脂は、ポリオキシメチレンホモポリマー、オキシメチレン基以外に他の構成単位を含有するコポリマー(ブロックコポリマーを含む)及びターポリマーのいずれであってもよく、その分子構造は、線状のみならず分岐、架橋構造を有するものであってもよい。また、該ポリアセタール樹脂は、カルボキシル基、ヒドロキシル基等の官能基を有してもよい。更に、該ポリアセタール樹脂は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明において好ましいポリアミド樹脂は、主鎖に酸アミド結合(−CO−NH−)を有する高分子化合物であれば特に限定されない。該ポリアミド樹脂は、通常、環構造のラクタム又はアミノ酸の重合、あるいは、ジカルボン酸及びジアミンの縮重合により製造される。従って、該ポリアミド樹脂は、ホモポリアミド、コポリアミド等として用いることができる。単独で重合可能な単量体としては、ε−カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、ピペリドン等が挙げられる。
また、ジカルボン酸及びジアミンを縮重合させる場合のジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、テレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン等が挙げられる。
上述のポリアミド樹脂としては、ナイロン4、6、7、8、11、12、6.6、6.9、6.10、6.11、6.12、6T、6/6.6、6/12、6/6T、6T/6I等が挙げられる。
尚、ポリアミド樹脂の末端は、カルボン酸、アミン等で封止されていてもよい。該カルボン酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。また、該アミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミン等の脂肪族第1級アミン等が挙げられる。
上述のポリアミド樹脂は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明において好ましいポリウレタン樹脂は、主鎖にウレタン結合(−NH−COO−)を有する高分子化合物であれば特に限定されない。該ポリウレタン樹脂は、通常、ジオール及びジイソシアネートを反応させること等により得られる。
ジオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネートが挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、ジオール及びジイソシアネートの反応の際には、鎖伸長剤を用いてもよい。
尚、上述のように、本発明に係るレーザーマーキング用重合体として、熱可塑性重合体及び熱硬化性重合体を併用することができるが、その場合の熱可塑性重合体の含有量100質量部に対する熱硬化性重合体の含有量の下限は、好ましくは0.01質量部、更に好ましくは0.05質量部、特に好ましくは0.1質量部であり、同上限は、好ましくは20質量部、更に好ましくは10質量部、特に好ましくは5質量部である。熱硬化性重合体の含有量を上記とすることにより、マーキング部が変色(退色を含む)することがなく鮮明な発色が長期間維持され、マーキング部の形状がより安定となりやすい。尚、熱可塑性重合体及び熱硬化性重合体を併用する場合、本発明の組成物において、該熱硬化性重合体は、連結状態であってもよいし、粒子状等の小片物として分散状態で含まれてもよい。本発明の組成物を用いて得られる成形品においても同様である。
4.多色発色レーザーマーキング用組成物及び成形品
本発明の多色発色レーザーマーキング用組成物(本発明の組成物)は、上述の有彩色着色剤、黒色物質及び重合体を、それぞれ、所定量で含み、該組成物に対して、異なるエネルギーを有する2以上のレーザー光を照射することにより、2以上の異なる色調にマーキングされる。
鮮明なマーキングを得るために、本発明の組成物は、上述の各成分の組成を以下の範囲とする。即ち、重合体100質量部とした場合、有彩色着色剤の含有量は、0.001〜3質量部であり、黒色物質の含有量は、0.01〜2質量部である。有彩色着色剤の含有量の下限は、好ましくは0.002質量部、特に好ましくは0.005質量部であり、同上限は、好ましくは1質量部、特に好ましくは0.8質量部である。上述の有彩色着色剤の含有量が多すぎると、白色マーキングが得にくくなる等、高エネルギーのレーザー光の照射により高エネルギーのレーザー光照射部分と低エネルギーのレーザー光照射部分の識別が困難になりやすい。一方、少なすぎると、有彩色着色剤由来の色のマーキングが得にくくなる等、低エネルギーのレーザー光照射と未照射部分の識別が困難になりやすい。
また、黒色物質の含有量の下限は、好ましくは0.03質量部、特に好ましくは0.05質量部であり、同上限は、好ましくは1質量部、特に好ましくは0.8質量部である。上述の黒色物質の含有量が多すぎると、レーザー光照射部分が黒すぎて、レーザー光照射によるマーキングの識別が困難になりやすい。尚、上述の重合体として、硬化性重合体を用いる場合は、「硬化後の重合体が100質量部」となるように原料成分が調整されているものとする。
本発明の組成物及びこれを用いて得られる成形品の地色は、上述の重合体に有彩色着色剤、黒色物質等が分散しているため、黒色又は暗色系の色を呈する。本発明においては、白色物質等の白色系物質を更に含有させることにより、この地色の明度を調節及びレーザーマーキングの際に発色した色の白色度を向上させることができる。後者の場合、例えば、レーザー光の照射により発色した、白色又は本発明の着色剤由来の色の濃度が低下した色の白色度を向上させることができる。
上述の白色系物質としては、本発明のマーキングの識別を非常に困難にする等、本発明の多色発色の多色発色マーキングの優れた性能を大幅に妨げるものでなければどのような白色系の物質でもよく、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述の白色系物質の平均粒径は、特に限定されないが、通常、0.1〜3.0μm、好ましくは0.1〜2.0μm、より好ましくは0.1〜1.0μmである。
上述の白色系物質の含有量は、上述の重合体100質量部に対して、好ましくは0.001〜1質量部、より好ましくは0.001〜0.5質量部、更に好ましくは0.001〜0.1質量部である。含有量が多すぎると、コントラストの良好なマーキングが得られない場合があり、一方、少なすぎると、成形後の地色の自由度が制限される場合がある。
本発明の組成物は、目的や用途に応じて、更に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、耐候剤、可塑剤、充填材、滑剤、抗菌剤、親水性付与剤、加飾剤、淡色系着色剤等の添加剤を含有してもよい。特に、帯電防止剤、難燃剤、充填材、抗菌剤及び加飾剤等を、それぞれ、所定量含有する場合には、鮮明に発色したマーキングを得るのみならず、所望の機能を高レベルに発揮、維持する成形品を得ることができる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸エステル類、金属錯塩類等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。該紫外線吸収剤の含有量は、上述の重合体100質量部に対して、好ましくは0.05〜5質量部である。
酸化防止剤としては、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン類、ヒンダードフェノール類、硫黄含有化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。該酸化防止剤の含有量は、上述の重合体100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部である。
老化防止剤としては、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系、ビスフェノール系、トリスフェノール系、ポリフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダードフェノール系、亜リン酸エステル系化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。該老化防止剤の含有量は、上述の重合体100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部である。
帯電防止剤としては、低分子型帯電防止剤、高分子型帯電防止剤等が挙げられる。また、これらは、イオン伝導型でもよいし、電子伝導型でもよい。
低分子型帯電防止剤としては、アニオン系帯電防止剤;カチオン系帯電防止剤;非イオン系帯電防止剤;両性系帯電防止剤;錯化合物;アルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウム等の金属アルコキシド及びその誘導体;コーテッドシリカ、リン酸塩、リン酸エステル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、高分子型帯電防止剤としては、分子内にスルホン酸金属塩を有するビニル共重合体、アルキルスルホン酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ベタイン等が挙げられる。更に、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等を用いることもできる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記帯電防止剤の含有量は、上記重合体成分〔A〕を100質量部とした場合に、好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは0.5〜20質量部である。
難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤、反応系難燃剤等を用いることができる。
有機系難燃剤としては、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、ブロム化ポリスチレン樹脂、ブロム化架橋ポリスチレン樹脂、ブロム化ビスフェノールシアヌレート樹脂、ブロム化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー、ブロム化アルキルトリアジン化合物等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トキヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル及びこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素と窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ジルコニウム系、モリブデン系、スズ酸亜鉛、グアニジン塩、シリコーン系、ホスファゼン系化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述の難燃剤の含有量は、上述の重合体を100質量部とした場合に、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは3〜20質量部である。
尚、上述の難燃剤を配合する場合には、難燃助剤を併用することが好ましい。難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
耐候剤としては、有機リン系化合物、有機硫黄系化合物、ヒドロキシル基を含有する有機化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。該耐候剤の含有量は、上述の重合体を100質量部とした場合に、好ましくは0.1〜5質量部である。
充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウムウィスカ−等の繊維;ウォラストナイト;ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の無機系繊維状充填材;有機系繊維状充填材;シリカ、石英粉末、ガラスビ−ズ、ガラス粉、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、カオリン、クレ−、硅藻土等の硅酸塩;アルミナ等の金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭化硅素、窒化硅素、窒化硼素等からなる粒子状充填材;タルク、マイカ、ガラスフレ−ク、金属箔等の板状充填材等が挙げられる。該充填材は、また、補強材として用いることもできる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。該充填材の含有量は、上述の重合体を100質量部とした場合に、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは1〜25質量部、更に好ましくは1〜20質量部である。
滑剤としては、脂肪酸エステル、炭化水素樹脂、パラフィン、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、金属石鹸、シリコーン、変性シリコーン等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。該滑剤の含有量は、上述の重合体を100質量部とした場合に、好ましくは0.1〜5質量部である。
抗菌剤としては、無機系抗菌剤、有機系抗菌剤、無機・有機ハイブリッド抗菌剤、天然抗菌剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機系抗菌剤としては、銀系ゼオライト、銀・亜鉛系ゼオライト等のゼオライト系抗菌剤;錯体化銀・シリカゲル等のシリカゲル系抗菌剤;ガラス系抗菌剤;リン酸カルシウム系抗菌剤;リン酸ジルコニウム系抗菌剤;銀・ケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸塩系抗菌剤;チタン含有抗菌剤;セラミック系抗菌剤;ウィスカー系抗菌剤等が挙げられる。
また、有機系抗菌剤としては、ホルムアルデヒド放出剤、ハロゲン化芳香族化合物、ロードプロパルギル誘導体、チオシアナト化合物、イソチアゾリノン誘導体、トリハロメチルチオ化合物、第四アンモニウム塩、ビグアニド化合物、アルデヒド類、フェノール類、ベンズイミダゾール誘導体、ピリジンオキシド、カルバニリド、ジフェニルエーテル、カルボン酸、有機金属化合物等が挙げられる。該抗菌剤の含有量は、上述の重合体を100質量部とした場合に、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
加飾剤としては、成形品とした場合に、その表面に、メタリック調、メタリック光沢等のメタリック模様を形成することができるものを用いることができる。
メタリック調の模様を形成するためには、メタリック顔料等を用いることができ、該メタリック顔料は、平均粒径が所定の範囲にあり、且つ、金属様光沢を有する粒子を用いることが好ましい。該粒子の形状は特に限定されず、球形、略球形、角形(立方体、直方体、多面体等)、鱗片状、星形、棒状等が挙げられるが、これらのうち、金属様光沢性に優れるため多面体が好ましい。該メタリック顔料の好ましい平均粒径は1〜500μmであり、より好ましくは2〜300μmである。この範囲とすることによって、上述の成形品の模様が鮮明になりやすい。尚、メタリック顔料が球形以外の場合、上述の「平均粒径」は、最大長さを意味するものとする。
上述の金属様光沢を有する粒子としては、ニッケル、アルミニウム、銀、銅、スズ、クロム、亜鉛、コバルト、鉄、モリブデン、マンガン、タングステン、金、チタン、アンチモン、ケイ素、白金、マグネシウム等の金属を含むもの、上記金属の合金を含むもの、更に、金属様光沢のある金属化合物(酸化物、窒化物、硫化物等)を含むもの、炭酸カルシウムガラスを含むもの、雲母等の鉱物等が挙げられる。また、金属様光沢のない粒子状材料の表面に、メッキ、蒸着等により上記金属、合金、金属化合物等を含む膜又はガラス等の膜を形成させてメタリック顔料として用いることもできる。これらの各粒子は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。該加飾剤の含有量は、目的、用途等によるが、上述の重合体を100質量部とした場合に、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、更に好ましくは0.5〜5質量部である。
上述の淡色系着色剤としては、淡赤色、淡黄色、淡青色、淡緑色等の色の着色剤を用いることができる。また、蛍光増白剤等を用いることもできる。本発明の着色剤の色と類似した色の淡色系着色剤を用いると、例えば、低エネルギーのレーザー光が照射された際に、その照射部は、本発明の着色剤由来の色がより鮮明となる。
本発明の組成物は、例えば、上述の原料成分を、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等に投入し、混練りすること等によって得ることができる。混練方法としては、各成分を一括添加してもよいし、多段添加方式で混練りしてもよい。このようにして得られる組成物は、それ自身を、あるいは、他の重合体と更に混合してから、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、シート押出、真空成形、発泡成形、ブロー成形等の成形方法等によって所定形状を有する成形品(本発明の成形品)とすることができる。成形品の形状は、目的、用途等に応じて様々な形状のものが選択可能であり、レーザー光が照射可能であれば、マーキングされる部分が平面、曲面、角部を有する凹凸面等であってもよい。
本発明の成形品は、重合体、有彩色着色剤及び黒色物質を少なくとも含み、その地色が通常、黒色又は暗色系の色である。該重合体の構成例としては、(1)熱可塑性重合体のみを含む場合、(2)熱可塑性重合体及び(熱)硬化性重合体の両方を含む場合、(3)熱可塑性重合体及び硬化重合体の両方を含む場合、(4)硬化重合体のみを含む場合等が挙げられる。上記いずれの場合も、本発明の組成物に含有される「重合体」によって形成することができる。
5.多色発色レーザーマーキング方法
本発明の組成物及び成形品に対して、同一波長のレーザー光を異なる照射条件で照射又は波長の異なるレーザー光を照射することにより、レーザー光照射の際の被照射物に対するエネルギー量が2以上の異なるエネルギー量となるように、レーザー光を照射することにより、2以上の異なる色調のマーキングを形成することができる。
一般的に、レーザー光の「エネルギー」は、レーザー光の照射条件に依存する。具体的には、照射するレーザー光の種類、波長、パルス幅、周波数、出力の他、照射時間、照射面積、光源から成形品までの距離と角度、照射方法等を変えることにより、2以上のレーザー光を照射する際の「被照射物に対するエネルギー量が2以上の異なるエネルギー量となる」レーザー光とすることができる。具体的には、波長の異なるレーザー光を用いる場合のみならず、同一波長のレーザー光を用い、照射時間等の他の照射条件が異なる場合も、異なるエネルギーとすることができる。また、照射条件を同一として、1回照射の場合、及び、2回以上照射の場合において、被照射物に対するエネルギーは異なり、この場合、照射時間の長い後者の方が「高いエネルギー」となる。
また、本発明における「同一波長のレーザー光を異なる照射条件で照射又は波長の異なるレーザー光を照射することにより、レーザー光照射の際の被照射物に対するエネルギー量が2以上の異なるエネルギー量となるように、レーザー光を照射する」とは、被照射物に与えるダメージの程度が異なる、2以上のレーザー光を照射することをいう。上述の照射条件が全て同一のとき、これを1回で照射した場合と複数回に分けて照射した場合とで被照射物に与えるダメージが異なるが、この場合も、本発明に係る「異なるエネルギーを有する2以上のレーザー光」に含めることとする。即ち、与える総エネルギーが同一でも、1回照射の方が2回照射より、被照射物が受けるダメージが大きい場合は、前者を「高いエネルギー」とする。
本発明のレーザーマーキング方法において、組成物及び成形品に照射するレーザー光は、本発明の多色発色レーザーマーキングの優れた性能を大幅に損なわなければ、どのような照射条件で行ってもよい。照射方法も、スキャン方式及びマスク方式のいずれでもよく、異なるエネルギーを有する2以上のレーザー光を同時に照射してもよいし、1つずつ照射してもよい。また、レーザー光の照射装置としては、一般的なレーザーマーキング用装置等を用いることができる。該装置は、通常、レーザー発振器、レーザー変調器、ハンドリングユニット、コントローラー等を備えており、レーザー発振器から発振したレーザー光を、レーザー変調器によりパルス変調し、成形品の表面に照射することで、マーキングを形成させる。尚、レーザーマーキングに際しては、1台の装置で異なるエネルギーを有する2以上のレーザー光を照射してもよいし、複数の装置を用いてもよい。2波長のレーザーマーキングが可能な装置としては、例えば、ロフィン・バーゼル社製レーザーマーキングシステム「RSM50D型」、「RSM30D型」等を用いることができる。
本発明の多色発色レーザーマーキングで使用するレーザー光は、気体、固体、半導体、色素、エキシマー及び自由電子のいずれでもよいが、波長が100〜2,000nmの範囲内にあるものが好ましい。尚、本発明において、例えば、1,064nm、532nmのようにレーザー光の「波長」を示す数字は、いずれも中心波長を意味し、通常、±3%の誤差を含むものとする。
気体レーザーとしては、ヘリウム・ネオンレーザー、希ガスイオンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、金属蒸気レーザー、炭酸ガスレーザー等が挙げられる。固体レーザーとしては、ルビーレーザー、ネオジウムレーザー、波長可変固体レーザー等が挙げられる。半導体レーザーは、無機でも有機でもよく、無機の半導体レーザーとしては、GaAs/GaAlAs系、InGaAs系、InP系等が挙げられる。また、Nd:YAG、Nd:YVO、Nd:YLF等の半導体レーザー励起固体レーザーを用いることもできる。上述に例示したレーザー光は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る多色発色レーザーマーキングによると、本発明の組成物及び成形品にレーザー光を照射したとき、黒色物質の変化(消滅、変色等)が生じた部分は黒色物質以外の物質の色が強く現れ、有彩色着色剤の変化(分解、飛散等)が生じた部分は有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色、あるいは、白色になる。レーザー光のエネルギーが低い場合は、黒色物質の気化、揮散、完全分解等による消滅;又は、該黒色物質の少なくとも一部又は全てがそこに留まり、分解等により元の黒色と異なる色となる変色が起こり、レーザー光照射部は、有彩色着色剤に由来する色に発色する。レーザー光のエネルギーが更に高くなると、本発明の組成物に含まれる有彩色着色剤の変化が、通常、黒色物質が上記のように変化するエネルギーより高いエネルギーで起こるため、高エネルギーのレーザー光照射部は、白色、あるいは、有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色に発色する。
レーザー光照射による発色方法の例を図面により簡単に説明するが、本発明に係る多色発色レーザーマーキング方法は、これに限定されるものではない。
本発明の成形品1に対し、2つの異なるエネルギーを有するレーザー光を異なる位置に照射する(図1の〔I〕)。このとき、レーザー光の照射は同時に行ってよいし、別々に行ってもよい。低エネルギーのレーザー光の照射部は、有彩色着色剤に由来する色にマーキング(図1の3a)され、一方、高エネルギーのレーザー光の照射部は、白色、あるいは、有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色にマーキング(図1の3b)される(図1の〔II〕)。以上の要領で、2つの異なる色調にマーキングされた成形品(多色マーキング付き成形品)2を得ることができる。
また、本発明の成形品1に対し、低エネルギーのレーザー光を照射することにより、広い面積の、有彩色着色剤に由来する色のマーキング部を形成し、その後、該マーキング部の中に、更にレーザー光を照射することにより、その照射部を、白色、あるいは、有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色にマーキングすることができる(図2参照)。即ち、図2は、低エネルギーのレーザー光の照射により形成された、有彩色着色剤に由来する色のマーキング部3aの内部に、更に、レーザー光が照射されて形成された、白色、あるいは、有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色のマーキング部3bを有する、2つの異なる色調にマーキングされた成形品(多色マーキング付き成形品)2aを示す。この方法によると、有彩色着色剤に由来する色のマーキング部3aと、白色、あるいは、有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色のマーキング部3bとが隣り合ったレーザーマーキングを実現することができる。尚、この2回目に照射するレーザー光のエネルギーは、1回目と同じであってよいし、異なってもよく、特に限定されない。
本発明の多色発色レーザーマーキング方法により、2色の鮮明なマーキングを得る場合は、通常、低エネルギーのレーザー光は、黒色物質由来の色の消失を顕著に起こさせる方が有彩色着色剤由来の色が鮮明になりやすくてよい。また、高エネルギーのレーザー光は、有彩色着色剤由来の色の濃度を顕著に低下させるほどよい。
本発明の多色発色レーザーマーキング方法により、3色以上の鮮明なマーキングを得る場合は、有彩色着色剤を1種のみ含む組成物(成形品)に対して行ってもよいし、有彩色着色剤を2種以上含む組成物(成形品)に対して行ってもよいが、より鮮明なマーキングを形成しやすい点で後者が好ましい。
有彩色着色剤を1種のみ含む組成物(成形品)において多色発色させる場合は、上述のように、照射するレーザー光のエネルギーに依存してマーキングの色を変えることができることを利用して、異なるエネルギーを有する3以上のレーザー光照射により、3色以上のマーキングを得る方法等が挙げられる。具体的には、黒色物質の変化の程度が異なる2種のエネルギーと有彩色着色剤由来の色の濃度が低下するエネルギーの合計3種のレーザー光を照射する方法、及び、黒色物質が変化するエネルギーと有彩色着色剤の変化の程度が異なる2種のエネルギーの合計3種のレーザー光を照射する方法、等が挙げられる。例えば、赤色着色剤を用いる一例を説明すると、低エネルギーのレーザー光照射により、黒色物質の一部を消滅又は変色させて該黒色物質由来の色が薄くなり「暗赤色」に、これより高エネルギーのレーザー光照射により「赤色」に、更に高エネルギーのレーザー光照射により「白色」又は「薄赤色」にすること等が可能である。即ち、濃淡を形成することができる。
また、有彩色着色剤を2種含む組成物に対して3色に発色させる場合、例えば、赤色着色剤と青色着色剤とを用いた一例を挙げて説明すると、低エネルギーのレーザー光照射により、黒色物質を消滅又は変色させて該黒色物質由来の色が薄くなり「赤色と青色の混合色である紫色」に、これより高エネルギーのレーザー光照射により赤色着色剤由来の色の濃度が低下して「青色」に、更に高エネルギーのレーザー光照射により青色着色剤由来の色の濃度も低下して「白色」又は「薄青色」にすること等が可能である。
以上のように、レーザー光の照射条件及び有彩色着色剤等を適切に選択することにより、所望の色のレーザーマーキングを得ることができる。
異なるエネルギーを有するレーザー光を得る簡便な方法は、異なる波長のレーザー光を使用することである。例えば、波長だけが異なるレーザー光照射により、本発明に係る多色発色レーザーマーキングを鮮明に行う場合、各レーザー光の波長の差は、好ましくは100nm以上、更に好ましくは200nm以上、特に好ましくは500nm以上である。尚、上限は、通常、1,500nmである。本発明の有彩色着色剤、即ち、360℃以上590℃以下の温度範囲に示差熱分析による発熱ピークを有する有彩色着色剤を用いる場合、波長のみが異なる2つのレーザー光照射によって、有彩色着色剤に由来する色のマーキングと、白色、あるいは、有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色のマーキングとを鮮明に形成するには、波長1,064nmのレーザー光及び波長532nmのレーザー光を用いることが好ましい。即ち、波長1,064nmのレーザー光照射で有彩色着色剤に由来する色に、波長532nmのレーザー光照射で白色、あるいは、有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色に、発色した鮮明なマーキングを形成するのに適している。
本発明のレーザーマーキング方法により得られる「有彩色着色剤に由来する色」は、主に、レーザー光照射により黒色物質が消滅する、変色する等の結果、得られる色をいう。具体的には、黒色物質の消滅、変色等により黒色物質の色の影響が小さくなることにより現れる、(a)本発明の有彩色着色剤そのものの色(以下、単に「本発明の着色剤の色」ともいう。)、(b)本発明の着色剤の色に黒色がかった色(本発明の着色剤の色+黒色物質の色、本発明の着色剤の色+黒色物質が変色した色)、(c)本発明の有彩色着色剤が変色して色調が変化した色、(d)上述の色(c)に黒色がかった色、等が含まれる。
また、本発明のレーザーマーキング方法により得られる「有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色」は、上述の『有彩色着色剤に由来する色』の濃度が低下した色」をいう。該色は、主に、レーザー光照射により有彩色着色剤が変化した結果、得られる色であり、具体的には、有彩色着色剤の分解、飛散等により有彩色着色剤の色の影響が小さくなることにより現れる色の他、本発明の有彩色着色剤が変色して色調が変化した色等も含まれる。「有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色」は、白色に近い色であるほど、上述の「有彩色着色剤に由来する色」と区別しやすいため好ましい。
本発明のレーザーマーキング方法により得られる、上述の「白色」は、通常、本発明の組成物(成形品)に含まれる重合体そのものの色を主として、純白に限らず、他の色が混じった白系の色も含まれる。更に、この色の他、該組成物(成形品)にチタンブラックが黒色物質として含まれる場合には、レーザー光の照射により二酸化チタンに変化した後の、該二酸化チタンに由来の色、あるいは、該色と上記重合体の色との混合色、更には、必要に応じて配合される白色系物質等に由来する色、あるいは、該色と上記重合体の色との混合色等である。本発明の組成物(成形品)に含まれる重合体がレーザー光の受光により発泡しやすいものである場合、高エネルギーのレーザー光の照射部における発色は、白色度がより高くなる。
尚、上述の「白色」の白色度は、JIS K7105等により評価することができる。該白色度は、色の白さの度合いを意味し、ある一定光量の光を対象物に照射したときの反射率により評価される。該反射率は、ハンター白色度計等により測定することができる。ここで、該反射率は、照射する光の種類(波長等)によって異なり、ハンター白色度計の場合は、光の3原色である青色光で測定を行う。本発明の組成物及びこれを含む成形品において得られた白色マーキングの白色度(%)は、酸化マグネシウムの反射光に対する強度の割合で表すことができる。人間の視覚による白さと白色度計による白色度とは必ずしも一致しないこともあるが、本発明の組成物及びこれを含む成形品において得られた白色マーキングは、白色度が低くても人間の目に白く見えればよい。しかしながら、白色度の目安としては、好ましくは55〜100%、より好ましくは60〜100%、更に好ましくは70〜100%、特に好ましくは80〜100%である。
本発明のレーザーマーキング用組成物(S1)を用いて得られる成形品に高エネルギーのレーザー光、例えば、波長532nmのレーザー光を照射した部分のLab値(L;明度、a;赤色度、b;黄色度)と、本発明の有彩色着色剤を含有しない以外は該組成物(S1)と同一の組成物(S2)を用いて得られる成形品に低エネルギーのレーザー光、例えば、波長1,064nmのレーザー光を照射した部分のLab値(L;明度、a;赤色度、b;黄色度)とから、以下の式により算出されるΔE1は、黒色又は暗色系の地色に対して白色度の高いマーキングを形成することができる点から、上限が好ましくは3、更に好ましくは2.5、特に好ましくは2であり、下限は、通常、0である。尚、ΔE1は、小さいほど白色度が高いことを示す。
ΔE1=√{(L−L+(a−a+(b−b
また、本発明のレーザーマーキング用組成物(S1)を用いて得られる成形品に、高エネルギーのレーザー光、例えば、波長532nmのレーザー光を照射した部分のLab値(L;明度、a;赤色度、b;黄色度)と、該組成物(S1)に低エネルギーのレーザー光、例えば、波長1,064nmのレーザー光を照射した部分のLab値(L;明度、a;赤色度、b;黄色度)とから、以下の式により算出されるΔE2は、各マーキングの色調の違いが明瞭な多色マーキングとすることができる点から、下限が好ましくは3、更に好ましくは3.5、特に好ましくは4であり、上限は、通常、50である。尚、ΔE2は、実施例に記載の方法で求めることができる。尚、ΔE2は、大きいほど色調差が明瞭であることを示す。
ΔE2=√{(L−L+(a−a+(b−b
尚、上述のLab値とは、色の数値表現として知られる、Richard S.Hunterによる"L.a.b"表色系の値を示す。詳しくは、色差計によって対象とする色調を測定して、レーザー光照射部の色を明度(L)、色相(a、b)として数値化し、図4に示すようなグラフ上にプロットすることで、視感覚による差をなくすことができるものである。色差計は、色を表示する諸量を測定する計器のことであり、光の分光分布又は物体の分光反射(透過)率を測定するものである。図4の色立体を示したグラフにおいては、明度(L)は左に示した縦軸で、0〜100の範囲の数値で規定されるものであり、Lの値が大きいほど明るい。aはグラフにおける左右の尺度であり、(+)側では赤の度合いが強く、(−)側では緑の度合いが強いことを示す。一方、bはグラフにおける上下の尺度であり、(+)側では黄の度合いが強く、(−)側では青の度合いが強いことを示す。各波長のレーザー光を各成形品に照射したときに測定されたL値、a値及びb値が図4にプロットされ、更に、Lab値として数値化される。そして、上述のΔE1及びΔE2は、上述の計算式によって得られ、それぞれ、上述の好ましい範囲を設定するものである。
6.多色発色レーザーマーキング付き成形品
本発明の2以上の異なる色調にマーキングされた成形品(以下、単に「本発明の多色マーキング付き成形品」ともいう。)は、上述のレーザーマーキング用組成物を含む成形品に、異なるエネルギーを有する2以上のレーザー光を照射することにより得られる。
本発明の多色マーキング付き成形品における、マーキングされていない部分(レーザー光未受光部)は、重合体と、有彩色着色剤と、黒色物質等とから構成されている。また、低エネルギーのレーザー光(例えば、波長1,064nmのレーザー光)の受光部は、黒色物質が消滅又は変色(白色化等)しており、有彩色着色剤がそのまま残っている。更に、より高エネルギーのレーザー光(例えば、波長532nmのレーザー光)の受光部は、白色又はその有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色を呈しており、この部分において、黒色物質は気化又は白色化しており、その有彩色着色剤は一部残存しているかもしれないが、ほとんど存在していない。有彩色着色剤は、レーザー光により分解、飛散等したためである。本発明の多色マーキング付き成形品において、多色マーキングは、上記のように、成形品表面の異なる位置にレーザー光を照射して発色した部分(図1の〔II〕の態様)、及び、有彩色着色剤に由来する色と、白色、あるいは、有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色とが隣り合って発色した部分(図2の態様)とを有してもよい。
尚、本発明の多色マーキング付き成形品を構成する重合体の種類によっては、マーキング部が発泡している場合がある。特に、ポリアセタール樹脂、単量体成分としてメタクリル酸メチルを用いたスチレン系樹脂、単量体成分としてメタクリル酸メチルを用いたゴム強化熱可塑性樹脂等を用いた場合には発泡したマーキング部とすることができる。
本発明の多色マーキング付き成形品において、レーザー光によるマーキング部(レーザー光受光部)は、重合体の種類、黒色物質の種類等によって、変形している場合がある。即ち、レーザー光の照射によって、受光部に発泡、膨張等が発生することにより、凸部となったり、収縮等が発生することにより凹部となったりする場合がある。
マーキング部が凸部である場合の高さは、通常、1〜200μmであり、好ましくは1〜100μm、より好ましくは1〜80μmである。また、マーキング部が凹部である場合の深さは、通常、1〜200μmであり、好ましくは1〜100μmである。凸部の高さが高すぎると、マーキングの視認性が向上する一方、マーキング部が接触される用途(キーボード、点字等)においては、接触圧が高い場合、あるいは、接触圧が低くても接触が繰り返される場合に、文字潰れが起こりやすくなる。尚、これらの凹凸の程度は、レーザー光の照射条件等により調節することができる。
本発明の成形品が、レーザー光の受光により発泡しやすい重合体を含む場合は、マーキング部が発泡による凸部になりやすい。
また、該成形品が、チタンブラックのように、レーザー光の熱による変色と同時に蓄熱が重合体の膨張を誘発するような黒色物質等を含む場合にも、マーキング部が凸部になることがある。
本発明の成形品に含まれる重合体が、熱可塑性重合体及び(熱硬化する)熱硬化性重合体を含む場合は、レーザー光の受光により熱硬化性重合体が瞬時に硬化するため、マーキング部における変形の有無に関わらず、熱硬化した重合体(熱硬化重合体)により該マーキング部の強度が向上する。特に、該マーキング部が凸部である場合は、マーキング部が変形、摩耗等が発生しにくく、マーキングの高い視認性を長時間維持することができる。即ち、マーキングの耐久性が向上する。
従って、レーザー光の受光により発泡しやすい重合体と熱硬化性重合体とを含む成形品に対してレーザー光を照射した場合であっても、発泡部の周辺部(壁等)に存在する熱硬化性重合体成分が補強材として働き、マーキング部全体として十分な強度(耐衝撃性)と耐久性が保たれる。また、熱硬化性重合体の種類、含有割合等によっては、発泡により形成された空隙に熱硬化性重合体成分が存在することもある。この場合、レーザー光の照射条件の調節により、マーキング部における発泡をできるだけ小さくして、この空隙に熱硬化性重合体成分が入り込むようにすると、本発明の多色マーキング付き成形品は、鮮明な発色と、強度と、耐久性とを備える。尚、このような効果を示す熱硬化重合体は、上述のように、本発明の多色マーキング付き成形品中において、連結状態であってよいし、粒子状等の形態であってよいし、更には、それ以外の形状で存在していてもよい。
他の本発明の多色マーキング付き成形品は、白色及び有彩色を含む多色にレーザーマーキングされていることを特徴とする。
白色及び有彩色がどのような成形品に、どのような条件でレーザー光を照射し、発色させたものであってもよいが、レーザーマーキングされていない成形品の地色は、黒色又は暗色系の色であることが好ましい。成形品の形状も特に限定されない。これによって、白色及び有彩色のマーキングがより鮮明に視認される。また、上述のレーザーマーキング用組成物を含む成形品に対してレーザー光を照射してなるものであることが好ましい。
また、マーキング部の少なくとも1箇所は発泡していることが好ましい。この場合には、白色マーキングの白色度がより向上する。
本発明の多色マーキング付き成形品は、マーキング部を有する面に、保護層を備えてもよい。この保護層を構成する材料は、目的、用途に応じて選択すればよく、特に限定されないが、マーキング部の保護や、マーキングの視認性維持等のため、透明性を有する材料であることが好ましい。上述の保護層は、少なくともマーキング部の全面に配設することが好ましく、成形品の表面全体に配設してもよい。
上述の保護層を備えることにより、マーキング部を保護する等だけでなく、成形品の表面の平滑性を向上させることもできる。尚、上述の保護層の形成方法は特に限定されない。
図3は、多色のマーキング部3a及び3bを有する面に、保護層4を備える多色マーキング付き成形品2bの概略断面図である。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。また、実施例中の「%」及び「部」は、特に断らない限り質量基準である。
〔I〕有彩色着色剤
〔I−1〕有彩色着色剤の種類及び発熱ピーク温度
以下に示す着色剤について、示差熱分析により発熱ピーク温度を測定した。測定装置は、セイコー電子社製「TG−DTA320型(横型炉)」である。3mgの試料をアルミニウム製の直径5mm×高さ2.5mmの皿型容器に均一に密に充填し、昇温速度を10℃/分として、空気中、流速200ml/分で測定した。尚、測定装置における温度の較正は、インジウム及びスズを用いて行った。また、重量の較正は、室温下、分銅を用いて行い、更に、シュウ酸カルシウムを用いて行った。発熱ピーク温度は、昇温曲線におけるピークトップにより決定した。各着色剤の昇温曲線を図5〜図16に示す。
発熱ピーク温度の結果を表1に示す。
(1)銅フタロシアニン顔料
レーザー散乱法粒径分布測定装置による平均二次粒子径が7.1μmであるβ型銅フタロシアニン顔料(下記式(XXII))を用いた。
(2)アルミニウムフタロシアニン顔料(下記式(XXIII))
(3)溶剤可溶性銅フタロシアニン染料(下記式(XXIV))
(4)ジケトピロロピロール系顔料(下記式(XXV))
(5)ジオキサジン系顔料(下記式(XXVI))
(6)キナクリドン系顔料(下記式(XXVII))
(7)キノフタリン系顔料(下記式(XXVIII))
(8)ペリレン系顔料(下記式(XXIX))
(9)金属錯体系顔料(下記式(XXX))
(10)アンスラキノン系染料(下記式(XXXI))
(11)ペリノン系染料(下記式(XXXII))
(12)鉄フタロシアニン顔料(下記式(XXXIII))
(13)ペリレンブラック(下記式(XXXIV))
〔I−2〕レーザーマーキング用組成物及びこれを用いた成形品の作製並びにその評価
実施例A−1
上記有彩色着色剤(1)0.2部と、黒色物質(商品名「三菱カーボン#45」、三菱化学社製)0.1部と、下記の方法で得たゴム強化共重合樹脂100部とを、ミキサーにより5分間混合した後、50mmφ押出機でシリンダー設定温度180〜220℃で溶融混練押出し、ペレットを得た。得られたペレットを十分に乾燥し、射出成形機(型名「EC−60」、東芝機械社製)により評価用の試験片(縦80mm、横55mm、厚さ2.5mm)を得た。
レーザーマーキングは、ロフィン・バーゼル社製ロフィンパワーライン「E/SHG型」及び同社製レーザーマーカー「RSM30D型」を用い、レーザー光の波長をそれぞれ532nm及び1,064nmとして、各レーザー光を、試験片の表面の異なる位置に照射した。レーザー光の波長が532nmのときの出力は23A、周波数は8kHz、走査速度は400mm/秒、ビーム径は30μmであり、1,064nmのときの出力は34A、周波数は3kHz、走査速度は400mm/秒、アパチャーφは2.0mmである。
各照射部の色を観察し、その結果を表2に示した。
<ゴム強化共重合樹脂の調製>
還流冷却機、温度計及び撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、イオン交換水100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、重量平均粒子径2400Åのポリブタジエン粒子15部(固形分換算)、スチレン4部、アクリロニトリル2部及びメタクリル酸メチル12部を入れ、攪拌しながら昇温した。原料成分の温度が45℃に達した時点で、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第1鉄0.003部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート2水和物0.2部及びイオン交換水15部よりなる活性剤水溶液、並びに、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド0.1部を添加し、重合反応を1時間行った。
その後、イオン交換水50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ジイソプロピルヒドロパーオキサイド0.2部、スチレン23部、アクリロニトリル7部及びメタクリル酸メチル37部からなる重合成分を3時間に渡って連続的に添加し、重合反応を続けた。上記重合成分を添加終了後、攪拌を更に1時間行い、2,2−メチレン−ビス−(4−エチレン−6−t−ブチルフェノール)0.2部を添加し、反応生成物を得た。次いで、この反応生成物を含むラテックスに塩化カルシウム2部を投入して、重合体成分を凝固し、凝固物を十分に水洗した。その後、75℃で、24時間乾燥し、白色粉末のゴム強化共重合樹脂を得た。重合転化率は98.5%、グラフト率は60%、極限粘度は0.3dl/gであった。
実施例A−2
上記有彩色着色剤(1)に代えて有彩色着色剤(2)を用い、配合量を0.1部とした以外は、上記実施例A−1と同様にして試験片を作製し、評価した。その結果を表2に併記した。
実施例A−3
上記有彩色着色剤(1)に代えて有彩色着色剤(3)を用いた以外は、上記実施例A−1と同様にして試験片を作製し、評価した。その結果を表2に併記した。
実施例A−4
上記有彩色着色剤(1)に代えて有彩色着色剤(4)を用いた以外は、上記実施例A−1と同様にして試験片を作製し、評価した。その結果を表2に併記した。
実施例A−5
上記有彩色着色剤(1)に代えて有彩色着色剤(5)を用いた以外は、上記実施例A−1と同様にして試験片を作製し、評価した。その結果を表2に併記した。
実施例A−6
成形用重合体としてポリアセタール樹脂(商品名「ユピタールF20−03N」、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)を用いた以外は、上記実施例A−5と同様にして試験片を作製し、評価した。その結果を表2に併記した。
実施例A−7
成形用重合体としてポリメタクリル酸メチル樹脂(商品名「VH001」、三菱レイヨン社製)を用いた以外は、上記実施例A−5と同様にして試験片を作製し、評価した。その結果を表2に併記した。
実施例A−8
成形用重合体としてポリアミド樹脂(商品名「NOVAMID1010」、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)を用いた以外は、上記実施例A−5と同様にして試験片を作製し、評価した。その結果を表2に併記した。
実施例A−9
上記有彩色着色剤(1)に代えて有彩色着色剤(6)を用いた以外は、上記実施例A−1と同様にして試験片を作製し、評価した。その結果を表2に併記した。
実施例A−10
上記有彩色着色剤(1)に代えて有彩色着色剤(7)を用いた以外は、上記実施例A−1と同様にして試験片を作製し、評価した。その結果を表2に併記した。
実施例A−11
上記有彩色着色剤(1)に代えて有彩色着色剤(8)を用いた以外は、上記実施例A−1と同様にして試験片を作製し、評価した。その結果を表2に併記した。
実施例A−12
上記有彩色着色剤(1)に代えて有彩色着色剤(9)を用いた以外は、上記実施例A−1と同様にして試験片を作製し、評価した。その結果を表2に併記した。
比較例A−1
上記有彩色着色剤(1)に代えて有彩色着色剤(10)を用いた以外は、上記実施例A−1と同様にして試験片を作製し、評価した。その結果を表2に併記した。
比較例A−2
上記有彩色着色剤(1)に代えて有彩色着色剤(11)を用いた以外は、上記実施例A−1と同様にして試験片を作製し、評価した。その結果を表2に併記した。
比較例A−3
上記有彩色着色剤(1)に代えて有彩色着色剤(12)を用いた以外は、上記実施例A−1と同様にして試験片を作製し、評価した。その結果を表2に併記した。
比較例A−4
上記有彩色着色剤(1)に代えて有彩色着色剤(13)を用いた以外は、上記実施例A−1と同様にして試験片を作製し、評価した。その結果を表2に併記した。
表2より、比較例A−1及び比較例A−2では、示差熱分析による発熱ピークを有さないために、カーボンブラックの気化が起こるのみで、異なる色調のマーキングが形成されなかった。比較例A−3では、発熱ピークの温度が360℃未満であるために、より低エネルギーのレーザー光が照射されても、着色剤に由来するマーキングが不十分であった。また、比較例A−4では、発熱ピークの温度が590℃を超えるため、異なる色調のマーキングが形成されなかった。一方、実施例A−1〜12では、波長が532nmのレーザー光を照射すると、エネルギーが高いため、すべて白色マーキングを形成でき、波長が1,064nmのレーザー光を照射すると、着色剤に由来する色のマーキングを鮮明に形成することができた。
〔II〕多色発色レーザーマーキング用重合体組成物の調製及び評価
下記の各成分を用いて、多色発色レーザーマーキング用重合体組成物を調製した。
〔II−1〕熱可塑性重合体
(1)ゴム強化熱可塑性樹脂(ゴム強化樹脂)
還流冷却機、温度計及び撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、初期重合成分としてポリブタジエンゴムラテックスを固形分換算で40部、イオン交換水65部、ロジン酸石鹸0.35部、スチレン15部及びアクリロニトリル5部を投入し、その後、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第1鉄7水和物0.01部及びブドウ糖0.4部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加えた。次いで、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始し、1時間重合を行った。その後、インクレメント成分としてイオン交換水45部、ロジン酸石鹸0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部及びクメンハイドロパーオキサイド0.01部を2時間かけて連続的に添加し、更に1時間かけて重合反応を完結させ、共重合体ラテックスを得た。この共重合体ラテックスに硫酸を加えて重合体成分を凝固させ、水洗、乾燥してゴム強化共重合樹脂(P1)を得た。
一方、還流冷却器、温度計及び撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、イオン交換水250部、ロジン酸カリウム3.0部、スチレン40部、アクリロニトリル15部、メタクリル酸メチル45部及びt−ドデシルメルカプタン0.1部を投入し、その後、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.05部、硫酸第1鉄7水和物0.002部及びナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.1部をイオン交換水8部に溶解した溶液を加えた。次いで、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.1部を加えて重合を開始し、約1時間重合させて反応を完結した。得られた共重合体ラテックスに硫酸を加えて重合体成分を凝固させ、水洗、乾燥して重合体(P2)を得た。
上記ゴム強化共重合樹脂(P1)40%と、重合体(P2)60%とを混合し、50mmφ押出機を用い、シリンダー設定温度180〜220℃で溶融混練押出してゴム強化熱可塑性樹脂(ゴム強化樹脂)をペレットとして得た。
(2)ポリアセタール樹脂(POM樹脂)
三菱エンジニアリングプラスチックス社製の「ユピタールF20−03N」(商品名)を用いた。
(3)ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA樹脂)
三菱レイヨン社製の「アクリペットVH001」(商品名)を用いた。
(4)ポリアミド樹脂(PA樹脂)
三菱エンジニアリングプラスチックス社製の「NOVAMID1010」(商品名)を用いた。
(5)ポリウレタン樹脂(PU樹脂)
大日精化社製の「レザミンP2593」(商品名)を用いた。
〔II−2〕熱硬化性重合体
日本油脂社製のエポキシ基含有アクリル系重合体「マープルーフG−1005SA」(商品名)を用いた。
〔II−3〕有彩色着色剤
以下に示す着色剤を用いた。尚、上記と同条件で示差熱分析により測定された発熱ピーク温度を併記した。
(1)着色剤(a)
上記〔I−1〕における(5)ジオキサジン系顔料(紫色)を用いた。発熱ピーク温度は402℃である。
(2)着色剤(b)
上記〔I−1〕における(4)ジケトピロロピロール系顔料(赤色)を用いた。発熱ピーク温度は550℃である。
(3)着色剤(c)
上記〔I−1〕における(2)アルミニウムフタロシアニン顔料(緑色)を用いた。発熱ピーク温度は581℃である。
(4)着色剤(d)
上記〔I−1〕における(11)ペリノン系染料(橙色)を用いた。発熱ピーク温度はなかった。
(5)着色剤(e)
上記〔I−1〕における(10)アンスラキノン系染料(青色)を用いた。発熱ピーク温度はなかった。
〔II−4〕黒色物質
三菱化学社製のカーボンブラック「三菱カーボン#45」(商品名)を用いた。
〔II−5〕白色物質
石原産業社製の二酸化チタン「CR−60−2」(商品名)を用いた。
〔II−6〕機能性付与剤
難燃剤として、旭電化社製の「FP500」(商品名)を用いた。
また、メタリック顔料として、日本板硝子社製の「メタシャイン」(商品名)を用いた。このメタリック顔料は、平均粒径80μm、平均アスペクト比1.3であるガラス粒子の表面に、厚さ約100nmの無電解銀メッキ膜を形成させてなるものである。
実施例B−1〜19及び比較例B−1〜6
上記原料成分を用い、表3〜表9に記載の配合処方に従って、各熱可塑性重合体組成物を調製した。即ち、各原料成分をミキサーにより5分間混合した後、50mmφ押出機でシリンダー設定温度180〜220℃で溶融混練押出し、ペレットを得た。得られたペレットを十分に乾燥し、射出成形機(型名「EC−60」、東芝機械社製)により評価用の試験片(縦80mm、横55mm、厚さ2.5mm)を得た。
レーザーマーキングは、ロフィン・バーゼル社製ロフィンパワーライン「E/SHG型」及び同社製レーザーマーカー「RSM30D型」を用い、レーザー光の波長をそれぞれ532nm及び1,064nmとして、表3〜表9に示す各照射条件に従い、各レーザー光を、試験片の表面の異なる位置に照射した。
照射部の色を観察し、その結果を表3〜表9に併記した。
次に、上記試験片に対して波長532nmのレーザー光を照射した際に形成された白色マーキング部と、上記着色剤を含まない配合で成形した試験片に対して波長1,064nmのレーザー光を照射した際に形成された白色マーキング部との間で、各Lab値(L;明度、a;赤色度、b;黄色度)を測定し、下記式に従い、ΔE1を算出した。Labの測定装置は、Gretag Macbeth社製、「Color−Eye 7000A」を用いた。
ΔE1=√{(L−L+(a−a+(b−b
上記式において、L、a及びbは、波長532nmのレーザー光を照射した際に形成された白色マーキング部の値であり、L、a及びbは、上記着色剤を含まない配合で成形した試験片に対して波長1,064nmのレーザー光を照射した際に形成された白色マーキング部の値である。このΔE1は、小さい方がより白色度が高い。
また、上記試験片に対して波長532nmのレーザー光を照射した際に形成された白色マーキング部、及び、同じ試験片の異なる位置に対して波長1,064nmmのレーザー光を照射した際に形成された有彩色マーキング部の各Lab値を測定し(後者をL、a及びbとする。)、下記式に従い、ΔE2を算出した。このΔE2は、大きいほど色調差が明瞭である。
ΔE2=√{(L−L+(a−a+(b−b
更に、実施例B−1において得られた、有彩色及び白色の各マーキング部の断面を、透過型電子顕微鏡により撮影し、それぞれ、図17及び図18に示した。
表5及び表9より、比較例B−1及び比較例B−4は、有彩色着色剤を含有しない組成物を用いた例であり、白色のマーキングのみしか得られなかった。比較例B−2、B−3、B−5及びB−6は、示差熱分析による発熱ピークを有さない着色剤を用いた例であり、レーザー光を照射しても、各着色剤に由来する色しか得られず、また、ΔE1が3よりも大きく、ΔE2が3未満であった。
一方、実施例B−1〜19は、ΔE1が3以下且つΔE2が3以上であり、いずれもレーザー光の照射によるマーキングが鮮明であった。熱硬化性重合体を含む組成物を用いた実施例B−8及びB−19においては、それぞれ、実施例B−1及びB−13に劣ることのない鮮明なマーキングが得られた。
機能性付与剤として、難燃剤を用いた実施例B−11においては、UL94の難燃性はV−2であり、且つ、鮮明なマーキングが得られた。また、メタリック顔料を用いた実施例B−12においては、成形外観が光輝性に優れたメタリック調を呈し、且つ、マーキングも鮮明であった。
本発明の多色発色レーザーマーキング用重合体組成物は、容易に黒色又は暗色系の地色を呈する成形品とすることができ、この成形品に異なるエネルギーを有するレーザー光を照射することで2以上の異なる色調のマーキングを鮮明に形成させるのに好適である。従って、フィルム、シート等の薄手の製品(建材用、包装用、OA用等)、パソコン、キーボード、プリンタ、ファクシミリ、電話機、携帯電話等のハウジング、冷蔵庫、洗濯機等の家電製品、各種容器及びそのキャップ、電線等の被覆材、プリント配線板あるいはそれに搭載される電子部品等の精密部品、自動車の内装部品、各種パイプ、クレジットカード、ICカード等のカード類、看板、標識等の外装材等の成形品に有用である。
本発明のレーザーマーキング方法を示す説明図である。 本発明の多色マーキング付き成形品の一例を示す概略断面図である。 本発明の多色マーキング付き成形品の他の例を示す概略断面図である。 Lab表色系の色立体を示す図である。 実施例の〔I−1〕における(1)β型銅フタロシアニン顔料の示差熱分析結果を示すグラフである。 実施例の〔I−1〕における(2)アルミニウムフタロシアニン顔料の示差熱分析結果を示すグラフである。 実施例の〔I−1〕における(3)溶剤可溶性銅フタロシアニン染料の示差熱分析結果を示すグラフである。 実施例の〔I−1〕における(4)ジケトピロロピロール系顔料の示差熱分析結果を示すグラフである。 実施例の〔I−1〕における(5)ジオキサジン系顔料の示差熱分析結果を示すグラフである。 実施例の〔I−1〕における(6)キナクリドン系顔料の示差熱分析結果を示すグラフである。 実施例の〔I−1〕における(7)キノフタロン系顔料の示差熱分析結果を示すグラフである。 実施例の〔I−1〕における(8)ペリレン系顔料の示差熱分析結果を示すグラフである。 実施例の〔I−1〕における(9)金属錯体系顔料の示差熱分析結果を示すグラフである。 実施例の〔I−1〕における(10)アンスラキノン系染料の示差熱分析結果を示すグラフである。 実施例の〔I−1〕における(11)ペリノン系染料の示差熱分析結果を示すグラフである。 実施例の〔I−1〕における(13)ペリレンブラックの示差熱分析結果を示すグラフである。 実施例B−1における白色マーキング部の断面を示す画像である。 実施例B−1における有彩色マーキング部の断面を示す画像である。
符号の説明
1;成形品、2,2a及び2b;多色マーキング付き成形品、3a;有彩色マーキング部、3b;白色マーキング部、4;保護層。

Claims (16)

  1. 2以上の波長が異なるレーザー光を異なる位置に照射することにより、組成物に含まれる重合体の色を主とする白色及び有彩色着色剤に由来する色を含む2以上の異なる色調にマーキングされる多色発色レーザーマーキング用組成物であって、
    有彩色着色剤と、カーボンブラック、チタンブラック及び黒色酸化鉄から選ばれる少なくとも1種である黒色物質と、熱可塑性重合体とを含有し、
    上記有彩色着色剤が、フタロシアニン骨格、ジケトピロロピロール骨格、ジオキサジン骨格、キナクリドン骨格、キノフタロン骨格、ペリレン骨格及び金属錯体骨格から選ばれる骨格の少なくとも1種を含み、且つ示差熱分析により、360℃以上590℃以下の範囲に発熱ピークを有し、
    上記熱可塑性重合体は、(1)単量体成分としてメタクリル酸メチルを用いたゴム強化熱可塑性樹脂、(2)ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、メタクリル酸メチル単量体単位を30質量%以上含む共重合体等のアクリル系樹脂、(3)ポリアセタール樹脂、又は(4)ポリアミド系樹脂を含み
    上記有彩色着色剤の含有量は、上記重合体を100質量部とした場合に0.001〜3質量部であり、上記黒色物質の含有量は、上記重合体を100質量部とした場合に0.01〜2質量部である多色発色レーザーマーキング用組成物。
  2. 同一波長のレーザー光を異なる照射条件で照射又は波長の異なるレーザー光を照射することにより、レーザー光照射の際の被照射物に対するエネルギー量が2以上の異なるエネルギー量となるように、レーザー光を照射することにより、組成物に含まれる重合体の色を主とする白色及び有彩色着色剤に由来する色を含む2以上の異なる色調にマーキングされる多色発色レーザーマーキング用組成物であって、
    有彩色着色剤と、レーザー光の受光によりそれ自身が消滅する又は変色する黒色物質と、重合体とを含有し、
    上記有彩色着色剤が、フタロシアニン骨格、ジケトピロロピロール骨格、ジオキサジン骨格、キナクリドン骨格、キノフタロン骨格、ペリレン骨格及び金属錯体骨格から選ばれる骨格の少なくとも1種を含み、且つ示差熱分析により、360℃以上590℃以下の範囲に発熱ピークを有し、
    上記重合体が、ゴム質重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル系単量体を重合して得られるゴム強化共重合樹脂、又は、該ゴム強化共重合樹脂とビニル系単量体の(共)重合体との混合物からなるゴム強化熱可塑性樹脂を含み、
    上記有彩色着色剤の含有量は、上記重合体を100質量部とした場合に0.001〜3質量部であり、上記黒色物質の含有量は、上記重合体を100質量部とした場合に0.01〜2質量部である多色発色レーザーマーキング用組成物。
  3. 上記重合体が熱可塑性重合体及び熱硬化性重合体を含み、該熱硬化性重合体の含有量が、該熱可塑性重合体の含有量を100質量部としたときに0.01〜20質量部である請求項2記載の多色発色レーザーマーキング用組成物。
  4. 上記黒色物質が、カーボンブラック、チタンブラック及び黒色酸化鉄から選ばれる少なくとも1種である請求項2又は3記載の多色発色レーザーマーキング用組成物。
  5. 更に、上記重合体を100質量部とした場合に、白色系物質を0.001〜1質量部含有する請求項1乃至3のいずれかに記載の多色発色レーザーマーキング用組成物。
  6. 更に、難燃剤、帯電防止剤、抗菌剤、充填材及びメタリック顔料から選ばれる少なくとも1種の機能性付与剤を含有し、上記重合体を100質量部とした場合に、
    該難燃剤の含有量は、1〜30質量部であり、
    該帯電防止剤の含有量は、0.5〜10質量部であり、
    該抗菌剤の含有量は、0.01〜10質量部であり、
    該充填材の含有量は、1〜30質量部であり、
    該メタリック顔料の含有量は、0.1〜10質量部である請求項1乃至5のいずれかに記載の多色発色レーザーマーキング用組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の多色発色レーザーマーキング用組成物を含む成形品。
  8. 同一波長のレーザー光を異なる照射条件で照射又は波長の異なるレーザー光を照射することにより、レーザー光照射の際の被照射物に対するエネルギー量が2以上の異なるエネルギー量となるように、レーザー光を照射した場合に、低エネルギーのレーザー光の照射により、上記有彩色着色剤に由来する色にマーキングされ、且つ、高エネルギーのレーザー光の照射により、白色に、あるいは、上記有彩色着色剤に由来する色の濃度が低下した色にマーキングされる請求項7記載の成形品。
  9. レーザー光を照射した部分が発泡する請求項7又は8記載の成形品。
  10. 同一波長のレーザー光を異なる照射条件で照射又は波長の異なるレーザー光を照射することにより、レーザー光照射の際の被照射物に対するエネルギー量が2以上の異なるエネルギー量となるように、レーザー光を請求項7乃至9のいずれかに記載の成形品に照射して、組成物に含まれる重合体の色を主とする白色及び有彩色着色剤に由来する色を含む2以上の異なる色調にマーキングするレーザーマーキング方法。
  11. 上記レーザー光が2以上の異なる波長のレーザー光であり、低エネルギーのレーザー光の波長と、高エネルギーのレーザー光の波長との差が、100nm以上である請求項10記載のレーザーマーキング方法。
  12. マーキング部の少なくとも1箇所を発泡させる請求項10又は11記載のレーザーマーキング方法。
  13. 上記レーザー光を、上記成形品の異なる位置に照射する請求項10乃至12のいずれかに記載のレーザーマーキング方法。
  14. 請求項11乃至13のいずれかに記載のレーザーマーキング法により、組成物に含まれる重合体の色を主とする白色及び有彩色着色剤に由来する色を含む2以上の異なる色調にマーキングされている多色レーザーマーキング付き成形品。
  15. マーキング部の少なくとも1箇所は発泡している請求項13又は14記載の多色レーザーマーキング付き成形品。
  16. 上記マーキングが、上記成形品の異なる位置に形成されている請求項14又は15記載の多色マーキング付き成形品。
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