以下、本発明の画像記録装置及び画像記録システムに係る実施の形態について、図面を参照して説明する。
まず、本実施形態の画像記録装置が用いられる画像記録システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態の画像記録装置を用いた画像記録システムを示す概略構成図である。本実施形態の画像記録システム1は、LANやインターネット等のネットワーク2に、布帛等の記録媒体Aに記録される画像に対応する画像情報を送信する画像情報送信装置3、生産状況を監視する情報端末4、及び画像情報送信装置3から画像情報を受信して記録媒体Aに画像を記録する画像記録装置5等が接続されて構成されている。さらに、画像記録装置5は、インクジェットプリンタ6と、画像情報送信装置3から送信された画像情報をネットワーク2を介して受信し、その画像情報に対して誤差拡散処理等の演算処理を行って記録媒体Aに記録可能なデータに変換してインクジェットプリンタ6に出力する画像処理装置7とを備えている。
尚、本明細書においては、図2に示すように、記録媒体Aに記録され[図2(A)参照]又は画像情報送信装置3の表示手段32や画像処理装置7の表示入力手段71等に表示される画像[図2(B)参照]の向き及び画像に対する方向は、図中の矢印Xの方向を主走査方向又は横方向、矢印Yの方向を副走査方向又は縦方向という。
次に、本実施形態の画像情報送信装置3の構成について説明する。
図3は、本実施形態の画像情報送信装置の構成を示すブロック図である。画像情報送信装置3としては、例えば、必要な画像編集用のソフトウエアがインストールされたコンピュータが用いられるが、専用のCPUを備えた装置として構成することも可能である。
画像情報送信装置3の入力手段30は、記録媒体Aへの画像記録ジョブに用いるための画像に対応する画像情報を読み取るよう構成されている。具体的には、入力手段30は、MOやCD−R、DVD−R等の情報記録媒体のドライブや画像読み取り装置であり、これらの情報記録媒体からTIFFやBMP、JPEG等の形式ファイルにRGB、インデックスカラー、YMCK、Lab等の色空間で書き込まれた画像情報を読み取り可能とされている。この他にも、入力手段30への画像情報の入力方法として、例えば、他のコンピュータで作成された画像情報をネットワーク等を介して取り込んだり、或いは直接、画像情報送信装置3上で作成するよう構成することも可能である。
本実施形態では、入力手段30には、画像編集手段31が接続されており、画像編集手段31には、モニタ等の表示手段32が接続されている。画像編集手段31は、表示手段32に表示された画像情報に対応する画像を見ながら、画像記録装置5での画像記録ジョブに用いる画像を形成するように画像情報を編集することが可能とされており、具体的には、繰り返し画像作成や貼り付け、自動配置、繰り返し等の種々の画像編集機能が実行可能となるよう構成されている。これらの機能は、捺染特有の柄物を作るための機能であるが、必要に応じて他の機能を備えることも可能である。
まず、繰り返し画像作成機能とは、1つの画像を横方向及び縦方向に並べた際に矛盾のない画像となるようその画像に対応する画像情報を編集するための機能である。即ち、例えば、図4に示すように、水玉模様が画像Pの端部で切れて半円状の模様p1になっているにもかかわらず、対応する反対端部に半円状の模様がない場合には、画像編集手段31は、対応する半円状の模様p2を対応する反対端部に生成するよう構成されている。また、図5に示すように、1つの画像を右肩上がり又は右肩下がりに1/2や1/3等ずらして縦方向や横方向に繰り返して記録する場合があるが、画像編集手段31は、このようにずらした状態の画像の対応する端部に対応する模様がない場合には、必要な模様p3、p4を生成するよう構成されている。
貼り付け機能とは、画像を最大2個配置して記録媒体Aに記録するために画像情報を編集するための機能であり、主に、画像の色調整を行って記録媒体Aにサンプル記録を行うための配置を決めることを目的としている。具体的には、貼り付け機能は、例えば、画像P、Qを図6(A)に示すような特定の配置で記録媒体Aに記録するために、画像Pに対応する画像情報と画像Qに対応する画像情報とを編集する機能であり、図6(B)に示すように、前記2つの画像情報が選択され、画像情報送信装置3の表示手段32の画面上で画像P、Qの色調整が行われ、両画像の配置が決定されると、画像P、Qを含む最小の矩形状の領域である画像ブロックBに対応するように1画像ブロック分の画像情報及び画像P、Qとの配置情報等を含むレイアウト情報が作成されるよう構成されている。本実施形態では画像を最大2個配置する場合を示したが、3個以上の画像の貼り付けを行うよう構成することも可能である。
自動配置機能は、画像を最大8個まで選択し、記録媒体Aの幅に合わせて自動的に配置するための機能であり、主に、配色見本を作成すること目的としている。具体的には、自動配置機能は、例えば、図7に示すように、画像P1〜P8を並列的な配置で記録媒体Aに記録するために、画像P1〜P8に対応する8個の画像情報を編集する機能であり、8個の画像情報が選択されると、図示は省略するが、画像情報送信装置3の表示手段32の画面上に8個の画像情報に対応する画像P1〜P8が自動的に並列的に表示され、画像の大きさ、数、及び布幅に応じて布幅内にすべての配色見本が収まるように配置が変更され、全画像の配置が決定されると、画像P1〜P8を含む最小の矩形状の領域である画像ブロックB(図7参照)内での各画像P1〜P8の配置情報等を含む1画像ブロック分のレイアウト情報が作成されるよう構成されている。本実施形態では、1つの画像情報に対応する画像P1と配色のみが異なる、いわゆる配色違いの画像P2〜P8を画像P1とともに自動的に表示することも可能とされている。尚、便宜上、図7では画像P1〜P8が同じ寸法である場合を示したが、異なる寸法の画像をそのまま自動的に配置し、或いは異なる寸法の画像を同じ寸法になるように縦横の長さを変換して自動的に配置するよう構成することも可能であり、また、さらに多くの画像の自動配置を行うよう構成することも可能である。
繰り返し機能は、画像を最大2個選択し、縦方向又は横方向に繰り返し配置し或いは千鳥状に繰り返し配置するための機能である。図8は、画像Pを単純に縦横に繰り返した場合、図9は、画像P、Qを横方向に並べ縦横に繰り返した場合、図10は、画像P、Qを縦方向に並べ縦横に繰り返した場合を示す。また、図11は、画像Pを千鳥状に繰り返した場合、図12は、画像P、Qを千鳥状に繰り返した場合を示す。また、縦方向又は横方向の繰り返しにおいては、画像を1画像分や1/2画像分、1/3画像分等ずらした繰り返しを可能にするよう構成されている。例えば、図13は、画像P、Qを右肩下がりに1画像分ずらしながら縦方向に繰り返した場合、図14は、画像P、Qを右肩下がりに1/2画像分ずらしながら縦方向に繰り返した場合、図15は、画像P、Qを横方向に1/2画像分ずらしながら横方向に繰り返した場合を示す。尚、図13に示した画像は、画像P、Qを横方向に1画像分ずらしながら横方向に繰り返して作成することも可能である。
図8〜図15に示すような画像を作成するために、本実施形態の画像編集手段31では、1個又は2個の画像情報が選択されると、画像情報送信装置3の表示手段32の画面上にこの1個又は2個の画像情報に対応する画像P又は画像P、Qが表示され、縦方向及び横方向の画像間隔(前記各図の場合はともに0mm)等を設定可能とされている。また、例えば、図14に示す画像の場合には、右肩下がりであること及びずらし量が1/2であること等が設定されると、画像P、Qが縦方向に繰り返し並んだ状態で表示され、且つ横方向には右肩下がりに画像が半分ずつずれた繰り返しが表示されるよう構成されている。
さらに、本実施形態の画像編集手段31では、表示手段32の画面上で図8〜図15に示すような画像が作成されると、それぞれについて繰り返して記録される画像の単位である画像ブロックBに対応する新たな画像情報が生成され、画像P又は画像P、Qの配置情報等を含む1画像ブロック分のレイアウト情報が作成されるよう構成されている。
尚、図14及び図15では、便宜上、画像P、Qが同じ寸法である場合を示したが、この繰り返しの場合にも異なる寸法の画像P、Qを用いることは可能である。例えば、画像Qの縦方向及び横方向の寸法を画像Pの寸法になるように変換したり、画像P、Qの縦方向及び横方向の長さが短い方の画像の寸法を長い方の画像の寸法に合わせたり、或いは逆に長さが長い方の画像の寸法を短い方の画像の寸法に合わせたりして、異なる寸法の画像P、Qを同じ寸法に変換して繰り返しを行うよう構成することも可能である。本実施形態では画像を最大2個配置する場合を示したが、3個以上の画像の貼り付けを行うよう構成することも可能である。
図3に示すように、画像編集手段31には、ハードディスク等の記憶手段33が接続されており、記憶手段33には、画像編集手段31で編集、作成等された前記1画像ブロック分の画像情報(以下、単に画像情報という場合はこの1画像ブロック分の画像情報をさす。)やレイアウト情報がそのままの状態で或いは可逆圧縮されて保存されるよう構成されている。本実施形態では、画像情報が保存される際、そのヘッダ部分に前記配置情報等を書き込むよう構成されている。また、図示しないが、画像編集手段31に、編集された画像の確認等のための簡易プリンタを接続した構成とすることも可能である。
図3に示すように、画像編集手段31には、ネットワーク2との接続手段であるブリッジ34が接続されており、画像情報送信装置3は、ブリッジ34を介して装置外のネットワーク2に接続されている。本実施形態では、画像情報送信装置3から、画像編集手段31により編集された前記1画像ブロック分の画像情報やレイアウト情報がこのブリッジ34及びネットワーク2を介して画像記録装置5の画像処理装置7(図1参照)に送信されるよう構成されている。
本実施形態では、ブリッジ34で、前記画像情報や画像の配置情報等を含むレイアウト情報に基づいて、記録媒体Aに画像を記録する画像記録装置5に対して画像記録の条件等の設定をすることが可能とされている。図16は、ブリッジ34を呼び出した際に画像情報送信装置の表示手段に表示される設定画面の構成例を示す概略図である。
この設定画面35では、まず、前記レイアウト情報や画像情報を送信して画像記録ジョブを行わせる画像記録装置5を、ネットワーク2に接続されている画像記録装置5の中から選択可能とされている。即ち、ブリッジ34は、ネットワーク2全体に対して、ブロードキャストを行うよう構成されており、具体的には、ネットワーク2に接続されたすべての機器の特定のTCP/IPポートに所定のフォーマットのデータの配信を行う。画像記録装置5は、所定のTCP/IPポートから、この所定のデータを受け取ると、正しい応答として、自らの名前やIPアドレスを返答するよう構成されており、ブリッジ34は、前記所定のデータに対して正しい応答を行った機器があれば、その機器が所定の画像記録装置5であることを認識するよう構成されている。これにより、ブリッジ34は、稼動中の画像記録装置5を認識し、画像情報送信装置3のユーザ(即ち後述するクライアント)に選択を促すことができる。本実施形態では、設定画面35の「プリントサーバー」(画像処理装置と同じ。)の欄のプルダウンボタンを押すとネットワーク2に接続されている画像記録装置5の画像処理装置7の一覧が表示されるよう構成されている。
さらに、設定画面35は、「記録モード」の欄では布帛の種別、記録の画像品質、色域、インク量を選択するインク量制限が指定可能とされている。また、「サーバーの設定」の欄では、ジョブ名や画像記録ジョブを管理するオペレータに対するジョブコメントを記入することが可能とされている。また、「記録ジョブ設定」では、画像情報等の処理について演算やインク使用量シミュレーションの要不要を設定でき、「データ処理」の欄で、演算のみ、インク使用量シミュレーションのみ、及び演算とインク使用量シミュレーションの指定が可能とされている。また、その下方のチェックボックスで画像情報の送信後に自動的に画像記録を開始したり、記録終了後に画像記録ジョブを削除する等の設定をすることが可能とされている。
尚、インク使用量シミュレーションとは、画像情報に基づいて記録媒体Aに画像記録を行った場合に、単位長さあたり或いは単位面積あたり、又は画像記録ジョブ全体で、画像記録に用いる各色のインクをどの程度使用するかを、画像情報を演算処理して記録媒体Aに記録可能に変換されたドットイメージデータから推定するための演算を行うことである。本実施形態では、このインク使用量シミュレーションは、後述するように、前記設定画面35で選択された画像記録装置5で行われる。
また、本実施形態では、ブリッジ34で行う画像記録条件設定のオプションとして、更に細かく画像記録条件を設定することが可能とされており、例えば、繰り返し記録の再設定を行うことが可能で、記録媒体Aである布帛の縦方向及び横方向に関して布サイズ分の画像記録を行うのか、記録長さを指定するのか、或いは柄(この場合は前記1画像ブロック分の画像情報に対応する画像ではなく元の画像Pや縦方向に並べた画像P、Q或いは横方向に並べた画像P、Qを意味する。)の数及び間隔を指定して画像記録するのかを選択可能とされている。また、その他、種々のオプションが設定可能とされている。ここで、布サイズ分の画像記録とは、布サイズいっぱいまで柄を繰り返して画像記録することであり、縦方向に布サイズ分の画像記録を行うよう設定すると、インクジェットプリンタ6は、布帛の終端が検知されるまで画像記録を継続するよう構成されている。
ブリッジ34は、以上のような画像記録の詳細な処理内容が設定されると、その内容を前記レイアウト情報に書き込み、ネットワーク2上にこのレイアウト情報や前記画像情報を出力するよう構成されている。
次に、情報端末4(図1参照)は、前述したように、生産状況を監視するための端末であり、前記画像情報送信装置3の場合と同様に、例えば、必要な生産監視用のソフトウエアがインストールされたコンピュータが用いられるが、専用のCPUを備えた装置として構成することも可能である。また、本実施形態では、前記画像情報送信装置3として用いられるコンピュータに生産監視用のソフトウエアをインストールし、同一のコンピュータで画像情報送信装置3と情報端末4とを兼用するよう構成されている。
情報端末4には、モニタ等の図示しない表示手段が設けられており、情報端末4は、前記画像情報送信装置3の設定画面35(図16参照)で選択された画像記録装置5に対して、ネットワーク2を介して生産状況、即ち、インクジェットプリンタ6での記録状況や画像処理装置7での画像記録ジョブの入力状況、演算処理の進行状況等を問い合わせる問い合わせ信号を送信して、前記選択された画像記録装置5から画像記録した長さ、記録経過時間、記録開始時刻、記録終了予定時刻、インク残量、布帛の残量、エラー内容、エラー回避方法等の情報を受信して、それらの情報を表示手段に表示するよう構成されている。
また、情報端末4の表示手段には、選択された画像記録装置5における前記インク残量や布帛の残量等のほか、前述した画像情報送信装置3の表示手段32に表示されるブリッジ34の設定画面35(図16参照)や、前記選択された画像記録装置5の後述する表示入力手段71に表示されるプリンタ画面84(図24参照)、入力ジョブ画面85(図25参照)、演算プロパティ設定画面86(図26参照)、演算ジョブ画面87(図27参照)、記録プロパティ設定画面88(図28参照)、記録ジョブ画面89(図29参照)、出力割付設定画面90(図30参照)、プロパティ確認画面91(図32参照)、予想インク使用量確認画面92(図33参照)、プレビュー画面93(図34参照)、出力割付情報確認画面94(図35参照)等と同様の画面が表示されるよう構成されており、これらの画面で前記画像記録した長さ等の情報や記録装置5を通過した記録媒体Aの継ぎ目の数等を確認することができるようになっている。また、情報端末4の表示手段に、前記選択された画像記録装置5の生産状況等のみならず、ネットワーク2を介して情報端末4と接続されているすべての画像記録装置5の生産状況等が表示されるよう構成することも可能である。
尚、情報端末4はこれらの情報を確認するためのものであり、本実施形態では、情報端末4ではこれらの画面表示の設定内容を変更する等の操作はできないようになっている。本実施形態の画像記録システム1では、これらの内容の変更は、前記画像情報送信装置3や後述する画像処理装置7で行うよう構成されている。情報端末4で、各画像記録装置5での設定内容の変更やインクジェットプリンタ6に対する動作指示を行わせないのは、通常、これらの端末が画像記録装置5から離れた場所にあり、インクジェットプリンタ6の実際の状況、即ち、後述する記録媒体Aの搬送状態や巻出し機、乾燥機、巻取り機等の正確な状況を把握できないため、ネットワーク2を介した遠隔からの操作では、却って無駄な画像記録を行ったり、インクジェットプリンタ6のヘッドの破損を招いたりすることになりかねないからである。しかし、例えば、前記インクジェットプリンタ6や巻出し機等に監視装置等を設けることで遠隔操作できるよう構成することも可能である。
次に、本実施形態の画像記録装置5の構成について説明する。
図1に示したように、画像記録装置5は、インクジェットプリンタ6と、画像情報送信装置3から送信された画像情報をネットワーク2を介して受信し、その画像情報に対して誤差拡散処理等の演算処理を行って記録媒体Aに記録可能なデータに変換してインクジェットプリンタ6に出力する画像処理装置7とを備えている。
インクジェットプリンタ6は、本実施形態では、シリアルヘッド方式のインクジェットプリンタが用いられている。図示は省略するが、インクジェットプリンタ6には、記録媒体Aに向けてインクを吐出する8個のヘッドを2セット、計16個のヘッドを搭載し、インクジェットプリンタ6内の記録媒体A上を主走査方向に往復移動自在とされたキャリッジ61[図17(A)及び図17(B)参照]が備えられている。各ヘッドにはそれぞれ、インクパックが2個ずつ載っており、インクセットとしては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のセットやそれらとライトYMCKのセット、或いはYMCKとオレンジ、バイオレット、レッドの特色セット等が使用可能とされている。
インクジェットプリンタ6のキャリッジ61に搭載されたヘッドに対してインクジェットプリンタ6の記録媒体Aの搬送方向上流側には、例えば、図17(A)に示すように、記録媒体Aである布帛の継ぎ目Sを検知する検知部62が設けられている。インクジェットプリンタ6は、検知部62が記録媒体Aの継ぎ目Sを検知すると、検知部62からキャリッジ61までの距離Lだけ画像記録を行った後、キャリッジ61を記録媒体A上から主走査方向に逃がし、記録媒体Aを一定量送り、その後、キャリッジ61を記録媒体A上に戻してインクジェット記録を再開することが可能とされている。キャリッジ61を逃がして記録媒体Aを送る際の一定量の送り量は、記録媒体Aの継ぎ方によって異なるため、後述するように、画像処理装置7の表示入力手段71に表示される記録プロパティ設定画面88で画像記録ジョブごとに設定できるよう構成されている。
検知部62は、ガイド63により上下動可能とされた棒状の検知器64を備え、検知器64の下端には、布帛に当接された状態で布帛の搬送に合わせて回転自在とされた車輪65が取り付けられており、また、上端側には、画像処理装置7に電気的に接続された電気接点構造66が設けられている。布帛の継ぎ目Sが布帛の他の部分より厚くなっているため、この検知部62によれば、布帛の継ぎ目Sにより車輪65が上方に押し上げられ、それと連動して検知器64が上方に移動して電気接点構造66がONの状態となり、継ぎ目を検知することができる。
また、図17(B)に示すように、検知部62は、例えば、画像処理装置7と電気的に接続された紫外線照射ランプ67と受光素子68とより構成されることも可能である。この検知部62は、ヘッドに対して前記図17(A)と同様の位置に設けられており、紫外線照射ランプ67は、記録媒体Aである布帛に対して紫外線を照射可能な位置及び向きに設けられ、受光素子68は、布帛からの蛍光を受光可能な位置及び向きに設けられている。この検知部62によれば、布帛の継ぎ目Sを蛍光染料を含ませた糸で縫いつないでおくことで、紫外線照射ランプ67による紫外線照射により継ぎ目Sの糸が発する蛍光を受光素子68が検知することにより、布帛の継ぎ目を検知することができる。
尚、図17(A)や図17(B)に示したような検知部62を、記録媒体Aの幅方向、即ち主走査方向に複数設けることも可能である。また、図17(A)や図17(B)に示した方式以外の方式を用いた検知部62で布帛の継ぎ目や終端を検知することも可能である。また、本実施形態では、インクジェットプリンタ6には、メモリ等よりなる図示しない記憶部が設けられており、記憶部は、検知部62が検知した記録媒体Aの継ぎ目の数や継ぎ目から画像を記録した長さを記憶するよう構成されている。
また、インクジェットプリンタ6には、布帛のしわを検知する図示しないしわ検知手段が設けられている。また、インクジェットプリンタ6には、前記ヘッドに設けられたノズルを拭き、ノズルがインクで詰まってインクの吐出機能が低下した(いわゆるノズル欠の状態となった)ノズルからインクを吸い出して強制的に排出させることでノズルの吐出機能を回復するためのクリーニング機構が設けられている。
本実施形態で用いられるインクジェットプリンタ6は、記録媒体Aである布帛を搬送ベルトに載せて搬送しながら画像記録を行うインクジェットプリンタである。具体的構成については図示を省略するが、前記ヘッドが搭載されたキャリッジの下方には、表面側で記録媒体Aを載置する図示しない無端状の搬送ベルトが平板状のプラテンにより裏側から支持された状態で設けられており、搬送ベルトには、プラテンの両端側及び下方で駆動ローラやガイドローラ、テンションローラ等の各種ローラが当接されている。また、搬送ベルトには、搬送ベルトの表面を洗浄するためのローラであるベルトクリーナが搬送ベルトの外側から接離可能に当接されている。ベルトクリーナは、必要に応じて複数設けられることも可能である。
さらに、本実施形態では、インクジェットプリンタ6の記録媒体Aの搬送方向上流側には、巻き取られた状態の記録媒体Aを巻き出すための図示しない巻出し機が設けられており、インクジェットプリンタ6の記録媒体Aの搬送方向下流側には、画像が記録された記録媒体Aを乾燥させるための乾燥機及び乾燥された記録媒体Aを巻き取るための巻取り機(ともに図示しない)が設けられている。
次に、本実施形態の画像記録装置5の画像処理装置7の構成について説明する。
図18は、本実施形態の画像処理装置の構成を示すブロック図である。画像処理装置7としては、前述した画像情報送信装置3の場合と同様に、例えば、必要なソフトウエアがインストールされたコンピュータが用いられるが、専用のCPUを備えた装置として構成することも可能である。
受信管理手段70は、ネットワーク2に接続されており、ネットワーク2から記録媒体Aへの画像記録ジョブに用いるための画像に対応する前記画像情報や前記レイアウト情報を受信するよう構成されている。受信管理手段70には、モニタ等を備えた表示入力手段71が接続されており、受信管理手段70と表示入力手段71とはTCP/IPプロトコルで通信を行うよう構成されている。表示入力手段71は、画像記録ジョブの内容を一覧表示して画像記録ジョブごとに処理の指示を入力することができるよう構成されている。
受信管理手段70には、さらに画像処理装置7で行われる種々の処理を管理するジョブ管理手段72が接続されており、ジョブ管理手段72には、受信管理手段70のほか、画像情報管理手段73、演算処理手段74、データ管理手段75、出力管理手段76、プリンタ状態管理手段77及びLUT管理手段78が接続されている。
ジョブ管理手段72は、表示入力手段71からの処理の要求を受け取ると、画像情報管理手段73等に要求された処理を行わせると同時に、それらから必要な情報を受け取って受信管理手段70を介して表示入力手段71に送るよう構成されている。また、前述した情報端末4(図1参照)から生産状況を問い合わせる前記問い合わせ信号が送信されてくると、プリンタ状態管理手段77にインクジェットプリンタ6の状態、即ち、記録した長さやインク残量、エラー内容等の情報を取得させて通知させ、その情報を受信管理手段70及びネットワーク2を介して情報端末4に返すよう構成されている。情報端末4の表示手段には、前述したように、画像処理装置7に表示される後述するプリンタ画面84(図24参照)等と同様の画面が表示されるが、前記問い合わせ信号に対する応答の際に、ジョブ管理手段72から情報端末4に前記各画面に表示するために必要な情報も同時に送信されるようになっている。
画像情報管理手段73には、受信管理手段70が受信し、ジョブ管理手段70を経由して送られてきた画像情報やレイアウト情報を画像記録ジョブごとに保存する画像情報保存手段79が接続されている。
画像情報管理手段73は、画像情報保存手段79の内容を管理するよう構成されている。具体的には、画像情報管理手段73は、画像情報等を画像情報保存手段79に保存する際、前記ジョブ名とは異なる独自のジョブIDを生成して、画像情報やレイアウト情報等をジョブIDに関連付けて管理するよう構成されており、このジョブID等がジョブ管理手段72等を介して表示入力手段71に送られて表示されるようになっている。また、画像情報管理手段73は、表示入力手段71から特定の画像記録ジョブの削除の指示を受け取ると、その画像記録ジョブのジョブIDに関連付けられた画像情報やレイアウト情報を画像情報保存手段79から消去させるよう構成されている。さらに、画像情報管理手段73は、画像情報保存手段79の空き容量及び使用率を管理するよう構成されている。尚、画像情報管理手段73により生成されたジョブIDは、ジョブ管理手段72や受信管理手段70を介してネットワーク2を通じてその画像情報等を送信してきた画像情報送信装置3に返信するようになっている。
画像情報送信装置3が画像処理装置7に画像情報を送信する場合には、画像記録するための画像情報とともに、その画像情報をRGBに変換したプレビュー画像に対応する画像情報を送信するよう構成されている。プレビュー画像に対応する画像情報は、画像処理装置7が色変換機能を有していない場合には、画像情報送信装置3が送信する。また、画像情報送信装置3は、画像処理装置7が各種画像情報からプレビュー画像を作成する機能を有しているかどうかを画像処理装置7に問い合わせることができるようになっている。ここでいうプレビュー画像を作成する機能とは、各種画像の色空間(例えばYMCK、Lab、YMCK+各種特色等)から、プレビュー画像の色空間であるRGBへの変換機能及び拡大縮小機能をさす。
画像処理装置7は、受信した画像情報にジョブIDを付与して保存を行うが、このとき、プレビュー画像に対応する画像情報がなく、画像処理装置7がプレビュー画像作成機能を備えていれば、受信した画像情報をプレビューに適した画像情報に縮小又は拡大し、さらに受信した画像情報が持つ色空間からRGBの色空間に変換して、プレビュー画像の画像情報として保存するよう構成されている。プレビュー画像に対応する画像情報がなく、画像処理装置3もプレビュー画像作成機能を有していない場合は、その画像記録ジョブの情報としてプレビューなしと記憶しておくようになっている。
また、画像処理装置7は、受信した画像情報の解像度が指定された出力解像度より大きい場合は、出力解像度に一致するように縮小を行って、画像情報として保存するよう構成されている。さらに、受信した画像情報の保存時には、色ごとのランレングス圧縮を行っている。
画像情報管理手段73には、ジョブ管理手段72及び画像情報保存手段79のほか、演算処理手段74が接続されており、演算処理手段74には、さらに、データ管理手段75が接続されている。
演算処理手段74は、画像情報を演算処理して記録媒体Aに記録可能なデータに変換するよう構成されている。具体的に言えば、演算処理手段74は、前記表示入力手段71からの特定の画像記録ジョブに対する演算処理の指示を受信したジョブ管理手段72から指示に応じて、画像情報管理手段73を介して画像情報保存手段79からそのジョブIDに関連付けられた画像情報を読み込み、その画像情報に対して色変換、拡大、誤差拡散等の演算処理を行って記録媒体Aに記録可能なドットイメージデータに変換し、その結果を色ごとにランレングス法による単純なランレングス符号化により可逆圧縮してデータ管理手段75を介してデータ管理手段75に接続されているデータ保存手段80に画像記録ジョブごとに保存させるよう構成されている。
尚、画像情報の量子化の方法としてはこのような誤差拡散と他の方法を組み合わせてもよく、また、画像情報を縮小する場合には、縮小、色変換、誤差拡散の順に処理することも可能である。また、前記のようにドットイメージデータを単純なランレングス符号化により可逆圧縮して保存することにより、データ保存手段80への書き込み量を低減することが可能となり、また、他の圧縮方法と比較した場合、後述するインクジェットプリンタ6への出力の際の転送時間を平均で約30%程度低減することが可能となり好ましい。
本発明では、演算処理手段74は、この誤差拡散処理において、画像情報に対応する画像をインクジェットプリンタ6の主走査方向及び副走査方向に繰り返して記録しようとする場合、即ち、前記画像情報送信装置3で繰り返し画像(図8〜図15参照)を形成するよう設定されている場合には、以下のようにして処理するよう構成されている。
即ち、演算処理手段74は、画像情報保存手段79から画像情報を読み出して、色変換や拡大等の処理を行った後、この画像情報に対応する1画像ブロック分の画像Rがインクジェットプリンタ6の主走査方向及び副走査方向に繰り返して配列される状態(図19参照)になるように、画像情報を必要な回数(図19の場合は9回)複製し、画像情報の配列を並べ替える。このようにして特定の画像(図19の場合は中央の画像R)とその周囲に位置すべき画像全体に対応する画像情報を作成し、その画像情報に対して誤差拡散処理を行って、記録媒体Aに記録可能なドットイメージデータに変換する。尚、図19において、斜線部分及び網目部分が誤差拡散処理される範囲であり、網目部分が保存されるデータの範囲である(以下、図20〜図23において同じ。)。
演算処理手段74は、このようにして形成されたドットイメージデータのうち、前記特定の画像に対応する1画像分のデータのみをデータ保存手段80に保存させるよう構成されている。具体的には、演算処理手段74は、図19のように並べ替えた画像情報をラインごと、即ち、横方向の行ごとに最初の行(図19では最も上側の行)から誤差拡散処理を行っていくが、データ保存手段80への書き込みを行わず、前記特定の画像に対応する変換されたドットイメージデータの先頭が来たら保存を開始し、ドットイメージデータの必要な部分だけを保存するよう構成されている。
尚、図19では、誤差拡散処理を行う特定の画像の周囲に位置すべき画像が、誤差拡散処理の順で、インクジェットプリンタ6の主走査方向及び副走査方向の前記特定の画像の前後各1画像分である場合を示したが、図40に示した誤差拡散処理の特性から、図20に示すように、誤差拡散処理を行う特定の画像の周囲に位置すべき画像として、誤差拡散処理の順で、主走査方向及び副走査方向の前記特定の画像の前側各1画像分とすることも可能である。
また、前記特定の画像の周囲に位置すべき画像としは、図19や図20の場合のように、インクジェットプリンタ6の主走査方向及び副走査方向の前記特定の画像の前後又は前側各1画像分を用いる代わりに、各画像の一部として、誤差拡散処理の順で、前記主走査方向の前記特定の画像の前後(図21参照)又は前側(図22参照)の画素単位で100列以上、及び副走査方向の前記特定の画像の前後又は前側の画素単位で100行以上を用いるよう構成することも可能である。前述したように、誤差拡散処理は、ある画素の濃度値と二値化された出力値との差分を画素単位で1列後や1行後の画素に特定の重みをかけて分配し、濃度値と出力値の差分が図21や図22でいえば右側、下側及び右下側の画素に拡散され反映されていくが、本発明者らの実験では、特定の画像の前後又は前側100列以上及び前後又は前側100行以上であれば、前記特定の画像の部分での誤差拡散の効果を、図19や図20に示したように前後又は前側各1画像分用いた場合とほぼ同じ状態にすることができることが分かっている。特に、布帛に捺染する場合には、縦方向の不連続性は、目視上、問題がないことが判明している。
さらに、演算処理手段74における誤差拡散処理で、図19〜図22に示したように、特定の画像を1画像分としないで、図23に示すように、特定の画像が、インクジェットプリンタ6の副走査方向には1画像分で、主走査方向には出力幅分の画像になるように画像情報を必要な回数複製して画像情報の配列を並べ替え、特定の画像の周囲に位置すべき画像とともに誤差拡散処理を行い、その特定の画像に対応するデータのみをデータ保存手段80に保存させるよう構成してもよい。このように処理すれば、1回の誤差拡散処理で、インクジェットプリンタ6の主走査方向には出力幅いっぱいまで演算処理するため、前記特定の画像が主走査方向に繰り返されることがなくなり、図41に示したような画素列p1が画像上の筋となって認識される現象が発生することをより確実に防止することが可能となり好ましい。
また、色変換処理をより高速に行うために、演算処理手段74が、画像情報と色変換処理済みのデータとの複数の組み合わせをキャッシュの中にコピーしておくよう構成することも可能である。このように構成されていれば、同一の画像情報が色変換処理に回された場合に色変換処理を行わずに前記キャッシュから色変換処理済みのデータを送出することが可能となり、実験によれば種々の画像に対して約10%程度の高速化を図ることができる。尚、このキャッシュは、処理ライン中の直前の1画素程度の保存だけで十分な効果を発揮するが、直前の異なる色の組み合わせの数画素の結果を用いてもよい。
また、図16に示したように、画像情報送信装置3のブリッジ34の設定画面35でデータ処理としてインク使用量シミュレーションが選択されている場合には、演算処理手段74は、この演算処理の後、誤差拡散の結果得られたインクのドット数(即ちインク滴の数)から予想されるインク使用量、即ち予想インク使用量を計算するよう構成されている。本実施形態では、インクジェットプリンタ6のヘッドから吐出されるインクの1滴の体積がわかっているため(本実施形態では1滴あたり20pl)、前記インクのドット数から、前述したように、単位長さあたり或いは単位面積あたり又は画像記録ジョブ全体で画像記録に用いられる各色のインク量を推定することができる。
また、本実施形態では、インク使用量シミュレーションの精度を高める観点から、前記のように変換されたドットイメージデータのドット数からインク量を計算するよう構成されているが、例えば、RGBやYMCK等の組み合わせと、色変換や誤差拡散等の演算処理をした後のYMCKや前記特色セット或いは写真モード等の色の組み合わせとの対応を各色ごとに求めて色変換用のテーブルを予め作成しておけば、色変換や誤差拡散等の演算処理を行うことなくRGBやYMCK等の組み合わせで表現された画像情報から単純な3次元又は4次元等のLUT計算で各色のインク使用量を速やかに計算することが可能となる。
このシミュレーション結果は、前記データとは別にデータ管理手段75を介してデータ保存手段80に保存されるよう構成されている。尚、本実施形態においては、このシミュレーション結果(以下、模擬データという。)のデータ量をできるだけ軽くする必要から、前記模擬データは、演算処理により得られた前記データとは異なり、インクジェットプリンタ6による画像記録に使用できないデータ属性とされている。また、前述したように、画像情報送信装置3のブリッジ34の「記録ジョブ設定」で、画像情報の処理について、演算のみ、インク使用量シミュレーションのみ、及び演算とインク使用量シミュレーションの指定が可能とされていることから、1つの画像記録ジョブから、画像記録に用いられるデータ及びシミュレーションの結果である模擬データの2つのデータが生成され得る。そこで、本実施形態では、データと模擬データとを別々に管理するために、演算処理手段74における演算処理の段階でそれぞれ新たなジョブIDを生成して、別々の新たなジョブIDに関連付けてデータ保存手段80に保存するよう構成されている。
データ管理手段75は、前記のように演算処理手段74から演算処理済みのデータやインク使用量シミュレーションの結果を受け取ってデータ保存手段80に保存させるとともに、データ保存手段80の内容を管理するよう構成されている。本実施形態では、演算処理手段74で行われる演算処理の全部又は一部分を、前述した画像情報送信装置3のブリッジ34(図3参照)でも実行できるよう構成されており、ブリッジ34で演算処理をした場合にはその内容が画像情報等のヘッダ部分に書き込まれるようになっている。そのため、ブリッジ34で演算処理を全部行った場合には、画像処理装置7(図18参照)で演算処理を行う必要はなく、ジョブ管理手段72は、受信された画像情報等のヘッダ部分を読み取ってすでに記録媒体Aに記録可能なデータに変換されていると判断してその画像情報(即ちこの場合はデータ)をデータ管理手段75に送り、データ保存手段80に保存させるよう構成されている。また、データ管理手段75は、データ保存手段80の空き容量及び使用率を管理するよう構成されている。
データ管理手段75には、ジョブ管理手段72、演算処理手段74及びデータ保存手段80のほか、出力処理手段76が接続されており、出力処理手段76には、さらに、プリンタポートドライバ81が接続されている。プリンタポートドライバ81には、USBドライバ82を介してインクジェットプリンタ6が接続されている。
出力処理手段76は、データ保存手段80からデータを読み出し、順次配列してプリンタポートドライバ81等を介してインクジェットプリンタ6に出力するよう構成されている。具体的に言えば、まず、ジョブ管理手段72は、前記表示入力手段71から特定の画像記録ジョブに対する出力処理の指示を受け取ると、その画像記録ジョブに用いられる出力処理すべきデータの出力リストを作成し、その前記新たに生成されたジョブIDに関連付けられたレイアウト情報内の配置情報や画像記録の処理内容を読み取って、或いは表示入力手段71で入力された新たな出力形式に応じて、出力処理手段76に出力リストとともに出力指示を出すようになっている。出力処理手段76は、その出力指示に応じて、その出力リストに基づいてデータ管理手段75を介してデータ保存手段80から単数又は複数のデータを読み出し、例えば、前述した横方向の繰り返し配置(図15参照)であれば、メモリ上で1ライン分を複写する等してデータを順次配列してインクジェットプリンタ6に出力するよう構成されている。
プリンタポートドライバ81には、前記USBドライバ82のほか、プリンタ状態管理手段77が接続されており、プリンタ状態管理手段77には、前述したように、ジョブ管理手段72が接続されている。
プリンタ状態管理手段77は、一定時間おきに、又はジョブ管理手段72からの要求に応じて、プリンタポートドライバ81及びUSBドライバ82を通じてインクジェットプリンタ6の状態等を取得し、ジョブ管理手段72に通知するよう構成されている。
LUT管理手段78には、CMS(Color Management System)管理手段83が接続されている。LUT管理手段78及びCMS管理手段83は、ジョブ管理手段72からの演算処理条件に応じて適切なLUTを応答するよう構成されている。本実施形態では、LUTとして、色変換用のLUT(sRGB、RGBフォト、YMCK変換用の3DLUT)や液量補正LUT等が登録されている。LUTを追加する場合には、画像処理装置7にメディアを挿入し、その情報を読み取らせて追加できるようになっている。
記録媒体Aとしての布帛ごとに使用するCMSのためのLUTや後述するインクジェットプリンタの双方向補正値、ヘッド高さ調整値、送り量等が異なるため、本実施形態では、布種ごとにこれらの情報を画像処理装置7の図示しない記憶手段に記憶し、管理するよう構成されている。即ち、記憶手段に布種を新たに登録する際、布種に対応させて前記LUTや双方向補正値等を入力セットとして記憶するよう構成されている。また、前記記憶手段は、類似の布種の設定内容をコピー、編集して新たな布種として登録したり、布種を削除したりできるような管理機能を備えている。
前述したように、表示入力手段71は、画像記録ジョブの内容を一覧表示して画像記録ジョブごとに処理の指示を入力することができるよう構成されている。また、表示入力手段71は、画像記録ジョブの受信状況、演算処理状況又は出力処理状況を、それぞれ別々に一覧表示可能とされている。以下、表示入力手段71に表示される画面に基づいて、画像処理装置7による画像情報の受信、演算処理、及び出力について説明する。
画像処理装置7の電源を投入すると、表示入力手段71には、図24に示すようなインクジェットプリンタ6の状態を表示するプリンタ画面84が表示されるよう構成されている。本実施形態では、このプリンタ画面84の「プリンタ状態」の欄には、インクジェットプリンタ6に設定された記録媒体Aの布種、ヘッド高さ調整値、インクジェットプリンタ6の稼動開始からの総記録量、前述したインクジェットプリンタ6の検知部62[図17(A)及び図17(B)参照]が検知した布帛の継ぎ目のカウント数、布帛の継ぎ目からの記録量、前述したインクジェットプリンタ6のベルトクリーナの搬送ベルトへの密着/開放の状態等を表示するよう構成されている。また、「オプション状態」の欄には、例えば、前述した巻出し機の状態や巻取り機の状態、或いは乾燥機の状態及び温度状態を表示するよう設定されている。これらの情報は、表示入力手段71から一定時間おきにジョブ管理手段72に対して自動的に送信される問い合わせに応じて、ジョブ管理手段72がプリンタ状態管理手段77からインクジェットプリンタ6や巻出し機等の情報を入手して返信されてくるものであり、一定時間おきに自動的に更新されるようになっている。尚、「メモ1」「メモ2」には、画像記録がテスト用である等のメモをオペレータが記載することができるようになっている。また、前述した布種の登録の際に、前記入力セットの一部として布帛の特徴を登録するようにし、この「メモ1」「メモ2」に表示するよう構成することも可能である。
また、プリンタ画面84右方の「インク状態」の欄には、前述した16個のヘッドごとに、それぞれ2個ずつ搭載された計32個のインクパックについて、YMCKやライトYMCK(図中ではLY、LM、LC、LK)等のインクの種類やインクパック内のインクの有無、インクが使用中であること、インクパック自体の有無、未使用、非接続等が色やマークを用いて表示されるようになっている。本実施形態では、特に、インクパックはあるがインクが無くなっていることを示す「インク無」は赤い表示、本来あるべきインクパック自体がないことを示す「インクパック無」は白地に赤の×印で示されており、オペレータの注意を喚起するよう構成されている。
このプリンタ画面84下方には、インクジェットプリンタ6の状態及び記録中の画像記録ジョブの情報の表示を行う欄が設けられており、通信状態、オンライン状態、インクジェットプリンタ6の動作状態等が示される構成となっている。この欄は他の画面に切り替えても切り替わることなく恒常的に表示されるようになっている。また、この欄には、記録中の画像記録ジョブに関して、前記画像情報送信装置3のブリッジ34の設定画面35で設定されたジョブ名やオペレータに対するジョブコメントが表示されるようになっている。さらに、欄中右方には、画像記録ジョブごとの記録済みの総記録量等がオペレータに見易いように比較的大きく表示されるようになっており、エラー等の非常事態が発生した場合には注意を喚起するよう赤字で表示されるよう構成されている。
次に、このプリンタ画面84中の画面切り替え用の図示しないタグを押すと、表示入力手段71は、図25に示すような画像記録ジョブの受信状況を画像記録ジョブごとに一覧表示する、いわゆる入力ジョブ画面85が表示されるよう構成されている。具体的には、前述したように、ネットワーク2を介して画像情報送信装置3から画像情報等が送られてくると、画像情報管理手段73により画像情報等にジョブIDが付与され、このジョブIDとそれに関連付けられた画像情報のヘッダ部分に記録された情報が表示入力手段71に送られて登録されるよう構成されている。そのため、画像情報が画像処理装置7に送信されてくると、図25に示した表示入力手段71の入力ジョブ画面85には、送信されてきた画像情報に対応するジョブIDやそれに関連付けられた画像記録ジョブのジョブ名や布種、出力サイズ等が自動的に追加されるようになっている。この場合、その画像記録ジョブの優先順位は、一覧表示されている全画像記録ジョブの最下位になるよう構成されている。
また、表示入力手段71は、一定時間おきにジョブ管理手段72を介して画像情報管理手段73に対して画像記録ジョブの受信状況について、画像記録ジョブの受信状態に関する情報を送信させるよう構成されており、画像情報管理手段73は、受信状態の問い合わせに応じて、画像情報保存手段79から保存されている各ジョブIDに関連付けられた画像情報の保存の進捗度等の情報を入手し、表示入力手段71に返信するよう構成されている。そのため、入力ジョブ画面85の「入力進捗度」や「データサイズ(Mbyte)」が一定時間おきに自動的に更新され、また、それに合わせて「状態」欄の表示も一定時間おきに自動的に更新されるよう構成されている。
さらに、表示入力手段71は、一定時間おきにジョブ管理手段72を介して画像情報管理手段73及びデータ管理手段75に対して画像情報保存手段79及びデータ保存手段80の空き容量及び使用率を報告させ、その結果を入力ジョブ画面85の左下方にそれぞれ表示させるよう構成されている。尚、左下方の表示では、画像情報保存手段79は「1次スプール」、データ保存手段80は「2次スプール」と表示されている。
入力ジョブ画面85の右下方には、「演算開始」、「削除」、「プロパティ設定」、「優先度上へ」及び「優先度下へ」の各ボタンが設けられている。画像記録ジョブの一覧表示の中から単数又は複数の画像記録ジョブを選択して「削除」ボタンを押すと、一覧表示の中から画像記録ジョブが削除され、そのジョブIDに関連付けられた画像情報等が画像情報保存手段79から削除されるようになっている。また、画像記録ジョブの一覧表示の中から画像記録ジョブを選択して「優先度上へ」ボタンを押すと、その画像記録ジョブの優先順位を上げることができ、一覧表示内でのその画像記録ジョブの位置が上がり、逆に「優先度下へ」ボタンを押すと、その画像記録ジョブの優先順位が下がり、一覧表示内でのその画像記録ジョブの位置も下がるよう構成されている。
また、画像記録ジョブの一覧表示の中から入力済みの画像記録ジョブを選択して「プロパティ設定」ボタンを押すと、図26に示すような、演算プロパティ設定画面86が表示されるようになっている。この画面86には、画像情報送信装置3の画像編集手段31やブリッジ34の設定画面35で設定した演算処理の内容が表示され、さらにその数値や条件を変更することができるようになっている。また、図示を省略するが、この演算プロパティ設定画面86で、例えば、ラジオボタンを設けたりプルダウンメニュー方式にして、前記図19〜図23に示した誤差拡散処理のうちのいずれかの処理方法を選択できるよう構成することも可能である。
また、この演算プロパティ設定画面86の記録プロパティの欄では、前記画像情報送信装置3で設定された画像記録条件が表示され、同様に変更可能とされている。さらに記録動作の手動/自動や、データの自動削除の手動/自動を設定できるようになっている。
図25に示した入力ジョブ画面85で、画像記録ジョブの一覧表示の中から画像記録ジョブを選択して「演算開始」ボタンを押すと、その画像記録ジョブが演算処理に移されるようになっている。具体的には、前述したように、画像記録ジョブが選択され「演算開始」ボタンが押されると、ジョブ管理手段72が、演算処理手段74に演算処理を指示し、それに応じて、演算処理手段74が、画像情報管理手段73を介して画像情報保存手段79からそのジョブIDに関連付けられた画像情報を読み込む。
その画像情報に対して色変換処理や拡大処理を行った後、前記演算プロパティ設定画面86で選択された誤差拡散処理の処理方法に従って、この画像情報に対応する1画像ブロック分の画像Rがインクジェットプリンタ6の主走査方向及び副走査方向に繰り返して配列される状態(図19等参照)になるように、画像情報を必要な回数複製し、画像情報の配列を並べ替える。それに対して誤差拡散処理等の演算処理を行って記録媒体Aに記録可能なドットイメージデータに変換し、このドットイメージデータのうち、前記特定の画像(図19等における網目部分)に対応する1画像分のデータのみを色ごとにランレングス法により可逆圧縮して前記新たに生成されたジョブIDに関連付けられてデータ管理手段75を介してデータ管理手段75に接続されているデータ保存手段80に画像記録ジョブごとに保存させるよう構成されている。
また、画像情報送信装置3のブリッジ34で、インク使用量シミュレーションを行うよう指定されている場合には、前記と同様の演算処理の後、インクのドット数から予想インク使用量が計算され、その模擬データが前記記録媒体Aに記録可能なデータとは別の新たに生成されたジョブIDに関連付けられてデータ管理手段75を介してデータ保存手段80に保存されるよう構成されている。
この演算処理の経過は、図25に示した入力ジョブ画面85には表示されない。入力ジョブ画面85上方の「演算ジョブ」というラジオボタンを押すと、図27に示すような、演算ジョブ画面87に切り替わるようになっており、表示入力手段71は、画像記録ジョブの演算処理状況をこの演算ジョブ画面87で一覧表示するよう構成されている。
この演算ジョブ画面87では、前述した入力ジョブ画面85(図25参照)と同様に、各画像記録ジョブについて、新たに生成されたジョブIDやジョブ名、布種、出力サイズ等が一覧表示され、前記のように入力ジョブ画面85で選択され「演算開始」ボタンを押された画像記録ジョブは、この一覧表示の最下位に追加されるようになっている。より具体的に言えば、演算ジョブ画面87の一覧表示の最下位には、前記画像情報送信装置3のブリッジ34で演算のみを指定した場合には記録媒体Aに記録可能なデータについての新たなジョブID等が1列追加表示され、インク使用量シミュレーションのみを指定した場合には模擬データについての新たなジョブID等が1列追加表示され、演算とインク使用量シミュレーションを指定した場合には記録媒体Aに記録可能なデータについての新たなジョブID等とシミュレーション結果である模擬データについての新たなジョブID等の2列が追加表示されるよう構成されている。
また、表示入力手段71は、画像記録ジョブの演算処理状況について、一定時間おきにジョブ管理手段72を介して演算処理手段74及びデータ管理手段75の少なくとも一方に対して画像記録ジョブの演算処理状態に関する情報を送信させるよう構成されており、演算処理手段74及びデータ管理手段75は、演算処理状態の問い合わせに応じて、演算処理の進捗度や予想演算時間等の情報を報告し、表示入力手段71に返信するよう構成されている。そのため、演算ジョブ画面87の「演算進捗度」や「データサイズ(Mbyte)」が一定時間おきに自動的に更新され、また、それに合わせて「状態」等の欄の表示が一定時間おきに自動的に更新されるよう構成されている。尚、「状態」欄には「演算済み」、「演算中」及び「演算待ち」等の表示がなされるようになっている。
演算ジョブ画面87の左下方には、入力ジョブ画面85と同様に、画像情報保存手段79(1次スプール)及びデータ保存手段80(2次スプール)の空き容量及び使用率がそれぞれ表示させるよう構成されている。
演算ジョブ画面87の右下方には、入力ジョブ画面85と同様に、種々のボタンが表示されている。この中で「削除」、「優先度上へ」及び「優先度下へ」の各ボタンを押すと、入力ジョブ画面85の場合と同様に、画像記録ジョブの一覧表示の中から選択された単数又は複数の画像記録ジョブが削除され、又は選択された画像記録ジョブの一覧表示内での優先順位を上げたり下げたりすることが可能となっている。また、演算処理中の画像記録ジョブを選択して「一時停止」ボタンを押すと演算処理が一時停止され、一時停止中の画像記録ジョブを選択して「再開」ボタンを押すと演算処理が再開され、一時停止中の画像記録ジョブを選択して「中断」ボタンを押すと演算処理を中断して一時停止中の画像記録ジョブが演算ジョブ画面87から削除され、演算済みの画像記録ジョブを選択して「再演算」ボタンを押すとその画像記録ジョブについて再演算処理が行われるよう構成されている。
また、演算ジョブ画面87の一覧表示の中から演算済みの画像記録ジョブを選択して「プロパティ設定」ボタンを押すと、図28に示すような、記録プロパティ設定画面88が表示されるようになっている。この記録プロパティ設定画面88では、画像情報送信装置3で設定した画像記録の処理内容又は前述した演算プロパティ設定画面86(図26参照)で変更された画像記録の処理内容が表示されるようになっており、再度変更することが可能とされている。
また、本実施形態では、その下方の「オプション」欄で、種々の画像記録条件の設定が可能となっている。ここで、記録プロパティ設定画面88は、「リカバリー打ち方をする」にチェックを入れることで、インクジェットプリンタ6の前述した8個ずつ2セットのヘッドのうち、1つ又は複数のヘッドが前述したノズル欠の状態となって一方のセットが使用できなくなった場合に、もう一方のセットだけで画像記録を行うように設定することが可能とされている。また、本実施形態のインクジェットプリンタ6は、前述したように、検知部62等により布帛の終端や布帛の継ぎ目を検知することが可能となっており、この記録プロパティ設定画面88では、布帛の終端や継ぎ目を検知した場合に、布帛を所定量(即ち図17における一定量L)送る、一時停止する、検知しないという3つの選択肢の中から選択することでインクジェットプリンタ6に対する処理の指示を入力できるようになっている。さらに、終端検知をした場合や継ぎ目検知をした場合に前述したヘッドのクリーニングを行うかどうかや布帛のしわを検知するか否かを選択できるよう構成されている。
図27に示した演算ジョブ画面87で、画像記録ジョブの一覧表示の中から、記録媒体Aに記録可能なデータについての画像記録ジョブを1つ選択して「記録ジョブ作成」ボタンを押すと、その画像記録ジョブが記録処理可能な、いわば待ち状態になるよう構成されている。本実施形態では、この演算ジョブ画面87では画像記録を開始する操作はできず、演算ジョブ画面87上方の「記録ジョブ」というラジオボタンを押すと、図29に示すような、いわゆる記録ジョブ画面89に切り替わるようになっており、表示入力手段71は、画像記録ジョブの記録処理状況をこの記録ジョブ画面89で一覧表示するよう構成されている。尚、インク使用量シミュレーションの結果である模擬データについての画像記録ジョブを選択して「記録ジョブ作成」ボタンを押してもその画像記録ジョブは記録ジョブ画面89には表示されないようになっている。
画像記録開始の操作は、この記録ジョブ画面89で画像記録ジョブを選択し、「記録開始」ボタンを押すことで開始されるよう構成されている。
また、図27に示した演算ジョブ画面87で、画像記録ジョブの一覧表示の中から、記録媒体Aに記録可能なデータについての画像記録ジョブを複数選択して「記録ジョブ作成」ボタンを押すと、図30に示すような、いわゆる出力割付設定画面90が表示されるようになっている。出力割付とは、図31(A)に示すように、1台のインクジェットプリンタ6を用いて記録媒体Aに対して横方向に同時に複数の同一の絵柄の画像又は異なる絵柄の画像を繰り返し記録することであり、幅の狭い布帛に画像記録する際の主走査方向の有効走査率の低下を防止するものである。図31(B)に示すように、1台のインクジェットプリンタ6を用いて幅の狭い複数の記録媒体A1、A2にそれぞれ同一の絵柄の画像又は異なる絵柄の画像を繰り返し記録する場合をも含む。
本実施形態の出力割付設定画面90(図30参照)では、演算ジョブ画面87(図27参照)の中から選択された複数の画像記録ジョブのジョブ名が、画面上部に割付ジョブ1から割付ジョブ4として表示されるようになっている。インクジェットプリンタ6では、割付ジョブの番号の小さい方から順番に横方向に並べて画像記録するよう構成されている。割付ジョブのジョブ名右側のスピンボタンで上下を指定することにより、そのジョブ名とその上側又は下側のジョブ名が入れ替わり、割付ジョブの順番が変更可能とされている。また、出力割付設定画面90では、割り付けられた複数の画像記録ジョブを1つの画像記録ジョブとして扱うために記録ジョブ名を入力できるようになっており、また、出力する長さを設定可能とされている。さらに、各画像記録ジョブの横方向の繰り返し数又は繰り返し長さを設定可能で、画像記録ジョブと画像記録ジョブとの割付間隔を設定できるよう構成されている。
図29に示した記録ジョブ画面89の一覧表示には、演算ジョブ画面87で1つの画像記録ジョブが選択された場合には、その画像記録ジョブのジョブIDとジョブ名等が最下位に追加されて表示され、演算ジョブ画面87で複数の画像記録ジョブが選択され出力割付された場合には出力割付設定画面90で設定され新たに生成された画像記録ジョブの記録ジョブ名とジョブ管理手段72により生成されたジョブID等が最下位に追加されて表示されるようになっている。表示される項目は、前述した入力ジョブ画面85や演算ジョブ画面87の場合と同様である。
記録ジョブ画面89の左下方には、同様に、画像情報保存手段79(1次スプール)及びデータ保存手段80(2次スプール)の空き容量及び使用率がそれぞれ表示させるよう構成されている。記録ジョブ画面89の右下方には種々のボタンが表示されていて、「削除」、「優先度上へ」及び「優先度下へ」の各ボタンを押すと、入力ジョブ画面85の場合と同様に、画像記録ジョブの一覧表示の中から選択された単数又は複数の画像記録ジョブが削除され、又は選択された画像記録ジョブの一覧表示内での優先順位を上げたり下げたりすることが可能となっている。
前述したように、画像記録のためのデータの出力処理は、記録ジョブ画面89で記録待ちの1つの画像記録ジョブを選択して「記録開始」ボタンを押すことで開始されるよう構成されている。ボタンが押されると、前述したように、表示入力手段71から選択された画像記録ジョブに対する出力処理の指示がジョブ管理手段72に送信され、ジョブ管理手段72は、その指示に応じてその画像記録ジョブに用いられるデータの出力リストを作成して出力処理手段76に出力リストを送付して出力指示を出すよう構成されており、出力処理手段76は、その出力指示に応じて、その出力リストに基づいてデータ管理手段75を介してデータ保存手段80から単数又は複数のデータを読み出してメモリ上でデータを順次配列してプリンタポートドライバ81及びUSBドライバ82を介してデータをインクジェットプリンタ6に出力するよう構成されている。
表示入力手段71は、画像記録ジョブの記録状況について、一定時間おきにジョブ管理手段72を介してデータ管理手段75及び出力処理手段76の少なくとも一方に対して画像記録ジョブの記録状態に関する情報を送信させるよう構成されており、表示入力手段71からの問い合わせに対して、データ管理手段75はデータ保存手段80からのデータの出力状態に関する情報を報告し、出力処理手段76はデータの出力処理状態に関する予想記録時間や記録進捗度等の情報を報告して表示入力手段71に返信するよう構成されている。表示入力手段71の記録ジョブ画面89では、それに合わせて「状態」及び「記録進捗度」等の欄の表示が一定時間おきに自動的に更新されるよう構成されている。尚、「状態」欄には「記録待ち」、「プリンタ待ち」、「記録中」及び「記録済み」等の表示がなされるようになっている。ここで、記録待ちの状態とは、演算ジョブ画面87で「記録ジョブ作成」ボタンが押された時点から、記録ジョブ画面89で「記録開始」ボタンが押される前までの画像記録ジョブの状態をいう。
また、記録中の画像記録ジョブを選択して「一時停止」ボタンを押すと記録処理が一時停止され、一時停止中の画像記録ジョブを選択して「再開」ボタンを押すと記録処理が再開され、一時停止中の画像記録ジョブを選択して「中断」ボタンを押すと記録処理を中断して画像記録ジョブの状態が記録待ちの状態に戻るよう構成されている。この一時停止は、例えば、画像記録中に記録媒体Aである布帛にしわがよったり、記録媒体A表面に異物を発見したりような場合に、画像記録装置5のオペレータがインクジェットプリンタのヘッドの主走査の動作を止めて、しわを修正したり異物を除去することを可能にするための機能である。また、画像記録中にヘッドのノズルからのインクの吐出が正常でないことを発見した場合にも一時停止することができ、ヘッドのクリーニング等を行うことができるよう構成されている。
尚、前記入力ジョブ画面85、演算ジョブ画面87及び記録ジョブ画面89では、それぞれ一覧表示されている画像記録ジョブを選択して特殊な操作をすることにより、その画像記録ジョブのプロパティ等のジョブ情報を確認できるよう構成されている。本実施形態では、一覧表示されている画像記録ジョブの部分をダブルクリックするとジョブ情報が記載された画面が表示されるようになっている。例えば、記録ジョブ画面89に一覧表示されている画像記録ジョブをダブルクリックすると、図32に示されるような画像記録ジョブのプロパティ状態を表示するプロパティ確認画面91が表示される。プロパティ確認画面91では、ジョブIDやジョブ名等のほか、演算プロパティや記録プロパティの状態が確認可能とされている。また、ラジオボタン部分で、「予想インク使用量」ボタンを押すとインクの色ごとに予想インク使用量が確認できる予想インク使用量確認画面92(図33参照)が表示され、「プレビュー」ボタンを押すとその画像記録ジョブで記録される画像を確認できるプレビュー画面93(図34参照)が表示されるようになっている。
尚、本実施形態では、このプレビュー画面93に表示される縮小されたプレビュー画像は、画像情報送信装置3が画像情報及びレイアウト情報を送信すると同時に、送信する画像情報に対応する画像をRGB画像に変換して縮小画像とし、ネットワーク2を介して送信してきたものを表示するようになっている。このように、画像情報送信装置3側でプレビュー画像を作成するようにすれば、画像編集手段31での画像編集に用いたRGB画像やその縮小画像を利用することができるため、システム全体として見た場合、効率的である。しかし、画像処理装置7が画像情報を受信する際に、縮小処理やRGB画像への変換を行うよう構成することも可能である。
前記プロパティ確認画面91や予想インク使用量確認画面92、プレビュー画面93はそれぞれ入力ジョブ画面85や演算ジョブ画面87における前記ジョブ情報で表示可能であるが、記録ジョブ画面89では、特に、出力割付情報を確認することができるよう構成されている。即ち、前記プロパティ確認画面91、予想インク使用量確認画面92又はプレビュー画面93のラジオボタン部分には「出力割付情報」ボタンが表示されるようになっており、このボタンを押すと、図35に示すような出力割付情報確認画面94が表示され、出力割付の結果新たに生成された画像記録ジョブのジョブIDやジョブ名等が画面上部に、また、出力割付に用いられた画像記録ジョブのジョブ名やジョブIDが画面下部に順番に表示されるようになっている。尚、記録ジョブ画面89で出力割付をしていない画像記録ジョブを選択した場合には、そのプロパティ確認画面91等のラジオボタン部分には「出力割付情報」ボタンが表示されないよう構成されている。
前記各確認画面で演算プロパティや記録プロパティ、出力割付等に修正すべき点が見出された場合には、前述したように、入力ジョブ画面85や演算ジョブ画面87の「プロパティ設定」ボタンを押して演算プロパティ設定画面86や記録プロパティ設定画面88を呼び出したり、演算ジョブ画面87で複数の画像記録ジョブを選択して出力割付設定画面90を呼び出して設定を変更することができる。
また、本実施形態では、インクジェットプリンタ6で画像を記録される記録媒体Aである布帛に関連して種々の設定をする布帛設定を行うことができるようになっていて、前記プリンタ画面84や入力ジョブ画面85等の画面切り替え用の図示しないタグを押すと布帛設定用の画面が表示されるようになっている。布帛設定では、図36(A)に示すように布幅検知画面100が表示され、数値を入れて布幅の右位置及び左位置を設定することができるようになっている。また、「布幅検知」ボタンを押すと、インクジェットプリンタ6が自動的に布幅検知を行って右位置及び左位置に数値が表示されるようになっており、その数値を変更することが可能とされている。
また、ヘッドの調整を行うことも可能で、図36(B)に示すように、送り調整・印字往復位置調整画面101では、布種データ名や送り量、双方向補正基準値、ヘッド高さ調整値を入力することができるようになっている。ここで、双方向補正とは、前述したように本実施形態のインクジェットプリンタ6がシリアルヘッド方式であり、前記キャリッジの往復移動にあわせて往路におけるノズルからのインクの吐出位置と復路におけるインクの吐出位置を一致させるような補正をいう。双方向補正基準値を入力すると、画面下方に表示された16個のヘッドそれぞれの双方向補正基準値を入力する部分にその数値が表示され、ヘッドごとにさらに補正基準値を入力することが可能となっている。「送り調整テストチャート」ボタンや「往復位置調整テストチャート」ボタンを押してテストチャートを印字し、その結果を見てさらに送り量や各ヘッドの双方向補正基準値を入力し直すことが可能とされている。
また、「メモ1」「メモ2」の欄にはオペレータがメモを書き入れることが可能となっており、この「メモ1」「メモ2」の欄に記載された内容が前述したプリンタ画面84の「メモ1」「メモ2」に表示されるよう構成されている。前述したように、布種の登録の際に、入力セットの一部として布帛の特徴を登録するようにし、この「メモ1」「メモ2」に表示するよう構成することも可能である。そして、同種の布帛でも前処理や後処理の条件が異なる場合等に別々の布種として登録しておけば、「メモ1」「メモ2」を参照しながら画像記録ジョブと同一の前処理又は後処理の条件の布種を選択することができ、布種の選択により、以前の画像記録の際に用いた送り量、双方向補正基準値、ヘッド高さ調整値等が以前の設定のまま表示されるため、条件変動による差を低減でき、正確に画像記録を行うことができる条件を保存することができる。さらに、前述したように、この内容が、画像処理装置7の表示入力手段71のみならず、情報端末4にも表示されるため、生産管理にも有効に利用することができる。
尚、本実施形態では、布帛設定において、布幅検知画面100及び送り調整・印字往復位置調整画面101がウィザード形式で順次表示され設定を行うことができるようになされているが、それぞれを独立に行うよう構成されていてもよい。
本実施形態では、インクジェットプリンタ6のメンテナンスを3つのレベルで行うことができるよう構成されている。
第1のレベルのメンテナンスは、インクジェットプリンタ6のオペレータ等が行うレベルの通常メンテナンスであり、ヘッドのノズルの前記ノズル欠を検知し、ヘッドクリーニングを行い、テストパターン印字等を行う。具体的には、前記プリンタ画面84や入力ジョブ画面85等の画面切り替え用の図示しないタグを押すと、図37に示すような通常メンテナンス画面110が表示されるようになっており、「ヘッド状態検査ウィザード」ボタンを押すと、ウィザード形式でノズル欠検知、ヘッドクリーニング及びテストパターン印字を一連の作業で簡単に行うことができるようになっている。
本実施形態では、ノズル欠検知等は独立に行うことも可能とされており、通常メンテナンス画面110の「ノズル欠検知」ボタンを押すと、図38に示すようなノズル欠検知画面111が表示されるよう構成されている。このノズル欠検知画面111では、ノズル欠検知を行うヘッドを個別に指定し、又は色別にヘッドを指定してノズル欠検知を行うことができるようになっている。また、全てのヘッドを指定することも可能とされている。「実行」ボタンを押すと、ノズル欠検知が実行され、その結果が表示されるようになっている。
通常メンテナンス画面110の「ヘッドクリーニング」ボタンを押すと、図39に示すようなヘッドクリーニング画面112が表示されるよう構成されている。このヘッドクリーニング画面112でも同様に、ヘッドクリーニングを行うヘッドを個別に指定し、又は色別にヘッドを指定してヘッドクリーニングを行うことができるようになっており、全てのヘッドを指定することも可能とされている。また、モード設定で種々のモードを選択することにより、各種メンテナンスを行うことができるようになっている。「実行」ボタンを押すとヘッドクリーニングが開始され、その結果が表示されるようになっている。通常メンテナンス画面110では、そのほか、テストパターン印字、ベルトクリーニング及びLUT管理を実行可能とされている。
第2のレベルのメンテナンスは、メンテナンスの教育を受けた管理者レベルのメンテナンスであり、図示しないが、ヘッド交換、クリーニング自動実行設定、サクションユニット掃除、ダンパエア抜き、インクジェットプリンタ6の各パラメータを画像処理装置7側に吸い上げるためのF−ROMへの格納、コンピュータ名の設定、TCP/IPアドレスの設定、ヘッド電圧設定等を行うことができるようになっている。ヘッド交換では、交換するヘッドの指定、ヘッド駆動電圧の設定、交換したヘッドの吸引、交換したヘッドのノズル欠検知、ノズル欠を検知したヘッドのクリーニング、各種チェックチャートのテスト印字、ヘッドの傾きや前後の位置調整、主走査方向及び副走査方向のギャップパラメータの設定等をウィザード形式で行うよう構成されている。
クリーニング自動実行設定では、電源投入時、画像記録開始時及び記録中に行われるヘッドクリーニングの要不要の設定、及び1度のクリーニングで3回まで行われるヘッドクリーニングの各回のモード(簡易モード、通常モード、強力モードの中から選択される。)の設定を行うことができるようになっている。尚、3回のヘッドクリーニングでクリーニングが正常に行われない場合には、エラー表示がなされる。ダンパエア抜きは、図38に示したノズル欠検知と同様に、ヘッドを個別に又は色別に指定し、或いは全てのヘッドを指定して行うことができるようになっている。
第3のレベルのメンテナンスは、メンテナンスに関して高い教育を受けた管理者レベルのメンテナンスであり、図示しないが、ファームウエア書き換え、クリーニング自動実行設定、工場出荷時設定、工場出荷データ保存、初期値設定、IOチェック、巻取り機や巻出し機、乾燥機、画像処理装置のシリアルナンバー入力、インクセット指定、任意データ設定等を行うことができるようになっている。インクセット指定では、前述したYMCKのセット、YMCKとライトYMCKのセット、或いはYMCKとオレンジ、バイオレット等との特色セット等から使用するインクセットの指定を行うことができるようになっており、この指定を変更すると、例えば、プリンタ画面84(図24参照)やノズル欠検知画面111(図38参照)、ヘッドクリーニング画面112(図39参照)等のインクセットの表示(Y、M、C、K、LY、LM、LC、LK等)がすべて変わるよう構成されている。また、任意データ設定では、インクジェットプリンタ6中の種々のパラメータを変更することができるようになっている。
次に、本発明の画像処理装置、画像記録装置及び画像記録システムの作用について説明する。
クライアントが、画像情報送信装置3(図3参照)の入力手段30に画像記録ジョブに用いる画像情報が書き込まれたMO等の情報記録媒体を挿入すると、入力手段30が画像情報を読み取って画像編集手段31に送る。クライアントは、モニタ等の表示手段32に表示された前記画像情報に対応する画像を見ながら、繰り返し画像作成や貼り付け、自動配置、繰り返し等の編集作業を行う。この編集作業により編集された画像情報及び作成された画像の配置情報等を含む1画像ブロック分のレイアウト情報は、クライアントの選択により、そのままの状態で或いは可逆圧縮されて記憶手段33に保存される。
クライアントは、画像情報送信装置3のブリッジ34を呼び出して、その設定画面35(図16参照)から画像記録の条件設定をする。設定画面35には、ネットワーク2に接続されている画像記録装置5の画像処理装置7が表示されるので、クライアントはその中から画像記録ジョブを送信する適当な画像処理装置7を選択する。また、この設定画面35を通じて画像処理装置7にジョブコメントを入力することができるため、クライアントは、画像記録装置5のオペレータに対して、記録媒体Aである布帛に関する注意事項や指示内容、画像記録の期限等を連絡することができる。さらに画像記録条件設定のオプションで、詳細に画像記録条件を設定することができる。
画像情報やレイアウト情報は、ネットワーク2を介して前記選択された画像記録装置5の画像処理装置7(図18参照)に送信され、受信管理手段70及びジョブ管理手段72を介して画像情報管理手段73に送られ、画像記録ジョブごとに画像情報保存手段79に保存される。その際、画像情報管理手段73により画像記録ジョブに対して前記ジョブ名とは異なる独自のジョブIDが付与され、画像情報やレイアウト情報はこのジョブIDに関連付けられて管理される。このジョブIDと画像記録条件等が表示入力手段71に送られて登録され、それらの情報が表示入力手段71の入力ジョブ画面85(図25参照)に表示される。画像記録装置5のオペレータは入力ジョブ画面85で登録された画像記録ジョブの受信状況を把握することができる。
オペレータは、入力ジョブ画面85の一覧表示の中から画像記録ジョブを選択して「優先度上へ」ボタン及び「優先度下へ」ボタンを押すことで、その画像記録ジョブの一覧表示内での優先順位を上げたり下げたりして変更することができる。また、クライアントから削除の要望があった場合には、オペレータは一覧表示の中から該当する画像記録ジョブを選択し「削除」ボタンを押すことでその画像記録ジョブを削除することができ、画像情報保存手段79内からその画像記録ジョブの画像情報やレイアウト情報を削除することができる。また、入力ジョブ画面85左下に表示される画像情報保存手段79(1次スプール)の空き容量が少なくなった場合等にも、オペレータは画像記録ジョブのデータサイズ等を参照しながら一覧表示の中から適当な画像記録ジョブを選択し「削除」ボタンを押すことで不必要となった画像記録ジョブを削除して効率的に画像情報保存手段79の空き容量を増やすことができる。
オペレータは、入力ジョブ画面85の一覧表示の中から画像記録ジョブを選択して「プロパティ設定」を押すと、演算プロパティ設定画面86(図26参照)を表示させることができ、この演算プロパティ設定画面86で、クライアントが画像情報送信装置3の画像編集手段31やブリッジ34の設定画面35で設定した演算処理の内容を、オペレータが必要に応じて変更することができる。また、画像情報送信装置3で設定された画像記録条件も同様に変更することができる。また、前述したように、演算プロパティ設定画面86が前記図19〜図23に示した誤差拡散処理のうちのいずれかの処理方法を選択できるよう構成されていれば、それらの中から適宜画像記録ジョブに適した処理方法を選択して誤差拡散処理の仕方を選択する。
また、オペレータは、一覧表示の中から画像記録ジョブを選択してダブルクリックすることで、プロパティ確認画面91(図32参照)や予想インク使用量確認画面92(図33参照)、プレビュー画面93(図34参照)を表示させて、ジョブ情報を確認することができる。その際、例えば、プロパティ確認画面91の演算プロパティや記録プロパティに修正すべき点があれば、入力ジョブ画面85の「プロパティ設定」ボタンを押して演算プロパティ設定画面86を表示させて設定を変更することができる。尚、入力ジョブ画面85から呼び出されるプロパティ画面91等には出力割付情報のラジオボタンは表示されない。
表示入力手段71の入力ジョブ画面85に一覧表示されている各画像記録ジョブは、オペレータに選択され「演算開始」ボタンを押されて初めて演算処理に移される。
このようにして表示入力手段71に演算処理の指示が入力されると、選択された画像記録ジョブのジョブIDに関連付けられた画像情報が画像情報保存手段79から演算処理手段74に読み込まれ、演算処理手段74で色変換処理や拡大処理を行った後、前記演算プロパティ設定画面86で選択された誤差拡散処理の処理方法に従って、この画像情報に対応する1画像ブロック分の画像Rがインクジェットプリンタ6の主走査方向及び副走査方向に繰り返して配列される状態(図19等参照)になるように、画像情報を必要な回数複製し、画像情報の配列を並べ替える。そして、それに対して誤差拡散処理等の演算処理が施されてドットイメージデータに変換され、このドットイメージデータのうち、前記特定の画像(図19等における網目部分)に対応する1画像分のデータのみを色ごとにランレングス法により可逆圧縮される。そして、新たに生成されたジョブIDに関連付けられてデータ保存手段80に保存される。
また、クライアントによりインク使用量シミュレーションが指定されている場合には、演算処理で得られたデータからインク使用量シミュレーションを行い、前記ドットイメージデータについて生成されるジョブIDとは別のジョブIDが生成され、そのジョブIDに関連付けられてシミュレーション結果である模擬データがデータ管理手段75を介してデータ保存手段80に保存される。この演算処理の状況は前記入力ジョブ画面85には表示されず、オペレータは、演算処理状況を演算ジョブ画面87(図27参照)で把握することができる。
オペレータは、入力ジョブ画面85での操作と同様に、演算ジョブ画面87の一覧表示の中から画像記録ジョブを選択して「優先度上へ」ボタン及び「優先度下へ」ボタンを押すことで、その画像記録ジョブの一覧表示内での優先順位を上げたり下げたりして変更することができる。また、クライアントから削除の要望があった場合や演算ジョブ画面87左下に表示されるデータ保存手段80(2次スプール)の空き容量が少なくなった場合には、オペレータは、一覧表示の中から画像記録ジョブを選択し「削除」ボタンを押すことで削除を指示された画像記録ジョブや不必要となった画像記録ジョブを削除することができ、データ保存手段80内からその画像記録ジョブの画像情報やレイアウト情報を削除して効率的にデータ保存手段80の空き容量を増やすことができる。
さらに、一覧表示の中から画像記録ジョブを選択して「プロパティ設定」を押すと、記録プロパティ設定画面88(図28参照)が表示され、クライアントが画像情報送信装置3の画像編集手段31やブリッジ34の設定画面35で設定した画像記録処理の内容を、オペレータが必要に応じて変更することができ、さらに詳細な画像記録条件の設定をすることができる。また、オペレータは、画像記録ジョブの演算処理を一時停止させたり、再開させたり、演算処理を中断して画像記録ジョブを一覧表示中から削除させたり、或いは再演算処理させたりすることができる。
また、オペレータは、入力ジョブ画面85の場合と同様に、演算ジョブ画面87の一覧表示の中から画像記録ジョブを選択してダブルクリックすることで、プロパティ確認画面91(図32参照)や予想インク使用量確認画面92(図33参照)、プレビュー画面93(図34参照)を表示させて、ジョブ情報を確認することができ、修正すべき点があれば、前記「プロパティ設定」ボタンを押して記録プロパティ設定画面86を表示させて設定を変更することができる。尚、演算ジョブ画面87から呼び出されるプロパティ画面91等にも出力割付情報のラジオボタンは表示されない。
表示入力手段71の演算ジョブ画面87に一覧表示されている記録媒体Aに記録可能なデータについての各画像記録ジョブは、オペレータに選択され「記録ジョブ作成」ボタンを押されて初めて画像記録処理に回され、記録待ちの状態になる。その際、オペレータは、一覧表示の中から1つの画像記録ジョブを選択して画像記録処理に移すことができるが、複数の画像記録ジョブを選択して出力割付により画像記録させることも可能である。複数の画像記録ジョブが選択されて「記録ジョブ作成」ボタンが押されると、出力割付設定画面90(図30参照)が表示され、オペレータは、複数の画像記録ジョブを1つの画像記録ジョブとして扱うために新たなジョブ名を設定し、出力割付の画像記録条件を設定する。
演算ジョブ画面87では、オペレータは、画像記録を開始する操作をすることができず、記録ジョブ画面89(図29参照)に切り替えて初めて画像記録開始の操作が可能となる。
オペレータは、記録ジョブ画面89の一覧表示の中から画像記録ジョブを選択し「記録開始」ボタンを押すことで画像記録を開始させる。このようにして表示入力手段71に画像記録処理の指示が入力されると、表示入力手段71から選択された画像記録ジョブに対する出力処理の指示がジョブ管理手段72に送信され、ジョブ管理手段72は、その指示に応じてその画像記録ジョブに用いられるデータの出力リストを作成して出力処理手段76に出力リストを送付して出力指示を出す。出力処理手段76は、その出力指示に応じて、その出力リストに基づいてデータ管理手段75を介してデータ保存手段80から単数又は複数のデータを読み出し、配置情報に基づいてメモリ上でデータを順次配列する。そして、画像記録条件に基づいて縦方向及び横方向に設定された回数分繰り返して出力し、プリンタポートドライバ81及びUSBドライバ82を介してインクジェットプリンタ6に送り、インクジェットプリンタ6により記録媒体Aに画像が記録される。
この出力処理手段76における処理を出力割付の場合について、より詳細に説明すると、画像記録ジョブに対して出力が選択された場合、出力処理手段76は、
1、選択された画像記録ジョブの処理済みの複数の記録可能なデータを順次読み出し、横方向にメモリ上で並べる。記録可能なデータの横方向の配列の際に画像ごとに横方向の指定がなされているため、それにあわせた繰り返しを画像ごとに行う。このとき、オペレータが予め指示した画像の間隔にあわせて、白地を追加する。
2、このデータが1ライン又は複数ライン用意できたところで、インクジェットプリンタ6に送信し、画像記録を行わせる。
3、縦方向の繰り返しについては、画像ごとの読み込み位置を管理し、一縦周期が終了するごとに、先頭から再度出力を行う。
このようにして、異なる画像(ただし記録解像度が同じもの)を同時に布帛上に記録することが可能なため、生産性のよい画像記録装置5を提供できる。この機能は、搬送ベルト上に複数の帯状の布帛をセットして異なる画像を記録する用途(例えば、異なる画像の反物を複数本生産する場合)や単一の布帛に複数の異なる画像を生産(色見本作成)する場合等に有効に利用することができる。
また、繰り返し画像の場合でも、送信される画像情報は単位画像に対応する画像情報のみを記憶するだけでよいため、入力画像保存領域を節約できる。インクジェットプリンタ6の速度が速い場合でも、誤差拡散処理を前もって行っているため、出力記録速度がこの演算処理速度に制約されず、さらに、ロール出力の場合でも誤差拡散処理済みの単位画像に対応する記録可能なデータのみを記録しておけばよいため、データ保存手段80の保存領域の節約も可能となる。
オペレータは、入力ジョブ画面85や演算ジョブ画面87での操作と同様に、記録ジョブ画面89の一覧表示の中から画像記録ジョブを選択して「優先度上へ」ボタン及び「優先度下へ」ボタンを押すことで、その画像記録ジョブの一覧表示内での優先順位を上げたり下げたりして変更することができる。また、クライアントから要望があった場合や入力ジョブ画面85左下に表示されるデータ保存手段80(2次スプール)の空き容量が少なくなった場合等には、オペレータは一覧表示の中から画像記録ジョブを選択し「削除」ボタンを押すことで不必要となった画像記録ジョブを削除することができ、データ保存手段80内からその画像記録ジョブの画像情報やレイアウト情報を削除することができる。また、オペレータは、画像記録ジョブの記録処理を一時停止させたり、再開させたり、画像記録処理を中断して画像記録ジョブを記録待ちの状態に戻したりすることができる。
また、オペレータは、入力ジョブ画面85や演算ジョブ画面87の場合と同様に、記録ジョブ画面89の一覧表示の中から画像記録ジョブを選択してダブルクリックすることで、プロパティ確認画面91(図32参照)や予想インク使用量確認画面92(図33参照)、プレビュー画面93(図34参照)を表示させて、ジョブ情報を確認することができる。また、出力割付をした場合には、出力割付情報確認画面94(図35参照)を表示させて、出力割付の状態を確認することができる。
このインクジェットプリンタ6での生産状況は、ネットワーク2に接続されたクライアント側の情報端末4(図1参照)でも監視することができ、情報端末4から問い合わせ信号が発信されると、ネットワーク2を介して画像記録装置5の画像処理装置7から画像記録した長さ、記録経過時間、記録開始時刻、記録終了予定時刻、インク残量、布帛の残量、エラー内容、エラー回避方法等の情報が返信されてくる。具体的には、前述したように、情報端末4の表示手段に、画像処理装置7の表示入力手段71に表示されるプリンタ画面84(図24参照)や入力ジョブ画面(図25参照)等と同様の画面が表示され、これらの画面で前記情報を確認することができる。
尚、前述したように、本実施形態では、情報端末4が画像処理装置7の受信管理手段70とネットワークを介してTCP/IPプロトコルで通信を行うのと同様に、表示入力手段71も受信管理手段70と同じプロトコルで通信を行う。そのため、ジョブ管理手段72は、情報端末4からの問い合わせ信号に対して、表示入力手段71からの要求に対する応答と同じプロトコルで応答することができる。
一方、画像記録装置5のオペレータは、インクジェットプリンタ6や巻出し機等の状態やインク状態を、プリンタ画面84(図24参照)により常時監視することができる。また、プリンタ画面84下方に、インクジェットプリンタ6の状態及び記録中の画像記録ジョブの情報の表示を行う欄が設けられていて、プリンタ画面84を前記入力ジョブ画面85等に切り替えてもこの部分は切り替わらず常時表示される。この欄の下方には、クライアントが画像情報送信装置3のブリッジ34の設定画面35で入力したジョブコメントが表示されており、オペレータはその内容を確認することで円滑に画像記録ジョブを実行することができる。
インクパック中のインクが無くなると、そのインクパックの部分が赤く表示される。また、インクジェットプリンタ6や巻出し機等又はインク状態に不具合が発生すると、プリンタ画面84の該当する部分に赤字でエラー内容が表示され、下方の欄にも赤字でエラー箇所とエラー内容が表示されるので、オペレータが的確且つ迅速に対処することができる。
また、オペレータは、前記布帛設定や各種メンテナンスを通じて、布幅設定やヘッド調整、ヘッドクリーニング、クリーニング自動実行設定、ヘッド交換等を行うことができる。
以上のように、本発明の画像記録装置5によれば、捺染の繰り返し単位である前記特定の画像に対応する画像情報のみに対して誤差拡散処理を施すのではなく、その周囲に位置すべき画像全体に対してそれに対応する画像情報に誤差拡散処理を施すため、特定の画像に対してその周囲の画像、特に、誤差拡散処理の順で主走査方向及び副走査方向の特定の画像の前側の画像に対応する画像情報の誤差拡散処理の影響が前記特定の画像に対応する画像情報の誤差拡散処理にも効果的に反映される。そのため、この特定の画像を繰り返して画像記録した場合には、特定の画像とその周囲の画像との自然な連続性が保たれ、従来例のような画像上の筋(図41参照)が生じることがない。
また、特定の画像が、インクジェットプリンタの副走査方向に1画像分で、主走査方向には出力幅分の画像になるようにして一体的に誤差拡散処理すれば、特に副走査方向の連続性が確実に保たれ、画像上の筋の発生をより確実に防止することができる。
さらに、本発明の画像記録装置5は、誤差拡散処理等の演算処理で形成されたドットイメージデータのうち、前記特定の画像に対応する1画像分のデータのみを保存するため、データの記憶容量が比較的小さい容量で済む。そのため、データ保存手段に多数のデータを格納することが可能となり、効率良く画像記録ジョブを実行することができる。
また、誤差拡散処理等の演算処理でドットイメージ化されたデータをランレングス符号化により可逆圧縮して保存することで、その後のインクジェットプリンタへの出力の際の転送時間の短縮を図ることができる。データ量としては、画像によって異なるが、平均して約30%程度の低減が可能である。画像情報と演算処理済みのデータとの複数の組み合わせをキャッシュの中にコピーしておくようにすることで、同一の画像情報が送信されてきた場合に演算処理を省略することができ、さらなる高速化を図ることができる。実験では、このキャッシングで、種々の画像に対して約10%程度の高速化を図ることができた。
本発明の画像記録システムという観点から見た場合、画像情報送信装置からは、捺染に用いる画像全体の画像情報を送信するのではなく、1画像ブロック分の画像情報が送信されるので、送信時間が短時間で済む。また、画像記録装置の画像処理装置における処理も、この1画像ブロック分の画像情報(前記特定の画像に対応する画像情報と同じ)をその周囲の画像情報の全体又は一部とともに演算処理するだけなので、処理時間を短縮することができる。
そのため、本発明の画像記録システムは、全体として非常に高速化されたものとなり、しかも、画像上に筋が発生することなく画像品質を維持可能で効率的に捺染を行うことができるものとなる。
尚、本実施形態では、画像記録装置5として、インクジェットプリンタ6と画像処理装置7とがそれぞれ独立した装置である場合を示したが(図1参照)、例えば、インクジェットプリンタ6に画像処理装置7を組み込むなどして両者を一体として形成することも可能である。画像記録装置5という場合、このように両者が一体形成されたものも含む。
また、本実施形態では、画像処理装置7とインクジェットプリンタ6との接続にUSBインターフェイスを用いているため、画像処理装置7にUSBドライバ82を用いたが、インターフェイスとしてSCSIやIEEE1394等を用いることも可能であり、画像処理装置7にはそれに適したドライバ等が適宜使用される。また、インクジェットプリンタ6側に画像処理装置7のCPU(Central Processing Unit)を組み込んで専用のインターフェイス接続とすることも可能である。
また、本発明の画像記録装置5のインクジェットプリンタ6としてシリアルヘッド方式のインクジェットプリンタを用い、記録媒体Aとして布帛に画像を捺染する場合を挙げたが、これに限定されないのは言うまでもない。