JP4352778B2 - 印刷装置、印刷方法、および印刷用プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷装置、印刷方法、および印刷用プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータの出力装置の一種として、画像またはテキスト等の情報をインクまたはトナーによって印刷用紙に印刷するプリンタが広く用いられている。
【0003】
このようなプリンタにおいて、画像またはテキスト等の情報を印刷する場合には、アプリケーションプログラムまたはプリンタドライバプログラムにおいて印刷用紙のサイズを指定し、そのサイズの印刷用紙をプリンタのストッカ等に供給した後、所定の操作を行うことにより印刷処理が実行される。
【0004】
ところで、アプリケーションプログラムにおいて指定した用紙のサイズと、ストッカ等に実際に供給された印刷用紙のサイズとが異なる場合には、正常な印刷処理が実行されない場合がある。
【0005】
そこで、そのような場合には、画像を自動的に拡大または縮小して印刷する方法を本願出願人がすでに提案している(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平08−258362号公報(請求の範囲、要約)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示す方法では、拡大または縮小等の処理が自動的に行われてしまうために、ユーザが意図しない方法で印刷がなされてしまう場合が多い。
【0008】
また、印刷用紙のサイズのみならず、他の属性(例えば、印刷用紙の厚さ)に応じて異なる処理を実行することが望ましい場合もあるが、従来においては、そのような方法は呈示されていない。
【0009】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、指定されたものとは異なる属性の印刷用紙が使用された場合であっても最適な印刷を行うことが可能な印刷装置、印刷方法、および印刷用プログラムを提供しよう、とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、課題を解決するために、印刷媒体に所定の情報を印刷する印刷装置において、所定の情報を印刷しようとする印刷媒体の属性を設定する属性設定手段と、実際に印刷対象となる印刷媒体の属性を検出する属性検出手段と、属性設定手段によって設定された属性と、属性検出手段によって検出された属性とを比較する比較手段と、比較手段の比較結果に応じた印刷処理を実行する印刷処理手段と、を有している。
【0011】
このため、指定されたものとは異なる属性の印刷用紙が使用された場合であっても最適な印刷を行うことが可能となる。
【0012】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、印刷媒体の属性は、印刷媒体のサイズであり、属性検出手段は、印刷媒体の主走査方向の幅を検出することにより、印刷媒体のサイズを推測する、ようにしている。このため、印刷媒体のサイズを簡易に検出することができる。
【0013】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、属性検出手段は、印刷ヘッドに具備された光学センサと、当該印刷ヘッドの主走査方向の位置を検出するエンコーダにより、印刷媒体の主走査方向の幅を検出するようにしている。このため、印刷用紙の端部を検出するために設けられている光学センサを流用して印刷媒体のサイズを検出することが可能になる。
【0014】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、印刷処理手段は、属性設定手段に設定された印刷媒体のサイズよりも、属性検出手段によって検出された印刷媒体のサイズの方が大きい場合には、所定の情報を印刷媒体の中央に位置するようにセンタリング処理を実行するようにしている。このため、設定とは異なる印刷媒体が使用された場合であっても適切に印刷を行うことができる。
【0015】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、印刷処理手段は、属性設定手段に設定された印刷媒体のサイズよりも、属性検出手段によって検出された印刷媒体のサイズの方が大きい場合には、所定の情報を拡大する処理を実行するようにしている。このため、設定とは異なる印刷媒体が使用された場合であっても適切に印刷を行うことができる。
【0016】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、印刷処理手段は、属性設定手段に設定された印刷媒体のサイズよりも、属性検出手段によって検出された印刷媒体のサイズの方が小さい場合には、所定の情報を縮小する処理を実行するようにしている。このため、設定とは異なる印刷媒体が使用された場合であっても適切に印刷を行うことができる。
【0017】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、印刷処理手段は、属性設定手段に設定された印刷媒体のサイズよりも、属性検出手段によって検出された印刷媒体のサイズの方が小さい場合には、印刷媒体のサイズに合わせて所定の情報の一部を切り抜く処理を実行するようにしている。このため、設定とは異なる印刷媒体が使用された場合であっても適切に印刷を行うことができる。
【0018】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、印刷処理手段は、インターレース方式により所定の情報を印刷する処理を実行するとともに、印刷媒体のサイズに応じた位置において後端処理を実行するようにしている。このため、印刷媒体の適切な位置において後端処理を実行することが可能になる。
【0019】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、印刷媒体の属性は、印刷媒体の厚さであり、印刷処理手段は、印刷媒体の厚さが所定の値よりも大きい場合には、印刷媒体の後端に所定の空白部分を設けるように印刷処理を実行するようにしている。このため、厚い印刷媒体が用いられた場合には、印刷媒体の後端部分の印刷が正常に行われるように、空白部分を設けることができる。
【0020】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、印刷処理手段は、空白部分を除く印刷媒体の印刷可能範囲よりも、所定の情報のサイズの方が小さい場合には、所定の情報を印刷媒体の中央に位置するようにセンタリングする処理を実行するようにしている。このため、このため、設定とは異なる印刷媒体が使用された場合であっても適切に印刷を行うことができる。
【0021】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、印刷処理手段は、空白部分を除く印刷媒体の印刷可能範囲よりも、所定の情報のサイズの方が小さい場合には、所定の情報を拡大する処理を実行するようにしている。このため、設定とは異なる印刷媒体が使用された場合であっても適切に印刷を行うことができる。
【0022】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、印刷処理手段は、空白部分を除く印刷媒体の印刷可能範囲よりも、所定の情報のサイズの方が大きい場合には、所定の情報を縮小する処理を実行するようにしている。このため、設定とは異なる印刷媒体が使用された場合であっても適切に印刷を行うことができる。
【0023】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、印刷処理手段は、空白部分を除く印刷媒体の印刷可能範囲よりも、所定の情報のサイズの方が大きい場合には、印刷媒体のサイズに合わせて所定の情報の一部を切り抜く処理を実行するようにしている。このため、設定とは異なる印刷媒体が使用された場合であっても適切に印刷を行うことができる。
【0024】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、印刷処理手段は、インターレース方式により所定の情報を印刷する処理を実行するとともに、印刷媒体のサイズに応じた位置において後端処理を実行するようにしている。このため、印刷媒体の適切な位置において後端処理を実行することが可能になる。
【0025】
また、本発明は、印刷媒体に所定の情報を印刷する印刷方法において、所定の情報を印刷しようとする印刷媒体の属性を設定する属性設定ステップと、実際に印刷対象となる印刷媒体の属性を検出する属性検出ステップと、属性設定ステップによって設定された属性と、属性検出ステップによって検出された属性とを比較する比較ステップと、比較ステップの比較結果に応じた印刷処理を実行する印刷処理ステップと、を有するようにしている。
【0026】
このため、この方法を用いれば、指定されたものとは異なる属性の印刷用紙が使用された場合であっても最適な印刷を行うことが可能となる。
【0027】
また、本発明は、印刷媒体に所定の情報を印刷する処理をコンピュータに機能させるコンピュータ読み取り可能な印刷用プログラムにおいて、コンピュータを、所定の情報を印刷しようとする印刷媒体の属性を設定する属性設定手段、実際に印刷対象となる印刷媒体の属性を検出する属性検出手段、属性設定手段によって設定された属性と、属性検出手段によって検出された属性とを比較する比較手段、比較手段の比較結果に応じた印刷処理を実行する印刷処理手段、として機能させるようにしている。
【0028】
このため、このプログラムを用いれば、指定されたものとは異なる属性の印刷用紙が使用された場合であっても最適な印刷を行うことが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0030】
まず、本発明の実施の形態に係る情報処理装置の概要について、図1および図2を参照しつつ説明する。なお、以下では、プリンタ22とコンピュータ90の組み合わせを「印刷装置」と称する。
【0031】
図1は、印刷装置を構成するプリンタ22の概略構成図であり、図2は、制御回路40を中心としたプリンタ22の主要部の構成例を示すブロック図である。
【0032】
図1に示すように、プリンタ22は、紙送りモータ23によって印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ31を紙送りローラ26の軸方向に往復動させる主走査送り機構とを有している。ここで、副走査送り機構による印刷用紙Pの送り方向を副走査方向といい、主走査送り機構によるキャリッジ31の移動方向を主走査方向という。
【0033】
また、プリンタ22は、キャリッジ31に搭載され、印刷ヘッド12を備えた印刷ヘッドユニット60と、この印刷ヘッドユニット60を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御するヘッド駆動機構と、これらの紙送りモータ23、キャリッジモータ24、印刷ヘッドユニット60および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。
【0034】
つぎに、印刷ヘッド12の構成について、図1を参照しつつ説明する。
【0035】
キャリッジ31には、図1に示すように、ブラック(K)のインクを収納したカートリッジ71、シアン(C)のインクを収納したカートリッジ72、マゼンタ(M)のインクを収納したカートリッジ73、イエロー(Y)のインクを収納したカートリッジ74の4つのインクカートリッジ71〜74が着脱可能に搭載される。
【0036】
キャリッジ31の下部には印刷ヘッド12が設けられている。印刷ヘッド12には、インク吐出箇所としてのノズルが印刷用紙Pの搬送方向に列状に配置され、それぞれの色のインクに対応したノズル列を形成している。
【0037】
また、キャリッジ31の下部に設けられ、各インクに対応づけられたノズル列には、ノズル毎に、電歪素子の1つであって応答性に優れたピエゾ素子が配置されている。ピエゾ素子は、ノズルまでインクを導くインク通路を形成する部材に接する位置に設置されている。ピエゾ素子は、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う。
【0038】
本実施の形態では、ピエゾ素子の両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加することにより、ピエゾ素子が電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路の一側壁を変形させる。この結果、インク通路の体積はピエゾ素子の伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって、ノズルの先端から高速に吐出される。このインク滴が紙送りローラ26に沿わされた印刷用紙Pに染み込むことにより、ドットが形成されて印刷が行われる。インク滴の大きさは、ピエゾ素子への電圧の印加方法によって変更することができる。これにより、大、中、小の3種類の異なる大きさのドットを形成することができる。
【0039】
制御回路40は、コネクタ56を介してコンピュータ90に接続されている。コンピュータ90は、後述するようにプリンタ22用のドライバプログラムを搭載し、入力装置であるキーボードや、マウス等の操作によるユーザの指令を受け付け、また、プリンタ22における種々の情報を表示装置の画面表示によりに提示するユーザインターフェースを構成している。
【0040】
印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構は、紙送りモータ23の回転を紙送りローラ26と用紙搬送ローラ(図示せず)とに伝達するギヤトレイン(図示せず)を備える。
【0041】
また、キャリッジ31を往復動させる主走査送り機構は、紙送りローラ26の軸と並行に架設されキャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検出するための光学センサ39とを備えている。なお、属性検出手段の一部である光学センサ39は、光を印刷用紙Pに対して投射する光源と、印刷用紙Pからの反射光を対応する画像信号に変換するフォトダイオード(または、CCD素子)とによって構成されている。
【0042】
図2に示すように、制御回路40は、CPU(Central Processing Unit)41、プログラマブルROM(P−ROM(Read Only Memory))43、RAM(Random Access Memory)44、文字のドットマトリクスを記憶したキャラクタジェネレータ(CG(Character Generator))45、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)46、およびエンコーダ47を備えた算術論理演算回路として構成されている。なお、属性検出手段の一部であるエンコーダ47は、キャリッジモータ24に具備された、同じく属性検出手段の一部である検出部48からの検出信号に基づいて、キャリッジ31の主走査方向における位置を検出する。
【0043】
この制御回路40は、さらに、外部のモータ等とのインタフェース(I/F(Interface))であるI/F専用回路50と、このI/F専用回路50に接続され印刷ヘッドユニット60を駆動してインクを吐出させるヘッド駆動回路52と、紙送りモータ23およびキャリッジモータ24を駆動するモータ駆動回路54とを備えている。
【0044】
I/F専用回路50は、パラレルインタフェース回路を内蔵しており、コネクタ56を介してコンピュータ90から供給される印刷信号PSを受け取ることができる。
【0045】
つぎに、属性設定手段であり、比較手段であり、かつ、印刷処理手段であるコンピュータ90の構成について、図3を参照しつつ説明する。
【0046】
図3に示すように、コンピュータ90は、CPU91、ROM92、RAM93、HDD(Hard Disk Drive)94、ビデオ回路95、I/F96、バス97、表示装置98、入力装置99および外部記憶装置100によって構成されている。
【0047】
ここで、CPU91は、ROM92やHDD94に格納されているプログラムに従って各種演算処理を実行するとともに、装置の各部を制御する制御部である。
【0048】
ROM92は、CPU91が実行する基本的なプログラムやデータを格納しているメモリである。RAM93は、CPU91が実行途中のプログラムや、演算途中のデータ等を一時的に格納するメモリである。
【0049】
HDD94は、CPU91からの要求に応じて、記録媒体であるハードディスクに記録されているデータやプログラムを読み出すとともに、CPU91の演算処理の結果として発生したデータを前述したハードディスクに記録する記録装置である。
【0050】
ビデオ回路95は、CPU91から供給された描画命令に応じて描画処理を実行し、得られた画像データを映像信号に変換して表示装置98に出力する回路である。
【0051】
I/F96は、入力装置99および外部記憶装置100から出力された信号の表現形式を適宜変換するとともに、プリンタ22に対して印刷信号PSを出力する回路である。
【0052】
バス97は、CPU91、ROM92、RAM93、HDD94、ビデオ回路95およびI/F96を相互に接続し、これらの間でデータの授受を可能とする信号線である。
【0053】
表示装置98は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタによって構成され、ビデオ回路95から出力された映像信号に応じた画像を表示する装置である。
【0054】
入力装置99は、例えば、キーボードやマウスによって構成されており、ユーザの操作に応じた信号を生成して、I/F96に供給する装置である。
【0055】
外部記憶装置100は、例えば、CD−ROM(Compact Disk-ROM)ドライブユニット、MO(Magneto Optic)ドライブユニット、FDD(Flexible Disk Drive)ユニットによって構成され、CD−ROMディスク、MOディスク、FDに記録されているデータやプログラムを読み出してCPU91に供給する装置である。また、MOドライブユニットおよびFDDユニットの場合には、CPU91から供給されたデータを、MOディスクまたはFDに記録する装置である。
【0056】
図4は、コンピュータ90に実装されているプログラムおよびドライバの機能について説明する図である。なお、これらの機能は、コンピュータ90のハードウエアと、HDD94に記録されているソフトウエアとが協働することにより実現される。この図に示すように、コンピュータ90には、アプリケーションプログラム201、ビデオドライバプログラム202、およびプリンタドライバプログラム210が実装されており、これらが所定のオペレーティングシステム(OS)の下で動作している。
【0057】
ここで、アプリケーションプログラム201は、例えば、画像処理プログラムであり、ディジタルカメラ等から取り込まれた画像を加工処理したり、ユーザによって描画された画像を加工処理したりした後、プリンタドライバプログラム210およびビデオドライバプログラム202に出力する。
【0058】
ビデオドライバプログラム202は、ビデオ回路95を駆動するためのプログラムであり、例えば、アプリケーションプログラムから供給された画像データに対してガンマ処理やホワイトバランスの調整等を行った後、映像信号を生成して表示装置98に供給して表示させる。
【0059】
プリンタドライバプログラム210は、解像度変換モジュール211、用紙情報テーブル212、色変換モジュール213、色変換テーブル214、ハーフトーンモジュール215、記録率テーブル216、および印刷データ生成モジュール217によって構成されており、アプリケーションプログラム201によって生成された画像データに対して後述する種々の処理を施して印刷データを生成し、プリンタ22に供給する。
【0060】
ここで、解像度変換モジュール211は、アプリケーションプログラム201から供給された画像データの解像度を、印刷ヘッド12の解像度に応じて変換する処理を行う。
【0061】
用紙情報テーブル212は、プリンタ22に印刷用紙Pが給紙された場合に、当該印刷用紙Pの用紙サイズおよび用紙種類を格納するためのテーブルである。例えば、用紙サイズとしてはA3,A4,A5,B5等が格納され、また用紙種類としては特に用紙の厚さに関する情報が格納される。
【0062】
色変換モジュール213は、RGB(Red, Green, Blue)表色系によって表現されている画像データを、色変換テーブル214を参照して、CMYK(Cyan, Magenta, Yellow, Black)表色系の画像データに変換する処理を行う。
【0063】
ハーフトーンモジュール215は、後述するようにディザ処理により、CMYK表色系によって表された画像データを、記録率テーブル216を参照して、大、中、小の3種類のドットの組み合わせからなるビットマップデータに変換する。
【0064】
印刷データ生成モジュール217は、ハーフトーンモジュール215から出力されたビットマップデータから、各主走査時のドットの記録状態を示すラスタデータと、副走査送り量を示すデータとを含む印刷データを生成して、プリンタ22に供給する。
【0065】
つぎに、図5を参照して、図1に示すコンピュータ90により画像データを印刷する場合の処理について説明する。図5に示す処理は、HDD94に格納されている所定の画像データ(画像ファイル)が、入力装置99により指定され、当該画像データに関連付けられているアプリケーションプログラム201が起動された場合に実行される。このフローチャートが開始されると、以下のステップが実行される。
【0066】
ステップS10:アプリケーションプログラム201は、アプリケーションプログラム201の編集画面を表示させるための情報をHDD94から取得し、ビデオ回路95に供給する。その結果、図6に示すような、画面250が表示装置98に表示される。
【0067】
図6に示す表示例では、画面250の上部には、メニューとしてファイル251、編集252、およびオプション253が表示されている。また、その下には編集の対象となる画像が表示される表示領域255がある。この例では、表示領域255には、画像が表示されているが、実際には、ステップS10の処理が終了した時点では画像は表示されていない。
【0068】
ステップS11:アプリケーションプログラム201は、アプリケーションプログラム201を起動する際に指定された画像データを、HDD94から読み取る。
【0069】
ステップS12:アプリケーションプログラム201は、ステップS11において読み取られた画像データを、表示領域255に表示する。その結果、表示領域255には、図6に示すように、例えば、ディジタルカメラ等によって撮影されたヘリコプターの画像が表示される。
【0070】
ステップS13:アプリケーションプログラム201は、表示領域255に表示されている画像を印刷する操作がなされたか否かを判定する。具体的には、図7に示すように、ファイル251が操作されることにより表示されるプルダウンメニュー254から「印刷」が選択されたか否かを判定し、選択された場合にはステップS14に進み、それ以外の場合には同様の処理を繰り返す。
【0071】
ステップS14:アプリケーションプログラム201は、表示装置98に対して印刷画面を表示させる。その結果、表示装置98には、図8に示すような画面270が新たに表示される。
【0072】
この表示例では、画面270には、タイトル271、テキストボックス272〜275、およびボタン276が表示されている。ここで、タイトル271である「印刷」はこの画面270が印刷用の画面であることを示す。テキストボックス272には画像データの出力先のプリンタの名前が自動的に入力される。この例では、「PRNT−001」が入力されている。テキストボックス273には、印刷に使用する印刷用紙の種類が自動的に入力される。この例では「PM写真紙」が入力されている。テキストボックス274には、印刷用紙のサイズが自動的に入力される。この例では、「A4」が入力されている。テキストボックス275には、印刷枚数が入力される。この例では、「1」が初期値として自動的に入力されている。ボタン276は、入力された内容で印刷処理を開始する場合に操作される。テキストボックス272〜275に表示されるものは、それぞれアプリケーションプログラム201が取得している情報が初期値として表示されるが、ユーザが独自に入力したり、プルダウンメニューから選択したりするようにしてもよい。
【0073】
ステップS15:アプリケーションプログラム201は、図8に示す「OK」ボタン276が操作されたか否かを判定し、操作されたと判定した場合にはステップS16に進み、それ以外の場合には同様の処理を繰り返す。
【0074】
ステップS16:アプリケーションプログラム201は、図4に示す用紙情報テーブル212に格納されている用紙情報を取得する。
【0075】
ここで、用紙情報テーブル212に格納されている情報は、つぎのようにして取得される。すなわち、印刷が開始されると、まず、制御回路40は、紙送りモータ23を駆動し、印刷用紙Pを1枚だけプリンタ22の内部に吸引する。つぎに、制御回路40は、キャリッジモータ24を駆動してキャリッジ31を移動し、光学センサ39の出力を参照して、印刷用紙Pの上端部(最初に吸引された部分)を検出する。その結果、印刷用紙Pが正常に吸引されていることを検出するとともに、印刷用紙Pの上端部の位置を検出することができる。
【0076】
つぎに、制御回路40は、キャリッジモータ24を駆動し、図9に示すように、キャリッジ31を印刷用紙Pの左端まで移動させ、光学センサ39の出力の変化を参照して印刷用紙Pの左端部を検出する。このとき、制御回路40は、エンコーダ37の出力を参照し、印刷用紙Pの左端位置を数値データとして取得する。つぎに、制御回路40は、キャリッジ31を印刷用紙Pの右端まで移動させ、同じく光学センサ39の出力の変化を参照して印刷用紙Pの右端部を検出する。このとき、前述の場合と同様に、制御回路40は、エンコーダ47の出力を参照し、印刷用紙Pの右端位置を数値データとして取得する。
【0077】
このようにして、印刷用紙Pの左端および右端の位置情報が得られると、制御回路40は、左端および右端の位置情報の差分を求めることにより、印刷用紙Pの主走査方向の幅を求める。なお、エンコーダ47から得られるデータは、例えば、整数値を示すデータであるので、これを対応する距離(mm)に変換する処理を実行する。なお、当該変換には、エンコーダ47の出力データと、距離(mm)との対応関係を示すテーブルを準備しておき、このテーブルを参照して変換することができる。
【0078】
印刷用紙Pの主走査方向の幅が求まると、制御回路40は、図10に示すテーブル(例えば、EEPROM46に予め格納されているテーブル)を参照し、プリンタ22に吸引された印刷用紙Pのサイズを特定する。例えば、印刷用紙Pの主走査方向の幅が210mmであることが特定された場合には、当該印刷用紙PのサイズはA4サイズであることが図10から特定される。
【0079】
なお、本実施の形態では、印刷用紙Pのサイズのみならず、厚みについても検出可能となっているが、厚みを検出する場合の動作については後述する。
【0080】
ステップS17:アプリケーションプログラム201は、ステップS16において取得した用紙情報(プリンタ22に吸引された印刷用紙Pの用紙サイズ)と、図8のテキストボックス274に入力された用紙サイズとを比較し、これらが等しいか否かを判定する。その結果、これらが等しいと判定した場合にはステップS18に進み、それ以外の場合にはステップS19に進む。例えば、ステップS16において取得した印刷用紙Pのサイズに関する情報が「A4」であり、図8のテキストボックス274に入力された用紙サイズが「A4」である場合にはステップS18に進むことになる。
【0081】
ステップS18:アプリケーションプログラム201は、図8に示す画面270において入力された情報を、プリンタドライバプログラム210に供給して設定処理を行う。そして、設定が完了した場合には、画像データをプリンタドライバプログラム210に供給して印刷処理を実行する。
【0082】
なお、ステップS18の印刷処理は、ステップS16において取得した用紙情報と、図8のテキストボックス274に入力された用紙サイズが等しい場合の処理であるので、通常どおりに、指定されたサイズの用紙に指定された画像が印刷されることになる。
【0083】
ステップS19:アプリケーションプログラム201は、ステップS16において取得した用紙情報と、図8のテキストボックス274に入力された用紙サイズが異なる場合の処理である特殊印刷処理を実行する。なお、この処理の詳細は、図11を参照して後述する。
【0084】
つぎに、図11を参照して、図5のステップS19に示す「特殊印刷処理」の詳細について説明する。このフローチャートが開始されると、以下のステップが実行される。
【0085】
ステップS40:アプリケーションプログラム201は、警告画面を表示する。図12は、警告画面の一例を示す図である。この図に示す画面290では、タイトル291、メッセージ292、およびボタン293,294が表示されている。ここで、タイトル291は画面290のタイトルを示す。この例では、タイトル291として「警告!」が表示されている。メッセージ292は、ユーザに対するメッセージであり、この例では、「印刷用紙が設定とは異なっています。拡大・縮小印刷する場合には「拡大・縮小」を、そのまま印刷する場合には「等倍」を操作してください。」が表示されている。ボタン293は、表示領域255に表示されている画像を拡大または縮小して印刷する場合に操作される。ボタン294は、表示領域255に表示されている画像を拡大・縮小することなくそのまま印刷する場合に操作される。
【0086】
ステップS41:アプリケーションプログラム201は、「拡大・縮小」ボタン293が操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS42に進み、それ以外の場合にはステップS45に進む。
【0087】
ステップS42:アプリケーションプログラム201は、画像のサイズ(画像を印刷用紙Pに印刷した際のサイズ)が、印刷用紙Pのサイズよりも小さい場合にはステップS43に進み、それ以外の場合にはステップS44に進む。例えば、図13の(A)に示すように、印刷用紙PAのサイズがA4サイズであり、画像300のサイズがB5サイズに設定されている場合にはステップS43に進む。一方、図13の(B)に示すように、印刷用紙PBのサイズがB5サイズであり、画像301のサイズがA4サイズに設定されている場合にはステップS44に進む。
【0088】
ステップS43:アプリケーションプログラム201は、解像度変換モジュール211に対して画像を拡大するように要請する。例えば、図13の(A)に示すように、印刷用紙PAのサイズがA4サイズであり、画像300のサイズがB5サイズに設定されている場合には、図13の(C)および(D)に示すように、画像の縦および横の長さがそれぞれ1.154(≒210mm/182mm)倍になるように拡大する。具体的には、解像度変換モジュール211は、補間処理によって画像を拡大する。そして、ステップS48の印刷処理に進む。
【0089】
ステップS44:アプリケーションプログラム201は、解像度変換モジュール211に対して画像を縮小するように要請する。例えば、図13の(B)に示すように、印刷用紙PBのサイズがB5サイズであり、画像301のサイズがA4サイズに設定されている場合には、図13の(E)および(F)に示すように、画像の縦および横の長さがそれぞれ0.867(≒182mm/210mm)倍になるように縮小する。具体的には、解像度変換モジュール211は、間引き処理によって画像を縮小する。そして、ステップS48の印刷処理に進む。
【0090】
ステップS45:アプリケーションプログラム201は、図12に示す「等倍」ボタン294が操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS46に進み、それ以外の場合にはステップS41に戻って同様の処理を繰り返す。
【0091】
ステップS46:アプリケーションプログラム201は、画像のサイズが印刷用紙Pのサイズより小さいか否かを判定し、小さい場合にはステップS47に進み、それ以外の場合にはステップS49に進む。例えば、図13の(A)に示すように、画像300のサイズが印刷用紙PAのサイズよりも小さい場合には、ステップS47に進み、図13の(B)に示すように、画像301のサイズが印刷用紙PBのサイズよりも大きい場合には、ステップS49に進む。
【0092】
ステップS47:アプリケーションプログラム201は、画像が印刷用紙Pの中央に印刷されるようにセンタリング処理を実行する。具体的には、印刷データ生成モジュール217においてラスタデータを生成する際に、紙送りデータを調整して、画像が印刷用紙Pの中央に位置するようにする。
【0093】
ステップS48:アプリケーションプログラム201は、プリンタドライバプログラム210に対して画像を印刷するように要求する。その結果、ステップS43において拡大された画像、ステップS44において縮小された画像、ステップS47においてセンタリングされた画像が印刷用紙Pに印刷された後、排紙される。
【0094】
ステップS49:アプリケーションプログラム201は、プリンタドライバプログラム210に対して、画像の切り抜き処理を実行するように要求する。具体的には、アプリケーションプログラム201は、図13の(B)に示す画像301を例に挙げると、印刷用紙PBからはみ出た部分302については印刷対象から除外するように解像度変換モジュール211に要求する。
【0095】
ステップS50:アプリケーションプログラム201は、プリンタドライバプログラム210に対して、印刷を開始するように要求する。その結果、画像の印刷が開始される。
【0096】
ステップS51:アプリケーションプログラム201は、後端処理を実行するようにプリンタドライバプログラム210に要求する。ここで、後端処理とは、インターレース印刷において、画像の後端部分が正常に終了するために必要な処理である。図14および図15は後端処理を説明するための図である。図14は、5個のノズル321〜325が副走査方向に1つ置きに配置された印刷ヘッド320が、5/720インチ単位で副走査方向に送られて印刷される場合(インターレース方式により印刷される場合)について説明する図である。なお、この例では、各ノズルの中心点間距離は、2/720インチに設定されている。
【0097】
このような印刷ヘッド320によって印刷を行う場合、まず、第1回目の走査では、ノズル321およびノズル322は使用しないで(インクを吐出しないで)印刷を行う。第2回目〜第4回目の走査では全てのノズル321〜325を使用して印刷を行う。その結果、図15に示すようなドットが印刷用紙P上に形成されることになる。ここで、図15に示す枠内を全て印刷するためには、最後の走査(第5回目の走査)において、図14に「×」印を付して示すようにノズル324および325からインクを吐出しないで走査を行う、いわゆる「後端処理」を実施する必要がある。
【0098】
なお、この例では、簡単な例を挙げて説明したが、実際のプリンタではさらに複雑な走査方法が採用されているので、ノズルを使用しないだけではなく、副走査方向の送り幅も後端処理部分では他の部分よりも短くなるように設定される。
【0099】
後端処理が完了すると、プリンタ22は、印刷が終了した印刷用紙Pを排出して処理を終了する。
【0100】
以上の実施の形態によれば、印刷ヘッド12に具備された光学センサ39によって印刷用紙Pの主走査方向の幅を検出し、検出された主走査方向の幅に応じて印刷用紙Pのサイズを推測し、推測されたサイズと設定されたサイズとが異なる場合には、ユーザの指定に応じて、拡大・縮小または等倍印刷するようにしたので、ユーザの希望に応じた印刷処理を実行することができる。
【0101】
なお、以上の実施の形態では、画像が印刷用紙Pのサイズよりも小さい場合には、無条件でセンタリング処理するようにしたが、印刷位置を設定可能としてもよい。
【0102】
また、以上の実施の形態では、拡大・縮小処理では、拡大・縮小された画像を印刷用紙Pに無条件に縁無し印刷するようにしたが、印刷範囲を設定可能としてもよい。
【0103】
また、以上の実施の形態では、印刷用紙Pの指定サイズと使用サイズとが異なる場合には、拡大・縮小印刷または等倍印刷のいずれかを行うようにしたが、印刷を中止したり、印刷用紙を排出した後に、正しいサイズの印刷用紙Pをプリンタ22に設定し直すことができるようにしてもよい。
【0104】
つぎに、印刷用紙Pの厚さを検出して、印刷方法を変更する場合の処理について説明する。
【0105】
図16は、印刷用紙Pの厚さを検出し、検出結果に応じて印刷方法を変更する処理の一例を説明するためのフローチャートである。このフローチャートは、例えば、HDD94に格納されている所定の画像データ(画像ファイル)が、入力装置99により指定され、当該画像データに関連付けられているアプリケーションプログラム201が起動された場合に実行される。このフローチャートが開始されると、以下のステップが実行される。
【0106】
ステップS70:アプリケーションプログラム201は、アプリケーションプログラム201の編集画面を表示させるための情報をHDD94から取得し、ビデオ回路95に供給する。その結果、前述した図6に示すような、画面250が表示装置98に表示される。なお、前述の場合と同様に、図6の例では、表示領域255には、画像が表示されているが、実際には、ステップS70の処理が終了した時点では画像は表示されていない。
【0107】
ステップS71:アプリケーションプログラム201は、アプリケーションプログラム201を起動する際に指定された画像データを、HDD94から読み取る。
【0108】
ステップS72:アプリケーションプログラム201は、ステップS71において読み取られた画像データを、表示領域255に表示する。その結果、図6に示すように、表示領域255には、例えば、ディジタルカメラ等によって撮影されたヘリコプターの画像が表示される。
【0109】
ステップS73:アプリケーションプログラム201は、表示領域255に表示されている画像を印刷する操作がなされたか否かを判定する。具体的には、前述した図7に示すように、ファイル251が操作されることにより表示されるプルダウンメニュー254から「印刷」が選択されたか否かを判定し、選択された場合にはステップS74に進み、それ以外の場合には同様の処理を繰り返す。
【0110】
ステップS74:アプリケーションプログラム201は、表示装置98に対して印刷画面を表示させる。その結果、表示装置98には、前述した図8に示すような画面270が新たに表示される。
【0111】
ステップS75:アプリケーションプログラム201は、図8に示す「OK」ボタン276が操作されたか否かを判定し、操作されたと判定した場合にはステップS76に進み、それ以外の場合には同様の処理を繰り返す。
【0112】
ステップS76:アプリケーションプログラム201は、図4に示す用紙情報テーブル212に格納されている用紙情報を取得する。
【0113】
この実施の形態では、用紙情報テーブル212に格納されている情報は、つぎのようにして取得される。すなわち、印刷が開始されると、まず、制御回路40は、紙送りモータ23を駆動し、印刷用紙Pを1枚だけプリンタ22の内部に吸引する。つぎに、制御回路40は、キャリッジモータ24を駆動してキャリッジ31を移動し、光学センサ39の出力を参照して、印刷用紙Pの上端部(最初に吸引された部分)を検出する。その結果、印刷用紙Pが正常に吸引されていることを検出するとともに、印刷用紙Pの上端部の位置を検出することができる。
【0114】
つぎに、制御回路40は、キャリッジモータ24を駆動し、キャリッジ31を印刷用紙Pの中央部分まで移動させて印刷用紙Pに対して光を投射し、その反射光の強度を検出する。そして、投射光の強度との比を算出することにより、印刷用紙Pの印刷面における光の反射率を求める。
【0115】
反射率が求まると、制御回路40は、図17に示す、反射率と用紙の種類との関係を示すテーブル(例えば、EEPROM46に格納されているテーブル)を参照して用紙の種類を特定し、特定結果をプリンタドライバプログラム210の用紙情報テーブル212に供給する。例えば、反射率が“80%”またはその近傍である場合には、「PM写真紙」が特定される。
【0116】
ステップS77:アプリケーションプログラム201は、ステップS76において取得した用紙情報を参照し、吸引された印刷用紙Pがボード紙であるか否かを判定する。その結果、ボード紙であると判定された場合にはステップS79に進み、それ以外の場合にはステップS78に進む。ここで、ボード紙とは、通常の印刷用紙よりもその厚さが厚い紙をいう。
【0117】
ステップS78:アプリケーションプログラム201は、図8に示す画面270において入力された情報を、プリンタドライバプログラム210に供給して設定する処理を行う。そして、設定が完了した場合には、画像データをプリンタドライバプログラム210に供給して印刷処理を実行する。なお、このとき、画像は、指定された範囲に印刷されることになる。
【0118】
ステップS79:アプリケーションプログラム201は、印刷用紙Pがボード紙である場合の処理である特殊印刷処理を実行する。なお、この処理の詳細は、図17を参照して後述する。
【0119】
つぎに、図18を参照して、図16のステップS79に示す「特殊印刷処理」の詳細について説明する。なお、フローチャートの説明に入る前に、図19を参照して、ボード紙の場合に特殊な処理が必要な理由について説明する。
【0120】
図19の(A)は、プリンタ22に印刷用紙Pとしてのボード紙が吸引された場合の状態を、主走査方向から眺めた場合の断面図である。なお、この図において、従動ローラ26aは、紙送りローラ26に従動して回転するローラであり、紙送りローラ26との間で印刷用紙Pを挟んで移送する。排紙ローラ350は、印刷が終了した後に、印刷用紙Pを排出するためのローラである。従動ローラ350aは、排紙ローラ350に従動して回転するローラであり、排紙ローラ350の間で印刷用紙Pを挟んで移送する。プラテン351は、キャリッジ31に対向する位置に設けられており、印刷用紙Pが印刷ヘッド12に対して常に水平状態となるように保持する。
【0121】
ここで、図19の(B)に示すように、印刷が終了する直前になると、印刷用紙Pの後端は、紙送りローラ26および従動ローラ26aから排出される。すると、印刷用紙Pであるボード紙は剛性が高いため、排紙ローラ350が支点となって、前端部が鉛直下方向に重力により押し下げられるので、後端部がキャリッジ31の印刷ヘッド12に接近または接触してしまう。したがって、このときに印刷を実行していると、インクが印刷用紙Pの意図しない位置に付着してしまうことになる。そこで、ボード紙の場合には、後端部分の所定の範囲には印刷を行わないようにしている。
【0122】
ところで、後端部分の所定の範囲に印刷を行わないようにすると、例えば、図8に示す画面270のテキストボックス273において、ボード紙以外の印刷用紙Pが選択されている場合において、ボード紙が使用された場合には、前述した印刷を行わない範囲分だけ印刷可能範囲が狭くなってしまう。したがって、ボード紙以外が選択されて作成された画像を、ボード紙に印刷するためには、後述するように、画像を縮小するか、画像の一部のみを印刷するかの選択を行って印刷を行うことが必要になる。これが、後述する特殊印刷処理である。
【0123】
図18に示す特殊印刷処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0124】
ステップS90:アプリケーションプログラム201は、表示装置98に対して警告画面を表示する。図20は、警告画面の一例を示す図である。この図に示す画面400では、タイトル401、メッセージ402、およびボタン403,404が表示されている。ここで、タイトル401は画面400のタイトルを示す。この例では、「警告!」が表示されている。メッセージ402は、ユーザに対するメッセージであり、この例では、「印刷用紙が設定とは異なっています。このままでは、画像の一部が印刷されません。縮小印刷する場合には「縮小」を、そのまま印刷する場合には「等倍」を操作してください。」が表示されている。ボタン403は縮小印刷を行う場合に操作される。また、ボタン404は等倍で印刷する場合に操作される。
【0125】
ステップS91:アプリケーションプログラム201は、「縮小」ボタン403が操作されたか否かを判定する。その結果、「縮小」ボタン403が操作されたと判定した場合には、ステップS92に進み、それ以外の場合にはステップS94に進む。
【0126】
ステップS92:アプリケーションプログラム201は、画像を縮小する処理を実行する。例えば、画像とボード紙とのサイズが図21の(A)に示す関係を有しているとする。すなわち、画像450は、ボード紙PCの範囲内には収まっているものの、後端部に設けられた印刷されない領域451にはみ出ているような場合である。ステップS92では、図21の(B)に示すように、縦および横方向の比率を一定に保ちながら、かつ、領域451に入らないように縮小する処理を実行し、図21の(C)に示すようにボード紙PCの印刷可能領域に収まるようにする。そして、ステップS93の処理に進む。
【0127】
ステップS93:アプリケーションプログラム201は、ステップS92において縮小された画面を印刷するようにプリンタドライバプログラム210に対して要求する。その結果、印刷用紙Pに画像が印刷されて排出されることになる。
【0128】
ステップS94:アプリケーションプログラム201は、図20に示す画面400において、「等倍」ボタン404が操作されたか否かを判定し、操作された場合にはステップS95に進み、それ以外の場合にはステップS91に戻って同様の処理を繰り返す。
【0129】
ステップS95:アプリケーションプログラム201は、画像を切り抜く処理を実行する。すなわち、図21の(D)に示すように、画像450のうち、ボード紙PCの印刷可能領域以外の部分については、除外する処理を実行する。その結果、図21の(E)に示すように、画像450は、ボード紙PCの印刷可能領域内に全て収まる状態となる。
【0130】
ステップS96:アプリケーションプログラム201は、プリンタドライバプログラム210に対して、ステップS95において切り抜き処理が施された画像の印刷を開始するように要請する。
【0131】
ステップS97:アプリケーションプログラム201は、プリンタドライバプログラム210に対して後端処理を実行するように要請する。すなわち、図21の(E)に示すように、印刷用紙Pの印刷されない領域451の直前において後端処理を実行し、印刷用紙Pの印刷可能範囲に画像450が全て収まるように後端処理を実行させる。
【0132】
以上の処理によれば、印刷用紙Pとしてボード紙がプリンタ22に挿入された場合にはこれを検出し、ユーザの要求に応じて縮小処理または切り抜き処理を実行した後に印刷するようにしたので、例えば、ボード紙を選択しないで画像を作成または編集した場合であっても、正常な範囲に画像を収めるようにするとともに、後端処理を正常に行うことが可能になる。
【0133】
なお、以上の実施の形態では、印刷用紙Pの反射率に基づいて、厚さが厚いボード紙を検出するようにしたが、これ以外にも印刷ヘッド12と印刷用紙Pとの隙間を調整するための操作部(図示せず)が操作されて、当該隙間が広くなるように調整された場合にはボード紙が使用されると判定するようにしてもよい。また、光または音波等が印刷用紙Pを透過する際の減衰率により厚さを検出することも可能である。また、ある一定以上の厚さの印刷用紙Pが挿入された場合には、自動的に接点の状態が変化するスイッチ等を用いることも可能である。また、紙送りローラ26と従動ローラ26aの少なくとも一方に磁気センサ等の検出素子を設け、他方の回転軸との距離を測定することで、印刷用紙Pの厚さを検出するようにしてもよい。同様の構成を排紙ローラ350と従動ローラ350aとに設けるようにしてもよい。
【0134】
また、以上の実施の形態では、ボード紙が使用された場合には、特殊印刷処理を実行するようにしたが、本発明は、ボード紙のみに限定されるものではなく、剛性の高い印刷用紙Pに対しても同様の処理を適用することが可能である。
【0135】
また、印刷しようとする画像が印刷可能領域内に収まっている場合には、図18に示す特殊印刷処理を実行しないでそのまま印刷するようにしてもよい。
【0136】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能である。例えば、以上の実施の形態では、インクとしては、CMYKの4色を用いるようにしたが、これら4色に加えて淡色系のインク(ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、ダークイエロー(DY))のインクを用いるようにしてもよい。
【0137】
また、以上の実施の形態では、ピエゾ素子を用いてインクを吐出するヘッドを備えたプリンタ22を用いているが、吐出駆動素子としては、ピエゾ素子以外の種々のものを利用することが可能である。例えば、インク通路に配置したヒータに通電し、インク通路内に発生する気泡(バブル)によりインクを吐出するタイプの吐出駆動素子を備えたプリンタに適用することも可能である。
【0138】
また、以上の実施の形態では、ストッカに貯留されている印刷用紙Pを自動的に給紙して印刷する場合を例に挙げて説明したが、例えば、手差しにより印刷用紙Pを供給する場合において、同様の処理を実行することも可能である。
【0139】
また、以上の実施の形態では、HDD94(または、外部記憶装置100)に格納されたアプリケーションプログラム201により、前述した処理を実行するようにしている。しかし、プリンタ22のP−ROM43に同等の機能を有するプログラムを格納しておき、このプログラムにより前述の処理を実行するようにしたり、コンピュータ90とプリンタ22によりこれらを分担して処理するようにしたりすることも可能である。
【0140】
なお、以上の処理機能を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MOなどがある。
【0141】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0142】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0143】
【発明の効果】
本発明によれば、指定されたものとは異なる属性の印刷用紙が使用された場合であっても最適な印刷を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る印刷装置の主要部分の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すプリンタの制御回路の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示すコンピュータの詳細な構成例を示すブロック図である。
【図4】図3に示すコンピュータのハードウエアとソフトウエアとが協働することにより実現される処理機能の一例を示す図である。
【図5】図1に示す印刷装置において、画像を印刷する際に実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】図5に示すフローチャートが実行された場合に、図3に示す表示装置に表示される画面の一例である。
【図7】図6に示す画面においてメニューとしての「ファイル」が操作された場合に表示されるプルダウンメニューの一例である。
【図8】図7に示すプルダウンメニューにおいて「印刷」が選択された場合に表示される画面の一例である。
【図9】図5に示すフローチャートが実行された際に、印刷用紙のサイズを測定する場合の動作について説明する図である。
【図10】図5の動作によって取得された印刷用紙の主走査方向の幅から用紙のサイズを求める際に参照されるテーブルの一例を説明するための図である。
【図11】図5に示す「特殊印刷処理」の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図12】図11に示すフローチャートが実行された場合に、図3に示す表示装置に表示される画面の一例である。
【図13】図12に示す画面において「拡大・縮小」ボタンまたは「等倍」ボタンが操作された場合の動作を説明するための図である。
【図14】図11に示すフローチャートが実行された場合に実行される後端処理の詳細を説明するための図である。
【図15】図11に示すフローチャートが実行された場合に実行される後端処理の詳細を説明するための他の図である。
【図16】図1に示す印刷装置において、画像を印刷する際に実行される処理の他の一例を説明するためのフローチャートである。
【図17】印刷用紙の反射率から用紙の種類を求める際に参照されるテーブルの一例を説明するための図である。
【図18】図16に示す「特殊印刷処理」の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図19】図16に示す特殊印刷処理が必要になる理由を説明するための図であり、(A)は印刷用紙が印刷されている状態を示し、(B)は印刷が終了して排紙する際の状態を示している。
【図20】図19に示すフローチャートが実行された場合に図3に示す表示装置に表示される画面の一例である。
【図21】図20に示す画面において「縮小」ボタンまたは「等倍」ボタンが操作された場合の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
22 プリンタ(情報処理装置の一部)
39 光学センサ(属性検出手段の一部)
47 エンコーダ(属性検出手段の一部)
48 検出部(属性検出手段の一部)
90 コンピュータ(情報処理装置の一部、属性設定手段、比較手段、印刷処理手段)
Claims (5)
- 印刷媒体に所定の情報を印刷する印刷装置において、前記所定の情報を印刷しようとする前記印刷媒体に関する用紙種類の属性を設定する属性設定手段と、実際に印刷対象となる前記印刷媒体に関する用紙種類の属性を前記印刷媒体に対して光学センサから投射する投射光の強度と、前記投射光に対する前記印刷媒体からの反射光の強度の比を用いて検出する属性検出手段と、前記属性設定手段によって設定された前記属性に依存する剛性と、前記属性検出手段によって検出された前記属性に依存する剛性とを比較する比較手段と、を備え前記比較手段にて、前記属性検出手段によって検出された前記属性に依存する剛性が前記属性設定手段によって設定された前記属性に依存する剛性に比べ大きいと判定された場合、判定結果に応じた印刷処理を実行する印刷処理手段と、を有することを特徴とする印刷装置。
- 前記比較手段にて、前記属性検出手段によって検出された前記属性中の用紙種類の剛性が前記属性設定手段によって設定された前記属性中の用紙種類の剛性に比べ大きいと判定された場合、印刷媒体の後端に所定の空白部分を設けるように印刷処理を実行する、ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
- 前記比較手段にて、前記属性検出手段によって検出された前記属性中の用紙種類の剛性が前記属性設定手段によって設定された前記属性中の用紙種類の剛性に比べ大きいと判定された場合、前記所定の情報を縮小する処理を実行することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
- 印刷媒体に所定の情報を印刷する印刷方法において、前記所定の情報を印刷しようとする前記印刷媒体に関する用紙種類の属性を設定する属性設定ステップと、実際に印刷対象となる前記印刷媒体に関する用紙種類の属性に対して光学センサから投射する投射光の強度と、前記投射光に対する前記印刷媒体からの反射光の強度の比を用いて検出する属性検出ステップと、前記属性設定ステップによって設定された前記属性に依存する剛性と、前記属性検出ステップによって検出された前記属性に依存する剛性とを比較する比較ステップと、を備え前記比較ステップにて、前記属性検出ステップによって検出された前記属性に依存する剛性が前記属性設定ステップによって設定された前記属性に依存する剛性に比べ大きいと判定された場合、判定結果に応じた印刷処理を実行する印刷処理ステップと、を有することを特徴とする印刷方法。
- 印刷媒体に所定の情報を印刷する処理をコンピュータに機能させるコンピュータ読み取り可能な印刷用プログラムにおいて、コンピュータを、前記所定の情報を印刷しようとする前記印刷媒体に関する用紙種類の属性を設定する属性設定手段と、実際に印刷対象となる前記印刷媒体に関する用紙種類の属性を前記印刷媒体に対して光学センサから投射する投射光の強度と、前記投射光に対する前記印刷媒体からの反射光の強度の比を用いて検出する属性検出手段と、前記属性設定手段によって設定された前記属性に依存する剛性と、前記属性検出手段によって検出された前記属性に依存する剛性を比較する比較手段と、を備え前記比較手段にて、前記属性検出手段によって検出された前記属性に依存する剛性が前記属性設定手段によって設定された前記属性中に依存する剛性に比べ大きいと判定された場合、判定結果に応じた印刷処理を実行する印刷処理手段、として機能させることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な印刷用プログラム。
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