以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
まず、印刷装置の概要について、図1から図5を参照しつつ説明する。図1は、インクジェットプリンタ(以下、「プリンタ」と略記する)22とコンピュータ90によって構成される印刷装置の概略構成図であり、図2は、ピクチャ用のCD−R120の詳細な構成例を示す図であり、図3は、普通のCD−R130の詳細な構成例を示す図であり、図4は、制御回路40を中心としたプリンタ22の構成例を示すブロック図であり、また、図5は、コンピュータ90の詳細な構成例を示す図である。
図1に示すように、プリンタ22は、紙送りモータ23によってCD−Rトレイ110を搬送する副走査送り機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ31を紙送りローラ26の軸方向に往復動させる主走査送り機構とを有している。ここで、副走査送り機構によるCD−Rトレイ110の送り方向を副走査方向といい、主走査送り機構によるキャリッジ31の移動方向を主走査方向という。
また、プリンタ22は、キャリッジ31に搭載され、印刷ヘッド12を備えた印刷ヘッドユニット60と、この印刷ヘッドユニット60を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御するヘッド駆動機構と、これらの紙送りモータ23、キャリッジモータ24、印刷ヘッドユニット60および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。
制御回路40は、コネクタ56を介してコンピュータ90に接続されている。コンピュータ90は、プリンタ22用のドライバを搭載し、入力装置であるキーボードや、マウス等の操作によるユーザの指令を受け付け、また、プリンタ22における種々の情報を表示装置の画面表示によりに提示するユーザインターフェイスを構成している。
CD−Rトレイ110を搬送する副走査送り機構は、紙送りモータ23の回転を紙送りローラ26と用紙搬送ローラ(図示せず)とに伝達するギヤトレイン(図示せず)を備える。
また、キャリッジ31を往復動させる主走査送り機構は、紙送りローラ26の軸と並行に架設されキャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、CD−R120の印刷開始位置を検出するための光学センサ39とを備えている。
検出手段である光学センサ39は、印刷用紙またはCD−R120に対して光を投射するための光源(例えば、LED(Light Emitting Diode))と、印刷用紙またはCD−R120によって反射されてきた光を電気信号に変換するための検出部(例えば、フォトダイオード)によって構成されており、CD−R120の位置を検出することにより、所望の位置に画像を印刷する。
CD−Rトレイ110は、CD−R120を嵌入して係止するために円形の凹部が設けられており、当該凹部にCD−R120を嵌入することにより、CD−R120の位置決めをするとともに、CD−R120が紙送りローラ26によって搬送可能となるようにする。
図2は、ピクチャ用のCD−R120(以下、単に「CD−R120」と称する)の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、CD−R120は、白色等の部材が塗布された印刷面121、図示せぬ記録再生装置に装着された場合に、回転軸が挿入される中心孔122によって構成されている。なお、印刷面121は、インクの浸透を受容する受容層によって構成され、受容層の下には情報を光学的に記録するための記録層が形成されている。
図3は、通常のCD−R130(以下、単に「CD−R130」と称する)の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、CD−R130は、白色等の部材が塗布された印刷面131、図示せぬ記録再生装置に装着された場合に、その一部にチャッキング部が圧着される透明領域132、および図示せぬ記録再生装置の回転軸が挿入される中心孔133を有している。なお、CD−R130もCD−R120の場合と同様に、印刷面131は、インクの浸透を受容する受容層によって構成され、受容層の下には情報を光学的に記録するための記録層が形成されている。
図2および図3の比較から分かるように、ピクチャ用のCD−R120は、通常のCD−R130と比較すると、透明領域132が無い分だけ、印刷面121が通常のCD−R130の印刷面131と比較して広くなっているため、より広い面積に画像を印刷することが可能となっている。
図4に示すように、制御回路40は、CPU(Central Processing Unit)41、プログラマブルROM(P−ROM(Read Only Memory))43、RAM(Random Access Memory)44、文字のドットマトリクスを記憶したキャラクタジェネレータ(CG(Character Generator))45、およびEEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)46を備えた算術論理演算回路として構成されている。
この制御回路40は、さらに、外部のモータ等とのインタフェース(I/F(Interface))であるI/F専用回路50と、このI/F専用回路50に接続され印刷ヘッドユニット60を駆動してインクを吐出させるヘッド駆動回路52と、紙送りモータ23およびキャリッジモータ24を駆動するモータ駆動回路54とを備えている。
I/F専用回路50は、パラレルインタフェース回路を内蔵しており、コネクタ56を介してコンピュータ90から供給される印刷信号PSを受け取ることができる。
つぎに、コンピュータ90の構成について、図5を参照しつつ説明する。
図5に示すように、コンピュータ90は、CPU91、ROM92、RAM93、HDD(Hard Disk Drive)94、ビデオ回路95、I/F96、バス97、表示装置98、入力装置99および外部記憶装置100によって構成されている。
ここで、判定手段であり、印刷方法変更手段であり、また、警告手段であるCPU91は、ROM92やHDD94に格納されているプログラムに従って各種演算処理を実行するとともに、装置の各部を制御する制御部である。
ROM92は、CPU91が実行する基本的なプログラムやデータを格納しているメモリである。RAM93は、CPU91が実行途中のプログラムや、演算途中のデータ等を一時的に格納するメモリである。
HDD94は、CPU91からの要求に応じて、記録媒体であるハードディスクに記録されているデータやプログラムを読み出すとともに、CPU91の演算処理の結果として発生したデータを前述したハードディスクに記録する記録装置である。
ビデオ回路95は、CPU91から供給された描画命令に応じて描画処理を実行し、得られた画像データを映像信号に変換して表示装置98に出力する回路である。I/F96は、入力装置99および外部記憶装置100から出力された信号の表現形式を適宜変換するとともに、プリンタ22に対して印刷信号PSを出力する回路である。
バス97は、CPU91、ROM92、RAM93、HDD94、ビデオ回路95およびI/F96を相互に接続し、これらの間でデータの授受を可能とする信号線である。
表示装置98は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタによって構成され、ビデオ回路95から出力された映像信号に応じた画像を表示する装置である。入力装置99は、例えば、キーボードやマウスによって構成されており、ユーザの操作に応じた信号を生成して、I/F96に供給する装置である。
外部記憶装置100は、例えば、CD−ROM(Compact Disk-ROM)ドライブユニット、MO(Magneto Optic)ドライブユニット、FDD(Flexible Disk Drive)ユニットによって構成され、CD−ROMディスク、MOディスク、FDに記録されているデータやプログラムを読み出してCPU91に供給する装置である。また、MOドライブユニットおよびFDDユニットの場合には、CPU91から供給されたデータを、MOディスクまたはFDに記録する装置である。
図6は、コンピュータ90に実装されているプログラムおよびドライバの機能について説明する図である。なお、これらの機能は、コンピュータ90のハードウエアと、HDD94に記録されているソフトウエアとが協働することにより実現される。この図に示すように、コンピュータ90には、アプリケーションプログラム151、ビデオドライバプログラム152、およびプリンタドライバプログラム160が実装されており、これらが所定のオペレーティングシステム(OS)の下で動作している。
ここで、アプリケーションプログラム151は、例えば、画像処理プログラムであり、ディジタルカメラ等から取り込まれた画像を加工処理したり、ユーザによって描画された画像を加工処理したりした後、プリンタドライバプログラム160およびビデオドライバプログラム152に出力する。
ビデオドライバプログラム152は、ビデオ回路95を駆動するためのプログラムであり、例えば、アプリケーションプログラムから供給された画像データに対してガンマ処理やホワイトバランスの調整等を行った後、映像信号を生成して表示装置98に供給して表示させる。
プリンタドライバプログラム160は、解像度変換モジュール161、色変換モジュール162、色変換テーブル163、ハーフトーンモジュール164、LUT(Look Up Table)165、および印刷データ生成モジュール166によって構成されており、アプリケーションプログラム151によって生成された画像データに対して後述する種々の処理を施して印刷データを生成し、プリンタ22に供給する。また、プリンタドライバプログラム160は、後述するように、画像を印刷しようとするCD−Rの種類に応じてLUT165を更新する処理を実行する。
ここで、解像度変換モジュール161は、アプリケーションプログラム151から供給された画像データの解像度を、印刷ヘッド12の解像度に応じて変換する処理を行う。
色変換モジュール162は、R,G,B(Red, Green, Blue)表色系によって表現されている画像データを、色変換テーブル163を参照して、C,M,Y,K,LC,LM,DY(Cyan, Magenta, Yellow, Black, Light Cyan, Light Magenta, Dark Yellow)表色系の画像データに変換する処理を行う。
ハーフトーンモジュール164は、後述するようにディザ処理により、C,M,Y,K,LC,LM,DY表色系によって表された画像データを、LUT165を参照して、大、中、小の3種類のドットの組み合わせからなるビットマップデータに変換する。
印刷データ生成モジュール166は、ハーフトーンモジュール164から出力されたビットマップデータから、各主走査時のドットの記録状態を示すラスタデータと、副走査送り量を示すデータとを含む印刷データを生成して、プリンタ22に供給する。
つぎに、以上の実施の形態の動作について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。なお、以下では、ユーザがアプリケーションプログラム151を起動して画像を生成した後、プリンタ22に供給してCD−R120に対して印刷する場合を例に挙げて説明する。
ステップS10:ユーザは画像を生成する処理を実行する。すなわち、CD−R120に画像を印刷する場合、ユーザは、コンピュータ90の入力装置99を操作して、アプリケーションプログラム151を起動させる。その結果、コンピュータ90では、CPU91がHDD94に格納されているアプリケーションプログラム151を起動させる。
図8は、アプリケーションプログラム151が起動された場合に、表示装置98に表示される画面の表示例を示す図である。この図の例では、画面200の上部には、メニュー項目としてのファイル201、編集202、表示203が表示されている。なお、ファイル201は、ファイルに関する処理を実行する場合に操作される。編集202は、画像等を編集する場合に操作される。表示203は、画像等の表示形式を変更する場合等に操作される。その下の編集領域204には、CD−R120に対応する作画領域205が表示され、作画領域205の中央部にはCD−R120の印刷面に対応する作画可能領域206が表示されている。作画可能領域206の内部には、ユーザによって作画された画像207が表示されるとともに、中心部にはCD−R120の中心孔122に対応する中心孔208が表示されている。
このような画面200において、例えば、ディジタルカメラによって撮影された画像を読み込んで加工したり、ユーザが独自に描画したりすることにより、CD−R120に印刷する画像を作成することができる。
ステップS11:アプリケーションプログラム151は、図8に示す画面200においてファイル201が操作されることにより表示されるプルダウンメニュー(図示せず)において、作成された画像を印刷するためのメニュー項目が選択されたか否かを判定し、選択された場合にはステップS12に進み、それ以外の場合にはステップS10に戻って同様の処理を繰り返す。
ステップS12:アプリケーションプログラム151は、印刷対象となるCD−Rとしてピクチャ用のCD−R120が選択されているか否かを判定し、ピクチャ用である場合にはステップS13に進み、通常のCD−R130が選択されている場合には、ステップS16に進む。図8に示す表示例では、図2に示すピクチャ用のCD−R120が選択されているので、YESと判定されてステップS13に進む。
ステップS13:アプリケーションプログラム151は、印刷される画像がチャッキング領域(後述する)まで存在するか否かを判定し、存在する場合にはステップS14に進み、それ以外の場合にはステップS16に進む。すなわち、アプリケーションプログラム151は、記録再生装置がCD−R120を把持するためのチャッキング部が当接される領域であるチャッキング領域(中心孔122の周辺部に存在するドーナッツ状の領域)にも印刷される画像が存在するか否かを判定し、存在する場合にはステップS14に進み、それ以外の場合にはステップS16に進む。
なお、チャッキング領域は、各記録再生装置によりそのサイズが異なっているので、想定される最大の領域をチャッキング領域としてもよいし、想定される平均的な領域としてもよいし、または、記録再生装置の種類を手入力またはコンピュータ90によって自動的に特定し、その種類に応じた領域をチャッキング領域とすることができる。
ステップS14:アプリケーションプログラム151は、警告処理を実行する。すなわち、ピクチャ用のCD−R120のチャッキング領域に印刷しようとする画像が存在する場合には、印刷後に、記録再生装置にCD−R120が装着されると、チャッキング部との当接部分の画像が汚損したり、記録再生装置のチャッキング部にインクが付着したりする場合がある。したがって、このような問題を避けるために、本実施の形態では、印刷の際に、インクのデューティー(記録率)を落として印刷するため、ステップS14では、その旨をユーザに警告する処理を実行する。
図9は、図8に示す表示例において、警告画面が新たに表示された場合の表示例を示す図である。この例では、画面200に重畳するように画面230が表示されている。画面230の上部には、画面のタイトル231として「警告!」が表示されている。その下には、メッセージ232として「ピクチャタイプのCD−Rに印刷する場合、チャッキング領域のデューティーを下げる必要があるため、発色が多少落ちてしまいます。それでもよい場合にはOKを押してください。」が表示されている。また、その下には、印刷を継続する場合に操作されるボタン233と、印刷をキャンセルする場合に操作されるボタン234とが表示されている。このような画面230において、ボタン233が操作されると、ステップS17に進み、ボタン234が操作された場合には処理を終了する。
ステップS16:ステップS12またはステップS14において、否定的と判定された場合、プリンタドライバプログラム160は、LUT165を変更しないで処理を継続する。すなわち、印刷対象として通常のCD−R130が選択されているか、または、ピクチャ用のCD−R120が選択されている場合であって、チャッキング領域に印刷しようとする画像が存在しない場合には、インクのデューティーを落とす必要がないので、通常のLUT(以下、「通常LUT」と称する)を選択する(LUTを変更しない)。
ステップS17:CPU91は、ステップS14の警告処理の後、ボタン233が操作されるか、ボタン234が操作されるかを検出する(ステップS15)が、このステップS15で、ボタン233が操作されると、その操作をCPU91が検出し、このステップS17に移行してくる。ステップS17では、プリンタドライバプログラム160は、LUTを低デューティー用のもの(以下、「低デューティーLUT」と称する)に変更する処理を実行する。すなわち、印刷対象としてピクチャ用のCD−R120が選択されており、かつ、チャッキング領域に印刷しようとする画像が存在する場合には、CD−120のチャッキング部への貼り付きを防止するためにインクのデューティーを落とす必要があるので、低デューティーLUTを選択する。
ステップS18:プリンタドライバプログラム160は、アプリケーションプログラム151から供給された画像データ(R,G,B表色系によって表現されたデータ)を受け取り、印刷データに変換する処理を実行する。なお、この処理の詳細については、図10〜14を参照して後述する。
ステップS19:プリンタドライバプログラム160は、変換処理によって得られた印刷データを、プリンタ22に供給し、印刷させる処理を実行する。その結果、プリンタ22のCPU41は、キャリッジモータ24を駆動して、印刷ヘッド12をCD−R120の印刷面121の上端部の右端まで移動させる。そして、ヘッド駆動回路52によって印刷しようとするデータを印刷ヘッド12に供給し、所定の色のインクを吐出させるとともに、主走査方向にキャリッジ31を移動させつつ紙送りモータ23によりCD−Rトレイ110を副走査方向に順次移動させる。このような動作を繰り返すことにより、コンピュータ90から供給された情報となる画像をCD−R120印刷面121に印刷することができる。
つぎに、図10〜14を参照して、図7に示す画像変換処理について説明する。
まず、図10に示すフローチャートを参照して、ドットを形成する際の処理の流れについて説明する。このフローチャートが開始されると、以下のステップが実行される。
ステップS30:プリンタドライバプログラム130はR,G,B表色系によって表されている画像データをアプリケーションプログラム151から受け取る。なお、この画像データは、各画素ごとにR,G,Bそれぞれの色について、値0〜255の256段階の階調値を有するデータである。この画像データとしては、64段階(0〜63)の階調値や32段階(0〜31)の階調値を有するデータ等の場合もあるが、説明例として上述のように256段階の階調値のものを示して説明することとする。
ステップS31:解像度変換モジュール161は、入力された画像データの解像度をプリンタ22の解像度(以下、「印刷解像度」と称する)に変換する。画像データの解像度が印刷解像度よりも低い場合には、線形補間等により隣接する原画像データの間に新たなデータを生成することで解像度変換を行う。逆に画像データの解像度が印刷解像度よりも高い場合には、一定の割合で画像データを間引く等の処理を行うことにより解像度変換を行う。
ステップS32:色変換モジュール162は、色変換処理を行う。色変換処理とはR,G,Bの階調値からなる画像データをプリンタ22で使用するC,M,Y,K,LC,LM,DYの各色の階調値を表す多階調データに変換する処理である。この処理は、R,G,Bのそれぞれの組み合わせからなる色をプリンタ22で表現するためのC,M,Y,K,LC,LM,DYの組み合わせを記憶した色変換テーブル163を用いて行われる。
ステップS33:ハーフトーンモジュール164は、ステップS32において色変換された画像データに対してハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理とは、原画像データの階調値(本実施の形態では256階調)をプリンタ22が画素毎に表現可能な階調値に減色する処理をいう。ここで「減色」とは、色を表現する階調の数を減らすことをいう。なお、本実施例では、「ドットの形成なし」、「小ドットの形成」、「中ドットの形成」、「大ドットの形成」の4階調への減色を行っている。ハーフトーン処理の詳細については図11を参照して後述する。
ステップS34:印刷データ生成モジュール166は、ハーフトーン処理によって生成されたビットマップデータから印刷データを生成する処理を実行する。ここで、印刷データとは、各主走査時のドットの記録状態を示すラスタデータと、副走査送り量を示すデータとを含むデータである。
ステップS35:印刷データ生成モジュール166は、印刷データ生成処理により生成された印刷データを、プリンタ22に対して出力する。そして、処理を終了する。
つぎに、図10に示すフローチャート中のステップS33であるハーフトーン処理の詳細について図11を参照して説明する。図11は、ハーフトーン処理の詳細を説明するためのフローチャートである。このフローチャートが開始されると、以下のステップが実行される。
ステップS50:ハーフトーンモジュール164は、色変換モジュール162から多階調データを受け取る。ここで入力される多階調データは、色変換処理(図5のステップS32)を施され、C,M,Y,K,LC,LM,DYの各色につき256階調で表現されたデータである。
ステップS51:ハーフトーンモジュール164は、画像データの階調に応じて、つぎのようにして大ドットのレベルデータLVLを設定する。図12は、大、中、小の各ドットのレベルデータの決定に利用される複数のLUTを示す図である。図12の横軸は階調値(0〜255)、左側の縦軸はデューティー(%)、右側の縦軸はレベルデータ(0〜255)である。ここで、「デューティー」とは、一定の階調値に応じて一様な領域が再現されるときに、その領域内の画素のうちでドットが形成される画素の割合を意味する。図12中の実線細線で示されるプロファイルSDが小ドットの記録率を示しており、また、実線太線で示されるプロファイルMDが中ドットの記録率を、点線で示されるプロファイルLDが大ドットの記録率をそれぞれ示している。また、レベルデータとは、ドットの記録率を値0〜255の256段階に変換したデータをいう。なお、LUTの設定方法については後述する。
ステップS51では、大ドット用のプロファイルLDから階調値に応じたレベルデータLVLを読み取る。例えば、図12に示した通り、多階調データの階調値がgrであれば、レベルデータLVLはプロファイルLDを用いて1dと求められる。実際には、プロファイルLDを1次元のテーブルとしてRAM93に記憶しておき、このテーブルを参照してレベルデータを求めている。このテーブルがLUT165(図6参照)である。
ステップS52:ハーフトーンモジュール164は、以上のようにして設定されたレベルデータLVLが閾値THLより大きいか否かを判定する。ここでは、例えば、ディザ法によるドットのオン・オフ判定を行う。閾値THLはいわゆるデイザマトリックスにより各画素毎に異なる値が設定される。本実施の形態では16×16の正方形の画素ブロックに値0〜254までが現れるマトリックスを用いている。
図13は、ディザ法によるドットのオン・オフ判定の様子を示す図である。図示の都合上、一部の画素についてのみ示す。図13に示す通り、レベルデータLVLの各画素とディザテーブルの対応箇所の大小を比較する。レベルデータLVLの方がディザテーブルに示された閾値THLよりも大きい場合にはドットをオンにし、レベルデータLVLの方が小さい場合にはドットをオフとする。図13中でハッチングを施した画素がドットをオンにする画素を示している。ハーフトーンモジュール164は、レベルデータLVLが閾値THLよりも大きい場合には、ステップS60に進み、それ以外の場合にはステップS53に進む。
ステップS53:ハーフトーンモジュール164は、中ドットのレベルデータLVMを設定する。中ドットのレベルデータLVMは、階調値に基づいて、前述のLUT165により設定される。設定方法は、大ドットのレベルデータLVLの設定と同じである。すなわち、各階調データの階調値がgrであれば、レベルデータLVMは、プロファイルMDを用いてmdと求められる。
ステップS54:中ドットのレベルデータLVMと閾値THMの大小関係が比較されて、中ドットのオン・オフの判定が行われる。オン・オフの判定方法は、大ドットの場合と同じであるが、判定に用いる閾値THMをつぎに示す通り大ドットの場合の閾値THLとは異なる値としている。すなわち、大ドットと中ドットで同じディザマトリクスを用いてオン・オフの判定を行った場合、ドットがオンになりやすい画素が両者で一致する。つまり、大ドットがオフとなるときには中ドットもオフになる可能性が高い。この結果、中ドットの記録率は所望の記録率よりも低くなる可能性が生じる。本実施の形態ではこのような現象を回避するため、両者でディザマトリクスを変えている。つまり、オンになりやすくなる画素の位置を、大ドットと中ドットとで変えることで、それぞれが適切に形成されることを確保している。
図14は、大ドットの判定に用いられるディザマトリクスと、中ドットの判定に用いられるディザマトリクスの関係について示す図である。この実施の形態では、図14に示すように、大ドットについては第1のディザマトリクスTMを用い、中ドットについてはこの各閾値を副走査方向の中央を中心として対称に移動した第2のディザマトリクスUMを用いている。本実施の形態では先に述べたように16×16のマトリクスを用いているが、図14には図示の都合上4×4のマトリクスで示している。なお、大ドットと中ドットで全く異なるディザマトリクスを用いるようにしても良い。
そして、中ドットのレベルデータLVMが閾値THMよりも大きい場合には、中ドットをオンにすべき、と判定して、ステップS59に進み、それ以外の場合にはステップS55に進む。
ステップS55:大ドットや中ドットのレベルデータの設定と同様にして、小ドットのレベルデータLVSを設定する。図12の例では、レベルデータLVSはプロファイルSDを用いてsdと求められる。なお、小ドット用のディザマトリクスは、前述のように小ドットの記録率の低下を抑制するために中ドットや大ドット用のものと異なるものとするのが好ましい。
ステップS56:ハーフトーンモジュール164は、レベルデータLVSが小ドットの場合の閾値THSよりも大きい場合には、ステップS58に進み、それ以外の場合にはステップS57に進む。
ステップS57:ハーフトーンモジュール164は、ドットを形成しないと判断して、結果値を格納する変数REに2進数の値"00"を格納する。
ステップS58:ハーフトーンモジュール164は、小ドットをオンにすると判断して、結果値を格納する変数REに2進数の値"01"を格納する。
ステップS59:ハーフトーンモジュール164は、中ドットをオンにすると判断して、結果値を格納する変数REに2進数の値"10"を格納する。
ステップS60:ハーフトーンモジュール164は、大ドットをオンにすると判断して、結果値を格納する変数REに2進数の値"11"を格納する。
ステップS61:以上の処理により、1つの画素について、いずれのドットを形成すべきかの判定がなされるので、ハーフトーンモジュール164は、全画素について処理が終了するまで、ステップS51〜S60の処理を繰り返す。そして、全画素に対する処理が終了すると、ハーフトーン処理(ステップS33)を終了して、印刷データ生成処理(ステップS34)に戻る。
以上は、図7に示すステップS16において、LUTを変更しない場合、すなわち、通常LUTを使用した場合における印刷データを生成する処理に関する説明である。一方、ステップS17においてLUTを変更する処理が実行された場合(低デューティーLUTが選択された場合)には、図12に示すLUTではなく、図15に示すLUTが選択され、前述の場合と同様の処理が実行され、印刷データが生成される。
図15に示す低デューティーLUTの場合では、図12に示す通常LUTと比較すると、大ドット、中ドット、小ドットのそれぞれのプロファイルLD,MD,SDのピーク値が小さくなっている。したがって、この低デューティーLUTを使用して生成されたレベルデータは、図12の場合に比較すると、その値が小さくなるため、インクのデューティーは図12の通常LUTを使用した場合に比較して小さくなる。その結果、図15に示す低デューティーLUTを使用して作成された画像データを用いて印刷した場合には、インクのデューティーが低いので、印刷面121にインクが完全に吸収されるため、チャッキング部にも画像が印刷されたCD−R120が図示せぬ記録再生装置に装着された場合であっても、チャッキング部にCD−R120が吸着して印刷面121が汚損したり、チャッキング部にインクが付着したりすることを防止できる。
以上に説明したように、本発明の実施の形態によれば、ピクチャ用のCD−R120が印刷対象として選択された場合であって、チャッキング領域に印刷しようとする画像が存在する場合には、図15に示す低デューティーLUTを使用して印刷データを生成するようにしているので、記録再生装置のチャッキング部によって画像が汚損したり、チャッキング部がインクによって汚れたりすることを防止できる。
つぎに、インクの種類および解像度を考慮した場合の処理について説明する。図16は、インクの種類と、画像の解像度も考慮して、LUTを選択し、画像を印刷する処理の一例である。なお、この図において、図7と対応する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図16に示すフローチャートでは、ステップS80およびステップS81の処理が追加されている。それ以外の処理は、図7の場合と同様である。したがって、以下では、ステップS80およびステップS81の処理についてのみ説明する。
ステップS80では、アプリケーションプログラム151は、プリンタ22のカートリッジ71〜77に充填されているインクとして、浸透性が低い顔料インクが使用されているか否かを判定する。その結果、顔料インクが使用されていない場合には、ステップS16に進んで、通常LUT(図12に示すLUT)が選択される。すなわち、浸透性が高い染料インクが使用されている場合にはステップS16に進み、顔料インクが使用されている場合にはステップS81に進む。
ステップS81では、アプリケーションプログラム151は、印刷しようとする画像の解像度が高解像度であるか否かを判定し、高解像度であると判定した場合にはステップS14に進み、それ以外の場合にはステップS16に進んで、通常LUT(図12に示すLUT)が選択される。なお、高解像度であるか否かの判断としては、例えば、フォト(写真)モードが選択されている場合には、高解像度であると判断したり、24ビットカラーモードが選択されている場合には、高解像度であると判断することができる。
このように、浸透性が低い顔料インクが使用されている場合には、低デューティーLUTを選択し、浸透性が高い染料インクが使用されている場合には通常LUTを選択するようにしたので、インクの種類に応じた最適なLUTを選択することが可能になる。
また、解像度に応じてLUTが変更されるようにしたので、解像度に応じて最適なLUTを選択することが可能になる。なお、ステップS81を無くし、ステップS80の顔料インクの使用有無のみを追加したり、逆に、ステップS80を無くし、ステップS81の解像度の判断のみを追加したりするようにしてもよい。また、ステップS80とステップS81をAND条件とせず、染料インクが使用されていても解像度が高いと、LUTを変更するようにしてもよい。
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能である。例えば、以上の各実施の形態では、CD−R120を例に挙げて説明したが、これ以外の光記録媒体、例えば、DVD(Digital Versatile Disk)やMO等についても本発明を適用可能であることはいうまでもない。また、光記録媒体以外のディスク状の記録媒体に本発明を適用することができる。
また、以上の実施の形態では、円形形状を有するCD−R120を例に挙げて説明したが、これ以外の形状を有する光記録媒体についても本発明を適用することが可能である。例えば、名刺サイズの略四角形状を有する光記録媒体(例えば、CD−R)に対しても本発明を適用することができる。このような名刺サイズの光記録媒体の場合、印刷面のサイズが通常の光記録媒体と比較して小さいことから、中心孔付近まで隙間無く印刷することが望ましいため、本発明を使用すれば、記録再生装置のチャッキング部を汚すことなく、大きな画像を印刷することが可能になる。
また、以上の実施の形態では、CD−R120の印刷面121全体のデューティーを低くするようにしたが、例えば、図17に示すように、チャッキング領域121bのデューティーのみを低く設定することも可能である。この図の例では、印刷面121aは通常のデューティーで印刷され、チャッキング領域121bは低いデューティーで印刷される。その結果、チャッキング領域121bが記録再生装置のチャッキング部に貼り付くことを防止できる。なお、このように領域毎にデューティーを変更する方法としては、前述の場合と同様に、LUTを複数準備しておき、領域毎に使用するLUTを変更するようにすればよい。
また、チャッキング領域121b全体のデューティーを下げるだけでなく、例えば、少なくともチャッキング領域121bのデューティーは所定の値以下になるようにするとともに、印刷面121aからチャッキング領域121bに向かってデューティーが徐々にまたは段階的に低くなるようにしてもよい。このような方法によれば、インクのデューティーが、ある境界を境にして急激に変化して画質が低下することを防止できる。
また、以上の実施の形態では、アプリケーションプログラム151によって作成された画像データを、そのままプリンタドライバプログラム160に転送するようにした。しかし、プリンタ22において光学センサ39によって印刷面の半径等を検出することにより、トレイ110に装着されているCD−Rの種類を検出し、検出結果に応じた処理を実行することも可能である。例えば、アプリケーションプログラム151によって作成された画像データがピクチャ用のCD−R120である場合に、プリンタ22に装着されているのが通常のCD−R130である場合には、透明領域132に印刷がなされてしまうので、その場合には警告処理を行うようにしてもよい。なお、光学センサ39を用いるのではなく、ユーザがCD−Rの種類を、入力装置99を操作して直接入力するようにしてもよい。
また、以上の実施の形態では、デューティーを変更する方法として、図12および図15に示すプロファイルを変更するようにしたが、例えば、図14に示すディザマトリクスの閾値を大きくすることによっても同等の効果を得ることができる。
また、以上の実施の形態では、通常LUTと低デューティーLUTの2種類を準備するようにしたが、3種類以上のLUTを準備し、これらを適宜選択して用いることも可能である。
また、CD−R120の種類に応じて、チャッキング領域のデューティーを変更するようにしてもよい。具体的には、CD−R120の種類(メーカー名、製品名)を特定するための情報をコンピュータ90に入力し、その情報に応じて定まる最適なデューティーを、例えば、テーブル等を用いて特定し、特定されたデューティーになるようにチャッキング領域に印刷するようにしてもよい。
また、以上の実施の形態では、C,M,Y,K,LC,LM,DYのインクを用いる場合を例に挙げて説明したが、これ以外のインクの組み合わせであっても本発明を適用可能であることはいうまでもない。
また、以上の各実施の形態は、ピエゾ素子を用いてインクを吐出するヘッドを備えたプリンタのみならず、インク通路に配置したヒータに通電し、インク通路内に発生する気泡(バブル)によりインクを吐出するタイプの吐出駆動素子を備えたプリンタに適用することも可能である。
さらに、以上の実施の形態では、HDD94(または、外部記憶装置100)に図6に示す機能を実現するプログラムを格納しておき、このプログラムからの指令に応じてプリンタ22が図7,10,11,16に示す処理を実行するようにしたが、プリンタ22のP−ROM43に同等の機能を有するプログラムを格納しておき、操作パネル32が所定の手順で操作された場合に、このアプリケーションを起動し、図6に示す機能を実行することも可能である。要は、コンピュータ90またはプリンタ22のいずれかにアプリケーションプログラムを格納しておき、CD−R120に印刷する際には、これらのアプリケーションプログラムをコンピュータ90またはプリンタ22のいずれかで起動して実行すればよい。
なお、以上の印刷処理機能は、コンピュータのみによっても実現することができる。その場合、印刷装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムがコンピュータに提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記印刷処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MOなどがある。
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。