JP4501175B2 - 研磨パッドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨用パッドおよびそれを用いた半導体基板を研磨する方法に関するものであり、さらに、シリコンなど半導体基板上に形成される絶縁層の表面や金属配線の表面を機械的に平坦化する工程と関連して利用できる研磨パッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体メモリに代表される大規模集積回路(LSI)は、年々集積化が進んでおり、それに伴い大規模集積回路の製造技術も高密度化が進んでいる。さらに、この高密度化に伴い、半導体デバイス製造箇所の積層数も増加している。その積層数の増加により、従来は問題とならなかった積層にすることによって生ずる半導体ウェハー主面の凹凸が問題となっている。その結果、例えば日経マイクロデバイス1994年7月号50〜57頁記載のように、積層することによって生じる凹凸に起因する露光時の焦点深度不足を補う目的で、あるいはスルーホール部の平坦化による配線密度を向上させる目的で、化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)技術を用いた半導体ウェハの平坦化が検討されている。
【0003】
一般にCMP装置は、被処理物である半導体ウェハを保持する研磨ヘッド、被処理物の研磨処理をおこなうための研磨パッド、前記研磨パッドを保持する研磨定盤から構成されている。そして、半導体ウェハの研磨処理は研磨剤と薬液からなるスラリを用いて、半導体ウェハと研磨パッドを相対運動させることにより、半導体ウェハ表面の層の突出した部分が除去されてウェハ表面の層を滑らかにするものである。この半導体ウェハの研磨加工時の研磨速度は、例えば半導体ウェハの一主面に成膜された酸化シリコン(SiO2)膜では、半導体ウェハと研磨パッドの相対速度及び荷重にほぼ比例している。そのため、半導体ウェハの各部分を均一に研磨加工するためには、半導体ウェハにかかる荷重を均一にする必要がある。
【0004】
しかし、研磨ヘッドに取り付けた半導体ウェハの表面は、例えば半導体ウェハの元々の反り等の変形により、全体的にはうねっていることが多い。そのため、半導体ウェハの各部分に均一に荷重を与えるためには、研磨パッドを前述したような半導体ウェハのうねりに倣って接触させる観点では、柔らかい研磨パッドを用いることが望ましい。しかし、柔らかい研磨パッドを用いて半導体ウェハの一主面に形成された絶縁層等の凹凸の平坦化のための研磨加工をおこなう場合、前記半導体ウェハのうねりに対する追随性は向上させることができるが、半導体ウェハ表面の局所的な凹凸の平坦性は悪くなってしまう。例えば、前記半導体ウェハ表面の層の部分的な凹凸が研磨だれ、つまりは研磨面が丸くなって平坦にならないという問題をまねいてしまう。これに対し、硬い研磨パッドを用いて同様に半導体ウェハの研磨加工をおこなう場合は、前述した柔らかい研磨パッドを用いた場合とは逆に半導体ウェハ表面の局所的な凹凸の平坦性を向上することができるが、半導体ウェハの全体的なうねりに対する追随性の観点では悪くなり、例えば、半導体ウェハ表面の全体的なうねりの各部分において、うねりの突出している部分の凹凸は多く研磨されてしまい、うねりの引っ込んでいる部分の凹凸はほとんど研磨されずに残ってしまうという問題をまねいてしまう。この様な不均一な研磨加工はアルミ配線を露出させたり、研磨加工後の酸化シリコン絶縁膜面の厚みが部分毎に違うために例えばスルーホール径の不揃いや積層起因の凹凸を平坦にできず露光時の焦点深度が不足する原因となる。
【0005】
この部分的な平坦性と全体的な追随性を向上するという相反する要求を満たすための研磨パッドに関する従来技術としては、特開平6−21028号公報、特表平5−505769号公報などに示される二層パッドが試みられた。特開平6−21028号公報、特表平5−505769号公報などに示される二層パッドは、下方の柔軟な、伸縮自在のクッション層に支持される半導体ウェハと直に接触する研磨層は硬いという構成である。その目的は、クッション層にウェハの全体のうねりを吸収させる一方、硬い研磨面はある程度の面積以上(たとえば、ダイの間隔以上)の湾曲に耐えるようにすることである。残念ながら、その様な従来の二層パッドは、依然として二つの主要な点で研磨性能を低下させている。
【0006】
まず第一に、上部の硬質層とクッション層とを貼り合わせる為に非圧縮性の両面接着フィルムテープを使用しているが、中間層にフィルムを用いることにによって、ウェハーへの追随性が悪くなる。また、中間層として接着層のみが使用される構成もあるが、研磨時にクッション層と硬質層との間での剥離が問題になることがしばしば見られる。
【0007】
第二に、研磨層は、半導体の高集積化に伴う平坦化特性の要求から益々高硬度が求められている。一方で、広い範囲のウェハのうねりをクッション層で吸収することも求められている。しかしながら、従来の二層パッドでは、研磨層を高硬度にしていくとウェハへの追随性は悪くなり、クッション層でのウェハのうねりの吸収を果たせなくなるのである。
【0008】
従って、上記の欠点を克服する様な改善された研磨パッドが要求されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、シリコン基板の上に形成された絶縁層または金属配線の表面を研磨により平滑にする機械的な平坦化工程で使用するための研磨パッドにおいて、硬質層または研磨部分とクッション層が使用中に剥離することなく、また、ウェハのうねりへの追随性を損なうことなく、硬質層の高硬度を達成した改善された研磨パッドを提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するための手段として、本発明は以下の構成からなる。
第一の発明として、「高分子シートの片面から、重合性化合物を膨潤させ、部分的に重合反応させることを特徴とする研磨パッドの製造方法。」であり、
第二の発明として、「表面に凹部を複数有するプレートの凹部に、重合性化合物を注入し、プレート表面と高分子シートとを接触させ、該重合性化合物が該高分子シートに接触した状態で、重合を行うことを特徴とする研磨パッドの製造方法。」である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について説明する。
【0012】
まず本発明でいうマイクロゴムA硬度について説明する。この硬度は高分子計器(株)製マイクロゴム硬度計MD−1で評価した値をさす。マイクロゴム硬度計MD−1は、従来の硬度計では測定が困難であった薄物・小物の試料の硬さ測定を実現するもので、スプリング式ゴム硬度計(デュロメータ)A型の約1/5の縮小モデルとして、設計・製作されているためその測定値は、スプリング式ゴム硬度計A型の硬度と一致した値が得られる。マイクロゴム硬度計MD−1は、押針寸法が直径0.16mm円柱形で高さが0.5mmの大きさのものである。荷重方式は、片持ばり形板バネで、ばね荷重は、0ポイントで2.24mN、100ポイントで33.85mNである。針の降下速度は10〜30mm/secの範囲をステッピングモータで制御して測定する。通常の研磨パッドは、研磨層または硬質層の厚みが5mmを切るので、スプリング式ゴム硬度計A型では薄すぎる為に評価できないので、該マイクロゴム硬度計MD−1で評価できる。
【0013】
本発明の第一実施形態の研磨パッドの第一層は、マイクロゴムA硬度で70度以上で、第二層よりマイクロゴムA硬度が10度以上高いことが好ましい。また、第一層は第二層を構成する実質的に同一の高分子と他の高分子とを含有していることが好ましい。第一層は第二層を構成するものと実質的に同一の高分子を30重量%以上含有していることが好ましい。本発明の研磨パッドは、第二層を構成するための単独の高分子シートの表面に重合性化合物を膨潤させ、部分的に重合反応させる製法で製造できる。第二層の表面に形成された第一層は、第二層と実質的に同一の高分子を少なくとも30重量%以上含有しており、第二層を構成している高分子と膨潤させる重合性化合物から得られる高分子とが相互侵入型高分子(Interpenetrating Polymer Networks)を形成している。従って、第一層は、本来第二層単独の高分子シートの一部に重合性化合物が分子オーダで入り込んで相互侵入型高分子を形成するので、第一層と第二層の間には接着層などの他の層は存在せず、しかも層間剥離強度は高くなり、例えば0.05MPa以上を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
第一層のマイクロゴムA硬度は70度以上が好ましい。この値に満たない場合は、半導体表面上の凹凸を研磨した際の局所的な平坦性が不良なので好ましくない。第一層のマイクロゴムA硬度は、好ましくは80度以上さらに好ましくは90度以上が平坦性の観点から好ましい。
【0015】
第二層のマイクロゴムA硬度は、第一層のマイクロゴムA硬度より10度以上小さい方がウェハのうねりへの追随性が優れているという点で好ましい。
【0016】
第二層を構成している高分子は、特に制約はないが、本発明の製造方法の関係上重合性化合物が膨潤できる高分子であることが好ましい。また膨潤させる際に重合性化合物に溶解しないことも硬度を高くできるという点で望ましい条件である。このような高分子として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレンプロピレンラバー、ネオプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリウレタンなどが挙げられる。これらの高分子は架橋をほどかされている事が、溶解しにくいという点で好ましい。
【0017】
用いられる高分子シートの中に、重合性化合物の重合反応を阻害する化合物の混入をなるべく避けた方が反応が均一に起きるので好ましい。中でも、独立気泡径をかなり容易にコントロールでき、硬度を広範囲に制御でき、重合反応の阻害化合物の混入が少ないということから、ポリウレタンが好ましい。ポリウレタンは、ポリイソシアネートの重付加反応または重合反応に基づき合成される高分子である。ポリイソシアネートの対称として用いられる化合物は、含活性水素化合物、すなわち、二つ以上のポリヒドロキシ、あるいはアミノ基含有化合物である。ポリイソシアネートとして、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなど挙げることができるがこれに限定されるわけではない。ポリヒドロキシとしてポリオールが代表的であるが、ポリオールとしてポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、エポキシ樹脂変性ポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、シリコーンポリオール等が挙げられる。硬度と気泡径と発泡倍率によって、ポリイソシアネートとポリオールおよび触媒、整泡剤、発泡剤の組み合わせや最適量を決める必要がある。
【0018】
第一層を構成している第二層と実質的同一の高分子以外の他の高分子は、第一層への重合性化合物の膨潤のしやすさ、重合のしやすさおよび重合後の第一層の硬度の高さ点で、ビニル化合物から得られる重合体が好ましい。
【0019】
ビニル化合物から得られる重合体とは、炭素炭素二重結合のビニル基を有する化合物から得られる重合体である。具体的にはメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n-−ラウリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、メタクリル酸、グリシジルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、アクリロニトリル、アクリルアミド、塩化ビニル、スチレン、α−メチルスチレン等から得られる重合体が挙げられる。
【0020】
第一層および第二層は1000μm以下の独立気泡を有し、かつ発泡倍率は1.01〜3倍であることが、第二層のクッション性に優れ、ウェハのうねりの追随性に優れているので好ましい。すべての気泡径が1000μmより大きいかまたは発泡倍率が3を越えると連続気泡となり、クッション性が落ちるので好ましくない。本発明の一実施形態は、第二層を構成するための単独の高分子シートが1000μm以下の独独立気泡を有し、かつ発泡倍率は1.01〜3倍であり、表面に重合性化合物を膨潤させ、部分的に重合反応させる製法で製造できる。第二層の表面に形成された第一層は、第二層と実質的に同一の高分子を少なくとも30重量%以上含有しており、第二層を構成している高分子と膨潤させる重合性化合物から得られる高分子とが相互侵入型高分子(Interpenetrating Polymer Networks)を形成しており、独立気泡の中には重合性化合物が入りこまない。従って、第一層は、本来第二層単独の高分子シートの一部に重合性化合物が分子オーダで入り込んで相互侵入型高分子を形成するので、第一層および第二層は1000μm以下の独立気泡を有し、かつ発泡倍率は1.01〜3倍であり、、第一層と第二層の間には接着層などの他の層は存在せず、しかも層間剥離強度は高くなり、例えば0.05MPa以上を得ることができる。
【0021】
第一層の厚みは、0.1〜2mm、好ましくは0.2〜1mmが良好な平坦性が得られるので好ましい。第二層の厚みは、0.5〜10mm、好ましくは0.7〜5mmが良好なクッション性と良好な平坦性が得られるので好ましい。
【0022】
後述の実施例1で得られた研磨パッドの第一層を赤外分光分析で調べた結果、ポリウレタンとポリメチルメタアクリレートが存在していることが確認された。また透過型電子顕微鏡で観察すると、0.25μm以上の海島構造が観察されなかったことからかなり良好な相溶状態であること判明した。
【0023】
重合性化合物は、外部刺激によって重合できる化合物である。外部刺激は、熱、光、触媒等がある。例えば、熱を刺激にして重合できる化合物として、付加重合ができる炭素炭素二重結合を有するビニル化合物が挙げられる。
本発明での第二実施形態である複数の相互に孤立した島状研磨部およびこれら島状研磨部を支持するクッション層を少なくとも有する研磨パッドであって、島状研磨部のマイクロゴムA硬度が70度以上であり、クッション層のマイクロゴムA硬度より10度以上高く、島状研磨部はクッション層を構成するものと実質的同一の高分子と他の高分子とを含有する研磨パッドについて説明する。
【0024】
本発明での複数の相互に孤立した島状研磨部とは、図−1の様にその下のクッション層の上に接触しながら存在しているお互いに孤立した多数の島の部分をさす。島形状とは、島状部分を支持しているクッション層の表面(島を隔てている海部分)より上に飛び出しているという形状を表現するものである。個々の島状研磨部の面積と形や隔たっている距離は、ウェハー上に多数形成される半導体チップ(ダイ)の大きさと金属配線の幅や絶縁膜の凹凸の大きさなどを考慮して決められることになるが、おおよそ面積として、0.5〜100cm2、好ましくは、1〜50cm2の範囲が追随性と平坦性を両立することができるので好ましい。島状研磨部の形も、パッドを垂直方向から見て、円形や三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形や楕円形をとることができ、隣接する島の間は、研磨を行う際の研磨剤の供給路となるが、研磨剤の量や半導体チップ(ダイ)の大きさや要求される平坦性と研磨レートの観点から決定されることになる。通常は0.5〜100mm、好ましくは4〜40mmの範囲の中で最適な距離を選ぶことができる。島形状のクッション表面からの高さは、研磨レートと平坦性に影響を与えるので半導体チップ(ダイ)の研磨の要求特性から決定されるが、通常は0.05〜1mm、好ましくは0.1〜0.5mmの範囲の中から決定される。
【0025】
本発明の研磨パッドの島状研磨部のマイクロゴムA硬度で70度以上であり、クッション層のマイクロゴムA硬度より10度以上高いことが好ましい。また、島状研磨部はクッション層を構成しているものと実質的に同一の高分子と他の高分子とを含有していることが好ましい。また島状研磨部はクッション層を構成するものと実質的に同一の高分子を30重量%以上含有していることが好ましい。
【0026】
本発明の研磨パッドは、クッション層単独の高分子シートの表面の島状研磨部を形成させようとする範囲に重合性化合物を膨潤させ、部分的に重合反応させる製法をとることによって得られるので、クッション層の表面に形成された島状研磨部は、クッション層の実質的同一の高分子を好ましくは30重量%以上含有しており、クッション層を構成している高分子と膨潤させる重合性化合物から得られる高分子とが相互侵入型高分子(Interpenetrating Polymer Networks)を形成している。従って、島状研磨部分は、本来クッション層単独の高分子シートの一部に重合性化合物が分子オーダで入り込んで相互侵入型高分子を形成するので、島状研磨部分とクッション層の間には接着層は存在せず、しかも島状研磨部分とクッション層の剥離強度は高くなり、例えば0.05MPa以上を得ることができる。
【0027】
島状研磨部のマイクロゴムA硬度は70度以上が好ましい。この値に満たない場合は、半導体表面上の凹凸を研磨した際の局所的な平坦性が不良なので好ましくない。島状研磨部のマイクロゴムA硬度は、好ましくは80度以上さらに好ましくは90度以上が平坦性の観点から好ましい。
【0028】
クッション層のマイクロゴムA硬度は、島状研磨部のマイクロゴムA硬度より10度以上小さい方がウェハのうねりへの追随性が優れているという点で好ましい。
【0029】
クッション層を構成している高分子は、第一実施形態の第二層を構成する高分子と同様のものを使用することができる。また、厚みや物性についても<第一実施形態>の第二層と同様のものが好ましい。
【0030】
島状研磨部を構成しているクッション層と実質的同一の高分子以外の他の高分子としては、クッション層への重合性化合物の膨潤のしやすさ、重合のしやすさおよび重合後の島状研磨部の硬度の高さの点で、ビニル化合物から得られる重合体が好ましい。
【0031】
ビニル化合物から得られる重合体は、第一実施形態と同様のものを使用できる。
【0032】
島状研磨部およびクッション層は1000μm以下の独立気泡を有し、かつ発泡倍率は1.01〜3倍であることが、第二層のクッション性に優れ、ウェハのうねりの追随性に優れているので好ましい。すべての気泡径が1000μmより大きいかまたは発泡倍率が3を越えると連続気泡となり、クッション性が落ちるので好ましくない。本発明の一実施形態は、クッション層を構成するための単独の高分子シートが1000μm以下の独立気泡を有し、かつ発泡倍率は1.01〜3倍であり、表面の島状研磨部を形成させようとする範囲に重合性化合物を膨潤させ、部分的に重合反応させる製法で製造できる。クッション層の表面に形成された島状研磨部は、クッション層の実質的同一の高分子を少なくとも30重量%以上含有しており、クッション層を構成している高分子と膨潤させる重合性化合物から得られる高分子とが相互侵入型高分子(Interpenetrating Polymer Networks)を形成しており、独立気泡の中には重合性化合物が入りこまない。従って、島状研磨部は、本来クッション層単独の高分子シートの一部に重合性化合物が分子オーダで入り込んで相互侵入型高分子を形成するので、島状研磨部およびクッション層は1000μm以下の独立気泡を有し、かつ発泡倍率は1.01〜3倍であり、、島状研磨部とクッション層の間には接着層などの他の層は存在せず、しかも剥離強度は高くなり、例えば0.05MPa以上を得ることができる。
【0033】
後述の実施例2で得られた研磨パッドの島状研磨部を赤外分光分析で調べた結果、ポリウレタンとポリメチルメタアクリレートとポリメタクリル酸が存在していることが確認された。また透過型電子顕微鏡で観察すると、0.25μm以上の海島構造が観察されなかったことからかなり良好な相溶状態であること判明した。
<第一発明>
次に第一発明である高分子シートの片面から、重合性化合物を膨潤させ、部分的に重合反応をさせることを特徴とする研磨用パッドの製造方法について説明する。この発明の方法は前記第一実施形態の研磨用パッドを製造するために好適な方法である。
【0034】
本発明での高分子シートは、第一実施形態で説明した第二層を構成している高分子を使用することができる。高分子シートの厚みは0.6〜12mmの範囲が得られ研磨パッドのクッション性の点と研磨層での硬度の高さの点で好ましい。
【0035】
本発明での重合性化合物とは、外部刺激によって重合できる化合物である。外部刺激は、熱、光、触媒等がある。例えば、熱を刺激にして重合できる化合物として、付加重合ができる炭素炭素二重結合を有するビニル化合物が挙げられる。重合性化合物としては、高分子シートへの膨潤も容易であるし、膨潤後の重合も熱によって均一にできることにより、得られた研磨パッドの研磨層の硬度が均一であるという点でビニル化合物が好ましい。本発明での部分的に重合反応をさせるとは、高分子シート全体を均一に重合性化合物で膨潤させ、重合反応をさせるという意味ではなく、高分子シートの一部に膨潤させて重合反応をさせるという意味である。重合は、重合性化合物の重合を生じる刺激を与えることによっておこなうことができる。例えば、ビニル化合物を重合性化合物として使用した場合には、ラジカル開始剤を共存させて膨潤させた後、重合開始温度以上に加熱する必要がある。あらかじめ、触媒を高分子シートに存在せしめて、触媒に接触させることによって重合する様な重合性化合物を膨潤させた後、部分的に重合させることも可能である
<第二発明>
次に第二発明である表面に凹部を複数有するプレートの凹部に、重合性化合物を注入し、プレート表面と高分子シートとを接触させ、該重合性化合物が該高分子シートに接触した状態で、重合を行うことを特徴とする研磨用パッドの製造方法について説明する。本発明の方法によれば第二実施形態の研磨パッドを製造するのに好適である。
【0036】
本発明での重合性化合物とは、外部刺激によって重合できる化合物である。外部刺激は、熱、光、触媒等がある。例えば、熱を刺激にして重合できる化合物として、付加重合ができる炭素炭素二重結合を有するビニル化合物が挙げられる。重合性化合物としては、高分子シートへの膨潤も容易であるし、膨潤後の重合も熱によって均一にできることにより、得られた研磨パッドの研磨層の硬度が均一であるという点でビニル化合物が好ましい。本発明での部分的に重合反応をさせるとは、高分子シート全体を均一に重合性化合物で膨潤させ、重合反応をさせるという意味ではなく、高分子シートの一部に膨潤させて重合反応をさせるという意味である。重合は、重合性化合物の重合を生じる刺激を与えることによっておこなうことができる。例えば、ビニル化合物を重合性化合物として使用した場合には、ラジカル開始剤を共存させて膨潤させた後、重合開始温度以上に加熱する必要がある。あらかじめ、触媒を高分子シートに存在せしめて、触媒に接触させることによって重合する様な重合性化合物を膨潤させた後、部分的に重合させることも可能である
<第四発明>
次に第四発明である表面に凹部を複数有するプレートの凹部に、重合性化合物を注入し、プレート表面と高分子シートとを接触させ、該重合性化合物が該高分子シートに接触した状態で、重合を行うことを特徴とする研磨用パッドの製造方法について説明する。本発明の方法によれば第二発明の研磨パッドを製造するのに好適である。
【0037】
本発明での表面に凹部を複数有するプレートとは、プレートの表面に複数の非貫通の縦穴が複数あいているものを示す。プレートの材質は特に限定されないが、重合性化合物が熱を刺激にして重合を開始する化合物であれば、伝熱係数の高いという点で金属が好ましい。
【0038】
凸部の開口部の形はプレート表面を垂直方向にみて円形や三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形や楕円形をとることができ、得られた研磨パッドの島状研磨部の垂直方向からみた形は、ほぼ同じ形とすることができる。凸部の深さは、得られる島状研磨部の高さに影響を与えるが、1〜10mm、好ましくは2〜7mmの範囲で適切な深さを選ぶことが出来る。凸部の数や、凸部と凸部の距離も得られる研磨パッドの島状研磨部の数や島状研磨部間の距離に影響を与えるので、得たい研磨パッドの仕様に合わせて設定することができる。
【0039】
本発明での重合性化合物とは、外部刺激によって重合できる化合物である。外部刺激は、熱、光、触媒等がある。例えば、熱を刺激にして重合できる化合物として、付加重合ができる炭素炭素二重結合を有するビニル化合物が挙げられる。重合性化合物としては、高分子シートへの膨潤も容易であるし、膨潤後の重合も熱によって均一にできることにより、得られた研磨パッドの研磨層の硬度が均一であるという点でビニル化合物が好ましい。ビニル化合物は、具体的にはメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n-−ラウリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、メタクリル酸、グリシジルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、アクリロニトリル、アクリルアミド、塩化ビニル、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。この中でも、高分子シートへの20℃の膨潤率が1.02以上(膨潤率とは、膨潤前の高分子シートの重量と膨潤後の高分子シートの重量比である。)であることが、得られた研磨パッドの硬度が高く均一に得られるという点で好ましい。
【0040】
高分子シートは、プレートの凹部に注入されている重合性化合物を接触させながら、重合させる。ビニル化合物をプレートの凹部に注入させて高分子シートに接触させて重合させる時は、熱を刺激にすることによって重合がおこすことが島状研磨部の硬度を高くでき、しかも均一であるので好ましい。
【0041】
重合温度として、50〜120℃、好ましくは80〜110℃、さらに好ましくは90〜100℃が得られる研磨パッドの島状研磨部の硬度が高くできる。この場合、高分子シートにビニル化合物と共に接触させるものとして、重合開始剤と高分子シートへの20℃での膨潤率が1.02以下の重合禁止剤と溶媒を共存させることが、島状研磨部の硬度を高くできるので好ましい。
【0042】
重合開始剤とは、加熱により分解してラジカルを生成する化合物である。この様な重合開始剤として、過酸化物とアゾ化合物が挙げられるが、具体的にはクメンヒドロペルオキシド、第三ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ第三ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。この中でも、比較的低温で重合が可能で得られた島状研磨部の硬度が高いという点でアゾビスイソブチロニトリルが好ましい。重合禁止剤とは、発生したラジカルに作用して重合に寄与しない安定ラジカルまたは化合物を作ることによって重合の進行を止める働きをする化合物である。この様な重合禁止剤として例えば、トリ−p−ニトロフェニルメチル、ジフェニルピクリルヒドラジル、トリフェニルフェルダジルやキノン類、ポリオキシ化合物、ニトロ化合物、アミノ化合物、有機イオウ化合物が挙げられる。これら重合禁止剤の中で、高分子シートへの20℃での膨潤率が1.02以下であることが、重合性化合物が高分子シートの中で重合を良好におこなえるので好ましい。この重合禁止剤は、プレートの凹部での重合を禁止するので、重合性化合物が凹部で重合を禁止または抑制されるので高分子シートへの膨潤を促進するという作用がある。これらの重合禁止剤の中でも、トリエチルアミン、p−フェニルジアミノベンゼン、2−エチルヘキシルアミン、トリ−n−オクチルアミンなどのアミノ化合物が、得られた研磨パッドの島状研磨部の硬度を高くできるので好ましい。
【0043】
高分子シートへの20℃での膨潤率が1.02以下の溶媒を重合性化合物と共存させて接触させることによって、凹部での重合を禁止または抑制できて重合性化合物の高分子シートへの膨潤を促進することも可能である。この様な溶媒として、炭素数が6以上の脂肪族炭化水素が、得られた研磨パッドの硬度を高くできるという点で好ましい。特にn−デカンが取り扱い性の点で好ましい。
【0044】
重合性化合物を接触させる前に高分子シートを液体で膨潤させておくと、重合性化合物が接触表面近傍にのみ膨潤して、得られた研磨パッドの島状研磨部の硬度を高くできるので好ましい。高分子シートは、発泡倍率と気泡径を容易に制御できるので、ポリウレタンが好ましく、あらかじめ膨潤させておく液体として、エチレングリコールまたはグリセリンが得られた研磨パッドの島状研磨部の硬度を高くできるので好ましい。
本発明研磨パッドを使用した半導体基板の研磨方法について説明する。
【0045】
先に説明した研磨パッドを用いて、研磨剤としてシリカ系ポリッシュ剤、酸化アルミニウム系ポリッシュ剤、酸化セリウム系ポリッシュ剤等を用いてウェハー上での絶縁膜の凹凸や金属配線の凹凸を平坦化することができる。本発明の研磨パッドを研磨機の回転定盤(プラテン)に固着させる。ウェハーはウェハー保持試料台(キャリアー)に真空チャック方式により固定される。プラテンを回転させ、同方向でウェハー保持試料台を回転させて、研磨パッドに押しつける。この時に、研磨パッドとウェハーの間に研磨剤が入り込む様な位置から研磨剤を供給する。押し付け圧は、ウェーハ保持試料台に加える力を制御することによりおこなう。押し付け圧として0.01〜0.1MPaが局所的平坦性を得られるので好ましい。
【0046】
本発明のパッドは研磨機能を有する硬質な研磨層(第一層)または研磨部分と下に存在する第二層またはクッション層との剥離がおきることなく、ウェハーへの追随性を損なうことなく、研磨層の高硬度を達成でき、結果としてシリコンウェハー基板上の絶縁層または金属配線の平坦性を向上させることが可能である。
【0047】
【実施例】
以下、実施例にそってさらに本発明の詳細を説明する。本実施例において各特性は以下の方法で測定した。
剥離強度:研磨パッドの第一層と第二層またはクッション層と島状研磨部にエポキシ系接着剤でナットの六角面の一面を接着する。接着した六角の穴部にフックをかけて、ORIENTEC社製RTM−100(引っ張り試験機)で剥離強度試験をおこなった。なお、剥離強度試験の有効面積は、ナットの接着面の面積とした。
マイクロゴムA硬度:高分子計器(株)(所在地:京都市上京区下立売室町西入)のマイクロゴム硬度計MD−1で測定した。
【0048】
マイクロゴム硬度計MD−1の構成は下記のとおりである。
実施例1
厚み3mmのポリウレタンゴムシート(マイクロゴムA硬度=50度)をエチレングリコールに80℃で1時間浸漬したものを用意した。真鍮製の厚み10mmのプレートの表面に20mmピッチ(繰り返し距離)で15mm辺の正方形の深さ3mmの凹部(非貫通孔)があいている金型を用意した。
【0049】
メチルメタクリレート70重量部、トリエチルアミン15重量部、n−デカン15重量部、アゾビスイソブチルニトリル0.1重量部からなる溶液を用意して、金型の正方形のすべての縦穴に注ぎ満たした。この溶液を満たした金型の上にエチレングリコールで膨潤させ、表面に付着したエチレングリコールはふき取って除去しておいたポリウレタンゴムシートを接触させて、さらに上に厚み10mmの真鍮製のプレート(無孔品)をかぶせて、金型と真鍮製プレート(無孔品)を大型のクリップではさみこんだ。溶液が漏れないことを確認した上で、90℃オーブンの中に入れ1時間処理した。
【0050】
その後取り出して、上部の金型をはがすと、ポリウレタンゴムシート表面に正方形の島状研磨部が凹部の数と同じ数だけ形成されていた。
【0051】
金型をはがすと、島状研磨部分の上にポリメチルメタアクリレートの薄皮がはっていたので硬いブラシで磨いて、付着しているポリメチルメタアクリレートの薄皮がはがし、本来形成されている島状研磨部分の表面を露出させた。
【0052】
個々の島状研磨部の大きさは、パッドの垂直方向からみて15mmの正方形で、高さは300μmであった。島状研磨部分のマイクロゴムA硬度は97度であり、裏面のクッション層のマイクロゴムA硬度は50度であった。島状研磨部とクッション層の剥離強度は、3MPa以上であった(3MPaの剥離強度をかけても剥離しなかった。)。
【0053】
また、島状研磨部分の表面の赤外分光分析の結果、ポリウレタンとポリメチルメタアクリレートが含有されていることが確認された。また、透過型電子顕微鏡観察の結果、0.25μm以上の海島構造が観察されなかった。6インチシリコンウェハ上に0.25μm幅、高さ1.2μmのAl配線を0.5mmの間隔で形成し、さらにその上にテトラエトキシシランを原料としてCVD法によって絶縁膜を3μmの厚さになるように形成した。この絶縁膜表面の凹凸の段差は、ウェハ中央部で11000オングストローム、ウェハ周辺部で11200オングストロームであった。
【0054】
本基板を研磨機の研磨ヘッドに取り付けて37rpmで回転させ、上記研磨パッドを研磨機のプラテンに固着させ36rpmで研磨ヘッドの回転方向と同じ方向に回転させ、シリカ系ポリッシュ剤を225ml/分で供給しながら研磨圧力0.05MPaで1分間研磨を実施した。研磨後の絶縁膜の表面凹凸の段差は、ウェハ中央部で800オングストローム、ウェハ周辺部で900オングストロームと良好な平坦性とウェハ面内均一性が得られた。上記構成の基板を1000枚研磨処理したが、研磨パッドは剥離も起こらず良好な研磨ができた。
【0055】
実施例2
厚み5mmの発泡ポリウレタンシート(マイクロゴムA硬度=50度、発泡倍率:1.5倍、独立気泡平均径:110μm)をエチレングリコールに70℃で1時間浸漬したものを用意した。真鍮製の厚み10mmのプレートの表面に40mmピッチで35mm辺の正方形の深さ2mmの凹部(非貫通孔)があいている金型を用意した。
【0056】
メチルメタクリレート60重量部、メタクリル酸10重量部、トリエチルアミン15重量部、n−デカン15重量部、アゾビスイソブチルニトリル0.1重量部の溶液を用意して、金型の正方形のすべての縦穴に注ぎ満たした。この溶液を満たした金型の上にエチレングリコールで膨潤させた(表面に付着したエチレングリコールは除去しておく。)。発泡ポリウレタンシートを接触させて、さらに上に厚み10mmの真鍮製のプレート(無孔品)をかぶせて、金型と真鍮製プレート(無孔品)を大型のクリップではさみこんだ。溶液が漏れないことを確認した上で、90℃オーブンの中に入れ1時間処理した。
【0057】
その後取り出して、上部の金型をはがすと、発泡ポリウレタンシート表面に正方形の島状研磨部分が凹部の数と同じ数だけ形成されていた。金型をはがした際、島状研磨部の上にポリメチルメタアクリレートの薄皮がはっていたので硬いブラシで磨いて付着しているポリメチルメタアクリレートの薄皮がはがし、本来形成されている島状研磨部の表面を露出させた。
【0058】
個々の島状研磨部の大きさは、パッドの垂直方向からみて35mmの正方形で、高さは1.3mmであった。島状研磨部分のマイクロゴムA硬度は95度であり、クッション層のマイクロゴムA硬度は50度であった。島状研磨部とクッション層の剥離強度は、3MPa以上であった(3MPaの剥離強度をかけても剥離しなかった。)。
【0059】
6インチシリコンウェハ上に0.18μm幅、高さ0.8μmのAl配線を0.2mmの間隔で形成し、さらにその上にテトラエトキシシランを原料としてCVD法で4μmの絶縁膜を形成した。得られた絶縁膜表面の凹凸の段差は、ウェハ中央部で6000オングストローム、ウェハ周辺部で6300オングストロームであった。
【0060】
本基板を研磨機の研磨ヘッドに取り付けて37rpmで回転させ、上記研磨パッドを研磨機のプラテンに固着させ36rpmで研磨ヘッドと同方向に回転させ、シリカ系ポリッシュ剤を225ml/分で供給しながら研磨圧力0.05MPaで1分間研磨を実施した。研磨後の絶縁膜の表面の凹凸の段差は、ウェハ中央部で500オングストローム、ウェハ周辺部で400オングストロームと良好な平坦性と良好なウェハ面内均一性が得られた。上記構成の基板を600枚研磨処理したが、研磨パッドは島状研磨部分をクッション層の界面での剥離も起こらず良好な研磨ができた。
【0061】
実施例3
厚み5mmの発泡ポリウレタンシート(マイクロゴムA硬度=60度、発泡倍率:1.3倍、独立気泡平均径:130μm)をエチレングリコールに70℃で1時間浸漬したものを用意した。真鍮製の厚み10mmのプレートの表面に250mm辺の正方形の深さ2mmの凹部(非貫通孔)があいている金型を用意した。メチルメタクリレート65重量部、メタクリル酸5重量部、トリエチルアミン15重量部、n−デカン15重量部、アゾビスイソブチルニトリル0.1重量部の溶液を用意して、金型の正方形のすべての凹部に注ぎ満たす。この溶液を満たした金型の上にエチレングリコールで膨潤させた(表面に付着したエチレングリコールは除去しておく。)。
【0062】
発泡ポリウレタンシートを接触させて、さらに上に厚み10mmの真鍮製のプレート(無孔品)をかぶせて、金型と真鍮製プレート(無孔品)を大型のクリップではさみこむ。溶液が漏れないことを確認した上で、90℃オーブンの中に入れ1時間処理した。
【0063】
その後取り出して、上部の金型をはがすと、発泡ポリウレタンシート表面に正方形の研磨層が形成されていた。金型をはがした際、研磨層の上にポリメチルメタアクリレートの薄皮がはっていたので硬いブラシで磨いて付着しているポリメチルメタアクリレートの薄皮がはがし、本来形成されている研磨層の表面を露出させた。
【0064】
得られた研磨パッドの研磨層のマイクロゴムA硬度は94度で、クッション層のマイクロゴムA硬度は60度であった。研磨層の厚みは1.2mmで、クッション層の厚みは4.3mmであった。研磨層とクッション層の剥離強度は、3MPa以上であった(3MPaの剥離強度をかけても剥離しなかった。)。
【0065】
3インチシリコンウェハ上に0.25μm幅、高さ0.9μmのAl配線を0.2mmの間隔で形成し、さらにその上にテトラエトキシシランを原料としてCVD法で4μmの絶縁膜を形成した。得られた絶縁膜表面の凹凸の段差は、ウェハ中央部で6500オングストローム、ウェハ周辺部で6800オングストロームであった。
【0066】
本基板を研磨機の研磨ヘッドに取り付けて37rpmで回転させ、上記研磨パッドを研磨機のプラテンに固着させ36rpmで研磨ヘッドと同方向に回転させ、シリカ系ポリッシュ剤を225ml/分で供給しながら研磨圧力0.05MPaで1分間研磨を実施した。研磨後の絶縁膜の表面の凹凸の段差は、ウェハ中央部で700オングストローム、ウェハ周辺部で400オングストロームと良好な平坦性と良好なウェハ面内均一性が得られた。上記構成の基板を600枚研磨処理したが、研磨パッドは研磨層とクッション層の界面での剥離も起こらず良好な研磨ができた。
比較例1
厚み1.2mmの発泡ポリウレタンシート(マイクロゴムA硬度=92度、発泡倍率:1.2倍、独立気泡平均径:40μm)を厚さ2mmの発泡ポリウレタン(マイクロゴムA硬度=50度、発泡倍率:1.5倍、独立気泡径230μm)にエポキシ接着剤で接着して研磨パッドを作成した。
【0067】
実施例3で作成した3インチシリコンウェハの絶縁膜の表面凹凸を、本研磨パッドを使用して実施例3の研磨条件で研磨した。研磨後の絶縁膜の凹凸の段差は、ウェハ中央部で800オングストローム、ウェハ周辺部で1400オングストロームであり、平坦性とウェハ面内均一性ともに不良であった。
【0068】
【発明の効果】
この発明の研磨パッドは、研磨層(研磨部分)の硬度が高く、ウェハー面への研磨パッドの追随性に優れているので、平坦性に優れ、ウェハー面内均一性に優れ、さらに研磨部分とそれを支持する部分との層間の接着が優れており耐久性を維持しての半導体基板の研磨が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の島状研磨部分を有する研磨パッドの断面概念図を示す。
【符号の説明】
1:クッション層
2:島状研磨部分
3:島と島の間のクッション層表面(海部分)
Claims (7)
- 高分子シートの片面から、重合性化合物を膨潤させ、部分的に重合反応をさせることを特徴とする研磨パッドの製造方法。
- 高分子シートが1000μm以下の独立気泡を有し、かつ発泡倍率が1.01〜3.倍であることを特徴とする請求項1記載の研磨パッドの製造方法。
- 表面に凹部を複数有するプレートの凹部に、重合性化合物を注入し、プレート表面と高分子シートとを接触させ、該重合性化合物が該高分子シートに接触した状態で、重合を行うことを特徴とする研磨パッドの製造方法。
- 重合性化合物が、高分子シートへの20℃での膨潤率が1.02以上のビニル化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の研磨パッドの製造方法。
- 重合性化合物を、重合開始剤と高分子シートへの20℃の膨潤率が1.02以下である重合禁止剤または有機溶媒と共存させて高分子シートに接触させることを特徴とする請求項4記載の研磨パッドの製造方法。
- 高分子シートが液体で膨潤されたものである請求項1〜5のいずれかに記載の研磨パッドの製造方法。
- 高分子シートがポリウレタンで構成され、あらかじめ膨潤させる液体がエチレングリコールまたはグリセリンであり、高分子シートへの20℃の膨潤率が1.02以下である有機溶媒が炭素数が6以上の脂肪族炭化水素である請求項6記載の研磨パッドの製造方法。
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