JP4500061B2 - 硬質皮膜の成膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを各々具備し、優れた特性の硬質皮膜等の成膜が可能な硬質皮膜の成膜方法に関するものである。なお、本発明は、耐摩耗性皮膜としての硬質皮膜以外の皮膜の成膜にも適用できるが、以下の説明は、硬質皮膜の成膜を中心に行なう。
超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼などを基材とする切削工具や自動車向け摺動部材などの耐摩耗性の向上のために、これらの部材表面に耐摩耗性皮膜が設けられている。
この耐摩耗性皮膜としては、従来から、TiNやTiCN、TiとAlの複合窒化皮膜であるTiAlN等の硬質皮膜を、前記基材上にコーティングすることが行われている。
これら耐摩耗性の硬質皮膜は、一般的には、同種あるいは異種の硬質材料からなる薄膜が各々乃至順次多層に繰り返して積層された、硬質皮膜から構成される。このような多層の硬質皮膜の成膜には、硬質材料に応じた、複数のアーク蒸発源やスパッタリング蒸発源、あるいは電子ビーム蒸発源を、各々組み合わせて、基板上に各硬質皮膜層を各々形成する装置乃至方法がある。
この内、複数のアーク蒸発源やスパッタリング蒸発源を各々組み合わせて、基板上に硬質皮膜層を各々あるいは順次形成する装置は、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源との各々異なる特性を活かして成膜できる点で、成膜効率が良い装置であると言える。
例えば、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源との特性比較において、アーク蒸発は、スパッタリング蒸発と比べて成膜レートが速いが、成膜レートの調整が難しく、薄膜の皮膜層の厚みを正確に制御することが難しい。これに対して、スパッタリング蒸発源は、アーク蒸発源と比べて成膜レートが遅いが、成膜レートの調整が容易であり、非常に小さい投入電力から作動するために、薄膜の皮膜層の厚みを正確に制御できる特性がある。
このため、比較的厚い皮膜層に対しアーク蒸発源を用い、比較的薄い皮膜層に対しスパッタリング蒸発源を用いれば、各皮膜層の厚みの制御が容易となり、総合的な成膜レートも速めることができる。
このような複数のアーク蒸発源やスパッタリング蒸発源を各々組み合わせたような複合成膜装置として、同一成膜チャンバ内に、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを複数配置した成膜装置は公知である。
例えば、アーク蒸発源やスパッタリング蒸発源を交互に切り換えて作動させ、アーク蒸発源により金属イオンエッチングを実施した後に、アーク蒸発源を停止し、プロセスガスを導入後、スパッタリング蒸発源により、硬質皮膜を成膜する装置なり方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とに、磁場印加機構を具備する成膜装置も提案されている(特許文献2、3参照)。なお、特許文献3の図7には従来技術として、磁場印加機構を具備していないアーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とのそれぞれの磁場が相互干渉する影響が記載されている。
更に、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを同時に作動させることによって、硬質皮膜を形成したり、皮膜に第3元素を添加して、皮膜の結晶粒子を微細化したり、耐磨耗性などの特性を改善することも公知である。例えば、TiN 皮膜や切削工具などのTiAlN 皮膜に、SiやB を添加することで、耐酸化性が向上すると共に結晶粒子の微細化により高硬度化することが提案されている(特許文献4、5、非特許文献1参照)。また、自動車のピストンリングを代表として摺動部材に使用されているCrN 膜にB を添加して、高硬度化することにより耐摩耗性を改善する方法も提案されている(特許文献6参照)。
米国特許第5,234,561 号明細書(図1、第9、10列) 特許2836876 号公報(請求項、図1、第9頁) 特開2000-144391 号公報(請求項、図1) 特開平7-310174号公報 特許2793696 号公報 特開2000-144391 号公報 K.H.Kim et al.Surf.Coat.Technol.298(2002) 243 〜244 、247 頁
しかし、同一成膜チャンバ内において、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを同時に作動させる場合、アーク蒸発源やスパッタリング蒸発源を交互に切り換えて作動させたとしても、硬質皮膜材料や成膜条件によっては、目標とする緻密な硬質皮膜や目標とする組成の硬質皮膜ができにくい、成膜操作中に異常放電する、などの成膜上の問題が生じることが避け難い。このため、得られる硬質皮膜の高硬度化による耐摩耗性向上にも限界があったのが実情である。
例えば、TiNやTiCNあるいはTiAlN等の窒化物硬質皮膜を成膜する場合、窒化物を形成するために、Arと窒素の混合ガス雰囲気中で成膜する。しかし、同一成膜チャンバ内においては、前記アーク蒸発源やスパッタリング蒸発源からの放出電子が、基板と同じくアノードとなるチャンバ側に安易に誘導されやすい。この結果、放出電子の濃度が薄まり、スパッタリングガスや反応性ガスとの衝突が少なくなり、高効率でガスのイオン化を実施することが困難である。
また、スパッタリング蒸発源には、Ar(アルゴン)、Ne(ネオン)、Xe(キセノン)などの不活性のスパッタリングガスが用いられる一方、アーク蒸発源には、窒素、メタン、アセチレンなどの反応性ガス(反応ガス)が用いられる。このため、同一成膜チャンバ内においてアーク成膜とスパッタリング成膜とを同時に行なう場合、特に、皮膜性能の向上のために、窒素などの反応性ガスの分圧を高くして成膜を行なう場合には、スパッタリング蒸発源に用いる材料によっては、スパッタリングターゲット材が上記反応ガスと反応して、ターゲット材表面に絶縁体(絶縁物)を生じ、この絶縁体によって、スパッタリング蒸発源で異常放電(アーキング)が生じる可能性が高い。そして、この問題も、高効率でガスのイオン化を阻害する。
このように高効率でのガスのイオン化が阻害された場合、基板に対するイオン照射を強化することができなくなり、硬質皮膜層の緻密化が図れなくなり、表面が粗くなるなど表面性状も低下する。この結果、従来の成膜装置では、特に、同一成膜チャンバ内において、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを同時に作動させる場合、硬質皮膜の高硬度化などの高特性化や高性能化に大きな限界が生じる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、特に、同一成膜チャンバ内において、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを同時に作動させる場合に、成膜上の問題が生じることなく、所望の特性の硬質皮膜が得られる、硬質皮膜の成膜方法を提供することを目的とする。
この目的を達成するための、本発明の要旨は、同一成膜チャンバ内に、磁場印加機構を有するアーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを各々1台以上配置し、成膜する基板を、前記アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源との間で、順次相対的に移動させる手段を有し、成膜中に、隣り合う前記蒸発源同士の磁力線が互いにつながるように前記磁場印加機構が構成されている複合成膜装置を用い、前記アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを同時に作動させて、窒素を含有する硬質皮膜を形成するに際し、不活性ガスであるスパッタリングガス中に窒素を混合させるとともに、このスパッタリングガスと窒素の全圧を2〜4Paとし、混合した窒素の分圧を0.5〜2.65Paとし、且つアーク蒸発源からTiAl合金を蒸発させることである。
本発明においては、上記要旨のように、成膜中に、隣り合う前記蒸発源同士の磁力線が互いにつながるように前記磁場印加機構が構成されている。
このため、同一成膜チャンバ内の磁力線は閉じた状態(閉磁場構造)となっており、後に詳述する通り、前記蒸発源からの放出電子が、この閉磁場構造内にトラップされ、基板と同じくアノードとなるチャンバに安易に誘導されない。この結果、同一成膜チャンバ内においてアーク成膜とスパッタリング成膜とを同時に行なう場合でも、放出電子の濃度が高まり、スパッタリングガスや反応性ガスとの衝突が多くなり、高効率でガスのイオン化を実施することができる。
また、本発明においては、上記他の要旨のように、成膜中に、スパッタリングガスを前記スパッタリング蒸発源近傍より導入するとともに、反応ガスを前記アーク蒸発源近傍より導入する。このため、同一成膜チャンバ内においてアーク成膜とスパッタリング成膜とを同時に行なう場合、そして特に、皮膜性能の向上のために、窒素などの反応性ガスの分圧を高くして成膜を行なう場合であっても、スパッタリングガスへの窒素などの反応ガスの混合が生じにくくなり、イオン化された混合ガスにより、ターゲット表面へ絶縁皮膜が形成されて、異常放電が生じるという問題が抑制される。このため、高効率でガスのイオン化を実施することができる。
本発明では、上記二つの要旨の各々の実施、あるいは組み合わせての実施による、高効率でのガスのイオン化促進によって、基板に対するイオン照射を強化することができ、硬質皮膜層の緻密化による、高硬度化などの高特性化を達成できる。また、異常放電などの成膜中の異常発生も抑制できる。
更に、スパッタリング蒸発源の非エロージョンエリアに電圧がかからないようにすることで、エロージョンエリアよりスパッタされた粒子が、非エロージョンエリア上で、窒素などの反応ガスと反応、結合して、堆積することが無くなる。この結果、これに起因する異常放電が防止され、高効率でガスのイオン化を実施することができる。
以下に、本発明に係る複合成膜装置について、実施態様を図面を用いて具体的に説明する。なお、以下の記載では、本発明に係る複合成膜装置を、単に、本発明複合成膜装置あるいは本発明成膜装置とも言う。図1は、本発明成膜装置の一実施態様を示す平面図である。また、図2は、比較例の成膜装置を示す平面図である。図3は、本発明複合成膜装置の別の実施態様を示す正面図である。図4は、本発明複合成膜装置の更に別の実施態様を示す平面図である。
図1、2に示す成膜装置では、共通して、チャンバ8 内に、基板1 を複数個( 図5 では4 個対称に) 回転盤9 上に配置し、その周囲に円周状(円周上)に、スパッタリング蒸発源2 、3 とアーク蒸発源5 、6 とを、スパッタリング蒸発源2 、3 同士、アーク蒸発源5 、6 同士、各々対向して配置している。そして、スパッタリング蒸発源とアーク蒸発源とは、互いに隣り合うように交互に配置されている。
そして、回転盤9 の回転により、各基板1 を回動させて、基板1 が交互にアーク蒸発源5 、6 とスパッタリング蒸発源2 、3 の前を通過するようにしている。この場合、回転盤9 や基板1 の方を回転させずに、アーク蒸発源5 、6 とスパッタリング蒸発源2 、3 の方を、基板1 の回りを回転するようにしても良く、要は、成膜する基板を、前記アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源との間で、順次相対的に移動させる手段を有していれば良い。
そして、アーク蒸発源5 、6 を用いて、例えば、TiAlNなどの硬質皮膜を成膜する場合には、窒素、メタン、アセチレンなどの反応ガスをチャンバ8 内に導入し、数Pa程度の反応性ガスを含む圧力領域の雰囲気中で、TiAlターゲットを用いて成膜を実施する。
また、スパッタリング蒸発源2 、3 を用いて、例えば、同じく、TiAlNなどの硬質皮膜を成膜する場合には、TiAlターゲットを用いる点は、アークによる成膜と同じである。しかし、スパッタリングガスとなるAr、Ne、Xeなどの不活性ガスは、窒素などとの反応ガスを混合して用い、かつ、雰囲気の全圧力は0.数Pa程度と、アークによる成膜よりも低い圧力領域で行なう。
そして、回転盤9 を回転させ、各基板1 を回動させて、基板1 が交互にアーク蒸発源5 、6 とスパッタリング蒸発源2 、3 の前を通過するようにすることで、各スパッタリングによる成膜や各アークによる成膜を順次実施して、同一の、あるいは異なる硬質材料を用いて、基板1 上に、同一の、あるいは異なる組成や厚みの硬質皮膜を順次多層に成膜することが可能である。
(磁場印加機構)
ここで、図1、2に示す成膜装置は、共通して、上記アーク蒸発源5 、6 及びスパッタリング蒸発源2 、3 ともに、これらの蒸発源が各々具備する永久磁石等の磁場印加機構4により発生および制御される磁場10を利用している。
しかし、この磁場10を利用する場合において、図1の本発明成膜装置では、隣り合う両蒸発源の磁場10同士、例えばアーク蒸発源5 とスパッタリング蒸発源2 、3 との磁場10同士が、お互いにつながっている。即ち、成膜中に、隣り合う前記蒸発源同士の磁力線(磁場10)が互いにつながるように前記磁場印加機構4が構成されている。
このため、同一成膜チャンバ8 内の磁場10(磁力線)は閉じた状態(閉磁場構造)となっており、前記蒸発源からの放出電子が、この閉磁場構造内にトラップされ、基板1と同じくアノードとなるチャンバ8に安易に誘導されない。この結果、放出電子の濃度が高まり、スパッタリングガスや反応性ガスとの衝突が多くなり、高効率でガスのイオン化を実施することができる。
これによって、同一成膜チャンバ内においてアーク成膜とスパッタリング成膜とを同時に行なう場合でも、図1の本発明成膜装置では、隣り合う両蒸発源からのイオンの指向性が向上し、基板1 へのイオン照射を増加させ、より特性に優れた皮膜を形成することが可能となる。
これに対し、図2の比較例成膜装置では、隣り合う両蒸発源の磁場10同士、例えばアーク蒸発源5 とスパッタリング蒸発源2 、3 との磁場10同士が、お互いにつながらず、独立している。
このため、同一成膜チャンバ8 内の磁場10(磁力線)は開いた状態(開磁場構造)となっており、前記蒸発源からの放出電子は、各々の磁場10(磁力線)の方向に沿って、速やかに(安易に)、チャンバ8に安易に誘導さる。この結果、同一成膜チャンバ内においてアーク成膜とスパッタリング成膜とを同時に行なう場合、放出電子の濃度が薄まり、スパッタリングガスや反応性ガスとの衝突が少なくなり、ガスのイオン化効率が低くなる。
したがって、図2の比較例成膜装置の場合、両蒸発源からのイオンの指向性が緩慢となって、基板へのイオン照射量が減り、皮膜特性あるいは成膜効率を阻害する可能性が高くなる。
(イオン照射増加効果の裏付け)
図1、2に示した成膜装置を用いて、基板1に流れるイオン電流を測定した。図1の本発明成膜装置では、基板1に流れる約14mA/cm2 のイオン電流が得られ、基板1に流れるイオン電流は明らかに増加していた。これに対して、図2の比較例成膜装置の場合、基板1に流れるイオン電流は、その半分の約7mA/cm2 程度でしかなく、基板1に流れるイオン電流は増加していなかった。この結果からも、本発明成膜装置では、基板へのイオン照射を増加させ、より特性に優れた皮膜を形成することが可能となることが裏付けられる。
(成膜装置の別の実施態様)
次に、図3を用いて、本発明成膜装置の別の実施態様を説明する。図3に示す成膜装置では、図1のように、スパッタリング蒸発源2 、3 とアーク蒸発源5 、6 とを、チャンバ8 内に、円周状には配置せず、直列的に交互に配列した例を示している。各蒸発源の配列の仕方は、必ずしも直線的でなくても、曲線的などでも良く、各蒸発源の配列数も自由に選択できる。
図3の本発明成膜装置の場合も、被処理体である基板1か、アーク蒸発源5 、6 とスパッタリング蒸発源2 、3 を、適宜の手段により相対的に移動させて、基板1 が交互にアーク蒸発源5 、6 とスパッタリング蒸発源2 、3 の前を通過するようにしている。そして、チャンバ8 内の反応性ガスを含む雰囲気中で、アーク蒸発源5 、6 を用いて硬質皮膜層の成分を、スパッタリング蒸発源2 、3 を用いて硬質皮膜層の成分を、各々蒸発させて、硬質皮膜層と硬質皮膜層とを交互にかつ順次基板1 上に積層させ、目的硬質皮膜を形成する。
そして、図3の本発明成膜装置においても、隣り合う両蒸発源の磁場10同士、例えばアーク蒸発源5 とスパッタリング蒸発源2 、3 との磁場10同士が、お互いにつながっている。即ち、成膜中に、隣り合う前記蒸発源同士の磁力線が互いにつながるように前記磁場印加機構4が構成されている。このため、同一成膜チャンバ8 内の磁場10は閉じた状態(閉磁場構造)となっており、前記蒸発源からの放出電子が、この閉磁場構造内にトラップされ、基板1と同じくアノードとなるチャンバ8に安易に誘導されない。この結果、図1の本発明成膜装置と同様に、放出電子の濃度が高まり、スパッタリングガスや反応性ガスとの衝突が多くなり、高効率でガスのイオン化を実施することができる。
(窒素分圧)
以上説明した図1、3などの本発明成膜装置において、前記アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを同時に作動させて、窒素を含有する硬質皮膜を形成するに際しては、スパッタリングガス中に窒素を混合させるとともに、混合した窒素の分圧を0.5Pa以上とする。
上記した通り、アークによる成膜と、スパッタリングによる成膜とでは、雰囲気ガス条件と圧力条件とが大きく異なる。このため、前記した非特許文献1などにおいては、例えばTiSiNなどの硬質皮膜を、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを同時に作動させることによって、成膜する場合に、スパッタリングガスとなるArと窒素などの反応ガスの比を3:1とし、全圧力を0.08Pa程度とし、窒素の分圧を0.02Pa程度として、アーク蒸発源でTiを、スパッタリング蒸発源でSiを蒸発させて成膜している。
しかし、このような条件で成膜した場合、混合させる窒素の分圧が低過ぎるため、硬質皮膜中への窒素の添加が不十分となり、硬質皮膜中のマクロパーティクルも多くなる。このため、緻密な皮膜ができにくくなる。
これに対して、硬質皮膜中への窒素の添加を十分に行い、硬質皮膜中のマクロパーティクル発生を抑制して、緻密でかつ表面性状に優れる皮膜を成膜するためには、スパッタリングガス中に混合させる窒素の分圧を、上記した通り、0.5Pa以上とする。
この窒素分圧の影響を、TiAlCrNの硬質皮膜を前記図3に示した成膜装置を用いて、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを同時に作動させることによって成膜する場合について調査した。アーク蒸発源にてTiAl合金(Ti50:Al50)を蒸発させながら、同時にスパッタリング蒸発源でCrを蒸発させ、スパッタリングガスとなるArと反応ガスとなる窒素の比率(窒素分圧)を種々変化させて形成した。そして、各々の例について、硬質皮膜中の窒素含有量(原子%)、硬質皮膜の表面粗度Raとビッカース硬度(Hv)を測定した。
これらを窒素分圧との関係で整理した結果を図5〜7に示す。図5は窒素分圧と硬質皮膜中の窒素含有量との関係、図6は窒素分圧と硬質皮膜の表面粗度Raとの関係、図7は窒素分圧と硬質皮膜のビッカース硬度との関係を各々示す。
図5から分かる通り、窒素分圧が0.5Paを境に、硬質皮膜中の窒素含有量には明確な違いがある。即ち、窒素分圧が0.5Pa未満の領域では、硬質皮膜中の窒素含有量がほぼ単調に、かつ窒素分圧が0.5Pa以上の領域に比して著しく減少している。これに対して、窒素分圧が0.5Pa以上の領域では、硬質皮膜中の窒素含有量は安定して約50原子%程度の高レベルを保持している。
また、図6から分かる通り、窒素分圧が0.5Paを境に、硬質皮膜の表面粗度Raにも明確な違いがある。即ち、窒素分圧が0.5Pa未満の領域では、硬質皮膜の表面粗度Raが約0.38μmまで急激に上昇している。これに対して、窒素分圧が0.5Pa以上の領域では、硬質皮膜の表面粗度Raはほぼ安定して0.1μm以下の低レベルを保持している。
更に、図7から分かる通り、窒素分圧が0.5Paを境に、硬質皮膜のビッカース硬度にも明確な違いがある。即ち、窒素分圧が0.5Pa未満の領域では、ビッカース硬度が、1100Hvのレベルにまで著しく減少している。これに対して、窒素分圧が0.5Pa以上の領域では、硬質皮膜のビッカース硬度は安定して約2500Hv程度の高レベルを保持している。
これらの結果から、硬質皮膜中への窒素の添加を十分に行い、硬質皮膜中のマクロパーティクル発生を抑制して、緻密でかつ表面性状に優れる皮膜を成膜するために、スパッタリングガス中に混合させる窒素の分圧を0.5Pa以上とすることの意義が分かる。なお、これらの結果と傾向は、調査したTiAlCrN以外のTiNやTiCNあるいはTiAlN等の他の硬質皮膜にも当てはまる。
(絶縁体形成による異常放電問題)
ただ、上記した窒素分圧を0.5Pa以上とする成膜において、同一成膜チャンバ内においてアーク成膜とスパッタリング成膜とを同時に行なう場合、スパッタリング蒸発源に用いる材料によっては別の問題を生じることがある。即ち、スパッタリングターゲット材が反応ガスと反応して、ターゲット材表面に絶縁体(絶縁物)を生じ、この絶縁体によって、スパッタリング蒸発源で異常放電(アーキング)が生じる可能性がある。例えば、ターゲット材としてSiを用い、これを窒素中でスパッタリングする場合に、Siが窒素と反応してSiNの絶縁体をターゲット材表面に形成しやすく、この異常放電の問題が特に生じやすい。
また、このような絶縁物を生じない場合でも、スパッタリングターゲット材が反応ガスと反応して、ターゲット材表面に化合物を生じた場合でも、この表面の化合物層によって、スパッタリング蒸発源での蒸発レートが低下する可能性がある。そして、これらの問題も高効率でガスのイオン化を阻害する要因となる。
従来、このような問題に対しては、不活性のスパッタリングガスに対する、窒素などの反応ガスの分圧を低く保ち、上記した窒素などの反応ガスとスパッタリングターゲット材との反応を抑制して、スパッタリングガスによるターゲット材のスパッタリングが優先して生じるようにしていた。
前記した非特許文献1などにおいて、TiSiNなどの硬質皮膜を、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを同時に作動させることによって、成膜する場合に、上記した通り、スパッタリングガスとなるArなどに対する窒素などの反応ガスの分圧を低くしていたのは、この理由にもよる。
しかし、前記した通り、図1や図2の成膜装置を用いて成膜する場合には、アーク成膜とスパッタリング成膜とでは、雰囲気の組成と圧力領域とが大きく異なる。このため、比較的高い圧力が必要なアーク蒸発源と、スパッタリング蒸発源とを同時に作動させることによって成膜する場合には、上記した皮膜性能からしても、スパッタリングガスに対する窒素などの反応ガスの分圧を高める必要が有り、上記した問題発生の可能性が高くなる。
(雰囲気ガスの導入方法)
この問題に対しては、成膜中に、スパッタリングガスを前記スパッタリング蒸発源近傍よりチャンバ内に導入し、反応ガスを前記アーク蒸発源近傍よりチャンバ内に導入することで対応できる。この態様を図4に示す。図4の本発明成膜装置の基本的な構成は、前記した図1と同じであるが、成膜中に、スパッタリングガスを前記スパッタリング蒸発源近傍より導入し、反応ガスを前記アーク蒸発源近傍より導入する点が特徴的である。
より具体的に、図4の成膜装置は、成膜中に、スパッタリングガスを導管12および枝管12a、12bによって、前記スパッタリング蒸発源3、4近傍より導入する。また、反応ガスを導管11および枝管11a、11bによって、前記アーク蒸発源5、6近傍より導入する。
これによって、スパッタリング蒸発源3、4近傍においては、不活性のスパッタリングガスに対する窒素などの反応ガスの分圧を低く保ち、上記した窒素などの反応ガスとスパッタリングターゲット材との反応を抑制して、スパッタリングガスによるターゲット材のスパッタリングが優先して生じるようにできる。
この一方で、チャンバ内の全雰囲気中のスパッタリングガスに対する反応ガスとなる窒素の比率(窒素分圧)は、上記皮膜性能向上の点から高めることができる。また、アーク蒸発源5 、6 近傍においては、アークによる成膜条件に応じて反応性ガスの圧力も高めることができる。
これらの雰囲気ガスの導入を、前記した図1、4などの磁場印加機構と組み合わせて用いる、あるいは単独で用いることによっても、不活性のスパッタリングガスに、窒素などの反応ガスの混合が生じにくくなり、イオン化された混合ガスにより、ターゲット表面へ絶縁皮膜が形成されて、異常放電が生じるという問題が抑制される。このため、高効率でガスのイオン化を実施することができる。
(磁場形成による異常放電問題)
なお、スパッタリングターゲットにおける異常放電は、上記した窒素などの反応ガスによるターゲット材表面の絶縁体形成では無い、他の原因によって生じる場合がある。
これは、上記した磁場印加機構4などの磁場によるスパッタリング制御特有の問題とも言える。図8(a)、(b)を用いて、この問題の詳細を説明する。図9(a)、(b)は、スパッタリング蒸発源2、3の詳細構造を示し、図8(a)はスパッタリング蒸発源2、3におけるターゲット材20のみの平面図、図8(b)はスパッタリング蒸発源2、3の正面図である。図8(b)において、4は磁場印加機構、13はターゲット材20のシールド、15はシールド13のグランドアース、14はターゲット材20のバッキングプレート、16はスパッタ電源、17はターゲット材20をセットする治具である。
図8(b)に示す通り、磁場を用いたマグネトロンスパッタリング蒸発源2、3は、ターゲット材20表面に水平な磁場10を形成し、前記した通り、意図的に電子をトラップして、電子密度を高め、スパッタリングガスのイオン化を促進し、スパッタリング効率を高めている。
この場合、図8(a)に示すターゲット材20表面において、エロージョンエリア21と非エロージョンエリア22とが必然的に生じる。斜線部分であるエロージョンエリア21は、スパッタリングガスのイオンが多く発生し、電子密度が高く、スパッタリングが優先的に進行する。これに対して、ターゲット材20の中心部とエロージョンエリア21の周縁部の非エロージョンエリア22では、殆どスパッタリングが起こらない。このため、非エロージョンエリア22では、エロージョンエリア21よりスパッタされた粒子が、窒素などの反応ガスと反応、結合して、堆積しやすい。このため、この堆積物がターゲット材表面の絶縁体(絶縁膜)となって、異常放電の問題が生じる可能性がある。
(スパッタリング蒸発源)
この問題に対しては、成膜中に、スパッタリング蒸発源の非エロージョンエリア22に電圧がかからないようにすることが好ましい。
このための一つの手段として、前記スパッタリング蒸発源の、前記エロージョンエリア21以外の、非エロージョンエリアの部分に、電気的に絶縁体である材料を使用する。図9(a)、(b)は、この態様例を示し、前記図8(a)、(b)と装置の基本構成は同じである。図9(a)、(b)において、ターゲット材20の中心部とエロージョンエリア21の周縁部の非エロージョンエリア23には、電気的に絶縁体である材料を使用し、絶縁体23として構成している。このような材料としては、スパッタリング蒸発源での発生熱に耐えうる、耐熱性を有する、BN(窒化ほう素)、アルミナなどの使用が好ましい。
図10は、同じく非エロージョンエリアに電圧がかからないようにするための他の手段として、エロージョンエリア以外の部分に、スパッタリングターゲットの電位に対して、フローティング電位あるいはグラウンド電位となるシールドを設けた態様例を示している。
図10(a)、(b)も、前記図8(a)、(b)と装置の基本構成は同じである。図10(a)、(b)において、ターゲット材20の中心部の非エロージョンエリア25にはフローティング電位となるシールドを設けている。また、エロージョンエリア21の周縁部の非エロージョンエリア24には、グラウンド電位となる(グラウンドアース15と接続された)シールドを設けている。
非エロージョンエリア22に電圧がかからないようにしている、上記した構成の図9および図10の態様では、エロージョンエリア21よりスパッタされた粒子が、非エロージョンエリア23上で、窒素などの反応ガスと反応、結合して、堆積することが無い。したがって、前記異常放電の問題が生じることが防止される。
(皮膜組成)
以上のような構成の本発明成膜装置を用い、同一チャンバ内において、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを同時に作動させて、硬質皮膜を成膜する際の皮膜組成や、皮膜材料と蒸発源との関係を以下に説明する。
硬質皮膜組成としては、例えば、切削工具や耐摩耗摺動部品向けに多用されているTiN 、CrN あるいはTiAlN などの、Ti、Cr、Alのいずれかを含んだ立方晶岩塩型構造を有する窒化物、炭窒化物、炭化物のいずれかの化合物が適用できる。また、これら以外でも、4A、5A、6A及びAl、Siの1種以上より選ばれる元素と、B 、C 、N の1種以上より選ばれる元素との化合物であれば適用可能である。これらの化合物はいずれも結晶系として立方晶岩塩型構造を有し、かつ高硬度で耐摩耗性に優れる。
本発明の複合成膜装置は、上記のような硬質皮膜を、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源との成膜速度差を利用して、順次積層し、多層皮膜を形成するのに適している。その層の組み合わせとしては、上記4A、5A、6A及びAl、Siの1種以上より選ばれる元素と、B 、C 、N の1種以上より選ばれる元素との化合物同士であって、お互いに組成の異なる皮膜を各々アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とで成膜することも可能である。
また、(1) 上記4A、5A、6A及びAl、Siの1種以上より選ばれる元素と、B 、C 、N の1種以上より選ばれる元素との化合物層、(2)Si 、Cu、Co、Ni、B 、C の1種以上より選ばれる元素の窒化物、炭窒化物、炭化物層、(3) 金属Cu、Ni、Coの中から選択される層、を各々選択して、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とで積層 (成膜) することも可能である。
アーク蒸発源で形成する4A、5A、6A及びAl、Siの1種以上より選ばれる元素と、B 、C 、N の1種以上より選ばれる元素との化合物の中でも、Ti、Cr、Al、V のいずれかを含んだ化合物がより高硬度であり、耐磨耗性皮膜として適している。この化合物としては、一般式は、1 元系では、Ti(C1-x N x ) 、Cr(C1-x N x ) 、V(C1-x N x )[ 但し、x は0 〜1 の値、以下同じ] などで表せる。
2 元系では、TiAl(C1-x N x ) 、TiSi(C1-x N x ) 、TiCr(C1-x N x ) 、TiV(C1-xN x ) 、TiB(C1-xN x ) 、CrAl(C1-x N x ) 、CrSi(C1-x N x ) 、CrV(C1-xN x ) 、CrB(C1-xN x ) 、VAl(C1-xN x ) 、VSi(C1-xN x ) 、VB(C1-x N x ) などで表せる。
3 元系では、TiAlSi(C1-x N x ) 、TiAlCr(C1-x N x ) 、TiAlV(C1-xN x ) 、TiAlB(C1-xN x ) 、TiCrSi(C1-x N x ) 、TiCrV(C1-x N x )、TiCrB(C1-x N x )、TiVSi(C1-x N x )、TiVB(C1-x N x ) 、CrAlSi(C1-x N x ) 、CrAlV(C1-x N x )、CrAlB(C1-x N x )、CrSiV(C1-x N x )、CrSiB(C1-x N x )、CrVB(C1-x N x ) 、VAlSi(C1-x N x )、VAlB(C1-x N x ) 、などで表せる。
4 元系では、TiAlSiCr(C1-x N x ) 、TiAlSiV(C1-x N x )、TiAlSiB(C1-x N x )、TiAlCrV(C1-x N x )、TiAlCrB(C1-x N x )、TiAlVB(C1-x N x ) 、TiCrSiV(C1-x N x )、TiCrSiB(C1-x N x )、TiCrVB(C1-x N x ) 、CrAlSiV(C1-x N x )、CrAlSiB(C1-x N x )、CrAlVB(C1-x N x ) 、CrSiVB(C1-x N x ) 、VAlSiB(C1-x N x ) などで表せる。
また、スパッタ蒸発源で形成する化合物としては、4A、5A、6A及びAl、Siの1種以上より選ばれる元素と、B 、C 、N の1種以上より選ばれる元素との化合物の中でも、W 、Mo、Nbを含み、B 、C 、N の1種以上より選ばれる元素の化合物が適している。これらをスパッタ蒸発源で形成する理由としては、上記元素を含む化合物は硬質で耐酸化性に優れるものの、これらの元素を含むターゲットは一般的に高融点であり、アーク蒸発源での形成が困難なためである。
これらの化合物としては、例えば、W (C1-x N x )[但し、x は0 〜1 の値、以下同じ] 、Mo(C1-x N x ) 、Nb(C1-x N x ) 、WSi (C1-x N x ) 、MoSi(C1-x N x ) 、NbSi、WAl(C1-x N x )、NbAl(C1-x N x ) 等がある。
これ以外に、スパッタ蒸発源で形成する化合物としては、BN、BCN 、SiN 、SiCN、CuN 、CuCNのいずれか、または金属Cuが推奨される。
なお、これらの化合物中でも、Ti、CrあるいはAlのいずれかを含む化合物がより高硬度である。この化合物として、TiN 、TiCN、TiAlN 、CrN 、TiCrAlN 、CrAlN 等の化合物が例示される。特にAlを含有する化合物は耐酸化性に優れ、この耐酸化性が特に要求される切削工具用途向けに好ましい。また、機械部品用途向けには、Crを含有する化合物(例えばCrN 、TiCrN 、CrCN)が適している。
これら硬質皮膜を、同一チャンバ内において、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを同時に作動させて成膜する際には、スパッタリングガスとなるArなどの不活性ガスと窒素などの反応ガスとを混合し、アーク蒸発源でTiを、スパッタリング蒸発源でCrあるいはAlを蒸発させて成膜する。
また、同一チャンバ内において、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを同時に作動させて成膜する際に、前記した通り、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とに例えば同じTiAlターゲットを用い、互いの蒸発源近傍の雰囲気ガスの組成や圧力を制御して、成膜を実施しても良い。
(複合硬質皮膜の成膜)
以上説明したように、本発明成膜装置は、同一チャンバ内において、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを同時に作動させて、効率よく硬質皮膜を成膜することができるので、硬質皮膜の中でも、特に、複合硬質皮膜の成膜に好適である。ここで言う複合硬質皮膜とは、立方晶岩塩型構造を有する硬質皮膜層A と、立方晶岩塩型構造以外の結晶構造を有する硬質皮膜層B とが交互に積層された皮膜構造を有し、硬質皮膜層A の厚みを硬質皮膜層B の厚みよりも厚くした微細結晶硬質皮膜である。
このような積層型の複合硬質皮膜は、互いに結晶構造の異なる2層の硬質皮膜層を組み合わせて積層構造とすることにより、主相となる立方晶岩塩型構造を有する硬質皮膜層A の結晶粒子径を、簡便かつ任意に、微細に制御できる。即ち、立方晶岩塩型結晶構造の硬質皮膜層A を、立方晶岩塩型構造を有しない結晶構造の硬質皮膜層B と、交互に、かつ順次成膜 (積層) した場合、この硬質皮膜層B の部分で、その下層となる硬質皮膜層A の結晶成長が一旦中断される。そして、更に、硬質皮膜層A の成膜 (積層) を行なった場合、前記硬質皮膜層B 上より、硬質皮膜層A の新たに結晶成長が始まる。したがって、硬質皮膜層A の結晶粒子径を微細に制御できる。
この結果、この硬質皮膜層B を設けないで硬質皮膜層A のみを積層して成膜する場合や、また、成分が違っても、同じ立方晶岩塩型結晶構造の硬質皮膜層A 同士を積層して成膜する場合のように、硬質皮膜層A の結晶成長は中断されることなく成長し続ける場合に比して、硬質皮膜層A の結晶粒子径を著しく微細に制御できる。このような硬質皮膜層A の結晶粒子の微細化により、硬質皮膜の高硬度化や耐摩耗性向上など、従来の硬質皮膜にはない優れた特性を得ることが出来る。
硬質皮膜層A の組成としては、上記した硬質皮膜組成の内で、立方晶岩塩型結晶構造を有するが適用できる。
また、前記硬質皮膜層B の組成としては、立方晶岩塩型構造を有しない、B 、Si、Cu、Co、Niの1種以上より選ばれる元素の窒化物、炭窒化物、炭化物の中から選択されるか、あるいは金属Cu、金属Co、金属Niの中から選択される。中でも、BN、BCN 、SiN 、SiCNあるいはCuN 、CuCNのいずれかまたは金属Cuが好適に例示される。
これらの複合硬質皮膜を、本発明複合成膜装置を用い、同一チャンバ内において、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを同時に作動させて成膜する際には、成膜時に窒化物を形成する場合は、Arと窒素の混合ガス(例えば混合比50:50)雰囲気中で、炭窒化物の場合はArと窒素とメタンの混合ガス(例えば混合比50:45:5)雰囲気中で、例えば全圧力2〜4Paとして成膜する。
この際、層A と層B の厚みは各蒸発源に投入する電力比で決定し、層A +層B の厚みは基板の回転周期で決定する。なお、層A はアーク蒸発源にて、層B はスパッタリング蒸発源にて形成する。
層A としてTiN 、層B としてSiN を選択した場合を例にすると、層A の成分であるTiをアーク蒸発源5 、6 で蒸発させ、層B の成分であるSiをスパッタリング源2 、3 で蒸発させる。そして、スパッタリングガスのAr+反応ガスの窒素中で成膜を行い、上記した図1の装置を用いる場合には、基板1 を回動させて、基板1 が交互にアーク蒸発源とスパッタリング蒸発源の前を通過するようにすることにより、TiN とSiN とを、交互にかつ順次基板上に積層させ、層A としてのTiN 、層B としてのSiN の、積層構造の複合硬質皮膜を容易に形成できる。
一層当たりの前記硬質皮膜層A の厚みは2 〜200nm の範囲から選択される。一層当たりの前記硬質皮膜層B の厚みは0.5nm 以上、好ましくは1.0nm 以上で、かつ、一層当たりの前記硬質皮膜層A の厚みの1/2 以下である範囲から選択される。
積層構造としては、層A/層B/層A/層B なる、硬質皮膜層A と硬質皮膜層B との交互の積層(層A/層B )を一つの単位として、この単位を複数(多数)繰り返しての積層(多層化)が好ましい。ただ、第三の硬質皮膜層C として、立方晶岩塩型構造を有するが、別の成分組成からなる硬質皮膜層 (別の物質) を選択し、この硬質皮膜層C を間に介在させて、例えば、層A/層B/層C あるいは層B/層A/層B/層C などを一つの単位として、これらの単位を各々組み合わせて積層を行っても良い。層A と層B とを一つの単位とする、これら単位の積層数は20〜1000など任意の積層数が選択できる。
本発明成膜装置を、このような積層型の複合硬質皮膜の成膜に適用することで、アーク蒸発とスパッタリング蒸発の各特性を最高に発揮させることができる。特に、アーク蒸発はスパッタリング蒸発に比べて成膜レートが速い。このため、アーク蒸発源により硬質皮膜層A の成分を成膜することで、層B の5倍程度以上の膜厚が必要な層A を高速に成膜出来る。また、スパッタリング蒸発源はアーク蒸発源よりも成膜レートの調整が容易であり、非常に小さい投入電力(例えば0.1 kW )から作動するために、層B などの薄膜の皮膜層の厚みを正確に制御できる特性がある。
また、これらアーク蒸発とスパッタリング蒸発との特性を組み合わせることで、アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源の投入電力の比により、層A と層B の厚みの比率を好ましい範囲に設定した後に、基板の回転数 (回動速度、移動速度) を変化させることで、任意に層A +層B の繰り返しの周期を決定できる。また、層A の厚み、即ち結晶粒子径を微細に任意に設定、成膜できる。
以上説明したように、本発明によれば、成膜上の問題が生じることなく、所望の特性の硬質皮膜が得られる、硬質皮膜の成膜方法を提供することができる。したがって、超硬合金、サーメットまたは高速度工具鋼などを基材とする切削工具や自動車向け摺動部材などの耐摩耗性皮膜の特性を向上させた成膜に適用できる。
本発明成膜装置の一実施態様を示す平面図である。 比較例の成膜装置を示す平面図である。 本発明複合成膜装置の別の実施態様を示す正面図である。 本発明複合成膜装置の更に別の実施態様を示す平面図である。 窒素分圧と硬質皮膜中の窒素含有量との関係を示す説明図である。 窒素分圧と硬質皮膜の表面粗度Raとの関係を示す説明図である。 窒素分圧と硬質皮膜のビッカース硬度との関係を各々示す説明図である。 本発明スパッタリング蒸発源の一態様を示し、図8(a)はスパッタリングターゲット材の平面図、図8(b)はスパッタリング蒸発源の正面図である。 本発明スパッタリング蒸発源の別の態様を示し、図9(a)はスパッタリングターゲット材の平面図、図9(b)はスパッタリング蒸発源の正面図である。 本発明スパッタリング蒸発源の別の態様を示し、図10(a)はスパッタリングターゲット材の平面図、図10(b)はスパッタリング蒸発源の正面図である。
符号の説明
1:基板、2 、3 :スパッタリング蒸発源、4:磁場印加機構、
5 、6 :電子ビーム蒸発源、8:チャンバ、9:回転盤、10: 磁場、
11、12: 導管、13: シールド、14: バッキングプレート、15: グランドアース、16: スパッタ電源、17: 治具、20: ターゲット材、21: エロージョンエリア、
22、24、25: 非エロージョンエリア

Claims (4)

  1. 同一成膜チャンバ内に、磁場印加機構を有するアーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを各々1台以上配置し、成膜する基板を、前記アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源との間で、順次相対的に移動させる手段を有し、成膜中に、隣り合う前記蒸発源同士の磁力線が互いにつながるように前記磁場印加機構が構成されている複合成膜装置を用い、前記アーク蒸発源とスパッタリング蒸発源とを同時に作動させて硬質皮膜を形成するに際し、不活性ガスであるスパッタリングガス中に窒素を混合させるとともに、このスパッタリングガスと窒素の全圧を2〜4Paとし、混合した窒素の分圧を0.5〜2.65Paとし、且つアーク蒸発源からTiAl合金を蒸発させることを特徴とする硬質皮膜の成膜方法。
  2. 前記成膜中に、第1の管によって前記スパッタリングガスを前記スパッタリング蒸発源近傍より前記成膜チャンバ内に導入するとともに、前記第1の管とは別の第2の管によって前記窒素ガスを前記アーク蒸発源近傍より前記成膜チャンバ内に導入する請求項1に記載の硬質皮膜の成膜方法。
  3. 前記スパッタリング蒸発源として、エロージョンエリア以外の部分に、電気的に絶縁体である材料を使用する請求項1または2に記載の硬質皮膜の成膜方法。
  4. 前記スパッタリング蒸発源として、エロージョンエリア以外の部分に、スパッタリングターゲットの電位に対して、フローティング電位あるいはグラウンド電位となるシールドを設けたものを使用する請求項1または2に記載の硬質皮膜の成膜方法。
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